66:無限の命を刻んだ永遠の時間 2006/08/03(木) 19:46:31.09 ID:P8yXohxtO


無限の命を刻んだ永遠の時間
宇宙に無数に存在する惑星
その中の一つに過ぎないこの星に生まれた命
何億と生きる人間の中の一つの私
なんのためにこの星に生まれたのか
なんのためにこうして生きているのか

誰もその答えを知らない

71: 2006/08/03(木) 19:50:17.45 ID:P8yXohxtO
ふと怖くなり顔を上げる

放課後の部室
誰もいない静寂

無数に存在する命
しかし私を知っているのはそのわずか

怖くなる

孤独?
恐怖?

心が痛い
とても苦しい

私は、サミシイ

76: 2006/08/03(木) 19:54:00.05 ID:P8yXohxtO
まるで自分が世界に取り残されたような感覚
誰一人私を必要としていない

―――――ヤダ!

なんで誰もいないの?
キョン?有希?みくるちゃん?古泉くん?

部室のドアに手をかける
しかしそれは開かない

79: 2006/08/03(木) 19:56:06.37 ID:P8yXohxtO
ドアは開かない

なんで?
ここから出して!
ここから出たいの!

助けて!
私はここよ?

誰か!



キョン!

83: 2006/08/03(木) 19:58:49.10 ID:P8yXohxtO

―――――カタン

ふと心がざわめく
私一人だったはずの部屋に気配が生まれた
誰?
キョン?

私はその気配の方へ振り返――――


―――――られない


体が動かない

86: 2006/08/03(木) 20:01:50.81 ID:P8yXohxtO
ヤダ

何これ何コレなにコレナニコレ
背後から近づく気配
汗が溢れる
ドアノブを握ったまま手は動かない
振り返ろうにも首は動かない

少しずつ気配は大きくなる

88: 2006/08/03(木) 20:04:07.51 ID:P8yXohxtO
背後の影は徐々に近づく
声は――――出せない
目を――――つむれない!
そして



その影はすぐ後ろに立つ

92: 2006/08/03(木) 20:07:11.97 ID:P8yXohxtO
身体の背後から手が伸びた
伸びた手は私の手に触れる

――――怖がらないで

あなた誰?
心で呟く

――――私はあなた

あなたは私?
再び呟く

93: 2006/08/03(木) 20:09:39.42 ID:P8yXohxtO
――――あなたの中のもう一人のあなた

――――本当は弱くもろいあなたの心

――――気づいていたんでしょ?

囁く声
私は答えない

――――本当は、誰かに甘えたい

95: 2006/08/03(木) 20:12:29.85 ID:P8yXohxtO
私の願い?
誰かに甘えたい
一人はもうイヤ
でも、そんなのそんなの無理
私はわがまま
私は自分勝手
私はきっと嫌われている

――――あなたが拒絶しているだけ

98: 2006/08/03(木) 20:15:54.48 ID:P8yXohxtO
―私が?

―――そう

―私は、そんなこと

―――ない、と言い切れる?

―私、私

―――本当はわかっていた
―本当はずっと前から



――あいつに


100: 2006/08/03(木) 20:20:04.04 ID:P8yXohxtO
「―――ハルヒ」
急に目が覚める

夢?

目を見開く
目の前にあいつがいた
心配そうに私を見ていた
「ハルヒ、大丈夫か?」
え?

ふと目が冷たくなる

私は泣いていた

101: 2006/08/03(木) 20:23:02.08 ID:P8yXohxtO
「ハルヒ?」
何よ?
「大丈夫か?」
決まってんじゃない
「本当か?」
くどいわね
「そうか」

部室を見渡す
そこにはキョンしかいなかった
そして、外はすでに暗かった

103: 2006/08/03(木) 20:26:02.42 ID:P8yXohxtO
待っててくれたの?
「ああ」
なんで?
「俺の勝手だろ?」

私は言葉を切る
静寂が二人を包む
部室はまるで時が止まったようだった

そして、私は再び口を開く

105: 2006/08/03(木) 20:28:26.87 ID:P8yXohxtO


―――がとう


「え?」
困惑するあいつ
「なんだって?」
二度は言わない
私は無言で席を立つ

荷物を持ち
部室のドアノブに手をかける

106: 2006/08/03(木) 20:31:07.10 ID:P8yXohxtO

「ハルヒ」

背後から声がかかる
私は固まる
そして無言で続きを待った

「明日からもまた、がんばろうな」

震える肩をおさめる
あいつに振り返る
そして今度ははっきりと口にする

107: 2006/08/03(木) 20:32:24.42 ID:P8yXohxtO





      ありがとう





涼宮ハルヒの短編‐完‐

引用: ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」