30: 2007/02/15(水) 22:13:09.69 ID:qPtjOSee0

32: 2007/02/15(水) 22:27:10.10 ID:qPtjOSee0
第十三話

ブーンのいるはずの扉の前に立つ。
ふとツーが、いきなり足を止めた。何かを感じるように。

川*゚∀゚)「・・・・・・・・・・・・!!」

(´・ω・`)「どうしたんだい?」

川*゚∀゚)「・・この扉の向こうに強力な魔力を感じます。おそらくクーさんが」

(´・ω・`)「クー・・?どこかで聞いた事のある名前だ」

川*゚∀゚)「あの有名な女優です。クー=アクトリーセ・・」

(;´・ω・`)「ええ!?あの有名な・・!いきなり姿をくらましたかと思ったら、こんなとこで魔女を!?」
悪魔城ドラキュラ Dominus Collection 奪われた刻印カバー Switch
33: 2007/02/15(水) 22:27:38.17 ID:qPtjOSee0
川*゚∀゚)「ええ・・私も信じられませんでした。もう昔とは違います。完全に魔女と化しています」

(;´・ω・`)「・・そうか、残念だ」

川*゚∀゚)「ええ、本当に・・そして、おそらく彼女の狙いは私です」

ツーはため息を吐いて、そうショボンに告げる。
ショボンは驚愕の表情を見せ、少し言葉を発せられずにいた。
驚きと困惑が混じってショボンを襲っていたのだろう。

(;´・ω・`)「なぜ・・?」

川*゚∀゚)「敵、だからでしょう・・それしか理由はありません」

34: 2007/02/15(水) 22:29:53.66 ID:qPtjOSee0
(;´・ω・`)「そう・・だな」

ショボンは覇気の無い口調でそう答えた。
その事実がうまく飲み込めずにいた。
女優として大成したクーを尊敬し、慕っていた。行方不明になったときは本当に泣きそうになった。
そのクーとこんな形で再開するとは思ってもいなかったから。

(;´・ω・`)(残念・・だな)

川*゚∀゚)「・・・?ショボンさん・・?」

何かを考え込むショボンを不思議に思い、声をかける。
ショボンは少しビックリした感じでツーの方を向く。

35: 2007/02/15(水) 22:30:31.51 ID:qPtjOSee0
(;´・ω・`)「あ、すまない。ツー君」

川*゚∀゚)「本当ですか?それならいいですけど・・それじゃあ、入りましょう」

(;´・ω・`)「・・・そうだな、いつまでもここにいる訳にはいかないな」

二人は目の前のドアをゆっくりと開く。

(;´・ω・`)(・・・クー)

ショボンは魔女に変わってしまった彼女を直視するのにまだ躊躇があった。
認めたくない現実がすぐそこまで迫ってきているのをショボンは感じていた。

36: 2007/02/15(水) 22:31:32.76 ID:qPtjOSee0
川 ゚ -゚) 「ようやく来たらしいな・・」

クーの目の前に広がる意外な光景は、クーの心を動揺させるには充分だった。

川 ;゚ -゚) 「しょ・・ショボン!?」

(´・ω・`)「・・久し振りだな、クー」

ショボンの視線はいつものような暖かいものではなく、まるで汚物を見るような冷たい視線へ姿を変えていた。

川*゚∀゚)「ブーン!!」

( ^ω^)「ツー!無事だったかお!安心したんだお!」

37: 2007/02/15(水) 22:32:40.04 ID:qPtjOSee0
再び生きて会えたことを二人は手を繋ぎながら喜んだ。
しばらくしてツーは手を繋いでいたことに気が付いた。

川*゚∀゚)「あ・・」

川*///)「ご・・ごめんね、ブーン」

( ^ω^)「大丈夫だお!それより・・なんでショボンさんとクーさんが」

川*゚∀゚)「私もよくわからない・・とりあえず黙ってみておいた方が良さそうね・・でも久しぶりって事は・・」

( ^ω^)「・・知り合いなのかもしれないお」

二人は黙って、ショボンとクーの会話を見守ることにした。
挨拶をかわしただけで、その後は沈黙が続き、静かな時が流れている。
ふと、ショボンが口を開いた。

38: 2007/02/15(水) 22:34:21.32 ID:qPtjOSee0
(´・ω・`)「なぜ・・こんな所にいる。皆心配していたんだぞ?」

川 ;゚ -゚) 「う・・・・・・・」

ショボンを前にしたせいなのか、言葉が詰まるクー。
ショボンがこの城へやってくること自体、予想外だったのだろう。

(´・ω・`)「ようやく有名になったその時、お前は姿を消した」

(´・ω・`)「親や親戚の僕だって探したんだぞ?本当に泣きそうだったんだ」

親戚という言葉を聞いて思わず困惑するブーンとツー。

39: 2007/02/15(水) 22:35:31.05 ID:qPtjOSee0
( ^ω^)「親戚・・!?」

川*゚∀゚)「なんてこと・・」

ショボンは動揺するクーの事など全く気にすることなく話を続けた。
冷徹な目つきは変わっていない。

川 ;゚ -゚) 「・・・・・・」

(´・ω・`)「それなのに・・久しぶりに会ったお前はこんなに変わってしまっていた」

川 ;゚ -゚) 「・・母さんと父さんはどうしてる?」

(´・ω・`)「亡くなったよ。二人とも」

40: 2007/02/15(水) 22:37:26.31 ID:qPtjOSee0
川 ;゚ -゚) 「!!!」

(´・ω・`)「お前が失踪したのがよっぽどショックだったんだろうな・・お父さんは首を吊って・・」

川 ;゚ -゚) 「やめろ・・」

(´・ω・`)「お母さんは衰弱してしまって・・」

川 ;゚ -゚) 「止めてくれ!!」

思わず大声をあげるクー。そんな事は意に介さず、話し続けるショボン。

(´・ω・`)「止めてくれ・・?お前にそんな事を言う権利があるのか?」

川 ;゚ -゚) 「・・・・・・」

41: 2007/02/15(水) 22:38:56.61 ID:qPtjOSee0
(´・ω・`)「何故悪魔に魂を売った?大体見当はつくがな・・」

動揺のせいなのか何も言わないクーに代わって、ツーが口を開いた。

川*゚∀゚)「確か・・永遠の美貌を手に入れる為とかなんとか・・」

川 ;゚ -゚) 「小娘っ・・・!!!ふざけた真似を・・!!」

だがショボンの顔は全く歪まなかった。予想通りだ。そんな顔つきをしていた。

42: 2007/02/15(水) 22:40:30.79 ID:qPtjOSee0
(´・ω・`)「お前・・やっぱりそんな欲望を・・」

(#´・ω・`)「お前の欲望の為に、両親は亡くなったんだぞ!?」

(#´・ω・`)「それに沢山のファンにも心配を与え・・現に、ここにいるツー君さえ幻滅させた・・」

(#´・ω・`)「お前は沢山の人達を裏切った!その重大さが分かってるのか!?」

川 ;゚ -゚) 「う・・・」

やはり言葉は発せない。こんなクーを見て、逆にブーンとツーが動揺しているほど、強気のクーはどこかに行ってしまっていた。
目の前にいるのは、罵倒に対して何も言い返せないクーだった。

44: 2007/02/15(水) 22:41:49.83 ID:qPtjOSee0
(#´・ω・`)「今のクーは僕の手で頃してあげたいくらい、憎い・・」

川 ;゚ -゚) 「!!!!!」

ショボンのその言葉に衝撃を受けるクー。
二人は小さな頃からよく会っていただけに、数倍思いが強く伝わっていた。

(#´・ω・`)「憎くて憎くてたまらないよ・・皆が大変な時にお前は・・」

(#´・ω・`)「自分の欲望のためだけに動き、こんな姿になって!!」

(#´・ω・`)「情けないと思わないのか!?」

川 ;゚ -゚) 「仕方なかったんだ!」

思わず言い訳が口をついて出る。

45: 2007/02/15(水) 22:43:09.74 ID:qPtjOSee0
(#´・ω・`)「何が仕方ない!?言ってみろ!!」

(#´・ω・`)「ただ自分の欲望のためだけに動いた女が、よくそんな事を言ってられるな!」

川 ;゚ -゚) 「・・・・・」

また黙り込んでしまったクー。
その様子を見つめていた二人は、ショボンの様子を見て、驚愕していた。

(;^ω^)「あ・・あれがショボンさんかお?」

川*゚∀゚)「雰囲気が全く違うね・・」

そう話した瞬間にショボンは二人の方を向いてこういった。

46: 2007/02/15(水) 22:44:36.06 ID:qPtjOSee0
(#´・ω・`)「ここは僕に任せろ・・話をつける」

川*゚∀゚)「でも・・・!!」

(#´・ω・`)「大丈夫・・任せておけ」

その言葉には有無を言わせないくらいの勢いがあった。
その勢いに押されてしまい、了承せざるを得なくなってしまう。

(;^ω^)「わかりましたお・・ショボンさん、生きててくださいお」

(´・ω・`)「大丈夫さ。こいつに殺される事は無いさ」

満面の笑顔を一緒に二人送ったショボン。
その笑顔を見て安心したのか、二人は、魔動力が入ったことにより動くようになったエレベーターへ向かっていった。

47: 2007/02/15(水) 22:45:50.57 ID:qPtjOSee0
(#´・ω・`)「さぁ・・邪魔者はいなくなった。話をつけようじゃないか、クー」

川 ;゚ -゚) 「う、うるさい!!」

その言葉と同時に、得意の氷の魔法をショボンに向ける。
辺りが一気に寒くなり、氷が発生する。その氷はまるで針のような鋭さを持っている。
そしてすぐにショボンに向かって飛んでいった。針の雨のように。

(;´・ω・`)「!!!!」

あっという間にショボンは氷に囲まれ、飲み込まれていった。
次々とショボンに向けられた氷は生き物のようにショボンの姿を捉え、ぶつかっていった。
やがて氷もなくなり、辺りはまた静けさを取り戻した。

48: 2007/02/15(水) 22:47:16.74 ID:qPtjOSee0
川 ;゚ -゚) 「すまない・・ショボン」

おそらく氏んだと思われるショボンにそう言葉を残したクー。
だが、クーの思うようには行かなかった。

(#´・ω・`)「僕に魔法を使うなんてね・・君はいつからそんな無礼になったんだい?」

キズ一つ負わず、目の前に立っていたショボン。

川 ;゚ -゚) 「な、何故!?」

(#´・ω・`)「知ってるだろ?僕が色々なことに興味を持つこと・・魔法にも興味を持って学んだのさ。防御壁くらいは作れるさ」

49: 2007/02/15(水) 22:48:18.56 ID:qPtjOSee0
川 ;゚ -゚) 「しょ・・ショボン」

(#´・ω・`)「すまないが・・」

(#´・ω・`)「もう君のことは身内とは見ない。敵だ」

そう言いながらゆっくりとクーの方へ向かっていくショボン。

川 ;゚ -゚) 「こ・・来ないでくれ!!」

(#´・ω・`)「・・・・・・・・・」

クーがそう叫んでも、何も気にすること無く、向かっていく。

50: 2007/02/15(水) 22:49:37.24 ID:qPtjOSee0
(#´・ω・`)「僕が・・君の両親や親戚の為に、責任を持って君を頃す」

川 ;゚ -゚) 「!!!!!!!」

昔みた優しいショボンはもういない。目の前にいるのは自分へ非難の目を送るショボンだった。

(#´・ω・`)「・・・・・・っ!」

ある程度クーの方へ行くと、自分の渾身の右をクーの腹に思い切り叩き込んだ。
その威力は吸血鬼戦よりも上がっている。魔女でさえ苦しませるには充分な一撃だった。

51: 2007/02/15(水) 22:50:24.69 ID:qPtjOSee0
川 ;゚ -゚) 「げほっ!!!」

あまりの激痛にその場に倒れこむクー。まさかショボンが拳を振るうとは予想できていなかったのだろう。

(#´・ω・`)「その痛み・・よく覚えておけ!!」

(#´・ω・`)「僕や君の両親は・・これ以上に深い心の傷を負ったんだ!」

(#´・ω・`)「それくらいで済むと思うな・・」

川 ;゚ -゚) 「げほっ・・・」

川 ;゚ -゚) 「ううっ・・ショボン・・」

52: 2007/02/15(水) 22:51:07.47 ID:qPtjOSee0
その言葉だけ残して姿を消すクー。何が言いたかったのかは分からない。
一人その場に残されたショボン。クーを殴った感触が未だ、手に残っていた。

(#´・ω・`)「・・・・・・・・」

(´・ω・`)「クー・・もう遅いんだ。君は道を誤ったんだ・・」

(´・ω・`)「必ず・・君は僕の手で・・」

(´・ω・`)「本当はこんな事したくないさ。当たり前じゃないか・・」

ショボンはそう呟くと、クーを殴った拳を見つめる。

(´・ω・`)「・・・・・・・・・・」

無言で、その場を去り、二人の後を追うショボン。
これから、三人のことを何が待ち受けているか・・悪魔城は未だ謎に包まれている。

第十三話 完

53: 2007/02/15(水) 22:52:01.91 ID:qPtjOSee0
スピード投下で申し訳ないです。
続きは早ければ明日、遅くても明後日までには投下します。

( ^ω^)ブーンが悪魔城に乗り込むようです【第十四話】

3: 2007/02/15(水) 21:12:07.13 ID:qPtjOSee0
( ^ω^)ブーン=ホライゾン: VIPPER家の血を継ぐ、正真正銘のバンパイアハンター。
15歳の時、この事実を聞かされる。その後、両親が魔物に殺され、自分の不甲斐なさを悔やみ。訓練に励む。
ドラキュラ復活の一報を聞き、単身悪魔城へと乗り込む。
性格は心優しいので、色々と悩む事も。

川*゚∀゚)ツー=フェルニー :昔、VIPPER家の一族と一緒に戦ったフェルニー族の生き残り。
義母を目の前で殺され、その時「滅殺」の力に目覚める。
この力はドラキュラを封印する為にあると確信し、今回ドラキュラの復活を聞き、悪魔城へ乗り込む。
性格は明るく、はきはきしている。他人にしっかり気を使う優しい心も持ち合わせている。

(´・ω・`)ショボン=クソミソン: ドラキュラ研究家。その名は広く知れ渡っている。
色々なことに興味を持ち、魔法使いの勉強から格闘まで色々なことを行ってきている。
ドラキュラ復活の報を聞き、自分がドラキュラを封印しようと悪魔城へ。
性格は気配りの出来る大人な男性。争いごとはそこまで好む方ではないが、今回だけは覚悟が違う。

4: 2007/02/15(水) 21:13:01.60 ID:qPtjOSee0
ξ゚⊿゚)ξツン=レイラ: 最近、ドラキュラの手下によって連れ去られ、吸血鬼化する呪いをかけられた女。
薄幸の美女という言葉が良く似合う。まだドラキュラになってから日が浅い為、理性が残っている。
連れ去られてからは、ドラキュラの命により白いバラの育成を行っている。ブーンの幼馴染に良く似ている。
ドラキュラ退治の希望をブーンにかけるが・・

( ^^ω)マルタスニム=ハセガワ: ドラキュラによって連れ去られた子どもの一人。隙を見て逃げ出し、庭園へ隠れる。
青い目が印象的な少年。
一時的に記憶喪失のような状態に陥っている為、言動が不安定。
彼が記憶を取り戻す時、何かが起きる。

5: 2007/02/15(水) 21:13:46.46 ID:qPtjOSee0
 ( ・∀・) 氏神:手にもつ大きな鎌が特徴的。ドラキュラ復活の儀式を行った中心人物。
ドラキュラの側近中の側近で、頭も腕も立つ、手強い悪魔。
ブーンの命を狙い、行く先々で姿をあらわす。

川 ゚ -゚) クー=アクトリーセ:元は有名な女優だったが、永遠の若さと美貌を求め、悪魔に魂を売る。
人を吸血鬼化する呪いと氷系の魔法が得意。
最近、自分自身に対して、迷いがある。

( ´∀`) モナー:悪魔商人。金さえあれば人間だろうと悪魔だろうと関係なく、物品提供をする。
どこか何もかも見透かしているような目が印象的。

??? ドラキュラ=ツェペリ伯爵:かの昔、世界を暗黒に落とした張本人。
多くのことが謎に包まれている。


引用: ( ^ω^)ブーンが悪魔城に乗り込むようです