296: 2010/12/07(火) 00:46:04.30 ID:2TU7aJYo
本編よりちょっとヘタレなキャラの話。最初からクライマックス
297: 2010/12/07(火) 00:47:27.47 ID:2TU7aJYo
―――自分は、いつからこんな根性無しになった?
体が震える。呼吸が乱れる。心拍が落ち着かない。
―――目の前に傷ついた女の子が居るってのに
足が、鉛でも纏ったかのように重い。
―――力のない人間が、今まさに殺されようとしているのに。
(クソッ……たれが!)
―――オレは、学園都市第七位の超能力者だってのに
298: 2010/12/07(火) 00:48:51.73 ID:2TU7aJYo
削板軍覇は、ただ目の前で少女が虐げられる様を見ていることしか出来なかった。
恐怖と悔しさに顔を歪めて、それでも立ち尽くすことしか出来ずに。
「…………ぁ…………」
ふと、少女と目があった。
クシャクシャな表情を浮かべて立ち尽くす男に何かを感じ取ったのか、彼女はノロノロと腕を動かし、華奢な掌をこちらへと向けた。
それだけの動きすら、今の彼女には苦痛であろうに。
「――……―て……」
「っ!?」
少女の言葉は掠れていて、耳では聞き取る事は出来なかったが、唇の動きで何を言おうとしたのかは理解できる。
それを見て、削板軍覇はグ、と両目を固く閉ざした。
(んなこと、出来るわけ……ねえだろうが)
―――あの子、今なんて言った?
(だって、オレは第七位だぞ……)
―――こんな腑抜けなオレに向かって……
(相手は、オレより序列が上で……)
―――『逃げて』と言ったのか?
(そんな奴相手に逃げちまったら、オレは一生根性無しだろうがッ!)
299: 2010/12/07(火) 00:50:09.99 ID:2TU7aJYo
あまりの不甲斐なさに、自らを殴り飛ばしたい衝動に駆られた。
傷ついた少女は、あろうことか、こんなに臆病な自分の身を案じている。
(なに考えてんだよオレは! 自分の身とあの子の命、どっちが大事だ!?)
力を持ちながら、目の前の少女すら助けようとしない男
氏に瀕しながら、名前も知らぬ男を助けようとする少女
(んなもん決まってんだろ!!)
歯を噛み砕くほど食いしばり、掌を力まかせに自らの頬に叩きつける。
バシィッ!!
耳を塞ぎたくなるような大きな音が、辺りに響いた。
―――馬鹿だよな、一丁前にビビっちまうなんて
両頬のビリビリとした痛みが、熱となって身体中を駆け巡る。
―――全く、根性が足りてねえよ
その熱が、勇気となっていく気がした。
―――でも、ありがとな
体が打ち震え、呼吸は荒々しく、心臓は力強く拍動する。
―――アンタの根性、受け取ったぜ
閉ざした瞼を大きく、大きく見開く。
300: 2010/12/07(火) 00:51:12.95 ID:2TU7aJYo
その瞳は、激情の渦と生命の波動に満ちながら、爛然と輝いていた。
そして、熱き漢は走りだす―――!
「ウォォォォォォォォォオオオオオオおおおおおおおああああああああああああ!!!!!」
大地を揺るがす咆哮と共に―――!
赤く燃え盛る決意を胸に―――!
たった一人の少女を、その手で守るために―――!!!
301: 2010/12/07(火) 00:52:54.99 ID:2TU7aJYo
おわり。
女の子が誰なのかは想像に任せます
女の子が誰なのかは想像に任せます
302: 2010/12/07(火) 01:22:40.12 ID:41cX7OAo
俺か
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