162: 2025/02/05(水) 20:56:48 ID:???00
【ラブライブ】小鈴「聖杯戦争?」【前編】
【2月5日】
また、夢を見た。
少女はリアリストだった。
奇跡を望まず、神に頼らず。
求める結果は自分の努力の先にしかないと理解していた。
姉が怪我をしてスケートを引退した後は、より一層努力し、姉の分まで頑張ろうと練習を続けた。
しかし――少女はリアリストだった。
少女は気が付いてしまったのだ。
自分では姉の代わりにはなれない、望んだ結果も得られないと。
163: 2025/02/05(水) 20:58:24 ID:???00
だからつい、出来心で星に願ってしまった。
数週間前からニュースで報じられていた彗星の接近。
ほうき星は青と赤、黄色の綺麗な光の尾を伸ばし、空を飛んでいた。
少女は目を閉じ、星に祈る。
わたしに足りないものを、手に入れられますように――
だが、その願いは叶うことはなかった。
少女が再び目を開けた時、目に見えたのは地上に落下する願い星の姿だった。
――――――
数週間前からニュースで報じられていた彗星の接近。
ほうき星は青と赤、黄色の綺麗な光の尾を伸ばし、空を飛んでいた。
少女は目を閉じ、星に祈る。
わたしに足りないものを、手に入れられますように――
だが、その願いは叶うことはなかった。
少女が再び目を開けた時、目に見えたのは地上に落下する願い星の姿だった。
――――――
164: 2025/02/05(水) 21:04:08 ID:???00
日曜日。
陽ざしを瞼に受け、朝の訪れを感じる。
昨日はぐっすり寝たから体の調子が――
小鈴「!?!?」
身体が動かない、上半身を起こせないどころか腕も足もまるで石のように固まっている。
それどころか、
小鈴(い、痛い痛い痛い痛い痛い!なにこれ、全身が痛い!)
小鈴(体中の筋肉をナイフで切り刻まれたみたいな...まさかサーヴァントの攻撃――いや、これは)
小鈴「筋肉痛だーーーー!!!」
陽ざしを瞼に受け、朝の訪れを感じる。
昨日はぐっすり寝たから体の調子が――
小鈴「!?!?」
身体が動かない、上半身を起こせないどころか腕も足もまるで石のように固まっている。
それどころか、
小鈴(い、痛い痛い痛い痛い痛い!なにこれ、全身が痛い!)
小鈴(体中の筋肉をナイフで切り刻まれたみたいな...まさかサーヴァントの攻撃――いや、これは)
小鈴「筋肉痛だーーーー!!!」
165: 2025/02/05(水) 21:05:48 ID:???00
今日もバーサーカーに特訓をしてもらった後、花帆先輩と強化の練習をする予定だ。
梢「はっ!はっ!そうよ、左右に揺さぶるように動きなさい!」ブン!ブン!
小鈴「右...左...右、右、左...!」バッ!バッ!
斜め後ろに飛びのきながらバーサーカーの拳から逃げる。
昨日の今日だったからか、殺気を受け流す訓練は1時間で終わって、体力があるうちに一度稽古をつけてもらうことになった。
梢「少しスピードを上げるわよ!」シュッ!シュッ!
小鈴「左、左、右...うわ!」ドシン!
梢「はっ!」
ゴツン!
小鈴「痛っ!はあ...はあ...」
梢「集中すると周りが見えなくなるわね」
足元を見ると木の根が地面から飛び出ている。どうやらこれに躓いたらしい。
梢「はっ!はっ!そうよ、左右に揺さぶるように動きなさい!」ブン!ブン!
小鈴「右...左...右、右、左...!」バッ!バッ!
斜め後ろに飛びのきながらバーサーカーの拳から逃げる。
昨日の今日だったからか、殺気を受け流す訓練は1時間で終わって、体力があるうちに一度稽古をつけてもらうことになった。
梢「少しスピードを上げるわよ!」シュッ!シュッ!
小鈴「左、左、右...うわ!」ドシン!
梢「はっ!」
ゴツン!
小鈴「痛っ!はあ...はあ...」
梢「集中すると周りが見えなくなるわね」
足元を見ると木の根が地面から飛び出ている。どうやらこれに躓いたらしい。
166: 2025/02/05(水) 21:07:48 ID:???00
小鈴「そうは言っても、相手を見ながら避けてるんだから後ろに何があるかなんてわからないよ」
梢「そうね、だからここに来た段階で確認するのよ。どこに木が生えていて、地面の状態はどうなっているか」
梢「頭の中に地図を作って、常に自分が地図のどこにいるのかを把握しながら動くの」
小鈴「そんなこと...」
梢「できなければ氏ぬだけよ。自分で自分の身を守れるようになりたいんでしょ?だったら休憩している暇はないわ!」
バーサーカーが構える。
待ってほしい、こっちは全身筋肉痛で無理やり体を動かしているんだ。
さすがに休憩しないと午後がもたない!何か話題をだして時間を稼がないと...
梢「そうね、だからここに来た段階で確認するのよ。どこに木が生えていて、地面の状態はどうなっているか」
梢「頭の中に地図を作って、常に自分が地図のどこにいるのかを把握しながら動くの」
小鈴「そんなこと...」
梢「できなければ氏ぬだけよ。自分で自分の身を守れるようになりたいんでしょ?だったら休憩している暇はないわ!」
バーサーカーが構える。
待ってほしい、こっちは全身筋肉痛で無理やり体を動かしているんだ。
さすがに休憩しないと午後がもたない!何か話題をだして時間を稼がないと...
167: 2025/02/05(水) 21:10:30 ID:???00
小鈴「そ、そういえば!バーサーカーって戦う時、いつも最初に頭を狙うよね!何かこだわりとかあるの?」
梢「え?こだわりというか、それが一番効率的だからよ」
小鈴「効率的...」
梢「だって最初の一発で仕留められれば、反撃されてこちらが怪我をすることもないでしょう?」
梢「人間というのは心臓が止まっても10秒くらいは意識があるわ」
梢「優れた武闘家ならその10秒のうちに相手に反撃し、相打ちに持ち込むことだってできる」
梢「対して脳は全身を動かすための司令塔。ここを潰せばどんな屈強な相手だろうとイチ殺よ。一撃必勝ってことね」
小鈴「一撃必勝...つまり『ちぇすと!』ってことだね!」
梢「チェスト?」
梢(たしか、『胸』って意味の英語よね?)
小鈴「小さいころおじいちゃんがよく言ってて、徒町にも教えてくれたんだ!確か――」
――――――
梢「え?こだわりというか、それが一番効率的だからよ」
小鈴「効率的...」
梢「だって最初の一発で仕留められれば、反撃されてこちらが怪我をすることもないでしょう?」
梢「人間というのは心臓が止まっても10秒くらいは意識があるわ」
梢「優れた武闘家ならその10秒のうちに相手に反撃し、相打ちに持ち込むことだってできる」
梢「対して脳は全身を動かすための司令塔。ここを潰せばどんな屈強な相手だろうとイチ殺よ。一撃必勝ってことね」
小鈴「一撃必勝...つまり『ちぇすと!』ってことだね!」
梢「チェスト?」
梢(たしか、『胸』って意味の英語よね?)
小鈴「小さいころおじいちゃんがよく言ってて、徒町にも教えてくれたんだ!確か――」
――――――
168: 2025/02/05(水) 21:13:49 ID:???00
7年前
祖父「チェストー!チェーストー!」ブン!ブン!
小鈴「ふあ~おじいちゃん、おはよう」
祖父「おう!おはよう、こすず!」
小鈴「なにやってるの?」
祖父「見ての通り竹刀を振ってるんだ。チェストー!」ブン!
小鈴「おじいちゃんいつも『ちぇすと!』って言ってるよね。どうして?」
祖父「ああ、こすずには言ってなかったな。じいちゃんのご先祖様は薩摩のお侍さんだったんだ」
小鈴「さつま?」
祖父「今で言うと鹿児島の方だな。チェストっていうのはそっちの方の訛りみたいなもんだ」
祖父「薩摩の武士は刀を振るう時に『チェストー!』って叫びながら振ってたんだってよ」
祖父「小さい頃はよく親父に木刀握らされて、無理やり立木打ちさせられたもんだ」
小鈴「へー」
祖父「その頃からの癖で、気合入れるときはチェストーって叫ぶようになっちまったんだ!」
小鈴「そうだったんだ~」
祖父「チェストー!チェーストー!」ブン!ブン!
小鈴「ふあ~おじいちゃん、おはよう」
祖父「おう!おはよう、こすず!」
小鈴「なにやってるの?」
祖父「見ての通り竹刀を振ってるんだ。チェストー!」ブン!
小鈴「おじいちゃんいつも『ちぇすと!』って言ってるよね。どうして?」
祖父「ああ、こすずには言ってなかったな。じいちゃんのご先祖様は薩摩のお侍さんだったんだ」
小鈴「さつま?」
祖父「今で言うと鹿児島の方だな。チェストっていうのはそっちの方の訛りみたいなもんだ」
祖父「薩摩の武士は刀を振るう時に『チェストー!』って叫びながら振ってたんだってよ」
祖父「小さい頃はよく親父に木刀握らされて、無理やり立木打ちさせられたもんだ」
小鈴「へー」
祖父「その頃からの癖で、気合入れるときはチェストーって叫ぶようになっちまったんだ!」
小鈴「そうだったんだ~」
169: 2025/02/05(水) 21:16:05 ID:???00
小鈴「ねえ!あたしもそれやってみたい!」
祖父「お、素振りをか?よしじゃあ竹刀を持ってみろ、重いから気を付けてな」
小鈴「うわっ、お、重い!」
祖父「薩摩武士の剣技は示現流って言ってな」
祖父「『一の太刀を疑わず、二の太刀要らず』の教えの通り先手必勝、一撃必殺の剣なんだ。」
小鈴「?よくわからないけど、かっこいいね!」
祖父「そうだろう!じゃあ竹刀を頭の上にまっすぐ掲げてみろ」
小鈴「おいしょ!わ、わわわ...」ヨロッ
祖父「おっと!竹刀支えててやるからな。そのまま全力で振り下ろせ!」
小鈴「うん...ちぇすと~~」
祖父「わっはっはっは!こすず!ヘロヘロじゃねーか!」
小鈴「だって重いんだもん!」
祖父「お、素振りをか?よしじゃあ竹刀を持ってみろ、重いから気を付けてな」
小鈴「うわっ、お、重い!」
祖父「薩摩武士の剣技は示現流って言ってな」
祖父「『一の太刀を疑わず、二の太刀要らず』の教えの通り先手必勝、一撃必殺の剣なんだ。」
小鈴「?よくわからないけど、かっこいいね!」
祖父「そうだろう!じゃあ竹刀を頭の上にまっすぐ掲げてみろ」
小鈴「おいしょ!わ、わわわ...」ヨロッ
祖父「おっと!竹刀支えててやるからな。そのまま全力で振り下ろせ!」
小鈴「うん...ちぇすと~~」
祖父「わっはっはっは!こすず!ヘロヘロじゃねーか!」
小鈴「だって重いんだもん!」
170: 2025/02/05(水) 21:17:40 ID:???00
祖父「こすずは気合が足りないんだ!」
祖父「地面まで切るつもりでもう一回振ってみろ」
小鈴「むん!ちぇすとー」ペッタン
祖父「まだ腰が入ってないなー」
祖父「ちょっと貸してみろ」
小鈴「うん」
祖父「ふう...」ググッ
祖父「――――チィェェストオオオオォーーーー!!!」ザンッ!!
小鈴「っ!」ビクッ
プシュー...
祖父「いいか、こすず、刀を抜くってことは、相手を必ず倒すってことだ」
祖父「『刀は抜くべからざるもの』なれば、抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ」
祖父「そういう信念を持って、薩摩の武士たちは刀を振ったんだ」
祖父「親父の受け売りだけどな!」
祖父「地面まで切るつもりでもう一回振ってみろ」
小鈴「むん!ちぇすとー」ペッタン
祖父「まだ腰が入ってないなー」
祖父「ちょっと貸してみろ」
小鈴「うん」
祖父「ふう...」ググッ
祖父「――――チィェェストオオオオォーーーー!!!」ザンッ!!
小鈴「っ!」ビクッ
プシュー...
祖父「いいか、こすず、刀を抜くってことは、相手を必ず倒すってことだ」
祖父「『刀は抜くべからざるもの』なれば、抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ」
祖父「そういう信念を持って、薩摩の武士たちは刀を振ったんだ」
祖父「親父の受け売りだけどな!」
171: 2025/02/05(水) 21:19:41 ID:???00
小鈴「一撃で...」
祖父「そうだ、次なんて考えるな!一振りにありったけの力を込めろ!」
小鈴「わかった、やってみる!」
小鈴「ちぇすとーー!!」ブン
祖父「お!?いいぞこすず!その調子だ!」
小鈴「はあ、はあ、あたしできてた?」
祖父「さっきのはいい感じだったぞ!でもまだ全力じゃないな。もっと全身の筋肉を使って竹刀を振り下ろせ!」
小鈴「ちぇすとーー!!!」ブン!
祖父「もっと竹刀を高く掲げろ!」
小鈴「ちぇーすとーーー!!!」ブン!!
祖父「声が小さい!チェェストー!!!」
小鈴「ちぇーーーすとーーーーーー!!!」スポン!
祖父「そうだ、次なんて考えるな!一振りにありったけの力を込めろ!」
小鈴「わかった、やってみる!」
小鈴「ちぇすとーー!!」ブン
祖父「お!?いいぞこすず!その調子だ!」
小鈴「はあ、はあ、あたしできてた?」
祖父「さっきのはいい感じだったぞ!でもまだ全力じゃないな。もっと全身の筋肉を使って竹刀を振り下ろせ!」
小鈴「ちぇすとーー!!!」ブン!
祖父「もっと竹刀を高く掲げろ!」
小鈴「ちぇーすとーーー!!!」ブン!!
祖父「声が小さい!チェェストー!!!」
小鈴「ちぇーーーすとーーーーーー!!!」スポン!
172: 2025/02/05(水) 21:20:45 ID:???00
母「うるさいわよ!ご近所さんに変な家だと思われげぼぉ!!」グサッ
小鈴「あ」
祖父「あ」
母「あ、あんたらああぁぁぁーーー!!!!!!!!!!」💢
祖父「ひぃ!こ、こすず、あれだ!あれくらいの気迫で剣を振るんだ!」ガクガク
小鈴「お、おじいちゃん!それどころじゃないよ!お母さん鬼みたいな顔してこっち来てるよ!」ガクガク
母「まず先に言うことがあるでしょう!?」ズンズン
「「ごめんなさい!!!」」
――――――
小鈴「あ」
祖父「あ」
母「あ、あんたらああぁぁぁーーー!!!!!!!!!!」💢
祖父「ひぃ!こ、こすず、あれだ!あれくらいの気迫で剣を振るんだ!」ガクガク
小鈴「お、おじいちゃん!それどころじゃないよ!お母さん鬼みたいな顔してこっち来てるよ!」ガクガク
母「まず先に言うことがあるでしょう!?」ズンズン
「「ごめんなさい!!!」」
――――――
173: 2025/02/05(水) 21:23:58 ID:???00
梢「うふふ、素敵な家族ね。私の家はそんな風に騒がしくなかったから羨ましいわ」
小鈴「それから2年くらいおじいちゃんと一緒に竹刀振ってたなあ」
小鈴「徒町が10歳の時におじいちゃん氏んじゃって、それ以降はやらなくなったんだけど...」
梢「そう...でも『刀を抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ』、勇ましい教えよね」
梢「私も最近一撃目を防がれてばかりだから、改めて気合を入れなおさないといけないわ」
そういうとバーサーカーは湖の方を向き直り、腰を落として構えをとる。
シーン...
梢(一の太刀を疑わず、二の太刀要らず――)
梢「はあっ!!!」ドン!
パタパタパタ!ピヨピヨ
小鈴「それから2年くらいおじいちゃんと一緒に竹刀振ってたなあ」
小鈴「徒町が10歳の時におじいちゃん氏んじゃって、それ以降はやらなくなったんだけど...」
梢「そう...でも『刀を抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ』、勇ましい教えよね」
梢「私も最近一撃目を防がれてばかりだから、改めて気合を入れなおさないといけないわ」
そういうとバーサーカーは湖の方を向き直り、腰を落として構えをとる。
シーン...
梢(一の太刀を疑わず、二の太刀要らず――)
梢「はあっ!!!」ドン!
パタパタパタ!ピヨピヨ
174: 2025/02/05(水) 21:25:34 ID:???00
バーサーカーは虚空に向かって正拳突きをした。
すると空気が揺れ、木にとまっていた鳥たちは一斉に飛び立ち、水面には波紋が広がった。
小鈴(すごい...太鼓を叩いたみたいに空気の振動がお腹に響いてきた。これがバーサーカーの全力...!)
梢「ふう、ありがとう小鈴さん。なんだか心が引き締まった気がしたわ」
小鈴「...」
梢「小鈴さん?」
小鈴「あ、ううん!何か迫力に圧倒されちゃて!」
小鈴(徒町ももっと頑張らないと!)
梢「こんなのに気圧されていたら本番で動けなくなるわよ。さ、休憩は終わり。今度は筋トレ!まずはスクワット50回3セットよ!」
小鈴「え、待って、スクワットは...スクワットだけはご勘弁を~!」
――――――
すると空気が揺れ、木にとまっていた鳥たちは一斉に飛び立ち、水面には波紋が広がった。
小鈴(すごい...太鼓を叩いたみたいに空気の振動がお腹に響いてきた。これがバーサーカーの全力...!)
梢「ふう、ありがとう小鈴さん。なんだか心が引き締まった気がしたわ」
小鈴「...」
梢「小鈴さん?」
小鈴「あ、ううん!何か迫力に圧倒されちゃて!」
小鈴(徒町ももっと頑張らないと!)
梢「こんなのに気圧されていたら本番で動けなくなるわよ。さ、休憩は終わり。今度は筋トレ!まずはスクワット50回3セットよ!」
小鈴「え、待って、スクワットは...スクワットだけはご勘弁を~!」
――――――
175: 2025/02/05(水) 21:29:11 ID:???00
[ Interlude in ]
花帆「ふー、昨日と今日で大体の場所には折神置けたね!」
吟子「これでどこかでサーヴァントが戦ってたりしたらすぐにわかる」
2人は兎の折神を学校中のいたる所に設置して回り、今は自室で休憩中だ。
折神には魔力を探知すると起動し、キャスターに周囲の音を送るように術式が組んである。
武力で他のサーヴァントに劣るキャスターは、こうやって地道に情報収集をして勝ちの目を探すしかない。
花帆「小鈴ちゃんたちが来るまでもう少しかかりそうかな」
花帆「ね、もしよかったらなんだけど、吟子ちゃんのこと聞かせてくれない?」
吟子「私のこと?別にいいけど、何が聞きたいの?」
花帆「何色が好きかとか、食べ物は何が好きかとか、何をしてる時が楽しいとか!」
吟子「ふふ、なんそれ。そんなこと聞いて楽しいの?」
花帆「楽しいよ!あ、ちなみにあたしの好きな色は山吹色で、好きな食べ物は金沢カレー!好きな時間は読書をしてる時かな!」
吟子「結局自分のこと話してるし」
花帆「ふー、昨日と今日で大体の場所には折神置けたね!」
吟子「これでどこかでサーヴァントが戦ってたりしたらすぐにわかる」
2人は兎の折神を学校中のいたる所に設置して回り、今は自室で休憩中だ。
折神には魔力を探知すると起動し、キャスターに周囲の音を送るように術式が組んである。
武力で他のサーヴァントに劣るキャスターは、こうやって地道に情報収集をして勝ちの目を探すしかない。
花帆「小鈴ちゃんたちが来るまでもう少しかかりそうかな」
花帆「ね、もしよかったらなんだけど、吟子ちゃんのこと聞かせてくれない?」
吟子「私のこと?別にいいけど、何が聞きたいの?」
花帆「何色が好きかとか、食べ物は何が好きかとか、何をしてる時が楽しいとか!」
吟子「ふふ、なんそれ。そんなこと聞いて楽しいの?」
花帆「楽しいよ!あ、ちなみにあたしの好きな色は山吹色で、好きな食べ物は金沢カレー!好きな時間は読書をしてる時かな!」
吟子「結局自分のこと話してるし」
176: 2025/02/05(水) 21:31:33 ID:???00
花帆「あたしは話したんだし、吟子ちゃんも教えてよ~」ズイ
吟子「う、話すから!あんま近寄らんで!」
花帆「えーいいじゃん!もっとくっついて話そうよ~」ピタッ
吟子「~~~///」
吟子「はあ...私の好きな色は水色かな、晴れた日の空みたいな澄んだ水色」
花帆「なんか吟子ちゃんぽいね!心が綺麗な感じ!」
吟子「あと好きな食べ物というか、飲み物は珈琲が好きだったかな」
花帆「あーー!ごめん、あたしの部屋コーヒー置いてないや...明日購買で買ってくるね!」
吟子「別に気つかわんでいいから!」
花帆「それで、何をしてる時が楽しいの?」
吟子「うーん加賀繍をしてる時かな」
吟子「う、話すから!あんま近寄らんで!」
花帆「えーいいじゃん!もっとくっついて話そうよ~」ピタッ
吟子「~~~///」
吟子「はあ...私の好きな色は水色かな、晴れた日の空みたいな澄んだ水色」
花帆「なんか吟子ちゃんぽいね!心が綺麗な感じ!」
吟子「あと好きな食べ物というか、飲み物は珈琲が好きだったかな」
花帆「あーー!ごめん、あたしの部屋コーヒー置いてないや...明日購買で買ってくるね!」
吟子「別に気つかわんでいいから!」
花帆「それで、何をしてる時が楽しいの?」
吟子「うーん加賀繍をしてる時かな」
177: 2025/02/05(水) 21:34:17 ID:???00
吟子「私の家は陰陽道を起源とする魔術師の家系だったんだけど、表向きは加賀繍の工房をしてたの」
吟子「蓮ノ空に入学する前は、おばあちゃんに教わってそっちの手伝いもしてたんだ」
吟子「正直、魔術の勉強してる時よりもずっと楽しかった」
花帆「そうなんだ~!ねえ、今度あたしにも加賀繍教えて!あたし長野の出身だからあんまり知らないんだよね」
吟子「そうだったの?なら今度ゆっくり教えてあげる。加賀繍だけじゃなくて金沢にはいろんな伝統工芸があるんだから。きっとどれも好きになると思うよ」
花帆「やったー!ありがとう吟子ちゃん!」ギュッ
吟子「はいはい」ポンポン
花帆「そういえば今聞いてて気になったんだけど、吟子ちゃんの家って結構歴史古いの?」
花帆「陰陽道ってたしか平安時代とかの呪術だよね?」
吟子「うん。平安時代から天皇に仕えて政のために占いをしたりしてたの」
花帆「えー!すごいすごい!」
吟子「蓮ノ空に入学する前は、おばあちゃんに教わってそっちの手伝いもしてたんだ」
吟子「正直、魔術の勉強してる時よりもずっと楽しかった」
花帆「そうなんだ~!ねえ、今度あたしにも加賀繍教えて!あたし長野の出身だからあんまり知らないんだよね」
吟子「そうだったの?なら今度ゆっくり教えてあげる。加賀繍だけじゃなくて金沢にはいろんな伝統工芸があるんだから。きっとどれも好きになると思うよ」
花帆「やったー!ありがとう吟子ちゃん!」ギュッ
吟子「はいはい」ポンポン
花帆「そういえば今聞いてて気になったんだけど、吟子ちゃんの家って結構歴史古いの?」
花帆「陰陽道ってたしか平安時代とかの呪術だよね?」
吟子「うん。平安時代から天皇に仕えて政のために占いをしたりしてたの」
花帆「えー!すごいすごい!」
178: 2025/02/05(水) 21:35:59 ID:???00
吟子「でも百生家が長い間、天皇に仕えていられたのはね。百生家の呪術師が特別な術を使えたからかな」
花帆「特別な術?」
吟子「『御霊移し』っていう呪術で、天皇が崩御する前に、その魂を次の天皇と交換するの」
吟子「そうすることで、やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておくことができるんだ」
花帆「え...魂の、交換?それ交換された人の魂はどうなっちゃうの?」
吟子「前天皇の体に収まることになる。でも安心して、魂に記憶や人格の情報はないから、人格が入れ替わるなんてことはない」
花帆「じゃあ何のためにするの?」
吟子「さっき言ったでしょ。『やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておく』って、本当にそれだけのこと」
吟子「当事者である天皇も、形式的な儀式としか思ってなかったのかもね」
花帆「特別な術?」
吟子「『御霊移し』っていう呪術で、天皇が崩御する前に、その魂を次の天皇と交換するの」
吟子「そうすることで、やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておくことができるんだ」
花帆「え...魂の、交換?それ交換された人の魂はどうなっちゃうの?」
吟子「前天皇の体に収まることになる。でも安心して、魂に記憶や人格の情報はないから、人格が入れ替わるなんてことはない」
花帆「じゃあ何のためにするの?」
吟子「さっき言ったでしょ。『やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておく』って、本当にそれだけのこと」
吟子「当事者である天皇も、形式的な儀式としか思ってなかったのかもね」
179: 2025/02/05(水) 21:41:22 ID:???00
花帆「.......それ吟子ちゃんもできるの?」
吟子「今はサーヴァントになったおかげか、宝具で似たようなことはできるよ。でも生前はやったことはない」
吟子「私が生まれる3,40年くらい前に、その時の当主の『とわ』って人が、御霊移しの魔術刻印を持ったまま夜逃げしたんだって」
吟子「そのせいで百生家はお役目を果たせなくなって、今では衰退しちゃったの」
吟子「私の願いはそんな百生家を再興することなんだ」
花帆「そうだったんだ。ごめんね!なんか願いのことまで聞いちゃって」
吟子「別にいいよ。私が勝手に話しただけだし。それより、私は話したんだから花帆の願いも――」
コンコンコン!
小鈴『花帆先輩!徒町です!』
花帆「ごめん吟子ちゃん。あたしの話はまた今度話すね」
吟子「うん、わかった」
花帆「はーい!今開けるよー!」
[ Interlude out ]
吟子「今はサーヴァントになったおかげか、宝具で似たようなことはできるよ。でも生前はやったことはない」
吟子「私が生まれる3,40年くらい前に、その時の当主の『とわ』って人が、御霊移しの魔術刻印を持ったまま夜逃げしたんだって」
吟子「そのせいで百生家はお役目を果たせなくなって、今では衰退しちゃったの」
吟子「私の願いはそんな百生家を再興することなんだ」
花帆「そうだったんだ。ごめんね!なんか願いのことまで聞いちゃって」
吟子「別にいいよ。私が勝手に話しただけだし。それより、私は話したんだから花帆の願いも――」
コンコンコン!
小鈴『花帆先輩!徒町です!』
花帆「ごめん吟子ちゃん。あたしの話はまた今度話すね」
吟子「うん、わかった」
花帆「はーい!今開けるよー!」
[ Interlude out ]
180: 2025/02/05(水) 21:45:09 ID:???00
花帆『昨日はいきなり全身をやろうとしちゃったから、今日はまず腕だけ強化するイメージでやってみて!』
花帆先輩に言われ、左腕に意識を集中させる。
全身の血管をイメージするのはとても大変だったが、片腕だけならより詳細にイメージできる。
小鈴(血液に魔力を混ぜて流し込む...)
...バチバチ⚡
小鈴「はっ!花帆先輩、なんか...なんか腕が熱くなった感じがします!」
花帆「小鈴ちゃん、この握力計にぎってみて!」
小鈴「ふん!」
握力計『43kg』
小鈴「え、徒町、入学したあと測った時は18kgしかなかったのに...」
花帆「やったよ小鈴ちゃん!強化成功だよ!」パチパチパチ
小鈴「やった...やったー!」
バンザーイ!バンザーイ!
花帆先輩に言われ、左腕に意識を集中させる。
全身の血管をイメージするのはとても大変だったが、片腕だけならより詳細にイメージできる。
小鈴(血液に魔力を混ぜて流し込む...)
...バチバチ⚡
小鈴「はっ!花帆先輩、なんか...なんか腕が熱くなった感じがします!」
花帆「小鈴ちゃん、この握力計にぎってみて!」
小鈴「ふん!」
握力計『43kg』
小鈴「え、徒町、入学したあと測った時は18kgしかなかったのに...」
花帆「やったよ小鈴ちゃん!強化成功だよ!」パチパチパチ
小鈴「やった...やったー!」
バンザーイ!バンザーイ!
181: 2025/02/05(水) 21:47:52 ID:???00
吟子「はあ、身体の強化ができたくらいで大げさすぎ」
花帆「そういうこと言わないの吟子ちゃん!昨日は何回やってもできなかったのに、今回は4回目でできたんだよ!」
小鈴「ねえ、バーサーカーは握力どのくらいなの?徒町と比べっこしようよ!」
梢「私、それ苦手なのよね...生前の体力測定で壊してしまって...」
小鈴「え、まさか体力測定で魔術使ったの!?」
梢「そんなずるしないわ!ちゃんと腕の力だけでやりました!」
小鈴「あ、ハイ」
そんな話をしていたら、左腕の熱さはみるみる冷めていった。
小鈴「あれ?なんかもう強化切れちゃった?」
花帆「魔力を血液に混ぜる感じって言ったでしょ?血液は常に流れてるから、魔力も常に送り続けないといけないの」
小鈴「それ、魔力をすごい消費しませんか?」
花帆「うん。だから強化をメインにして戦う魔術師はあんまりいないんだ」
小鈴「そうなんですね...」
花帆「そういうこと言わないの吟子ちゃん!昨日は何回やってもできなかったのに、今回は4回目でできたんだよ!」
小鈴「ねえ、バーサーカーは握力どのくらいなの?徒町と比べっこしようよ!」
梢「私、それ苦手なのよね...生前の体力測定で壊してしまって...」
小鈴「え、まさか体力測定で魔術使ったの!?」
梢「そんなずるしないわ!ちゃんと腕の力だけでやりました!」
小鈴「あ、ハイ」
そんな話をしていたら、左腕の熱さはみるみる冷めていった。
小鈴「あれ?なんかもう強化切れちゃった?」
花帆「魔力を血液に混ぜる感じって言ったでしょ?血液は常に流れてるから、魔力も常に送り続けないといけないの」
小鈴「それ、魔力をすごい消費しませんか?」
花帆「うん。だから強化をメインにして戦う魔術師はあんまりいないんだ」
小鈴「そうなんですね...」
182: 2025/02/05(水) 21:49:56 ID:???00
花帆「でも強化はあらゆる魔術の基礎の基礎だから、ちゃんと使えるようにならないとだよ!」
小鈴「は、はい!」
梢「小鈴さん、腕ができたなら脚の強化もできないかしら?どちらかというとそっちの方が必要になると思うのだけれど」
確かにバーサーカーの言う通り、徒町がやっている特訓は主に『逃げ』の戦術だ。
攻撃のための腕より、逃げ回るための脚の強化の方が実用的だろう。
小鈴「わかりました!やってみます」
今度は下半身に意識を集中させる。こちらは片方だけ強化しても意味がないので両脚の強化を試みる。
小鈴「う~ん...」
太ももの位置にある大腿四頭筋は、人体で最も大きな筋肉だ。
ゆえに血管の数も多く、さらに2本同時となると先ほどよりもずっと難易度は高かった。
小鈴「は、はい!」
梢「小鈴さん、腕ができたなら脚の強化もできないかしら?どちらかというとそっちの方が必要になると思うのだけれど」
確かにバーサーカーの言う通り、徒町がやっている特訓は主に『逃げ』の戦術だ。
攻撃のための腕より、逃げ回るための脚の強化の方が実用的だろう。
小鈴「わかりました!やってみます」
今度は下半身に意識を集中させる。こちらは片方だけ強化しても意味がないので両脚の強化を試みる。
小鈴「う~ん...」
太ももの位置にある大腿四頭筋は、人体で最も大きな筋肉だ。
ゆえに血管の数も多く、さらに2本同時となると先ほどよりもずっと難易度は高かった。
183: 2025/02/05(水) 21:51:47 ID:???00
小鈴「う~~ん...ぷはぁ!ダメです、うまく魔力が回りません!」
花帆「心臓から遠いしね。血液が循環するイメージが湧きずらいのかも」
花帆「でもゆくゆくは全身強化できるようになってもらうから、避けては通れないよ!」
小鈴「はい!」
花帆「もう遅いし、今日はここまでにしようか。小鈴ちゃん、魔術回路閉じられる?」
小鈴「すみません...まだ...」
花帆「わかった。『フラワー』!」🌸
小鈴「ありがとうございます」
花帆「そういえば、吟子ちゃん。外でサーヴァントが戦ってる気配はある?」
吟子「ううん、すごく静か。戦ってるどころか出歩いてる気配もない」
花帆「そっか、他のマスターたちもあたしたちみたいに戦う準備をしてるのかもね」
小鈴「他のマスター...」
花帆「心臓から遠いしね。血液が循環するイメージが湧きずらいのかも」
花帆「でもゆくゆくは全身強化できるようになってもらうから、避けては通れないよ!」
小鈴「はい!」
花帆「もう遅いし、今日はここまでにしようか。小鈴ちゃん、魔術回路閉じられる?」
小鈴「すみません...まだ...」
花帆「わかった。『フラワー』!」🌸
小鈴「ありがとうございます」
花帆「そういえば、吟子ちゃん。外でサーヴァントが戦ってる気配はある?」
吟子「ううん、すごく静か。戦ってるどころか出歩いてる気配もない」
花帆「そっか、他のマスターたちもあたしたちみたいに戦う準備をしてるのかもね」
小鈴「他のマスター...」
184: 2025/02/05(水) 21:54:21 ID:???00
あの夜以降、めぐちゃんとは連絡を取っていない。
小さいころからずっと一緒に遊んできた幼馴染。
同じ高校に入学してからは、よく一緒に部屋で夜更かししてお話したり、休日は街に遊びに行ったりした。
お互いにとってかけがえのない大切な存在。
それなのに――
慈『次こそは頃す。頃して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「めぐちゃん...」
梢「...私はマスターになる以前のあなた達の関係は知らないけれど、前はあんな感じではなかったの?」
小鈴「うん、めぐちゃんはすっごく優しくて、かわいくて、一緒にいるといつも徒町を笑顔にしてくれたんだ」
梢「そう...私は極力サーヴァントだけを狙うから、もし次に戦う機会があればちゃんと話しなさい」
小鈴「!バーサーカー...ありがとう!」
吟子「随分と小鈴に甘くなったね、バーサーカー。前はマスターだろうと問答無用に殴りかかってたのに」
梢「うふふ、もしかしたら私も小鈴さんに絆されてしまったのかもしれないわね」
吟子「ふん!話そうとして殺されなきゃいいけど」
小さいころからずっと一緒に遊んできた幼馴染。
同じ高校に入学してからは、よく一緒に部屋で夜更かししてお話したり、休日は街に遊びに行ったりした。
お互いにとってかけがえのない大切な存在。
それなのに――
慈『次こそは頃す。頃して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「めぐちゃん...」
梢「...私はマスターになる以前のあなた達の関係は知らないけれど、前はあんな感じではなかったの?」
小鈴「うん、めぐちゃんはすっごく優しくて、かわいくて、一緒にいるといつも徒町を笑顔にしてくれたんだ」
梢「そう...私は極力サーヴァントだけを狙うから、もし次に戦う機会があればちゃんと話しなさい」
小鈴「!バーサーカー...ありがとう!」
吟子「随分と小鈴に甘くなったね、バーサーカー。前はマスターだろうと問答無用に殴りかかってたのに」
梢「うふふ、もしかしたら私も小鈴さんに絆されてしまったのかもしれないわね」
吟子「ふん!話そうとして殺されなきゃいいけど」
185: 2025/02/05(水) 21:55:57 ID:???00
花帆「まあまあ!ランサーのマスターのことはあたしも気にかけておくよ」
花帆「さ、明日は学校があるんだからそろそろ部屋に帰って明日の準備しないとだよ!」
小鈴「あー!数学の宿題やるの忘れてました!」
梢「なんですって!?小鈴さん、今すぐ帰って終わらせるわよ!」
小鈴「い、いや。国語の時間に教科書で隠しながらやれば何とか...」
梢「こーすーずーさん!!」💢
小鈴「はい!今すぐやります!花帆先輩ありがとうございました!!」バタバタバタ
花帆「がんばってね~」
ガチャン!
吟子「そういえば花帆が宿題やってるところ見たことないんだけど、2年生は宿題とかでないの?」
花帆「...」
吟子「...花帆?」
――――――
花帆「さ、明日は学校があるんだからそろそろ部屋に帰って明日の準備しないとだよ!」
小鈴「あー!数学の宿題やるの忘れてました!」
梢「なんですって!?小鈴さん、今すぐ帰って終わらせるわよ!」
小鈴「い、いや。国語の時間に教科書で隠しながらやれば何とか...」
梢「こーすーずーさん!!」💢
小鈴「はい!今すぐやります!花帆先輩ありがとうございました!!」バタバタバタ
花帆「がんばってね~」
ガチャン!
吟子「そういえば花帆が宿題やってるところ見たことないんだけど、2年生は宿題とかでないの?」
花帆「...」
吟子「...花帆?」
――――――
186: 2025/02/05(水) 21:58:07 ID:???00
[ Interlude in ]
瑠璃乃「めぐちゃん、こんな毎日遊んでていいの?」
慈「大丈夫だって~ちゃんと作戦考えてるから!」
瑠璃乃「ほんとかな~?」
慈「あ、姫芽ちゃん待って!やめ...あーまた負けた!くやしいいーー!」
姫芽「勝負に情けは無用ですよ、めぐちゃんせんぱい!」
慈「ぐぬぬ、ほんとに初心者かぁ?」
姫芽「ふっふっふ。もしかしたらアタシ、ゲームの才能有りなのかもしれませんね~」
2人はスマホでシューティングゲームの対戦をして遊んでいた。
ここ数日はもっぱらめぐちゃんが用意したゲームをみんなで遊んだり、おやつを買ってきて食べながらお喋りをしていた。
最初のほうこそめぐちゃんに萎縮していた姫芽ちゃんだったけど、すぐにめぐちゃんのつくる“楽しい”の雰囲気にのまれて仲良くなった。
瑠璃乃「めぐちゃん、こんな毎日遊んでていいの?」
慈「大丈夫だって~ちゃんと作戦考えてるから!」
瑠璃乃「ほんとかな~?」
慈「あ、姫芽ちゃん待って!やめ...あーまた負けた!くやしいいーー!」
姫芽「勝負に情けは無用ですよ、めぐちゃんせんぱい!」
慈「ぐぬぬ、ほんとに初心者かぁ?」
姫芽「ふっふっふ。もしかしたらアタシ、ゲームの才能有りなのかもしれませんね~」
2人はスマホでシューティングゲームの対戦をして遊んでいた。
ここ数日はもっぱらめぐちゃんが用意したゲームをみんなで遊んだり、おやつを買ってきて食べながらお喋りをしていた。
最初のほうこそめぐちゃんに萎縮していた姫芽ちゃんだったけど、すぐにめぐちゃんのつくる“楽しい”の雰囲気にのまれて仲良くなった。
187: 2025/02/05(水) 22:01:03 ID:???00
慈「ババ抜きなら絶対に負けないのになー」
瑠璃乃「めぐちゃん小学生の頃クラスでババ抜き最強だったよね」
慈「クラスどころか学年でも負けなしだったからね!」
姫芽「あ!まためぐちゃんせんぱいの武勇伝ですか!?」
慈「おう!聞きたいかめぐの武勇伝!」
瑠璃乃「ほい!武勇伝♪武勇伝♪」
「「武勇伝デンデデンデン♪レツゴ―!」」
慈「ババを抱えた一騎打ち!」
瑠璃乃「すごい!笑顔でおねだりババを引かせた!」
「「武勇伝♪武勇伝♪武勇伝デンデデンデン♪シャッキーン!」」
瑠璃乃「めぐちゃん小学生の頃クラスでババ抜き最強だったよね」
慈「クラスどころか学年でも負けなしだったからね!」
姫芽「あ!まためぐちゃんせんぱいの武勇伝ですか!?」
慈「おう!聞きたいかめぐの武勇伝!」
瑠璃乃「ほい!武勇伝♪武勇伝♪」
「「武勇伝デンデデンデン♪レツゴ―!」」
慈「ババを抱えた一騎打ち!」
瑠璃乃「すごい!笑顔でおねだりババを引かせた!」
「「武勇伝♪武勇伝♪武勇伝デンデデンデン♪シャッキーン!」」
188: 2025/02/05(水) 22:02:23 ID:???00
姫芽「うわ~一騎打ちになってる時点であれだけど!笑顔で相手を堕としちゃうなんてかっこいい~」
慈「違うでしょ姫芽ちゃん!か・わ・い・い!でしょ♡」
姫芽「うっ...」バタン
瑠璃乃「ひ、姫芽ちゃん!?うわーん戻ってこーい!」ユサユサ
慈「ふふ、私の笑顔は最強だからね!」
瑠璃乃「それは確かにそうだけど」
瑠璃乃「...ねえ、めぐちゃん。実際のところどうするつもりなの?」コソッ
慈「ん?」
瑠璃乃「小鈴ちゃんを倒したいって言ってるけど、ルリじゃバーサーカーには勝てないよ」
慈「違うでしょ姫芽ちゃん!か・わ・い・い!でしょ♡」
姫芽「うっ...」バタン
瑠璃乃「ひ、姫芽ちゃん!?うわーん戻ってこーい!」ユサユサ
慈「ふふ、私の笑顔は最強だからね!」
瑠璃乃「それは確かにそうだけど」
瑠璃乃「...ねえ、めぐちゃん。実際のところどうするつもりなの?」コソッ
慈「ん?」
瑠璃乃「小鈴ちゃんを倒したいって言ってるけど、ルリじゃバーサーカーには勝てないよ」
189: 2025/02/05(水) 22:04:06 ID:???00
慈「だからちゃんと考えてるってば。休日は会えないから明日学校で話そうと思って」
瑠璃乃「会う?誰と?」
慈「アーチャーのマスター、夕霧綴理だよ」
瑠璃乃「アーチャーのマスター!?危険だよ!なんでそんなことするの!」
慈「実は3日の夜、逃げるふりしてあいつらのこと見張ってたんだよね」
慈「アーチャーはあの脳筋を圧倒するほど強かったんだよ?」
慈「徒町小鈴はキャスターのマスターと協力関係にあるみたいだし、私たちも夕霧綴理と同盟結んであいつらを挟み撃ちにするんだよ!」
瑠璃乃「そんなに上手くいくかなー。そもそもアーチャーのマスターが同盟を受け入れるとも限らなくない?」
慈「大丈夫だって!めぐちゃんにおねだりされてノーと言える人なんていないんだよ☆」
瑠璃乃「やな予感するなー」
姫芽「......」
[ Interlude out ]
瑠璃乃「会う?誰と?」
慈「アーチャーのマスター、夕霧綴理だよ」
瑠璃乃「アーチャーのマスター!?危険だよ!なんでそんなことするの!」
慈「実は3日の夜、逃げるふりしてあいつらのこと見張ってたんだよね」
慈「アーチャーはあの脳筋を圧倒するほど強かったんだよ?」
慈「徒町小鈴はキャスターのマスターと協力関係にあるみたいだし、私たちも夕霧綴理と同盟結んであいつらを挟み撃ちにするんだよ!」
瑠璃乃「そんなに上手くいくかなー。そもそもアーチャーのマスターが同盟を受け入れるとも限らなくない?」
慈「大丈夫だって!めぐちゃんにおねだりされてノーと言える人なんていないんだよ☆」
瑠璃乃「やな予感するなー」
姫芽「......」
[ Interlude out ]
196: 2025/02/06(木) 17:26:52 ID:???00
【2月6日】
また、夢を見た。
気が付いたら、身体は重いものに挟まれて動けなくなっていた。
ぼーとした頭でどうしてこうなったか考える。
そうだ、彗星が墜ちてすごい衝撃を感じた後、気を失ったんだ。
すると体に乗っているのは瓦礫なのだろう。
さやか「お母さん...お父さん...お姉ちゃん...」
救助はなかなか来なかった。
隙間から見える光から推測するに丸1日は経っただろう。
身体を固定されて動かせないというストレスは、痛みや空腹よりずっと苦痛だった。
さやか(わたし...このまま動くこともできずに氏ぬのかな...)
また、夢を見た。
気が付いたら、身体は重いものに挟まれて動けなくなっていた。
ぼーとした頭でどうしてこうなったか考える。
そうだ、彗星が墜ちてすごい衝撃を感じた後、気を失ったんだ。
すると体に乗っているのは瓦礫なのだろう。
さやか「お母さん...お父さん...お姉ちゃん...」
救助はなかなか来なかった。
隙間から見える光から推測するに丸1日は経っただろう。
身体を固定されて動かせないというストレスは、痛みや空腹よりずっと苦痛だった。
さやか(わたし...このまま動くこともできずに氏ぬのかな...)
197: 2025/02/06(木) 17:27:58 ID:???00
涙はとうに枯れ、狭い暗闇の中絶望していた時、
――その奇跡と出会った。
「おいしょっと...あ!やっぱり人がいた!生きてる?生きてる!もう大丈夫だよ!今助けるからね!」
その人は巨大な瓦礫を軽々と持ち上げ、私を暗闇の世界から救ってくれた。
「いま救助隊のところに連れて行くから!」
さやか「待ってください...まだ他にも家族が...」
「あ...うん。君を連れて行ったらすぐに助けに戻るよ!」
さやか(よかった。この人ならきっとみんな助けてくれる)
安心したせいか張りつめていた意識が朦朧としてきた。
さやか(あ、そういえば...名前、聞いて...な――)
――――――
――その奇跡と出会った。
「おいしょっと...あ!やっぱり人がいた!生きてる?生きてる!もう大丈夫だよ!今助けるからね!」
その人は巨大な瓦礫を軽々と持ち上げ、私を暗闇の世界から救ってくれた。
「いま救助隊のところに連れて行くから!」
さやか「待ってください...まだ他にも家族が...」
「あ...うん。君を連れて行ったらすぐに助けに戻るよ!」
さやか(よかった。この人ならきっとみんな助けてくれる)
安心したせいか張りつめていた意識が朦朧としてきた。
さやか(あ、そういえば...名前、聞いて...な――)
――――――
198: 2025/02/06(木) 17:29:34 ID:???00
たった3日ぶりの学校だというのにひどく久しぶりに感じる。
それもこれもバーサーカーや花帆先輩と丸二日特訓に励んでいたためだろう。
姫芽「小鈴ちゃんおはよ~」
小鈴「姫芽ちゃんおはよう!もう風邪はよくなったの?」
姫芽「うん。土日にしっかり休んだら元気になったよ~」
小鈴「よかった!姫芽ちゃんが風邪ひくなんて珍しいから心配したよ!」
姫芽「それ小鈴にだけは言われたくないな~小鈴ちゃん体調不良で休んだことなんて一度もないでしょ?」
小鈴「徒町は昔から健康なのが取り柄だから!」
久しぶりの友達との会話は、聖杯戦争という頃し合いに参加していることを忘れさせてくれた。
こんな日常を取り戻すためにも徒町は絶対に生き残らなければならない。
そんなことを思っていると、
それもこれもバーサーカーや花帆先輩と丸二日特訓に励んでいたためだろう。
姫芽「小鈴ちゃんおはよ~」
小鈴「姫芽ちゃんおはよう!もう風邪はよくなったの?」
姫芽「うん。土日にしっかり休んだら元気になったよ~」
小鈴「よかった!姫芽ちゃんが風邪ひくなんて珍しいから心配したよ!」
姫芽「それ小鈴にだけは言われたくないな~小鈴ちゃん体調不良で休んだことなんて一度もないでしょ?」
小鈴「徒町は昔から健康なのが取り柄だから!」
久しぶりの友達との会話は、聖杯戦争という頃し合いに参加していることを忘れさせてくれた。
こんな日常を取り戻すためにも徒町は絶対に生き残らなければならない。
そんなことを思っていると、
199: 2025/02/06(木) 17:31:29 ID:???00
姫芽「ねえ、小鈴ちゃん。危ないこととか、やってないよね」
小鈴「へ!?あ、危ないことってなに?」ドキッ
姫芽「例えば怪我しちゃうようなこととか...」
小鈴「チャレンジのことかな?大丈夫だよ!最近は危ないチャレンジはしてないよ!」
小鈴「保健室の先生にもうベッドは貸さないって言われてるし!」
小鈴(何か怪しいところでもあったかな!?)
小鈴(バーサーカーとの特訓でできた痣は、花帆先輩が治してくれたから大丈夫だと思うんだけど...)
姫芽「そう?とにかく危ないことはしないでね」
姫芽「もし危険だなって感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいんだからね」
小鈴「へ!?あ、危ないことってなに?」ドキッ
姫芽「例えば怪我しちゃうようなこととか...」
小鈴「チャレンジのことかな?大丈夫だよ!最近は危ないチャレンジはしてないよ!」
小鈴「保健室の先生にもうベッドは貸さないって言われてるし!」
小鈴(何か怪しいところでもあったかな!?)
小鈴(バーサーカーとの特訓でできた痣は、花帆先輩が治してくれたから大丈夫だと思うんだけど...)
姫芽「そう?とにかく危ないことはしないでね」
姫芽「もし危険だなって感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいんだからね」
200: 2025/02/06(木) 17:32:48 ID:???00
小鈴「姫芽ちゃん...?」
姫芽「小鈴ちゃん“忠告”はしたから」
小鈴「それってどういう――」
キーンコーンカーンコーン
担任「はーいホームルーム始めるぞ!日直、号令」
生徒「起立!礼!」
オハヨウゴザイマース
姫芽「...」
小鈴「...?」
――――――
姫芽「小鈴ちゃん“忠告”はしたから」
小鈴「それってどういう――」
キーンコーンカーンコーン
担任「はーいホームルーム始めるぞ!日直、号令」
生徒「起立!礼!」
オハヨウゴザイマース
姫芽「...」
小鈴「...?」
――――――
201: 2025/02/06(木) 17:34:25 ID:???00
結局姫芽ちゃんはあれ以降はいつも通りだったため、徒町も特に言及することなく昼休みになった。
慈「...」スタスタ
小鈴「あれは、めぐちゃん!」
慈「......」スタスタ
小鈴「めぐちゃん!!」ガシッ
慈「...なに?私行くところがあるんだけど」
小鈴「徒町、めぐちゃんと話がしたいんだよ!」
小鈴「どうして急に冷たくなっちゃったのかとか!どうして...あれに参加してるのかとか!」
慈「ちょっと!?変な言い方しないでくれる!寮生活で変な噂が広まるのとか簡便なんだけど」
小鈴「お願いだよ!ちゃんと話してよめぐちゃん!」
慈「あーもう!うるっさいなあ!ならこっち来て!」
慈「...」スタスタ
小鈴「あれは、めぐちゃん!」
慈「......」スタスタ
小鈴「めぐちゃん!!」ガシッ
慈「...なに?私行くところがあるんだけど」
小鈴「徒町、めぐちゃんと話がしたいんだよ!」
小鈴「どうして急に冷たくなっちゃったのかとか!どうして...あれに参加してるのかとか!」
慈「ちょっと!?変な言い方しないでくれる!寮生活で変な噂が広まるのとか簡便なんだけど」
小鈴「お願いだよ!ちゃんと話してよめぐちゃん!」
慈「あーもう!うるっさいなあ!ならこっち来て!」
202: 2025/02/06(木) 17:35:30 ID:???00
めぐちゃんと一緒に人気のない1階の階段裏に移動する。
慈「ほんとに来るんかい...あんた殺されるかもとか考えないわけ?」
小鈴「めぐちゃんはそんなことしないよ!だって『幼馴染』だもん!」
慈「幼馴染、ねえ...」
小鈴「めぐちゃん?」
慈「じゃあ聞くけどさ。あんた私との小さいころの記憶ってある?」
小鈴(小さいころの記憶?そんなのあるに決まってる)
小鈴「あるよ!一緒に公園で遊んだり、海を眺めたり!」
慈「ふーん、あんたはそういう感じなんだ。で、その一緒に遊んだ公園てどこの?」
小鈴「どこのって、徒町の家の近くのだけど...」
慈「あんたの家って福井だっけ?私生まれも育ちも金沢なんだけど、どうしてわざわざ福井の公園なんか行くわけ?」
小鈴「――――え?」
慈「ほんとに来るんかい...あんた殺されるかもとか考えないわけ?」
小鈴「めぐちゃんはそんなことしないよ!だって『幼馴染』だもん!」
慈「幼馴染、ねえ...」
小鈴「めぐちゃん?」
慈「じゃあ聞くけどさ。あんた私との小さいころの記憶ってある?」
小鈴(小さいころの記憶?そんなのあるに決まってる)
小鈴「あるよ!一緒に公園で遊んだり、海を眺めたり!」
慈「ふーん、あんたはそういう感じなんだ。で、その一緒に遊んだ公園てどこの?」
小鈴「どこのって、徒町の家の近くのだけど...」
慈「あんたの家って福井だっけ?私生まれも育ちも金沢なんだけど、どうしてわざわざ福井の公園なんか行くわけ?」
小鈴「――――え?」
203: 2025/02/06(木) 17:37:14 ID:???00
小鈴「い、いや!親同士が仲良くて!それでよく福井に遊びに...」
慈「じゃあ、私の親がどんな人だったか覚えてる?」
小鈴「それは!......あれ?」
小鈴(なんで、思い出せない)
慈「ちなみに私は福井なんて一回も行ったことないし、私の記憶の中の幼馴染とよく遊んだ公園は金沢の公園だよ」
小鈴「なにを、言ってるの...めぐちゃん」
慈「そして私の幼馴染は『大沢瑠璃乃』。私のサーヴァントであるランサーだよ」
小鈴(オオサワルリノ?)
小鈴「ほんとうに、なにをいっているの?」
慈「私とあんたは記憶を書き換えられたの。聖杯戦争のシステムによってね」
小鈴「ち、違う!めぐちゃんの幼馴染は徒町だよ!そうだ、ランサー...ランサーがめぐちゃんを騙してるんだよ!!」
慈「いい加減認めなさいよ!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
慈「じゃあ、私の親がどんな人だったか覚えてる?」
小鈴「それは!......あれ?」
小鈴(なんで、思い出せない)
慈「ちなみに私は福井なんて一回も行ったことないし、私の記憶の中の幼馴染とよく遊んだ公園は金沢の公園だよ」
小鈴「なにを、言ってるの...めぐちゃん」
慈「そして私の幼馴染は『大沢瑠璃乃』。私のサーヴァントであるランサーだよ」
小鈴(オオサワルリノ?)
小鈴「ほんとうに、なにをいっているの?」
慈「私とあんたは記憶を書き換えられたの。聖杯戦争のシステムによってね」
小鈴「ち、違う!めぐちゃんの幼馴染は徒町だよ!そうだ、ランサー...ランサーがめぐちゃんを騙してるんだよ!!」
慈「いい加減認めなさいよ!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
204: 2025/02/06(木) 17:38:57 ID:???00
慈「あんたももう違和感に気づいてるんでしょ?福井で育ったあんたと、金沢で育った私が幼馴染なはずがないって」
慈「もしまだ認められないって言うんだったら、昔の記憶をそれぞれ照らし合わせてみる?」
慈「言っとくけど私、海で遊んだ記憶なんてないから」
小鈴「...」
小鈴(徒町とめぐちゃんが幼馴染じゃない?聖杯戦争のシステム?記憶の書き換え?)
慈「わかった?あんたと私は幼馴染でも何でもない、ただの他人ってこと」
慈「よかった、これで心置きなく頃し合いができるよ」
慈「もしまだ認められないって言うんだったら、昔の記憶をそれぞれ照らし合わせてみる?」
慈「言っとくけど私、海で遊んだ記憶なんてないから」
小鈴「...」
小鈴(徒町とめぐちゃんが幼馴染じゃない?聖杯戦争のシステム?記憶の書き換え?)
慈「わかった?あんたと私は幼馴染でも何でもない、ただの他人ってこと」
慈「よかった、これで心置きなく頃し合いができるよ」
205: 2025/02/06(木) 17:39:35 ID:???00
慈「...幼馴染だと勘違いされたまま頃すのは、流石に心が痛むから」
それじゃあ、と言ってめぐちゃんは徒町に背を向けて歩き出した。
小鈴「ま、待って!まだ聞きたいことが...」
慈「あんたの疑問を晴らしたいなら、監督役とかいう理事長に聞きなよ。その方が詳しく聞けるでしょ」
めぐちゃんはそう言い残すと、今度こそ去っていってしまった。
小鈴(何がなんだかわからない...とにかく、放課後理事長のところへ行かないと)
――――――
それじゃあ、と言ってめぐちゃんは徒町に背を向けて歩き出した。
小鈴「ま、待って!まだ聞きたいことが...」
慈「あんたの疑問を晴らしたいなら、監督役とかいう理事長に聞きなよ。その方が詳しく聞けるでしょ」
めぐちゃんはそう言い残すと、今度こそ去っていってしまった。
小鈴(何がなんだかわからない...とにかく、放課後理事長のところへ行かないと)
――――――
206: 2025/02/06(木) 17:40:35 ID:???00
[ Interlude in ]
綴理「...」モグモグ
慈「こんにちは、夕霧さん」
綴理「だれ?」
慈「私は藤島慈。ランサーのマスターって言った方がいいかな?」
綴理「何の用?昼間にやる気?」
慈「別に戦おうって言うんじゃないよ。ちょっと話があるんだけど付いてきてくれない?」
綴理「今お弁当食べてるんだけど」
慈「じゃあ食べ終わるまで待ってるね。あ、その卵焼きおいしそう!自分で作ってるの?」
綴理「はあ、やっぱり今行こう」
慈「お弁当はいいの?」
綴理「こんなのどうでもいいよ」
慈「ふーん。じゃあこっち来て」
綴理「...」モグモグ
慈「こんにちは、夕霧さん」
綴理「だれ?」
慈「私は藤島慈。ランサーのマスターって言った方がいいかな?」
綴理「何の用?昼間にやる気?」
慈「別に戦おうって言うんじゃないよ。ちょっと話があるんだけど付いてきてくれない?」
綴理「今お弁当食べてるんだけど」
慈「じゃあ食べ終わるまで待ってるね。あ、その卵焼きおいしそう!自分で作ってるの?」
綴理「はあ、やっぱり今行こう」
慈「お弁当はいいの?」
綴理「こんなのどうでもいいよ」
慈「ふーん。じゃあこっち来て」
207: 2025/02/06(木) 17:42:52 ID:???00
慈「単刀直入に言うけどさ、私たちと組んでバーサーカーを倒さない?」
綴理「どうして協力する必要があるの?バーサーカーならぼくのアーチャーだけで倒せるよ」
慈「バーサーカーだけなら、でしょ?」
慈「感づいてるかもだけど、徒町小鈴とキャスターのマスターは同盟を結んでる」
慈「バーサーカーの暴力にキャスターの魔術が加わったら手が付けられないでしょ?」
綴理「なるほどね、でも君を信用する理由がないよ」
綴理「聖杯欲しさに逆にバーサーカーと手を組んでぼくをハメようとしてるかもしれない」
綴理「どうして協力する必要があるの?バーサーカーならぼくのアーチャーだけで倒せるよ」
慈「バーサーカーだけなら、でしょ?」
慈「感づいてるかもだけど、徒町小鈴とキャスターのマスターは同盟を結んでる」
慈「バーサーカーの暴力にキャスターの魔術が加わったら手が付けられないでしょ?」
綴理「なるほどね、でも君を信用する理由がないよ」
綴理「聖杯欲しさに逆にバーサーカーと手を組んでぼくをハメようとしてるかもしれない」
208: 2025/02/06(木) 17:43:32 ID:???00
慈「それはないから安心して。私の目的は徒町小鈴を頃すこと、聖杯には興味がないから」
慈(“私の”目的は、ね♡)
綴理「ふーん、いいよ。協力しよう」
慈「結構あっさり受け入れるんだ?」
綴理「バーサーカーはどうにかしなきゃと思ってたからね。渡りに船ってやつだよ」
慈「おーけーおーけー、じゃあ今夜9時に体育館裏に徒町小鈴を呼び出すから。来たら2人で挟み撃ちしよ」
綴理「呼び出すって...そんな見え透いた罠に引っかかるかな」
慈「来るよ。あいつは必ずね」
慈(“私の”目的は、ね♡)
綴理「ふーん、いいよ。協力しよう」
慈「結構あっさり受け入れるんだ?」
綴理「バーサーカーはどうにかしなきゃと思ってたからね。渡りに船ってやつだよ」
慈「おーけーおーけー、じゃあ今夜9時に体育館裏に徒町小鈴を呼び出すから。来たら2人で挟み撃ちしよ」
綴理「呼び出すって...そんな見え透いた罠に引っかかるかな」
慈「来るよ。あいつは必ずね」
209: 2025/02/06(木) 17:44:52 ID:???00
話が終わり夕霧綴理は去っていった。
瑠璃乃「めぐちゃん、ほんとにあの人と協力するの?」スー
慈「ルリちゃんは反対?」
瑠璃乃「うん、なんかあの人からは嫌な感じがする...」
瑠璃乃「強いとか弱いとか、そういうのじゃなくて、もっとなんていうか歪んだ感じ...」
慈「大丈夫だよ、ルリちゃん。私たちは誰にも負けない」
慈「勝って必ず聖杯を手に入れて、ルリちゃんを蘇らせるから」
瑠璃乃「ありがとう...めぐちゃん」
[Interlude out ]
瑠璃乃「めぐちゃん、ほんとにあの人と協力するの?」スー
慈「ルリちゃんは反対?」
瑠璃乃「うん、なんかあの人からは嫌な感じがする...」
瑠璃乃「強いとか弱いとか、そういうのじゃなくて、もっとなんていうか歪んだ感じ...」
慈「大丈夫だよ、ルリちゃん。私たちは誰にも負けない」
慈「勝って必ず聖杯を手に入れて、ルリちゃんを蘇らせるから」
瑠璃乃「ありがとう...めぐちゃん」
[Interlude out ]
210: 2025/02/06(木) 17:46:21 ID:???00
沙知「聖杯戦争のシステムについて知りたい?」
小鈴「はい」
放課後、徒町とバーサーカー、花帆先輩、キャスターの4人で理事長室を訪ねた。
要件はもちろん、昼間めぐちゃんから聞いた話を確かめるためだ。
沙知「前にもこんな風に大勢に詰められたよ」
沙知「おおかた藤島慈と自身との関係について何か聞いたんだろう」
小鈴「徒町とめぐちゃんは幼馴染じゃなくて、めぐちゃんの本当の幼馴染はランサーだって...」
小鈴「でもそんなのおかしいです!徒町にはちゃんとめぐちゃんと小さいころから遊んだ記憶があって、それで――」
沙知「はいはいストップ!落ち着きたまえ、っといっても難しいか」
沙知「藤島慈にも同じ話をしたんだが、君にも話す必要がありそうだ」
沙知「この話をするのは心が痛むから嫌なんだけどねぃ...」
大賀美理事長は椅子に座ったまま姿勢を正し、ゆっくりと語りだした。
小鈴「はい」
放課後、徒町とバーサーカー、花帆先輩、キャスターの4人で理事長室を訪ねた。
要件はもちろん、昼間めぐちゃんから聞いた話を確かめるためだ。
沙知「前にもこんな風に大勢に詰められたよ」
沙知「おおかた藤島慈と自身との関係について何か聞いたんだろう」
小鈴「徒町とめぐちゃんは幼馴染じゃなくて、めぐちゃんの本当の幼馴染はランサーだって...」
小鈴「でもそんなのおかしいです!徒町にはちゃんとめぐちゃんと小さいころから遊んだ記憶があって、それで――」
沙知「はいはいストップ!落ち着きたまえ、っといっても難しいか」
沙知「藤島慈にも同じ話をしたんだが、君にも話す必要がありそうだ」
沙知「この話をするのは心が痛むから嫌なんだけどねぃ...」
大賀美理事長は椅子に座ったまま姿勢を正し、ゆっくりと語りだした。
211: 2025/02/06(木) 17:47:56 ID:???00
沙知「まず本題に行く前に、通常の聖杯戦争について話さなければならない」
沙知「君たちには直接は関係ない話だか、蓮ノ空の聖杯戦争について理解するためには必要なことだ」
小鈴「わかりました」
沙知「聖杯戦争とは『聖杯』をめぐって数組のマスターとサーヴァントが争い、最後の一組となったものが聖杯を手に入れるという儀式だ」
沙知「これはうちの聖杯戦争も同じだね」
小鈴「はい。そう聞きました」
沙知「だが、大きく異なるのはサーヴァントだ」
沙知「通常の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは、過去に存在した英雄や偉人が、氏後、人々に祀り上げられ英霊化したものだ」
沙知「『英霊』は世界に危機が訪れた際に過去・現在・未来を問わず召喚され――」
小鈴「???」
沙知「まあ、もっとわかりやすく言うと、教科書に載るような偉人がサーヴァントになる権利を持っているということだ」
沙知「君たちには直接は関係ない話だか、蓮ノ空の聖杯戦争について理解するためには必要なことだ」
小鈴「わかりました」
沙知「聖杯戦争とは『聖杯』をめぐって数組のマスターとサーヴァントが争い、最後の一組となったものが聖杯を手に入れるという儀式だ」
沙知「これはうちの聖杯戦争も同じだね」
小鈴「はい。そう聞きました」
沙知「だが、大きく異なるのはサーヴァントだ」
沙知「通常の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは、過去に存在した英雄や偉人が、氏後、人々に祀り上げられ英霊化したものだ」
沙知「『英霊』は世界に危機が訪れた際に過去・現在・未来を問わず召喚され――」
小鈴「???」
沙知「まあ、もっとわかりやすく言うと、教科書に載るような偉人がサーヴァントになる権利を持っているということだ」
212: 2025/02/06(木) 17:49:54 ID:???00
小鈴「じゃあ、バーサーカーも実はすごい人ってこと?」
沙知「いや、そんなことはない。蓮ノ空で召喚されるサーヴァントはただの元生徒だからね」
小鈴「!」
花帆「!」
梢「...」
吟子「...」
花帆「待って!元生徒が英霊になんて...そんなのありえないよ!」
花帆「もしかしたら、100年の歴史の中で一人くらいは英霊になるほどの人物がいた可能性はある」
花帆「でも、ここで召喚されるサーヴァント全部となるとさすがに多すぎる!」
沙知「そうだね。英雄になんてなれっこない。何せ全員10代の内に亡くなっているんだから」
花帆「10代の内に亡くなってる...って、まさか!」
沙知「いや、そんなことはない。蓮ノ空で召喚されるサーヴァントはただの元生徒だからね」
小鈴「!」
花帆「!」
梢「...」
吟子「...」
花帆「待って!元生徒が英霊になんて...そんなのありえないよ!」
花帆「もしかしたら、100年の歴史の中で一人くらいは英霊になるほどの人物がいた可能性はある」
花帆「でも、ここで召喚されるサーヴァント全部となるとさすがに多すぎる!」
沙知「そうだね。英雄になんてなれっこない。何せ全員10代の内に亡くなっているんだから」
花帆「10代の内に亡くなってる...って、まさか!」
213: 2025/02/06(木) 17:51:53 ID:???00
沙知「蓮ノ空の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは、かつてここの聖杯戦争に参加し、命を落としたマスターたちだ」
小鈴「!?」
花帆「ほ、本当なの...吟子ちゃん」
吟子「...うん。私は今から50年くらい前に蓮ノ空に入学して、聖杯戦争に敗れて氏んだ元マスターだよ」
小鈴「そんなのおかしいです!だって!」
――――――
沙知『君が巻き込まれたのはこの蓮ノ空女学院で“2年ごと”に行われている『聖杯戦争』という儀式だ』
――――――
小鈴「相当な人数の生徒が、2年ごとに学内で亡くなってるなんて、そんな話聞いたことがありません!」
小鈴「世間も、家族も黙っていないはずです!」
沙知「ああ、それがまさに君が聞きたがっていた話だ」
小鈴「!?」
花帆「ほ、本当なの...吟子ちゃん」
吟子「...うん。私は今から50年くらい前に蓮ノ空に入学して、聖杯戦争に敗れて氏んだ元マスターだよ」
小鈴「そんなのおかしいです!だって!」
――――――
沙知『君が巻き込まれたのはこの蓮ノ空女学院で“2年ごと”に行われている『聖杯戦争』という儀式だ』
――――――
小鈴「相当な人数の生徒が、2年ごとに学内で亡くなってるなんて、そんな話聞いたことがありません!」
小鈴「世間も、家族も黙っていないはずです!」
沙知「ああ、それがまさに君が聞きたがっていた話だ」
214: 2025/02/06(木) 17:54:05 ID:???00
沙知「蓮ノ空の聖杯にはある術式が施されている。いったいどんな大魔術か...」
沙知「ここで氏んだ人間の魂を、それに関する『情報ごと』この土地に縛り付けるものだ」
花帆「情報ごと?」
沙知「その人に関する記憶や、記録が、魂と一緒に閉じ込められて世界から遮断される」
沙知「つまりは、全人類から忘れられるということだ」
小鈴「 」
花帆「 」
小鈴(忘れられる?全人類から?)
小鈴「で、でも、違和感に気づくはずです!」
小鈴「急に家族や友達がいなくなったら、その記憶の穴はどうやって埋めるんですか!」
沙知「ここで氏んだ人間の魂を、それに関する『情報ごと』この土地に縛り付けるものだ」
花帆「情報ごと?」
沙知「その人に関する記憶や、記録が、魂と一緒に閉じ込められて世界から遮断される」
沙知「つまりは、全人類から忘れられるということだ」
小鈴「 」
花帆「 」
小鈴(忘れられる?全人類から?)
小鈴「で、でも、違和感に気づくはずです!」
小鈴「急に家族や友達がいなくなったら、その記憶の穴はどうやって埋めるんですか!」
215: 2025/02/06(木) 17:59:37 ID:???00
沙知「人間の脳というのは都合よく記憶を改変するものだ」
沙知「小さいころのトラウマを、心を守るために忘れてたり、そういうのあるだろう?」
沙知「それと同じさ。完全に記憶から消せば、その穴は脳が都合のいいように解釈してくれる」
沙知「信じられないだろうが、実際に蓮ノ空で生徒の失踪事件が起きてるなんて報道は一度もされていない」
小鈴「そんな...じゃあ、徒町とめぐちゃんみたいな人が他にも?」
沙知「いるかもしれないね。普通は記憶から消えるだけだろうが...」
沙知「藤島慈にとって幼馴染の存在は自身のアイデンティティを形成するうえで切っても切り離せないものだった」
沙知「だから、どうしても埋められない穴を埋めるために、君がその幼馴染の『役割』を与えられてしまったんだろう」
小鈴「どうして徒町が...」
沙知「さあね。背丈が同じだったとか、性格が似ていたとか。実際のところはわからない」
沙知「小さいころのトラウマを、心を守るために忘れてたり、そういうのあるだろう?」
沙知「それと同じさ。完全に記憶から消せば、その穴は脳が都合のいいように解釈してくれる」
沙知「信じられないだろうが、実際に蓮ノ空で生徒の失踪事件が起きてるなんて報道は一度もされていない」
小鈴「そんな...じゃあ、徒町とめぐちゃんみたいな人が他にも?」
沙知「いるかもしれないね。普通は記憶から消えるだけだろうが...」
沙知「藤島慈にとって幼馴染の存在は自身のアイデンティティを形成するうえで切っても切り離せないものだった」
沙知「だから、どうしても埋められない穴を埋めるために、君がその幼馴染の『役割』を与えられてしまったんだろう」
小鈴「どうして徒町が...」
沙知「さあね。背丈が同じだったとか、性格が似ていたとか。実際のところはわからない」
216: 2025/02/06(木) 18:01:40 ID:???00
沙知「君に関してはおそらく蓮ノ空に入学した後に記憶の改変が起こったんだろう」
沙知「だからそれ以前の記憶には粗があるはずだ」
数時間前の会話を思い出す。確かに昔の記憶については徒町とめぐちゃんで食い違いがあった。
沙知「藤島慈にとっては、君は世界一大事な幼馴染の席を横から奪ったことになるんだろうね」
沙知「だから今度は、幼馴染の記憶を奪った聖杯のシステムを逆に利用して、君のことを忘れようとしているんだろう」
小鈴「あ」
慈『次こそは頃す。頃して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「あれはそういう...なんだかムカついてきました!そんなの、めぐちゃんも可哀そうだけど、徒町だって被害者じゃないですか!」
沙知「そうだね、君たちは間違いなく全員、被害者だよ。この蓮ノ空聖杯戦争のね」
沙知「私もこのことを知ったときは、驚きを通り越して怒りが湧いたよ。こんな外道な儀式が100年近く続いていたとはって」
そうだ、全員被害者だ。マスターもサーヴァントも、この土地にしばられた魂たちも、全員。
沙知「だからそれ以前の記憶には粗があるはずだ」
数時間前の会話を思い出す。確かに昔の記憶については徒町とめぐちゃんで食い違いがあった。
沙知「藤島慈にとっては、君は世界一大事な幼馴染の席を横から奪ったことになるんだろうね」
沙知「だから今度は、幼馴染の記憶を奪った聖杯のシステムを逆に利用して、君のことを忘れようとしているんだろう」
小鈴「あ」
慈『次こそは頃す。頃して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「あれはそういう...なんだかムカついてきました!そんなの、めぐちゃんも可哀そうだけど、徒町だって被害者じゃないですか!」
沙知「そうだね、君たちは間違いなく全員、被害者だよ。この蓮ノ空聖杯戦争のね」
沙知「私もこのことを知ったときは、驚きを通り越して怒りが湧いたよ。こんな外道な儀式が100年近く続いていたとはって」
そうだ、全員被害者だ。マスターもサーヴァントも、この土地にしばられた魂たちも、全員。
217: 2025/02/06(木) 18:05:33 ID:???00
沙知「だが、倫理観を捨てて考えるとよくできた儀式でもある」
沙知「マスターとなった生徒は叶えたい願いを持って聖杯戦争に参加する」
沙知「そして氏した後は、再び願いを叶えるためにサーヴァントとなって戦うしかない」
沙知「そしてその戦いでまたマスターが氏に、サーヴァントになりいつかの聖杯戦争で召喚される。この繰り返しだ」
小鈴「酷すぎます...」
沙知「ある意味、ここで召喚されるサーヴァントは英霊ではなく、蓮ノ空の『亡霊』または呪縛霊といったところだろう」
沙知「英霊の座からではなく、最初からこの土地に留まっている魂だからね。あり方としては妖怪に近い」
梢「...」
沙知「さて、蓮ノ空の聖杯戦争について、知りたいことは全部聞けたかな?なら今度はこちらが質問する番だ」
沙知「マスターとなった生徒は叶えたい願いを持って聖杯戦争に参加する」
沙知「そして氏した後は、再び願いを叶えるためにサーヴァントとなって戦うしかない」
沙知「そしてその戦いでまたマスターが氏に、サーヴァントになりいつかの聖杯戦争で召喚される。この繰り返しだ」
小鈴「酷すぎます...」
沙知「ある意味、ここで召喚されるサーヴァントは英霊ではなく、蓮ノ空の『亡霊』または呪縛霊といったところだろう」
沙知「英霊の座からではなく、最初からこの土地に留まっている魂だからね。あり方としては妖怪に近い」
梢「...」
沙知「さて、蓮ノ空の聖杯戦争について、知りたいことは全部聞けたかな?なら今度はこちらが質問する番だ」
218: 2025/02/06(木) 18:06:53 ID:???00
沙知「今の話を聞いてなお、マスターとして戦う意思はあるかい?」
沙知「あるいは、君たちの願いはそこまでして叶えたいものかい?」
小鈴「それは...」
花帆「...」ペタン
吟子「花帆?」
花帆「あんまりだよ...」
花帆「あたしが勝てば誰かの人生が消えちゃう...」
花帆「家族からも友達からも忘れられて、そんなのただ氏ぬよりずっと辛い...」
花帆「――なのに、なのにあたしは!もう聖杯にかける以外ないの!!」
花帆「聖杯を手に入れないと、どうせ氏んじゃうから...!戦う以外、選択肢なんか無いんだよ!!!」
花帆「こんなの...酷すぎるよ...うっ...」ポロポロ
吟子「花帆...」サスサス
沙知「あるいは、君たちの願いはそこまでして叶えたいものかい?」
小鈴「それは...」
花帆「...」ペタン
吟子「花帆?」
花帆「あんまりだよ...」
花帆「あたしが勝てば誰かの人生が消えちゃう...」
花帆「家族からも友達からも忘れられて、そんなのただ氏ぬよりずっと辛い...」
花帆「――なのに、なのにあたしは!もう聖杯にかける以外ないの!!」
花帆「聖杯を手に入れないと、どうせ氏んじゃうから...!戦う以外、選択肢なんか無いんだよ!!!」
花帆「こんなの...酷すぎるよ...うっ...」ポロポロ
吟子「花帆...」サスサス
219: 2025/02/06(木) 18:08:31 ID:???00
沙知「だそうだ。徒町小鈴、花帆は聖杯を手に入れなければ氏んでしまうらしい」
沙知「君が聖杯戦争の勝者になるということは、花帆が氏ぬということだ」
沙知「君の願いは、花帆の命よりも重いものなのかい?」
小鈴「徒町の、願い...」
小鈴(徒町はただ、何者かになりたかっただけだ)
小鈴(聖杯戦争に勝利すれば、こんな徒町にも誇れるものができると思っただけ)
小鈴(でもそんなの、花帆先輩の命に比べたらあまりにもちっぽけだ)
小鈴「徒町は――」
ピロン
沙知「君が聖杯戦争の勝者になるということは、花帆が氏ぬということだ」
沙知「君の願いは、花帆の命よりも重いものなのかい?」
小鈴「徒町の、願い...」
小鈴(徒町はただ、何者かになりたかっただけだ)
小鈴(聖杯戦争に勝利すれば、こんな徒町にも誇れるものができると思っただけ)
小鈴(でもそんなの、花帆先輩の命に比べたらあまりにもちっぽけだ)
小鈴「徒町は――」
ピロン
220: 2025/02/06(木) 18:09:41 ID:???00
小鈴「メール?え、めぐちゃん!?」
慈『今夜9時、体区館裏に来て。決着を付けよう』
梢「これは...!」
梢(まさか体育を『たいく』だと思っていたの...?)
梢「どうするの、小鈴さん」
小鈴「行くよ」
梢「正気?どう考えても罠よ」
小鈴「それでも、めぐちゃんとはもう一度会わないといけない」
小鈴「会って、話をしなきゃいけないんだ」
慈『今夜9時、体区館裏に来て。決着を付けよう』
梢「これは...!」
梢(まさか体育を『たいく』だと思っていたの...?)
梢「どうするの、小鈴さん」
小鈴「行くよ」
梢「正気?どう考えても罠よ」
小鈴「それでも、めぐちゃんとはもう一度会わないといけない」
小鈴「会って、話をしなきゃいけないんだ」
221: 2025/02/06(木) 18:10:28 ID:???00
吟子「言っておくけど、花帆がこんな状態だから手助けはできないよ」
小鈴「大丈夫です。これは徒町とめぐちゃんの問題だから。徒町たちで決着をつけます」
吟子「そう...」
小鈴「バーサーカー、今から少しだけ稽古をつけてくれないかな?」
梢「いいけれど、あまり体力を使いすぎないようにね」
小鈴「うん。授業挟んで気が抜けちゃったから、感覚を取り戻したいだけだよ」
梢「...わかったわ」
小鈴「では徒町たちはこれで。キャスター、花帆先輩をよろしくお願いします」
吟子「う、うん」
小鈴(めぐちゃん、待っててね)
――――――
小鈴「大丈夫です。これは徒町とめぐちゃんの問題だから。徒町たちで決着をつけます」
吟子「そう...」
小鈴「バーサーカー、今から少しだけ稽古をつけてくれないかな?」
梢「いいけれど、あまり体力を使いすぎないようにね」
小鈴「うん。授業挟んで気が抜けちゃったから、感覚を取り戻したいだけだよ」
梢「...わかったわ」
小鈴「では徒町たちはこれで。キャスター、花帆先輩をよろしくお願いします」
吟子「う、うん」
小鈴(めぐちゃん、待っててね)
――――――
222: 2025/02/06(木) 18:15:55 ID:???00
[ Interlude in ]
吟子「少しは落ち着いた?」
花帆「ありがとう...吟子ちゃん」
私たちは花帆の部屋に戻っていた。
小鈴はランサーのマスターと戦うらしいけど、今の花帆の精神状態はとても戦えるものじゃない。
花帆「吟子ちゃん、前にあたしの願いのこと教えそびれちゃってたよね」
吟子「別に無理して言わんでいいよ。私が勝手に話しただけだから」
花帆「ううん。吟子ちゃんには聞いてほしいな」
花帆「あたしね、小さいころから病気に罹ってて、まだ治療法がない難病なんだって」
花帆「それを治すのがあたしの願い」
吟子「少しは落ち着いた?」
花帆「ありがとう...吟子ちゃん」
私たちは花帆の部屋に戻っていた。
小鈴はランサーのマスターと戦うらしいけど、今の花帆の精神状態はとても戦えるものじゃない。
花帆「吟子ちゃん、前にあたしの願いのこと教えそびれちゃってたよね」
吟子「別に無理して言わんでいいよ。私が勝手に話しただけだから」
花帆「ううん。吟子ちゃんには聞いてほしいな」
花帆「あたしね、小さいころから病気に罹ってて、まだ治療法がない難病なんだって」
花帆「それを治すのがあたしの願い」
223: 2025/02/06(木) 18:18:22 ID:???00
吟子「え、病気?そんなの花帆の魔術なら一発で治せるんじゃ...」
花帆「もちろん試したよ。でも、ダメだった」
花帆「傷とか風邪なら簡単に治せるのに、その病気だけは何回やっても治せなかったんだ」
吟子「っ!!」
吟子(そんな...花帆の魔術で治せないってことは、それはもう“絶対に治らない”ってことだ...)
本人は気が付いていないが、花帆の魔術は治癒魔術ではない。
あれは傷を治しているのではなく、ただ“身体を入れ替えている”だけだ。
私は花帆の魔術を何回も見てきたおかげでそのことに気が付いている。
だが、それを知れば花帆は傷つき、自分の今までの行いを酷く後悔するだろう。
ゆえに、私は花帆の魔術の本当の力を本人に伝えないでいた。
花帆「もちろん試したよ。でも、ダメだった」
花帆「傷とか風邪なら簡単に治せるのに、その病気だけは何回やっても治せなかったんだ」
吟子「っ!!」
吟子(そんな...花帆の魔術で治せないってことは、それはもう“絶対に治らない”ってことだ...)
本人は気が付いていないが、花帆の魔術は治癒魔術ではない。
あれは傷を治しているのではなく、ただ“身体を入れ替えている”だけだ。
私は花帆の魔術を何回も見てきたおかげでそのことに気が付いている。
だが、それを知れば花帆は傷つき、自分の今までの行いを酷く後悔するだろう。
ゆえに、私は花帆の魔術の本当の力を本人に伝えないでいた。
224: 2025/02/06(木) 18:19:42 ID:???00
花帆「本当は今も入院してないといけないんだけどね」
花帆「でも、病院にいてもどうせこの病気は治らない」
花帆「お医者さんからは成人は迎えられないだろうって言われてるんだ」
吟子「...」
花帆「そんな時、この蓮ノ空の聖杯の噂を聞いたの」
花帆「どんな願いも叶えられる聖杯なら、あたしの病気も治せるかもしれない」
花帆「そう思って、この蓮ノ空に入学してきたんだ」
花帆「でも、病院にいてもどうせこの病気は治らない」
花帆「お医者さんからは成人は迎えられないだろうって言われてるんだ」
吟子「...」
花帆「そんな時、この蓮ノ空の聖杯の噂を聞いたの」
花帆「どんな願いも叶えられる聖杯なら、あたしの病気も治せるかもしれない」
花帆「そう思って、この蓮ノ空に入学してきたんだ」
225: 2025/02/06(木) 18:20:32 ID:???00
儚げに話す花帆の横顔を、私は絶望を必氏に隠しながら静かに見つめていた。
吟子「きっと、治るよ。花帆の病気」
花帆「そうかな?」
吟子「聖杯の力なら大丈夫」
花帆「でも、あたしが勝ったら誰かの人生が...」
吟子「その罪は私が全部背負ってあげる。だから花帆は気にしないでいいよ」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「私が必ず、花帆を護るから」
――たとえ、どんな手段を使っても――
[ Interlude out ]
吟子「きっと、治るよ。花帆の病気」
花帆「そうかな?」
吟子「聖杯の力なら大丈夫」
花帆「でも、あたしが勝ったら誰かの人生が...」
吟子「その罪は私が全部背負ってあげる。だから花帆は気にしないでいいよ」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「私が必ず、花帆を護るから」
――たとえ、どんな手段を使っても――
[ Interlude out ]
226: 2025/02/06(木) 18:22:29 ID:???00
――――――
コンコンコン
小鈴『めぐちゃんー!』
慈『はーい!コスズちゃん!どうしたの?』
小鈴『実は夏休みの宿題がまだ終わってなくて...めぐちゃんに手伝ってほしいの!』
慈『えー遊びに来たんじゃないのー?』
小鈴『ち、違うよ!』モジモジ
慈『まあいいよ。さ、入って!』
小鈴『うん!』
慈(さすがに1年の範囲なら大丈夫でしょ!)
コンコンコン
小鈴『めぐちゃんー!』
慈『はーい!コスズちゃん!どうしたの?』
小鈴『実は夏休みの宿題がまだ終わってなくて...めぐちゃんに手伝ってほしいの!』
慈『えー遊びに来たんじゃないのー?』
小鈴『ち、違うよ!』モジモジ
慈『まあいいよ。さ、入って!』
小鈴『うん!』
慈(さすがに1年の範囲なら大丈夫でしょ!)
227: 2025/02/06(木) 18:22:57 ID:???00
慈『じゃあ、宿題見せて』
小鈴『これだよ!』
慈『げっ』
小鈴『げ?』
慈(数学...一番苦手なやつだ。どうしよう、全然わかんない...)
慈『...コスズちゃん、数学の担当だれ?』
小鈴『え、杉本先生だよ?』
慈『すぎもっちゃんか...ふっふっふ』
小鈴『めぐちゃん?』
小鈴『これだよ!』
慈『げっ』
小鈴『げ?』
慈(数学...一番苦手なやつだ。どうしよう、全然わかんない...)
慈『...コスズちゃん、数学の担当だれ?』
小鈴『え、杉本先生だよ?』
慈『すぎもっちゃんか...ふっふっふ』
小鈴『めぐちゃん?』
228: 2025/02/06(木) 18:24:37 ID:???00
慈『いいこと教えてあげるよ。すぎもっちゃんは...」
慈「夏休み明け最初の授業では宿題を回収しない!』
小鈴『なんと!』
慈『つまり、まだ焦る必要はないってことだよ!』
小鈴『おー!』パチパチ
慈『さ、こんなのは夏休み終わってからやればいいんだし』
慈『私たちはあと1日しかない夏休みを目一杯楽しむんだよ☆』
小鈴『さすがめぐちゃん!やっぱり天才すぎるよ!』
慈『よーし!今日は夜更かしするぞー!』
『『おー!』』
――――――
慈「夏休み明け最初の授業では宿題を回収しない!』
小鈴『なんと!』
慈『つまり、まだ焦る必要はないってことだよ!』
小鈴『おー!』パチパチ
慈『さ、こんなのは夏休み終わってからやればいいんだし』
慈『私たちはあと1日しかない夏休みを目一杯楽しむんだよ☆』
小鈴『さすがめぐちゃん!やっぱり天才すぎるよ!』
慈『よーし!今日は夜更かしするぞー!』
『『おー!』』
――――――
229: 2025/02/06(木) 21:29:46 ID:???00
バーサーカーに30分ほど稽古をつけてもらい、10分ほど精神統一をしてから体育館裏に向かった。
慈「ちゃんと来たんだ。てっきり怖がって来ないと思った」
小鈴「行くよ。めぐちゃんからの誘いだもん」
慈「ふーん。でも悪いけど、今日は遊ぶために呼んだわけじゃないよ」
小鈴「わかってるよ」
慈「...」
小鈴「...」
慈「......」
小鈴「......?」
慈(夕霧綴理は何してるの...!もう9時過ぎてるんですけど!)
慈(さすがにルリちゃん一人じゃボコボコにされちゃうって!)
慈(くっ...こうなったら何とか時間を稼がないと)
慈「理事長から話は聞いたの?」スン
慈「ちゃんと来たんだ。てっきり怖がって来ないと思った」
小鈴「行くよ。めぐちゃんからの誘いだもん」
慈「ふーん。でも悪いけど、今日は遊ぶために呼んだわけじゃないよ」
小鈴「わかってるよ」
慈「...」
小鈴「...」
慈「......」
小鈴「......?」
慈(夕霧綴理は何してるの...!もう9時過ぎてるんですけど!)
慈(さすがにルリちゃん一人じゃボコボコにされちゃうって!)
慈(くっ...こうなったら何とか時間を稼がないと)
慈「理事長から話は聞いたの?」スン
230: 2025/02/06(木) 21:32:14 ID:???00
小鈴「聞いたよ。めぐちゃんが言ってたことの意味も理解した」
慈「そう。じゃああんたも私と戦う決意ができたってわけ」
小鈴「違うよ。めぐちゃんとは戦いたくない」
慈「はあ!?あんたさっき...」
小鈴「戦うのはサーヴァントだよ。マスターが頃し合う必要はない」
慈「っ!まだそんなこと言ってるの!理事長から私とルリちゃんのことも聞いたんでしょ?」
慈「あんたは私からルリちゃんの記憶を奪った悪人なの!」
小鈴「な!?めぐちゃんの記憶を奪ったのは聖杯だよ!」
小鈴「徒町もめぐちゃんも、ランサーもただの被害者なんだよ!」
小鈴「めぐちゃんの方こそ全然理解してないじゃん!」
慈「そう。じゃああんたも私と戦う決意ができたってわけ」
小鈴「違うよ。めぐちゃんとは戦いたくない」
慈「はあ!?あんたさっき...」
小鈴「戦うのはサーヴァントだよ。マスターが頃し合う必要はない」
慈「っ!まだそんなこと言ってるの!理事長から私とルリちゃんのことも聞いたんでしょ?」
慈「あんたは私からルリちゃんの記憶を奪った悪人なの!」
小鈴「な!?めぐちゃんの記憶を奪ったのは聖杯だよ!」
小鈴「徒町もめぐちゃんも、ランサーもただの被害者なんだよ!」
小鈴「めぐちゃんの方こそ全然理解してないじゃん!」
231: 2025/02/06(木) 21:34:40 ID:???00
慈「わ、わかってるし!」
慈「聖杯がルリちゃんに関する記憶を消して、あんたがたまたまその穴を埋める役を与えられたんでしょ!」
小鈴「そこまでわかってるならなんで徒町を恨むの!?お門違いだよ!」
慈「ムカつくの!あんたの顔や声を思い出すたび!吐き気がするの!!」
小鈴「そんなの八つ当たりだよ!」
慈「うるさい!うるさい!私はあんたを頃すと決めたの!あんたを頃して記憶から消すの!」
小鈴「このバカ!どうしてめぐちゃんはいつもそう短絡的なの!」
小鈴「徒町を頃したって何の解決にもならないじゃん!」
慈「なるの!あんたさえ消えてくれれば全部解決なの!」
慈「聖杯がルリちゃんに関する記憶を消して、あんたがたまたまその穴を埋める役を与えられたんでしょ!」
小鈴「そこまでわかってるならなんで徒町を恨むの!?お門違いだよ!」
慈「ムカつくの!あんたの顔や声を思い出すたび!吐き気がするの!!」
小鈴「そんなの八つ当たりだよ!」
慈「うるさい!うるさい!私はあんたを頃すと決めたの!あんたを頃して記憶から消すの!」
小鈴「このバカ!どうしてめぐちゃんはいつもそう短絡的なの!」
小鈴「徒町を頃したって何の解決にもならないじゃん!」
慈「なるの!あんたさえ消えてくれれば全部解決なの!」
232: 2025/02/06(木) 21:35:42 ID:???00
小鈴「この...!」ズンズン
慈「な、何?こっち来ないでよ!」
小鈴「わからずや!!」バチン!
慈「いっ、よくも...やったな!」ブン
小鈴「ふっ!」ヒョイ
スカッ
慈「は?こいつ...生意気なんだよ!」バッ
小鈴「うわ!」バタン
めぐちゃんがタックルしてきて、そのまま押し倒された。
慈「な、何?こっち来ないでよ!」
小鈴「わからずや!!」バチン!
慈「いっ、よくも...やったな!」ブン
小鈴「ふっ!」ヒョイ
スカッ
慈「は?こいつ...生意気なんだよ!」バッ
小鈴「うわ!」バタン
めぐちゃんがタックルしてきて、そのまま押し倒された。
233: 2025/02/06(木) 21:37:34 ID:???00
慈「あんただって私にムカついてるんでしょ!?」
慈「勝手に記憶を変えられたのに、勝手に恨まれて殺されかけて!」バチン!バチン!
小鈴「ぐっ...うっ!」
慈「だったら!あんたも私を本気で頃しに来なさいよ!」バコン!
小鈴「ぐはっ!だから...わからずやだって言ってるんだよ!!」グイッ
慈「きゃっ!」
めぐちゃんの襟をつかんで強引に引っぱる。
今度は徒町がめぐちゃんに馬乗りになる。
小鈴「徒町はめぐちゃんのこと恨んだりなんかしないし!嫌いになったりもしないよ!」バコッ
慈「ぐえ!なんで...!」
小鈴「めぐちゃんのことが好きだからだよ!!」
慈「勝手に記憶を変えられたのに、勝手に恨まれて殺されかけて!」バチン!バチン!
小鈴「ぐっ...うっ!」
慈「だったら!あんたも私を本気で頃しに来なさいよ!」バコン!
小鈴「ぐはっ!だから...わからずやだって言ってるんだよ!!」グイッ
慈「きゃっ!」
めぐちゃんの襟をつかんで強引に引っぱる。
今度は徒町がめぐちゃんに馬乗りになる。
小鈴「徒町はめぐちゃんのこと恨んだりなんかしないし!嫌いになったりもしないよ!」バコッ
慈「ぐえ!なんで...!」
小鈴「めぐちゃんのことが好きだからだよ!!」
234: 2025/02/06(木) 21:39:19 ID:???00
慈「な!?だから、あんたのその気持ちも偽物なんだよ!」
慈「私のことを幼馴染だと思わされたから!好きだと感じてるだけなの!」
小鈴「違う!!徒町がめぐちゃんのことを好きなのは、めぐちゃんが幼馴染だからじゃない!」
小鈴「蓮ノ空でめぐちゃんと過ごした時間が、楽しかったからだよ!!」
慈「!!!」
小鈴「部屋でお菓子食べたり、ゲームしたり!一緒にお出かけしたり!」
小鈴「宿題を手伝ってもらおうと思ったらめぐちゃんもわからなくて、結局夜更かしして2人で次の日遅刻したり!」
小鈴「全部全部、楽しかったんだよ!!」
慈「やめて...」
小鈴「幼馴染じゃなくても!『友達』として!めぐちゃんのことが大好きだから!!」
慈「私のことを幼馴染だと思わされたから!好きだと感じてるだけなの!」
小鈴「違う!!徒町がめぐちゃんのことを好きなのは、めぐちゃんが幼馴染だからじゃない!」
小鈴「蓮ノ空でめぐちゃんと過ごした時間が、楽しかったからだよ!!」
慈「!!!」
小鈴「部屋でお菓子食べたり、ゲームしたり!一緒にお出かけしたり!」
小鈴「宿題を手伝ってもらおうと思ったらめぐちゃんもわからなくて、結局夜更かしして2人で次の日遅刻したり!」
小鈴「全部全部、楽しかったんだよ!!」
慈「やめて...」
小鈴「幼馴染じゃなくても!『友達』として!めぐちゃんのことが大好きだから!!」
235: 2025/02/06(木) 21:40:43 ID:???00
慈「やめてって言ってるでしょ!」バン!
小鈴「うわ!」
めぐちゃんに下から突き飛ばされる。
小鈴「...っ!めぐちゃんは楽しくなかったの!?」
小鈴「徒町と遊んだ時間は、めぐちゃんにとっては嫌な時間でしかなかったの!?」
慈「そんなこと...聞かないでよ...」
小鈴「めぐちゃん!!」
慈「私だって楽しかったよ!!あんたと過ごした時間は!!!」
小鈴「じゃあ!」
慈「でもダメなの!ルリちゃんのことを思い出した今でも、気を抜くとルリちゃんの顔があんたの顔になる...あんたの声になる...!!」
小鈴「――え?」
小鈴「うわ!」
めぐちゃんに下から突き飛ばされる。
小鈴「...っ!めぐちゃんは楽しくなかったの!?」
小鈴「徒町と遊んだ時間は、めぐちゃんにとっては嫌な時間でしかなかったの!?」
慈「そんなこと...聞かないでよ...」
小鈴「めぐちゃん!!」
慈「私だって楽しかったよ!!あんたと過ごした時間は!!!」
小鈴「じゃあ!」
慈「でもダメなの!ルリちゃんのことを思い出した今でも、気を抜くとルリちゃんの顔があんたの顔になる...あんたの声になる...!!」
小鈴「――え?」
236: 2025/02/06(木) 21:43:04 ID:???00
慈「朝起きてルリちゃんの顔を見ると、一瞬だれ?ってなって...すぐに思い出す」
慈「そのたびに自分が嫌になって、殴りたくなるの!!」
慈「起きてる間も、ルリちゃんとあんたの記憶が混ざって、どっちが本当の記憶かわからなくなって...」
慈「わからない自分に吐き気がするの!!!」
小鈴「...」
慈「あんたはいいよね、元々なかった記憶が入ってきただけなんだから...」
慈「でも私は違う!元々あった記憶が無理やり書き換えられて、それが今も続いてる!」
小鈴「めぐちゃん...」
慈「めぐちゃんって呼ばないで!!!そう呼ばれると余計に頭がおかしくなる...!」
慈「辛いの...!苦しいの!!!!ルリちゃんを忘れていく自分が、許せないの!!!!」
慈「だから、あんたを頃すしかない。コスズちゃんのことは嫌いじゃないけど...そうする以外思いつかないの...」ペタン
慈「そのたびに自分が嫌になって、殴りたくなるの!!」
慈「起きてる間も、ルリちゃんとあんたの記憶が混ざって、どっちが本当の記憶かわからなくなって...」
慈「わからない自分に吐き気がするの!!!」
小鈴「...」
慈「あんたはいいよね、元々なかった記憶が入ってきただけなんだから...」
慈「でも私は違う!元々あった記憶が無理やり書き換えられて、それが今も続いてる!」
小鈴「めぐちゃん...」
慈「めぐちゃんって呼ばないで!!!そう呼ばれると余計に頭がおかしくなる...!」
慈「辛いの...!苦しいの!!!!ルリちゃんを忘れていく自分が、許せないの!!!!」
慈「だから、あんたを頃すしかない。コスズちゃんのことは嫌いじゃないけど...そうする以外思いつかないの...」ペタン
237: 2025/02/06(木) 21:46:35 ID:???00
しかし、言葉とは裏腹にめぐちゃんは力なく地面に座り込む。
そのまま大粒の涙を流して動かなくなってしまった。
めぐちゃんは最初から徒町を頃す気なんてなかった。
だってめぐちゃんからは一度も殺気を感じたことなんてなかったから。
きっと記憶の混在に苦しんで、自分ではどうしようもなくなったんだ。
だから徒町のことを消そうなんて考えた。
いや、もしかしたら徒町を遠ざけたかっただけだったのかもしれない。
小鈴(こんなことが100年も続いてきたの?そしてこの先も...)
小鈴(そんなの絶対に許せない。人の人生を弄んで、狂わせて、苦しめて...)
小鈴(終わらせなきゃ――徒町が)
小鈴「バーサ――」
姫芽「小鈴ちゃんさあ、どうして来ちゃったわけ?」
そのまま大粒の涙を流して動かなくなってしまった。
めぐちゃんは最初から徒町を頃す気なんてなかった。
だってめぐちゃんからは一度も殺気を感じたことなんてなかったから。
きっと記憶の混在に苦しんで、自分ではどうしようもなくなったんだ。
だから徒町のことを消そうなんて考えた。
いや、もしかしたら徒町を遠ざけたかっただけだったのかもしれない。
小鈴(こんなことが100年も続いてきたの?そしてこの先も...)
小鈴(そんなの絶対に許せない。人の人生を弄んで、狂わせて、苦しめて...)
小鈴(終わらせなきゃ――徒町が)
小鈴「バーサ――」
姫芽「小鈴ちゃんさあ、どうして来ちゃったわけ?」
238: 2025/02/06(木) 21:49:29 ID:???00
小鈴「え、姫芽ちゃん?」
姫芽ちゃんが建物の陰から出てきた。
その顔はいつも教室で見ている優しい笑顔ではなく、感情のない冷たい顔だった。
姫芽「アタシちゃんと言ったよね?危険だと感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいって」
姫芽「別にバーサーカーだけ向かわして、小鈴ちゃんは部屋で待っててもよかったよね?」
小鈴「なにを――」
姫芽「アタシ、小鈴ちゃんには傷ついて欲しくなかったの」
姫芽「こんな戦いに巻き込まれて欲しくなかった。だから忠告したのに...」
姫芽「なのにどうして、自分から火の中に飛び込んできちゃうのかなあ?」ギロ
小鈴(!!!殺気!?)
姫芽ちゃんが建物の陰から出てきた。
その顔はいつも教室で見ている優しい笑顔ではなく、感情のない冷たい顔だった。
姫芽「アタシちゃんと言ったよね?危険だと感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいって」
姫芽「別にバーサーカーだけ向かわして、小鈴ちゃんは部屋で待っててもよかったよね?」
小鈴「なにを――」
姫芽「アタシ、小鈴ちゃんには傷ついて欲しくなかったの」
姫芽「こんな戦いに巻き込まれて欲しくなかった。だから忠告したのに...」
姫芽「なのにどうして、自分から火の中に飛び込んできちゃうのかなあ?」ギロ
小鈴(!!!殺気!?)
239: 2025/02/06(木) 21:51:49 ID:???00
姫芽「悲しいよ、せっかくの忠告無視されて。そんなことされたらアタシ――」
姫芽「“もう戦うしかなくなっちゃったよ”」スッ
小鈴「令呪...!」
梢「そう、やっぱりランサーのマスターは他にいたのね」スー
梢「おかしいとは思っていたの。藤島慈にはランサーを維持できるだけの魔力は感じなかったから」
姫芽「ランサー」
瑠璃乃「了解、マスター」スー
梢「マスターが変わったくらいでは私には勝てないわよ、ランサー」
瑠璃乃「そうだね。ルリ一人ならね...」
梢「どういう意味かしら?」
姫芽「“もう戦うしかなくなっちゃったよ”」スッ
小鈴「令呪...!」
梢「そう、やっぱりランサーのマスターは他にいたのね」スー
梢「おかしいとは思っていたの。藤島慈にはランサーを維持できるだけの魔力は感じなかったから」
姫芽「ランサー」
瑠璃乃「了解、マスター」スー
梢「マスターが変わったくらいでは私には勝てないわよ、ランサー」
瑠璃乃「そうだね。ルリ一人ならね...」
梢「どういう意味かしら?」
240: 2025/02/06(木) 21:54:59 ID:???00
姫芽『みらくりえーしょん』ピコピコピコ
小鈴「!姫芽ちゃんの姿が!」
姫芽ちゃんは瞬く間にランサーと同じ鎧を身に纏う。
さらに手にはSF映画で見るような近未来的な銃を持っていた。
姫芽「実はランサーの鎧もアタシが造ったんだ」
姫芽『イグニッション🔥』
さらに詠唱をすると、姫芽ちゃんの魔力はみるみる上がっていく。
そしてほとんどサーヴァントに匹敵するレベルにまでなってしまった。
梢「人間の身でこれほどまでの魔力を作るなんて...あなた氏ぬ気!?」
姫芽「氏ぬ気で行かないとバーサーカーには勝てない。命をかけてでも、アタシには叶えたい願いがある!」
小鈴「!姫芽ちゃんの姿が!」
姫芽ちゃんは瞬く間にランサーと同じ鎧を身に纏う。
さらに手にはSF映画で見るような近未来的な銃を持っていた。
姫芽「実はランサーの鎧もアタシが造ったんだ」
姫芽『イグニッション🔥』
さらに詠唱をすると、姫芽ちゃんの魔力はみるみる上がっていく。
そしてほとんどサーヴァントに匹敵するレベルにまでなってしまった。
梢「人間の身でこれほどまでの魔力を作るなんて...あなた氏ぬ気!?」
姫芽「氏ぬ気で行かないとバーサーカーには勝てない。命をかけてでも、アタシには叶えたい願いがある!」
241: 2025/02/06(木) 21:56:59 ID:???00
――――――
10年前
姫芽「おとうさーん、ディズニーランドまだつかないの?」
父「まだあと30分はかかるかな~」
母「もうすぐ仮面ライダー始まる頃でしょ?お姉ちゃんに見せてもらったら?」
姫芽「あ!そうだった!おねいちゃん、スマホでみして~」
姉「はいはい、姫芽は相変わらずせわしないですね」
姫芽「この新しいフォルムちょーかっこいい~アタシもこれ着たいな~」
姉「ふふふ、いつか着れるといいですね」
父「おい...ちょっと待て!何だあのトラック!!!」
姫芽「え?」
『プオォォォォォーーン!』
姉「姫芽!!」ガバッ
ガシャーーーーン!
10年前
姫芽「おとうさーん、ディズニーランドまだつかないの?」
父「まだあと30分はかかるかな~」
母「もうすぐ仮面ライダー始まる頃でしょ?お姉ちゃんに見せてもらったら?」
姫芽「あ!そうだった!おねいちゃん、スマホでみして~」
姉「はいはい、姫芽は相変わらずせわしないですね」
姫芽「この新しいフォルムちょーかっこいい~アタシもこれ着たいな~」
姉「ふふふ、いつか着れるといいですね」
父「おい...ちょっと待て!何だあのトラック!!!」
姫芽「え?」
『プオォォォォォーーン!』
姉「姫芽!!」ガバッ
ガシャーーーーン!
242: 2025/02/06(木) 21:58:48 ID:???00
安養寺姫芽は6歳の時に孤児になった。
道路を逆走してきた酒気帯びのトラックに突っ込まれて、前席に座っていた両親は即氏。
後席に座っていた姫芽は、隣にいた姉が咄嗟にかばったおかげで無事だったが、姉は搬送先の病院で氏亡した。
姫芽「...」
男「君、私の養子にならないか?」
姫芽「...」
男「君には素質がある。私のところで魔術を学ばないか?」
姫芽「...魔術?あなた魔法使えるの?」
男「ああ、有体にいうと、私は魔法使いなんだ」
姫芽「...魔法が使えれば、また家族に会えますか?」
男「どうだろう。氏者の蘇生は難しいかもしれないね」
道路を逆走してきた酒気帯びのトラックに突っ込まれて、前席に座っていた両親は即氏。
後席に座っていた姫芽は、隣にいた姉が咄嗟にかばったおかげで無事だったが、姉は搬送先の病院で氏亡した。
姫芽「...」
男「君、私の養子にならないか?」
姫芽「...」
男「君には素質がある。私のところで魔術を学ばないか?」
姫芽「...魔術?あなた魔法使えるの?」
男「ああ、有体にいうと、私は魔法使いなんだ」
姫芽「...魔法が使えれば、また家族に会えますか?」
男「どうだろう。氏者の蘇生は難しいかもしれないね」
243: 2025/02/06(木) 22:00:20 ID:???00
男「でも、もし君が魔術を極め“根源”に到達することができれば」
男「あるいは氏者と会話することも叶うかもしれない」
姫芽「――なります。アタシを魔法使いにしてください」
姫芽はその男の養子になった。
男は魔術師だったが、後継ぎがいなかった。
そして姫芽には家族がおらず、魔術の才能があった。
姫芽の得意魔術は『投影』魔術だ。
だが、彼女が才能を発揮したのは投影の精度ではない。
投影する“モノ”だった。
男「あるいは氏者と会話することも叶うかもしれない」
姫芽「――なります。アタシを魔法使いにしてください」
姫芽はその男の養子になった。
男は魔術師だったが、後継ぎがいなかった。
そして姫芽には家族がおらず、魔術の才能があった。
姫芽の得意魔術は『投影』魔術だ。
だが、彼女が才能を発揮したのは投影の精度ではない。
投影する“モノ”だった。
244: 2025/02/06(木) 22:01:54 ID:???00
通常の投影魔術は、モデルとなるオリジナルが存在する。
投影とは現実の鏡写しでしかない。
しかし、姫芽は現実には“ないもの”を投影で来た。
本来、魔術はないものは生み出すことはできない。
だが姫芽の頭の中には確かに“あった”のだ。
空想投影『みらくりえーしょん』、姫芽の優れた想像力があっての魔術。
男の元で魔術を学ぶ中で、たまたま蓮ノ空の聖杯の噂を聞いた姫芽は、男に頼み込んで蓮ノ空に入学させてもらった。
聖杯を手に入れ、亡くした家族に再会するために。
――――――
投影とは現実の鏡写しでしかない。
しかし、姫芽は現実には“ないもの”を投影で来た。
本来、魔術はないものは生み出すことはできない。
だが姫芽の頭の中には確かに“あった”のだ。
空想投影『みらくりえーしょん』、姫芽の優れた想像力があっての魔術。
男の元で魔術を学ぶ中で、たまたま蓮ノ空の聖杯の噂を聞いた姫芽は、男に頼み込んで蓮ノ空に入学させてもらった。
聖杯を手に入れ、亡くした家族に再会するために。
――――――
245: 2025/02/06(木) 22:03:45 ID:???00
姫芽「行くよランサー!」ガチャ
瑠璃乃「おうよ!」バッ
梢(来る!ランサーの戦い方は知っている!)
梢(でもマスターの持つあの武器は何?)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
梢「がっ!魔弾!?」
瑠璃乃「おりゃー!」シュッ!シュッ!
梢「っ!ふん!」ガキン
BANG💥 BANG💥
梢「ぐふっ!」グラッ
瑠璃乃「隙あり!」グサッ
梢「があっ!」
瑠璃乃「おうよ!」バッ
梢(来る!ランサーの戦い方は知っている!)
梢(でもマスターの持つあの武器は何?)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
梢「がっ!魔弾!?」
瑠璃乃「おりゃー!」シュッ!シュッ!
梢「っ!ふん!」ガキン
BANG💥 BANG💥
梢「ぐふっ!」グラッ
瑠璃乃「隙あり!」グサッ
梢「があっ!」
246: 2025/02/06(木) 22:07:05 ID:???00
梢(まずい...あの魔弾の威力も無視できない!)
梢(でもマスターに集中するとランサーの攻撃に対応できない!)
姫芽「このまま一気に決め――」
小鈴「うおーーー!!!」ドン!
姫芽「わっ!?」
姫芽ちゃんに体当たりをして突き飛ばす。
梢「小鈴さん!?」
小鈴「姫芽ちゃんはあたしが抑えるから!!バーサーカーはランサーを!!」
梢「!ええ、小鈴さんを信じるわ!」
梢(でもマスターに集中するとランサーの攻撃に対応できない!)
姫芽「このまま一気に決め――」
小鈴「うおーーー!!!」ドン!
姫芽「わっ!?」
姫芽ちゃんに体当たりをして突き飛ばす。
梢「小鈴さん!?」
小鈴「姫芽ちゃんはあたしが抑えるから!!バーサーカーはランサーを!!」
梢「!ええ、小鈴さんを信じるわ!」
247: 2025/02/06(木) 22:08:19 ID:???00
姫芽「本気?小鈴ちゃん」
小鈴「本気だよ、姫芽ちゃん」
姫芽「ねえ、小鈴ちゃん。アタシは家族を事故で亡くしてるの」
姫芽「アタシは聖杯を手に入れて家族と会う。そのためにこの蓮ノ空に入学してきた」
姫芽「だから、降参してくれない?」
小鈴「そうだったんだ...だけど、徒町にも戦う理由ができたんだよ」
姫芽「それは?」
小鈴「本気だよ、姫芽ちゃん」
姫芽「ねえ、小鈴ちゃん。アタシは家族を事故で亡くしてるの」
姫芽「アタシは聖杯を手に入れて家族と会う。そのためにこの蓮ノ空に入学してきた」
姫芽「だから、降参してくれない?」
小鈴「そうだったんだ...だけど、徒町にも戦う理由ができたんだよ」
姫芽「それは?」
248: 2025/02/06(木) 22:09:55 ID:???00
小鈴「もう二度と聖杯戦争が起きないようにする」
小鈴「この土地に縛られた生徒たちの魂も開放する!」
小鈴「あたしが、この聖杯戦争を終わらせる!!!」
小鈴(これ以上、めぐちゃんみたいな人を増やさないために――)
姫芽「そっか、聖杯戦争を終わらせる。それが小鈴ちゃんの願いなんだね」
姫芽「じゃあ...戦うしかないね!!」ガチャ
BANG💥
小鈴「ふっ!」サッ
射線から外れながら、身体の中に神経を集中させる。
小鈴「この土地に縛られた生徒たちの魂も開放する!」
小鈴「あたしが、この聖杯戦争を終わらせる!!!」
小鈴(これ以上、めぐちゃんみたいな人を増やさないために――)
姫芽「そっか、聖杯戦争を終わらせる。それが小鈴ちゃんの願いなんだね」
姫芽「じゃあ...戦うしかないね!!」ガチャ
BANG💥
小鈴「ふっ!」サッ
射線から外れながら、身体の中に神経を集中させる。
249: 2025/02/06(木) 22:14:13 ID:???00
カチャ
刀を抜く。
背骨に刺さっていた刀身が姿を見せる。
もちろん本物の刀など刺さっていない。
徒町小鈴にとって、魔術回路を起動させるイメージが刀だっただけだ。
今まで自分で開けなかったのも無理はない。
護身の為になど、抜けるはずもないのだ。
なぜなら、――
『「刀は抜くべからざるもの」なれば、抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ』
刀とは、ただ“戦う”ための物なのだから!
250: 2025/02/06(木) 22:16:17 ID:???00
小鈴「『強化』!」
キーン!バチバチ⚡
両脚の強化を一発で成功させる。
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ふっ!ふっ!」サッサッ
小鈴(体がいつもより軽い!これなら!)
BANG💥
小鈴「ぐあっ!」
小鈴(同じ方向に逃げてちゃだめだ!バーサーカーとの特訓を思い出せ!)
キーン!バチバチ⚡
両脚の強化を一発で成功させる。
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ふっ!ふっ!」サッサッ
小鈴(体がいつもより軽い!これなら!)
BANG💥
小鈴「ぐあっ!」
小鈴(同じ方向に逃げてちゃだめだ!バーサーカーとの特訓を思い出せ!)
251: 2025/02/06(木) 22:18:41 ID:???00
BANG💥 BANG💥
小鈴(右、左、右――)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴(左、左、右、左――いける!)
付かず離れず、姫芽ちゃんが無視できない距離で弾丸を避け続ける。
徒町の“目的”は姫芽ちゃんを足止めして、バーサーカーがランサーに集中できるようにすることだ。
一対一ならバーサーカーは負けない。できるだけ時間を稼ぐんだ!
姫芽(右、左、右、右――左右に3回避けた後に同じ方向に1回)
姫芽(小鈴ちゃん、ランダムに避けてるつもりだろうけど、動きがパターン化してきてるよ!)
小鈴(右、左、右――)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴(左、左、右、左――いける!)
付かず離れず、姫芽ちゃんが無視できない距離で弾丸を避け続ける。
徒町の“目的”は姫芽ちゃんを足止めして、バーサーカーがランサーに集中できるようにすることだ。
一対一ならバーサーカーは負けない。できるだけ時間を稼ぐんだ!
姫芽(右、左、右、右――左右に3回避けた後に同じ方向に1回)
姫芽(小鈴ちゃん、ランダムに避けてるつもりだろうけど、動きがパターン化してきてるよ!)
252: 2025/02/06(木) 22:21:05 ID:???00
姫芽「はっ!」BANG💥
小鈴「がっ!」グラ
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ぐ"う"う"~~~!!!」バタン
姫芽「威力は抑えてあげたから、氏にはしないよ」
姫芽「でも、しばらくそこでじっとしててね」
小鈴「う...でも、目的は果たせよ...!」
姫芽「え?」
梢「はっ!!!」ゴン!
瑠璃乃「ぐわーっ!」バタン!ゴロゴロゴロ…
姫芽「ランサー!!」
小鈴「がっ!」グラ
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ぐ"う"う"~~~!!!」バタン
姫芽「威力は抑えてあげたから、氏にはしないよ」
姫芽「でも、しばらくそこでじっとしててね」
小鈴「う...でも、目的は果たせよ...!」
姫芽「え?」
梢「はっ!!!」ゴン!
瑠璃乃「ぐわーっ!」バタン!ゴロゴロゴロ…
姫芽「ランサー!!」
253: 2025/02/06(木) 22:22:27 ID:???00
ランサーの鎧はすでにボロボロだ。
身体も傷だらけで満身創痍といった様子だった。
瑠璃乃「ごめんマスター...」
姫芽「ううん、アタシが援護できなかったから」
姫芽「......ランサー、アタシに案がある」
瑠璃乃「え?」
姫芽「バーサーカーに宝具を使って!」
瑠璃乃「でもあの宝具じゃ...」
姫芽「攻撃はアタシが担当するから!」
瑠璃乃「...わかった!」
身体も傷だらけで満身創痍といった様子だった。
瑠璃乃「ごめんマスター...」
姫芽「ううん、アタシが援護できなかったから」
姫芽「......ランサー、アタシに案がある」
瑠璃乃「え?」
姫芽「バーサーカーに宝具を使って!」
瑠璃乃「でもあの宝具じゃ...」
姫芽「攻撃はアタシが担当するから!」
瑠璃乃「...わかった!」
254: 2025/02/06(木) 22:26:14 ID:???00
ランサーが槍を持って立ち上がる。
梢(宝具!あの三段突きね!)バッ
バーサーカーは後ろに大きく飛び退いた。
梢(これだけの距離があれば、光速の三段突きにも問題なく対処できる!)
しかし、バーサーカーの予測とは裏腹に、ランサーは槍を水平ではなく垂直に掲げた。
梢(上段の構え!?いえ、どのみちこれだけの距離があればどんな攻撃でも――)
瑠璃乃「計測、開始――――完了!」グッ
瑠璃乃「宝具!『BANG YOU グラビティ』!!!」ブン
だが、バーサーカーの予測は再び裏切られる。
ランサーはその場から一歩も動くことなく、その宝具を振り下ろす。
梢「!」
梢(宝具!あの三段突きね!)バッ
バーサーカーは後ろに大きく飛び退いた。
梢(これだけの距離があれば、光速の三段突きにも問題なく対処できる!)
しかし、バーサーカーの予測とは裏腹に、ランサーは槍を水平ではなく垂直に掲げた。
梢(上段の構え!?いえ、どのみちこれだけの距離があればどんな攻撃でも――)
瑠璃乃「計測、開始――――完了!」グッ
瑠璃乃「宝具!『BANG YOU グラビティ』!!!」ブン
だが、バーサーカーの予測は再び裏切られる。
ランサーはその場から一歩も動くことなく、その宝具を振り下ろす。
梢「!」
255: 2025/02/06(木) 22:27:51 ID:???00
ランサーの宝具はその槍――否、“釣り竿”である。
それは距離や時間を超え、対象を引き寄せる絶対引力。
梢「体が引っ張られ!?――きゃっ!」グイン
かなりの距離をとっていたバーサーカーは、突然自身を襲う引力に対応できない。
そのままランサーのほうへ飛ぶように引き寄せられていく。
梢(でも、わざわざ近づけてくれるならカウンターで反撃をするまで!)
慈『エンジェルスマイル!』
グリン!
バーサーカーの首が真横を向く。
梢「なっ!藤島慈!?」
梢(まずい!ランサーとの距離が掴めない!)
それは距離や時間を超え、対象を引き寄せる絶対引力。
梢「体が引っ張られ!?――きゃっ!」グイン
かなりの距離をとっていたバーサーカーは、突然自身を襲う引力に対応できない。
そのままランサーのほうへ飛ぶように引き寄せられていく。
梢(でも、わざわざ近づけてくれるならカウンターで反撃をするまで!)
慈『エンジェルスマイル!』
グリン!
バーサーカーの首が真横を向く。
梢「なっ!藤島慈!?」
梢(まずい!ランサーとの距離が掴めない!)
256: 2025/02/06(木) 22:30:15 ID:???00
ランサーの宝具は強力な引力を発生させる。
しかし、その能力はあくまで引き寄せるだけで、攻撃能力はない。
ゆえに――
姫芽「全弾装填(セット)」ガチャ
安養寺姫芽がランサーの前に出る。
姫芽(生命力の半分を魔弾に変換!ゼロ距離からの全弾発射で確実に仕留める!)
姫芽「!?」
小鈴「ふん!」ガシ!
梢「小鈴さん!?なにを...!」
しかし、その能力はあくまで引き寄せるだけで、攻撃能力はない。
ゆえに――
姫芽「全弾装填(セット)」ガチャ
安養寺姫芽がランサーの前に出る。
姫芽(生命力の半分を魔弾に変換!ゼロ距離からの全弾発射で確実に仕留める!)
姫芽「!?」
小鈴「ふん!」ガシ!
梢「小鈴さん!?なにを...!」
257: 2025/02/06(木) 22:31:40 ID:???00
腕を強化してバーサーカーにしがみつく。
だが、姫芽ちゃんに撃たれて動かない脚では、引っ張られるバーサーカーを止めることはできない。
それでいい。あたしの目的は、バーサーカーを止めることじゃない。
バーサーカーに運んでもらうことだ!
小鈴「姫芽ちゃん!!」
姫芽「小鈴ちゃん!?」
姫芽(どうする!?撃てば確実に小鈴ちゃんも氏んじゃう!いや――)
姫芽(アタシは何を犠牲にしてでも、聖杯を手に入れると決めたんだ!!)
姫芽「フルバー...」
だが、姫芽ちゃんに撃たれて動かない脚では、引っ張られるバーサーカーを止めることはできない。
それでいい。あたしの目的は、バーサーカーを止めることじゃない。
バーサーカーに運んでもらうことだ!
小鈴「姫芽ちゃん!!」
姫芽「小鈴ちゃん!?」
姫芽(どうする!?撃てば確実に小鈴ちゃんも氏んじゃう!いや――)
姫芽(アタシは何を犠牲にしてでも、聖杯を手に入れると決めたんだ!!)
姫芽「フルバー...」
258: 2025/02/06(木) 22:33:06 ID:???00
小鈴「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
『プオォォォォォーーン!』
姫芽「っ!」ビクッ
小鈴「たー!!!」ドシン!
姫芽「きゃっ!」バタン
梢「は!!!」ゴン!
瑠璃乃「マスタ――ぐわっ!」ドーン!
引き寄せられる勢いそのままで姫芽ちゃんに突っ込む。
姫芽ちゃんは派手に倒れて頭を打ったのか、倒れたまま起き上がらない。
『プオォォォォォーーン!』
姫芽「っ!」ビクッ
小鈴「たー!!!」ドシン!
姫芽「きゃっ!」バタン
梢「は!!!」ゴン!
瑠璃乃「マスタ――ぐわっ!」ドーン!
引き寄せられる勢いそのままで姫芽ちゃんに突っ込む。
姫芽ちゃんは派手に倒れて頭を打ったのか、倒れたまま起き上がらない。
259: 2025/02/06(木) 22:34:00 ID:???00
姫芽「う、うぅ...」グッタリ
瑠璃乃「げほっ!げほっ!」
ランサーはバーサーカーに蹴り飛ばされて姫芽ちゃんの隣でうずくまっていた。
小鈴「はあ、はあ...姫芽ちゃん、もうやめよう!」
小鈴「姫芽ちゃんが亡くなった家族に会いたい気持ちはわかるよ!」
小鈴「でも、そのためにまた誰かが大切な人を失っちゃう!そんなの姫芽ちゃんの家族も喜ばないよ!!」
姫芽「!!」
瑠璃乃「げほっ!げほっ!」
ランサーはバーサーカーに蹴り飛ばされて姫芽ちゃんの隣でうずくまっていた。
小鈴「はあ、はあ...姫芽ちゃん、もうやめよう!」
小鈴「姫芽ちゃんが亡くなった家族に会いたい気持ちはわかるよ!」
小鈴「でも、そのためにまた誰かが大切な人を失っちゃう!そんなの姫芽ちゃんの家族も喜ばないよ!!」
姫芽「!!」
260: 2025/02/06(木) 22:36:08 ID:???00
――――――
2月1日 夜
慈『――ルリちゃん?』
瑠璃乃『めぐちゃん...』
慈『うそ...私、どうして今までルリちゃんのこと...あ、ああああ!』ペタン
姫芽『ラ、ランサー?これはどういう...藤島せんぱいと知り合いなの?』
瑠璃乃『ごめんマスター。多分ルリの宝具のせいだ』
瑠璃乃『この宝具、持ってるだけでも“縁のある人”を引き寄せちゃうんだ』
姫芽『縁って』
瑠璃乃『めぐちゃんはルリの幼馴染だよ...』
瑠璃乃『ルリが聖杯戦争で氏んじゃったせいで、めぐちゃんは今まで忘れてたみたいだけど』
姫芽『!?そん、な...』
2月1日 夜
慈『――ルリちゃん?』
瑠璃乃『めぐちゃん...』
慈『うそ...私、どうして今までルリちゃんのこと...あ、ああああ!』ペタン
姫芽『ラ、ランサー?これはどういう...藤島せんぱいと知り合いなの?』
瑠璃乃『ごめんマスター。多分ルリの宝具のせいだ』
瑠璃乃『この宝具、持ってるだけでも“縁のある人”を引き寄せちゃうんだ』
姫芽『縁って』
瑠璃乃『めぐちゃんはルリの幼馴染だよ...』
瑠璃乃『ルリが聖杯戦争で氏んじゃったせいで、めぐちゃんは今まで忘れてたみたいだけど』
姫芽『!?そん、な...』
261: 2025/02/06(木) 22:38:32 ID:???00
慈『ごめんねルリちゃん...!私もうルリちゃんのこと忘れないから!』ポロポロ
慈『だからお願い...もう私の前からいなくならないで...』グイッ
姫芽『!!』
瑠璃乃『...行こうマスター。離れればまた忘れてもらえると思うから』
慈『いやっ、行かないで!ルリちゃん!!』
姫芽『待ってランサー!アタシに...提案があるんだけど』
瑠璃乃『?』
姫芽『マスターの権利を、藤島せんぱいに――』
――――――
慈『だからお願い...もう私の前からいなくならないで...』グイッ
姫芽『!!』
瑠璃乃『...行こうマスター。離れればまた忘れてもらえると思うから』
慈『いやっ、行かないで!ルリちゃん!!』
姫芽『待ってランサー!アタシに...提案があるんだけど』
瑠璃乃『?』
姫芽『マスターの権利を、藤島せんぱいに――』
――――――
262: 2025/02/06(木) 22:40:02 ID:???00
姫芽「う、う...う"...」ポロポロ…
瑠璃乃「姫芽ちゃん、もういいよ。やめよう?誰かを傷つけるなんて、姫芽ちゃんには似合わないよ」
瑠璃乃「ルリは消えちゃうだろうから、めぐちゃんのこと、よろしくね!」
姫芽「ランサー......っ!?」
姫芽「小鈴ちゃん危ない!!!」ドン
小鈴「へ?」
綴理『Crimson lotus』🔥
🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥
姫芽「っ"...」🔥
瑠璃乃「あ"っ"!」🔥
慈「ぎ"っ」🔥
梢「う"っ!」🔥
瑠璃乃「姫芽ちゃん、もういいよ。やめよう?誰かを傷つけるなんて、姫芽ちゃんには似合わないよ」
瑠璃乃「ルリは消えちゃうだろうから、めぐちゃんのこと、よろしくね!」
姫芽「ランサー......っ!?」
姫芽「小鈴ちゃん危ない!!!」ドン
小鈴「へ?」
綴理『Crimson lotus』🔥
🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥
姫芽「っ"...」🔥
瑠璃乃「あ"っ"!」🔥
慈「ぎ"っ」🔥
梢「う"っ!」🔥
263: 2025/02/06(木) 22:42:10 ID:???00
小鈴「姫芽ちゃん!めぐちゃん!バーサーカー!!!」
綴理「ひとり外した。残念」
梢「っ!アーチャーのマスター!!あなたまた!!」
小鈴「どうしてここに...」
綴理「藤島慈が教えてくれたんだ。あれ?どうして教えてくれたんだっけ?」
綴理「まあいっか。じゃあ氏ん――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼっ...」。o○
綴理(水?キャスターか)
吟子「今度はちゃんと準備してしてきたんだから!」
花帆「小鈴ちゃん!」
小鈴「花帆先輩!?」
綴理「ひとり外した。残念」
梢「っ!アーチャーのマスター!!あなたまた!!」
小鈴「どうしてここに...」
綴理「藤島慈が教えてくれたんだ。あれ?どうして教えてくれたんだっけ?」
綴理「まあいっか。じゃあ氏ん――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼっ...」。o○
綴理(水?キャスターか)
吟子「今度はちゃんと準備してしてきたんだから!」
花帆「小鈴ちゃん!」
小鈴「花帆先輩!?」
264: 2025/02/06(木) 22:43:53 ID:???00
綴理『Crimson lotus』🔥
吟子『Reflection in the mirror』ピカッ!🔥
ドーン!🔥🔥🔥
綴理「魔術を反射するのか、厄介だね。なら」
綴理『DEEP――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼぼっ...」。o○
綴理(またこれだ、まるで水の中に落ちたみたい...詠唱ができない)
梢「はっ!!」ドン!
綴理「あ、――」サラー…
梢「消えた!?」
吟子「分身だよ。多分、本体はここには居ない。アーチャーの気配もないから」
吟子『Reflection in the mirror』ピカッ!🔥
ドーン!🔥🔥🔥
綴理「魔術を反射するのか、厄介だね。なら」
綴理『DEEP――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼぼっ...」。o○
綴理(またこれだ、まるで水の中に落ちたみたい...詠唱ができない)
梢「はっ!!」ドン!
綴理「あ、――」サラー…
梢「消えた!?」
吟子「分身だよ。多分、本体はここには居ない。アーチャーの気配もないから」
265: 2025/02/06(木) 22:45:20 ID:???00
小鈴「花帆先輩!めぐちゃんと姫芽ちゃんが!」
慈「う...ルリ、ちゃん...」グタ
姫芽「...」
姫芽(アタシはもうだめだ。さっきの戦いで無理をしすぎた。でも、せめて...)
姫芽(再会できたこの2人には、ずっと――)
姫芽「令...呪を...もっ...」
花帆「!!酷いやけど!『フラワー』!」🌸
慈「う、...ふぅ...」スースー
姫芽「ラン...サー......めぐ...」
慈「う...ルリ、ちゃん...」グタ
姫芽「...」
姫芽(アタシはもうだめだ。さっきの戦いで無理をしすぎた。でも、せめて...)
姫芽(再会できたこの2人には、ずっと――)
姫芽「令...呪を...もっ...」
花帆「!!酷いやけど!『フラワー』!」🌸
慈「う、...ふぅ...」スースー
姫芽「ラン...サー......めぐ...」
266: 2025/02/06(木) 22:47:05 ID:???00
花帆「こっちの人はもう大丈夫!次...!?」
姫芽「 」
花帆「っ!『フラワー』!」🌸
姫芽「 」
花帆「『フラワー』『フラワー』『フラワー』!!!」🌸
姫芽「 」
花帆「フラ...」
吟子「花帆...その子はもう...」
花帆「ごめん...なさい...」
小鈴「そ、そんな...」
姫芽「 」
花帆「っ!『フラワー』!」🌸
姫芽「 」
花帆「『フラワー』『フラワー』『フラワー』!!!」🌸
姫芽「 」
花帆「フラ...」
吟子「花帆...その子はもう...」
花帆「ごめん...なさい...」
小鈴「そ、そんな...」
267: 2025/02/06(木) 22:48:56 ID:???00
小鈴「姫芽ちゃん...」
――――――
姫芽『小鈴ちゃんおはよ~』
姫芽『小鈴ちゃん~次移動教室だよ?急ごう~』
姫芽『そういうことさらっと言っちゃから小鈴ちゃんは人たらしなんだぞ....』
姫芽『うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?』///
――――――
小鈴「う...う...」
小鈴「――――――!!!!」
姫芽ちゃんが氏んだ。
長いピンクの髪が地面に広がり、まるで大きな蓮の花みたいだった。
その顔は徒町がよく知る、優しくて明るい、いつもの姫芽ちゃんの顔だった。
――――――
姫芽『小鈴ちゃんおはよ~』
姫芽『小鈴ちゃん~次移動教室だよ?急ごう~』
姫芽『そういうことさらっと言っちゃから小鈴ちゃんは人たらしなんだぞ....』
姫芽『うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?』///
――――――
小鈴「う...う...」
小鈴「――――――!!!!」
姫芽ちゃんが氏んだ。
長いピンクの髪が地面に広がり、まるで大きな蓮の花みたいだった。
その顔は徒町がよく知る、優しくて明るい、いつもの姫芽ちゃんの顔だった。
268: 2025/02/06(木) 22:51:21 ID:???00
姫芽ちゃんの体は、理事長が持っていった。
聖杯戦争でなくなったマスターはしかるべき弔いをされるという。
しかし、徒町たちは立ち会わせてはもらえなかった。
ランサーはいつの間にかいなくなっていた。
おそらくマスターが氏んだことで魔力供給が切れ、消えてしまったのだろう。
小鈴「あ――月――」
見上げると今夜は満月だった。
『スノームーン』月が地球から最も遠い位置にある日。
もう会えない距離に引き裂かれた徒町たちを、小さな月が冷たく照らしていた。
――――――
聖杯戦争でなくなったマスターはしかるべき弔いをされるという。
しかし、徒町たちは立ち会わせてはもらえなかった。
ランサーはいつの間にかいなくなっていた。
おそらくマスターが氏んだことで魔力供給が切れ、消えてしまったのだろう。
小鈴「あ――月――」
見上げると今夜は満月だった。
『スノームーン』月が地球から最も遠い位置にある日。
もう会えない距離に引き裂かれた徒町たちを、小さな月が冷たく照らしていた。
――――――
269: 2025/02/06(木) 22:53:50 ID:???00
[ Interlude in ]
ライダー「主...様......」キラキラ…
ライダーが光の粒子になって消えていく。
敗北したサーヴァントは、純粋な魔力となって聖杯に注がれる。
全てのサーヴァントが消滅して聖杯が魔力で満杯になった時、聖杯は顕現する。
綴理「しばらく姿を見せていないと思ったら、こそこそ監視してたのはライダーだったんだね」
さやか「はい、最後までマスターを吐かなかったのは見上げた忠義でしたが」
ライダーはアーチャーの矢で壁に張り付けにされ、あらゆる拷問を受けた。
だが、マスターの名前だけは決して言うことはなかった。
ライダー「主...様......」キラキラ…
ライダーが光の粒子になって消えていく。
敗北したサーヴァントは、純粋な魔力となって聖杯に注がれる。
全てのサーヴァントが消滅して聖杯が魔力で満杯になった時、聖杯は顕現する。
綴理「しばらく姿を見せていないと思ったら、こそこそ監視してたのはライダーだったんだね」
さやか「はい、最後までマスターを吐かなかったのは見上げた忠義でしたが」
ライダーはアーチャーの矢で壁に張り付けにされ、あらゆる拷問を受けた。
だが、マスターの名前だけは決して言うことはなかった。
270: 2025/02/06(木) 22:57:24 ID:???00
綴理「別にいいよ。サーヴァントを失ったマスターに興味はない」
さやか「そうですね」
綴理「あ、あっちのぼくがやられた」
さやか「バーサーカーとランサーは」
綴理「ランサーはマスターと一緒に頃した。バーサーカーは生きてる。キャスターに邪魔をされた」
さやか「そうですか」
綴理「それにしても、また四つ巴...前回と比べて、役者も何も変わってない。ほんと――」
綴理「“つまらない展開だ”」
さやか「...」
さやか「そうですね」
綴理「あ、あっちのぼくがやられた」
さやか「バーサーカーとランサーは」
綴理「ランサーはマスターと一緒に頃した。バーサーカーは生きてる。キャスターに邪魔をされた」
さやか「そうですか」
綴理「それにしても、また四つ巴...前回と比べて、役者も何も変わってない。ほんと――」
綴理「“つまらない展開だ”」
さやか「...」
271: 2025/02/06(木) 22:58:37 ID:???00
さやか「徒町小鈴はまだ生きていますか?」
綴理「生きてるよ。バーサーカーのマスターが気になるの?」
さやか「はい...マスター、お願いがあるのですが」
さやか「明日、お暇をもらえませんか」
綴理「?どうして」
さやか「確かめたいことがあります。そのために、徒町小鈴と接触したいんです」
綴理「生きてるよ。バーサーカーのマスターが気になるの?」
さやか「はい...マスター、お願いがあるのですが」
さやか「明日、お暇をもらえませんか」
綴理「?どうして」
さやか「確かめたいことがあります。そのために、徒町小鈴と接触したいんです」
272: 2025/02/06(木) 23:00:10 ID:???00
綴理「ふーん。いいよ」
さやか「わたしが裏切るとは考えないのですか?」
綴理「別に...裏切られても令呪があるから」
さやか「そうですか...安心してください。マスターを裏切ったりはしませんから」
綴理「うん。わかった」
さやか(徒町小鈴。この聖杯戦争を勝ち残るというなら、わたしがあなたを殺さないと)
さやか(それがわたしの使命だから)
[ Interlude out ]
さやか「わたしが裏切るとは考えないのですか?」
綴理「別に...裏切られても令呪があるから」
さやか「そうですか...安心してください。マスターを裏切ったりはしませんから」
綴理「うん。わかった」
さやか(徒町小鈴。この聖杯戦争を勝ち残るというなら、わたしがあなたを殺さないと)
さやか(それがわたしの使命だから)
[ Interlude out ]
275: 2025/02/07(金) 20:31:10 ID:???00
【2月7日】
夢を見る。
エリ「こずえちゃん!羽子板もってきたの!やろう!」
梢「羽子板?お正月でもないのに?」
エリ「いいの!やりたかったから!」
2人の少女は楽しそうに羽子板をする。
エリ「こずえちゃん!女学生って知ってる?」カン
梢「じょがくせい?なにそれ?」カン
エリ「かわいいせいふくを着て、みんなで一緒に生活するの!」カン
梢「え!家族でもないのに一緒に生活をするの!?」カン
エリ「そうなの!それで学校がお休みの日は一緒に遊びに行ったりするの!」カン
梢「そんなことができるの!?」カン
生まれてから一度も家を出たことのなかった少女にとって、友達と一緒に生活するなど想像もできないことだった。
夢を見る。
エリ「こずえちゃん!羽子板もってきたの!やろう!」
梢「羽子板?お正月でもないのに?」
エリ「いいの!やりたかったから!」
2人の少女は楽しそうに羽子板をする。
エリ「こずえちゃん!女学生って知ってる?」カン
梢「じょがくせい?なにそれ?」カン
エリ「かわいいせいふくを着て、みんなで一緒に生活するの!」カン
梢「え!家族でもないのに一緒に生活をするの!?」カン
エリ「そうなの!それで学校がお休みの日は一緒に遊びに行ったりするの!」カン
梢「そんなことができるの!?」カン
生まれてから一度も家を出たことのなかった少女にとって、友達と一緒に生活するなど想像もできないことだった。
276: 2025/02/07(金) 20:32:20 ID:???00
エリ「ねえ、こずえちゃん!大きくなったら一緒に女学校にいきましょう!」
エリ「それで1日中一緒にいるの!」カン
梢「い、行くわ!私、じょがくせいになりたい!!」カーン!
ガサッ
エリ「あ、羽...木に引っかかっちゃった」
梢「ご、ごめんなさい!力が入りすぎちゃって...」
エリ「あたし木登りとくいだから取ってきてあげる!」
梢「あぶないわよ!落ちてけがでもしたら...」
エリ「大丈夫だよ!おいしょ、おいしょ...うわっ!」ツル
梢「エリ!!」
エリ「それで1日中一緒にいるの!」カン
梢「い、行くわ!私、じょがくせいになりたい!!」カーン!
ガサッ
エリ「あ、羽...木に引っかかっちゃった」
梢「ご、ごめんなさい!力が入りすぎちゃって...」
エリ「あたし木登りとくいだから取ってきてあげる!」
梢「あぶないわよ!落ちてけがでもしたら...」
エリ「大丈夫だよ!おいしょ、おいしょ...うわっ!」ツル
梢「エリ!!」
277: 2025/02/07(金) 20:33:29 ID:???00
お絹「危ない!!!」ドシン!
落ちる寸前でエリをお絹さんが受け止める。
だがお絹さんはエリを受け止めるときに腕を怪我してしまった。
お絹さんの腕から真っ赤な血――血、血、血、血、血、血血血血血血血血血ちちちちちちちちちちちちがががががが――
エリ「ごめんなさいお絹さん!まあ血が出てるわ!」
エリ「こずえちゃん早く救急箱を...こずえちゃん?」
お絹「あ、ああああああ!いけません!お嬢様!どうか落ち着い――」
落ちる寸前でエリをお絹さんが受け止める。
だがお絹さんはエリを受け止めるときに腕を怪我してしまった。
お絹さんの腕から真っ赤な血――血、血、血、血、血、血血血血血血血血血ちちちちちちちちちちちちがががががが――
エリ「ごめんなさいお絹さん!まあ血が出てるわ!」
エリ「こずえちゃん早く救急箱を...こずえちゃん?」
お絹「あ、ああああああ!いけません!お嬢様!どうか落ち着い――」
278: 2025/02/07(金) 20:34:16 ID:???00
――――――
279: 2025/02/07(金) 20:35:58 ID:???00
梢「え"?」
エリ「ひいっ...!」
梢「エ"リ"ち"ゃ"ん"」
エリ「来ないで!!化け物!!!!」
梢「な"ん"で"、あ"れ"、お"き"ぬ"さ"ん"?」
お絹さんはどこにもいなかった。
ただ、目の前には胴を真っ二つに引き裂かれ、腕や足がバラバラになったモノが転がっていた。
でも頭はどこに?
エリ「ひいっ...!」
梢「エ"リ"ち"ゃ"ん"」
エリ「来ないで!!化け物!!!!」
梢「な"ん"で"、あ"れ"、お"き"ぬ"さ"ん"?」
お絹さんはどこにもいなかった。
ただ、目の前には胴を真っ二つに引き裂かれ、腕や足がバラバラになったモノが転がっていた。
でも頭はどこに?
280: 2025/02/07(金) 20:37:44 ID:???00
梢「け"ま"り"?」
おかしいわ。いつの間に蹴鞠なんて持ってきたのかしら?
しかもこんな毛むくじゃらで、おびえた人の顔のような――
エリ「きゃあああああああああ!!!」
エリ「だれか!だれか助けて!!!」
「何事だ!」
「これは...!」
「なんてこと...」
「て、手当を!」
「もう氏んでいるに決まってるだろう!!」
「梢を捕まえろ!手荒になってもかまわん!」
お父様。痛いわ。やめて、なんでそんな風につかむの?
なんでそんな目で見るの?
おかしいわ。いつの間に蹴鞠なんて持ってきたのかしら?
しかもこんな毛むくじゃらで、おびえた人の顔のような――
エリ「きゃあああああああああ!!!」
エリ「だれか!だれか助けて!!!」
「何事だ!」
「これは...!」
「なんてこと...」
「て、手当を!」
「もう氏んでいるに決まってるだろう!!」
「梢を捕まえろ!手荒になってもかまわん!」
お父様。痛いわ。やめて、なんでそんな風につかむの?
なんでそんな目で見るの?
281: 2025/02/07(金) 20:40:07 ID:???00
ガチャン!!
梢「お"と"う"さ"ま"...」
「なんて醜い姿なの!」
「まさに伝承通りの姿だな...」
「これからどうするのです?」
「しばらくこの地下牢に閉じ込めておく」
「一緒にいた娘は?」
「我々が“猿鬼”の末裔だと知れたら終わりだ」
「野犬にでも食わせて道端に捨てておけ」
梢「な"ん"で"...」
皆が言っていることが理解できない。
私はどうしてこんなところに閉じ込められているの?
お絹さんは、エリはどこにいるの?
どうして――――口の中で血の味がするの?
――――――
梢「お"と"う"さ"ま"...」
「なんて醜い姿なの!」
「まさに伝承通りの姿だな...」
「これからどうするのです?」
「しばらくこの地下牢に閉じ込めておく」
「一緒にいた娘は?」
「我々が“猿鬼”の末裔だと知れたら終わりだ」
「野犬にでも食わせて道端に捨てておけ」
梢「な"ん"で"...」
皆が言っていることが理解できない。
私はどうしてこんなところに閉じ込められているの?
お絹さんは、エリはどこにいるの?
どうして――――口の中で血の味がするの?
――――――
282: 2025/02/07(金) 20:41:36 ID:???00
キーンコーンカーンコーン
担任「みんなおはよう。今日は...“欠席者はいないな”」
小鈴「っ...」グッ…
姫芽ちゃんが教室にいないことに気が付いているのは徒町だけだった。
いや、正確に言うなら姫芽ちゃんを覚えているのは徒町だけだった。
姫芽ちゃんの席が空席でも、誰も気に留めようとしない。
まるで最初からずっと空席だったかのように。
姫芽ちゃんの魂は聖杯によってこの蓮ノ空に捕らわれている。
このままではあの世で家族に再会することもできないだろう。
姫芽ちゃんを正しく弔うためには、聖杯から魂を解放する他ない。
担任「みんなおはよう。今日は...“欠席者はいないな”」
小鈴「っ...」グッ…
姫芽ちゃんが教室にいないことに気が付いているのは徒町だけだった。
いや、正確に言うなら姫芽ちゃんを覚えているのは徒町だけだった。
姫芽ちゃんの席が空席でも、誰も気に留めようとしない。
まるで最初からずっと空席だったかのように。
姫芽ちゃんの魂は聖杯によってこの蓮ノ空に捕らわれている。
このままではあの世で家族に再会することもできないだろう。
姫芽ちゃんを正しく弔うためには、聖杯から魂を解放する他ない。
283: 2025/02/07(金) 20:42:43 ID:???00
キーンコーンカーンコーン
授業なんてこれっぽっちも頭に入らないまま、いつの間にか放課後になっていた。
そうだ、徒町には花帆先輩に話さなければならないことがあったんだ。
コンコンコン
小鈴「花帆先輩。徒町です」
ガチャ
花帆「小鈴ちゃん...入って」
小鈴「お邪魔します」
授業なんてこれっぽっちも頭に入らないまま、いつの間にか放課後になっていた。
そうだ、徒町には花帆先輩に話さなければならないことがあったんだ。
コンコンコン
小鈴「花帆先輩。徒町です」
ガチャ
花帆「小鈴ちゃん...入って」
小鈴「お邪魔します」
284: 2025/02/07(金) 20:43:53 ID:???00
花帆「その、小鈴ちゃん大丈夫?」
小鈴「大丈夫では...ないです」
花帆「そ、そうだよね。大切な友達が亡くなったんだもん...」
花帆「無神経なこと聞いてごめんね...」
小鈴「いえ、お気になさらず。それで今日は、皆さんに話したいことがあって来ました」
吟子「皆さんって、私も含めてってこと?」
小鈴「はい。あとバーサーカーも」
梢「...」
花帆「話って?」
小鈴「少し、自分語りをさせてください」
小鈴「大丈夫では...ないです」
花帆「そ、そうだよね。大切な友達が亡くなったんだもん...」
花帆「無神経なこと聞いてごめんね...」
小鈴「いえ、お気になさらず。それで今日は、皆さんに話したいことがあって来ました」
吟子「皆さんって、私も含めてってこと?」
小鈴「はい。あとバーサーカーも」
梢「...」
花帆「話って?」
小鈴「少し、自分語りをさせてください」
285: 2025/02/07(金) 20:45:46 ID:???00
小鈴「...実は徒町は、最初は聖杯で叶えたい願いなんてありませんでした。いえ、今もありません。」
小鈴「徒町は昔から何をやっても上手くいかなくて、家族からも小鈴は何もしなくていいんだよって言われてきました」
小鈴「そんな扱いに反発して、徒町だって一人でできるって証明するために蓮ノ空に入学してきたんです」
小鈴「でも、蓮ノ空は色々な芸術分野に秀でた生徒ばかりで...」
小鈴「一般入試で入ってきた徒町なんかが1番になれるものなんて、一つもありませんでした」
小鈴「だから毎日、チャレンジだって言って、湖の横断とか、木登りとかに挑戦していたんです」
小鈴「別に、それができたからって何にもならないことはわかっていました」
小鈴「誰にも誇れることじゃないことは、わかっていました...」
小鈴「徒町は昔から何をやっても上手くいかなくて、家族からも小鈴は何もしなくていいんだよって言われてきました」
小鈴「そんな扱いに反発して、徒町だって一人でできるって証明するために蓮ノ空に入学してきたんです」
小鈴「でも、蓮ノ空は色々な芸術分野に秀でた生徒ばかりで...」
小鈴「一般入試で入ってきた徒町なんかが1番になれるものなんて、一つもありませんでした」
小鈴「だから毎日、チャレンジだって言って、湖の横断とか、木登りとかに挑戦していたんです」
小鈴「別に、それができたからって何にもならないことはわかっていました」
小鈴「誰にも誇れることじゃないことは、わかっていました...」
286: 2025/02/07(金) 20:47:18 ID:???00
小鈴「それでも、徒町は何者かになりたかった」
小鈴「誰にも誇れなくても、自分に誇れる自分になりたかった」
小鈴「チャレンジを成功させた先に欲しいものがあったわけじゃなくて...成功できたっていう自信が欲しかったんです!」
小鈴「でもやっぱり徒町はダメダメで、一度もチャレンジを成功させることはできませんでした」
小鈴「聖杯戦争も、最初はそんなチャレンジの一つでしかなかったんです」
小鈴「聖杯が欲しいんじゃなくて、ただ聖杯戦争の勝者の称号が欲しかっただけで...」
小鈴「だから、花帆先輩の命がかかってるって聞いて、徒町はこの戦いから身を引こうと思ったんです」
小鈴「誰にも誇れなくても、自分に誇れる自分になりたかった」
小鈴「チャレンジを成功させた先に欲しいものがあったわけじゃなくて...成功できたっていう自信が欲しかったんです!」
小鈴「でもやっぱり徒町はダメダメで、一度もチャレンジを成功させることはできませんでした」
小鈴「聖杯戦争も、最初はそんなチャレンジの一つでしかなかったんです」
小鈴「聖杯が欲しいんじゃなくて、ただ聖杯戦争の勝者の称号が欲しかっただけで...」
小鈴「だから、花帆先輩の命がかかってるって聞いて、徒町はこの戦いから身を引こうと思ったんです」
287: 2025/02/07(金) 20:51:44 ID:???00
小鈴「でも!記憶を失って苦しんでるめぐちゃんや、姫芽ちゃんが氏んじゃったのに気が付かない皆を見て...」
小鈴「徒町にも、勝ちたい理由ができました」
小鈴「徒町は、この聖杯戦争が許せない」
小鈴「もうこれ以上犠牲者を出したくない」
小鈴「悲しい思いをする人を、増やしたくない!」
小鈴「大切な人を失ったまま、それに気が付けない人を放っておきたくない!」
小鈴「――徒町は、蓮ノ空に縛られた全ての魂を解放して、この聖杯戦争の歴史を終わらせます!」
小鈴「徒町にも、勝ちたい理由ができました」
小鈴「徒町は、この聖杯戦争が許せない」
小鈴「もうこれ以上犠牲者を出したくない」
小鈴「悲しい思いをする人を、増やしたくない!」
小鈴「大切な人を失ったまま、それに気が付けない人を放っておきたくない!」
小鈴「――徒町は、蓮ノ空に縛られた全ての魂を解放して、この聖杯戦争の歴史を終わらせます!」
288: 2025/02/07(金) 20:57:00 ID:???00
小鈴「皆さんにも叶えたい願いがあることはわかってます!」
小鈴「でも、どうか徒町に協力してもらえませんか!」
吟子「ダメ」
小鈴「っ!」
吟子「当たり前でしょ。私たちは願いを叶えるために戦い、氏しんだ」
吟子「そして氏して尚、こうしてサーヴァントとなって戦っている。それはひとえに、願いを叶えるためだよ」
吟子「それがなに?魂を解放して聖杯戦争を終わらせる?私たちに無念を抱えたままあの世に行けってこと?」
吟子「馬鹿にしないでよ!!小鈴のわがままで私の!花帆の...命を捨てろっていうの!」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「誰かが犠牲になることなんて、私たちはとっくに承知で聖杯戦争に参加したの!」
吟子「何を犠牲にしても!叶えたい願いがあるから命を懸けて戦った!」
吟子「それなのに、その機会を永遠に無くそうだなんて、協力できるはずないでしょ!!」」
小鈴「でも、どうか徒町に協力してもらえませんか!」
吟子「ダメ」
小鈴「っ!」
吟子「当たり前でしょ。私たちは願いを叶えるために戦い、氏しんだ」
吟子「そして氏して尚、こうしてサーヴァントとなって戦っている。それはひとえに、願いを叶えるためだよ」
吟子「それがなに?魂を解放して聖杯戦争を終わらせる?私たちに無念を抱えたままあの世に行けってこと?」
吟子「馬鹿にしないでよ!!小鈴のわがままで私の!花帆の...命を捨てろっていうの!」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「誰かが犠牲になることなんて、私たちはとっくに承知で聖杯戦争に参加したの!」
吟子「何を犠牲にしても!叶えたい願いがあるから命を懸けて戦った!」
吟子「それなのに、その機会を永遠に無くそうだなんて、協力できるはずないでしょ!!」」
289: 2025/02/07(金) 20:58:40 ID:???00
小鈴「...」
花帆「...ごめんね、小鈴ちゃん」
小鈴「花帆先輩...」
吟子「バーサーカーはどうなの?あなたのマスターは聖杯を壊すつもりらしいけど」
梢「私は...」
小鈴「バーサーカー」
梢「...ごめんなさい。今はまだ答えられないわ」
小鈴「...」
吟子「とりあえず、小鈴は聖杯戦争を終わらすことが目的ってことでしょ」
吟子「だったら、同盟は解消だね」
花帆「...ごめんね、小鈴ちゃん」
小鈴「花帆先輩...」
吟子「バーサーカーはどうなの?あなたのマスターは聖杯を壊すつもりらしいけど」
梢「私は...」
小鈴「バーサーカー」
梢「...ごめんなさい。今はまだ答えられないわ」
小鈴「...」
吟子「とりあえず、小鈴は聖杯戦争を終わらすことが目的ってことでしょ」
吟子「だったら、同盟は解消だね」
290: 2025/02/07(金) 21:00:14 ID:???00
小鈴「え?」
吟子「私たちが同盟を結んだのは、あくまで聖杯を求める者同士、障害であるアーチャーを倒すため」
吟子「でも同盟相手が聖杯の破壊を企んでるなんて、とてもじゃないけど信頼できない」
花帆「吟子ちゃん!何も同盟解消までしなくても」
吟子「“信頼できない”これだけで理由は十分でしょ」
花帆「吟子ちゃん」
小鈴「わかりました。今まで、何度も助けていただきありがとうございました」
花帆先輩とキャスターに深くお辞儀をする。
こうなることは予想できていた。
聖杯戦争を終わらせるなんてこと、協力してもらえるはずがない。
吟子「私たちが同盟を結んだのは、あくまで聖杯を求める者同士、障害であるアーチャーを倒すため」
吟子「でも同盟相手が聖杯の破壊を企んでるなんて、とてもじゃないけど信頼できない」
花帆「吟子ちゃん!何も同盟解消までしなくても」
吟子「“信頼できない”これだけで理由は十分でしょ」
花帆「吟子ちゃん」
小鈴「わかりました。今まで、何度も助けていただきありがとうございました」
花帆先輩とキャスターに深くお辞儀をする。
こうなることは予想できていた。
聖杯戦争を終わらせるなんてこと、協力してもらえるはずがない。
291: 2025/02/07(金) 21:01:16 ID:???00
小鈴「行こう、バーサーカー」
花帆「待って、小鈴ちゃん!」
ガチャン
花帆「...吟子ちゃんて意外と子供っぽいよね」
吟子「は?どういうこと」
花帆「昨日あたしの病気のことを聞いたから、あんなにむきになったんでしょ?」
吟子「べ、別に花帆のためじゃないから!私の願いのためだから!」
花帆「はいはい。それで、実際どうするの?」
花帆「バーサーカーいないとアーチャーに勝てないと思うけど?」
花帆「待って、小鈴ちゃん!」
ガチャン
花帆「...吟子ちゃんて意外と子供っぽいよね」
吟子「は?どういうこと」
花帆「昨日あたしの病気のことを聞いたから、あんなにむきになったんでしょ?」
吟子「べ、別に花帆のためじゃないから!私の願いのためだから!」
花帆「はいはい。それで、実際どうするの?」
花帆「バーサーカーいないとアーチャーに勝てないと思うけど?」
292: 2025/02/07(金) 21:03:31 ID:???00
吟子「うっ、それは...」
花帆「まさか、ホントに何も考えずに同盟解消なんて言ったの?」
吟子「......ごめん」
花帆「...」
花帆「ふふっ、ありがとうね吟子ちゃん!」
吟子「なんでお礼?」
花帆「それくらい、あたしの気持ちを想ってくれたってことでしょ?」
吟子「な!?」
吟子「~~~~~///」
花帆「これからもよろしくね!吟子ちゃん!」
吟子「...うん。よろしく、花帆」
――――――
花帆「まさか、ホントに何も考えずに同盟解消なんて言ったの?」
吟子「......ごめん」
花帆「...」
花帆「ふふっ、ありがとうね吟子ちゃん!」
吟子「なんでお礼?」
花帆「それくらい、あたしの気持ちを想ってくれたってことでしょ?」
吟子「な!?」
吟子「~~~~~///」
花帆「これからもよろしくね!吟子ちゃん!」
吟子「...うん。よろしく、花帆」
――――――
293: 2025/02/07(金) 21:07:23 ID:???00
小鈴「あれ?何だろうこれ...」
自分の部屋に帰ると、ドアの下に紙が挟まっていた。
小鈴「手紙?」
――――――
徒町小鈴へ
寮の外で待っています。
――――――
梢「告白...ではないでしょうね」
小鈴「マスターの誰かかな?でも残ってるマスターは...」
梢「花帆さんを除けば、夕霧綴理と、今だ姿を見せないライダーのマスターだけね」
自分の部屋に帰ると、ドアの下に紙が挟まっていた。
小鈴「手紙?」
――――――
徒町小鈴へ
寮の外で待っています。
――――――
梢「告白...ではないでしょうね」
小鈴「マスターの誰かかな?でも残ってるマスターは...」
梢「花帆さんを除けば、夕霧綴理と、今だ姿を見せないライダーのマスターだけね」
294: 2025/02/07(金) 21:09:10 ID:???00
小鈴「行こう」
梢「そうね。小鈴さん、魔術回路は...」
小鈴「大丈夫。開けるよ」
魔術回路を開くスイッチはもう見つけた。
徒町にとって戦うことのイメージは『刀』だった。
昔、おじいちゃんから薩摩武士の話を聞かされたからなのかもしれない。
背骨に刀が刺さっていて、それを抜くと隙間に魔力が通り、魔術回路が起動する。
柄に手をかけたまま、階段を降りて寮を出る。
梢「そうね。小鈴さん、魔術回路は...」
小鈴「大丈夫。開けるよ」
魔術回路を開くスイッチはもう見つけた。
徒町にとって戦うことのイメージは『刀』だった。
昔、おじいちゃんから薩摩武士の話を聞かされたからなのかもしれない。
背骨に刀が刺さっていて、それを抜くと隙間に魔力が通り、魔術回路が起動する。
柄に手をかけたまま、階段を降りて寮を出る。
295: 2025/02/07(金) 21:11:22 ID:???00
梢「!アーチャー...」
アーチャーはこちらに背を向けたまま、空を見上げていた。
その後ろ姿からは、以前見た冷徹な気配は感じられなかった。
まるで徒町たちと同じ、普通の少女のようだと感じてしまった。
小鈴「...」チラ
アーチャーにつられて上を見る。
昨日とは裏腹に、空は曇って星は見えない。
ついでに無数の氷柱が浮いていることもなかった。
さやか「今夜は曇っていますが、明後日には雲一つない綺麗な夜空が見えます」
さやか「知っていますか?10日の明け方5時頃に、日本の上空を彗星が通過するんです」
さやか「きっと多くの人が見上げて、たくさんの願いをその星は託されるんでしょうね」
さやか「ほら、流れ星には願い事をするものでしょう?」
アーチャーはこちらに背を向けたまま、空を見上げていた。
その後ろ姿からは、以前見た冷徹な気配は感じられなかった。
まるで徒町たちと同じ、普通の少女のようだと感じてしまった。
小鈴「...」チラ
アーチャーにつられて上を見る。
昨日とは裏腹に、空は曇って星は見えない。
ついでに無数の氷柱が浮いていることもなかった。
さやか「今夜は曇っていますが、明後日には雲一つない綺麗な夜空が見えます」
さやか「知っていますか?10日の明け方5時頃に、日本の上空を彗星が通過するんです」
さやか「きっと多くの人が見上げて、たくさんの願いをその星は託されるんでしょうね」
さやか「ほら、流れ星には願い事をするものでしょう?」
296: 2025/02/07(金) 21:16:17 ID:???00
梢「そう、それは楽しみね」
梢「でも残念。あなたはそれを見ることはできないわ。だって――」
梢「ここで消滅するのだから」グッ
バーサーカーが戦闘態勢に入る。
小鈴「夕霧先輩はどこにいるんですか」
さやか「わたし一人です。まあ、マスターのことですから、どこかで監視しているかもしれませんが」
梢「昨日は分身で、今度はサーヴァントに任せて隠れてるなんて。とんだ臆病者ね」
さやか「今日は意思確認をしに来ただけです」
さやか「もっとも、回答次第では戦闘になるかもしれませんが」
小鈴「意思確認?」
梢「でも残念。あなたはそれを見ることはできないわ。だって――」
梢「ここで消滅するのだから」グッ
バーサーカーが戦闘態勢に入る。
小鈴「夕霧先輩はどこにいるんですか」
さやか「わたし一人です。まあ、マスターのことですから、どこかで監視しているかもしれませんが」
梢「昨日は分身で、今度はサーヴァントに任せて隠れてるなんて。とんだ臆病者ね」
さやか「今日は意思確認をしに来ただけです」
さやか「もっとも、回答次第では戦闘になるかもしれませんが」
小鈴「意思確認?」
297: 2025/02/07(金) 21:17:33 ID:???00
さやか「徒町小鈴。あなたは今回の聖杯戦争、戦いから降りるつもりはありませんか?」
小鈴「ありません。徒町には勝ちたい理由があるから」
さやか「理由?あなたには願いなんてないはずですが...」
小鈴「?確かに、聖杯で叶えたい願いはないです」
小鈴「でも、徒町は聖杯に捕らわれた魂を解放したい!そのために、聖杯戦争の勝者になります!」
さやか「それが、かえって多くの人を不幸にするとしても、ですか?」
小鈴「え?」
小鈴(花帆先輩みたいな願いを持った人達のことかな。それでも――)
小鈴「それでも、徒町はこれ以上聖杯戦争の犠牲者を出さないと決めたんです」
小鈴「例えそれが、誰かの願いを打ち砕くことになっても!」
小鈴「ありません。徒町には勝ちたい理由があるから」
さやか「理由?あなたには願いなんてないはずですが...」
小鈴「?確かに、聖杯で叶えたい願いはないです」
小鈴「でも、徒町は聖杯に捕らわれた魂を解放したい!そのために、聖杯戦争の勝者になります!」
さやか「それが、かえって多くの人を不幸にするとしても、ですか?」
小鈴「え?」
小鈴(花帆先輩みたいな願いを持った人達のことかな。それでも――)
小鈴「それでも、徒町はこれ以上聖杯戦争の犠牲者を出さないと決めたんです」
小鈴「例えそれが、誰かの願いを打ち砕くことになっても!」
298: 2025/02/07(金) 21:19:13 ID:???00
さやか「そう、ですか...」シュン
アーチャーは一瞬、とても悲しそうな顔をした気がした。
さやか「なら、そうなる前に、わたしがあなたを頃します。徒町小鈴」ギロ
梢「ふっ!」バッ!
その言葉を聞くやいなや、バーサーカーはアーチャーに突撃する。
バーサーカーは今まで以上の気迫で拳を振るう。
が――
梢「ごふっ!」
アーチャーは拳を最小限の動きで避けると、そのままカウンターで腹に拳をめり込ませる。
アーチャーは一瞬、とても悲しそうな顔をした気がした。
さやか「なら、そうなる前に、わたしがあなたを頃します。徒町小鈴」ギロ
梢「ふっ!」バッ!
その言葉を聞くやいなや、バーサーカーはアーチャーに突撃する。
バーサーカーは今まで以上の気迫で拳を振るう。
が――
梢「ごふっ!」
アーチャーは拳を最小限の動きで避けると、そのままカウンターで腹に拳をめり込ませる。
299: 2025/02/07(金) 21:21:06 ID:???00
さやか「力任せでは勝てないと学ばなかったのですか?」
梢「いえ...近づくことが目的よ!」
ガシッ
バーサーカーはアーチャーの腕を掴むと、強引に引っ張り体を地面に叩きつけた。
梢「ふん!!」
さやか「がはっ!」ドサ
梢「力任せの攻撃は効かないんじゃなかったかしら!!」ブン!
まるでタオルでも振り回すようにアーチャーを何度も地面に叩きつける。
さやか「ぐっ...!いいんですか?わたしにばかり構っていて...今です!マスター!!」
梢「っ!小鈴さん!?」
梢「いえ...近づくことが目的よ!」
ガシッ
バーサーカーはアーチャーの腕を掴むと、強引に引っ張り体を地面に叩きつけた。
梢「ふん!!」
さやか「がはっ!」ドサ
梢「力任せの攻撃は効かないんじゃなかったかしら!!」ブン!
まるでタオルでも振り回すようにアーチャーを何度も地面に叩きつける。
さやか「ぐっ...!いいんですか?わたしにばかり構っていて...今です!マスター!!」
梢「っ!小鈴さん!?」
300: 2025/02/07(金) 21:22:36 ID:???00
小鈴「へ?」
さやか「はっ!」ガッ!
梢「きゃ!」バタン
アーチャーは脚を蹴り払うと、掴まれた腕を起点にしてあっという間に組み伏せる。
梢「姑息な手を!」ギロ
さやか「簡単に騙される方が悪いんです」カチカチ❄↣
梢「!」
小鈴「『強化』!」バチバチ⚡
脚を強化してアーチャーに飛び蹴りをする。
小鈴「たぁぁぁ!!」
さやか「...」ヒョイ
さやか「はっ!」ガッ!
梢「きゃ!」バタン
アーチャーは脚を蹴り払うと、掴まれた腕を起点にしてあっという間に組み伏せる。
梢「姑息な手を!」ギロ
さやか「簡単に騙される方が悪いんです」カチカチ❄↣
梢「!」
小鈴「『強化』!」バチバチ⚡
脚を強化してアーチャーに飛び蹴りをする。
小鈴「たぁぁぁ!!」
さやか「...」ヒョイ
301: 2025/02/07(金) 21:23:57 ID:???00
後ろから飛び込んできた徒町を、アーチャーはノールックで避ける。
ついでに肘で顔面を殴打してきた。
小鈴「かはっ!」バタン
さやか「せっかく氏角から攻撃できるのに、大声を出してどうするんですか」ヒュン❄↣
小鈴「!!」
梢「はっ!」パリン
小鈴「バーサーカー!」
梢「助かったわ!でもあまり前には出ないで!ランサーとは格が違うわよ!」
小鈴「わかった!」
バーサーカーが立て直したのを確認して後ろに下がる。
ついでに肘で顔面を殴打してきた。
小鈴「かはっ!」バタン
さやか「せっかく氏角から攻撃できるのに、大声を出してどうするんですか」ヒュン❄↣
小鈴「!!」
梢「はっ!」パリン
小鈴「バーサーカー!」
梢「助かったわ!でもあまり前には出ないで!ランサーとは格が違うわよ!」
小鈴「わかった!」
バーサーカーが立て直したのを確認して後ろに下がる。
302: 2025/02/07(金) 21:25:51 ID:???00
さやか「...」カチカチ❄↣
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「はっ!はっ!」パリン!パリン!
梢(氷の矢の強度はそこまで高くない!拳に魔力を集中させれば砕ける!)
バーサーカーは放たれる矢を拳で砕きながらアーチャーに近づいていく。
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「くっ!数が多い!」パリン!パリン!
梢(全部は捌ききれない...いくつかは避けないと!)
梢「ふっ」スカッ
グサッ!
小鈴「い"っ"!」
梢「え?小鈴さん!」
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「はっ!はっ!」パリン!パリン!
梢(氷の矢の強度はそこまで高くない!拳に魔力を集中させれば砕ける!)
バーサーカーは放たれる矢を拳で砕きながらアーチャーに近づいていく。
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「くっ!数が多い!」パリン!パリン!
梢(全部は捌ききれない...いくつかは避けないと!)
梢「ふっ」スカッ
グサッ!
小鈴「い"っ"!」
梢「え?小鈴さん!」
303: 2025/02/07(金) 21:26:59 ID:???00
さやか「射線に入るなと教えなかったんですか?」カチカチ❄↣
小鈴「ごめん!徒町は大丈夫だからアーチャーに集中して!」
小鈴(失敗した!真後ろは危ないって教わってたのに!)
アーチャーから目を逸らさずに物陰に移動する。
ポタ...ポタ...ポタ...
矢がかすった左腕から血が滴る。
痛いけど、前に体中に氷柱が刺さった時と比べれば大した痛みじゃない。
梢「っ!」ドクン
梢(だめよ!抑えなさい乙宗梢!)
ヒュン❄↣ グサッ!
梢「うっ...!」
小鈴「ごめん!徒町は大丈夫だからアーチャーに集中して!」
小鈴(失敗した!真後ろは危ないって教わってたのに!)
アーチャーから目を逸らさずに物陰に移動する。
ポタ...ポタ...ポタ...
矢がかすった左腕から血が滴る。
痛いけど、前に体中に氷柱が刺さった時と比べれば大した痛みじゃない。
梢「っ!」ドクン
梢(だめよ!抑えなさい乙宗梢!)
ヒュン❄↣ グサッ!
梢「うっ...!」
304: 2025/02/07(金) 21:29:37 ID:???00
さやか「戦場で呆けるなんて、マスターが負傷したのがそんなにショックですか?」カチカチ❄↣
梢「うるさい!!」バッ
ヒュン❄↣
梢「はっ!」パリン
とうとうバーサーカーの間合いまで近づいた。
梢(とった!!)
バーサーカーの拳は今度こそアーチャーの顔面をとらえ――
スパン❄⚔
梢「は?」
いつの間に用意していたのか、拳が届く寸前に氷の剣がバーサーカーの右腕を切り落とす。
梢「~~~っ!」ブシャー!
梢「うるさい!!」バッ
ヒュン❄↣
梢「はっ!」パリン
とうとうバーサーカーの間合いまで近づいた。
梢(とった!!)
バーサーカーの拳は今度こそアーチャーの顔面をとらえ――
スパン❄⚔
梢「は?」
いつの間に用意していたのか、拳が届く寸前に氷の剣がバーサーカーの右腕を切り落とす。
梢「~~~っ!」ブシャー!
305: 2025/02/07(金) 21:31:53 ID:???00
さやか「あらかじめ作っておいたんです」スパン❄⚔
続けて左腕も切り落とす。
梢「まず――」
さやか「はっ!」バシン!
アーチャーがバーサーカーの顔面を蹴り上げる。
梢「ぐっ」バタン
バーサーカーは両腕を切り落とされすぐに起き上がれない。
さやか「これで終わりに――」スッ❄⚔
小鈴「ふん!!!」ドン
さやか「きゃっ!」
今度はアドバイスどおり、気配を消して飛び蹴りを当てる。
続けて左腕も切り落とす。
梢「まず――」
さやか「はっ!」バシン!
アーチャーがバーサーカーの顔面を蹴り上げる。
梢「ぐっ」バタン
バーサーカーは両腕を切り落とされすぐに起き上がれない。
さやか「これで終わりに――」スッ❄⚔
小鈴「ふん!!!」ドン
さやか「きゃっ!」
今度はアドバイスどおり、気配を消して飛び蹴りを当てる。
306: 2025/02/07(金) 21:33:45 ID:???00
小鈴「大丈夫!?バーサーカー!」
ポタ...ポタ...
梢「ええ...私は大丈夫...っ!」ドクン!
小鈴「無理しちゃだめだよ!いったん引こう!あたしが何とか時間を――」
ポタ...ポタ...
梢「あ、ああああああ!ダメ!なんで!?今まで抑えられてたのに!」ドクン!ドクン!
小鈴「バーサーカー?」
ポタ...ポタ...
梢「逃げて!小鈴さん!!!」ビキビキ
さやか「逃がすとでも思って――っ!」ゾワッ
さやか「離れて!!徒町先輩!!」
ポタ...ポタ...
梢「ええ...私は大丈夫...っ!」ドクン!
小鈴「無理しちゃだめだよ!いったん引こう!あたしが何とか時間を――」
ポタ...ポタ...
梢「あ、ああああああ!ダメ!なんで!?今まで抑えられてたのに!」ドクン!ドクン!
小鈴「バーサーカー?」
ポタ...ポタ...
梢「逃げて!小鈴さん!!!」ビキビキ
さやか「逃がすとでも思って――っ!」ゾワッ
さやか「離れて!!徒町先輩!!」
307: 2025/02/07(金) 21:35:55 ID:???00
小鈴「え?――ごぶっ!!!」ドン!
突如、ものすごい力で下から突き飛ばされた。
小鈴「がっ!」ゴロゴロゴロ
梢?「は"ぁ"...は"ぁ"...は"ぁ"...」ビキビキビキ…
小鈴「げほっ!げほっ!...バーサーカー...?」
梢?「は"ぁ"...■■■■■■■■!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
さやか「くっ!」
バーサーカーは額から1本の角のようなものを生やしていた。
犬歯は狼のように長く伸び、深緑色の目は黄色く変わり、髪は真っ黒に変色している。
突如、ものすごい力で下から突き飛ばされた。
小鈴「がっ!」ゴロゴロゴロ
梢?「は"ぁ"...は"ぁ"...は"ぁ"...」ビキビキビキ…
小鈴「げほっ!げほっ!...バーサーカー...?」
梢?「は"ぁ"...■■■■■■■■!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
さやか「くっ!」
バーサーカーは額から1本の角のようなものを生やしていた。
犬歯は狼のように長く伸び、深緑色の目は黄色く変わり、髪は真っ黒に変色している。
308: 2025/02/07(金) 21:38:43 ID:???00
小鈴「バーサーカー...?」
切り落とされた両手の断面からは、骨が枝のように伸びていき、その周りを赤い肉がぐじゅぐじゅと覆っていく。
サーヴァントの傷はすぐに治ると言っていたけど、あれがサーヴァントの再生なの?
小鈴「どうしたのバーサーカー!しっかりしてよ!」
さやか「氏にたいんですか!!下がっててください!」ヒュン❄↣
梢?「う"っ!」アグ!
さやか「な!?」
バーサーカーは放たれた矢を口で受け止めると、そのまま?筋み砕いてしまった。
梢?「」ダッ!
さやか「!」ガキン❄⚔
切り落とされた両手の断面からは、骨が枝のように伸びていき、その周りを赤い肉がぐじゅぐじゅと覆っていく。
サーヴァントの傷はすぐに治ると言っていたけど、あれがサーヴァントの再生なの?
小鈴「どうしたのバーサーカー!しっかりしてよ!」
さやか「氏にたいんですか!!下がっててください!」ヒュン❄↣
梢?「う"っ!」アグ!
さやか「な!?」
バーサーカーは放たれた矢を口で受け止めると、そのまま?筋み砕いてしまった。
梢?「」ダッ!
さやか「!」ガキン❄⚔
309: 2025/02/07(金) 21:40:26 ID:???00
梢?「う"う"う"う"!!」グググ
さやか「なんて力!きゃっ!」
ドーン!!!
さやか「がはっ!」ボロ…
競り合いに負けてアーチャーが吹き飛ばされる。
そのまま寮の壁に激突して動かなくなってしまった。
小鈴「やめてよバーサーカー!目を覚まして!」
梢?「■■■!」ダッ
バーサーカーがこちらに向かって飛んでくる。
小鈴「危なっ!」スッ
梢?「■■■!!!!」ガシャーーーーン!
小鈴「!?寮の壁が!」
バーサーカーはそのまま寮に突っ込み、壁を破壊してしまった。
さやか「なんて力!きゃっ!」
ドーン!!!
さやか「がはっ!」ボロ…
競り合いに負けてアーチャーが吹き飛ばされる。
そのまま寮の壁に激突して動かなくなってしまった。
小鈴「やめてよバーサーカー!目を覚まして!」
梢?「■■■!」ダッ
バーサーカーがこちらに向かって飛んでくる。
小鈴「危なっ!」スッ
梢?「■■■!!!!」ガシャーーーーン!
小鈴「!?寮の壁が!」
バーサーカーはそのまま寮に突っ込み、壁を破壊してしまった。
310: 2025/02/07(金) 21:43:27 ID:???00
梢?「う"...う"...」メキメキ…
猿鬼「■■■■■■■■■!!!」
ひときわ大きな遠吠えと共に、世界に闇の帳が降りる。
小鈴(周りの光が...消えた?)
「ギ、ギギギ、ギギ...」ニョキニョキ
「ケケ、ケケケケケ!」ニョキ
小鈴「な!?」
闇の中、地面から這い出るように餓鬼が姿を現す。
小鈴(1匹、2匹、――6匹!何が起きてるの?)
「停電?」
「今の音なに!?」
「地震?」
「何か壊れた!?」
「外で何か起きてるの?」ガラガラ
まずい。生徒たちが気がつきだした!
猿鬼「■■■■■■■■■!!!」
ひときわ大きな遠吠えと共に、世界に闇の帳が降りる。
小鈴(周りの光が...消えた?)
「ギ、ギギギ、ギギ...」ニョキニョキ
「ケケ、ケケケケケ!」ニョキ
小鈴「な!?」
闇の中、地面から這い出るように餓鬼が姿を現す。
小鈴(1匹、2匹、――6匹!何が起きてるの?)
「停電?」
「今の音なに!?」
「地震?」
「何か壊れた!?」
「外で何か起きてるの?」ガラガラ
まずい。生徒たちが気がつきだした!
311: 2025/02/07(金) 21:45:25 ID:???00
餓鬼「ギギー!!」ガシッ
生徒「きゃーーー!!!何!なんなの!」
窓を開けた生徒に餓鬼が飛び掛かる。
幸い鉄格子のおかげで中には入れないが、壊されるのも時間の問題だ。
さやか「はっ!」ドシン
餓鬼「ギ――!?」バタン
餓鬼「ケケ!」
さやか「ふっ」カチカチ❄↣
ヒュン❄↣ パリン!
餓鬼「ケケケケケ!」ニタニタ
生徒「きゃーーー!!!何!なんなの!」
窓を開けた生徒に餓鬼が飛び掛かる。
幸い鉄格子のおかげで中には入れないが、壊されるのも時間の問題だ。
さやか「はっ!」ドシン
餓鬼「ギ――!?」バタン
餓鬼「ケケ!」
さやか「ふっ」カチカチ❄↣
ヒュン❄↣ パリン!
餓鬼「ケケケケケ!」ニタニタ
312: 2025/02/07(金) 21:47:19 ID:???00
さやか「矢が効かない!?なら!」カチカチ❄⚔
さやか「はー!」スパン❄⚔
餓鬼「ゲ!」ブシャー!バタン
さやか「やはり剣なら効きますね。仕方ない、各個撃破を――!?」
猿鬼「■■■!!!」ドガ!
さやか「がはっ!」バタン
餓鬼「ギギギ」
餓鬼「ケケ!」
「なに?外で何か暴れてる!」
「窓を開けるな!熊だ!」
「違う、猿だよ!」
「助けて...」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
さやか「はー!」スパン❄⚔
餓鬼「ゲ!」ブシャー!バタン
さやか「やはり剣なら効きますね。仕方ない、各個撃破を――!?」
猿鬼「■■■!!!」ドガ!
さやか「がはっ!」バタン
餓鬼「ギギギ」
餓鬼「ケケ!」
「なに?外で何か暴れてる!」
「窓を開けるな!熊だ!」
「違う、猿だよ!」
「助けて...」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
313: 2025/02/07(金) 21:48:27 ID:???00
餓鬼たちはアーチャーを無視して寮の壁を這い上がる。
小鈴(あの小さい鬼はアーチャーに任せなきゃだめだ!その為には――)
小鈴「バーサーカー!こっちだ!!」ブン!
コツン
猿鬼「?」
猿鬼「■■■!!!」
石を投げてバーサーカーの気を引く。
そのまま全速力で森の方へ駆ける。
小鈴(バーサーカーをここから遠ざけなきゃ!)
猿鬼「」ビキビキ…
ドン!!!
小鈴(あの小さい鬼はアーチャーに任せなきゃだめだ!その為には――)
小鈴「バーサーカー!こっちだ!!」ブン!
コツン
猿鬼「?」
猿鬼「■■■!!!」
石を投げてバーサーカーの気を引く。
そのまま全速力で森の方へ駆ける。
小鈴(バーサーカーをここから遠ざけなきゃ!)
猿鬼「」ビキビキ…
ドン!!!
314: 2025/02/07(金) 21:49:45 ID:???00
バーサーカーはロケットのような勢いで飛び掛かってくる。
小鈴「!!!」バッ!
咄嗟に横に飛びのく。
ガシャーン!
肉弾はフェンスを破壊して森に飛び込んでいった。
自分もそこから森に入っていく。
小鈴(木の多い森の中なら、弾丸みたいに飛び掛かってくることもできない!)
だが、その考えが甘かった――
シーーン...
小鈴(気配が消えた!?)
殺気だけは痛いほど感じる。
でも、それがどこから向けられているのかわからない。
小鈴「!!!」バッ!
咄嗟に横に飛びのく。
ガシャーン!
肉弾はフェンスを破壊して森に飛び込んでいった。
自分もそこから森に入っていく。
小鈴(木の多い森の中なら、弾丸みたいに飛び掛かってくることもできない!)
だが、その考えが甘かった――
シーーン...
小鈴(気配が消えた!?)
殺気だけは痛いほど感じる。
でも、それがどこから向けられているのかわからない。
315: 2025/02/07(金) 21:51:37 ID:???00
猿鬼「■■■!」ガッ!
小鈴「っ!」バッ
反射的に飛びのいて避ける。
小鈴「ぐっ!」ヨロ
小鈴(失敗した!相手は夜目が効くんだ。これじゃあ一方的に狩られるだけ!)
猿鬼「■■■!」ザクッ
小鈴「!痛っ!」
今度は反応が遅れて背中を切り裂かれた。
小鈴「はあ、はあ」ズキズキ
猿鬼「」バッ
さやか「はっ!」ヒュン❄↣
パリン!
小鈴「っ!」バッ
反射的に飛びのいて避ける。
小鈴「ぐっ!」ヨロ
小鈴(失敗した!相手は夜目が効くんだ。これじゃあ一方的に狩られるだけ!)
猿鬼「■■■!」ザクッ
小鈴「!痛っ!」
今度は反応が遅れて背中を切り裂かれた。
小鈴「はあ、はあ」ズキズキ
猿鬼「」バッ
さやか「はっ!」ヒュン❄↣
パリン!
316: 2025/02/07(金) 21:53:00 ID:???00
猿鬼「!?」サッ…
小鈴「アーチャー!?さっきの奴らは?」
さやか「すべて処理しました。はっ!」スパン❄⚔
猿鬼「!」
パキン!
さやか「ちっ!こっちは剣も効かないんですか!」
小鈴「アーチャー」
さやか「止まらないでください!」
さやか「このまま真っすぐ行くと蓮ノ湖があります!そこまで走って!!」カチカチ❄↣
猿鬼「」ガサガサ…
さやか「そこ!」ヒュン❄↣
猿鬼「■■!!」バキン!
小鈴「アーチャー!?さっきの奴らは?」
さやか「すべて処理しました。はっ!」スパン❄⚔
猿鬼「!」
パキン!
さやか「ちっ!こっちは剣も効かないんですか!」
小鈴「アーチャー」
さやか「止まらないでください!」
さやか「このまま真っすぐ行くと蓮ノ湖があります!そこまで走って!!」カチカチ❄↣
猿鬼「」ガサガサ…
さやか「そこ!」ヒュン❄↣
猿鬼「■■!!」バキン!
317: 2025/02/07(金) 21:54:18 ID:???00
微かな光を目指して真っ直ぐ走る。
ドゴーン!ドゴーン!
後ろではいったい何が起きているのか...
重いものがぶつかる音と、木が倒れる音が聞こえてくる。
小鈴「はあ、はあ...見えた!蓮ノ湖――」
ドガーーン!!
さやか「ぐはっ!!」バタン!ゴロゴロ…
小鈴「アーチャー!」
アーチャーは体中傷だらけで地面に倒れている。
猿鬼「う"ー...う"ー...」
木をなぎ倒しながら来たのか、バーサーカーの後ろは巨大な獣道になっていた。
両手は血だらけだが、瞬く間に傷は再生している。
ドゴーン!ドゴーン!
後ろではいったい何が起きているのか...
重いものがぶつかる音と、木が倒れる音が聞こえてくる。
小鈴「はあ、はあ...見えた!蓮ノ湖――」
ドガーーン!!
さやか「ぐはっ!!」バタン!ゴロゴロ…
小鈴「アーチャー!」
アーチャーは体中傷だらけで地面に倒れている。
猿鬼「う"ー...う"ー...」
木をなぎ倒しながら来たのか、バーサーカーの後ろは巨大な獣道になっていた。
両手は血だらけだが、瞬く間に傷は再生している。
318: 2025/02/07(金) 21:55:47 ID:???00
さやか「どうにか最初の突進を避けてください...その後はわたしが何とかします」
小鈴「わ、わかった!」
両脚の強化を限界まで引き上げる。
猿鬼「」ビキビキ…
小鈴(来る!)
猿鬼「■■!!!」ダンッ!
小鈴「はっ!!」バッ!
バシャーン!
突進をギリギリで避けると、バーサーカーは勢いのまま蓮ノ湖に入っていった。
さやか「宝具『Eisprinzessin』!」❄❄❄
カチン――🧊
瞬間、世界が凍り付く。
小鈴「わ、わかった!」
両脚の強化を限界まで引き上げる。
猿鬼「」ビキビキ…
小鈴(来る!)
猿鬼「■■!!!」ダンッ!
小鈴「はっ!!」バッ!
バシャーン!
突進をギリギリで避けると、バーサーカーは勢いのまま蓮ノ湖に入っていった。
さやか「宝具『Eisprinzessin』!」❄❄❄
カチン――🧊
瞬間、世界が凍り付く。
319: 2025/02/07(金) 21:56:58 ID:???00
まるで時間が止まったかのように、絶対零度の世界であらゆるものが動きを禁止される。
血液までも凍ってしまったかと思った。
だって指先一つ動かすことができないのだから。
猿鬼「う"...う"ぅ...」カチン🧊
バーサーカーは湖ごと氷漬けにされて動けないのか、微かに唸り声をあげながらアーチャーを睨んでいる。
さやか「はあ...はあ...令呪を使ってください」
さやか「今のバーサーカーは、わたしの攻撃も通りません...」
全身の血管に魔力を通し、凍った血液を送り出す。
小鈴「バーサーカー...お願い!『元に戻って』!!」
キィーン!
梢「う...ぁ...」ガクン
血液までも凍ってしまったかと思った。
だって指先一つ動かすことができないのだから。
猿鬼「う"...う"ぅ...」カチン🧊
バーサーカーは湖ごと氷漬けにされて動けないのか、微かに唸り声をあげながらアーチャーを睨んでいる。
さやか「はあ...はあ...令呪を使ってください」
さやか「今のバーサーカーは、わたしの攻撃も通りません...」
全身の血管に魔力を通し、凍った血液を送り出す。
小鈴「バーサーカー...お願い!『元に戻って』!!」
キィーン!
梢「う...ぁ...」ガクン
320: 2025/02/07(金) 21:57:34 ID:???00
バーサーカーの額の角が消えていく。
そのまま力なく頭を垂れて動かなくなった。
小鈴「ありがとう...アーチャー」
さやか「わたしは一般生徒に被害を出したくなかっただけです」
さやか「あなた達のためではありません」
小鈴「それでも、ありがとう」
さやか「マスターが呼んでいます。騒ぎの説明を求められそうですね...」
さやか「あなたもマスターなら、自分のサーヴァントにはちゃんと首輪を着けてください」
さやか「決着はまた今度...近いうちに」スー…
アーチャーはそう言うと消えてしまった。
そのまま力なく頭を垂れて動かなくなった。
小鈴「ありがとう...アーチャー」
さやか「わたしは一般生徒に被害を出したくなかっただけです」
さやか「あなた達のためではありません」
小鈴「それでも、ありがとう」
さやか「マスターが呼んでいます。騒ぎの説明を求められそうですね...」
さやか「あなたもマスターなら、自分のサーヴァントにはちゃんと首輪を着けてください」
さやか「決着はまた今度...近いうちに」スー…
アーチャーはそう言うと消えてしまった。
321: 2025/02/07(金) 21:58:38 ID:???00
凍った湖の上を歩いてバーサーカーのもとへ行く。
小鈴「バーサーカー...」
梢「こ...すず、さん...私...」
バーサーカーは傷だらけの徒町を見ると、目から大粒の涙を流した。
梢「ごめん...なさい...ごめんなさい...!」ポロポロ
梢「お願い...私との契約を切って...じゃないと、きっとまた傷つける...!」
小鈴「そんなことしないよ...」
梢「でも...見たのでしょう!私の醜い姿を!!」
梢「理性を失くし、血に飢え、獣のように人を襲う鬼の姿を!」
梢「幻滅したわよね...今まで気丈に振舞ってきたけど、私の本性はこんなものよ」
小鈴「バーサーカー...」
梢「こ...すず、さん...私...」
バーサーカーは傷だらけの徒町を見ると、目から大粒の涙を流した。
梢「ごめん...なさい...ごめんなさい...!」ポロポロ
梢「お願い...私との契約を切って...じゃないと、きっとまた傷つける...!」
小鈴「そんなことしないよ...」
梢「でも...見たのでしょう!私の醜い姿を!!」
梢「理性を失くし、血に飢え、獣のように人を襲う鬼の姿を!」
梢「幻滅したわよね...今まで気丈に振舞ってきたけど、私の本性はこんなものよ」
322: 2025/02/07(金) 22:00:18 ID:???00
小鈴「幻滅なんてしないよ。バーサーカーは、今でも徒町の頼れるサーヴァントだよ」
梢「そんなはずないわ!あの姿になったら、お父様でさえ私を蔑むような眼で見て、地下牢に閉じ込めた!」
梢「出会って数日の小鈴さんが平気なわけ...」
小鈴「...ごめんね。徒町、知ってたんだ。バーサーカーが鬼の末裔だってこと」
小鈴「小さいころ、さっきみたいになって人を傷つけたことも」
梢「――え?」
小鈴「バーサーカーを召喚してから、夢を見るようになったんだ」
梢「夢...?」
小鈴「最初は何の夢かわからなかったけど、途中からこれはバーサーカーの過去なんだって気付いた」
小鈴「過去を見られるなんて恥ずかしいと思ったから、あえて言わなかったんだけどね」アハハ…
梢「そんなはずないわ!あの姿になったら、お父様でさえ私を蔑むような眼で見て、地下牢に閉じ込めた!」
梢「出会って数日の小鈴さんが平気なわけ...」
小鈴「...ごめんね。徒町、知ってたんだ。バーサーカーが鬼の末裔だってこと」
小鈴「小さいころ、さっきみたいになって人を傷つけたことも」
梢「――え?」
小鈴「バーサーカーを召喚してから、夢を見るようになったんだ」
梢「夢...?」
小鈴「最初は何の夢かわからなかったけど、途中からこれはバーサーカーの過去なんだって気付いた」
小鈴「過去を見られるなんて恥ずかしいと思ったから、あえて言わなかったんだけどね」アハハ…
323: 2025/02/07(金) 22:01:27 ID:???00
梢「だったら...知っていたのならなんで!」
小鈴「でもね、鬼の末裔だろうと、人を襲おうと関係ない」
小鈴「徒町はバーサーカーを信じるよ」
梢「どう...して...」
小鈴「だって、徒町はバーサーカーの相棒だから!!!」
梢「!」
――――――
『だって、わたしは梢さんの友達ですから!』
――――――
梢(ああ、私はなんて勘違いをしていたの...私が本当に欲しかったものは、とっくに――)
小鈴「でもね、鬼の末裔だろうと、人を襲おうと関係ない」
小鈴「徒町はバーサーカーを信じるよ」
梢「どう...して...」
小鈴「だって、徒町はバーサーカーの相棒だから!!!」
梢「!」
――――――
『だって、わたしは梢さんの友達ですから!』
――――――
梢(ああ、私はなんて勘違いをしていたの...私が本当に欲しかったものは、とっくに――)
324: 2025/02/07(金) 22:03:52 ID:???00
小鈴「バーサーカーの願いは鬼の血を消し去って人間として生きることなんだよね?」
小鈴「怖いよね...爆弾を抱えたまま生きるようなものだもん」
小鈴「きっと徒町だって、バーサーカーの立場ならそう願ったと思う」
小鈴「でも、徒町は悪い子だから、バーサーカーに酷いお願いをするね」
小鈴「バーサーカー、徒町が聖杯戦争を終わらせるのに協力して!」
小鈴「バーサーカーの願いを叶えることはできないのに、自分には協力しろなんて、我儘だってわかってる!」
小鈴「それでも!徒町にはバーサーカーが必要なんだ!!」
梢「...」
梢(まったく、どうして小鈴さんが私を召喚したかわかったわ)
梢(だって私と同じ、とっても頑固で、とっても――)
小鈴「怖いよね...爆弾を抱えたまま生きるようなものだもん」
小鈴「きっと徒町だって、バーサーカーの立場ならそう願ったと思う」
小鈴「でも、徒町は悪い子だから、バーサーカーに酷いお願いをするね」
小鈴「バーサーカー、徒町が聖杯戦争を終わらせるのに協力して!」
小鈴「バーサーカーの願いを叶えることはできないのに、自分には協力しろなんて、我儘だってわかってる!」
小鈴「それでも!徒町にはバーサーカーが必要なんだ!!」
梢「...」
梢(まったく、どうして小鈴さんが私を召喚したかわかったわ)
梢(だって私と同じ、とっても頑固で、とっても――)
325: 2025/02/07(金) 22:05:18 ID:???00
梢「わかったわ。こんな私でよければ、小鈴さんに協力します」
小鈴「いいの!?」
梢「そんなに傷つけられてなお、私の手を取ろうとしてくれる人のお願いを、無碍にすることなんてできないもの...」
小鈴「ありがとう!バーサーカー!」
梢「...それで小鈴さん、私そろそろ凍傷になってしまいそうなのだけれど」
小鈴「あ!ごめん!えっと、この氷どうすればいいの?割る?」
梢「霊体化すれば問題ないけれど...かなり魔力を消費したから、すぐには実体化できないわ」
梢「小鈴さん寮まで自分で帰られる?」
小鈴「大丈夫!寮までの道ならほら!」
後ろにはバーサーカーが切り開いた――折り倒した道ができている。
梢「.........まったく、アーチャーもこんなことをするなんて、環境破壊も甚だしいわね」
小鈴「責任を押し付けた!?」
――――――
小鈴「いいの!?」
梢「そんなに傷つけられてなお、私の手を取ろうとしてくれる人のお願いを、無碍にすることなんてできないもの...」
小鈴「ありがとう!バーサーカー!」
梢「...それで小鈴さん、私そろそろ凍傷になってしまいそうなのだけれど」
小鈴「あ!ごめん!えっと、この氷どうすればいいの?割る?」
梢「霊体化すれば問題ないけれど...かなり魔力を消費したから、すぐには実体化できないわ」
梢「小鈴さん寮まで自分で帰られる?」
小鈴「大丈夫!寮までの道ならほら!」
後ろにはバーサーカーが切り開いた――折り倒した道ができている。
梢「.........まったく、アーチャーもこんなことをするなんて、環境破壊も甚だしいわね」
小鈴「責任を押し付けた!?」
――――――
326: 2025/02/07(金) 22:08:56 ID:???00
[ Interlude in ]
綴理「これはどういうことなの、アーチャー」
さやか「申し訳ありません」
綴理「謝罪が聞きたいんじゃなくて、状況を説明してほしいんだけど」
アーチャーが自由行動をしたいと言うから、部屋で待機していた。
そしたら突然、外で何かが暴れだして寮は軽いパニック状態になった。
そのうえ、令呪を通して宝具を使用したことが伝わってくるし――
やっと帰ってきたと思ったら傷だらけで魔力はすっからかんだ。
さやか「成り行きでバーサーカーと戦闘になったのですが、バーサーカーが暴走状態になり...」
さやか「寮を破壊しかねなかったので、宝具で制圧しました」
綴理「制圧?トドメは刺さなかったの」
さやか「はい...」
綴理「これはどういうことなの、アーチャー」
さやか「申し訳ありません」
綴理「謝罪が聞きたいんじゃなくて、状況を説明してほしいんだけど」
アーチャーが自由行動をしたいと言うから、部屋で待機していた。
そしたら突然、外で何かが暴れだして寮は軽いパニック状態になった。
そのうえ、令呪を通して宝具を使用したことが伝わってくるし――
やっと帰ってきたと思ったら傷だらけで魔力はすっからかんだ。
さやか「成り行きでバーサーカーと戦闘になったのですが、バーサーカーが暴走状態になり...」
さやか「寮を破壊しかねなかったので、宝具で制圧しました」
綴理「制圧?トドメは刺さなかったの」
さやか「はい...」
327: 2025/02/07(金) 22:09:46 ID:???00
綴理「はあ。もういいよ。アーチャー、明日は丸一日ここで待機して魔力を回復させて」
さやか「ですが――」
綴理「これは命令だよ。それとも令呪で無理やりにでも縛っておいたほうが良い?」
さやか「...わかりました。明日は部屋で待機させていただきます」
綴理「うん。まあ、悪いことだけじゃなかった」
綴理「怪我人が出たおかげで日野下花帆の魔術を盗み見ることができたからね」
さやか「キャスターのマスターですか?」
さやか「ですが――」
綴理「これは命令だよ。それとも令呪で無理やりにでも縛っておいたほうが良い?」
さやか「...わかりました。明日は部屋で待機させていただきます」
綴理「うん。まあ、悪いことだけじゃなかった」
綴理「怪我人が出たおかげで日野下花帆の魔術を盗み見ることができたからね」
さやか「キャスターのマスターですか?」
328: 2025/02/07(金) 22:10:22 ID:???00
綴理「不思議だったんだ。前にバーサーカーと戦った時、徒町小鈴は瀕氏の重傷を負ったはず」
綴理「なのに次の日にはピンピンしてたからね」
綴理「いったいどんな治癒魔術かと思ったけど...」
綴理「ふふ、すごいね。本物の“魔法使い”は初めて見たよ」
紅色の瞳が怪しく光る。
その眼は新たな獲物を見つけ、狙いを定める狩人の眼そのものだった。
[ Interlude out ]
綴理「なのに次の日にはピンピンしてたからね」
綴理「いったいどんな治癒魔術かと思ったけど...」
綴理「ふふ、すごいね。本物の“魔法使い”は初めて見たよ」
紅色の瞳が怪しく光る。
その眼は新たな獲物を見つけ、狙いを定める狩人の眼そのものだった。
[ Interlude out ]
329: 2025/02/07(金) 22:12:42 ID:???00
[ Interlude in ]
ライダーが消滅してから丸一日たった。
あの夜、徒町小鈴と藤島慈の戦いを監視させるためにライダーを送った。
しかし、決着がついたであろう頃に突然令呪が消えた。
状況から考えると、おそらくライダーをやったのはアーチャーだろう。
ライダーは自身の願いよりも“聖杯戦争の調査”という私の任務への協力を優先してくれた。
せめて最後にお礼の言葉くらい送りたかったものだ。
だが、ライダーの協力もあってかなりの情報を集めることができた。
その中でも最も大きな成果が今、私の手の中にある。
沙知「やっと見つけた、過去の聖杯戦争の参加者の記録」
ライダーが消滅してから丸一日たった。
あの夜、徒町小鈴と藤島慈の戦いを監視させるためにライダーを送った。
しかし、決着がついたであろう頃に突然令呪が消えた。
状況から考えると、おそらくライダーをやったのはアーチャーだろう。
ライダーは自身の願いよりも“聖杯戦争の調査”という私の任務への協力を優先してくれた。
せめて最後にお礼の言葉くらい送りたかったものだ。
だが、ライダーの協力もあってかなりの情報を集めることができた。
その中でも最も大きな成果が今、私の手の中にある。
沙知「やっと見つけた、過去の聖杯戦争の参加者の記録」
330: 2025/02/07(金) 22:15:39 ID:???00
過去に誰が参加していたかなんて、本来大した情報じゃない。
だか、不自然に隠されていたことと。
そして何より私の直感が、この資料は聖杯戦争の根幹に関わる情報を抱えていると告げていた。
さっそく資料に目を通す。
沙知(これは...!)
沙知(一度聖杯戦争に勝利したマスターが“もう一度参加している”?)
沙知(聖杯で願いを叶えたはずなのに、なぜまた参加する必要があるんだ)
沙知(もしかして、蓮ノ空の聖杯は1つでは十分に機能しないのか...それとも別の理由?)
沙知(前回の勝者が次の聖杯戦争に参加し、新たな勝者がまた次の聖杯戦争に...)
沙知(しかも毎回、まるでリレーだ...)
沙知(前回の勝者だったマスターの名は――)
“夕霧綴理”
[ Interlude out ]
だか、不自然に隠されていたことと。
そして何より私の直感が、この資料は聖杯戦争の根幹に関わる情報を抱えていると告げていた。
さっそく資料に目を通す。
沙知(これは...!)
沙知(一度聖杯戦争に勝利したマスターが“もう一度参加している”?)
沙知(聖杯で願いを叶えたはずなのに、なぜまた参加する必要があるんだ)
沙知(もしかして、蓮ノ空の聖杯は1つでは十分に機能しないのか...それとも別の理由?)
沙知(前回の勝者が次の聖杯戦争に参加し、新たな勝者がまた次の聖杯戦争に...)
沙知(しかも毎回、まるでリレーだ...)
沙知(前回の勝者だったマスターの名は――)
“夕霧綴理”
[ Interlude out ]
335: 2025/02/08(土) 21:52:11 ID:???00
【2月8日】
また、夢を見た。
わたしは病院に送られて入院することになった。
瓦礫が上手いこと屋根になってくれたおかげで、大きな怪我はなく、軽い脱水症だけですんだ。
その為か、1週間くらいの入院で病院から追い出されてしまった。
そんな横暴許されるのかと思ったが、金沢の惨状を見たら納得する他なかった。
ほとんどの家屋は全壊し、病院には絶えず血だらけの人が運び込まれている。
現在わかってる氏者は500人程、行方不明者は20000人に上るという。
この中で何人が既に息絶えているのか...
わたしは怪我人が運び込まれている病院を片っ端から尋ねたが、家族を見つけることはできなかった。
最後にずっと避けていた氏者の報告書を見ると、わたし以外の家族は全員亡くなっていることがわかった。
驚きはしなかった。本当は、そうじゃないかと思ってたから。
それでも、悲しくて涙が溢れてきた。
また、夢を見た。
わたしは病院に送られて入院することになった。
瓦礫が上手いこと屋根になってくれたおかげで、大きな怪我はなく、軽い脱水症だけですんだ。
その為か、1週間くらいの入院で病院から追い出されてしまった。
そんな横暴許されるのかと思ったが、金沢の惨状を見たら納得する他なかった。
ほとんどの家屋は全壊し、病院には絶えず血だらけの人が運び込まれている。
現在わかってる氏者は500人程、行方不明者は20000人に上るという。
この中で何人が既に息絶えているのか...
わたしは怪我人が運び込まれている病院を片っ端から尋ねたが、家族を見つけることはできなかった。
最後にずっと避けていた氏者の報告書を見ると、わたし以外の家族は全員亡くなっていることがわかった。
驚きはしなかった。本当は、そうじゃないかと思ってたから。
それでも、悲しくて涙が溢れてきた。
336: 2025/02/08(土) 21:53:05 ID:???00
さやか(せめて、あの人にお礼が言いたい...)
わたしを瓦礫の中から救い出してくれた女の人。
名前も聞かなかったから、どうやって探せばいいかわからなかった。
でも、何となくあの人は、今も瓦礫の中から誰かを救ってる気がした。
隕石が落ちた近くはもっと凄惨な状況だった。
まるで巨大なミキサーで街を掻き混ぜたかのように、家や、人体の一部、色々な破片がそこら中に散乱していた。
道路の規制はされていない。
そんなことに割ける人員は無いのだろう。
自衛隊だけでなく、動けるものは民間の人含め全員、犠牲者の救助に追われていた。
そんな中で、目当ての人物はすぐに見つかった。
わたしを瓦礫の中から救い出してくれた女の人。
名前も聞かなかったから、どうやって探せばいいかわからなかった。
でも、何となくあの人は、今も瓦礫の中から誰かを救ってる気がした。
隕石が落ちた近くはもっと凄惨な状況だった。
まるで巨大なミキサーで街を掻き混ぜたかのように、家や、人体の一部、色々な破片がそこら中に散乱していた。
道路の規制はされていない。
そんなことに割ける人員は無いのだろう。
自衛隊だけでなく、動けるものは民間の人含め全員、犠牲者の救助に追われていた。
そんな中で、目当ての人物はすぐに見つかった。
337: 2025/02/08(土) 21:53:31 ID:???00
「ちぇすとーー!!」ゴゴゴ
子供「マ...マ...」
女性「みのり!!!」
男性1「嬢ちゃんが持ち上げてるうちに瓦礫を固定しろ!」
男性2「この丸太を噛ませるんだ!」
「もう大丈夫だからね!今助けるから!」
瓦礫に埋まっていた子供は無事救助された。
男性1「ほんと、嬢ちゃんは何者なんだい?」
男性1「大人が数人がかりでも動かせない瓦礫を、軽々持ち上げるなんて...」
徒町「いえ!徒町はちょっと力持ちなだけです!」
「誰かー!こっちにも瓦礫の下敷きになってる人が!」
徒町「!では徒町はこれで!」ダッ
さやか「あ...!」
子供「マ...マ...」
女性「みのり!!!」
男性1「嬢ちゃんが持ち上げてるうちに瓦礫を固定しろ!」
男性2「この丸太を噛ませるんだ!」
「もう大丈夫だからね!今助けるから!」
瓦礫に埋まっていた子供は無事救助された。
男性1「ほんと、嬢ちゃんは何者なんだい?」
男性1「大人が数人がかりでも動かせない瓦礫を、軽々持ち上げるなんて...」
徒町「いえ!徒町はちょっと力持ちなだけです!」
「誰かー!こっちにも瓦礫の下敷きになってる人が!」
徒町「!では徒町はこれで!」ダッ
さやか「あ...!」
338: 2025/02/08(土) 21:55:29 ID:???00
徒町と名乗っていた女の人は、思ったよりもずっと小柄な人だった。
助けてもらった時は、わたしは抱えてもらっていたから、もっと大きな女性だと想像してたけど。
実際はわたしより身長も低く、中学生くらいといった印象だ。
なのに小さな体で巨大な瓦礫を次々と持ち上げては、人々を救い出していた。
さやか「あ、あの!」
徒町「あれ、前に助けた子?」
さやか「その節は、助けていただきありがとうございました!」
徒町「ううん!徒町がやりたくてしてるだけだから、気にしないで!あ...でも君の家族は...」
さやか「家族のことは知ってます...」
さやか「でも、この惨状を見れば、自分だけでも助かったことが奇跡のようなものですから...」
さやか「あとわたしはさやかです。村野さやか」
徒町「そっか、あたしは徒町小鈴だよ!」
さやか「あ、あの!徒町さん!」
徒町「?」
さやか「わたしにも、徒町さんのお手伝いをさせてください!」
徒町「――へ?」
助けてもらった時は、わたしは抱えてもらっていたから、もっと大きな女性だと想像してたけど。
実際はわたしより身長も低く、中学生くらいといった印象だ。
なのに小さな体で巨大な瓦礫を次々と持ち上げては、人々を救い出していた。
さやか「あ、あの!」
徒町「あれ、前に助けた子?」
さやか「その節は、助けていただきありがとうございました!」
徒町「ううん!徒町がやりたくてしてるだけだから、気にしないで!あ...でも君の家族は...」
さやか「家族のことは知ってます...」
さやか「でも、この惨状を見れば、自分だけでも助かったことが奇跡のようなものですから...」
さやか「あとわたしはさやかです。村野さやか」
徒町「そっか、あたしは徒町小鈴だよ!」
さやか「あ、あの!徒町さん!」
徒町「?」
さやか「わたしにも、徒町さんのお手伝いをさせてください!」
徒町「――へ?」
339: 2025/02/08(土) 21:56:05 ID:???00
徒町さんは、2月の時点ではわたしと同い年だった。
学年は1つ上の高校生で、だからわたしは敬意を表して『徒町先輩』と呼ぶことにした。
最初はわたしが徒町先輩のお手伝いをすることを拒まれたけど...
何度も何度もしつこく頼んだため、結局同行を許してくれた。
わたしに帰る家も、家族も居ないことも理由の一つだったのかもしれない。
徒町先輩に力の秘訣を問いただし続け、1ヶ月くらい経った頃、自分が魔術師であることを教えてくれた。
さやか「魔術...そんなものが」
徒町「まあ、信じられないよね」
さやか「信じます。わたしは、徒町先輩の人間離れした力を毎日見てますから」
学年は1つ上の高校生で、だからわたしは敬意を表して『徒町先輩』と呼ぶことにした。
最初はわたしが徒町先輩のお手伝いをすることを拒まれたけど...
何度も何度もしつこく頼んだため、結局同行を許してくれた。
わたしに帰る家も、家族も居ないことも理由の一つだったのかもしれない。
徒町先輩に力の秘訣を問いただし続け、1ヶ月くらい経った頃、自分が魔術師であることを教えてくれた。
さやか「魔術...そんなものが」
徒町「まあ、信じられないよね」
さやか「信じます。わたしは、徒町先輩の人間離れした力を毎日見てますから」
340: 2025/02/08(土) 21:56:31 ID:???00
さやか「それで、魔術というのはわたしにも使えるものなのですか?」
徒町「魔術回路があれば使えると思うよ!でもどうやって調べるんだろう?」
徒町「徒町の時は花を食べさせられたんだけど...」
さやか「花?」
徒町「そうだ!『強化』」バチバチ⚡️
プツンッ!
徒町「これ食べてみて!」
さやか「それ髪の毛ですよね...しかも、もぎたての」
徒町「うん!いっぱい魔力込めたから、もしかしたらさやかちゃんの魔術回路も開くかも!」
さやか「えー...」ドンビキ
徒町「魔術回路があれば使えると思うよ!でもどうやって調べるんだろう?」
徒町「徒町の時は花を食べさせられたんだけど...」
さやか「花?」
徒町「そうだ!『強化』」バチバチ⚡️
プツンッ!
徒町「これ食べてみて!」
さやか「それ髪の毛ですよね...しかも、もぎたての」
徒町「うん!いっぱい魔力込めたから、もしかしたらさやかちゃんの魔術回路も開くかも!」
さやか「えー...」ドンビキ
341: 2025/02/08(土) 21:57:47 ID:???00
さやか「か、徒町先輩を信じますからね!」パク
結果的に言うと、髪の毛は食べ損だった。
結局わたしの身体に魔力を直接流してもらったら、魔術回路というのもが開いた。
どうやら、わたしには魔術の才があったようだ。
得意な魔術は周囲の熱を吸収する魔術と、物体に任意のベクトルを指定する魔術だった。
特にベクトル指定の魔術は、瓦礫をどかすのにとても役立った。
それからわたし達は、より一層瓦礫の撤去に励むことになる。
――――――
結果的に言うと、髪の毛は食べ損だった。
結局わたしの身体に魔力を直接流してもらったら、魔術回路というのもが開いた。
どうやら、わたしには魔術の才があったようだ。
得意な魔術は周囲の熱を吸収する魔術と、物体に任意のベクトルを指定する魔術だった。
特にベクトル指定の魔術は、瓦礫をどかすのにとても役立った。
それからわたし達は、より一層瓦礫の撤去に励むことになる。
――――――
342: 2025/02/08(土) 21:58:27 ID:???00
昨夜の一件があったため、学校は臨時休校になった。
敷地を囲むフェンスも壊されていたことから、先生たちは寮の壁を壊した犯人を熊と判断したらしい。
安全のため、生徒は部屋から出ることを禁止された。
バーサーカーに付けられた傷は思ったより浅く、他の怪我をした人に混じって治療してもらった。
小鈴「そういえばバーサーカー、昨日はなんであんなになっちゃったの?」
小鈴「今までは血を見ても暴走したりしなかったよね」
梢「魔力不足が原因でしょうね」
梢「実を言うと、私は魔力の大半を鬼の衝動を抑えるために使っているの」
小鈴「そうだったの!?」
敷地を囲むフェンスも壊されていたことから、先生たちは寮の壁を壊した犯人を熊と判断したらしい。
安全のため、生徒は部屋から出ることを禁止された。
バーサーカーに付けられた傷は思ったより浅く、他の怪我をした人に混じって治療してもらった。
小鈴「そういえばバーサーカー、昨日はなんであんなになっちゃったの?」
小鈴「今までは血を見ても暴走したりしなかったよね」
梢「魔力不足が原因でしょうね」
梢「実を言うと、私は魔力の大半を鬼の衝動を抑えるために使っているの」
小鈴「そうだったの!?」
343: 2025/02/08(土) 21:58:48 ID:???00
梢「ええ。ただ...言いにくいのだけれど、小鈴さんから提供される魔力はあまり多くないのよ」
梢「傷の回復の為に、鬼化抑制の為の魔力にも手を付けてしまったの」
小鈴「そうだったんだ。気が付かなくてごめんね」
梢「謝らないでいいのよ」
梢「それで小鈴さん、今日はどうするの?学校が休みになって時間ができたけれど」
小鈴「う~ん、またバーサーカーに稽古つけてもらおうかな?」
小鈴「徒町も『強化』使えるようになったから、魔術を使いながら動く練習したいんだ!」
梢「わかったわ。ならまた蓮ノ湖に行きましょう」
――――――
梢「傷の回復の為に、鬼化抑制の為の魔力にも手を付けてしまったの」
小鈴「そうだったんだ。気が付かなくてごめんね」
梢「謝らないでいいのよ」
梢「それで小鈴さん、今日はどうするの?学校が休みになって時間ができたけれど」
小鈴「う~ん、またバーサーカーに稽古つけてもらおうかな?」
小鈴「徒町も『強化』使えるようになったから、魔術を使いながら動く練習したいんだ!」
梢「わかったわ。ならまた蓮ノ湖に行きましょう」
――――――
344: 2025/02/08(土) 22:00:09 ID:???00
小鈴「わー!まだ凍ったままなんだ!」
小鈴「見て見て!バーサーカーが凍ってたところ穴になってる!徒町すっぽり入れそう!」
梢「それにしても、こんな広範囲を凍らせるなんて...とんでもない宝具ね」
小鈴「そういえば、たまにサーヴァントが言ってる『宝具』って何?」
梢「わかりやすく言うと、サーヴァントの必殺技ね。必ずしも攻撃能力があるとは限らないけれど」
小鈴「バーサーカーにもあるの?」
梢「もちろんよ。ただ、今は魔力が足りないから使えないわね...」
小鈴「もし使えたらアーチャーにも勝てるの?」
梢「ええ!楽勝よ!何せ私はアーチャーと顔見知りじゃないもの!」
小鈴「?顔見知りじゃないと何なの?」
梢「効果抜群ということよ!」
そういうとバーサーカーは徒町にウィンクをして見せた。
何だか昨日までよりも、テンションが高い気がする。
秘密を知られていたとわかり、心の壁が薄くなったのかもしれない。
小鈴「見て見て!バーサーカーが凍ってたところ穴になってる!徒町すっぽり入れそう!」
梢「それにしても、こんな広範囲を凍らせるなんて...とんでもない宝具ね」
小鈴「そういえば、たまにサーヴァントが言ってる『宝具』って何?」
梢「わかりやすく言うと、サーヴァントの必殺技ね。必ずしも攻撃能力があるとは限らないけれど」
小鈴「バーサーカーにもあるの?」
梢「もちろんよ。ただ、今は魔力が足りないから使えないわね...」
小鈴「もし使えたらアーチャーにも勝てるの?」
梢「ええ!楽勝よ!何せ私はアーチャーと顔見知りじゃないもの!」
小鈴「?顔見知りじゃないと何なの?」
梢「効果抜群ということよ!」
そういうとバーサーカーは徒町にウィンクをして見せた。
何だか昨日までよりも、テンションが高い気がする。
秘密を知られていたとわかり、心の壁が薄くなったのかもしれない。
345: 2025/02/08(土) 22:00:57 ID:???00
梢「さあ、雑談は終わり!さっそく特訓を始めるわよ!」
小鈴「あ、そのことなんだけど!徒町、攻撃についても教わりたいです!」
梢「攻撃?前にも話したけれど、サーヴァント相手に戦うことは考えない方がいいわ」
小鈴「サーヴァントじゃなくて、マスターと戦うことはあるかもしれないでしょ?夕霧先輩とか」
梢「そうねえ...確かにアーチャーのマスターは、自身も戦いに積極的な面もあったし...」
梢「わかったわ!攻めを知ることは守りにも生かせるし、今日は格闘の稽古にしましょう!」
小鈴「やった!」
梢「先ずは型を覚えてもらって、それから『強化』を併用しながらの実践練習にしましょう!」
小鈴「よろしくお願いします!師匠!」
―――――――
小鈴「あ、そのことなんだけど!徒町、攻撃についても教わりたいです!」
梢「攻撃?前にも話したけれど、サーヴァント相手に戦うことは考えない方がいいわ」
小鈴「サーヴァントじゃなくて、マスターと戦うことはあるかもしれないでしょ?夕霧先輩とか」
梢「そうねえ...確かにアーチャーのマスターは、自身も戦いに積極的な面もあったし...」
梢「わかったわ!攻めを知ることは守りにも生かせるし、今日は格闘の稽古にしましょう!」
小鈴「やった!」
梢「先ずは型を覚えてもらって、それから『強化』を併用しながらの実践練習にしましょう!」
小鈴「よろしくお願いします!師匠!」
―――――――
346: 2025/02/08(土) 22:02:09 ID:???00
[ Interlude in ]
花帆「昨日は手伝ってくれてありがとね。吟子ちゃん」
吟子「まったく、花帆はお人好しなんだから」
昨夜、寮の外で戦闘があったらしく、その衝撃で何人かの生徒に怪我人が出た。
中には大怪我をした生徒もいて、私と花帆でこっそり傷を治したのだ。
吟子「それで、昨日の話の続きだけど――」
花帆「うん。やっぱりあたしは『マスター狙い』の方針には反対かな...」
小鈴との同盟を解消した私たちは、今後の戦い方の方針について話し合っていた。
残るサーヴァントはアーチャー、バーサーカー、そしてライダー。
ライダーは最近めっきり見ないので、実はもうやられてるかもしれない。
吟子「じゃあどうするの?悔しいけど、私じゃ他のサーヴァントには勝てないよ」
花帆「それは...」
理事長から聖杯戦争の仕組みについて聞いてから、花帆はすっかり戦いに消極的になってしまった。
花帆「昨日は手伝ってくれてありがとね。吟子ちゃん」
吟子「まったく、花帆はお人好しなんだから」
昨夜、寮の外で戦闘があったらしく、その衝撃で何人かの生徒に怪我人が出た。
中には大怪我をした生徒もいて、私と花帆でこっそり傷を治したのだ。
吟子「それで、昨日の話の続きだけど――」
花帆「うん。やっぱりあたしは『マスター狙い』の方針には反対かな...」
小鈴との同盟を解消した私たちは、今後の戦い方の方針について話し合っていた。
残るサーヴァントはアーチャー、バーサーカー、そしてライダー。
ライダーは最近めっきり見ないので、実はもうやられてるかもしれない。
吟子「じゃあどうするの?悔しいけど、私じゃ他のサーヴァントには勝てないよ」
花帆「それは...」
理事長から聖杯戦争の仕組みについて聞いてから、花帆はすっかり戦いに消極的になってしまった。
347: 2025/02/08(土) 22:03:14 ID:???00
花帆「でも、マスターを頃しちゃったら、その人はみんなから忘れられちゃうんだよ?」
昨日からずっとこの調子だ。
私は勝つためにサーヴァントではなくマスターを暗頃する方を提唱した。
だが、花帆はマスターを頃すことだけは嫌だの平行線。
もともと優しい性格なのだ。
聖杯戦争という頃し合いに参加してても、本音では話し合いで勝敗を決めたいとでも思っているのかもしれない。
吟子(今の花帆じゃ戦いになっても、最後の最後で勝負を決めきれない...)
吟子(こうなったら、私一人でも何とかしなきゃ)
元はと言えば私が勢いで同盟を解消したせいでもある。
花帆が戦いを嫌がるというのなら、花帆に内緒で他のマスターを暗頃するしかない。
吟子(でも誰を?ライダーのマスターは不明。夕霧綴理は結界のある部屋に籠って出てこない。となると残りは――)
昨日からずっとこの調子だ。
私は勝つためにサーヴァントではなくマスターを暗頃する方を提唱した。
だが、花帆はマスターを頃すことだけは嫌だの平行線。
もともと優しい性格なのだ。
聖杯戦争という頃し合いに参加してても、本音では話し合いで勝敗を決めたいとでも思っているのかもしれない。
吟子(今の花帆じゃ戦いになっても、最後の最後で勝負を決めきれない...)
吟子(こうなったら、私一人でも何とかしなきゃ)
元はと言えば私が勢いで同盟を解消したせいでもある。
花帆が戦いを嫌がるというのなら、花帆に内緒で他のマスターを暗頃するしかない。
吟子(でも誰を?ライダーのマスターは不明。夕霧綴理は結界のある部屋に籠って出てこない。となると残りは――)
348: 2025/02/08(土) 22:03:53 ID:???00
花帆「吟子ちゃん?急に黙ってどうしたの?」
吟子「あ、ううん。何でもない」
花帆「ごめんね。吟子ちゃんにも叶えたい願いがあるのに、あたしがわがまま言うせいで...」
吟子「別に、私の願いは花帆に比べたら大したことないから」
花帆「そんなこと――」
吟子「それより花帆、しばらく部屋でじっとしててくれない?」
花帆「え?」
吟子「ちょっと外の様子見てくる。ほら、人食い熊が近くをうろついてたら危ないでしょ?」
花帆「吟子ちゃん」
吟子「大丈夫。花帆はただ待ってるだけでいいから。ね、お願い」
花帆「絶対に危ないことはしないでね」
吟子「...うん」スー…
花帆「...」
[ Interlude out ]
吟子「あ、ううん。何でもない」
花帆「ごめんね。吟子ちゃんにも叶えたい願いがあるのに、あたしがわがまま言うせいで...」
吟子「別に、私の願いは花帆に比べたら大したことないから」
花帆「そんなこと――」
吟子「それより花帆、しばらく部屋でじっとしててくれない?」
花帆「え?」
吟子「ちょっと外の様子見てくる。ほら、人食い熊が近くをうろついてたら危ないでしょ?」
花帆「吟子ちゃん」
吟子「大丈夫。花帆はただ待ってるだけでいいから。ね、お願い」
花帆「絶対に危ないことはしないでね」
吟子「...うん」スー…
花帆「...」
[ Interlude out ]
349: 2025/02/08(土) 22:05:16 ID:???00
小鈴「スー...はっ!」シュッ
パシッ!
梢「もっと重心を意識して!しっかり腰を入れないと衝撃が跳ね返ってくるわよ!」
小鈴「はい!」
お昼から2時間くらい当身の指導を受けているが、上手くいっている実感はあまりない。
腰を落として足の指で地面をしっかりと掴むことで、拳の衝撃を逃がすことなく相手に伝えることができるらしい。
が、拳の威力は結局のところ、体の重さに比例する。
体格の小さい徒町では、静止状態からの正拳で出せるパワーは限度がある。
梢「やっぱり小鈴さんにはこのやり方は合わないかしら?」
梢「体が小さいから、逃げ回ってる方が生存率が高い気がするわ」
小鈴「そんな!せっかく色んな技教わったのに...」
パシッ!
梢「もっと重心を意識して!しっかり腰を入れないと衝撃が跳ね返ってくるわよ!」
小鈴「はい!」
お昼から2時間くらい当身の指導を受けているが、上手くいっている実感はあまりない。
腰を落として足の指で地面をしっかりと掴むことで、拳の衝撃を逃がすことなく相手に伝えることができるらしい。
が、拳の威力は結局のところ、体の重さに比例する。
体格の小さい徒町では、静止状態からの正拳で出せるパワーは限度がある。
梢「やっぱり小鈴さんにはこのやり方は合わないかしら?」
梢「体が小さいから、逃げ回ってる方が生存率が高い気がするわ」
小鈴「そんな!せっかく色んな技教わったのに...」
350: 2025/02/08(土) 22:06:23 ID:???00
梢「技の出し方を知ることは、技の避け方、防ぎ方を理解するのにも役立つわ」
梢「だから、そう落ち込まないで。会得できなかったからと言って、無駄だった訳ではないわ」
小鈴「そ、そうだよね!」
小鈴「なんか前よりもバーサーカーの動きが見えるようになった気がするし、徒町レベルアップです!」
梢「うふふ、前向きなところは小鈴さんの美徳ね。私も見習わないと」
小鈴「えへへ!それが徒町の唯一の取り柄で――っ!」バッ!
後ろからの殺気を感じ咄嗟に斜め前に飛び出る。
ヒュン!=🔵
梢「魔弾!?」
姿は見えないが殺気だけは伝わってくる。
昨夜、森の中でバーサーカーに襲われた時と同じだ。
ならばいる場所は――
梢「だから、そう落ち込まないで。会得できなかったからと言って、無駄だった訳ではないわ」
小鈴「そ、そうだよね!」
小鈴「なんか前よりもバーサーカーの動きが見えるようになった気がするし、徒町レベルアップです!」
梢「うふふ、前向きなところは小鈴さんの美徳ね。私も見習わないと」
小鈴「えへへ!それが徒町の唯一の取り柄で――っ!」バッ!
後ろからの殺気を感じ咄嗟に斜め前に飛び出る。
ヒュン!=🔵
梢「魔弾!?」
姿は見えないが殺気だけは伝わってくる。
昨夜、森の中でバーサーカーに襲われた時と同じだ。
ならばいる場所は――
351: 2025/02/08(土) 22:07:01 ID:???00
小鈴(氏角の方向!)
小鈴「バーサーカー後ろ!」
梢「ええ!」ブン!
吟子「きゃ!」バタン
小鈴「キャスター!?」
梢「同盟を解消したらさっそく狙ってくるなんて。大した根性ね」
吟子「くっ!」
梢「しかも、あなた最初から小鈴さんを狙ったわね」ギロ
バーサーカーの殺気が膨れ上がり、空間を包み込む。
梢「花帆さんにはお世話になったけれど、マスターを狙うというのならば、こちらも容赦しないわ」
小鈴「バーサーカー後ろ!」
梢「ええ!」ブン!
吟子「きゃ!」バタン
小鈴「キャスター!?」
梢「同盟を解消したらさっそく狙ってくるなんて。大した根性ね」
吟子「くっ!」
梢「しかも、あなた最初から小鈴さんを狙ったわね」ギロ
バーサーカーの殺気が膨れ上がり、空間を包み込む。
梢「花帆さんにはお世話になったけれど、マスターを狙うというのならば、こちらも容赦しないわ」
352: 2025/02/08(土) 22:08:08 ID:???00
吟子「何言ってるの?同盟を継続してようと、最後にはこうなってたよ」
吟子「大体、聖杯を破壊しようとしてるやつを放っておくわけないでしょ?」
梢「それもそうね。あら?花帆さんは一緒じゃないの?」
吟子「隠れて小鈴を狙ってるよ」
梢「嘘ね。あの子がそんなことするはずないわ」
梢「あなた、マスターに黙ってやってるわね?」
吟子「あなた達には関係ない!」
梢(目が泳いでいるわね。呼吸も乱れてるし…何かに焦っている?)
梢「いいわ。小鈴さん、腕試しよ」
梢「キャスター相手に3分間生き延びなさい。私は手出ししないわ」
小鈴「え!?」
吟子「はあ!?ふざけてるの!」
吟子「大体、聖杯を破壊しようとしてるやつを放っておくわけないでしょ?」
梢「それもそうね。あら?花帆さんは一緒じゃないの?」
吟子「隠れて小鈴を狙ってるよ」
梢「嘘ね。あの子がそんなことするはずないわ」
梢「あなた、マスターに黙ってやってるわね?」
吟子「あなた達には関係ない!」
梢(目が泳いでいるわね。呼吸も乱れてるし…何かに焦っている?)
梢「いいわ。小鈴さん、腕試しよ」
梢「キャスター相手に3分間生き延びなさい。私は手出ししないわ」
小鈴「え!?」
吟子「はあ!?ふざけてるの!」
353: 2025/02/08(土) 22:09:28 ID:???00
梢「ふざけてなんかいないわ。今のあなたでは、小鈴さんを頃すことなんてできない」
小鈴「ちょっと待ってよ!いくらなんでも無理だよ!」
梢「あら、最初から無理と決めつけるなんて小鈴さんらしくないわよ」
梢「前向きさが唯一の取り柄なのでしょう?」
バーサーカーは本気だ。特訓の時と同じ目をしている。
小鈴(やるしかない!)グッ
カチャ
刀を抜き、魔術回路を起動する。
梢「小鈴さん、生き延びろとは言ったけれど...」
梢「別に──倒してしまっても構わないのよ」ニヤ
小鈴「ちょっと待ってよ!いくらなんでも無理だよ!」
梢「あら、最初から無理と決めつけるなんて小鈴さんらしくないわよ」
梢「前向きさが唯一の取り柄なのでしょう?」
バーサーカーは本気だ。特訓の時と同じ目をしている。
小鈴(やるしかない!)グッ
カチャ
刀を抜き、魔術回路を起動する。
梢「小鈴さん、生き延びろとは言ったけれど...」
梢「別に──倒してしまっても構わないのよ」ニヤ
354: 2025/02/08(土) 22:10:41 ID:???00
吟子「こ、このぉ…」
小鈴「『強化』!」バチバチ⚡️
吟子「馬鹿にしないで!!」ヒュン=🔵
キャスターが魔弾を飛ばしてくる。
今度は構えていたぶん、冷静に避けられた。
キャスターの魔弾の速度はアーチャーの弓よりいくらか遅い。
充分な距離を取っていれば避けることは難しくない。
だが、
小鈴(折り紙?)
吟子『狸』スー…
小鈴「消えた!?」
実はキャスターの魔術はあんまり知らない。
さっきの魔弾と、夕霧先輩に使っていた魔術を跳ね返す技くらいだ。
小鈴「『強化』!」バチバチ⚡️
吟子「馬鹿にしないで!!」ヒュン=🔵
キャスターが魔弾を飛ばしてくる。
今度は構えていたぶん、冷静に避けられた。
キャスターの魔弾の速度はアーチャーの弓よりいくらか遅い。
充分な距離を取っていれば避けることは難しくない。
だが、
小鈴(折り紙?)
吟子『狸』スー…
小鈴「消えた!?」
実はキャスターの魔術はあんまり知らない。
さっきの魔弾と、夕霧先輩に使っていた魔術を跳ね返す技くらいだ。
355: 2025/02/08(土) 22:12:01 ID:???00
小鈴(多分、霊体化じゃない!実体のまま姿だけを消してる!)
五感を集中させる。
地面を踏む音、風の揺らぎ、それらの情報から相手の位置を予測する。
ガザ…
小鈴「左!」
反射的に前に飛び退く。
しかし、――
折神🐸「ゲコ」
小鈴「え」
吟子「残念でした」ピュン=🔵
キャスターは一歩も動いていなかった。
五感を集中させる。
地面を踏む音、風の揺らぎ、それらの情報から相手の位置を予測する。
ガザ…
小鈴「左!」
反射的に前に飛び退く。
しかし、――
折神🐸「ゲコ」
小鈴「え」
吟子「残念でした」ピュン=🔵
キャスターは一歩も動いていなかった。
356: 2025/02/08(土) 22:12:53 ID:???00
魔弾が目の前に迫る。
これでは自分から当たりに行っているようなものだ。
今から横には避けられない。
小鈴「っ!」バタン
避けることは諦め、そのままダイブして地面に伏せる。
吟子「ちっ…でも逃がさない!」
キャスターがいくつもの魔弾を生成する。
ピュン=🔵 ピュン=🔵 ピュン=🔵
小鈴「~~~っ!」コロコロコロ
ドン!ドン!ドン!
立ち上がる隙は無いので転がりながら避ける。
その視界の先、キャスターの後ろに“あるモノ”が見えた。
小鈴(アレは!)
これでは自分から当たりに行っているようなものだ。
今から横には避けられない。
小鈴「っ!」バタン
避けることは諦め、そのままダイブして地面に伏せる。
吟子「ちっ…でも逃がさない!」
キャスターがいくつもの魔弾を生成する。
ピュン=🔵 ピュン=🔵 ピュン=🔵
小鈴「~~~っ!」コロコロコロ
ドン!ドン!ドン!
立ち上がる隙は無いので転がりながら避ける。
その視界の先、キャスターの後ろに“あるモノ”が見えた。
小鈴(アレは!)
357: 2025/02/08(土) 22:14:04 ID:???00
吟子「本当にしぶとい。『鶴』」ピュン=🔵
また魔弾。でももう慣れた!
小鈴「ふんっ!」サッ
グイン⤴=🔵
小鈴「曲がった!?」
ドカン!
小鈴「うわ!」ドサ
吟子「直線の攻撃には慣れてるみたいだけど、魔術はそんなに単純じゃないよ」
小鈴(ダメだ。逃げてるだけじゃ追い詰められる!攻めて隙をつくらないと!)
小鈴「ふっ!」ダッ
キャスターを中心に円を描くように走る。
また魔弾。でももう慣れた!
小鈴「ふんっ!」サッ
グイン⤴=🔵
小鈴「曲がった!?」
ドカン!
小鈴「うわ!」ドサ
吟子「直線の攻撃には慣れてるみたいだけど、魔術はそんなに単純じゃないよ」
小鈴(ダメだ。逃げてるだけじゃ追い詰められる!攻めて隙をつくらないと!)
小鈴「ふっ!」ダッ
キャスターを中心に円を描くように走る。
358: 2025/02/08(土) 22:15:55 ID:???00
小鈴(徒町じゃバーサーカーみたいに頭には届かない。だから狙うのは…!)
飛んでくる魔弾の合間を縫って接近する。
吟子「っ!」
小鈴「はああ!!」ゴス!
吟子「ぐふっ…この!」
みぞおちを突き、即離脱する。
人間ではサーヴァントにダメージを与えることはできない。
だが、怯ませることくらいなら可能だ。
小鈴(今のは入った感覚があった!)
小鈴(そうだ、体重が軽いなら助走を付けて威力を上げればいいんだ!)
急接近から勢いをのせた打撃を放ち、離脱しつつ距離を稼ぐ。
小鈴(これを繰り返しながらアレを取れれば!)
飛んでくる魔弾の合間を縫って接近する。
吟子「っ!」
小鈴「はああ!!」ゴス!
吟子「ぐふっ…この!」
みぞおちを突き、即離脱する。
人間ではサーヴァントにダメージを与えることはできない。
だが、怯ませることくらいなら可能だ。
小鈴(今のは入った感覚があった!)
小鈴(そうだ、体重が軽いなら助走を付けて威力を上げればいいんだ!)
急接近から勢いをのせた打撃を放ち、離脱しつつ距離を稼ぐ。
小鈴(これを繰り返しながらアレを取れれば!)
359: 2025/02/08(土) 22:16:45 ID:???00
再び同じ攻撃を繰り出し、目標はすぐ側まで近く。
小鈴(取れた!)ダッ!
再度、キャスターに近く。
その手に持つは──
吟子「アーチャーの矢!?どうしてここに!」
小鈴(サーヴァントの作った武器ならダメージを与えられるはず!)
小鈴「うぉぉぉぉ!!!」
魔弾がかするのを気にせずキャスターに接近する。
小鈴「もらった!」
アーチャーの矢を無防備なキャスターの胸に突き立て──
小鈴「!?」スカッ
確実に当たるはずだった攻撃は、何故かキャスターの真横で空を切った。
吟子「『狐』。今度こそ終わりに──」
小鈴(取れた!)ダッ!
再度、キャスターに近く。
その手に持つは──
吟子「アーチャーの矢!?どうしてここに!」
小鈴(サーヴァントの作った武器ならダメージを与えられるはず!)
小鈴「うぉぉぉぉ!!!」
魔弾がかするのを気にせずキャスターに接近する。
小鈴「もらった!」
アーチャーの矢を無防備なキャスターの胸に突き立て──
小鈴「!?」スカッ
確実に当たるはずだった攻撃は、何故かキャスターの真横で空を切った。
吟子「『狐』。今度こそ終わりに──」
360: 2025/02/08(土) 22:17:09 ID:???00
花帆「やめて吟子ちゃん!!!」
吟子「花帆!?」
梢「はっ!」ドスン!
吟子「がはっ」バタン!ゴロゴロ
梢「3分経ったわ。残念だったわね、キャスター」
花帆「吟子ちゃん!」
吟子「か、ほ…なんで」
花帆「吟子ちゃんのバカ!それはこっちのセリフだよ!」
花帆「吟子ちゃん前にあたしに言ったよね?『何かするときは相談して』って」
花帆「吟子ちゃんこそ、なんで勝手にこんなことするの!」
花帆先輩の目には涙が溜まっている。
吟子「花帆!?」
梢「はっ!」ドスン!
吟子「がはっ」バタン!ゴロゴロ
梢「3分経ったわ。残念だったわね、キャスター」
花帆「吟子ちゃん!」
吟子「か、ほ…なんで」
花帆「吟子ちゃんのバカ!それはこっちのセリフだよ!」
花帆「吟子ちゃん前にあたしに言ったよね?『何かするときは相談して』って」
花帆「吟子ちゃんこそ、なんで勝手にこんなことするの!」
花帆先輩の目には涙が溜まっている。
361: 2025/02/08(土) 22:17:36 ID:???00
吟子「こうするしか無かったの...花帆を勝たせるには、私が汚れ役を買ってでも...」
花帆「そんなことしなくていい!」
花帆「あたしの為に吟子ちゃんが傷ついたり、誰かを傷つけるなんて、あたしは嬉しくない!」
吟子「花帆がどう思おうと関係ない!例え私が花帆から軽蔑されようが、私は花帆を勝たせたいの!」
花帆「吟子ちゃん...」
小鈴「キャスター、聞かせてください。なんで花帆先輩に黙ってこんなことをしたのか」
吟子「小鈴には関係な──」
花帆「あたしの病気を治すため、でしょ?」
吟子「花帆!」
梢「病気?そんなの花帆さんの魔術なら簡単に…」
花帆「前に吟子ちゃんにも話したんだけどね。この病気は難病で、あたしじゃ治せなかったの」
小鈴「花帆先輩の魔術でも!?」
花帆「そんなことしなくていい!」
花帆「あたしの為に吟子ちゃんが傷ついたり、誰かを傷つけるなんて、あたしは嬉しくない!」
吟子「花帆がどう思おうと関係ない!例え私が花帆から軽蔑されようが、私は花帆を勝たせたいの!」
花帆「吟子ちゃん...」
小鈴「キャスター、聞かせてください。なんで花帆先輩に黙ってこんなことをしたのか」
吟子「小鈴には関係な──」
花帆「あたしの病気を治すため、でしょ?」
吟子「花帆!」
梢「病気?そんなの花帆さんの魔術なら簡単に…」
花帆「前に吟子ちゃんにも話したんだけどね。この病気は難病で、あたしじゃ治せなかったの」
小鈴「花帆先輩の魔術でも!?」
362: 2025/02/08(土) 22:18:23 ID:???00
花帆「余命も宣告されててね。最悪、高校を卒業することもできないかもって...」
花帆「だから、今回の聖杯戦争が最後のチャンスだったんだ」
小鈴「あ」
前に理事長室で泣き崩れた花帆先輩を思い出す。
そんな事情があったなんて...
それなのに徒町は花帆先輩に向かって──
花帆「でもね!実はあたしも、聖杯戦争を終わらせたいっていう思いには共感できるんだ」
花帆「人の身に余る奇跡を求めた結果氏んじゃうのは、正直自己責任だと思う」
花帆「でも!氏んだあとも魂を縛られて、みんなから忘れられて、また何度も戦わされるなんてあんまりだよ!」
花帆「あたしはそんな風になりたくないし、誰かにそうなって欲しくもない」
吟子「だから、その罪は私が背負うから!花帆は気にしないでいいって!」
花帆先輩はキャスターを見つめると静かに首を振った。
花帆「だから、今回の聖杯戦争が最後のチャンスだったんだ」
小鈴「あ」
前に理事長室で泣き崩れた花帆先輩を思い出す。
そんな事情があったなんて...
それなのに徒町は花帆先輩に向かって──
花帆「でもね!実はあたしも、聖杯戦争を終わらせたいっていう思いには共感できるんだ」
花帆「人の身に余る奇跡を求めた結果氏んじゃうのは、正直自己責任だと思う」
花帆「でも!氏んだあとも魂を縛られて、みんなから忘れられて、また何度も戦わされるなんてあんまりだよ!」
花帆「あたしはそんな風になりたくないし、誰かにそうなって欲しくもない」
吟子「だから、その罪は私が背負うから!花帆は気にしないでいいって!」
花帆先輩はキャスターを見つめると静かに首を振った。
363: 2025/02/08(土) 22:19:01 ID:???00
花帆「吟子ちゃん、もうやめよ?あたしもう聖杯はいらない」
吟子「な!?」
花帆「やっぱり、誰かの人生を奪ってまで、あたしは長生きしたいとは思わないよ」
吟子「そんなこと言わないで!花帆は諦めないでいい!生きたいって願っていい!」
吟子「何より私が...友達として花帆には生きてて欲しいの!!」
吟子「それが今の私の“願い”だから!」
花帆「!」
吟子「だから、希望を捨てないで...」
例えそれが、蜘蛛の糸ほどの希望でも──
吟子「な!?」
花帆「やっぱり、誰かの人生を奪ってまで、あたしは長生きしたいとは思わないよ」
吟子「そんなこと言わないで!花帆は諦めないでいい!生きたいって願っていい!」
吟子「何より私が...友達として花帆には生きてて欲しいの!!」
吟子「それが今の私の“願い”だから!」
花帆「!」
吟子「だから、希望を捨てないで...」
例えそれが、蜘蛛の糸ほどの希望でも──
364: 2025/02/08(土) 22:19:41 ID:???00
吟子「お願い小鈴、今回は花帆に勝利を譲って!」
小鈴「キャスター...」
吟子「小鈴は1年生だから、まだ聖杯戦争に参加する機会はある...」
吟子「聖杯を壊すのは2年後でもいいでしょ!」
小鈴「...」
聖杯戦争が2年ごとに行われるというのが本当なら、確かに徒町が在学中にもう一度機会はある。
でも、次もまたマスターになれるとは限らない。
例えなれたとしても、次の参加者の中にまた花帆先輩のような事情を抱えた人がいたら?
小鈴「――ごめんなさい」
吟子「そんな...」
小鈴「キャスター...」
吟子「小鈴は1年生だから、まだ聖杯戦争に参加する機会はある...」
吟子「聖杯を壊すのは2年後でもいいでしょ!」
小鈴「...」
聖杯戦争が2年ごとに行われるというのが本当なら、確かに徒町が在学中にもう一度機会はある。
でも、次もまたマスターになれるとは限らない。
例えなれたとしても、次の参加者の中にまた花帆先輩のような事情を抱えた人がいたら?
小鈴「――ごめんなさい」
吟子「そんな...」
365: 2025/02/08(土) 22:20:00 ID:???00
小鈴「キャスターも花帆先輩も、徒町のことを恨んでくれて構いません。これは徒町の我儘だから」
花帆「恨んだりなんかしないよ。あたしはどうせ氏ぬ運命だったの」
花帆「聖杯なんてものに縋っちゃったけど、結局、予定通りになるだけだよ」
吟子「やめて、諦めたみたいなこと言わないで!」
吟子「そんな運命なんか蹴っ飛ばしてよ!花帆も、最後まであがいてよ...」
花帆「ありがとう吟子ちゃん。吟子ちゃんにそこまで思ってもらえて、花帆はうれしいよ」ニコッ
吟子「そんな顔で笑わないでよ...私はただ、花帆に...」
キャスターの体から力が抜ける。
結局キャスターが凶行に及んだ理由は、『友達に生きていてほしい』ただそれだけのことだった。
花帆「恨んだりなんかしないよ。あたしはどうせ氏ぬ運命だったの」
花帆「聖杯なんてものに縋っちゃったけど、結局、予定通りになるだけだよ」
吟子「やめて、諦めたみたいなこと言わないで!」
吟子「そんな運命なんか蹴っ飛ばしてよ!花帆も、最後まであがいてよ...」
花帆「ありがとう吟子ちゃん。吟子ちゃんにそこまで思ってもらえて、花帆はうれしいよ」ニコッ
吟子「そんな顔で笑わないでよ...私はただ、花帆に...」
キャスターの体から力が抜ける。
結局キャスターが凶行に及んだ理由は、『友達に生きていてほしい』ただそれだけのことだった。
366: 2025/02/08(土) 22:21:39 ID:???00
沙知『あー、あー。聞こえているかい、キャスター』
吟子「――――え、なに?どういうこと?」
突然、キャスターが虚空を見つめながら独り言をし始めた。
花帆「吟子ちゃん?」
吟子「今、『兎』越しに理事長が話しかけてきてる」
花帆「え!?」
小鈴「?」
梢「?」
花帆「どうして理事長が」
吟子「この聖杯戦争の起源に『百生家』が関わってるかもしれないから話を聞かせてほしいって...」
百生、それは確かキャスターの名字だったような?
吟子「――――え、なに?どういうこと?」
突然、キャスターが虚空を見つめながら独り言をし始めた。
花帆「吟子ちゃん?」
吟子「今、『兎』越しに理事長が話しかけてきてる」
花帆「え!?」
小鈴「?」
梢「?」
花帆「どうして理事長が」
吟子「この聖杯戦争の起源に『百生家』が関わってるかもしれないから話を聞かせてほしいって...」
百生、それは確かキャスターの名字だったような?
367: 2025/02/08(土) 22:22:06 ID:???00
吟子「ごめん、私ちょっと理事長室に行ってくる」
花帆「あたしも!」
吟子「花帆はだめ。罠かもしれない」
花帆「罠って...」
吟子「理事長が折神のことを知ってるはずがない。何か裏があるのかも」
花帆「ならなおさら一緒に行こうよ!」
吟子「...今度はひとりで戦ったりしないよ。もし罠だとしても、私なら霊体化して逃げれるし」
花帆「吟子ちゃん...」
花帆「あたしも!」
吟子「花帆はだめ。罠かもしれない」
花帆「罠って...」
吟子「理事長が折神のことを知ってるはずがない。何か裏があるのかも」
花帆「ならなおさら一緒に行こうよ!」
吟子「...今度はひとりで戦ったりしないよ。もし罠だとしても、私なら霊体化して逃げれるし」
花帆「吟子ちゃん...」
368: 2025/02/08(土) 22:22:35 ID:???00
吟子「小鈴、バーサーカー、図々しいことはわかってるけど、少しの間花帆を匿っててくれない?」
梢「本当に図々しいわねあなた...どうするの小鈴さん?」
小鈴「わかりました。花帆先輩は徒町達で匿います」
梢「はあ、そう言うと思ったわ」
小鈴「ただし、花帆先輩は人質です。花帆先輩が大事なら、ちゃんと戻ってきてください」
吟子「わかった。ほんとに、お人好しやね...小鈴は」スー…
花帆「ちゃんと戻ってきてね、吟子ちゃん」
――――――
梢「本当に図々しいわねあなた...どうするの小鈴さん?」
小鈴「わかりました。花帆先輩は徒町達で匿います」
梢「はあ、そう言うと思ったわ」
小鈴「ただし、花帆先輩は人質です。花帆先輩が大事なら、ちゃんと戻ってきてください」
吟子「わかった。ほんとに、お人好しやね...小鈴は」スー…
花帆「ちゃんと戻ってきてね、吟子ちゃん」
――――――
369: 2025/02/08(土) 22:25:19 ID:???00
[ Interlude in ]
沙知『さっそく来てくれてありがとう、キャスター。おや、花帆は一緒じゃないのかい?』
吟子『安全なところで待ってもらってるよ。あなたを信用できないから』
沙知『ずいぶんな言いぐさじゃないか』
吟子『当たり前でしょ。見られないように注意しながら置いた折神を知ってるなんて』
沙知『たまたま見つけただけさ』
沙知『結界ほどの魔力は感じなかったから、盗聴器的なものかと思って試しにね』
吟子『ふーん、まあいいよ。それで、「聖杯戦争の起源に百生家が関わってるかもしれない」てどういうことなの?』
沙知『ああ、その前にこれを見てくれ。歴代の聖杯戦争の参加者の記録だ』
吟子『!なにこれ、アーチャーのマスター前回の聖杯戦争で優勝してる?』
沙知『夕霧綴理だけじゃない。その前の優勝者も、そのまた前の優勝者も...」
沙知『全員、自分が勝利した次の聖杯戦争にも参加している』
沙知『さっそく来てくれてありがとう、キャスター。おや、花帆は一緒じゃないのかい?』
吟子『安全なところで待ってもらってるよ。あなたを信用できないから』
沙知『ずいぶんな言いぐさじゃないか』
吟子『当たり前でしょ。見られないように注意しながら置いた折神を知ってるなんて』
沙知『たまたま見つけただけさ』
沙知『結界ほどの魔力は感じなかったから、盗聴器的なものかと思って試しにね』
吟子『ふーん、まあいいよ。それで、「聖杯戦争の起源に百生家が関わってるかもしれない」てどういうことなの?』
沙知『ああ、その前にこれを見てくれ。歴代の聖杯戦争の参加者の記録だ』
吟子『!なにこれ、アーチャーのマスター前回の聖杯戦争で優勝してる?』
沙知『夕霧綴理だけじゃない。その前の優勝者も、そのまた前の優勝者も...」
沙知『全員、自分が勝利した次の聖杯戦争にも参加している』
370: 2025/02/08(土) 22:26:43 ID:???00
沙知『これを見て何か感じないかい?』
吟子『...聖杯戦争の勝者が、次の勝者に何かを引き継いでいる?』
沙知『私と同じ感想だね。となるといったい何を引き継いでいるのか...』
沙知『そこまではわからなかったが、“誰から”引き継いでいるのかはわかった』
ペラペラペラ...
吟子『一番最初の聖杯戦争の勝者の名前...「百生とわ」!?』
沙知『そうだ、百生なんて珍しい名字だからもしやと思ったんだか...その反応、心当たりがありそうだね』
吟子『百生とわは...私の叔母に当たる人物だそうです。実際に会ったことはありません』
吟子『彼女は百生家の秘術をその身に刻んだまま、ある日突然姿を消したと聞いています』
沙知『秘術...それはどんなものなんだい?』
吟子『...聖杯戦争の勝者が、次の勝者に何かを引き継いでいる?』
沙知『私と同じ感想だね。となるといったい何を引き継いでいるのか...』
沙知『そこまではわからなかったが、“誰から”引き継いでいるのかはわかった』
ペラペラペラ...
吟子『一番最初の聖杯戦争の勝者の名前...「百生とわ」!?』
沙知『そうだ、百生なんて珍しい名字だからもしやと思ったんだか...その反応、心当たりがありそうだね』
吟子『百生とわは...私の叔母に当たる人物だそうです。実際に会ったことはありません』
吟子『彼女は百生家の秘術をその身に刻んだまま、ある日突然姿を消したと聞いています』
沙知『秘術...それはどんなものなんだい?』
371: 2025/02/08(土) 22:28:07 ID:???00
吟子『...「御霊移し」、人の魂を別の人の魂と入れ替える魔術』
沙知『魂の入れ替えだって!?そんなの一歩間違えれば魔法級の魔術じゃないか!』
吟子『なんで彼女が聖杯戦争なんかに』
沙知『魂の交換...聖杯戦争の勝者が引き継いでいるもの...なあ、今すごく嫌な想像をしてしまったんだが』
吟子『とわの魂を歴代の勝者達が引き継いでいるってこと?ありえないよ』
吟子『そもそも魂には、記憶や人格の情報はない』
吟子『それに、御霊移しの発動には人ひとりの魔力じゃ全然足り...な...』
沙知『魂に情報を紐づける魔術、膨大な量の魔力。どれもどこかで聞いた話じゃないか?』
吟子『嘘...でしょ...』
沙知『魂の入れ替えだって!?そんなの一歩間違えれば魔法級の魔術じゃないか!』
吟子『なんで彼女が聖杯戦争なんかに』
沙知『魂の交換...聖杯戦争の勝者が引き継いでいるもの...なあ、今すごく嫌な想像をしてしまったんだが』
吟子『とわの魂を歴代の勝者達が引き継いでいるってこと?ありえないよ』
吟子『そもそも魂には、記憶や人格の情報はない』
吟子『それに、御霊移しの発動には人ひとりの魔力じゃ全然足り...な...』
沙知『魂に情報を紐づける魔術、膨大な量の魔力。どれもどこかで聞いた話じゃないか?』
吟子『嘘...でしょ...』
372: 2025/02/08(土) 22:29:28 ID:???00
沙知『もしも私達が想像した通りだとしたら――』
沙知『最悪だ...ああクソ!なんでもっと早く気が付かなかったんだ!』
沙知『そもそも、それが事実なら、この蓮ノ空の聖杯で願いを叶えている人間は、“たった一人”しかいないじゃないか!!』
沙知『君は今すぐ花帆や小鈴くんにこの話を伝えるんだ!私は聖堂協会に報告する!』
吟子『わ、わかった!』
バタバタバタ――
綴理(うーん、ばれちゃったか...やっぱりキャスターは先に頃しておくべきだったかな?)
盗聴器越しに聞いていた夕霧綴理はしばらく天を仰ぐ。
どちらを先に始末するべきか...できればこの話は、アーチャーにも知られたくない。
沙知『最悪だ...ああクソ!なんでもっと早く気が付かなかったんだ!』
沙知『そもそも、それが事実なら、この蓮ノ空の聖杯で願いを叶えている人間は、“たった一人”しかいないじゃないか!!』
沙知『君は今すぐ花帆や小鈴くんにこの話を伝えるんだ!私は聖堂協会に報告する!』
吟子『わ、わかった!』
バタバタバタ――
綴理(うーん、ばれちゃったか...やっぱりキャスターは先に頃しておくべきだったかな?)
盗聴器越しに聞いていた夕霧綴理はしばらく天を仰ぐ。
どちらを先に始末するべきか...できればこの話は、アーチャーにも知られたくない。
373: 2025/02/08(土) 22:30:35 ID:???00
綴理(仕方ない。両方同時に殺るか...)
綴理「ちょっと出かけてくるね」
さやか「はい?ならわたしも――」
綴理「アーチャーは今日は休養しててって言ったでしょ。すぐ戻ってくるから」
そう言って夕霧綴理は廊下に出る。
綴理『パラレルダンサー』フワー
本体から剝がれるように、実体をもった分身が姿を現す。
綴理「ぼくはキャスターの方に行く。君は理事長室だ」
綴理(影)「わかった」スタスタ
綴理「さて、同族狩りに行こうか」
[ Interlude out ]
綴理「ちょっと出かけてくるね」
さやか「はい?ならわたしも――」
綴理「アーチャーは今日は休養しててって言ったでしょ。すぐ戻ってくるから」
そう言って夕霧綴理は廊下に出る。
綴理『パラレルダンサー』フワー
本体から剝がれるように、実体をもった分身が姿を現す。
綴理「ぼくはキャスターの方に行く。君は理事長室だ」
綴理(影)「わかった」スタスタ
綴理「さて、同族狩りに行こうか」
[ Interlude out ]
374: 2025/02/08(土) 22:32:06 ID:???00
【小鈴の部屋】
小鈴「花帆先輩は、本当にもう聖杯はいらないんですか?」
花帆「うん。やっぱり、戦いは性に合わなかったんだよ」
花帆「聖杯戦争は頃し合いだって、頭ではわかってたはずなんだけどね」
花帆「でもこの間、安養寺さんのこと助けられなかった時に、すごくショックだったの」
花帆「小鈴ちゃんと同じで、本当は誰にも傷ついて欲しくないんだ」
小鈴「でも、聖杯を諦めたら花帆先輩の病気は――」
梢「小鈴さん、それを言う権利は私達にはないわ」
小鈴「...ごめんなさい」
花帆「気にしないで!きっとね、聖杯戦争に限らず、願いを持ってる人ってたくさんいると思うんだ!」
花帆「その中には願いを叶えた人もいれば、叶えられなかった人もいる」
花帆「世界中全員の願いが叶うなんてありえない」
花帆「だからあたしも、願いが叶わなかった内の一人になるだけだよ」
小鈴「花帆先輩は、本当にもう聖杯はいらないんですか?」
花帆「うん。やっぱり、戦いは性に合わなかったんだよ」
花帆「聖杯戦争は頃し合いだって、頭ではわかってたはずなんだけどね」
花帆「でもこの間、安養寺さんのこと助けられなかった時に、すごくショックだったの」
花帆「小鈴ちゃんと同じで、本当は誰にも傷ついて欲しくないんだ」
小鈴「でも、聖杯を諦めたら花帆先輩の病気は――」
梢「小鈴さん、それを言う権利は私達にはないわ」
小鈴「...ごめんなさい」
花帆「気にしないで!きっとね、聖杯戦争に限らず、願いを持ってる人ってたくさんいると思うんだ!」
花帆「その中には願いを叶えた人もいれば、叶えられなかった人もいる」
花帆「世界中全員の願いが叶うなんてありえない」
花帆「だからあたしも、願いが叶わなかった内の一人になるだけだよ」
375: 2025/02/08(土) 22:32:59 ID:???00
小鈴「花帆先輩...」
花帆「それにしても吟子ちゃん遅いな~」
梢「まさか本当に罠だった、なんてことはないでしょうね?」
小鈴「そんな!バーサーカー、念のため徒町達も理事長室に――」
キィーン!バチバチ⚡
花帆「!」
小鈴「!」
梢「!」
小鈴「え、なんで?」
梢「これは、どういうことなの...」
花帆「令呪が――」
小鈴「徒町の令呪が、消えた?」
――――――
花帆「それにしても吟子ちゃん遅いな~」
梢「まさか本当に罠だった、なんてことはないでしょうね?」
小鈴「そんな!バーサーカー、念のため徒町達も理事長室に――」
キィーン!バチバチ⚡
花帆「!」
小鈴「!」
梢「!」
小鈴「え、なんで?」
梢「これは、どういうことなの...」
花帆「令呪が――」
小鈴「徒町の令呪が、消えた?」
――――――
376: 2025/02/08(土) 22:34:29 ID:???00
[ Interlude in ]
吟子「はあ...はあ...」バタン
綴理「惜しかったね、キャスター」
吟子「とわ...!」
綴理「今は夕霧綴理だ。わざわざ人格まで寄せてる努力を尊重してほしいな」
綴理「器の記憶があるとはいえ、夕霧綴理は演じるのが難しいんだ...」
吟子「何のために、こんなことを...」
綴理「何のためって...」
綴理「決まっているだろう、すべては『根源』へ至るため」
綴理「百生の魔術は魔法に近しいが、あと一歩及ばなかった」
綴理「そのあと一歩を埋めるために、優秀な魔術師の体が必要だったんだ」
吟子「はあ...はあ...」バタン
綴理「惜しかったね、キャスター」
吟子「とわ...!」
綴理「今は夕霧綴理だ。わざわざ人格まで寄せてる努力を尊重してほしいな」
綴理「器の記憶があるとはいえ、夕霧綴理は演じるのが難しいんだ...」
吟子「何のために、こんなことを...」
綴理「何のためって...」
綴理「決まっているだろう、すべては『根源』へ至るため」
綴理「百生の魔術は魔法に近しいが、あと一歩及ばなかった」
綴理「そのあと一歩を埋めるために、優秀な魔術師の体が必要だったんだ」
377: 2025/02/08(土) 22:35:42 ID:???00
吟子「そんなことの為に、今まで何人もの生徒を犠牲に...」
吟子「許せない!一族の恥は必ず私が――うっ...」ガクン
綴理「無理をするな。霊核を破壊したんだ、もう何もできないよ」
綴理「でも一応トドメは刺しておこうか」スッ
綴理『Crimson lotus』🔥
吟子「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」🔥
吟子「...」バタン
綴理「さてと、理事長のほうはどうかな?――どうやら終わったみたいだね」
綴理「代行者はぼくの天敵だからね。連絡される前に殺せてよかった」
吟子「許せない!一族の恥は必ず私が――うっ...」ガクン
綴理「無理をするな。霊核を破壊したんだ、もう何もできないよ」
綴理「でも一応トドメは刺しておこうか」スッ
綴理『Crimson lotus』🔥
吟子「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」🔥
吟子「...」バタン
綴理「さてと、理事長のほうはどうかな?――どうやら終わったみたいだね」
綴理「代行者はぼくの天敵だからね。連絡される前に殺せてよかった」
378: 2025/02/08(土) 22:37:52 ID:???00
吟子(ダメだ、体を保てない...消える...)
吟子(ごめんね、花帆。加賀縫い教えるって約束、果たせなかった)
吟子(勝手に消えて怒るだろうな。でも、もしかしたら少しホッとするかも)
吟子(マスターでなくなれば、今度こそ戦いからは身を引け――)
綴理「これで日野下花帆を護る者はいなくなった」
綴理「後はバーサーカーを頃して体を乗っ取るだけ」
あ、ああ。あああ!何を呆けてるんだ私は!
こいつの狙いは花帆に決まってる!
私がいなくなれば、いったい誰が花帆を護るの!
吟子(決めたはずだ。どんな手段を使っても花帆を護るって!)
吟子(ごめんね、花帆。加賀縫い教えるって約束、果たせなかった)
吟子(勝手に消えて怒るだろうな。でも、もしかしたら少しホッとするかも)
吟子(マスターでなくなれば、今度こそ戦いからは身を引け――)
綴理「これで日野下花帆を護る者はいなくなった」
綴理「後はバーサーカーを頃して体を乗っ取るだけ」
あ、ああ。あああ!何を呆けてるんだ私は!
こいつの狙いは花帆に決まってる!
私がいなくなれば、いったい誰が花帆を護るの!
吟子(決めたはずだ。どんな手段を使っても花帆を護るって!)
379: 2025/02/08(土) 22:38:52 ID:???00
吟子(見栄もプライドも捨てろ。私で守れないなら、もっと強いものに花帆を託す!)
吟子(花帆の令呪はあと2画。一つ使わせてもらうよ、花帆)
キィーン!バチバチ⚡
遠隔で令呪を強制発動し、宝具の使用に必要な魔力を補充する。
吟子(花帆を支点にして、近くにいるサーヴァントと、私の魂を“結ぶ”!)
吟子(本物みたいに入れ替えることはできなくても、上手くいけば契約を上書きできるはず!)
吟子(花帆...あなたは生き延びてね)
吟子「宝具『花結び』!」
吟子(花帆の令呪はあと2画。一つ使わせてもらうよ、花帆)
キィーン!バチバチ⚡
遠隔で令呪を強制発動し、宝具の使用に必要な魔力を補充する。
吟子(花帆を支点にして、近くにいるサーヴァントと、私の魂を“結ぶ”!)
吟子(本物みたいに入れ替えることはできなくても、上手くいけば契約を上書きできるはず!)
吟子(花帆...あなたは生き延びてね)
吟子「宝具『花結び』!」
380: 2025/02/08(土) 22:39:22 ID:???00
綴理「なに?」
吟子「」キラキラ…
夕霧綴理が振り返った時、すでにキャスターは消滅していた。
綴理「宝具と聞こえた気がしたけど、間に合わなかったのかな?」
綴理「まあいいや。さすがにサーヴァントとやり合うのは疲れた...」
綴理「バーサーカーの処理と、日野下花帆を奪うのは明日にしよう」
綴理「日野下花帆の魔術があれば、ついに根源に手が届く。これで――」
[ Interlude out ]
吟子「」キラキラ…
夕霧綴理が振り返った時、すでにキャスターは消滅していた。
綴理「宝具と聞こえた気がしたけど、間に合わなかったのかな?」
綴理「まあいいや。さすがにサーヴァントとやり合うのは疲れた...」
綴理「バーサーカーの処理と、日野下花帆を奪うのは明日にしよう」
綴理「日野下花帆の魔術があれば、ついに根源に手が届く。これで――」
[ Interlude out ]
381: 2025/02/08(土) 22:40:16 ID:???00
小鈴「徒町の令呪が、消えた?」
梢「どういうことなの!なんで私のパスが花帆と繋がっているのよ!!」
花帆「わ、わからない!あたしにも何が起きてるのか...」
梢「小鈴さん、令呪が消えた時に何か感じなかった?」
小鈴「え、いや突然だったからよくわからない...」
花帆「――吟子ちゃんは?」
花帆「あたしのパスがバーサーカーと繋がってるなら、吟子ちゃんはどうなってるの!!」
梢「...」
花帆「ねえ!!!」
小鈴「か、花帆先輩、落ち着いてください!」
梢「――取り合ず現状を整理しましょう」
梢「どういうことなの!なんで私のパスが花帆と繋がっているのよ!!」
花帆「わ、わからない!あたしにも何が起きてるのか...」
梢「小鈴さん、令呪が消えた時に何か感じなかった?」
小鈴「え、いや突然だったからよくわからない...」
花帆「――吟子ちゃんは?」
花帆「あたしのパスがバーサーカーと繋がってるなら、吟子ちゃんはどうなってるの!!」
梢「...」
花帆「ねえ!!!」
小鈴「か、花帆先輩、落ち着いてください!」
梢「――取り合ず現状を整理しましょう」
382: 2025/02/08(土) 22:41:17 ID:???00
梢「まずは確実にわかっていることから」
梢「小鈴さんの令呪が消えて、私のマスターが花帆に変わったわ」
梢「もしかしたら順番が逆の可能性もあるわね」
梢「私のマスターが花帆になったから、小鈴さんの令呪が消えた...」
花帆「なんで、そんなことが」
梢「問題はそこよね、誰が、なぜ、何のためにこれを行ったのか」
小鈴「“誰”はキャスターか大賀美理事長だよね?」
梢「まだ断定できないわ...誰が、については保留するしかないわね」
花帆「じゃあ“なぜ”?」
小鈴「キャスターを倒すために魔力提供を切る、とか...?」
梢「小鈴さんの令呪が消えて、私のマスターが花帆に変わったわ」
梢「もしかしたら順番が逆の可能性もあるわね」
梢「私のマスターが花帆になったから、小鈴さんの令呪が消えた...」
花帆「なんで、そんなことが」
梢「問題はそこよね、誰が、なぜ、何のためにこれを行ったのか」
小鈴「“誰”はキャスターか大賀美理事長だよね?」
梢「まだ断定できないわ...誰が、については保留するしかないわね」
花帆「じゃあ“なぜ”?」
小鈴「キャスターを倒すために魔力提供を切る、とか...?」
383: 2025/02/08(土) 22:42:23 ID:???00
梢「マスターとの契約を切る...そういう宝具もあるのかもしれないけれど」
梢「だとしたら、わざわざ私と花帆を契約させる必要はないわ」
梢「私への魔力提供が増えて、却って相手を強化することになるもの」
小鈴「ならやっぱり、敵じゃなくてキャスターが自分でやったんじゃ...」
花帆「それこそ“何のために”だよ!」
花帆「あたしのサーヴァントは吟子ちゃんなのに、なんで吟子ちゃんがそんなことするの!」
梢「――花帆、あなたも本当はわかっているんじゃないの?」
花帆「知らない...」
梢「キャスターは消滅し――」
花帆「知らない!!」
小鈴「花帆先輩...」
梢「だとしたら、わざわざ私と花帆を契約させる必要はないわ」
梢「私への魔力提供が増えて、却って相手を強化することになるもの」
小鈴「ならやっぱり、敵じゃなくてキャスターが自分でやったんじゃ...」
花帆「それこそ“何のために”だよ!」
花帆「あたしのサーヴァントは吟子ちゃんなのに、なんで吟子ちゃんがそんなことするの!」
梢「――花帆、あなたも本当はわかっているんじゃないの?」
花帆「知らない...」
梢「キャスターは消滅し――」
花帆「知らない!!」
小鈴「花帆先輩...」
384: 2025/02/08(土) 22:43:40 ID:???00
ピロン
花帆「メール...大賀美理事長!?」
小鈴「!」
梢「!」
花帆「なんであたしのアドレスを――」
『キャスターについて話がある。明日、夜9時に理事長室へ来てくれ。』
小鈴「これって...」
梢「罠でしょうね。でもどうして花帆なのかしら?」
梢「キャスターを倒したのなら、次に狙うのは小鈴さんじゃないの?」
小鈴「もしかして、狙いはサーヴァントじゃなくて花帆先輩?」
梢「花帆が狙われる理由なんて――」
ピロン
花帆「もう一通、また理事長からだ」
花帆「ん?」
――――――
花帆「メール...大賀美理事長!?」
小鈴「!」
梢「!」
花帆「なんであたしのアドレスを――」
『キャスターについて話がある。明日、夜9時に理事長室へ来てくれ。』
小鈴「これって...」
梢「罠でしょうね。でもどうして花帆なのかしら?」
梢「キャスターを倒したのなら、次に狙うのは小鈴さんじゃないの?」
小鈴「もしかして、狙いはサーヴァントじゃなくて花帆先輩?」
梢「花帆が狙われる理由なんて――」
ピロン
花帆「もう一通、また理事長からだ」
花帆「ん?」
――――――
385: 2025/02/08(土) 22:44:34 ID:???00
[ Interlude in ]
グサッ!
沙知『百生...とわ...』バタン
心臓を一突きにされた大賀美沙知は、胸から鮮血を止めどなく流して床に伏す。
綴理『危なかった。もう少しで聖堂協会に連絡されるところだった』
綴理『せっかくだ。理事長の名前で花帆を呼び出そう』
綴理『えーと、確か全校生徒のメールアドレスが...』
綴理『あった。日野下花帆』
綴理『キャスターについて話があります。明日、夜9時に理事長室へ来てください。』
綴理『んーなんか違うな。もう少し上から目線な感じで...』
カタカタカタ
綴理『これでよし。部屋に籠られると厄介だし、キャスターの名前を出せば出てくるよね』
グサッ!
沙知『百生...とわ...』バタン
心臓を一突きにされた大賀美沙知は、胸から鮮血を止めどなく流して床に伏す。
綴理『危なかった。もう少しで聖堂協会に連絡されるところだった』
綴理『せっかくだ。理事長の名前で花帆を呼び出そう』
綴理『えーと、確か全校生徒のメールアドレスが...』
綴理『あった。日野下花帆』
綴理『キャスターについて話があります。明日、夜9時に理事長室へ来てください。』
綴理『んーなんか違うな。もう少し上から目線な感じで...』
カタカタカタ
綴理『これでよし。部屋に籠られると厄介だし、キャスターの名前を出せば出てくるよね』
386: 2025/02/08(土) 22:45:30 ID:???00
これが、“数分後”の自分の運命だ。
大賀美沙知には千里眼がある。
しかし今まで、こんなに鮮明に未来が見えたことはなかった。
沙知(氏の間際で覚醒か...遅すぎるねぃ)
だがおかげで、夕霧綴理が花帆を狙っていることはわかった。
沙知(聖堂協会への連絡か、花帆への連絡か...いや、迷うことなんてない)
沙知(目の前の若者の命を優先せずして、なにが聖職者だ!)
とは言え、私が花帆へメールで危機を知らせたとしても、履歴が残ってしまう。
花帆に正体がバレたと知れば、予定を変更してすぐにでも動いてしまう可能性がある。
千里眼で見れる未来は絶対じゃない。
私が行動することで未来が変われば、せっかくのアドバンテージが無くなってしまう。
大賀美沙知には千里眼がある。
しかし今まで、こんなに鮮明に未来が見えたことはなかった。
沙知(氏の間際で覚醒か...遅すぎるねぃ)
だがおかげで、夕霧綴理が花帆を狙っていることはわかった。
沙知(聖堂協会への連絡か、花帆への連絡か...いや、迷うことなんてない)
沙知(目の前の若者の命を優先せずして、なにが聖職者だ!)
とは言え、私が花帆へメールで危機を知らせたとしても、履歴が残ってしまう。
花帆に正体がバレたと知れば、予定を変更してすぐにでも動いてしまう可能性がある。
千里眼で見れる未来は絶対じゃない。
私が行動することで未来が変われば、せっかくのアドバンテージが無くなってしまう。
387: 2025/02/08(土) 22:46:46 ID:???00
沙知(何か...何かないのか!夕霧綴理にバレずに花帆に連絡を取る方法...)
沙知(いや、待てよ...そうか!奴より後に送ればいいんだ!)
カタカタカタ!
沙知「送信予約っと」ポチ
コンコン ガチャ
綴理「こんばんわ。大賀美理事長」
沙知「待っていたよ、夕霧綴理」
沙知「いや、――百生とわ」
[ Interlude out ]
沙知(いや、待てよ...そうか!奴より後に送ればいいんだ!)
カタカタカタ!
沙知「送信予約っと」ポチ
コンコン ガチャ
綴理「こんばんわ。大賀美理事長」
沙知「待っていたよ、夕霧綴理」
沙知「いや、――百生とわ」
[ Interlude out ]
388: 2025/02/08(土) 22:49:04 ID:???00
『夕霧綴理の正体は百生とわだ。次は花帆が狙われている』
花帆「...」
小鈴「???これは、どういう意味ですか?」
梢「私にもさっぱり...」
花帆「百生とわ...確か吟子ちゃんが言ってた」
――――――
吟子『その時の当主の『とわ』って人が、御霊移しの魔術刻印を持ったまま夜逃げしたんだって』
――――――
花帆「御霊移し!!!」
小鈴「みたまうつし?さっきから何なんですか?」
花帆「吟子ちゃんから聞いた話なんだけど――」
花帆「...」
小鈴「???これは、どういう意味ですか?」
梢「私にもさっぱり...」
花帆「百生とわ...確か吟子ちゃんが言ってた」
――――――
吟子『その時の当主の『とわ』って人が、御霊移しの魔術刻印を持ったまま夜逃げしたんだって』
――――――
花帆「御霊移し!!!」
小鈴「みたまうつし?さっきから何なんですか?」
花帆「吟子ちゃんから聞いた話なんだけど――」
389: 2025/02/08(土) 22:50:30 ID:???00
――――――
梢「なるほど、にわかには信じがたい話だけれど」
小鈴「えっと...つまり今の夕霧先輩は偽物ってこと?」
梢「ありえない話ではないってことよ」
小鈴「じゃあ、最初のメールはいったい...」
花帆「もしかして、夕霧先輩が送ったんじゃない?」
花帆「夕霧先輩が理事長を襲って、理事長のパソコンからメールを送ったとか」
梢「ありえないわ。なら理事長は襲われた後に、2通目のメールを送ってきたの?」
花帆「よく見て!このメール、予約送信だよ!きっと襲われる前に設定してたんだよ!」
梢「よやく、そうしん?というのはよくわからないけれど...」
梢「まあ、あなた達がわかってるならいいわ」
梢「なるほど、にわかには信じがたい話だけれど」
小鈴「えっと...つまり今の夕霧先輩は偽物ってこと?」
梢「ありえない話ではないってことよ」
小鈴「じゃあ、最初のメールはいったい...」
花帆「もしかして、夕霧先輩が送ったんじゃない?」
花帆「夕霧先輩が理事長を襲って、理事長のパソコンからメールを送ったとか」
梢「ありえないわ。なら理事長は襲われた後に、2通目のメールを送ってきたの?」
花帆「よく見て!このメール、予約送信だよ!きっと襲われる前に設定してたんだよ!」
梢「よやく、そうしん?というのはよくわからないけれど...」
梢「まあ、あなた達がわかってるならいいわ」
390: 2025/02/08(土) 22:51:48 ID:???00
小鈴「まとめると...理事長は夕霧先輩に襲われることを察知して...」
小鈴「予約送信メールで危険を知らせてくれたってこと?」
梢「2通目のメールを信じるなら、そうなるのわね」
梢「そして、理事長が夕霧綴理に襲われたのだとしたら...」
梢「理事長と一緒にいたキャスターは、アーチャーにやられたと考えるべきね」
花帆「そんな...!」
花帆「吟子ちゃんの嘘つき。一人で戦わないって約束したのに...」
梢「...それでも、キャスターは最後まで花帆を護ろうとしたのよ」
梢「だから、いなくなる自分の代わりに、私を花帆と繋げたのでしょうね」
花帆「そういえば吟子ちゃん、宝具で御霊移しに似たことができるって...」
梢「なるほど、私たちは幽霊みたいなものだから、そういう反則技もできるのかしら?」
小鈴「予約送信メールで危険を知らせてくれたってこと?」
梢「2通目のメールを信じるなら、そうなるのわね」
梢「そして、理事長が夕霧綴理に襲われたのだとしたら...」
梢「理事長と一緒にいたキャスターは、アーチャーにやられたと考えるべきね」
花帆「そんな...!」
花帆「吟子ちゃんの嘘つき。一人で戦わないって約束したのに...」
梢「...それでも、キャスターは最後まで花帆を護ろうとしたのよ」
梢「だから、いなくなる自分の代わりに、私を花帆と繋げたのでしょうね」
花帆「そういえば吟子ちゃん、宝具で御霊移しに似たことができるって...」
梢「なるほど、私たちは幽霊みたいなものだから、そういう反則技もできるのかしら?」
391: 2025/02/08(土) 22:53:12 ID:???00
花帆「......吟子ちゃんは、まだあたしに戦えって言うの?」
花帆「もう戦いたくないって言ったのに...ずるいよ。自分だけいなくなって」
梢「花帆」
花帆「わかった。もう一度だけ戦う」
花帆「もし本当に夕霧先輩が百生とわなら、吟子ちゃんにとっても因縁のある相手だし」
花帆「せめて、吟子ちゃんの仇は打つよ」
梢「なら、明日は3人で理事長室に乗り込むわよ。夕霧綴理とアーチャーを倒すわ!」
小鈴「待って!それなんだけど、徒町いいこと思いついたかも!」
梢「小鈴さん?」
小鈴「夕霧先輩はキャスターを倒したから、花帆先輩が一人で来るって思ってるんだよね?」
小鈴「なら――」
花帆「もう戦いたくないって言ったのに...ずるいよ。自分だけいなくなって」
梢「花帆」
花帆「わかった。もう一度だけ戦う」
花帆「もし本当に夕霧先輩が百生とわなら、吟子ちゃんにとっても因縁のある相手だし」
花帆「せめて、吟子ちゃんの仇は打つよ」
梢「なら、明日は3人で理事長室に乗り込むわよ。夕霧綴理とアーチャーを倒すわ!」
小鈴「待って!それなんだけど、徒町いいこと思いついたかも!」
梢「小鈴さん?」
小鈴「夕霧先輩はキャスターを倒したから、花帆先輩が一人で来るって思ってるんだよね?」
小鈴「なら――」
392: 2025/02/08(土) 22:54:21 ID:???00
――――――
梢「正気!?いくら何でも危険すぎるわ!」
小鈴「でもこの方法なら、上手くいけばアーチャーと戦わずに夕霧先輩を捕まえられるかも!」
梢「失敗すれば小鈴さんが殺されるかもしれないのよ!」
小鈴「大丈夫!徒町はもう...マスターじゃなくなっちゃったし!」
小鈴「マスターじゃない人を頃してもしょうがないでしょ!」
梢「...小鈴さん。あなた、自暴自棄になっていない?」
小鈴「っ!そんなこと」
花帆「...ごめんね、あたしのせいだよね」
花帆「あたしが、バーサーカーのマスター権を取っちゃったから」
小鈴「...」
梢「正気!?いくら何でも危険すぎるわ!」
小鈴「でもこの方法なら、上手くいけばアーチャーと戦わずに夕霧先輩を捕まえられるかも!」
梢「失敗すれば小鈴さんが殺されるかもしれないのよ!」
小鈴「大丈夫!徒町はもう...マスターじゃなくなっちゃったし!」
小鈴「マスターじゃない人を頃してもしょうがないでしょ!」
梢「...小鈴さん。あなた、自暴自棄になっていない?」
小鈴「っ!そんなこと」
花帆「...ごめんね、あたしのせいだよね」
花帆「あたしが、バーサーカーのマスター権を取っちゃったから」
小鈴「...」
393: 2025/02/08(土) 22:55:17 ID:???00
正直に言うと、ショックだった。
たった一週間だけど、バーサーカーとはたくさん話したし、一緒に戦ってきた。
それに昨夜、やっと本当の意味でマスターになれた気がした矢先に、突然繋がりが切れてしまったのだ。
令呪の熱が消えた右手は、なんだかとても寂しく感じた。
梢「小鈴さん...魔術的な繋がりは途絶えてしまったけれど」
梢「私のマスターは今でも、小鈴さんのままよ」
小鈴「バーサーカー...」
梢「小鈴さん、私に言ってくれたじゃない」
梢「あなたは私の“相棒”だと」
小鈴「!」
梢「マスターで無くなろうとも、そんなの関係ないわ!」
梢「小鈴さんは、私の大切な相棒よ!」
たった一週間だけど、バーサーカーとはたくさん話したし、一緒に戦ってきた。
それに昨夜、やっと本当の意味でマスターになれた気がした矢先に、突然繋がりが切れてしまったのだ。
令呪の熱が消えた右手は、なんだかとても寂しく感じた。
梢「小鈴さん...魔術的な繋がりは途絶えてしまったけれど」
梢「私のマスターは今でも、小鈴さんのままよ」
小鈴「バーサーカー...」
梢「小鈴さん、私に言ってくれたじゃない」
梢「あなたは私の“相棒”だと」
小鈴「!」
梢「マスターで無くなろうとも、そんなの関係ないわ!」
梢「小鈴さんは、私の大切な相棒よ!」
394: 2025/02/08(土) 22:56:21 ID:???00
小鈴「...っ、うん!」ウルウル
小鈴「ありがとう...!バーサーカー!」ギュッ
梢「まあ!あらあら...えっと、どうすればいいのかしら?」ヨシヨシ
小鈴「ぐすっ...」
梢「だから小鈴さん、自分を犠牲にしようなんて考えなくていいのよ」
梢「小鈴さんも花帆も、私がまとめて守って見せるわ」
小鈴「ううん。徒町の考えは変わらないよ!」
小鈴「バーサーカーとアーチャーが揃えば、確実に戦闘になる」
小鈴「話し合いに持ち込めれば、もしかしたらアーチャーを仲間に引き入れることもできるかもしれない!」
小鈴「ありがとう...!バーサーカー!」ギュッ
梢「まあ!あらあら...えっと、どうすればいいのかしら?」ヨシヨシ
小鈴「ぐすっ...」
梢「だから小鈴さん、自分を犠牲にしようなんて考えなくていいのよ」
梢「小鈴さんも花帆も、私がまとめて守って見せるわ」
小鈴「ううん。徒町の考えは変わらないよ!」
小鈴「バーサーカーとアーチャーが揃えば、確実に戦闘になる」
小鈴「話し合いに持ち込めれば、もしかしたらアーチャーを仲間に引き入れることもできるかもしれない!」
395: 2025/02/08(土) 22:57:01 ID:???00
梢「でも――」
小鈴「お願いバーサーカー!徒町を信じて!」
梢「...」
梢「本当に、こうと決めたら曲らないわね。小鈴さんは」
梢「危ないと思ったらすぐに逃げるのよ」
小鈴「うん!」
梢「なら、明日は夜までにみっちり小鈴さんを仕込むわ!」
梢「怪我や体力の回復は、花帆に任せて問題ないわね?」
花帆「任せて」
梢「2人とも、明日は気合を入れていくわよ!」
「「おー!」」
小鈴「お願いバーサーカー!徒町を信じて!」
梢「...」
梢「本当に、こうと決めたら曲らないわね。小鈴さんは」
梢「危ないと思ったらすぐに逃げるのよ」
小鈴「うん!」
梢「なら、明日は夜までにみっちり小鈴さんを仕込むわ!」
梢「怪我や体力の回復は、花帆に任せて問題ないわね?」
花帆「任せて」
梢「2人とも、明日は気合を入れていくわよ!」
「「おー!」」
397: 2025/02/08(土) 23:59:11 ID:???00
引用: 【SS】小鈴「聖杯戦争?」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります