94: 2009/04/14(火) 02:53:53 ID:DHvDP/zs
「なぁ、ルッキーニ。空は好きか?」
高い高い大空の下。
青い青い大空の下。
ポカポカの陽気とぬくぬくの陽射し。
ゴ口リと寝転がっている草むらからは、陽射しを取り込んだ土の香りがほのかに漂う。
「んーっとね……飛ぶのは好きだよ。気持ちいいもん」
耳元で何かが動いた様な気配と共に、ルッキーニの声が届く。
大の字に身を地面に預けて倒れている私とルッキーニ。
私達は非番ついでに散歩に行こう、と基地から少し離れた草原にいた。
海から吹く潮風がなだらかな丘を柔らかに駆け登る。
「……そっか」
シャーリーは、ルッキーニの答えにポツリと返す。
特に意味のない気安いやりとり。
マッタリとお互い寝転がり、時折思った事を口にする。
眠りに落ちる直前に感じる緩い心地よさ。
「んしょっ、……ね、シャーリー」
「ルッキーニ…?」
ふと真っ青な空に影が射した。
ルッキーニが頭の上から私を見下ろしているのだ。
「なんか音がするよ」
「……音…?」
ゴ口リと寝返りをうち身体を180度回転させる。
俯せになった私の前でルッキーニは再び寝転がると、地面に耳をつけ、目を閉じた。
そして、そのまま何かを聴き入っている様にピクリとも動かなくなった。
なんだろう、と私も同じ様に耳を地面に当てた。
すると、確かにソレは聞こえた。
……………。
聞いたことのある様な、聞いたこともないような不思議な音。
聞いていると、何故か非常に心地良い感覚を覚えた。
ゆったりと、けれども決して途切れる事のないその音。
「……ああ、そっか」
「……シャーリー?」
私はふとその音の正体に気が付いた。
知らないハズなんてなかった。
そう、それはなんてことない……
「ルッキーニ、あっちに行ってみよう」
「……うん」
それは地面を流れる血潮の音。
私の隣を歩いていたルッキーニが何かを見つけたのか、突然走り出した。
キラキラと大きな目を輝かせて、ルッキーニが大きく手を振っている。
「シャ、シャーリーッ!水が流れてるよ!ちっちゃい川があるよーっ!」
「おー、よく見つけたな。凄いぞ、ルッキーニ」
私達の目の前には、幅が2,30㎝もない小さな小ささ小河が流れていた。
草花の間を擦り抜ける様に流れ行く一筋の小河。
水辺だとやはり生える植物も異なるのか、先程の草原とはまた違った、彩り豊かで華々しい景色が広がっている。
高い高い大空の下。
青い青い大空の下。
ポカポカの陽気とぬくぬくの陽射し。
ゴ口リと寝転がっている草むらからは、陽射しを取り込んだ土の香りがほのかに漂う。
「んーっとね……飛ぶのは好きだよ。気持ちいいもん」
耳元で何かが動いた様な気配と共に、ルッキーニの声が届く。
大の字に身を地面に預けて倒れている私とルッキーニ。
私達は非番ついでに散歩に行こう、と基地から少し離れた草原にいた。
海から吹く潮風がなだらかな丘を柔らかに駆け登る。
「……そっか」
シャーリーは、ルッキーニの答えにポツリと返す。
特に意味のない気安いやりとり。
マッタリとお互い寝転がり、時折思った事を口にする。
眠りに落ちる直前に感じる緩い心地よさ。
「んしょっ、……ね、シャーリー」
「ルッキーニ…?」
ふと真っ青な空に影が射した。
ルッキーニが頭の上から私を見下ろしているのだ。
「なんか音がするよ」
「……音…?」
ゴ口リと寝返りをうち身体を180度回転させる。
俯せになった私の前でルッキーニは再び寝転がると、地面に耳をつけ、目を閉じた。
そして、そのまま何かを聴き入っている様にピクリとも動かなくなった。
なんだろう、と私も同じ様に耳を地面に当てた。
すると、確かにソレは聞こえた。
……………。
聞いたことのある様な、聞いたこともないような不思議な音。
聞いていると、何故か非常に心地良い感覚を覚えた。
ゆったりと、けれども決して途切れる事のないその音。
「……ああ、そっか」
「……シャーリー?」
私はふとその音の正体に気が付いた。
知らないハズなんてなかった。
そう、それはなんてことない……
「ルッキーニ、あっちに行ってみよう」
「……うん」
それは地面を流れる血潮の音。
私の隣を歩いていたルッキーニが何かを見つけたのか、突然走り出した。
キラキラと大きな目を輝かせて、ルッキーニが大きく手を振っている。
「シャ、シャーリーッ!水が流れてるよ!ちっちゃい川があるよーっ!」
「おー、よく見つけたな。凄いぞ、ルッキーニ」
私達の目の前には、幅が2,30㎝もない小さな小ささ小河が流れていた。
草花の間を擦り抜ける様に流れ行く一筋の小河。
水辺だとやはり生える植物も異なるのか、先程の草原とはまた違った、彩り豊かで華々しい景色が広がっている。
95: 2009/04/14(火) 02:54:18 ID:DHvDP/zs
今まで見た事のない様な鮮やかな花々。
それは小河を挟んで向かい側により多くの種類が見られた。
「…………」
「…………」
しばらくその景色に魅入る私とルッキーニ。
そよ風は優しく私達の頬を撫で、甘い香りを運んで鼻をくすぐる。
一歩。
そう、一歩足を踏み出せば、この小さな小河を越え、彩り鮮やかなそのお花畑を堪能出来る。
それなのに
「……シャーリー…」
「…………ああ……」
私達はどうしてもその一歩を踏み出せずにいる。
何故かは分からない。
ただ、分かっている事と言えば、五感が呼び掛けるのだ。
ここから先に行くのはまだ早い、と。
理由なんて分からない。
どうして、なんて考えるのも面倒だ。
私はこんな景色を見れているだけで十分だと思った。
「……うー、ストライカーあったら空から見れるのにー」
そう零すルッキーニを見ると、ぴょんぴょんと跳びはねている。
確かにルッキーニの身長だと見える範囲も狭まるからな。
「ルッキーニ、おいで」
「うに?何、シャーリー?」
「肩車してあげる」
しばらく私が言った事の意味が良く伝わらなかったのか、二度三度と瞬きをした。
そして次第に大きな目を更に丸くして、満面の笑みをこぼす。
ああ…なんてーか、至福。
「よっ、と…どうだ、ルッキーニ」
「わ、わわわっ……ぁ…」
ぴょこん、と私の肩に跨がったルッキーニを乗せて立ち上がる。
一応、肩車なんてルッキーニに初めてしてやるし、ルッキーニもバランスを取るのが難しいのか、私の頭を抱えて右に左に、とゆらゆら揺れた。
けれども、それも最初だけ。
小さく漏らした声を聞いた後は、徐々に頭を締め付ける様にしがみついていた手が、ゆるゆると解かれる。
きっとルッキーニは今、くりくりの目をいっぱいに広げて、私にも見えないより遠い景色を見ている。
私が見ている訳じゃないけど、それでも私も嬉しくなってくる。
こっそりと見上げたルッキーニは、両の手を大きく広げ、キラキラと目を輝かせていた。
ふふ、と笑いが込み上げた。
きっとルッキーニはすっごい景色を見ているのだろう。
なら私も、今見えるこの鮮やかな景色をより鮮明に記憶しよう。
私達はそうして、小さな小さな小河の前で、飽くる事なくお花畑を眺め続けていた。
それは小河を挟んで向かい側により多くの種類が見られた。
「…………」
「…………」
しばらくその景色に魅入る私とルッキーニ。
そよ風は優しく私達の頬を撫で、甘い香りを運んで鼻をくすぐる。
一歩。
そう、一歩足を踏み出せば、この小さな小河を越え、彩り鮮やかなそのお花畑を堪能出来る。
それなのに
「……シャーリー…」
「…………ああ……」
私達はどうしてもその一歩を踏み出せずにいる。
何故かは分からない。
ただ、分かっている事と言えば、五感が呼び掛けるのだ。
ここから先に行くのはまだ早い、と。
理由なんて分からない。
どうして、なんて考えるのも面倒だ。
私はこんな景色を見れているだけで十分だと思った。
「……うー、ストライカーあったら空から見れるのにー」
そう零すルッキーニを見ると、ぴょんぴょんと跳びはねている。
確かにルッキーニの身長だと見える範囲も狭まるからな。
「ルッキーニ、おいで」
「うに?何、シャーリー?」
「肩車してあげる」
しばらく私が言った事の意味が良く伝わらなかったのか、二度三度と瞬きをした。
そして次第に大きな目を更に丸くして、満面の笑みをこぼす。
ああ…なんてーか、至福。
「よっ、と…どうだ、ルッキーニ」
「わ、わわわっ……ぁ…」
ぴょこん、と私の肩に跨がったルッキーニを乗せて立ち上がる。
一応、肩車なんてルッキーニに初めてしてやるし、ルッキーニもバランスを取るのが難しいのか、私の頭を抱えて右に左に、とゆらゆら揺れた。
けれども、それも最初だけ。
小さく漏らした声を聞いた後は、徐々に頭を締め付ける様にしがみついていた手が、ゆるゆると解かれる。
きっとルッキーニは今、くりくりの目をいっぱいに広げて、私にも見えないより遠い景色を見ている。
私が見ている訳じゃないけど、それでも私も嬉しくなってくる。
こっそりと見上げたルッキーニは、両の手を大きく広げ、キラキラと目を輝かせていた。
ふふ、と笑いが込み上げた。
きっとルッキーニはすっごい景色を見ているのだろう。
なら私も、今見えるこの鮮やかな景色をより鮮明に記憶しよう。
私達はそうして、小さな小さな小河の前で、飽くる事なくお花畑を眺め続けていた。
96: 2009/04/14(火) 02:54:56 ID:DHvDP/zs
◇
「………リー……シャーリー…!!」
「…んー……どーしたー…ルッキー「シャーリーッ!!」…へ!?」
どすん、と身体にお馴染みの衝撃が走る。
見れば、お腹辺りに抱き着くルッキーニの姿。
なんだかよく分からないけれど、私に抱き着いて泣いているルッキーニの頭をぽんぽんと撫でてやる。
「まったく……何をやってるんだ、リベリアン」
「……あれ、堅物…?」
声のした方を向くと、入口のドアに寄り掛かっていたバルクホルンを見つけた。
その時、私は初めて自分が部屋の中にいる事に気付いた。
「あ、あれ……私、さっきまでルッキーニと花畑を……」
飲め、とベッド横に移動してきたバルクホルンに水を渡された。
……何故か、水が凄まじく美味しいものに感じた。
そんな私の様子を見てか、ため息を吐きながら頭を抱えたバルクホルンが経緯を説明してくれた。
「…………え、と…マジで?」
「ああ。お前は基地近くの草原でグースカ昼寝をして熱中症にかかった。そして軽い脱水症状になっていた所をルッキーニが発見。医務室に放り込んで今に至る」
な、なんだそれ。
じゃ、さっきまでのが…全部夢!?
呆然としている私に、バルクホルンが肩を竦めて一枚の写真を寄越してくれた。
そこには、私の肩車に乗っているルッキーニと私の姿が写されていた。
ルッキーニは両手を大きく広げて満面の笑みを浮かべている。
その下で私が視線を少し上げてルッキーニを見ながら微笑んでいた。
手前には色鮮やかなあの花々。
斜め下から撮ったのか背景には真っ青な空が広がっていた。
紛れもなくさっきまで見ていたお花畑と私達。
よく撮れてるなぁ、と関心したのも程々に、ふとした疑問が浮かび上がる。
「………リー……シャーリー…!!」
「…んー……どーしたー…ルッキー「シャーリーッ!!」…へ!?」
どすん、と身体にお馴染みの衝撃が走る。
見れば、お腹辺りに抱き着くルッキーニの姿。
なんだかよく分からないけれど、私に抱き着いて泣いているルッキーニの頭をぽんぽんと撫でてやる。
「まったく……何をやってるんだ、リベリアン」
「……あれ、堅物…?」
声のした方を向くと、入口のドアに寄り掛かっていたバルクホルンを見つけた。
その時、私は初めて自分が部屋の中にいる事に気付いた。
「あ、あれ……私、さっきまでルッキーニと花畑を……」
飲め、とベッド横に移動してきたバルクホルンに水を渡された。
……何故か、水が凄まじく美味しいものに感じた。
そんな私の様子を見てか、ため息を吐きながら頭を抱えたバルクホルンが経緯を説明してくれた。
「…………え、と…マジで?」
「ああ。お前は基地近くの草原でグースカ昼寝をして熱中症にかかった。そして軽い脱水症状になっていた所をルッキーニが発見。医務室に放り込んで今に至る」
な、なんだそれ。
じゃ、さっきまでのが…全部夢!?
呆然としている私に、バルクホルンが肩を竦めて一枚の写真を寄越してくれた。
そこには、私の肩車に乗っているルッキーニと私の姿が写されていた。
ルッキーニは両手を大きく広げて満面の笑みを浮かべている。
その下で私が視線を少し上げてルッキーニを見ながら微笑んでいた。
手前には色鮮やかなあの花々。
斜め下から撮ったのか背景には真っ青な空が広がっていた。
紛れもなくさっきまで見ていたお花畑と私達。
よく撮れてるなぁ、と関心したのも程々に、ふとした疑問が浮かび上がる。
97: 2009/04/14(火) 02:56:12 ID:DHvDP/zs
………あれ、でもさっきのって夢だったんじゃ…?
しかもこのアングルって……
そんな事を私が考えていると知ってか知らずか、バルクホルンはフ、と笑ってから言い切った。
「私は501の写真係だからな」
……そういう問題なのか…?
ま、綺麗に撮れてるからいいよな。
しばらく寝ておけ、と部屋を去るバルクホルンの後ろ姿を見送った後、私は急激な眠気に襲われた。
ベッド横で泣き疲れて眠っているルッキーニの髪を軽く撫でてやる。
疲れていた様なルッキーニの顔がにへら、と緩んだ。
ま、こんな日もあるのかな。
次の休みにはあのお花畑でもルッキーニと探そうか。
そんな事を考えながら、とりあえず私は昼寝を満喫することにした。
おわーり
しかもこのアングルって……
そんな事を私が考えていると知ってか知らずか、バルクホルンはフ、と笑ってから言い切った。
「私は501の写真係だからな」
……そういう問題なのか…?
ま、綺麗に撮れてるからいいよな。
しばらく寝ておけ、と部屋を去るバルクホルンの後ろ姿を見送った後、私は急激な眠気に襲われた。
ベッド横で泣き疲れて眠っているルッキーニの髪を軽く撫でてやる。
疲れていた様なルッキーニの顔がにへら、と緩んだ。
ま、こんな日もあるのかな。
次の休みにはあのお花畑でもルッキーニと探そうか。
そんな事を考えながら、とりあえず私は昼寝を満喫することにした。
おわーり
98: 2009/04/14(火) 02:59:16 ID:DHvDP/zs
以上です
実際はどっかのくさむらの中に小河があった、ってだけの夢だったんですけど…
さぁて、なんか沢山投下されてるし、今から見てきまーす
では
実際はどっかのくさむらの中に小河があった、ってだけの夢だったんですけど…
さぁて、なんか沢山投下されてるし、今から見てきまーす
では
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