384: 2009/04/23(木) 20:16:10 ID:69rtFj7s
「あら?」


昨夜の雨もあがり、ゆっくりと日が出て来たお昼頃。
報告書の山を半分片付けた私は一息つこうと食堂に向かい、そこでここにはいないはずの隊員を見つけた。
不思議な色合いの銀髪にラフなパーカー姿のその子はしきりに周りを気にしてきょろきょろしながら
厨房に向かって一生懸命何かを作っていた。


「何をしてるの?エイラさん」
「い゙っ!!ミ…ミーナ隊長」
「そんなに大袈裟に驚かなくても…あら、それは?」
「あ…これハ…は、腹減ったナーって思ってさ!」

386: 2009/04/23(木) 20:17:50 ID:69rtFj7s
「…仕方ないわね。哨戒の任務に支障が出なければ、今回は多めに見てあげます」
「ほ、ホントか!?」
「でーも、美緒やトゥルーデには見つからないようにね?
私もあの二人に怒られるのは嫌よ?」
「ウン、ウン!ありがとう、ミーナ隊長!」


エイラさんは嬉しそうに笑った。イタズラする時ともサーニャさんといる時とも違う
子供みたいな笑顔…こんな風に見えてしまうから宮藤さんにお母さんなんて言われちゃうのかしらね


「じゃあこれ部屋に持って行くナ!」
「ちょっと待って、エイラさん」


私が隊のお母さんなら、頑張ってる皆には甘えてほしい。特に普段を気を張りがちな子には
私は食事がのったトレイを持って首を傾げるエイラさんに近づき、ゆっくり体を引き寄せた


「エ!?た、隊長?ナニ…?」
「あなたがサーニャさんを心配なように、私もあなたが心配なのよ
お願いだから無理だけはしないで…誰かに甘えたっていいのよ?」
「……ウン」


エイラさんから体を離し、額に軽くキスをしてあげる


「サーニャさんに食事をさせたら休む事、いいわね?お休みのキスはしたわよ?」
「わかったヨー。ミヤフジも言ってたケド最近隊長はお母さんみたいだナ」
「フフフ、お母さんも悪くないわよ。
あと、自分の部屋とはいえ病人が寝てるベットでは寝ないこと」
「なんでサーニャが私の部屋で寝てるって知ってるんだヨ!」


顔を真っ赤にしたエイラさんが後ずさりしながら大声で聞いてくる。
半分ヤマをはったんだけど当たりだったみたい


「机がないサーニャさんの部屋に食べ物を持っていくのはおかしいと思ったのよ
エイラさんの部屋ならいろいろ都合がいいのよね?」
「ウゥ…隊長の魔法はホント人の心を読むんじゃないか?
怖いからもう行くヨ」


今度こそエイラさんは部屋に向かった


「隊長とお母さんの両方をこなすのは一苦労ね、また美緒に甘いって怒られるわ…あら?」


ふとさっきまでエイラさんがいた厨房を見ると、スモークサーモンのサンドイッチがお皿にのって一つ残っていた。
…これで残りの報告書も頑張れるわね
エイラさんが好む少し苦目のコーヒーをいれ、私も執務室に向かった。


fin

引用: ストライクウィッチーズ避難所2