73: 2010/12/13(月) 04:28:35.33 ID:ebXq95k0
夕日の差し込むパン屋には数人の買い物客がいた。 棚には空になった商品プレートが目立ち、メイド服
に似た制服を着た少女が空になったプレートを回収している。 レジに陣取った主人は、店にいる常連と
談笑し、時おり店内に豪快な笑い声を響かせている。来客を告げるドアベルが鳴ったのは、そんな時だった。
「ただいまぁ」
「お帰りなさい、青ピさん」
現われたのは、青い髪にピアスをつけた大男であった。 従業員の少女が声をかけると、にへらとだらし
のない笑みを浮かべた。
「すまへんなぁ。 仕事手伝うはずだったんやけど遅れてしもうたわ」
「いえいえ。 後片付けが残ってますから、そっちを頑張ってくださいね」
青髪ピアスは頭を下げると、今度は力強く胸を叩いた。 「任せてや。 ボクがキレーに片付けるやさかい」
そのまま彼は奥に引っ込み、2階の彼にあてがわれた部屋へと向かう。 少女と話せたのがよほど嬉しいのか、
へらへらと表情をゆるめたまま鼻歌を歌いだす始末だ。
しかし部屋のドアを開けた瞬間、彼の表情は一変した。
74: 2010/12/13(月) 04:29:29.28 ID:ebXq95k0
ゆるんだ口元は一文字に引き締められ、糸のように細められた目は鋭い眼光を放っていた。
部屋に入り、ゆっくりとドアを閉める。 じろりと虚空を見つめると、彼は口を開いた。
「いつまで盗み聞きするつもりや? アンタのことはとっくにバレとるんやけどなぁ」
ややあって、青髪ピアスはため息をついた。 「やれやれ、逃げ足だけは速いんやなぁ」
その瞬間、彼の携帯が鳴った。メールを受信したのだ。 彼は携帯を手に取ると窓から外を確認する。
彼の住むパン屋は繁華街の一角にあり、大通りに面していた。 その大通りを一台のキャンピングカー
が通りかかった。
それはパン屋の前を通り過ぎると、短くクラクションを鳴らした。
青髪ピアスの目が見開かれる。
「これから店の手伝いしなきゃあかんのになぁ」
ポツリとつぶやく。 しかしその口元は愉悦に歪んでいた。 「こんな能力、使わへんですむ日は遠いわなぁ」
「ホンマ、第六位っちゅーても面倒なだけやでぇ」
そして、彼はメールを確認した。
75: 2010/12/13(月) 04:30:57.42 ID:ebXq95k0
Sub:当選おめでとうございます!
------------------------------------------------
本文:厳密な抽選の結果、あなた様は学園都市が
極秘裏に開発した『能力進化促進ドリンク』
のモニターに選ばれました。
付きましては以下のWebページで手続きを
お願いします。
⇒http://●●●●●
青ピ「…………」
青ピ「……くっくっく」
青ピ「ハーッハッハッハッハァ!!」
青ピ「いややわぁ。 ボクが学園都市第六位で特殊部隊所属ぅって妄想してたらメール来るんやもん!」
青ピ「もうタイミングよすぎやぁ!! 我ながら雰囲気ですぎ! 本気で能力に目覚めたかと思ったでぇ!!」
青ピ「そんで届いたメールがこんな迷惑メールって! ボクのドキドキ返してぇな!!」
青ピ「ハッハッハッハァ」
青ピ「……はぁ」
青ピ「さて、お手伝いせなぁねっと」
76: 2010/12/13(月) 04:33:53.30 ID:ebXq95k0
以上です
青ピの妄想にビビッときた方もいるんじゃないでしょうか。かく言う私もしょっちゅう……
ありがとうございました
青ピの妄想にビビッときた方もいるんじゃないでしょうか。かく言う私もしょっちゅう……
ありがとうございました
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります