1: 2009/10/01(木) 01:57:13.98 ID:s0d6XBSBO
「―――弱い人は嫌いです」


勇気をだして告白した時、彼女はそう言って去っていった。確かに、私は生まれてから一度もケンカというやつをした事がない。

興味がなかっただけと言えばそれまでだが、実際問題として誰かと殴りあってまで争う勇気や主張がなかったのも事実だ。
だから私は弱い人なのだろう。


2: 2009/10/01(木) 02:04:18.57 ID:s0d6XBSBO

何より「人を殴る」という行為に興味もあった。
一週間ばかり考え抜いた末、相手と場所を決定した。相手は同じ学校の下級生。以前、廊下でこっちを睨んできた金髪の不良女子生徒だ。

そうして私は夜のゲーセンに出向いて彼女を見つけた。彼女が外に出た瞬間に声をかけて、路地裏へ誘い込んだ。


5: 2009/10/01(木) 02:13:17.08 ID:s0d6XBSBO

「おい」、と言って彼女を振り向かせた。
その瞬間に私は彼女の頭を手の平に収まるぐらいの木材で殴りつけた。


キン、という音がして彼女は地面に倒れこんだ。



彼女は頭から血を流して動かなくなってしまった。

6: 2009/10/01(木) 02:21:13.72 ID:s0d6XBSBO

少女「―――え?」



信じ、らんない。



少女「―――なんだよ、それ」



そう、知らなかった。人間がこんなに脆くて簡単に氏んでしまうモノだったなんて。

7: 2009/10/01(木) 02:30:37.15 ID:s0d6XBSBO

けど、これは他の奴らだって普段からやっている事だ。


なのに、どうして私だけが人を頃してしまったんだろう?



いつも無差別に暴力を振るう彼らと、今回だけ暴力を振るった私。




なのに、人を頃したのは私だけなのか。


8: 2009/10/01(木) 02:39:08.99 ID:s0d6XBSBO


でも幸い目撃者はいないんだ。
この氏体を隠せば、私の日常は戻ってくれるだろう。




だから、その為にこの殺人を隠蔽しなくちゃ。



でも、埋める場所なんてないし、焼却してもいずれ足がつく。完璧な氏体の始末は不可能に近い。

くっそ~、せめて森や山なら動物たちが勝手に食い荒らしてくれるだろうに…


勝手に食い荒らす……?


9: 2009/10/01(木) 02:47:46.15 ID:s0d6XBSBO


少女「そうか!食べてしまえばいいんじゃないか!」



今夜はなんて冴えてるんだろう!
その方法なら氏体の消去なんて簡単じゃないか!



けど、どうしよう?


肉にしては大きすぎる。これだけの肉を一人で食べるのは不可能だ。


ならせめて血を飲んでみよう。


10: 2009/10/01(木) 02:56:27.03 ID:s0d6XBSBO


頭の傷口に口をあてて流れる血を飲んでみた。



ごほっ、ごほっ、ぅおぇ……だめだ、とても飲めたものじゃない。


どうしよう、どうしよう、どうしよう
肉も食べられないし、血も飲めないなんて…!

頭を抱えて歯をガチガチならした。
もう私には震えるコトしかできない。




?「―――何故、最後まで飲み続けない?」



13: 2009/10/01(木) 03:36:42.27 ID:s0d6XBSBO
?「人間としての道徳に縛られたか、娘」

振り向いた先には黒いマントみたいなコートをきた怪しい男がいた。
あれ…この声、前にどこかで……?


ダメだ、思いだせない。まぁいいや、今はそんな事してる場合じゃない



そういえば―――どうして食べるなんてコト考えたんだろう。

14: 2009/10/01(木) 03:51:54.68 ID:s0d6XBSBO



血を飲む時も嫌悪なんて感じなかった。
傷口に唇をあてても気色悪いとも思わなかったなんて、どうしちゃったんだ私は。

きっと澪が見たら一瞬で気を失うだろう
いや、澪じゃなくても倒れるだろうな



どんなに凶悪な殺人犯でも、人を食べるなんて事はしない。そんな恐ろしい事、やろうとさえ思わない



人食いは明らかに異常な行動なんだから

15: 2009/10/01(木) 04:04:32.24 ID:s0d6XBSBO
少女「でもそうするのが自然な行為だと思ったんだ」


?「そうか。それは君が特別だということだ。」

少女「―――私が特別?」
私は何か特別なモノとして選ばれているような高揚を感じていた。


?「そうだ。君はすでに常識に不在している。常識という世界において、異常者は罪には囚われない。異常者が異常を行うのは当然であり、そこに常識でいう善悪の秤はないからだ」


少女「私は壊れてるっていうのか…」

16: 2009/10/01(木) 04:11:51.33 ID:s0d6XBSBO
?「そうだ、君は正常ではない。壊れているのだろう?ならば―――」








完全に壊れてしまえ。




少女「フフ、ハハ、アハアハハハハハハハハ!」グチャ、グチュグチュ



私は、ここで壊れるコトにした

18: 2009/10/01(木) 04:23:48.00 ID:s0d6XBSBO


一時間かけて、少女は氏体を食べた。己の歯と顎だけで、人間一人まるごとを食べきった。



「一時間か、優秀だ。だがそれが限界でもある。自らの起源を自覚しただけではその程度だ。起源は覚醒させなければカタチにならぬ。何物にも囚われぬ超越者としての能力、常軌を逸した生命としての特別性、欲しくはないか」




少女は救いの神に祈るように、こくりと首を縦に振った。


19: 2009/10/01(木) 04:41:42.49 ID:s0d6XBSBO
?「承諾した、君が一人目だ」


少女「あんた何者だ…?」




「琴吹家執事―――斎藤」


あ~あの時の執事か~どうりで聞いた事ある声だと思ったよ




斎藤「君の名は?」


少女は自らの名を語る。


斎藤「―――おしいな。一文字違えば、君は獅子だったのに」


22: 2009/10/01(木) 04:53:44.05 ID:s0d6XBSBO
次章予告


「フフフ、アハハハハハハ!」

唯「誰が、誰を頃すって?」



「アタシにはアイツが、ギターの唯が必要なのに…君が、お前がいるから唯はこっちの世界に来ないだろうが」



梓「あの日…私は一人で行く帰り道を、唯先輩といることを選んだ」


梓「ダメです唯先輩、帰って来て下さい!先輩はあの人を頃しちゃダメです!」

唯「頃しちゃダメ…?あずにゃんには関係ない」

梓「唯先輩……先輩を頃したら私は唯先輩を許さないです」



殺人考察(後)!



26: 2009/10/01(木) 06:38:41.01 ID:IKlD1KcfO
?

29: 2009/10/01(木) 09:32:39.83 ID:IKlD1KcfO
なにやら

35: 2009/10/01(木) 12:06:52.82 ID:73IZ0yfpO
式ってけいおんにいても違和感ない名前だよね名前の文字数的に

36: 2009/10/01(木) 12:36:04.08 ID:mRi+GF9u0
終わりかw

引用: 唯「境界式!」