931: 2007/04/26(木) 20:51:46.38 ID:ejTdO1nw0
いつもはあたしがキョンのネクタイを引っ張って行く、屋上へ続くドアの前。
でも今日はあたしがキョンに腕を引かれてそこへやってきた。
朝、いつもは遅刻ギリギリのキョンがあたしより早く来てるから、珍しいなって思った矢先だった。
「大至急話したいことがあるんだ」
なんてことを言いながらあたしの腕を取ると、あたしの返事も聞かずにそのまま強引に。
正直頭にきたわ。昨夜はあまり眠れなくて学校で寝ようと思ってたから。
当然あたしは問い詰めた。「朝っぱらから何の騒ぎよ」って。
するとキョンったら真顔でこんなことを言うのよ。
「昨夜一晩中考えたんだが、いい台詞が浮かばなかった」
意味わからないでしょ。質問に対する答えになってないし、キョンが国語の成績悪いのも頷けたわ。
「答えになってないわ、マイナス30点。100点溜まったらジュース1本驕りよ」
でもキョンはいつもの愚痴を言わずに、とんでもないことを言ってきた。
「俺はお前が好きだ」
でも今日はあたしがキョンに腕を引かれてそこへやってきた。
朝、いつもは遅刻ギリギリのキョンがあたしより早く来てるから、珍しいなって思った矢先だった。
「大至急話したいことがあるんだ」
なんてことを言いながらあたしの腕を取ると、あたしの返事も聞かずにそのまま強引に。
正直頭にきたわ。昨夜はあまり眠れなくて学校で寝ようと思ってたから。
当然あたしは問い詰めた。「朝っぱらから何の騒ぎよ」って。
するとキョンったら真顔でこんなことを言うのよ。
「昨夜一晩中考えたんだが、いい台詞が浮かばなかった」
意味わからないでしょ。質問に対する答えになってないし、キョンが国語の成績悪いのも頷けたわ。
「答えになってないわ、マイナス30点。100点溜まったらジュース1本驕りよ」
でもキョンはいつもの愚痴を言わずに、とんでもないことを言ってきた。
「俺はお前が好きだ」
937: 2007/04/26(木) 20:55:47.23 ID:ejTdO1nw0
何の前振りもなしに・・・今思うとあったんだけど、そんなことを言われて。
不覚にも動揺したわ。よもやこのバカキョンから、その、こ、こ、告白されるなんて・・・。
あー、もう!何で思い出すだけで顔が熱くなるのよ!意味わかんない!
とにかく、あたしはキョンの言葉を素直に飲み込めなくて、苦し紛れに言ったの。
「な、何それ。言っとくけど団長をからかうとマイナス500点よ!」
「冗談でも何でもない。俺は本気なんだ」
何の含みもない声で、相変わらず似合わない真顔のままあたしの目をじっと見つめてきた。
返答が見つからないままあたしが立ち竦んでいたら、そこでチャイムが鳴って。
「おっとHRが始まっちまうな。返事はその・・・じっくり考えてからでいいからさ」
「あ、う、うん」
「じゃあ教室に戻ろうぜ」
キョンはそう言って、またあたしは腕を引かれて教室まで戻った。
不覚にも動揺したわ。よもやこのバカキョンから、その、こ、こ、告白されるなんて・・・。
あー、もう!何で思い出すだけで顔が熱くなるのよ!意味わかんない!
とにかく、あたしはキョンの言葉を素直に飲み込めなくて、苦し紛れに言ったの。
「な、何それ。言っとくけど団長をからかうとマイナス500点よ!」
「冗談でも何でもない。俺は本気なんだ」
何の含みもない声で、相変わらず似合わない真顔のままあたしの目をじっと見つめてきた。
返答が見つからないままあたしが立ち竦んでいたら、そこでチャイムが鳴って。
「おっとHRが始まっちまうな。返事はその・・・じっくり考えてからでいいからさ」
「あ、う、うん」
「じゃあ教室に戻ろうぜ」
キョンはそう言って、またあたしは腕を引かれて教室まで戻った。
945: 2007/04/26(木) 21:02:31.16 ID:ejTdO1nw0
んで、今は6限目の現国の時間。あたしは黒板をぼんやり眺めながら今朝のことを何度も思い出してる。
思い出す度に顔が火照ってるような気がするのは、気のせいであって欲しいわ。
大体恋愛感情なんてものは気の迷い、精神病の一種だってのが自論なのよあたしは。
――でも、やっぱり好きなんだろうなぁ。キョンのこと。
人の気も知らないでうたた寝に精を出すバカキョンの背中をつつきながら、あたしは返事を考えた。
もてないアンタが振り絞った勇気を無駄にするのも可哀相だから、付き合ってあげてもいいわよ。
そうね、これでいいわ。あくまで団長としての威厳は大切にしないと、すぐこのバカキョンは調子に乗りそうだし。
答えが出たことに安心したのか、昨夜の寝不足も相俟ってあたしは机に突っ伏して深いまどろみに落ちていった。
思い出す度に顔が火照ってるような気がするのは、気のせいであって欲しいわ。
大体恋愛感情なんてものは気の迷い、精神病の一種だってのが自論なのよあたしは。
――でも、やっぱり好きなんだろうなぁ。キョンのこと。
人の気も知らないでうたた寝に精を出すバカキョンの背中をつつきながら、あたしは返事を考えた。
もてないアンタが振り絞った勇気を無駄にするのも可哀相だから、付き合ってあげてもいいわよ。
そうね、これでいいわ。あくまで団長としての威厳は大切にしないと、すぐこのバカキョンは調子に乗りそうだし。
答えが出たことに安心したのか、昨夜の寝不足も相俟ってあたしは机に突っ伏して深いまどろみに落ちていった。
948: 2007/04/26(木) 21:07:53.28 ID:ejTdO1nw0
目が覚めると随分と手強い睡魔だったみたいで、6限目はおろかHRまで終わって生徒の数も疎らになってた。
ぼんやりとした頭で前を見ると、存外すでにキョンはいなかった。
何よ、1人でさっさと部室に行ったのかしら。あのアホキョンは。
ぼんやりする頭に喝を入れて部室に向かおうとしたとき、あたしは気付いた。
何か羽織らされてる・・・なんとなく暖かいなって思ってたんだけど。
「だからってこんな衆目の面前でやらなくてもいいわよ・・・恥ずかしいでしょ」
ニヤニヤ面の谷口を一度キツく睨んだあと、あたしは急いで部室に向かうことにした。
右手にカバンを、左手にキョンのブレザーを持って。
ぼんやりとした頭で前を見ると、存外すでにキョンはいなかった。
何よ、1人でさっさと部室に行ったのかしら。あのアホキョンは。
ぼんやりする頭に喝を入れて部室に向かおうとしたとき、あたしは気付いた。
何か羽織らされてる・・・なんとなく暖かいなって思ってたんだけど。
「だからってこんな衆目の面前でやらなくてもいいわよ・・・恥ずかしいでしょ」
ニヤニヤ面の谷口を一度キツく睨んだあと、あたしは急いで部室に向かうことにした。
右手にカバンを、左手にキョンのブレザーを持って。
953: 2007/04/26(木) 21:13:13.57 ID:ejTdO1nw0
「彼なら今日は来ていませんよ」
手持ち無沙汰そうにしながら古泉君が言った。だから1人オセロなんてやってるのね。
それにしても何で来てないのよ、あのアホキョンは。
無断欠勤は重大な罰則だって以前にも言ったのに。マイナス2000点ね。
「ですが、彼から託けを頼まれています」
「え、バカキョンから?何?」
「明日は土曜だからなんとなく不思議探索ツアーがある気がする」
「その通りよ。あいつもようやく団長の指示無しでもやるべきことがわかってきたみたいね」
「だが、明日は中止にして欲しい、と受け賜りました」
あたしが怪訝して、思わず古泉君に当たりそうになっていると、
「今夜、理由を説明するために電話を掛けるから、とも仰っていましたよ」
SOS団の活動を中止させる進言をするまでの理由ってどんな理由よ。
・・・まさか、あのときのこと?
「涼宮さんどうしたんですかぁ?顔が真っ赤ですよ?」
今日のあたしはやっぱりどうかしちゃってる。・・・猛省しないと。
手持ち無沙汰そうにしながら古泉君が言った。だから1人オセロなんてやってるのね。
それにしても何で来てないのよ、あのアホキョンは。
無断欠勤は重大な罰則だって以前にも言ったのに。マイナス2000点ね。
「ですが、彼から託けを頼まれています」
「え、バカキョンから?何?」
「明日は土曜だからなんとなく不思議探索ツアーがある気がする」
「その通りよ。あいつもようやく団長の指示無しでもやるべきことがわかってきたみたいね」
「だが、明日は中止にして欲しい、と受け賜りました」
あたしが怪訝して、思わず古泉君に当たりそうになっていると、
「今夜、理由を説明するために電話を掛けるから、とも仰っていましたよ」
SOS団の活動を中止させる進言をするまでの理由ってどんな理由よ。
・・・まさか、あのときのこと?
「涼宮さんどうしたんですかぁ?顔が真っ赤ですよ?」
今日のあたしはやっぱりどうかしちゃってる。・・・猛省しないと。
959: 2007/04/26(木) 21:21:17.40 ID:ejTdO1nw0
キョンのいない、何か物足りない気がする団活動はいつも通り有希の合図で終わった。
とりあえず明日のことは今夜改めて電話する旨を告げておいた。まだ中止にするかわからないしね。
帰ったら真っ先にお風呂に入った。今日は不思議と汗をかいて、気持ち悪かったし。
それにキョンの言葉が脳内でリフレーンするのもなんとかしたかった。
うるさいほどのシャワーの音も、結局は解決してくれなかったんだけど。
浴室を出ても体の火照りは治まることを知らなくて、あたしはベッドに倒れ込む。
冷たいベッドの感触が熱い体に気持ちよかった。濡れた髪が首に纏わり付くのは不快だけど。
それとなく携帯に手を伸ばそうとして、あまりにもタイミングよく携帯が鳴った。
何処かで見ていたんじゃないかってくらい。キョンからだ。
とりあえず明日のことは今夜改めて電話する旨を告げておいた。まだ中止にするかわからないしね。
帰ったら真っ先にお風呂に入った。今日は不思議と汗をかいて、気持ち悪かったし。
それにキョンの言葉が脳内でリフレーンするのもなんとかしたかった。
うるさいほどのシャワーの音も、結局は解決してくれなかったんだけど。
浴室を出ても体の火照りは治まることを知らなくて、あたしはベッドに倒れ込む。
冷たいベッドの感触が熱い体に気持ちよかった。濡れた髪が首に纏わり付くのは不快だけど。
それとなく携帯に手を伸ばそうとして、あまりにもタイミングよく携帯が鳴った。
何処かで見ていたんじゃないかってくらい。キョンからだ。
966: 2007/04/26(木) 21:31:33.62 ID:ejTdO1nw0
「待ってたわ。無断欠勤と明日の活動中止進言の件について詳しく話してもらおうかしら」
「あぁ、そのつもりでかけたんだ」
キョンはいつも通りの声だった。全く、人の気も知らないで。
「早速だが本題から入らせてもらう。ハルヒ、明日俺と会ってくれ」
別に不思議探索ツアーで嫌でも顔を合わせるのに。
「いや、お前と2人きりで会いたいんだ」
さらっととんでもない事を言ってくるわね・・・。
「今日のことの、返事が聞きたい。ダメか?」
「あたしも早めに返事はしなきゃって思ってたし・・・別に構わないけど」
「そうか、よかった」電話の向こうでキョンの笑い声が聞こえた。
ダメだ、あたし。たったこれだけのことで舞い上がっちゃってる。
「あぁ、そのつもりでかけたんだ」
キョンはいつも通りの声だった。全く、人の気も知らないで。
「早速だが本題から入らせてもらう。ハルヒ、明日俺と会ってくれ」
別に不思議探索ツアーで嫌でも顔を合わせるのに。
「いや、お前と2人きりで会いたいんだ」
さらっととんでもない事を言ってくるわね・・・。
「今日のことの、返事が聞きたい。ダメか?」
「あたしも早めに返事はしなきゃって思ってたし・・・別に構わないけど」
「そうか、よかった」電話の向こうでキョンの笑い声が聞こえた。
ダメだ、あたし。たったこれだけのことで舞い上がっちゃってる。
971: 2007/04/26(木) 21:38:52.70 ID:ejTdO1nw0
「で、でも無断欠勤の理由をまだ聞いてないわよ」
「いや、何か返事をもらう覚悟が出来てなかったって言うか・・・」
そう言い訳してキョンは口を噤んだ。思わず口元が緩む。こいつも緊張してたんだ。
「まぁ、いいわ。その代わり明日のお昼はあんたの驕りだからね!」
「あぁ、明日だけは何故か俺のサイフの紐も緩みそうなんだ。まかせとけ」
それから1時間ほど他愛もない世間話に花を咲かせたあと、電話を切った。
他の団員には適当に理由を付けて明日を休みにすることを連絡したわ。
何故か妙に物分りがいいと言うか、始めから分かっていたような雰囲気をみんなが持ってたのは気になったけど。
それより今はやらなきゃいけないことがある。
明日の服選びと、それから返事の練習と。
「いや、何か返事をもらう覚悟が出来てなかったって言うか・・・」
そう言い訳してキョンは口を噤んだ。思わず口元が緩む。こいつも緊張してたんだ。
「まぁ、いいわ。その代わり明日のお昼はあんたの驕りだからね!」
「あぁ、明日だけは何故か俺のサイフの紐も緩みそうなんだ。まかせとけ」
それから1時間ほど他愛もない世間話に花を咲かせたあと、電話を切った。
他の団員には適当に理由を付けて明日を休みにすることを連絡したわ。
何故か妙に物分りがいいと言うか、始めから分かっていたような雰囲気をみんなが持ってたのは気になったけど。
それより今はやらなきゃいけないことがある。
明日の服選びと、それから返事の練習と。
972: 2007/04/26(木) 21:39:19.85 ID:ubw7AKYE0
俺はキョン名前は何かの陰謀によりけされてしまったただのキョン。
「うまい棒は一日一本!」
なにを言ってるんですかってぬわに!?
「はしたないからうまい棒の袋の内側を舐めるのはよしなさいっ!」
「にょろ~」
まったく・・・
「鶴屋さん?」
「なんだいキョン君?」
「そんな下を見てたって小銭は落ちてませんよ」
そんな「なんだってー」な顔をしたってお金は落ちていませんよ
落ちていたって精々1円か5円ですよ。
「5円!5円があればチョコがかえるじゃないかっ!」
「うまい棒は一日一本!」
なにを言ってるんですかってぬわに!?
「はしたないからうまい棒の袋の内側を舐めるのはよしなさいっ!」
「にょろ~」
まったく・・・
「鶴屋さん?」
「なんだいキョン君?」
「そんな下を見てたって小銭は落ちてませんよ」
そんな「なんだってー」な顔をしたってお金は落ちていませんよ
落ちていたって精々1円か5円ですよ。
「5円!5円があればチョコがかえるじゃないかっ!」
974: 2007/04/26(木) 21:40:11.95 ID:cZOAUqk50
校長「えー、今日、皆さんはこの学校を巣立っていくわけですが──」
ハルヒ「(あーもう、腹が立つわね!)」
さっきからダラダラと校長の話が続いている
もういい加減10分は立ってんじゃないの!?
いっその事、校長からマイクを奪いあたしが挨拶してやろうかと思ったが
こんな雰囲気の中でそんな事をするほど、あたしは非常識ではない
静まり返り、校長の声だけが響く中で、時々聞こえるすすり泣く声
そう、今日は、あたし達の卒業式
ハルヒ「あーーー、つっかれたー!」
退屈な式が終わり、ようやく開放されたあたし達
周りを見渡すと、どうやら涙腺も開放してしまったようで
ワンワンをむせび泣く生徒がそこかしこにいた
でも、あたしは泣かない。少なくとも今は
泣いて抱き合う同級生達を尻目に、あたしは駆け出した
いつもの、だけど今日だけはほんの少し違う場所
本当のあたしの、あたし達の卒業式の会場へ
ハルヒ「(あーもう、腹が立つわね!)」
さっきからダラダラと校長の話が続いている
もういい加減10分は立ってんじゃないの!?
いっその事、校長からマイクを奪いあたしが挨拶してやろうかと思ったが
こんな雰囲気の中でそんな事をするほど、あたしは非常識ではない
静まり返り、校長の声だけが響く中で、時々聞こえるすすり泣く声
そう、今日は、あたし達の卒業式
ハルヒ「あーーー、つっかれたー!」
退屈な式が終わり、ようやく開放されたあたし達
周りを見渡すと、どうやら涙腺も開放してしまったようで
ワンワンをむせび泣く生徒がそこかしこにいた
でも、あたしは泣かない。少なくとも今は
泣いて抱き合う同級生達を尻目に、あたしは駆け出した
いつもの、だけど今日だけはほんの少し違う場所
本当のあたしの、あたし達の卒業式の会場へ
976: 2007/04/26(木) 21:44:02.46 ID:ejTdO1nw0
遠足前の小学生のような夜を越えて、その日はすぐにやってきた。
10時にいつもの駅前で集合の予定だけど、いてもたってもいられなくて9時には家を出た。
みくるちゃんの助言から、今日は甘めの格好にしてみた。
よくよく考えるとキョンと出会ってからもうすぐ1年になるけど、これが初デート・・・。
って何考えてんのよあたしは!・・・今からこんな調子じゃキョンにあったときどうなるやら。
1人で百面相をするあたしを、周りの人はどう思ったかしら。
駅のトイレでもう一度服装のチェックをして、あたしはキョンとの待ち合わせ場所に向かった。
だけど、何か変だった。
休日なら人がそれなりにいてもおかしくないその場所だけど、何故か異常な人だかりが見える。
野次馬の1人を適当に捕まえて、何が起こったか訊いてみた。
「何か事故があったらしいよ。暴走した車が人並みに突っ込んだんだってさ」
10時にいつもの駅前で集合の予定だけど、いてもたってもいられなくて9時には家を出た。
みくるちゃんの助言から、今日は甘めの格好にしてみた。
よくよく考えるとキョンと出会ってからもうすぐ1年になるけど、これが初デート・・・。
って何考えてんのよあたしは!・・・今からこんな調子じゃキョンにあったときどうなるやら。
1人で百面相をするあたしを、周りの人はどう思ったかしら。
駅のトイレでもう一度服装のチェックをして、あたしはキョンとの待ち合わせ場所に向かった。
だけど、何か変だった。
休日なら人がそれなりにいてもおかしくないその場所だけど、何故か異常な人だかりが見える。
野次馬の1人を適当に捕まえて、何が起こったか訊いてみた。
「何か事故があったらしいよ。暴走した車が人並みに突っ込んだんだってさ」
981: 2007/04/26(木) 21:48:45.30 ID:ejTdO1nw0
何故か嫌な予感がした。血の気が引いて行くのがわかる。
時刻は9時20分。いつものキョンならまだ家に居そうなくらいの時間。
いつも早く来い早く来いと言ってるあたしが、まだキョンが来ていないことを祈った。
人垣を必氏に掻き分けて最前列へと身を乗り出す。
そこは惨劇の舞台だった。
口にするのもおぞましい光景を目にして、あたしは咄嗟に口を塞いだ。嘔吐感が体を襲った。
見たくない。見たくない。こんなの見たくない。
でも見たかった。その場にキョンがいないことだけを確認したかった。
キョンがいないことだけを確認したかったのに。
信じたくなかった。
血まみれのキョンが横たわっている現実なんて、あたしは信じたくなかった。
「いやああああああああああああ!」
時刻は9時20分。いつものキョンならまだ家に居そうなくらいの時間。
いつも早く来い早く来いと言ってるあたしが、まだキョンが来ていないことを祈った。
人垣を必氏に掻き分けて最前列へと身を乗り出す。
そこは惨劇の舞台だった。
口にするのもおぞましい光景を目にして、あたしは咄嗟に口を塞いだ。嘔吐感が体を襲った。
見たくない。見たくない。こんなの見たくない。
でも見たかった。その場にキョンがいないことだけを確認したかった。
キョンがいないことだけを確認したかったのに。
信じたくなかった。
血まみれのキョンが横たわっている現実なんて、あたしは信じたくなかった。
「いやああああああああああああ!」
618: 2007/04/29(日) 20:56:26.39 ID:stDJ9FvC0
茫然自失してあたしは立ち尽くした。
これは何?理解できない。意味がわからない。どういうこと?誰か、説明しなさいよ。
何でキョンが倒れているの?何でキョンが血だらけなの?何で何で何で何で何で。
「・・・ハルヒ」
あたしはハッとしてキョンを見た。あいつは血だらけの体に鞭打ってこっちに体を引きずって来ようとしている。
「キョンキョンキョンキョン!いやああああああ!」
あたしは周囲の制止を振り切ってキョンに駆け寄った。
キョンの体は医療にあまり詳しくないあたしから見てもボロボロだった。
意識があるのが不思議なほどに。
「何で・・・どうしてこんな・・・」
あたしはキョンの体を抱きしめた。懸命に生きようと光り続ける灯火が燃え尽きないように。
こいつがあたしの前から消えないように。無駄だとわかっていても信じたかった。
これは何?理解できない。意味がわからない。どういうこと?誰か、説明しなさいよ。
何でキョンが倒れているの?何でキョンが血だらけなの?何で何で何で何で何で。
「・・・ハルヒ」
あたしはハッとしてキョンを見た。あいつは血だらけの体に鞭打ってこっちに体を引きずって来ようとしている。
「キョンキョンキョンキョン!いやああああああ!」
あたしは周囲の制止を振り切ってキョンに駆け寄った。
キョンの体は医療にあまり詳しくないあたしから見てもボロボロだった。
意識があるのが不思議なほどに。
「何で・・・どうしてこんな・・・」
あたしはキョンの体を抱きしめた。懸命に生きようと光り続ける灯火が燃え尽きないように。
こいつがあたしの前から消えないように。無駄だとわかっていても信じたかった。
622: 2007/04/29(日) 20:57:24.78 ID:stDJ9FvC0
「俺は幸せ者だな・・・うっ」
「喋らないで!キョン!」
「聞いてくれ・・・ハルヒ・・・」
あたしは葛藤していた。
キョンの話を聞かなければいけないとわかっているのに、聞きたくなかった。
ただただキョンの胸に顔を埋めて、泣き続けることしかできない自分が氏ぬほど憎かった。
「俺は・・・ハルヒを愛してる」
「あたしだってキョンのこと大好きよ!だからあたしを残していかないでよ!バカキョン!」
そのときあたしは信じられないものを見た。
キョンは笑っていた。それは今までで一番いい笑顔だった。
「本当に・・・俺はバカだよな。もっと・・・早く言えていれば・・・」
そのとき、キョンは突然泣き出した。あたしを弱弱しく抱きしめて、笑いながら泣いていた。
あたしは何も言えなかった。言いたいことはまだまだあって、出掛かっているのに。
このままでは後悔だけが残るのがわかっているのに、何も言えなかった。
「・・・また・・・いっしょに不思議探検したかっ・・・」
力なく寄りかかるキョンの体を抱きながら、あたしは泣いた。
聞こえていないとわかっていても、ありがとうと叫び続けた。
夢にまで見たキョンとの初めてのキスは、あたしたちの涙の味がしてしょっぱかった。
「喋らないで!キョン!」
「聞いてくれ・・・ハルヒ・・・」
あたしは葛藤していた。
キョンの話を聞かなければいけないとわかっているのに、聞きたくなかった。
ただただキョンの胸に顔を埋めて、泣き続けることしかできない自分が氏ぬほど憎かった。
「俺は・・・ハルヒを愛してる」
「あたしだってキョンのこと大好きよ!だからあたしを残していかないでよ!バカキョン!」
そのときあたしは信じられないものを見た。
キョンは笑っていた。それは今までで一番いい笑顔だった。
「本当に・・・俺はバカだよな。もっと・・・早く言えていれば・・・」
そのとき、キョンは突然泣き出した。あたしを弱弱しく抱きしめて、笑いながら泣いていた。
あたしは何も言えなかった。言いたいことはまだまだあって、出掛かっているのに。
このままでは後悔だけが残るのがわかっているのに、何も言えなかった。
「・・・また・・・いっしょに不思議探検したかっ・・・」
力なく寄りかかるキョンの体を抱きながら、あたしは泣いた。
聞こえていないとわかっていても、ありがとうと叫び続けた。
夢にまで見たキョンとの初めてのキスは、あたしたちの涙の味がしてしょっぱかった。
628: 2007/04/29(日) 21:01:13.24 ID:stDJ9FvC0
「人騒がせな奴よね。初めてのデートであんなことになるなんてさ」
黄昏を仰ぎながらあたしは誰にでもなく呟く。
あの事件から3年が過ぎて、あたしは大学生になっていた。
教室の前の席が空いてから、あたしは何も考えられなくて、ただ時間が過ぎるのを待つだけの日々。
でも、こんなあたしを見てもキョンは喜ばないってわかってた。
きっと一生懸命なあたしを見せれば、あいつは笑ってくれるはずだから。
やっぱりあたしにはキョンが必要だった。
今までも、そしてこれからも。
「よお、早いな」
「あんたが遅いのよバカ。あたしより遅く来たら罰金って言ってあったでしょ」
肩をすくめる姿に少し腹が立ったが、今日だけは見逃してあげることにしよう。
「良かったわね。あたし少し前までメランコリーだったのよ。だから今日だけは許してあげる」
「お前がそんな気分になるなんて今日は雨が降るかな」
相変わらずの毒舌も、そして優しい笑顔も絶対もう離せない。いえ、離さないんだから。
「余計なこと言ってないで早く行くわよバカキョン!」
終わり
黄昏を仰ぎながらあたしは誰にでもなく呟く。
あの事件から3年が過ぎて、あたしは大学生になっていた。
教室の前の席が空いてから、あたしは何も考えられなくて、ただ時間が過ぎるのを待つだけの日々。
でも、こんなあたしを見てもキョンは喜ばないってわかってた。
きっと一生懸命なあたしを見せれば、あいつは笑ってくれるはずだから。
やっぱりあたしにはキョンが必要だった。
今までも、そしてこれからも。
「よお、早いな」
「あんたが遅いのよバカ。あたしより遅く来たら罰金って言ってあったでしょ」
肩をすくめる姿に少し腹が立ったが、今日だけは見逃してあげることにしよう。
「良かったわね。あたし少し前までメランコリーだったのよ。だから今日だけは許してあげる」
「お前がそんな気分になるなんて今日は雨が降るかな」
相変わらずの毒舌も、そして優しい笑顔も絶対もう離せない。いえ、離さないんだから。
「余計なこと言ってないで早く行くわよバカキョン!」
終わり
629: 2007/04/29(日) 21:01:38.58 ID:orIOOZ250
乙
引用: 涼宮ハルヒが○○になったんだって
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります