1: 2014/04/22(火) 22:13:49 ID:XMYjb7OM

側近「魔王様を倒す旅に出かけてまいります」魔王「…は?」の続きです

あっちで半ば無理矢理くっ付けた側近と女騎士の子供がメインの話です

2: 2014/04/22(火) 22:16:20 ID:XMYjb7OM

――魔王城――


魔王「ふっふっふ…よくぞここまで辿り着いたな、二人の勇者よ」


勇兄「魔王!お前の悪事もここまでだ!」


勇妹「……覚悟」


魔王「ふん、貴様ら程度片手で十分じゃ」


勇兄「くらえー!」チャキッ


ガキンッ


勇兄「なっ!?」


魔王「これが勇者の力…他愛無いのぅ」

3: 2014/04/22(火) 22:17:50 ID:XMYjb7OM

勇兄「なら…!これで…どうだぁぁああ!」バチバチバチ!


勇妹「………えい」バチバチバチ!


魔王「ガハハハハ!この程度痒い痒い!ワシは昔から雷魔法を受けとるから、何もしなくても耐性があるのじゃ!」バリバリバリバリ!


勇兄「くそ…!」


魔王「どれ、少し反撃でもしてやるか」ビュオオオォォォォ!


勇兄「ぐああぁぁあああ!!」ズザァァァ


勇妹「お兄ちゃん!!」

4: 2014/04/22(火) 22:19:10 ID:XMYjb7OM

魔王「ちょ、ちょっと強すぎたか?軽めの風魔法にしといたんじゃが…」アセアセ


勇妹「………」ギロッ


魔王「」ビクッ


勇妹「よくもお兄ちゃんを………」ゴゴゴゴゴゴ


魔王「ゆ、勇妹よ!一旦落ち着くんじゃ!」


勇妹「ハアァァ!」ピッ!


魔王「うむ、父親譲りの見事な拘束魔法だ」ピタッ

5: 2014/04/22(火) 22:20:56 ID:XMYjb7OM

勇妹「……えい」グサッ


魔王「ぐはっ!ちょっ!?その勇者の剣はマズイって!割とガチでダメージが残るんじゃぞ!」


勇妹「お兄ちゃんを傷つける者は誰一人として生かしておけない……」グリグリ


魔王「ヤンデレモード発動!?そ、側近ーーー!!ヘルプミーーーー!」


ピッ!


勇妹「!?」ピタッ


側近「勇妹、それ以上は駄目ですよ」


勇妹「パパ…」

6: 2014/04/22(火) 22:22:30 ID:XMYjb7OM

側近「それは遊びの領域を超えてます。最早ただの暴力です」


勇妹「……ごめんなさい」シュン


側近「私に謝っても仕方ありませんよ」


勇妹「……魔王様、ごめんなさい。やりすぎました」


魔王「う、うむ…今度からは気をつけるんじゃぞ」ナデナデ


勇妹「……うん」


側近「仲直り出来ましたね。じゃあ勇妹は勇兄の回復をお願いします」


勇妹「わかった」タタタタタタッ

7: 2014/04/22(火) 22:24:01 ID:XMYjb7OM

側近「魔王様、娘が迷惑を掛けて本当にすみませんでした」ペコ


魔王「迷惑は掛かっておらんが…まったく、いらんとこまでお前に似おったな」


側近「そうですか?私は女騎士さん似だと思いますが…」


魔王「見た目はそうじゃが、ドSなとこがお前そっくりじゃ…いや、お前以上かもしれん」


側近「それは将来が楽しみですね」


魔王「ワシはまったく楽しみじゃないわい」


側近「そんなことより……意外と傷が深いですね」


魔王「おおっ、忘れておった!血がドバドバ出てるのぅ…意識も朦朧としてきたし……」フラフラ


側近「今僧侶さんを呼んできます。それまでご自分で応急処置しといてくださいね」スタスタ


魔王「移動系魔法を使えとは言わんがせめて走らんかい。主君のピンチじゃぞ」

14: 2014/04/23(水) 20:10:41 ID:ctmFTvkY

____________________


勇兄「…ぅ……」


勇妹「お兄ちゃん!」


勇兄「……顔が近い」


勇妹「………」


勇兄「……離れろよ」


勇妹「うん、わかった」スッ


勇兄「で、俺は何してたんだっけ?」


勇妹「……私とイチャイチャしてた」


魔王「平然と嘘をつくな。ワシらと勇者魔王ごっこして遊んでおったんじゃ」

15: 2014/04/23(水) 20:11:38 ID:ctmFTvkY

勇兄「そうか…俺、魔王の攻撃で気絶しちゃったんだった……俺って弱いね」


勇妹「そんなこと無い。お兄ちゃんは強い。お兄ちゃん大好き」


魔王「最後のはまったく関係ないぞ」


勇兄「ねぇ魔王、どうしたらお父さんや魔王みたいに強くなれるの?」


魔王「う~む…お前は剣術と雷魔法に長けてるから十分強いはずじゃが…」


勇兄「でも妹みたいに他の魔法は使えないし、剣術と雷魔法だって魔王には効いてなかったじゃん」


魔王「そりゃワシは最強じゃからのぅ!」ドヤッ


勇妹「じゃあこの剣をお兄ちゃんが持ってもう一回やればいい」つ勇者の剣


魔王「そ、それはやめておこうな?前に一度両腕を切り落とされたの覚えとるじゃろ?僧侶が居なかったら本当に危ないとこだったんじゃぞ」

16: 2014/04/23(水) 20:12:50 ID:ctmFTvkY

勇妹「ほら、お兄ちゃんは魔王様がビビるぐらい強い」


魔王「ビビってはおらんぞ!これ以上問題を起こして側近に怒られるのが怖いだけじゃ!」


勇妹(パパにはビビってるんだ…)


勇兄「でもそれは勇者の剣だからであって、俺の実力じゃないじゃん。実際に普通の剣じゃ何も出来なかったし…」シュン


魔王「それはさっきも言ったがワシが最強だからじゃ!」ドヤッ


勇妹「そう、魔王様はとても強い。魔王様に効かなくても他の魔物さん達には効く。試しに近くの魔物さんを連れてきて戦ってみれば証明できるはず」


魔王「こら、罪の無い魔物をイジメるんじゃない」


勇兄「……そうだ!前にお母さんが旅をしたことでより成長したって言ってた!」


魔王「ワシを倒すことが目的じゃったからより一層鍛錬をしたんじゃろうな。それに側近も一緒に鍛錬をしたらしいし」


勇兄「そういえば、その旅がキッカケでお父さんとお母さんは結婚したんだったね」

17: 2014/04/23(水) 20:13:38 ID:ctmFTvkY

勇妹「……行こう。今すぐ二人で旅立とう」


魔王「へ?」


勇兄「そうだな!よし、出発だー!」


魔王「待てぇぇいい!急すぎるわ!その行動力はホント父親そっくりじゃな!」


勇兄「そうだね、パンツとか持ってかないと」


魔王「そういうことじゃない!二人だけじゃ危険じゃろ!」


勇妹「大丈夫。私がお兄ちゃんを守る」


勇兄「何言ってんだよ!俺はお前のお兄ちゃんなんだぞ!俺がお前を守るに決まってんだろ!」


勇妹「……うん、守られる///」

18: 2014/04/23(水) 20:16:00 ID:ctmFTvkY

勇兄「じゃあパンツ持ってここに集合な!」


魔王「もっと必要な物がたくさんあるじゃろ!何故そこまでパンツにこだわるんじゃ!
……って、そこじゃない!まだ子供のお前らだけで旅なんて危険でさせられないんじゃ!それに考えてみろ、側近や女騎士が許すと思うか?」


____________________


女騎士「頑張るんだぞ、二人とも。お小遣い渡すけど無駄使いはしないようにな」


勇兄「うん!ありがとお母さん!」


魔王「認めたーー!むしろ背中を押したーー!何でそんなにあっさり認めたのだ!?心配じゃないのか!?」


女騎士「心配に決まってるだろ。だが、それ以上にこの子達が一生懸命成長しようとしてるのが嬉しいんだ。それが親というものさ。それに今年はアレが開催される年だしちょうどいいだろ?」

19: 2014/04/23(水) 20:18:31 ID:ctmFTvkY

魔王「た、確かにそうだが…二人というのはあまりにも危険じゃないか?」


女騎士「魔王は心配性だな…よし、お守りとしてこれをつけよう」ガシッ


スラりん「…へ?」


女騎士「二人を頼んだぞ、スラりん」


スラりん「嫌だよ!何で僕が行かないといけないの!?勇者か女騎士がついてってあげればいいじゃん!」


女騎士「それではこの子達の成長の妨げになるし、勇者は今も世界の治安を守る為に飛び回ってて旅をしてる暇などない。それにスラりんはこの子達と仲が良いだろ?」

20: 2014/04/23(水) 20:19:21 ID:ctmFTvkY

スラりん「仲は良いけどさ…」チラッ


勇兄「やったぁー!スラりんも一緒だー!」


勇妹(せっかくお兄ちゃんと二人きりだったのに…)ジー


スラりん(勇妹だけめっちゃ嫌がってんだもん!)ビクビク


スラりん「ま、魔王や僧侶も一緒に行くってのはどうかな?(僕一人だけじゃ耐えられない!助けて!)」


魔王「それはいい考え…」ピタッ


勇妹「………」ジー


魔王「……城を空けると側近に怒られるから無理じゃ。僧侶も側近と一緒に治安維持の方に勤しんでるようだし…」シュン


スラりん(空気読んだー!魔王も成長したんだね!)

21: 2014/04/23(水) 20:20:14 ID:ctmFTvkY

勇兄「じゃあお母さん、行ってくるね!」フリフリ


勇妹「行ってきます、ママ」フリフリ


スラりん「はぁ……しょうがないから行ってくるよ…」ピョン ピョン


女騎士「三人とも、怪我には気をつけるんだぞー」フリフリ


魔王「ワシもそこまで見送ってくる」スタスタ


女騎士「ああ、頼んだぞ…………よし、これで久しぶりに勇者と二人きりになれる///」

22: 2014/04/23(水) 20:21:28 ID:ctmFTvkY

____________________



勇兄「じゃあ魔王を倒す旅に行ってくるね!」


魔王「気をつけるんじゃぞー!」フリフリ



スタスタスタ



魔王「…やっぱり心配じゃな………そうだ!」ピコーン!

23: 2014/04/23(水) 20:22:48 ID:ctmFTvkY

スラりん「…で、どこに向かう予定なの?」


勇兄「とりあえずお父さん達と同じ道を辿ろうと思ってるけど…最初はスラりんの故郷でもある『始まりの町』だっけ?」


スラりん「うん。でもこっからだと始まりの町が一番遠いよ。戻って魔王に連れてってもらえば?」


勇妹「……私に任せて」スゥゥ…


勇妹「ピューーーーー!」


スラりん「口笛?」


バサッ バサッ


フェニックス「クァー!」


勇兄「そうか!カイザーに連れてってもらうのか!」


勇妹「うん」

24: 2014/04/23(水) 20:23:44 ID:ctmFTvkY

スラりん「さすが勇妹だね。勇者と同じように色んな魔物と話せるなんてホント凄いよ」


勇妹「全ての魔物さん達は私のペット」


スラりん「考え方はまったく違うけど…」


勇妹「カイぴょん、始まりの町までお願い」


スラりん「あだ名は可愛いんだね」


勇妹「スラりんもあだ名つけて欲しい?」


スラりん「いや、僕は別に…」


勇妹「スリ」


スラりん「何を盗んだのかな?」

25: 2014/04/23(水) 20:24:55 ID:ctmFTvkY

勇妹「じゃあ…ラリ」


スラりん「それだと常にラリってるみたいだからやめて」


勇兄「二人とも早く行こうよー」


スラりん「僕は基本的に誰かの頭の上に乗ってるんだけど…」


勇兄「じゃあ俺の頭の上―「駄目」

勇妹「お兄ちゃんの頭の上に乗るなんて万氏に値する」


スラりん「じゃ、じゃあ今回は乗らなくていいや…」


勇妹「いえ、私の上が空いてる。遠慮なく乗っていい」


スラりん(…乗りたくないなぁ)ピョン


勇兄「じゃああらためて…魔王を倒す旅に出発だーーーーっ!!」

32: 2014/04/24(木) 22:53:35 ID:z2yORFaY

――始まりの町――


勇兄・勇妹「zzZ」スヤスヤ


スラりん「……長かったから寝ちゃったよ。さすがは子供だね」


フェニックス(クァー)ヒソヒソ


スラりん(うん。ありがとね、カイザー。魔王によろしくね)ヒソヒソ


バサッ  バサッ


勇兄「…ぅ~ん…あれ?もう着いたの?」ムクッ


スラりん「もうっていうかやっとだよ。長すぎたから二人とも寝ちゃったんだ」

33: 2014/04/24(木) 22:54:39 ID:z2yORFaY

勇兄「そうだったんだ…ほら、勇妹。起きろ。てか俺に抱きつくな」ペシッ


勇妹「…ん……おはよう、お兄ちゃん…カイぴょんは?」ゴシゴシ


スラりん「二人を起こさないように帰っちゃったよ」


勇妹「お礼言ってなかったのに…帰ったら大好きなおやつを買ってあげないと」


スラりん(こういうところは勇者に似てるなぁ)クスッ


勇兄「で、これからどうすればいいの?」


スラりん(この旅ってホントに無計画なんだ…)

34: 2014/04/24(木) 22:56:20 ID:z2yORFaY

スラりん「とりあえず王様に会って報告した方がいいかもね」


勇兄「うん、そうだね。じゃあお城に行こー!」スタスタ


スラりん「オー!」ピョン ピョン


ガシッ


スラりん「へ?」


勇妹「……今度二人で寝てたら私を先に起こして。じゃないとお兄ちゃんの寝顔が見れないから」


スラりん「う、うん…わかったよ」


勇妹「じゃあ私の頭の上に乗ってていい」ヒョイ


スラりん(この子はブレないな…)

37: 2014/04/24(木) 22:59:27 ID:z2yORFaY

王城


王「魔王を倒す旅は困難を極める。そなた達の無事を願ってるぞ」


魔王「うむ、ワシも影から見守っとるぞ」


勇兄「………」


勇妹「………」


スラりん「………何で魔王がここに居るの?」


魔王「王にアレの招待状を渡しに来たんじゃ。お前らに会いたくて来たわけじゃないから勘違いするでないぞ」


王「その通りだ(本当はずっと前に勇者から貰ってるけど…よほどこの子達が心配なんだな)」クスッ


スラりん「…二人が心配で先回りしたんだってさ。あと二人が居ないとさみしいんだって」


魔王「こ、こら!違うと言ってるじゃろ!」

38: 2014/04/24(木) 23:00:56 ID:z2yORFaY

勇兄「魔王!俺達は絶対に魔王を倒すぐらい強くなってみせるからな!覚悟しろよ!」


魔王「うむ、ワシも一緒にその手伝いを…」ピタッ


勇妹「………」ジーーー


魔王「………頑張るのじゃぞ」シュン


勇妹「魔王様…次、私達が行く先々で現れたら……魔王様がパパに内緒でおやつを買ってたことバラすから」


魔王「なっ!?お、お前達だって一緒に食べたじゃろ!?」


勇妹「そんな証拠はどこにも無い。食べてしまったのだから」


魔王「そんなぁ!?」ガーン


スラりん(その理論で行くと魔王にも証拠が無いと思うんだけど…)

39: 2014/04/24(木) 23:01:50 ID:z2yORFaY

勇妹「……魔王様、ちゃんとお土産を買って帰るからお城で待ってて」


魔王「…ペナントは無しじゃぞ?」グスン


勇妹「うん、わかった。なるべく食べ物にする」


魔王「うむ、では頑張ってこい」


スラりん(扱いに慣れてるなぁ…)

40: 2014/04/24(木) 23:02:38 ID:z2yORFaY

____________________


スタスタスタ


勇兄「ねぇスラりん、次の町はどういうところなの?」


スラりん「次は確か…勇者と女騎士が初めて出会った村だね」


勇妹「パパとママの運命の場所……つまり、私とお兄ちゃんの運命の場所ってこと?」


スラりん「いや、僕に聞かれてもわからないからね」


勇兄「そういえばその村ってあの人が居るんじゃなかったっけ?」


スラりん「あの人?…ああ、あのシOタコンのことか…」


勇妹「………」

47: 2014/04/25(金) 22:43:39 ID:LOvb8baE

――子供村(旧古ぼけた村)――


スラりん「何というか…前来た時よりもまた建造物(学校)が大きくなってる…村の名前まで変わったみたいだし…」


竜騎士「それだけ子供が増えたってことさ」


勇兄「あっ、竜騎士さん!久しぶりー!」


竜騎士「勇兄ちゅあ~~~~ん!会いたかったよ~~~~!!」バッ


ピタッ


竜騎士「むっ!?この拘束魔法は…そ、側近様も居るのか!?」グググググ…


勇妹「…パパは居ない。この拘束魔法は私の」

48: 2014/04/25(金) 22:44:56 ID:LOvb8baE

竜騎士「勇妹ちゃんか!しばらく見ない間に随分と腕をあげたじゃないか!……で、そろそろ拘束を解いてくれないか?」


勇妹「…もうお兄ちゃんに抱きつかないって約束するなら解いてあげる」


竜騎士「…相変わらずのブラコンだな」ゴゴゴゴゴゴ


勇妹「…シOタコンの竜姉に言われたくない」ゴゴゴゴゴゴ


竜騎士「シOタコンだけではない!私は口リコンでもあるんだぞ!」ドヤッ


スラりん「大声で言う事でもないからね。それと今日はこの村でお世話になるんだからケンカはよそうよ」


竜騎士「フッ、別にケンカをしてるわけじゃないさ。スキンシップだよ、スキンシップ。ね、勇妹ちゃん?」


勇妹「ううん。さっきのは牽制」


竜騎士「勇妹ちゃんは本当に私に冷たいなぁ…」シュン

49: 2014/04/25(金) 22:45:45 ID:LOvb8baE

青年「竜騎士さん、そろそろ授業の時間です。早くしてください」


竜騎士「ああ、わかった。今行く」


青年「ん?……また子供を攫ってきたんですか?」


竜騎士「人聞きの悪いこと言うな!私は誰一人として攫ってない!それにこの子達は側近様のお子さん達だ。今日はこの村に泊まるらしいから二人+αの部屋を用意してやってくれ」


青年「わかりましたが……この子達を襲ったりしないでくださいよね」


竜騎士「う、うるさい!少しは育て親を信じろ!」


青年「信じられないから釘を刺しているんです」


竜騎士「ぐっ」


スラりん「アハハハ!竜騎士も成長した子供には頭が上がらないんだね!」

50: 2014/04/25(金) 22:46:30 ID:LOvb8baE

青年「じゃあ部屋に案内するのでついて来てください」


竜騎士(最近は青年や娘に『子供達に手を出さないでください』って注意されてしまってるからペロペロ分が不足してるんだよなぁ…せっかく側近様の幼い頃に瓜二つの可愛い勇兄ちゃんが来ているんだ、明日までに絶対ペロペロしてみせる!)


勇妹「そうはさせない」


竜騎士「うおっ!?」ビクッ


勇妹「絶対にさせない…」


竜騎士「ゆ…勇妹ちゃんは心も読めるのか?」


勇妹「ううん、そんなこと出来ない。でも…お兄ちゃんをいやらしい目で見てた。それだけで大体予想出来る…」


竜騎士(この子は大分変な方向に成長してるなぁ…本当は勇妹ちゃんともペロぺr…仲良くしたいんだけど…嫌われちゃってるからなぁ)シュン

51: 2014/04/25(金) 22:47:32 ID:LOvb8baE

____________________


部屋


青年「では、この部屋を使ってください。…あれ?妹さんはどこに…」キョロキョロ


スラりん「あっ、気にしなくていいよ。あの子も竜騎士と一緒でちょっとおかしなとこがあるから」


青年「そ、そうですか…」


勇兄「さっき授業って言ってたけど、ここでは何を教えてるの?」


青年「ここでは竜騎士さんが子供達に魔法、剣術、歴史等を教えています。私もここの卒業生で今は竜騎士さんのサポートをしてます」


スラりん「えっ?竜騎士が全部教えてるの?」


青年「歴史や一般常識などは私達も教えてますが、魔法と剣術は竜騎士さんが全ての子供達に教えています。竜騎士さんは教え方がとても上手なんですよ」


勇兄「………」

52: 2014/04/25(金) 22:48:56 ID:LOvb8baE

スラりん「意外…あっちのことばっか教えてると思ってたよ」


青年「それも前までは教えてましたが……私達が強制的にやめさせました」


スラりん「あっ…本当に教えてたんだ…」


青年「まぁ、過去にあんなことがあれば子供好きになったのも理解出来ますが…さすがに本番まではするのはちょっと…」


スラりん「ん?今、気になることが二つあったけど…まず竜騎士の過去って何?」


青年「知らないんですか?側近様からお聞きになってると思ってましたが…」


スラりん「前に聞いたのは魔王軍に入ってたことぐらいだけど…」


青年「その魔王軍に入る前のことです…竜騎士さんは魔王軍に入る前に…子供を授かっていたらしいんです」


スラりん「えっ!?竜騎士に子供!?」

53: 2014/04/25(金) 22:50:23 ID:LOvb8baE

青年「はい。ですがその時代はまだ前魔王様による恐怖政治が敢行される前で、魔物と人間の抗争が絶え間なく行われていたそうです。安全な場所が中々無い中、お腹に赤ちゃんを身篭っていた竜騎士さんは戦いながら何とか安全に出産出来る場所を見つけて、後は産むだけだったらしいんですが…激しい戦闘にお腹の赤ちゃんは耐えられなかったそうです」


スラりん「………」


青年「竜の一族は一生で一度しかその身に子を宿さないそうです。つまり竜騎士さんはもう……ご自分で子供を産むことは出来ません」


スラりん「僕…竜騎士のことちょっと勘違いしてたかも。それじゃ子供が恋しくなるのが普通だよ…」


青年「私はこの話を側近様から聞いた時に決心しました。あの方の子供として一生傍に居ると…」


スラりん「君は立派だね、竜騎士もきっと喜んでるよ。でも……本当に義理の子供相手に本番までしたの?」


青年「…はい、私達が子供の時はしてました……おそらくぽっかりと空いてしまった心の傷を埋める為、子供の愛情をその身に受ける為にそのような行為をするようになったんだと思いますが……さすがに容認することは出来ません。ですので今はもう子供達にはさせてません」

54: 2014/04/25(金) 22:51:19 ID:LOvb8baE

スラりん「子供達…には?」


青年「あっ……す、少しでも竜騎士さんの心を満たすことが出来ればと思っての行動で、れ、恋愛対象としては見てませんからご安心を!!」アセアセ


スラりん「別にそこまでは聞いてないんだけどな~…君は竜騎士をちゃんと女として見てるんだね」ニヤニヤ


青年「…はい///」


スラりん「そっかぁ…君は子供としてじゃなくて男として傍に居たいんだね……人間と魔族、子供と親、色々障害はあると思うけど僕は君を応援するからね。頑張りなよ」


青年「あ、ありがとうございます///」


勇妹「そう。私とお兄ちゃんみたいに、時に家族愛が恋愛に変わることもある。それは自然の摂理。私も全力で貴方を支援する。頑張って」


青年「あ、ありがとう…ございます…?」


スラりん(いきなり現れて何を言っているんだ?この子は…)

55: 2014/04/25(金) 22:52:07 ID:LOvb8baE

スラりん「…ちなみに彼と竜騎士は家族といっても血が繋がってないから問題ないけど…勇妹と勇兄は実の兄妹だからね。問題しかないよ?」


勇妹「ニープロブレム…だっけ?」


スラりん「半月板を損傷したのかな?多分言いたいのはノープロブレムだと思うよ」


勇妹「そう、それ。何も問題無い、何故なら愛に不可能は無いから。これは常識」


スラりん「……うん、そうだね。もう考えるのがめんどくさくなってきたよ。勇妹、頑張ってね」


勇妹「うん、ありがとうスラりん。で……お兄ちゃんはどこ?」キョロキョロ


スラりん「あれ?さっきまでここに居たんだけど…」


勇妹「まさか……」

56: 2014/04/25(金) 22:53:17 ID:LOvb8baE

____________________


竜騎士「今日の魔法の授業はここまで。予習や復習はしてもいいが、魔法は危険だから私の居ない時にはしないでくれな」


子供達「はーい!」


竜騎士「じゃあ次は…みんなお待ちかねのペロペロタ~~~イム―「駄目です」


娘「次の授業は私が教えるから、お母さんは夕飯の準備をしてね」


竜騎士「…わかったよ」シュン


子供A「あはははは!竜騎士お姉ちゃん、怒られてるー!かわいそー!」


竜騎士「だろー?だからお前達のペロペロで慰めてくr―「駄目だって言ってるでしょ」


娘「ハウス」ビシッ


竜騎士(何故成長した子供達は揃いも揃って私に厳しいんだ?)

57: 2014/04/25(金) 22:53:57 ID:LOvb8baE

トボトボ


竜騎士「…ん?」


勇兄「竜騎士さん…」


竜騎士「勇兄たん!」


勇兄「たん?」


竜騎士「おっと、気にしないでくれ。で、私に何か用かな?(ペロペロして欲しいのかな?それともしてくれるのかな?)」ハァ ハァ


勇兄「竜騎士さん!俺をもっと強くしてください!お願いします!」キラキラ


竜騎士(はわわわわ!な…なんて純粋で綺麗な目をしてるのだろうか…そんな目で見詰められたらキュンキュンしない方がおかしいだろ!)キュン

58: 2014/04/25(金) 22:55:14 ID:LOvb8baE

勇兄「竜騎士さん?」


竜騎士「(はっ!あ…危ない…穢れなき勇兄ちゃんの想いを踏みにじるところだった…)そ、それで強くなりたいのなら私が手取り足取りナニ取り教えてあげてもいいが…何でそこまで強さを求めるんだ?」


勇兄「それは……」


竜騎士「なるほど…魔王様と遊んでいて手も足も出なかったと……」


勇兄「うん…俺は将来、お父さんみたいになりたい…魔王を倒せるぐらい強くて立派な勇者になりたいんだ!でも今の俺はとっても弱い…だからもっと強くなりたいんだ…」


竜騎士(魔王様を倒すぐらい強くって……まぁ勇兄ちゃん的には友達に勝ちたいってぐらいの感覚なんだろうけど…)


勇兄「それで…教えてくれるの?」


竜騎士「ああ、魔王様を倒すぐらいは無理だがある程度ならアドバイス出来ると思うし、それに男の子なら強くなりたいと思うのは当たり前だからな。まずは勇兄ちゃんの実力をしりたいから私とペロぺr…手合わせしようか」


勇兄「うん!」

59: 2014/04/25(金) 22:55:55 ID:LOvb8baE

竜騎士「じゃあ道場の方に移動しような(勇兄たんと二人きりィィイイ!)」ハァ ハァ


スタスタスタ




・・・・・




ザッ


勇妹「…ここにも居ない……私もパパみたいに魔力で探知出来ればいいのだけれど……ん?」スン


勇妹「くんくん…僅かにお兄ちゃんの香りがする……こっち」スタスタ

60: 2014/04/25(金) 22:57:12 ID:LOvb8baE

____________________


道場


勇兄「フンっ!」ブンッ


竜騎士「くっ」ガキッ


竜騎士(驚いた…すでにそこら辺の魔物よりも強い!女騎士め、かなり鍛えてるじゃないか。だが……)


勇兄「ハアァァ!」バッ


竜騎士「なるほどな…わかった」パンッ


勇兄「なっ!?」


竜騎士「はい。私の勝ちだな」コツン

61: 2014/04/25(金) 22:58:45 ID:LOvb8baE

勇兄「ず、ずるい!素手で剣を弾くなんて…木刀じゃなかったら俺の勝ちだったよ!」


竜騎士「どこがずるいんだ?私は真剣も普通に素手で弾ける。私の竜の鱗をなめないでほしいなぁ」


勇兄「で、でも…」


竜騎士「ほら、その考え方じゃいつまで経っても強くなれないぞ」


勇兄「…わかったよ。今のは俺の負けでいいよ」シュン


竜騎士「(落ち込んでる勇兄ちゃんきゃわわわわ❤…じゃなくてここはフォローしないと…)ま、まぁそう落ち込むな、私がちゃんと強くなれるアドバイスもしてあげるからさ」


勇兄「本当!?」パアァ


竜騎士「」

62: 2014/04/25(金) 23:01:09 ID:LOvb8baE

ダキッ


竜騎士(うへへへ…いただきま~す❤)ジュルリ


勇兄「りゅ、竜騎士さん?いきなり抱きついてどうかしたの?鼻息が荒いし…」


竜騎士「はっ!す、すまん!何でもない!」パッ


竜騎士(あまりの笑顔につい…が…我慢だ、今は襲っちゃ駄目だ…勇兄ちゃんの為にもアドバイスをしないと…)プルプル


竜騎士「ふぅ……で、アドバイスだが、さっき勇兄ちゃんが私をずるいと言っただろ?まさにそれが不足しているんだ」


勇兄「??どういうこと?もっとずるくなれってこと?」


竜騎士「そういうことじゃなくて、勇兄ちゃんは私にとっての竜の鱗みたいな武器を使ってないってことだ」


勇兄「それは当たり前じゃないの?俺は人間なんだから」

63: 2014/04/25(金) 23:02:42 ID:LOvb8baE

竜騎士「…少しずつ教えるかな。まず勇兄ちゃんは女騎士から剣術を教わったんだろ?」


勇兄「うん!」


竜騎士「はっきり言ってあいつの剣術は私よりも上だ。だが、戦えば私が勝つだろう」


勇兄「えっ?」


竜騎士「さっきわかったように私は竜の鱗で剣を弾くことが出来る。つまり人間の攻撃などほとんど効かないってことだ。まぁ、あいつなら的確に鱗じゃない場所を攻撃してくるだろうがな」


勇兄「やっぱ人間じゃ魔物や魔族には敵わないの?」


竜騎士「一概にそうとは言えないが、パワーが違うから有利なのは変わらない。だが勇兄ちゃんは忘れてると思うが…勇兄ちゃんと勇妹ちゃんは血が薄いとは言え魔族の血が入ったクォーターだろ?」


勇兄「あっ…そういえばそうだったね。すっかり忘れてた」

64: 2014/04/25(金) 23:09:26 ID:LOvb8baE

竜騎士「今の剣術は女騎士が編み出した人間の戦い方だ。極限までスピードをあげ、圧倒的な手数で相手に反撃する隙を与えない恐ろしい戦法だが…手数が多い分、決め手に欠ける。
逆に本来の私は竜の鱗を最大限利用して、ある程度の攻撃は受けつつ一発で敵を仕留める…まさにパワーでゴリ押しの戦い方をする。このようにそれぞれに合った戦い方ってのがあるんだ」


勇兄「じゃあ…お母さんの戦い方をやめて、竜騎士さんの戦い方をしろってこと?」


竜騎士「別にやめる必要はないし、私の戦い方は勇兄ちゃんには無理だ。それにせっかく母親から教わった素晴らしい剣術なんだから、それをさらに魔族の血も入ってる勇兄ちゃんが自分流に磨いていけばいいのさ。女騎士もそれを望んで勇兄ちゃんに剣術を教えたんだと思うぞ」


勇兄「自分流か…難しいなぁ」


竜騎士「そんなに難しく考える必要ないぞ。例えば魔法だ。女騎士は魔法が使えないからその剣術には魔法を使うタイミングが無いだろ?」


勇兄「確かに…魔王と遊んでる時にたまに魔法を使うけど、全部止まって使ってたかも」

65: 2014/04/25(金) 23:11:54 ID:LOvb8baE

竜騎士「剣術と魔法の両方を使えて、さらに勇兄ちゃんは魔族と人間のクォーターなんだから、そこら辺を活かさないともったいないぞ」


勇兄「うん!ありがと竜騎士さん!」ニコ


竜騎士「……他にも色々と教えてあげようか?」


勇兄「本当!?」パアァ


竜騎士「じゃあまずは服を脱いd―ピタッ


勇妹「竜姉…お兄ちゃんに何を教えようとしてるの?」ゴゴゴゴゴゴ


竜騎士「チッ、もう見つかったか」


勇妹「…お兄ちゃん、竜姉から教わることはもう無い。それと魔法を使うのならここじゃなくて外で修行した方がいい」


勇兄「それもそうだな…じゃあ俺、さっそく修行してくる!本当にありがとね、竜騎士さん!」タタタタタタッ


竜騎士「ちょっ、まだ教えることがあるのに~!」

66: 2014/04/25(金) 23:14:12 ID:LOvb8baE

勇妹「………」


竜騎士「……勇妹ちゃんは行かないのか?」


勇妹「後で行く。心配無い」スタスタ


竜騎士「ん?」


ポフ


勇妹「………」


竜騎士(えっ?勇妹ちゃんが自分から私の懐に入ってきた!?)

67: 2014/04/25(金) 23:16:10 ID:LOvb8baE

勇妹「お兄ちゃんにアドバイスしてくれたお礼。私をナデナデしていい」


竜騎士「えっと…どうしてナデナデ?」


勇妹「前にママが言ってた。私達をナデナデしてると幸せを感じるって」


竜騎士「私の場合はペロペロなんだが…」


勇妹「もしペロペロしたらグリグリする。剣で」


竜騎士「怖いなぁ…じゃあせっかくだし遠慮なくナデさせてもらうかな」

68: 2014/04/25(金) 23:17:00 ID:LOvb8baE

竜騎士「どうだ?多くの子供達をナデナデしてきた私のテクニックは?」ナデナデ


勇妹「……普通」


竜騎士「ふふ、そうか…普通か(嫌ではないんだな)」クスッ


勇妹「………」ナデナデ


竜騎士「ん?どうした?いきなり私のお腹をナデナデして…」


勇妹「私も竜姉を慰めてる」ナデナデ


竜騎士「……私の過去を聞いたのか?」


勇妹「うん。だから今は私を本当の娘だと思ってナデナデしていい」

69: 2014/04/25(金) 23:18:06 ID:LOvb8baE

竜騎士「……勇妹ちゃんは優しいんだな」ナデナデ


勇妹「そんなこと無い。普通」


竜騎士「……今思えば側近様は幼い頃から私を気遣ってくださっていたのかもしれないな。嫌がってたのにいつも私にペロペロさせてくれたし…(本番はさせてくれなかったけど)」


勇妹「きっとそう。パパは優しい人だから」


竜騎士(あの頃の側近様を思い出したらムラムラしてきたなぁ…)


竜騎士「……ちょっとだけペロペロしていい?」


勇妹「駄目。私をペロペロしていいのはお兄ちゃんだけ」


竜騎士「さすがブラコンの鏡だな」

70: 2014/04/25(金) 23:18:51 ID:LOvb8baE

勇妹「それに…竜姉がペロペロする相手はもう決まってる」


竜騎士「ん?子供達のことか?それが最近、青年や娘がうるさくてまったくペロペロ出来てないんだよ」


勇妹「……少しは青年さんのことも見てあげて」


竜騎士「青年を?毎日見てるが…」


勇妹「はぁ…青年さんがかわいそう」


竜騎士「??」

71: 2014/04/25(金) 23:20:05 ID:LOvb8baE

____________________


部屋


スラりん「あっ、二人ともお帰りー…大分疲れてるね。何かあったの?」


勇兄「修行してたんだけど…ちょっとだけ無理しちゃったかな…」ハァ ハァ…


勇妹「でも、コツを掴んで随分と強くなった。これで打倒魔王様に一歩近づいた」


スラりん「打倒魔王って……魔王は友達でしょ?」


勇兄「当たり前じゃん!」


勇妹「友達というか…弟?」


スラりん「一応300歳以上年上なんだけどね…」

72: 2014/04/25(金) 23:21:32 ID:LOvb8baE

竜騎士「魔物・魔族の頂点に立つお方なんだが…弟と言われてしっくりきてしまうのが魔王様の凄いところだ」クスッ


勇兄「あっ、竜騎士さん!大分上手く魔法と組み合わせられるようになったから、後でもう一回俺と戦ってくれないかな?」


竜騎士「ああいいぞ。でもその前に夕飯にしよう。私達は家族全員で食べる決まりがあるから、勇兄ちゃん達も食堂で一緒に食べてくれ」


勇兄「うん!」


____________________


食堂


「「「「いただきま~す!」」」」


ワイワイ ガヤガヤ


スラりん「……こ、子供達が多すぎない?」

73: 2014/04/25(金) 23:23:12 ID:LOvb8baE

竜騎士「そうか?最近は成長した子供達が独り立ちし始めてるから、全盛期に比べると少ない方だと思うが…あっ、子供A!子供Gの分を横取りしちゃ駄目だろ!返しなさい!」


子供A「はーい…ごめんなさい」シュン


スラりん(ちゃんと母親してる…)


竜騎士「子供Zは人参を除けるな!この野菜達はお前らのお兄ちゃんが作ってくれたものなんだぞ!私が口移しで食べさせてやるから我慢して食べるんだ!」スタスタ


娘「口移しは駄目っていつも言ってるでしょ!」


スラりん「…お兄ちゃんが作ったって言ってたけどどういうこと?」


青年「ここの卒業生の一人が農家をやっていて、そこで採れた野菜を使っているんです。他にも商人や漁師など、ここで共に育った兄姉達から色んな物を譲ってもらったりしてます。みんな成長して独り立ちしても、竜騎士さんへの恩を忘れたことなんて一度たりともないですから…」


スラりん「…みんな竜騎士のことが大好きなんだね」


青年「はい」ニコ

74: 2014/04/25(金) 23:25:45 ID:LOvb8baE

スラりん「あっ、でも…君だけ『好き』の意味合いが違うか」ニヤニヤ


青年「か、からかうのはやめてください!///」


スラりん「僕って昔からこうやってからかうのが大好きなんd―ガシッ


勇妹「そう。ママがよく言ってた。だからそういう時の対処法も聞いてある」


スラりん「……お、お手柔らかにしてください」


勇妹「うん」


ブンッ!
         ピキ~~~~~~!!


勇兄「ん?スラりんはどこに行ったんだ?」


勇妹「ちょっと外の空気吸ってくるって。それよりお兄ちゃん、あ~ん」スッ


勇兄「いや、食べないからな。今自分で食べてるし」モグモグ

75: 2014/04/25(金) 23:27:27 ID:LOvb8baE

勇妹「じゃあ…あ~ん」パクパク


勇兄「いや、お前も自分で食べろよ」


パクッ


勇妹「!?」


竜騎士「ふっふっふ、どうだ?美味しいか?」


勇妹「……うん、美味しい。だから今回だけ私にあ~んしたのも許す」モグモグ


竜騎士(勇妹ちゃんも徐々に私にデレてきてる…これなら今夜中に夢の兄妹丼が食べれるはず!)


勇妹「……それは無いから安心して」


竜騎士「……絶対心読めてるだろ」

76: 2014/04/25(金) 23:28:26 ID:LOvb8baE

____________________


翌日


勇兄「じゃあそろそろ行くね。竜騎士さん、みんな、ありがとー!」フリフリ


勇妹「…ばいばい」フリフリ


竜騎士「勇兄ちゅあ~~~ん!勇妹ちゃ~~~ん!また遊びに来てね~!」フリフリ


スラりん「僕は!?」


勇妹「………」


スタスタ


竜騎士「ん?どうかしたか?勇妹ちゃん」


勇妹「…昨日は泊めてくれてありがとう。それと……たまには魔王城に遊びに来て。竜姉は全然遊びに来てくれないから」

77: 2014/04/25(金) 23:29:51 ID:LOvb8baE

竜騎士「えっ?勇妹ちゃんって私のこと嫌ってるんじゃないのか?」


勇妹「…嫌いな人に頭をナデナデさせたり、血も繋がってないのに姉って呼ぶわけ無い…好きに決まってる」


竜騎士「勇妹ちゃん…」キュン


勇妹「でも…いくら竜姉といえどもアレの時は全力で戦う。覚悟してて」


竜騎士「ああ、四年に一度のアレか…フッ、お姉ちゃんの本当の力見せてあげる!そして…夢の兄妹丼は私がいただく!!」


青年・娘「………」


竜騎士「あっ…」


青年「…アレには不参加って側近様に言っておいてください」


勇妹「うん、わかった」


竜騎士「待て待て!冗談だからそれだけはやめてくれ!」

89: 2014/04/30(水) 00:49:33 ID:rraR80Js

――海上――


スラりん「まさかまたこの船に乗るとは…この風景懐かしいなぁ…そして…」チラ


勇妹「……ぅっ」ウップ


勇兄「ほら、我慢するなよ。別に吐いたってお前を嫌ったりしないからさ」スリスリ


勇妹「お兄ちゃん…」


スラりん「この光景も懐かしいなぁ」クスッ

90: 2014/04/30(水) 00:51:18 ID:rraR80Js

グラッ


勇兄「うわあ!?」ヨロ


勇妹「ぁ……」ヨロ


スラりん「えっ?ちょっ、待っ!」


勇妹「うっ……オェ―


===============================

ただいまお見苦しい映像が流れています。しばらくお待ちください。

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91: 2014/04/30(水) 00:52:29 ID:rraR80Js

勇兄「い…今の揺れは凄かったな……ん?」チラッ


勇妹「ご…ごめんなさい…!」ポロポロ


スラりん「………最悪」プ~ン


勇兄(うっ…これは酷い惨状だ…)


勇妹「は、早く洗わないと…!」ガシッ


スラりん「えっ!?」


ポイッ
    ザバァン!


スラりん「ピキ~~~~!ど、どうしてこうなるの!?」バシャ バシャ

92: 2014/04/30(水) 00:54:28 ID:rraR80Js

勇兄「スラりん!!」


勇妹「あ…ご、ごめんなさいスラりん!い、今助ける!」ピョン


勇兄「バ、バカ!お前泳げないだろ!」


ザバァン!
      ブクブクブク……


スラりん「そのまま沈んでったー!?」バシャ バシャ


勇兄「くっ、二人とも!今助けるからな!」ピョン

93: 2014/04/30(水) 00:55:06 ID:rraR80Js

____________________


スタスタスタ


勇兄(何とか二人を助けることが出来たから良かったけど…)チラ


スラりん(さすがにやりすぎだから怒ろうと思ったんだけど…)チラ


勇妹「………」ズーン


勇兄・スラりん(あんなに落ち込んでる勇妹初めて見た…)


勇兄「ほ…ほら!スラりんももう怒ってないから元気だせって!」


勇妹「………」フルフル

94: 2014/04/30(水) 00:55:50 ID:rraR80Js

スラりん「ほ…本当に怒ってないんだよ?(これじゃ怒る気にもなれないよ…)」


勇妹「……スラりんが許してくれても、私が自分を許せない。大事な友達にあんな酷い事を…」ズーン


勇兄・スラりん(重症だ…)


勇兄「と、とりあえず気分転換に次の町で何か食べよっか!」


スラりん「う、うん!次の町に僧侶行きつけのすっごく美味しいお店があるんだよ!勇者や女騎士も絶賛してたよ!」


勇兄「ほ、本当!?わぁー楽しみだなぁー!」チラッ


勇妹「……わかった。私が居ると空気が悪くなるから二人で行ってきて。私はここで座って待ってる…」

95: 2014/04/30(水) 00:57:40 ID:rraR80Js

勇兄「な、何でそういうことになるんだよ!いい加減にしろよ!!いつまでもウジウジしてちゃ駄目だろ!」


勇妹「………」ウル


勇兄「えっ!?」


勇妹「ごめんなさい…ひっく……ごめんなさい…」ポロポロ


勇兄「な、泣くなよ!俺がイジメてるみたいじゃん!」アタフタ


スラりん(普段しっかりしてる(?)分、一度失敗するとずっと引きずっちゃうタイプなのか…どうすればいいんだろう?こんな時勇者が居ればなぁ~)

96: 2014/04/30(水) 01:00:14 ID:rraR80Js

――膜に包まれていた町――


食堂


勇兄「………」


スラりん「………」


勇妹「………」


魔王「おおっ!お前たち!偶然じゃな!」


スラりん「偶然って…また先回りしてたんでしょ?」


魔王「ち、違うわい!今回は本当に偶然じゃ!たまたま治安維持の為にこの町に寄ってたんじゃ!」


スラりん(いつも勇者に任せてるクセに…よっぽど一人がさみしいんだなぁ……ん?待てよ…)

97: 2014/04/30(水) 01:01:03 ID:rraR80Js

スラりん「もしかして…勇者も一緒?」


魔王「側近はおらん。だが僧侶と一緒じゃ」


スラりん「そっか…勇者は居ないのか…」


僧侶「僕じゃ嫌だったみたいな反応しないでよ。地味に落ち込むよ?」シュン


スラりん「ご、ごめん僧侶!でも…今は勇者の力が必要だったから…」


僧侶「何かあったの?」


スラりん「実は…」


魔王「ん?おいスラりん、お前…少し臭うぞ?ちゃんと風呂に入っとるのか?」


勇兄・スラりん「あっ」


勇妹「………本当にごめんなさい」ダッ

98: 2014/04/30(水) 01:02:12 ID:rraR80Js

魔王「…勇妹はどうしたんじゃ?いつもより元気が無いような…」


勇兄「ちょっと魔王!どうしてくれるんだよ!」


魔王「えっ!?す、すまん…」シュン


スラりん「いいから勇妹を連れ戻してきて!」


魔王「わ、わかった!」ダッ


スラりん「まったく…」


勇兄「お、俺も探してくる!」ダッ


僧侶「待って!よく事情がわかってないけど、無闇矢鱈に探すより魔力で勇妹ちゃんを探索出来る魔王に任せた方がいいよ。じゃないとこの町は結構複雑だから迷子になっちゃうし」


勇兄「で、でも……」


僧侶「…ねぇ、一体何があったの?」

99: 2014/04/30(水) 01:03:07 ID:rraR80Js

僧侶「なるほど……だから勇者様が必要って言ってたんだね」


スラりん「うん…僕達じゃどうにもできなくて…」


僧侶「う~ん…確かに親である勇者様なら一瞬で何とかしちゃうだろうけど…きっと魔王も何とかしてくれるよ」


スラりん「えーそれは無いって」


僧侶「大丈夫だって。ほら、魔王って子供でしょ?」


勇兄・スラりん「うん」


僧侶(即答…否定はしないんだね。まぁ、僕もそう思ってるけど…)

100: 2014/04/30(水) 01:04:18 ID:rraR80Js

僧侶「大人じゃなくて子供同士にしかわからないこともあるんだよ。大丈夫…きっとすぐに戻ってくるよ」ニコ


スラりん「…そうだね。なんたって経験豊富な300歳の子供だもんね」


勇兄「お兄ちゃんとしては…ちょっと複雑だなぁ」


スラりん「ははは、ヤキモチ焼いちゃってるのかな?勇妹に言ったら喜ぶだろうなぁ」


勇兄「い、言うなよ!恥ずかしいだろ!」


僧侶「ふふふ、勇兄くん達の旅は楽しそうだね…ねぇ、少し旅の話聞かせてくれないかな?」


勇兄「うん!いいよ!」

101: 2014/04/30(水) 01:04:58 ID:rraR80Js

____________________


町外れ


魔王(おっ、こんなとこにおったか…ん?)


勇妹「………」グスン


魔王「………泣いておるのか?」


勇妹「魔王様……」ゴシゴシ


魔王「何で泣いておるんだ?」


勇妹「スラりんに…大事な友達に酷い事をしたから…」


魔王「酷い事?それは何じゃ?」


勇妹「……それは…」

102: 2014/04/30(水) 01:06:00 ID:rraR80Js

魔王「ガハハハハ!あやつにゲロを被せたうえ、どうしたらいいのかわからなくなって海に放り投げたのか!それは酷い事をしたのぅ!」


勇妹「………」ポロポロ


魔王「あっ…す、すまん!」アセアセ




町人「おい、魔王様が小さい子供を泣かしてるぞ」ヒソヒソ

サキュバス「魔王ちゃん、最低ね…」ヒソヒソ




魔王「う、うるさい!外野は黙っておれ!それと魔王ちゃん言うな!」

103: 2014/04/30(水) 01:06:39 ID:rraR80Js

魔王「まったく…魔法使いのせいで最近『魔王ちゃん』が浸透してきてしまっとるじゃないか……
ほれ、勇妹もいつまで泣いておるんじゃ。あやつは怒ってないんじゃろ?だったら気にすることなかろう。普通にせえ」


勇妹「……普通にするなんて無理。気にするに決まってる…それにスラりんにどうやって接すればいいのか…わからない」


魔王「…お前は少し勘違いしとるぞ」


勇妹「……勘違い?」


魔王「うむ。ワシも昔、お前の父親に酷い事をしてしまったことがあってのぅ…ワシは何度も何度も謝った。あやつは一度たりともワシを責めず、謝らなくていいと言ったが…あの時のワシは今のお前と同じように申し訳無い気持ちでいっぱいになっとったから、謝ることしか出来ずひたすら謝り続けたんじゃ…」


勇妹「………」


魔王「そしたらあやつはワシを怒り、こう言ったんじゃ…『本当に私に申し訳無いと思っているのなら、いつも通り我侭でだらしのない魔王様で居てください』って…主君に対して『我侭でだらしのない』じゃぞ!酷いじゃろ!?」

104: 2014/04/30(水) 01:09:04 ID:rraR80Js

魔王「あっ、今は話の趣旨はそこじゃなかったのぅ。それでその後あやつは…『でないと私が魔王様を苦しめていると思い、私自身を責めてしまいます』と言ったんじゃ…
つまりあの時のワシと同じようにいつまでもそんなんだと、友達であるスラりんが自分を責めてしまうということじゃ。だから本当にあいつに申し訳無いと思っとるのなら、普段通りのお前で接してやれ。あいつもきっとそれを望んでいるはずじゃ」


勇妹「………うん。ありがとう魔王様」


魔王「これぐらい当然じゃ。ワシもお前の友達じゃろ?」ナデナデ


勇妹「……ううん。魔王様は私の弟」


魔王「まさかの弟!?ワシはお前より300歳以上年上じゃぞ!?」


勇妹「心配しないで。友達も弟も大事な存在なのは変わらないから。むしろ弟の方が大事」


魔王「そ、そうじゃな。ならいい……のか?」


勇妹「うん、それでいい。何も問題無い」


魔王「うむ。じゃあ戻るとするか」

108: 2014/05/04(日) 23:53:04 ID:RoRddqqI

____________________


食堂


僧侶「へぇ~じゃあ竜騎士さんのおかげで強くなったんだ」


勇兄「うん!あとは雷魔法以外も使えるといいんだけど…」


スラりん「勇兄は勇者や魔王、勇妹みたいに色んな種類の魔法を使えるわけじゃないもんね」


僧侶「確かに色々な魔法が使えればその分戦いに幅が出来ると思うけど、自分が扱える魔法は生まれた時には既に決まってるらしいし、無理に覚えることも出来るけど数十年掛かる場合もあるからなぁ…」


勇兄「やっぱ無理なのか…」

109: 2014/05/04(日) 23:54:34 ID:RoRddqqI

僧侶「別に他の魔法に頼る必要は無いんじゃない?まぁ僕自信が回復魔法しか使えないからそう感じるのかもしれないけど…」


勇兄「一つの魔法を極めるってこと?」


僧侶「まぁそういうことになるのかな。例えば僕の場合、通常の回復魔法は掌全体に魔力を込めるんだけど、より早く傷を治す為に指先に魔力を込めるようにしてるんだ」


勇兄「なるほど…確かに俺の雷魔法はただ雷を放出してるだけかも……ありがと僧侶さん!何かつかめそうかも!」


僧侶「どういたしまして。じゃあ最後にもう一つだけアドバイスしちゃおっかな。勇兄くんにとって『強さ』って何かな?」


勇兄「『強さ』?…戦いに強いってことでしょ?違うの?」


僧侶「間違いじゃ無いけど…それは正解じゃないよ。勇兄くんは勇者様みたいな勇者になりたいんでしょ?」


勇兄「うん!」

110: 2014/05/04(日) 23:55:23 ID:RoRddqqI

僧侶「だったらいくら戦いが強くなっても勇者様みたいに本当に『強く』はなれないよ」


勇兄「??難しくてよくわかんない…」


僧侶「う~ん…説明するのは難しいんだけど…優しさや耐えることも『強さ』だし、時に冷酷になることも『強さ』なんだ」


勇兄「?????」


スラりん「さっきよりわからなくてなってるみたいだね」クスッ


僧侶「ははは、まだわからないよね。とりあえず身近に本物の『強さ』を持つ勇者様が居るんだから、勇者様に色々と教わった方がいいよ」


勇兄「……出来るならそうしたいけど…」シュン


僧侶「…あ、あれ?」

111: 2014/05/04(日) 23:57:56 ID:RoRddqqI

スラりん「ほら、勇者はいつも世界中を飛び回ってるでしょ?特にアレが開催する今年は警戒が薄くなるんだと勘違いして悪さをする魔物や人間が増えてるから、どうしても家族と居る時間が少なくなっちゃうんだよ。
最近は反人派が活発でより忙しいし、魔王のお世話もあるし、夜遅く帰って来ても勇兄達は寝ちゃってるし…」


僧侶「も…もしかして僕の方が一緒に居る時間が多かったりする…?」


スラりん「多分ね」


僧侶「うっ…ごめん」シュン


勇兄「いいよ…僧侶さんが悪いわけじゃないし、皆の為に頑張ってるお父さんを誇りに思ってるから…」


僧侶「勇兄くん……」

112: 2014/05/04(日) 23:58:58 ID:RoRddqqI

魔王「今戻ったぞー」


勇兄「あっ、勇妹!心配したんだぞ!」


勇妹「…ごめんなさい、お兄ちゃん、スラりん」


スラりん「もう大丈夫なの?」


勇妹「うん。魔王様に慰めてもらった」


スラりん「おおー偉いじゃん、魔王」


魔王「じゃろ?」ドヤッ


僧侶「ふふふ、勇者様に報告しなくちゃね」


魔王「ほ、報告せんでいいわ!ワシは子供じゃないんだぞ!」


僧侶(満場一致で子供だと思ってるよ)クスッ

113: 2014/05/04(日) 23:59:56 ID:RoRddqqI

勇妹「それよりスラりん…もう一度だけちゃんと謝らせて」


スラりん「別にもういいのに…」


勇妹「私のケジメの為。お願い」


スラりん「…わかった」


勇妹「スラりん…私は貴方に本当に酷い事をしてしまった。ごめんなさい。お願いだから…許して」ペコ


スラりん「許すも何も最初から怒ってないって。じゃあこれであの件はお終いってことでいいね?もう謝ったりしないでいつも通りにしてね」ニコ


勇妹「うん……ありがとうスラりん」


魔王「ほれ、ワシの言ったとおりじゃろ?」


勇妹「うん。あとはスラりんにお詫びの品を渡すだけ」

114: 2014/05/05(月) 00:01:01 ID:Cwn6s7FQ

スラりん「お、お詫びなんていいよ!」


勇妹「駄目。これは私がどれだけスラりんを大事に想っているか伝える為でもある」


スラりん「うっ…そこまでストレートに言われると恥ずかしいなぁ///」


勇妹「これがお詫びの品。受け取って」ス…


スライム「ピキ!」


スラりん「…えっ?」


勇兄「…何でお詫びがスライムなの?」


勇妹「これはただのスライムでは無い。スラりんのお見合い相手」


スラりん「」

115: 2014/05/05(月) 00:01:38 ID:Cwn6s7FQ

勇妹「さぁスラりん、受け取って」


スラりん「受け取らないよ!!何でお詫びがお見合い相手なの!?」


勇妹「私がそれだけスラりんを大事に想ってるってこと」


スラりん「めっちゃ重いね!嬉しいけど嬉しくない!!それと百歩譲ってお見合い相手はいいとしても…何で雄なの!?」


勇妹「私のテーマは禁断の愛。よってスラりんにも禁断の愛を提供しようかと思って」


スラりん「本当に僕を大事に想ってるの!?」

116: 2014/05/05(月) 00:02:30 ID:Cwn6s7FQ

魔王「ほれ、漢(レディ)を待たせてはいかんだろ」


スライム(♂)「ピキキ…///」


スラりん「ちょっと魔王は黙ってて!あとお前も変なこと言いながら頬を染めるな!!」


勇兄「…ちなみ何て言ってるの?」


僧侶「『ウッホ、俺のタイプ…///』って…」


勇兄「ウッホ?」

117: 2014/05/05(月) 00:03:18 ID:Cwn6s7FQ

ヒューー…ン


魔王「あっ…こ、この魔力は!?や、やばい!あやつに見つかった!」


僧侶「えっ?見つからないつもりだったの?怒られる前提で皆に会いに来てると思ってたんだけど…」


スラりん「あっ、やっぱり治安維持じゃなくて僕達に会いに来てたんだ」


勇妹「じゃあ約束通り、おやつの件はバラす」


魔王「慰めてやったのに血も涙も無いな!?だ、だが今はそれどころじゃない!か、隠れんと…!」アタフタ


勇兄「隠れても魔力で探知されてすぐにバレちゃうよ」


「その通りです」


スタッ


側近「お久しぶりですね、勇兄、勇妹、スラりん」

118: 2014/05/05(月) 00:03:55 ID:Cwn6s7FQ

勇兄「お父さん!」


側近「二人とも元気にしてましたか?」ナデナデ


勇妹「うん、元気にしてた」ギュ


スラりん(やっぱり二人とも、まだまだ親に甘えたい年頃なんだよね…)


側近「貴方達の顔が見れたことは嬉しいですが……」


魔王(今のうちに逃げ―ピタッ


側近「逃げようとしないでください、魔王様」


魔王「…お前、ちょっと拘束魔法を使い過ぎじゃないか?」


側近「そう思うのなら使わせないでください」


魔王「ぐぬっ」

119: 2014/05/05(月) 00:04:45 ID:Cwn6s7FQ

側近「それより魔王様、勝手に魔王城を空けないでくださいって言いましたよね?」


魔王「だ、だからちゃんと書置きしてったじゃろ!」


側近「『ちょっとあいつらに会ってくる』だけじゃ何もわかりません。まぁ私はそれでもわかりましたけど…そもそも書置きも禁止って言ったじゃありませんか」


魔王「き、聞いておらんぞ!」


側近「忘れたのを誤魔化さないでください。それと僧侶さんも僧侶さんです」


僧侶「は、はい!」ビクッ


側近「大方魔王様に泣きつかれて外出を許可したんでしょうけど、せめて一言私に言ってからにしてください」


僧侶「で、でも勇者様は魔王城に居なかったし、もし言ったら…止めてたよね?」


側近「当たり前です」

120: 2014/05/05(月) 00:07:01 ID:Cwn6s7FQ

魔王「ワ、ワシにも自由をー!魔王にも人権をー!」


側近「魔王様の仕事が終わってたらここまで言いません。ですが…まったく終わってませんよね?」


魔王「……はい」シュン


側近「では魔王城に戻って仕事をしてください。魔王城周辺の土地の使用許可、人・魔共同農業施設の予算案、魔王軍の新人・新魔採用etc…とにかく書類の山がお待ちですよ」


魔王「あの量を一人は無理じゃろ…よくわからんし」


側近「5分の1ほど終わらせてくだされば、残りは私が夜にでも終わらせますから頑張ってください」


魔王「何だお前…今からまたどっか行くのか?」


側近「はい。反人間派の盗賊グループが雪山村の近くの洞窟に逃げ込んだと情報が入りまして、今から向かわないといけないんです」


魔王「せわしい奴じゃのぅ…」

121: 2014/05/05(月) 00:08:43 ID:Cwn6s7FQ

僧侶「た、たまには勇者様も休んだ方が…」


側近「私の体を心配してくれてありがとうございます。ですが大丈夫です。この程度、魔王様のお世話に比べたら大したことありませんので」


魔王「そんなにワシの世話は嫌なのか!?」ガーン


側近「嫌とは言ってません。大変と言っているんです。私は魔王様のことで嫌なことなんて一つもありませんよ」


魔王「側近……すまん、ワシが悪かった。いつもお前に迷惑ばかり掛けてしまって…」


側近「そう思っているのなら今すぐ戻って仕事してください」バッ!


魔王「うおっ!?」ヒューーーーーン

122: 2014/05/05(月) 00:10:57 ID:Cwn6s7FQ

魔王「拘束したまま飛ばすなといつも言っとるだろ!これだと頭から墜落することになって痛いんじゃぞーーー!!」


イタインジャゾーーー!!

             ンジャゾーー!!

                          ゾー……


僧侶(予想通りの結果だなぁ…)


スラりん「…べ、別に拘束して飛ばす必要なかったんじゃない…?」


側近「お仕置きも兼ねてますので痛くないと意味がありません。それにこの程度ではお仕置きにも入りませんよ」


スラりん「…確かにいつものに比べたら大したことないか」


勇兄「そう思えるのが凄いことだけどね」

123: 2014/05/05(月) 00:11:31 ID:Cwn6s7FQ

側近「さて僧侶さん、私達も行きましょう」


僧侶「えっ!?もう戻るの?」


側近「はい。先ほども言いましたがこの後急いで雪山村の方に向かわないといけないので」


勇兄(……うん、そうだよね。お父さんは勇者だからしょうがないよね…)


勇兄「…お父さん、お仕事頑張ってね!俺達も旅を頑張るから!」


勇妹「……パパ、気をつけて」


側近「ありがとうございます。二人も頑張ってくださいね」ニコ


僧侶「………」


側近「スラりん、二人をお願いします。くれぐれも無茶だけはさせないでください」


スラりん「うん、任せて!」

124: 2014/05/05(月) 00:12:01 ID:Cwn6s7FQ

側近「では行きましょう、僧侶さん」


僧侶「…はい」


ヒューーー…ン


勇兄「………勇妹、大丈夫か?」


勇妹「うん…私はお兄ちゃんが傍に居ればさみしく……ない」


勇兄「そうか…」


スラりん「二人とも……」


スライム「ピキ……」


スラりん「いや、ここはマジメなところだからお前は早く帰りなよ」


____________________

132: 2014/05/13(火) 00:30:54 ID:UlKBDvk.

――雪山――


ビュォォォォォォ…


勇兄「二人とも大丈夫か?」


勇妹「うん」


スラりん「僕は結構大丈夫じゃないかも…」ブルブル


勇妹「スラりん。私の懐に入っていい」


スラりん「えっ?でも…僕、冷たくなってるよ?」ブルブル


勇妹「完全に凍る前に早く入って」


スラりん「う、うん…ありがと勇妹」ピョン

133: 2014/05/13(火) 00:31:44 ID:UlKBDvk.

勇妹「っ……つ、冷たい」ブル


スラりん「だから言ったじゃん…やっぱり出ようか?」


勇妹「ううん。冷たいけど大丈夫。スラりんが凍る方が嫌だから…」ギュ


スラりん「勇妹…」


勇妹「雪山でカキ氷はさすがの私でも頭キーンってなる」


スラりん「凍った僕を食べる気なの!?しかも頭キーンってなるのが嫌なだけって酷くない!?」


勇兄「あっ、二人とも!雪山村が見えてきたよ!」

134: 2014/05/13(火) 00:32:42 ID:UlKBDvk.

――雪山村――


宿


勇兄「ふぅ…砂漠の砂嵐やこの吹雪のせいで大分遅れちゃったなぁ…まぁ、アレにはギリギリ参加出来そうだけど…」


勇妹「うん。あとは吹雪がおさまってから山を下るだけ。そうすれば魔王城はすぐそこ」


勇兄「もうすぐ旅が終わるのか…長かったな」


勇妹「うん……ねぇお兄ちゃん、旅の最後の記念に一緒にお風呂に入ろ」


勇兄「やだよ」


勇妹「お願い」


勇兄「だーめ」

135: 2014/05/13(火) 00:33:57 ID:UlKBDvk.

勇妹「じゃあ…一緒のベッドで寝るのは?」


勇兄「……まぁ、それぐらいだったらいっか」


勇妹「本当!?」パアァ


勇兄「ああ、寝るだけだしな。そういやお前、寝てる時に何かに抱きつくクセは治ったのか?」


勇妹「ううん、治ってない。治るはずが無い。この日の為に治さなかったと言っても過言では無い」


勇兄「過言だろ」


勇妹「じゃあ私はお風呂で体を綺麗にしてくる……お兄ちゃん、ドア開けとくから覗いてもいい///」ヌギヌギ


勇兄「覗かないからお風呂場で脱げよ」

136: 2014/05/13(火) 00:34:29 ID:UlKBDvk.

ピョン ピョン


スラりん「二人とも…この吹雪は明後日までおさまりそうに無いってさ…」


勇兄「えっ!?う、嘘でしょ!?アレは明後日開催なんだよ!?」


勇妹「…無理にでも山を下りるしか無い」


スラりん「む、無理だよ!現地の人ですら絶対に外に出ないぐらいこの吹雪は強いらしく、僕達がここに辿り着けたのだって奇跡だって言ってたんだよ!?しかもこれからさらに強まるって言ってたし…」


勇兄「でも…せっかくここまで旅してきたのに…」

137: 2014/05/13(火) 00:35:52 ID:UlKBDvk.

勇妹「…しょうがない。アレは諦めるべき。命には換えられない」


勇兄「だけど……」


勇妹「お兄ちゃん…」


勇兄「…………わかったよ」


スラりん「…とりあえず気分転換も兼ねて下でご飯食べよ」


勇兄「うん…」

138: 2014/05/13(火) 00:37:17 ID:UlKBDvk.

____________________


勇兄「はぁ……」


スラりん「ほら、落ち込んでてもしょうがないでしょ。せっかくの料理が冷めちゃうよ?」


勇妹「そう。ここはレストランでもある。だからとっても美味しい。冷めてしまってはもったいない」


勇兄「わかってるよ……確かにうまいな」モグモグ


勇妹「…そこに私という調味料を加えればもっと美味しくなる」


スラりん「何を言ってるの?」


勇妹「ちなみにスラりんを加えると………何が起こるかわからない」


スラりん「まだその呪文は唱えてないよ」

139: 2014/05/13(火) 00:38:14 ID:UlKBDvk.

勇兄「…それってどういう意味?」


スラりん「えっ?ふ、深く聞かれると困るんだけど…」アセアセ


コナイダノユウシャサマハ…


スラりん「ほ、ほら!向こうで勇者の噂話をしてるよ!」


勇妹「逃げた」


スラりん「い、いいでしょ!とにかく聞いてみようよ!」


勇兄「まぁちょっとは気になるけど…」






客A「いやーほんと勇者様は凄い方だな!あの有名な反人派の盗賊グループをたった一人で一網打尽にしちゃうなんて」


客B「あの方のおかげで世界は平和になってるようなもんだからな」

140: 2014/05/13(火) 00:39:20 ID:UlKBDvk.

勇兄「…ふふふ、やっぱりお父さんのこと褒められると嬉しいな」ニコ


勇妹「うん」ニコ




客A「ホントなら今頃その盗賊達が居た洞窟に行って、武器やら色々と回収しないといけないんだが…」


客B「ま、この吹雪じゃ悪用する奴もあんな場所に行けないって……そうだ!それも勇者様に頼むか!」


客A「それはいい考えだな!」




スラりん(ん?何かちょっと変な方向に話が進んでない…?)


勇兄・勇妹「………」

141: 2014/05/13(火) 00:40:34 ID:UlKBDvk.

客A「ついでにここら辺をうろついてるイエティ達も蹴散らしてもらって、後は…」


客B「この吹雪も勇者様に頼んで止めてもらうか!勇者様は頼めば何でもやってくれそうだしな!」ハハハ


客A「違いない!」ハハハ




勇妹「違う……パパは…!」ガタッ


勇兄「お、おい…!」


客A「ん?お譲ちゃんどうかしたのか?」


勇妹「パパは……パパは!!皆の都合のいい便利屋さんじゃない!!」

142: 2014/05/13(火) 00:41:40 ID:UlKBDvk.

客A「…い、いきなり何を言ってんだ?」


客B「バ、バカ!話の流れからわかるだろ!この娘は勇者様の娘さんだ!」


客A「あっ……す、すまない!悪気があって言ってたわけじゃないんだ!」アセアセ


勇兄「……ほら、お客さんを困らせちゃ駄目だよ」


勇妹「で、でも…」


勇兄「お父さんは都合のいい便利屋なんかじゃない。それはこの人達だってわかってるって…」


勇妹「………うん。いきなり変なこと言ってすいませんでした…」ペコ


客A「い、いや…こっちが悪いんだし…」


勇兄「…部屋に戻ろう」


勇妹「…うん」

143: 2014/05/13(火) 00:42:14 ID:UlKBDvk.

客A「……本当に悪いことしちゃったな」


客B「ああ…」


スラりん「ごめんね。あの子達が迷惑を掛けて…」


客A「いや、迷惑を掛けたのはこっちの方だ…(スライムが喋ってる?)」


客B「それより…ゆ、勇者様は一緒じゃないのか?(スライムが保護者?)」


スラりん「うん…勇者は多分今頃どっかの町で人助けをしてると思うよ」


客A「そ、そうか…」ホッ


スラりん「…確かに君達の言うとおり、勇者は頼まれれば何でもじゃないけどそれが本当に必要ならやってくれる…でも、君達が勇者を頼れば頼った分だけ、あの子達の父親と一緒に居られる時間は減るんだよ……お願いだからそれだけはわかっててあげてね」ピョン ピョン


客A・B「………」

155: 2014/05/15(木) 22:56:23 ID:fyLuGsBU

____________________


スラりん(あの子達にはちょっと酷すぎたなぁ…でも、勇妹より勇兄の方が怒ると思ったんだけど……勇兄もこの旅で成長したんだね)


ガサゴソ


スラりん「ん?」


勇兄「勇妹、準備できたか?」


勇妹「うん」


スラりん「ちょ、ちょっと!何で荷物まとめてるの!?」


勇兄「…やっぱり俺はアレに出たい。出なくちゃ駄目なんだ…出て一日も早くお父さんみたいになって……」


スラりん「で、でもこの吹雪の中を下山するなんて氏にに行くようなもんだよ!?勇妹も一緒に勇兄を止めてよ!」

156: 2014/05/15(木) 22:57:50 ID:fyLuGsBU

勇妹「止めない。私も一緒に行く。早く……パパとママに会いたい」


スラりん「だ、駄目だよ!僕は絶対に二人を行かせない!じゃないと勇者と女騎士に合わせる顔がない!」


勇妹「…ごめんなさい、スラりん」ピッ!


スラりん「ぐっ!」ピタッ


勇兄「吹雪がおさまったら迎えに来るからそれまで待っててね」


勇妹「スラりん…ありがとう」


スラりん「い、行かないで!!」


バタンッ


スラりん「……勇兄の…勇妹のバカァァァ!!」

157: 2014/05/15(木) 22:58:45 ID:fyLuGsBU

____________________


スラりん(二人が出てってから結構経ったけど、外は大分吹雪いてきた……は、早くしないと二人が本当に氏んじゃう…!)グググググ…


スラりん「くそ!拘束はまだ解けない!…だ、誰でもいい……お願いだから…二人を助けて…」


スラりん「お願いだよ……勇者」


ガチャ


スラりん「あっ…」








魔王「よっ」


スラりん「魔王かよ!!ここは勇者が来る場面でしょ!!」

158: 2014/05/15(木) 22:59:22 ID:fyLuGsBU

魔王「何じゃ、せっかく助けに来たのに酷い言われようじゃのぅ」


スラりん「助けに来た?…そ、そうだよ!魔王、早くあの二人を助けて!」


魔王「あの二人なら大丈夫じゃ、安心せい。お前の言うとおり、あやつらを助けるのはワシじゃ駄目じゃろ?」


スラりん「あっ……そっか。なら安心だね」ホッ


魔王「さて、ワシらは一足先に魔王城に帰るとするか」


スラりん「…ねぇ魔王。さっきから気になってたんだけど…その両手にある物は?」


魔王「もちろん雪山村名物のアイスクリームじゃ。ほれ、お前の分も買っておいたぞ」ペロペロ


スラりん「……じゃあアイス食べてから帰ろっか」


魔王「うむ」

159: 2014/05/15(木) 23:08:02 ID:fyLuGsBU

――雪山――


ザッ  ザッ


勇兄「だ…大丈夫か?」


勇妹「う…うん…」


勇兄「絶対に俺の手を離すんじゃないぞ」


勇妹「う…ん……」



ビュオオオオオオオ…



勇兄(くっ…本当に凄い吹雪だ…前がほとんど見えないから、もしかしたら道を外れてるかも…手の感覚も無くなってきたし…)

160: 2014/05/15(木) 23:09:04 ID:fyLuGsBU

勇兄「……ん?お…おい、勇妹…?」クルッ



・・・・・



勇兄「う、嘘でしょ…?ゆ、勇妹ーーー!!ど、どこだーー!返事をしろよーーー!!」



・・・・・



勇兄(お…俺のせいだ…俺のせいで勇妹が……)


勇兄「…あ、諦めちゃ駄目だ!あいつは絶対に生きてる!絶対に見つけてやる!おーーーい!!勇妹ーーー!!」ザッ ザッ


ザッ


勇兄「勇妹!?」クルッ


イエティ「グルルルルル…ココ、オレ、ナワバリ」

161: 2014/05/15(木) 23:09:50 ID:fyLuGsBU

勇兄「イ、イエティ!?くそっ…!」チャキッ


カラン


勇兄「あっ」


勇兄(け、剣が掴めない…!)


勇兄「な、なら雷魔法で…」チリッ…


ザッ  ザッ  ザッ


イエティ達「ココ、オレラ、ナワバリ…」


勇兄「こ、こんなにたくさん…!?」


イエティ達「…デテケ!」バッ


勇兄「くっ…た、助けて……お父さん」

162: 2014/05/15(木) 23:10:35 ID:fyLuGsBU

ピッ!


イエティ達「!?」ピタッ


「イエティさん、すいません。すぐに縄張りから出ますので、私の息子を襲うのはやめてください」


勇兄「お…お父さん!」


側近「まったく…無茶し過ぎですよ、勇兄。こんな吹雪の中を子供二人だけで下山なんて不可能です。それぐらい貴方にだってわかるはずなのに…」


勇兄「ご…ごめんなさい…」ポロ


側近「…あまり心配掛けないでください。貴方達は私達の大事な息子娘なんですから」ナデナデ


勇兄「…うん」ポロポロ

163: 2014/05/15(木) 23:11:14 ID:fyLuGsBU

側近「では、早く帰りましょう。このままでは凍え氏んでしまいますし」


勇兄「ま、待って!勇妹が…!」


側近「勇妹なら大丈夫です」


勇兄「えっ?」


ザッ


女騎士「勇兄!」


勇兄「お、お母さん!?」


女騎士「何でこんな無茶なことをしたんだ!勇妹にまでこんな目に合わせて…もう少しでイエティに食べられるところだったんだぞ!」


勇妹「zzZ」スー スー

164: 2014/05/15(木) 23:11:45 ID:fyLuGsBU

側近「普段温厚なイエティさんもこの時期は繁殖期で気性が荒くなってますからね。縄張りに入りさえしなければ襲ってきませんが…頃してませんよね?」


女騎士「ああ。ちゃんと峰打ちで気絶させといた」


勇兄「ゆ、勇妹…よかった……無事で本当によかった」ポロポロ


女騎士「……まったく、お前達は私と勇者の大事な息子娘なんだぞ。あまり無茶なことはしないでくれ…」


勇兄「うん…さっきお父さんにも同じ事言われた」グスン


女騎士「むっ、そうか。なら別のことを…」


側近「女騎士さん、その辺にしてまずは家に帰りましょう」スッ


女騎士「…そうだな」ギュ

165: 2014/05/15(木) 23:13:04 ID:fyLuGsBU

側近「では勇兄もこっちの手を握ってください」スッ


勇兄「う、うん」


ギュッ


側近「…絶対に離しませんので安心してくださいね」ニコ


勇兄「…うん!」


側近「では行きます!」


ヒューーーー…ン




イエティ達「……ウゴケナイ」

166: 2014/05/15(木) 23:13:43 ID:fyLuGsBU

――側近達の家――


勇兄「zzZ……お父さん、お母さん…ごめんなさい……むにゃむにゃ」スヤスヤ


勇妹「zzZ……パパ、ママ、お兄ちゃん…大好き……むにゃむにゃ」スヤスヤ


女騎士「まったく…これでは怒れないではないか」ナデナデ


ガチャ


側近「ただいま戻りました」


女騎士「おかえり。スラりんはどうだった?」

167: 2014/05/15(木) 23:14:44 ID:fyLuGsBU

側近「二人が無事で安堵してましたが…それ以上に怒ってました」


女騎士「まぁ今回はこの子達が悪い。あとでたっぷりスラりんに怒ってもらおう」


側近「そうですね…その分私達は明日、存分に甘えさせてあげましょう」


女騎士「…ん?明日は休みなのか?」


側近「はい」


女騎士「だが…明日と明後日はアレの影響で帰る暇も無いほど忙しいと言ってなかったか?」


側近「そうだったのですが、実は…――」

168: 2014/05/15(木) 23:16:17 ID:fyLuGsBU

女騎士「――…なるほど、僧侶がそんなことを…」


側近「はい…僧侶さんや協力してくださる方々には本当に感謝してます。ですが…まさかこの子達が私に甘えたいと思っていたなんて…僧侶さんに言われるまでまったく気づけず…情けないです」


女騎士「………」


側近「私はこの子達がしっかりしてるからこそ安心して治安維持に勤しんできました。確かに一緒に居られる時間は少なかったかもしれませんが、私はこの子達を大事にしてきました…いえ、そのつもりでした。ですが私は…この子達にさみしい思いをさせていたんですね」


女騎士「私もこの子達が一切さみしいなんて言わないから、早く大人になって親離れしたがってるとばかり思ってた…だからこそ今回の旅も許したのに……親失格だな」

169: 2014/05/15(木) 23:17:16 ID:fyLuGsBU

側近「親というのは勇者よりも難しいのかもしれまん……私達もこの子達と一緒にもっと成長しないといけませんね」


女騎士「そうだな…」


側近「では、明日に備えて私達もそろそろ寝ましょう。明日は世界中を飛び回るより疲れるかもしれませんし」クスッ


女騎士「……ね、寝る前に私も雪山で体が冷えてしまったから、その……あ、温めてほしいんだが…///」


側近「…明日に疲れが残らない程度にしてくださいね」


女騎士「ぜ、善処しよう///」

175: 2014/05/20(火) 22:32:50 ID:Iff5NrJE

翌日


――魔王城――


魔王「おーい側近ーどこにおるんじゃー?」


僧侶「魔王、何してるの?」


魔王「いや、朝食が用意されてなかったから側近を探しているんじゃが…」


僧侶「あれ?昨日言ったよね?勇者様は今日はお休みだって」


魔王「えっ!?あれは勇者の仕事であってワシのお世話は入ってないんじゃないのか!?」


僧侶「そんなわけないでしょ。今日は一家団欒を邪魔しちゃ駄目だよ。じゃあ僕はケルやカイザーと一緒に勇者様の分も治安維持に勤しまないといけないからもう行くね。ケル、カイザー、今日はよろしく頼むね」ナデナデ


ケルベロス「バアウ!」


フェニックス「クアー!」

176: 2014/05/20(火) 22:34:15 ID:Iff5NrJE

魔王「他の者達も確か側近の仕事をカバーする為に居ないらしいし……よし、スラり~~ん!!」


スラりん「何か僕に用?さっき勇兄達を怒鳴り散らしてきたばっかだから疲れてるんだけど…」ピョン ピョン


魔王「あやつらの家に行ったのか。じゃあワシも……いや、今日ぐらいは邪魔しないでやるか。そういうことで朝食が用意されとらんから、今から一緒に外で朝飯を食いに行かんか?ワシ、料理出来んし」


スラりん「あー…パス。今日は午後から魔国のカフェに行って明日の打ち合わせをする約束があるんだ。だからその前にもうちょっと眠っておきたいから遠慮するよ」


魔王「じゃあワシも後で一緒にそのカフェに……ん?魔国のカフェって…あのメイドカフェか?」


スラりん「うん。魔法使いが居るあのメイドカフェ」


魔王「……やっぱワシはいい。あやつとは馬が合わん」


スラりん「そう言うと思ったよ。じゃあおやすみ~」ピョン ピョン


魔王「今日は一人ぼっちか………さみしいのぅ」シュン

177: 2014/05/20(火) 22:36:22 ID:Iff5NrJE

――側近達の家――


勇兄「大分スラりんに怒られちゃったな…」


勇妹「しかたない。それだけのことをした私達が悪い…」


女騎士「そうだぞ。本当は私ももっと怒りたいが…まぁ、せっかく今日は勇者が休みなんだ。許してやるから今日はお父さんにいっぱい甘えるんだぞ?」


勇兄「うん!」


勇妹「……ねぇ、ママ。一つ聞いていい?」


女騎士「何だ?」


勇妹「どうしてパパとママは雪山に来たの?私達が危険な目にあってることは知らなかったはずなのに…」


女騎士「それは…虫の知らせのおかげだな。私も勇者も何だか嫌な予感がしたから雪山に向かったんだ。そしたら案の定お前達が危険な目にあってたってわけだ」


勇兄「凄い!お父さんとお母さんは超能力も使えるんだね!」

178: 2014/05/20(火) 22:38:02 ID:Iff5NrJE

女騎士「ああ、お前達限定だけどな。ちなみに魔王はただ単にお城を抜け出してお前達に会いに行こうとしてただけで、飛んでる最中に偶々遭遇したんだ。もちろん飛びながら勇者に説教されてたぞ」


勇兄「あははは!さすが魔王だね!」


ガチャ


側近「終わりましたか?」


女騎士「ああ。一応スラりんにも朝食を食べてくか聞いたんだが…気を利かせてくれたみたいだ」


側近「そうですか…後でもう一度お礼を言っておかないといけませんね」ジュゥゥゥゥ…


勇兄「わあー!いいニオイ~!」


側近「もうすぐ出来ますので三人とも座って待っててください。あっ、ちゃんと手は洗ってくださいね」トントン


勇兄「うん!」

179: 2014/05/20(火) 22:39:33 ID:Iff5NrJE

勇妹「パパの料理が久しぶりに食べれる…嬉しい」


勇兄「お父さんは料理の腕も凄いからなぁ~」


女騎士「すまんな。私は料理の腕が凄くなくて」ムスッ


勇兄「そ、そんなこと言ってないよ!お母さんの料理も十分美味しいって!」アセアセ


勇妹「そう。確かにパパの料理は美味しいけど、私はママの料理の方が好き」


女騎士「料理は味じゃないってことか?」


勇妹「うん。料理は愛情」


側近「それだと私より女騎士さんの方が貴方達への愛情が深いってことになりますね…」


女騎士「ふふん♪母強し、だな」ドヤッ


側近「負けられませんね…本気を出します!」トントントントン

180: 2014/05/20(火) 22:41:13 ID:Iff5NrJE

勇兄「…お父さんって意外と負けず嫌いなんだね」


女騎士「そんなことないぞ。勇者はどちらかというと負けを譲るタイプだ。だが、この勝負は譲りたくないらしい」クスッ


勇妹「それだけ私達は愛されてるってこと?」


女騎士「ああ、そうだ」


勇兄「引き分けでいいのに…」


女騎士「そうはいかない。やっぱり父親よりも母親の方が子供達を愛してるに決まってるからな」


側近「それはわかりませんよ?」ゴゴゴゴゴゴ


女騎士「ふっ…せいぜい頑張るんだな」ゴゴゴゴゴゴ

181: 2014/05/20(火) 22:42:23 ID:Iff5NrJE

勇兄「そ、そんなことでケンカしないでよ!」アセアセ


勇妹「大丈夫。これは所謂、喧嘩するほど仲がいいってヤツだから。それに…仲がいいのはママの肌を見ればすぐにわかる」


女騎士「へ?」ツヤツヤ


勇妹「お兄ちゃん、もうすぐ弟か妹が出来るかも」


勇兄「えっ?」


側近(……かなり搾り取られましたからその可能性は捨て切れませんね…)


女騎士「な、何を言っているんだ!///ていうかそういうことはどこで覚えたんだ!?」


勇妹「………竜姉が教えてくれた(嘘だけど)」


女騎士「ほぅ…やっぱりあのシOタコン野郎とは一度剣を交えないといけないらしいな…」ゴゴゴゴゴゴ


勇兄「ちょ、ちょっと!?」

182: 2014/05/20(火) 22:44:27 ID:Iff5NrJE

勇妹「ママ、竜姉は野郎では無い」


女騎士「おっと、そうだったな」


勇兄「そこじゃないでしょ!竜騎士さんともケンカしちゃ駄目だよ!旅でも俺達に優しくしてくれたんだから!」


女騎士「な、何!?あいつ、私の可愛い子供達に…や、優しくシたのか!?」


側近「それはあの竜騎士さんといえどもさすがに………勇妹、シてませんよね?」


女騎士「やはり否定は出来ないのか」


勇妹「うん。させるわけが無い。お兄ちゃんは将来私と結婚するんだから」


勇兄「何回も言うけど結婚しないからな。いい加減しつこいぞ」


勇妹「…何も聞こえない」


勇兄「おい」

183: 2014/05/20(火) 22:45:54 ID:Iff5NrJE

女騎士「お前達、本当にシてないんだろうな?」


勇兄「シてないの意味がわからないけど、竜騎士さんには泊めてもらったり、強くなれるアドバイスをもらっただけだよ。
…あっ、そうだ!お父さん、あとで俺と戦ってよ!俺、大分強くなったんだよ!」


側近「いえ、今日はやめましょう。せっかくの休みですし、貴方達の旅の話も聞きたいですから。それに…楽しみはとっておきたいので」


勇兄「えっ?それってどういう意味?」


側近「それは…まだ秘密ですよ」


勇兄「えー教えてよー」


側近「我慢してください。さあ、朝食が出来ましたよ。愛情たっぷり入れた私の自信作です。女騎士さんのより美味しくて、きっと好きになるはずですよ」


女騎士「まだ言うか」

184: 2014/05/20(火) 22:46:42 ID:Iff5NrJE

____________________


勇兄「今日は楽しかったな!」


勇妹「うん。家族四人で丸一日一緒に居られるなんて…本当に幸せだった」


勇兄「……これじゃお願いを変えたくなっちゃうよ」


勇妹「お願いって…明日のアレの?」


勇兄「うん…」


勇妹「確かに私も今日みたいな日がずっと続けばいいって思った……そういえばお兄ちゃんは何をお願いするつもりなの?」


勇兄「それは……内緒に決まってんだろ」


勇妹「ずるい」

185: 2014/05/20(火) 22:48:07 ID:Iff5NrJE

勇兄「じゃあお前は言えるのか?」


勇妹「……言えない。内緒」


勇兄「だろ?結局最後にお願いを叶えてもらえる者は一人だけなんだし、今言う必要はないよ。いや…もしかしたら一人も居ないかもしれないけど」


勇妹「弱気になっちゃ駄目。きっと私がお願いを叶えてもらう」


勇兄「いや、叶えてもらうのは俺だ!よぉーし!明日はお互いに全力を尽くそうな!」


勇妹「うん。明日は相手が誰であろうと負けられない。お兄ちゃんと私の幸せの為にも」


勇兄「…ん?」


勇妹「おやすみお兄ちゃん」


勇兄「う、うん。おやすみ…(今何か変なこと言ってなかったか?…ま、いっか)」


勇兄(ついに明日、アレが開催される……俺は絶対に勝ってみせる!あの…魔王に!!)

186: 2014/05/20(火) 22:49:47 ID:Iff5NrJE

――魔国――

闘技場


魔法使い「レディーーーーッス・エンドゥ・ジェンテュルメーーーーン!…エーーッンドゥ!モンスターーーーーー…ッズ!!!やってまいりました~~!!四年に一度の大会、第3回魔王ぶっ頃し大会がッ!!」


魔王「おい、いつからワシを頃す大会になったんじゃ?マジメにやれ」


魔法使い「うっさい!ゲストは黙ってなさい!」


魔王「貴様…ッ!」イラッ


魔法使い「司会はわたくし!皆のアイドル魔法使いがお送りしま~~~す❤」


し~~~~…ん


魔法使い「………」

187: 2014/05/20(火) 22:51:19 ID:Iff5NrJE

スラりん「えっと…せめて拍手をしてあげてね」


パチパチパチ…


魔王「…少ないのぅ」


魔法使い「…そっちの方がダメージ来るわよ。もうこの仕事やめようかしら」シュン


魔王「ワシを簡単に罵るクセにメンタル弱すぎじゃろ」


魔法使い「では他の方々も紹介しま~す解説はスライムのスラりんで~す」


スラりん「やる気のない紹介だなぁ…まぁいいけどさ。みんな、よろしくね!」


パチパチパチ   パチパチパチ


魔法使い「私の時より多い…」ギロッ


スラりん「た、たまたまだって!」アセアセ

188: 2014/05/20(火) 22:52:14 ID:Iff5NrJE

魔法使い「で…ゲスト、これ」


魔王「いくらなんでもワシの扱い酷すぎるじゃろ!!」


魔法使い「そうね…ここはさすがにちゃんとしないと駄目ね……さあ!ゲストはこの方!この大会の主催者であり、過去2回のチャンピオンでもある魔物の王!!魔王ちゃんです!!」


魔王「だからちゃん付けするなといつも言っておるだろ!!」


マオウチャ~~~ン!アハハハハハ!


魔王「ほれみろ!最近お前のせいで町の奴らにも魔王ちゃんって呼ばれる時があるんだぞ!威厳がまるでゼロじゃないか!」


スラりん「それは最初から無かったよ」


魔王「いや、この姿は威厳しか無かろう」キリッ


魔法使い・スラりん「……うん、そうね(そうだね)」


魔王「やめて!哀れみの目で見ないで!」

194: 2014/06/05(木) 23:45:45 ID:tXOfCoew

魔法使い「では、魔王ちゃんは放っておいて大会の方法とルールを説明しま~す。まずは抽選で8つのブロックに分けてサバイバルを行い、その中からトーナメント出場者を16人選ぶんですが……今回は色々ありまして、いきなり16人のトーナメントにいっちゃいます!」


魔法使い「決勝トーナメントのルールは単純明快!1対1で戦って戦闘不能、もしくは『まいった』と言わせた方の勝ちです。ただし相手を頃したりするのは無しです。それ以外なら基本的に何でもOK!武器も魔法も使用化です!
そして、トーナメントを勝ち上がった方にはチャンピオンである魔王ちゃんと戦ってもらい、見事魔王ちゃんを倒す事が出来たら一つだけお願い事を何でも叶えちゃいます!!」


スラりん「一つ質問なんだけど観客席に攻撃が来ちゃったらどうするの?」


魔法使い「エルフさん達の協力で、リングと観客席の間に強力な防御膜を張ってますのでご安心を。ただし魔王ちゃんの攻撃は防げないので魔王ちゃんは魔法禁止で」


魔王「それは不利すぎるじゃろ!?そもそもワシが客に当てるようなことをすると思うか?そんなことしないで逆に守ってやるわい!」


マオウチャン、カッコイイ~~~!


魔王「だから魔王ちゃん言うな!」

195: 2014/06/05(木) 23:46:41 ID:tXOfCoew

魔法使い「ということで魔王ちゃん以外の選手は心配なく全力で戦ってください!もちろん全力で戦うと怪我をするリスクが高まります。せっかく勝っても次の試合に出れなかったら意味がありません…
ですが選手の皆さん、安心してください!もし怪我をしてもこの方が何でも治しちゃいます!魔王軍の紅一点!スマイリーエンジェルこと僧侶ちゃん!」


僧侶「紅一点じゃないし、スマイリーエンジェルって…僕ももう結構いい歳だよ?」


パチパチパチパチパチ! パチパチパチパチパチ!

キャアーー!ソウリョチャ~~~ン!


僧侶「あ、ありがとね、みんな…///」フリフリ


魔法使い「か…完全に負けたわ」ガクッ


魔王「側近と一緒に世界中を飛び回って人々の傷を回復させとるし、最近は医学の方も勉強してるらしいからのぅ…人気があるのも無理はない」


ウガァー!ソウリョチャ~~~~~ン!


スラりん「黄色い声援に交じって野太い茶色い声援が聞こえるんだけど…むしろそっちの方が多いかも」

196: 2014/06/05(木) 23:48:32 ID:tXOfCoew

魔王「種族、性別、全て者に区別無く優しく接するから怪我しやすい雄の魔物の方が多いのは当然といえば当然じゃ。あやつも魔物が大好きじゃし」


竜騎士「僧侶ちゃ~~~~ん!大きくなってもきゃわわわわ!」スリスリ


僧侶「りゅ、竜騎士さん!?顔を擦りつけないでよ~~!」ジタバタ


魔法使い「ちょっと、そこのシOタコン。選手紹介の前に出てこないでちょうだい」


青年「ご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。ほら竜騎士さん、行きますよ」ズルズル


竜騎士「そ、僧侶ちゃ~~~~ん!」


魔王「…あやつは変わっとらんのぅ」


スラりん「うん…あれじゃどっちが親だかわからないや」

197: 2014/06/05(木) 23:50:09 ID:tXOfCoew

魔法使い「じゃあ気を取り直して選手紹介いっきま~す!」


魔法使い「今大会最年少!三度の飯よりお兄ちゃんが大好き!完成されたブラコン、勇妹ォォオオ!!」


勇妹「お兄ちゃんと私の幸せの為に…必ず優勝する」


魔王「……この紹介アナウンスは誰が考えたんじゃ?」


スラりん「昨日、僕と魔法使いで考えたんだよ」


魔王「側近(勇者)の娘とかもっと伝えることがあるじゃろ」


スラりん「でも、勇妹といえばブラコンでしょ?」


魔王「…それもそうじゃな」

198: 2014/06/05(木) 23:52:24 ID:tXOfCoew

魔法使い「続いては…子供をこよなく愛する変O!ペロペロの魔術師の異名を持つ元魔王軍軍団長、竜騎士ッ!!」


竜騎士「フッ…夢の『兄妹丼 ~僧侶ちゃんを添えて~』は私がいただく!」クワッ


スラりん「増えてる…」


青年「竜騎士さん、子供達も応援に来てるんですから少しは自重してください」


魔法使い「その竜騎士に育てられ、魔法・剣術を巧みに扱う実力者!現在片想い中の青年だァー!!」


青年「ちょっと!!何を言っているんですか!?」


竜騎士「お前、好きな奴が居るのか!?初耳だぞ!ど、どんな奴なんだ!?お母さんに教えなさい!!」


青年「お、教えませんよ!///」

199: 2014/06/05(木) 23:54:11 ID:tXOfCoew

魔法使い「その剣術はまさに風神!二児の母でもある戦う母親、女騎士の登場ッ!!」


勇妹「…ママも参加するって知らなかった」


女騎士「私だけ除け者ってのもあれだしな」


勇妹「…?パパは治安維持で居ない。違うの?」


女騎士「あっ…まぁ今更隠しても意味ないか。実は…――」


魔法使い「どんどん行っちゃいます!こんなに大きくて硬いの初めて…///岩石の巨人、ゴーレム!!」


ゴーレム「ウオオオオー!」


魔法使い「そして今大会優勝の最有力候補!魔王ちゃんのお父さんである前魔王と魔王の座を争って敗れたサタン…その父親が成し遂げられなかった夢を叶えることが出来るのか!?魔神サタンの息子、ディアブロォォーーッッ!!」


ディアブロ「……フン」


魔王「あやつも出るのか…」

200: 2014/06/05(木) 23:55:56 ID:tXOfCoew

魔法使い「さらにもう一人、次期魔王の座を狙う者がいる!自称魔族のプリンス、ヴァンパイア!」


ヴァンパイア「フッ、今こそ私の美しく華麗な力を見せる時が―「ごちゃごちゃうるさいので一気にいきますね!」


ヴァンパイア「」


スラりん(かわいそう…)


魔法使い「月見大好き、狼男!ミノタ牛乳の社長、ミノタウロス!現在ダイエット中、ベヒーモス!オークの王、オーク王!などなど…」


魔物「紹介が雑になってきたのぅ」


魔法使い「そろそろ考えるのがめんどくさくなったのよ。次は…15人目ね。あなた達のお友達よ」


魔王「やっとか!」

201: 2014/06/05(木) 23:57:59 ID:tXOfCoew

魔法使い「小さな体に大きな夢!将来はお父さんみたいな立派な勇者!正義感溢れる勇者様の息子、勇兄!!」


勇兄(俺はこの大会で優勝して、立派な勇者になるんだ!)グッ


魔王(うむ…顔つきが少し大人になったかのぅ。旅に出たのは正解じゃったな)


竜騎士「勇兄たんのキリっとした横顔は最高だなぁ~」ウヘヘヘ…


勇妹「異論は無い。何時間でも眺めていられる」ジー


女騎士(娘がどんどん深みにはまっている気がする…)


魔法使い「そして今大会最大のサプラァーーーーイズッ!第3回大会でついに初出場!皆さんもご存知、英雄と言えばこの人!魔王ちゃんの側近でもある、勇者様だァァーーーッ!!」


魔王「えっ!?」

202: 2014/06/06(金) 00:00:13 ID:n0Uc00nI

側近「凄い盛り上がりですね」


勇兄「お、お父さん!?どうしてここに?治安維持はいいの?」


魔法使い「その辺は私が説明しちゃいまーす!勇者様はいつもこの大会が開催される日は、治安維持の為世界中を飛び回っていますが、今回は勇者様の代わりに魔王軍の方々が治安維持の方に勤しんでいます。
ちなみに前回大会の後、多くの大会参加者がより強くなろうと魔王軍に入団した為、今回は参加者が大幅に減りサバイバルマッチを行わなかったのです」


魔王「じゃ、じゃが魔王軍だけでは全ての町や村を守るには足らんじゃろ」


魔法使い「その通り!ですので魔王軍だけでなく、国王軍も協力してくださいました」


側近「王様、我侭を聞いてくださって本当にありがとうございました」


王「いやいや、本来は我が軍だけで行うべきことだ。礼を言われることでは無い。むしろ今まで自国を守るだけで精一杯で、他の町や村の護衛をそなたと魔王軍に頼りっぱなしだった我らが悪い」


王「それに礼を言うなら私ではなく、そこの彼(僧侶)に言うべきだ。彼が私に直談判をしたから実現したのだ」

203: 2014/06/06(金) 00:02:59 ID:n0Uc00nI

側近「僧侶さん、昨日の休暇の件もそうですが…私の為にここまでしてくださって本当にありがとうございます」ペコ


僧侶「そ、そんな頭を下げるほどのことじゃないよ!いつもお世話になってるのは僕の方だし、それに…勇者様の為だけじゃないんだ」


側近「…子供達の為ですか?」


僧侶「うん。いつも勇兄くん達から勇者様を取り上げちゃってるから、これが僕なりのせめてもの償いなんだ」


勇兄「僧侶さん…」


僧侶「それで昨日は楽しめた?」


側近「はい。おかげ様でとても幸せな時を過ごせました」


僧侶「そっか…よかったね、勇兄くん」ニコ


勇兄「うん!」

204: 2014/06/06(金) 00:06:05 ID:n0Uc00nI

魔王「ほ、本当に側近が出るのか………ワシ、今回は棄権していいか?」


スラりん「いくら勇者が怖いからって逃げちゃ駄目だよ」


魔王「もちろんそれもあるが…逃げたい理由はそれだけではないんじゃよ」


スラりん「え?」


魔法使い「それでは事前にクジを引いてもらったので、ここでトーナメントの組み合わせを発表しちゃいまーす!組み合わせは以下の通りです!」

212: 2014/06/17(火) 00:29:57 ID:qiM05JF2

【第3回魔王ぶっ頃し大会 決勝トーナメント】


第1試合
勇兄 vs ミノタウロス

第2試合
ヴァンパイア vs 雑魚


第3試合
竜騎士 vs リザードマン

第4試合
狼男 vs 青年


第5試合
ゴーレム vs  ベヒーモス

第6試合 
側近(勇者) vs キマイラ


第7試合
女騎士 vs オーク王

第8試合
勇妹 vs ディアブロ

213: 2014/06/17(火) 00:30:59 ID:qiM05JF2

魔法使い「時間も勿体無いのでさっそく第1試合を始めちゃいまーす!第1試合は勇兄選手vsミノタウロス選手です!それ以外の方は一旦選手控え室もしくは観客席に移動してくださーい!」


女騎士「勇兄、頑張るんだぞ」


側近「私達は観客席で見てますからね」


勇兄「うん!」


勇妹「お兄ちゃん、私達の幸せの為にも頑張って」


勇兄「よくわからないけど頑張るよ!」



魔法使い「それでは……始めてくださーい!」

214: 2014/06/17(火) 00:31:59 ID:qiM05JF2

勇兄(まずは相手の出方を伺って…)


ミノタウロス「………」ゴソゴソ


勇兄(武器を取り出すのか?)チャキッ


ミノタウロス「君…今よりモゥーっと強くなりたいと思わないかモゥ?」


勇兄「えっ?……思うけど…」


ミノタウロス「そんな君に……これを!」バッ


勇兄「!?」


ミノタウロス「このミノタ印の牛乳を毎日飲めばあら不思議!見る見るうちに身長がモゥーっと伸びてモゥーっと強くなれるモゥ!」つミノタ牛乳


勇兄「な、何だってー!?」


魔法使い「宣伝してないで試合しなさいよ」

215: 2014/06/17(火) 00:32:59 ID:qiM05JF2

ミノタウロス「さあ、試しに1杯飲んでみるモゥ」つミノタ牛乳


勇兄「あ、ありがとう!」ゴクゴク


ミノタウロス「モゥー…」ニヤリ


勇兄「うっ…!」


魔法使い「おぉーっと!いきなり勇兄選手が俯き始めたぁ!これは一体どういうことでしょうか!?」


魔王「ま、まさか!?あの牛乳の中に毒物が!?ゆ、勇兄!!」


勇兄「う……うまい!!」パアァ


ミノタウロス「だモゥ?」


魔法使い・魔王「」ズザァァ

216: 2014/06/17(火) 00:34:12 ID:qiM05JF2

勇兄「濃厚でクセもなく、穂のかな甘みもある…今まで飲んだ牛乳の中で一番おいしいよ!」


ミノタウロス「人間の酪農家の皆さんと共同開発した傑作だから美味しいのは当然だモゥ!またこの牛乳は闘技場内の売店でも販売してるので、ぜひ皆様もお買い上げくださいませだモゥ」


魔法使い「いい加減にしろゴラァ。失格にしてやろうか?あーん?」


スラりん「その気持ちはよくわかるけど、キャラ崩壊しすぎだよ」


ミノタウロス「では、そろそろ始めようかモゥ…この牛乳を毎日飲んで得た猛(モゥ)パワーを見せてやるモゥ!!」ダッ


勇兄「俺もおいしい牛乳を貰ったお礼に全力で倒してあげるよ!」チャキッ


数分後♪


ミノタウロス「」チーン


魔法使い「ミノタウロス選手をまったく寄せ付けず、勇兄選手の完封勝利でーす!ザマァミロ!」

217: 2014/06/17(火) 00:34:58 ID:qiM05JF2

勇兄「よし!まずは一勝だ!」


女騎士「お疲れ様。今日は身体の調子が良さそうだな」


勇兄「うん!…あれ?お父さんは?」キョロキョロ


女騎士「今は王様と話をしてるよ。ちゃんと見てたから安心しろ」


勇妹「お兄ちゃん、とてもカッコよかった。私の心はもうお兄ちゃんの物」


勇兄「お前の物だよ」

218: 2014/06/17(火) 00:36:07 ID:qiM05JF2

パチパチ


勇兄「ん?」チラ


ヴァンパイア「とても美しい剣術だったよ」パチパチ


勇兄「ありがと!えっと…」


ヴァンパイア「私の名はヴァンパイア。次に君と戦う者さ。君とならとても素晴らしい試合が出来るはず…楽しみにしてるよ」スタスタ


魔法使い「それでは第2試合を始めちゃいます!第2試合はヴァンパイア選手vs雑魚選手です!」


ヴァンパイア「フッ、我が美技に酔わせてあげよう」


雑魚「」ピチピチ!


ヴァンパイア「………た、対戦相手の雑魚選手って…」


魔法使い「ええ、そこにいる小魚よ。それでは始めてくださーい!」

219: 2014/06/17(火) 00:37:00 ID:qiM05JF2

ヴァンパイア「ええっ!?何故こんなにも美しい私がただの魚と戦わなくてはならないのだ!?これは仮にも決勝トーナメントじゃないのか!?」


魔法使い「さっきも言ったように魔王軍が出払っちゃって参加者が居ないのよ」


ヴァンパイア「だ、だが闘技場の選手控え室には魔王軍に所属していない魔物達がたくさん居たはずだが…」


魔法使い「皆出場を辞退したのよ」


ヴァンパイア「な、何故なんだ!?ここまで来て何故辞退するんだ!?」


側近「確かに私も控え室で皆さんと挨拶しましたけど…何かあったのでしょうか?」


魔法使い(ほとんどの魔物が勇者様が怖くて逃げ出したなんて言えない…)


スラりん(実は魔王軍の魔物達も勇者が出場するとわかった瞬間に、自分達から治安維持の方を志願したなんて言えない…)

220: 2014/06/17(火) 00:38:02 ID:qiM05JF2

魔法使い「と、とにかくちゃっちゃっと始めちゃってくださーい!」


ヴァンパイア「くっ…しょうがない。早く終わらせるか……ん?」


雑魚「」ピチ…


ヴァンパイア「……既に氏にそうなんだが…」


魔法使い「氏んだら失格負けとなりますよ」


ヴァンパイア「理不尽だな!?」


魔法使い「ほら、早く人工呼吸しないと」


ヴァンパイア「くっ…し、仕方がない…!」つ雑魚


フーッ フーッ


魔法使い「ヴァンパイア選手、大胆にも雑魚選手に熱~い口付けをしています!」

221: 2014/06/17(火) 00:38:39 ID:qiM05JF2

クスクス…
サカナトキスシテルゾ


ヴァンパイア(何故私はこんな辱めを受けているんだ!?)フーッ フーッ


スラりん「…ねぇ、魚ってエラ呼吸じゃないの?」


魔法使い「そういえばそうね」


ヴァンパイア「貴様ら私で遊んでいるだろ!!」クワッ


雑魚「」ピチ…


魔法使い「私達にケンカを売る前に早くその雑魚選手を助けないと」

222: 2014/06/17(火) 00:39:48 ID:qiM05JF2

ヴァンパイア「あーもう!水があれば一先ず大丈夫だろう!」ポワン


魔法使い「おーっと!ヴァンパイア選手、水魔法でシャボン玉のような水の玉を作って、見事雑魚選手を救いましたー!」


雑魚「~♪」スイス~イ


ヴァンパイア「よし、なんとか生き返った……で、こっからどうすればいいんだ?攻撃すれば氏ぬし、ただの魚では『まいった』も言わせられないではないか…」


魔法使い「あっ、もう十分楽しめたからあなたの勝利でいいよー。ヴァンパイア選手、見事一回戦突破でーす!」


ヴァンパイア「まさに茶番だったな!!」

223: 2014/06/17(火) 00:41:02 ID:qiM05JF2

勇兄「次の俺の対戦相手はヴァンパイアさんか…」


竜騎士「気をつけるんだぞ。ああ見えてもかなりの実力者だからな、あいつは」


勇妹「竜姉はあの人を知ってるの?」


竜騎士「残念ながらな…」ハァ…


ザッ


ヴァンパイア「フッ、君はその美貌だけでなく照れ屋なとこも変わっていないんだね」


竜騎士「うわぁ…こっちに来やがった」ヒキッ


勇妹「竜姉がガン引きしてる…珍しい」

224: 2014/06/17(火) 00:42:13 ID:qiM05JF2

ヴァンパイア「どうだい?50年ぶりの再開を祝って今夜一緒に食事でも…」


竜騎士「マジで無理。生理的に無理。まださっきの魚の方がいいレベルで無理」


ヴァンパイア「そ、そこまでかい…?」シュン


女騎士「それで二人はどういう関係なんだ?」


ヴァンパイア「おおっ!こんなところにも麗しき姫君が!」


女騎士「…こいつ頭大丈夫か?」


竜騎士「ああ、これがこいつの正常だ。基本的に♀なら魔族も人間も関係なく誰でもOKのキザ野郎なんだ」


ヴァンパイア「そこの可愛いお嬢さん、大きくなったら私の奥さんにならないかい?」


勇妹「私はお兄ちゃんの奥さんになることが確定してる。よってあなたは必要ない。消えて」


勇兄「いや、確定してないからな」

225: 2014/06/17(火) 00:43:19 ID:qiM05JF2

魔法使い「それでは第3試合を行いまーす!竜騎士選手とリザードマン選手です!」



竜騎士「おっ、次は私か」


勇妹「竜姉、頑張って」


竜騎士「ああ!勇兄ちゃんと勇妹ちゃんをペロペロする為にも全力で頑張ってくるからな!」


女騎士「母親の前でよく言えるな」イラッ


青年「ホントにすいません…」

226: 2014/06/17(火) 00:44:34 ID:qiM05JF2

魔法使い「それでは始めてくださーい!」


竜騎士「ふむ…大分鎧を着込んでるな」


リザードマン「そういうお前は随分と軽装だな。俺をナメてるのか?」


竜騎士「私は子供達以外は舐めない主義だ」キリッ


リザードマン「そういう意味じゃねぇよ!」


竜騎士「別にナメてるわけじゃないさ。ただ…お前程度の攻撃なら竜の鱗だけで十分なんだよ。そもそもトカゲが竜に勝てると思ってるのか?」


リザードマン「言うじゃねぇか。元魔王軍軍団長さんの力…見せてもらうぞ!」ダッ

227: 2014/06/17(火) 00:45:50 ID:qiM05JF2

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

228: 2014/06/17(火) 00:46:52 ID:qiM05JF2

ゴーレム「ウオオオオー!」バキッ


ズシィィン!


ベヒーモス「グ……ァ…」バタンッ



魔法使い「ベヒーモス選手、ついに戦闘不能!超重量級を制したのはゴーレム選手です!


ゴーレム「ウオオオー!」


魔法使い「これで残すところあと3試合です!」


竜騎士「おい、いくらなんでも飛ばしすぎだろ。せっかくリザードマンを華麗に蹴散らしたのに…」


青年「わ、私は竜騎士さんみたいに余祐で勝ったわけじゃなく、かなりの氏闘だったんですが…いいんですかね?」ゼェ ゼェ


魔法使い「いーのよ。戦闘シーンは長くてめんどくさいの」

229: 2014/06/17(火) 00:48:27 ID:qiM05JF2

魔法使い「じゃあとっとと次の試合に行っちゃいまーす!第6試合は側近(勇者)選手とキマイラ選手でーす!」


キマイラ「………」


スラりん「獅子の頭に尻尾が大蛇、背中には大鷲の翼かな?凄いいっぱい組み合わさってるね」


魔王「あのキマイラ、どっかで見た記憶があるんだが…どこじゃったかな?」ウ~ム


側近「はじめまして……ではなさそうですね」


キマイラ「…この姿でも俺が誰なのかわかるのか?」


側近「はい。私は基本的に一度会った方の魔力は忘れません。修行して強大な魔力を身に着けたとしても、魔力のニオイまでは変えられないものなのです」


側近「そして…色々な魔力が混ざってますが、貴方から知っている魔力のニオイがします。貴方は……ガーゴイルさんですね」


キマイラ「フッフッフ…さすがだな」

230: 2014/06/17(火) 00:49:44 ID:qiM05JF2

竜騎士「ガーゴイルだと!?確かガーゴイルは側近様に石にされたはずだが…」


キマイラ「その通りだ。俺はこいつに石にされて魔王城の独房に保管されていた……いや、保管される予定だった」


側近「どういうことですか?」


ガーゴイル「いいだろう…俺が石にされたあの日、何があったのか教えてやる!あの日…お前が石像にした俺達を魔王城に置いて去った後のことだ…――」

231: 2014/06/17(火) 00:51:15 ID:qiM05JF2

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(※前スレ64の後)


――魔王城――


側近「もし戻ってきた時に鍛錬もしないで腑抜けてたら…私が魔王様を倒して魔王兼勇者となります」

魔王「」


側近「魔王様、お城の掃除と魔法の鍛錬を怠らないでくださいね。あっ、健康の為にもたまには外にお出かけください。お小遣いはここに置いておきますが、お菓子やオモチャばかり買わないでくださいね。では、行ってまいります」ヒューーーーーン!


魔王「」

232: 2014/06/17(火) 00:52:08 ID:qiM05JF2

魔王「…とりあえずこいつらを独房に入れるか。やらんと後でお仕置きされてしまうし…」ズルズル


魔王「それにしてもあやつ…本気でワシを倒すつもりなのか?そもそも君主に手を出せるわけ……出しまくってるな。それもかなり頻繁に…」


魔王「………ま、大丈夫じゃろ。あやつもきっとすぐに忘れるはずじゃ!」※忘れるはずもなく、ボロボロにお仕置きされました


魔王「久々に側近の顔を見て安心したら腹が減ったのぅ。だが食料は切れてしまったし…」


魔王「………あっ!たしか独房にはケルのエサ用の猛獣達も一緒に保管されてたはずじゃ!よし、それを焼いて食うか!」

233: 2014/06/17(火) 00:53:21 ID:qiM05JF2

独房


魔王「思ったとおり石にして保管してある。一匹だけ石化を解いて食べるか」ピッ


猛獣達「ガウゥ!?」


魔王「あっ、他の奴らも数匹解いてしまったか…やっぱりこういう繊細な魔法のコントロールは上手くできんのぅ」


猛獣達「ガルルル…」


魔王「ん?ワシを食うつもりか?やめておけ。さっきも言ったようにワシは魔法のコントロールが下手なんじゃ。だから…手加減できんぞ」ニヤリ

234: 2014/06/17(火) 00:54:36 ID:qiM05JF2

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猛獣達「」チーン


魔王「少し焼きすぎたかのぅ。やっぱり上手く加減が出来ん…ん?」


ガーゴ/イル「」


魔王「あっ、こいつも壊してしまった………ま、まだ身体のパーツはそこら辺にあるから、ご飯粒でくっ付けておけば大丈夫じゃろ!」ガサゴソ


魔王「まずは頭……これじゃったかな?」つ獅子の頭


魔王「次はたしかこいつは翼を持っとったはずじゃから…これじゃろ!」つ大鷲の翼


魔王「尻尾は…ついてなかったかもしれんがもうちょっとだけ凄みをつけておこうかのぅ」つ大蛇

235: 2014/06/17(火) 00:55:18 ID:qiM05JF2

魔王「後はこれも、これもついでにここにつけてと………よし、出来たぞ!」


キマイラ「」


魔王「……うむ、我ながら素晴らしい作品じゃ!」エッヘン!


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キマイラ「こうして俺は造られた…その後はペットのエサとして食われる瞬間に隙をみて何とか逃げ出し、こんな目に合わせたお前ら二人を頃す為ずっと力を蓄えていたんだ!」


スラりん「何をやってんの魔王…」

236: 2014/06/17(火) 00:56:15 ID:qiM05JF2

魔王「………」ソー


側近「…魔王様、逃げようとしないでください」


魔王「」ビクッ


魔王(これは後でお仕置きパターンじゃな…)ズーン


側近「魔王様が大変ご迷惑をかけました。すいませんでした」ペコ


キマイラ「元々お前が俺を石にしたのが悪いんだろ!」


側近「いえ、それは貴方が悪いので私に非はありませんよ」


キマイラ「うるせぇ!とにかくお前なんてブッ頃してやる!!」バッ


魔法使い「キマイラ選手、いきなり側近選手に襲い掛かったぁー!」


側近「しょうがないですね…」

237: 2014/06/17(火) 00:57:08 ID:qiM05JF2

キマイラ「ハッ!また俺を石にするつもりか?石化魔法はある程度実力差が無いと効かないんだぞ!!お前ら二人を頃す為に9年間ずっと鍛錬をしてきた俺に効くと思ってるのか!?」


側近「はい、思ってますよ」ピッ!


キマイラ「へ?」カチーン!


魔法使い「おーっと!なんとキマイラ選手を一瞬で石にしてしまいました!」


スラりん「たった9年修行しただけで勇者に勝てると思うなんて…無謀だね」


魔法使い「これはもう戦闘不能ですね。側近選手の勝利でーす!」


側近「ガーゴイルさん、安心してください。たしかまだ独房にパーツが残ってると思いますので、後で元の身体に戻してあげますね」


スラりん「石化は解いちゃうの?」


側近「…?石化を解く必要があるのですか?」


スラりん「えっ?そ…そうだよね!解く必要ないよね!(さすがにちょっとかわいそう…)」

238: 2014/06/17(火) 00:58:02 ID:qiM05JF2

側近「では……魔王様」


魔王「な、なんじゃ?」ビクッ


側近「ガーゴイルさんを魔王城に連れていくので一緒についてきてください」ニコ


魔王「……はい(お待ちかねのお仕置きタイムか…)」トボトボ


側近「女騎士さん、私は少し席を外します。次の試合頑張ってくださいね」


女騎士「ああ、勇者が戻ってくる前に終わらせておくよ」

239: 2014/06/17(火) 00:59:23 ID:qiM05JF2

魔法使い「第7試合は女騎士選手vsオーク王選手でーす!」


女騎士「さて…とっとと終わらすか」


オーク王「一回戦からお前と当たるなんて…運がいいな」


女騎士「ほぅ…そんなに私とやりたかったのか」


オーク王「ヤりたくないわ!!お前はまだ我らから搾り取るつもりなのか!?」


女騎士「……いや、貴様は何を言っているんだ?」


オーク王「お前は我がオーク一族の子種を根絶やしにした悪魔だ!お前のせいで我が一族は絶滅の危機に瀕しているんだぞ!昇天してしまったあいつらの為にも…お前との因果を断ち切ってみせる!!」


女騎士「まったく身に覚えがないんだが…」

240: 2014/06/17(火) 01:00:31 ID:qiM05JF2

魔法使い「それでは…始めてください!!」


オーク王「うおおー!」ブンブンッ!


魔法使い「オーク選手、自慢の怪力で大きな斧を振り回し始めたぁ!これは凄い!」


オーク王「うりゃああ!」ブンッ!


女騎士「どんな凄い怪力を持っていても当たらなくては意味がないぞ」サッ


女騎士「それにそんな軽装では『切ってください』と言ってるようなものだ」チャキッ


オーク王「フッ、我にはお前の攻撃は効かん」


女騎士「何?」


オーク王「この日の為に鍛えぬいたコレを見よ!!」ボロンッ


女騎士「」

241: 2014/06/17(火) 01:01:33 ID:qiM05JF2

魔法使い「ここでいきなりもう一つの武器、聖剣もとい性剣を取り出したぁー!!」


スラりん「子供達は直視しないでね」


オーク王「フッフッフ…今までのオークのモノと一緒にするなよ。我が性剣の太さと耐久力はドラゴンに匹敵すると言われているんだ!さあ、搾り取れるなら搾り取ってみろ!!」ビキビキ


女騎士「………」スパッ


ボトッ


オーク王「へ?」


魔法使い「オーク王の性剣もといソーセージを躊躇無く切り落としたぁーー!!」


スラりん「表現がどんどん直接的になってきたね」


オーク王「わ…我のチ○コがぁぁああ!!」


スラりん「それはさすがにアウトだよ」

242: 2014/06/17(火) 01:02:42 ID:qiM05JF2

女騎士「……氏ね」チャキッ


オーク王「ひいぃ!?ままま、まいったぁ!!もう許してくれ!」


女騎士「却下だ」グサッ


オーク王「ぎゃあああーー!!」




勇兄「お、お母さん!頃したら失格になっちゃうよ!勇妹、魔法でお母さんを止めて!」


勇妹「汚いモノを見せた罰。もう一太刀食らわしてから止める」


勇兄「今すぐ止めろー!!」

243: 2014/06/17(火) 01:03:35 ID:qiM05JF2

魔法使い「少しだけ過激でしたが、オーク王選手のまいった宣言により女騎士選手の勝利です!」



女騎士「すまない…お前達に見苦しいとこを見せてしまった」


勇兄「そ、そんなことないよ!誰だっていきなりおチンチンを出してきたらビックリしちゃうって!(切り落とすのはさすがにやり過ぎだけど…)」


勇妹「そう。見苦しかったのは相手の方。ここはお兄ちゃんのおチンチンで浄化するべき」


勇兄「お前は何を言っているんだ?」



魔法使い「………ねぇ、おチンチンはOKなの?」


スラりん「うん、子供だしギリギリセーフ…かな?」

244: 2014/06/17(火) 01:04:51 ID:qiM05JF2

僧侶(まさかこんな治療をすることになるなんて…)ポゥ…


オーク王「おおっ!!わ、我が性剣がくっ付いていく!」パァァ


僧侶「はい、終わったよ」


オーク王「そ、僧侶ちゃんありがとう!このご恩は一生忘れないぞ!」


僧侶(出来ることならすぐに忘れたいなぁ……)


オーク「そうだ!お礼に我がオーク村の名産である極太ソーセージを―「遠慮するよ」

251: 2014/06/18(水) 00:22:05 ID:4MurJu3A

魔法使い「次の試合が一回戦最後の試合となります!第8試合、勇妹選手vsディアブロ選手でーす!」


勇兄「勇妹、頑張れよ!」


女騎士「無茶だけはするなよ」


勇妹「うん」


竜騎士「女騎士の言うとおりだ。ディアブロはかなりの実力者…ハッキリ言って私より強い。危ないと感じたらすぐに棄権するんだぞ」


勇妹「……わかってる」スタスタ


勇妹(そう…一目見ただけでわかる。あの人は私より全然強い。でも……負けられない)


勇妹「…待たせてごめんなさい」


ディアブロ「フン…」



魔法使い「それでは…始めてくださーい!」

252: 2014/06/18(水) 00:23:09 ID:4MurJu3A

____________________


ヒュー…ン
     スタッ


側近「少しだけ遅れましたね…魔王様が歩けなくなるからいけないんですよ」


魔王「ま、まさかお仕置きが正座とは思わなかったんじゃ!今も足が痺れてうまく歩けんし!」フラフラ


側近「ん?」


勇兄「そ…そんな……」


側近「勇兄、どうかしましたか?」


勇兄「お、お父さん…勇妹が……」


魔王「あっ…勇妹ぉ!!」

253: 2014/06/18(水) 00:23:55 ID:4MurJu3A

勇妹「ぐ……」プスプス…


ディアブロ「フン…他愛も無い」ポイッ


魔法使い「ディ…ディアブロ選手の圧倒的な力の前に、勇妹選手は手も足も出ません…」


魔王「ディアブロめ…!」ギリッ


ディアブロ「来たか魔王。これでやっとお前に聞かせることが出来る…大切な友達の悲鳴をな」ス…


魔王「や、やめろォ!」


ドオォォン!


勇妹「きゃああああ!」


魔法使い「ディアブロ選手が手をかざした箇所が大爆発!!こ、これは…勇妹選手は大丈夫なんでしょうか…?」

254: 2014/06/18(水) 00:25:24 ID:4MurJu3A

ドサッ


勇妹「ぐ……ま、まだ…負けられない……優勝して…ちゃんと法律的に兄妹で結婚できるようにするまで…は…」ググググ…


勇兄「勇妹!!もうあきらめて降参しろ!!」


ディアブロ「さて…そろそろ壊すか」スッ…


勇妹「お…お兄……ちゃん…」ガクッ


魔法使い「そ、そこまでです!!」


ドオォォン!


ディアブロ「ん?」


側近「…もう終わりですよ」プスプス…

255: 2014/06/18(水) 00:26:22 ID:4MurJu3A

ディアブロ「…この大会は乱入もありなのか?」



魔法使い「乱入は無しですが、最後の攻撃をする前に既に勇妹選手は戦闘不能であなたの勝利が確定してました。なので側近選手は失格にはなりません」



ディアブロ「フン…まぁいい。貴様は直接俺の手で始末してやる。楽しみにしてろ…」スタスタ


側近「ええ…楽しみにしてます」


勇兄「勇妹!!」タタタタタッ


側近「勇兄、すぐに勇妹を僧侶さんのところに連れていってください」


勇兄「うん、わかった!」

256: 2014/06/18(水) 00:27:26 ID:4MurJu3A

勇妹「お、お兄…ちゃん……うっ!」


勇兄「内臓をやられているんだ、喋らないでジッとしてろ」ヨイショ


勇妹「こんな傷……お兄ちゃんがキスしてくれれば…すぐに治る……がハッ!」


勇兄「喋るなって言ってるだろ!!」タタタタタッ



魔法使い「で、では一回戦の試合が全て終了したので少しだけ休憩に入ります」



側近「…さて」

257: 2014/06/18(水) 00:28:23 ID:4MurJu3A

____________________


ディアブロ「………」スタスタ


ザッ


魔王「ディアブロ…貴様ァ!!」


ディアブロ「フン…久々だな魔王。俺の親父がお前の親父に殺された時以来だから…150年ぶりぐらいか?」


魔王「そんなことどうでもよい!よくもワシの大事な友達を……頃してやる!」ゴゴゴゴゴ


ディアブロ「フン…上等だ。やってみろ」ゴゴゴゴゴ

258: 2014/06/18(水) 00:29:07 ID:4MurJu3A

側近「魔王様、落ち着いてください。いくら試合では無いとはいえ、今頃したら失格になりますよ」


魔王「側近…だ、だが!お前は娘があんな目に合わされて許せるのか!?」


側近「…この大会は基本的に氏ななければ何でもありの大会です。勇妹もそれをわかった上でこの大会に参加してます。ディアブロさんだけを責めることは出来ませんよ」


ディアブロ「そりゃそうだろうな。俺は何もルール違反をしてないんだから」


側近「ですが……私も一人の親です。愛する我が子があんな目に合わされたら…許せるはずがありません」


ディアブロ「フン…許すも何も、貴様に俺を罰する力も権限もない。魔物にも人間にもなりきれん中途半端な存在のクセに図に乗るなよ…」スタスタ

259: 2014/06/18(水) 00:30:25 ID:4MurJu3A

魔王「ディアブロめ…」ゴゴゴゴゴゴ


側近「……魔王様、そろそろ魔力を抑えてください。この闘技場が壊れてしまいます」


魔王「…うむ」フッ


魔王「だが…あやつをこのままにしていいのか?次にあやつとあたるのは女騎士。へたをすると…殺されてしまうぞ」


ザッ


女騎士「心配するな魔王。私は次の試合を棄権する。魔法使いにはもう伝えておいた。だから…頼んだぞ、勇者」


側近「はい…任せてください」

260: 2014/06/18(水) 00:30:55 ID:4MurJu3A

引用: 勇者「魔王を倒す旅に行ってくるね!」魔王「気をつけるんじゃぞ」