めぐ「だめ！水銀燈の事は皆知りたいの！お願い！」

水銀燈「もう…見るだけよ　ほら」

めぐ「わぁい！ってあれ？何これ？」

手紙には文章は何も書いておらず
ただ大きな正方形とその中に市松模様があるだけだった
模様の中には色々な記号が書かれてあった

めぐ「これ何？何かのゲーム？」

水銀燈「…チェスをやっているのよ」

めぐ「へぇー！これチェスなのね！手紙でチェスかー
何かロマンティックね！
ねえねえ！誰とやってるの？」

水銀燈「知らないわ」

めぐ「え？」

水銀燈はぽつりぽつりと話してくれた
郵便チェスという遊びがあり
あらかじめ郵便チェス協会に登録すると
ランダムに他の会員とチェスができるという事

めぐ「これって一手毎に手紙を書くの？」

水銀燈「そうね…何日か掛けて次の一手を考えて手紙を出すでしょう
そしたらまた相手が何日か掛かって次の一手を返してくる…
そんなゲームよ」

めぐ「ふぅん…気が長い遊びね」

水銀燈「まあね　貴女には向いてないわ」くす

数日後　ジュンの家

真紅「そろそろ郵便屋さんが来る頃だわ
郵便受けを見に行きましょう」

真紅「…これはのり…これはジュン…」ﾊﾟｻﾊﾟｻ…

いくつかの手紙に混ざって白い封筒が見つかった

真紅「やっぱり来ていたわ！そろそろ来る頃だと思っていたのよ
嬉しいわ」

ジュンの部屋

ジュン「おっ　機嫌いいな真紅　チェスの手紙届いたのか」

真紅「ええ…ふむ…成程成程…すばらしい手だわ…」

真紅は手紙を開けて楽しそうに読んでいる

ジュン「お前それ届くたびにすごいニコニコしてるよな…
それそんなに面白いのか？」

真紅「ええ…この人との勝負はとても楽しいわ…」

ジュン「でもどこの誰かも分かんないんだろ？一体どんな人なんだ？」

真紅「そうね…名前も住んでいる所も…何をやっている人なのかも
分からないけれど
でもとてもやさしい人よ」

ジュン「ｗｗやさしいってｗｗどこで分かるんだよｗｗ
チェスやってるだけだろ？」

真紅「いいえ…ただチェスをやっているだけでも
分かる事はあるわ
慎重な人　軽率な人　負けそうになると投げやりになる人
強気な人　弱気な人
そう言った事が一手一手に込められているわ

そしてこの人は…とても丁寧で思いやりがあり…
美しいやり方が好き
それでいて…そうね　非常に繊細だわ」

ジュン「へえーｗｗチェス怖いなｗｗ」

真紅「そういうものよ」くす

またある日　有栖川大学病院

めぐ「ねえねえっ！チェスの調子はどう？
勝てそう？」

水銀燈「そうね　今少し困っているわ
ひょっとしたら負けるかもね」

めぐ「ええー！？水銀燈が負けるの！？それってすごく面白い！
ねえ水銀燈って強いの？相手ってどれ位の腕の人？」

水銀燈「面白いって貴女ねえ…
まあ…私はどうなのか知らないけど
この人は強いわね…」

しかし水銀燈はどこか嬉しそうだった

めぐ「ねえ…とっても気になる事があるんだけど…
水銀燈ってこのチェスの事考えてる時ちょっとわくわくしてるよね？」

水銀燈「ええ？別にそんな…」

めぐ「そうよそう！絶対そう！はー　水銀燈をこんなに
夢中にさせるなんて…一体どんな人なんだろ…」

こんな事を聞くと普段の水銀燈ならとても迷惑そうな顔になるものだった
しかしその日は少し嬉しそうにしてぽつりぽつりと話してくれたのだ

水銀燈「どんな人…」

水銀燈「そう…きっと…素晴らしく頭が良い人…
おそろしく冷静で…体系だった思想の持ち主だわ
でも…どこか優雅で…とても」

めぐ「ｗｗとても？」

水銀燈「なんでもない
ただ一緒にチェスをしていると楽しいわ…そんな人」

おしまい

いいよ

めぐとJUM草生やしすぎだろ