1: 2025/01/06(月) 22:29:24 ID:???00
★3と一緒に爆散したSSの再投稿です

2: 2025/01/06(月) 22:30:52 ID:???00
蓮ノ空女学院

梢「さて……、みんな」

梢「改めて、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ……ラブライブ!地区予選突破しました!」

姫芽「よっしゃー!!」

小鈴「やった、やったね!」

吟子「うん、やった……!」

梢「ラブライブ!優勝に向けて、最初の関門は突破できたけれど、大会はまだまだこれから、一層気を引き締めていきましょう」

一同「おおー!」

慈「ふむ……」

綴理「……めぐ、どうしたの?」

慈「ふむふむ、ちょっとね」

瑠璃乃「おぉ!? めぐちゃんが何か企んでる?」

花帆「何ですか? 慈先輩!」

慈「うん、これからさらに厳しい戦いが私たちを待っているわけだ」

さやか「そうですね。ですから、気を引き締めていきましょう、ということでしたが……」

慈「そう、それも大事。でもさ、それだけじゃ足りないかもじゃない?」

さやか「と、言いますと……?」

慈「去年の私たちも相当凄かったはずだけど、それでも優勝には届かなかった」

梢「……それは、そうね」

慈「だからさ、ここで更にレベルアップする必要があるんじゃないかな~って」

梢「言いたいことはわかるけれど、何か考えがあるの?」

慈「あるよ! ズバリ、秋合宿だよ!」

3: 2025/01/06(月) 22:31:40 ID:???00
綴理「おおー、合宿?」

姫芽「合宿で集中して練習をして、結束もさらに高めてレーティング上げるぞ、ってことですね?」

梢「……なるほど、確かに一理あるわね。でも、合宿なんてする余裕があるかしら」

慈「そこは、ほら、夏合宿ほど長くなくていいから、短期集中でさ!」

さやか「急ではありますが、確かに検討する価値はあるかもしれません」

梢「乙宗の別荘の予定を確認してみたほうが良さそうね」

慈「いや~」

花帆「いやいや~」

梢「ど、どうしたのかしら?」

慈「梢の別荘はすごいよ、確かに! でもね、秋だからねー」

花帆「そうなんです! 夏合宿なら満点、いえ百二十点です! でも、これは秋合宿! 秋は海じゃないんです! そう! 山です!」

小鈴「そ、そういうものでしょうか……」

吟子「蓮ノ空はいつも山みたいなものだと思うけど……」

花帆「そうじゃないんだよ。普段と違う環境に身を置くことで得られるものがある! ……はず!」

慈「それに、あの別荘はこないだ行ったばかりだし?」

梢「はあ、わかったわ。でも、他に見つからなかったら海で我慢して頂戴?」

慈「オッケー、まあ、何とかなるでしょ」

4: 2025/01/06(月) 22:32:52 ID:???00
……

花帆「……ということで、ようこそ長野県へ!」

瑠璃乃「おお、これはなかなか、よさそうじゃん! さやかちゃん、ベリーナイスチョイスだね!」

さやか「はい、ちょうどよさそうなところが空いていて助かりました」

綴理「葉っぱが色づいて、きれいだ」

吟子「同じ山なのに、金沢とは何だか違って見えますね」

小鈴「花帆先輩は長野出身なんですよね? ご実家はこのあたりなんですか?」

花帆「う~ん、長野は広いからね。ちょっと反対側って感じかな?」

梢「はい、みんな早くチェックインしてしまいましょう。折角来たのだから今日からみっちり練習よ」

慈「はいはーい。あ、見て! 『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ様』だってさ」

姫芽「お~、本当だ。……あ、今日はもう一組いるみたいですね~」

姫芽「ええと……」


「ふう、やっと着いたー。みんなー、こっちだよー!」

5: 2025/01/06(月) 22:34:01 ID:???00
結ヶ丘女子高等学校

千砂都「というわけで! 地区予選突破しました!」

かのん「やったね! きな子ちゃん、夏美ちゃん!」

きな子「マルガレーテちゃん、きな子、やったっすー」

マルガレーテ「そうね、まあ、昨年優勝校なんだから、きな子先輩たちが足を引っ張らなければこれくらいは当然だわ」

きな子「ラ、ライブ前のマルガレーテちゃんはどこに行っちゃったっすか!?」

夏美「ナッツー!? も、元に戻ってますの~!」

冬毬「姉者、マルガレーテは二人が足を引っ張らなかったと言いたいのです」

メイ「なんだよ、素直じゃないな~」

マルガレーテ「な、そんなことは、……なくもない、けど」

四季「照れ隠し」

マルガレーテ「だ、か、ら! わざわざ言わなくていいの!」

すみれ「トマカノーテも馴染んできたみたいね」

かのん「それ私も入ってるよ? ……カノは元から馴染んでたよね?」

恋「ふふ、どうでしょうか」

かのん「恋ちゃん!?」

すみれ「だってねえ、敵だったもの」

かのん「いやいや、敵じゃないよ!?」

可可「それより! 次デス! 連覇するためには、まだまだ油断はできマセン!」

かのん「それより……」

6: 2025/01/06(月) 22:35:18 ID:???00
千砂都「そうだね、ここからはより厳しい戦いになる」

可可「ライバル達も、着実に力を付けていマス」

すみれ「ライバル? 気になるグループがいるの?」

可可「今大会は、前回優勝のLiella!を優勝候補筆頭としつつも、対抗馬も多く、まさにスクールアイドル戦国時代と言われていマス」

メイ「そう、実力、魅力共に備えたグループの決勝進出が多く予想されている。北海道、静岡、大阪、石川……」

きな子「石川……、去年も決勝に出てきた高校っすか?」

四季「確かに、あのレベルの相手が進化を続けたら、強敵」

夏美「なるほど、なるほど……」

冬毬「姉者?」

夏美「ライバルの出現、そしてそれに打ち勝つためにさらにレベルアップが必要……」

夏美「ズバリ、ここで秋合宿ですの~!」

恋「合宿、ですか。確かに十一人になってまだ日が浅いですから、集中的に練習して、結束を強めるのもいいかもしれませんね」

かのん「秋合宿か~。いいね~、松茸……」

マルガレーテ「松茸……!」

かのん「栗……」

マルガレーテ「栗……!」

かのん「芋……」

マルガレーテ、冬毬「「芋……!」」

千砂都「ま、まあ、食欲の秋は置いといて、スケジュール的にいけそうなら、やってみる価値はあると思う」

恋「はい、今から押さえられるところがあるか、確認してみましょう」

7: 2025/01/06(月) 22:36:34 ID:???00
……

姫芽「ええと……、『結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル部様』……?」

梢「結ヶ丘!?」

綴理「あれ、……それって」

かのん「ふう、やっと着いたー。みんなー、こっちだよー!」

すみれ「もう、旅館が見えた途端元気になるんだから」

恋「でも、いい雰囲気ですね。……おや、先客でしょうか」

メイ「……あ、あれはまさか、めぐちゃん、るりちゃん、ひめちゃんも!?」

マルガレーテ「誰……?」

四季「この前話題に出た、去年のラブライブ!北陸代表」

きな子「『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ様』……。もしかして、一緒の宿っすか?」

吟子「あの、結ヶ丘って、先輩たちはご存じなんですか?」

瑠璃乃「ああ、一年生は色々大変だったもんね。知らなくても無理はないかー」

花帆「うんうん、わかるよ! あたしも去年は自分のことで精いっぱいだったから」

さやか「結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル部、グループ名はLiella!。おそらく今現在最も名の知れた現役スクールアイドル、昨年のラブライブ!優勝校です」

8: 2025/01/06(月) 22:38:00 ID:???00
小鈴「ええ~!」

姫芽「チャンピオンベルト保有者ってことですか?」

きな子「わあ、きな子達有名人っすよー!」

すみれ「まあ、一応優勝校だもの、それくらいでなくっちゃ。それに……」

綴理「あ、ちさだ。久しぶりー」

千砂都「綴理ちゃん。久しぶりだね! うぃっすー」

綴理「ういっすー」

夏美「知り合いですの!?」

千砂都「中学の頃、ダンス大会で何度かね。高校に入ってからはお互いあまり大会には出ていないみたいだけど……」

綴理「うん、ボクは今スクールアイドルだから」

千砂都「そうなんだ。私と一緒だね」

梢「綴理、嵐さんと知り合いだったのね。……そういうことは早く言ってほしかったのだけれど」

綴理「今言ったよ?」

梢「そうじゃなくて、ほら、去年の決勝のときとかに」

綴理「あのときは、ちさと話す機会がなかったから」

梢「それはそう、だけれど……。まあ、それはともかく、結ヶ丘の皆さん、ここで一緒になったのも何かの縁、どうぞよろしくお願いいたします」

千砂都「あ、はい。よろしくお願いします。蓮ノ空の皆さんも地方予選に向けて合宿ですか?」

梢「はい。そしてその先の決勝に向けて」

千砂都「なるほど。……じゃあ、もしよければ、合同で練習しませんか?」

9: 2025/01/06(月) 22:39:19 ID:???00
梢「……私達としては、皆さんと練習できるのは、またとない機会ですが、……よろしいのですか」

冬毬「千砂都先輩、その方の懸念ももっともです。私達は優勝校、敵に塩を送ることになるのでは?」

千砂都「うーん、大丈夫だと思うよ。私たちにも得るものは絶対にある」

千砂都「例えば、さっき綴理ちゃんと大会で一緒だったって言ったじゃない? ……その大会で、私は綴理ちゃんに一度も勝ったことがない」

四季「千砂都先輩が……?」

千砂都「そう。もちろん今なら負けないって思ってるけどね。でも、向こうだって成長してるはず」

恋「そして、あちらの部長の方は、乙宗家といって、音楽に携わっているものなら知らぬものはいない名家のご令嬢です。もちろん名前だけでなく、それに負けない実績もあります」

マルガレーテ「乙宗……、私ですら名前くらいは聞いたことがあるわ」

すみれ「はぁ、それに……」

慈「あっれー? どこかで見たグソクムシだと思ったら、すみれちゃんじゃん!」

可可「グッ!?」

すみれ「白々しいわね。……めぐみちゃん」

可可「めぐちゃっ!?」

夏美「お二人も知り合いですの?」

すみれ「この子も子役だったのよ。私に仕事がなくなってきたあと、入れ替わりに重宝されだしたの」

慈「そうだよー。みんなめぐちゃんの天才さに、気づいたからね! ごめんね?」

すみれ「グソクムシのオーディションには落ちた癖に!」

慈「あ、あれはわざとだし! グソクムシ役なんて、欲しくなかったからだしー?」

すみれ、慈「がるるる」

瑠璃乃「め、めぐちゃん、とりあえず落ち着こ?」

かのん「すみれちゃん、どーどー」

すみれ、慈「ぐぬぬぬ」

10: 2025/01/06(月) 22:40:03 ID:???00
冬毬「……なるほど、蓮ノ空女学院の皆さんもそれぞれハイレベル、合同練習にも意義がありそうです」

千砂都「ね? それに、他校のスクールアイドルは競い合うライバルだけど、単純な敵じゃないと思うんだ」

かのん「うん、同じスクールアイドルだもん。一緒に切磋琢磨することは絶対にいいことだよ」

マルガレーテ「そうね。……そして、その上で、勝つ! それでいいんでしょう?」

千砂都「よし、決まりだね。……お待たせしてすみません。蓮ノ空の皆さんがよければ、是非一緒にお願いしたいです」

梢「ええ、こちらとしても、是非お願いしたいと思います」

花帆「どうしよう! Liella!と合同練習だって!」

小鈴「優勝校と一緒に……、徒町なんかがついていけるでしょうか」

吟子「大丈夫。私達だって優勝目指して努力してるんだから、後れを取っていられないよ」

さやか「その意気です。きっと私達にとって得るものは大きいはずです。せっかくの機会ですから、勉強させていただきましょう」

瑠璃乃「相手にとって不足なし! だね」

梢「さて、そうと決まれば、時間がもったいないわ。荷物を置いたら早速練習を始めましょう。構いませんよね?」

千砂都「はい。目一杯練習しましょう」

花帆「こっ、梢先輩が燃えてる……」

夏美「目一杯、……これは恐ろしいですの」

12: 2025/01/06(月) 22:44:35 ID:???00


さやか「坂が多くて、ランニングにはもってこいですね」

千砂都「そうだね! しかも下りは緩やかだから、膝への負担も少なそう」

すみれ「ちょっと、ペース早くない? 後ろちぎれそうよ?」

梢「最後尾グループは……、花帆がいるわね。なら大丈夫だわ」

さやか「ええ、小鈴さんも、この程度でへこたれるような鍛えかたはしていません」

千砂都「おお、信頼されてるねー。でも、うちのきな子ちゃんと夏美ちゃんも負けてないよ」

すみれ「確かに、なんだかんだ言って、これくらいで諦めるような子たちじゃないけど」

梢「そちらも大丈夫そうね。それなら私たちも自分のことに集中しましょう」

千砂都「うん、ちょうど後一周、軽く競争しようか!」

梢「嵐さんと勝負できるなんて、ええ……、望むところだわ」

千砂都「千砂都でいいよ。……ええと、梢ちゃん」

梢「梢ちゃん……。では、本気で行くわよ。千砂都さん」

千砂都「じゃあ、次の木からスタートね。行くよ!」

すみれ「……ウォーミングアップからそんなに全力で大丈夫なの?」

さやか「今日こそ梢先輩に、それから千砂都先輩にも、勝ちます!」

すみれ「はぁ、みんなやる気ね。……こうなったら、私だってやってやるったらやってやるわ!」

18: 2025/01/06(月) 22:58:17 ID:???00
千砂都「さて、体もいい感じに温まったし、始めましょうか。とりあえず今日は、結ヶ丘のメニューをベースにして、要望とか気づいたこととかがあったら言ってもらう形でいいですか?」

梢「そうですね。それで問題ありません」

千砂都「よし、それじゃあ折角だからメニューごとに組む人をシャッフルしてやろうか。親睦も兼ねてね!」

13: 2025/01/06(月) 22:47:40 ID:???00


メイ「ああ……、るりちゃんのストレッチ、尊い……」

瑠璃乃「えっと……、ただのストレッチだけど……?」

吟子「何か、どこかで見たような光景」

瑠璃乃「う~ん、応援してくれるのは嬉しいけど、Liella!としては、それでいいの?」

可可「Liella!はLiella!、推しは推しデス!」

瑠璃乃「そ、そうなのかな。じゃあ、次は、ペアでだけど……」

メイ「最接近イベ……! 顔! 顔がいい!」

吟子「みらくらぱーく!って、こういう人を引き付ける何かがあるのかな」

可可「……ククはスリーズブーケも好きデスよ」

吟子「え、可可先輩も私たちのこと知ってるんですか?」

可可「もちろんデス。華やかできれいな衣装に、かわいい、でも時には寂寥感の漂う楽曲、スバラシイデス」

可可「それに、三人とも応援したくなるような魅力がありマス」

吟子「あ、ありがとう、ございます。……直接応援されるのって、あまりないけど、嬉しい」

吟子「私、もっと、もっと頑張ります!」

可可「はい、期待していマス!」

14: 2025/01/06(月) 22:49:00 ID:???00


恋「ワンツースリーフォー、ファイブシックスセブンエイト」

小鈴「ここから、……こう。……あっ!」

きな子「ここで踏み出して、こう。……わっ! 大丈夫っすか?」

小鈴「すみません! 脚が絡まってしまって!」

きな子「気にすることないっす。自慢じゃないけど、きな子も十回は転んだっす!」

慈「ふむ、なーんかこの二人似てるねぃ」

恋「ステップを意識しすぎかもしれませんね。体全体の動きをイメージすると、自然に足が出るようになると思いますよ」

慈「自然に足が出るくらいの練習は必要だけどね。まあ、小鈴ちゃんは反復は得意でしょ」

小鈴「はい! ダンス習得チャレンジです! ちぇすとー!」

恋「……小鈴さんは、九州出身の方なのですか?」

慈「??」

小鈴「? いえ! 徒町は福井の人です!」

恋「そうですか。……勘違いでしたね」

きな子「? どういうことっすか?」

慈「???」

15: 2025/01/06(月) 22:51:51 ID:???00


綴理、マルガレーテ、夏美、冬毬

マルガレーテ「~♪ ~♪」

夏美「やはり、歌に関してはマルガレーテの実力は特筆すべきものがありますの」

マルガレーテ「……まあ、こんな感じね。どう? やってみる?」

綴理「うん、やってみる」

綴理「~♪ ~♪」

冬毬「これは……。綴理先輩は、ダンス特化かと思っていましたが……」

マルガレーテ「綴理先輩、歌も結構いけるのね」

綴理「そう、かな? まるのほうがずっとすごいよ?」

マルガレーテ「初めての曲でそれだけできるんだから、十分よ」

マルガレーテ「冬毬といい綴理先輩といい、スクールアイドルには能力が高い人が集まりやすいの?」

夏美「あの、私もいますが……」

マルガレーテ「夏美先輩は、……どちらかというと努力の人ね」

夏美「ナッツ~。喜んでいいか微妙ですの」

綴理「すごいよ、なつ。できないことができるようになるのは、すごいことなんだ」

夏美「あ、ありがとうですの」

冬毬「姉者、姉者は歌やダンスの下地がない中でも研鑽を積み、今では立派なLiella!のメンバーです。尊敬に値します」

マルガレーテ「そうよ、本当に。特に予選前からの取り組み方は見直したわ」

夏美「きゅ、急にほめ頃しはやめるですの~!」

16: 2025/01/06(月) 22:55:17 ID:???00


かのん「ここから、位置を入れ替えて、……こう! なんだけど……どうかな」

花帆「おおー! すごいです!」

四季「でも、実はまだ完成してない」

姫芽「え、そうなんですか? 十分いい感じですけど~」

かのん「そうなんだよね。このままでもいいとは思うんだけど、もうひと声っていうか……」

四季「行き詰っていたところ。だから、外からの意見が聞ける機会は貴重」

かのん「何かこう、いいアイデアないかな? 蓮ノ空ではどうやってフォーメーション決めてるの?」

姫芽「アタシたちは、普段ユニットで活動してるので、全員曲でもユニット毎に分かれてることが多いかもしれませんね~」

花帆「ユニット曲のときは、あたしたちは歌う人を真ん中にしたり、一歩前にしたりですかね」

姫芽「みらぱはテンポ早い曲も多いので、割と動き回る方ですかね。でも、人数が少ないから、十一人のLiella!とは事象が違うかもです」

かのん「う~ん、参考にするのは難しいか。……それじゃあ、蓮ノ空のことは置いておいて、純粋に聞こうかな。……どうしたらいいと思う?」

四季「結局直球」

花帆「そうですね、今のままでもきれいなフォーメーションだとは思うんですよね」

姫芽「じゃあ、あえて崩してみますか? テンプレ行動は読みやすいですしね~。セオリーから外していかないと」

四季「崩すなら、ミスに見えないように大胆に」

花帆「ふんふん、そうだね。そして非対称になるんだけど、みんな視線はこっち、って注目してほしい人を目立たせるの」

かのん「うんうん、これは来年も安泰だな~」

20: 2025/01/06(月) 22:59:25 ID:???00
千砂都「みんなお疲れさま! いや~、楽しかったね!」

梢「ええ、本当に。みんな、一休みするのもいいけれど、お夕飯は六時半からだから遅れないように」

夏美「何とか生き残りましたの」

小鈴「徒町ぎりぎりでしたー」

女将「あら、皆さん一緒のグループでしたか。お食事はそれぞれお部屋でと思っていましたが、広間でご一緒にいたしましょうか?」

かのん「え、本当ですか? そのほうが絶対楽しいよ。どうかな?」

花帆「そうしましょう! ご飯楽しみだなー!」

女将「それでは、そのように手配しますね。時間は変わらず十八時三十分からでよろしいですか?」

梢「ありがとうございます、問題ありません。よろしくお願いいたします」

21: 2025/01/06(月) 23:00:47 ID:???00
瑠璃乃「あー、生き返る~」

きな子「あー、お風呂ってなんで声が出るんっすかね」

花帆「瑠璃乃ちゃんは、充電大丈夫?」

瑠璃乃「うん、まだ平気そう。スクールアイドル仲間だからかな、あまり充電が減る感じがしないんだ」

メイ「練習はきつかったけど、でも楽しかったな」

さやか「球技などと違って、あまり練習試合などの機会もありませんからね。同じ志を持った人たちと過ごすことができるのは貴重な経験です」

花帆「でも、東京だと学校もいっぱいあるし、イベントも多いんじゃないの?」

四季「うちは新設校だから、伝手があまりない」

瑠璃乃「そっか、結ヶ丘って新設校なんだっけ。それで優勝したって、すごくね?」

きな子「正確には、基になった昔の学校から引き継いでいる部分も多いっすけど」

きな子「でも、優勝できたのは先輩たちが凄かったっていうのが大きいっす」

花帆「確かに、三年生みんな凄かったー」

夏美「それは蓮ノ空も同じですの。上級生はモンスター揃いですの」

メイ「そうだな。あと一年であのレベルに到達できるかっていうと……」

四季「簡単じゃないのは、確か」

さやか「でも、ラブライブ!の結果がどうあれ、三年生がもうじき卒業してしまうのは変えようがありません」

瑠璃乃「めぐちゃんも最近かなり頑張ってるしね」

夏美「もうすぐ私たちが部をまとめていかなければいけなくなる」

花帆「想像できないなあ、先輩達がいないなんて」

きな子「まあ、それは大会が終わってから考えるっす。でも、きっとなんとかなるっす」

さやか「そうですね。先輩たちも決して完璧なわけではなく、悩みながら、迷いながらも、助け合って乗り越えてきたのですから」

四季「私達にも、頼りになる仲間がいる」

瑠璃乃「今日、新しい仲間もできたし?」

きな子「そういうことっす。だからきっとなんとかなるっす!」

22: 2025/01/06(月) 23:01:50 ID:???00
マルガレーテ「これは?」

冬毬「舞茸の天ぷら」

マルガレーテ「これは?」

吟子「なめこの味噌汁」

マルガレーテ「これは?」

姫芽「椎茸の、煮物かな? 正確な名前はわかんないな~」

マルガレーテ「松茸っていうのはないの!?」

小鈴「高級食材だからね。合宿で泊まるようなところでは、なかなか出てこないんじゃないかな」

冬毬「いえ、よく見て、いや嗅いでください。おひつから漂うこの香りを」

姫芽「おおー、確かにこれは松茸ご飯かな?」

マルガレーテ「本当? これが、この香りが松茸なのね」

吟子「言われてみると、他の料理がある中でもわかる、いい香り」

マルガレーテ「これ、おかわりしてもいいの?」

姫芽「お、マルガレーテちゃん、よく食べる人?」

マルガレーテ「食事は、体づくりの基本よ」

小鈴「なるほど。それなら、徒町も大食いにチャレンジするよ!」

吟子「いいけど、明日も練習だよ。無理して支障がでないようにね」

小鈴「うう、そう言われると失敗しておいた方がいいのかな」

23: 2025/01/06(月) 23:02:48 ID:???00
可可「ふう、お腹いっぱいデス」

かのん「どれもおいしくて食べすぎちゃったよ」

綴理「うん、今日はいつもの3.4倍おいしい」

慈「なーに? その理論」

綴理「いつもの九人が今日は二十人になって、それにたくさん運動したから、かけ合わせて3.4倍」

恋「なるほど、運動したときにかける数値がどう導かれたのか気になるところですね」

可可「20/9が3.4になるというコトは……」

慈「えーと、つまりいっぱい体を動かしたし、みんなで食べてるからおいしい、てこと?」

綴理「うん、そうだと思う」

すみれ「綴理はまっすぐにいいこと言うわね」

慈「ふん、どうよ!? うちの綴理は!」

すみれ「そうね、まっすぐじゃない人もいる中、貴重だわ」

慈「なにー!? 梢、言われてるよ!」

梢「文脈的には、私のことではないと思うのだけれど……」

梢「それにしても、結ヶ丘のみなさん、今日は本当にありがとうございました。大会に向けてとてもいい刺激になりました」

千砂都「まだ、一日目が終わっただけだよ。明日は蓮ノ空のメニューが中心だから、それも楽しみ」

恋「……それに、みなさんはまだ今日を終わらせるつもりはないみたいです」

24: 2025/01/06(月) 23:03:57 ID:???00
小鈴「チャ、チャレンジ失敗だ~」

マルガレーテ「ちょっと、小鈴、大丈夫?」

吟子「だから言ったのに……」

冬毬「胃薬の準備は万端です」

姫芽「アタシも貰っていい? 柔軟よりもっと張り合える相手じゃなかった~」


花帆「えー、メイちゃん、もう一回お手本見せてよー!」

メイ「え、いや、さっきやっただろ、も、もうやんねえよ」

四季「なら代わりに私が。……キラリンッ」

瑠璃乃「おお、四季ちゃん、いいね、ベリグーだね。じゃあ次は……、さやかちゃんいっちゃう?」

さやか「わ、わたしですか……!? ……キ、キ、……キラリンッ!」

きな子「か、かわいいっす」

夏美「ふっふっふっ、バッチリ撮らせてもらいましたの!」


慈「こらー、下級生、面白そうなことやるならめぐちゃんもまぜろー!」

可可「まぜろーデス!」

梢「……慈、みんな、楽しそうなのはいいけれど、ここでやると片付けの邪魔になるから、部屋に戻ってからになさい」

25: 2025/01/06(月) 23:08:09 ID:???00
……

瑠璃乃「部屋も隣同士で、集まってくださいって言ってるようなもんだね」

四季「団体用の部屋は、騒がしくなるから通常の客室とは離されることが多い」

瑠璃乃「なるほどね~。あ、冬毬ちゃん、何見てるの?」

冬毬「蓮ノ空のみなさんのライブアーカイブを観ていました」

吟子「あ、それ、スリーズブーケの……?」

冬毬「はい、この曲、気になります」

四季「冬毬ちゃんはクラゲを飼っているから」

瑠璃乃「クラゲって、飼えるんだ。ルリもクラゲって好きだな。見てると何か落ち着くんだよね」

吟子「実は、この歌詞、わたしが書いたんです。もちろん、みんなに助けてもらいながらだけど」

四季「そうなんだ。吟子ちゃんの書いた歌詞、素敵」

冬毬「……あの、私たちにもクラゲの曲があるんです。もしよければ聞いてもらえませんか」

瑠璃乃「え、聞く聞く!」

吟子「……へえ、モチーフは同じでも、雰囲気は結構違うんだ。……でも、いい曲」

瑠璃乃「おお、なんかスタイリッシュだ。都会で過ごすと、こう言う曲が書けるようになるのかな」

冬毬「そんなことはないと思いますが……。蓮ノ空ではどのように楽曲を作成しているのですか?」

吟子「昔から受け継がれている伝統の曲を少しずつ手直ししたり、一から新しく作ったりだよ」

四季「伝統曲……、私たちにはない発想」

瑠璃乃「結ヶ丘は、今まさに伝統の一番最初ってことだもんねー」

四季「でも、前身になった学校の学校アイドル部のノートがあると聞いた。ちょっと恋先輩を呼んでくる」


恋「……なるほど、伝統曲ですか。旧学校アイドル部の資料はほとんど失われてしまいましたが、残されたノートから発掘できる歌詞などもあるかもしれませんね」

恋「それに、母が高校生のころ学校アイドル部に所属していたのですが、昔よく口ずさんでいた歌は、もしかしたら……」

吟子「それ……、もし歌詞だけでも、ひとつのフレーズだけでも受け継げたら……」

恋「はい、素晴らしいことだと思います。理事長も当時のことを知っているはずなので、話を聞いてみる価値はありますね……」

冬毬「伝統を蘇らせる……。こうして皆さんと話さなければ、そんな発想は生まれなかったかもしれません」

四季「合同で合宿して、よかった?」

冬毬「はい、本当に……、様々なことを学べるとわかりました」

26: 2025/01/06(月) 23:09:47 ID:???00
マルガレーテ「ま、負けた……」

姫芽「今日はマルガレーテちゃんにやられっぱなしだったからね。ここは勝たせてもらうよ!」

メイ「マルガレーテが完敗するなんて、さすがひめちゃん……!」

恋「姫芽さんは、すごくゲームが上手なのですね」

小鈴「姫芽ちゃんは、ゲームの学生チャンプなんです。徒町はいつもたちまちやられてしまいます」

姫芽「いつもやっているのはこのゲームじゃありませんけどね~。それでも、ゲームは得意です~」

恋「学生チャンプ……。私は場違いだったでしょうか」

姫芽「いえいえ、上手さに関係なくみんなでやるのは楽しいです。対戦となると手加減はできないんですけど……」

姫芽「次は協力プレイにしましょうか?」

マルガレーテ「いいえ、もう一回対戦よ。さっきので大体わかった。次は勝てるわ」

小鈴「おお、マルガレーテちゃんが言うと、本当に勝てそうな気がするよ」

姫芽「受けて立つよ。その闘志、……嫌いじゃないぜ」

四季「……あの、恋先輩、手が空いていたら、少し聞きたいことが」

恋「はい、ちょうど終わったところなので構いませんよ。……みなさんすみません、少し外しますね」

小鈴「お気になさらず! お待ちしています!」

姫芽「じゃあ、4人になったしチーム戦にしようか。……いくよ~!」


マルガレーテ「ま、負けた……」

メイ「チーム戦でも流石に無理かー」

マルガレーテ「も、もう一回!」

姫芽「三対一にしてもいいよ~」

マルガレーテ「そ、その慢心が命取りよ! すぐに後悔させてあげる!」

姫芽「ふふふ、やってみたまえ~」

27: 2025/01/06(月) 23:12:11 ID:???00
夏美「……今度こそ、合同合宿の様子をアップしてバズりまくりですの~」

慈「あ、撮影中? みんな~、ハロめぐ~!」

花帆「え、配信ですか? みんな、今日はなんと、Liella!と蓮ノ空が合同合宿していまーす!」

夏美「か、かつてないほど撮影に積極的な人たちですの。カルチャーショックですの……」

花帆「あたしたちもいつも配信してるからね!」

綴理「みんなと繋がれて、楽しいよ」

可可「確かに離れたところに想いを伝える手段としては、悪くないのかもしれマセンね」

夏美「私のときと反応が違うような……?」

慈「夏美ちゃんは、エルチューバーなんだよね?」

夏美「知ってるんですの?」

慈「ライバルになりそうな配信者はチェックしてるからね」

花帆「へえ、あたしたちはスクコネなんだけど、どうしてエルチューブなの?」

夏美「それは……、確かにスクールアイドル活動を配信するには、スクコネが専門性が高く使いやすいことはわかっていますが、スクールアイドルに関係ない投稿もしますし。それに、私はスクールアイドルを始める前から投稿していたので~」

可可「マニーデスね。ナッツはいつもそう言っていマス」

夏美「いっ! ま、まあ~、それもほんのわずか~にはあったり、……なかったり、ですの~」

綴理「マニー?」

慈「配信者としては確かに大きな理由になるからね。……でも、スクコネにも投稿しちゃおー」

ナッツ「ぶ、分散すると取り分が! ……い、いえ、元々雀の涙ほどですの~。 そ、その話はまたの機会にということで~」

28: 2025/01/06(月) 23:13:14 ID:???00
さやか「わ、すみれ先輩?」

きな子「誰かと思ったっす」

すみれ「随分な言い草ね。まあ、パック中だから仕方がないけど」

さやか「外泊時でもしっかりケアしているんですね」

すみれ「ショウビジネスの世界に生きるものとして当然よ。本当はお風呂の後すぐがいいんだけど」

きな子「きな子は家でもそこまではできてないっす」

すみれ「あなたたちも素材はいいんだから、磨かないともったいないったらもったいないわ」

すみれ「ほら、たくさん持ってきてるから、二人もやりなさい」

さやか「え、よろしいのですか? お代はどうしたら……」

すみれ「そんなの取るわけないでしょう? 恋並みに堅物ね」

きな子「ひー、冷たいっす。温めてからつければよかったっす」

すみれ「ほら、この子くらいの無遠慮さでいいのよ」

さやか「そう、でしょうか。では……、ありがとうございます、試させていただきます」


千砂都「わあっ! びっくりしたー。誰と誰と誰?」

すみれ「その反応も飽きたわ。はい、千砂都もやりなさい」

千砂都「え、いいの? それじゃあひとつ失礼して……」

千砂都「おー、染み渡る気がするねー」

きな子「……っすねー。それにしてもすごい絵面っす」

さやか「ふふ、そうですね。……ちょっと写真を撮ってもいいですか? 記念に」

すみれ「この状態で!?」

千砂都「いいじゃん、いいじゃん。ほら、もう少し近寄って。……はい、ギャラクシー!」

すみれ、きな子、さやか「ギャラクシー!」

29: 2025/01/06(月) 23:14:23 ID:???00
かのん「~♪」

梢「いい夜ね。かのんさん、隣いいかしら」

かのん「あ、ごめんね、うるさかった? 他の客室からは離れてるからちょっとくらいならいいかと思って……。って、あれ? 梢ちゃんも?」

梢「ええ、最初に入口でかのんさんもギターを背負っているのを見て、気になっていたの。ご一緒しても?」

かのん「もちろん! いやぁ、嬉しいなぁ。Liella!には他にギター弾く人いないからさ」

梢「Liella!には他にも作曲ができる人がいると記事で読んだ覚えがあるのだけれど、他の人はギターではないのかしら」

かのん「うん、みんなピアノなんだよね。確かにピアノのほうが作曲はしやすいかもしれないけど、ギターもいいのにな」

梢「そうね。ギターの音色、私はとても好きだわ」

かのん「でも、乙宗家の人がギターっていうのは意外かな。もっとこうフルートとかヴァイオリンとかかと思ってた」

梢「そのあたりの楽器もひととおり触ってはいるのだけれど、クラシック音楽で使われるような楽器がそうでない楽器より必ずしも優れているわけではないわ」

かのん「触ってはいるんだ……。でも、それは全ギター好きに聞かせたい言葉だよ」

梢「そこまでではないと思うのだけれど……」

かのん「そこまでだよ! ……さて、何の曲がいいかな」

梢「……そうね、これはどうかしら」

かのん「……あ、これ、……何で?」

梢「かのんさん達は優勝したのよ。全国のスクールアイドルがあなたたちのことを研究していると思った方がいいわね」

かのん「ううーん、まあそれは嬉しいことだけど。それほどの実感はないんだよね」

梢「それに、純粋にいい曲だわ」

かのん「ありがと。じゃあ……」

かのん、梢「未来は風のように 僕らを呼んでるんだ♪ 何が待ち受けてるか誰も知らな~い♪」

かのん、梢「~♪」

30: 2025/01/06(月) 23:16:04 ID:???00
梢「あら、みんな寝てしまっているわね……」

かのん「朝早くから動いたし、昼間も結構ハードだったからね」

梢「ごめんなさい。今みんな部屋に連れて帰るわ」

かのん「いいよいいよ。みんな気持ちよさそうに寝てるから、このままにしてあげよう」

かのん「スペース的にも、そんなに狭いわけじゃないし、暖房も効いてるから、風邪は引かないと思うよ」

梢「そう、かしら。……でも、そうね、お言葉に甘えさせてもらうわ」

かのん「うん、……ふぁ~、寝てるところ見たら眠くなってきちゃった。私達も寝よっか」

梢「ええ。では私はあちらの部屋で……」

かのん「いやいや、それはここで一緒に寝る流れでしょ? 向こうで一人寝るのは寂しいよ~?」

梢「……そ、そうかしら。それなら、……ここの隙間に失礼するわ」

かのん「じゃあ、私もそこにしよっと。よいしょ、じゃあ電気消すね。今日はお疲れ様。おやすみなさい」

梢「ええ、お疲れ様。おやすみなさい」

31: 2025/01/06(月) 23:17:14 ID:???00
翌朝

マルガレーテ「朝ごはんもどれもおいしいわね」

花帆「おお、朝もそんなに食べるんだ」

小鈴「流石に朝ごはんでチャレンジするのはやめておこうかな」

四季「賢明」

さやか「……あれは三年生の皆さんですね。何を話しているのでしょうか」

32: 2025/01/06(月) 23:18:00 ID:???00
恋「かのんさん、どうされましたか?」

かのん「うん、今ちぃちゃんと女将さんとで話してたんだけど……」

千砂都「明日この地域の秋祭りがあるんだって。でも、午後のステージで楽器を演奏する予定だった人が体調を崩して、スケジュールに空きができちゃうみたいなんだ」

慈「ステージに、……空き? ねえ、可可、どう思う?」

可可「はい、多分、めぐみと同じこと考えてマス」

梢「何を考えているかは想像がつくのだけれど、……あなたたち、明日ということは準備できるのは一日しかないのよ?」

綴理「大丈夫だよ。この二十人が力を合わせれば、きっとすごいことができる」

すみれ「ま、空いているステージを前に、じっとしていられる子はここにはいなさそうね」

33: 2025/01/06(月) 23:22:03 ID:???00
梢「……と、いうことなのだけれど、みんなどうかしら」

花帆「やりましょう! ライブ!」

メイ「このメンバーで作るステージ……!」

小鈴「徒町、早くもワクワクしてきました!」

さやか「持ち時間はどれくらいですか? 持ち歌を披露するとはいえ、全く練習なしというわけにはいきません。」

さやか「練習時間を考えると、それ以外の準備にかけられる時間は、夕方くらいまでが限界でしょうか」

冬毬「それでもかなり厳しいスケジュールではありますが……」

きな子「でも、やってみたいっす!」

冬毬「アグリーです。やってみる価値はあります」

慈「ほら、そりゃ聞いたらこうなるのは当然だね。私達の後輩だもん」

千砂都「よし! それじゃあ、みんなやるってことでいいね? そうと決まったら時間がないよ。早速準備に取り掛かろう!」

かのん「持ち時間は三十分、単純に分けると結ヶ丘と蓮ノ空で十五分ずつだけど……」

マルガレーテ「合同ステージなら、全員でやる曲が欲しいわね」

恋「では、どちらかの曲を全員でやりますか? それだと、二校で多少完成度に差がついてしまうかもしれませんが」

梢「……本当にみんながやる気だというなら、いい曲があるわ。少し古い曲だけれど、いろいろな学校のスクールアイドルがひとつになって歌うための曲が」

メイ「それって、まさか……、あの伝説の……?」

梢「ええ、スクールアイドルをやっているのだもの、結ヶ丘のみなさんも聞いたことはあるでしょう? それなら合わせるのにもそこまで時間はかからないはずよ」

可可「なるほど……、確かにそれならやれるかもしれマセン!」

四季「他に準備が必要なのは……」

姫芽「三十分の中の時間割、全体曲のフォーメーション、パート割、ステージの飾り、……衣装は幸い持ってきてるものがあるから、そのままでも大丈夫ですかね~」

吟子「……あの! 確かに衣装はあります。でも、それはそれぞれのグループのための衣装です。一緒のステージ立つなら、少しだけでも統一感を持たせられるように、アレンジしたい、です」

吟子「時間がないことは、わかっているのですが……」

可可「よく言いマシタ! ぎんぎんの言うとおりデス! 可可はステージ作りをやるので手伝えマセンが、みんなの衣装、ぎんぎんに託しマス!」

吟子「ありがとうございます、可可先輩。時間の許す限り、やってみます!」

夏美「確かにそのほうが、絶対に映える衣装になりますの! 私も手伝いますの!」

34: 2025/01/06(月) 23:25:22 ID:???00
さやか「では、分担を決めて各自準備を始めましょう。作業が遅れそうなら人を融通しますので随時わたしに教えてください」

姫芽「アタシは買い出しに行ってきます。女将さんのお知り合いのお店を早く開けてもらえるということなので、とりあえず出発してしまいます。必要なものがあったら三十分後くらいまでに教えてください」

梢「私も行くわ。荷物持ちなら任せなさい」

姫芽「梢先輩は全体の指揮を取らなくてもいいんですか?」

梢「全体の進捗管理はさやかさんに任せてきたわ。買い物が終わったらちゃんと私も手伝うから大丈夫よ」

千砂都「そうそう、私もきな子ちゃんに任せてきちゃった。後輩の成長は嬉しいものだね~」

姫芽「おお、二人だけでなんでも運べそうな布陣ですね~」

梢「流石に両手で持てない分量は無理よ」

千砂都「そんな持てるものはなんでも大丈夫みたいな……。うちからもう一人くらい連れて行こうか。誰がいいかな~」

姫芽「じゃあ~、マルちゃん行こうか~」

マルガレーテ「え、私? なんで?」

姫芽「うん? ただマルちゃんと行きたいな~と思っただけだよ」

マルガレーテ「う、まあいいけど」

姫芽「それに、昨日負けたら何でも言うこと聞くって言ってたしね~」

マルガレーテ「ぐぅ、わかったわ。……さあ行くわよ!」

35: 2025/01/06(月) 23:26:36 ID:???00
吟子「姫芽が帰ってきたらすぐに作業できるように、イメージを固めておかないと」

夏美「さすがに全体に手を加える時間はありませんの」

メイ「となると、部分的なアレンジ、それかおそろいのワンポイントのチャームとかか?」

吟子「そうですね。こんな感じのワンポイントを入れるとどうでしょう」

花帆「かわいい! じゃあ、こうやってみんなのイメージカラーを入れて、それから……」

メイ「いいな、それ。う~ん、段々一つのチームって感じがしてきた!」

36: 2025/01/06(月) 23:27:56 ID:???00
可可「ステージでは元々伝統楽器の演奏を行う予定でしたので、スクールアイドルらしい装飾を一から作らなくてはなりマセン」

小鈴「となると、作業量は多そうですね」

慈「幸い照明と音響はある程度使えそうだから、それでうまく演出してあげれば、形にはなりそうかな?」

小鈴「ステージの入れ替えに使えるのは十五分しかありません。短時間で設置、撤収するにはどうしたら」

慈「そうだね、一つずつ飾りをつけていく余裕はなさそう」

可可「それなら、いくつかのブロックに分けて、それぞれ移動式にしマス」

小鈴「なるほど、それぞれのブロックを設置するだけなら、何とかなりそうです!」

かのん「あとは、披露する曲に装飾の方向性を合わせないとだけど……」

小鈴「あちらはもう少しかかりそうでしょうか」

可可「まずは、どの曲になっても問題ない部分から考えていくしかありマセン」

37: 2025/01/06(月) 23:29:34 ID:???00
すみれ「最後の曲を除けば約二十五分、均等に割ればそれぞれ十二分ね」

四季「それぞれ二曲とMCでちょうどいいくらい」

綴理「ボクたちは二曲だとユニット曲はできないね。全員曲から選ばないと」

瑠璃乃「そうですね。でも、ユニット毎に考えるより逆に選びやすいかもですね」

すみれ「最初はLiella!が行かせてもらうわ。ドカンと盛り上げるから、次はよろしくね」

綴理「じゃあ、次はやさしい曲にして、盛り上がりについてこられなかった人を掬い上げよう」

瑠璃乃「はい! 任せてください!」

四季「一曲ずつ終わったらMC。二十人が一人ずつ話したら三分以上かかる」

綴理「でも、みんなに挨拶したいな」

すみれ「そうね。自己紹介は一人十秒厳守で行きましょう!」

38: 2025/01/06(月) 23:30:49 ID:???00
姫芽「ただいま戻りました~」

千砂都「お待たせー! 材料買ってきたよー!」

可可「待っていマシタ! あとは急いでモノを作るだけデス」

マルガレーテ「あと、差し入れをもらったわ。人数分の焼き芋よ」

冬毬「……合宿で来ただけの私たちに。温かいです」

梢「冬毬さん、全体の進捗はどうかしら」

冬毬「持ち時間の配分はほぼ完了。ステージ装飾の設計図も完成しています」

きな子「でも、衣装班が苦戦中っす。デザイン部分なので人手があればいいわけじゃないつす。ここは吟子ちゃんに頑張ってもらうしかないっす」

さやか「あとは全体曲の詳細ですが、みなさんが帰ってきたので、それはこれから詰めていきましょう」

梢「ありがとう。この進捗ならなんとかなりそうね」

千砂都「じゃあみんな、差し入れも頂いたし休憩にしよう! ずっと根をつめてもいいものはできないよ!」

すみれ「それがいいわ。せっかくだから温かいうちにいただきましょう」

39: 2025/01/06(月) 23:33:21 ID:???00
夏美「はむ、……おいしいですの。今のデザインもいい感じだとは思いますが……」

吟子「そうなんですが、もう少し何かあるような気がして」

花帆「はい、とりあえず冷める前に食べよ?」

吟子「……ありがとうございます。……おいしい」

メイ「……迷ったときは初心に立ち返ってみるか。……違うグループが一緒にステージに立つから、衣装にも共通点が欲しいんだよな」

夏美「それ自体はデザインに共通性のあるワンポイントで表現することにしましたの」

花帆「それでも、まだ何かが足りない……。う~ん、なんだろ」

メイ「そうだなあ……。うん、この焼き芋、本当においしいな。紫芋の焼き芋って初めて食べたかも」

吟子「紫……。そうか、メンバーカラーだけじゃなくて、紫とピンクも入れたらどうでしょう」

夏美「それって、……Liella!と蓮ノ空のグループカラーですの?」

吟子「そして、リボンが交差するようにデザインを変更したら……」

メイ「二つのグループカラーが交わって……。うん! 絶対こっちのほうがいい!」

吟子「でも、複雑になった分、作業には時間がかかってしまうかも。ただでさえ遅れているのに……」

花帆「大丈夫。こんなときは……、さやかちゃーん! 助けてー!」

さやか「はい、花帆さん、どうしましたか?」

花帆「デザインはできたんだけど、作業の人手が足りないの!」

さやか「わかりました。こちらに人を回せる余裕がないか確認してきますね」

40: 2025/01/07(火) 00:04:13 ID:???00


可可「実際に作ってみると……、ここはもっと華やかにしたいデスね」

小鈴「もう少し飾りのボリューム増やしましょうか?」

かのん「そうだね、でも、これ以上大きくなると会場まで運ぶのが大変そう……」

慈「うーん、なら、バルーンかな」

小鈴「バルーン、ですか?」

慈「位置だけ決めておいて、会場についてから膨らませれば持ち運びもボリュームも解決!」

可可「なるほど、それがいいと思いマス」

かのん「じゃあ、バルーンの位置を決めて、それでブロック一つ完成だね」

小鈴「はい、あと作るブロックは五つ……」

慈「まあ、時間的にはぎりぎりかな?」

さやか「……あの、衣装班の手が足りないのですが、こちらから手伝いを出せませんか?」

小鈴「あ、作業に入るということは、デザインはできたんですね!」

さやか「はい、吟子さんを中心に素敵なデザインを作ってくれました」

小鈴「わあ、手伝いに行きたいです。……でも、こっちも結構ギリギリのチャレンジになっていて……」

可可「こすこす、それからかのんも、行ってください」

かのん「え、でも、こっちは大丈夫?」

可可「問題ありマセン! 後輩が気合を見せたのデス! これで燃えなければ、スクールアイドルの名折れというものデス!」

可可「最近は披露する機会がありマセンでしたが、久しぶりにククの本気を見せるときが来たようデス!」

慈「そうだよ可可。いっちょ先輩の力を見せてやるってなもんだよ!」

かのん「……うん、わかった。じゃあ、こっちはよろしくね! 行こう、小鈴ちゃん」

小鈴「はい。……本当に大丈夫なんでしょうか?」

かのん「うん、可可ちゃんが本気になったから、任せておけば大丈夫。可可ちゃんの作るステージは、本当にすごいんだから!」

41: 2025/01/07(火) 00:04:47 ID:???00
きな子「だいぶ作業も進んできたっすね」

さやか「いつもの倍の人数がいると、随分進みも早いです」

千砂都「でも、そろそろ限界かな。パフォーマンスの練習もしないと」

きな子「そうっすね。声かけてくるっす」

42: 2025/01/07(火) 00:05:25 ID:???00
花帆「うわっ、何かくしゃくしゃになっちゃった! ええと、一回糸を切ってと……」

夏美「細かい作業ですが、急がば回れですの。慎重にやった方が、結果的には……」

きな子「集中してるところ申し訳ないっす。体育館が使える時間を考えると、そろそろ明日の練習を始めないとギリギリっす! 進捗はどんな感じっすか?」

吟子「あと少しです。でも、わかりました。残りは旅館に戻ってからやります」

メイ「衣装ができても、パフォーマンスがグダグダじゃ本末転倒だしな」

瑠璃乃「そうだね。よし、一旦切り替えて、練習しよー!」

43: 2025/01/07(火) 00:06:04 ID:???00
千砂都「最初は学校毎に分かれたフォーメーションだけど、だんだん両校が混ざっていくからね! 普段一緒にやらない人との息の合わせ方、確認しておいてね!」

千砂都「ほら、綴理ちゃん、ジャンプ高い! 一人ならそれでいいけど、みんなと踊ってるときは周り見て!」

綴理「こう?」

千砂都「オッケー! この曲はジャンプが揃わなかったら台無しだからね! みんなも隣意識してね!」

千砂都「小鈴ちゃん、今のマルだよ! よし、ここは小鈴ちゃんを基準にしよう! 手の振り、足の角度、みんな合わせてね!」

小鈴「きょ、恐縮です!」

千砂都「四季ちゃんは逆に周り気にしすぎだよ! 自分が先頭にいるときは、みんなを信じて、私について来いってくらいの気持ちで!」

四季「はい。みんな、お願い」

千砂都「よし、四季ちゃんを一人にしないよ! みんな意地でも揃える! ここ綺麗に止めるよ! ファイブシックスセブン、ピタッ! ……いいよいいよ!」

千砂都「じゃあ、最後に通しでいくよ! 終わったら晩御飯だ! 気力振り絞ろう!」


千砂都「……はい、今日はここまで! お疲れさま。各自振りの確認しておいてね」

44: 2025/01/07(火) 00:06:37 ID:???00
瑠璃乃「はー、千砂都パイセンマジですげー」

さやか「ご自身も踊りながらなのに、背中に目がついているみたいです。Liella!だけならともかく、二十人を同時に……」

綴理「自分が踊るだけじゃない。周りを見て、あんなふうにできるんだ。ちょっと悔しいな」

慈「悔しいってことは、綴理もまだ成長できるってことだよ。なら、今のうちに見れてよかった、って思わなきゃね」

花帆「しかも、今は仲間です! 超頼りになる!」

梢「ええ、参考になるわ。これが優勝校の実力ね。明日までに二校合同で一曲仕上げるなんて無茶が、現実味を帯びてきたわ」

45: 2025/01/07(火) 00:07:49 ID:???00
……

メイ「ふう、今日もよく食べたな~」

すみれ「それじゃあ、ここからは衣装作りの続きね」

花帆「よし、頑張ろー!」

吟子「はい、皆さんよろしくお願いします」

可可「みんなでやればすぐデス。とっとと終わらせマショウ」

吟子「昼からやって慣れているので、複雑なところは私がやります。みなさんは最初の土台にリボンを付けるところと、できたものを衣装に縫い付けるところをお願いします」

冬毬「お任せください。これを手本にしたらいいですね」

46: 2025/01/07(火) 00:08:21 ID:???00
かのん「吟子ちゃんのおかげで、いい衣装になりそう」

恋「そうですね。あのとき声をあげていただいてよかったです」

マルガレーテ「やりたいことのビジョンがあれば、あれだけの力になるのね」

千砂都「みんなの力を合わせて一つのものを作り上げる。青春だねえ」

きな子「スクールアイドルの醍醐味っすね。って何達観したこと言ってるんすか!? 先輩達もその一部っす!」

千砂都「ごめんごめん。じゃあ、私達も手伝いますか!」

きな子「ハイっす!」

47: 2025/01/07(火) 00:08:55 ID:???00
吟子「よし、これで、……できた! 完成です!」

夏美「やりましたの!」

冬毬「これは、きれいです……」

可可「いい衣装になりマシタ。ぎんぎんのおかげデス」

吟子「はい。……みなさん、ありがとうございました」

きな子「吟子ちゃんがやりたいって言ったから、みんなついていったんっす。だから、こちらこそありがとうっす」

さやか「これで、事前準備は完了です。あとは、明日午前中に、パフォーマンスを仕上げたら、いよいよ本番です」

梢「今日の進捗なら、パフォーマンスのほうも何とかなりそうね」

千砂都「うん、本当にみんなすごいよ」

恋「では、明日に備えて今日は早めに休みましょうか」

花帆「……あの、もしよければ、今日もみんなで一緒に寝ませんか?」

すみれ「ま、明日はひとつのチームだもの。……それもありね」

かのん「やった。昨日は私達置いてけぼりだったから、一緒に寝たいと思ってたんだ」

梢「……お言葉に甘えさせてもらうけれど、みんな今日は隣から自分の布団を持ってくること」

花帆「はーい! 取ってきまーす!」

48: 2025/01/07(火) 00:09:59 ID:???00
恋「花帆さん、素晴らしいムードメーカーですね」

梢「ええ、本当に。時々、私にはもったいないくらい眩しく見えるわ」

恋「天性の長所、上手に伸ばしてあげているのでしょうね」

梢「そうしたいとは思っているけれど、初めての後輩だもの。いつも手探りよ」

恋「ふふ、わかります。どうしたらいい先輩でいられるか、迷って答えを探してばかりですね」

梢「そうね。……さて、私も自分の分を持ってこないといけないわね」

恋「はい、お待ちしています」


花帆「よーし、寝る準備はできましたか? それじゃあ、明日は頑張りましょう! おやすみなさーい!」

一同「おやすみなさーい!」

49: 2025/01/07(火) 00:11:27 ID:???00
秋祭り当日 午後

梢「ふう、無事設営も終わったわね。出番まであと三分、準備はいい?」

千砂都「うん、突然の話だったけど、あれだけ頑張ったんだ。結ヶ丘と蓮ノ空の合同ステージ、最高のライブにしよう!」

梢「そうね、今持てる力を全て出し切って、最高のパフォーマンスを届けましょう!」

梢「……ええと、私達は、いつもライブ前にやる掛け声があるのだけれど、Liella!にもあるのよね?」

千砂都「うん、本番前には気合い入れないとね! 今日は合同ライブ、両方やろう!」

梢「わかったわ。では、花帆、お願い」

花帆「はい! いきますよ!」

花帆「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ & Liella! 今この瞬間を大切に! Bloom the smile!」

一同「Bloom the dream!!」

かのん「いくよ! この二十人を歌で結ぼう! Song for me! Song for you!」

一同「Song for all!!」

50: 2025/01/07(火) 00:14:07 ID:???00
……

梢「それでは、千砂都さん、Liella!のみなさん、本当に、楽しい時間だったわ」

千砂都「こちらこそ! 一緒に合宿できて本当によかったよ!」

さやか「次に会うのは、ラブライブ!決勝大会ですね」

マルガレーテ「私達は当然そのつもりだけど、そっちは北陸大会でつまづいたりしないでよね」

冬毬「マルガレーテは、また会うのを楽しみにしているので、北陸大会も頑張って、と言っています」

マルガレーテ「ふん!」

吟子「ありがとう。マルガレーテさんも頑張って」

すみれ「今回は仲間だったけど、次に会うときは敵同士、手加減はしないわよ」

慈「それはこっちのセリフ! 吠え面かかせてやるんだから」

かのん「はいはい、敵じゃないよー」

瑠璃乃「もー、本当は仲良いくせに」

花帆「でも、せっかくこんなに仲良くなれたのに。ラブライブ!にも一緒に出られたらいいのにな……」

恋「花帆さん……」

梢「花帆、気持ちはわかるわ。さっきの合同ライブ、みんなの気持ちが一つになった最高のステージだったもの」

梢「でもね、そういうライブもあれば、お互いに競い合うことで生まれる最高のステージもあるわ」

千砂都「そうだね、譲れないものがあるからこそ力を発揮できる。そんなライブも間違いなくあるよ」

花帆「はい、わかってはいるんです。でも、どんなにいいライブでも、どっちかしか優勝できないなんて……」

きな子「……どっちかじゃないっす。Liella!が連覇させてもらうっす!」

花帆「……そんなの、あたし達だって、優勝するんだから!」

きな子「そうっす。……だから、恨みっこなしっす」

花帆「あ……。うん、ありがとう、きな子ちゃん……」

恋「さて、東京行きはもう出発時刻ですね。名残り惜しいですが、そろそろ参りましょう」

かのん「うん。……それじゃあ、みんな、またね!」

51: 2025/01/07(火) 00:14:52 ID:???00
小鈴「行ってしまいました。みなさんいい人達でしたね」

姫芽「そうだね~。っと、アタシたちもそろそろだよ」

梢「さあ、みんな行きましょう。……帰ったらまた、練習ね」

綴理「目標が見えた。手が届くことも、わかった」

慈「じゃあ、あとはやるしかないってことね」

花帆「はい。……もっとすごくなって決勝まで行くから、Liella!のみんな、待っててね!」

52: 2025/01/07(火) 00:16:15 ID:???00
メイ「ああ、楽しかったなー!」

夏美「みんなと仲良くなれてよかったですの」

すみれ「しかし、もちろん楽勝なんてもことはないと思っていたけど、やっぱり連覇に向けて気を引き締めないと駄目ね」

可可「前情報は間違っていなかったデス」

四季「今日の仲間が、最大の強敵」

千砂都「うん、きっと決勝までにもっともっと成長してくるはず」

マルガレーテ「でも、それは私たちだって同じことよ」

かのん「そうだね。私たちももっと強くなって、そして決勝で全力でぶつかろう。待ってるよ。蓮ノ空のみんな!」

53: 2025/01/07(火) 00:16:57 ID:???00
……

蓮ノ空女学院

梢「みんな、決まったわ。東京はLiella!が決勝進出よ」

花帆「やった! Liella!のみんな、よかった!」

姫芽「あ、マルちゃんから連絡が来ました~。『次はあなた達のステージを見せてもらうわ!』ですって~」

慈「当然! やってやるっての!」

綴理「うん。そして、もう一度あの場所へ」

小鈴「はい、徒町達も負けていられません!」

姫芽「よっしゃ! 行くぞ、北陸大会! 待ってろ、決勝戦!」

さやか「ではみなさん、優勝のために、着実に一歩ずつ、まずは今日の練習を頑張りましょう!」

54: 2025/01/07(火) 00:17:43 ID:???00
結ヶ丘女子高等学校

夏美「北陸大会の結果が出ましたの!」

きな子「あ、花帆ちゃんからも通過報告のメッセージが来たっす」

かのん「やっぱり来たね、蓮ノ空のみんな!」

冬毬「またみなさんに会えるのは楽しみですが……」

千砂都「厳しい戦いになるのは、わかっていたことだよ。そのための準備もしてきた」

恋「ええ、手ごわいライバルですが、相手にとって不足なしです」

マルガレーテ「こうしちゃいられないわ! さあ、早く練習しましょう!」

かのん「うん、最高の舞台で最高のLiella!を見せるために!」

55: 2025/01/07(火) 00:19:41 ID:???00


一月 ラブライブ!決勝大会

梢「帰ってきたわね。二度目の、そして最後の決勝の舞台に」

慈「なに感傷に浸ってんの~? ……ここからでしょ? 目標は。二年前の四月、あんた何て言ったか覚えてる?」

梢「目標は……、ラブライブ!優勝……」

慈「そうだよ。なんだこいつって思ったもんね。……でも、ここまできたんだ、ちゃっちゃと優勝してやろうじゃん」

梢「……そんなに簡単なものじゃないわ。ふふ……、どうやらスクールアイドルの何たるかから教えなければならないようね」

慈「あははっ! もう教えてもらったよ! 沙知先輩に、梢に、みんなに……」

慈「だから、今は全員の目標なんだよ。綴理も、二年生も、一年生も、みんな同じ気持ち。……もう無敵でしょ?」

梢「そうね。頼りにしているわ、慈」

慈「うわっ、何か梢が素直すぎると気持ち悪い!」

梢「慈、あなたね……!」

慈「ほら、行くよ!」

梢「はあ、全く……」

56: 2025/01/07(火) 00:21:42 ID:???00


恋「ついに、最後の大会ですね」

千砂都「うん、泣いても笑っても、今日が最後」

可可「なら、笑って終わりマショウ!」

恋「そうですね。三年間の集大成を見せて、そして再び優勝を……!」

可可「三年間、ふふっ……!」

恋「ど、どうしました? 何かおかしなことを言ったでしょうか?」

可可「いえ、一年生の頃のレンレンを思い出していマシタ」

恋「なっ!?」

千砂都「懐かしいなあ。……この学校にスクールアイドルは必要ありません! だっけ」

恋「や、やめてください! あのころの私は、周りが見えていなかったのです」

恋「結ヶ丘をいい学校にしようと必氏で、でもやり方を間違えていました」

恋「……でも、昔の話をするなら、結ヶ丘を退学しようとしていた方もいましたよね?」

千砂都「う……」

可可「そ、それは……」

恋「……私は、お二人と一緒に居られてよかったですよ」

千砂都「そうだね。三年間一緒に頑張れて、よかった」

可可「……レンレン、スクールアイドル部は結ヶ丘が誇れるものになりマシタか?」

恋「……はい、最高の仲間と一緒にラブライブ!連覇、結ヶ丘にとっても、私にとっても、これ以上ない誇りです」

千砂都「おお、言うねえ」

可可「よーし、行きマスよ! 目にもの見せてやるデス!」

57: 2025/01/07(火) 00:22:39 ID:???00
梢「さて、開会式まではまだ少し時間があるわね」

綴理「体がうずうずしてきた。ちょっと踊ってきてもいい?」

梢「体を温めるにはまだ少し早いわよ。開会式のあとも待ち時間は長いのだから」

梢「……それに、ちゃんと開会式には出るのよ。大会最長身がいないとすぐにわかるわよ」

さやか「まあ、ずっと踊り続けるつもりはないでしょうし、本番前にはまたウォーミングアップしたらいいので……」

小鈴「……あれ? 何でしょう。向こうのほうが騒がしいようですが……」

慈「ん~? あれは、……昨年王者様がおいでなすったようで」

瑠璃乃「うん、Liella!だ! おお~、流石の注目度って感じだね~」

吟子「あれ、何かこっちを見ているような……」

慈「ふん、少しは意識していただいているようで」

梢「望むところよ。……あら? ところで花帆は?」

58: 2025/01/07(火) 00:24:11 ID:???00
千砂都「……よし、行きますか」

メイ「おお、結構注目されてるような」

夏美「当然ですの。今この会場の注目度ナンバーワンは間違いなくLiella!ですから」

恋「それでも、ここにいるグループそれぞれが予選を勝ち抜いてきた強豪です。そして、その中でも最大のライバルは……」

四季「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」

すみれ「ほら見て。あちらもやる気十分って感じね」

マルガレーテ「上等だわ。そういう相手に勝ってこその……」

花帆「きな子ちゃーん! 久しぶり! 東京大会、凄かったよ!」

きな子「わ、花帆ちゃん!? 久しぶりっす。……東京大会、観てくれたんっすね!」

花帆「当たり前だよ! それにしても、東京って凄いね! もう街全部がショッピングモールみたい!」

きな子「きな子も上京したとき、どこまでも札幌駅前みたいな街が続いていると思ったっす!」

59: 2025/01/07(火) 00:25:28 ID:???00
梢「……こっちに来ていたのね、花帆。でも、一応本番前なのよ?」

花帆「あ、梢センパイ、みんな。……え? 何がですか?」

千砂都「あははっ! いや、そうだね! 花帆ちゃんが正解だ。本番前だからってずっと気を張っていても仕方ない。楽しんだもの勝ちだよ!」

梢「まあ、みなさんがそう言ってくれるなら……」

可可「確かに、注目されて肩に力が入りすぎていたかもしれマセン」

かのん「本番前は集中するから誰とも話さないって人もいるみたいだけど、私達はそんな柄じゃないね。うん、どんな風に見られていようとLiella!はLiella!だ」

夏美「まあ、さっきのも、少年漫画みたいで結構悪くなかったですけど」

小鈴「わかります! 離れたところから視線をぶつけ合うライバル達! 熱い展開です!」

慈「え-、それなら、昨年優勝校は予選で謎のダークホースに敗れる展開でしょ?」

マルガレーテ「……」

すみれ「残念だったわね。そんなダークホース全部に勝って、ここまで来たわ」

すみれ「それに、わかってる? もしそうだったら、Liella!以上の強力なライバルの出現ってことよ?」

さやか「それはぞっとしますね。……ともかく、お互い無事決勝まで来られれてよかったです」

冬毬「はい。お互い今日はいいライブにしましょう」

綴理「うん。きっとこれまでで一番のライブになる」

千砂都「それじゃあ、ライブの前に、……そろそろ開会式の準備をしようか」

60: 2025/01/07(火) 00:26:01 ID:???00
司会「優勝旗、返還」

司会「前年度優勝校 結ヶ丘女子高等学校 部長 嵐千砂都さん」

千砂都「はい!」

千砂都(優勝旗、去年の私達の努力の証。少しの間だけお別れだね。でも、すぐにまた迎えにくるよ)

千砂都(手強いライバルもいるけど、今年も負けない)

梢(千砂都さん、流石に堂々としているわ。場慣れした人の振る舞いね)

梢(自信と気力に満ちた、いい表情をしている)

梢(けれど、今年は去年のようには行かないわ)

梢(今回は私達が蓮ノ空にその旗を持ち帰ってみせる)

61: 2025/01/07(火) 00:27:12 ID:???00
……

梢「……いよいよね、みんな」

綴理「今年もみんなでここまで来れた」

慈「ようやく去年のリベンジができるところまでね!」

さやか「はい、ラブライブ!の借りを返せるのはラブライブ!でだけです」

姫芽「アタシたちも、一年生も、やりますよ!」

吟子「私の目標のためにも、先輩たちのためにも!」

小鈴「これまでで最大のチャレンジです! でも、みんなと一緒なら!」

瑠璃乃「うん、行こう! みんなの力を合わせて!」

花帆「最高のライブをして、そして優勝しましょう! 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 今この瞬間を大切に! Bloom the smile!」

蓮ノ空一同「Bloom the dream!!」

62: 2025/01/07(火) 00:28:05 ID:???00
~♪

吟子(これが、ラブライブ!のステージ……。凄い熱気! 凄い輝き! まるで色とりどりに咲く花のよう……)

小鈴(まだ半分も終わっていないのに、いつもよりも何倍も体力を消耗してる。……けど、体はまだ動く! これまでの練習が力になってるんだ!)

さやか(心地いい集中状態です。大舞台に挑戦するときにだけたどり着くこの感覚……)

綴理(……うん、やっぱりみんなこれまでで一番だ。ボクはみんなで作るこの色が見たかったんだ)

慈(見せてやるんだ! みらくらぱーく!が! スリーズブーケが! DOLLCHESTRAが! 蓮ノ空の皆が!)

瑠璃乃(宇宙一の、最強のスクールアイドルだって!)

姫芽(ここまで来たんなら、勝つしかない! うおおおー!)

花帆(センパイ達と、この九人で挑む最後の大会の最後のステージ。でも九人だけじゃない。支えてくれた人たち、伝統を作ってきた先輩たち、競い合うスクールアイドル。みんながいたから今ここで、こんなに凄いことができてる!)

梢(夢を叶えてみせる! もう私一人の夢じゃない。仲間と一緒に最高の結果をこの手に!)

63: 2025/01/07(火) 00:28:38 ID:???00
……

かのん「蓮ノ空のみんな、凄い」

恋「はい、合宿のときと比べても、明らかにレベルが上がっています。それに、技術だけじゃありません、このライブにかける想いが伝わってきます」

すみれ「こんなところでコケるんじゃないわよ! 最高のパフォーマンスを見せてみなさい……!」

千砂都「……そこ、体重移動スムーズに! 頑張れ! ……よし、きれいに決まった。行ける! 行け! みんな!」

64: 2025/01/07(火) 00:29:09 ID:???00
……

~♪

慈(……よし、ラスサビ、振り絞るよ!)

綴理(これが、ボク達が表現できる全てだ)

梢(やり方を間違えてしまったときもあった。でも、その度にみんなが助けられて、ここまで来られた。本当にこのクラブにいられてよかった。蓮ノ空を選んだのは間違いではなかった)

梢(……だから、みんなが最高の仲間だと示してみせるわ。今ここで、全力で!)

65: 2025/01/07(火) 00:29:42 ID:???00
蓮ノ空一同「ありがとうございました!」


梢「ふう……。私たちにできることはやりきったわ。……次はLiella!の番よ」

かのん「うん、任せて。行ってくる!」

吟子「可可先輩、そのリボン、合宿のときの……、Liella!も付けてくれていたんだ」

可可「当然デス! 競い合うことになっても、仲間であることは変わりマセン!」

千砂都「それじゃあ、見てて! 私達のステージを!」

66: 2025/01/07(火) 00:30:34 ID:???00
千砂都「さあ、時間だよ。これから私達が、誰も成し遂げられなかったことをするんだ!」

夏美「また立ちたいと願った舞台で、もう一度一番に!」

冬毬「理由なんてありません。意味だってなくても構いません。ただ、みんなと一緒に、一番高いところに行きたい」

きな子「今なら去年よりもっと凄いことができそうっす!」

四季「間違いない。私たちも、成長している」

メイ「更にパワーアップした、Liella!を見せよう!」

マルガレーテ「私の選んだ道が間違っていないと証明してみせる!」

可可「観ている人全員に、スクールアイドルの素晴らしさを伝えてみせマス!」

すみれ「ええ、私たちが夢中になった銀河のような輝きを、世界中に!」

恋「結ヶ丘の歴史に、ラブライブ!の歴史に、刻みましょう」

かのん「私たちの歌を! Liella! Song for me! Song for you!」

結ヶ丘一同「Song for all!!」

67: 2025/01/07(火) 00:31:31 ID:???00
~♪

冬毬(これが、去年姉者が見た景色……)

きな子(一面の光。……きれい、まるで星の瞬きっす)

恋(今こそ、あの光に負けない、私達だけの輝きを放つときです!)

夏美(全力の全力、さすがにきついですが、でも、合宿のときに比べたら百倍ましですの!)

メイ(いつも以上に、去年以上に体が動く。いける! もっと先まで!)

可可(まだデス! まだ足りない、もっともっといけマス!)

四季(……今このときを心から楽しんでいるのに、頭はどこか冷静。みんなの動きが、わかる)

すみれ(全員がひとつになっているから、最高のパフォーマンスができる!)

68: 2025/01/07(火) 00:31:59 ID:???00
……

梢「これが、全開のLiella!……」

花帆「合宿のときとも違う、譲れないものがあるからこそのきらめき……」

綴理「でも、凄いからこそ危ういバランスだ。一歩間違えば、崩れてしまいそうな」

慈「ミスした相手に勝っても嬉しくないっての! 優勝校の意地、見せてみろ!」

69: 2025/01/07(火) 00:32:55 ID:???00
……

~♪

千砂都(多分、こんなステージは二度と経験できない。だからこそ、今の私たちが最高だっていう証をつかむんだ!)

マルガレーテ(聞きなさい! 私たちの歌を! ……聞いて!)

かのん(歌を諦めかけていた私が、ここまで来れたよ。入学したての私に教えてあげたいな、迷いながら踏み出したその道は間違ってないよ、最高の未来に続いてるんだよって)

かのん(余計なお節介かな? 何があるかわからないから面白いなんて言いそうだし。……だったら、あのころには想像もできなかった未来で待っててあげる!)

70: 2025/01/07(火) 00:34:01 ID:???00
結ヶ丘一同「ありがとうございました!」


千砂都「……ふう、出し切ったー!」

梢「千砂都さん、流石ね。素晴らしかったわ」

千砂都「ありがと! 梢ちゃんたちに負けないように頑張ったよ。……あとは、結果を待つだけだね」

梢「ええ、もうすぐ勝者が決まるわ」

71: 2025/01/07(火) 00:35:19 ID:???00
司会「これより結果発表に移ります。出場者の皆さんは登壇してください」


夏美「……ライブより緊張しますの」

メイ「し、しししっかりしろ。できることはやったんだ」

小鈴「すーはー、ドキドキしますね」

さやか「……小鈴さん、手と足が一緒に出ていますよ」


司会「それでは発表します」


すみれ(結ヶ丘に決まってるったら決まってるわ!)

姫芽(蓮ノ空来い! 蓮蓮蓮蓮……!)

マルガレーテ(ここまできたら、勝ちたい!)

慈(お願い! ……お願いします!)

千砂都(今年も、優勝は……)

梢(今年こそ、優勝は……)

千砂都、梢(私達だ! / 私達よ!)


司会「今年度のラブライブ決勝大会、優勝は……」

171: 2025/01/25(土) 14:05:01 ID:???00
司会「今年度のラブライブ決勝大会、優勝は……」

司会「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの皆さんです!」


千砂都「!!」

梢「!?」

花帆「やった! 梢センパイ!」

吟子「優勝、優勝です!」

梢「私たちが、優勝……!」

172: 2025/01/25(土) 14:05:50 ID:???00
司会「続いて準優勝校を発表します」

司会「準優勝は、結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル部 Liella!」


かのん「準優勝……」

夏美「連覇が……」

メイ「あと一歩、届かなかった……」

きな子「……先輩! 千砂都先輩!」

千砂都「きな子ちゃん、まだステージの上だよ。それに、準優勝は決して悪い結果じゃない」

可可「今はしっかり受け止めマショウ。優勝した蓮ノ空にも、他のスクールアイドルにも失礼デス」

マルガレーテ「く、そんなの……。でも、……はい」

173: 2025/01/25(土) 14:10:43 ID:???00
……

梢「ふう、勝った……、のね。本当に……、優勝できた……」

綴理「うん。ボクたちの夢が叶った。……違うな、叶えたんだ」

慈「梢~、綴理~、うう~、やったよ~!」

瑠璃乃「本当に優勝するつもりだったけど、……本当に優勝しちゃったね」

徒町「はい、夢みたいです。……あ、これは実はホテルで見ている夢のパターンです! 吟子ちゃん、徒町のほっぺたを思いっきりつねって!」

吟子「大丈夫、現実だよ! 私たち、やったんだ。蓮ノ空の歴史に、刻んだんだ……」

姫芽「私がつねってあげるよ~。うりうり~、これまで頑張った甲斐、あったね~」

さやか「遂にみなさんの努力が結実しましたね。ここに至るまで、去年の敗北を何度夢に見たことか」

花帆「え、そうだったの、さやかちゃん?」

花帆「でも、本当に、やりましたよ、梢センパイ! 優勝はあたしたちみんなの夢ですけど、始まりは梢センパイです! 梢センパイが、あたしたちをここに連れてきてくれたんです」

梢「ありがとう、花帆、みんな。まだ、少し実感がないのだけれど、でも、この九人が一番だと証明できたことは、本当にっ……。っ! ごめんなさい……」

花帆「梢センパイ……。今回は嬉しい涙ですね! 本当に、本当に……」

花帆「……あ、でも、あたしたちが優勝ってことは……」

174: 2025/01/25(土) 14:12:40 ID:???00
きな子「千砂都先輩……、きな子は、……きな子が……!」

千砂都「ほら、きな子ちゃん、夏美ちゃん、泣かないで……」

きな子「でも、でも……、きな子が、もっとやれていれば」

夏美「私たちが、センパイたちの夢を、終わらせてしまいましたの……」

かのん「そんなことない! みんな完璧だった! みんながいたから、あんなにすごいパフォーマンスができたんだよ!」

可可「そうデス。胸を張ってクダサイ。今日のステージはこれまでで一番デシタ」

恋「優勝を争っているからには、どうしても勝者と敗者に分かれます」

千砂都「そう。だから、……勝者は讃えないとね」

梢「千砂都さん……」

千砂都「梢ちゃん、蓮ノ空のみんな、優勝おめでとう。悔しいけど、今回は負けたよ」

梢「ええ、ありがとう。あなたたちがいたから、私たちも持てる以上の力を発揮できたわ」

花帆「でも、Liella!のみんなも、みんなも……!」

さやか「花帆さん、勝者からの慰めは、時に憐れみになってしまいます」

花帆「でも、じゃあ……」

かのん「……いいんだよ、花帆ちゃん。ありがとう。優勝できなかったのは残念だけど、勝ったのが、蓮ノ空でよかった」

すみれ「……ほら、優勝者はインタビューに写真撮影、大変よ。今日中に帰る予定なら、あまり時間はないんじゃない?」

慈「そうだね……。じゃあちょっくら、勝者の仕事をしてきますか!」

慈「……またね、すみれちゃん」

すみれ「ふん、……いいからさっさと行ってきなさい、めぐみちゃん」

175: 2025/01/25(土) 14:14:06 ID:???00
すみれ「……全く、優しすぎるのも困りものね……」

マルガレーテ「どうして、どうしてみんなそんなに落ち着いていられるの!? 悔しくないわけ!? 私は、私は……!」

メイ「やめろ、マルガレーテ。三年生は最後の大会なんだぞ……。悔しいに決まってるだろ!」

かのん「メイちゃん、マルガレーテちゃん、ありがとう」

かのん「……そうだね、Liella!が一番だって、証明したかったのに、伝えきれなかった。悔しいよね」

可可「結果は残酷デスが、もう変えることはできマセン。また、前を向かなければなりマセン」

恋「……さあ、私たちも、もう行かなければ」

千砂都「……うん、そうだね。……よし、みんな行こう」

176: 2025/01/25(土) 14:19:19 ID:???00
……

蓮ノ空女学院

花帆「あ、あなたはもしかして、ラブライブ!で優勝した……?」

瑠璃乃「そうです。優勝した蓮ノ空の大沢瑠璃乃です!」

小鈴「おおー!」

瑠璃乃「あれあれ? そういうあなたもー? ラブライブ!で優勝した日野下さんでは?」

花帆「おやおや、わかっちゃいますか? 優勝者のオーラというやつが」

吟子「……この流れ、何度目?」

姫芽「でも、何度やってもいいものだね~」

さやか「さすがにそろそろ……。嬉しいのはわかりますが、これからが大変ですからね。この後のミーティングもきっと……」

花帆「?」

慈「おっつかれー、みんなそろってるね」

綴理「……あれ、優勝したさや、さん?」

梢「綴理、それは後にしなさい。今日は話さないといけないことがあるでしょう?」

綴理「そうだった。じゃあ、こず」

梢「ええ、みんな集まってくれてありがとう。今日は部活の引き継ぎをさせてもらうわ」

花帆「え! 引き継ぎ……?」

梢「ええ、最後の大会も終わり、私たち三年生は一線を退くことになるわ」

瑠璃乃「こずこずセンパイ……」

花帆「そんな、だってまだ卒業まで二ヶ月あるのに、なんで……!?」

慈「もちろんたまには顔を出すし、私は配信もやるよ。それに、蓮華祭には出るつもりだし。でも、それ以外の活動、普段の練習とかは一区切りってこと」

綴理「他の部活に入ってるクラスのみんなは、夏には引退していたよ」

梢「そう、スクールアイドルクラブはラブライブ!が年明けにあるから、ここまで部活をしていたけれど、むしろそれが特別なのよ」

梢「三年生は授業もほとんどなくなって、それぞれ卒業後の準備を始めることになるわ」

177: 2025/01/25(土) 14:22:12 ID:???00
吟子「そっか、卒業はまだだけど、部活からはいなくなっちゃうんだ」

慈「そういうことだよ。みんな寂しくて泣いちゃうかな?」

姫芽「泣いちゃいます~。もう一年残ってください~」

慈「そうしたいのはやまやまだけど、世界がめぐちゃんを放っておかないからね!」

慈「でも、真面目な話、私たちの部活はもう終わるんだけどさ、最後に最高の結果が出せて本当に良かったって思ってるんだよ」

慈「なりゆきで入った高校だったけど、みんなと出会って、スクールアイドルになって、……まあ、色々あったけど、結果的には大満足の三年間だった」

慈「だからさ、どういう道を選ぶにしろ、みんなにも満足いく高校生活を送ってほしいと思ってるんだよ」

瑠璃乃「どういう道を選ぶにしろ……?」

綴理「そうだよ。ボクは、ボクたちはスクールアイドルになって、ボクたち自身の選んだ道で納得いく結果を出せたんだ」

綴理「優勝したってことだけじゃない。そこに至るまでの色の重なりも、決勝の舞台でのきらめきも、全部ボクたちがボクたちだったから作れたものなんだ」

小鈴「ええと、つまり、どういうことでしょうか」

梢「私たちは、ラブライブ!優勝を目指し、それに賛同してくれたみんなと目標を達成した。一緒に頑張ってくれたみんなには本当に感謝しているわ」

梢「けれどね、私たちがいなくなったら、花帆、さやかさん、瑠璃乃さん、あなたたちがクラブの中心よ。これからのクラブが何を目指して活動するか、あなたたちが中心になって考えていかなければいけないわ」

花帆「あたしたちが、目標を……」

梢「もちろん再びラブライブ!を目指してもいい。イベントや配信で多くの人と交流することを優先してもいい。一度、このスクールアイドルクラブで何をしたいのか、考えるといいわ」

花帆「でも、あたしたちは、……あたしたちもラブライブ!を……」

梢「最終的にそういう結論になるならそれもいいわ。でも、一度立ち止まって考えてごらんなさい」

花帆「わかり、ました。……じゃあ、決まったら先輩たちに一番に伝えに行きます!」

梢「ええ、楽しみにしているわ」

178: 2025/01/25(土) 14:25:44 ID:???00
結ヶ丘女子高等学校

千砂都「今日はみんなありがとう。私たちは今日で部を引退することになるよ。これからのことは一、二年生のみんなに任せるからね」

四季「私たちに……」

メイ「……でも、そうだな。来年は私たちが今年の借りを返すんだ」

千砂都「うん、頼もしいな。……任せたよ、みんな」

すみれ「そうね。……さてと、……千砂都、もうあんたは部長じゃないし、上級生の責任からも解放されたわ。そろそろ本音で話しなさい」

千砂都「すみれちゃん? え? 本音って、頼もしいと思ってるのは本当だよ……?」

すみれ「そうじゃないわ。決勝で負けてから、あんたの口から出るのは取り繕った言葉だけ」

千砂都「でも……」

すみれ「じゃあ何? 準優勝で満足ってわけ? 悔しくないってこと? 本当に後輩のためを思うなら最後くらい本音を見せてみなさいよ!」

千砂都「……!」

千砂都「……ふう、……そうだよ、……悔しくないわけ、ないよ! 三年間頑張ってきて、この十一人がそろって、誰にも負けないと思った! それでも、それでも、……届かなかった。……届かなかったんだよ!」

きな子「千砂都先輩……」

千砂都「誰のせいでもない。だって、みんな最高だった。じゃあさ、この結果は部長の責任ってことになるんだよ! だから……」

すみれ「馬鹿ね。責任感が強くて全部背負い込もうとすることろ、一年生のときから変わってないわ。誰が千砂都を責められるのよ」

179: 2025/01/25(土) 14:28:17 ID:???00
千砂都「でも、私が練習メニュー考えて、私が振りを決めて、私が……」

恋「そう、だからLiella!がここまで来られたのは、千砂都さんのおかげです」

恋「負けたからといって全部が無駄だったわけではありません。三年間頑張ってきた経験は、一緒に頑張った仲間がいることは、一生忘れられない大事な宝物です」

可可「千砂都は、この三年間、誰より努力して、高いレベルに挑み続けマシタ。覚えていマスカ? ククなんて、軽いランニングでへばっていたのに、千砂都に鍛えられて、今ではこんなに強くなりマシタ!」

千砂都「恋ちゃん、可可ちゃん……」

恋「だから、その頑張りに結果でお返ししたかった。その悔しさは、一生胸に抱き続ける、私たち全員の悔しさです」

かのん「そうだよ。これまでみたいにさ、みんなで分かち合って、一緒に乗り越えるんだよ」

かのん「…… だって、私だって悔しい! もう負けないって決めたのに! 連覇に手が届くところまでいったのに!」

かのん「私たちは、もうリベンジもできない!」

かのん「あー! 悔しいよーー!!」

千砂都「……うん」

可可「あんなにいいステージで優勝できないなんて、みんな、みんな見る目がありマセン!」

恋「優勝は一校だけ、わかっています。それでも、譲りたくなかった……!」

すみれ「初の連覇は私たちが成し遂げるんだって、約束、したのに!」

千砂都「うん。……悔しい! 私はみんなと優勝したかったんだー!!」

180: 2025/01/25(土) 14:31:45 ID:???00
蓮ノ空女学院


花帆「あたしたちで考えてみるって、どうしたらいいんだろう」

瑠璃乃「これから一年、クラブが何を目標にするか、か~」

さやか「そして、その目標に向けてどのように活動していくか、ですね」

瑠璃乃「でもさ、目標はラブライブ!連覇でいいんじゃないのかな」

さやか「はい、わたしはやるからには連覇を目指そうということで異論ありませんが……」

花帆「……あたしもそう思ってたんだけどさ、ラブライブ!を目指したきっかけは梢センパイがいたからだし、あたしは元々ただライブが好きで、毎日ライブしたいって思ってて……」

さやか「きっと、ラブライブ!を目指すとしても、一度そういう想いとも向き合ってみるべきということなんでしょうね」

花帆「……これって、あたしたちだけで決めちゃっていいの? 一年生の意見も聞いた方がいいんじゃない?」

瑠璃乃「うーん、これからの一年を一緒に活動するわけだからね。二年生にわけわかんない目標設定されたら困るよね」

さやか「わけのわからない目標は設定しませんが、意見は聞いておいた方がいいと思います。特に方針を変更する可能性があるときは」

花帆「よし! じゃあみんなに相談してみよう!」

181: 2025/01/25(土) 14:33:06 ID:???00
花帆「ということで、ラブライブ!連覇を目指すのが第一候補だけど、どうかな?」

小鈴「何であれ徒町は先輩方についていきます! でも、連覇を目指すのはチャレンジしがいがありそうです!」

姫芽「アタシも、連覇目指して頑張りたいです~。前人未踏、燃えますね~」

吟子「私も、同じかな」

花帆「あれ? あっさり決まっちゃったけど、これでいいのかな?」

瑠璃乃「でも、花帆ちゃんは、ラブライブ!を目指すことでいいの?」

花帆「うん、個人的な目標としては、たくさんライブするのもあるんだけど。でも、みんなで目指すのはラブライブ!だって思ったよ。みんなが一番花咲けるのはあそこだと思うから。先輩たちに連れて行ってもらったあの場所に、今度は自分たちの力で行こう!」

花帆「そして、もし新入生が入ったら、その子をあたしが連れて行ってあげたいなって」

吟子「でも、目指すのは簡単だけど、三年生が抜けた私たちに、本当に優勝できるのかな……」

瑠璃乃「う……、それは……」

さやか「確かに、来年はわたしたちもLiella!のように、マークされる立場になります。その中で、三年生の抜けた穴を埋めて、ライバルたちに勝たなければなりません」

花帆「う~ん、そんなの無理、とは言いたくないけど、……やっぱり無理かも~」

瑠璃乃「ええと、なんかちょっと前にこんな話をしたような……?」

182: 2025/01/25(土) 14:36:00 ID:???00
結ヶ丘女子高等学校


きな子「……あんな先輩たち、初めて見たっす」

メイ「そうだな。私たちにとってはいつも前を進む強い先輩たちだったからな」

マルガレーテ「本気でやって負けたんだもの。あれくらいは内に秘めていて当然よ」

四季「そうかも。だとすると私たちは先輩ほど本気でやれていない?」

冬毬「本気ではないとは思いませんが、やはり後がないということが大きいのでしょうか」

夏美「でも、来年は私たちが最後の大会ですの」

メイ「先輩たちの借りを返すって言っちまったしな。来年は王座奪還を目指すことになるか……」

きな子「でも、先輩達ですら今年は届かなかった優勝っす。きな子たちにできるんっすかね……」

マルガレーテ「やるしかないわね。これからまた連覇を目指して戦っていくのよ」

夏美「そうか、来年優勝したらマルガレーテと冬毬は連覇を狙えますの」

マルガレーテ「正確には、ステージに立つのは冬毬だけだけどね」

メイ「……どういうことだ?」

四季「マルガレーテちゃんは、去年もラブライブ!に出場しているから?」

マルガレーテ「そう、……規則上出場できるのは一人三回まで。来年は私にとっても最後の大会よ」

冬毬「そう、だったのですか。私は三年間マルガレーテと一緒に出場できると思っていました……」

マルガレーテ「まあ、ステージに立たなくてもできることはいろいろあると思うわ。それに、再来年の話はまだ気が早いわね」

冬毬「……アグリー、です。……今は目の前の課題に取り組むべきですね」

きな子「目の前の課題……。先輩たちがいない今、きな子たちに優勝を狙えるのか……」

四季「難題……」

夏美「んん? 最近どこかでそんな話をしたような……?」

183: 2025/01/25(土) 14:39:08 ID:???00
花帆「きな子ちゃん、みんな、久しぶり!」

きな子「久しぶりっす! みんな元気っすか?」

瑠璃乃「うん! 元気元気! 一度に全員は画面に入らないんだけど、…… ほら、このとおり! ……結ヶ丘のみんなは、その、……どうかな?」

夏美「気を遣わなくていいですの。勝ち負けは誰のせいでもないですの」

吟子「それで、今回連絡をいただいたのは……」

四季「みんなに、相談したい」

メイ「そうなんだよ。……ちょっと聞きにくいんだけどさ、先輩たちがいなくなって、どうやって活動していくのか。先輩たちが安心して卒業するためにはどうしたらいいのか、って」

さやか「あ、それは……」

きな子「どうかしたっすか?」

さやか「いえ、みなさんも同じことで悩んでいるのだなと思いまして……」

冬毬「……ということは、蓮ノ空のみなさんも上級生が抜けた後のことについて課題がある、と?」

姫芽「そうなんだよね~。連覇を目指そうってところまでは決まったんだけど~」

マルガレーテ「優勝したからには次は連覇を目指す。自然な流れね」

花帆「でも、……これまで先輩たちに頼りっきりだった、そんなあたしたちがどうやったら連覇を目指せるんだろう、って」

184: 2025/01/25(土) 14:41:57 ID:???00
夏美「なるほど……。引退するにあたって、蓮ノ空の三年生はどういう雰囲気でしたの?」

小鈴「先輩たちは、優勝できてよかったって話していました。でも、これからの活動については一度考えるといいと……」

四季「それで、考えたけど、悩んでいる……?」

吟子「はい。……ええと、結ヶ丘の三年生はどうでしたか?」

メイ「Liella!は優勝はできなかったからな……。でも、勝ち負け以上に得たものもあったとも言ってた……」

マルガレーテ「それでも、最後の大会で連覇を目指して、そして叶わずに終わったんだもの、やっぱり悔しそうだったわ」

メイ「それで、先輩たちには私たちが連覇すると言ったものの、私たちに三年生がいても叶わなかった優勝を目指せるのかって」

さやか「なるほど。整理すると、Liella!は優勝できなかった事実をどう受け止めて、優勝を目指して再始動するかが課題ということでしょうか」

冬毬「そして蓮ノ空は、三年生が抜けた状態で、更に追われる立場となった今、どのように連覇を目指すのかが課題と理解しました」

瑠璃乃「なるほどねー」

夏美「……それで、どうするんですの?」

四季「結局、先輩の存在が大きすぎたことが、ポイント」

きな子「先輩がいなくなってどうなる。先輩でもできなかったことができるのか。ってことっすからね」

花帆「……参考になるかわからないけど、Liella!の悩みに、あたしたちはヒントが出せるかも」

185: 2025/01/25(土) 15:23:59 ID:???00
四季「花帆ちゃん。……本当?」

花帆「うん。……去年はLiella!が優勝して、あたしたちは優勝できなかった。その経験があるから……」

さやか「確かに、そこからわたしたちは今年の優勝までたどり着きました」

メイ「そっか、そうだよな。去年とは立場が逆転してるのか」

小鈴「徒町達はまだいませんでしたが、どうやって乗り越えたんですか?」

瑠璃乃「うん、負けたのはやっぱり悔しかったんだ。それをどう表すかは、みんな違ったんだけど……」

さやか「あの時点でやれるだけのことをやって、それでも勝てませんでしたから……」

花帆「ラブライブ!の悔しさはラブライブ!で晴らすしかないって」

マルガレーテ「ラブライブ!の悔しさはラブライブ!で晴らす……。そのとおりね。」

花帆「それに、ラブライブ!優勝は梢センパイの夢だったから、来年は絶対に優勝しようと決めたんだ」

186: 2025/01/25(土) 15:24:58 ID:???00
吟子「私は去年のことはわからないけど、多分結ヶ丘にはまだない考え方なら伝えられるかも」

マルガレーテ「私たちにはない、考え方?」

吟子「うん、蓮ノ空のスクールアイドルクラブは何十年も前からあって、たくさんの先輩達が繋いできてくれた場所なんだ。だから、私たちのステージは今現役のメンバーだけで作ってるものじゃない」

花帆「そうだね。あたしたちがここにいるのは先輩たちがいたおかげ。……だから、あたしたちが優勝することは先輩たちが優勝することと変わらないって思ってる」

メイ「自分たちの優勝が、先輩達の優勝……」

四季「それ、いいかも」

きな子「そうっすね。もし来年きな子たちが優勝できたら、それは間違いなく先輩たちがいたからっす!」

夏美「先輩たちが作ったスクールアイドル部が、すごいところなんだって、先輩たちにも改めて伝えられますの!」

瑠璃乃「うんうん、そうなったら先輩たちもさ、絶対嬉しいじゃん!?」

マルガレーテ「結局やることは変わらないけど、でも……」

冬毬「はい、自分たちのためだけでなく、先輩たちのためでもある。モチベーションに大いに影響があります」

さやか「いい方向に考えられそうですね」

メイ「ああ、助かったよ。ありがとう!」

瑠璃乃「ユアウェルカム! お役に立てたなら何よりだよ!」

187: 2025/01/25(土) 15:27:44 ID:???00
きな子「それじゃあ次は、きなこたちが力になる番っすね」

姫芽「お、きな子先輩、なにかいい考えがあるんですか~?」

夏美「私たちは去年優勝して、今年連覇に挑みましたの」

吟子「こっちはこれからの私たちと同じ状況だ」

四季「結果は残念だったけど、そこに至るまでの経験は共有できるはず」

メイ「今年のLiella!には、進級しても先輩たちがいたから、全く同じじゃないけどな」

きな子「……それでも、連覇を目指すには、二年生、……特にきな子は力不足だったっす」

夏美「それは私もですの。……去年はわけがわからないまま、先輩に連れられてラブライブ!に出ましたが、改めて優勝を目指したとき、実力も、覚悟も不足していたと気づきましたの」

小鈴「……では、どうしたらいいのでしょう?」

マルガレーテ「それは、やるしかないんじゃない?」

小鈴「マルガレーテちゃん……。やるしかない。足手まといにならないように……」

きな子「そうっす。自分が、……自分たちの代が足を引っ張ったって言われるのは、やっぱり嫌っす」

188: 2025/01/25(土) 15:37:45 ID:???00
さやか「先ほどの、先輩方が繋いできたという話にも通じるところがありますね」

吟子「でも、動機としては少し後ろ向きなような……」

きな子「……なら、こういう考え方はどうっすか? すごかった先輩たちに追いつきたい、繋いできたものの一部として胸を張れるようになりたいって」

姫芽「ポジティブになってきました~。先輩たちは憧れではなく、越えるべき目標! 燃えますね~!」

花帆「そっか。あたしたちも、伝統の一部に……。そしてそれにふさわしいスクールアイドルになりたい……」

花帆「……みんな! なんかあたし、本当の意味で、伝統の意味がわかったかも! 形はそれぞれでも、みんな一生懸命に三年間を生きたんだ……! だってそうじゃなきゃ今まで伝わってない! だから、一生懸命だから、それが積み重なって、伝統になるんだ!」

瑠璃乃「うん! そうだね! 向かう先にもう迷いはないって感じ!」

さやか「はい。わたしたちの時間を、精一杯生きましょう!」

小鈴「何だか、結局お互い同じようなところに着地したような気がします」

四季「問題の本質は同じだったということ」

冬毬「偉大な、大好きな先輩がいたこと、そしていなくなってしまったこと」

吟子「それにどう向かい合うかが大事なんだ」

189: 2025/01/25(土) 17:03:26 ID:???00
蓮ノ空女学院

花帆「梢センパイ!」

梢「あら、そんなに慌ててどうしたの、花帆?」

花帆「あたしたち、考えました。これからのクラブのこと!」

梢「……それで、答えは出たのかしら?」

花帆「はい! あたしたちはラブライブ!連覇を目指します! これまでクラブを繋いできた先輩たちに胸を張れるように!」

梢「なるほど、……それがあなた達の答えなのね」

花帆「もちろんライブもいっぱいします。配信でみんなといっぱいお喋りします。その上で、目指すのはラブライブ!。これが梢センパイたちから受け取って、次の世代に受け継いでいく、私たちの代のが紡ぐ伝統です!」

190: 2025/01/25(土) 17:04:51 ID:???00
結ヶ丘女子高等学校


千砂都「あ、きな子ちゃん。この間はごめんね。みっともないところを見せちゃって」

きな子「千砂都先輩……、そんなことないっす。千砂都先輩も完璧超人じゃないんだってわかって良かったっす」

千砂都「え、……そんなふうに思ってた?」

きな子「いや、普段の生活ではそんなことないってわかってるっす。でも、部長とかスクールアイドルとしては超人だと思ってたっす」

千砂都「ふふ、私だってただの高校生だよ。……幻滅した?」

きな子「そんなわけないっす! 今のきな子たちがあるのは先輩たちのおかげっす。だから、きな子たちとマルガレーテちゃんたちが連覇するところを見ていてほしいっす」

千砂都「そっか。……みんなで連覇、目指すんだね」

きな子「そうっす。 先輩たちが作った部活で、先輩たちに一から教えてもらったきな子たちが、優勝してみせるっす!」

千砂都「みんながすごいのは、みんなが頑張ったからだよ。……でも、きな子ちゃん、ありがとう、みんなの活躍楽しみにしてるね」

きな子「任せるっす。きっとこれから先、十年後二十年後にも一期生だと自慢できるスクールアイドル部になるっす!」

191: 2025/01/25(土) 17:15:23 ID:???00
……


花帆「ありがとう、きな子ちゃん。梢センパイにちゃんと伝えられたよ」

きな子「こちらこそっす。きな子たちも想いを伝えてきたっす」

小鈴「徒町たちも、それぞれ先輩に宣言してきました!」

四季「私たちも、改めて新体制の目標を発表できた」

さやか「それではここからは、……また勝負ですね」

冬毬「先輩たちのためにも連覇すると決めましたから。来年はLiella!が優勝させていただきます」

姫芽「それはこっちもだしね~。今度はアタシたちが王座で待ってるから。蓮ノ空の連覇を止められるかな~?」

マルガレーテ「ぐ、決まってるでしょ。次は勝つわ!」

メイ「結ヶ丘と蓮ノ空以外にも強敵はたくさんいるぞ。来年はその全員に勝たないといけない」

瑠璃乃「でも、決めたからね! もっともっとすごくなってやるんだって!」

夏美「……ふっふっふ、更にレベルアップが必要? そういうことならやることは一つですの!」

吟子「やること? ……って、どこかで見たような流れかも」

夏美「ズバリ、合同冬合宿ですの~!」

一同「ええ~!?」


TO BE CONTINUED...

192: 2025/01/25(土) 17:22:43 ID:???00
以上です、投票の協力や感想などありがとうございました
投票から大分時間がたってしまい申し訳ありません
蓮ノ空の決着前には何とかと思っていたので、ぎりぎりでした
(どう考えても無理だったけど、本当は公式でLiella!が優勝するまでに書きたかった……)

正直スーパースターも蓮ノ空も公式がすごく良くて、これでいいじゃん感があったのですが
一応最後まで書けて良かったです

引用: 【SS】結ヶ丘 VS 蓮ノ空