花帆「でも活はカルピスよりずっとすごいんですよ？」

梢「あら、どうすごいの？」

花帆「活はとっても不思議なお水で、飲むと体が元気になるんです！」

梢「ええと……つまり花帆はお水をお水で割って飲んでいる、ということかしら……？」

花帆「活をただのお水だと思っちゃダメですよ！ 梢センパイも一口飲んでみてください！」

梢「い、いいの？」

花帆「はい！」

梢「ではいただくわね……」ｺﾞｸｯ

梢（かかか間接キッスなのだけれど!!）

花帆「どうですか？ なにか感じませんか？」

梢「そうね……とても幸せな気持ちになったわ……」

花帆「ですよね！ 大好きな梢センパイに活を紹介できて嬉しいです！」

梢「ふふっ、私も花帆が大好きよ」

ガチャッ

花帆「あっ！ 吟子ちゃん！ 吟子ちゃんも飲む？ 活！」

吟子「えっ、いきなりなに……？」

花帆「これは不思議なお水なんだよ！ 飲んだらわかるから！ ね？」

吟子「えっと……梢先輩、これは……？」

梢「花帆の言う通り、吟子さんも飲んだらきっとわかるわ」

吟子「はあ……じゃあ、一口だけ……」ｺﾞｸｯ

花帆「どうどう!?」

吟子「その……」

吟子（どうしよう、普通のお水としか思えない……）

花帆「活はね、あたしが生まれる前から飲み続けられてる長野の伝統的なお水なんだよ！」

吟子「伝統……そう言われると、なんだかすごいお水のような気が……」

花帆「でしょ？ 活は本当にすごいんだよ！ フラワー！」

ガチャッ

綴理「やほー」

さやか「花帆さん、なんだかご機嫌ですね」

花帆「さやかちゃんたちも飲もうよ！ 活！」

小鈴「活ってなんですか？」

花帆「飲めばわかるよ～。コップ用意するね！」

～間～

花帆「特別に濃いめの5倍に薄めました……どうぞ！」

さやか「いただきます……」ｺﾞｸｯ

さやか（うーん……これはただのお水では……？）

小鈴「いただきます！」ｺﾞｸｯ

小鈴（……水道水の味がする！）

綴理「いただきまーす」ｺﾞｸｯ

綴理（……はっ！）

綴理「かほ……これ、なんだか波動を感じる」

花帆「おおっ、わかりますか綴理センパイ……！」

さやか「言われてみるとそんな気がしますね」

小鈴「徒町もなにかを感じてきました！」

花帆「ふんふん！ だよねだよね！ みらぱの3人にも早く飲んでほしいなぁ～」

ガチャッ

花帆「あっ、噂をすれば！ ちょっと待ってて！」

るりめぐひめ「？」

～間～

花帆「ささ、召し上がれ！」

瑠璃乃「よくわかんないけど、いただきます！」ｺﾞｸｯ

姫芽「アタシもいただきまーす」ｺﾞｸｯ

慈「いただきます♡」ｺﾞｸｯ

花帆「どうかな!? これはね、すっごいお水なんだよ！」

瑠璃乃「おおぉ……たしかになんかすげー……」

姫芽「なるほどぉ……るりちゃんせんぱいが言うなら間違いないですね～」

慈（あれ……なんにも感じてないのって私だけ……？）

花帆「慈センパイはどうですか!?」

慈「えっと……ごめん、よくわかんない……」

梢「慈……そんなはずないでしょう？」

さやか「綴理先輩も波動を感じると仰っていますよ？」

慈「はどー……？」

花帆「なら原液で飲んでみますか？」

慈「う、うん……」

花帆「普通は20倍に薄めても効果があるんですけどね」ｺﾎﾟｺﾎﾟ

慈「へぇー……」

花帆「はい、飲んでみてください！」

慈「い、いただきまーす……」ｺﾞｸｯ

慈「…………」

慈（ヤバい、さっきとなにも変わんない……）

花帆「どうですか？ 原液なら慈センパイでもわかるんじゃないですか？」

慈「あー……うん。これが波動ね。わかるわかる！」

花帆「よかったです！ 実はあたしの病気って、この活を飲んだおかげで治ったんですよ！」

慈「うん？」

梢「そうだったのね……なら活さんのおかげで私は花帆と巡り合えたと言っても過言ではないわね」

花帆「そうですね！」

綴理「かつはかほの命の恩人なんだ……ありがとう、かつ」

さやか「人ではありませんが……感謝しないといけませんね」

瑠璃乃「そんなすごい水、ルリたちタダで飲んでよかったのかな……」

花帆「いつもお世話になってるからね！ 全然気にしないで！」

姫芽「ちなみに活っていくらぐらいするんですか？」

花帆「2000円だよ！」

小鈴「2リットルで2000円……納得のお値段です！」

花帆「2リットルじゃないよ小鈴ちゃん！」

小鈴「えっ！」

慈「まあ2000円のお水ってあんま見たことないし……1ケースでだよね？」

花帆「なに言ってるんですか慈センパイ。このボトル1本で2000円ですよ！」

慈「500mlで2000円!? さすがに私でもそれは高いってわかるよ！」

吟子「伝統あるお水ならこれぐらい普通じゃないかと」

瑠璃乃「やっぱめぐちゃんの金銭感覚は心配だなー……」

慈「あれっ、これ私がおかしいの？」

姫芽「そんなところも可愛いですよ、めぐちゃんせんぱい～」

花帆「あとねあとね！ 活は飲むだけじゃあないんだよ！」

さやか「他にも使い方があるんですか？」

花帆「うん！ たとえばね、あたしは年越しそばをそばつゆじゃなくて活につけて食べてるよ！」

綴理「おー、美味しそー」

慈「いやそれ味しないでしょ……」

花帆「あとはね、お肌につけるとニキビとかできないし――」

花帆「お花にあげると元気になってずっと枯れなくなるんだ！」

小鈴「わぁ、なににでも使えるんですね！」

梢「さすが活さんね」

慈「えぇ……」

姫芽「あっ、活ってTVCMもあるんですね」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

花帆「よく見つけたね！ せっかくだからみんなで見ようよ！」

さやか「いいですね」

姫芽「じゃあ再生しますね～」ﾎﾟﾁｯ

スマホ〈ﾃｰﾃｰﾃｰﾃｰﾃﾚﾃﾃｰ カッツ！ 3分間でわかる～ Oh! 強命水～ カッカッカッツ！ カッカッカッツ！ カッカッカッツ！ 活！ 活!! 活!!! ﾁｬﾗﾗｰﾝ〉

吟子「……いい歌」

綴理「これだけでかつのすごさが伝わってくるね」

花帆「ですよね！ 3分間って歌ってますけど、15秒でも十分わかっちゃいますよね！」

小鈴「徒町、この曲をライブでカバーしたいです！」

梢「いいわね、ぜひやりましょう」

慈「いや、やりたくないって……」

花帆「そうだ！ この間実家から活を送ってもらったばっかだから、みんなにお裾分けしちゃおっかな！」

瑠璃乃「いいの!?」

花帆「もちろん！ 寮に戻ったら配るからね！」

1週間後

花帆「みんなの活生活はどんな感じかな!?」

吟子「私は毎晩活を飲んでから寝てるけど、伝統を感じてよく眠れるかな」

瑠璃乃「ルリは活を飲むと一瞬で充電できるから、段ボールに入んなくなったよ！」

花帆「ふたりともしっかり活を感じてるね！ いいよいいよ～！」

慈「ちっともいくないね」

綴理「ボクはね、ブタメンに活を混ぜてるんだけど、なんだか優しい味になるんだ」

慈「それ水で薄まってるだけだよつづたん……」

梢「私は機械さんのご機嫌が悪いときに活さんをかけてあげているわ」

慈「壊れるから今すぐやめて！」

さやか「活を使うといつもより美味しく料理が作れるんです」

姫芽「アタシは活を飲んだあとにゲームすると、勝率がものすごいんですよ～」

慈「さやかちゃんも姫芽ちゃんも絶対気のせいだって……」

小鈴「徒町は、名字を活町に改名したいと思います！ ちぇすとー！」

慈「もう意味不明だね小鈴ちゃん……」

花帆「慈センパイも活の感想聞かせてください！」

慈「え……別にないけど……」

梢「慈、あなたねぇ……」

さやか「せっかく花帆さんから活をいただいたのに、それはないんじゃありませんか？」

慈「だってあれただの水じゃん……」

瑠璃乃「ただの水じゃないよめぐちゃん！ 不思議な水なんだよ！」

吟子「スクールアイドルして高みを目指すなら、活の素晴らしさを知ることは必要不可欠ですよ」

慈「誰が言ったのそんなこと」

小鈴「活町、活にお礼を言いたいです！」

姫芽「そうだねぇ、活への感謝をきちんと伝えたいよね」

綴理「なら行こう。かつのところまで」

慈「……どういうこと？」

花帆「よーし！ それじゃあ今から長野に行こう！」

慈「なんで!?」

梢「急いで支度をして駅に向かいましょう」

みんな「はーい！」

慈「ちょ……えー……？」

金沢駅前

花帆「みんな活は持ったかな!? いざ諏訪へ!!」

みんな「おー！」

信州人E「あっ！ あれ活じゃない？」

信州人F「ほんとだ！」

花帆「お姉さんたち、活を知ってるんですか？」

信州人E「そりゃ知ってるよ～。ねえ？」

信州人F「有名ですからねぇ」

慈「まじか」

信州人E「いや～初めて見たなぁ、活買ってる人」

信州人F「ねー、中身ただの水道水なのに」

花帆「えっ」

信州人E「蛇口ひねったらいくらでも出てくるもんねー」

信州人F「買いませんよね普通！」

信州人E「あはは、買わない買わない！」

信州人F「まさか金沢でこんな珍しいもん見られるなんて……こりゃピザ頼んでお祝いしないと！」

信州人E「おー、いいね～」

信州人たち「アッハッハッハッ……！」

梢「嘘よ……活さんがただの水道水だなんて……」

姫芽「アタシが勝つのは活のおかげなんじゃ……」

さやか「綴理先輩があんなに喜んでいたのに……」

吟子「伝統のお水が水道水なはず……」

瑠璃乃「充電が、切れてきた……」

綴理「ボクが感じた波動は、なんなの……」

小鈴「活町……かつ、まちは……」

花帆「あぁ……あたし、枯れちゃった……」

慈「うわ、なにこの今年もラブライブ！敗退したみたいな空気……」

みんな「…………」ｽﾞｰﾝ

慈「……こうならないように、みんな怪しいお水は買っちゃだめだぞ～？」

慈「めぐちゃんとの、や・く・そ・く♡ ん～まっ！」ﾁｭｯ

おしまい

お粗末さまでした。

いつのまにか共鳴と言わなくなった水

タイトルでもう草