1: 2014/02/26(水) 12:16:32 ID:U2vwj7OM
高校入学式前日

勇太「うーん……」

樟葉「お兄ちゃん、なにやってるの?」

勇太「樟葉、この制服の着かたどう思う?」

樟葉「何いきなり……?別に普通だと思うけど」

勇太「普通……普通か!だよな!普通だよな!!よーし!!」

樟葉「なんだか知らないけど明日入学式なんだから早く寝なよ……」スタスタ

勇太「やる!やれる!!中学までの自分と決別して普通の自分になるんだ!」

勇太「あの忌まわし過去を…………」

2: 2014/02/26(水) 12:17:01 ID:U2vwj7OM
プラプラ…

勇太「ロープ?」

ギシッギシッ…

勇太「……」

七宮「んっ、あ、あれ……?このあたりで手すりに足がつくはず……」

勇太「……」スッ

七宮「お?おお!?」ストン

勇太「あのー……どちらさまで……ああっ!!」

七宮「にーっはっはっ!久しぶりだね勇者!!」

3: 2014/02/26(水) 12:17:54 ID:U2vwj7OM
勇太「七宮……?お前、なんでこんな所から?」

七宮「実はまたこっちに引っ越して来たんだよ。まさかそれが勇者の拠点の上だったなんてね!」

勇太「いや、もし知らない人が住んでたらどうする気だったんだよ」

七宮「にーっはっはっはっ!その点は大丈夫!実は昨日、勇者がこの家に入るところを見ちゃったんだよね。表札も富樫って書いてたしさ♪」

4: 2014/02/26(水) 12:18:48 ID:U2vwj7OM
勇太「……で?こんな所から何の用なんだ?来るなら玄関から来れば良いだろ」

七宮「うーん、特に用はないんだけど……しいて言うなら……」

勇太「なんだよ?」

七宮「にーっはっはっはっ♪今度こそ勇者、君の魂をいただくとするよ♪」

勇太「意味が分からん」

七宮「んー……あれ?勇者、その制服もしかして……」

勇太「高校の制服だよ。どうだ、普通だろ?」

七宮「私も同じだよ!また勇者と同じ学校に通えるんだね!!」

勇太「そうなのか?ここから結構遠いのに……偶然だな」

七宮「違うよ勇者。私がここへ引っ越して来た偶然。それと同じ学校へ通う偶然」

七宮「偶然と偶然が重なればそれはもう必然なんだよ」

勇者「お前まだそんな事言ってるのか」

5: 2014/02/26(水) 12:19:37 ID:U2vwj7OM
七宮「にーっはっはっはっ♪私はこれからもずっと言い続けるよ!勇者と別れてから400年、また会えると信じ続けたらこうして出会えたんだからね」

勇太「まだ3年しか経ってないだろ」

七宮「あっちの世界では400年だったからね。じゃあ勇者、また明日!」

勇太「もう帰るのか?」

七宮「うん。魔法魔王少女は忙しいんだよ!」

勇太「危ないから玄関から帰れよ」

七宮「平気平気♪……あっ!大事な事を忘れてた。勇者、こっちこっち」

勇太「?」

6: 2014/02/26(水) 12:24:16 ID:U2vwj7OM
ツンッ

七宮「はなポチ……これも久しぶりだね」

勇太「お前なぁ……もう高校生になるのに」

七宮「にーっはっはっはっ!それじゃあ勇者、さらばだー!」

シュルシュル

勇太「はぁ……先が思いやられる。……にしてもあいつ、全然変わってないな」


七宮「勇者、ちょっと大人っぽくなってた気がするな……」

七宮「こうして勇者とまた会えたのもきっと運命なんだよ!」

七宮「明日から勇者とまた同じ学校……勇者とまた同じ学校……!!」

七宮「にーっはっはっはっ!!はっはっ……」

七宮「はなポチ……ちょっとドキドキしちゃったな……」

七宮「うぅー……!ダメダメ!!私は魔法魔王少女として生きていくって決めたんだから!!」


勇者(独り言?なにやってんだあいつ)

17: 2014/03/01(土) 03:15:47 ID:tSE6hIsI
翌朝

勇太「…………」スヤスヤ…

コンコンッ

勇太「うーん……」

コンコンコンッ!

勇太「ん……っ、ん……?」

七宮「勇者!勇者!!」

勇太「はぁ……」

カチャッ

七宮「にーっはっはっはっ!夜は明け決戦の火蓋は切って落とされた!さぁ勇者よ立ち上がるのだ!」

勇太「……そうだな。じゃあ寝るか」

七宮「あっ、勇者寝ちゃダメだよ。もう学校へ行く時間だよ!」グイグイ

勇太「あのなぁ……時計を見てみろ。まだ6時前だぞ」

七宮「もしかしたら通学途中で時空がネジ曲が」

勇太「って無い!」

18: 2014/03/01(土) 03:22:48 ID:tSE6hIsI
樟葉「ふぁーぁ……おにいちゃん?朝からなに騒いで……」

七宮「何者!?なぜ勇者の拠点に部外者が!?」

勇太「部外者って……」

樟葉「あれ?もしかしてさとねちゃん?」

七宮「どうして私の仮の名を……!」

樟葉「私だよ私、樟葉。お兄ちゃんの妹の」

七宮「くずは?くずはくずは……樟葉!!」

樟葉「うん。久しぶりだねー」

七宮「樟葉ー!」ムギュッ

樟葉「わっ」

七宮「400年前に会ったときは微粒子レベルだったのに大きくなったんだね!」

樟葉「微粒子レベルでは無かったし、3年しかたってないけどありがとう」

七宮「にーっはっはっはっ!では樟葉の成長と我々の再会を祝して宴を」

勇太「学校行くんだろ!」

20: 2014/03/02(日) 12:32:31 ID:OCgAoD4E
朝食

樟葉「そっかー、じゃあさとねちゃん上の階に引っ越してきたんだ」

七宮「そうなんだよ!偶然空いた所へ引っ越したら偶然ね!これはもう必然、運命なんだよ!」モグモグ

勇太「お前、普通にうちで飯食ってるな」

樟葉「あー……そういえば前に小鳥遊さん料理の勉強で外国に行くとか言ってたっけ」

勇太「あのちょっと怖そうな背の高い人だろ?よく良い匂いがしてたけど料理人だったのか」

樟葉「ちょっと表情は硬いけどいい人だったよ?新聞とか捨てに行ったら持ってくれたりしたし」

七宮「勇者は昔から人と接するのを避けていたからねー」

勇太「避けてたって言うか、避けられてたんだろうけどな……」

21: 2014/03/02(日) 12:37:54 ID:OCgAoD4E
七宮「それでさ、ちょっと話は変わるんだけど良いかな?」

勇太「なんだよ?」

七宮「勇者はどうしてそんな変な話し方をしているの?昔はもっとこう……我が名はダークフレイムマスター!みたいなさ」

勇太「それは昔が変で今は普通になっただけだ!良いか?俺はもうそういうの卒業したの!」

七宮「卒業?勇者は勇者の記憶を失ったと言うこと……?」

勇太「そもそも俺は勇者じゃなくて勇太だ」

樟葉「さとねちゃんが引っ越しちゃってすぐだったよね。お兄ちゃんが普通になったのって」

七宮「つまり私とのリンクが切れて勇者に影響が……?ならまたこっちに来たんだから元に戻」

勇太「らない!!」

22: 2014/03/02(日) 12:44:29 ID:OCgAoD4E
樟葉「さとねちゃんが引っ越してからしばらく大変だったんだよ?お兄ちゃん」

七宮「?」

樟葉「心ここにあらずって感じでポーっとしちゃって、食器なんて数えきれないくらい割っちゃったんだから」

勇太「樟葉も余計な事言うなよ」

樟葉「でね、ある日急に私の事を樟葉って呼びはじめたの。それまでは「妹よ」とかだったのに」

七宮「でもどうして急に…………ハッ!」

勇太「なんだよ?」

七宮(私が以前勇者に特別な感情を持った時、魔法魔王少女の力を失いかけたんだよね……)

七宮(あの時は感情をコントロールして魔法魔王少女であることを選んだけど、勇者は完全に記憶を失っている……)

七宮(つまり今の勇者には特別な存在が……?)

勇太「?」

23: 2014/03/02(日) 12:51:04 ID:OCgAoD4E
七宮「ね、ねぇ勇者、勇者はさ……その、どうして記憶を失ったのかな……」

勇太「別に記憶を失ってる訳じゃ無いさ。消したいけどあの記憶は黒歴史として残ってるよ」

七宮「じゃあいつからそんな風に?誰の影響で?」

勇太「誰の影響って、そんなの決まってるだろ。お前だよお前」

七宮「え……?私?」

勇太「お前に影響されて中二病になって、いなくなったら元に戻ったんだからそうなるだろ」

七宮「そ、そうなのかな?」

勇太「あっ、別に文句言ってる訳じゃ無いからな。きっとあの時は楽しかったんだろうし」

樟葉「じゃないとさとねちゃんが居なくなった時、あんなに落ち込まないよねー」

勇太「う、うるさい!」

24: 2014/03/02(日) 13:01:02 ID:OCgAoD4E
七宮(つまり……もしかして…………勇者も私の事、気にしてくれてたのかな……特別な意味で……)

勇太「七宮?どうかしたか?」

七宮「……え?あっ、に……にーっはっはっはっ!いやー、今日もいい天気だね!勇者!」

勇太「なんだよ急に」

七宮「樟葉の料理も美味しいし!これなら魔界へ行っても安心だよ!」

樟葉「うーん……お母さんと夢葉は海外に行ってるけど私は魔界にはいかないかな」

勇太「入学して早々に父さんの所行ったからな。うちは今樟葉と二人だけだしいつでも遊びに来いよ」

25: 2014/03/02(日) 13:06:30 ID:OCgAoD4E
七宮「う、うん!ご、ごちそうさま!それじゃあ私は学校へ行ってくるね!」

勇太「もうそんな時間か。じゃあ樟葉、戸締まり頼んだぞ」

七宮「ええっ!?ゆ、勇者も一緒に行くの……?」

勇太「は?そのためにうちに来たんだろ?」

七宮「そ、そっか、そうだよね」

勇太「七宮、お前なんか変だぞ?」

七宮「にーっはっはっはっ!へ、変なのは勇者だよ!早く昔みたいに戻ってくれないとこっちが調子狂っちゃうからね」

勇太「戻る気は無いって言ってるだろ」

七宮「そんなの困るよ!」

勇太「いや、別に困らないだろ」

26: 2014/03/02(日) 13:13:05 ID:OCgAoD4E
七宮「勇者がそんなだと……私まで魔法魔王少女でいる事を保てなくなりそうだし……」

勇太「良いんじゃないか?もうお前もそんなの卒業して普通になれば」

七宮「普通……それってまた勇者に……」

勇太「?」

七宮「な、なんでもない!もう先行くから!!」ダバダバー

勇太「あっ!おい!……なんだいったい?」


七宮「にーっはっはっ……ダメダメ、私は魔法魔王少女、ソフィアリング・SP・サターン7世なんだから……!」

七宮「あの日誓った事を忘れちゃいけない……私が魔法魔王少女であるために!」

七宮「そう!私は未来永劫魔法魔――」

勇太「ハァ、ハァ……やっと追い付いた。お前、相変わらず足速いな」

七宮「う……っ、うぅ……!魔法魔王少女ソフィアリングSPサターン7世だからー!」ダダダーッ

勇太「七宮ー!?」

33: 2014/03/08(土) 01:49:54 ID:CApcLzzI
七宮「ハァッハァ……走って来たけど……私って何組なんだっけ?」

先生「はーい、あっちにクラス分けの紙が貼ってあるからねー」

七宮「あっち?あっ、あの紙かな」


七宮「えっと、私は……四組みたいだね」

七宮「……」

七宮「い、一応、なんとなく……勇者が同じ組か調べてみたりして……」チラッ

七宮「…………」

七宮「に、にーっはっはっはっ!そりゃこれだけクラスが別れてちゃ仕方ないよね」

七宮「仕方ない……か」

34: 2014/03/08(土) 01:56:41 ID:CApcLzzI
七宮「……」

バシッ

七宮「いたたっ」

勇太「なに先に行ってんだよ。まったく」

七宮「にーっはっはっ……ごめんごめん、勇者の脚力を確かめておきたくてさ!」

勇太「何言ってんだよ。クラス分けの紙ってこれか?」

七宮「うん……」

35: 2014/03/08(土) 02:00:09 ID:CApcLzzI
勇太「七宮は何組だったんだよ?」

七宮「私は四組かな……」

勇太「ああ、本当だ。じゃあこれから一年は同じクラスだな」

七宮「そう……ええ!?ど、どうして!?だって勇者の名前はうちのクラスには……」ジーッ

七宮「安本、山口、山下、山本、湯元、吉田……やっぱりないよ!」

勇太「お前……まさか勇者で探してるんじゃないだろうな……」

七宮「え?」

勇太「え?じゃない!俺は富樫勇太だ!お前だってソフィアじゃなくて七宮で載ってただろ!」

七宮「ほ、ほんとだ!勇者の名前があるよ!じゃあこれからは一緒だね!!」

勇太「あ、ああ……そうだな。ってかテンション高いな」

七宮「勇者!早く一緒に教室へ行こうよ!」

勇太「わかったからその勇者ってのやめろ!!」

36: 2014/03/08(土) 02:05:09 ID:CApcLzzI
先生「はーい、名前の順に席についてー」

七宮「勇者、勇者!席も隣同士なんて凄い事だよね!」

勇者「うちのクラスの男子は山本とか山下とかやたらヤ行以下が固まってたからな……」

七宮「私がシで勇者がトなのに隣同士だもんね。これはきっと」

勇太「必然、運命って言うんだろ?」

七宮「さすが勇者。よく分かってるね!」

勇太「バカバカしい……って言いたい所だけど、これだけ重なるとな……こうなる運命だったのかもな」

七宮「運命……に、にーっはっはっ!そう、運命なんだよ!!」

44: 2014/03/14(金) 11:55:59 ID:JGbniJ9g
翌日

勇太「走れ七宮!入学式の翌日に遅刻とか洒落になんないぞ!」

七宮「にーっはっはっはっ!この魔法魔王少女、ソフ」

勇太「良いから走れ!」

七宮「ハッ!まさかこれは刹那の」

勇太「良いから走れー!」

七宮「勇者、あっちから魔力を感じる!行ってみる!?」

勇太「行かないに決まってるだろ!」

七宮「くっ……どうして私達がこんな窮地に……!まさか天使達が攻撃を……?」

勇太「お前が樟葉と思い出話ばっかりしてたからだろ!!」

45: 2014/03/14(金) 12:02:23 ID:JGbniJ9g


勇太「ハァ……ハァ……やっと着いた。やっと着いたけど……」

七宮「勇者ー、次の電車は10分後みたいだよー」

勇太「はぁ……」

七宮「まぁ起きてしまった事は仕方ないよ。前を向いて歩こう!にーっはっはっはっ」

勇太「なんで朝からこんなに疲れなくちゃいけないんだよ……喉も渇くし」

七宮「この程度で疲れるとは……やはり勇者の体に何か異変が……?」

勇太「ジュース買うけど七宮も何か飲むか?」

七宮「ううん、私は今飲食を断って修業してる最中だから遠慮しておくよ」

勇太「あっそ。……まるで自分の黒歴史を見ているようで頭が痛いな」

46: 2014/03/14(金) 12:10:17 ID:JGbniJ9g
勇太「やれやれ……」プシュッ

七宮「あっ、その飲み物は懐かしいね!まだ売ってたんだ」

勇太「ああ、昔よく飲んだっけ」

七宮「こうして手を組んでね!」ガシッ

勇太「ぷっ……そういやそんな事もしたな」

七宮「そうだ!勇者、見てよ!コレは今でも持ってるんだよ!……ほら!」バッ

勇太「カ口リーメイトか……」

七宮「常に戦いに身を置いている私達だから、食事は素早く確実に取らないとっ……て勇者が進めたんだよね!」

勇太「やめてくれ……頭が痛い」

七宮「いっただっきまーす」

勇太「食うのかよ!飲食は断ってるんじゃなかったのか?」

七宮「常に戦いに身を」

勇太「言うな!!」

47: 2014/03/14(金) 12:15:29 ID:JGbniJ9g
勇太「久々に飲んだけどやっぱ変な味だなコレ。なんか薬くさいって言うか……」

七宮「それには魔力ふぁふぁひっ」

勇太「食べながら話すな」

七宮「んんっ!?けほっ!けほっ!!」

勇太「そらみろ、ってかそれ口の中バサバサだろ。ほら、水分とれ」

七宮「んぐっ……んぐっ……、ぷはぁ!にーっはっはっはっ!魔力回復!!」

勇太「涙出てるぞ」

七宮「やっぱりこの飲み物には魔力が含まれて……いる…………みたい……」

勇太「なんだよ?」

七宮「……な、なんでもないんだよ!にーっはっはっはっ!!」

48: 2014/03/14(金) 12:20:49 ID:JGbniJ9g
勇太「あー、良いよ。全部飲んで。もう一本買ってくるから」

七宮「だ、だめだよそんなの!これはちゃんと返すから!!」

勇太「良いって。そんなの水分無しで食べてたらまた喉につまるぞ」

七宮「いいから!これは勇者が飲んでよ」

勇太「? 後で奢れって言っても買ってやらないからな」

七宮「うん……」

勇太「変な奴だな」ゴクゴク

七宮「…………」ジーッ

勇太「……なんだよ?」

七宮「な、なんでもないよ!にーっはっはっは!!」

49: 2014/03/14(金) 12:26:51 ID:JGbniJ9g
勇太「はぁ……、そんなに見られてたら飲みづらいだろ」

七宮「……」

勇太「そんなに欲しいなら遠慮するなって。俺はもういらないから、はい」

七宮「じゃ……じゃあもらっちゃおうかな……」

勇太「もうすぐ電車くるし早く食べて飲んじゃえよー」

七宮「わ、わかったよ!」

七宮「…………」

七宮「んっ……」ゴクッゴクッ

七宮「…………」

勇太「おっ、電車来たぞ。……七宮?……七宮!!」

七宮「えっ!?あ、ご、ごめん!何の話だっけ?」

勇太「いや、電車がきたって話だよ」

50: 2014/03/14(金) 12:34:23 ID:JGbniJ9g
勇太「こ、これに乗るのか……今日って何かあったっけ……満員なんて初めて見たぞ」

七宮「けっこう田舎なのに満員電車なんて珍しいねー……」

「ドアが閉まりまーす」

勇太「っと、七宮とにかく乗るぞ!」

七宮「うん!」

プシュー

勇太「なんとか乗れた……けど、大丈夫か……?」

七宮「へ、平気だよ、結界を張っているからね……」

勇太「とても平気そうには見えないけど……少しの辛抱だ頑張れ」

七宮「ひぁっ……!」

勇太「な、なんだ?」

七宮「い、今、何かが触れたような……」

勇太「そりゃ満員なんだから仕方ないだろ」

七宮「そうじゃなくて、その……変なところに……」モジモジ

勇太「……」

51: 2014/03/14(金) 12:39:29 ID:JGbniJ9g
勇太「それってつまり……アレか?」

七宮「分からないけど……多分」

カバン「実は私がお尻に当たっただけなんですがね」

勇太「七宮、壁際まで行けるか?」

七宮「……うん。なんとか」

勇太「よし、じゃあ俺もそっちに……」グイグイ

七宮「これでどうするの?」

勇太「壁にもたれとけば後ろは大丈夫だろ。前には俺が立ってるから」

七宮「あ、ありがとう、勇者。やっぱり勇者は勇者だね……」

車掌「まもなく急カーブで車両が激しくシェイクされます。バカップルと痴漢の方々はチャンスになっておりまーす」

ギュン!!

52: 2014/03/14(金) 12:44:34 ID:JGbniJ9g
勇太「うわっ!!」

七宮「ゆ、勇者、大丈……むぐっ!!」

勇太「悪い!だ、大丈夫か七宮!?」

七宮「むぐ!むぐむぐ……!!」

勇太「どぉぉー……!」

七宮「ぷはぁっ!!はぁ、はぁ、氏ぬかと思ったよ」

勇太「大丈夫か?」

七宮「うん、勇者が守ってくれているからね」

勇太「いや、その俺に圧氏させられそうになってただろ」

53: 2014/03/14(金) 12:53:21 ID:JGbniJ9g
七宮「でも流石は勇者だね……私の結界にこうもやすやすと侵入しちゃうなんて……今だってこんなに私の身体に触れて……」

勇太「誤解を生むような言い方はやめてくれ!」

七宮「勇者?大丈夫?なんだか顔が赤くて苦しんでいるように見えるよ?」

勇太「な、なんでもない!とりあえず次で降りるか……」

七宮「わ、私は平気だよ?勇者が守ってくれているから」

勇太「いや、お前も顔が真っ赤なんだけど」

七宮「あ……あ、あてているんだよ!」

勇太「な、何言い出してんだお前は!?」

プシュー

勇太「とにかく一度降り……あれ?みんな下りていく?」

七宮「どうやらこの駅で何かあったみたいだね」

勇太「はぁ……とりあえず座るか」

54: 2014/03/14(金) 13:00:00 ID:JGbniJ9g
プシュー

勇太「やっとついた……まったく、朝から3日分のエネルギーを使った気分だよ……」

七宮「にーっはっはっは!なかなかスリリングな登校だったね!」

勇太「もう間に合わないだろうけど急ぐか」

七宮「ねぇ勇者。勇者は部活に入らないの?」

勇太「昨日も言ったけど樟葉と二人だからな。そんな暇無いよ」

七宮「じゃあ好きな時に行って好きな時に帰る部活は?」

勇太「進学とか就職するときに部活動してれば少しはプラスになるらしいけど……そんな都合の良い部活あるわけ無いだろ」

七宮「だったら作れば良いんだよ!私と勇者で!」

勇太「さぁ、いそぐぞー」タッタッ

七宮「ねぇ勇者!人の話はちゃんと聞かないとダメだよ!」タッタッ

64: 2014/03/19(水) 02:01:15 ID:GhQf5fA2
勇太「すみません!遅刻しました!」

七宮「同じくです!」

先生「二人とも、まだ入学したてなのにしっかりしてよー」

勇太「はい!」ビシッ

七宮「はい」ビシッ

先生「もう良いから早く席について」

勇太「わかりました」

七宮「勇者、優しそうな先生で助かったね」ヒソヒソ

先生「じゃあHR続けるわね。クラス委員長だけど――」

七宮「クラス委員長?クラス委員長ってクラスで一番偉い人だよね!」

勇太「微妙に違う」

七宮「このクラスを総括するトップって事だよね!?」

勇太「違う!」

65: 2014/03/19(水) 02:09:23 ID:GhQf5fA2
七宮「勇者、一緒にやろうよ!」

勇太「嫌だよ、そんなの。だいたい女子の方は俺達が来る前に決まってるみたいだぞ。ほら、黒板見てみろ」

男子 女子 丹生谷森夏

七宮「丹生谷……森夏?モリ……サマー……?」

森夏「!!」

七宮「やっぱり!モリサマー!!」

森夏「ソ、ソフィア……」

勇太「モリサマー?」

森夏「ッ!!」キッ

勇太「な、なんだ?なんで睨まれたんだ!?」

森夏(迂闊だったわ……昨日から愛想を振り撒く事で精一杯だったから……)

七宮「モリサマーも同じ学校だったんだね!」

森夏(まさかこんな危険人物を見逃していたなんて……)

68: 2014/03/19(水) 08:28:52 ID:GhQf5fA2
七宮「どうしたの?モリサマー」

森夏「モリサマー言うな!!」

七宮「えっと、じゃあ……モリサマ?」

森夏「一緒でしょうが!いい?私の名前は丹生谷森夏!それ以外の何者でも無いの!!」

七宮「勇者、モリサマーの様子がおかしい……まさか精神攻撃?」

森夏「だからぁ……!」

先生「はいはい、まだ朝のHRの最中なんだけどなー」

森夏「あっ……」

生徒「モリサマー?ソフィア?二人とも日本人だよね?」ざわざわ

森夏「い、いやだなぁ、七宮さんってば!そんな子供の時にしたごっこ遊び思い出すなんてー♪さぁ先生、HR続けてください」

69: 2014/03/19(水) 08:37:53 ID:GhQf5fA2
先生「それじゃあ次は男子のクラス委員長なんだけど……やってくれる人いないかなー?」

しーん……

七宮「はい!はいはい!」

先生「うーん、七宮さんは女の子だからねぇー……」

七宮「にーっはっはっはっ!そうじゃなくて私は推薦するだけだよ!この勇者を!」

先生「勇者?」

勇太「ば、ばかっ!座ってろ!!すいません先生、なんでも無いです!」

先生「富樫くんに推薦一票……っと。他にないかなー?」

勇太「あれっ、先生?」

先生「えーっと、投票の結果一票で一位だった富樫くんに決定しまーす♪」

勇太「先生!?」

先生「今日の遅刻の罰って事で♪」

森夏「クラス委員が罰って……立候補した私はいったい……」

70: 2014/03/19(水) 08:43:32 ID:GhQf5fA2
HR後

七宮「にーっはっはっはっ!やったね勇太!このクラスの長だよ!」

勇太「長じゃないよ、まったく……」

森夏「ソフィ……七宮さん、ちょっと良いかしら」

七宮「あっ、モリサマー!」

森夏「丹・生・谷・森・夏!!」

七宮「どうしたの?モリサマー」

森夏「くっ……」

七宮「まさか勇者と同じで力を失いかけているとか……?」

森夏「勇者?」

七宮「うん。こっちが勇者。モリサマーといた中学へ行く前に同じ学校だったんだよ!」

森夏「ふーん」

勇太「ど、どうも……」

71: 2014/03/19(水) 08:49:49 ID:GhQf5fA2
七宮「勇者とは毎日一緒に色んな所へ行ったんだよね!」

勇太「思い出したくもない黒歴史だけどな」

森夏「なに?あんた達付き合ってたの?」

七宮「そ、そそ、そんなんじゃ無いよ!!私と勇者は、べ、別にそんな……」

森夏「えっ、マジなの……?」

七宮「だから、勇者はダークフレイムマスターだから一緒に冒険してただけで!!」

勇太「その名は二度と口にするなって言っただろ!!」

森夏「ダークフレイムマスター?……うわ、さむっ」

勇太「……1200年だか1300年生き続けた精霊に言われたくないな」

森夏「ぐっ……」

七宮「にーっはっはっはっ!二人とも打ち解けたみたいでよかったよ♪」

森夏「あんた……本当にそう見えてるなら凄いわよ……」

72: 2014/03/19(水) 09:00:35 ID:GhQf5fA2
七宮「こうして三人が再会出来たのもきっと運命だったに違いないね!」

勇太「再会も何も俺と丹生谷は初対面だけどな」

七宮「にーっはっはっはっ!じゃあさっそく部を作ろっか!」

森夏「富樫くん、こいつと付き合い長いんでしょ?なんとかして」

勇太「俺はつい最近再会したばかりなんだ。丹生谷がなんとかしてくれ」

七宮「極東魔術結社か魔法魔王黒炎クラブ、どっちが良いかな?」

森夏「あほらしい……私はチア部とか演劇部に入ってリアルの充実した高校生活を送るの。じゃあね」

七宮「あっ!待ってよモリサマー!極東魔術結社の夏にするから!!」

73: 2014/03/19(水) 09:02:07 ID:GhQf5fA2
おわり

76: 2014/03/19(水) 12:30:18 ID:Muw39PNQ
すばらです

79: 2014/03/20(木) 02:08:53 ID:Oc5f9Jvw

引用: 七宮「にーっはっはっはっ!勇者の魂をもらいにきたよー!」