1: 2025/01/04(土) 11:00:06 ID:???00
卒業式当日 朝
冬毬「おはようございます、姉者」
夏美「おはようございますですの、冬毬」
夏美「冬毬も卒業式に出るのですよね」
冬毬「はい、三年生の皆さんに会える最後の日ですから」
冬毬(そして、個人的なタスクを遂行しなければいけない日なのです)
冬毬「おはようございます、姉者」
夏美「おはようございますですの、冬毬」
夏美「冬毬も卒業式に出るのですよね」
冬毬「はい、三年生の皆さんに会える最後の日ですから」
冬毬(そして、個人的なタスクを遂行しなければいけない日なのです)
2: 2025/01/04(土) 11:02:05 ID:???00
冬毬(とはいえ、式典前に制服の一部を頂くわけにはいきませんから、勝負は卒業式後です)
冬毬(ただし、かのん先輩は結ヶ丘のスーパースター。今日出席する一、二年生全員が狙っていると言っても過言ではありません)
冬毬(恋先輩のような高嶺の花タイプや、千砂都先輩のような一見近寄りがたいタイプならともかく、気さくで話しかけやすい素敵な先輩となると、スクールアイドル部員ですらない、どこの馬の骨かわからないものですら機会を窺っているはずです)
冬毬(……おや?)
冬毬「マルガレーテ、来るとは思いませんでした。一年生は卒業式、自由参加ですよね」
マルガレーテ「暇だったしね。それより、冬毬こそ参加しないかと思ってたわ」
冬毬(マルガレーテ、彼女もまた強力なライバル候補です)
冬毬(かのん先輩に対する思い入れは並々ならぬものがあるに違いありません)
冬毬(ただ、マルガレーテは日本の学校の風習には明るくありません。何も言わなければそのような発想に辿り着くことはないはず)
冬毬(思えば、しばらくの間かのん先輩と三人で活動できたのはマルガレーテのおかげでしたね)
冬毬(ただし、かのん先輩は結ヶ丘のスーパースター。今日出席する一、二年生全員が狙っていると言っても過言ではありません)
冬毬(恋先輩のような高嶺の花タイプや、千砂都先輩のような一見近寄りがたいタイプならともかく、気さくで話しかけやすい素敵な先輩となると、スクールアイドル部員ですらない、どこの馬の骨かわからないものですら機会を窺っているはずです)
冬毬(……おや?)
冬毬「マルガレーテ、来るとは思いませんでした。一年生は卒業式、自由参加ですよね」
マルガレーテ「暇だったしね。それより、冬毬こそ参加しないかと思ってたわ」
冬毬(マルガレーテ、彼女もまた強力なライバル候補です)
冬毬(かのん先輩に対する思い入れは並々ならぬものがあるに違いありません)
冬毬(ただ、マルガレーテは日本の学校の風習には明るくありません。何も言わなければそのような発想に辿り着くことはないはず)
冬毬(思えば、しばらくの間かのん先輩と三人で活動できたのはマルガレーテのおかげでしたね)
4: 2025/01/04(土) 11:05:04 ID:???00
回想 四月
冬毬(さて、姉者と同じ学校に入りました。これからは、姉者と同じスクールアイドル部に入って、姉者が本気なのか確認するのがいいでしょう)
冬毬(……つ、ついでに、澁谷かのんさん、いや、かのん先輩が結ヶ丘に残るという情報を聞きました。ま、まあそれは関係ありませんが、一年間一緒に過ごせるとは、なんたる幸甚)
冬毬(おや、……あれは?)
マルガレーテ「嘘でしょ!? あ、あんたが私と、スクーアイドル!?」
かのん「えへへ、よろしくお願いします」
冬毬(確か先ほどチラシを見ましたね。新スクールアイドル部と書いていましたか。しかし、詳しい状況はわかりませんが、かのん先輩が入部?)
冬毬(なるほど。……そう、そうですね。確かに同じ部活に入ると近すぎて見えないものもあるかもしれません)
冬毬(かのん先輩のもとで活動しつつ、スクールアイドルとは何かを知り、姉者を客観的に見られる。……これは、いい考えです)
回想おわり
冬毬(さて、姉者と同じ学校に入りました。これからは、姉者と同じスクールアイドル部に入って、姉者が本気なのか確認するのがいいでしょう)
冬毬(……つ、ついでに、澁谷かのんさん、いや、かのん先輩が結ヶ丘に残るという情報を聞きました。ま、まあそれは関係ありませんが、一年間一緒に過ごせるとは、なんたる幸甚)
冬毬(おや、……あれは?)
マルガレーテ「嘘でしょ!? あ、あんたが私と、スクーアイドル!?」
かのん「えへへ、よろしくお願いします」
冬毬(確か先ほどチラシを見ましたね。新スクールアイドル部と書いていましたか。しかし、詳しい状況はわかりませんが、かのん先輩が入部?)
冬毬(なるほど。……そう、そうですね。確かに同じ部活に入ると近すぎて見えないものもあるかもしれません)
冬毬(かのん先輩のもとで活動しつつ、スクールアイドルとは何かを知り、姉者を客観的に見られる。……これは、いい考えです)
回想おわり
5: 2025/01/04(土) 11:05:59 ID:???00
マルガレーテ「冬毬?」
冬毬「……一つ大きなタスクがありまして」
マルガレーテ「タスク?」
冬毬「……一つ大きなタスクがありまして」
マルガレーテ「タスク?」
6: 2025/01/04(土) 11:08:32 ID:???00
卒業式
教師「渋谷かのん」
かのん「はい」
冬毬(かのん先輩、最後まで素敵です……)
恋「答辞 本日は私たちのためにこのような素晴らしい卒業式を————」
冬毬(きな子先輩に、恋先輩、感動的ですね。しかし式も終盤、いよいよ勝負の時が近づいてきました)
冬毬(三年生は退場後、クラスで最後のHRを行い解散となります)
冬毬(一方、一年生は退場こそ最後ですが、教室に戻ればすぐに解散。かのん先輩を待ち構えることができるはずです)
教師「渋谷かのん」
かのん「はい」
冬毬(かのん先輩、最後まで素敵です……)
恋「答辞 本日は私たちのためにこのような素晴らしい卒業式を————」
冬毬(きな子先輩に、恋先輩、感動的ですね。しかし式も終盤、いよいよ勝負の時が近づいてきました)
冬毬(三年生は退場後、クラスで最後のHRを行い解散となります)
冬毬(一方、一年生は退場こそ最後ですが、教室に戻ればすぐに解散。かのん先輩を待ち構えることができるはずです)
8: 2025/01/04(土) 11:15:41 ID:???00
冬毬(予定どおり、三年生の解散前に教室に辿り着きました。あとは、物陰からかのん先輩が一人になるタイミングを見計らうだけです)
かのん「みんな~、元気でね~! 私のこと、忘れないでね~!」
ナナミ「忘れないってば。かのんちゃんは私たちのヒーローだもん。これからも活躍してるところ見せてくれるんでしょ?」
冬毬(はっ……! 一、二年生ばかり警戒していましたが、同級生である三年生にとってもかのん先輩は憧れの存在。しかも将来有名になることが約束された人です)
冬毬(有名人に関する物品を持っておきたいというミーハーな人は少なくないはず。……まずいです。これは、いつ他の人に奪われるかわからない状況と考えられます)
かのん「あれ、冬毬ちゃん? どうしたのこんなところで」
冬毬(か、かのん先輩!? しまった、考えに気を取られて接近に気づきませんでした。急に話しかけられると、心の準備が!)
冬毬「かのん先輩に卒業のお祝いをと思いまして。……改めまして、かのん先輩、ご卒業おめでとうございます」
かのん「えへへ、そうなの? ありがとう! あとで部室に集まる予定なのにわざわざ来てくれたんだ! さすがしっかりしてるね」
冬毬(今、今でしょうか。冬毬、やるのですか、今、ここで!? ……ああ、でも、ここは人目が多すぎます)
ヤエ「かのんちゃーん! ごめんね、ちょっといい?」
かのん「あ、うん! 今行く! ごめんね冬毬ちゃん。ちょっと呼ばれたから、またあとでね」
冬毬(あ……)
冬毬「いえ、みなさんとの時間、大事にしてください。また後で、部室で」
かのん「うん、ごめんね、ありがとう」
冬毬(行ってしまいました。仕方がありません。今は諦めましょう。まだチャンスはあります)
かのん「みんな~、元気でね~! 私のこと、忘れないでね~!」
ナナミ「忘れないってば。かのんちゃんは私たちのヒーローだもん。これからも活躍してるところ見せてくれるんでしょ?」
冬毬(はっ……! 一、二年生ばかり警戒していましたが、同級生である三年生にとってもかのん先輩は憧れの存在。しかも将来有名になることが約束された人です)
冬毬(有名人に関する物品を持っておきたいというミーハーな人は少なくないはず。……まずいです。これは、いつ他の人に奪われるかわからない状況と考えられます)
かのん「あれ、冬毬ちゃん? どうしたのこんなところで」
冬毬(か、かのん先輩!? しまった、考えに気を取られて接近に気づきませんでした。急に話しかけられると、心の準備が!)
冬毬「かのん先輩に卒業のお祝いをと思いまして。……改めまして、かのん先輩、ご卒業おめでとうございます」
かのん「えへへ、そうなの? ありがとう! あとで部室に集まる予定なのにわざわざ来てくれたんだ! さすがしっかりしてるね」
冬毬(今、今でしょうか。冬毬、やるのですか、今、ここで!? ……ああ、でも、ここは人目が多すぎます)
ヤエ「かのんちゃーん! ごめんね、ちょっといい?」
かのん「あ、うん! 今行く! ごめんね冬毬ちゃん。ちょっと呼ばれたから、またあとでね」
冬毬(あ……)
冬毬「いえ、みなさんとの時間、大事にしてください。また後で、部室で」
かのん「うん、ごめんね、ありがとう」
冬毬(行ってしまいました。仕方がありません。今は諦めましょう。まだチャンスはあります)
9: 2025/01/04(土) 11:17:53 ID:???00
冬毬(次は部室に移動するとき、部室につながる階段は人気がなく格好の待ち伏せ場所です)
夏美「あれ、冬毬。どうして三年生の教室に?」
冬毬「姉者? 姉者こそなぜここに?」
夏美「私は先輩たちにお祝いを伝えに来ましたの」
冬毬(姉者……、姉者もかのん先輩に大恩ある身。かのん先輩狙いだとしてもおかしくありません)
夏美「あれ、冬毬。どうして三年生の教室に?」
冬毬「姉者? 姉者こそなぜここに?」
夏美「私は先輩たちにお祝いを伝えに来ましたの」
冬毬(姉者……、姉者もかのん先輩に大恩ある身。かのん先輩狙いだとしてもおかしくありません)
10: 2025/01/04(土) 11:21:05 ID:???00
回想 昨年夏
冬毬「姉者、突然北海道に行ったと思ったら、スクールアイドルなどというものを始めるとは、何があったのですか?」
夏美「にゃは、マニーの香りがしたんですの! ……でも、でもね、今度こそ見つけたかもしれないんですの。私の、夢……」
冬毬(夢……、また姉者に悲しい思いをさせてしまうのでしょうか。それは防がなければいけません)
冬毬「大丈夫ですか。また、意味のない努力をすることになるのでは?」
夏美「そ、そんなこと、やってもいないのにわかるわけないですの! それに、先輩が誘ってくれたから……」
冬毬(……でも、姉者のこんな顔、久しぶりに見ました。いったいどんな人が……)
冬毬「……先輩? どなたですか? そんなに発言に責任を持てる方ですか?」
夏美「ちょっと強引なところもあるけど、信じられる気がしますの。いえ、信じたいんですの!」
冬毬「それで、何という方ですか?」
夏美「澁谷かのん先輩、ですの!」
冬毬「澁谷かのんさん……、その方もスクールアイドルなのですか? そうであれば、何かしらの映像があるはずですね」
冬毬(どのような人物なのか、見極めて差し上げましょう。……もっとも、姉者を預けられる人物がそうそういるとは思えませんが)
夏美「えっと、確か以前の大会の動画なら……。あとは、私が撮った練習動画もアップ済みですの」
冬毬「ふむ、この方が……」
冬毬「……」
冬毬「……なるほど。……決めました、姉者、私は来年姉者と同じ結ヶ丘女子高等学校を受験します」
夏美「え、どうしたんですの!? 夏美なら、もっとレベルの高い高校だって狙えますの!」
冬毬「……もう決めたことです」
回想おわり
冬毬「姉者、突然北海道に行ったと思ったら、スクールアイドルなどというものを始めるとは、何があったのですか?」
夏美「にゃは、マニーの香りがしたんですの! ……でも、でもね、今度こそ見つけたかもしれないんですの。私の、夢……」
冬毬(夢……、また姉者に悲しい思いをさせてしまうのでしょうか。それは防がなければいけません)
冬毬「大丈夫ですか。また、意味のない努力をすることになるのでは?」
夏美「そ、そんなこと、やってもいないのにわかるわけないですの! それに、先輩が誘ってくれたから……」
冬毬(……でも、姉者のこんな顔、久しぶりに見ました。いったいどんな人が……)
冬毬「……先輩? どなたですか? そんなに発言に責任を持てる方ですか?」
夏美「ちょっと強引なところもあるけど、信じられる気がしますの。いえ、信じたいんですの!」
冬毬「それで、何という方ですか?」
夏美「澁谷かのん先輩、ですの!」
冬毬「澁谷かのんさん……、その方もスクールアイドルなのですか? そうであれば、何かしらの映像があるはずですね」
冬毬(どのような人物なのか、見極めて差し上げましょう。……もっとも、姉者を預けられる人物がそうそういるとは思えませんが)
夏美「えっと、確か以前の大会の動画なら……。あとは、私が撮った練習動画もアップ済みですの」
冬毬「ふむ、この方が……」
冬毬「……」
冬毬「……なるほど。……決めました、姉者、私は来年姉者と同じ結ヶ丘女子高等学校を受験します」
夏美「え、どうしたんですの!? 夏美なら、もっとレベルの高い高校だって狙えますの!」
冬毬「……もう決めたことです」
回想おわり
12: 2025/01/04(土) 11:24:50 ID:???00
回想 二年前夏
冬毬「姉者、突然北海道に行ったと思ったら、スクールアイドルなどというものを始めるとは、何があったのですか?」
夏美「にゃは、マニーの香りがしたんですの! ……でも、でもね、今度こそ見つけたかもしれないんですの。私の、夢……」
冬毬(夢……、また姉者に悲しい思いをさせてしまうのでしょうか。それは防がなければいけません)
冬毬「大丈夫ですか。また、意味のない努力をすることになるのでは?」
夏美「そ、そんなこと、やってもいないのにわかるわけないですの! それに、先輩が誘ってくれたから……」
冬毬(……でも、姉者のこんな顔、久しぶりに見ました。いったいどんな人が……)
冬毬「……先輩? どなたですか? そんなに発言に責任を持てる方ですか?」
夏美「ちょっと強引なところもあるけど、信じられる気がしますの。いえ、信じたいんですの!」
冬毬「それで、何という方ですか?」
夏美「澁谷かのん先輩、ですの!」
冬毬「澁谷かのんさん……、その方もスクールアイドルなのですか? そうであれば、映像があるはずですね」
冬毬(どのような人物なのか、見極めて差し上げましょう。……もっとも、姉者を預けられる人物がそうそういるとは思えませんが)
夏美「えっと、確か以前の大会の動画なら……。あとは、私が撮った練習動画もアップ済みですの」
冬毬「ふむ、この方が……」
冬毬「……」
冬毬「……なるほど。……決めました、姉者、私は来年姉者と同じ結ヶ丘女子高等学校を受験します」
夏美「え、どうしたんですの!? 夏美なら、もっとレベルの高い高校だって狙えますの!」
冬毬「……もう決めたことです」
回想おわり
冬毬「姉者、突然北海道に行ったと思ったら、スクールアイドルなどというものを始めるとは、何があったのですか?」
夏美「にゃは、マニーの香りがしたんですの! ……でも、でもね、今度こそ見つけたかもしれないんですの。私の、夢……」
冬毬(夢……、また姉者に悲しい思いをさせてしまうのでしょうか。それは防がなければいけません)
冬毬「大丈夫ですか。また、意味のない努力をすることになるのでは?」
夏美「そ、そんなこと、やってもいないのにわかるわけないですの! それに、先輩が誘ってくれたから……」
冬毬(……でも、姉者のこんな顔、久しぶりに見ました。いったいどんな人が……)
冬毬「……先輩? どなたですか? そんなに発言に責任を持てる方ですか?」
夏美「ちょっと強引なところもあるけど、信じられる気がしますの。いえ、信じたいんですの!」
冬毬「それで、何という方ですか?」
夏美「澁谷かのん先輩、ですの!」
冬毬「澁谷かのんさん……、その方もスクールアイドルなのですか? そうであれば、映像があるはずですね」
冬毬(どのような人物なのか、見極めて差し上げましょう。……もっとも、姉者を預けられる人物がそうそういるとは思えませんが)
夏美「えっと、確か以前の大会の動画なら……。あとは、私が撮った練習動画もアップ済みですの」
冬毬「ふむ、この方が……」
冬毬「……」
冬毬「……なるほど。……決めました、姉者、私は来年姉者と同じ結ヶ丘女子高等学校を受験します」
夏美「え、どうしたんですの!? 夏美なら、もっとレベルの高い高校だって狙えますの!」
冬毬「……もう決めたことです」
回想おわり
13: 2025/01/04(土) 11:27:16 ID:???00
冬毬「なるほど、私も同じです。一緒に行きましょう」
冬毬(今日に限っては姉者も強敵。私は二度目になってしまいますが、一人で行かせはしません)
夏美「かのんせんぱーい! 卒業おめでとうですの!」
かのん「夏美ちゃん! ありがとう! ……あれ、冬毬ちゃん?」
冬毬「はい、そこで会ったので、一緒に来ました」
冬毬(く……、ただでさえ二度目で不思議がられているのに、今お願いするのは不自然すぎます)
夏美「かのん先輩がいなくなってしまうなんて寂しいですの。ところで……」
冬毬「ところで! 他の先輩方はどちらにいらっしゃいますか? みなさんにもお祝いの言葉をと思うのですが」
かのん「他のみんな? 恋ちゃんは多分音楽室か音楽科の教室だけど、あとのみんなはそのあたりにいると思うよ。隣のクラスとかかな? あ、でもちぃちゃんはもしかしたら音楽科の方かも」
冬毬「そうですかありがとうございます行きますよ姉者っ!」
夏美「と、冬毬? ちょっと、待ってですの~」
冬毬(今日に限っては姉者も強敵。私は二度目になってしまいますが、一人で行かせはしません)
夏美「かのんせんぱーい! 卒業おめでとうですの!」
かのん「夏美ちゃん! ありがとう! ……あれ、冬毬ちゃん?」
冬毬「はい、そこで会ったので、一緒に来ました」
冬毬(く……、ただでさえ二度目で不思議がられているのに、今お願いするのは不自然すぎます)
夏美「かのん先輩がいなくなってしまうなんて寂しいですの。ところで……」
冬毬「ところで! 他の先輩方はどちらにいらっしゃいますか? みなさんにもお祝いの言葉をと思うのですが」
かのん「他のみんな? 恋ちゃんは多分音楽室か音楽科の教室だけど、あとのみんなはそのあたりにいると思うよ。隣のクラスとかかな? あ、でもちぃちゃんはもしかしたら音楽科の方かも」
冬毬「そうですかありがとうございます行きますよ姉者っ!」
夏美「と、冬毬? ちょっと、待ってですの~」
14: 2025/01/04(土) 11:43:21 ID:???00
冬毬(ふう、なんとか、かのん先輩から姉者を引き離すことに成功しました)
冬毬(他の先輩方に挨拶もできて、我ながら一石二鳥でしたね)
冬毬(さて、用事があるからと言って一旦姉者とは別れ、一人で階段まで来ることができました。あとは、ここでかのん先輩を待つだけです)
冬毬(ん? 来ました。あれはかのん先輩の足音。今こそ心願成就のときです。……ああ、緊張してきました)
かのん「わあ、部活引退してからは来なくなったから、校内なのに懐かしいね」
千砂都「本当だねえ。こうやって、思い出になっていくんだね」
冬毬(しまった。千砂都先輩も一緒です。確かに部室に行くのであれば千砂都先輩と一緒であることは十分に想定可能でした。そこまで考えが及ばなかった私のミスです)
かのん「あ、冬毬ちゃん、冬毬ちゃんも今から行くところ?」
冬毬「はい、まだ人の気配はなさそうです。私たちが一番乗りのようですね」
冬毬(かのん先輩と千砂都先輩とで互いに交換するという線もありますね。これは見張っておかないと)
冬毬(しかし、また失敗です。でも、でも……、揺るぎない不屈の精神が私の武器。諦められません)
冬毬(他の先輩方に挨拶もできて、我ながら一石二鳥でしたね)
冬毬(さて、用事があるからと言って一旦姉者とは別れ、一人で階段まで来ることができました。あとは、ここでかのん先輩を待つだけです)
冬毬(ん? 来ました。あれはかのん先輩の足音。今こそ心願成就のときです。……ああ、緊張してきました)
かのん「わあ、部活引退してからは来なくなったから、校内なのに懐かしいね」
千砂都「本当だねえ。こうやって、思い出になっていくんだね」
冬毬(しまった。千砂都先輩も一緒です。確かに部室に行くのであれば千砂都先輩と一緒であることは十分に想定可能でした。そこまで考えが及ばなかった私のミスです)
かのん「あ、冬毬ちゃん、冬毬ちゃんも今から行くところ?」
冬毬「はい、まだ人の気配はなさそうです。私たちが一番乗りのようですね」
冬毬(かのん先輩と千砂都先輩とで互いに交換するという線もありますね。これは見張っておかないと)
冬毬(しかし、また失敗です。でも、でも……、揺るぎない不屈の精神が私の武器。諦められません)
16: 2025/01/04(土) 12:38:31 ID:???00
かのん「ああ、部室懐かしいな。みんな頑張ってるんだね」
きな子「はいっす! 先輩達が、い、いなくても! 頑張るっす!」
冬毬(く、この状況。ライバルを牽制はできていますが、同時に私も言い出しづらい。やりますね、きな子先輩)
メイ「ん? 冬毬、何か様子がおかしいぞ? 大丈夫か?」
きな子「トイレっすか? 我慢せず行ってきた方がいいっすよ」
冬毬「いえ、大丈夫ですのでお気になさらず。ただ、去年のことを思い出していただけです」
冬毬(自然な流れで、この場を離れさせ、その隙にと考えたのでしょうが、そうはいきません)
かのん「なになに? 去年のことって? トマカノーテやってたころのこと?」
冬毬「そ、それは……」
きな子「はいっす! 先輩達が、い、いなくても! 頑張るっす!」
冬毬(く、この状況。ライバルを牽制はできていますが、同時に私も言い出しづらい。やりますね、きな子先輩)
メイ「ん? 冬毬、何か様子がおかしいぞ? 大丈夫か?」
きな子「トイレっすか? 我慢せず行ってきた方がいいっすよ」
冬毬「いえ、大丈夫ですのでお気になさらず。ただ、去年のことを思い出していただけです」
冬毬(自然な流れで、この場を離れさせ、その隙にと考えたのでしょうが、そうはいきません)
かのん「なになに? 去年のことって? トマカノーテやってたころのこと?」
冬毬「そ、それは……」
17: 2025/01/04(土) 12:46:05 ID:???00
回想 トマカノーテ結成後
マルガレーテ「なんなのよ、あんた!」
かのん「まあまあ、とにかく、練習しよ」
冬毬(練習、かのん先輩と練習! しかし、今の私ではかのん先輩にふさわしい、有能な後輩を装えるのは短時間だけ。この距離で長時間だと、本当はそうではないことが露呈してしまいます)
冬毬「練習が私に必要と判断すれば参加します」
マルガレーテ「普段の練習は自分には無駄だって言いたいわけ?」
冬毬(このまま練習に参加することはできません)
冬毬(その代わり、姉者の目を盗んで習得したこの振りを見てください。かのん先輩、どうですか?)
かのん「すごい! 練習してないのに!」
冬毬(やりました。嬉しい、嬉しいです。ただ、今日はもう限界です。長時間の練習にも耐えられるように、もっと自主練習しなければ)
冬毬「理解していただけましたか? では、失礼します」
マルガレーテ「なんなのよ、あんた!」
かのん「まあまあ、とにかく、練習しよ」
冬毬(練習、かのん先輩と練習! しかし、今の私ではかのん先輩にふさわしい、有能な後輩を装えるのは短時間だけ。この距離で長時間だと、本当はそうではないことが露呈してしまいます)
冬毬「練習が私に必要と判断すれば参加します」
マルガレーテ「普段の練習は自分には無駄だって言いたいわけ?」
冬毬(このまま練習に参加することはできません)
冬毬(その代わり、姉者の目を盗んで習得したこの振りを見てください。かのん先輩、どうですか?)
かのん「すごい! 練習してないのに!」
冬毬(やりました。嬉しい、嬉しいです。ただ、今日はもう限界です。長時間の練習にも耐えられるように、もっと自主練習しなければ)
冬毬「理解していただけましたか? では、失礼します」
18: 2025/01/04(土) 12:48:12 ID:???00
……
かのん「この衣装で歌うの!?」
マルガレーテ「本気?」
冬毬(う、この反応、攻めすぎましたか。確かに私も抵抗があります。しかし、かのん先輩に好きな衣装着せられるチャンス、そう考えていたら自然と……)
冬毬「この衣装を着て歌っていただければ、利益も上がるかと」
冬毬(配信を見た人たちも課金せずにはいられないはずです)
かのん「ダーメ!」
冬毬「手厳しい……」
回想おわり
かのん「この衣装で歌うの!?」
マルガレーテ「本気?」
冬毬(う、この反応、攻めすぎましたか。確かに私も抵抗があります。しかし、かのん先輩に好きな衣装着せられるチャンス、そう考えていたら自然と……)
冬毬「この衣装を着て歌っていただければ、利益も上がるかと」
冬毬(配信を見た人たちも課金せずにはいられないはずです)
かのん「ダーメ!」
冬毬「手厳しい……」
回想おわり
19: 2025/01/04(土) 12:55:49 ID:???00
冬毬「……トマカノーテを結成したころ、必氏に練習していたことを思い出していました」
マルガレーテ「結成したころって、……冬毬、そんなに練習してた?」
かのん「冬毬ちゃん、最初からすごかったもんね!」
千砂都(あれはそんなに少ない練習時間でできるパフォーマンスじゃないとは思っていたけど……、まあ、黙っておこっかな)
マルガレーテ「結成したころって、……冬毬、そんなに練習してた?」
かのん「冬毬ちゃん、最初からすごかったもんね!」
千砂都(あれはそんなに少ない練習時間でできるパフォーマンスじゃないとは思っていたけど……、まあ、黙っておこっかな)
20: 2025/01/04(土) 13:10:08 ID:???00
冬毬(とうとう言い出せないまま帰宅する流れになってしまいました)
マルガレーテ「泣かないでよ、みんな格好悪いんだから」
メイ「うるせえな! お前だって、泣いてんじゃねえか!」
冬毬(もはや、一人になるタイミングを窺うことは不可能。それどころか、あと数メートル、校門を出たらお別れです)
マルガレーテ「泣かないでよ、みんな格好悪いんだから」
メイ「うるせえな! お前だって、泣いてんじゃねえか!」
冬毬(もはや、一人になるタイミングを窺うことは不可能。それどころか、あと数メートル、校門を出たらお別れです)
21: 2025/01/04(土) 13:12:58 ID:???00
回想 Online Live Audition
かのん「緊張してる?」
マルガレーテ「誰が!」
かのん「……かわいいよ!」
マルガレーテ「な!?」
冬毬(く、うらやましいです。私にも言ってほしいです)
冬毬「しかし、この視聴者数では……、一万以上の評価はこの時点で不可能だと判断されます」
かのん「歌おう! 結果よりも前に、挑戦する気持ちを失くしちゃったら、何も始まらない!」
冬毬(かのん先輩……! はい……、はい!!)
回想おわり
かのん「緊張してる?」
マルガレーテ「誰が!」
かのん「……かわいいよ!」
マルガレーテ「な!?」
冬毬(く、うらやましいです。私にも言ってほしいです)
冬毬「しかし、この視聴者数では……、一万以上の評価はこの時点で不可能だと判断されます」
かのん「歌おう! 結果よりも前に、挑戦する気持ちを失くしちゃったら、何も始まらない!」
冬毬(かのん先輩……! はい……、はい!!)
回想おわり
22: 2025/01/04(土) 13:18:51 ID:???00
冬毬(そうです。挑戦するのです、冬毬。他の人がいるから何ですか)
冬毬(今こそ一歩踏み出すときです。さあ、正々堂々と参りましょう)
冬毬「……あの、かのん先輩!」
おわり
冬毬(今こそ一歩踏み出すときです。さあ、正々堂々と参りましょう)
冬毬「……あの、かのん先輩!」
おわり
25: 2025/01/04(土) 13:32:18 ID:???Sp
乙
トマカノ、いいよね…いい…
トマカノ、いいよね…いい…
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります