325: 2009/04/21(火) 18:21:16 ID:yfprWqTk
ワンワンわんわん
ニャーニャーにゃーにゃー


以前に比べて基地に響くようになった動物達の鳴き声。
ウィッチ達の魔力は精神状態に大きく影響する、それは使い魔も同じだ。
使い魔を外に出して行ったお茶会以来、使い魔同士にも友情や絆が生まれたようで
交流を持たせる事で部隊の魔力はより強力になり、安定していった。
501隊の隊員一人一人がなんとなくその事に気付いており、目の届く範囲で
使い魔を外に出して遊ばせる事が増えていた。
 

326: 2009/04/21(火) 18:22:39 ID:yfprWqTk



今日は4人で食堂に使い魔を介抱する。昼はやっぱり少し眠いけど、
使い魔達が楽しそうにしている様子を見るとなんだか私まで楽しくなってくる。


「トゥルーデもさー、この子みたいに私に優しくできないのー?」
「今以上お前を甘やかしてどうする!それよりもお前は朝自力で起きる努力をしろ!」


ハルトマンさんの使い魔のダックスフントはバルクホルンさんの使い魔の
ジャーマンポインターのお腹に寝そべってごろごろとリラックスしている。
その子の頭に顎を乗せてもふもふと頭を動かすジャーマンポインターの姿はとても猟犬とは思えない。
私の使い魔の黒猫はのんびりあくび。使い魔は3匹それぞれ思い思いに過ごしている…そう、3匹だ。


「エイラ…お前の使い魔は大丈夫なのか?他の使い魔は外に出ているのに
一人だけ出ていないのではストレスが溜まってお前にも影響が出るのではないか?」


バルクホルンさんの言う通り、エイラだけ使い魔を出していない。
お茶会の日から使い魔の黒狐をみないからエイラに聞いてみたけど
部屋で出してるからって言って私の前では見せてくれなかった。


「あいつサーニャに噛み付きやがったからナ、人前にはしばらく出してやらねーヨ。
尻尾の毛むしってやったからか大人しくしてるしナ」
「うっわエイラひっど!!そんなんでよくうまくやってるね?」
「扶桑マジック油揚げが効いてるから大丈夫、なんか妙に気に入ったらしーんだよナ」
「最近エイラの部屋…油揚げあるもんね」


エイラの使い魔の話題になってからなぜか私の使い魔がエイラの膝にうつって
お腹に鼻をあてて寄り添っている。


「そういえば私の部屋にこの子が好きなおやつあったような…トゥルーデ、探すの手伝って」
「それはいつの話だ!?あの部屋に食べ物を置くなと言ってるだろう!
以前ポテトが腐ったのを忘れたのか!?」


バルクホルンさんは怒りながらもハルトマンさんと使い魔を連れて部屋に向かっていった。
食堂にいる理由もなくなり、私達もエイラの部屋に戻ることにした。
 
 


「サーニャの使い魔は毛並みが綺麗だナ、なんかずっと撫でてたくなるよ」


部屋のベットに寝転び、今だ離れない私の使い魔の体を撫でながらエイラが呟く。
黒猫は撫でられたままエイラの胸やお腹辺りに擦り寄っている


「ねぇ、エイラの使い魔も出してあげたら?
中にいるままじゃ毛並みも悪くなっちゃうわ」
「ダーメ、サーニャの側には出してやらないんだナ。…んー、くすぐったいぞお前ー」


黒猫に頬を舐められてエイラは楽しそう、キスまでしてる。
…私にはそんな事してくれないのに、ばか。

327: 2009/04/21(火) 18:23:21 ID:yfprWqTk
「へへっ、使い魔に懐かれるのも悪くないナ!ちょっと小さいけど暖かいし
抱いて寝たら気持ちいいだろーナ」
「…抱いて寝るんならその子じゃなくたって…」
「ん?どうしたサーニャ」


言葉にしたつもりがないのに口から出ていたみたい、しっかり聞こえてなかったみたいで
エイラは凄く幸せそうな顔を向けてくる…なんか文句の一つでも言ってやりたくなるなぁ
こんな顔にさせてるのが自分の使い魔だって事もなんとなく悔しい


「にしてもこいつはサーニャと遊ばないのカ?なんか私のお腹にばっかり寄ってくるぞ」
「そういえば…」


私の使い魔もエイラの使い魔と同じ位人見知りだ、いくらエイラといっても
そんなに会ったことがない人にこんなに懐いた事はない。
なんでだろう、エイラは何か猫が好きな物でも持ってるのかな?
でも、リーネさんやペリーヌさんの使い魔がエイラに懐いてるのは見たことがない。
猫じゃなくて私の使い魔が好きな物…


「……あ」


あった。
私の使い魔が好きな物をエイラは持っている。あくまで私の予想だけど、それ以外思い付かない


「なんだサーニャ?何か思いついたのカ?」
「エイラ、やっぱり使い魔を出してあげて」
「だ、だからダメだってバ!またサーニャが怪我するかラ」
「私は大丈夫よ。ね、お願いエイラ」


あーとかうーとか変な唸り声をあげながら、お約束の今日だけだかんナ!って言ってくれた
エイラが目を閉じると、体が淡く光ってベットに使い魔が現れた。


「今度サーニャに噛み付いたら二度と出してやんないから…ナ…?」


ベットに現れた黒狐はまたぴくりとも動かず、黒猫を見つめていた。
その黒猫はエイラの膝からあっさり降りて黒狐に近づく、後退されてまた近づく、を繰り返した。

ベットの端まで追い詰められた黒狐はさっきのエイラのように首元に擦り寄られ
顔を舐められるたびに尻尾をびーんって逆立たせてガチガチに硬直していた。


「エイラじゃなくて、使い魔に会いたくて懐いてたんだよ」
「なんだヨー、私じゃなかったのかヨ」


わざと意地悪に言ったのを真に受けてエイラはしょぼんとしてしまった。
黒猫はもうエイラの側にいないから、今エイラを一人占め出来るのは私だけ…
自分の使い魔でも、エイラだけはダメだからね


「エイラ…」
「!?ササササーニャ!?」


俯くエイラの首に手を回してぎゅっと抱き着く。
焦ったエイラの声が耳元で聞こえて、速くなった鼓動を体全体で感じる。
あったかい…しあわせぇ…


「エイラ、さっきの私の使い魔みたいにぎゅってして頭撫でて…」
「なっ!!ム、ムリだナ!」
「…じゃあキス」
「もももっとムリだナ!!」


使い魔にはしてあげてたのに私にはしてくれないんだ。
私よりも猫がいいんだ、なんて考えると胸の奥がもやもやしてくるので考えない事にする。


「わかった、諦めるね」
「サササーニャ?じゃあ離れて…?」


離れる前にふっとエイラの肩越しに使い魔達が見えた。
黒猫は黒狐にもたれ掛かってお昼寝をしていた。
黒狐は落ち着きなく尻尾を振ってそわそわしている。


「さっきのは諦める、だからお昼寝しよ」
「おおおおう、そそその位ならいいゾ!」


そのまま横になり、私はエイラに寄り添った。エイラの体がびくってしたのが伝わる。
申し訳ないけど、使い魔ができないのにエイラが私の事抱きしめて寝てくれるなんて思えない。


だから私達は大好きな人に寄り添い、夢の中でもこの人に会いたいと願いながら
1番幸せな暖かさに包まれて瞳を閉じるんだよ?
 


fin

328: 2009/04/21(火) 18:24:44 ID:yfprWqTk
おしまいです。
使い魔に関しては今回も「こうだったらいいな」って想像ばかりです、すみません。
前回のも含め、読んでくださった方ありがとうございました。
P/zSb9mc

引用: ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所2