1: 2014/05/26(月) 14:09:23 ID:rjrIwHlk
妹「ハローワークの帰りかしら?」
男「……ま、そんなもんさ」
妹「それなのにスタバに寄るなんて、いいご身分ね。……ニートの癖に」
男「うるさいよ、大体なんでお前はここにいるんだ。まだ学校の時間だろ」
妹「そりゃ私だって人間だもの、サボりたくなる時だってあるわ……まぁ、一年に1回あるかないかだけど」
男「……ま、そんなもんさ」
妹「それなのにスタバに寄るなんて、いいご身分ね。……ニートの癖に」
男「うるさいよ、大体なんでお前はここにいるんだ。まだ学校の時間だろ」
妹「そりゃ私だって人間だもの、サボりたくなる時だってあるわ……まぁ、一年に1回あるかないかだけど」
2: 2014/05/26(月) 14:14:26 ID:rjrIwHlk
男「随分と優等生体質で羨ましいことだ」
妹「別に兄さんが劣等生って言ってるわけじゃないのよ?」
妹「むしろ兄さんは、そのへんの掲示板でギャンギャン騒いでる馬鹿ニートよりよっぽど価値はあると思うわよ?」
妹「家事は料理以外ちゃんとやるし」
妹「ニートにしては読書が好きだからある程度教養もあるし」
妹「唯一の欠点とすれば、他人の言葉に振り回され過ぎて、すぐに心が折れちゃうメンタルの弱さかしら?」
妹「別に兄さんが劣等生って言ってるわけじゃないのよ?」
妹「むしろ兄さんは、そのへんの掲示板でギャンギャン騒いでる馬鹿ニートよりよっぽど価値はあると思うわよ?」
妹「家事は料理以外ちゃんとやるし」
妹「ニートにしては読書が好きだからある程度教養もあるし」
妹「唯一の欠点とすれば、他人の言葉に振り回され過ぎて、すぐに心が折れちゃうメンタルの弱さかしら?」
4: 2014/05/26(月) 14:34:35 ID:rjrIwHlk
妹「まぁ、唯一の欠点であり、全ての良い要素を潰す致命的な欠点でもあるけど」
男「うるさいな……」
妹「でも事実でしょ?兄さんってば長年の友達だか何だか知らないけど、その人に合わせた大学受けて落ちたんじゃない。主体性の無さが今の兄さんを型作っているのよ」
兄「……」
兄(確かに俺は主体性がない。)
兄(特に他人に誇れる要素もありゃしない。そもそも自己主張しないから)
兄(強いていうなら、妹が上げた読書ぐらいだ)
妹「……兄さん?聞いてるのかしら?」
兄「……主体性云々さっきから言ってくれてるが、お前の学校の生徒はみんな目を見張る様な個性を持ってるか?」
妹「……」
兄「持ってるわけないよな。一部を除けば皆『村人A』レベルさ」
兄「なんでみんなそこに黙って治まってると思う?」
兄「楽だからさ」
兄「主体性なんて持ってたって、ろくなこたァない。そんなもんは、出来る奴にまかしときゃいい」
兄「俺は……別に何かの主体にならなくていい」
兄「合わせていれば、楽だからな」
妹「……兄さんって、馬鹿ね」
男「うるさいな……」
妹「でも事実でしょ?兄さんってば長年の友達だか何だか知らないけど、その人に合わせた大学受けて落ちたんじゃない。主体性の無さが今の兄さんを型作っているのよ」
兄「……」
兄(確かに俺は主体性がない。)
兄(特に他人に誇れる要素もありゃしない。そもそも自己主張しないから)
兄(強いていうなら、妹が上げた読書ぐらいだ)
妹「……兄さん?聞いてるのかしら?」
兄「……主体性云々さっきから言ってくれてるが、お前の学校の生徒はみんな目を見張る様な個性を持ってるか?」
妹「……」
兄「持ってるわけないよな。一部を除けば皆『村人A』レベルさ」
兄「なんでみんなそこに黙って治まってると思う?」
兄「楽だからさ」
兄「主体性なんて持ってたって、ろくなこたァない。そんなもんは、出来る奴にまかしときゃいい」
兄「俺は……別に何かの主体にならなくていい」
兄「合わせていれば、楽だからな」
妹「……兄さんって、馬鹿ね」
6: 2014/05/26(月) 14:42:00 ID:rjrIwHlk
兄「じゃなきゃぁ大学落ないわな」
妹「そう言う意味じゃないわ、人間の本質を見誤ってるのよ」
兄「……言ってくれるじゃないか、じゃあお前の言う人間の本ってやつを教えてくれよ」
妹「その前に、兄さんが今飲んでる抹茶クリームフラペチーノを授業料として献上して頂戴」
兄「……仕方ない」カップスベラシ
妹「……ん、おいしいわ。じゃ、語らせてもらうけど……さっき兄さんは大半の人間は主体性がない、というような意味合いの事を言ったわね?」
妹「そう言う意味じゃないわ、人間の本質を見誤ってるのよ」
兄「……言ってくれるじゃないか、じゃあお前の言う人間の本ってやつを教えてくれよ」
妹「その前に、兄さんが今飲んでる抹茶クリームフラペチーノを授業料として献上して頂戴」
兄「……仕方ない」カップスベラシ
妹「……ん、おいしいわ。じゃ、語らせてもらうけど……さっき兄さんは大半の人間は主体性がない、というような意味合いの事を言ったわね?」
7: 2014/05/26(月) 14:45:55 ID:rjrIwHlk
兄「……まぁ、大方そんな感じだな」
妹「それって大いにまちがってるわよ。私の学校にいる人間の殆どは確かに自己主張はしないけど、皆確かな『芯』ていうのを持ってると思うの」
兄「芯?」
妹「そ、芯よ。これといったらこれ。他人に何を言われようが他人がなにをしてようが関係ねぇ。俺は私はこれで通す……って感じの」
妹「それって大いにまちがってるわよ。私の学校にいる人間の殆どは確かに自己主張はしないけど、皆確かな『芯』ていうのを持ってると思うの」
兄「芯?」
妹「そ、芯よ。これといったらこれ。他人に何を言われようが他人がなにをしてようが関係ねぇ。俺は私はこれで通す……って感じの」
8: 2014/05/26(月) 14:56:58 ID:rjrIwHlk
兄「それは……『芯』じゃなくて『我』って言うんじゃないのか。通しすぎれば生きづらくなる事請け合いだ」
妹「たとえそれが『我』だったとしても、表に出すタイミングを考えれば悪くないものよ?」
妹「本当の『我が儘』って言うのはね、自分の我を機能させるタイミングを心得てる人間の事なんだから」
妹「……で、兄さんにはないの?通せるもの。『俺はこれだけはやってるぞ!!』って声を大きくして言えるもの」
妹「たとえそれが『我』だったとしても、表に出すタイミングを考えれば悪くないものよ?」
妹「本当の『我が儘』って言うのはね、自分の我を機能させるタイミングを心得てる人間の事なんだから」
妹「……で、兄さんにはないの?通せるもの。『俺はこれだけはやってるぞ!!』って声を大きくして言えるもの」
9: 2014/05/26(月) 15:02:44 ID:rjrIwHlk
兄「……あったらこんな所でくすぶってねえわな」
妹「ほんとに馬鹿ね。血が繋がってるぐらいしか関係のない私ですら、兄さんの誇れる物は解ってるつもりよ」
俺は腹を抱えて笑い出したい気分になった。
わかるものか。誇れるところなぞ一分も無いのだから。
ましてや妹は成績もよく、学校では生徒会の副会長を努める、言うなればここの話の中での『主体性のある人間なのだから』
妹「ほんとに馬鹿ね。血が繋がってるぐらいしか関係のない私ですら、兄さんの誇れる物は解ってるつもりよ」
俺は腹を抱えて笑い出したい気分になった。
わかるものか。誇れるところなぞ一分も無いのだから。
ましてや妹は成績もよく、学校では生徒会の副会長を努める、言うなればここの話の中での『主体性のある人間なのだから』
10: 2014/05/26(月) 15:22:26 ID:rjrIwHlk
どうせ的外れな事を言ってくるのだろ、と腹の中でほくそ笑みながら、俺は妹に答えを促す。
兄「じゃあ教えてくれよ。俺が他人に誇れるものってなんなんだ?え?」
妹の答えは、予想以上に馬鹿馬鹿しい物だった。
妹「読書」
兄「……」
馬鹿馬鹿しい、もののはずだ。
だのに、俺は何も言えなくなってしまう。
何か、引っかかるのだ。
妹「……よーく、思い返してみたら?兄さん」
妹「自分が読んだ書籍の内容とか、印象に残ったシーンとかさ」
妹の言葉に従う様に、頭が勝手に思い返す。
つい最近読んだサスペンス小説のクライマックス。
戯れに手にとったライトノベルの白熱したバトルシーン。
それ以外にも、自分が驚くほどに過去読んだ本の記憶が浮かんでくる。
妹「……きっと兄さんは、読書をただの趣味として捉えてきたのよ」
妹「……私は違うと思うわ。あ、根拠を示せって言われると困るのだけど」
妹「どう?無職生活の余暇つぶしにでも――――――小説、書いてみる気は無いかしら?」
妹「兄さんは、できるわよ」
兄「じゃあ教えてくれよ。俺が他人に誇れるものってなんなんだ?え?」
妹の答えは、予想以上に馬鹿馬鹿しい物だった。
妹「読書」
兄「……」
馬鹿馬鹿しい、もののはずだ。
だのに、俺は何も言えなくなってしまう。
何か、引っかかるのだ。
妹「……よーく、思い返してみたら?兄さん」
妹「自分が読んだ書籍の内容とか、印象に残ったシーンとかさ」
妹の言葉に従う様に、頭が勝手に思い返す。
つい最近読んだサスペンス小説のクライマックス。
戯れに手にとったライトノベルの白熱したバトルシーン。
それ以外にも、自分が驚くほどに過去読んだ本の記憶が浮かんでくる。
妹「……きっと兄さんは、読書をただの趣味として捉えてきたのよ」
妹「……私は違うと思うわ。あ、根拠を示せって言われると困るのだけど」
妹「どう?無職生活の余暇つぶしにでも――――――小説、書いてみる気は無いかしら?」
妹「兄さんは、できるわよ」
11: 2014/05/26(月) 15:49:08 ID:rjrIwHlk
妹「……だってほら、ふふっ、―――――目の色が、変わっちゃってるもの」
兄「……」
妹「いつものジト目兄さんより、私はそっちの方が好きよ?」
妹「……あら、もうこんな時間……戻らなきゃ、じゃね、兄さん」
そう言って、妹はスタバの店外に消えて行く。
「は」
気分を紛らわすように、今はここにいない妹に嘲り笑いをぶつけてやる
小説を書けだと?
笑わせてくれる。
本当に―――――――
―――――良い、妹を持ったものだ。
走る。
スターバックスのテーブルを蹴散らしかねない勢いで店外に飛び出し、そのままアスファルトを駆け抜けていく。
しばらく走り、見えてきた妹の背中。
兄「……」
妹「いつものジト目兄さんより、私はそっちの方が好きよ?」
妹「……あら、もうこんな時間……戻らなきゃ、じゃね、兄さん」
そう言って、妹はスタバの店外に消えて行く。
「は」
気分を紛らわすように、今はここにいない妹に嘲り笑いをぶつけてやる
小説を書けだと?
笑わせてくれる。
本当に―――――――
―――――良い、妹を持ったものだ。
走る。
スターバックスのテーブルを蹴散らしかねない勢いで店外に飛び出し、そのままアスファルトを駆け抜けていく。
しばらく走り、見えてきた妹の背中。
12: 2014/05/26(月) 15:51:49 ID:rjrIwHlk
原稿用紙って、どこに売ってたっけ。
そんな質問を頭の中で用意して、俺は妹の肩に手をかけた。
ー了ー
そんな質問を頭の中で用意して、俺は妹の肩に手をかけた。
ー了ー
13: 2014/05/26(月) 15:53:35 ID:rjrIwHlk
もうちょっと考えて書けばよかったなwwww
見てくれてた奴、ありがとさん。
見てくれてた奴、ありがとさん。
14: 2014/05/26(月) 16:04:10 ID:98p1H.xE
乙
引用: 妹「あら兄さん、奇遇ね」
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