294:sister ban 2009/09/26(土) 23:07:58 ID:FK//XWMk

風邪引いて寝てうなされてたらこんな夢(お姉ちゃん視点で)を見た……
と言う事でかたちにしてみました。


295: 2009/09/26(土) 23:08:52 ID:FK//XWMk
 執務室で下された突然の命令に、トゥルーデは顔色を変えた。
「どうしてだ、説明してくれミーナ!」
「どうしてもです。命令に背いた場合は……分かっているわね?」
「そんな……急に」
「異議は?」
「……」
「無いなら退出して宜しい」

 501隊長のミーナからトゥルーデに下されたひとつの「命令」。それは「“お姉ちゃん”禁止令」だった。
 最初ジョークかと思ったトゥルーデは鼻で笑ったが、ミーナの刺す様な視線を受けて押し黙った。
隊の規律に関わる、最先任尉官がそんな体たらくでどうする……理由は幾つか有ったが、
結論から言うと、どうやらミーナは本気らしい。
「大変な事になったね、トゥルーデ」
 執務室を出たトゥルーデに声を掛けるエーリカ。
「ああ。しかしいきなり禁止と言われても……私にどうしろと」
 とぼとぼと歩くトゥルーデの横につくエーリカ。
「普段通り、後はすこ~し真面目な感じで良いんじゃない?」
 エーリカの何気ない一言に、トゥルーデは取り乱した。
「ふ、普段通り? 真面目? 普段そんなに乱れてるか? この私が?」
「自覚無いんだ」
「自覚……」
 エーリカにぽつりと言われ動揺するトゥルーデ。
「よっ、堅物。中佐に絞られたんだって? お姉ちゃん禁止だってな。お前が氏なないか心配だよ」
 いつの間に聞きつけたのか、シャーリーが二人の横に並んでニヤニヤ顔をトゥルーデに向ける。
「リベリアン……耳が早いな。使い魔がウサギだけにか?」
「一言多いよ。しかし、お姉ちゃん禁止ねえ……」
「何が言いたい」
「確かにアンタは“お姉ちゃん”だわな。ルッキーニ見る目がそうだもん」
「なっ!? 何故そこでルッキーニが出てくる」
「自覚無いんだ」
 エーリカと同じセリフを言われ、言葉に詰まるトゥルーデ。
「ま、ルッキーニだけじゃないな。例えば代表例として宮藤だろ? お前が宮藤を見る目、ありゃ常軌を逸してるよな」
「な、何の事だ!?」
「またまた~」
 肘でつついてにやけるシャーリー。
「あとはサーニャだろ、リーネだろ……てか、隊員の大半を見る目が」
「そんな事は無い!」
「有るってば。第一この前、ロンドンであたしと……んがっんぐっ」
「ばばば馬鹿! それは言うな!」
 慌ててシャーリーの口を塞ぐトゥルーデ。
「へえ、この前私に話した他に何か有るんだ?」
「違う、無い! 誤解するなエーリカ」
 つまらなそうに、ぷいと横を向き何処かへと歩いていくエーリカ。
「さて、堅物で遊んだ事だし、あたしもルッキーニのとこ行くか」
「リベリアン、貴様あっ!」
 怒鳴られたシャーリーは脱兎の如く駆け出した。
 独り残されたトゥルーデは、立ち止まり下を向いて数分考え込んだ後、執務室をもう一度訪れる事にした。

296: 2009/09/26(土) 23:10:02 ID:FK//XWMk
「あらトゥルーデ。どうしたのかしら」
 笑顔のミーナ。だが先程のやり取りが有った手前、目が笑っていない。
「ミーナ、さっきの命令、考え直してくれないか? 私の何処がお姉ちゃんなんだ? 
私のせいで隊の行動に支障が出るなら……でも」
「他に言いたい事は?」
「ミーナ、そんな顔するな! 私は、隊の皆の事を心配して、皆の心の支えに、だな」
「それが免罪符になるとでも? それが貴方の答え?」
「なっ」
「私の答えは……」
 ミーナは拳銃を抜いた。トゥルーデは恐ろしくなって執務室から飛び出した。

 裏庭の木陰で独りぼんやりと考えを巡らせる。
 どうすれば良いのか。微風に揺れる木漏れ日はゆらゆらとトゥルーデの顔を優しく照らすが、
答えを導き出す手がかりにはならなかった。静かに時間だけが過ぎていく。
「珍しい。こんな所にバルクホルンが居るとはな」
 美緒だった。扶桑刀を小脇に抱えているところから、素振りでもしに来たのだろうか。
「ああ、少佐」
「なんだ、ぼけっとして。お前らしくも無い。元気出せ!」
 美緒の豪快な笑いもトゥルーデには届かない。
 不意に笑いを止めた美緒は真面目な顔で言った。
「まあ、ミーナの言いたい事も分からんではないがな」
「少佐」
「お前は好きでお姉ちゃんをやっているだけだろう?」
「え?」
「繰り返させるな」
 美緒の言葉に気圧されたのか、トゥルーデは咄嗟に思いつく答えを並べた。
「……ち、違う、それだけじゃない。私は隊の最先任尉官だし、隊の皆の事だ、私が面倒見なければ」
「隊にそんな規則有ったか? 義務だとでも言いたいのか?」
「ううっ……」
「そんな理屈付けて、姉妹ごっこか」
 美緒はトゥルーデの胸倉を掴んで、なじった。トゥルーデは何も言い返せなかった。
「情けない」
 美緒は呆れ、トゥルーデを突き放した。
「そんな堅苦しい。嫌なら辞めたらどうだ」
 それだけ言うと、美緒は刀を肩に掛け、その場を立ち去った。
 トゥルーデは、美緒の背中に目を向けた。
「好きで、お姉ちゃん……」
 はっと気付く。
「坂本少佐、やはり貴方は凄い天然ジゴロだ。私は、やっと分かった」

 三度、執務室に戻るトゥルーデ。ばたんと扉を閉める。
 窓の外を見ていたミーナは振り返り、トゥルーデを険しい顔で見つめた。
 一方、執務室に向かう只ならぬ様子のトゥルーデに気付いた何名かの隊員が、
 そっと執務室の外に集まり、扉越しに中の会話を盗み聞きしていた。
 ミーナはトゥルーデを見て、言った。
「トゥルーデ、やっとお姉ちゃんを辞める覚悟ができたの?」
「なあ、ミーナ」
 トゥルーデはそっと机に手を付き、ふっと軽く息をつき、言葉を続けた。
「私は妹が好きだ」
 怪訝そうな表情を作るミーナを前に、トゥルーデは吹っ切れた笑みを浮かべ、続けた。
「やっと気づいたよ。隊員達の為だとか、心の支えだとか、年下だとか……、そんなのは理屈だ。
私は妹が好きで、私がお姉ちゃんである事が好きなんだ。お前だって私の妹だぞミーナ。
妹のクリスだって、愛してるのはお姉ちゃんであるこの私だ」
 黙って話を聞くミーナ。トゥルーデは真剣な目でミーナを見た。
「誰に与えられた使命でも義務でもない。だから……、だからこそ絶対にお姉ちゃんを辞める訳にはいかない!」
 扉の向こう側で耳を傾ける一同の中に、美緒の姿も有った。
「使命ではないからこそ……。好きだから、お姉ちゃん……」
 そっと呟く美緒。
「私は皆のお姉ちゃんなんだ。私はお姉ちゃんを辞めない」
 言い切るトゥルーデ。抗命罪を覚悟の、最大限の勇気。それだけではない、自信にも等しい、
いやそれ以上の瞳の輝きを見せる。
 ミーナはじっとトゥルーデを見ていたが、やがてふっと笑い、頷いた。
「それで良いわ、お姉ちゃん」
 ミーナはトゥルーデに寄り添い、そっと抱きしめた。
「ミーナ、有難う」
 刹那、扉が勢い良く開かれ、隊員達が転がり込んで来た。
「バルクホルンさん、凄い度胸です!」
「よく分からないけど、けど……うーん」
「大尉……何てあっさりとご自分の性癖を……しかも中佐まで」
「はっはっは、やったなバルクホルン! ミーナを説得するとは筋金入りだぞ!」
「トゥルーデってば……」
「でも自ら認めたって事ハ……サーニャが危なイ!」
「エイラ、貴方も」
「おウッ!?」

297: 2009/09/26(土) 23:10:42 ID:FK//XWMk
 そんな執務室の様子を、窓越しに見やるシャーリーとルッキーニ。
「ウジャー 何か楽しそう」
「ま、解決したって事だろ。あの堅物も」
「シャーリー、楽しそう」
「そう見えるかい?」
「笑ってるよ」
「うん……まあ、どうだろ」
「ヘンなシャーリー。ところでさ」
「どした?」
「あたしの名前、なんだっけ? ど忘れしちゃった」
「はあ? お前は何を言ってるんだ」

end

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以上です。
公式サイトの鑑賞会のお姉ちゃんとか、
先日のイベントで明らか(?)になった
ルッキーニ→シャーリー→トゥルーデ→ルッキーニ
の関係(?)とか、中の人が名前を……とか、その辺りをネタに。
あと暴走するお姉ちゃんの元ネタは某特撮の名シーンから。
分かる人だけにどうぞ。分かりにくいですが。

ではまた~。

299: 2009/09/27(日) 10:56:51 ID:0niJqSEA
お姉ちゃん変Oすぎるw

引用: ストライクウィッチーズ避難所3