161: 2014/08/06(水) 21:17:46 ID:d8aVXLJ.
幼馴染「恋のキューピッド3分クッキング!」

162: 2014/08/06(水) 21:18:33 ID:d8aVXLJ.
男「あぁ…すまん!幼っ!」

幼「な、なんだい、藪から棒に?」

男「自分で勉強教えてくれって言っといてアレなんだけどさ」

幼「うん」

男「お腹空いた……」

幼「!?」ガタッ

男「ん?どうしたんだ?急に立ち上がって」
ふらいんぐうぃっち
163: 2014/08/06(水) 21:29:57 ID:d8aVXLJ.
幼「そ、それじゃあ軽く作るよ」

男「あ、俺が作るつもりだったんだが……」

幼「いやいや!是非私に作らせて欲しい」

男「マジで?ありがたいぜ」

男「俺のレパートリー、もやし炒めだけだからさ」

幼「ふふっ、それは今度ご馳走になりたいな」

男「おうよ!」

幼「それじゃあ……キッチンに行こうか」

164: 2014/08/06(水) 21:31:57 ID:d8aVXLJ.
男「あ、でもあれだぞ」

幼「ん?」

男「本格的なコース料理とか、勘弁な?」

男「時間も時間だしさ」

幼「大丈夫だよ、問題ない」

幼「ささっと作って、さっと食べよう」

男「お、それ良いな」

幼「じゃ、じゃあ……」

165: 2014/08/06(水) 21:32:37 ID:d8aVXLJ.



幼友「へ?好きな人にアプローチする方法?」

幼「う、うん、そうなんだ」

幼友「何で?幼が一言、好きって言えばオッケーだよ、私は」

幼「??」

幼友「な、なーんちゃってー、へへへ」

幼「うん、びっくりしてしまったよ、ふふ」

幼友(本当はなーんちゃってじゃないけど!)

166: 2014/08/06(水) 21:33:32 ID:d8aVXLJ.
幼「それでその……普通はどういった行動を取る物なのかな?」

幼「私はその…恋愛事に疎くて、さっぱり解らないんだ」

幼友「美味しい手料理で、胃袋を鷲掴みとか、どう?」

幼友「名づけて『恋のキューピッド3分クッキング!』」

幼「う……手料理はその…一度試したのだけれども」

幼友「え?そうなの?どんな反応だったの?」

幼「美味しいと言ってくれたのだけれど……その後、何も進展が無い」

幼友「本当は美味しくなかった……って訳無いわよね。幼、料理上手だもんね」

167: 2014/08/06(水) 21:35:01 ID:d8aVXLJ.
幼「口に合わなかった…とは思いたくないのだけれど…」

幼「やっぱり駄目だったんだろうか……」

幼友「ちなみにどんな料理を出したの?」

幼「フランス料理を」

幼友「……」

幼「ん?何か変かな?」

幼友「さぞかし本格的なやつを出したんでしょうね」

幼「あぁ、丁度練習中だったのでね」

幼「ウチに材料も揃っていたし、一応コース料理を出したよ」

幼「美味しいと言ってくれたんだよ」

幼友「……次はさ」

幼「ん?」

168: 2014/08/06(水) 21:35:55 ID:d8aVXLJ.
幼友「もっとこう……キッチンにある普通の食材を使ってさ」

幼友「3分で出来る様な料理を作って食べさせてみれば?」

幼「う……3分か…本当に簡単な物しか作れないな」

幼友「余った食材をぱぱっと料理するのって、結構評価高いと思うよ?」

幼「そうか……そうなんだね、ありがとう幼友」

幼「次、機会があったらそうして見るよ!」
ニコッ

幼友「……ちなみに今日、幼の家にお邪魔しても良い?」

幼「申し訳ない。今日は先約があるんだ」

幼友「そっか……」

幼「埋め合わせは今度必ずするから」

幼友「う、うん!期待してるからね!」

169: 2014/08/06(水) 21:37:00 ID:d8aVXLJ.



幼(こ、こんなに早く機会が来るとはっ……)

男「幼んちのキッチンに入るの久しぶりだなー」

幼「そうだね」

男「さぁ、何が出てくるかなー」

幼「ふふっ、すぐ出来る物を作るからね」

幼(この機会、必ず活かす!)

170: 2014/08/06(水) 21:38:13 ID:d8aVXLJ.
幼(さて冷蔵庫に何があっただろうか)
ガサゴソ

幼「あ……そうか」

男「ん?」

幼「男はじゃがいも好きだったよね?」

男「おう、大好きだぜ」

幼「それじゃあ、今日の夜食は決定だ」

男「じゃがいもか!」

171: 2014/08/06(水) 21:39:12 ID:d8aVXLJ.
幼「簡単で美味しいじゃがいも料理だよ」

男「へぇー。作り方見てても良い?」

幼「えっ!?」

男「簡単で美味しいなら、俺も自分で作ってみたいぜ」

男「そしたらウチで勉強教えてもらった時、俺がご馳走出来るじゃん?」

幼「え、えへへ…そうか、そうだね」

幼「それじゃあ、こっちに来て、見ていてくれ」

172: 2014/08/06(水) 21:41:42 ID:d8aVXLJ.
幼(男がこんなにも近くで、私が料理する手を見てくれる……)

幼(幸せだ……)

男「幼?大丈夫か?」

幼「だっ!?大丈夫だよ、男」

幼(びっくりした……顔、近かった……)

幼「それじゃあ、料理して行くよ」

男「おう、ばっちり覚えるぞ」

173: 2014/08/06(水) 21:42:29 ID:d8aVXLJ.
幼「まず材料だけれど」

幼「先日北海道の叔父さんから、じゃがいもと手作りベーコンが送られて来たので」

幼「今日はこれを使おうと思う」

男「おー、それって無添加ベーコン?」

幼「いや、さすがに食品添加物入りだよ」

男「そっか。でもベーコンかー、美味いよな」

幼「そうだね」

174: 2014/08/06(水) 21:43:37 ID:d8aVXLJ.
男「え?材料それだけ?」

幼「あとはピザ用のチーズとこしょうくらいだよ」

男「おー、シンプルだなー」

幼「それでは……コイノキューピーイッド3分クッキングスタートだよ」

男「ん?今ちょっとゴニョゴニョ言った?」

幼「な、なんでもないよ、さぁ料理するよ!」

175: 2014/08/06(水) 21:48:26 ID:d8aVXLJ.
幼「と言っても特別な事は別に無いんだ」

男「ほう?」

幼「まずじゃがいも…今回は大きめのを1個使うよ」

男「1個?少なくないか?」

幼「夜食なのだから、少しで良い…よね?」

男「それもそうか。夜からガッツリ芋なんか食ったら太っちまうもんな」

幼「そうだね。太るのはちょっと困ってしまうかもね」

幼「私も困る……な」

男「ま、幼は全然太ってないけどな」

幼「と、とりあえずじゃがいもを耐熱容器に入れて、レンジで2分加熱するんだ」

176: 2014/08/06(水) 21:49:50 ID:d8aVXLJ.
男「たったの2分か?」

幼「あとでまた加熱するから、今はちょっと固めに蒸すんだ」

男「なるほど」

幼「その間にベーコンを切るよ」
ザクザク

男「ふむふむ、細かく切るんだな」

幼「あ、しまった。男は細切りの方が良かったかな?」

男「いや、こだわりはないぞ」

幼「そうか、良かった」
ザクザク

177: 2014/08/06(水) 21:50:44 ID:d8aVXLJ.
幼「これをオリーブオイルでちょっと炒めるんだ」

幼「オリーブオイルは少しで良いからね」

男「ベーコンから脂が出るから……か?」

幼「うん、美味しい脂分が出るからね」

幼「焦げない程度に軽く炒めて…っと」
ジュージュー

男「うぉぉ、もうそれだけで美味しそうだな」

幼「ふふっ、もうちょっと我慢してくれ」

男「おうよ」

178: 2014/08/06(水) 21:51:15 ID:d8aVXLJ.
ピロリロリロリロピロリロリー

幼「あぁ男、じゃがいもをレンジから取ってもらえるかな」

男「よしきた」
ガチャッ

幼「あ、熱いので注意しt」

男「あっちぃ!!」
ガタッ

幼「す、すまない!すぐ水で冷やして……」

男「別に火傷はしてないから大丈夫だよ」

幼「でも、冷やした方が良い」
ぎゅっ

ザーーーーーー
バシャバシャ

179: 2014/08/06(水) 21:52:10 ID:d8aVXLJ.
幼(手を……握ってしまった)

幼(いやでもこれは、火傷を心配しての行動で……)

幼(決してやましい気持ちがある訳ではっ……)

男「幼、本当にもう大丈夫だから…」

幼「そ、そうかい?うん、火傷も大丈夫そうだね、ハハ」

幼(……そう、やましい気持ちなんて)

男「心配してくれてありがとな」

幼「!?い、いや、事前に注意しなかった私が悪いんだ、男は気にしないで」

男「でも、ありがとな」
ニコッ

幼「~~~~~」

180: 2014/08/06(水) 21:57:03 ID:d8aVXLJ.
男「それで、このじゃがいもをどうするんだ?」

幼「あ、あぁ、キッチンタオルを使って、皮を剥くんだ」

男「へぇ、どうやって?」

幼「両手で包むようにして…こうチカラを入れると…」
ペリペリッ

男「おぉー!」

幼「そのまま処分出来るし、簡単だろう?」

男「ウチではピーラーで皮剥いてから茹でてたみたいだったが」

幼「やり易い方で良いと思うよ」

181: 2014/08/06(水) 21:59:15 ID:d8aVXLJ.
幼「なにせじゃがいもだからね」

男「ん?」

幼「皮付きでも美味しいだろう?」

男「言われてみればそうだな」

幼「取り敢えずこれでよしと」
パッパッ

男「見事な手さばきだなー。見惚れちまうぜ」

幼「そ、そうかい?えへへ」

182: 2014/08/06(水) 22:00:53 ID:d8aVXLJ.
幼「それでこのじゃがいもを一口大に切って…」
トントントン

男「ふんふん」

幼「フライパンのベーコンと混ぜてちょっと炒めるんだ」
ジュー

男「おぉぉぉぉ、ベーコンの脂がじゃがいもを包むんだな?」

幼「そう。これで塩味が軽く付くので、味付けはこしょうを軽く振るだけなんだ」

男「良い匂いだなぁ……もう完成か?」

183: 2014/08/06(水) 22:01:50 ID:d8aVXLJ.
幼「あと二工程」

男「十分に美味そうだけど、この上何をするんだ?」

幼「器に移して……上からピザ用チーズをパラパラと」
パラパラッ

男「ぐはっ!それもう美味いの確定じゃないか」

幼「そうだね、美味しいと思う……よ」

男「それを混ぜて終わり?」

幼「これをレンジで温めるんだ。チーズが溶けるまでね」

男「うぉお……チーズ溶かすか……」

184: 2014/08/06(水) 22:02:41 ID:d8aVXLJ.
幼「もうすぐだよ、男」
ピッピッ

男「3分過ぎちゃったぞ」

幼「ん?」

男「さっきキューピー3分クッキングって言ったろ?」

幼「あわわ……聞こえていたのか、意地の悪い」

男「ん?俺、意地悪だったか?」

幼「……いや、意地悪ではないよ」

男「幼の気分を害したなら謝るよ、すまん」

185: 2014/08/06(水) 22:03:50 ID:d8aVXLJ.
幼「あやまらないでくれよ、男」

幼「男は何も悪い事をしていないから」

男「でも…」

幼「本当に何でも無いんだ」

男「そうか?なら良いんだけど……変な気は遣うなよ?」

男「俺と幼の仲だろ?」

幼「そうだね」

幼(無自覚だから仕方無い、仕方無い……)

幼(焦らない…焦らない……)

186: 2014/08/06(水) 22:04:37 ID:d8aVXLJ.
男「ん?どうした、幼?おーい?」

幼「んっ!?な、何かな?」

男「レンジ、温め終わったみたいだけど」

幼「そ、そうか、じゃあ温かいうちに頂こうか」
ガチャ

男「うわーーーーー」

男「めっちゃ美味そうだな!あと良い匂いだぜー」

幼「はい、お箸」

男「ありがとう、頂きます!」

幼「召し上がれ」

187: 2014/08/06(水) 22:05:28 ID:d8aVXLJ.
パクッ
モグモグ
男「んめぇー」

幼「ふふふ、口に合ったようだね」

男「結局5分もかかってないし、凄いな、幼」

幼「私は凄くないよ、凄いのはじゃがいもとベーコンだよ」

男「そうか?いやいや、手際の良さ凄かったよ」

幼「ありがとう、ふふ」

男「……」
モグモグ

幼「……」

幼(あ、この雰囲気って……)

188: 2014/08/06(水) 22:06:10 ID:d8aVXLJ.
男「あのさ」

幼「ん?」

男「ほら、あーん」

幼「えっ!?えっ!?」

男「幼も食べなよ、俺が言うのもアレだけど、美味いぞ」

幼「あっ…あの…」

男「ほら、口開けて!さあさあ」

189: 2014/08/06(水) 22:06:56 ID:d8aVXLJ.
幼「じゃ、じゃあ……」

男「ん」

パクッ
モグモグ

男「な?美味しいだろ?」

幼「うん……うん、美味しいよ、自分で言うのも変だけどね、えへへ」

幼(これって間接……キス)

男「……あのさ」

幼「うん?」

190: 2014/08/06(水) 22:08:31 ID:d8aVXLJ.
男「こうしてると新婚の夫婦みたいだよな」

幼「しんっ!……こ、ん」

男「なんてな、すまん。変な事言っちまったな」

幼「そ、そんな事はないよ、男」

男「そうか?ほら、もう一口」

幼「あ、あぁ」
パクッ
モグモグ

幼「……変な事なんかじゃ、無いよ、男」

男「ん…?」

幼「私は…その……」

191: 2014/08/06(水) 22:10:05 ID:d8aVXLJ.
ガチャガチャ
バタン


幼馴染の母「ただいまー」

幼「なっ……母さん、今日は帰らないんじゃなかったの?」

幼母「それが取引先の都合で明日になっちゃってねー」

男「おばさん、お邪魔してます」

幼母「あら、男ちゃん、いらっしゃい。なんだか久しぶりねー」

幼「……」

幼母「あら?…………ひょっとしてお邪魔だったのは私?」

幼「べ、別にっ」

男「?」

192: 2014/08/06(水) 22:11:28 ID:d8aVXLJ.
幼母(何なら今からもう一度出ようか?小一時間位)

幼(余計な気を回さないでっ)

男「おーい幼、最後の一口、俺が食っちゃうぞ?」

幼「ど、どうぞどうぞ」

男「じゃあ遠慮なくっ」
パクッ
モグモグ


幼(今日もまた駄目か……)

幼(どうしてこんなに間が悪いのか……)

幼(でも次は……次こそは……!)




男「あぁ…こんな料理なら毎日食べたいなぁ」


幼・幼母「!?」


おわり

193: 2014/08/06(水) 22:12:21 ID:d8aVXLJ.
おまけレシピ

『どう転んでも美味しいじゃがいものやつ』

じゃがいも 食べたい量

ベーコン 食べたい量

ピザ用チーズ 食べたい量

こしょう 少々

194: 2014/08/06(水) 22:13:35 ID:d8aVXLJ.
作り方


じゃがいもはちょっと固めに茹でて
一口大に切る


ベーコンも一口大に切って炒める


そのまま同じフライパンにじゃがいもを入れて混ぜながら軽く炒める


器に移して、ピザ用チーズをパラパラした後、レンジで温める


チーズが溶けたらこしょうを振って出来上がり


温かいうちに頂きます!

195: 2014/08/06(水) 22:14:24 ID:d8aVXLJ.
とにかく簡単です

味付けはこしょうを少々だけで十分です

ベーコンの脂から出た塩味とじゃがいもが超合います

食べたい量作って、食べたいだけ食べる

最高だと思います

ぜひお試し下さい

196: 2014/08/06(水) 22:15:45 ID:d8aVXLJ.
これで全部おわりです

読んで頂けたら嬉しいです

作って食べて頂けたら更に嬉しいです

おまけが長くなって申し訳ない

では。

引用: 男「え?もうですか?」 幼馴染の父「おう」