1: 2025/01/05(日) 16:15:39 ID:???00
ルビィ「スーッ、フーッ……今日は茨城での短期アルバイトのための面接……たった1週間分のバイトだけど、面接があるってなると緊張するなぁ……」

────

『アルバイトの面接にお越しくださった黒澤様ですね。
では、こちらの部屋で少々お待ちください。
ただいま、面接官兼当店責任者のCEOを呼んでまいります』

────

ルビィ「って、言われたがから待ってるけど……遅いなぁ、待ちくたびれちゃうよ……」

2: 2025/01/05(日) 16:19:41 ID:???00
夏美「はい、夏美ですの。
えぇ? また万引き? 冬毬が捕まえたと……で、どこに連れていきましたの?
え、どこかはわからない? あー、もう仕方ありませんの。
私が探しますの、あなたはこのまま業務に集中しててください」

ピッ

夏美「まったく……まぁ、冬毬ならきっと自分の部屋にでも連れて行ってるはずですの。
冬毬は勝手にお姉ちゃんの部屋に入るような子じゃありませんの~」

ガチャ

「……」

夏美「あーっ、あなたですのね!」

「! は、はい!」

3: 2025/01/05(日) 16:22:27 ID:???00
夏美「株式会社オニナッツ、改め鬼塚商店の店長ですの」

ルビィ「は、はい、ど、どうも……」

夏美「まずは座って話しますの」

ルビィ「はい、し、失礼します」

ちょこん

夏美「……私くらいの慧眼がありますとね、大体わかってしまうんですの」

ルビィ「ふぇ……」

夏美「あなたは見るっからに『やりそう』な子ですの!」

ルビィ「あ、ありがとうございます!」

夏美「いや褒めてませんの!」

4: 2025/01/05(日) 16:26:27 ID:???00
夏美「何がありがとうございます、ですの!」

ルビィ「す、すみません……」

夏美「あなた、こういうことするのはウチのお店が初めてなんですの?」

ルビィ「え、えと、いいえ! 前は水族館でやったことがあります! 9人で!」

夏美「9人で!? 水族館を!?」

ルビィ「は、はい! 部活のお友達と!」

夏美「1つの水族館を9人で!? えぇっ、な、なんて恐ろしい子ですの……!?」

5: 2025/01/05(日) 16:28:59 ID:???00
夏美「あ、あなた……名前は?」

ルビィ「く、黒澤ルビィです!」

夏美「黒澤……っと。どっかで聞いたような……えぇと、歳は?」

ルビィ「歳は……16歳です!」

夏美「16ね……こんな未来もまだまだある歳で……で、住所はどこですの?」

ルビィ「あ、すみません」

夏美「? なんですの」

ルビィ「履歴書、持ってきました!」

夏美「なんで持ってるんですの!? なんで履歴書なんか持ってきてるんですのぉっ!?」

6: 2025/01/05(日) 16:33:29 ID:???00
ルビィ「え、えと、こういう時の、ために……」

夏美「こ、こうなることを想定してたって言うんですの!? ま、まぁ取り敢えず預かりますの……えぇと、コレに嘘はありませんのね?」

ルビィ「はい、ちゃんとホントのこと書いてます!」

夏美「何々……へぇ、あなたスクールアイドル部に所属してますのね。
へー、大会で優勝まで……結構凄いとこのチームに所属してるんですのね」

ルビィ「はい。周りの皆が凄い分、私も負けないように頑張ろう! って思って速く走れるように頑張ったり、物を落とさないように走る練習とかもいっぱいしてきました!」

夏美「どんなアピールですの!? あなた状況わかってますの!? 何そんな努力のアピールなんかしてますの!?」

ルビィ「は、はぃ……ごめんなさい……」

7: 2025/01/05(日) 16:37:21 ID:???00
夏美「はぁ……じゃあ本格的な質問に入らせていただきますの。
まず、この世の中これーだけ色んなお店があるでしょう? どうしてウチのお店なんですの?」

ルビィ「ぅ、ぅゅ……その、前にこのお店に来たり、求人募集のチラシを見た時に、店長さんを見て……」

夏美「私を?」

ルビィ「同じ女子高生だし、このお店ならやりやすそうだなって……」

夏美「舐ぁめてるんですのぉ!?」

8: 2025/01/05(日) 16:41:04 ID:???00
ルビィ「ぴぎゃっ!」

夏美「ナッツを見てやりやすそうだと思ったんですの!?」

ルビィ「は、はぃ……」

夏美「ったくもう……しかもあなた、16歳ってまだ1年生でしょう? まだまだ未来もあるのに、なんでこんなことしようと思ったんですの?」

ルビィ「じ、実は……どうしても短期間でお金を稼がなくっちゃいけなくて……」

夏美「ほぉ」

ルビィ「このお店で頑張れば、目標額にも届くって部活仲間からオススメされて」

夏美「一体何をする気だったんですの!? あなたの仲間一体こんな子に何させるつもりだったんですのーっ!?」

9: 2025/01/05(日) 16:45:19 ID:???00
夏美「ウチのお店でコツコツ頑張って!? ウチの商品でなんかのためのお金にしようとしてるんですのあなた!?」

ルビィ「ぅゅ……は、はぃ!」

夏美「まったく……何考えてんですのもう……」



ルビィ「……店長さん、いざ話すとちょっと怖い人かも……ぅゅ、ますます緊張するよぉ……あ、しまった……リボンつけっぱなしだったよ……こういうの、お姉ちゃんが『取っておきなさい』って言ってたよね……よいしょ」

10: 2025/01/05(日) 16:48:04 ID:???00
夏美「はぁ……さてと、それから!」

バンッ!

ルビィ「ひぃぅっ」

夏美「取ったもの、ここに出しなさい」

ルビィ「え、えっ!? な、何で取ったってわかるんですか!?」

夏美「そんなの知ってるのなんて当たり前ですの! 出しなさい!」

ルビィ「は、はい……」

夏美「リボン……なんでリボンなんか取りましたの!?」

ルビィ「え、えと、お姉ちゃんが……『こういうものは取るのがマナー』って言ってたから……」

夏美「どんなマナーですの!?」

11: 2025/01/05(日) 16:50:53 ID:???00
夏美「非常識の極みですの!!! というか、どんなお姉ちゃんなんですの一体……!」

ルビィ「え、えっ? 取らないほうが良かったんですか!?」

夏美「あったりまえですの! 取らなかったらこんな怒ってませんの!!!」

ルビィ「ご、ごめんなさい!」

スチャッ

夏美「なにつけてるんですのあなた! ふざけないで貰えます!?」

ルビィ「え、えぇっ!?」

夏美「え? じゃありませんの!」

ルビィ「ど、どっちなのぉ……?」

夏美「どっちなの、じゃありませんの! これは預かっておきますの!」

ルビィ「えぇ……?」

12: 2025/01/05(日) 16:53:27 ID:???00
夏美「はぁ……もう履歴書もあずかりましたし、取ったものは出しましたし、何だか色々変なこと教え込まれてるみたいですし……物凄く大目にみますの。
もう帰って構いませんの」

ルビィ「えぇっ!? ちょっと待ってください、お、お願いします!」

夏美「お願いって……いったい何をお願いするんですの?」

ルビィ「ぅ、ぅゅ……そ、その、私! 頑張りだけは誰にも負けないです!」

夏美「えぇ? どういうことですの? 頑張りだけは負けない、って……」

13: 2025/01/05(日) 16:58:40 ID:???00
ルビィ「えぇと、だから、前に水族館でやった時も、部活動でも『ルビィはすっごい頑張ってますわね』って言われたりして評判だったんです!」

夏美「ん~? 意味がわかりませんの、頑張りが評判って!」

ルビィ「だから、えっと……どれだけ失敗しても、泣いても、ちゃんとやり遂げられるまで頑張ってチャレンジしたりしてきました!」

夏美「ウチにもそんな風にするつもりなんですの!?」

ルビィ「ぇっ」

夏美「そんな何回も何回もやりにくるつもりなんですの!?」

ルビィ「……ぅ、は、はぃ」

夏美「挑戦者とかそういうレベルじゃないですの……! もう帰りなさい! ウチに金輪際近付くんじゃありませんの!」

ルビィ「ま、待ってください! ここでやらせてください!」

夏美「嫌ですの! どこの世界にこんなのに好きにやらせるお店がありますの!?」

ルビィ「ぁ、あぁ、く、車で送ってくれる人がいるから交通費とかいらないです!」

夏美「当たり前ですの!! なんで交通費なんか出さなきゃいけないんですの!」

14: 2025/01/05(日) 17:00:59 ID:???00
ルビィ「ま、毎日ちゃんと頑張ってお仕事も覚えます! 1週間経ったあとでも頑張ります!」

夏美「1日だって来て欲しくありませんの!」

ルビィ「じゃ、じゃあ1ヶ月でも1年でも来ます!」

夏美「何増やしてんですの!? 帰りなさい!」

ルビィ「ぁ、あぁそうだ! 実はバイクの免許も持ってるんです!」

夏美「何逃走手段のアピール始めてんですの!? 帰りなさーい!!!」

15: 2025/01/05(日) 17:04:35 ID:???00
ルビィ「お願いします! 私、どうしても皆とアルバイト頑張りたいんです! お姉ちゃんにも、皆のためにも力になりたいから! 泣き虫だけど……頑張りたいんです! それに、前にこのお店に来たとき、店員さんの接客が丁寧で、商品もすっごく良い物だったから、このお店が大好きになったんです!」

夏美「そんなの大好きになったお店にやることじゃありませんの! どこが大好きな人なんですの!」

ルビィ「えぇと、あぁ! そ、そう! 今日着てるコートとか、この靴とかもこのお店のものなんです!」

夏美「ふっざけんじゃないですの! 返しなさい!」

ルビィ「ぴっ、ぴぎゃぁっ!? な、なんで!?」

16: 2025/01/05(日) 17:07:21 ID:???00
夏美「ウチのお店が大好きなんでしょう?」

ルビィ「ぅ、ぅゅ……そりゃ大好きですけど……」

夏美「だったら大好きなうちのお店のために脱いで返しなさいですの!」

ルビィ「ぴぎゃあっ! いや、ちょ、ちょっと待って……!」

17: 2025/01/05(日) 17:08:00 ID:???00
冬毬「……そろそろ、姉者も面接を終えたでしょうか。
私も万引き犯への対応を終えましたし……姉者ー?」

ガチャッ

夏美「好きなんでしょう!?」

ルビィ「ぴぎっ、だ、大好きです!」

夏美「好きだったらさっさと脱ぐんですの!」

冬毬「い、いったい私の部屋で何をやってるんですか!? 姉者ーっ!」

おしまい

引用: 【SS】【星×水】ルビィ「アルバイトの面接」