1: 2013/07/29(月) 01:21:03 ID:S1oM0lkk
♯オープニング

サシャ「あっさごはん♪あっさごはん♪」

コニー「あーくそ、サシャに先越された!」

ジャン「はあーあ……まだ眠いぜ。おい、マルコ、今日は何か予定あるのか?」

マルコ「図書室に行こうと思うよ」

アルミン「……おはよう」

エレン「おはようミカサ」

ミカサ「おはよう、エレン。……アルミンはまだ眠いの?」

アニ(……今日は自主トレでもするかな)

ライナー「ベルトルト、こっちが空いてるぞ」

ベルトルト「うん、ありがとう」

ユミル「全員揃ったぜ。今日の号令はお前だろ」

クリスタ「うん、じゃあみんな」

「いただきまーす!」
進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)
2: 2013/07/29(月) 01:21:52 ID:S1oM0lkk
♯1 ミカサとアルミン


アルミン「ご馳走でした」

アルミン「……ふう」

ミカサ「アルミン」

アルミン「ん、どうしたの?ミカサ」

ミカサ「それはこっちの言葉。さっきから様子がおかしい」

アルミン「そんなこと……」

ミカサ「ある」キッパリ

ミカサ「……何年一緒にいると思っているの?」フウ

アルミン「!!」

ミカサ「アルミンは頭がいい、凄く良い」

ミカサ「でも人に頼るのも大切」

アルミン「……ありがとう、ミカサ。実はね」

3: 2013/07/29(月) 01:24:21 ID:S1oM0lkk
ミカサ「しおりを無くした?」

アルミン「うん……」

ミカサ「それなら新しいのを……!」ハッ

ミカサ「もしかして、アルミンのお爺ちゃんがくれたしおり?」

アルミン「あ、覚えてたんだ」

ミカサ「……ごめんなさい、新しいのをなんて言ってしまった」シュン

アルミン「あわわ、気にしないでよ!覚えていてくれただけ凄く嬉しかったよ!」

ミカサ「……ういやつ」ナデナデ

ミカサ「無くしたことはいつどこで気づいたの?その前はどこにいたの?ポケットの中も見た?」ナデナデ

アルミン「ミカサ、なでるのを!なでるのを一旦とめて!」グラグラ

4: 2013/07/29(月) 01:26:10 ID:S1oM0lkk
アルミン「頭ぐらぐらする」

ミカサ「私も探してみよう。見つけたらすぐに知らせる」

アルミン「え、そんな、悪……!」ピト

ミカサ「だめ」

アルミン(唇に人差し指を当てられてしまった)

ミカサ「アルミンがしょんぼりしている。それだけで私達は動く理由がある」

ミカサ「……それとも、アルミンは私が落ち込んでいても何もしてくれない?」

アルミン「まさか!ミカサを落ち込ませたままにしておくなんて……」ハッ

アルミン「……うん、分かった。じゃあ、物のついでで構わないから探してよ」

ミカサ「任せて」



アルミン「……ん?私達が動く理由?」

アルミン「達って……あー成る程」

5: 2013/07/29(月) 01:28:06 ID:S1oM0lkk
♯2 ミカサとエレン


ミカサ「と、いうわけなの」

エレン「それでか。昨日の夜から少し変だとは思ったんだ」

ミカサ「……何故、その時に話を聞かなかったの?」ギロリ

エレン「向こうから話しかけてくるのを待つってのも友情だと思うぜ?」

ミカサ「エレンは少し冷たい」

エレン「お前はちょっと過保護だよ」

ミカサ「アルミンの事だからこっちから聞いてあげないと全部一人で解決しようと思ってしまう。少し過保護くらいがちょうど良い」

エレン「あいつだって男なんだぞ」

ミカサ「でも、エレンだってアルミンが心配でしょ?」

6: 2013/07/29(月) 01:30:03 ID:S1oM0lkk
エレン「……その質問は卑怯だろうが」

ミカサ「私は女の子なので」

エレン「ん?」

ミカサ「少しくらい卑怯でも許される」

ミカサ「と、思う」

エレン「…………」

エレン「女の子?」ダレガ?

ミカサ「ふんっ」ドゴオッ

エレン「ぐはあっ」

7: 2013/07/29(月) 01:31:03 ID:S1oM0lkk
ミカサ「エレン。これは教育。これは愛の鞭」プンプン

エレン「おま、みぞおち……おま……」フルフル

ミカサ「私の心の方が傷付いた」

ミカサ「ので、エレンの力は借りない。アルミンのしおりは私一人で探す」ダッ

エレン「あ、おい!くっそ、すげー足はえー!」

エレン「……冗談通じない奴だな」ハア

エレン「ミカサが女の子だなんて、わかってるっての」

エレン「……馬小屋の掃除当番が済んだら俺も探すか」

8: 2013/07/29(月) 01:32:53 ID:S1oM0lkk
♯3 ベルトルトとコニー


ベルトルト(今日は……本でも読もうかな)テクテク

ベルトルト(この前見つけた本、内容は面白そうだったんだけど文法が古くて挫折したんだったな)テクテク

ベルトルト(アルミン辺り、良い辞書を持っていないだろうか。……おっと、ここを曲がって、と)テクテク…

コニー「あぐっ!」ドンッ

ベルトルト「わっ!?」ドンッ

コニー「いでで……鼻潰れるかと思ったぜ。おい、お前ちゃんと前見ろよベルトルト!」

ベルトルト「ご、ごめん。見えなくて」

9: 2013/07/29(月) 01:34:11 ID:S1oM0lkk
コニー「気をつけろよな!……?…………!」

コニー「まてよ、見えなかったって、俺が小さいと言いたいのか !!?」

ベルトルト「そんなつもりはなかったけど」

ベルトルト(そうかもしれない)

コニー「そうだって顔についてあるんだよ!!!」

ベルトルト「顔に書いてある?」

コニー「そうそれ」

コニー「くそー!背高のっぽ!」

ベルトルト「それ悪口?」

コニー「今に見てろよ!」ダッ

ベルトルト「ああ、走ると危ない……まあいいか」

10: 2013/07/29(月) 01:35:35 ID:S1oM0lkk
♯4 コニーとユミル


ユミル「どーろりとしたーハブ酒ー♪」テクテク

タタタタタ

ユミル「どーろりとした……ぎゃぷ!?」ドゴン

コニー「いてえ!!」ドゴン

カン、パキン

ユミル「ぐおお……」フルフル

コニー「いでで……って、何だブスか」

ユミル「何だじゃねえだろ、ハゲ……」

11: 2013/07/29(月) 01:37:55 ID:S1oM0lkk
コニー「ていうか何か変な歌が」

ユミル「気のせいだ」

コニー「妙に可愛い声で」

ユミル「気のせいだっつってんだろ。……あれ?」

ユミル「髪が下りてる……髪留め落としたか?」キョロキョロ

コニー「……あ」ギクリ

髪留め「クパア」

ユミル「あちゃー割れてやがる」

コニー「すまんユミル、俺踏んだかも」

ユミル「あ?いーよいーよ。安物だ」

12: 2013/07/29(月) 01:39:43 ID:S1oM0lkk
ユミル「くはは、つーかお前が私に申し訳なさそうな顔するとか!珍しいもん見たぜ」

コニー「あ?女のアクササリー壊しちまったんだから当たり前だろ」

ユミル「え」

コニー「……ん?何か間違ったか……アクセサリーだっけ?」

ユミル「いや、違う。いやアクセサリーで合ってるんだが、そうじゃなくて」

コニー「分けわかんねー事言いやがる。俺もう行くからな」

ユミル「おう」



ユミル「……女、ねえ」ポリポリ

13: 2013/07/29(月) 01:41:45 ID:S1oM0lkk
♯5 エレンとクリスタ


エレン「クリスタ、このブラシはどこにしまえばいいんだ?」

クリスタ「それは普段使うから手前の棚ね」

エレン「さんきゅ」

エレン「あ、この馬。この前の演習で乗った奴だ」ナデナデ

クリスタ「あはは、確か……落馬しかけてたよね?」

エレン「ああ。ジャンの野郎が『氏に急ぎ野郎』はこれだからってうるせーのなんのって」ハア

クリスタ「ふふ」

クリスタ「……氏に急ぎ、かあ」

14: 2013/07/29(月) 01:43:33 ID:S1oM0lkk
エレン「ん?」

クリスタ「いや……なんとなく、私とエレンって似てるのかもなって思って」

エレン「? どこがだよ」

クリスタ「私も氏に急ぎ野郎なのかなーって思うから」

クリスタ「……やだ、何言ってるんだろうね。ごめんね」アセアセ

クリスタ「ほら、後はここ片づけちゃおっか」アセアセ

エレン「……氏に急ぎ」



エレン「俺は、クリスタと俺が似ているとは思わねえ」

15: 2013/07/29(月) 01:44:42 ID:S1oM0lkk
クリスタ「え?」

エレン「少なくとも俺は自分が氏に急いでいるとは思わねえし、氏ぬつもりもない」

エレン「巨人を残らず駆逐して、壁の外を自由に見て回る日まで絶対に氏なねえ」グッ

クリスタ「……あ」

クリスタ「そっか……根本的に違うんだなあ」

エレン「クリスタ?」

クリスタ「ううん、そうだね……エレンと私は似てなかった!」アハハ



クリスタ(私はただの、氏にたがりだもんね)

16: 2013/07/29(月) 01:46:19 ID:S1oM0lkk
♯6 サシャとクリスタ


サシャ「さっちゃんはねー♪サシャって言うんだほんとはねー♪」ガサガサ

クリスタ「サシャ」

サシャ「クリスタ!待ってましたよー。まあ、ユミルはまだ来てないんですけど」

クリスタ「そっか……」

サシャ「クリスタ?」

サシャ「あ、クリスタ。この実甘くて美味しいですけど、食べます?今採ったんですけど」サッ

クリスタ「ん……今はいいかな」

サシャ「ふふ、これからケーキ!食べに行くんですもんねぇ」

17: 2013/07/29(月) 01:47:24 ID:S1oM0lkk
サシャ「ミーナオススメのお店なんですよ。楽しみですねー!」

クリスタ「そうだね」

サシャ「ふふ、クリスタはイチゴ好きでしたよね?ばっちりあるらしいですよ!」ピース

クリスタ「楽しみだなあ」

サシャ「ユミルは大人だから、少しビターなのが似合いそうです」

クリスタ「うん」

サシャ「美味しいケーキ食べたらきっと元気になっちゃいますよ!だから……」

クリスタ「うん」

サシャ「クリスタ、そんなに悲しい顔で笑わないでください」シュン

18: 2013/07/29(月) 01:48:13 ID:S1oM0lkk
サシャ「エレンと掃除当番でしたよね。何かありましたか?」

クリスタ「違うの。エレンは関係ないよ」

クリスタ「ただ私が悪いだけなの……」

サシャ「クリスタ……」

クリスタ「ごめん、今日はケーキ屋さん行けないや。……本当にごめんね、折角誘ってくれたのに」

サシャ「それはいいんですけど、クリスタ大丈夫ですか?」

クリスタ「ユミルには適当に誤魔化しておいてよ。ごめんね」

サシャ「あ……クリスタ!」

サシャ「大丈夫って顔してないやんか……」

19: 2013/07/29(月) 01:49:33 ID:S1oM0lkk
♯7 サシャとユミル


ユミル「あれ、クリスタは?」

サシャ「ユミル……クリスタは、用事があるそうで」

ユミル「来れなくなった?」

サシャ「はい……」

ユミル「……何かあったか」

サシャ「私にもよく分からなかったです」

ユミル「ふぅん……」

ユミル「お前が何かしたんじゃねーだろうなー!」ガバッグリグリ

サシャ「ひゃー!やめてください!折角採った実が落ちる!赤い実はじけちゃう!」

ユミル「おらおらおらー!」

20: 2013/07/29(月) 01:50:39 ID:S1oM0lkk
サシャ「んもー乱暴さんなんですから」

ユミル「うるせーな」

サシャ(私が落ち込んでいるからからかってくれたのはなんとなく分かりますが)

サシャ(それ言うと今度は本気でぐりぐりされそうですね)

サシャ「あ、この実食べます?」

ユミル「おう、くれ」

サシャ「……今日、どうしましょっか」モグモグ

ユミル「クリスタが一番楽しみにしてたからな……」モグモグ

ユミル「結構うめーなこれ」

サシャ「でしょ」

21: 2013/07/29(月) 01:51:55 ID:S1oM0lkk
ユミル「……今度にするか。私は別にケーキとかどうでもいいし」

サシャ「楽しみなくせに」

ユミル「」チョップ

サシャ「ぬるぽっ!」ガッ

サシャ「……照れ隠しが痛いですよ、ユミル」シクシク

ユミル「変なこと言う奴が悪い。……あーあ、図書室で本でも読むかな」

サシャ「あ、そう言えばクリスタの話で聞きそびれてましたが、髪どうしたんです?」

ユミル「イメチェン」

サシャ「下ろしたのも可愛いですよ」

ユミル「っ!……っ!」グリグリ

サシャ「あだだだだ本気だ!本気のぐりぐりだ!」イタイ!

22: 2013/07/29(月) 01:53:11 ID:S1oM0lkk
♯8 ミカサとアニ


ミカサ「あにしてるの?」

アニ「……」

ミカサ「ちなみに」

ミカサ「今のはなにとアニをかけたジョーク」

アニ「うん」

ミカサ「つまらなかった?」

アニ「うん」

ミカサ「なんと」

23: 2013/07/29(月) 01:54:06 ID:S1oM0lkk
ミカサ「で、何をしているの?裏庭のこんなところに這いつくばって」

アニ「這いつくばってんのはミカサもじゃない」

ミカサ「私は探し物」サカサカサカ

アニ「速い。這う動きが速くて怖い」

ミカサ「で、あにしてるの?」

アニ「……猫」

ミカサ「猫。……本当だ、ここの下に」

ニャーン

ミカサ「にゃーん」

アニ「にゃーん」

ミカサ「可愛い」

アニ「可愛いね」

24: 2013/07/29(月) 01:55:45 ID:S1oM0lkk
ミカサ「毛並みが黒くてぱっちりした目。エレンみたい」

アニ「エレンはこんなに可愛くないよ」

ミカサ「うん」

アニ「同意しただと!?」ビクッ

アニ「誰だあんたは!!」

ミカサ「エレンとは喧嘩中ですので」ツーン

アニ「やれやれ……どっちが悪いんだか知らないけど、ほどほどにしなよ」

ミカサ「よけいなお世話」

アニ「エレンはあんたに対して毎回そう思ってるんだろうね」

ミカサ「むう」

ニャーン

ミカサ「……にゃーん」

アニ「にゃーん」

33: 2013/07/30(火) 00:14:22 ID:dwTBIRRM
♯9 ベルトルトとユミル


ユミル(あれ?この辺りだと思ったが……おいおい、一番上の段に移ってやがる)

ユミル(誰がやったんだか……っと)

ユミル「あれ、届かねえ」

クソッコノヤロ ピョンピョン
チクショウナンダコノヤロー ピョンピョン

ベルトルト「……」

ヒョイ

ユミル「お、……ああベルトルさんか」

ベルトルト「あ、ユミルだったんだ。髪解いてたから誰かと思った」

ユミル「ちぇ、ベルトルさんに本取られちまったか。まあ先に取ったもん勝ちだな……読み終わったら貸してくれよ」

ベルトルト「え?いやユミルにと思って取ったんだけど」ハイ

ユミル「え?……ああ成る程、ありがとな」

ベルトルト「普通分かりそうなもんだけど」

34: 2013/07/30(火) 00:15:44 ID:dwTBIRRM
ユミル「このタッパだと普段は人に取ってもらうとかしねーからな」

ベルトルト「それは分かる」

ユミル「わざわざ人に頼むってのも面倒だし」

ユミル(少し癪だし)

ベルトルト「でもユミルはもっと人に頼って良いと思うけど。女の子なんだから」

ユミル「ちょやっ」ゲシ

ベルトルト「痛い!」

ユミル「たく……そういうガラじゃねえっつうのに」

35: 2013/07/30(火) 00:18:18 ID:dwTBIRRM
ユミル「……ん?ベルトルさん、その本」

ベルトルト「あ、ユミルも読んだことある?これ内容が良さそうなのに文章が分かりにくくて参ったよ」

ユミル「それ、訳が良くないんだよ。違う訳者のを持っているけど、そっちのが分かりやすいと思う」

ユミル「なんなら貸してやろうか」

ベルトルト「本当か。優しいんだね君」

ユミル「せいっ」ゲシ

ベルトルト「なんでっ!」イタイ!

ユミル「うるせえ、いいから行くぞ!」

36: 2013/07/30(火) 00:20:05 ID:dwTBIRRM
♯10 コニーとサシャ


サシャ「あー……何もする気にならん」トボトボ

サシャ「今日は完全にお口の中がケーキモードになってたのに……」トボトボ

サシャ「……クリスタのアホ。何かあったのなら相談してくれてもええのに」

コニー「あれ、サシャじゃねーか、おーい!」タタッ

コニー「ととと……いけねえいけねえ」ピタッ テクテク

サシャ「なんで走るのやめたんです?」

コニー「俺なりの反省だ」

サシャ「?」

37: 2013/07/30(火) 00:21:18 ID:dwTBIRRM
コニー「どうしたんだよ、なんか落ち込んでねえか」

サシャ「うーん……コニーに話していいことなんでしょうか」

サシャ(私の事ならともかく、クリスタの事だから勝手に話すのもなんですね)

サシャ「しいて言うなら……ケーキが食べれなくて残念、という話でしょうか」

コニー「やっぱり食い物絡みかよ」

サシャ「クリスタの都合がつかなくなっちゃったんですよ。クリスタも楽しみにしてたのに残念です」

サシャ(このくらいなら大丈夫ですよね)

コニー「ケーキかー俺も食いてえ」

38: 2013/07/30(火) 00:22:47 ID:dwTBIRRM
コニー「家ではそんなしゃれたもん食えなかったからなあ」

サシャ「私もですよー」

コニー「あ、でもホットケーキとかならたまに母ちゃんが作ってくれたな」

サシャ「あれも美味しいですよね。割と簡単に作れるし……」

サシャ「そうだ!」ピーン

コニー「おう!?」ビクッ

サシャ「私がケーキを作ってクリスタとユミルにご馳走すればいいんです!」ピョンピョン

サシャ「これなら私はケーキが食べられるし、甘いものでクリスタも元気になる!」ワーイ

コニー「なんだなんだ、ケーキ作るなら俺にも食わせてくれよ」

サシャ「もっちろんです!よーし頑張りますよー!」



サシャ「はっ、でも作り方が分かりません」

コニー「駄目じゃん」

41: 2013/07/30(火) 02:15:23 ID:dwTBIRRM
♯11 アルミンとユミル


ユミル「さてと、目当ての本は借りたし……どっかで読むか」

ユミル「……クリスタどこにいるんだろうな。部屋にはいなかったけど」

ユミル「ん?」

ゴソゴソ

ユミル(物置の中から何か音が……猫か?にしてはでけえな)ヒョッコリ

アルミン「ここには無いかなあ」ゴソゴソ

ユミル「なんだ、アルミンか」

アルミン「ふえっ!?わーびっくりした!びっくりしたあー!」ドキドキ

ユミル「熱中しすぎだろ」ギシギシ

ユミル「うわ、床は軋むし埃っぽいし」ゲホゲホ

アルミン「今日髪型違うね」

ユミル「みんな言うな、それ」

42: 2013/07/30(火) 02:19:01 ID:dwTBIRRM
ユミル「男子寮側の物置って初めて入る」キョロキョロ

アルミン「何か用事があったの?」

ユミル「いや、ベルトルさんに本貸すついでに歩きながら話してたらいつの間にか」ガサガサ

アルミン「へえ、ベルトルトは?」

ユミル「図書室戻るって言ってた……お?」ゴソゴソ

アルミン「ねえユミル、何をあさって……」

ユミル「整備道具のケースがあるぞ?まだ新しいんじゃねえの、これ」

アルミン「へー……あっ」

アルミン「それ、ジャンのかも。数日前にどこかに置いてきちゃったって言ってたんだ」

ユミル「ふーん」ゴソゴソ

44: 2013/07/30(火) 02:24:05 ID:dwTBIRRM

ユミル「あれ、ここの床……なんか不自然に浮いてる」

アルミン「あ」ギクリ

ユミル「……おー、工口本が隠されている」

アルミン「やめて!男子達の秘密を暴かないで!」ガタッ

ユミル「へー、丁度床が剥がれかかってるからここに隠してるのか、お前ら。共用してんの?」パラパラ

アルミン「ユミルのばかあああ!!」

ユミル「知ってるかアルミン、本には開き癖というのがあってだな」パラリ

ユミル「たとえばこの本だと、一番開かれているのはこの巨Oちゃんということに」

アルミン「やめて、やめてええええ!!」

45: 2013/07/30(火) 02:25:41 ID:dwTBIRRM
ユミル「まあ待て当ててやろう。こっちがライナーので、こっちはジャンの本だな?さーてアルミンきゅんの本はと」パラパラ

アルミン「待って!待って待ってえ!何でわかるのそんな」ガタン

ドスンガラガラッ!

ユミル「きゃあ!?」ビクッ

アルミン「」

ユミル「……」

ユミル「それジャンのなんだっけ、届けてやるよ」

アルミン「うん、僕は崩した箱を直さないと……」

アルミン「ところでユミルさっきの悲鳴」

ユミル「工口本」

アルミン「なんでもないです」

ユミル「よし」

46: 2013/07/30(火) 02:33:17 ID:dwTBIRRM
♯12 ライナーとサシャ


サシャ「うーん、ケーキの作り方かー」

サシャ「出だしからいきなりのウォールマリアにぶち当たりました」ウデクミ

サシャ「ケーキじゃないにしても、何か甘いものを……」ブツブツ


ライナー「サシャ。まだ出かけてなかったのか」

サシャ「あーちょっと予定が流れてしまったんですよ」

ライナー「なんだ、そうなのか。楽しみにしてたろうに、残念だな」

サシャ「ええ。だからいっそ自分で作ってやろうかと思って」

ライナー「おお、サシャ作れるのか。ははは、食うばかりじゃなかったんだな!」

サシャ「いえ、作り方分からないんです」

ライナー「おっふ」

47: 2013/07/30(火) 02:35:24 ID:dwTBIRRM
サシャ「ライナーは知りませんか?作りやすくて美味しいお菓子」

ライナー「俺が知ってると思うのか」

サシャ「でも、このままじゃあホットケーキになっちゃいますよ!」

ライナー「美味しいじゃないか。ホットケーキ」

サシャ「美味しいですよねー」

サシャ「……って、駄目なんですよ!ホットケーキなんかたまに朝食に出るじゃないですかあ!」

サシャ「まあ本当にたまにですけど……それじゃクリスタもユミルも喜ばないです」シュン

ライナー(女神クリスタだったらサシャが作った物ならなんでも喜ぶんじゃないだろうか)

48: 2013/07/30(火) 02:39:58 ID:dwTBIRRM
ライナー「ああ、そういえば、昔たまに食わせてもらったケーキが美味かったな」

サシャ「なんと、ぜひレシピを!」

ライナー「知らん。すまん」

サシャ「で、ではケーキの名前だけでも!」

ライナー「……なんだったかなあ」

サシャ「実質情報0じゃないですか!がっかりですよ!」

ライナー「待て!待て!多分ベルトルトなら覚えている!一緒に食ったんだ、ベルトルトと……」

サシャ「と?」

ライナー「……いや、なんでもない。悪いがベルトルトに聞いてくれ」

サシャ「わかりました!」

ライナー「きっとクリスタもユミルも喜ぶさ」

サシャ「へへへ、出来たらライナーにも少しあげますね」

ライナー「いいのか?サシャの分が減っちまうぞ」

サシャ「そそそそこまで食い意地はってませんし!!」

ライナー(今「それもそうだな」って顔しただろう……)

49: 2013/07/30(火) 02:42:05 ID:dwTBIRRM
♯13 ライナーとユミル


ユミル「……ふう」テクテク

ユミル(なんか今日は朝から変だ)

ユミル(もっと私は乱雑に扱われるポジションにいたはずだし、私もそれを望んで行動していたはずなのだが)

ユミル(くそ、クリスタの事について考えなきゃならねえのに余計な事が邪魔をしやがる)

ジャアマタナ
ハーイ

ユミル「ん……?」

ライナー「お、……ああ、ユミルか」

ユミル「今声が聞こえたけど、サシャ?」

ライナー「ああ。……ふふふ」ニヤニヤ

ユミル「なんだよ気味悪い」

50: 2013/07/30(火) 02:43:34 ID:dwTBIRRM
ライナー「ん?あーあー気にするな。お前はただ楽しみに待っていればいい」

ユミル「何をだよ」

ライナー「ふふふ、そりゃー言えないな。残念だが」

ユミル(どや顔うぜーわー)

ライナー「それよりなんだ、その荷物は。重くないのか」

ユミル「あ?あーこれジャンの……なんだっけ、整備道具」ガチャガチャ

ユミル「寮室が分かんなくてよ。マルコは図書室にいるらしいから、とりあえず図書室にと……」ハッ

ユミル(なんで律儀に届けようとしてるんだよ、私は!?)

ユミル(アルミンから逃げるために言い出したとはいえ、急に面倒くさくなってきやがった……ガラじゃねえし。ほんとにガラじゃねえ)イライラ

51: 2013/07/30(火) 02:45:05 ID:dwTBIRRM
ライナー「ほう、お前意外と優し」

ユミル「面倒になっちゃったな!!」

ライナー「いな……って、おい」

ユミル「捨てちゃおうかな!!!」

ライナー「おいおい」

ユミル「違うんだよ。考え事してたから頭回ってなかったんだよ。だからこんならしくねえ事しちまったんだよ。こんなの全然私のキャラじゃねえ」ブツブツ

ライナー「あー……よく分からんが、その荷物、俺が渡しに行くか?」

ユミル「……おう、精々きりきり働け」ハイ

ライナー「訓練でもないのに女子にわざわざ重いもの運ばせるのもなんだしな」ヨイショ

ユミル「ローキック!!」スパァン

ライナー「くるぶしっ!」イタイ!

61: 2013/08/01(木) 00:05:57 ID:TSA9xvtw
♯14 エレンとジャン


エレン「あ……」

ジャン「あ……」

エレン「」スッ(横に避ける)
ジャン「」スッ(同じ方向に避ける)

エレン「……」イラッ
ジャン「……」イラッ

エレン「」スッ
ジャン「」スッ

エレン「…………」
ジャン「…………」


エレン「……なんでっ!同じ方向に避けるんだよ!!」

ジャン「そのままそっくり返すぜ、この駆逐野郎!!」

62: 2013/08/01(木) 00:07:46 ID:TSA9xvtw
エレン「探しもんがあるんだ、お前に構ってる暇ないんだよ」スッ スッ

ジャン「ああ、俺だってお前と遊んでやるほどお人好しじゃねーな」スッ スッ

エレン「邪魔だ」スッ スッ

ジャン「お前がついてくるんだろ」スッ スッ 

エレン「」シャッ
ジャン「」シャッ

ジャン「速度合わせて来てんじゃねーよ!!」

エレン「そのまま返すよ!!」


ジャン「……」ゼーハー

エレン「……」ゼーハー

63: 2013/08/01(木) 00:09:57 ID:TSA9xvtw
ジャン「……一旦やめるぞ、キリがねえ」

エレン「……ああ、冷静になるとくだらねえな」

ジャン「で、捜し物だって?何探してんだよ」

ジャン「ミカサを探してるとか言ったら怒るぞ」

エレン「ミカサなんて知らねえよ」フン

ジャン「ミカサを蔑ろにしてんじゃねーよ腹立たしい!!」グッ

エレン「結局怒るのかよ!!」

65: 2013/08/01(木) 00:17:23 ID:TSA9xvtw
エレン「しおり探してんだよ!離せ!」

ジャン「あ?しおり?」パッ

ジャン「……」

ジャン「どんなしおりだ?」

エレン「えーと……金属細工で……あれは花の模様だったか?」

ジャン「あーそれなら食堂の前にある木の上で見たナー」ボウヨミ

エレン「本当か!見てくる!」ダッ



ジャン「……信じやがった」

66: 2013/08/01(木) 00:19:33 ID:TSA9xvtw
♯15 ライナーとジャン


ライナー「……今、走っていくエレンとすれ違ったんだが」スタスタガチャガチャ

ジャン「あいつ馬鹿なんだと思う」

ライナー「?」

ライナー「お前等が何かしてるのはいつもの事だから構わんが、廊下で暴れると処罰食らうぞ。それより、ほれ」モチアゲ

ジャン「ん?……おお!俺の整備道具じゃねーか!」

ジャン「探してたんだよ、これ。どこにあったんだ?」

ライナー「ん?そう言えば聞かなかったな……」

67: 2013/08/01(木) 00:21:16 ID:TSA9xvtw
ライナー「ユミルがお前に届けようとしていたんだ。礼はユミルに言えよ」ハイ

ジャン「ユミルってあのユミルか」アリガトヨ

ライナー「そうだ」

ジャン「雪でも降るんじゃねーの」

ライナー「そりゃ大変だ。明日郊外訓練なのに」ハハハ

ライナー「さて置き、礼は言っておけよ。お前結構困っていただろ」

ジャン「……そーだな」

68: 2013/08/01(木) 00:23:34 ID:TSA9xvtw
ジャン「お、そうだ。礼と言っちゃ何だがこれやるよ」

ライナー「ドライバー?」

ジャン「ああ、急ぎで使う用があってな。それだけ買っていたんだが、こうして道具も見つかったわけだし」

ジャン「……その代わりに、だな。もう一つ頼まれて欲しいんだが」ポリポリ

ライナー「ん?」

ジャン「氏に急ぎ野郎が木に登って何かしてんの見つけたら、そこにはねえって伝えておいてくれないか?」

ライナー「は?」

ジャン「いいから!見つけたら言っておけ!」

ジャン「……いつまでも探し物が見つからない状態が落ち着かないのは、俺も分かるしな」ボソリ

ライナー「……やれやれ、お前等もっと仲良くすりゃいいのに」

ライナー(いや、ある意味いいのか。これも)

69: 2013/08/01(木) 00:25:56 ID:TSA9xvtw
♯16 ベルトルトとサシャ


ベルトルト「ケーキ?」

サシャ「はい、ライナーから小さい頃にベルトルトと食べたと聞いたのですが」

ベルトルト「うーん、少し待って。思い出すから」

ベルトルト「にしてもサシャは食べる専門かと思っていたけど、作るのも出来たんだ」

サシャ「……いえ、作り方が分からないのでこうして情報収集を」

ベルトルト「おっふ」

サシャ「仲良しなんは分かりますけど、質問内容まで同じじゃなくてもいいのに」ブツブツ

ベルトルト「な、なんかごめんね」

70: 2013/08/01(木) 00:27:38 ID:TSA9xvtw
ベルトルト「……あ、ケーキってあれかな。パウンドケーキ」

サシャ「ほう!」

ベルトルト「あれはシンプルだけど美味しかったな。レシピ本なら図書室にもあるんじゃないかなあ」

サシャ「有力情報ですよ、これは!」キラキラ

ベルトルト「ふふ、懐かしいなあ……切り分けて食べたっけ。ライナーと……」

ベルトルト「……」

ベルトルト「サシャ、ケーキは誰かと食べるの?」

サシャ「クリスタとユミルです。あとはコニーとライナーとも約束してて……あ、ベルトルトにもあげますよ」

ベルトルト「はは、ありがとう」

71: 2013/08/01(木) 00:31:19 ID:TSA9xvtw
ベルトルト「でも僕は良いからさ、他の仲がいい女の子達と食べる方がいいんじゃないかな」

ベルトルト「ミカサとかミーナとか、アニとか、喜ぶよ」

サシャ「うーん」

サシャ「じゃあおっきいの作りましょう」ニコッ

サシャ「どこか行くところだったでしょうに、引き止めてすみません!では私は図書室にっ」ダッ

ベルトルト「あっ。……僕も図書室なんだけど、行っちゃった」

ベルトルト(コニーもそうだけど、元気だなあ)

ベルトルト「…………」

ベルトルト(アニ、好きだったよな。パウンドケーキ……)

75: 2013/08/03(土) 23:22:19 ID:F9XRTD5Q
♯17 ミカサとクリスタ


クリスタ「サシャとユミルには悪いことし ちゃったな……」

クリスタ(でも、今はやっぱりケーキなんて 贅沢品食べれそうにない)

クリスタ(私はただの氏にたがりで、卑しい 妾の子だから。……なんて)

クリスタ「ユミルに怒られちゃうなあ。でも 本当の事だし……」

ミカサ「何やら悩んでいる様子」

クリスタ「ううん、大した事じゃないんだけど……」

クリスタ「……」

クリスタ「なんでベンチの下にいるの!?」 ビクッ

ミカサ「捜し物」キリッ

76: 2013/08/03(土) 23:24:34 ID:F9XRTD5Q
クリスタ「へ……へー。何探しているの?」

ミカサ「アルミンのしおり。知らない?薄い金属板のしおりなんだけど」

クリスタ「知らないなあ……ごめんね、何の助けにもならなくて」シュン

クリスタ「……大変だね、小さいものでしょ?」

ミカサ「アルミンが困っている方が大変」

クリスタ「ミカサは凄いなあ……強いし、優しいし、すごく羨ましい」

クリスタ「ねえ、私も一緒に探すよ」

ミカサ「平気」

クリスタ「! ……私じゃ、頼りにならないよね」

ミカサ「そうじゃない」フルフル

ミカサ「ただ、クリスタは今悩んでいる」

ミカサ「なら、今は自分の悩みを解決するために時間を使うといい」

77: 2013/08/03(土) 23:28:16 ID:F9XRTD5Q
クリスタ「でも、でも私は……人の役に立たないといけないのに……」

ミカサ「……」

クリスタ(あ)

クリスタ(あああ変なこと言っちゃった!ミ カサにこんな事言っても仕方ないのに!!)

クリスタ「あ、あのねミカサ、さっきのは」 アセアセ

ミカサ「この前擦りむいた膝を手当してくれてありがとう」

クリスタ「へ?」

ミカサ「エレンに乗馬のコツを教えてくれた。疲れたアルミンにお水を渡してくれた。 サシャにパンを分けてあげていた」

ミカサ「まだある。クリスタは十分すぎるほど人のために動いている」

クリスタ「……そうかな」

78: 2013/08/03(土) 23:31:57 ID:F9XRTD5Q
ミカサ「私を羨ましいと言ったけど、私はクリスタが羨ましい」

ミカサ「可愛いし、優しいし……女の子らしい」

ミカサ「それに比べて私は……いや、この話はよそう」

クリスタ「……?」

ミカサ「ただ、クリスタはもう少し自分のために動いてもいい。……動くべき」

ミカサ「では、私は他を探す」ススススス

クリスタ「あっ。……速いなー」

クリスタ(自分のために、かあ……)

クリスタ(それにしても……)

クリスタ「ミカサ……ずっとベンチの下にいたなあ」

79: 2013/08/03(土) 23:38:03 ID:F9XRTD5Q
♯18 ライナーとコニー


ライナー「ジャンは木の上がどうとか言っていたが……どこにいるんだか」ウロウロ

コニー「あ、ライナー!ちょっと手伝ってくれよ」ウデブンブン

ライナー「お?なんだなんだ、俺に手伝える事か?」

コニー「こっちだ、こっち!」グイグイ



コニー「これなんだよ」

ライナー「鉄棒か……これがどうしたって?」

コニー「ここ、右の棒の接着が甘くてすげーぐらぐらすんの」グラグラ

コニー「ミカサがぶら下がったらこっからもげるぞ」

ライナー「重さの例えに女子を出してやるな」

80: 2013/08/03(土) 23:41:02 ID:F9XRTD5Q
ライナー「どれ見せてみろ、……あーネジが弛んでるな」グラグラ

コニー「やっぱりそうか。じゃあひとっ走りして工具箱持ってくるわ」

ライナー「! ふふふ、まあコニー待て」

コニー「ん?なんだよ笑い方が気持ち悪いぞ」

ライナー「いいのかー?準備が良いライナーさんにそんな事言っていいのかー?」ニヤニヤ チャキーン

コニー「あ!ドライバー持ってんじゃん!ライナーすげえ!」

ライナー「さっきジャンから貰った」

コニー「ライナーじゃなくてジャンすげえ」

81: 2013/08/03(土) 23:43:47 ID:F9XRTD5Q
ライナー「よし、俺が押さえているから締めてくれ」

コニー「おう」クルクル

コニー「あ、これ!使いやすい!」

ライナー「普通のと何か違うのか?」

コニー「持ち手が丁度良いし、先端がピタッつーかカチッとするから動きにくい」

ライナー(磁石か?)

コニー「……よし、と」ギュッ

コニー「完璧!流石俺!」

ライナー「俺がぶら下がっても平気そうだな」ヨイショ

ブラーン

コニー「あ、俺も俺も」

ブラーン ブラーン

82: 2013/08/03(土) 23:46:17 ID:F9XRTD5Q
コニー「こうしてたら背が伸びねえかな」

ライナー「どうだろうな」

ブラーン ブラーン

ライナー「コニー、そのドライバーなんだが」

コニー「あ、今ポケットに入ってる。降りたら返すわ」

コニー「後でジャンに買った店聞きに行くかねー」ブラーン

ライナー「気に入ったならお前にやるぞ?お前にだったらジャンも気にしないだろ」ブラーン

コニー「マジで!?やった!」パッ

ライナー「あ」

ドスン イテー
ハハハ

83: 2013/08/03(土) 23:48:42 ID:F9XRTD5Q
♯19 クリスタとアルミン


クリスタ(何となく歩いていたらお花に囲まれたアルミンを見つけた)

アルミン「あ……あはは、やあ、クリスタ」

クリスタ「アルミン、お花似合うね」

アルミン「それ微妙に嬉しくないんだけど!」

クリスタ「ふふ、私もお花摘みしようかな」

アルミン「花びらがちゃんと揃ってる綺麗なのって少なくてさ」ワシャワシャ

クリスタ「あ、ほんとだ」ワシャワシャ



クリスタ「……あ、しおりなくしたんだってね」

アルミン「知ってるんだ。ミカサから?エレンから?」

クリスタ「……ミカサから」

アルミン「そっか」

84: 2013/08/03(土) 23:50:53 ID:F9XRTD5Q
アルミン「……何かあった?」

クリスタ「え?」

アルミン「そんな顔してたから」

クリスタ「えー……私分かりやすいのかなあ……」ブチブチ

アルミン「あはは」

クリスタ「……」

クリスタ「何で私はここにいるんだろうな、って考えちゃって」

アルミン「え?」

クリスタ「……」ワシャワシャ ツミツミ

アルミン「……ここの暮らしは、いや?」

85: 2013/08/03(土) 23:52:20 ID:F9XRTD5Q
クリスタ「ううん、逆。凄く楽しくて……楽しすぎて。私なんかがこんなに幸せで……」

アルミン「私なんかって……そんな事言わないでよ」シュン

クリスタ「ごめんね、変な話して」

アルミン「……」


アルミン「楽しい事とか幸せな事って、大体が自分にとって正しい事なんだと思うよ。僕は」

クリスタ「……そうなのかな」

アルミン「うん、だからクリスタは、あまり考えすぎないで……いればいい、と、思うです」

クリスタ「……え」

アルミン「……」マッカ

86: 2013/08/03(土) 23:54:23 ID:F9XRTD5Q
クリスタ「……ぷっ、ふふ、ふふふ……あははは!なんかいきなり口調がおかしいよ!あはは!」

アルミン「だ、だってなんか、僕も考えすぎる方だから偉そうに言えないし!」マッカ

アルミン「なんか凄く恥ずかしいんだもの!」マッカ

クリスタ「ふふふ、でもありがと」

クリスタ(まだもやもやは残るけど、少し楽にはなったかも)

アルミン「うー……まだかおあつい……」ツミツミ

クリスタ「そう言えば、なんでお花摘んでるの?」シオリハ イイノ?

アルミン「ん?……えへへ、実はね……」

ヘーソウナンダ
エヘヘ

87: 2013/08/03(土) 23:57:50 ID:F9XRTD5Q
♯20 アニとコニー


コニー「」ブラーン

アニ「…………なにしてんの」

コニー「見て分かんねえか?」

アニ「まあ分かるけどさ」

アニ(鉄棒にぶら下がってる)

コニー「そう、俺は今 身長を伸ばしているんだ!」キリッ

アニ「それは分からなかった。予想外だった」

コニー「何か伸びる気がするんだよ。びよーんと」

アニ「いや、そんな簡単に伸びてたまるか……」

アニ「……」

88: 2013/08/04(日) 00:00:57 ID:O4uriE9M
アニ「せいっ」ピョン パシッ

コニー「お」

アニ「……」ブラーン

コニー「やってんじゃん」ブラーン

アニ「違う。私は違う」

アニ「筋力トレーニングの為にぶら下がっただけであって」

アニ「身長どうこうとかではない」

コニー「あーなるほど筋トレか。それもいいな」



コニー「でも身長のびてほしいよな」

アニ「そうね」

89: 2013/08/04(日) 00:02:41 ID:O4uriE9M
アニ「……」ブラーン

コニー「……」ブラーン

アニ「……なんかさ」

コニー「おう」

アニ「体の筋が伸びる感覚がある」

コニー「おう、わかる」

アニ(本当に身長伸びないかな。いや、まさか)

コニー「しかしアニー、俺もう疲れてきたわ」

アニ「私はまだまだいけるよ」



アニ「ちょっとまて、アニーって何」

コニー「コニー、アニー、的な」

アニ「なる程、やめろ」

97: 2013/08/07(水) 01:52:54 ID:KtA23Mno
♯21 ライナーとエレン


ライナー(ドライバーの礼にと、コニーから蹴鞠を貰ったが……)

ライナー(実家からの土産物だっつうのに、いいんだろうか)

ライナー「あ」

エレン「……」

ライナー(太い幹にしがみついたまま止まっている……)

エレン「……その声はライナーか?今そっち向けねえけど」シガミツキ

ライナー「後ろ側しか見えねえけど、その声はエレンか……虫みてえだぞ。今のお前」

エレン「枝が高いんだよ、この木……」

ライナー「その絶望した声やめろ。降りてこい」

98: 2013/08/07(水) 01:55:16 ID:KtA23Mno
エレン「……でも、ジャンがこの上に」

ライナー「ああ、なるほど」

ライナー「それ嘘だそうだ」

エレン「えっ」

ライナー「だからもう降りてこいって」ケリッ

ポコン

エレン「あいたっ 何だボールか!?」

エレン「たっく、何するんだよ馬鹿になっちゃうだろ」ズルズル

ライナー「煙と何とかは……ってあったな」

エレン「? なんだそれ」スタッ

ライナー「なんでもねえ」

99: 2013/08/07(水) 01:56:46 ID:KtA23Mno
エレン「にしても……くそ、ジャンの奴め……」

エレン「食堂の前の木の殆どが絶妙に枝の位置が高いと知っての行動か……」

ライナー「あー、本当だ。こりゃエレンの身長だとちとキツいな。幹も節が少ないから上りにくそうだし」

エレン「はー、背を伸ばしてえ」

ライナー「コニーかお前は」

エレン「ベルトルトくらいになりてえ」

ライナー「高い。目標が高すぎる」

エレン「……なんであんなでけえんだよ、巨人かよ」

ライナー「えっ  ははははそんなばかな」アセアセ

エレン「あーあ、俺も背高くなったらライナーみたいに男らしくなるのかな」

ライナー「今でも十分じゃないか?入ったころより随分とたくましくなったし」

エレン「…………ミカサよりもか」

ライナー「…………はははは」

100: 2013/08/07(水) 02:03:45 ID:KtA23Mno
♯22 アニとクリスタ


クリスタ「……」

アニ「……」ブラーン

クリスタ「……アニ?」

アニ「ちがうの!」キッ

クリスタ「えっ何が!?」ビクッ

アニ「これは……筋トレなんだ」

クリスタ「あーなるほどー」

アニ「筋力トレーニングなんだ」

クリスタ「えっそれ聞いたよ!?」

101: 2013/08/07(水) 02:06:03 ID:KtA23Mno
アニ「トレーニングなんだ……」

クリスタ(三回目だ……)

アニ「別に身長伸びないかなーとかそういうんじゃないんだ」

クリスタ(身長伸ばしたいんだ……)

クリスタ(……よし、私も)タッ ピョン

スタン

クリスタ「……」

ピョン スタン ピョンスタン

クリスタ「高いよこの鉄棒……っ!」ピョンスタンピョンスタン

アニ(かわいい)

クリスタ「ふんぬー!」ダッ ピョン パシッ

クリスタ「やった!」ブラーン

アニ「おめでとう」

102: 2013/08/07(水) 02:08:04 ID:KtA23Mno
クリスタ「私も身長伸ばしたいなあ……」

アニ「筋トレだよ」

クリスタ「四回目だ……」

アニ「……」ブラーン

クリスタ「……」ブラーン

アニ「……どのくらいになりたい?」

クリスタ「ユミルくらいかな」

アニ「目標高すぎないか。何センチ足りないのよ」

クリスタ「……ななせんちかな」

アニ「豪快な嘘をつくな」

103: 2013/08/07(水) 02:11:15 ID:KtA23Mno
クリスタ「だって、いつも守られてばかりだから」

クリスタ「そのくらい大きくなって、今度は私が守ってみたいなあって」

アニ「……それより、訓練して力を付ける方が現実的だと思うけど?」

クリスタ「えへへ」

アニ「私だって小さいけど、人を守れるくらいの力だったら……」

アニ「小さくないよ!!!」カッ

クリスタ「何も言ってないよ!!」ビクッ


アニ「……」ブラーン

アニ(人を守る力って、何言ってるんだろうね、私は)

105: 2013/08/07(水) 02:50:44 ID:KtA23Mno
♯23 マルコとサシャ


マルコ「……」パラリ

ダダダダダ

マルコ「……」パラリ

ダダダダダ ガラッ

サシャ「マルコいます!?」

マルコ「しーっ」

サシャ「あ あはは、し、失礼しました……」ガラガラピシャン

マルコ「で、どうしたんだ?そんなに慌てて」

サシャ「私、ケーキのレシピ本を探しているんです」

マルコ「へえ、サシャって食べる方だけじゃなくて」

サシャ「あ、それはもういいです」

106: 2013/08/07(水) 02:52:21 ID:KtA23Mno
サシャ「私、普段は図書室なんて来ないですから……どこに何があるのかさっぱりで」

サシャ「マルコやアルミンだったら、分かるかなって思ったんですけど」

サシャ「ちなみに今は何を」

マルコ「兵法の本。たまには小説をと思ったんだけどね、読みたかったのが借りられちゃってたから」

サシャ「……うう、難しそうですね」

サシャ「でも、そういうの読んだ方がいいんでしょうか」

マルコ「はは、サシャとかコニーは理屈じゃなくて勘だからね。こういうのは僕達の役目でいいんじゃないかな」

サシャ「マルコとアルミン?」

マルコ「あとは……ジャンかな。あいつも指揮官向きだよ」

サシャ「えー、ジャンの班とか嫌です」

マルコ「ははは、そう言ってやらないでよ。」

サシャ「私、壁外調査の時は絶対マルコの班がいいです」

サシャ「……あ、でもマルコは憲兵志望でしたっけ」

マルコ「……うーん、一応ね」

107: 2013/08/07(水) 02:53:31 ID:KtA23Mno
マルコ「で、レシピ本だっけ?」

サシャ「はい」

マルコ「僕も図書室の全部を把握しているわけじゃないからなあ」

マルコ「それに訓練兵用の図書室だから、冊数はお察しだよ。ちゃんと分類されていなかったような気がするし」

サシャ「ですよねえ」

マルコ「確か、あっち側の奥にあったんじゃないかな。探すの手伝おうか?」

サシャ「いえ、大丈夫ですよ!よーし!」タタタッ

マルコ「サシャ」

サシャ「?」

マルコ「」シーッ

サシャ「!」シーッ  ソロリソロリ

マルコ(そんな抜き足差し足で行かなくてもいいのに)

108: 2013/08/07(水) 02:54:34 ID:KtA23Mno
♯24 ベルトルトとマルコ


ベルトルト「」ガラリ

マルコ「やあ」

ベルトルト「サシャ、来た?ここに来る前に会ったんだけど」

マルコ「うん、あそこで本探してる」チラッ

ウーンドレデショウネー

ベルトルト「本当だ」

ベルトルト「マルコは……あー、マルコらしい本読んでるね」

マルコ「本当は読みたい本があったんだ。表紙で気になって」

マルコ「だから後で読もうと思って、人目につかない一番上の段にこっそり移しておいたんだけど……誰かに借りられちゃったみたいだ」

ベルトルト「……あっそうなんだ……残念だったね」

109: 2013/08/07(水) 02:56:33 ID:KtA23Mno
マルコ「そうだ、ベルトルトってチェス出来る?」

ベルトルト「まあ人並みには」

マルコ「やらないかい? ジャンが来たらやろうかと思って、持ってきてあるんだ」

マルコ「幸い、今日は人も少ないしね」

ベルトルト「ああ、半分くらいは遠征訓練行ってるんだっけ」

マルコ「来週は僕たちだね、遠征。どういう班になるかなあ」ゴソゴソ

マルコ「はい、どっちの手?」

ベルトルト「じゃあ、こっちで」ミギ

マルコ「ん……白だね。ベルトルトが先手だ」

ベルトルト「お手柔らかに頼むよ」

110: 2013/08/07(水) 02:57:34 ID:KtA23Mno
マルコ「……」トン

ベルトルト(ふむ……)

ベルトルト(丁寧な指し方だな、基本に忠実というか)トン

マルコ「……」

ウーン ミツカラナイナー

マルコ「……サシャまだ探してるね」トン

ベルトルト「うん」

ベルトルト(マルコは、駒の使い方が上手いなあ)

ベルトルト(成る程、指揮役向きか。こういうところも性格が出るんだろうか)トン

ベルトルト「……敵に回すと怖いかもね、君は」

マルコ「はは、それを言うならベルトルトもそうだよ。こんなに上手いのによく人並みとか言えたもんだ」

マルコ「君は控えめだから隠れがちだけど、結構攻める時は思い切りがいいよね」トン

ベルトルト「……そうかな」

ベルトルト(本当、敵に回したくないよね。色々な意味で)

115: 2013/08/11(日) 01:47:11 ID:7KP3CaeM
♯25 アニとエレン


アニ(……流石に少し腕が疲れた)テクテク

アニ(あ、ベンチ。……座って休むか)ペタン

ニャーン

アニ「ん? ……なんだ、お前か。どうしたの?」ナデナデ

ニャーンゴロゴロロロ

アニ「なんだ、気持ちいいのか。そっかーほれほれ」ナデナデナデナデ

エレン「あにしてるんだ?」

アニ「」

エレン「ちなみに今のは、なにと」

アニ「アニをかけたジョーク、だろ」

エレン「すげえな、何で分かったんだよ」

アニ(分かるわ)

116: 2013/08/11(日) 01:49:32 ID:7KP3CaeM
ニャーン

アニ「」ナデナデ

エレン「」ナデナデ

アニ「仲直りしたら?」

エレン「え?」

アニ「ミカサと」

エレン「……関係ねえだろ」プイ

アニ「そうね。どうでも良いけどさ」ナデナデ

ニャーン

アニ(幼なじみだからって何時までも一緒にいれるわけじゃないんだよ)

アニ(なんて、言えないけどね)

エレン「……」ナデナデ

117: 2013/08/11(日) 01:52:33 ID:7KP3CaeM
アニ「ミカサが、そいつの事をあんたに似ているってさ」

エレン「え……この猫かぁ!?……えー、そうか?そうなのかお前?」ナデナデ

ニャーンゴロゴロ

アニ「そう言われてみれば、目つき悪いんじゃない?その子」

エレン「そーか?綺麗な色してるじゃんか」

アニ「琥珀色だね。小さい頃、家の近くにいた子もそういう色だったよ」

エレン「ふーん。……アニの小さい頃か。どんなだったんだ?幼なじみとか訓練兵で来てたりしねえの?」

アニ「……」

アニ「幼なじみだからって何時までも一緒にいれるわけじゃないんだよ」

エレン「……あ……悪い」

アニ「いや……何でもない。私、もういくから」

118: 2013/08/11(日) 01:55:06 ID:7KP3CaeM

♯26 アニとジャン


アニ(なんか調子狂う)テクテク

アニ(一度部屋にでも戻るかな。一人でのんびりしたい)テクテク  ピタ

ジャン「お?」

アニ「……やあ」

ジャン「なんだ、お前も図書室に用があるのか?」

アニ(ああ、ここ図書室の前か)

アニ「別に。通りかかっただけよ」

ジャン「ふーん」

ジャン「しっかし相変わらず陰気な顔してやがんなー」

アニ「何そのいきなりの悪口……」

119: 2013/08/11(日) 01:56:07 ID:7KP3CaeM
ジャン「たまの休みだっつーのに、目の前でんな顔されたらこっちだって気が滅入るぜ」

ジャン「まー今日はミーナがいないから仕方ねえか」

アニ「なんでそこでミーナが出てくるのさ。大体、顔は生まれつきだ」

ジャン「? てっきり寂しいんだと思ってたが。親友がいなくて」

アニ「…………誰が、親友?」

ジャン「は? お前とミーナだろ」

アニ「……ないよ」

ジャン「ミーナ曰く、アニは照れ屋さんということだが」

ジャン「その態度は照れ隠s(ゲシッ)  いってええ!」

アニ「……誰が照れ屋だ」



アニ(やっぱり部屋に戻ろう。イライラしてきた)スタスタ

120: 2013/08/11(日) 01:59:10 ID:7KP3CaeM
♯27 ジャンとサシャ


ガラッ

ジャン「あー足いてえ、アニの奴め……お、何か珍しい奴がいる」

サシャ「へ?……あ、ジャンじゃないですか」

ジャン(なんだこの山積みの本)

ジャン「表紙眺めてるだけじゃ頭良くならねーぞ」

サシャ「探している本があるんですよ!んもう、邪魔するんならあっちいっててください」

ジャン「あ?……言っとくがな、俺はお前より図書室に慣れているんだぜ?」

サシャ「! 探すの手伝ってくれるんですか?」

ジャン「嫌だね」

サシャ「むきー!この馬面ー!」

121: 2013/08/11(日) 02:00:12 ID:7KP3CaeM
ジャン「で?何探してるって?」

サシャ「ケーキのレシピ本です」

ジャン「ああ、眺めて腹の足しにしようってか」

サシャ「ちゃうわい」

ジャン「……」

ジャン(レシピ本、か。覚えはねえが……)ウロウロ

ジャン(確かそういう、日常生活類として一つの棚でまとまっていると誰かから聞いた気がする)ウロウロ

ピタリ ガサガサ

ジャン(あるじゃねーか。たく、あの芋女は探すのヘッタクソだな)

ジャン「……」ガサガサ

122: 2013/08/11(日) 02:02:20 ID:7KP3CaeM
ジャン「俺はマルコの方行くが、ちゃんと本戻しておけよ芋女」

サシャ「分かってますよー」

ジャン「つーか向こうの棚の本も出しっぱなしだったぜ?片づけておけよな」

サシャ「え?……それは私じゃないんですけど」

ジャン「ああ?馬鹿だから忘れちまっただけじゃねーの?いいから片付けとけよ」

サシャ「違うって……もう!良いですよ片付けますし……」テクテク ガサガサ

サシャ「……あれ?」ピタリ

サシャ「あ! この出しっぱなしになってる本、全部料理の本じゃないですか!」ヤッター


ジャン(手がかかるなーあの芋女は)

ジャン(ああいう馬鹿とは同じ班になりたくねえ)

123: 2013/08/11(日) 02:03:45 ID:7KP3CaeM
♯28 ベルトルトとジャン


ベルトルト「やあ、ジャン」

ジャン「おー、あれ? マルコは?」

ベルトルト「水飲みに行ってる」

ジャン「ふーん。……お、チェスか? それ。……って、うわ、ベルトルトが勝ったのかよ」

ジャン「マルコ強いはずなんだがな……人畜無害そうな顔してとんだ食わせ物だぜ」

ベルトルト「褒めてる?」

ジャン「褒めてねえ」

ベルトルト「そうだ、ジャンもやらないかい?」

ジャン「おう、……いや、やっぱりやめておくわ」

124: 2013/08/11(日) 02:06:45 ID:7KP3CaeM
ジャン「マルコと俺は戦法が似てるんだよ。お前に勝てる気がしねえ」

ベルトルト(マルコの指し方……)

ベルトルト(基本に基づいた丁寧な指し方だったけど、防戦型というか……弱い駒もなるべく落とさないようにとしているように見えた)

ベルトルト(少し意外だな。ジャンはもっとガンガン無鉄砲にいく方だと思っていたけれど、案外繊細な男なのかもしれないな)

ベルトルト「マルコとジャンだと泥仕合になりそうだね」

ジャン「ああ、割とだらだらやってる。……暇潰しだしな」

ジャン「それより図書室なんだから本読めよ。……ん、でもそれ図書室のじゃねえな。印がない」

ベルトルト「ユミルが貸してくれた」

ジャン「明日は大嵐だな」

125: 2013/08/11(日) 02:08:26 ID:7KP3CaeM
ベルトルト「でもこれは部屋でも読めるし……折角だから図書室のを読もうかな」

ベルトルト「そうだ、ジャンって立体機動上手いよね。おすすめの技術書とかある?」

ジャン「んー?なんだよ、技術書よりも俺が教えてやった方が為になるぜ?」

ジャン「まあ引く手あまただから、お前の順番はなかなか回ってこないがな」ガハハ

ベルトルト「あはは」

ベルトルト「冗談はさておき」

ジャン「おい」

ジャン「……はー、いいぜ待ってろ。とびきりの教えてやるから感謝しろよな」スクッ スタスタ

126: 2013/08/11(日) 02:08:57 ID:7KP3CaeM
♯29 ミカサとジャン


ジャン(サシャはいねえか)テクテク

ジャン(えーと、確かこっちに)

ミカサ「……あ」

ジャン「」

ジャン「み、みか、ミカサ!?」ビクッ

ミカサ「ジャン」シーッ

ジャン「あ、お、おう、すまん」シーッ

ジャン(唇に人差し指を当てて首を軽く傾げながら、シーって。天使か。ミカサかわいい)ポーッ

ジャン「い、今来たところなのか?」

ミカサ「いいえ、探し物していたのだけれど……きりがないので一旦他の所に行こうかと」

ジャン「手伝うぞ?」

ミカサ「いいえ、大丈夫」フルフル

ジャン(残念だ)

127: 2013/08/11(日) 02:09:46 ID:7KP3CaeM
ミカサ「ではジャン、また」スタスタ

ジャン「ああ」

ジャン(あーミカサ可愛い。今日も髪か綺麗だし、姿勢も良くて…………!)

ジャン「おいミカサ、足下!本!」

ミカサ「えっ」ビクッ グラリ

ジャン(無理な姿勢で方向を変えたからよろけたか……っ)ダッ

ガシッ

ミカサ「……あ」

ジャン「捻らなかったか!?」

ミカサ「大丈夫……なんで床に本が落ちて」

ジャン「サシャが一冊片付け忘れたな、まったく……」

128: 2013/08/11(日) 02:10:41 ID:7KP3CaeM
ジャン「だが怪我が無くて何より……」ハッ

ジャン(む、無意識に抱き寄せちまった!!)

ジャン「すまん!!」パッ

ミカサ「いいえ、謝らなければならないのは私。ごめんなさい」

ミカサ「……ありがとう、ジャン。お陰で本も踏まず、怪我もなかった」フッ

ジャン(ミカサの微笑みが俺に向けられて……)

ジャン(神様ありがとう)

ミカサ「じゃあ、私はこれで」

ジャン「あ、ああ。またな」

129: 2013/08/11(日) 02:11:29 ID:7KP3CaeM
テクテク ピタリ

ミカサ「……もし、また図書室で探し物をする時は、ジャンも手伝ってくれると嬉しい」

ジャン「」

テクテク ガラッピシャン

ジャン「」

ジャン「よ」

ジャン「よっしゃああっ!」

ジャン「っと、いけねえいけねえ」シーッ

ジャン「……ふふふ」ニマニマ

147: 2013/08/16(金) 01:46:26 ID:GZ5/CbU6
♯30 ベルトルトとアルミン


アルミン「よいしょ」ガラッ

ベルトルト「あ、アルミンか」

アルミン「マルコはサシャと何をしているの?」

ベルトルト「どの本がいいか選んでいるんだってさ」


コレハドウカナ
ウーン ブンショウガ ムズカシイデス

アルミン「ふふ、本の前で真剣な顔しているサシャって新鮮だね」

アルミン「でも……そうかあ、暫くかかりそうかな」

ベルトルト「マルコに用だったんだ?」

アルミン「うん、ちょっとね」

148: 2013/08/16(金) 01:47:17 ID:GZ5/CbU6
アルミン「……あ、チェスだ。良ければやらない?」

ベルトルト「構わないよ。僕もジャンを待っているんだ」

アルミン「じゃあ、はい」

ベルトルト「こっち」

アルミン「……僕が先攻だね。始めようか」



ベルトルト「さっきマルコともやったよ」

アルミン「へえ、どっち勝った?」

ベルトルト「僕」トン

アルミン「凄いね。……ふむ」ウデクミ

149: 2013/08/16(金) 01:52:55 ID:GZ5/CbU6
アルミン「……よし」トン

ベルトルト「……」

ベルトルト(意外だ。凄く攻めてくる)

ベルトルト(マルコと、彼の言葉を信じるならジャンとも違う。駒を取られる事を恐れていないような指し方だ)トン

アルミン「そっか、ベルトルトはそういう風に指すんだ……」

アルミン「……」ジッ

ベルトルト「……アルミン?」

アルミン「ん?」

ベルトルト「僕じゃなくて、盤を見たらどうだろうか」

アルミン「あはは、ベルトルトの考えが透けて見えないかなあって」

ベルトルト「怖いこと言うなあ」

アルミン「だってベルトルトは手ごわいみたいだし。……よし、じゃあここ」トン

ベルトルト(本当に僕を見て決めたよ。しかも僕にとっては結構痛い手だ)

ベルトルト(怖いことするなあ。 本当に見られたみたいだよ……)

ベルトルト(……ミカサやエレンとは違った意味で怖いよな、アルミンも)

150: 2013/08/16(金) 01:56:33 ID:GZ5/CbU6
♯31 マルコとアルミン


アリガトウゴザイマシター!

マルコ「ああ、だからサシャ、シーって……行っちゃった」

マルコ「まあいいか、サシャだし」

アルミン「マルコー待ってたよ」テクテク

マルコ「え、アルミン? 僕に何か用だったのなら呼んでくれれば良かったのに」

アルミン「いや、サシャの邪魔をするのも何だしね。それに待っている間はベルトルトとチェスしてたから」

マルコ「お、もうチェス終わったのかい?  どちらが勝ったんだ?」

アルミン「ふふ、僕が勝ちました」ピース

マルコ「おお」

アルミン「普段しない人とするのは面白いねー、ベルトルト強かったし」

マルコ「うん、僕もそのうちリベンジしたいところだな」

151: 2013/08/16(金) 01:59:56 ID:GZ5/CbU6
アルミン「それで、君への用事なんだけど……」ゴソゴソ パサリ

マルコ「? 花……え、こういうのは可愛い女の子に……でも嬉しいよ」テレテレ

アルミン「ウェイト! マルコ、ウェイト!」

アルミン「やめろよそういう冗談……君にじゃなくて、これで作りたい物があるんだ」

マルコ「僕をもてあそんだのか……ひどい奴だ、君は」

アルミン「マルコ」

マルコ「ごめん」

アルミン「そういうネタはライナーとベルトルトでお腹いっぱいだから」

マルコ「アルミン」

アルミン「ん?」

マルコ「向こうでベルトルトがうなだれてる」

アルミン「えっ、あっ、違うよベルトルト! 冗談だから、ネタだと思ってるから! ガチだとか思ってないからぁっ!」ガタッ

マルコ「アルミン、図書室。図書室だから抑えて」

152: 2013/08/16(金) 02:00:37 ID:GZ5/CbU6
アルミン「……改めて続けるね」スワリナオシ

マルコ「うん」

アルミン「この花、触ってみてよ」

マルコ「ん……あ、これ押し花になっているんだね」

アルミン「急ぎで作りたかったからアイロンで押した物だけどね。……これでさ、しおりを作りたいんだ」

アルミン「マルコは器用だろ? コツとか、アドバイスとかが聞きたかったんだ」

マルコ「アルミンも十分器用だと思うけどなあ……」

マルコ「まあ、いいよ。僕でよければ手伝うさ」

アルミン「助かるよ! いまいちこういうセンスは自信がないから……」

マルコ「でも、しおりの材料にするにしては花が多いかな?」

アルミン「……へへ、僕のだけじゃないからね」

153: 2013/08/16(金) 02:02:13 ID:GZ5/CbU6
♯32 ライナーとクリスタ


クリスタ「あ、ライナー」

ライナー「! クリスタ」ドキドキ

ライナー「サシャから聞いたが、出掛ける予定が流れちまったんだってな。三人とも楽しみにしていたんだろ?残念だったな」

クリスタ「……うん」

クリスタ(私の我が侭のせいで二人の予定も潰しちゃったんだよね)ションボリ

ライナー「クリスタ?」ノゾキコミ

クリスタ「!! な、なに!どしたの!」

ライナー「いや、何か落ち込んでいるのではと思ってな。……俺でよければ、話を聞くぞ?」

クリスタ「ううん、大丈夫。大丈夫なの」ブンブン

ライナー「ならいいんだが……」

154: 2013/08/16(金) 02:03:39 ID:GZ5/CbU6
クリスタ(ライナーはしっかりしてるなあ。皆をよく見てるし、頼りになるし)

クリスタ(羨ましいなあ)ジーッ

ライナー(うおおおおお女神が俺を見ている、じっと見ている!!)ドキドキドキ

クリスタ「ライナー……変な質問してもいいかな」

ライナー「も、勿論だとも! 何でも聞くぞ!」ドキドキ

クリスタ「ライナーって、凄く頼りになるし、皆の為に色々動いてくれるでしょう?」

ライナー「そ、そうだろうか」

ライナー(うわあああクリスタに褒められている!?褒められているのかこれは!!)

クリスタ「そうだよ。今だって私のこと気にしてくれたし……」


クリスタ「なんで?」

ライナー「は?」

155: 2013/08/16(金) 02:05:04 ID:GZ5/CbU6
クリスタ「あ、あの!嫌だって言いたいわけじゃないの!」

ライナー(良かった!筋肉ダルマに優しくされるのキモいとかじゃなくて良かった!)

クリスタ「ただ……どうしてライナーは『いいこと』をするのかなって」

ライナー「いいことをする理由か……ユミルに何か言われたか?」

クリスタ「違うの、違うの!今回はユミルじゃなくて私が勝手に思っただけなの!」

ライナー「そうか……今回はって、おい」

ライナー「まあいいか……いいことをする理由か」

クリスタ「どきどき」

ライナー「……わからん」

クリスタ「えっ」

156: 2013/08/16(金) 02:09:28 ID:GZ5/CbU6
ライナー「そもそも、いいことをしようと思ってやっていると言うよりも、やりたいことをそのままやっているだけなんだ」

クリスタ「……すごいね」

ライナー「俺はクリスタの方が、優しいいい奴だと思っているぞ」

クリスタ「……でも私、ライナーと違うの。いい人だって皆に思われたくて……」ションボリ

ライナー「? それはそれで別に構わないだろ。実際にクリスタはいい奴なんだし……俺だって、そう思われたいという気持ちが無いと言ったら嘘になる」

クリスタ「そう、かな」

ライナー「皆そんなもんだろ。いい人間だと思われたくない奴の方が少ないんじゃないか?」

ライナー「ユミルとかアニはそうかもしれんが」ハハハ

クリスタ「ふふ、そうかも」

ライナー「まあ……あまり難しく考えるなって。な? クリスタは自分がやりたいようにやるといい」

クリスタ「……うん、少し頑張ってみようかな」

157: 2013/08/16(金) 02:10:55 ID:GZ5/CbU6
クリスタ(ミカサからは、感謝の言葉を貰えた。そして、人のためばかりではなく自分のために動くべきだと言われた)

クリスタ(アルミンからは、楽しいことや幸せなことは正しいことだと。そして考えすぎないようにと言われた)

クリスタ(ライナーからもそう、私は難しく考えすぎていると。やりたいように、やればいいと)

クリスタ(……氏に急ぎの私だけど、世界はこんな状態だけど。少しくらい、今したいことをしてもいいのかな)


クリスタ「……ありがとう、ライナーはやっぱり頼りになるいい人だね」ニコッ

ライナー「……」

クリスタ「ライナー?」

ライナー「……違うんだ」

クリスタ「え?」

ライナー「……俺は」

ライナー(どの口で、さっきまでいったい何を言っていたんだ)

158: 2013/08/16(金) 02:12:44 ID:GZ5/CbU6
♯33 アニとユミル


アニ「……ユミル」ゴロゴロ

ユミル「なに」ゴロゴロ

アニ「本、面白いの」

ユミル「うん」

アニ「そう」

アニ「……」

ユミル「……アニ」

アニ「なに」

ユミル「暇なのか」

アニ「べつに」

ユミル「そうか」パタン

ユミル「喉乾いたな。食堂いかねえ?」

アニ「いいよ、ついてってやっても」

159: 2013/08/16(金) 02:13:35 ID:GZ5/CbU6
ユミル「お前さ、ミーナいないから寂しいんだろ」テクテク

アニ「あんたはクリスタいなくて寂しいんでしょ」テクテク

ユミル「黙秘権」テクテク

アニ「そんなら私も……ん?」ピタリ

ユミル「どした?」

アニ「何か落ちてる。……しおり?」

ユミル「へー? いつから落ちてたんだ。さっきここベルトルさんと通った時は気づかなかったけど」

アニ「あんたらは視線が高いから気付かなかったんじゃないの?」

アニ「……」ゲシッ

ユミル「いってえ! 何で蹴った今!?」

アニ「ふん」

160: 2013/08/16(金) 02:15:37 ID:GZ5/CbU6
ユミル「ちぇ、……しかし、誰のだ? これ結構いいもんじゃねえか?」

アニ「そうね。金属細工か……女子寮側に落ちてたから、女子の誰かかな」

ユミル「んー、でもこの辺は男子も割りと来るだろ」

ユミル「……わかんねーし、貰っちゃえば?」

アニ「いる?」

ユミル「いらね」

アニ(綺麗だし落ちたままにしておくのも忍びないな)

アニ(誰か踏みそうだし……)

アニ「じゃあ私が持っておくよ」

161: 2013/08/16(金) 02:20:24 ID:GZ5/CbU6
ようやく半分
今日はこの辺りで

今後もきっとのんびりです




引用: クリスタ「66のダイアローグ」