202: 2014/03/09(日) 20:54:11 ID:t/rmXaJ6
203: 2014/03/09(日) 20:58:10 ID:t/rmXaJ6
魔勇者「すまない、僕のミスだ」
蜘蛛女「そうだな。その通りだ」
魔勇者「……」
蜘蛛女「でも、そんなお前に着いていくと決めたのは、あたしと、この子だ」
蜘蛛女「責められねぇよ」
魔勇者「……ありがとう」
204: 2014/03/09(日) 21:01:47 ID:t/rmXaJ6
?「……お前たちが、装置を使ってこっちに来たのがわかったからだ」
?「……何も知らない、お前たち魔族が」
魔勇者「僕たちが……何も知らない?」
?「……そうだ」ファサ
魔勇者「!」
魔勇者(あの耳……エルフ?)
?「俺の名は、ダークエルフ」
ダークエルフ「エルフ最後の一人だ」
205: 2014/03/09(日) 21:07:18 ID:t/rmXaJ6
蜘蛛女「エルフって、あのエルフか?」
ダークエルフ「……人類に与した裏切り者、という意味なら、そうだ」
蜘蛛女「まだ、生き残りがいたなんてな」
蜘蛛女「戦場にもまったく姿を表さないし、とっくに絶滅したと思ってたぜ」
ダークエルフ「……この耳さえ隠せば、人類とほぼ変わらないからな」
ダークエルフ「……最近はともかく、こっちに来た当初は、そこそこいたはずだ」
蜘蛛女「そうだったのか」
206: 2014/03/09(日) 21:11:45 ID:t/rmXaJ6
魔勇者「それで、最後の一人ってのは、どういうこと?」
ダークエルフ「……言葉通りの意味だ。俺を覗いて、もうエルフは、この世界に存在しない」
ダークエルフ「……その俺でさえ、人類との混血だ。純粋なエルフはもっと昔に途絶えた」
魔勇者「理由は? 人類と揉め事でもあったの?」
ダークエルフ「……簡単に言えば、そうなる」
ダークエルフ「……自らの力を過信しすぎた結果、人類に殲滅されたんだ」
魔勇者「そう、なんだ」
魔勇者(僕たちとの戦いで手一杯かと思っていたけど、人類にそんな力があったなんて)
207: 2014/03/09(日) 21:15:06 ID:t/rmXaJ6
ダークエルフ「それだけなら、良かったんだがな」ボソ
魔勇者「え?」
ダークエルフ「……いや、何でも無い」
ダークエルフ「……その娘が良くなるまでは、好きなだけいてくれて構わない」
魔勇者「その後は? また、僕たちを襲うの?」
ダークエルフ「……お前たち二人を一人でやるのは骨が折れる」
ダークエルフ「……出来ることなら、このまま帰ってくれると助かる」
208: 2014/03/09(日) 21:17:31 ID:t/rmXaJ6
魔勇者「帰らないと言ったら?」
ダークエルフ「……その理由を教えてもらってもいいか?」
ダークエルフ「……今になって、たった三人でこちら側に来て、一体何をするつもりなんだ?」
魔勇者「魔王様の命により、人類と和平を結ぶために来たんだ」
ダークエルフ「……和平?」
ダークエルフ「……ふふっ、和平か、そうか」
209: 2014/03/09(日) 21:25:13 ID:t/rmXaJ6
魔勇者「?」
ダークエルフ「……考えが変わった」
ダークエルフ「……動けるようになり次第、下山する道を教えてやる」
魔勇者「あ、ありがとう……?」
ダークエルフ「……その目で見て、確かめると良い」
210: 2014/03/10(月) 21:05:37 ID:ksk8xEnc
数日後
スライム娘「心配かけて、ごめんね。お姉ちゃん」
蜘蛛女「馬鹿言うな。お前の姉なんだ、心配ぐらいさせろ」
魔勇者「二人とも、ごめん」
スライム娘「い、良いんです。着いてくるって決めたのは私たちだから」
魔勇者「……ありがとう」
ダークエルフ「……そろそろ出発するぞ」
211: 2014/03/10(月) 21:09:47 ID:ksk8xEnc
魔勇者「道を教えてくれるのはありがたいけれど、どうして気が変わったの?」
ダークエルフ「……証人が欲しくなった」
魔勇者「証人?」
ダークエルフ「……我々の過ちを、見て、聞いて、感じて、後世に伝える者が必要だと思った」
魔勇者「我々の……過ち?」
ダークエルフ「……見たほうが早い。そろそろふもとの村だ」
212: 2014/03/10(月) 21:35:55 ID:ksk8xEnc
ふもとの村
蜘蛛女「これが人間たちの、村……」
スライム娘「し、静かだね」
ダークエルフ「……こっちだ」
魔勇者「蜘蛛女、少し、警戒したほうが良いかもしれない」ボソ
蜘蛛女「わかった。でも何でだ?」
魔勇者「あまりに静か過ぎる。僕たちの姿を見て、パニックが起きないはずはない」ボソ
蜘蛛女「! ……た、確かに」
213: 2014/03/10(月) 21:38:19 ID:ksk8xEnc
魔勇者「僕たちは、騙されているのかも」ボソ
スライム娘「!」
ダークエルフ「……心配はいらん。この村には、もう誰も住んでいない」
魔勇者「!」
ダークエルフ「……別に、騙すつもりなどない。真実を知ってもらいたいだけだ」
ダークエルフ「……わかったら、着いてこい」
214: 2014/03/10(月) 21:43:30 ID:ksk8xEnc
魔勇者「本当に、誰もいない」
蜘蛛女「最近の話じゃねぇぞ。大分時間が経ってる」
魔勇者「境界付近だからあらかじめ避難したってことかな」
蜘蛛女「実った作物を収穫しないでか?」
魔勇者「うーん……」
ダークエルフ「……こうなっているのは、ここだけじゃない」
ダークエルフ「……信じられないかもしれないが、王都以外の全ての居住地も同じ事態になっている」
魔勇者「……どういうこと?」
ダークエルフ「……お前たちが、和平を結ぼうとしている相手は、もう存在しない、ということだ」
215: 2014/03/10(月) 21:56:27 ID:ksk8xEnc
ダークエルフ「……当初、人類とエルフの関係は、良好なものだった」
ダークエルフ「……それこそ、俺のような存在が現れるほどにな」
ダークエルフ「……だが、魔物との戦争が激化するにつれて、お互いの間の溝は深くなっていったんだ」
ダークエルフ「……最終的には、互いの発展のために交換しあった技術を使って、争うまでになった」
216: 2014/03/10(月) 22:00:17 ID:ksk8xEnc
ダークエルフ「……とはいえ、ここは、人類の領域だ。数も、資源も、比べるべくもなかった」
ダークエルフ「……劣勢だったんだ、エルフは」
ダークエルフ「……なり振りかまっていられなくなったエルフは、ある兵器を開発した」
ダークエルフ「……『人類』を資源に、エルフに忠実な兵士を創り出す」
ダークエルフ「……数と資源の問題を同時に解決する、画期的な兵器だったんだ」
217: 2014/03/10(月) 22:04:48 ID:ksk8xEnc
ダークエルフ「……人類から見れば、考え難い蛮行だ。怒りに燃える人類に、エルフは、攻め滅ぼされた。結局な」
ダークエルフ「……しかし、兵器は、人類に鹵獲された。魔物との戦争に使えると考えたんだろう」
ダークエルフ「……その内、あらゆる居住地から人が集められ始めた。徴兵令だといってな」
ダークエルフ「……そして、一人として帰ってこなかった」
218: 2014/03/10(月) 22:15:23 ID:ksk8xEnc
魔勇者「そんな……じゃあ、ここの人たちは」
ダークエルフ「……〝兵士〟になったんだろう」
蜘蛛女「……胸くそわりぃ話だな」
ダークエルフ「……言い訳をするつもりはない。エルフは過ちを犯した」
ダークエルフ「……取り返しのつかない過ちを」
スライム娘「……」
219: 2014/03/10(月) 22:16:45 ID:ksk8xEnc
ダークエルフ「……真実は話した、証拠も見せた。これから、どうするのかは、お前たち次第だ」
ダークエルフ「……帰るというのなら、装置まで案内する」
魔勇者「……」
魔勇者「僕は、帰らない」
蜘蛛女「!」
スライム娘「!」
220: 2014/03/10(月) 22:18:04 ID:ksk8xEnc
魔勇者「もし、人類と和平を結べないなら、戦争が続くことになる」
魔勇者「そして、僕たちは、敵の指令系統の頂点を奇襲するのに、ちょうどいい位置にいる」
魔勇者「僕たちは、王都に向かうよ」
ダークエルフ「……そうか。全てを知っての判断なら、もう止めはしない」
ダークエルフ「……代わりに、俺から頼み事をしよう」
ダークエルフ「……エルフの、俺たちの過ちをどうか、終わらせてくれ」ドゲザ
魔勇者「がんばってみるよ」
222: 2014/03/11(火) 23:13:28 ID:R721wKa.
魔勇者「今更だけど、二人とも、本当にごめん」
蜘蛛女「……あたしたちは、雇われた側だからな。文句は言えねぇよ」
蜘蛛女「ただ、一つだけ約束して欲しい」
蜘蛛女「何があっても、スライム娘だけは、生きて向こうに帰してくれ」
蜘蛛女「あたしの都合で、こんな血なまぐさいことしかやらせられなかった」
蜘蛛女「あいつは、もっと良い生き方をすべきなんだ」
魔勇者「……わかった、約束する」
223: 2014/03/11(火) 23:16:56 ID:R721wKa.
王都
蜘蛛女「こうして見るとよ。人類はもういないんだって、実感するな」
魔勇者「……そうだね。少なくとも、生き物が住んでる雰囲気じゃない」
スライム娘「ど、どうするの?」
魔勇者「進むしか、ない。あの城に、きっと王はいる」
蜘蛛女「よっしゃ、んじゃ、前進!」
224: 2014/03/11(火) 23:19:40 ID:R721wKa.
王の城
魔勇者「何の抵抗も無く来れちゃったね」
蜘蛛女「これ……誰もいないんじゃねぇのか?」
魔勇者「そんなはずないと思うんだけど……」
スライム娘「で、でもちょっと怖い」
魔勇者「注意は怠らずに行こう、ここは敵の本拠地なんだ」
225: 2014/03/11(火) 23:28:23 ID:R721wKa.
玉座の間
魔勇者「ここが、玉座みたいだね」
蜘蛛女「やっとだな」
スライム娘「……」グッ
魔勇者「行くよ」
ガチャ ギィィィ……
226: 2014/03/11(火) 23:30:57 ID:R721wKa.
魔勇者「!」
ザッ
兵士「……」 兵士「……」
兵士「……」 兵士「……」
兵士「……」 兵士「……」
兵士「……」 兵士「……」
兵士「……」 兵士「……」
兵士「……」 兵士「……」
王
227: 2014/03/11(火) 23:34:37 ID:R721wKa.
蜘蛛女「あれが……王」
スライム娘「ね、眠ってるみたい」
王「ん……ああ、客人か。済まない、しばし微睡んでいた」
王「……最近は、我が城を訪れる者もめっきり減った」
王「久々の客人だ。くつろいで……」
王「……何だ、お前たちは」
228: 2014/03/11(火) 23:36:28 ID:R721wKa.
魔勇者「人類の長、王よ。私は、魔勇者。魔王より、和平の申し入れを伝えに参りました」
魔勇者「後ろの二人は、蜘蛛女とスライム娘、私の仲間でございます」
王「何? 和平?」
王「くっくっくっ……ハーッハッハッ!」
スライム娘「……?」
王「そうか、和平か!」
王「彼らは上手くやっているらしいな。 いやぁ、愉快だ!」
229: 2014/03/11(火) 23:37:53 ID:R721wKa.
魔勇者「彼ら……?」
王「我らの最精鋭、勇者一行のことだ。今頃は、魔物共を根絶やしにしているのだろう?」
魔勇者「な!」
王「策に困ったお前たちは、和平を申し入れに来たのだろう?」
王「蔑み、嬲り頃しにした相手に頭を下げにな!」
230: 2014/03/11(火) 23:39:52 ID:R721wKa.
魔王城
ガチャ
兵士「報告します。勇者を名乗る四人組は、城下町を進攻中! 部隊は次々と突破されています!」
側近「! ……魔王様」
魔王「市民の避難を最優先させろ。奴らの狙いは私だ」
兵士「はっ」
231: 2014/03/11(火) 23:41:16 ID:R721wKa.
側近「しかし、それでは魔王様が!」
魔王「親衛隊がいる」
側近「しかし……!」
魔王「市民の避難に貢献できない部隊は、奴らの足止めにあたれ」
魔王「……これで満足か?」
側近「……はっ」
魔王「……私には、わかる。我が軍に奴らは止められん」
魔王「いずれ、雌雄を決せねばならんだろう。私の手で」
232: 2014/03/12(水) 20:24:49 ID:iuIhvB6g
?「ふぅ……さすがに少し疲れたな」
?「馬鹿言え。俺たちが疲れるわけないだろ」
?「気疲れって、意味でしょ。わかるわ、さすがに数が多いもの」
?「困りましたね。精神的なものは、私の管轄外です」
233: 2014/03/12(水) 20:28:14 ID:iuIhvB6g
?「んじゃあ、手分けするか?」
?「手分け?」
?「要は、お前が、あの城につければ良いんだろ」
?「だったら、全員がバラバラの方向から進んだほうが良いんじゃねぇかと思ってさ」
?「あら、意外とまともなこと言うのね」
234: 2014/03/12(水) 20:30:19 ID:iuIhvB6g
?「いや、それは困りますよ。私はどうすれば良いんですか」
?「さあ? その杖で殴れば良いんじゃないかしら」
?「これは、術式の触媒として働くもので……」
?「あー、はいはい。わかったわよ。じゃあ、あなたはあたしと一緒に来なさいな」
?「助かります」
?「良し、んじゃあ、決まりだな!」
235: 2014/03/12(水) 20:39:45 ID:iuIhvB6g
?「いやいや、僕何も言ってないんだけど。一応僕リーダーなんだけど」
?「まぁ、細かいことは良いじゃねぇか」
?「えぇー……」
?「んじゃ、そういうことで、俺こっち」
?「じゃあ、あたしたちはこっちね。頑張って、勇者ちゃん」
?「あ、ち、ちょっと。みんなー」
?「行っちゃった……」
?「はあ、しょうがないな」
勇者「……やりますか」
236: 2014/03/13(木) 20:56:01 ID:11T7Q3Og
?「よっ」ザシュ
?「ほっ」ブシャ
?「たぁー」グシャ
?「いやー、楽しい楽しい楽しいねぇ!」
?「このスリル! あいつと一緒じゃ、絶対に味わえないからな」
?「おらおら、もっと来いよ!」
?「この戦士様を愉しませてみせろ!」
237: 2014/03/13(木) 20:58:23 ID:11T7Q3Og
「散々仲間を頃してくれちゃってー!」
ヒュン
戦士「うおっ」ザッ
ヴン
鳥娘「ちょっと欲張り過ぎー」
戦士「あっぶねぇ! けど、すっげぇ! 何、その技!」
238: 2014/03/13(木) 21:02:02 ID:11T7Q3Og
鳥娘「テンションたっかー」
戦士「おらっ!」ザン
ヴン
鳥娘「っと」
戦士「! 消えた!」
鳥娘「こっち、こっちー」
239: 2014/03/13(木) 21:05:54 ID:11T7Q3Og
戦士「! すげぇ、すげぇ、どうやってんだっ!」ブン
ヴン
鳥娘「教えるわけないでしょっ!」ヒュン
戦士「おっと」
戦士「ははっ、良いぞ良いぞ。思ってたのとはちょっと違うが、これはこれで心が踊るぜ!」
鳥娘「悪いけど、あなたばっかりに構ってられないのー」
ヴン ヴン ヴン ヴン
戦士「おぉ、速ぇ速ぇ!」
240: 2014/03/13(木) 21:08:28 ID:11T7Q3Og
鳥娘(戦況は不利。ここで手間取ってられない)
鳥娘(吸魂術で一気に決める……!)
戦士「どこだ? どこにいるんだ?」
ヴン
鳥娘(後ろを取った!)
鳥娘「ハァッ!」ズボッ
241: 2014/03/13(木) 21:10:19 ID:11T7Q3Og
グッ
ググっ
鳥娘「っ!」ズキっ
鳥娘(何この感覚っ!)ザッ
戦士「おっと、逃がすかよ」ガッ
鳥娘「ぐっ」
242: 2014/03/13(木) 21:12:55 ID:11T7Q3Og
戦士「おい、教えてくれよ。さっきの超速移動はどうやったんだ」
戦士「何かの魔術か? え? どうやんだよ?」
鳥娘「あ、あなた、一体何なの……?」
戦士「へっ、知るかよ。んなもんわかるわけねぇだろうが」
戦士「気がついてからずっと囁くんだよ。殺せ、殺せってな」
戦士「止めろ、止めろ。助けて、助けてってなぁ!!」
戦士「あぁぁぁぁぁぁぁっ、うるせえんだよぉぉぉぉぉぉ!!」
鳥娘「っ」
243: 2014/03/13(木) 21:16:50 ID:11T7Q3Og
鳥娘(これが、本当に人類なの……?)
戦士「おい、教えろよ! どうやってんだよぉ!」
戦士「! ……わかった、わかったぜ! この翼だな?」
鳥娘「!」
戦士「何で俺は気づかなかったんだ。いかにも、って感じしてるじゃねぇか」
戦士「どうすりゃ良いんだ? え? 羽根を毟れば良いのか? 骨を折れば良いのか?」
244: 2014/03/13(木) 21:19:31 ID:11T7Q3Og
鳥娘「い、いや……」
戦士「ああ、そうか。切り落としちまえば良いのか」
鳥娘「や、止めて……!」ジタバタ
戦士「おっとと、やっぱり、羽根を掴まれてちゃ何もできないみてぇだな!」
戦士「じゃあな、お前とのお遊びは、中々楽しかったよ」ブン
ザシュ ブシュゥゥゥゥゥゥ
鳥娘「ああああああああああああ!」
245: 2014/03/13(木) 21:21:33 ID:11T7Q3Og
魔勇者「では、和平は受けて頂けない、ということですね」
王「ふん、今更、何を言う! 」
王「我らは、もう後戻りができないところまで来ているのだ!」
王「我々が覇者となる! お前たちをこの大陸から一掃してやる!」
魔勇者「ならば、仕方がない」チャキ
蜘蛛女「!」ブン
スライム娘「……!」スッ
246: 2014/03/13(木) 21:23:49 ID:11T7Q3Og
王「馬鹿共め! ここは、我ら人類の城だぞ! たかが三人で、何が出来る!」
バタン
ザッザッザッ……
兵士1~「……」
スライム娘「か、囲まれた……!」
蜘蛛女「へっ、どいつもこいつも辛気くせぇ顔並べやがって!」
蜘蛛女「あたしたちが、突破口を開く。あんたは、王をやれ」
魔勇者「わかった」
247: 2014/03/13(木) 21:27:49 ID:11T7Q3Og
魔勇者(数が多い。いくら彼女たちでも、長くは保たない)
魔勇者(近づいて、確実に、一気に仕留める……!)
蜘蛛女「おっらぁっ!!」ブゥン
スライム娘「……っ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン
蜘蛛女「行けっ!!」
魔勇者「っ!」ダッ
王「! ひ、ひぃっ」
魔勇者「覚悟っ!」
248: 2014/03/13(木) 21:29:58 ID:11T7Q3Og
王「などと言うと思ったか?」ニヤ
魔勇者「!」ザザッ
王「フン!」ゴッ
魔勇者「がっ……!」
王「言っただろう。我々が覇者となるのだ」
249: 2014/03/13(木) 21:34:07 ID:11T7Q3Og
鳥娘「はっ……はっ、はっ……」
鳥娘「っ」ズキン
戦士「先に切り落としたのは、失敗だったか」
戦士「鎧飾りにでもしようと思ったんだが、血で台無しだ」
戦士「ま、良いか。他にもいるだろ」
250: 2014/03/13(木) 21:36:31 ID:11T7Q3Og
戦士「よっしゃ、とどめといきますかっ!」ザン
ヴン
ズガッ ズズズ……
戦士「……え?」
鳥娘「はっ……ゆ、油断したわね……っ!」ズキン
ズキズキズキ……
鳥娘「これで、これで……終わり、よ!」
251: 2014/03/13(木) 21:38:21 ID:11T7Q3Og
戦士「な、何しやがんだ! 離せ、離せ!!」
ズズズ…… ズボッ
戦士「」ガクン
ドサッ
鳥娘「っはっ、はっ、はっ……」
鳥娘「痛つ……っ」ズキン
252: 2014/03/13(木) 21:40:58 ID:11T7Q3Og
鳥娘(夢じゃ、ないんだよね)
鳥娘(私の翼、勇者様が褒めてくれた私の翼……)
鳥娘「うっ……ぐすっ、ひぐっ……」
鳥娘「無くなっちゃったよぉ……」
鳥娘「う、くっ……」ズキズキ
鳥娘「もう、子供じゃないん、だから」
鳥娘「いつまでも、泣いてられないよねー」
鳥娘「とりあえず、魔王城に……」
ヴン
253: 2014/03/13(木) 21:44:05 ID:11T7Q3Og
ドガっ
魔勇者「ぐあっ」
王「どうした、その程度か? 案外もろいものだな、魔物というものは」
王「今まで、手間取っていたのが嘘のようだ」
王「ここで、お前を捻り潰し、反撃の狼煙としてくれる!」
254: 2014/03/13(木) 21:46:50 ID:11T7Q3Og
魔勇者「くっ」ザッ
ズガン
王「ふははは、この力、実に素晴らしい」
魔勇者(どうしよう、この人、強い……!)
蜘蛛女「くっ、キリがねぇ……!」
スライム娘「……はあ……はあ……」
魔勇者(二人とも限界が近い)
魔勇者(このままじゃ、やられる)
魔勇者(どうする、どうすればいい)
255: 2014/03/13(木) 21:50:15 ID:11T7Q3Og
王「動きが止まっているぞ?」
魔勇者「! しまっ……」ガッ
魔勇者「う、く……」
王「ははは、無様だな」ググっ
魔勇者「か、はっ……」
王「そうだ、常々気になることがあったのだ」
魔勇者(息が……っ)
256: 2014/03/13(木) 21:52:33 ID:11T7Q3Og
王「お前たちの体内というのは、どうなっている?」
〝……空間の狭間……呑み込まれる……〟
魔勇者「!」
王「我々と同じなのか? それとも、その強靭さの秘訣は、その体に隠されているのか?」
魔勇者(一か八か、やるしかない)
王「見せてもらいたいのだ。今、ここで!」ブン
257: 2014/03/13(木) 21:55:40 ID:11T7Q3Og
魔勇者「オラぁっ!」ケリ
王「ぐあっ」
魔勇者「これでも、食らえっ!」
ズブっ
魔勇者「良し!」ザッ
魔勇者(頼むよ、鳥娘!)
258: 2014/03/13(木) 21:57:54 ID:11T7Q3Og
王「な、何をした!」
王「おい、衛兵! こいつらを殺せ!」
ザッ
兵士「……」
王「うっ」
ズズズ……
王「ぐ、ぐああああああああ」
ヴォォォン
魔勇者(起動した!?)
259: 2014/03/13(木) 21:58:48 ID:11T7Q3Og
王「これでか、勝ったと……があぁぁぁぁぁぁ!!!」
メキメキ ボキッ グシャ
ズルズル……
魔勇者「や、やった。上手く、いった」
260: 2014/03/13(木) 22:01:23 ID:11T7Q3Og
ヴン
鳥娘「勇者、様、おむかえに……」
魔勇者「鳥娘!? どうしたんだ、その怪我!」
鳥娘「細かい話は、後に……」
鳥娘「今、は、魔王城に、早く……!」
魔勇者「わかった。蜘蛛女、スライム娘!」
蜘蛛女「おう! スライム娘、先行け!」
スライム娘「うん!」
261: 2014/03/13(木) 22:03:47 ID:11T7Q3Og
ゴゴゴ……
魔勇者「おわっ!?」
スライム娘「きゃっ」
グラグラ……
魔勇者「し、城が、揺れてる!」
鳥娘「崩れるかもしれません! 急いで!」
スライム娘「お姉ちゃん!」
262: 2014/03/13(木) 22:05:20 ID:11T7Q3Og
蜘蛛女「しつけぇんだよっ!」ブン
蜘蛛女「待ってろ、今行く!」
ゴゴゴ…… バキ メキ パキパキ……
ズズン
魔勇者「!」
蜘蛛女「!」
魔勇者(玉座の間の床が……!)
蜘蛛女(くそっ、何とか跳べるか?)
263: 2014/03/13(木) 22:08:55 ID:11T7Q3Og
ガシ
兵士「……」
蜘蛛女「邪魔すんな!」バキっ
パキパキ……
スライム娘「お姉ちゃん、上!!」
蜘蛛女「!」
グシャッ
蜘蛛女「ぐあぁぁぁ!!」
スライム娘「お姉ちゃん!!」
264: 2014/03/13(木) 22:10:56 ID:11T7Q3Og
蜘蛛女(脚が……挟まって、動かねぇ)
蜘蛛女(……ここまで、か)
蜘蛛女「魔勇者!」
魔勇者「今、助けに……!」
蜘蛛女「先行け! すぐには動きそうもねぇ」
スライム娘「そんな、何言ってるの? お姉ちゃん」
蜘蛛女「心配すんな、後から着いてく」ニコ
265: 2014/03/13(木) 22:13:08 ID:11T7Q3Og
スライム娘「嫌、嫌だよ! お姉ちゃん!!」
蜘蛛女「魔勇者! 約束、覚えてるよな!」
魔勇者「……わかった」
魔勇者「行こう、スライム娘」
スライム娘「いや! だって、お姉ちゃん、まだ……!」
魔勇者「……くっ」ガシ
スライム娘「離して! いや!」
魔勇者「鳥娘!」
鳥娘「は、はい!」
266: 2014/03/13(木) 22:15:24 ID:11T7Q3Og
スライム娘「いや! お姉ちゃん! おねえちゃん!!」
蜘蛛女「生きろよ……」
ヴゥゥゥ……ン
ゴゴゴ……
ザッ ザッ
兵士「……」 兵士「……」 兵士「……」 …………
蜘蛛女「城が崩れようってときに、真面目なこって……」
蜘蛛女「……来な!!」
270: 2014/03/14(金) 22:19:35 ID:gC50qp0.
魔王城
ヴゥゥゥゥゥン
魔勇者「ここは……魔王城?」
鳥娘「無事に、戻って来れたみたい、です」
ドサ
魔勇者「鳥娘!」
鳥娘「わ、私は大丈夫、です。少し疲れただけ、ですから」
鳥娘「それよりも、魔王様を……」
魔勇者「わかった」
271: 2014/03/14(金) 22:21:50 ID:gC50qp0.
スライム娘「いや……お姉ちゃん……」
魔勇者「スライム娘……」
魔勇者「約束する。この戦いが終わったら、全力でお姉さんを探す」
魔勇者「……だから、今は協力してください」
スライム娘「……」
スライム娘「……わ、わかりました。私、勇者さんを信じます」
スライム娘「行きましょう」
272: 2014/03/14(金) 22:23:40 ID:gC50qp0.
玉座の間
魔王「……ひゅー……ひゅー……」
?「思っていたほどじゃ、なかったな」グイ
魔王「っ……」
?「さすがに、もう声もでないか」
?「まあ、まだ息してることのほうが驚きだけど」
273: 2014/03/14(金) 22:27:27 ID:gC50qp0.
?「……あんなに自信満々だったのにね」
?「それとも、あれは精一杯の強がりだったのかな」
?「さあ、どうしようか。どうしてほしい?」
?「このまま、氏ぬのを見ていて欲しい? それとも、今すぐ楽になりたい?」
?「……僕としては、もう少し生きていて欲しいかな」
274: 2014/03/14(金) 22:30:50 ID:gC50qp0.
?「君が氏んだら、僕の役目は終わり」
?「……でも、そうなったら、僕は何をすればいい?」
?「僕は……」
ギィィィィ……
?「誰?」
魔王「……あ……」
魔王「……ゆ、う……しゃ……」
275: 2014/03/14(金) 22:33:11 ID:gC50qp0.
?「何言ってるの? 勇者は僕だよ?」
魔勇者「魔王……」
勇者「ってか、喋れたんだ。だったら、もっと相手してくれても良かったのに」
魔王「……ゆ、うしゃ……!」
魔勇者「魔王!」
勇者「え、何この感じ。邪魔? 邪魔なの?」
勇者「ってか、無視しないでよ」
276: 2014/03/14(金) 22:35:48 ID:gC50qp0.
魔勇者「魔王を離せ!!」
勇者「ちょっと、何でそんなに怒ってるの?」
勇者「……まあ、良いけどさ」
メキメキ ボキッ
魔王「あ、ああ……!」
魔勇者「!」
勇者「おっと、手が滑っちゃった」ニヤ
277: 2014/03/14(金) 22:37:22 ID:gC50qp0.
魔勇者「てんめぇぇぇぇぇぇ!」ダッ
勇者「単純なやつ……」ポイ
ドサッ
魔王「うっ……」
スライム娘「ま、魔王様……!」
魔勇者「っ」ザン
勇者「よっ」タッ
勇者「ほらほら、しっかり狙わないと」
魔勇者「っ!!」
278: 2014/03/16(日) 21:47:39 ID:mlmWr4zA
スライム娘「魔王様っ!」
スライム娘「!」
魔王「……う……」
スライム娘(酷い……)
スライム娘(た、助けないと……!)
279: 2014/03/16(日) 21:49:37 ID:mlmWr4zA
スライム娘(と、とりあえず血を止めなきゃ)
スライム娘(出血がひどいのは、右手足……)
スライム娘(……完全に潰れてる)
スライム娘「!」
スライム娘(私の一部を使えば、どうにか止血できるかも)
280: 2014/03/16(日) 21:52:27 ID:mlmWr4zA
魔勇者「ハァッ!!」ザン
勇者「はずれ」
魔勇者「ハァッ!!」
勇者「はずれ」
魔勇者「ハァッ!!」
勇者「はーずれ」
281: 2014/03/16(日) 21:53:41 ID:mlmWr4zA
勇者「……ふぁ、何か、つまんないな。君は」
魔勇者「黙れ!」ブン
勇者「魔王のほうが、もっとおもしろかったな」
勇者「強さ的にも、反応的にも」
魔勇者「この、くそ野郎が!!」
282: 2014/03/16(日) 21:57:54 ID:mlmWr4zA
勇者「……当然の権利だろ」
勇者「お前たちのしてきたことを思えば、こんなこと!」ザン
魔勇者「!」
ガキン
勇者「お前たちのせいで、人類はめちゃくちゃになった!」
勇者「皆連れて行かれて! ぐちゃぐちゃにされて!」
勇者「もう自分が、誰なのかも分からないんだ!」
勇者「僕は勇者だ! けどそれが何だって言うんだ!」
勇者「僕には、それ以外何もないんだぞ!」ザン
勇者「……だから、仲間みたいな、君と魔王みたいな関係を見るとイライラするんだ」
勇者「自分たちのやったことへの代償も払わず、僕たちがするはずだった、できるはずだった甘ったれた関係を見ると……」
勇者「全部、壊したくなるんだ」
283: 2014/03/16(日) 21:58:30 ID:mlmWr4zA
勇者「……当然の権利だろ」
勇者「お前たちのしてきたことを思えば、こんなこと!」ザン
魔勇者「!」
ガキン
勇者「お前たちのせいで、人類はめちゃくちゃになった!」
勇者「皆連れて行かれて! ぐちゃぐちゃにされて!」
勇者「もう自分が、誰なのかも分からないんだ!」
284: 2014/03/16(日) 22:00:23 ID:mlmWr4zA
再びのミス すいません↓
魔勇者「はー……はー……」
勇者「へぇ、僕の斬撃を、全部耐えたんだ。意外とやるね」
勇者「肌を硬化させる能力か。良いなぁ、僕もそんな能力が欲しかった」
魔勇者「……余裕、かましちゃって」
勇者「事実だし、仕方ないね」
魔勇者「……ちくしょう」
魔勇者「結構努力したつもりなんだけどな」
魔勇者「はー……はー……」
勇者「へぇ、僕の斬撃を、全部耐えたんだ。意外とやるね」
勇者「肌を硬化させる能力か。良いなぁ、僕もそんな能力が欲しかった」
魔勇者「……余裕、かましちゃって」
勇者「事実だし、仕方ないね」
魔勇者「……ちくしょう」
魔勇者「結構努力したつもりなんだけどな」
285: 2014/03/16(日) 22:01:40 ID:mlmWr4zA
魔勇者「世界は広いな、やっぱり」
勇者「何、悟ってんの。これから氏ぬんだよ、君」
勇者「あの魔王みたいに」
勇者「何か、必氏に応急処置してるみたいだけど、多分無駄だよ」
魔勇者「……」
286: 2014/03/16(日) 22:03:39 ID:mlmWr4zA
魔勇者「僕は、氏なないよ」
勇者「根拠は?」
魔勇者「……約束、したから」
勇者「約束?」
魔勇者「そう、約束」グッ
勇者「驚いた、まだ立ち上がるんだ」
勇者「約束、かぁ。すごいな」
287: 2014/03/16(日) 22:05:13 ID:mlmWr4zA
魔勇者「驚くのは、まだ早いよ」チャキ
魔勇者「勝負は、これからだ」
勇者「……良いよ、相手をしてあげる」
勇者「旅の終わりが遠のくのなら、僕は、何だってするさ」
勇者「で、どうするの? 僕から仕掛けても良いの?」
288: 2014/03/16(日) 22:06:18 ID:mlmWr4zA
魔勇者「いや、僕からだよ。……正確には、僕からだった」
勇者「え?」
ブシュゥゥゥ パタッ パタッ
ドチャ
魔勇者「一本、もらい」
勇者「……あ、僕の腕が」
勇者「何か、ちょっとフェアじゃなくない、これ」
魔勇者「平然としてる時点で充分フェアだと思うけど」
289: 2014/03/16(日) 22:09:46 ID:mlmWr4zA
勇者「まあ、良いや。これは、授業料ってことで」
ザッ
勇者「要は、その物騒な剣を壊せば良いんでしょ?」ザン
魔勇者「させるか!」
ガキン
勇者「出た、硬化」
ガギギ
勇者「でも、壊せる」
290: 2014/03/16(日) 22:11:28 ID:mlmWr4zA
魔勇者「!」ザッ
ポタ……ポタ……
勇者「惜しかったなー。あと少しで、僕と同じにできたのに」
魔勇者「くっ……」
勇者「んじゃ、もう一発!」ザッ
キン
勇者「やっぱり、剣で受けたね」
291: 2014/03/16(日) 22:13:30 ID:mlmWr4zA
ベキン
魔勇者「!」
勇者「はい、終了」
魔勇者「……くそ」
勇者「じゃ、あ……ね?」
292: 2014/03/16(日) 22:15:12 ID:mlmWr4zA
勇者「え、な……なにこ、れ?」
カラン
魔勇者「!」バッ
グサッ
勇者「……かはっ……?」
勇者「……な、な……んで……?」
ドサッ
魔勇者「……はー、はー……」
ドサッ
297: 2014/03/23(日) 19:43:35 ID:Vw2l1fjg
数ヶ月後
魔王城
カチャ カチャ
?「それで、調査の結果は?」
?「はっ、解剖の結果、『勇者』と名乗った者の体内は、そのほとんどが人工物で置き換えられていることが判明しました」
?「ただ……あの場で突如として停止した原因は不明です」
?「……そうか。なら、また突然動き出す可能性もあるわけだな?」
?「その可能性は充分にあります」
298: 2014/03/23(日) 19:45:20 ID:Vw2l1fjg
?「では、監視と検査を続けろ。もし、次があるとしたら、我々の滅亡は避けられない」
?「対策を練るんだ」
?「はっ」
?「……他には?」
?「はっ、魔勇者様がいらっしゃっています」
?「わかった、呼んでくれ、側近」
側近「かしこまりました、魔王様」
299: 2014/03/23(日) 19:46:34 ID:Vw2l1fjg
ガチャ
魔勇者「魔王……」
魔王「勇者、もう体は大丈夫なのか?」
魔勇者「僕のは、ほら、かすり傷だから」
魔王「そうか。それは良かった」
魔勇者「魔王は? もう、その、大丈夫なの?」
魔王「ああ、まだ全快、というわけにはいかないが」
300: 2014/03/23(日) 19:51:41 ID:Vw2l1fjg
魔勇者「……ごめん」
魔王「何故謝る」
魔勇者「何故って……僕が不甲斐ないばかりに……」
魔王「この義手のことか?」カチャ
魔勇者「……」コク
魔王「泣きそうな顔をするな。……そうだな、触ってみろ」
301: 2014/03/23(日) 19:52:56 ID:Vw2l1fjg
魔勇者「……」
魔王「良いから、ほら」グイ
魔勇者「……!」
魔王「どうだ? 暖かいだろう?」
魔勇者「……うん」
魔王「ちょうど人肌ぐらいだ」
魔勇者「……うん」
302: 2014/03/23(日) 19:54:01 ID:Vw2l1fjg
魔王「私も、お前の暖かさを感じる。感じることができる」
魔勇者「金属製なのに?」
魔王「うむ、私は、我が国の発展を身を以て体験している」
魔王「それに、このデザイン。いかにも魔王っぽくて、気に入っている」
魔勇者「そうなんだ」
魔王「……コホン、話が逸れたな。つまり、私が言いたいことは、だ」
303: 2014/03/23(日) 19:54:53 ID:Vw2l1fjg
魔王「私は、以前の自分と何ら変わりない、ということだ」
魔王「だから、お前が謝る必要はないし、気に病む必要もない」
魔王「わかったな」
魔勇者「……ありがとう」
魔王「礼には及ばん」
魔王「というより、礼を言わねばならないのは、私のほうだ」
魔王「命じた通り、良く、帰ってきてくれた」
304: 2014/03/23(日) 19:55:56 ID:Vw2l1fjg
魔勇者「……約束、したからね」
魔王「そうか」クス
魔王「……そうだ、何か褒美をとらせよう」
魔勇者「え、良いよ、そんなの。幼馴染なんだし」
魔王「そうはいかん。お前は、人類の王を倒し、我ら魔族滅亡の危機を救ったのだぞ」
魔王「褒美をとらせなければ、民衆が納得しない」
305: 2014/03/23(日) 21:35:28 ID:Vw2l1fjg
魔勇者「そういわれてもなあ……あ」
魔王「お、何か思いついたか?」
魔勇者「うん、何となく」
魔王「何だ?」
魔勇者「うーん、でもな……」
魔王「遠慮するな、私は魔王だぞ、大抵のことは……」
魔勇者「結婚しよう」
魔王「……え?」
306: 2014/03/23(日) 21:37:30 ID:Vw2l1fjg
スライム娘「……いい天気」
スライム娘「おはよう、お姉ちゃん」
スライム娘「この花、お姉ちゃんに似合うかと思って、買ってきたんだ」
スライム娘「ここに、置いておくね」
スライム娘「元気にしてた? お姉ちゃん」
スライム娘「私は元気。魔王様や魔勇者さんが良くしてくれるし、あ、そうそう、魔王城に側近っていう人がいてね………」
307: 2014/03/23(日) 21:40:01 ID:Vw2l1fjg
スライム娘「……ついつい喋り過ぎちゃった。もう、こんな時間」
スライム娘「……」
スライム娘「ねえ、お姉ちゃん?」
スライム娘「私、待ってるんだよ?」
スライム娘「お姉ちゃんを探して、魔勇者さんがどれだけ苦労したか、わかってる?」
スライム娘「ごめんなさい、ごめんなさい……って、何度も謝ってくれた」
スライム娘「八つ当たりしようと思ってたのに、申し訳なくて、できなかったよ」
308: 2014/03/23(日) 21:43:35 ID:Vw2l1fjg
スライム娘「……お姉ちゃん」
スライム娘「私、どうしたらいいの? お姉ちゃんが……」
スライム娘「……」
スライム娘「お姉ちゃんが、氏ん……」
?「勝手に頃すな、縁起でもねぇ」
スライム娘「え……?」
?「後から着いてくって、言っただろ?」
309: 2014/03/23(日) 21:46:30 ID:Vw2l1fjg
スライム娘「……」
スライム娘「お、遅いよ」
スライム娘「この……馬鹿姉ぇぇぇ!!」ダッ
蜘蛛女「うおっ!?」
スライム娘「どれだけ……どれだけ、心配したと思ってるの!!」
スライム娘「皆を散々心配させて!!」
310: 2014/03/23(日) 21:52:52 ID:Vw2l1fjg
蜘蛛女「あ、あはは……ごめんな」
スライム娘「もっとちゃんと謝って!」
蜘蛛女「し、心配かけて、すまなかった」
スライム娘「魔勇者さんにも、ちゃんと謝るんだよ?」
蜘蛛女「わかってるよ」
311: 2014/03/23(日) 21:54:02 ID:Vw2l1fjg
スライム娘「……」
スライム娘「本当に、本当に、お姉ちゃん?」
蜘蛛女「おう、正真正銘あたしだ」
スライム娘「でも、どうやって……?」
蜘蛛女「ああ、あいつが助けてくれたんだ」
スライム娘「あいつ……?」
蜘蛛女「おい、感動の再会は終わったから、遠慮しないで出てこい」
312: 2014/03/23(日) 21:57:00 ID:Vw2l1fjg
ザッ
スライム娘「!」
ダークエルフ「……」
ダークエルフ「……俺には、別の目的があった。彼女を助けたのは、そのついでだ」
蜘蛛女「そうだな。あたしはついでだった」
蜘蛛女「でも、あたしはこいつに助けられた。それは事実だ」
313: 2014/03/23(日) 21:59:52 ID:Vw2l1fjg
スライム娘「……」
ダークエルフ「……?」
スライム娘「あ、ありがとうございました」ペコリ
ダークエルフ「……ああ」
スライム娘「それから、お姉ちゃん」
蜘蛛女「な、何だ?」
スライム娘「話したいことはいっぱいあるけど、とりあえずこれだけ」
スライム娘「……おかえりなさい」
蜘蛛女「おう、ただいま」
おわり
315: 2014/03/23(日) 22:13:34 ID:Vw2l1fjg
ここまで読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございました。
この作品は、これで完結となります。
少しでも楽しんでいただけたら、幸いです。
この作品は、これで完結となります。
少しでも楽しんでいただけたら、幸いです。
321: 2014/03/29(土) 09:04:35 ID:D6.rr.Fw
時折、夢を見る。
両親の夢だ。
何てことはない、平凡で、幸せな朝の夢。
その夢を見るたび、俺は、恐怖を覚える。
夢の行き着く先を知っているから。
幸せなのは、最初だけ。これは、悪夢なのだ。
それでも、俺は、その夢を見る。
一瞬の幸せを感じるために。
俺は、過ちの苦い記憶を噛み締めるのだ。
魔王「頼んだぞ、勇者!」番外編 『過ち』
coming soon…?
引用: 魔王「頼んだぞ、勇者!」
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