1: 2012/06/02(土) 21:03:25.69 ID:S5b1xIlE0
鈴「んもう、一夏はどこに行ったのよ」

鈴「お昼くらい一緒じゃないとほとんど会えないじゃない!」

鈴「今日だってせっかく一夏の分も用意してたのにな。……一夏のばーか、ん?」~♪

鈴「メール? 知らないアドレスからね、迷惑メールかしら?」ピッ



 屋上に行け
 織斑一夏はそこにいる



5: 2012/06/02(土) 21:05:22.14 ID:S5b1xIlE0
鈴「……なによ、これ。いたずら?」

鈴「屋上に一夏がいるですって? そんなこと、どうしてあたしに匿名でメールするのよ」

鈴「どうせいたずらよね、うん。あーやだやだ、こんなのに付き合ってる暇はあたしにはないんだから」

鈴「……」

鈴(たちの悪いいたずらじゃないでしょうね。あたしはいいけど、一夏に何かあったりしたら)

鈴(……)

鈴(行くだけ行ってみよう。何かの用であたしを呼びだす口実ってだけかもしれないし)

鈴(べ、別に一夏のことなんか気にしてないわよ? そんなのついでよ、ついで……)

鈴「あーもうやめやめ! 何もなければそれでよし、さっさと行こう!」タッタッタッ...

6: 2012/06/02(土) 21:07:18.68 ID:S5b1xIlE0
鈴「着いたけど……」

鈴(尾行されてる気配は無かったわね。てことは、もうこの近くに……?)

鈴(って、あそこにいるの一夏じゃない! こんな所で一人で何やってんのよ!)

一夏「……」ボーッ

鈴「いーちーかー! 何突っ立ってんのよー!」

一夏「……おー、鈴かー」

鈴「あたしもそっちに行くからねー!」

一夏「好きにしろー」

鈴(……のんきなものね。一夏らしいけどさ)

鈴(さて、あたしが屋上に居ることはアピールできたわね。誰かは知らないけど来るなら来なさい!)

鈴(……) テクテク

鈴(……) キョロキョロ

鈴(……今のところ異常はないわね) テクテク

10: 2012/06/02(土) 21:09:24.79 ID:S5b1xIlE0
鈴(……) キョロキョロ

鈴「……ひゃっ!」ポフッ

一夏「おっと、大丈夫か?」

鈴「う、うん。それより一夏こそ大丈夫だった? 何かされてない?」

一夏「んー? 変なこと聞くのな。しいて言えば、たった今お前にぶつかられたくらいだよ」

鈴「アンタねぇ、そういうことじゃなくって――」

鈴(っと、待て待てあたし。この様子だと一夏に何かあったわけじゃなさそうね)

鈴「じゃあ狙いはあたしか……」キョロキョロ

一夏「何のことだよ?」

鈴「えっ? ああ、な、何でもないわよ? そんなことより、一人でこんなとこで何してたのよ!」

一夏「怒るなよ……。そうだなぁ、ちょっと考え事してた」

鈴「一夏が考え事? ふーん……」

鈴(やっぱり何かあったのかな。でも直球で聞くのはさすがに一夏相手でもまずいわよね)

鈴「ねぇ、あたしも隣に居てもいい?」

一夏「ああ。のんびりしようぜ」

11: 2012/06/02(土) 21:11:31.21 ID:S5b1xIlE0
鈴(……大変なことに気付いちゃった)

一夏「昼間に二人きりってそういや珍しいよなー」

鈴「考えないようにしてたのに! 一夏の馬鹿! ばーか!」ポカポカ

一夏「いてて、だから怒るなって。嫌なら先に教室に帰るよ」

鈴「誰も嫌なんて言ってないわよ! ……たまには、二人きりになりたいし」

鈴(ま、どうせこんなこと言ったって聞こえてないんだろうけど。わかってるのよ) チラッ

一夏「そうか? 鈴に言われると何か変な気分だな」

鈴「なんで聞こえてるのよおおぉーー!!」ポカポカ

鈴(朴念仁のくせに朴念仁のくせに朴念仁のくせにぃぃ!)

鈴(――って、だめだめ! 誰かに見られてるかもしれないんだってば、冷静にならないと……!)

鈴「……ふぅ」

一夏「なあ、今日のお前変じゃないか?」

鈴「誰のせいよ!」ポカッ

12: 2012/06/02(土) 21:13:07.33 ID:S5b1xIlE0
一夏「チャイム鳴ったな。そろそろ教室に戻らねーと」

鈴「え? あ、うん」

鈴(結局動きはなかったわね。あのメール、どういうつもりだったのかしら)

一夏「おい、鈴ってば。遅刻するぞ」

鈴「はいはい、わかってるわよ」

鈴(こうなったらこっちから仕掛けてみる? 一夏とあたしを二人きりにさせるくらいなんだから、これぐらいは……)

鈴(……よしっ!)

一夏「ほら行こうぜ。千冬姉に叱られるのは勘弁だ」

鈴「そ、それは急いだ方が賢明ね。千冬さん恐いもんなぁ」ギュッ

一夏「ん? いきなり俺にくっついたりしてどうしたんだよ」

鈴「いいの、そういう気分なの! ありがたく思いなさいよね!」ギューッ

一夏「セシリアみたいなこと言うのな。まあいいけど、教室の近くまでだぞ」

鈴「……うん」

鈴(ちょっとくらい意識しなさいよ、もう……)

13: 2012/06/02(土) 21:15:21.81 ID:S5b1xIlE0
鈴「……」カリカリ

鈴「……はぁ」

鈴(授業に集中できない。メールの送り主もわかんないし、もやもやしてきたわね……) ヴーッ ヴーッ

鈴(誰かに相談するべき? ううん、まだ早いわよね。もう少し動きがあってからでも) ヴーッ ヴーッ

鈴(……) ヴーッ ...

鈴「……」スッ

鈴(さっきのアドレスから、か。読んでみないと始まらないけど……)

鈴(……)

鈴(……えいっ) ポチッ



 織斑一夏に会えただろう?

16: 2012/06/02(土) 21:17:30.54 ID:S5b1xIlE0
鈴「……っ!」

鈴(どういうことよ。会えただろう、ですって? どこかからこっちを見てるのかと思ってたけど違うのかしら)

鈴(……ううん、まだわかんないわ。素性も知らないやつの言うことなんか疑ってかかるべきよね)

鈴(さて、どうしたものかしら。あたしの方から出来ることといったら……)

鈴(……)

鈴(……) ポチポチ

鈴(……) ポチポチ ポチッ



 アンタ誰よ?

17: 2012/06/02(土) 21:19:45.52 ID:S5b1xIlE0
鈴(これを今送信すれば、この教室にいる人が犯人だってわかるかもしれない)

鈴(……やだなぁ、こういうの。でもこのままやられっぱなしも気分が悪いしね)

鈴(さっきは何もしてこなかったけど、まだ一夏が安全って決まったわけでもない。だったら、やるしかないでしょ?)

鈴(……)

鈴(……送、信っと) ポチッ

鈴(……) キョロキョロ

鈴(携帯が鳴ったりいじってる人は……)

鈴(……いない、かな)

鈴(ほっとしたような、そうでもないような感じね。そもそも先生以外の二組の人とはアドレス交換してるんだった)

鈴(となると、やっぱりあたしの知らない人からのいたずら? 身内よりマシとはいえ……まあ、仕方ないか)

鈴(身内が安全なら誰かに相談してみようかしら。あたしの知り合いで、放課後空いてて、自分のことをしっかり守れそうな子がいいわ)

鈴(……専用機持ちがベターよね。一夏を除いて、四人のうちの誰か、か)

19: 2012/06/02(土) 21:23:09.01 ID:S5b1xIlE0
鈴(誰から相談してみよう。一夏がいればすぐいつもの六人で集まるんだけど)

鈴(最近どこにいるのかさっぱりなのよねあいつ。ま、それが今は好都合ってのが皮肉よねぇ)

鈴(あまり言いふらせるような話でもないし、慎重に一人ずついかないと)

鈴(それにしても、こんなのあたしらしくないわね。でもあいつらだって同じ立場ならこうするわよね? 話が一夏にまで及んでるんだし)

鈴(……相談する前に、一旦整理しておこうかしら)

鈴(今日のお昼、最近あたし達でもどこにいるのか見失いがちな一夏の居場所を、突き止めたメールが送られてきた)

鈴(あたしの知らないアドレスからメールは送られてきて、少なくとも二組の子の仕業ではなかった)

鈴(あたしに一夏と会わせたがってる、かどうかは不明かしらね。意図が読めないのが不気味といえば不気味)

鈴(こんなとこかな。まずは誰に相談してみる?)

鈴(箒――は後にしようかしら。こういうのの対処って苦手そう。あたしが言うのも何だけど、勝手に突っ走りそうだし)

鈴(セシリア――はいいかも。箒よりも機転が利く方よね、シャルロットほどではないにしても)

鈴(シャルロット――やっぱり適役かしら。でもあいつ最近元気なかったのよね、余計な心配させるのは可哀想?)

鈴(ラウラ――箒以上に厄介ね。頼りにはなるだろうけど、事が大袈裟になりそう)

鈴(うーん……)

21: 2012/06/02(土) 21:25:54.25 ID:S5b1xIlE0
鈴「さてっ、行動開始ね」

鈴(まずはセシリアに相談しよっと。その後はシャルロットの様子次第かな)

鈴「どうせ一組にいるわよね。さっさと捕まえちゃわないと」



鈴「――セシリア、ちょっといいかしら」

セシリア「あら、鈴さん。一夏さんはもうどこかに行ってしまいましたわよ?」

鈴「いいのよ。アンタに用事があって来たんだから」

セシリア「珍しいですわね、このわたくしに何か頼み事でも? 鈴さんでしたら良く便宜をはからいますけど」

鈴「あー、そういうんじゃなくってさ。ちょっと相談したいことがあるのよ」

セシリア「相談? ……一夏さんのことでしたら、わたくしからも是非にと考えておりましたわ」

鈴「一夏のこと……もそうかな、でもちょっと違うっていうか。ああもうややこしい!」

セシリア「と、取り敢えずわたくしの部屋に参りませんこと? そこでお伺い致しますわ」

鈴「あ、うん。頼りにしてるからね」

セシリア「お安い御用です。どうせ一夏さんも見当たらないのですし、貴女ともお話したいところでしたもの」

22: 2012/06/02(土) 21:27:54.19 ID:S5b1xIlE0
鈴「――ということがあったのよ」

セシリア「……そんなことがありましたの。薄気味悪いといえばそうですけど、一夏さんと二人きりなんて羨ましいですわね」

鈴「あ、あたしは別にそんなつもりじゃなかったわよ? それどころじゃなかったもの」

セシリア「くすっ、冗談ですわ。それよりも、そのメールが誰から送られてきたのか、ですわね」

鈴「……それもなんだけど、セシリアはどう思う? これ、あたしに対してのいたずらってだけなのかな」

セシリア「何とも言えませんわね……鈴さんと一夏さんを会わせたい、という目論見があったとすれば、むしろ友好的にも取れますが」

鈴「それならわざわざ正体を伏せてまでするようなことじゃないのよね。だから、よくわかんなくって」

セシリア「そういえば、試しに返信されたのでしょう? それに対しての反応はありましたの?」

鈴「ううん、音沙汰なしね。アンタ誰? って聞いて素直に教えてくれるとは思ってなかったからいいけどさ」

セシリア「そうでしたか。むー……一夏さんに危害が加わってるわけではないのですよね?」

鈴「今のところは、ね。でもちょっとだけ、気になることがあるのよ」

セシリア「気になること、ですか」

25: 2012/06/02(土) 21:30:34.39 ID:S5b1xIlE0
鈴「一夏のやつ、考え事してたらしいのよね。屋上でさ」

セシリア「あの一夏さんが? ――物憂げに沈む一夏さんの横顔も、きっと素敵なのでしょうね……」

鈴「ま、まあいつもと雰囲気が違うってのは反則よね……ってそうじゃないわよ!」

セシリア「はっ! わたくしとしたことが……。それで、一夏さんが何をお考えになられていたのかは」

鈴「聞けなかったのよねぇ。いつもの一夏っぽくなかったせいもあるけど」

鈴(普段は聞こえてないくせに……あ、このことは言わないでおこうかな。なんかもったいないし)

セシリア「それですと、既に何らかの事態に巻き込まれてる可能性がありますわね。それなら最近、わたくし達のお相手をして下さらないのも頷けますが」

鈴「……そっか、一夏があたし達とすら一緒にいないようになったのって、そのせいなのかな」

セシリア「断定は出来ませんけど、納得はいきます。……鈴さん、この件をわたくし以外には?」

鈴「誰にも。まずはシャルロットかセシリアで迷ったんだけど、アンタにしたわ」

セシリア「そうですの。……わたくしを高く買ってもらえたと見てよろしいのですか?」

鈴「う、うっさいわねぇ、消去法よ消去法! 箒とラウラは様子を見てからにしようと思ったの!」

セシリア「では、シャルロットさんについては? わたくしが同じ立場なら、先にシャルロットさんに持ち掛けていますわね」

鈴「あたしだってそうしたと思う。シャルロットがいつも通りだったらね」

セシリア「……そうでしたわね。一夏さんが人を避けるようになってから、少し元気がなくなられてるようでしたものね……」

27: 2012/06/02(土) 21:33:34.19 ID:S5b1xIlE0
鈴「どうしたもんかしらねぇ。何か良いアイデアは浮かんでこない?」

セシリア「残念ながら、これといって対処法は思い付きませんわね」

鈴「なによー、頼りにしてたのに」

セシリア「そう仰らず。その代わり、というわけではありませんけど、いくつか御忠告させて頂きますわ」

鈴「忠告?」

セシリア「ええ。まず一つ、メールの送り主についてですが……わたくしを含め、鈴さんはまだご自分以外の人間を疑っておくべきかと思われます」

鈴「どういう意味よ」

セシリア「鈴さんは二組の方々を嫌疑から外した理由として、返信したメールを着信した様子が見受けられなかったから、という点だけが根拠でしたわね?」

鈴「それで十分なんじゃないの?」

セシリア「わたくしでしたらそのように探知されないよう、貴女からのメールを着信しても反応しないように携帯電話を設定しておきますわ」

鈴「うっ」

セシリア「メールにしても時間指定で送信するようにセットすれば、そもそも携帯電話を常に持っている必要がなくなります」

鈴「手元に置いておかなくてもいいんだ……そう言われるとそうよね。となると、また一から考えなおしか……」

セシリア「少なからず、わたくしのことは信用してもよろしいのですけどもね」

鈴「疑えって言ったばかりのくせに。それで、まだ何かあるんでしょ?」

28: 2012/06/02(土) 21:35:46.72 ID:S5b1xIlE0
セシリア「あまり考えたくもありませんけど、一夏さんは誰かに監視されてるのかもしれません」

鈴「……」

セシリア「だって、そうでしょう? わたくし達すら振り切っていなくなってしまいますのに、一夏さんの居場所を把握してるだなんて」

鈴「今回だけ偶然、って楽観視はまだ早いわよね。……ほんと、何がしたいっていうのよ」

セシリア「どうして鈴さんに一夏さんの居場所を伝えたりしたのでしょうね。抜け駆けしたいならそんな真似しないはずですわ」

鈴「あたしに友好的ってこと? それこそ冗談じゃないわね。あたしは正々堂々と一夏と向き合いたいもん」

セシリア「それでこそ鈴さんですわ。……まだはっきりしないことが多過ぎますので、くれぐれも自重なさって下さい」

鈴「わかってるわよ。ありがとね、セシリアに尋ねて正解だった」

セシリア「お気になさらず。わたくし達は良きライバルであり、良き友人でもあるのですから」

29: 2012/06/02(土) 21:39:22.78 ID:S5b1xIlE0
鈴「――はぁ、結局どうしたらいいかわからないままね」

鈴(疑えとは言ってたけど全部話しちゃったし、セシリアのことも、箒達のことだって信用はしてる)

鈴(……でも、後のことは出来るだけ一人でどうにかしないと)

鈴「ちゃちないたずらって線も捨て切れてないし――」ブツブツ

?「……」トントン

鈴「次のメールの送り先が他の専用機持ちって可能性もなくはないわよね――」ブツブツ

?「……おい、無視をするな」

鈴「――えっ? あ、えっと、ら、ラウラ!?」

ラウラ「何故うろたえる。遠くから声を掛けても聞こえていないようだったが」

鈴「あ、あはは……。考え事に夢中になってたのよ、悪かったわね」

ラウラ「それと、専用気持ちがどうとか口から漏らしていたが。何の話だ?」

鈴「こ、こっちの話よ! それよりあたしに用でもあるの?」

鈴(今ははまだ話せないわね。ラウラを信じてないわけじゃないけど……)

ラウラ「ふむ……まあいい。お前に聞きたいことがあるのだ」

鈴(なんですってー!!)

30: 2012/06/02(土) 21:41:35.04 ID:S5b1xIlE0
鈴「――はぁ、結局どうしたらいいかわからないままね」

鈴(疑えとは言ってたけど全部話しちゃったし、セシリアのことも、箒達のことだって信用はしてる)

鈴(……でも、後のことは出来るだけ一人でどうにかしないと)

鈴「ちゃちないたずらって線も捨て切れてないし――」ブツブツ

?「……」トントン

鈴「次のメールの送り先が他の専用機持ちって可能性もなくはないわよね――」ブツブツ

?「……おい、無視をするな」

鈴「――えっ? あ、えっと、ら、ラウラ!?」

ラウラ「何故うろたえる。遠くから声を掛けても聞こえていないようだったが」

鈴「あ、あはは……。考え事に夢中になってたのよ、悪かったわね」

ラウラ「それと、専用機持ちがどうとか口から漏らしていたが。何の話だ?」

鈴「こ、こっちの話よ! それよりあたしに用でもあるの?」

鈴(今ははまだ話せないわね。ラウラを信じてないわけじゃないけど……)

ラウラ「ふむ……まあいい。お前に聞きたいことがあるのだ」

鈴(なんですってー!!)

31: 2012/06/02(土) 21:43:14.67 ID:S5b1xIlE0
鈴「そ、それって今じゃなきゃだめ?」

ラウラ「火急という程ではないな」

鈴「そっかー。じ、じゃあまた今度にしてくんない? 今あたし、それどころじゃないのよ」

ラウラ「そうなのか?」

鈴「そうなの、ごめん! 埋め合わせはするから、それじゃっ!」タタッ

ラウラ「あっ……やれやれ、どうしたというのだ――」



鈴(せ、セーフ! でも印象は限りなくアウトー! あれじゃ勘ぐられるわよね、もう少し上手くごまかさないと)

鈴(また誰かに会うかもしれないし、部屋に戻ろうかし) ~♪

鈴(……まさか、ね)

鈴(気が滅入るわね……一気に本文まで見ちゃおう。えいっ!) ピッ



 彼の居場所が知りたいか?
 返信を待つ

32: 2012/06/02(土) 21:45:32.40 ID:S5b1xIlE0
鈴(……)

鈴(返信を待つ? あたしがどんなつもりでいるか知ってるくせに) ピピピッ




 当然でしょ。さっさと教えなさい



鈴(送信……っと) ピッ

鈴(初めはいきなり一夏の居場所を示してきておいて、今回はどういう目的があるのかしら)

鈴(絶対に正体を突き止めてやるんだから……) ~♪

鈴(早いわね。すぐに返事が来たってことは、セシリアの言ってた時間指定で送信されたものではなさそう……って、あれ?)

鈴(そんな……お昼に送られてきたアドレスと違う……?) ピッ




 実習前に訪れる場所
 彼を一人にしてはいけない

33: 2012/06/02(土) 21:47:42.23 ID:S5b1xIlE0
鈴「なに、これ……っ!」

鈴(二通ともお昼のメールとは違うアドレスだ……。どういうこと? って、それは後で考えればいいわ)

鈴(実習前に訪れる場所? 一夏がってことなら――ええと、シャルロットに聞けばわかるかしら)

鈴(電話して……ううん、こんなところじゃ誰に聞かれてるかもわからないか。まずは直接部屋を訪ねてみよう!)

鈴(無事でいなさいよね、一夏っ……!) タッタッタ...



鈴「シャルロット、いる!?」バンバン

鈴(……お願い、出てきて!) ガチャッ

シャル「はーい。どうしたの、鈴?」

鈴「一夏が実習の前に行く場所、教えて! 急いでるのよ!」

シャル「ど、どうしてそんな……ううん、急いでるんだよね。えっとね――」

鈴(さすが、何も聞かずにこっちの事情を汲んでくれたわね。あたしも見習った方がいいかしら)

鈴(……それにしても、変ね。落ち込んでると思ってたけど案外元気そうじゃない)

34: 2012/06/02(土) 21:49:53.16 ID:S5b1xIlE0
シャル「きっとアリーナ更衣室だね。空いてるところでいつも着替えをしてたんだ」

鈴「そうなの? わかったわ、ありがと!」

シャル「僕のことはいいから、急いでるんでしょ?」

鈴「そうね、それじゃっ――」


〔ご自分以外の人間を疑っておくべきかと思われます〕


鈴(……疑え、か。どうしてこんな時に思い出すのよ)

鈴「ねぇ、シャルロット。もう一つだけいい?」

シャル「うん? なにかな」

鈴「アンタ、何か良いことでもあった?」

シャル「えっ? う、ううん、特にないよ? 放課後だってずっと……部屋にいたからね」

鈴(……何かあったわね。でも、元気になったならそれでいいじゃない。疑ったりして馬鹿みたい)

鈴「そ、ならいいわ。変なこと聞いて悪かったわね、もう行くから!」

シャル「うん。いってらっしゃい、鈴」

鈴(まだ大丈夫よね、一夏。すぐに行くから待ってなさい……!)

35: 2012/06/02(土) 21:52:07.39 ID:S5b1xIlE0
鈴(どのアリーナ更衣室にいるのよ……一夏は無事かしら……)

鈴「一夏っ、いる!?」

一夏「――わっ、なんだ!? 鈴?」

鈴「いたっ! 何してんのよこんなとこで!」

鈴(心配かけさすんじゃないわよ……ばか)

一夏「おいおい、どうしたんだよ。何かあったのか?」

鈴「それはあたしのセリフよ! 何かあるから更衣室なんかにいたんでしょ!」

一夏「ま、まあな。人を待ってたんだよ。ここが待ち合わせ場所ってことになってるらしくてさ」

鈴「……はぁ? どうしてわざわざこんなところで待ち合わせするのよ」

一夏「いや、その、それは……だな」

鈴(人目を避けるにはうってつけってこと? 一夏にそんな場所で会おうってことは……)

鈴「あまり人には言えない事態になってるんじゃない? 何を隠してるのか白状してもらうわよ」

一夏「……鈴になら、まあ、仕方ないな。その前に聞いてもいいか?」

36: 2012/06/02(土) 21:54:15.92 ID:S5b1xIlE0
鈴「いいわよ、聞いてあげる。だから隠し事はしないでよね」

一夏「もちろん。……それで、どうして俺がここにいるってわかったんだ?」

鈴「どうしてって、それは――」

鈴(ここでメールのことを一夏に話すべきなの? わかんないよ……)

一夏「偶然、ではないよな。昼だって俺の居場所を知っていたかのようだった」

鈴「……なによ、あたしのこと疑ってるっていうの?」

一夏「そうじゃない。ただ、気になったんだ」

鈴(やっぱり一夏にも何かあったんだ。それで、ここに来たあたしを……)

鈴「……言っとくけど、あたしは一夏の味方だからね」

一夏「え?」

鈴「いいわ、これを見せてあげる。アンタの疑問も解決するんだから」スッ

一夏「携帯? それがどうしたんだ?」

鈴「あたしがここにたどり着いた理由。それが……これよ」ピッ

37: 2012/06/02(土) 21:56:54.47 ID:S5b1xIlE0
一夏「――メール、か。それも、俺の居場所が書いてある」

鈴「……せっかく心配してあげたのに、さ」

一夏「悪かったよ。……でも、なんでこんなもんがお前のとこに」

鈴「それも二種類のアドレスからね。同じ人からなのか、違う人からなのかはわからないけど」

一夏「こんなことする奴が何人もいるとは思えないけど、どちらにせよ嫌な感じだな。鈴、お前何か悪いことしたか?」

鈴「してないわよ! それに、実害もここまでゼロなのよね。一夏と二人きりになるのも共通点かしら」

一夏「手口も同じ、目的も同じってことか? なら同一人物なんじゃねーのかな」

鈴「……そうかもしれないけど、今はいいわ。そろそろ話して貰うわよ一夏」

一夏「ああ、そうだった。俺が誰と待ち合わせしてるかだよな」

鈴「わざわざ人のいない、寄り付かないところを選んでるんだもの。まさか――女の子との密会だったりしないわよね」

一夏「そんなんじゃねーよ。……でも、もしかしたらそうなるのかもな」スッ



 アリーナ更衣室で人を待て
 お前を狙う者が来る

38: 2012/06/02(土) 21:59:15.75 ID:S5b1xIlE0
鈴「……これ、あたしがお昼に受け取った方のメールと同じアドレスじゃない!」

鈴(受信した日時は今日の放課後から少し経ってるわね。あたしがセシリアと話してた頃かしら)

一夏「なら決まりだな。鈴がここに来るように指示されたメールも、同じ奴が送ってきたんだよ」

鈴「えっ、そうなるの?」

一夏「だっておかしいだろ、鈴が来るまで俺は誰ともここで会ってない。それと、ここに俺がいるなんて知ってるのは」

鈴「一夏にここへ来るよう誘導したメールの送り主……そっか。じゃないとおかしいわね」

一夏「ああ。それと、メールの二行目なんだけど」

鈴「『お前を狙う者が来る』のことね。これって」

一夏「たまに俺のこと頃すとか言うよな、お前。まさか本気で命を狙ってたりは……」

鈴「し、してないわよ! ちょっと手が出ちゃうだけじゃない!」

一夏「ほんとかー? 前に生身の俺に双天牙月を投げつけただろ」

鈴「さ、さあ、そんなこともあったかしら?」

一夏「忘れたのか? はぁ、いつか本当に殺されかねないな」

鈴「もとはと言えばアンタが悪いのよ! あたしだって理由もなくそんなことしないわ!」

一夏「俺だって理由もなく殺されたくはないぜ。……冗談だよ、鈴じゃないよな」

39: 2012/06/02(土) 22:01:59.67 ID:S5b1xIlE0
鈴「ねぇ、この狙うってどういう意味なのかな」

一夏「狙う? 狙うってのは、目標を絞るって意味じゃないのか」

鈴「一夏のその説明だとどうとでも取れるわよね。理由、っていうか」

鈴(あたしが一夏を狙うっていったら、それがどういう意味か。……何考えてんのよあたし!)

一夏「狙った獲物は逃がさない、ってよく言うよな。仕留める、とか?」

鈴「仕留める、ね。……アンタ、わざわざ仕留められるために人を待ってたの?」

一夏「……あっ」

鈴「あっ、じゃないわよ! ったく、危機感薄いわねぇ。ただでさえ一夏は――」

鈴(一夏は、一夏を狙ってる子は、多いっていうのに。……どうもここに行き着いちゃうわね)

鈴「……何でもない。どんな意味にせよろくなことはないし、帰るわよ」

一夏「帰っていいのか? ここで帰ったら、やっぱりお前と会うために呼ばれたことになるけど」

鈴「それでいいじゃない。あたしは一夏に何もしない、一夏が誰かに狙われることもない」

一夏「うーん。もし本当に何か特別な理由があって、こんな風にここへ呼び出したんだとしたら」

鈴「い、い、の! 大事なことなら回りくどい真似しないでしょ! ほらっ、行くわよ!」

40: 2012/06/02(土) 22:04:14.77 ID:S5b1xIlE0
鈴「……」

一夏「……なあ。ここ、俺の部屋なんだけど」

鈴「うっさい。どうせ一人部屋なんだからいいでしょ」

一夏「なんだよ、気にしてくれてるのか? 悪いな」

鈴「いいのよ、好きでやってるんだし。……アンタが困ってたらいつでもあたしが力になってあげるわ」

一夏「ふーん? じゃあ、俺も。鈴が困ってたらいつだって力になってやるよ」

鈴「んなっ、ななななによ、いきなり」

一夏「別に。……それに、お前だってメールを受け取ってるんだからさ」

鈴「あたしのことはいいのよ、あたしが何とかするから」

一夏「お前なぁ。ここは共同戦線を張るところだろう? 同じ相手からメールを貰ったんだし」

鈴(……たしかに同じアドレスからのメールを受信した。それは間違いじゃないけど)

鈴(あたしがアリーナ更衣室まで探しにいったきっかけのメールとは、違うアドレスなのよね)

鈴(一夏は同一犯だと思ってるみたいだけど、もしそうじゃなかったとしたら)

鈴(『彼を一人にしてはいけない』この意味が……はっきりしない)

鈴(念のため、念のためよ? 一夏が一人でいなければ変なメールも来ないなら――)

41: 2012/06/02(土) 22:07:22.79 ID:S5b1xIlE0
鈴「決めた。あたし今日、ここに泊まるわね」

一夏「……は?」

鈴「共同戦線なんでしょ? なら少しでも一緒に過ごした方が良いと思わない?」

一夏「そりゃそうかもしれないけど、なあ?」

鈴「大丈夫大丈夫、荷物も少ないし邪魔にはならないわよ」

一夏「あのー、鈴さん?」

鈴「いいじゃない。箒やシャルロットと同室してたんだし、ラウラとも一緒に寝たことあるんでしょ?」

一夏「同室はやむをやまれずだったし、ラウラは勝手に俺の寝込みをだな……」

鈴「――お願い、今日だけでいいのよ。どうしても気になることがあるから、今日だけ」

一夏「鈴?」

鈴「それさえはっきりしたら、あとは素直に先生に相談するの。頼りになる先生がいてよかったわ」

一夏「千冬姉のことか? できればこんなことで心配かけたくないけど……」

鈴「だったらなおさらね。なんなら、今から千冬さんのところに行く?」

一夏「脅しかよ!? ……わかった。どういうつもりか知らないけどな」

鈴「ちゃんと話してあげるわよ。じゃああたしは早速、荷物を取ってくるわね」

42: 2012/06/02(土) 22:11:27.56 ID:S5b1xIlE0
鈴「……」

鈴(勢いで一夏の部屋に泊まることになっちゃった……)

鈴(し、仕方ないわよね? 誰かが気味の悪いことするからいけないのよ!)

鈴(……まあ、せっかくだし? 身だしなみはしっかり整えていかないと)

鈴(そうだ、一夏に用心するようメールしておこうかしら。一応ね)

鈴(ええっと――) ピッピッ



 戸締りはしっかりしておくこと
 あと、あたしが泊まることは誰にも言わないで
 絶対よ。約束しなさい!


鈴(送信っと) ピッ

鈴(さて、あたしも用意するか。といってもすぐ終わるんだけどね)

鈴(シャワー浴びたらさっさと一夏のところに戻ろう――)

43: 2012/06/02(土) 22:14:22.77 ID:S5b1xIlE0
鈴「はぁ? 携帯がない?」

一夏「うん。どっかいった」

鈴「どっかいったって、ずっと持ってたんでしょう?」

一夏「そうだけど、鈴が荷物取りに行ってる間にシャワー浴びてたんだ」

鈴「あたしが送ったメールは読んだの?」

一夏「メールなんて送ってたのか。いや、読んでないな」

鈴「……一夏がシャワーを浴びてる隙に誰かが持ち出したんだとすれば、手際が良すぎるわね」

一夏「俺の携帯が盗まれたっていうのか?」

鈴「そうじゃなければこの部屋にあるはずでしょ。……思った通り、一夏は誰かに見られてる」

一夏「見られてる、ってどういう意味だよ」

鈴「アンタを事細かに監視してる奴がいるってことよ。じゃないと、おかしいじゃない」

一夏「監視、か。……今もこうして鈴と話してるのを見られてるっていうのか」

鈴「どういう仕掛けかは知らないけど、そう思っておいた方がいいわね」

一夏「鈴はいいのか? その、俺と一緒にいたらお前だって見られてることになるぞ」

鈴「承知の上よ。一夏を一人にしちゃいけない――そんな気がするから」

44: 2012/06/02(土) 22:18:01.36 ID:S5b1xIlE0
一夏「――にしても、俺なんかを監視したりしてどういうつもりなんだろうな」

鈴「男でISを動かせるってだけで一夏は貴重な存在なのよ? もう少し自覚しなさいよ」

一夏「動かせるだけだろ。俺はまだまだ強くもないし、家柄だって良いとは言えない」

鈴「身内にあの千冬さんがいたり、篠ノ之博士のお気に入りってだけで十分じゃない」

一夏「それを知ってるのは一部の人だけだ。俺自身は大したことないさ」

鈴「……そんなこと、ないと思うけど」

一夏「だからさ、俺はもっと強くなりたい。今だって鈴に心配かけてるけど、いつか一人で何でもできる力が欲しい」

一夏「いろんなことからみんなを守れるようになりたいんだ。……ははっ、何言ってるんだろうな俺」

鈴「いいじゃない、それ。一夏らしいっていうか、アンタならいつかきっとそうなれるわよ」

鈴「……そ、その時は、さ。あたしのことも、守ってくれたり……する?」

一夏「当然だろ? 守ってやるさ、どんなことがあってもな」

鈴「ふ、ふんっ! 言ったからには精進しなさいよね! 実践訓練だってまだあたしの方がずっと成績良いんだから!」

一夏「ははは……努力します」

鈴「わかればいいのよ、わかれば。――ねぇ、お腹空かない?」

一夏「そうだな。早めに食べて今日はもう休むか」

45: 2012/06/02(土) 22:21:47.72 ID:S5b1xIlE0
鈴「……」ソワソワ

一夏「なんかこう、昔を思い出すな。鈴のところでよくごちそうになったもんだ」

鈴「そ、そうだったわね。あの頃は弾もよく一緒にいたけど」

一夏「今は二人っきりか。今度、弾も呼んで遊びに行こうぜ」

鈴「う、うん……」

一夏「……ぷっ、くくっ」

鈴「な、なによ」

一夏「借りてきた猫みたいだな。やけにおとなしいからさ」

鈴「……乙女心は複雑なのよ、ばーか」

鈴(成り行きでここまできたけど、さすがに緊張してきた……! どうしたらいいのよ!)

一夏「別に無理して俺の部屋に泊まらなくてもいいんだぞ?」

鈴「無理してないわよ! ただ、箒やシャルロットは初めの内はどうだったのかなって」

一夏「うーん、よく考えると高校生で異性と同居とか慣れていいもんじゃないよな、普通」

鈴「人のこと言えるの? あとそれ、箒とかの前では言わないでおいた方が身のためよ」

一夏「……気をつける」

46: 2012/06/02(土) 22:24:20.98 ID:S5b1xIlE0
一夏「なあ、お前が俺の部屋に泊まる理由についてだけど」

鈴「説明してなかったっけ? アンタが一人じゃない時にメールが来るかどうか調べるためよ」

一夏「どういうことだよ?」

鈴「あたしと一夏を二人にさせようって気なら、もともと二人きりならどう出るかと思ったの」

一夏「相手の出方を伺おうってことか」

鈴「そ。常習的にこんなことしてくるつもりなのか、様子を見てからでもよかったんだけど」

鈴「……思ったより悪質みたいだしね。実害も出ちゃったし」

一夏「俺の携帯か。何で盗む必要があったんだろうな」

鈴「さあね。一夏の行動はお見通しってことをアピールするためかもしれないわ」

一夏「? それこそ何のために?」

鈴「んー、アンタを監視しておいて、実際はあたしにケンカ売ってるとか?」

鈴(……適当に言ってみたけど、案外そうかもしれないわね。携帯がなければ一夏を誘導できないし)

一夏「そうか、でも覗かれてるのが俺で良かったな。鈴だって女だし私生活まで覗かれるの嫌だろ?」

鈴「の、覗くってアンタねぇ。……まあ、良い気はしないわよ。相手がどんな奴だったとしてもね」

47: 2012/06/02(土) 22:27:43.23 ID:S5b1xIlE0
鈴「一夏だって、嫌でしょ? どうしてそんなに落ち着いてるのよ」

一夏「なんつーかさ。いつも珍獣みたいな扱いされてるせいか、見られることに耐性がついちまったよ」

鈴「珍獣って言い方はどうなのよ。珍しさなら世界のお墨付きだけど」

一夏「有名税ってやつだな。まったく、参っちまうぜ」

鈴「……無理、しないでよね。あたしがついててあげるんだから、もっと頼りなさい」

一夏「ああ、ありがとな。……それじゃあ、ちょっといいか?」

鈴「えっ? な、なに?」

一夏「鈴さえよければ付き合ってもらいたいんだけど」

鈴「つ、つつつつ付き合う!? え、ちょ、き、急に何言い出すのよ!」

一夏「ん? いや、今日お前を部屋に泊めてるようにさ、俺にも考えがあるから明日付き合ってくれないかなって」

鈴「……」

一夏「どうした? 明日は忙しいのか?」

鈴「うっさい、馬鹿! 無駄に期待させんじゃないわよ!」バキッ ゲシッ

一夏「ぐはっ! や、やめろ、やめて! いたいって! し、氏ぬううっ!」

48: 2012/06/02(土) 22:31:07.45 ID:S5b1xIlE0
鈴「はぁ、ふぅ、寝る前の良い運動になったわね」

一夏「ってて……俺が何かしましたかね、鈴さん?」

鈴「自覚がないあたり罪よね、それはもう大罪よ」

一夏「うん、よくわからん。それよりどうなんだよ。付き合ってくれるのか?」

鈴「内容によってはね。……つ、付き合ってあげないこともないわ」

一夏(……じゃあ、念のため小声で話すけど、大したことでもないんだ。明日、俺の家に来てくれないか?)

鈴(い、一夏の家? どうしてよ)

一夏(俺のことを監視できてるんだったら、どこまでかなって思ってさ。学園の中だけなのか、それとも)

鈴(……そうね、それは知っておきたいかも。外出先まで見張ってたりするのかしら?)

一夏(さあな。明日は休みだし、どうかと思ったんだけど)

鈴(いいわよ、付き合ったげる。……あーあ、せっかくなら心置きなく遊びたかったな)

一夏(この件が片付いた時にでもな。千冬姉にはどうする? 今日のことを報告してから行くのか?)

鈴(……やめとこっか。きっと危ないから外に出るなって言われちゃう)

一夏(それもそうだな。できる限り情報収集してからでいいよな)

鈴(なーに、あたしがついてるんだもん。いざとなったらあたしが守ってあげるわよ!)

50: 2012/06/02(土) 22:34:28.17 ID:S5b1xIlE0
一夏「――なんて昨日は言ってたのに、随分浮かれてるよなお前」

鈴「いいの! ケースバイケースってやつよ、心に余裕を持ってなきゃね」

一夏「別にいいけどさ。鈴はそうやって元気な方がいいしな」

鈴「な、なによ、あたしを馬鹿にしてるの?」

一夏「してないよ。お前が明るくしてくれれば、俺も楽しいってだけだ」

鈴「いまいち納得いかないわねぇ、でもいいわ。ほらっ、そろそろ行きましょ?」

一夏「そうだな。昼も食ったことだし、夕飯は俺の家で何かごちそうしてやるよ」

鈴「ほんと? 一夏の腕前、確かめさせてもらおうじゃない!」

一夏「望むところだ。ついでに駅前付近でデザートでも買っていくか」

51: 2012/06/02(土) 22:38:36.66 ID:S5b1xIlE0
鈴「……」キョロキョロ

一夏「ん、どうした?」

鈴「警戒はしておかないとね。もし昨日のメールが学園の人の仕業だったら」

一夏「俺達をマークしてるかもしれないってことか。どうだ、見覚えのある顔とか」

鈴「今のところは……。まあ、外部の人と繋がってるかもしれないし、怪しい人にも注意するわね」

一夏「おう。俺も気をつけておくから、何かあったらすぐ言ってくれ」

鈴「わかってるわよ。そっちも頼んだわよ」

鈴(簡単に正体を晒してくれるとは思わないけど、何もしないよりマシよね)

鈴(今日のプランはこのあと、一夏の家までまっすぐ向かう)

鈴(頃合いになったら一夏が一人で夕飯の買い物に出る。あたしは一人でお留守番)

鈴(一夏は携帯を盗られちゃったから、来るならあたしの携帯よね。メール……くるのかしら)

鈴(昨日はあれから音沙汰無いし、一夏を一人にさせてみないといけないってのはわかってるけど)

鈴(……大丈夫よね? 信じてるからね、一夏!)

52: 2012/06/02(土) 22:41:19.36 ID:S5b1xIlE0
一夏「――着いたな。どうだった、怪しい奴とかいなかったか?」

鈴「学園からここまで追ってきた人はいないと思う。……それくらいかしら」

一夏「本命は買い出しの時だしな、十分だ。家の中に入ろうぜ」

鈴「お邪魔するわね。ったく、今日も暑いわねぇ」

一夏「仕方ねーよ。何か冷たいものでも用意するか」

鈴「おねがーい。今日はあいつらもいないし、家の中が広く感じるわ」

一夏「この前のことか。うちに来るのはいいけどよ、何でみんなバラバラに来ようとしたんだ?」

鈴「一夏はわかんなくていいのよ。どうせわかるように出来てないんだから」

一夏「失礼だな、やってみなくちゃわからないだろ? っと、ほら」

鈴「サンキュ。……あー、生き返る」

一夏「そりゃよかったな。俺も飲もっと」

鈴「……ねぇ一夏。ほんとに気を付けなさいよね。アンタに何かあったら千冬さん怒るわよ?」

一夏「それは怖いな……」

鈴「あ、あたしだって、怒るからね。無事に帰って来なかったら、ぶん殴ってあげるんだから」

一夏「ああ、そうならないように頑張るよ。だから、待っててくれ」

53: 2012/06/02(土) 22:44:21.89 ID:S5b1xIlE0
鈴「買い物する時間まで何してよっか?」

一夏「この前はみんなで遊べるものがあったからな。そうだな……昔の話でもするか?」

鈴「どうせなら弾がいる時にしない? だから、そうね。今の話はどう?」

一夏「今、か。……俺がIS学園に入って、そこで鈴と再会するなんてな。思いもよらなかったぜ」

鈴「びっくりさせてくれたわよ。テレビに一夏が映ってるかと思ったら、IS動かしたっていうんだもの」

一夏「鈴だって、中国の代表候補生にまでなってたとはな。よっぽど努力したんだろ?」

鈴「ちょっとはね。……両親が離婚したこと、今でも引きずっててさ。あの頃は何かで頭の中を一杯にしておきたかったのよ」

一夏「そうだったのか。でも、動機なんて関係ないさ。幼馴染が立派になって俺も鼻が高いぞ」

鈴「親戚のおじさんみたいな言い草ね。まあ、努力はいつか報われるっていうか、代表にまでなって良かったわ」

鈴(最初はIS学園に興味なかったけど、一夏が入学するって聞いて無理やり編入した――なんて言ったら、どんな顔するのかな)

鈴(こうしてまた会えただけでも幸運よね。もっと時間がかかると思ってたけど)

一夏「どうした、俺の顔に何かついてるか?」

鈴「……一夏ってさ。あたしと再会した時、ただあたしを懐かしいって感じただけかもしれないけど」

鈴「あ、あたしは、一夏とまた会えて、嬉しかったんだからね。……とても、……すっごく」

54: 2012/06/02(土) 22:47:54.94 ID:S5b1xIlE0
一夏「そう、だったのか? 気付かなかったよ。俺のことばかり聞いて自分の気持ち言わなかったよな、たしか」

鈴「だからアンタはそういうのがわかるように出来てないんだってば。昔っから、今でもね」

一夏「こ、言葉にしてくれなきゃわからないことだってあるだろ?」

鈴「そういう問題じゃないのよ。まったく、人の気も知らないで」

一夏「えー……。でも、なんで今になって教えてくれるんだよ」

鈴「そういう気分になったから、かな。それより、こっち見ないでよ」

一夏「どうして?」

鈴「どうしても! ……は、恥ずかしいからに決まってんでしょ! ばかっ!」

鈴(こういう時ラウラの図太さが羨ましいわね……あー、もう! 二人きりなのが余計に恥ずかしい!)

一夏「勝手な奴だな、鈴は。お前も昔から全然変わってない」

鈴「悪かったわね。まあ諦めなさい、これがあたしなんだから」

一夏「ああ、そうこなくっちゃな。俺の好きな幼馴染はそうでなきゃ」

鈴「……一夏? え、あれっ? 今、すごく嬉しいこと言ってくれたような、い、一夏?」

一夏「ん? 変なこと口走ったか、俺?」

鈴(き、聞き間違い、だったのかしら。でも、たしかに、そう聞こえた、はず……?)

56: 2012/06/02(土) 22:51:21.24 ID:S5b1xIlE0
鈴「――そろそろ、ね」

一夏「買い出し、だな。鈴はおとなしく家で待っててくれよ?」

鈴「わかってる。じゃないと意味が無いんだから」

一夏「そっか。……それじゃ、いってくる」

鈴「いってらっしゃい。絶対に無茶するんじゃないわよ? ……待ってるから」



鈴「――あたしが待つ側なんて性に合わないなぁ」

鈴(文句言ってる場合じゃないけど、柄じゃないのよね。早く帰ってきなさいよ一夏)

鈴(っとと、携帯出しておこうかしら。これに全てがかかってるんだから)

鈴(……何も、ないわよね? ここまで追ってきてるとは思えないけど)

鈴(さすがに緊張する……。一夏もいないし、部屋に着信音が響き渡りそう)

~♪

鈴「きゃあああああああっ!!」

鈴「び、びっくりした……って、驚いてる場合じゃないわね。……あれっ、電話?」

鈴「非通知、か。もしかしなくても……いよいよお出ましってことね」

58: 2012/06/02(土) 22:55:02.28 ID:S5b1xIlE0
鈴「……」

鈴「……」ピッ

鈴「……もしもし」

一夏『俺だ、一夏だ。悪いんだけど財布忘れちゃってさ、その辺にない?』

鈴「」

一夏『あ、やっぱり持ってた。すまんすまん、早とちりだったみたいだ』

鈴「……こ」

一夏『いやー、驚かせちゃった? 悪い! 途中で買ったデザート用の杏仁豆腐、俺の分食いながら待ってていいからさ』

鈴「こんの――」

一夏『冷蔵庫に閉まってあるから勝手に食べてくれ。それじゃ、なるべく早く帰るから――』プツッ

鈴「ばかいちかあああああああああああ!!!!!!」

59: 2012/06/02(土) 22:59:19.27 ID:S5b1xIlE0
鈴「もう、緊張してたあたしのが馬鹿みたいじゃない!」

鈴「というか公衆電話から掛けてきたなら財布を忘れたわけないでしょうが!」

鈴「なによ、食べ物で釣ろうとしちゃって! せっかく食後のデザートにって買っておいたのに」

鈴「すごく美味しいじゃない。……一緒に食べたかったな」

鈴(もう一つあるけど、一夏の分は取っといてあげよう。あいつも悪気があったわけじゃないんだし)

鈴「はぁ……、ん?」~♪

鈴「また一夏かしら。……いえ、今度はメールみたいね」

鈴(気を取り直して……今度こそ、本題ね。内容次第で一夏のところに駆けつけなきゃ)

鈴(今度は何が書いてあるのかしら……) ピッ









 そこにいる織斑一夏を

 殺せ

60: 2012/06/02(土) 23:03:08.86 ID:S5b1xIlE0
鈴「そこにいる織斑一夏を、殺せ」

鈴「……そこって、どこ? 一夏は今、買い物に出掛けてるけど」

鈴「織斑一夏ですって? ぐ、偶然かしら、あたしの知り合いにいるわね……そんな名前の男の子」

鈴「……」

鈴「殺……せ?」

鈴「誰が、誰を? こ、頃すなんて、そんな」

鈴「……あたしが? 一夏を?」

鈴「だ、誰が頃すもんですか……あたしはそんなこと、しない」

鈴「……なによ。こんなの、やっぱりただのいたずらじゃない。気にしないのが正解よね」

鈴「……」

鈴「この、メールのアドレス。これって――」

一夏「よっ、ただいま。いるなら返事してくれよ」

鈴「っ!? い、一夏……?」

61: 2012/06/02(土) 23:07:01.17 ID:S5b1xIlE0
一夏「お、杏仁豆腐食べてたのか。どうだった?」

鈴「……」

一夏「鈴?」

鈴「……美味しかったわよ。アンタの分、取ってあるから後で食べてみたら」

一夏「……なあ、何かあったのか? 顔色が悪いぞ」

鈴「っ、な、何でもないわよ」

一夏「じゃあ、その携帯見せてみろよ。来たんだろ? メール」

鈴「き、来てないわよ! ……ちょっと、今までのを見返してただけ」

鈴(嘘、ついちゃった。……でも、こんなの、見せられっこない)

一夏「ほんとか? まあ、いいけど。夕飯の準備するから、くつろいでてくれよ」

鈴「うん……」

鈴(そこにいる織斑一夏を殺せ、か。あたしの知ってる一夏は今ここにいる一夏だけよ)

鈴(……ふんっ、今もどこかで見てるっていうなら、教えてやろうじゃない)

鈴(ずっと昔、あたしと一夏で交わした約束。解釈はともかく、本物の一夏ならちゃんと覚えてるんだから)

鈴「――ね、ねぇ。一夏、ちょっといい? 確認っていうか、聞きたいことがあるんだけど」

62: 2012/06/02(土) 23:11:38.89 ID:S5b1xIlE0
鈴「う、うん。あのさ、あたしとの約束……覚えてる?」

鈴(あたしの知ってる一夏なら、頃す必要なんてない。当たり前じゃない)

一夏「約束――ああ、今日のことか。わかってるよ、もちろん誰にも言わないって」

鈴「……」

鈴「……、はぁ……」

鈴(ここまで朴念仁だったなんて……一つしかないでしょ、ばか一夏)

鈴(それは昨日あたしがメールで送った……メール……?)

鈴(あ、れ? あたしが一夏に送ったメールって、一夏は受信したことすら知らないはずよね)

鈴(……どういうこと? 一夏があたしに嘘をついたの? ……それとも)

鈴「……いち、か?」

一夏「ん、まだあるのか?」

鈴「これが、最後。よく聞いて。そして……正直に答えなさい」

66: 2012/06/02(土) 23:18:25.74 ID:S5b1xIlE0
鈴「……」


〔ご自分以外の人間を疑っておくべきかと思われます〕


鈴(……セシリアだっけ、そんなこと言ったの)

鈴(どうして、一夏のことまで……疑わなくちゃいけないのよ)

鈴(……でも、一夏の行動を全て把握してる人が)

鈴(そんな人がいるとしたら……)

鈴(一人だけは、確実に、いる)

鈴(……それは)

鈴(……一夏、本人)


鈴「これが、最後。よく聞いて。そして……正直に答えなさい」

鈴「――アンタ、誰よ?」

68: 2012/06/02(土) 23:21:38.87 ID:S5b1xIlE0
一夏「はぁ? 何言ってるんだよ」

鈴「……嘘なら嘘でいい。はっきりさせておきたいの」

一夏「はっきりって、俺は一夏だよ。見てのまんまさ」

鈴「じゃあ、どうして一夏が知らないはずのメールの内容を知ってるの?」

一夏「……メール?」

鈴「今日のことは誰にも言わないって、約束。メールでしかあたしは伝えてないのに」

鈴「そのメールは一夏がシャワーを浴びてる隙に……携帯を盗られて、読めなかったって言ってたわよ」

鈴「携帯を盗られたことか、それとも……読んでないってことが嘘なら、嘘って……言ってほしい」

鈴「でも、そうじゃないなら……アンタは……一体誰なのよ?」

一夏「……」

鈴「答え、て。さも……ないと……」

鈴(あ、あれ? 急に……眠気が、きて……)

一夏「杏仁豆腐、食べたんだよな。もうすぐ効果が出始めるはずだけど」

鈴「……っ! まさか……あの中に……」

一夏「……ごめんな。今はまだ言えないんだ」

70: 2012/06/02(土) 23:25:46.73 ID:S5b1xIlE0
鈴「どういう……意味?」

一夏「そのままの意味だ。……鈴は今日が終わるまで、俺の家で過ごしてもらう」

鈴「な……ん、で」

一夏「そうしてもらわないと困るんだ。こっちの都合でな」

鈴「……」

一夏「……限界か。ごめんな。こんなことに巻き込んじまって」

鈴(……? なに、いって……)

一夏「おやすみ、鈴。大丈夫、すぐに会いに行くよ」

鈴(……冗談じゃ、ないわよ。あたしは、待つの……苦手なんだから……)

鈴(い……ち、か……――)

72: 2012/06/02(土) 23:28:28.41 ID:S5b1xIlE0
――――――――――――――――――――――


鈴『いちかー、酢豚って好き?』

一夏『え? 嫌いじゃないけど』

鈴『す、き?』

一夏『……好きですが、なにか』

鈴『そう、ならあたしが作ってあげるわよ』

一夏『鈴が?』

鈴『うん。大きくなったら、毎日食べさせてあげる』

一夏『毎日か……でも、無料より安いものはないって言うしな』

鈴『ごちゃごちゃ言わずに、あたしの酢豚を食べればいいのよ!』

鈴『それも、ま、毎日ね。それってどういうことだか、一夏にはわからないでしょ』

鈴『……ちょっと、聞いてる? ねぇ、一夏。一夏ってば――』


――――――――――――――――――――――

76: 2012/06/02(土) 23:33:06.39 ID:S5b1xIlE0
?「――い、しっかりしろ、鈴! おい!」

鈴「……んんっ、……」

?「俺だ、弾だ! 目を覚ませ、鈴!」

鈴「……弾? あれ、ここは……」

弾「一夏の家だよ。ったく、非通知から電話が来たと思えば、相手が一夏でよ。お前のことを頼まれたんだ」

鈴「……いち、か? ……一夏っ!」

弾「わっ! お、おい、安静にしてた方がいいんじゃないのか?」

鈴「弾、今何時? それと一夏は? 一夏はどこにいるの!?」

弾「今? 十二時をちょっと過ぎた頃だな、シンデレラは魔法が解けてる頃だ。一夏のことは知らん」

鈴「……ねぇ、一夏の携帯に掛けてみて」

弾「さっきから掛けてみてるんだけど、全然出ねーんだよ」

鈴「いいから掛けてみて!」

弾「べ、別にいいけどよ。多分出ないぞあいつ?」

鈴(一夏……無事でいなさいよね……)

78: 2012/06/02(土) 23:36:12.08 ID:S5b1xIlE0
「――ああ、くそっ。やっぱり出ねーな……」

「こっちにかけてきた時は非通知だったし、何かあったのか? あいつ」

「なあ、もういいだろ? 何度やってもお留守番サービス……ん?」

「おっ、繋がった! おい一夏、今まで何してたんだよ!」

「……え、あんた誰? 一夏の彼女か何か? なあ、一夏ってやつ知らない?」

「俺? 俺は一夏の友達だよ。……うん。え、一夏そこにいるの?」

「ちょっと代わってくれ、てかそもそも人の電話に勝手に出ちゃだめじゃないっすかね」

「……え、なに? 心して聞け? そんな古風な……うん。……、は?」











「織斑一夏は――氏んだ?」

79: 2012/06/02(土) 23:37:19.84 ID:S5b1xIlE0
お終いです。読んでくれた人ありがとう

80: 2012/06/02(土) 23:38:22.64 ID:5oLueyL90
え?

81: 2012/06/02(土) 23:39:12.14 ID:LxxciICx0
はい?

90: 2012/06/02(土) 23:42:48.79 ID:S5b1xIlE0
似たようなタイトルでシャルのも前に書いたんだけどさ

全員分書こうかなって思ったらこうなってた。なんでだろう

引用: 鈴「明日は良いことあるわよね!」