26: 2011/12/30(金) 16:07:15.54 ID:oxqWHpjAO
せっかくだからもう一個

注文の多い幼馴染

その日、男が幼馴染と遊ぼうと思い家を訪ねると、ドアに張り紙がしてありました。

「どうぞ、ごじゆうにおはいりください」

男は、面倒がなくていいや、と張り紙のとおり勝手にドアを開け家に入ります。

玄関にはまた張り紙があり、次のように書いてあります。

「くつはこちらでおぬぎください。 よこのおしぼりもどうぞ」

男は、気が利いてるな、と靴を脱ぎ、おしぼりで顔と手を拭いて家にあがります。

廊下にもまた張り紙がありました。

「ふくはぬいでそちらのかごにいれてください」

男は、何故服を脱ぐ必要があるのだろう、と思いましたが、結局服を脱ぎカゴに入れました。

階段にもまた張り紙があります。

「こちらのぬれたおるでからだをふいてください」

男は、外は暑かったからなぁ、と全身を濡れタオルで拭きました。

二階の廊下にもやはり張り紙があります。

「これがさいごです。 そのえきたいをこかんにぬってください」

男は、せっかく体を拭いたのに、と思いつつ、ヌルヌルと糸を引く液体を股間に塗りたくります。

いつの間にか膨らんだ股間を揺らしながら幼馴染の部屋に着くと、ドアにはやはり張り紙があります。

「おつかれさまでした。 それではどうぞめしあがれ」

ドアを開けると、裸で股を開いた幼馴染が待っていました。

男は幼馴染を美味しくご馳走になり、満足げに家へ帰ったそうです。

37: 2011/12/30(金) 17:54:23.50 ID:auTvbVQv0
『北風と太陽』
 
 ある日太陽は言いました。
 
 「なあ北風、お前俺に負けたままで悔しくないのか? お前がその気ならいつでも相手になってやるぜwww」
 
 それを聞いた北風は少し怒って、
 
 「暇なんですか? いいでしょう。前の勝負は納得してなかったんです。もう一度やりましょう」
 
 と言いました。
太陽は内心、ださっ! 何こいつwwwwと思いましたが口には出しませんでした。
そして太陽は問いかけます。

 「……で、勝負方法はどうすんだよ? しょうがないからてめえに決めさせてやるよww」
 
 北風はさらに怒りを増して言います。

 「何を余裕面しているのですか。勝負方法なんてなんでもいいです。前と同じでいいじゃないですか」
 
 「馬鹿だこいつwwwwwwwwまたかよwwww学習しろwwww」
 
 太陽は思わず噴き出しました。


 
 そして勝負の日。北風と太陽は都市部の真上に来ました。
 
 「それではまずマントを着た旅人を探しましょう」
 
 と北風が言うと太陽は、

 「うはwwwwマジかこいつwww旅人(笑)とかwwwwいつの時代だwwww」

 と、思いっきり笑いました。北風はまた馬鹿にされたと顔を真っ赤にして怒ります。
 
 「じゃあどうやって勝負決めるって言うんですか!!」

 「旅人じゃなくても適当にひんむいていけばおkwww」
 
 ……勝負方法が決まりました。


 「じゃあまず私から行きましょう。」
 
 「逝ってら(笑)」
 
 「……前の時は風の力が足りなかったから悪いのです。今度はもっと……」
 
 北風は大道りめがけて思いっきり冷たい風を飛ばしました。
びゅうううう! と音が鳴り響き、たくさんの人が吹き飛ばされて行きました。
……そうです、北風は馬鹿なのです。
 
 「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
 
 太陽は10分ほどおなかを抱えてうずくまりました。
 
 そして次は太陽の出番です。意気揚々と向かっていき、
 
 「要はあいつらの服がなくなればいいわけよ。全部燃やしてやんぜ」

 と、言いました。
  
 「そんなのダメですよ! 人に迷惑をかけるなんて……」
 
 「 お ま え が 言 う な 」

 太陽は思いっきり炎をまき散らします。しかし北風も負けじと冷たい風で対抗しました。
 
 「させません!」
 
 冷たい風は一瞬で水に状態変化を起こし、そして都市部を水蒸気爆発で吹き飛ばしました。
 
 ……どうやら今回は引き分けのようです。
 
 おわり

39: 2011/12/30(金) 19:25:55.82 ID:8IRn/Pfx0


『ほしとゆめ』


流れ星が綺麗な夜でした。
わたしは暖かな腕に抱かれています。
黄色くんと青くんが踊って、きらりと、またひとつ。
青い空は広がって、流れ星はどんどん生まれていきます。

「ひとになりたいな」

あまりに綺麗なので、流れ星に願い事してみました。
やがて、黄色くんと青くんはいなくなってしまいました。


すると次の日、わたしは人になりました。
けれど、あんなに仲のよかった肌色くんが見当たりません。
となりには女の子がいます。
いつもわたしを抱いてくれている子です。
わたしは女の子に、肌色くんのことを訪ねてみました。

「はだ色くんはねがいごとを叶えてくれたの」

次の日になっても、夜空の流れ星は消えません。
わたしはもう一度、流れ星に願い事してみました。

「さみしいよ。もっとともだちが欲しいな」

わたしは期待に胸を躍らせながら、明日になるのを待ちました。


すると次の日、わたしの足元には可愛い子犬さんが走り回っていました。
首を撫でるとくぅんと鳴きました。
けれど、あんなに仲のよかった白色くんが見当たりません。
わたしは女の子に、白色くんのことを訪ねてみました。

「しろ色くんはねがいごとを叶えてくれたの」

ともだちが増えて喜んでいたけれど、
わたしはとうとう悲しくて泣いてしまいました。


その次の日になっても、夜空の流れ星は消えません。
わたしはもう一度、流れ星に願い事してみました。

「みんなとまた遊びたい!」

わたしは期待に胸を踊らせながら、明日になるのを待ちました。


その次の日、わたしは笑顔になっていました。
まだ夜は明けないけれど、暗くなんてありません。
青々しいはらっぱに、色とりどりのお花がたくさん咲いています。
夜空にはとりさんが沢山いて、たいようとつきが仲良く並んでいます。

まんなかに、わたしと女の子と子犬が笑っていました。
みんなのいた小さなかごの中は、からっぽです。



42: 2011/12/30(金) 22:45:45.82 ID:6fIn5C7AO


『なんだかとっても悲しいの』




わたしね、なんだかとっても悲しいの。

お気に入りのシールがなくなっちゃった。

大好きなあにめが終わっちゃった。

サンタさんがいないって知っちゃった。

でもね、そんなことじゃないの。


くまさんのぬいぐるみが汚れちゃった。

ピアノの発表会で上手に弾けなかった。

お友達とケンカしちゃった。


でもね、そんなことじゃないの。



わたしがね、本当に悲しいのはね―――



わたしとおんなじとしの子や、
わたしよりもっとずっとちっちゃな子が。

もしかしたら、お友達になれたかもしれない子が。
もしかしたら、同じあにめをみていたかもしれない子が。

将来、わたしのお母さんのような優しいお母さんになるかもしれない子が。
将来、わたしのお父さんのようなかっこいいお父さんになるかもしれない子が。

わたしのように走るのが苦手な子が。
わたしのように幸せかもしれない子が。

もしかしたらまだ愛を知らない子が。


たくさんのかのうせいをもつわたしたちが。


理不尽に命を奪われることが。

わたしはとっても悲しいの。



43: 2011/12/30(金) 22:49:37.52 ID:oxqWHpjAO

100万回氏んだ男


その男は、氏ぬ度に何故か生まれた時に戻り生き返ってしまいます。

一回目は、事故でした。右腕と左足が千切れ、苦しみながら氏にました。

十回目は餓氏しました。子供のうちに育児放棄され、何も食べることなく飢えて氏にました。

百回目は殺害されました。ナイフで内臓を抉られ、苦しみながら氏にました。

千回目は自頃しました。苦しくないよう睡眠薬を飲みましたが、嘔吐した吐瀉物が喉につまり苦しみながら窒息氏しました。

一万回目は病氏でした。投薬の副作用で苦しみ、病魔に苦しんで氏にました。

十万回目は老衰でした。年を取って体の節々に痛みを感じながら朦朧として氏にました。

99万9999回目に生き返ったとき、男は考えました。

もし氏ななかったらどうなるんだろう?

男は繰り返した人生を上手に活用し、手に入れた財産で自らの不老不氏を求めました。

ついに氏ななくなった男は、長い年月の末気付きます。

自分が氏にたくても氏ねないことに。

ついに自分以外の生命が氏に絶え、たった独りになっても氏ねません。

そうして、ついに男の心は氏んでしまいました。

良かったね、もう生き返ることは有りませんよ。

65: 2012/01/07(土) 23:50:51.17 ID:wiQksl3t0
『キリギリスとアリ』

キリギリスさんはいつもこうです。

ギターをひいて遊んでばかり。

ようきな歌をうたってはさわいでばかり。

でも、アリさんはいつもせっせっせっせとしごとをしています。

「アリさん、僕といっしょに歌おうよ」

「いい。僕は道を作るのにいそがしい」

アリさんはキリギリスさんといっしょに歌うことはありません。

「アリさん、僕といっしょに踊ろうよ」

「いい。僕はたくさん歩かなきゃダメだから」

アリさんはキリギリスさんと少しだけ話してどこかへ行ってしまいます。

「アリさん、僕といっしょにご飯でも食べようよ」

「いい。今のうちにご飯をあつめないとダメだから」

アリさんはキリギリスさんの食事のさそいもことわります。

なぜなら、いそがしいからです。

「なぁ、アリさん。君はいつも大変そうだ」

「君は何を急いでいるんだい?」

「冬を越すためさ」

「じゃあ、たくさん歩いているのも?」

「そう。食べものをさがすため」

「じゃあ、道を作るのも?」

「そう。食べものをはこぶときの道を作ってる」

「でも、食べものをはこんでるの見たことないよ」

「そうだね。でも道はもうできてるんだ」

アリさんの家から伸びるキレイな道。

「冬は越せそうかい?キリギリスさん」

その道はキリギリスさんの家までつながっています。

46: 2011/12/31(土) 01:19:47.05 ID:3UwkF6eIO
ある日、村はずれの森で、男の子が迷子になってしまいした。
男の子は、昼でも薄暗い森と、動物たちの鳴き声に怯えて、助けを呼びました。
「おおーい、誰かー! たすけてよー!」
すると、返事がありました。
「どうしたんだい。迷子になったのかい?」
男の子が振り向くと、大きなシルクハットを目深にかぶり、口まで覆う大きなコートを着た、男の人が立っていました。
「ここは危ないよ。どうだい、もう暗くなるし、私のお家においで。暖かいスープと、あまぁーいお菓子を食べさせてあげるよ」
男の子は、森に迷って心細かったのと、やっと人に会えたことで安心して、男の人について行きました。

47: 2011/12/31(土) 01:20:17.54 ID:3UwkF6eIO


「わぁ! すごくおいしいよ!」
「それはよかった」
男の子の前には、暖かいスープと、おいしいご飯、それに、あまぁーいお菓子がたくさんたくさん並んでいました。
男の子が美味しそうに食べているのを、男の人はテーブルの反対側で楽しそうに見ていました。



48: 2011/12/31(土) 01:20:46.26 ID:3UwkF6eIO


朝になって、男の子は森の入り口まで案内してもらって、お別れの時間になりました。
「さあ、お別れだ」
男の人は男の子の頭をつかむと、今までかぶっていた、大きなシルクハットを脱ぎました。
そこに現れたのは、大きな目と、大きな口と、大きな耳!
そう、男の人の正体は、狼男だったのです!
「怖いだろう、私が怖いだろう! 今からお前を食ってやる! 森に入ったことを、後悔するんだな!」
でも、男の子は、キョトンとして言いました。
「ぜんぜん、こわくないよ?」
「ええっ!?」
「だって、僕のお母さんが言ってたもの。本当に美味しい料理は、本当に優しくて、人のために何かをできる人じゃないと作れないって」
男の子は、笑顔で続けます。
「あなたのお料理、とってもとっても美味しかったよ! 優しくしてくれてありがとう!」
狼男は、男の子の言葉を聞いて、大声で泣き出しました。
そして、男の子に言いました。
昔から村の人に怖がられて、ずっと一人ぼっちだったこと。
森に迷い込んだ子供にごちそうをふるまっては、二度と森に近づかないように脅かしてからお別れをしたこと。
ずっとずっとさみしくて、友達が欲しかったこと。
たくさんのことを、泣きながら話しました。
男の子は、狼男の頭を撫でながら、じっと話を聞いていました。

49: 2011/12/31(土) 01:22:36.47 ID:3UwkF6eIO


狼男がやがて泣き止むと、男の子は言いました。
「ここで待っていて!」
そして、村に向かって一目散にかけていきました。
狼男は、大きなシルクハットを目深にかぶり直すと、男の子を待ちました。
やがて、狼男は遠くに男の子の姿を見つけました。
いや、それだけではありません。
子供から大人からおじいさんやおばあさんまで、大勢の人が男の子と一緒にやってきたのです。
そのうちのひとりが、狼男にかけよってきて言いました。
「あのときはありがとう! あなたがいなければ、私は今生きてはいないでしょう」
クマに食べられそうになっているのを助けた人。
「わたしもだ! あなたのおかげで、こうして妻も子供もできた! ありがとう!」
崖から落ちそうになっているのを助けた人。
「あなたが薬草をとるのを手伝ってくれたおかげで、子供がすっかり元気になりました!」
森の奥にしかない薬草を探す手伝いをした人。
たくさんの人が、狼男の手をとっては、ありがとう、ありがとう、とお礼をいいました。
そして、狼男は、それをみんな覚えていました。
「みんな、私のことが怖くないのかい?」
「もちろん」
「だって私たちは」
「あなたが自分の正体を言う前から」
「あなたの正体を知っていたんだもの」
狼男は驚いてたずねました。
「ええっ!? そんな、どうしてだい!? けむくじゃらの体はコートで見えなくしてるし、口も目も耳も、ちゃんと隠していたのに!」
村人たちは、顔を見合わせて、また、笑顔で言いました。
「だって、大きな尻尾が、いつも見えているんだもの」
「げぇーっ!」
村人たちは笑い合い、狼男も、恥ずかしくなって、でも嬉しくて、一緒に笑いました。

50: 2011/12/31(土) 01:23:04.88 ID:3UwkF6eIO


こうして、ちょっとだけドジで、でも、とてもとても優しい狼男は、村人たちと、ずーっと、幸せに暮らしましたとさ。

51: 2011/12/31(土) 01:23:44.27 ID:3UwkF6eIO
おわり
結構繁盛しててよかった
これからもなにとぞよろしくお願いします

52: 2011/12/31(土) 09:16:32.27 ID:S4/Q0mJAO
これだけ短い作品が集まると読み応えがあるなぁ

引用: 絵本のような短編SSを皆で書くスレ