163: 2013/08/18(日) 01:19:03 ID:Xr7HLHPo

クリスタ「66のダイアローグ」【前編】


♯34 ミカサとサシャ



サシャ「ふっふっふー、思ったよりも簡単に出来そうな気がします!」ルンルン

サシャ「お、あの黒髪は……ミカサー!」ブンブン

ミカサ「サシャ……どうしたの、調理場はこっちじゃない」

サシャ「えへへ、その前にやる事が……あれ? なんで知ってるんですか?」

ミカサ「図書室で話が聞こえた。私がいたの気付かなかった?」

サシャ「気付きませんでした!」ガーン

ミカサ「私の方も話しかけなかったし、仕方ない」

ミカサ「……あ、でも何故ケーキを作ろうとしているかは聞こえなかった。理由はあるの?」

サシャ「ふふふー! 今日ケーキ屋に行く用事が流れてしまったので、クリスタとユミルにご馳走してあげるんです!」

サシャ「あとはーコニーとライナーとベルトルトとマルコと、……ん? ベルトルトは確か女の子達と食べるべきだと言っていたような……」

サシャ「まあ、皆です! 皆で食べるんです!」グッ
進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)
164: 2013/08/18(日) 01:21:46 ID:Xr7HLHPo
ミカサ「サシャが人に食べ物を渡すなんて……褒めてあげよう」ナデナデ

サシャ「そんなに暴君に見えますか、私は」

ミカサ「? 食べ物に関してはそうでしょう」ナデナデ

サシャ「ぐぬぬ否定出来ない……そしてミカサの撫で撫でテクニックがやばいです……」ニマー

ミカサ「どや」

ミカサ「でも、皆にという量を作るなら時間がかかると思う。何故こんなところに?」

サシャ「さっきここに美味しい実があったんです、それを使おうかなーって」ゴソゴソ

サシャ「あった、これです! はい、ミカサあーん」ヒョイ

ミカサ「んむ、……なかなかいい味」モグモグ

サシャ「でしょう。ユミルも気に入っていたみたいです」モグモグ

165: 2013/08/18(日) 01:23:28 ID:Xr7HLHPo
サシャ「ふふ、結構たくさん実っていますし、頂いていきましょう」ツミツミ

ミカサ「手伝おう」ツミツミ

ミカサ「その代わりと言ってはなんだけど、エレンとアルミンの分も作ってあげてほしい」

サシャ「勿論じゃないですか。ミカサにも食べてもらおうと思ってますよ」

サシャ「ふふ、それにしても自分の事よりも真っ先に二人の話なんて、やっぱり仲良しですねえ」ツミツミ

ミカサ「エレンとは喧嘩しているけれど」

サシャ「えっ」

ミカサ「おかしい?」

サシャ「け、喧嘩とかするんですね……。その割に、エレンにも作ってあげてと言うんですか」

ミカサ「? だって喧嘩していようが、私がエレンを好きで大切なのは変わらない」

サシャ「はー、成る程。いいですね、そういうの。羨ましいです」

166: 2013/08/18(日) 01:26:04 ID:Xr7HLHPo
♯35 エレンとコニー


コニー「お、このベンチ。ネジが少し弛んでる」

コニー「ひひひ、俺が締めてやるかねー」チャキーン

コニー「おーやっぱ使いやすい」グルグル

エレン「何やってんだお前」

コニー「エレンか。見ろこれ、新しいドライバーが使いやすいんだ」

エレン「あー、新しい物って使いたくなるよな」

コニー「な。 ライナーがくれたんだ」

エレン「へえ」

167: 2013/08/18(日) 01:28:27 ID:Xr7HLHPo
エレン「兄貴って感じだよな、ライナーって……羨ましい」

コニー「ああ、俺も男らしくなりてえ」

コニー「エレンはまだいいだろ。背低くねえもん」

エレン「……コニーの隣に、あまりミカサはいないだろ」

コニー「……そうだな」

エレン「くそー! 男らしくなりてえ!!」

コニー「ミカサよりも?」

エレン「よりも!」

コニー「むりじゃね」

エレン「くっそ! くっそ!」

エレン「……ガキの頃は、俺がミカサを守ってやらなきゃと思ったんだけどな」ボソリ

コニー「すげえ! お前冗談うまいな!」

エレン「くそーーー!!」

168: 2013/08/18(日) 01:29:48 ID:Xr7HLHPo
エレン「せめてミカサより背が高かったらな。今ほとんど同じくらいだ」

コニー「背伸ばしたいのか?」

エレン「そう言ってんだろ」

コニー「そうか……天才の俺が何とかしてやってもいいぜ?」

エレン「えっやだよ……お前俺より小さいじゃん」

コニー「これから伸びるんだよ!! お前なー信じる者は……なんだっけ、なんか良いんだぞ!」

エレン「救われるな」

コニー「それだ」

エレン「そこまで言うんなら聞いてやるよ。どんな方法だ?」

コニー「鉄棒にぶら下がるんだ!」

コニー「重力に引っ張られて、体も伸びると思う!」

エレン「すげえ!!」

コニー「だろ!」

エレン「コニーが重力知ってた!!」

コニー「そっちかよ!!」

169: 2013/08/18(日) 02:06:08 ID:Xr7HLHPo
♯36 ベルトルトとクリスタ


クリスタ(結局、ライナーはあの後浮かない顔をしたまま行ってしまった。 何があったんだろう…… あ)

クリスタ「ベルトルト」

ベルトルト「ん? ああ、どうしたんだいクリスタ」

クリスタ「図書室からの帰り?」

ベルトルト「うん、いいの借りれたから部屋で読もうかと思ってね」

クリスタ「あの、少し時間いいかな。ライナーの事で話があって」

ベルトルト「…………聞こうか」

クリスタ「あのね、さっきライナーと話をしていて……そこで、少し私の相談に乗ってもらったんだけど。その後でなんだか浮かない顔になっちゃって」

クリスタ「ライナーは何でもないって言っていたんだけど……気になるよ」

ベルトルト「……その相談で、ライナーは何か言っていた?」

クリスタ「ううん……すごく親身になって聞いてくれていたけど、特に原因は思い当たらないの」

ベルトルト(親身に、か)

ベルトルト「多分、クリスタは悪くないよ。そういえば今日は腹の具合が悪いんだって言ってたし、それだ」

170: 2013/08/18(日) 02:08:18 ID:Xr7HLHPo
クリスタ「……本当?」

ベルトルト「本当、本当。クリスタは心配しすぎだよ」

クリスタ「ならいいんだけど……」

ベルトルト(納得いかない、という顔だ。 話を変えた方がいいか……)

ベルトルト「……ところで、クリスタ少し手が汚れているね」

クリスタ「あ、あはは、これ多分アニと鉄棒した時だわ」

ベルトルト「へえ、アニと。 ……えっ鉄棒とかするの、アニって」

クリスタ「うん。 ふふふ……一緒にぶら下がってただけなんだけど、背が伸びないかなーって二人で!」

ベルトルト「はははコニーみたいなことしてる」

ベルトルト(いいなあ、見たいなあそれ)

クリスタ「でもアニは筋トレだって言い張っててね。可愛かったなあ、なーんて」

ベルトルト「何それ超見たい」

クリスタ「? 今何か言った?」

ベルトルト「なんでもない」

171: 2013/08/18(日) 02:09:08 ID:Xr7HLHPo
クリスタ「……あれ? ベルトルト、その一番上の本ってユミルの?」

ベルトルト「うん、今日貸してもらったんだ」

クリスタ(そういえば、今日は朝ごはんの後からユミルに会ってない……)

ベルトルト「朝ごはんの時はいつものユミルだったけど、今日は髪を解いていたみたいだね」

クリスタ「えっ、そうなの?」

ベルトルト「うん、どうしたんだろうね。髪留め壊したのかな」

クリスタ(そうなのかな……ユミル、今はあれしか持ってないみたいだったし)

ベルトルト「だから後姿だと気付かなかったな。……高いところの物取ろうとしてぴょんぴょん跳ねてたし。あまりあの姿はイメージになくて」

クリスタ「何それ超見たい」

ベルトルト「? 今何か言った?」

クリスタ「なんでもない」

175: 2013/08/23(金) 00:22:23 ID:B0HguFkQ
#37 ジャンとアルミン


アルミン「」モクモク

ジャン「」モクモク

アルミン(製図用のトレーシングペーパーに紋様を描き、その周りを切り抜く。紋様の見本はマルコが持ってきてくれた本だ)

アルミン(そして、厚紙の上に僕の押し花と一緒に並べてから透明のシートでパウチ……なんだけど、配置が難しい)

ジャン「」モクモク

アルミン(マルコと僕だけじゃなく、ジャンも作るとは思わなかった)

ジャン「……このしおりはよ、エレンとミカサにやるんだろ?」

アルミン「え? ああ、うんそうだね。そっか言わなくても分かるか」

アルミン「あ、駄目だよ? ミカサにあげる分も僕が作るんだから。個人的にジャンがミカサに渡すと言うなら勿論止めないけど」

ジャン「ち、ち、ちげえよ! そう言う話じゃねーよ!」ワタワタ

176: 2013/08/23(金) 00:24:11 ID:B0HguFkQ
ジャン「じゃなくてだな……お前、しおり無くしたって聞いたんだが」

アルミン「へえ、誰から?」

ジャン「氏に急ぎ野郎から……いや、ミカサからもだな」

ジャン(ミカサが言っていた探し物は多分これだろうし)

アルミン「やっぱりエレンも探しているのかあ」モクモク

ジャン「お前は探さねえのか?」

アルミン「探したさ。これが終わったら後でまた探す。……大切な物だからね」

177: 2013/08/23(金) 00:26:11 ID:B0HguFkQ
アルミン「お爺ちゃんから貰ったんだ。細かい金属細工だったから、貴重なものだったんじゃないかな」モクモク

アルミン「ジャン、そこのピンセット貸して」

ジャン「ほらよ。 ……その大切なもんは置いといてまで、なのか? このしおり作りは」

アルミン「うん。同じくらいに大事なんだ」

アルミン(もう二人とも忘れているかもしれないけれど)

ジャン「あー、くそ 羨ましいな」

アルミン「ん?」

ジャン「どう足掻いても、積み上げた時間って奴は太刀打ちできねえじゃねえか」

アルミン「これから積み上げたらいいだろ」

ジャン「……」



アルミン「まあそれと一緒に僕らも更に時間を積み上げていくんだけどさ」

ジャン「太刀打ち出来ねえじゃねえか」

178: 2013/08/23(金) 00:30:02 ID:B0HguFkQ
#38 コニーとアルミン


アルミン(思いの外はやく出来たなー)

アルミン(後でマルコとジャンにはお礼しなきゃ)ガチャ

コニー「あ」

アルミン「あ」

アルミン「……」

アルミン「……え! コニー!? 大丈夫? 君が入ろうとしているのは図書室だよ!?」

コニー「なんだよその反応は! 俺が図書室来たらおかしいのかよ!」

アルミン「いや、おかしいだろ」

コニー「おかしいな」

アルミン「何でまた」

コニー「背を伸ばす方法が本にねえかなあと思って」

アルミン「……なるほど」ピクリ

179: 2013/08/23(金) 00:35:02 ID:B0HguFkQ
アルミン「それなら健康科学の棚とか? そう言えば探したこと無かったよ……僕としたことが盲点だった」

コニー「でかくなりたいよなあ」

アルミン「なりたいねー」

コニー「ベルトルトを見下ろしてやりたいよなあ」

アルミン「うん。……うん? いやそれは……ちょっと」

コニー「夢は大きく!」

アルミン「二つの意味でね。でも流石にでかすぎるよ。巨人と間違えられちゃいそうじゃないか」

コニー「ベルトルト、巨人だったりしてな」

アルミン「ははは、こわいなー」

180: 2013/08/23(金) 00:38:39 ID:B0HguFkQ
コニー「よし、ならアルミンも『身長伸ばしたいの会』に入ろうぜ」

アルミン「待って何その会、初耳なんだけど」

コニー「ふふふ……そうだろう。今初めて考えた」

アルミン「君、ライブ感すごいな」

アルミン「なら、会員は僕と君だけ?」

コニー「あと……アニとエレン?」

アルミン「アニ……入るかなあ」

アルミン「エレンも会員なの?」

コニー「でもあいつ、俺に教わりたくねえらしい。生意気な」

アルミン「……うーん、ならエレンをぎゃふんと言わせるくらいの知識を備えればいいんじゃないかな」

コニー「だな! じゃあ図書室行ってくる! 頼もう!!」ガチャ

アルミン「あ、コニー図書室は静かに……」

オイバカ ウルセーヨ
ナンダトー

アルミン「遅かった」

181: 2013/08/23(金) 00:43:11 ID:B0HguFkQ
#39 ジャンとコニー


コニー「頼もう!!」ガチャ

ジャン「おい馬鹿、うるせえよ」

コニー「なんだと」

ジャン「頼もうってなんだ。道場破りか、お前は」

コニー「……? 何言ってんだ、ここは図書室だぜ?」

ジャン「何言ってんだはお前なんだよ!」バンッ

ジャン、コニー、 シー

コニー「あ、マルコすまん」

ジャン「俺に対してとマルコに対してで態度違いすぎねーかおい」

182: 2013/08/23(金) 00:48:14 ID:B0HguFkQ
コニー「まあとりあえず本だ本」

ジャン「走るんじゃねーぞ」

コニー「任せろ。今日は走らない日だ」キリッ

ジャン「? ならいいけどよ……って、おい」

コニー「ん?」

ジャン「手」

コニー「? ……両方あるぞ」

ジャン「馬鹿にしてんのか。違う、汚え」

コニー「あー、ちょっと鉄棒にな」

ジャン「理由は聞いてねえよ。その手で本に触るなって言ってんだ」

コニー「あー」

183: 2013/08/23(金) 00:49:19 ID:B0HguFkQ
コニー「そりゃ確かにいけねえ。洗ってくるわ」

ジャン「ちゃんと拭いて来いよ。濡れた手で本触るんじゃねーぞ」

コニー「母ちゃんか」

ジャン「うっせえ」

コニー「あ、ジャン。俺が手洗いに行ってる間に背が伸びる本探しておいてくれよ」

ジャン「は!?」

コニー「俺今日走らない日だから長くかかりそうだし、頼んだぜー」テクテク

ジャン「待て馬鹿!って……なんだよ背が伸びる本って」

ジャン「本は万能のアイテムじゃねーぞまったく……」ブツブツ

184: 2013/08/23(金) 01:07:46 ID:B0HguFkQ

#40 アニとサシャ



アニ「ふう」

アニ(お茶も飲んだし……どうしようかな。ユミルはまた本読み始めてるし。……ん?)

サシャ「……」ジー

アニ(調理室の方からサシャが覗いている……あ、何かこっちに来いって動作。私、いやユミルか?)

アニ「ユ……」

サシャ「……!!」ブンブン

アニ(あ、物凄い勢いで首を横に。てことは私か。……ユミルは本に熱中してるし、行ってみるか)ガタッ

185: 2013/08/23(金) 01:08:43 ID:B0HguFkQ
サシャ「いやーよく来てくれましたね、アニ!」

アニ「私でいいの?」

サシャ「ユミルに知られるわけには行かない事なので!」グッ

アニ「……知られるわけにいかないことって、この作っている途中の何かのこと?」

サシャ「はい! で、ですね……是非ともアニに手伝って欲しいかなあなんて……」モミテ

アニ(めんどくさ)

サシャ「アニ、顔に、顔に出てます」

アニ「……あ、これパウンドケーキじゃないの」

サシャ「そうなんです。いっぱい作るからアニも食べましょうね!」

アニ「そうか……やっぱり手伝うよ」

サシャ「本当ですか! やったー!」ワーイ

アニ「ユミルに聞こえるよ」

サシャ「おっと」

186: 2013/08/23(金) 01:15:09 ID:B0HguFkQ
アニ「でも、なんでパウンドケーキ?」マゼマゼ

サシャ「ケーキ屋さんに行けなかったので、その代わりに。パウンドケーキについてはライナーとベルトルトから聞きました」マゼマゼ

アニ「そっか」

アニ(二人とも覚えていたんだ……まあ、結構はしゃいだものね。三人で)

アニ(懐かしいな)

アニ「あのさ、これって他に誰と食べるの?」マゼマゼ

サシャ「えーと、みんなです!」

アニ「……そうか、みんなか」

アニ(ライナーとベルトルトも? ……って聞けたら楽なんだけどな。ミカサが羨ましい)

アニ(……全く、私はいつからこんな感傷的になったんだろうね)

187: 2013/08/23(金) 01:17:03 ID:B0HguFkQ
アニ「この赤いのは?」

サシャ「その実はちょっと細かくしてから生地に混ぜようかなあって」

アニ「へえ……半分くらいは細かくしないでそのまま入れてもいいんじゃない? 食感が良さそうだし」

サシャ「ああ、いいですねー!」

サシャ「……えへへ」

アニ「? 何、気持ち悪いな」

サシャ「アニと料理作れるなんて、思っていなかったんですもん。楽しいなあって」テレテレ

アニ「…………何それ」

サシャ「アニは楽しくないんですか?」

アニ「別に」

サシャ「えー、じゃあ何で一緒に作ってくれるんですかー?」

アニ「……ただ、パウンドケーキが好きなだけよ」

192: 2013/08/27(火) 00:25:29 ID:.6sLQl7I
#41 マルコとクリスタ


クリスタ「あ、マルコ」ガチャガチャ

マルコ「やあ。……工具箱? 何か作るのかい?」

クリスタ「えへ、部屋だとユミルに見つかっちゃうかなあと思って……」

マルコ「てことは、ユミルにか」

クリスタ「うん。髪留めを作ろうかなって。アクセサリーパーツは結構持ってるから」

クリスタ「ここ、広げちゃっても大丈夫?」

マルコ「ああ、今日は人少ないし大丈夫だろ。ジャンも……」チラリ

チクショー ナンデオレガ

マルコ「……本当、なんだかんだでいい奴だよなあ、あいつ」

クリスタ「? ジャンの事?」

マルコ「ん ああ、なんでもない。ジャンは今本棚の方にいるし、戻ってきても本を読むだけだろうから、スペース使っちゃって大丈夫だよ」

193: 2013/08/27(火) 00:27:02 ID:.6sLQl7I
クリスタ「よーし、どのパーツ使おうかなあ……」

マルコ「へえ、色々なパーツがあるんだね。……あ、これとか綺麗だ。宝石みたい」

クリスタ「でしょ? 好きなのがあったら少しあげるよ」

マルコ「え、悪いよ」

クリスタ「ううん、いいの。そのかわり……ちょーっと手伝ってほしいかなーなんて……駄目?」

マルコ(うーん、これで駄目って言える男がいるだろうか。もとより別に断るつもりもないけれど……)

マルコ(……ん、金具が外れた石があるな。ならこれを)

マルコ「いいよ、じゃあこれをくれるかな」

クリスタ「それでいいの? もう使えないのだから、私としてはありがたいけれど……」

マルコ「僕は別に何か作るわけじゃないからね」

194: 2013/08/27(火) 00:29:21 ID:.6sLQl7I
クリスタ「でも、本当に迷惑じゃなかった?」

マルコ「大丈夫だよ。というか、さっきから似たような事やってる」

クリスタ「えっそうなの?」

マルコ「ほら、これはさっき……」シオリ

クリスタ「あ、アルミンと?」

マルコ「なんだ、知ってたんだ」

クリスタ「うん。お花一緒に摘んだ時にしおり作るんだって聞いたんだ」

クリスタ「……でも、なおさら悪いよ。私までマルコの時間を使っちゃうなんて」

マルコ「そんな事ないさ。だって楽しいし」

クリスタ「……そう?」

マルコ「うん。普段自分ではやらない事が出来るから」

クリスタ「そっか……えへへ、いいねその考え」

195: 2013/08/27(火) 00:31:29 ID:.6sLQl7I
#42 エレンとサシャ


エレン「はー、喉乾いた。……あれ、ユミル」

エレン「……本読んでるな。すげえ集中してるし、奥いこ」テクテク


サシャ「ふー、ちょっと休憩。あら、エレンじゃないですか」

エレン「おー、そっちに水差しねえ?って何やってんだ。盗み食いか」

サシャ「し、使用許可は取りましたよ!」

サシャ「はっ あわわ、ユミルに聞こえてないですよね。ないっぽい。ほっ」

エレン「本当に何してんだ……まあいいや。水差し貸してくれよ」

サシャ「はい」

196: 2013/08/27(火) 00:32:36 ID:.6sLQl7I
サシャ(……そう言えば、クリスタの様子がおかしくなる前にエレンと会っていたんでしたね)

サシャ「……クリスタと何か話しました?」

エレン「は? ……あ、もしかして……あれかな」

エレン「俺とクリスタが氏に急ぎ野郎ってところで似てるんだと、言われた」

サシャ「へ? ……クリスタがそんなことを?」

エレン「ああ。でも、俺は自分では氏に急いでるつもりねえからな。だから似てねえよって返したんだけど……」

エレン「……何か悪いこと言ったかな? 俺」

サシャ「うーん……分かりません。でも、エレンが悪いんじゃないと思いますよ」

サシャ「クリスタに何か思うことがあったのでしょう」

197: 2013/08/27(火) 00:33:42 ID:.6sLQl7I
エレン「そうか……ならよかったよ。また余計な事言ったかと思ったぜ」

サシャ「また?」ピクリ

エレン「あ」

サシャ「詳しく」

エレン「……いや、ミカサに……カクカクシカジカ」

サシャ「コレコレウマウマ……って、それはエレンが悪いですよ!」

エレン「やっぱりか?」

サシャ「そもそもエレンは……」

エレン「お、俺、そろそろ出るな!」ピュー

サシャ「逃げおった!」

201: 2013/08/27(火) 01:50:20 ID:.6sLQl7I
#43 ジャンとクリスタ


クリスタ(作っている間にジャンが本棚から戻ってきて、コニーが図書室に入ってきた)チクチク

ウグググ ジガオオイ……

クリスタ(コニーが苦悶の表情を浮かべて本を読んでる……)クスッ

ジャン「おい、針使ってんだから手元見ろよ」

クリスタ「へ? そ、そうだねありがとう!」

ジャン「別に……」ペラリ

クリスタ「あ、しおり。ジャンも作ったんだ」

ジャン「おう」

クリスタ「ジャンも器用だもんね……そうだ、ジャンも髪飾り作る?」

ジャン「はぁ!? 男に何言ってんだお前」

クリスタ「別にジャンが使うんじゃなくて……ほら、これとか黒髪に似合いそう」

ジャン「な、ななな何言ってんだお前  マルコもにやにやしてんじゃねーよ!」

202: 2013/08/27(火) 01:51:08 ID:.6sLQl7I
オイ、ウルセーヨ

ジャン「あっはい」

クリスタ「ごめんなさい」

ジャン「くそ、コニーに怒られるとは」

クリスタ「あ、あはは……うるさくしちゃったもんね」

ジャン「……黒髪に似合いそうな飾りか」

ジャン「クリスタが作ってるのも、どちらかと言うと黒髪に合うんじゃねえか?」

クリスタ「だってユミルに使ってもらおうと思って作ってるんだもの」

ジャン「ユミルのためか。物好きなやっちゃな」

クリスタ「ふふ、ユミルのためじゃないのよ」

クリスタ「私がしたいからしてるの。だから、わたしのためなの」

ジャン「……よくわからん。やってることは同じだろ」

クリスタ「気持ちの問題なの!」

203: 2013/08/27(火) 01:52:40 ID:.6sLQl7I
クリスタ「……あれ、ねえマルコ、ここってどうすれば……」

ア、コレハネ
ナルホドー

ジャン「……」

ジャン(ミカサに……髪飾りか。似合いそうだな)

ジャン(シンプルな方がいいんだろうか。派手すぎると邪魔そうだし……いや、ミカサの美しさなら派手な飾りにも負けねえな)モンモン

ジャン(……ミカサが、俺の作った髪飾りを……)

ジャン「……クリスタ」

クリスタ「ん?」

ジャン「やっぱり、作る。少しパーツ分けてくれ」

クリスタ「うふふふふーいいよ」ニコニコニコ

ジャン(相手のためじゃなくて自分のためか。……やっぱりわかる気がするな)

204: 2013/08/27(火) 01:53:18 ID:.6sLQl7I
#44 ベルトルトとエレン


ベルトルト(喉乾いたなあ)テクテク

エレン「……っ!」ピュー

ベルトルト「わっ!?」ドン

エレン「わっ! 悪い、ベルトルトか、大丈夫だったか?」

ベルトルト「うん、大丈夫少しよろけただけだよ」

エレン「……そうだよな、お前でかいから、俺くらいのがぶつかったくらいじゃ何てことねえよな」ギリッ

ベルトルト「何その歯ぎしり。ていうか顔怖いんだけど」

エレン「いいなーー! でけーのいいなああ!!」

ベルトルト「やだこの子、コニーみたいなこと言ってる」

ベルトルト「大丈夫だよ、まだ君は伸びるって」

エレン「……それと一緒にミカサも伸びちゃ意味ねーんだよ」

ベルトルト「あー」

205: 2013/08/27(火) 01:55:57 ID:.6sLQl7I

エレン「ガキの頃から世話焼きだったんだぜ? 俺だって男なのにさー」ブツブツ

ベルトルト「ははは」

ベルトルト「でも分かるな。僕もずっと人について回る方というか……ライナーとかに引っ張られる側だったからさ」

ベルトルト「たまに、僕だって男なのにって悔しかったりもしたさ」

エレン「へー! ベルトルトにもそういう男としてのコンプレックスみたいなのあるんだな」

ベルトルト「身長だけ大きくても仕方ないんだよ。僕なんか、女の子にも喧嘩で負けてた」

ベルトルト(いや、今も負けそうだけど)

エレン「へーお前んとこにもミカサみたいなのいるんだな」



エレン「あーあ……もっと男らしくなりてえなあ」

エレン「……そうしたら、母さんに調査兵団入りを反対されなかったかもしれねえし。喧嘩だって……」

ベルトルト「……」

206: 2013/08/27(火) 01:58:16 ID:.6sLQl7I
ベルトルト「エレン」

エレン「ん?」

ベルトルト「君が強かろうと、男らしかろうと。きっと君のお母さんは、調査兵団入りを反対したんじゃないかな」

エレン「……分かってるよ」

ベルトルト「……ごめん」

エレン「? はは、なんで謝ってるんだよ。変な奴だな」

ベルトルト「はは……ごめん」

エレン「だからなんで」

ベルトルト「……僕、喉乾いていたんだった。お茶でも飲んでくるよ」

エレン「あ、おい! ……本当に変な奴だなあ」



ベルトルト(……そうか。そういえば朝食の時からライナーとアニに会ってない)

ベルトルト「ライナーとアニに会いたいなあ」ポツリ

213: 2013/08/31(土) 10:47:02 ID:JPuCilis
#45 ライナーとアニ


アニ「はー……調理場あっつい」パタパタ

アニ(ユミルには内緒で作ってたみたいだから裏口の方に来たけど、まだ本読んでるのかな……)

アニ(折角図書室もあるんだ、久しぶりに私も読もうかな。後で借りるか)

ライナー「? なんだ、アニ。食堂の裏口なんかで何してるんだ」

アニ「! なんだ、あんたか」

ライナー「なんだとはなんだよ。……あーあ、手も粉だらけだし何してたんだ」

アニ「……サシャの手伝いに、仕方なくね」

ライナー「ああ……俺も話は聞いた。珍しいな。お前が手伝うとは」

アニ「懐かしかったからね。……ねえ」

ライナー「ん?」

アニ「……なんか、普段より少しテンション低くない?」

ライナー「たまには俺だってアンニュイになるさ」

アニ「アンニュイゴリラか……おぞましいな」

ライナー「ひどいこと言いやがる」

214: 2013/08/31(土) 10:49:31 ID:JPuCilis
アニ「まあ、あんたが考えすぎておかしくなってるのはいつもの事だけどさ」

ライナー「…………」

ライナー「……お前と、ベルトルトには迷惑をかけているだろうな」

アニ「……そうね、確かに」

アニ「アンニュイなゴリラなんかそうしょっちゅう見たくないからね」

ライナー「そんなにか! そんなにおぞましいか!」


アニ「……あんたはあんたで、何持ってるの? 蹴鞠なんて可愛らしいもん」

ライナー「コニーに貰った。ドライバーの礼とかで」

アニ「そう。あんたが頼れる兄貴なのは珍しい事でもないからね」

ライナー「皮肉か?」

アニ「……事実だよ」

215: 2013/08/31(土) 10:51:59 ID:JPuCilis
ライナー「……ほれ」ケリッ ポーン

アニ「! っと、と……」ケリッ ポーン

ライナー「さすが、反応がいいな」ケリッ ポーン

アニ「こんな事で褒められてもね」ケリッ ポーン

ライナー「普段から足癖悪いからか、足裁きもいい」ケリッ ポーン

アニ「……せいっ!」シュッ スパーン!

ライナー「顔面っ!!」イタイ!

アニ「全く……乙女になんて言いぐさかね」

アニ「折角可愛らしい蹴鞠だってのに、フルキックさせるんじゃないよ」

ライナー「俺のせいなのか……」

216: 2013/08/31(土) 10:53:11 ID:JPuCilis
ライナー「その蹴鞠気に入ったのか?」

アニ「模様とか、悪くないんじゃないの。コニーの村のもんかな、これ」

ライナー「俺には蹴りやすいボールでしかないからな。お前にやるよ」

アニ「そう? なら貰う」

アニ「……あ」ゴソゴソ

アニ「代わりにこれやるよ」シオリ

ライナー「? なんだ、いいのか?」

アニ「ああ。ただ拾い物だから持ち主がいたら返しておいて」

アニ「あんたのがそういうの得意だろ」

ライナー「……本当に珍しいな。お前が」

アニ「……誰かの甘ちゃんが移ったのかね」

217: 2013/08/31(土) 10:54:08 ID:JPuCilis
#46 ミカサとベルトルト


ベルトルト(……お茶も飲んだし、本でも読もうかな。ひたすら本読んでる人がいたから触発されちゃったよ)

ベルトルト(食堂の前に良い大きさの木があるし、ここに寄りかかって座って……と)ゴソゴソ

ベルトルト(……ライナーやアニが通りかかってくれないかな、なんて)ペラリ

ガサゴソガサゴソ
ニャーン

ベルトルト「? 猫……上から?」ミアゲ

ミカサ(木の上)「…………」

ベルトルト「」ビクッ

ミカサ(木の上)「……猫がね、降りれなくなっていたの」ニャーン

ベルトルト「そ、そっかあ。凄いな、高いのに」ドキドキ

218: 2013/08/31(土) 10:55:20 ID:JPuCilis
ミカサ「立ってくれる? この子を渡したい。抱えたままでは降りづらいので」

ベルトルト「え? 構わないけど……いくら僕でも立ったところで手が届かないよ」

ミカサ「大丈夫。足をこの枝に引っかけて……」グラリ

ベルトルト「ちょっ! おい、落ち……!」

ブラーン

ミカサ(逆さ)「これで大丈夫でしょう? はい」

ベルトルト「うわ、足の力だけで枝にぶら下がってる。わかっちゃいたけど君凄いな」ハイ

ニャーン

ベルトルト「あ、可愛い」

ミカサ(逆さ)「ね」

219: 2013/08/31(土) 10:56:19 ID:JPuCilis
ベルトルト「……どうやって降りるんだ?」

ミカサ「それは普通に  こう」パッ クルッ ストン

ベルトルト(綺麗な宙返りだなあ)

ミカサ「ありがとう、ベルトルト。助かった」

ベルトルト「構わないよ。……へえ、こいつ。目が琥珀色だな」

ミカサ「うん、綺麗」

ベルトルト「小さい頃、幼なじみと可愛がっていた猫もこういう色だったよ」

ベルトルト「……懐かしいな」

ミカサ「……あなたの思い出話は初めて聞いた」

ベルトルト「そうだった、かな」

ミカサ「うん」

220: 2013/08/31(土) 10:56:53 ID:JPuCilis
ミカサ「思えば、あなたと話したことはあまりない」

ベルトルト「そうかもね」

ミカサ「いつもライナーといるから」

ベルトルト「君こそ」

ミカサ「そうね……機会があったら、また話そう。貴方はエレンを助けてくれた。から、感謝している」

ベルトルト(?……ああ、試験のか)

ミカサ「私は食堂の方に行く。では、また」

ベルトルト「ああ、また」

ベルトルト(……何気ない会話の間でも緊張感があった。流石というか、こわい)

221: 2013/08/31(土) 11:00:31 ID:JPuCilis
#47 コニーとクリスタ


クリスタ「完成っ!」ニコニコ

オメデトー
ウマイジャネーカ

クリスタ「へへへ、ユミル喜ぶかなあ。使ってくれるかなあ」ルンルン

コニー「……なあ」

クリスタ「ん?」キョトン

コニー「あの女の髪飾り壊したの……俺なんだわ」

クリスタ「あら、ふふふ、そうだったの?」

コニー「なんか、すまんな」

クリスタ「私に謝る事じゃないでしょ、もう」クスクス

コニー「……」

222: 2013/08/31(土) 11:01:20 ID:JPuCilis
コニー「なんだ、元気そうじゃないか」

クリスタ「え」

コニー「いやー、良かった。サシャの奴が心配してたみてーだからさ」

クリスタ「サシャが私を?」

コニー「おう。まあすぐ立ち直ってたがな」

クリスタ「……それなら、いいんだけど。でもやっぱり謝らないとなあ」

コニー「おう、そうしろ」

コニー「で、謝ってサシャが許したのならもう気にすんな」

コニー「兄弟で喧嘩した時はいつもそうしてたんだ。後に引きずってもいい事ねーからな」

クリスタ「そっか、コニーお兄ちゃんだっけ」

コニー「へへ」

223: 2013/08/31(土) 11:02:55 ID:JPuCilis
クリスタ「うん……ちゃんと謝るよ」

コニー「サシャは気にしてねえだろうけどな」

コニー「むしろ……いひひ、これは内緒にしておくかな」ニヤニヤ

クリスタ「え?」

コニー「ほら、作り終わったのなら片付けちまえよ」

クリスタ「えー、何か今誤魔化した! コニーったら!」

コニー「さーて、読書の続きだ」

クリスタ「……もうっ! いいもん、サシャに聞くから」クスクス

コニー「へへへ」

230: 2013/09/08(日) 00:04:20 ID:O97GPzzE
#48 ミカサとユミル


ユミル(……ふむ。めでたしめでたし、か。言ってしまえばよくある喜劇だな)パラリ

ユミル(しかし、有りがちな甘ったるいハッピーエンドもたまにはいいだろ。悪くねえ小説だった)パタン

ユミル(さて、読み終わったしどうするか…………ん?)

ミカサ「……」ジー

ユミル「うひ!?」ビクッ

ミカサ「……そんなに存在感がないのだろうか、私は」

ユミル「て、ていうか、気配が薄いんだよ……いつからいたんだ」ドキドキ

ミカサ「ユミルの表情が緩んだ辺りから」

ユミル「見てるなよ! どの辺りだよ!」

ミカサ「……ふふ、焦る貴女は珍しい」

ユミル「……笑うお前も珍しいよ」

ミカサ「そう?」

231: 2013/09/08(日) 00:05:10 ID:O97GPzzE
ユミル「そーしてりゃ美人が際立つのに」

ミカサ「……美人? 誰が?」キョトン

ユミル「いや、お前だよ。あー、その不思議そうな顔は可愛いかも」

ミカサ「可愛い……?」

ミカサ「……それは、もっと女の子らしい子に使うべき言葉」プイッ

ユミル「うわ、今の可愛い。なんだよ十分女の子っぽいじゃねーか」

ユミル「お前の言葉を借りるなら……女らしくねえってのは、私みてえなのに使うべき言葉だぜ?」

ミカサ「……私はそう思わない。ユミルも可愛い」

ユミル「お前の目はタピオカか何かか」

232: 2013/09/08(日) 00:05:41 ID:O97GPzzE
ミカサ「さっき本読んでる時の笑顔とか、なかなかどうして」グッ

ユミル「部屋で読めば良かったよ、くそ」

ユミル「たく、そんなに目ざとい奴が自分の造作の良さに気付かねーってんだからなあ……」

ミカサ「……むう」

ミカサ「ユミルの言う事が正しかったとしても、エレンにそう思われなければ意味がない」ボソッ

ユミル「……難儀だなあ、お前も」

ミカサ「……聞こえた?」

ユミル「聞こえなかった事にしてやる」

ミカサ「そうして」

233: 2013/09/08(日) 00:06:43 ID:O97GPzzE
ユミル「なら、私が本読んでにやけてたのも見なかった事にしろよ」

ミカサ「善処しよう。……そんなにいい本だったの?」

ユミル「悪くねえよ。読むか? 図書室のだから読み終わったら返しておいてくれ」ホラヨ

ミカサ「ん。じゃあ借りる」コクリ

ミカサ「……確か、貴女がにやけ始めたのが、終わりから10ページほどから」

ユミル「忘れろっつーの」チョップ

ミカサ「だが避ける」サッ

ユミル「当たっとけよ」

234: 2013/09/08(日) 00:08:23 ID:O97GPzzE
#49 ライナーとマルコ


ウーン……
グヌヌ……

ガラッ

ライナー「……マルコにジャンに、コニーもか、珍しい」

マルコ「やあ、ライナー」

ライナー「二人は何唸ってるんだ」

マルコ「コニーは……本が難しいんじゃないかな。ジャンはチェスの次の駒で悩んでいる」

ライナー「なるほどな」

マルコ「君は本を借りに?」

ライナー「ああ」

ライナー(……そうだ、アニに貰ったしおりがポケットに)ゴソゴソ

235: 2013/09/08(日) 00:09:30 ID:O97GPzzE
マルコ「……! ライナー、そのしおり」

ライナー「ん? ああ、アニから貰ったものだが。いや、あいつも拾ったと言っていたか」

マルコ「へえ、ライナーって結構アニと仲いいの?」

ライナー「まあ、そりゃあ」

ライナー(……違う。あいつと俺が同郷の出身なのは言っていないんだった)

ライナー(いかんな。最近……どうも気が緩む)

ライナー「……たまたま会ったら会話するくらいには、か?」

マルコ「ははは、まあ僕もそのくらいかな」

ライナー(誤魔化せたか)

236: 2013/09/08(日) 00:10:37 ID:O97GPzzE
ライナー「それより、このしおりについて何か知っているようだったが。まさかお前のだったか?」

マルコ「いや、でも心当たりがあるんだ。……その、良かったらそれ」

ライナー「ああ、それは勿論。ほらよ、心当たりの奴に渡しておいてくれ」ホレ

マルコ「流石兄貴、話が分かる」アリガトウ

ライナー「……当たり前のことだ」


マルコ「あ、そうだこれお礼に」ハイ

ライナー「いやそんな必要はって何だこれ」

マルコ「髪留め」

ライナー「……ふーん」

マルコ「ジャン手作り」

ライナー「……へー」

マルコ「ジャンがくれたんだけど、僕は使わないし良かったら」

ライナー「使えってか」

237: 2013/09/08(日) 00:11:32 ID:O97GPzzE
ライナー「む、この本……座学のレポートに使えそうだな。読み終わったら貸してくれ」

マルコ「ああ、その兵法の本ね。内容良かったよ。もう読み終わっているし、持って行って」

ライナー「そうか、助かる。……つうか、こっちの本が礼でも良かったんだが」

マルコ「髪留めは女の子にでもあげたらどうだい?」

ライナー「ジャン手作りでさえ無ければその用途も考えたんだがな……」

ライナー(ジャンがミカサにやれよ、これ)

ライナー「まあ、いいさ。じゃあ俺はこれで」

マルコ「ああ、また夕食の時にでも」


オイ、ツギ

マルコ「ああ、僕の番? ……何睨んでるんだよ、ジャン」

238: 2013/09/08(日) 00:12:48 ID:O97GPzzE
#50 マルコとコニー


マルコ「……うーん」

コニー「……むむむ」

マルコ「ここでこっちに置くと……いや、まてよ……うぬぬぬぬ」

コニー「この筋肉がこれを動かしているから……ここを鍛えると……むぐぐぐぐ」

マルコ「…………」

コニー「…………」



マルコ「よし、この駒だ!」タンッ

コニー「もうわかんねえ!」ダンッ

オマエラウルセー

マルコ「はい」

コニー「すんません」

239: 2013/09/08(日) 00:13:44 ID:O97GPzzE
マルコ「コニーも随分悩んでたね」

コニー「おう……これ、文章が多くてよ。分からないのがある度に図を確認するんだが、混乱して混乱して」

マルコ(これ、難しい本じゃないか……ジャンの奴め)ヤレヤレ

マルコ「ジャンも駒を置くまで少しかかると思うし、もう少し分かりやすいのを探しに行こうか」ガタン

コニー「くそ……そうだな、天才のレベルに見合った本を頼むぜ」ガタン



マルコ「そもそも、身長伸ばしたいから人体学の本って言うのは正しいのか?」

コニー「さっきの本は伸びそうな感じ無かったぜ」

マルコ「こういうのじゃないか? ほら、ストレッチの本」

コニー「おお!」

240: 2013/09/08(日) 00:14:19 ID:O97GPzzE
コニー「マルコはすげーな。一発じゃん」

マルコ「偶々だって」

コニー「座学も実技も取れるし、10位以内は確実だろ? あーあ、俺は座学が足引っ張るんだよなー」

コニー「実技でも、試験のルール間違えて減点食うし。10位以内はきつそうだ」ハア

マルコ「え? いやコニーはいけるだろ」

コニー「えー」

マルコ「君の小回りの効いた機動力は実践では有用だよ。目に見える成果には表れにくいかもしれないけれど……」

マルコ「コニーの長所は教官も見てくれているさ」

コニー「そ、そんな褒めるなよ」

コニー「天才だから当然だけどな!」

マルコ「あはは」

241: 2013/09/08(日) 00:15:20 ID:O97GPzzE
マルコ「まあ……それでも不安なら、座学を教えるくらいなら出来るよ。アルミンよりは質が落ちるけどね」

コニー「そっか、頼むわ」

コニー「あ、あとよ。今度チェスとかも教えてくれよ」

コニー「ジャンとやってんの見てたけどさ、なんかかっけーじゃんか。チェスが出来るっての」

マルコ「いいね! はは、ベルトルトという新たな対戦相手が見つかったと思っていたけれど……」

マルコ「そうか、出来る人を探すんじゃなくて、出来る人を増やすのも手なんだな」

コニー「おい、初心者なんだから優しくしろよ」

246: 2013/09/11(水) 01:14:21 ID:gS7cfqTk
#51 ライナーとアルミン


ライナー「……どうしろってんだろうなあ、この髪留め」

アルミン「ライナー、今一人かい」コソコソ

ライナー「? ……どうした、そんな小声で。そんな箱持って」ヒソヒソ

アルミン「これを僕たちの部屋に運ぶのを手伝って欲しいんだ」ガサッ

ライナー「これ? これは……しかし、どうして」

アルミン「落ち着いて、冷静に聞いて欲しい」



アルミン「ユミルに……バレた」

ライナー「……隠してある場所が、か?」

アルミン「ああ。しかも、恐ろしい事に敵はどの本が誰の物かも当ててきた」

ライナー「なんて事だ……」

247: 2013/09/11(水) 01:15:48 ID:gS7cfqTk
アルミン「今日の昼頃だったかな。僕が物置で探し物をしている時にユミルと会って。その時に」テクテク

ライナー「あー、それでユミルがジャンの整備道具持ってたのか」テクテク

アルミン「そうそう、会ったんだね」

ライナー「で……本は次の隠し場所が決まるまで俺たちの部屋に一時避難か?」

アルミン「ううん、ここが次の隠し場所だよ。あ、待って今ドア開けるから」ガチャリ

ライナー「おい、俺たちの部屋に置いたら寮母さんにすぐばれるぞ」

アルミン「いいから、こっち!」



アルミン「よいしょっと……ふー、本って重いね」

ライナー「俺達のベッドじゃないか。まさか布団の下なんて言い出すんじゃないだろうな」

248: 2013/09/11(水) 01:17:28 ID:gS7cfqTk
アルミン「その下だよ。ちょっとこの布団持ち上げておいて。……ほら、ここ」コンコン

ライナー「! 板目に紛れて分かりにくいが、蓋があるのか」

ライナー「だが、寮母さんも知っているんじゃないか?」

アルミン「多分それはない。その証拠に……ほら」カパッ

ライナー「す、すでに本が入っているだと!」

アルミン「きっと過去にここを使っていた訓練生も同じ事をしていたんだよ。ありがたく使わせて貰おう」

アルミン「この場所も……残されていたこの本も!」キリッ

ライナー「ふふ……俺たちも未来の訓練生に向けて本を残しておくか」

ライナー「未来への遺産……ってやつかな」キリッ

アルミン「ふふふ」



アルミン「あれ、ちょっと、何いきなり落ち込んでるの!」

ライナー「いや……欲の力って凄いな。さっきまで悩んでいたこと完全に頭から吹っ飛んでいた……」アタマカカエ

アルミン「やめてよ我に返るの! ずるいよ!」

249: 2013/09/11(水) 01:19:13 ID:gS7cfqTk
#52 ミカサとマルコ



ミカサ「……? マルコ、あなた一人なの」

マルコ「え、ミカサ? うん、ジャンはトイレにって外へ出たけど……」

ミカサ「そうなの」

マルコ「……あー、しまったなあ……」

ミカサ「?」

マルコ「いや、こっちの話」

マルコ(ライナーに髪留めあげなきゃ良かったかな。ジャンがいない隙にミカサに渡してしまえばよかったんだ)

マルコ(……そういえば、僕はアドバイスしただけで作らなかったんだよね。パーツを一部貰っただけで……)カチャリ

ミカサ「……!」

250: 2013/09/11(水) 01:21:07 ID:gS7cfqTk
ミカサ「マルコ、それを見せてほしい」

マルコ「? いいけど」ハイ

ミカサ「……琥珀」

ミカサ「マルコ、これを私にくれないだろうか」

マルコ「え? ……うーん、貰い物だしなあ」

マルコ(まあ、クリスタは気にしないとは思うけど)

ミカサ「勝手なのは分かっているのだけど、ベルトルトが喜ぶと思って」

マルコ「へえ、ベルトルト? ミカサからその名前が出るとは思わなかった」

ミカサ「ええ、私もあまりちゃんと話した事は無かった」

ミカサ「でも彼はエレンに試験のアドバイスをしてくれていた」

ミカサ「アルミンとはたまに本の話をしているようだし……」

251: 2013/09/11(水) 01:22:16 ID:gS7cfqTk
マルコ(つまりそのお礼ってことかな。成る程、エレンとアルミンの事しか頭にないのかと思ったけれど、少し考えを改めようか……)

ミカサ「なので、ここでベルトルトに恩を売っておくのはエレンとアルミンの為になると判断した」グッ

マルコ「あ、僕の考えていた通りのミカサだった」

ミカサ「?」

マルコ「いや、こっちの話」

マルコ「……まあ、ベルトルトが喜ぶなら良いかな」

ミカサ「ありがとう。……待って、何かお礼を……」ゴソゴソ

マルコ「え、いいよ。ベルトルトに渡すのならミカサから貰うのも……」

マルコ「あっ!」

ミカサ「え?」

252: 2013/09/11(水) 01:23:39 ID:gS7cfqTk
マルコ「その本、ミカサが借りてたのか! 僕も面白そうだと思っていたんだ」

ミカサ(その本……あ、ユミルから借りた本)

マルコ「どうだった? 面白かったかい?」

ミカサ「いえ、私もこれはユ……んん、読み終わった人から借りたものなの」

ミカサ(あれは言うな、と言われていたんだった)

マルコ「なんだ、そうかあ」

ミカサ「でも、読んだ人は面白そうに読んでいた」

マルコ「へー、期待が膨らむなあ。読み終わったら教えてくれよ。僕も読みたい」キラキラ

ミカサ「……」

ミカサ「いえ、これは先に貴方が読んで。さっきのお礼」ハイ

マルコ「!! いいのか、ありがとう!」

ミカサ「うん、マルコが嬉しそうでいい事」ホッコリ

ミカサ「こうして恩を売ってエレンとアルミンの為に」グッ

マルコ「それ口にしちゃう辺り、変なとこ抜けてるよなあ」

253: 2013/09/11(水) 01:27:20 ID:gS7cfqTk
ミカサ-ライナー
ミカサ-コニー
ライナー-ベルトルト
ベルトルト-アニ
アニ-マルコ
アニ-アルミン
エレン-マルコ
エレン-アルミン
エレン-ユミル
ジャン-マルコ
ジャン-ユミル
マルコ-ユミル
サシャ-アルミン
クリスタ-ユミル

残り組み合わせはこんなところ
コメントありがとう いつも嬉しい
今後もまったりだからのんびり見守っていてくれると助かる

257: 2013/09/16(月) 01:07:45 ID:uZIGSzpg
#53 ベルトルトとアニ


アニ(オーブンに入れた、あとは待つだけ)トンットンッ

アニ(っとと、変な方向に蹴っちゃうところだった。……サシャは何かまだやっていたようだけど)トンットンッ トンッコロコロコロ

アニ「あ、やば。 あーあ、転がっていっちゃったよ……」テクテク


ベルトルト「? ボールだ……」

アニ「あ、ベルトルト。そこで本読んでたのか」

ベルトルト「! あ、アニ!」

アニ「? ……なんだよ、声掛けただけでそんなに驚かなくても」

ベルトルト「いや、うん。何でもないんだ」ニコニコ

アニ「変なベルトルト」

258: 2013/09/16(月) 01:09:19 ID:uZIGSzpg
ベルトルト「このボール、アニの?」

アニ「うん。貰った。ライナーに」

ベルトルト「なんでまたこんな可愛らしいのを……」

ベルトルト(あ、そうだ。返さなきゃ)ヨイショ

アニ「ちょっと」

ベルトルト「ん?」

アニ「まさか投げて寄こす気? 蹴鞠なんだよ。蹴って寄こしてよね」

ベルトルト「どっちでもいいような気がするんだけどなあ……」ケリッ コロコロ

アニ「ん、 よし」パシッ ケリッコロコロ

ベルトルト「あれ?」パシッ

アニ「ん?」

ベルトルト「なんでまたこっちに返したんだい」

アニ「暫く暇なんだよ」

ベルトルト「ああ、そういう……君、言葉足りないよね」ケリッ コロコロ

259: 2013/09/16(月) 01:17:06 ID:uZIGSzpg
アニ「あんたに言われたくない……よっと」ケリッ

ベルトルト「とと、……わざと変な方向に蹴ったろ、今」

アニ「ふん」

ベルトルト「言葉が足りないか。……そうかもね、僕が口を開かない分、ライナーに頼りっきりだ」ケリッ

アニ「……そんなんだから、デキてるとか噂立つんだよ」パシッ

ベルトルト「女の子の間でもそうなの!? マジかよ……はあ」

アニ「ライナーも、あんたに頼られると張り切るからね……いや」

アニ「あんた相手だけじゃないか。あいつは」ケリッ

ベルトルト「……そうだね」パシッ

アニ「その蹴鞠もさ。コニーから貰ったんだってさ、お礼とかで」

ベルトルト「へえ……」ケリッ コロコロコロ

アニ「あー、変な方向に」

ベルトルト「あ、ごめん」

260: 2013/09/16(月) 01:18:25 ID:uZIGSzpg
ベルトルト「こういうのしてると、小さい頃を思い出さないか?」

アニ「ああ。父さんが格闘技ばかり教えてくるせいで、友達もあんたらみたいな男の子が多くてさ」ケリッ

ベルトルト「ははは、ライナーが君を男の子だと勘違いしていたんだったね」パシッ

アニ「え、ちょっとそれ知らないんだけど」

ベルトルト「……」ケリッ

アニ「あ、誤魔化しやがった」パシッ

ベルトルト「……可愛い猫とかいたね」

アニ「目をそらすなってー……のっ!」ケリッ!

ベルトルト「わ、わ! ……もー」

アニ「……ふふ」

ベルトルト(アニの笑った顔……久しぶりに見た気がするな)

ベルトルト(そっちの方が綺麗だよ。……なんて、言葉足らずの僕に言えるわけがない)ケリッ

アニ「よっと。 あ、そうだ。サシャとパウンドケーキ作ってるから。夕食後楽しみにしてな」

ベルトルト「へえ!」

262: 2013/09/16(月) 01:26:13 ID:uZIGSzpg
#54 ジャンとユミル


オーイ

ユミル(ん? ジャンの声か)

オイ、オイッテバ

ユミル(誰呼んでるのか知らねえけど、早く気付いてやりゃいいのに……)スタスタ

ジャン「おいユミル!! お前聞こえてんだろ!!」

ユミル「へ? あー、聞こえてるぜ」ピタ クルリ

ユミル「誰呼んでたのか知らねえけど、相当耳が悪い相手だな」

ジャン「お前だ、お前」

ユミル「へ? あ、あー! そっか、私呼んでたのか! あっはっは、いやーすまんすまん」

ジャン「ったくよ……たまに声かけてやったらそれかよ」

ユミル「たまにだからだろーが。呼ばれてると思わなかったわ」

263: 2013/09/16(月) 01:27:39 ID:uZIGSzpg
ジャン「図書室行くところか? 俺も図書室に戻るんだが」

ユミル「ああ、借りた本読み切っちまったからな。次のをと思って」

ジャン「ふーん」

ジャン「……」テクテク

ユミル「……」テクテク

ジャン(なんか喋れよ……クリスタ以外に友達いるのか、こいつ)

ユミル(ふーん、て……会話膨らます気ねえのかこいつ。まあマルコ以外に友達いなさそうだしな)

ジャン「……おい」

ユミル「なんだよ」

ジャン「あれ、ありがとよ」

ユミル「あ?」キョトン

ジャン「整備道具」

ユミル「……ああ」

264: 2013/09/16(月) 01:28:49 ID:uZIGSzpg
ユミル「ありゃアルミンが見つけたようなもんだし……渡したのはライナーだろうが」

ジャン「だが、持ってきてくれたんだろ?」

ジャン「ぶっちゃけ、お前らしくねーなと思ったが」

ユミル「ちょっとした気まぐれってやつだよ」

ジャン「だろーな。ま、それでも……いちおう礼くらいはな」

ユミル「お前らしくねーなっての、そのまま返すわ」

ジャン「なんだとこら」

ジャン「……あーあ、女神さんはなんでこんな女に」

ユミル「あん?」

ジャン「あ」

265: 2013/09/16(月) 01:30:26 ID:uZIGSzpg
ユミル「おい、今のはなんだよ、今のは」

ジャン「……ナンデモナイデスヨ?」

ユミル「なんでもないわけあるか! 女神っつったらクリスタしかいねえだろ!」

ジャン「ミ、ミカサだって女神じゃん?」

ユミル「ありゃ、鬼神だろうが!」

ジャン「俺にとっては女神だよ!」

ユミル「まあ、ミカサは可愛いけどさ」

ジャン「お、なんだ。話が分かるじゃねーか」

ユミル「ああ。さっきだって……」

ジャン「……さっきだって?」

ユミル「……ナーンデモナイデスヨー?」ニヤリ

ジャン「おい、お前! なんだよ、さっきミカサが何したんだよ!?」

ユミル「……」ダッ

ジャン「あ、くっそ逃げやがった!」ダッ

273: 2013/09/27(金) 01:23:48 ID:g9XW1XDg
#55 サシャとアルミン


アルミン「ふー……結局見つからなかったなあ。しおり」

アルミン「代わりにお宝は見つけてしまったけど……ん?」クンクン

アルミン「奥から甘い匂い……調理室からか」ヒョッコリ

サシャ「わひゃ!」ビクッ

アルミン「ふわっ!?」ビクッ

サシャ「あ、ああ、アルミンじゃないですか、良かったー」ホッ

アルミン「だ、誰だと思ったの……」

サシャ「クリスタかと」

アルミン「はは、髪色のせいかな? でもクリスタに失礼だよ。僕なんかと間違えるなんて」

サシャ「えー、アルミンちっちゃくて女の子みたいに可愛いし無理はないと思うんですけど」

アルミン「僕に失礼だよ!」

274: 2013/09/27(金) 01:25:44 ID:g9XW1XDg
サシャ「っと、そろそろですね」

アルミン「そろそろって、この甘い匂いの?」

サシャ「はい! ケーキなんです」

アルミン「そっか、クリスタにあげるんだね」

サシャ「はい。今日ケーキ屋さんに行けなかった分をクリスタと、あとユミルに……」

サシャ「あれ?クリスタにあげるって言いましたっけ」

アルミン「いや でも、僕がクリスタじゃなくて良かったって事はそうかなって」

サシャ「ああ、なるほど……って、あわわ焦げる焦げる」ガチャ

サシャ「あちち」

アルミン「大丈夫? ……わあ、美味しそう!」

サシャ「えへへー! 愛情たーっぷりケーキですから!」

アルミン「にしても、多いね」

サシャ「折角なのでみんなで食べようってことで。アルミンも食べてくださいね」

275: 2013/09/27(金) 01:27:21 ID:g9XW1XDg
アルミン「ありがとう! ……エレンとミカサの分もあるかい?」

サシャ「勿論! ふふ、流石仲良しですねー。ミカサも同じ事聞いてきましたよ」

アルミン「ミカサはちょっと過保護だからね」

サシャ「でもエレンとは喧嘩しているんですってね。少し意外ですが……」

アルミン「え!?」

サシャ「おや、知らなかったんですか? 私はエレンからも少し聞きましたが……『自分は女の子だから』と言ったミカサに『お前が女の子?』みたいな返事をしたとか」

アルミン「……うわー」

サシャ「私も似たようなことは良く言われますが……ミカサが怒る気持ちも少し分かります」

アルミン「悪気は無いんだよ……エレンも」

アルミン「でもエレンにはちょっとめっ、てしておく」

サシャ「ふふ、私はしようと思ったら逃げられたので、その分もお願いします」

276: 2013/09/27(金) 01:28:38 ID:g9XW1XDg
サシャ「そうだ、一切れ味見します?」

アルミン「え、……う、うーん…………うー」

アルミン「が、我慢するっ!」グッ

サシャ「あはは、心配しなくても後でまたあげますよ?」

アルミン「そうじゃなくて、僕が一番に食べるのは違うかなって……」

サシャ「あ、なるほど。ありがとうございます」

アルミン「うー、でも美味しそうな匂いが……クリスタとユミルの後に絶対食べさせてね」

サシャ「ふふふ」

サシャ「……きっと喜んでくれますよね? 二人とも」

アルミン「うん。こんなに美味しそうなんだもの」

サシャ「笑ってくれると良いです」

287: 2013/10/27(日) 23:46:20 ID:11B/LDBE
#56 エレンとユミル


エレン「図書室に来るのも久しぶりかもな……」

エレン「あ、この辺の本とかアルミン読んでそうだ」パラパラ

エレン「……」パラパラ パラパラ パラパラ

エレン「そんな簡単に見つかったら苦労しねえか」

ユミル「何がだよ」

エレン「ああ、ユミルか。……本とか読むのな、お前」

ユミル「なんだ、意外だったか? 結構読むんだぜ」

エレン「座学でもぼーっとしてるし、興味ねえんだと思ってたよ」

ユミル「座学とこれは別のもんだろ」

ユミル「ああ、ちなみにこの辺の歴史書だとおすすめはこれだ」ヒョイ

エレン「こっちは?」

ユミル「あーそりゃ駄目だ。嘘ばっかり書いてある」

288: 2013/10/27(日) 23:47:47 ID:11B/LDBE
エレン「……やっぱりお前、真面目にやれば上位入るだろ」

ユミル「ばぁか、買い被り過ぎだ」

エレン「そうか? 本気出したら俺も抜くんじゃねえの」

エレン「そうだ、今度対人格闘の相手してくれよ」ワクワク

ユミル「え……やだよ」

ユミル「大体、真面目にやるっつーのも才能なんだよ。お前にはその才能があって、私にはない」

ユミル「今の順位はそれが反映されてるってだけだろ。駆逐脳」

エレン「そーいうもんか?」

ユミル「そういうもんさ。巨人への熱意じゃお前に勝てる奴はいねえよ」

エレン「……そうか」

289: 2013/10/27(日) 23:49:49 ID:11B/LDBE
エレン「あ、ちょっと他の所探してくるわ。この本ありがとな。読んでみる」テクテク

ユミル「おー」

ユミル「……」

ユミル「エレン」

エレン「ん?」ピタリ

ユミル「例え話だけどよ、巨人側にもやむない理由があったとしたらお前はどうする?」

エレン「は? 何言い出すんだよ」

ユミル「例えばだって。ちょっとした興味だよ」

エレン「……そうだとしても俺は変わらねえよ。巨人が何か考えていたとしても母さんを頃したのには変わりねえんだ」

ユミル「……ま、そうだわな」

エレン「当たり前だろ。変な質問するなよ」

290: 2013/10/27(日) 23:52:19 ID:11B/LDBE
ユミル「あーあ、その熱意を少しでも良いからミカサに向けてやりゃあな」

エレン「? ミカサがどうしたんだよ」

ユミル「なーんでもねーよー。じゃあな」ヒラヒラ

エレン「変な奴」テクテク


ユミル(やれやれ、余計なこと言っちまったな。まあいいか)

ユミル(しかし探し物って……図書館で何を……本を見ていたが)

ユミル「……あ」

ユミル「あー、あーあーあー。あのしおり!」

ユミル「エレ……いやまあ、いいか。今持ってるのはアニだろうし……わざわざ面倒くせえ」

291: 2013/10/27(日) 23:59:08 ID:11B/LDBE
#56 アニとアルミン


アニ「サシャ、そろそろ……あ」

アルミン「やあ、サシャなら皿の使用許可取りに行ってるよ」

アニ「そうか」

アニ(あ、出来てる。いい匂い)

アルミン「アニも手伝ってたんだね。好きなの? こういうの」

アニ「……ケーキ嫌いな女子はそんなにいないよ」

アルミン「はは、男子も結構好きだよ。ケーキ」

アニ「アルミンも?」

アルミン「うん、僕も好き」

アニ「……あー」

アルミン「何、あーって」

アニ「似合うなって」

アルミン「えー」

292: 2013/10/28(月) 00:00:19 ID:QTlZpig.
アルミン「それにしても、本当にいい匂いだ……」

アニ「うん」

アルミン「……パンは笑いをくれないし、サーカスは腹をいっぱいにはしてくれない。か」

アニ「え?」

アルミン「本で読んだ一節だよ」

アルミン「……ふふ、きっとサーカスみたいなケーキになるよね」

アニ「そうかな。……そうなるといいけど」

アルミン「なるよ。だって食べる前から楽しみで笑顔になっちゃうもの」

アルミン「それにサシャとアニの愛情たっぷりケーキなんでしょ?」

アニ「……」ゲシッ

アルミン「あいたっ!」

293: 2013/10/28(月) 00:02:39 ID:QTlZpig.
アニ「……まあ、サシャの愛情は入ってるだろうさ」

アルミン「ふふ、そうだね」

アルミン「……さてと。待っているだけも何だし、ボウルとか洗っておこうか」ヨイショ

アニ「あんたは座ってなよ。関係ないんだから」

アルミン「えー、僕だって食べさせて貰うんだし無関係じゃないよ」

アルミン「そうだ。じゃあ半分ずつ洗おうよ」

アニ「やれやれ……仕方ないね」

アルミン「ふふ、アニならそう言ってくれると思ったよ。良い人だもん」

アニ「……」ペシン

アルミン「みゃっ」

294: 2013/10/28(月) 00:06:52 ID:QTlZpig.
おっと、番号を間違えていた

>>291 は正しくは
#57 アニとアルミン  になるます

295: 2013/10/28(月) 00:13:27 ID:QTlZpig.
#58 ミカサとライナー


ミカサ(琥珀、綺麗。成る程、確かにあの猫の瞳の色に似ている)

ミカサ(でも、困った。ベルトルトがいる所の見当がつかない ……あ)


ライナー(夕飯までまだ少し時間があるな)テクテク

ミカサ「ライナー」ズイッ

ライナー「……! ミ、ミカサか。どうした驚かすなよ」

ミカサ「……普通に近付いたつもりだったのだけど」

ミカサ「まあ、そんな事はいい。ベルトルトを知っている?」

ライナー「……? 珍しいじゃないか。浮気か?」

ミカサ「……」ガッ

ライナー「脇腹っ!」イタイ!

ミカサ「ライナー、私とエレンは家族。からかわないで」

ライナー「すまんかった」

ライナー(こいつの照れ隠しは命に関わるな……)

296: 2013/10/28(月) 00:16:07 ID:QTlZpig.
ライナー「だが珍しいのは事実だろう。何かあったか?」

ミカサ「これを渡したいと思って」コレ

ライナー「? 琥珀じゃないか。何でまた」

ミカサ「故郷にいた猫が似た色の瞳をしていたと聞いた、ので」

ライナー「……珍しいな」

ミカサ「それは何回も聞いた」

ライナー「いや、お前がじゃなくて。……お前もそうだが」

ライナー「そうか、あいつがそんな話をしたのか」

ミカサ「私も初めて聞いた。貴方に比べて、ベルトルトは喋らない方だから」

ライナー「……俺はそんなに喋る方だったか」

ミカサ「ええ」

ライナー(少し自重しないといかんかもな。怪しまれない程度に溶け込むつもりだったのだが)

ミカサ「エレンもアルミンも、貴方と話すのは好きみたい」

ライナー「……そうか」

297: 2013/10/28(月) 00:17:27 ID:QTlZpig.
ミカサ「そうだ。これは貴方に渡そう」ハイ

ライナー「琥珀をか。だが、これはベルトルトにやるんだろう?」

ミカサ「貴方から渡した方が喜ぶ。それに、さっき話した時に思ったけれど、私は彼に怖がられている気がする」

ライナー「どうだろうな。まあ、了解した。渡しておく」

ミカサ「うん」

ライナー(……そうだ)

ライナー「代わりに、これをやる」

ミカサ「バレッタ?」

ミカサ「……似合うだろうか。私に」

ライナー(誰よりも似合うだろうよ。それはお前のための物だ)

ミカサ「ありがとう」

ライナー「礼はジャンに言っておけ」

ミカサ「?」

298: 2013/10/28(月) 00:18:35 ID:QTlZpig.
ライナー「なんでもない。じゃあ、これは渡しておくぜ」

ミカサ「ええ。ではまた……」

ミカサ「……あ」

ライナー「?」

ミカサ「しまった。ベルトルトに恩を売っておくつもりだったのに」

ライナー「そんなつもりだったのかよ」

ライナー「心配するな。ミカサからだってちゃんと伝えておくさ」

ミカサ「でも、私はもう礼を貰ってしまった……その上で更に恩を売るのは……」ギリリ

ライナー「しかし何でまた、お前がベルトルトに恩を売ろうだなんて」

ミカサ「エレンやアルミンが困っていた時にベルトルトが味方になってくれればいいと思った」

ライナー「……伝えておくよ」

ライナー(むしろ、あいつらを困らせる原因が俺たちなんだろうがなあ)

299: 2013/10/28(月) 00:32:28 ID:QTlZpig.
お久しぶりです 今日はこの辺りでスマンネ

残りは8組なんで、あと2回か3回で終わるかな
もしかしたら適当におまけなんかもあるかもしんない

307: 2013/11/17(日) 23:35:45 ID:bAZzj.RE
#59 マルコとユミル


ユミル(懐かしい本見つけちまった。いつ読んだんだっけな、これ)

マルコ「ああ、ユミル。エレンどっち行った?」

ユミル「エレン? 向こうの棚じゃねえかな……まだ出ちゃいないと思うが」

ユミル「……ん、その本」

マルコ「あ、手に持ったままだったよ。……気になっていた本でさ、ミカサが先に借りていたんだけど譲ってくれたんだ」

ユミル(ミカサも来ていたのか)

マルコ「後で借りようかと思って上の棚に隠しておいたのに、誰かに借りられちゃってさあ」

ユミル「お前か!!」

マルコ「えっ!?」

ユミル「……何でもねえ」チッ

マルコ「あ、ユミルも面白そうな本持っているね。借りるのかい?」

ユミル「ああ」

マルコ「へえー、今度読んでみようかな……」

308: 2013/11/17(日) 23:38:11 ID:bAZzj.RE
ユミル(ふむ。なかなか本の趣味が良い奴だ)

ユミル「読み終わったら知らせてやるから、お前も読めよ」

マルコ「いいのかい! それなら今度何か礼をしなくちゃな」

ユミル「あ? いーよそんなの」

マルコ「いいじゃないか。君とはあまり話した事がないし、この機会に仲良くしたい」

マルコ「折角同期になった仲間なんだからさ」

ユミル「……お前、ほんっと真面目な良い人だなー」

マルコ「え? あはは、照れるなあ」

ユミル「ははは」




ユミル「……誉めていると思ったのか?」

マルコ「……」

ユミル「マルコさんよ、同期のよしみで忠告しといてやる。真面目な奴、良い奴ってのはな、すぐ氏ぬぜ」

マルコ「……ははは、怖いな」

309: 2013/11/17(日) 23:40:51 ID:bAZzj.RE
マルコ「どうしよっか?」アハハ

ユミル「お前も大概したたかな奴だな」

マルコ「ユミルには負けるよ」

マルコ「……でも、そうだね。その忠告は記憶に留めておく」

マルコ「はは、いざという時の取捨選択が出来なさそうな辺りも、僕が指揮官に向いていない所なんだよなあ」

ユミル「あー、まあ無理だろうな若い奴には」

マルコ「いくつなんだよ君は」

ユミル「ははは、……実は80を過ぎたところでな 」ニヤリ

マルコ「やめてよ、マジに聞こえるから」

ユミル「わはははは」

310: 2013/11/17(日) 23:42:17 ID:bAZzj.RE
マルコ「それなら、ユミルだったら出来るって言うのかい」

ユミル「さーてね、どうだろうな」

マルコ「僕は、君もそういう取捨選択が苦手な人に見える」

ユミル「……ん? 何言ってるんだか」

マルコ「なんとなくだけどね。クリスタやサシャに接しているのをたまに見ていると」

マルコ「君もなんだかんだで、余計なものまで背負ってしまう人なんじゃないかと思うんだ」

ユミル「……なに言ってんだか。私もう行くぜ。早くエレンのとこ行けよ」シッシッ

マルコ「っと、そうだった。じゃあまた」


マルコ「あ……そうだ、ユミル」

ユミル「ん?」クルリ

マルコ「兵舎裏の丘の上に行ってみなよ」

ユミル「……ん?」

311: 2013/11/17(日) 23:46:23 ID:bAZzj.RE
#60 エレンとマルコ


エレン「無いな……くっそ、しかし本が多いんだよー」

エレン「どの本見ても、貸し出しカードにアルミンの名前が書いてあるし。どれだけ読んでるんだあいつ」ブツブツ

マルコ「やあ、エレン」

エレン「よう、マルコ」

エレン「なんだ、ジャンとのチェス終わったのか?」

マルコ「僕の番はね。今はジャンが長考中」

エレン「そんなに考えるものなのか? あれって」

マルコ「悩もうと思えばいくらでも悩めるよ。コマを選んだその後で相手はどう出るか……その時何が動かせるのか……今日の夕食は何が出るのか」

エレン「最後のちがくね?」

マルコ「だらだら考えてると気が散るんだよな」

マルコ「しかし、僕らに気づいてたのなら話しかけてくれれば良かったのに」

エレン「邪魔しちゃ悪いかと思ったんだよ。俺、チェス良くわかんねえし」

マルコ「はは、エレンにも今度教えるよ」

312: 2013/11/17(日) 23:50:31 ID:bAZzj.RE
マルコ「ところで、これを探していたのかい?」ヒョイ

エレン「! アルミンのしおりだ!」

マルコ「やっぱりそうだったんだな。僕もアルミンから聞いていたんだよ。無くしたって」

マルコ「丁度さっき来たライナーが持っていたんでね。預かっていたんだ」

エレン「そうか……ありがとうな」

エレン「いやあ良かった……ライナーにも礼を言っておかねえと」

マルコ「大切な物なんだね。確かに、それは随分と作りがいいし」

エレン「それだけじゃないんだ。これは……、……」

マルコ「……いや、言わなくていい。悪いな、君達がどこから来たのか知っていたはずなのに」

エレン「謝る事じゃねえよ。ただ、俺が話す事じゃないと思っただけだ」

313: 2013/11/17(日) 23:56:31 ID:bAZzj.RE
エレン「でもさ、本当に綺麗だよな。これ」

マルコ「ああ。金属細工のしおりはたまに町で見るけど、そこまで細かく彫られた物はなかなか見ないね」

エレン「俺も羨ましかったからな。アルミンのしおりと同じのが欲しいって言って、駄々こねたくらいだ」

マルコ「あははは」

エレン「でもよ、俺が本読む時って大抵アルミンと一緒だったからさ」

エレン「俺のしおりが無くても、アルミンのがあれば十分だって分かってたんだけどな」

マルコ「いやあ、きっとそこまで物わかりがいい子供じゃなかっただろ。エレンは」

エレン「何で分かるんだよ! 見て来たかのように言うなよ! そうだったけどさ!」

314: 2013/11/17(日) 23:57:52 ID:bAZzj.RE
エレン「ちぇ、ミカサにも叱られたんだよな。我が侭言うなって」

マルコ「目に浮かぶようだ」

マルコ「でも、こういうのは綺麗だから女の子も好きだろ?」

エレン「ああ、だからたまにミカサもじっとしおり見てたな」

マルコ「そうか、成る程ね」

マルコ「……引き留めてしまったな。ほら、早くしおりを届けてやれよ」

エレン「あ! そうだな。ありがとよ、マルコ!」タタタッ

マルコ「あー、図書室は静かにー……速いなー足」

マルコ「……まあいいか」フフフ


オーイ オマエノバンダゼ

マルコ「あ、待ってろ。今行くよ」

315: 2013/11/18(月) 00:00:12 ID:3CkiVGQg
#61 ミカサとコニー


ミカサ「ふふ、綺麗な髪飾り」

ミカサ「……でも、本当に私なんかに似合うのだろうか。こんな綺麗な物が」

コニー「お、ミカサ」

ミカサ「!」サッ

ミカサ(咄嗟に隠してしまった)

コニー「なあ、ちょっと聞きてえんだけどさ。これ出来るか? この本のこのページなんだが」

ミカサ「……ストレッチ? ふむ、腕をこっちで脚が……こう?」グニャ

コニー「うわっ体柔らかっ!」

ミカサ「確かに少し辛い体勢かもしれない」

ミカサ「ただ股関節が伸びる感覚がある。ので、なかなか悪くないと思う」

316: 2013/11/18(月) 00:01:49 ID:3CkiVGQg
ミカサ(あ、ポケットに入れた髪飾りは……良かった。大丈夫だ)

コニー「うーん、しかし足がそこまで上がらねえぞ……」グギギ

ミカサ「無理は良くない。段階を踏むべき」パラパラ

ミカサ「これから始めてみよう」

コニー「えーこれ簡単すぎねえ?」

ミカサ「……辛い体勢だから効果があるというわけでもないから」

コニー「でもこれなら出来るか。ほら」グニャ

ミカサ「違う」

コニー「ん?」

ミカサ「本だともっと曲がっていて……こう」グイッ

コニー「いでででで!!」

317: 2013/11/18(月) 00:04:43 ID:3CkiVGQg
ミカサ「それにしても、訓練外でも体作りとは感心した」ウンウン

コニー「身長、伸びるかと思って……いてててて折れる折れる!!」

ミカサ「おっと」パッ

コニー「押しすぎだっつうの……ひー」

ミカサ「すまない」

ミカサ「うん。でも……無理せず続けるのは良いと思う」

コニー「そっか。アルミンとエレンにも教えてやるかなー」

ミカサ「む」ピクッ

ミカサ「聞き捨てならない言葉」

コニー「ああ、あいつらも身長伸ばしたいんだとよ」

ミカサ「……私に聞けばいいのに」ムスッ

コニー「男のプライドってやつじゃねえの?」

318: 2013/11/18(月) 00:06:55 ID:3CkiVGQg
ミカサ「プライド?」

コニー「お前がいくら強いって言ってもなー、お前は女で俺らは男だからよ」

ミカサ「……エレンは私を女として見ていないと思うけど」

コニー「そう言ってたのか?」

ミカサ「言ってた」

コニー「馬鹿だなーあいつ」

コニー「まあ、安心しろよ。そんな事はねえから」

ミカサ「……」

ミカサ「そう、なのだろうか」




ミカサ(……)

ミカサ(やっぱりつけてみようか、髪飾り)

ミカサ(私には可愛すぎるけれど……たまには、こういうのも)

319: 2013/11/18(月) 00:09:06 ID:3CkiVGQg
今日はこの辺りで

次は#62と63を、
その次に残りの3つを更新予定

334: 2014/01/19(日) 00:16:25 ID:ELU1MNHY
#62 ライナーとベルトルト


ライナー「……お、いたいた。なんだ、もう食堂にいたのか」

ベルトルト「え? ああ、ライナー」

ライナー「お前はでかい割に目立たないなあ……うっかり見流して他の所に行くところだったぞ」

ベルトルト「え、なに? 悪口言いに来たの?」

ライナー「いや、そんなつもりはなかったんだが……待ってろ」ゴソゴソ

ライナー「ほら、これ」

ベルトルト「? なんだいこれ」

ライナー「琥珀だ。ミカサから」

ベルトルト「なんだって、琥珀なんか……あ、そう言えば猫の目の話を」

ライナー「ああ、いたなあ……アニに懐いていた猫だろ」

ベルトルト「おい」

ライナー「いいだろ、今は俺とお前しかいない」

ベルトルト「まったく……まあいいか」

335: 2014/01/19(日) 00:20:50 ID:ELU1MNHY
ベルトルト「そう、そいつだよ。……はは、改めて見ると本当にあいつの目にそっくりだ」

ライナー「……懐かしいな」

ベルトルト「うん……最近はそういう話もあまりしなくなったから」

ライナー「ん? そうだったか?」

ベルトルト「……いや、確かに今でもしていたね」

ベルトルト「君が……いや、僕たちが何故ここにいるのか、その理由を忘れないようにと」

ライナー「……ああ」

ライナー「すまん、ベルトルト。いつも……お前には辛い目を見させているだろう」

ベルトルト「謝ることはないよ」

ベルトルト(君の気持ちも分かるんだ。痛いほどに)

ベルトルト(……)

336: 2014/01/19(日) 00:23:12 ID:ELU1MNHY
ベルトルト「たまには、楽しく思い出話をしようか」

ライナー「ん?」

ベルトルト「任務を思い出す為とか、そういうんじゃなくてさ」

ベルトルト「ただ楽しい思い出を語り合う、それだけの為に思い出話をしようよ」

ライナー「……ああ、悪くない」

ライナー「ふふ、今日は思い出話に丁度いいイベントもあるしな」

ベルトルト「え? ああ、サシャの。最初は君のところに聞きに行ったってね」

ライナー「ああ。……良かったよ、お前がケーキの名前を覚えていてくれて」

ベルトルト「小さい頃から、君は『あの甘くて美味いもん』って呼んでたしね」

ライナー「アニもだぞ」

ベルトルト「……ああ、アニもそう呼んでたね」

337: 2014/01/19(日) 00:25:35 ID:ELU1MNHY
ベルトルト「聞いたかい? あれ、アニも手伝っているらしいじゃないか」

ライナー「ああ、珍しいな。人の手伝いをするって事もそうだが、あいつが料理なんてなあ」

ベルトルト「それ、言ったら蹴り飛ばされるよ?」

ベルトルト「……僕だってアニの作ったものを食べる日が来るとは思わなかったけどさ」

ライナー「はは、まあサシャもいるし食べられる物は出来るだろうが……いや」



ライナー「……サシャ、料理出来るのか?」

ベルトルト「……だ、大丈夫じゃないかなあ」

338: 2014/01/19(日) 00:32:58 ID:ELU1MNHY
#63 アニとマルコ


アニ「へくしっ」

マルコ「うわっ」ビクッ

マルコ「あ、あーびっくりしたー。いつからいたんだ」

アニ「さっき」

ハクショムッ

マルコ「あ、廊下でもくしゃみしてる人がいる」

アニ「……サシャかな」

アニ(そうだ、待たせているんだ。早く本を借りてこないと)

アニ(……それにしても)

アニ「あんたは何で一人でチェスをしているの?」

マルコ「え? ああ、一人じゃないよ、ジャンとやってる。ただ、今ちょっと出てるんだ」

アニ「ふーん」

339: 2014/01/19(日) 00:35:32 ID:ELU1MNHY
マルコ「さっきはベルトルトともやったな。あいつ、結構強いんだ」

アニ「ベルトルトと?」

マルコ「? ベルトルトがどうかしたか」

アニ「いや……あんたは友達多いんだね」

マルコ「そうかな、あまり話さない人もいっぱいいるよ」

マルコ「たとえば……君とか?」

アニ「……」

アニ(それもそうだ。……なぜ、私はこいつに話しかけたんだ?)

アニ(それになぜ、わざわざサシャを廊下に待たせている? ケーキを持っていくのを手伝うためだけど、そもそも何でそんな事を手伝っているんだろう)

アニ(私はそんなやつじゃないはずなのに)


マルコ「……えーと……ははは、ごめん。つまらない事言ったな」

アニ「……別に」

340: 2014/01/19(日) 00:40:01 ID:ELU1MNHY
マルコ「嬉しくて調子に乗っちゃったみたいだ。普段君と話すことも少ないから」

アニ「……」

アニ「いや、調子に乗ってたのはこっちの方だよ」

マルコ「え?」

アニ「大した話じゃないさ」

アニ「ただ、こうも……毎日が平和だと、今の自分の立ち位置を忘れてしまいそうになるってだけ」

マルコ「……そうだね。訓練は辛いけど……たまにはこうして休みもあるし」

マルコ「まだ生きている。調査兵団に入ったら、いつ巨人に食われてしまうか分からないのに」

アニ「……うん」


アニ「いや、あんた憲兵志望じゃなかった?」

マルコ「あ」

アニ「……ふふ」

マルコ「あはは」

341: 2014/01/19(日) 00:42:50 ID:ELU1MNHY
アニ(きっといつの日か、今日の日々も思い出話になるんだろう)

アニ(そのいつかの時に、生きて大地に立っているのは……私たちなのか、こいつらなのか。それは分からないけれど)

アニ(もし、私たちとこいつらで思い出を語り合える未来があったら……なんて)



アニー マダデスカー

マルコ「あ、サシャが呼んでいるぞ」

アニ「ああ……待ってな、今行く」

アニ(……もう少しだけ、任務を忘れて調子に乗っていてもいいかな。父さん)

342: 2014/01/19(日) 00:52:27 ID:ELU1MNHY
2ヶ月くらい空いてしまったな
アニとマルコで凄くつまづいてた

残りは
エレンとアルミン
クリスタとユミル
ジャンとマルコ

352: 2014/02/20(木) 01:26:20 ID:EPryyoVA
本当は先々週末くらいに来ようかと思ってたんだけど、雪で休み潰れまくってたんだ すまねえ
何なのあの雪

今週末あたりにまたくる

359: 2014/05/06(火) 01:08:47 ID:Mbvx91yk
保守

あと3組なんだ…
それでこの物語は完結するんだ…
だから≫1には頑張って欲しい…

この想いよ≫1に届け

引用: クリスタ「66のダイアローグ」