1:◆.a46lvF.pU 2013/08/27(火) 17:00:24.67 ID:OnktNF440
3: 2013/08/27(火) 17:02:51.65 ID:OnktNF440
このssはひたすら我らが天使、あやせたんとイチャイチャするのが目的です
だからあやせたん派じゃない人はご遠慮を
見せ場も山場もないけどよかったら暇つぶしに付き合ってください。
では投下します
だからあやせたん派じゃない人はご遠慮を
見せ場も山場もないけどよかったら暇つぶしに付き合ってください。
では投下します
4: 2013/08/27(火) 17:03:33.04 ID:OnktNF440
皆さん、お久しぶりです。
わたしの名前は新垣あやせ、今は花の女子高生をやっています。
と言っても女子高生をやっていられるのも後1年。
高3になったわたしは目下、進路について悩み中。
大学進学は確定なんですが、肝心の大学や学部についてまだまだ絞り切れておらず、早く決めないと、と焦る毎日です。
っと、いきなり始まってしまったら皆さんがついて来れないですよね。
まずはわたし達が高校生になったあたりを振り返りたいと思います。
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5: 2013/08/27(火) 17:04:57.52 ID:OnktNF440
まずは中学を卒業した、今から2年前の3月。
そうです。当時、桐乃は京介さんと付き合っていたのに別れたんですよね。
桐乃が京介さんとお付き合いしていたことは桐乃本人から聞いていました。
ですが、いきなり別れたのでわたしもびっくりしちゃいました。
なんでも、世間体とか親のことを忘れて期間限定で思いっきり恋人気分を味わうため、
とかなんとかで、期限を決めて付き合っていたと後になって聞きました。
桐乃はその後も落ち込んでいたんですが…っとと、今は概要だけの方がいいかな。
とりあえず、桐乃達は別れてしまったそうです。
その後、わたしと加奈子は「オタクっ子あつまれー」に入りました。
そう、エピローグで桐乃達がオタクっ子のオフ会に行っていたのは、
わたしと加奈子の初サークル参加の日でした。
これも後から聞いたところ、京介さんは行きしなに桐乃にキスをしたそうではないですか。
もう!
別れて普通の兄妹に戻ったにもかかわらずキスをするなんて、あいかわらず京介さんはダメな人です。
6: 2013/08/27(火) 17:07:42.96 ID:OnktNF440
わたしと加奈子を加えたオタクっ子は、桐乃の表と裏の友達が所属することとなり、
簡単に言えば「桐乃軍団」みたいなグループとなりました。
この時に、あたし達がいる2軍のようなオタクっ子もメンツが増えたことや
1軍とは交流がないこと、
沙織さんも一人では両方を管理するのが困難となってきたことから、
わたし達2軍は別のサークルにしようということとなり、管理人は桐乃になりました。
当然ですよね。
そこで、桐乃はサークルを「Brilliant Girls」と名付けました。
わたし、この名前気に入ってるんですよね。
京介さんは一人抵抗を続けていましたが、多数決という民主的決定を持って排除されました。
このBGができてからは、桐乃の両方の友達がいることからよく遊ぶ機会が増えました。
基本的には毎週末、空いてる人だけでも集まって何かしらをしています。
7: 2013/08/27(火) 17:08:53.13 ID:OnktNF440
例えば、免許を取った京介さんの運転でバーベキューに行ったり、海に行ったり。
後は京介さんのバイト代で食事に行ったりディズ○ーに行ったり、
京介さん主催の勉強会があったり、
京介さんの部屋でお宝(エOチな本)探しをして遊んだり…
管理人が桐乃の時点で京介さんに火の粉がかかることは決定されていたことですし仕方ありません。
わたしに罪はありません。
他にも皆でコミケ参加したり、加奈子のライブに応援に行ったり色々しました。
もうこうなるとサークルというよりは単なるお友達ですが、そこは気にしたら負けです。
人が多いし学校も別々だから、サークルを維持してそれを運営している方が楽なんですよね。
8: 2013/08/27(火) 17:10:31.72 ID:OnktNF440
そんなこんなでBGで楽しく騒がしく過ごしている間に2年が過ぎたというのが概要ですね。
他には黒猫…瑠璃さんが京介さんと同じ大学に入学し、
沙織さんは東京の有名女子大に入った、
というのが今年の4月のことで、最も新しいニュースですね。
以上が高校入学からの概要です。
分かりましたか?
個々人の近況報告はまた後々しますね。
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9: 2013/08/27(火) 17:12:03.65 ID:OnktNF440
っと、話をしている間に着きました。
今日の目的地である高坂家。
その後は皆で集まって桜の花見に行きます。
勿論、運転手は京介さん。
この家にはもはや数えきれないほど来ています。
だから、ためらうことなくインターホンを押せます。
ポチっと。
ピーンポーン ガチャ
「おう、あやせ。早かったな。お前が一番乗りだよ」
「おはようございます。京介さん」
「ま、上がって待っててくれ」
「はーい」
そう言って京介さんはわたしにスリッパを渡し、リビングへと案内してくださいました。
10: 2013/08/27(火) 17:12:50.14 ID:OnktNF440
京介さんはストレートで大学に入学し、現在大学3年生。
大学へは電車通学で、一人暮らしはしていません。
またしてくれたらいいのに…
最近はもう少しで始まる就活のことで頭が一杯だそうです。
ドタドタ ガチャ
「あー、あやせ。もう来たんだ、おはよう。早かったね」
「桐乃もおはよう。今日もばっちりだね」
「当然でしょー」
ピース一つとっても様になってる桐乃はさすがです。
11: 2013/08/27(火) 17:13:49.00 ID:OnktNF440
桐乃はわたしと同じ高校に通う高校3年生。
めっきり大人っぽくなった桐乃は同性のわたしでさえドキっとさせられます。
桐乃は今でも読モや陸上を続けていて、どちらも成果を出している。
他にも高校に上がってからは料理やボカロP、デザイナーなどにも手をだし、
相も変わらず多才さを発揮したものの、それらを続けることなく惜しみなく捨てているのは桐乃らしいと思う。
今、桐乃がはまっているのは服飾。自分の思った通りの服を作りたいそうで。
これはいつまで続くのかなー。
ところで、京介さんと桐乃の関係はと言えば…
12: 2013/08/27(火) 17:14:59.88 ID:OnktNF440
「ってかあんた、なに勝手にあやせ上げてんのよ」
「そりゃインターホン鳴ったら上げるだろ」
「あたしが行くからあんたは出なくていいの!」
「はぁ!?お前がすぐ出ないから、また化粧でもしてるんだろうと思って出てやったんだろ!」
「そんなことあたし頼んでない!」
「ってかあやせはもう俺の友達だから別にいいだろ!」
「よくない!!!」
……説明の必要がなくなりましたね。
そう、進歩なし。成長の欠片も見られません。
13: 2013/08/27(火) 17:16:19.41 ID:OnktNF440
いえ、二人でいるときはそれなりに仲良くやってるんです(桐乃談)。
それを信じるなら、二人っきりでないときには昔の二人が顔を覗かせるということですが…
桐乃が恥ずかしがって意地を張っているのか、京介さんが他の女と仲良くするのが気にくわないのか…
わたしは後者だと思います。
直接、桐乃に聞いたことはありません。
なんとなく、桐乃が別れてからはその話は禁忌のように触れてはならない感じになっているので。
だから未だに京介さんに恋心があるのかは定かではないですが、
わたしの女の勘によると、桐乃はまだ京介さんのことが好きなんだと思います。
14: 2013/08/27(火) 17:17:37.64 ID:OnktNF440
「まあまあ、桐乃。京介さんは気を使ってくれたんだし。
それに何もされてないよ?」
「そうなんだけどさ~」
不貞腐れている桐乃も可愛い。
これが惚れた弱みってやつですかね。
「それに今から皆で花見に行くのにケンカなんてよくないよ」
「う゛~、分かった。
んじゃ帰ってきてからする」
やっぱりするんだ、ケンカ。
と、そんなことをやっているとまたインターホンが鳴る音が。
15: 2013/08/27(火) 17:20:17.86 ID:OnktNF440
「ほら、行って来いよ」
「はぁ?イヤだよ。あんたが行ってきて」
「な!?さっき自分が行くっつっただろ!?」
「それはそれ、これはこれ。
今はあたしもいるから誰が出てもいいの。
っつうわけであんたが行ってきて」
「ったく、なんだよその理不尽な理論は…」
そう言いながらも玄関まで行く京介さん。
相変わらず弱いですね。
今度は誰が来たんでしょうか?
ガチャ
「あら、私が一番ではなかったのね」
「いらっしゃい、瑠璃」
「瑠璃さん、おはようございます」
「ええ、おはよう」
わたしの次に来たのは瑠璃さんでした。
16: 2013/08/27(火) 17:22:41.34 ID:OnktNF440
黒猫さんではありません、瑠璃さんです。
瑠璃さんは高校卒業とともに黒猫さんも卒業しました。
なんでも、いつまでも逃避してられないとか何とか。
まあ瑠璃さんもやっと普通になったと言うことでしょうか。
だからわたし達も「黒猫さん」から「瑠璃さん」と呼び方を変えました。
まだ慣れないですけど。
でも、厨二病が治ったかと言うとそうではないらしくて。
未だに創作の際には厨二病全開だそうで、むしろ前よりひどくなってるそうです。
瑠璃さん曰く
「私の溢れんばかりの内なる闇は全て創作にぶつけることにしたわ」
だそうです。
まあ前みたいに日常生活で垂れ流すよりは健全だからいいということにしておきましょう。
17: 2013/08/27(火) 17:25:00.76 ID:OnktNF440
「京介、今日持っていくお弁当なんだけれど
量はこのくらいで足りるかしら」
「ああ…ってかむしろ作りすぎじゃねえか?これ。
6人で重箱6個って計算おかしくね?1人一箱?」
「あら、大丈夫よ。
1つは御握りで、3つがおかず。
残り2つはフルーツやデザートよ」
「そっか、それにしても作り過ぎな気もするが…
まあなんにせよご苦労様。
ありがとよ、でもこれ、大変だったんじゃないか?」
「いいえ、料理も簡単なものばかりだし、それほどでもないわ」
「そっか、ほんとありがとな。瑠璃」
「っ、いいわよっ別に」
18: 2013/08/27(火) 17:27:21.23 ID:OnktNF440
瑠璃さんは京介さんに「瑠璃」と呼ばれることにまだ慣れていないみたいですね。
付き合ってた時はどうしてたんでしょう?
多分、黒猫と呼んでたんでしょうけど。
なんか変ですよね、付き合ってる時にハンドルネームで呼ぶって。
ここでも呼び方が変わってますよね。
瑠璃さんは京介さんのことを「京介」と呼んでます。
これは丁度、京介さんと桐乃が別れたあたりから固定されたそうで。
多分、京介さんが高校を卒業したからだと思いますが、
いまはまた大学で後輩になっているから「先輩」と呼んでもおかしくはないのですが。
呼ばないでしょうね、もう。「先輩」とは。
あ、そういえばわたしも「お兄さん」から「京介さん」に変えていましたね。
これはBGに入って、「桐乃のお兄さん」から、わたしの友達の「京介さん」になったからです。
19: 2013/08/27(火) 17:29:11.66 ID:OnktNF440
「ところで沙織はまだかしら。
珍しいわね、彼女が遅れるなんて」
「瑠璃さん、まだ遅れてませんよ。
わたし達が早く来すぎただけです」
「あら、本当ね。では京介。行きましょうか」
「待て待て待て待て!
なんでもう行くんだよ!!
遅れてないって確認しただろ!?」
「ええ、彼女は待ち合わせには遅れてないわ。
けれど私よりも遅れたわ。これは紛れもない事実よ。
よって置いてけぼりの刑に処す」
「それは自分勝手すぎんだろ!?」
「瑠璃さん…それはちょっと」
「ふん、冗談よ。
暇つぶしに囀ってみただけよ」
20: 2013/08/27(火) 17:31:22.60 ID:OnktNF440
……本当かなぁ。瑠璃さんなら人数が少ない方が~とか考えてそう。
そうこうしているうちにまたインターホンが。
「じゃあ行ってくるぞ」
「うん、任せた」
桐乃はソファに足を組んだまま手をシッシッと払う。
京介さん…
ガチャ
「あら、皆さん御揃いでしたのね。済みません、遅れてしまって」
「いらっしゃい、沙織」
「遅いわよ、沙織。
もう少ししたら置いていくところだったわよ」
「おはようございます、沙織さん」
21: 2013/08/27(火) 17:33:26.97 ID:OnktNF440
「ええ、おはようございます、桐乃さん、あやせさん。
ってか瑠璃ちゃん!?それはひどくありませんか!?」
「うるさいわよ、遅れてくるのが悪いのよ。
それにいい加減『ちゃん』付けはやめてくれないかしら」
「あら、可愛いではありませんか。
瑠璃ちゃん」
「同い年に『ちゃん』付けは違和感ありまくりよ」
「そうかしら」
「ええ、そうよ」
22: 2013/08/27(火) 17:34:10.52 ID:OnktNF440
次に来たのは沙織さん。
槇島沙織さんであって、沙織・バジーナではありません。
管理人を桐乃に託したからでしょうか、はたまたBGのメンバーにも慣れたからでしょうか。
理由は不明ですが沙織さんは2年前の夏ごろからバジーナではなくなりました。
懐かしいですね、あのグルグル眼鏡。
けど、わたしはこっちの沙織さんも大好きです。
だって絵に描いたようなお嬢様だから、目の保養になります。
沙織さんも桐乃を「桐乃さん」と呼ぶようになりました。
「きりりんさん」から「桐乃さん」への変化、これもそれだけ二人の関係が近づいたということでしょう。
23: 2013/08/27(火) 17:35:00.91 ID:OnktNF440
「じゃあ皆揃ったことですし、行きましょうか。京介さん」
「おい、あやせ。まだ加奈…」
ガチャ
「うい~す」
「ちっ!」
「あ゛ー?なんであやせ舌打ちしてんの?」
「なんでもないよ、加奈子。おはよう。
って勝手に入ってきちゃダメでしょ」
「ケチケチすんなよ~。加奈子と京介の仲だべ?」
「親しき仲にも礼儀あり、だよ」
「へいへーい。気を付けまーす」
「加奈子、怒るよ」
「以後、このようなことがないように反省するであります」
「うん。偉いね、加奈子」
24: 2013/08/27(火) 17:36:05.26 ID:OnktNF440
「…やべぇ。今俺はイジメの一端を見てしまったかもしんねえ」
クル
「なんですか?京介さん」
「なんでもないっす!!!」
加奈子もやって来たようですね。
加奈子はわたしや桐乃とは別の高校に通っています。
格差社会というか受験戦争に負けたというか、とりあえず加奈子では無理でした。
その代わりと言ってはなんですが、加奈子は声優として活動しています。
昔はメルルのコスプレをしていましたが、メルルも時代淘汰には勝てませんから。
その代わりに、加奈子は持前の口リッ子ボイスと演技力で声優となり、
大活躍とまでは言えないけれど、それなりに仕事をしています。
また、ダンスや歌唱力も買われて、声優のアイドルグループにも所属しています。
なんだかんだで、加奈子が一番の出世株かもしれませんね。
25: 2013/08/27(火) 17:38:21.18 ID:OnktNF440
「んじゃ皆そろったし行こっか」
「桐乃、荷物一つくらい持てよ」
「え~やだよ。それは男のあんたの仕事でしょ」
「一人でこれは無理だっつうの!」
「まあまあ、京介さん。わたくしもお手伝いいたしますわ」
「ビXチに手伝いを望む方が間違いなのよ」
「京介さん、わたしも手伝いますから」
「京介~、加奈子喉乾いたからビール飲んでいい?」
「うっせクソガキ、お前みたいな幼女はヤクルトでも飲んでろ!」
「はあ!?17のれでぃ捕まえて幼女とはなんだ!!」
まったく、車に乗る前からこの大騒ぎ。
だからBGは楽しくてやめられないんですよね。
―――――――――――――――
――――――――――
26: 2013/08/27(火) 17:42:02.88 ID:OnktNF440
「着いたー!!桜満開じゃん!!」
「だから桐乃、荷物を…って、もういいか」
「まあ、あの俊足を活かして場所取りでもさせましょう。
桐乃、景色のいいところをとってきて頂戴」
「任された!」
そう言うと桐乃はあっという間に走り出して、今はもう小さく背中が見えるばかり。
本当に速いなあ。
「では私達も桐乃の後を追いましょう」
「瑠璃さん、お弁当持ちますよ」
「ありがと」
「京介さん、荷物をお持ちしますわ」
「そっか、さんきゅ沙織。
お前もれでぃなら見習え」
27: 2013/08/27(火) 17:45:03.64 ID:OnktNF440
「加奈子はヤクルトで両手ふさがってっから無理」
「加奈子、私のお弁当を早く食べたいなら荷物を持つことを勧めるわ」
「へいへーい。京介~、一番軽いの貸してみ」
「ほい」
そう言うと、京介さんは加奈子にクーラーボックスを渡す。
「おもっ!お前これ一番重いやつだろ!」
「は?ちげえよ。一番重いレジャーテーブルは俺が持ってんだろ」
「なんで沙織にはレジャーシートと食器なんだよ!!」
「お嬢様に重いものは持たせられねえだろ」
「さべつだ~!!」
28: 2013/08/27(火) 17:47:44.15 ID:OnktNF440
「もう、加奈子!わがままばっかり言うと怒るよ!」
「はい、きりきり運びます」
「…あの漠然と『怒る』ってのがまた恐いよな…」
「…あやせさんは見た目が綺麗な分、怒らせると恐そうですから…」
「京介さん、沙織さん。どうかしましたか」
「なんでもないですわ!」
「なんでもないっす!」
恐いとか、もう。失礼しちゃいます。
加奈子が変に反応するせいですよね。
29: 2013/08/27(火) 17:48:27.16 ID:OnktNF440
皆で桐乃の後を追っていくと、一際大きな桜の木の下に桐乃がいました。
「おっそ~い!!」
「そりゃお前…こちとら荷物持って歩いてんだから仕方ねえだろ」
「つべこべ言わない!とっととテーブル置きな」
ぶつぶつ言いながらも言う通りにする京介さん。
その近くに沙織さんがレジャーシートを敷き、お弁当や食器をテーブルに置いて準備完了。
「んじゃ、とりあえずはテーブルについてメシにすっか」
「ええ、そうね。皆の口に合えばいいのだけれど」
「さんせ~加奈子、腹ぺこぺこ~」
30: 2013/08/27(火) 17:49:39.63 ID:OnktNF440
すると、京介さんが何も考えずにポスっと真ん中に座る。
その瞬間、空気がぴりっとしました。
「んじゃあたしここにす~わろ」
そう言って、桐乃が京介さんの左隣に座ろうとする。
「待ちなさい桐乃。そこは私が座るわ。京介に料理の説明もしたいし」
「はあ?料理の説明は皆にすればいいじゃん。
あたしはいつもこいつの左隣でご飯食べてるから、ここが落ち着くの」
「男の京介の隣にあなたみたいなデカいのがいたら狭いでしょう。
そこは私みたいに小柄な人が座るべきだわ」
「デカくない!!」
31: 2013/08/27(火) 17:50:35.17 ID:OnktNF440
あの紛争地域には近づかない方が賢明ですね。
ということは…
「京介さん、隣失礼しますね」
わたしは京介さんの右隣に座ってからそう言った。
こういうときは騒がず焦らずやるのがベターです。
「あ~!あやせずり~」
「なにが?」
「加奈子も京介の隣がいい~」
32: 2013/08/27(火) 17:51:17.35 ID:OnktNF440
「そう、でもごめんね。わたしもう座っちゃったから」
「代わってくれりゃーいいじゃん。人数分イスあるしさ~」
「え~あっちの空いてるイスの方が景色いいんじゃない?
加奈子にはあっちがいいよ~」
「はあ?じゃああやせがそっちに行けばいいじゃ~ん」
む~、こっちもこっちで加奈子との領土問題が。
そこで一番頼れる沙織さんが柏手一つ、
「皆さん、ではこういうのはどうでしょうか」
―――――――――――――――
――――――――――
33: 2013/08/27(火) 17:52:48.04 ID:OnktNF440
「なあ、なんで俺一人レジャーシートなの?」
「うっさい!」
「まあ、これが一番無難な解決策でしょうね」
「加奈子もレジャーシートにいこ~っと」
「ダメだよ、加奈子」
「済みませんわ京介さん」
まあこうしないと場所決めだけで日が暮れちゃいますから、
仕方ないですね。
34: 2013/08/27(火) 17:54:09.00 ID:OnktNF440
というか今の一連の流れで分かっちゃいますよね。
そう、桐乃のみならず、瑠璃さんや加奈子もまだ京介さんを諦めていません。
そういうわたしも…
沙織さんはどうなんでしょうか?皆に比べたらあからさまなアプローチはないので、
好きではないんでしょうか。
つまり、京介さんが一人暮らしをすると言った時の状況に似ていますよね。
より厄介なのは、わたしも桐乃も京介さんが好きで、バトルロワイヤルに参加する人数が増えたこと、
それにBGという集団に全員が所属している以上、あまり過激なことはできないようになってしまったことです。
だからこの2年間、京介さんに悟られない程度、皆の仲が悪くならない程度の小競り合いがずっと続いています。
さっきは「桐乃軍団」だなんて比喩しましたが、実質は「京介ハーレム」と言った方が正確かもしれませんね。
35: 2013/08/27(火) 17:55:10.35 ID:OnktNF440
「はい、これあんたの分」
「待て!俺の好物の唐揚げがねえじゃねえか!」
「唐揚げはあたしが食べる」
「そんなに食えねえだろうが!!」
「あたしが食べるの!」
「まったく、桐乃。
よしなさい。こんなにあるのに食べられるわけないでしょう。
はい、京介」
「おお!
さんきゅー瑠璃」
「京介さん、お茶をどうぞ」
「ああ、あやせもさんきゅー」
「それでは、皆さんに飲み物も行き渡ったことですし、
桐乃さん。よろしくお願いしますわ」
「おっけー。
おっほん、ではBrilliant Girls春の陣を開始したいと思います!
皆、一杯食べて一杯飲みましょう!お茶を!
じゃあかんぱ~い!!」
「「「「「かんぱ~い」」」」」
―――――――――――――――
――――――――――
36: 2013/08/27(火) 17:56:39.91 ID:OnktNF440
「お!この唐揚げめちゃくちゃうめえじゃねえか」
「そう、そう言ってもらえると嬉しいわね」
「なんかいつもと味が違うような」
「それはごま油のせいかもしれないわね」
「そっか、うめえなあ。
卵焼きには海苔を入れてんのか」
「ええ、ネギかシーチキンか迷ったのだけれど」
「はー、卵焼きにも色々あんだな」
京介さんは瑠璃さんと料理のお話をしている。
まあ、これだけの料理をしたんですから少しくらい瑠璃さんに役得がなければ悪いですしね。
37: 2013/08/27(火) 17:57:23.01 ID:OnktNF440
「さっきはごめんなさい、桐乃さん」
「え?別にいいよ」
「ですが…」
「沙織は気にし過ぎだって。ほら食べなよ。美味しいよ」
「ええ、瑠璃さんの料理は全部美味しそうですわね」
あっちはあっちで桐乃と沙織さんが話してる。
桐乃は京介さん以外が相手だと、すごく柔らかくなったと思う。
元々友達思いだったけれど、優しさというか、労りというか…
そういうのが出てきたと思う。
38: 2013/08/27(火) 17:59:03.45 ID:OnktNF440
んで加奈子はと言うと…あれ?加奈子は?
あ、クーラーボックスのところにいますね。
てっきり京介さんのところに行ったのかと…
「加奈子~食べないの?」
「けっけっけ、花見にただメシ食うだけじゃおもしろくないと思って~」
そう言って加奈子が手に持っていたのは
「加奈子!それビールじゃない!」
「酒じゃないべ?ノンアルコール」
「へ?ノンアルコール?」
「そ、ほら見てみ」
39: 2013/08/27(火) 17:59:59.89 ID:OnktNF440
そういって加奈子に渡された缶ビールには…
本当だ、アルコール0%と書かれている。
「これなら別に飲んでも問題ないだろ~」
「そうだけど…」
「んじゃとりあえず」
カシャッ!
グビ グビ グビ
「プハー!!!
やっぱり花見にはビールだろ~」
「もう、加奈子ったら親父くさいよ」
でもまあ、アルコールが入ってないなら文句言えないよね。
―――――――――――――――
――――――――――
43: 2013/08/27(火) 20:01:13.74 ID:OnktNF440
食事も粗方終え、今は各々が自由時間を満喫してる。
京介さんはレジャーシートに寝っころがって桜を見上げてる。
桐乃はカメラ片手に風景を撮影してる…と見せかけて京介さんの写真を撮りまくってますね。
沙織さんは水筒に入れてきた紅茶でティーブレイク中。
本当に絵になりますね。
黒猫さんは京介さんの隣にペタリと座ってます。
わたしも行こうかな…
44: 2013/08/27(火) 20:02:04.84 ID:OnktNF440
「京介~」
「なんだよクソガキ」
「京介って今年で21だろ~?結婚とか考えてんのかよ」
ピカピカ ドシャーン!!
いま、確実にわたし達の周りには落雷がありました。
まったく!加奈子ったらなんてこと聞いてるのよ!
45: 2013/08/27(火) 20:02:34.04 ID:OnktNF440
「結婚か~まだ考えてねえな」
「なんだよ、じゃあ彼女とかいねえのかよ」
ピカピカ ドシャーン!!
本日2度目の落雷。
皆がごくりと喉を鳴らす。
かくいうわたしも気になっていました。
こういうことって中々聞くことができないですから。
46: 2013/08/27(火) 20:03:39.97 ID:OnktNF440
「彼女か~できたらいいんだけどな~」
「はぁ?じゃあ京介は独り身かよ~」
「わりいか!!」
「悪くねえよ~。んじゃさ~加奈子と付き合うべ?」
京介さんがガバっと起き上がり、加奈子の方を見て
「なに言って!!
……沙織、すまん。クーラーボックスから水をとってくれ」
「ええ、かまいませんわ。どうぞ」
「さんきゅ。ほら加奈子、飲め」
「い~や~だ~。加奈子にはビールがあるんだもん!」
47: 2013/08/27(火) 20:04:43.54 ID:OnktNF440
「『だもん』じゃねえ!お前酔っぱらってんじゃねえか!!」
「酔ってないっすよ~」
え!?さっきのビールってノンアルコールだったよね?
ノンアルコールでも酔うの!?
雰囲気で飲んだ気分になっちゃったのかな…
「いいから、ほれ」
「ちょ、やめっ…グビ グビ グビ。
ぷはあ、無理矢理飲ますなよな!溺れるだろ!!」
「溺れねえよ。それよりほら、加奈子。こっちこい」
「なんだよ~加奈子のこと抱きしめてくれんの?」
「バカ言ってねえでほら」
そう言って京介さんは加奈子をレジャーシートに寝かせて、膝枕をしてあげる。
……わたしも酔おうかな。
48: 2013/08/27(火) 20:05:15.30 ID:OnktNF440
まあでも、加奈子が酔って爆弾を投下してくれたおかげでずっとモヤモヤしていたことが解決した。
京介さんはフリー。
その情報はわたしをとっても幸せにしてくれた。
だから加奈子にはお礼として膝枕を許可します。
多分皆もそう思ってるから何も言わないんでしょうね。
桐乃はプルプル震えてるけど。
けれどこの落雷を伴う積乱雲は、もっと成長するような気がします。
―――――――――――――――
――――――――――
49: 2013/08/27(火) 20:06:01.04 ID:OnktNF440
「んで、今日は何して遊ぶ?」
今日はBGとは関係なくわたしの家でお泊まり会。
参加者は桐乃だけ。
人数が増えると話し合いが乱闘騒ぎにまで発展しそうですから。
「それより桐乃。今日は話したいことがあったの」
「はなし?」
「うん、先週の花見で京介さん、彼女いないって言ってたよね」
「…うん」
「そのことで桐乃と話し合いたいの」
「…そっか」
今はわたしも桐乃もパジャマでベッドにごろん。
桐乃、いい匂いするなあ。
50: 2013/08/27(火) 20:07:25.98 ID:OnktNF440
「京介さんが彼女いないってなったら今までよりもぐちゃぐちゃになると思う。
ルールがなかったらめちゃくちゃになるよ?
BGも崩壊しちゃうかも…」
そう。
話し合いとは「京介さんをどうするか」。
物みたいな言い方で悪いけど、
京介さんをどうするか一定の決まりを作っておかないと、早い者勝ちになったり不公平な結果が生じかねません。
それに、それが原因でBGが崩壊するのもいやですし。
51: 2013/08/27(火) 20:08:22.78 ID:OnktNF440
「…あやせはどうすべきだと思う?」
「ん~わたしはBGが好き。
あそこにいる人達が好きだし、皆で何かするのも楽しい。
だから、BGが壊れるようなことはしたくないかな」
これは本心からの言葉。
京介さんとお付き合いできれば、それはそれで幸せでしょう。
けれど、
それと引き換えにBGがなくなるならば、
わたしはそうなってまで京介さんと付き合おうとは思いません。
京介さんとBG、これはわたしにとって両方大切。
だから、できるなら両方を手に入れたい。
52: 2013/08/27(火) 20:09:22.39 ID:OnktNF440
「あたしも、BGはみんな趣味とか活動がバラバラだけど、それぞれが頑張ってる。
あそこ、あたしにとっても刺激になるんだ。
負けてられない、って」
だから桐乃はサークルをBrilliant Girlsと名付けたのでしょう。
とってもぴったりだと思います。
「んじゃ、BGがつぶれないために京介さんは今まで通り共有にする?」
「……あやせ、あたし達、今年で18歳になるよね」
「え?うん、そうだけど…」
「あたし、気づいたんだ。中3のあたしなんてまだまだガキだったってことに。
今なら分かる」
「っ!」
53: 2013/08/27(火) 20:10:11.47 ID:OnktNF440
桐乃が言った言葉。
私も分かる。
私も最近そう考えていた。
大人になって。18歳になって。
見える景色が変わった。
今まで見えなかったものが見えるようになった。
考えられなかったことも考えられるようになった。
逆に見えてたもの、分かってたものをなくしてしまったこともある。
わたし達は成長したんだ。
それが18歳、京介さんに告白したときの彼と同い年になって分かったことがある。
多分、当時京介さんはこんな景色を見ていたんだろう
こんなことを考えていたんだろうって。
だから桐乃の言いたいことはすごく分かる。
54: 2013/08/27(火) 20:11:15.98 ID:OnktNF440
「いまのあたしなら、あたし達ならうまくやれる。
BGも、京介との関係も、自分のことも」
「…うん」
「それにあたし達もそろそろ受験だしね。京介は就活始まるし」
「それらが終わるまで待つとか?」
「もう待てない」
そう言った桐乃の目は真っ直ぐわたしの目を射抜く。
…全く、桐乃はいつでも格好よくて、私を惚れさせるんだから。
「クスクス。うん、わたしも」
「そっか、んじゃそろそろ決めよっか」
「うん、誰が京介さんに相応しいか。
でもどうやって?」
「それなんだけどさぁ…」
―――――――――――――――
――――――――――
55: 2013/08/27(火) 20:13:04.14 ID:OnktNF440
「っというわけで、皆には順番に京介とデートしてもらうから」
「…いきなり何言ってるのかしら」
「は~?意味わかんねぇよ~」
「あらあら、突然ですわね」
これが私と桐乃の考えた解決案に対する反応。
三者三様ですね。
今日は皆でわたしの部屋に集合です。
あ、もちろん京介さんはいませんよ
56: 2013/08/27(火) 20:14:04.86 ID:OnktNF440
「つーまーり!
あたしとしてはBGがぐちゃぐちゃになっちゃうのは避けたいの!
だから抜け駆けとかだまし討ちはナシ!!」
「…なるほど、だから皆が平等でいられるように機会を均等に割り振るということね」
「瑠璃ちゃん正解!」
「…『ちゃん』付けはよして頂戴」
「だから順番でデートして、最終的にはあいつに決めてもらおうってわけ」
「…けれどそれを今する必要があるのかしら」
「そうですよね。だから、それを含めて皆で決めたいと思います」
57: 2013/08/27(火) 20:15:10.41 ID:OnktNF440
「そういうあなたはどうなの?あやせ」
「わたしは桐乃の意見に賛成です。
そろそろ決着をつけてもいい頃だと思います」
「そう、加奈子はどうなのかしら?」
「加奈子はぁ、賛成かな~
とっとと誰が一番か決めるほうがいいべ?」
「なるほど、私は反対よ。あなた達は受験生でしょうに。
それに先輩も就活が始まるわ。
時期としては中途半端すぎないかしら」
「あたしは大丈夫。勉強はしてるし、それにそんなに時間かけるつもりもないし」
さすが桐乃。短期間で京介さんを落とす自信があるのでしょうか。
58: 2013/08/27(火) 20:16:16.62 ID:OnktNF440
「わたしも今がいいです。こんなモヤモヤしたままだと勉強に身が入らないし」
それに、もう京介さんへの気持ちがおさえられないってのもありますが…
これは恥ずかしくて言えません。
「加奈子はいつでもいいぜ」
「…そう、けれど…」
「だいじょうぶ!!もう昔見たいにグチグチ言ったりしない。
その代わり、あたしも全力でやるから」
「…そう。あなたも成長したのね、桐乃」
「あんたはあたしのお母さんかっつうの」
瑠璃さんもBGのことが心配だったみたい。
瑠璃さんも友達思いでBGを大切にしているから当然不安に思っちゃいますよね。
59: 2013/08/27(火) 20:16:55.87 ID:OnktNF440
「…なら私が反対すべき理由はもうないわ」
「よし!!んじゃ全員一致ということで。
じゃあ順番決めよっか」
「んじゃ加奈子が1番な」
「ふ、真打は最後に登場するものよ」
「あやせどうする?」
「ん~桐乃は?」
「あたし何番でもいいよ」
今、空いてるのは2番か3番。
加奈子の後か、桐乃の後か……
60: 2013/08/27(火) 20:17:51.13 ID:OnktNF440
加奈子はなんだかんだで京介さんと相性いいし、
桐乃も二人きりだと仲がいいって言っているし…
「んじゃ…3番、かな」
どっちも変わらないけど、皆の様子も見れるし、印象も後の方が残りやすいし。
「OK。じゃああたしが2番だね。
デート回数は皆が納得するまでってことでいいよね」
「うん」
「ええ」
「おう」
「よし!!んじゃ恨みっこなしで…」
「あの~」
会議が全会一致、というところで沙織さんが挙手をする。
61: 2013/08/27(火) 20:18:42.55 ID:OnktNF440
「わたくしに発言権はないのかしら」
「へ!?いや…べつに。
喋っていいけど。どしたの?」
「なぜわたくしにはデートの機会がないのでしょうか」
「へっ!?」
今日沙織さんを呼んだのは、話し合いがもつれたら止めてもらう安全弁としてお呼びしたのですが…
もしかして…
「皆に平等に機会を与えるならば、わたくしにもあって当然だと思いますわ」
「もしかして………沙織も?」
「…ええ、お慕いしています」
「あんのクソ兄貴が~~~!!!!」
…皆そう思ったよ、桐乃。
62: 2013/08/27(火) 20:20:37.50 ID:OnktNF440
「だって当然ではありませんか。
あの優しさ、気配りや気遣い。
やるときにはやる男らしさ。
京介さんのような素晴らしい殿方は他にはおりませんわ」
「でも沙織、あんたいいところのお嬢様でしょ」
「あら?関係ありませんわ。
たとえ京介さんと結婚するとなったとしても問題は特にありませんわ。
姉さんなんて結婚して海外に行っているくらいですから」
「そ、んじゃ沙織は何番がいいの?」
「わたくしは4番がいいですわ。ですから瑠璃ちゃんが最後の5番目ということでよろしいですか?」
「ええ、私は構わないわ」
「じゃあもういっか、それで」
桐乃がなんか疲れてますね。
「んじゃとりあえず、順番も決まったし、当分毎週末はあいつとのデートに割り当てるから。
恨みっこなしの真剣勝負だかんね!!」
「「「「おー!」」」」
―――――――――――――――
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あの優しさ、気配りや気遣い。
やるときにはやる男らしさ。
京介さんのような素晴らしい殿方は他にはおりませんわ」
「でも沙織、あんたいいところのお嬢様でしょ」
「あら?関係ありませんわ。
たとえ京介さんと結婚するとなったとしても問題は特にありませんわ。
姉さんなんて結婚して海外に行っているくらいですから」
「そ、んじゃ沙織は何番がいいの?」
「わたくしは4番がいいですわ。ですから瑠璃ちゃんが最後の5番目ということでよろしいですか?」
「ええ、私は構わないわ」
「じゃあもういっか、それで」
桐乃がなんか疲れてますね。
「んじゃとりあえず、順番も決まったし、当分毎週末はあいつとのデートに割り当てるから。
恨みっこなしの真剣勝負だかんね!!」
「「「「おー!」」」」
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63: 2013/08/27(火) 20:21:23.62 ID:OnktNF440
待ちに待った京介さんとのデート1回目!
今日はドライブの予定です。
ちなみに、デート内容はすでに全員決定済み。
2回目のデートも最後の瑠璃さんが終わった後に決めるつもりです。
こうでもしないとデートプランがかぶったり、京介さんに負担がかかりすぎるからです。
先々週の加奈子は遊園地。
先週の桐乃はショッピング。
来週の沙織さんは沙織さん宅でお家デート(一人暮らしうらやましい…)
最後の瑠璃さんはピクニック。やはり胃袋を掴む作戦でしょうか。
64: 2013/08/27(火) 20:22:14.29 ID:OnktNF440
そうこうしている内に、家の前に京介さんの車が停車。
京介さんが乗っているのは日○のセ○ナ。
バイト代のほとんどをつぎ込んだそうです。
「よう、あやせ。待たせたな」
「いいえ、時間ぴったりですよ」
「そりゃよかった。んじゃ乗ってくれ」
「はーい」
京介さんの助手席!!
なんか京介さんの特別になれた気がします。
BGだと桐乃がいつも助手席に座りますから。
65: 2013/08/27(火) 20:23:25.26 ID:OnktNF440
「んで、今日はドライブ行きたいってことだけど。
どこか行きたいとことかあんの?」
「アイ・リンクタウンで夜景が見たいです!」
「夜景…まだ昼過ぎだぞ」
「そうですね、それまでどうしましょうか」
「う~ん……
ってかさ、その手に持ってんのって」
「これ?これはお弁当ですよ」
「手作りか!?」
「え、ええ」
「よし、んじゃとりあえず景色のいいところにでも行ってそれ食べようぜ。
後のことはまたその後に決めようぜ」
「そうしましょうか」
66: 2013/08/27(火) 20:24:11.09 ID:OnktNF440
「場所は…泉自然公園でいいか」
「桜、残ってますかね?」
「もう散っちゃってるかもな。けど俺はあやせの手料理が食べれるならどこだっていい。
この車の中でもな」
「クスクス。それだと風情がないですよ。
じゃあ公園に行きますか」
「おう」
―――――――――――――――
――――――――――
67: 2013/08/27(火) 20:25:10.11 ID:OnktNF440
京介さんの運転している姿は何度見ても…なんというか、格好いいです。
キリッと真剣な顔をして、ハンドルを捌く京介さん。
すごく大人の男性ってかんじがします。
「……そんなジロジロ見てなに?顔になんか付いてんの?」
「ジ、ジロジロなんて見てません! ただ…」
「ただ?」
「大人だな~と」
「大人? …確かに、俺はあやせより年上だけど、大人じゃないだろ」
「いいえ、大人ですよ。 もう二十歳も過ぎてるんですから」
68: 2013/08/27(火) 20:26:06.64 ID:OnktNF440
「あ~世間一般ではそうなんだろうな。
けど、実際この年になっても何にも変わんねえよ」
「そうなんですか?」
「あやせもこの年になったら分かるよ。
結局、男はいつまでもガキのままだってな」
そう言ってニカっと笑った京介さんの顔は、確かに少年のような純粋さがありましたが、
同時に大人としての色香も併せ持っているような…ずるいです。
けど京介さんでも子供なら、わたしなんてもっと子供になっちゃいます。
「んで、いきなり大人っぽいとかなんで思ったんだ?」
「だって、車の運転をしてるから」
「ぷっ」
「あ!笑わなくてもいいじゃないですか!」
わざとらしく頬をぷっくりさせる。
69: 2013/08/27(火) 20:26:52.96 ID:OnktNF440
「ごめんごめん。
けどよ、車の運転なんて誰だってできるぜ?」
「そうですけど、周りにはそういう人がいませんから」
「まあそうだな。
けどあやせも今年で18だから免許とれんじゃん。
とるのか?」
「まだ考えてません。受験もありますから」
「まあそうだよな。
でも受験終わって春休みにでもとればいいよ」
「そうですね。考えておきます」
と言うのは嘘。本当は免許なんてとるつもりありません。
だって、免許をとっちゃうと京介さんが乗せてくれなくなるかもしれません。
わたしには京介さんがいるから免許なんて不要なんです。
―――――――――――――――
――――――――――
70: 2013/08/27(火) 20:27:48.45 ID:OnktNF440
「よし、着いたぞ」
「運転ごくろうさまです」
「どういたしまして。
そのバスケットくれ。俺が持つよ」
「あ、ありがとうございます」
こうやってさりげなく気を遣ってくださるのが大人の男性って感じ。
同い年だとここまで気が付きませんから。
それとも、これは京介さん自身の人間性なんでしょうか。
「ところで京介さん。シートとかってあるんですか?」
「ああ、この前の花見で使った道具は一式乗ったままだし」
「じゃあ二人だからシートだけでいいですよね。これは私が持ちますね」
「ああ、頼んだ」
71: 2013/08/27(火) 20:28:53.44 ID:OnktNF440
桜のある南のほうまでずんずん進んでいくと…
「あちゃ~やっぱり大分葉桜になっちまってるな」
「けど、ちょっとは桜が残ってますよ」
「そうだな。んじゃ…あそこの陰に入るか」
「はい」
京介さんと二人っきりで桜を見たかったのですが…
残念です。
でも葉桜の間にポツポツとピンクが映えているのも、またこれはこれで可愛いです。
「俺、お腹減ってんだけどあやせは?」
「わたしもです。お昼食べてませんから」
「じゃあさっそく食べるか」
「はい、そうしましょうか」
72: 2013/08/27(火) 20:30:01.43 ID:OnktNF440
緊張の一瞬です。バスケットの蓋を開ける!
「お?サンドイッチか」
「はい…」
「てっきりあやせみたいな黒髪美少女は和風かと思ったけど」
「びっ!美少女って」
「ん?美少女だろ、お前って。モデルやってるくらいだし」
「知りませんよ!」
全く!京介さんはすぐにそういうことを言うんだから!
言われる方の立場にもなってください!
そりゃ、京介さんから美少女とか言われるのが嫌かと聞かれると、やぶさかではないと申しましょうかなんというか
「サンドイッチにフライドポテト、ミニハンバーグまであんのか。
他には唐揚げにフルーツ。
全部うまそうだな。食べていいか?」
「ど、どうぞ!!」
73: 2013/08/27(火) 20:31:10.08 ID:OnktNF440
京介さんは生ハムとレタスのサンドイッチをつまむと、ひょいっと口に入れた。
「ど、どうですか?」
「もぐもぐ…うん、めちゃくちゃうまいな。
生ハムの塩っけがいい感じだ」
ほっ。とりあえずは一安心ですね。
「他にも卵サンド、カツサンド、あとは鶏肉にレモンを振ったものとかもありますから」
「おお、色々あんな。作ってきてくれてさんきゅーな。あやせ」
「いえいえ」
京介さんは手を止めず、わたしが作ったサンドイッチを勢いよく食べていく。
作ってきてよかった…!
なんか、見てるだけでわたしまでお腹が一杯になっちゃいそう、もしかすると胸が、かもしれない。
74: 2013/08/27(火) 20:31:53.63 ID:OnktNF440
「もぐもぐ…ところでさ」
「はい?」
「なんで唐揚げ?」
「え゛?」
「だって、こいつ以外全部洋食じゃん」
「そ、それは…
サンドイッチに使った鶏肉が中途半端に余ったからです!!!」
「うお、大声出さなくても…
そっか、俺唐揚げ好きだから嬉しいけど」
この前、花見のときに言ってましたもんね。
というかこの2年間、京介さんばかり見ていたせいで彼の趣味趣向は大体把握してますけどね。
その後も、京介さんは食べる手を休めず次々とわたしの料理を食べてくれた。
75: 2013/08/27(火) 20:32:44.62 ID:OnktNF440
「ふう…ごっそさん、あやせ。めちゃくちゃうまかったよ」
「そうですか。それはよかったです」
「けどいいのか?俺ばっかり食べてた気がするけど」
「い、いいんです。わたしダイエット中ですから」
「ダイエット?おいおい、それ以上痩せてどうすんだよ。
あやせは今のままで十分魅力的だろ」
「そ、そうですか…
けど、わたしもちゃんと食べましたよ?お腹いっぱいです」
「そっか…んじゃこの後どうすっかな」
ん~どうしましょうか。
今はやっと3時前。夜景にはまだまだ早いですけど…って
76: 2013/08/27(火) 20:35:14.87 ID:OnktNF440
「京介さん、なんだか眠そうですね」
「ぉお?そうか? お腹膨れて眠くなったのかもな」
「もしかして…疲れてるんですか?」
「いいや、そんなことはないけど」
「よし、じゃあ京介さん。
ちょっと休憩しましょうか。そのまま昼寝してしまっても構いませんよ」
「昼寝はともかく、休憩には大賛成だな。日陰で風が涼しくて気持ちいいしな」
そういって京介さんはシートの上にごろりと寝ころぶ。
その拍子にわたしとの距離が少し近くなりました。
ドキドキします…!
77: 2013/08/27(火) 20:38:33.81 ID:OnktNF440
「あ、そうだ。あやせ」
「なんですか?」
「今日の服、かわいいな。
ロングスカートとか、あやせみたいな美少女にはぴったりだと思うぞ」
「な、なんですか突然!」
「いや、会ったとき言おうと思ったんだけど、運転してる最中に忘れちまって」
「そ、そうでしたか。ありがとうございます」
これも桐乃の教育の賜物なんでしょうか。
女性のファッションに目を配ってるってはポイント高いですね。
桐乃と言えば…
78: 2013/08/27(火) 20:39:16.74 ID:OnktNF440
「京介さん、先週は桐乃とお買い物に行ったんですよね」
「おお、よく知ってんな」
「友達ですから。それで桐乃は何を買ったんですか?」
「桐乃の物は何も買わなかったよ」
「へ?じゃあ何も買わずに終わったんですか?」
「いや?買ったのはこれ」
そう言って京介さんは今日着て来たシャツとパンツを順番に指す。
「京介さんの服を買ったんですか」
「おお、桐乃からのプレゼントだ」
え!?
桐乃がプレゼント!?
なんで孫からのプレゼントを喜ぶお祖父ちゃんみたいな笑顔なんですか!!
79: 2013/08/27(火) 20:40:16.50 ID:OnktNF440
「やっぱりあいつ、センスあるよな。
シャツとかあんま着なかったけど、これだと俺もパリッとしてるように見えるもんな」
うぅ、二人だと仲良しというのはあながち嘘じゃないのかも知れませんね。
しかもプレゼントで、京介さんも気に入りってる様子。
…でも、女性とのデートに妹からのプレゼントを着てくるというのはどうなんでしょう。
デートと思われてないんでしょうか。
それだとへこんじゃいます…
なるほど、桐乃はそれなりにうまくやったみたいですね。
80: 2013/08/27(火) 20:40:58.21 ID:OnktNF440
「先々週は加奈子と遊園地でしたっけ」
「おう」
「どうでしたか?」
「楽しかったよ」
「そ、そうですか」
う~!!加奈子もちゃっかり成功させてる~!!
…友達の失敗を願うなんて、わたし嫌な女ですね…
「あいつテンション高いし、遊園地とかにはもってこいだよな。
アトラクション待つのも苦じゃなかったぜ」
皆はそれぞれ成功させてるんだ!
私も頑張らなくちゃ!
81: 2013/08/27(火) 20:41:58.88 ID:OnktNF440
それはそうと、気になってることが一つ。
「京介さん、就職はどうするかもう決まってるんですか」
「いや、でも大体はもう決めてあるぞ」
「…お聞きしてもよろしいですか」
「別にいいぞ。俺は一応、教師になろうと思う」
「教師…ですか」
「おう、小学校のな」
言われて、なんとなくストンと納得できました。
容易に想像ができますね。
走り回る生徒、笑顔で子供の相手をする京介さん、笑顔の中心にいる彼…
「そうですか、お似合いだと思いますよ。とっても」
82: 2013/08/27(火) 20:42:57.53 ID:OnktNF440
「そうか。そういうあやせはどうするんだ?そろそろ進路決めてんだろ?」
「それが…まだ…」
「そっか。まあそんな難しく考えなくていいと思うぞ」
「そうなんですか?」
「おう。俺も教師になろうと思ったのは最近だしな。
一応、教職課程は取ってたけど別に教師になりたくて大学決めたわけじゃねえし。
それに、文系進んでも研究職に進む奴もいれば、理数系でも普通に営業とかに就職する奴もいる。
法学部は皆がみんな弁護士にはならないし、経営学部も皆が経営者になるわけじゃねえ。
つまり、なにが言いたいかっつうと」
そこで京介さんは一つ伸びをして
83: 2013/08/27(火) 20:43:52.03 ID:OnktNF440
「大学は可能性を広めるところなんだよ。
確かにネームバリューの有無で就活に影響するかも知んねえけど、
それだけじゃ決まんねえよ。
要は4年間でやりたいことを見つけて、そのために努力する。
それが大学って場所だと思う。
だからあやせもそんなに難しく考えなくてもいいと思うぞ」
本当に、彼はなんでもないかのように軽く言う。
けれど、今のわたしには全然分からない。
大学、学部、やりたいこと、やるべきこと、自分の適正、就職…
全てが漠然としていて明確なビジョンが持てない。
「まあランク上の大学に行きゃあいいよ。学部も後から変更できるし人生それで決まったりしねえよ」
なんともドライな回答ですね。
84: 2013/08/27(火) 20:44:41.52 ID:OnktNF440
でも確かに、わたしはもっと具体的な職業を念頭に大学を選ぶべきだと思っていました。
けどその道の専門知識もないまま、具体的な職業を選択するってのも難しいですよね。
もっと漠然としていていいのかもしれません。
「なんとなく、心のつっかえがとれました。ありがとうございます」
「いいよ、別に。何てったって俺は人生の先輩だしな」
「クスクス…ありがとうございます。先輩」
「おう」
彼には本当にお世話になりっぱなしです。
わたしの受け取った何分の一かでも返せればいいな。
85: 2013/08/27(火) 20:45:38.78 ID:OnktNF440
お返し、今できることと言えば
「京介さん」
「ん?」
「膝枕しましょうか?頭、痛いでしょ」
「い、いや!いいよ!」
「遠慮しなくてもいいですよ。わたし、スカートで寝っころがれないですし」
「でも」
もう、こういうときはヘタレなんですから。
いつもは可愛いとか綺麗とか言って攻めてくるくせに。
86: 2013/08/27(火) 20:46:22.98 ID:OnktNF440
わたしは京介さんの頭をそっと持ち上げて、無理矢理膝枕をする。
「お、おい!」
「いいじゃないですか、それともいやでしたか?」
「嫌じゃねえけど」
「ならいいじゃないですか」
「……あやせも変わったな」
「そうですか?」
「昔だったらあやせの膝と俺の頭の位置が逆だったかもしれん」
それは、京介さんの頭の上でわたしが正座するということですか?
さすがにそれはしませんが、確かに昔のわたしなら膝枕なんてしなかったでしょう。
「わたしも成長しているんですよ」
87: 2013/08/27(火) 20:48:04.50 ID:OnktNF440
今のわたしは気付いてる。
あれだけ彼に攻撃的だったのは好きだったから、照れていたから。
けど、あんなことしても何の意味もなかった。
むしろ、彼に嫌われるだけだ。
だからわたしはああいうことをやめた。
彼に好かれるために。
彼を見下ろすと、目がしょぼしょぼして今にも閉じそう…あ、閉じた。
寝ちゃったのかな?
勉強にバイトにサークル。それにBGだってある。
疲れてたのかも知れませんね。
88: 2013/08/27(火) 20:48:36.11 ID:OnktNF440
わたしは彼の黒髪を優しくなでる。
彼の髪はさらさらで、触れているわたしの手も幸せだ。
彼の髪、彼の寝顔、彼の体温、彼の重み…
今は全て、わたしが独占している。
なんて幸せなんだろう。
このまま時間が止まればいいのに。
いや、だめだ。
そうしたら、わたしは彼の友達のままだ。
時間を止めちゃだめだ。
わたしは進めたい。彼女になるために。
―――――――――――――――
――――――――――
89: 2013/08/27(火) 20:49:28.95 ID:OnktNF440
「うお!?」
彼がいきなり起き上がる。
「……もう夕方じゃねえか」
そう、日はもう沈みかけている。
まだ4月ということもあって日の入りも早い。
「すまん、あやせ。爆睡しちまって。
しんどかったか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「本当にすまん!」
「いえ、京介さんの寝顔も見れたしいいですよ」
「寝顔って。よだれとか垂れてねえよな」
「くすくす、大丈夫ですよ」
「そっか。んじゃいい感じに暗くなってきたし、夜景見に行くか」
「はい!!」
―――――――――――――――
――――――――――
90: 2013/08/27(火) 20:50:38.64 ID:OnktNF440
「すごーい!」
わたし達は今、ザタワーズウエストのエレベーターに乗って、45階まで登っているんですが…
またエレベーターがシースルーで、徐々に視界が開けてきて夜景が目に飛び込んできます!
すごい!
でも、高所恐怖症の人は氏ねますね、これ。
エレベーターが45階で止まり、展望ロビーへ。
きれーい!!!
障害物がないから、夜景が遠くまで一望できます!!
「おいおい、あやせ。落ち着けよ」
「だって京介さん、こんなにきれいなんですよ?ほら、はやく行きましょう」
そう言って彼の腕をとる。
「あ、おい。別に夜景は逃げねえよ」
「逃げないですけど早く見たいです」
腕を組んだまま窓際へ。
91: 2013/08/27(火) 20:51:28.20 ID:OnktNF440
「ほら、きれいでしょ」
「ああ、こりゃすげえ」
「京介さん、もっときれいな夜景、みたくないですか?」
「なに、これ以上綺麗になんの?」
「展望デッキに上がりましょう」
「デッキ?」
「ええ、そうです」
彼の腕を引き、階段を上って展望デッキに上がる。
「うお、すげえ。吹きさらしじゃん」
「ええ、この季節だと寒くないですね」
「風はすごいけどな」
「その代わり、ロビーみたいに照明がないから夜景がはっきり見えます」
「本当だ」
92: 2013/08/27(火) 20:52:26.39 ID:OnktNF440
二人並んで夜景に見入る。
遠くの方まで灯りが続いており、まるで光の海のようだ。
「京介さん、ここはデッキだからぐるっと回れますよ。
行ってみましょう!」
「はいはい」
苦笑気味に笑う彼。
今、わたし達は南東の方を見ていて、東京湾(かな?)が見えてます。
そこからぐるっと時計周りへ。
南西の方には江戸川が。
それにスカイツリーも見えます。水色に光っていて幻想的です…
西にはサンシャイン60があり、ぐるっと北側、東側も見ていきます。
「京介さん」
「ん?」
「もう1度スカイツリーの方を見に行ってもいいですか?」
「ああ、何度だっていいぞ」
彼の承諾を得て再度南西の方へ。
93: 2013/08/27(火) 20:53:16.25 ID:OnktNF440
どれだけ見ていても飽きません。
でも不思議。
これだけの灯りがあるということはそれだけ人がいると言うこと。
普段、気づかないけれどこれだけの人が仕事をし、家庭を持ち、生活をしている。
そう考えるとわたし個人がすごくちっぽけで、脆弱な存在にも感じ……
「あやせ、体冷えてないか?」
「あ、そうですね。少し風に当たり過ぎて冷えてしまいました」
「下に喫茶コーナーがあったから、温かいもの飲みならが見ようぜ」
「そうしましょうか。それにしても冷えてきたなんてよく分かりましたね」
「だってあやせの体が震えてるぞ」
「あっ!!!」
エレベーターから出てずっと腕を組んだままでした…
恥ずかしい…
けど、京介さんと腕を組んで夜景を見れるなんてとても幸せでした。
―――――――――――――――
――――――――――
94: 2013/08/27(火) 20:54:21.75 ID:OnktNF440
「今日は本当にありがとうございました」
帰りの車中で彼に今日1日の感謝をする。
「ああ、俺の方こそ。
綺麗な夜景が見れてよかったよ」
「すごかったですよね」
「ああ、あんな夜景見たの初めてだ」
「わたしもです」
彼と私が初めてを共有する。それはとても素敵なことのように感じる。
今日1日でわたしは彼に近づけたのだろうか。
わたしの手料理を食べてもらった。
彼の将来の進路を聞いた。
膝枕をしてあげた。
腕を組んで夜景を二人で見た。
どれもこれも嬉しい出来事ばかり。
けれど、それで満足してはいけないと心のどこかで焦ってしまう。
95: 2013/08/27(火) 20:55:00.15 ID:OnktNF440
「ほい、着いたぞ」
「え?」
ふと外に目を移すと、確かにわたしの家の前に車が止まっていた。
今日のデートはこれでおしまいだ。
「今日1日ありがとな」
「いいえ、それを言うならわたしの方です」
「じゃあ、またな」
「…はい」
助手席のドアを開け、足を車外に出し、上半身だけ彼の方に向け、こちらを見ている彼の唇にキスをする…
96: 2013/08/27(火) 20:59:17.32 ID:OnktNF440
なんてこと、できないですよね。
わたしは何もせずに車外に出る。
「では、お気をつけて帰ってください」
「おう、じゃあな」
そう言って彼の車が発進する。
別に焦らなくていいよね?
まだデートは1回目。次もあるんだから。
―――――――――――――――
――――――――――
97: 2013/08/27(火) 21:03:37.51 ID:OnktNF440
「んで、1順したんだけど」
今日もBG(-京介さん)のメンツでわたしの家に集合中。
「どうだった?」
桐乃の問いかけに対し
「へ、加奈子は大成功かな~。あいつ、ぜってぇ加奈子に惚れたね」
自信満々に答える加奈子。
「ふ、彼の魂も胃袋ももはや私が掴んだわ」
胃袋はさておき魂を掴むと言うのは黒魔術的ですね。
「わたくしは大満足ですわ」
沙織さんは確か、京介さんとお家デート。もしかして、いくところまでいって…!!?
「ゲームにコスプレにプラモに…目一杯わたくしの趣味にお付き合いいただきましたわ」
いくわけないですね。
98: 2013/08/27(火) 21:04:38.19 ID:OnktNF440
「そういう桐乃だってよかったんじゃない?桐乃が買ってあげた服、京介さん気に入ってたよ?」
「へへーん、当然じゃん」
桐乃も嬉しそうだ。
「んで、1順終わったけどどうする?
終わり?もう1順する?」
「私は再度デートする機会がほしいわね」
「わたくしもですわ」
「加奈子も~」
「わたしも…もうちょっとチャンスがほしいかな」
「おっけ~。んじゃ全員一致でもう1回ということで。
順番は前と一緒でいいよね?」
「ええ」
「はいですわ」
「おぉ」
「うん」
「んじゃ第2ラウンド、開始!」
―――――――――――――――
――――――――――
99: 2013/08/27(火) 21:09:33.18 ID:OnktNF440
2週目も前回同様、すでに全員の行先きが決まってます。
加奈子は鴨川シーワールド。
桐乃は温泉(混浴は禁止)。
沙織さんは本宅の方で豪華AVルームでゲームをしたり、温水プールで遊んだりした後、高級ディナーに連れてくそうです。
完璧、物量作戦に出ましたね。
瑠璃さんは自分の書いた小説を読んでいただくとか。
これだと作家と担当のようですが、なにか2人だけの秘密でもあるんでしょうか。
あ、ちなみにディ○ニーは全員使用不可となってます。
あんな夢の国を使うのは卑怯ですし、使えるなら皆行っちゃいますから。
そして、わたしはと言うと
「お、こいつ人懐っこいな」
「本当ですね。頭摺り寄せてきて可愛いですね」
今は猫カフェにいます。
今日は目的も決めず、街中デート。
さっきまで映画を見ていたので、休憩がてら猫カフェでお茶です。
100: 2013/08/27(火) 21:13:49.80 ID:OnktNF440
「舌ザラザラだな」
「京介さんは猫派ですか?」
「どっちかっつーと犬だな。けど、今は猫派に寝返りそうな勢いだ」
「あはは、かわいいですよね」
「ああ、連れて帰りてぇくらいだ」
「京介さんの家はペットは飼ったことないんですか?」
「ねえな。
昔、親父が犬を飼おうとしたけどお袋が『ダメ』で一蹴してから、我が家ではペットは飼えんことになった。
あやせも飼ってないよな」
「はい。わたし一人っ子だから本当は猫を飼いたいんですけど…
お父さんもお母さんも仕事で家を空けることが多いので…」
101: 2013/08/27(火) 21:15:05.21 ID:OnktNF440
「駄目ってわけか」
「はい…」
「んじゃ今日は、その分こいつらを可愛がってくか」
「はい!」
レンタルした猫じゃらしをヒョイ、ヒョイと左右に振ると猫ちゃんが反応する。
か、かわいい~!!
「それより、さっきの映画どうだった?」
京介さんは胡坐をかいた太ももの上にいる猫をなでながら聞いてきた。
「よかったと思います。
ハリウッドみたいにドカーン!ドーン!
じゃなくて、ちゃんと二人の感情の動きが表現されていて」
「そうか。けど、恋愛映画ってのはどうも苦手だ」
「そうでしたか……それは、すいませんでした」
「あ!いやいや、そういうわけじゃなくて…
なんつうか、あやせみたいな年下の女の子と見るのは小っ恥ずかしいんだよ」
「そうなんですか?」
102: 2013/08/27(火) 21:16:12.40 ID:OnktNF440
「ああ。
けど今日の映画はよかったと思うぜ。
最後はバッドエンドでちょっと鬱だけどさ」
「まあ恋愛すべてがハッピーエンドなわけじゃないですし」
「まあな」
わたしの恋愛はハッピーエンドになるんでしょうか…
「ところで京介さん、やたらと猫に好かれてますね」
「おう、なんでだろうな」
今や京介さんには、膝の上に2匹、肩のうえに1匹、抱っこしているのが1匹で
計4匹の猫ちゃんたちがじゃれついている。
「京介さんの優しい雰囲気を察知したのかもしれませんね」
「そんなんじゃなくてマタタビの匂いがするとか?」
103: 2013/08/27(火) 21:16:58.99 ID:OnktNF440
「フフ、しませんよ。
どうです?猫ちゃん達に癒されましたか?」
「おう、癒されてるぜ」
「最近お疲れのようですから」
そう、今日は映画の他に猫カフェも行こうと考えていた。
それは、京介さんが毎週のデートに疲れているかもと心配していたからだが。
「別に疲れてはねえけどよ。
最近なんか毎週、誰かしらと遊びに行ってんだよな」
「…そ、そうだったんですか」
勿論、女性陣で順番にデートをすることを決めたのは京介さんには内緒です。
それを言っちゃえば、なんでデートしてるのか理由を言わなければならないわけで。
そうなると、皆が京介さんを好いていることがばれてしまいます。
「そういや先週は桐乃と温泉に出かけたんだけど」
「そ、そうですか」
104: 2013/08/27(火) 21:24:13.54 ID:OnktNF440
「そういや先週は桐乃と温泉に出かけたんだけど」
「そ、そうですか」
「前の夜景を見に行った時も、前の週は桐乃と出かけてたな。
ってか2回連続で加奈子、桐乃、あやせって順番だな」
「偶然じゃないですかね」
「すごい偶然だな」
「本当ですね!」
やばい。このままいけばバレてしまいそうです。
次の周からは順番を変えた方がいいかもしれませんね。
「それより」
とりあえず、今日は話題を変えて逃げ切りましょう。
「先週の温泉はどうでしたか?」
「おう、気持ち良かったぞ。
温泉めぐりで何個か入ったけど、露天風呂とかも入れたし、リフレッシュしたって感じだ」
「そうですか」
もしかして、桐乃も京介さんの体調に気遣った結果、温泉に行ったのかも知れませんね。
105: 2013/08/27(火) 21:25:07.68 ID:OnktNF440
「桐乃と混浴なんてしてませんよね?」
「するか!!妹と混浴とかやばいわ!!」
「京介さんには前科がありますから」
「うっ… けど入ってねえよ」
「そうですか。それならいいんです」
桐乃は約束を守ったようですね。
ここまで足を踏み入れたんだから、突っ込んだ話もしてみようかな。
桐乃のこと、どう思ってるのか。
「それよりさ、この後どうする?」
106: 2013/08/27(火) 21:26:09.63 ID:OnktNF440
「この後、ですか。
京介さんは何かしたいことありますか?」
「ん~特にないかな」
「じゃあウインドウショッピングでいいですか?」
「ああ、いいぞ。荷物持ちはまかせろ」
「クスクス。はい、頼りにしてますよ」
あーあ逃げられた。
あんなあからさまな逃げ方されたら、疑っちゃいます。
―――――――――――――――
――――――――――
107: 2013/08/27(火) 21:29:16.23 ID:OnktNF440
「京介さん、これはどうですか?」
「おう、似合うと思うぞ」
「本当ですか?」
「ああ、やっぱりあやせはモデルだな。何着ても似合ってるぜ」
今はわたしの服を見て回ってる最中。
できるだけ京介さん好みのわたしになりたいんですが…
京介さんは何を着ても
「可愛い」
「似合ってる」
「いいと思う」
とか、肯定的な返事しかしてくれなくて…
どれが一番いいのかはっきりしない。
108: 2013/08/27(火) 21:31:16.01 ID:OnktNF440
「そうだ、京介さん」
「ん?」
「京介さんが一番いいと思う服を選んでくれませんか?」
「え゛?…俺が?」
「はい」
「俺、服のセンスとかねえぞ」
「そういうのは期待していませんから大丈夫です。
とりあえず、京介さんに好きな服を選んでもらいたいんです」
「そ、そっか… わかった」
そういって、京介さんは百貨店の中をこっちにウロチョロ、あっちにウロチョロ…
109: 2013/08/27(火) 21:32:08.00 ID:OnktNF440
「京介さん、外から眺めてるだけじゃ見れませんよ」
「けどよ~、男の俺が服見てたら変じゃねえか?」
「別にそうは思いませんが…
男の人が一人で見てたらちょっと変ですけど、今日はわたしがいるから大丈夫ですよ」
「そっか…よっし、よっし!」
気合を入れて京介さんが入っていく。その後を私もついていく。
真剣に彼が服を探してくれている。
それだけで十分うれしい。
「京介さんはどういう服装の女性が好きなんですか?」
「俺か? うーん…今まで考えたことないけど…」
彼は服を探す手を休めずに
「とりあえず、ケバいのとか変なのはナシ」
110: 2013/08/27(火) 21:33:00.29 ID:OnktNF440
「変なの?」
「原宿歩いてるような変であることがアイデンティティーになっちゃってるようなやつ」
「あー」
確かに。
ファッションは自分らしさを出してもいいけど、変であることが目的になっちゃってる人もいますもんね。
「あとは…やたら露出してるのも嫌だな…
まあ、俺にはファッションなんて分かんねえけどよ。似合うのが何より大事だと思うんだ」
「そうですね」
111: 2013/08/27(火) 21:33:45.03 ID:OnktNF440
「その点、あやせは黒髪でスラっとしてるからお嬢様みたいなのかがいいと思う…
というか見てみたいな。
いや、かっこいいジャケットとパンツスタイルとかも捨てがたい…」
「ふふ、どっちなんですか」
「迷うなぁ…よし!今回はお嬢様っぽくいくぜ」
「そうですか。ではとびっきり可愛くしてくださいね」
その後も京介さんはあっちこっちいって、わたしの顔を見ては商品を戻すと言った作業を繰り返し…
「お、…これなんかどうだ?」
113: 2013/08/27(火) 21:37:05.74 ID:OnktNF440
そういって差し出されたのは白色のワンピース。
柄とかはないし、シンプルだけどそれだけに大人っぽい。
それにテールカットになっていてすごく上品な印象を与える。
「いいですね。じゃあこれ試着してみますね」
「え!?試着すんの?」
「試着せずに買うのは怖いので」
「え!?買うの?」
「じゃあ何のために京介さんは探してたんですか。じゃあちょっと待ってて下さいね」
「あ、ああ」
戸惑う彼を残して試着室へ。
118: 2013/08/27(火) 23:25:13.59 ID:OnktNF440
レディースフロアで男一人で待っているのは気まずいでしょうから、さっさと着替えて…
よし。
うぅ、見せるの緊張するなあ…
よし!気合を入れて
「どうですか」
「…」
「京介さん?」
「あやせ」
「はい?」
「結婚しよう」
「ええ!!!?」
「あ、すまん。あまりに綺麗で色々間違えた」
よし。
うぅ、見せるの緊張するなあ…
よし!気合を入れて
「どうですか」
「…」
「京介さん?」
「あやせ」
「はい?」
「結婚しよう」
「ええ!!!?」
「あ、すまん。あまりに綺麗で色々間違えた」
119: 2013/08/27(火) 23:28:00.27 ID:OnktNF440
ふぅ。まだドキドキしています…
久しぶりに言われました…結婚しようって。
「いや、すまん。
でもその服、似合ってると思うぞ」
「そうですか…じゃあこれ、買いますね」
「え?」
「じゃあちょっと待っててくださいね」
またまた戸惑う彼を残して再度試着室に入って着替え直し、試着していた服を購入。
「それで京介さん」
「ん?」
「さっきのワンピースに合わせるものがほしいんですが」
120: 2013/08/27(火) 23:29:39.71 ID:OnktNF440
「…また俺が選ぶの?」
「はい。お願いします」
京介さんが再び女性服フロアをウロウロして探し出したのは…
「このカーディガンなんてどうだ?」
「はい。お願いします」
京介さんが再び女性服フロアをウロウロして探し出したのは…
「このカーディガンなんてどうだ?」
121: 2013/08/27(火) 23:30:39.15 ID:OnktNF440
京介さんが見つけ出してきたのはグレーのカーディガン。
お尻まで隠れるゆったりとしたスタイルで、派手じゃない程度にラメも入ってる。
バックリボンが付いてるのも可愛いですね。
わたしはそれを羽織り、さきほど購入したワンピースを袋から出して彼に見せる。
「どうですか?」
「うん、そのワンピースにもあやせにも合うと思うぜ」
「そうですか。じゃあこれも買いますね」
レジでお会計をして京介さんの下へ。
これで京介さん好みのわたしが完成しました。
122: 2013/08/27(火) 23:31:37.42 ID:OnktNF440
彼の元へ戻ると一仕事やり終えたような顔をしていた。
「その服を着てるあやせ、楽しみにしてるぜ」
「はい、楽しみにしててくださいね。
じゃあわたしの買い物は終わりです。次は京介さんの服を見たいと思います」
「え…俺の?」
「はい、プレゼントします」
「いや、誕生日でもねえしいいよ」
「でも、京介さんにわたしが選んだ服を着てほしいんです」
「そっか。じゃあ普通に選んでくれ。それを買うから。
大学生だし服はいくらあっても困らないからな」
「でも」
「あやせも俺が選んだの自分で買ってんじゃん。
だからプレゼントじゃなくて選ぶだけでいいよ」
「そうですか…」
123: 2013/08/27(火) 23:32:42.21 ID:OnktNF440
この前、桐乃がプレゼントした服を彼が喜んで着ていたから、わたしもそうしたいと思ったのですが…
残念ですね。
「じゃあわたしが京介さんに似合う服を探します。
何を探しましょうか」
「ジャケットは持ってっし…中に着るトップスとパンツを選んでくれ」
「わかりました」
今日、彼が着ているジャケットは黒。
それに合わせるものを探してウロウロ……
「あ、これなんてどうですか?」
「綺麗な青だな」
「ターコイズですね」
わたしが京介さんに見せたのはターコイズのTシャツ。
124: 2013/08/27(火) 23:33:47.61 ID:OnktNF440
「んで、下はどうすんだ?」
「下はオフホワイトのパンツにしようかと思ってます」
「そっか」
「ではとりあえずこのTシャツを覚えて、下のパンツがあるか見に行きましょうか」
「おう、そうすっか」
その後、オフホワイトのパンツを探して何店舗か巡り、5店舗目でお目当てのパンツを見つけた。
「これなんてどうですか?細見のストレートで肢がきれいに見えますよ」
「これとさっきのTシャツ…あやせはどう思う?」
「京介さんに合うと思いますよ?ターコイズと白でさわやかですし、
差色としてターコイズもいいかと」
「よし、んじゃとりあえずこのパンツ試着してみるわ」
「はい」
125: 2013/08/27(火) 23:34:31.37 ID:OnktNF440
わたしが選んだパンツを持って京介さんが試着室へ…
「どうだ?」
早っ!
男性ってなんでこんなに速いんでしょうか。
「ええ、サイズも合ってますし、似合ってますよ」
「そうか」
彼は何度か鏡で確認し…
「んじゃこれにするわ。ちょっと待っててくれ」
そういって試着室へ…
1分もかからず元の姿に。
先ほど試着したパンツを買い、さっき見たターコイズのTシャツも購入。
126: 2013/08/27(火) 23:35:00.78 ID:OnktNF440
「京介さん、今日買った服は次のデートで着てきてくださいね」
「ああ、あやせもな」
わたしは京介さんが選んでくれた服を
京介さんはわたしが選んだ服を
それぞれ着てくる。
想像しただけで次のデートが楽しみです。
―――――――――――――――
――――――――――
127: 2013/08/27(火) 23:36:05.09 ID:OnktNF440
2週目のデートも終わり、満場一致で3週目も実行。
気が付くと今はもう7月中旬になっており、最後の瑠璃さんが終わって恒例の会議が開かれた。
「んで3週終わったけどどうすんの?
これから夏休みに入るからもっとテンポよくデートできるようになるけど」
「いえ、私は十分よ」
瑠璃さんは3回のデートで手応えがあったのでしょうか。
「加奈子ももういいかな~」
「わたくしも。このままだとこれだけで満足してしまいそうですから」
「あやせは?」
わたしは…どうなんでしょう。
128: 2013/08/27(火) 23:37:11.73 ID:OnktNF440
正直あんまり自信はない。
けど、かといってこれ以上デートを重ねたからと言って成功率が高くなるとは思えない。
逆に、仮に今告白に成功したら夏休みは京介さんと満喫することができる。
それを考えると…
「わたしも、もう大丈夫。桐乃は?」
「あたしもOKだよ」
そっか。皆、京介さんの夏休みを独占したいって考えもあるのかも。
「んでどうしよっか」
「めんどくさいから皆でイッセイに告ればいいじゃんよぉ」
「莫迦ね、加奈子。そんなことしたらあのヘタレは全員振って逃げに徹するわよ」
その可能性はありそうだ。
129: 2013/08/27(火) 23:38:11.75 ID:OnktNF440
「では、デートの時のように順番に告白して、最後にお返事をいただくというのがよろしいのでしょうか?」
「そうね。私はそれがいいと思うわ。それなら告白の順番も関係ないし」
「わたしもその方法が無難だと思います」
「あたしもそれで良いかな。加奈子は?」
「それでいいぜ~」
「よし、んじゃ沙織の言う通り、皆が別々に告って返事は最後に出してもらうってのでいこうか。
肝心の順番は?」
「加奈子が一番もらうぜ~」
「ふ、真打は最後と相場が決まっているのよ」
なんででしょう。前と同じ台詞なはずなのに、今回は怖気付いたようにしか聞こえません。
「わたくしは何番でも大丈夫ですわ」
「あたしは…後の方がいいかな」
そっか。桐乃の場合、家が一緒だから保留期間が長いと気まずいもんね。
130: 2013/08/27(火) 23:38:53.41 ID:OnktNF440
「じゃあどうしましょう沙織さん。2番と3番が空いてますけど」
「わたくしはどちらでも構いませんわ」
わたしも順番はどっちでもいいんだけれど…
「じゃあじゃんけんで決めましょうか、勝った方が先と言うことで」
「分かりましたわ。では」
「「じゃーんけーん」」
「ポイ」 チョキ
「ポイ!」 グー
「あら、勝ってしまいましたわ」
「では沙織さん。お先にどうぞ」
「ええ、分かりましたわ」
131: 2013/08/27(火) 23:40:13.17 ID:OnktNF440
「よし。んじゃ順番は加奈子、沙織、あやせ、あたし、黒猫でいいね?」
「ええ」「うん」「おう」「はいですわ」
「じゃあこれで結果がでるけど…恨みっこなしだかんね」
「当然でしょう」
瑠璃さんの返事に皆が首肯する。
「わたし達BGは永遠に不滅よ!!」
「どこのジャイアンツ軍よ」
「じゃあ皆頑張っていこう!!」
「お~!」
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133: 2013/08/28(水) 00:04:26.58 ID:SnhAI2sz0
明日はわたしが告白をする日。
今日は沙織さんが、昨日は加奈子が告白をしているはず。
二人はどうだったんだろう。うまくいったんだろうか。
告白をするって言ってもなんて言えばいいんだろう。
なんて言えば、わたしの気持ちがちゃんと伝わるんだろうか。
眠れない。
色々なことが頭に浮かんでは、泡のように消えていく。
今まで彼と過ごした時間。
これから過ごすであろう時間。
言うべき言葉、気持ち。
わたしの眠れない夜は更けていく…
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【俺妹】あやせ「京介さん」【後編】
引用: あやせ 「京介さん」
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