200: 2013/07/18(木) 13:53:57.19 ID:LnLoabtm0
5月の中旬。 あたしは工口ゲーに興じていた。
新作の工口ゲーで、本日やっと届いたってワケ。 掲示板でネタバレを読まない様に、感想だけ少し見てみたんだけど、評価はかなりの物だったから、チョー楽しみにしてたんだよね。
桐乃「おお、きたきたきたきたあ!!」
こ、このシーンってあれだよね。 掲示板とかでも噂になってたかなりの名シーンってヤツ!
ただ、兄が妹を抱き締めるってだけのシーン。 それだけ見たら、妹ゲーには腐るほどあるシーンだけど。
それまでの過程、妹と兄の心境、そんでこの絵師さんの絵! それらを全部考慮すると、マジ神シーン!
新作の工口ゲーで、本日やっと届いたってワケ。 掲示板でネタバレを読まない様に、感想だけ少し見てみたんだけど、評価はかなりの物だったから、チョー楽しみにしてたんだよね。
桐乃「おお、きたきたきたきたあ!!」
こ、このシーンってあれだよね。 掲示板とかでも噂になってたかなりの名シーンってヤツ!
ただ、兄が妹を抱き締めるってだけのシーン。 それだけ見たら、妹ゲーには腐るほどあるシーンだけど。
それまでの過程、妹と兄の心境、そんでこの絵師さんの絵! それらを全部考慮すると、マジ神シーン!
201: 2013/07/18(木) 13:54:34.71 ID:LnLoabtm0
桐乃「え、えへへへへへへ……」
しっかりとCGもあることだし、後で見返そうっと!
と、とりあえずは……ふひひ。 このシーンを堪能しよう! 心行くまで!
桐乃「……はああ。 かわいいなぁ」
画面では妹と兄が会話をしている。 在り来たりな会話だけど、心が込められている会話。
それぞれの想いがしっかりと伝わって、すれ違いばかりだった二人がようやく分かり合えて。
しっかりとCGもあることだし、後で見返そうっと!
と、とりあえずは……ふひひ。 このシーンを堪能しよう! 心行くまで!
桐乃「……はああ。 かわいいなぁ」
画面では妹と兄が会話をしている。 在り来たりな会話だけど、心が込められている会話。
それぞれの想いがしっかりと伝わって、すれ違いばかりだった二人がようやく分かり合えて。
202: 2013/07/18(木) 13:55:01.45 ID:LnLoabtm0
桐乃「ヤバ……泣けてきた」
一文一文、一字一句見逃す事なく、しっかりと読む。 悲しげなBGMが余計に涙腺を刺激してくる。
桐乃「うう……」
ここで、この流れ……あたしの予想だと、これから告白シーンのハズ!
や、ヤバイって。 マジで目真っ赤になっちゃうって。
と、その時だった。
一文一文、一字一句見逃す事なく、しっかりと読む。 悲しげなBGMが余計に涙腺を刺激してくる。
桐乃「うう……」
ここで、この流れ……あたしの予想だと、これから告白シーンのハズ!
や、ヤバイって。 マジで目真っ赤になっちゃうって。
と、その時だった。
203: 2013/07/18(木) 13:55:41.58 ID:LnLoabtm0
突然暗転する画面。 え?
シーンの移り変わりにしては、長すぎる。 それに部屋の電気も一緒に消えている。
部屋の中に響いていた機械音も全て止まった。
こ、これって……もしかして。
桐乃「……停電?」
は、ははは。 氏ねっ!!!
シーンの移り変わりにしては、長すぎる。 それに部屋の電気も一緒に消えている。
部屋の中に響いていた機械音も全て止まった。
こ、これって……もしかして。
桐乃「……停電?」
は、ははは。 氏ねっ!!!
204: 2013/07/18(木) 13:56:08.22 ID:LnLoabtm0
ありえない! 今から最大の見せ場だってゆーのに!? なのにここで強制ゲーム終了!? どんな仕打ちだっつーの!!
せ、セーブはちょくちょくルートの度に取っていたけど……こっちのルートに入ってから一本道で大分長かったので、また結構な時間を取られちゃうってことだよね。
桐乃「……はぁああぁああ」
その日はゲームをまたやる気分にもならず、寝るまでずっと落ち込んだままだった。
せ、セーブはちょくちょくルートの度に取っていたけど……こっちのルートに入ってから一本道で大分長かったので、また結構な時間を取られちゃうってことだよね。
桐乃「……はぁああぁああ」
その日はゲームをまたやる気分にもならず、寝るまでずっと落ち込んだままだった。
205: 2013/07/18(木) 13:56:35.78 ID:LnLoabtm0
次の日。
モデルの仕事を終えて、あやせと喫茶店。
あやせ「桐乃、今日どうしたの?」
桐乃「ど、どうしたって?」
あやせ「何だか顔色悪かったし……カメラの人も、事務所の人も、なんか変だなって言ってたよ?」
桐乃「……そか」
あたしとしたことが、どうやら昨日のあれが相当効いてしまっているらしい。 それで、連鎖しちゃってる。
モデルの仕事を終えて、あやせと喫茶店。
あやせ「桐乃、今日どうしたの?」
桐乃「ど、どうしたって?」
あやせ「何だか顔色悪かったし……カメラの人も、事務所の人も、なんか変だなって言ってたよ?」
桐乃「……そか」
あたしとしたことが、どうやら昨日のあれが相当効いてしまっているらしい。 それで、連鎖しちゃってる。
206: 2013/07/18(木) 13:57:12.91 ID:LnLoabtm0
あやせ「……大丈夫? 何かあったの?」
い、言えない……。 工口ゲーの神シーンで停電してテンション最悪とか言えない!
桐乃「な、何かってほどでも無いよ。 大丈夫」
飲んでいる紅茶の底を見ながら、あたしはあやせに言う。 余計な心配を掛けてしまっていると、思いながら。
あやせ「もしかして……お兄さんと喧嘩しちゃったとか? 明日も仕事あるけど……休めるように頼んでみる?」
桐乃「そこまでしなくていいって! それにそうじゃないよ。 明日にはもう元通りだって。 ちょっと早い夏風邪みたいなものだし」
い、言えない……。 工口ゲーの神シーンで停電してテンション最悪とか言えない!
桐乃「な、何かってほどでも無いよ。 大丈夫」
飲んでいる紅茶の底を見ながら、あたしはあやせに言う。 余計な心配を掛けてしまっていると、思いながら。
あやせ「もしかして……お兄さんと喧嘩しちゃったとか? 明日も仕事あるけど……休めるように頼んでみる?」
桐乃「そこまでしなくていいって! それにそうじゃないよ。 明日にはもう元通りだって。 ちょっと早い夏風邪みたいなものだし」
207: 2013/07/18(木) 13:57:40.73 ID:LnLoabtm0
あやせ「そっか……うん。 分かった」
あやせは渋々納得したようで、その後は世間話をして、今日のところは別れた。
で、本当に嫌なことというのは立て続けに起こってしまう。
あやせと別れ、一人でアパートへ向かっている途中、雨が降ってきた。
あやせは渋々納得したようで、その後は世間話をして、今日のところは別れた。
で、本当に嫌なことというのは立て続けに起こってしまう。
あやせと別れ、一人でアパートへ向かっている途中、雨が降ってきた。
208: 2013/07/18(木) 13:58:07.28 ID:LnLoabtm0
ぽつりぽつりっていう感じじゃなく、大雨。 降り始めて5分もしない内に、全身がずぶ濡れ。
桐乃「……なんだっての」
あたしなんか悪いことしたっけなぁ? ふん、くだらないくだらない。
だけど、イライラとムカムカと、そんな気持ちは募っていく。
……帰ってとっととお風呂入ろっと。
桐乃「……なんだっての」
あたしなんか悪いことしたっけなぁ? ふん、くだらないくだらない。
だけど、イライラとムカムカと、そんな気持ちは募っていく。
……帰ってとっととお風呂入ろっと。
209: 2013/07/18(木) 13:58:35.12 ID:LnLoabtm0
桐乃「……ただいまぁ」
扉は開いていたので、京介は多分帰ってきているんだろう。 そう思い、部屋の奥へ向けて声を掛ける。
しかし、部屋の中から返事は無い。
……あれ?
良く聞くと、洗面所の方からシャワーの音。
京介が入っているのだろう。 ええっとつまり……ってことは。
あたしはどうやら、京介が出るまで玄関に立っていなければならないらしい。
桐乃「……はぁ」
扉は開いていたので、京介は多分帰ってきているんだろう。 そう思い、部屋の奥へ向けて声を掛ける。
しかし、部屋の中から返事は無い。
……あれ?
良く聞くと、洗面所の方からシャワーの音。
京介が入っているのだろう。 ええっとつまり……ってことは。
あたしはどうやら、京介が出るまで玄関に立っていなければならないらしい。
桐乃「……はぁ」
211: 2013/07/18(木) 13:59:48.53 ID:LnLoabtm0
京介「でもよ、お前がそれで風邪でも引いたら」
桐乃「良いってゆってんでしょ! ウザイ!」
あたしは苛立ちを京介にぶつける様に言い、申し訳無さそうな顔をしている京介の横を通り過ぎ、洗面所へ。
中に入って扉を閉め、あたしはそのままお風呂場へと入った。
桐乃「……はぁ」
何度目かの溜息。 あたしは、どうしてこうなんだろうか。
桐乃「良いってゆってんでしょ! ウザイ!」
あたしは苛立ちを京介にぶつける様に言い、申し訳無さそうな顔をしている京介の横を通り過ぎ、洗面所へ。
中に入って扉を閉め、あたしはそのままお風呂場へと入った。
桐乃「……はぁ」
何度目かの溜息。 あたしは、どうしてこうなんだろうか。
212: 2013/07/18(木) 14:00:16.36 ID:LnLoabtm0
たった二日続いた嫌なことが原因ってだけで、京介に八つ当たりをしてしまう。
京介に悪気なんてあったワケ無いし、普通だったら京介は怒ってもおかしくないのに。
だけど京介はあたしに謝ってくる。 自分が悪いと思って。 そんなこと……あるワケ無いじゃん。 あたしが勝手にイライラして、勝手に怒ってるだけ。 それだけ。
それでもあたしは何も言えない。 さっきもごめんのひと言でさえ、言えなかった。
シャワーを捻り、頭からお湯を浴びる。
京介に悪気なんてあったワケ無いし、普通だったら京介は怒ってもおかしくないのに。
だけど京介はあたしに謝ってくる。 自分が悪いと思って。 そんなこと……あるワケ無いじゃん。 あたしが勝手にイライラして、勝手に怒ってるだけ。 それだけ。
それでもあたしは何も言えない。 さっきもごめんのひと言でさえ、言えなかった。
シャワーを捻り、頭からお湯を浴びる。
213: 2013/07/18(木) 14:00:44.44 ID:LnLoabtm0
ムカつく。 ムカつくムカつく。 ムカつくし、情け無い。
この二日、色々あったけど。
自分自身に一番苛立つ。 どうしてあたしはいっつもこうなんだろう。
考えれば考える程に気分は落ち込んで、恐らくもう溢れ出ているであろう涙は止まらない。
桐乃「……なんだっての」
この二日、色々あったけど。
自分自身に一番苛立つ。 どうしてあたしはいっつもこうなんだろう。
考えれば考える程に気分は落ち込んで、恐らくもう溢れ出ているであろう涙は止まらない。
桐乃「……なんだっての」
214: 2013/07/18(木) 14:01:11.65 ID:LnLoabtm0
今更、謝っても遅いかもしれない。
あたしがずっとこんなんだったら、京介もいつかは愛想を尽かすかもしれない。
そんなことを京介はしないって分かる。 分かってるけど。
こんな気分の時は、不安になってしまう。
……明日になれば、またいつも通りになっているかな。
あたしがずっとこんなんだったら、京介もいつかは愛想を尽かすかもしれない。
そんなことを京介はしないって分かる。 分かってるけど。
こんな気分の時は、不安になってしまう。
……明日になれば、またいつも通りになっているかな。
215: 2013/07/18(木) 14:01:37.49 ID:LnLoabtm0
それは。
それは、甘えだ。
些細なことでも、しっかりとケジメを付けないと。
あたしだっていつまでもこうしているワケにはいかない。 京介と一緒に居る為にも、変わらないと。
……やっぱり、京介にはきっちりと謝っておこう。 それだけでも、しておかないとダメだ。
それは、甘えだ。
些細なことでも、しっかりとケジメを付けないと。
あたしだっていつまでもこうしているワケにはいかない。 京介と一緒に居る為にも、変わらないと。
……やっぱり、京介にはきっちりと謝っておこう。 それだけでも、しておかないとダメだ。
216: 2013/07/18(木) 14:02:11.88 ID:LnLoabtm0
京介「ごちそうさまでした」
手を合わせ、ご飯を食べ終えた京介は言う。
食器を持って台所に向かう京介の背中に、あたしは声を掛けた。
桐乃「……さっきはごめん」
意外にもすんなりと出てきたその言葉は、小さい物。 本当だったら、しっかりと顔を見て言わないといけない言葉。
手を合わせ、ご飯を食べ終えた京介は言う。
食器を持って台所に向かう京介の背中に、あたしは声を掛けた。
桐乃「……さっきはごめん」
意外にもすんなりと出てきたその言葉は、小さい物。 本当だったら、しっかりと顔を見て言わないといけない言葉。
217: 2013/07/18(木) 14:02:50.69 ID:LnLoabtm0
そしてその言葉が聞こえていないのか、京介は反応せずに食器を片付けていた。
……それとも、無視、されちゃったか。
あたしは顔を伏せて、零れそうになるそれを必氏に堪える。
どうしよう。 家を出て行けと言われたら、どうしようか。
……どうにもできない。 あたしじゃ、多分。
変わらないと、あたしが。 そう思っても、変われない。 あたしはあたしで、それはもうどうしようも無いことだから。
……それとも、無視、されちゃったか。
あたしは顔を伏せて、零れそうになるそれを必氏に堪える。
どうしよう。 家を出て行けと言われたら、どうしようか。
……どうにもできない。 あたしじゃ、多分。
変わらないと、あたしが。 そう思っても、変われない。 あたしはあたしで、それはもうどうしようも無いことだから。
218: 2013/07/18(木) 14:03:40.61 ID:LnLoabtm0
そんな風に考え、顔を伏せて、歯を食いしばって、涙を堪えて。
コツンと、頭に軽い衝撃。
京介「なに謝ってんの? お前」
驚いて顔をあげると、すぐ近くに京介の顔。 あたしの頭を軽く、手の甲で叩いたのか。
桐乃「……え?」
京介「だから、なんで謝ったんだ?」
コツンと、頭に軽い衝撃。
京介「なに謝ってんの? お前」
驚いて顔をあげると、すぐ近くに京介の顔。 あたしの頭を軽く、手の甲で叩いたのか。
桐乃「……え?」
京介「だから、なんで謝ったんだ?」
219: 2013/07/18(木) 14:04:19.28 ID:LnLoabtm0
……聞こえてたんだ。 あたしの言葉。
桐乃「なんでって……あたし、酷いことゆっちゃったし」
京介「今更なーに言ってんだよ……もうそんなのはむしろ楽しくなり始めてるっつうの」
桐乃「で、でも」
京介「良いから。 次の質問な。 どうしてそんな泣きそうになってんだよ、桐乃」
桐乃「……」
桐乃「なんでって……あたし、酷いことゆっちゃったし」
京介「今更なーに言ってんだよ……もうそんなのはむしろ楽しくなり始めてるっつうの」
桐乃「で、でも」
京介「良いから。 次の質問な。 どうしてそんな泣きそうになってんだよ、桐乃」
桐乃「……」
220: 2013/07/18(木) 14:04:51.33 ID:LnLoabtm0
あたしは。
ゆっくりと、あった事を話す。
桐乃「……昨日と今日で、色々やなことがあって」
桐乃「ゲームやってたら停電しちゃって、仕事では失敗しちゃって、急に雨に降られて」
桐乃「……帰ったら、京介に八つ当たりしちゃって」
桐乃「それで、お風呂の中で考えてたの」
桐乃「あたしはどうして変われないんだろうって。 あたしがこのままだったら、京介に嫌われちゃうのかもって、思って」
ゆっくりと、あった事を話す。
桐乃「……昨日と今日で、色々やなことがあって」
桐乃「ゲームやってたら停電しちゃって、仕事では失敗しちゃって、急に雨に降られて」
桐乃「……帰ったら、京介に八つ当たりしちゃって」
桐乃「それで、お風呂の中で考えてたの」
桐乃「あたしはどうして変われないんだろうって。 あたしがこのままだったら、京介に嫌われちゃうのかもって、思って」
221: 2013/07/18(木) 14:05:19.11 ID:LnLoabtm0
泣いているのかいないのか、自分でも分からない。
だけど、声は震えていたと思う。
京介「変わる必要なんてねーよ」
京介「お前はお前のままで良いんだよ。 俺に暴言吐いて、怒ったり優しかったり、ミカン投げつけてきたり?」
京介「確かに、お前は素直じゃねえしなぁ。 愛想尽かす奴もすげーいそうだよ」
京介「だけどな、桐乃」
だけど、声は震えていたと思う。
京介「変わる必要なんてねーよ」
京介「お前はお前のままで良いんだよ。 俺に暴言吐いて、怒ったり優しかったり、ミカン投げつけてきたり?」
京介「確かに、お前は素直じゃねえしなぁ。 愛想尽かす奴もすげーいそうだよ」
京介「だけどな、桐乃」
222: 2013/07/18(木) 14:06:06.98 ID:LnLoabtm0
京介「俺はそんなお前が好きなんだ。 前に言ったろ? 俺だけはお前の味方だって」
京介「誰にどう言われようと、俺はお前のことが好きだぜ?」
桐乃「……京介」
言葉は暖かく。 二日間で募っていた気持ちは嘘のように消えていく。
京介の顔は、滲んで見えた。
京介「俺がお前のことを嫌うなんて、ねえよ。 もしあるとしたら……」
京介「誰にどう言われようと、俺はお前のことが好きだぜ?」
桐乃「……京介」
言葉は暖かく。 二日間で募っていた気持ちは嘘のように消えていく。
京介の顔は、滲んで見えた。
京介「俺がお前のことを嫌うなんて、ねえよ。 もしあるとしたら……」
223: 2013/07/18(木) 14:06:34.23 ID:LnLoabtm0
京介「……実はお前が男だったりとか?」
京介「いや、でもそうだとしても嫌いにはならねえな……むしろ、今までのことを考えるとなぁ」
桐乃「……なワケ無いでしょ。 ばか」
あたしは自然と、笑っていて。
京介「だよな? お前、妹だもんな?」
京介も、笑っていた。
京介「いや、でもそうだとしても嫌いにはならねえな……むしろ、今までのことを考えるとなぁ」
桐乃「……なワケ無いでしょ。 ばか」
あたしは自然と、笑っていて。
京介「だよな? お前、妹だもんな?」
京介も、笑っていた。
224: 2013/07/18(木) 14:07:10.77 ID:LnLoabtm0
桐乃「……ありがと。 んで、さっそく一つ頼みがあるんだケド」
京介「……さすがの切り替えの早さだな。 良いぜ、何だよ?」
あたしは想いを込めて言う。 今日は少し、素直になろうと。
桐乃「……ぎゅって、して」
京介は一瞬驚いた顔をした後、いつもの様に言った。
任せろと、優しく、あたしを抱き締めて。
京介「……さすがの切り替えの早さだな。 良いぜ、何だよ?」
あたしは想いを込めて言う。 今日は少し、素直になろうと。
桐乃「……ぎゅって、して」
京介は一瞬驚いた顔をした後、いつもの様に言った。
任せろと、優しく、あたしを抱き締めて。
225: 2013/07/18(木) 14:07:38.65 ID:LnLoabtm0
その日の夜。
桐乃「きたきたきたきたきたきたあああああああああああ!!」
京介「馬鹿! うるせーよ! もうちょい静かにやれ!」
桐乃「だ、だってえ……ふひひひ。 このシーン、マジ神シーンなんだって!」
京介「わ、分かった分かった。 分かったからもうちょい落ち着け、マジで。 苦情受けるの俺だからね?」
桐乃「きたきたきたきたきたきたあああああああああああ!!」
京介「馬鹿! うるせーよ! もうちょい静かにやれ!」
桐乃「だ、だってえ……ふひひひ。 このシーン、マジ神シーンなんだって!」
京介「わ、分かった分かった。 分かったからもうちょい落ち着け、マジで。 苦情受けるの俺だからね?」
226: 2013/07/18(木) 14:08:06.73 ID:LnLoabtm0
桐乃「……仕方ないなぁ。 ったく」
京介「ほら、セーブしとけよ? 一応」
桐乃「わかってるって。 ひひ」
停電で出来なかった工口ゲーを京介と一緒にやって。
桐乃「よし……セーブおっけ」
桐乃「次は次は~っと」
京介「ほら、セーブしとけよ? 一応」
桐乃「わかってるって。 ひひ」
停電で出来なかった工口ゲーを京介と一緒にやって。
桐乃「よし……セーブおっけ」
桐乃「次は次は~っと」
227: 2013/07/18(木) 14:08:36.06 ID:LnLoabtm0
桐乃「うっはあ!! きたああ……んー!」
京介「うるせえっつうの! 少し黙ってろ!!」
京介はあたしの口を塞ぎ、声を遮る。
桐乃「んー!!」
そんなこんなで、エンディングまで騒がしく、あたしと京介はゲームをやっていた。
京介「うるせえっつうの! 少し黙ってろ!!」
京介はあたしの口を塞ぎ、声を遮る。
桐乃「んー!!」
そんなこんなで、エンディングまで騒がしく、あたしと京介はゲームをやっていた。
228: 2013/07/18(木) 14:09:03.64 ID:LnLoabtm0
次の日。
モデルの仕事が終わり、あやせと喫茶店。
あやせ「さっすが桐乃! 桐乃の言うとおりだったね」
桐乃「ん? 何が?」
あやせ「一日経てば元通りって奴だよ。 元通りっていうよりは、今日はいつもより綺麗だったよ?」
モデルの仕事が終わり、あやせと喫茶店。
あやせ「さっすが桐乃! 桐乃の言うとおりだったね」
桐乃「ん? 何が?」
あやせ「一日経てば元通りって奴だよ。 元通りっていうよりは、今日はいつもより綺麗だったよ?」
229: 2013/07/18(木) 14:09:32.57 ID:LnLoabtm0
桐乃「そ、そう? なんか照れるなぁ」
あやせ「やっぱ桐乃はそうじゃなくっちゃ。 でも、どうして今日はそんなに元気良かったの?」
桐乃「……さ、さあ?」
あやせ「……」
じーっとあたしを見つめるあやせ。 怖い。
あやせ「……ま、良いかな。 桐乃はすごく嬉しそうだし」
あやせ「やっぱ桐乃はそうじゃなくっちゃ。 でも、どうして今日はそんなに元気良かったの?」
桐乃「……さ、さあ?」
あやせ「……」
じーっとあたしを見つめるあやせ。 怖い。
あやせ「……ま、良いかな。 桐乃はすごく嬉しそうだし」
230: 2013/07/18(木) 14:09:59.46 ID:LnLoabtm0
桐乃「そ、そんなことないって~。 ただいつも通りってだけだよ?」
あやせ「そう? 事務所の人も、カメラマンの人も、今日はいつもより綺麗に写るって言ってたけど……」
桐乃「あ、あー! あたし用事思い出した! ごめんあやせ!!」
あやせ「ちょ、ちょっと桐乃? どうしたのー?」
逃げ帰るように、あたしは喫茶店を後にするのだった。
あやせ「そう? 事務所の人も、カメラマンの人も、今日はいつもより綺麗に写るって言ってたけど……」
桐乃「あ、あー! あたし用事思い出した! ごめんあやせ!!」
あやせ「ちょ、ちょっと桐乃? どうしたのー?」
逃げ帰るように、あたしは喫茶店を後にするのだった。
231: 2013/07/18(木) 14:10:29.60 ID:LnLoabtm0
桐乃「ただいまっ!」
玄関扉を開け、元気良く声を掛ける。
相手は勿論、あたしの兄貴で、あたしの彼氏。 あたしが一番、好きな人。
京介「おう。 おかえり。 今日はどうだった?」
昨日言っていたことを覚えていたのだろう。 京介は、そう聞いてきた。
玄関扉を開け、元気良く声を掛ける。
相手は勿論、あたしの兄貴で、あたしの彼氏。 あたしが一番、好きな人。
京介「おう。 おかえり。 今日はどうだった?」
昨日言っていたことを覚えていたのだろう。 京介は、そう聞いてきた。
232: 2013/07/18(木) 14:10:56.22 ID:LnLoabtm0
桐乃「あたしを誰だと思ってんの? ばっちしだっつーの」
京介「へへ。 聞くまでも無かったなぁ。 それでこそ桐乃だ」
桐乃「ひひ。 じゃあ仕事終えて疲れてるあたしの為に、冷たいお茶入れてきて欲しいなぁ?」
京介「へいへい。 任せとけって」
あたしが居間に座り、そう言うと、京介はすぐに台所へと向かっていった。
その背中を見ながら、一人想う。
京介「へへ。 聞くまでも無かったなぁ。 それでこそ桐乃だ」
桐乃「ひひ。 じゃあ仕事終えて疲れてるあたしの為に、冷たいお茶入れてきて欲しいなぁ?」
京介「へいへい。 任せとけって」
あたしが居間に座り、そう言うと、京介はすぐに台所へと向かっていった。
その背中を見ながら、一人想う。
233: 2013/07/18(木) 14:11:23.29 ID:LnLoabtm0
思えば、こんな風になるなんて誰が予想できたのだろう。
あたしと京介が、あれだけ仲が悪かったあたしたちが、今はこんな風になっているなんて。
……小学生のあたしからのメッセージ。 それに今なら笑って、優しく、返事が出来る。
「大丈夫だよ。 昔のあたし」
「諦めないで。 追い続けて。 そうすればきっと、いつか並んで歩けるから」
「ゲームなんかよりも素敵な話、きっと見つかるから」
「だから、もう何年か頑張って」
あたしと京介が、あれだけ仲が悪かったあたしたちが、今はこんな風になっているなんて。
……小学生のあたしからのメッセージ。 それに今なら笑って、優しく、返事が出来る。
「大丈夫だよ。 昔のあたし」
「諦めないで。 追い続けて。 そうすればきっと、いつか並んで歩けるから」
「ゲームなんかよりも素敵な話、きっと見つかるから」
「だから、もう何年か頑張って」
234: 2013/07/18(木) 14:11:51.09 ID:LnLoabtm0
そうすればきっと。
京介「ん? なんか言ってたか? 桐乃」
桐乃「んーん、なんでもなーい。 それよりお茶は?」
京介「しっかり入れてきてやったよ。 ほら」
桐乃「ひひ。 さーんきゅ」
想いは、届くから。
その理由 終
京介「ん? なんか言ってたか? 桐乃」
桐乃「んーん、なんでもなーい。 それよりお茶は?」
京介「しっかり入れてきてやったよ。 ほら」
桐乃「ひひ。 さーんきゅ」
想いは、届くから。
その理由 終
235: 2013/07/18(木) 14:13:13.01 ID:LnLoabtm0
以上で1本目終わりです。
乙、感想ありがとうございます。
それより、アニメ1期見直したんですが、きりりんが可愛すぎて辛い……
細かい描写でも、色々と考えられますよねぇ。
2本目は時間を少し置いて投下致します。
乙、感想ありがとうございます。
それより、アニメ1期見直したんですが、きりりんが可愛すぎて辛い……
細かい描写でも、色々と考えられますよねぇ。
2本目は時間を少し置いて投下致します。
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります