252: 2014/07/26(土) 23:34:20 ID:2d6AG396

戦士「あ? 勇者のふりをしろって?」商人「そうです」【前編】

戦士「あ? 勇者のふりをしろって?」商人「そうです」【中編】

勇者「ふー、腹一杯になったら眠くなってきたな」

勇者「すまんが一眠りする。その間に洞窟を掘ってくれればいいだろう」

商人「えっ」

勇者「ぐーすか」

女騎士「ほ、本当に寝てしまったぞ!」

戦士「そら、体力が尽きたらそうなるだろう」

商人「そうかもしれませんけど、この人が裏切られた理由、なんとなく分かる気がします」

戦士「ああ、俺もなんとなく分かる」

女騎士「むう」

戦士「ま、とにかく悩むことはない。騎士はついてきてくれればいいさ」

女騎士「もちろん、それはそうだ。私はお主に貰われた身」

女騎士「だが……」

勇者「すぴー」
ドラゴンクエストI&II - Switch
253: 2014/07/26(土) 23:35:36 ID:2d6AG396
勇者「……あっ、そうだ」ぱちり

商人「ど、どうしました?」

勇者「穴を掘るのにいい道具があるのを忘れていたよ」

戦士「ほう」

勇者「ほら、こいつさ。壁を壊す魔法の玉というアイテム」ひょい

商人「壁を壊す……?」

勇者「そう、邪魔な壁をぶっ飛ばしてくれるやつさ」

勇者「こいつを使えば楽に掘れると思うぜ」

女騎士「また崩落させる気かっ!」

商人「っていうか、もしかしてこれを使ったから……」

254: 2014/07/26(土) 23:36:10 ID:2d6AG396
勇者「大丈夫だって……ほら、壁に仕掛けるだけで……」

商人「ひいいい、なんか光ってますけど!」

戦士「危ない、脱出するぞ!」ダッ

女騎士「ゆ、勇者殿!」

勇者「おお? 眠いから後に……」

女騎士「あああ、お主のことではないっ!」

商人「こんな近くで寝ちゃダメですってば!」ずるずる

戦士「こっちだこっち」


ずどおおおおおおおおんんんんん……――

255: 2014/07/26(土) 23:37:43 ID:2d6AG396
――街道の村。

商人「疲れましたね」

女騎士「ああ」

戦士「おいおいお前ら、先に行くなよ」

勇者「ぐー」ずるずる

商人「置いて行きたくもなりますよ! こんな迷惑極まりない人!」

女騎士「そうだ! その、剣士殿、自分でやらかしたのに一向に目を覚まさなかったではないか!」

戦士「よく考えてもみろ。先走って何かやらかすのはお前らも一緒だろ?」

女騎士「なんだと」

商人(心当たりがある……)

256: 2014/07/26(土) 23:38:43 ID:2d6AG396
女騎士「こ、こないだの戦闘を根に持っているのか」

戦士「違う違う」

商人「えーっと、どうせいつも迷惑かけられているから気にならないと……」

戦士「そう」

商人「なんかすみません……」

女騎士「ゆ、勇者殿!」

戦士「大体、生き埋めだったやつに、いきなり起きろ働けというのもな」

女騎士「む、そ、それはそうだが……」

商人「その、勇者さんは……」

戦士「どーした」

商人「本気でこの人のことを本物だと思ってます?」ヒソヒソ

戦士「割りと思っているぞ」

257: 2014/07/26(土) 23:40:01 ID:2d6AG396
戦士「まあ、こいつが本物かどうか、まずゆっくり休んでから事情を聞いたらいいじゃないか」

商人「うーん……」

戦士「ほら、宿屋で休んでいこうぜ」キィ


「さあ、お集まりの方々! こちらにおわすのが、かの魔王討伐を目指す勇者様でございます!」

「ふははは、その通りだ!」


女騎士「!?」

商人「え、え?」

戦士「ほーう」

勇者「ぐー」

僧侶「どうぞ勇者様ご公認の魔除けの御札を受け取りなさい!」

僧侶「そして浄財を捧げるのです!」

偽勇者「うむ! 聖なる力を込めたありがたい御札であるぞ!」

258: 2014/07/26(土) 23:40:54 ID:2d6AG396
村人A「本当に効くのか~?」

僧侶「信心が足りないと、その効力は薄れるでしょう」

僧侶「しかし、大蛇やドラゴン、そしてその他大怪獣を倒してきた勇者様のご威光を持ってすれば。たとえ不信心者でもある程度の力は得られます!」

村人B「き、聞いたことがあるぞ! こないだも雪国で温泉街を荒らす魔物を追い払ったとか……」

偽勇者「ふははは、もちろん、俺のおかげだ!」

村人A「はあ~、すごい人なんだな」

僧侶「そう! そして、次なる魔物を防ぐために、この御札がいるのです!」

「おお~」「すごそうだな」


女騎士「あ、あの連中……何を言っているのだ!」

商人「しまったー!」

女騎士「どうした、商人殿!」

商人「御札売るって手は考えてなかった……」

女騎士「おい」

259: 2014/07/26(土) 23:41:51 ID:2d6AG396
戦士「まあ、僧侶っていう面子がいなかったからな」

商人「考えてみれば脳筋ばっかりじゃないですか!」

商人「うわあ、宗教心をくすぐって売るって作戦があったのに」

戦士「典型的な心霊商法だなあ」

女騎士「し、心霊……?」

戦士「詐欺商売だ」

女騎士「犯罪ではないか!」

商人「詐欺じゃないです。商売です」

女騎士「何をバカな!」

戦士「うーん、でも、あれ、多分本当にわずかでも効くと思うぜ」

戦士「僧侶は清める仕事が得意だからな」

261: 2014/07/26(土) 23:42:42 ID:2d6AG396
村人B「よし、買うぞ!」

僧侶「はいはい、浄財を捧げるのですよ。はい、大金なら、二つ三つつけますよ!」

偽勇者「はっはっは! 遠慮するなよ」


女騎士「勇者殿!」

戦士「ん?」

女騎士「あのような悪行放っておいてよいのか!」

戦士「別にいーじゃん、害があるわけでなし」

女騎士「風評被害が!」

商人「それに、認定証ならありますよ」さっ

戦士「うーん、しかしな。ほれ、今背中にお疲れ野郎が一匹いるから」

勇者「すぴふー」

262: 2014/07/26(土) 23:44:27 ID:2d6AG396
女騎士「それこそ、彼の方が偽物かもしれないではないか!」

戦士「いやそういうことではなくてだな」

商人「まあ、休ませた方がいいとは思いますけど」

戦士「そうそう」

女騎士「しかし!」

商人「僕らがゲットできるはずのお金を放置するのは悔しいですよ」

戦士「ゲットはできないだろ?」

女騎士「勇者殿!」

戦士「はっはっは」


「勇者……?」「おい、今、勇者って言ったぞ」


女騎士「ああ。ここにいる方こそ、真の勇者なのだ」

戦士「おいおい」

263: 2014/07/26(土) 23:45:13 ID:2d6AG396
偽勇者「ああん?」

僧侶「に、偽物です! そいつらは偽物なんです!」

偽勇者「そうだ。俺がしばらく怪我をして動けない時期に、偽勇者が現れたってな」

偽勇者「そいつらはその偽勇者に違いないぜ!」

商人「うっ」

戦士「おお、よく知っているな」

女騎士「戯言を!」

商人「で、ですけど、こっちには南の国で正式に発行された認定証があります!」ひらひら

偽勇者「その紙っきれは奪われたんだよ」

偽勇者「むしろ、そんなものを見せびらかしているやつの方が怪しいぜ!」

商人「うわっ、言われた」

264: 2014/07/26(土) 23:46:23 ID:2d6AG396
「どういうことだ」「どっちが本物なんだ」ざわざわ


僧侶「私達の方が本物に決まっています!」

女騎士「勝手なことを!」

偽勇者「へっ、見てみろ、この剣の傷を」

偽勇者「切り傷どころか、土で薄汚れている連中が魔物と戦ってきたわけねーだろ」

戦士「お、よく見ているな」

商人「確かに、剣の腕は騎士様くらいですもんね、一線級は」

女騎士「……だったら試してみるか!」

偽勇者「おいおい、こんなところでやりあうつもりかよ」

僧侶「暴力的な……最低な人たちです!」

女騎士「ぬぐぐ……!」

265: 2014/07/26(土) 23:47:01 ID:2d6AG396
戦士「それより、宿屋の女将さん」

宿屋「はいはい」

戦士「こいつ、疲れてるからとりあえず寝かせてもらっていいかな?」

勇者「ぐーすかー」

宿屋「あいよ」

戦士「勇者料金で頼むぜ」

宿屋「うちにはないよ」

女騎士「勇者殿!」

戦士「なんだよ」

勇者「ふわい?」

女騎士「この、こいつらにナントカ言わないのかっ!」

戦士「人間同士で争っていて、魔王が倒せるのかね?」

女騎士「くっ」

266: 2014/07/26(土) 23:47:33 ID:2d6AG396
僧侶「女将さん、こんな失礼な人達、叩きだしてやってください!」

宿屋「もうお金もらってるし……」

戦士「だよねー」

偽勇者「まあ、僧侶、そして村の皆さん。まずは彼ら偽物を許してやってくださいよ」

偽勇者「彼らもいい思いをして、いい気になってきたんだろうが」

女騎士「ギリギリ」

商人「大丈夫ですか……?」

偽勇者「けが人もいる集団をそう邪険に扱うこともない」

偽勇者「また勇者だなんだと言い出したら叩きだしてやればいい」

村人A「その通りだ!」

268: 2014/07/27(日) 17:54:46 ID:wLHj/nZ6
戦士「まあ、放っておけよ」

戦士「じゃ、女将さん。二階借りるぜ~」トントン

宿屋「はいはい」


偽勇者「よーし、それじゃあ、俺のファンにはサインしてやるぜ!」

僧侶「はい、ありがたい勇者様のサインですよ!」


女騎士「ぐぬぬ」

商人「もう放っておきましょうよ。っていうか、放って置かれているのはこっちですけど」

女騎士「勇者殿は何を考えているのだ」

女騎士「いつもならしきりに勇者を名乗っていたのに……」

商人「儲からないからじゃないですかね」

269: 2014/07/27(日) 17:59:14 ID:wLHj/nZ6
――しばらくして。

勇者「ん」ぱちり

戦士「よう、目が覚めたか」

勇者「腹減ったな」ぐー

戦士「飯でも食うか?」

勇者「お、いいね!」

戦士「だが、その前に質問がある」

勇者「なんだ?」

戦士「あんた、どんなやつと旅をしていた?」

勇者「あ?」

勇者「んー、そうだな。魔法使いと、武闘家と……」

勇者「まあ、それなりに気のいい連中だったよ」

戦士「あんたをおいて行ったのに?」

270: 2014/07/27(日) 18:02:43 ID:wLHj/nZ6
勇者「そうなんだよな。なんでだろ」

戦士「まっ、愛想が尽きたんじゃねぇか」

勇者「そうかなぁ」ぐー

戦士「ずいぶんと腹ペコだな」

勇者「まあな! 丈夫さがウリの俺でもさすがに堪えたわ」

戦士「もう一つ質問がある」

勇者「おお、いいぞ」

戦士「自分がいつ勇者だと気づいた?」

勇者「妙なことを聞くな。そりゃもう、十六の誕生日よ」

勇者「母さんに言われて、お前は勇者だって」

戦士「なるほど」

271: 2014/07/27(日) 18:05:07 ID:wLHj/nZ6
戦士「……うん。間違いなさそうだ」

勇者「あー?」

戦士「なんでもねぇ。じゃあ、ちょっくら下で飯食うか」

戦士「はっはっは、女と酒もおごってやるぞ」

勇者「マジで?」

戦士「もちろんだ、もちろん」

勇者「おお、気前がいいな!」

勇者(待てよ、こいつ、なんだか会った時からやけに親切だな……)

勇者(も、もしかして俺の身体を狙って!?)

272: 2014/07/27(日) 18:08:49 ID:wLHj/nZ6
勇者「おい、一応言っておくぞ」

戦士「なんだよ」

勇者「俺にそっちの趣味はない!」

戦士「そっち……?」

戦士(酒と女が嫌いってことかな?)

戦士「いや、嫌なら別に俺だけ楽しむが」

勇者「一人で楽しめるのか!?」

戦士「別に一人で注文したっていいだろう」

勇者「注文……!?」

商人「あのう、イチャついているところ悪いんですけど」

273: 2014/07/27(日) 18:12:26 ID:wLHj/nZ6
戦士「おう、どうした?」

商人「ええと、お食事の用意ならもう頼みましたよ」

商人「さすがに、あの、ニセモノのせいで、勇者価格とは行きませんでしたが」

勇者「勇者価格?」

商人「知りませんか? 勇者だし、魔王討伐で頑張ってるから食事代を安くしてくれと――」

勇者「はあ?」

商人「あっ……」

戦士「まじめにお金払ってたっぽいな」

勇者「おい、マジでなんなんだよ」

274: 2014/07/27(日) 18:15:53 ID:wLHj/nZ6
商人「うーん、この人かなりの大食漢っぽいですよね」ヒソヒソ

戦士「そうだな」

商人「もしかして、毎回大量に食べてるせいで、仲間からウザがられていたのでは……」

戦士「なるほど」

商人「く、空気を読まずに居眠りしますし……」

戦士「確かに」

商人「ボクなら即行で同行お断りですよ!」

勇者「おい、聞こえてるぞ」

商人「あ、け、剣士様のことじゃないですよ」

275: 2014/07/27(日) 18:22:07 ID:wLHj/nZ6
酒場。

勇者「ほう、このちっこいのが商人か」モグモグ

商人「は、はい!」

戦士「戦闘ではあまり役に立たないんだ」

商人「もっと褒めてくださいよ! 罵倒してないで!」

勇者「なんか得意技とかないのか?」ゴキュゴキュ

戦士「ないな」

商人「ひどい!」

戦士「じゃあ、何かあるのか?」

商人「ど、道具を買うのが得意です……」

勇者「……」パクパク

商人「何か言ってください」

276: 2014/07/27(日) 18:26:51 ID:wLHj/nZ6
戦士「実は偽勇者をやろうって言い出したのはこいつなんだ」ハハハ

商人「ちょっ」

勇者「へー、すごいじゃん」

商人「シーですよ! シー!」

戦士「だってここじゃ俺達が偽物扱いだろ?」

勇者「ああ。たしかにな」パリパリ

勇者「ごくん。じゃあ、認定証とかも誰からもらった?」

商人「……ま、魔法使いのお姉さんから買いました」

勇者「かーっ、マジかよ。あいつ容赦ないな」

商人「有り金全部、振り落とされました……」

戦士「お前本当に商人向いてなさそうだな」

277: 2014/07/27(日) 18:32:34 ID:wLHj/nZ6
勇者「おばちゃん、ご飯おかわり!」

宿屋「はいはい。よく食うわね、あんた」

勇者「うへへ、食いっぷりだけは一人前と褒められたもんさ!」

商人「褒められてませんよ」

戦士「他はどうだったんだ?」

勇者「食欲だけで戦っていると」

商人「褒められてませんよ!?」

戦士「なるほど、食欲と睡眠欲の剣士か」

商人「性欲と酒欲にまみれた人もいますよね……」

戦士「金銭欲もな」

勇者「おっ、欲望をコンプリートか?」

280: 2014/07/27(日) 22:39:57 ID:wLHj/nZ6
勇者「ふー、ひとまず落ち着いたぜ」

商人「なんか丼で8皿くらいぺろりしませんでした!?」

戦士「食後に一杯やるか?」

勇者「いや、寝る。と言いたいところだが」

女騎士「おい、お前たち!」バタン!

勇者「ほら来た」

戦士「よく飛び込んでくるな」

女騎士「何を言っているのだ! それどころではない!」

女騎士「魔物が攻めてきたぞ!」

宿屋「ほ、本当かい?」

女騎士「ああ、ほら、早く避難を!」

勇者「あのユウシャサマに任せればいーじゃん?」

女騎士「そうだ、女将さん、あの連中は……!」

宿屋「や、夜分に出かけていったよ」

女騎士「なんだと!」

281: 2014/07/27(日) 22:42:54 ID:wLHj/nZ6
戦士「まあ、落ち着けよ」

女騎士「落ち着いていられるか!」

商人「あ! 魔物除けを売りまくっていたじゃないですか」

商人「アレを使えば」

女騎士「それを村に貼り付けて突破されているから、呼びに来たんだ!」

勇者「あちゃー……全然ダメじゃねーか」

戦士「まっ、ろくに信仰心の篤くない神職が作った魔除けなんてそんなもんだ」

戦士「とりあえず飲んでいよう、な?」

女騎士「飲んでる場合かっ!」

282: 2014/07/27(日) 22:46:14 ID:wLHj/nZ6
戦士「うるせーな。じゃあ、どんな魔物なのか確認してきてくれよ」

女騎士「頼むぞっ! 勇者殿!」バッ

商人「元気ですねぇ」

戦士「溜まってんだろ」

勇者「何? あの人工口いの?」

戦士「ニセ勇者に出会って何も出来ずにやり込められたからカッカきてるのさ」

宿屋「あ、あんたたち、勇者なのかい? 本物の?」

勇者「ああ! ……えーっと、こっちが」

商人「ボクじゃないですよ! こっちの人です!」

戦士「はっはっは」

宿屋「なんでもいいよ、助けておくれ」

戦士「うまい酒を頼むよ」

283: 2014/07/27(日) 22:48:37 ID:wLHj/nZ6
勇者「よっしゃ、腹ごなしに魔物でも退治すっか」

戦士「おい商人」

商人「な、なんですか」

戦士「これで勇者の真の力が見れるかもしれんぞ」

商人「なるほど!」

勇者「それじゃ、剣、剣……あれ?」

勇者「おい、俺の剣は?」

商人「……」

商人「洞窟に、埋まっているんじゃないですかね」

勇者「おいおい。え?」

戦士「はっはっは、こりゃ剣士でもないな。ただの無職だ」

勇者「おい、やめろよ」

284: 2014/07/27(日) 22:52:08 ID:wLHj/nZ6
勇者「しようがない。お前、なんか武器になりそうなものはあるか?」

戦士「弓矢ならあるぜ。毒矢を打ち込むための」

勇者「弓か。まあいいだろう」

商人「扱えるんですか!?」

勇者「ふっ、これでも野宿の時はウサギやスライムを捕って食ったもんだぜ」

商人「ゲロゲロ」

戦士「スライム食べて飢えをしのぐとか、やっぱり仲間に逃げられて当然……」

勇者「い、いいだろ、別に」

バン!!

女騎士「猪だぞ! 猪の魔物だ!」

戦士「よし、飛び込まずに戻ってきたな」

285: 2014/07/27(日) 22:56:02 ID:wLHj/nZ6
戦士「騎士。とりあえずこの酒場兼宿屋まで、魔物を導いてこい」

女騎士「ほ、本気か!?」

宿屋「だ、大丈夫なのかい?」

戦士「大丈夫だ」

勇者「お、なに? 『勇者』サマが仕切るのか」

戦士「ああ、任せてくれよ」

勇者「オッケー、何でも言え」

戦士「よし、商人。とりあえず扉の前に油を撒け」

商人「仕方ないですね」

286: 2014/07/27(日) 23:01:00 ID:wLHj/nZ6
戦士「猪の魔物で超巨大化する例というのはあまり多くない」

商人「そ、そうなんですか?」パシャパシャ

戦士「そうだ。だから、大抵知能タイプか、突進タイプの中クラスの魔物に落ち着く」

勇者「ほう」

戦士「だが、逆にこの手のタイプは、先日の虎のようにやりにくい」

戦士「端的に言えば、筋肉モリモリの戦士が知能をつけたようなものだ」

戦士「動きも素早いし、機転もきく」

勇者「弱点ないじゃん」

戦士「ところがだ。知能をつけるとくだらない罠に引っ掛かる」

商人「そうなんですか?」

戦士「ああ。鳥もそうだったろう?」

287: 2014/07/27(日) 23:04:05 ID:wLHj/nZ6
戦士「つまりだな」

女騎士「つ、連れてきたぞおおおおおおお!!!」ダダダッ

商人「あ、騎士様、危ない」

女騎士「ほっ」つるっ


女騎士は油ですっ転んだ! どんがらがっしゃん!


女騎士「ひぎゃー!」

猪『ぐははははっ!』

猪『見よ、どうやら我を罠にハメるつもりだったらしいな……』

戦士「失敗したようだな」バタン

猪『おい、開けろ!』ドンドン

戦士「分かった分かった」ガチャ

猪『おっ』どてっ つるりっ

288: 2014/07/27(日) 23:07:46 ID:wLHj/nZ6
戦士「射て」

勇者「おう」 ヒュバッ

猪『』 グサアーッ

戦士「こうなる。扉が入り口だと認識してしまうから、引っ掛かる」

商人「こりゃひどい……」

戦士「女将さん、火を点けてもいいかな?」

宿屋「こ、困るよ!」

猪『き、貴様ら、コケにして』

勇者「なら、滅多射ちだ!」ヒュババッ

猪『』 ブスブスブスッ!!

商人「なんかしゃべりかけてましたよ!」

289: 2014/07/27(日) 23:15:46 ID:wLHj/nZ6
勇者「こいつ、息があるな」

戦士「背骨をねらえ。転んでいる内に容赦をしないのが勇者流だ」

勇者「なるほど。俺はてっきり相手の動きを見ないといけないのかと思っていたぜ」ヒュバッ

猪『ぐふっ』ビスッ

商人「この人達、淡々としすぎてコワイ」

勇者「さて、息の根を止めたところで、いよいよ肉を捌く時間だな!」

商人「なんかイキイキしてる!」

勇者「肉系の魔物は捌くまでが一流のハンターです」

商人「いつからハンターになったんですか!?」

戦士「お前、立派な猟師になれるぜ」

猟師「やっぱりそう思う?」

290: 2014/07/27(日) 23:17:51 ID:wLHj/nZ6
宿屋「ほっ……とりあえず、なんとかなったのかね」

戦士「ああ。悪いな、血なまぐさくしてしまって」

宿屋「とんでもない、あんたたちは命の恩人だよ」

宿屋「口先だけの勇者なんかよりよっぽどいい男じゃないか」

猟師「複雑な気分だぜ」

商人「ボクはもっと複雑です……」

戦士「まあ、いいじゃねぇか」


女騎士「……よくないぞ」グスッ

295: 2014/07/30(水) 23:51:24 ID:dFezkntA
――
商人「猟師さん」

勇者「……」

商人「猟師さん」

勇者「あのな、せめて狩人とかにしてくれよ」

商人「え? だけど、剣は得意じゃないんでしょ?」

勇者「得意ではないというだけで、下手だとは言ってねぇ」

商人「騎士様に挑んで負けたじゃないですか」

勇者「うるせぇー! あいつが女のくせに異様に強いだけだ!」

勇者「大体アレだゾ。あいつの上腕筋やべーぞ!」

商人「ボクのアレくらいありますもんねぇ」

勇者「そっちがオドロキだわ」

296: 2014/07/30(水) 23:51:56 ID:dFezkntA
商人「アレってアレですよ。太もも」

勇者「ああ、そう」

勇者「どちらにせよ、おっOいのある白いメスゴリラだ」

商人「とにかく、さすがに剣の腕が大したことない人を剣士様と呼ぶわけには」

勇者「お前って自然に人を傷つけるのな」

商人「そんな滅相もない!」

勇者「……」

商人「勇者さんが体がブレないいい射撃だって褒めてましたけど……」

商人「それだけじゃ心配じゃないですか。破壊力的に」

勇者「任せろ。俺、実は魔法も使えるんだ」

商人「へえ。ホントですか?」

297: 2014/07/30(水) 23:53:16 ID:dFezkntA
勇者「ああ。まず肉を柔らかくする火の魔法だ」 パチッ メラリ

商人「……」

勇者「そして肉を保存する氷の魔法だ」 カキーン

商人「……」

勇者「最後に肉包丁をしっかり研げる土の魔法だ」 ゾリゾリ

商人「……で、威力のほどは?」

勇者「肉がうまい」

商人「料理人に転職すると良さそうですね」

料理人「ははは、何言ってんだ」

298: 2014/07/30(水) 23:53:53 ID:dFezkntA
商人「では、本当は鉄の弾を火薬で射出する、北の国の武器があったんですが」

料理人「マジで?」

商人「ここは包丁3点セットをお求めやすい価格でご用意させていただきましたッ!」ジャラッ

料理人「おい! 秘密の武器もよこせよ!」

商人「さらに、不思議な錆びない鉄で作られた鍋もセットで、なんと金一万ぽっきり!」

料理人「お前、俺から金を取る気か」

商人「なんか問題があるんですか」

勇者「あと俺を料理人扱いするな!」

商人「じ、じゃあ……やっぱり、猟師さん?」

猟師「そうそう」

勇者「そうじゃない。そうじゃないぞ、俺」

299: 2014/07/30(水) 23:54:27 ID:dFezkntA
戦士「……仲が良さそうだな」

女騎士「妬いているのか?」

戦士「うーん、どっちもカワイイからなぁ」

女騎士「頼む、お主の性趣向を知りたくはないから、コレ以上はやめてくれ」

戦士「まあ、おっOいが一番かな」もにゅ

女騎士「ひっ……!」

戦士「お?」

女騎士「……離せ」

戦士「おう」

女騎士「し、失礼な態度を取るんじゃない」

戦士「我慢したのか?」

女騎士「ふん。いつも前のめりだのなんだのうるさいからな」

戦士「何だ、じゃあ、触り放題か」モニュモニュ

女騎士「」   \バシーン!/

300: 2014/07/30(水) 23:55:34 ID:dFezkntA
戦士「そう怒るなよ」

女騎士「怒るわああああああ!!」

戦士「俺は相手の嫌がることはしない主義だ」

女騎士「そ、それでは私がセクハラを望んでいるとでもいうつもりかっ」

戦士「違うだろ」

女騎士「はあ……?」

戦士「セクハラされてビンタを張るまでが騎士のやりたいことだろ」

戦士「王宮暮らしでは上司には一撃することも出来なかっただろうからな」

女騎士「ま、まさか、あえてツッコミを入れさせることで、私のストレスを発散させようと……?」

戦士「その通り」

女騎士「よーし、じゃあ、セクハラの必要はないから思う存分張り倒してくれよう」

戦士「ついさっき張ったばかりじゃねぇか」   \ズバシーン!/

301: 2014/07/30(水) 23:56:43 ID:dFezkntA
女騎士「お主は……! 本当に……!」

戦士「ここまでされる覚えはないんだが」

女騎士「やかましい!」

戦士「で、話ってのはなんだ?」

女騎士「う、うむ」

女騎士「……あの男は本当に勇者なのだな?」

戦士「猟師のことか?」

女騎士「猟師!?」

戦士「ああ、剣士ってほど剣の腕前が強くなかったし」

女騎士「それだ」

302: 2014/07/30(水) 23:57:41 ID:dFezkntA
女騎士「私は、その、勇者というものは、剣は超一流、魔法も得意で、美形の心優しい正義感だと思っていた」

戦士「ハードル高すぎるぞ」

戦士(さすがに乙女すぎる)

女騎士「うるさい! しかし、だ。お主を見て、考えを改めた」

戦士「ほう」

女騎士「勇者、いや真の強者とは、自らの力量を知り尽くした上で、自分よりも凶悪な魔物に対しても冷静に勇気を持って闘う者なのだと」

戦士「ふーん」

女騎士「お主のことだぞ」

戦士「はいはい」

女騎士「褒めているのに、嬉しくないのか」

戦士「俺が冷静に勇気を持って戦っている男に見えるんか?」

女騎士「そうだ」

303: 2014/07/30(水) 23:58:23 ID:dFezkntA
戦士「買いかぶりとは言わんが、俺は力量を知り尽くしているわけじゃないぞ」

女騎士「じゃあ、なんだと言うのだ?」

戦士「お前らよりもちょっと知識量が豊富なだけだ」

女騎士「そこが重要なのだ」

戦士「……で、それが何だって?」

女騎士「うむ。あの男も、お主が見込んだ以上、私の知らない何かを秘めているのだろう」

戦士「だから、精霊の加護がだな」

女騎士「私には分からん」

戦士「騎士は数ヶ月生き埋めになっても生き残れるの?」

女騎士「いや……まあ、それはなんとも言えないが」

戦士「壁に尻が挟まってレOプされても」

女騎士「は?」

304: 2014/07/30(水) 23:59:06 ID:dFezkntA
女騎士「とにかく、まあ、あの男を勇者としよう」

戦士「おう」

女騎士「……このメンバーで魔王を倒せるのか?」

戦士「まあ、普通には無理だな」

女騎士「やはりそうか」

戦士「具体的に言うと、お色気が足りないのがキツい」

女騎士「……」

戦士「こう、騎士もおっOい揉みやすい鎧を着けているところはポイント高いんだけどな」

戦士「もう少しきわどいギリギリを攻めるビキニアーマー的なやつを」

女騎士「いいかげんにしろ!」  \バッシーン!/

305: 2014/07/30(水) 23:59:38 ID:dFezkntA
戦士「実際に、魔王の傍には人間の工口衣装に反応する魔物がいてだな」

女騎士「絶対ウソだろう!」

戦士「嘘だけど」

女騎士「嘘じゃないか!」

戦士「怒るなよ。分かってるって」

女騎士「ほ、本当に分かっているんだろうな?」

戦士「ああ。つまり、修行をしろとかそういうことを言うつもりだろう」

女騎士「その通りだ」

戦士「無駄だぞ」

女騎士「だからっ!」

戦士「いや、冗談じゃなくってな」

306: 2014/07/31(木) 00:00:13 ID:i01XVP3w
戦士「魔王軍と本気でやりあうには条件が悪すぎる」

女騎士「どういうことだ?」

戦士「まず圧倒的に物量の差、兵員の差がある」

女騎士「そ、それは」

戦士「それを賄うには金が必要なんだが、なんだかんだでそれも揃っていない」

女騎士「う、うむ」

戦士「ぶっちゃけ個々の肉体を鍛えても金と物量はひっくり返せない」

女騎士「やってみなければわからないだろう!」

戦士「分かるぞ」

女騎士「しかし!」

戦士「あの手のビッグサイズの魔物が10体以上いるとしよう」

女騎士「う……」

307: 2014/07/31(木) 00:00:47 ID:i01XVP3w
戦士「あいつらアホだし、強いから、一体一体バラバラで襲いかかってきているが」

戦士「さすがに何匹もまとめて倒すというのは少人数では無理だろう」

女騎士「じ、じゃあ、どうすればいいのだ!」

戦士「そらもちろん、騙くらかすのさ」

女騎士「だ、騙くらかす?」

戦士「そ」

女騎士「しかしだな」

戦士「大体、騎士が俺たちの中で一番強いんだぞ」

女騎士「そ、そんなことはない」

戦士「いや、身体能力や腕っ節という意味ではな」

戦士(実際メスゴリラ並だと思います)

308: 2014/07/31(木) 00:01:36 ID:i01XVP3w
女騎士「まあ、いい。何か考えがあるならそれに従おう」

戦士「おう、よろしく」

女騎士「……本当に地獄の特訓とかはいいのか?」

戦士「まあ、旅の途中でやるならいいけど」

女騎士「分かった。絶対だぞ!」

戦士「商人にな」

女騎士「……」くるり


商人「ひっ、こっちを見ましたよ!」

勇者「落ち着け、ただ気配を察知しただけだ」

311: 2014/07/31(木) 00:05:33 ID:i01XVP3w
勇者「なんだ、猥談してんのかと思ったら魔王討伐の話か」

戦士「真面目だよな」

勇者「な」

女騎士「お主らが不まじめ過ぎるのだ!」

商人「大丈夫です。マジでアタマおかしいだけですから」

女騎士「し、商人殿?」

勇者「しかし、魔王討伐ということなら、俺にいい考えがあるぞ」

女騎士「な、なんだ」

勇者「ああ。魔王の闇の結界を破壊する、光のランプというのがあってだな」

商人「すごい、すごい売れそうですね」

312: 2014/07/31(木) 00:10:40 ID:i01XVP3w
戦士「こらこら商人、それは売れないものだぞ。多分」

商人「ボクなら売ってみせますよ! 何しろ勇者認定証まで買いましたからね!」

女騎士「それは勇者一行でない時だったから買えたのでは……」

勇者「立場的に売れない道具だな」

商人「そんな」

戦士「もう少し売れそうなすごい道具とかないのか?」

勇者「うーん……光のビキニ、とか?」

商人「ほう」

女騎士「……」イライラ

313: 2014/07/31(木) 00:14:25 ID:i01XVP3w
戦士「ああ。アレか」

勇者「お、知っているのか?」

戦士「あれはすごいぞ。魔を払う力が、恥辱によって高められる魔法がかかっているのだ」

勇者「らしいねー!」

商人「なんかこう、見てもお得、着てもお得、売ってもお得ですね!」キャッキャ

女騎士「……誰に着せるつもりだ?」

戦士「そういや騎士って工口下着を貯めこんでたんだぜ」

勇者「マジー? 猥褻ー」

女騎士「あれはッ! もらったものなの!」

商人「でも一度は着たんですよね」

314: 2014/07/31(木) 00:22:43 ID:i01XVP3w
商人「それで、とにかくその工口グッズはどこにあるんですか?」

勇者「なんで工口優先なんだよ」

商人「そ、そうでしたね。その金目の物は」

女騎士「商人殿!」

勇者「ああ。妖精の国に隠されているって、魔法使いが言ってた」

勇者「ただ行き方がどうしても分からないからさー」

戦士「ほう」

商人「妖精の国」

女騎士「……聞いたことがあるな」

318: 2014/08/04(月) 21:44:11 ID:0lkQGcsw
――
エルフ「こ、これは……」

エルフ「オレンジタルト!」

エルフ「どうやらただの落とし物のようだな……」キョロキョロ

エルフ「いただきま」

戦士「よし、いまだ」

商人「罠作動!」

エルフ「ほぎゃー!!!!」

戦士「拾い食いはやめろってアレほど言ったのになぁ」

エルフ「き、貴様らは!」


勇者「何やってんだアレ」

女騎士「うむ……説明したくない」

319: 2014/08/04(月) 21:44:44 ID:0lkQGcsw
エルフ「離せ! 離してください!」

戦士「安心しろ。妖精の国への道を教えてくれれば、解放する」

商人「それだけではありません! 月一のご褒美として、ケーキをホールで買ってきました」

エルフ「ホール……?」

戦士「いつもは何個かにカットしてあるんだ」

戦士「カットする前のまるまる一個ってことだよ」

エルフ「!」

商人「じゃじゃーん」

エルフ「ふぐぅ……! こんなことしたって、喋らないんだからぁ……!」

商人「まず一口」

エルフ「イグゥ!」モグモグ


勇者「何やってんだアレ」

女騎士「うむ……説明したくない」

320: 2014/08/04(月) 21:45:17 ID:0lkQGcsw
戦士「しかし、まだ移住してなかったんだな」

エルフ「ふっ、私は腕利きだ。皆が移住して以後も、この辺りの警戒を任されているのよ」モグモグ

商人「へぇー、お強いんですね」

エルフ「まあね。今日とて、このような罠でなければ」モグモグ

戦士「体よく追い出されたんじゃねぇかなぁ」

商人「ああ」

エルフ「そんなことはない」モグモグ

戦士「じゃあ、妖精の国行きを教えてくれるか?」

エルフ「いいだろう、あっ、このもこもこっとしたのも食べたい」

商人「はい。イチゴのムースですね」

321: 2014/08/04(月) 21:45:51 ID:0lkQGcsw
エルフ「ふー。それにしてもお前たち、なんだか数が増えたな」

勇者「どうも。勇者です」

戦士「猟師だ」

猟師「そうそう、熊さ退治しに来たんだで」

商人「料理人さんですよね」

料理人「オイラの料理は一級品よォ!」

エルフ「は?」

勇者「……だから初対面のやつには通じねーネタをやらせるなよ」

戦士「やらなきゃいいじゃねぇか」

女騎士「我々の仲間だ」

エルフ「まあ、なんでもいいけれど。こんなにたくさんの人間を近づけるのは嫌だわ」

322: 2014/08/04(月) 21:46:37 ID:0lkQGcsw
勇者「だったら、光のランプを持ってきてくれよ」

戦士「ああ。別に無理して国に入るつもりはないしな」

エルフ「お前ら、私を何だと思っているの?」

戦士「ケーキ奴隷かな」

商人「実はアップルパイも用意しておりまして」パカッ

エルフ「んあーっ!」ビクビク

女騎士「バカじゃないのか、こいつ」

エルフ「おい、聞き捨てならない!」ドッキンドッキン

エルフ「それに、光のランプなんて物は私も知らないしな」

勇者「そうなのか? しかし、確かに魔法使いが……」

323: 2014/08/04(月) 21:47:20 ID:0lkQGcsw
戦士「じゃあ光のビキニでいいよ」

女騎士「良くない!」

エルフ「光のビキニか……」

女騎士「そっちはあるのか!?」

エルフ「確かにアレは素晴らしい魔力を秘めている」

エルフ「しかし、アレは淫猥というか……伝説の痴女エルフが身につけていたという装備で……」

商人「ますます譲ってもらったほうが(お金に)活用できるじゃないですか!」

女騎士「ええい、それしかないのかお前たちは!」

商人「それ(金)?」

戦士「それ(工口)?」

324: 2014/08/04(月) 21:48:01 ID:0lkQGcsw
勇者「なんでもいいが、持ってきてもらえないなら入れてくれ」

勇者「それがダメなら持ってきてくれ。対価も用意しているんだから悪い話じゃないと思うんだが」

エルフ「だけど、こないだ一人訪問者を入れたばかりだし」

戦士「なに? 人が入ったのか?」

エルフ「ああ。貢物を持ってきたということでね」

女騎士「エルフってバカなのか?」

エルフ「あ?」

商人「まさか、先に取りに来た人がいるんじゃ」

戦士「ああ、ありうるなぁ」

勇者「おい、そりゃ面倒だぞ。どこかに流出したら困る」

325: 2014/08/04(月) 21:48:46 ID:0lkQGcsw
戦士「ふむ。エルフ」ずいっ

エルフ「あ、ああ。わかったよ」

エルフ「協力すると約束したしね。その代わり、あまり派手に動いたりしないでほしい」

戦士「よし、頼んだぞ」

商人「うまく行ったらチーズケーキ用意しますよ!」

エルフ「そこまで言うなら案内するしかあるまい!」ニッコニコ

勇者「糖尿病になりそうだな」

女騎士「たまに食べてるからいいんじゃないか……」

326: 2014/08/04(月) 21:49:22 ID:0lkQGcsw
――妖精の国。

大妖樹『ゴォォォォォォォォ……』ガッコンガッコン

長「怯むな! 弓を引け!」


エルフ「」

勇者「なんかでっかい木の魔物がお城に組み付いてるな」

エルフ「」

戦士「お城の工事中か。こりゃ人の立ち入りを禁じるわけだ」

エルフ「」

商人「お取り込み中ですね……宝物をゲットするチャンスでは!?」

女騎士「そういうのはこそ泥というのだ!」ポカリ

商人「あ痛」

327: 2014/08/04(月) 21:52:55 ID:0lkQGcsw
魔法使い「……」コソコソ

勇者「あ! 魔法使い!」

魔法使い「!? あ、あんた、どうしてここに!」

戦士「知り合い?」

勇者「ああ」

魔法使い「ちぃっ! ずらかるわ!」ダッ

勇者「待て!」ダーン!!!

魔法使い「ひぎゃああああああああ……」バタリ

商人「あっ、それは殺傷能力高いですよ、めちゃくちゃ」

勇者「めちゃくちゃ腹にあたってしまったな」

328: 2014/08/04(月) 21:56:36 ID:0lkQGcsw
女騎士「だ、大丈夫かー!」ダッ

魔法使い「ぐふっ」

勇者「氏んだ(笑)」

戦士「笑い事じゃないだろ」

女騎士「しっかりしろ! 弾は貫通したようだが……」

戦士「内臓やられてたら、生きててもしばらく動けないぞ」

勇者「すまない、足止めするつもりだったんだが」

商人「足に撃てばよかったですね~」

エルフ「何をしているんだ! そんなのは放っておいて、早くアレを退治せねば!」

商人「エルフってコワイ」

329: 2014/08/04(月) 21:57:11 ID:0lkQGcsw
魔法使い「は、はあ、はあ……」

勇者「おい魔法使い、回復だ」ぴかー

魔法使い「あ、あんた…

330: 2014/08/04(月) 22:00:20 ID:0lkQGcsw
魔法使い「は、はあ、はあ……」

勇者「おい魔法使い、回復だ」ぴかー

魔法使い「あ、あんた……自分から撃っておいてこんなこと」

勇者「おいおい、俺を生き埋めのまま埋めたのはお前だろ?」

魔法使い「アレは気のせいよ」キリッ

勇者「俺の勇者のしるしまで売っぱらったようだが?」

商人「あっ、その節はありがとうございます」

魔法使い「……」

魔法使い「お腹いたいから、話は後よ」

戦士「こいつ、背中から腹を撃たれたのに余裕あるな」

女騎士「う、うむ」

エルフ「ほげええええ!? 木の化け物が城を崩しかかっているんだが!?」

331: 2014/08/04(月) 22:02:51 ID:0lkQGcsw
魔法使い「勇者……あの木の化け物は、火が弱点だわ」

勇者「見りゃ分かる」

魔法使い「けど、辺りは森で囲まれ、城に完全に組み付いている」

戦士「そのようだな」

魔法使い「だったらどうすればいいか分かるわね?」

勇者「城を見捨てるのかな?」

女騎士「な、何を言うのだ!」

女騎士「あそこには大勢のエルフ、そして妖精がいるはず!」

女騎士「それを見捨てると言うのか!?」

商人「……」

(長『人間風情が』 エルフ『ぺっ、犬は去れ』)

商人「まあ、いいんじゃないですかね」

女騎士「商人殿!?」

332: 2014/08/04(月) 22:05:58 ID:0lkQGcsw
戦士「まあ、待てよ。魔法使いさん、あんた、持っているんだろ?」

魔法使い「……何のことかしら」

戦士「光のビキニを」

魔法使い「……は?」

商人「勇者さん! 光のランプかもしれませんよ!」

戦士「おお、そうか。いいから光っぽいものを寄越すんだ」

魔法使い「ちょっと勇者、なんとか言ってやってよ?」

勇者「俺のこと?」

魔法使い「そうそう。何このカツアゲ、強盗」

猟師「すまんな。オラァ、女豹を狩る一介のハンターなんだべ」バーン! バーン!

魔法使い(楽しそう)

333: 2014/08/04(月) 22:08:11 ID:0lkQGcsw
魔法使い「くっ……いくら言われても、渡さないわ!」

魔法使い「この、光のドレスはね!」

戦士「おい、全然違うぞ」

勇者「おかしいな」

女騎士「光のドレスとは何なのだ?」

商人「光のドレス! すごい売れそう!」

勇者「いいから黙ってくれ」

戦士「ドレスというからには、女性専用なのかな?」

魔法使い「そうよ。これを着たものは立ちどころに幸せな結婚ができるという、伝説の嫁入り道具なのよ!」

戦士「へー」

エルフ「うぎゃあああああああ! 城が! 城が!」

334: 2014/08/04(月) 22:12:15 ID:0lkQGcsw
勇者「お前に結婚願望があったとはオドロキだ」

魔法使い「私にもね……冒険に出る前は売名して、きっとイケメンで金持ちの王子と結婚するっていう夢があったのよ」

商人「俗物的ですね?」

女騎士「……」

戦士「どうしたんだ、騎士も結婚したいのか?」

女騎士「違うわ! ただ、商人殿に突っ込みたくて我慢したというか」

商人「そんな、騎士様、存分に突っ込んでください」

勇者「お前らちょっと黙ってろ」

勇者「なんだよ、そんなら適当なところで結婚させてやったのに」

魔法使い「できるわけないでしょう、道中、食って寝て食って寝て、世界を救いそうもないアホについていって」

335: 2014/08/04(月) 22:14:55 ID:0lkQGcsw
勇者「そうか? 結構言い寄られてたのにな。魔法使い」

魔法使い「その辺の雑魚に求婚されても意味が無いのよ!」

戦士「すごい傲慢だな、彼女」ヒソヒソ

商人「仲間じゃなくてよかったですね!」ヒソヒソ

女騎士「……私はお主らが仲間で実際後悔も半分している」ヒソヒソ

勇者「うるせぇぞ!」

勇者「……まあ、よく分からんが、満足できないのは分かった」

勇者「だからって俺を埋めなくてもよかっただろ?」

魔法使い「アレはあんたが魔法の玉使ったからじゃない」

エルフ「うばあああああああ・

336: 2014/08/04(月) 22:18:36 ID:0lkQGcsw
勇者「しょうがないな。俺が婚姻をセッティングしてやる」

魔法使い「いらない」

勇者「……すまんな、ワガママ女子で」

戦士「そういうやついっぱい知ってるから大丈夫だぞ」

勇者「頼りになるなぁ、さすが勇者だ」

魔法使い「は?」

勇者「ああ。俺は今は一介の猟師でな、今はこの勇者に付いて行ってるんだ」

魔法使い「ああ……そう……」

商人「い、今気が付きました!」

女騎士「どうした、商人殿」

商人「この人……すっごい高い魔法道具をつけてますよ!」

商人「ボクらの中で一番高級かも……」

エルフ「城が……城がぁ……」

343: 2014/08/08(金) 21:37:01 ID:b.Z5cFO.
大妖樹『ウゴゴゴゴゴ……』 ガシーンガシャーン

長「も、もうダメじゃ……」


勇者「お、さすがにヤバいな」

勇者「おい、魔法使い。なんかいい手はないのか」

魔法使い「火でも放てば?」

エルフ「お前たち……!」

魔法使い「冗談よ。それじゃあコレでも使ったら?」サッ

商人「なんですかね、これ」

魔法使い「除草剤」

エルフ「じ、除草剤!?」

女騎士「こんなもの、効くとは思えんが……」

魔法使い「辺り一帯を百年枯らすわ」

勇者「お前……そんなもの懐に忍ばせてたら自分が氏んだだろ……」

344: 2014/08/08(金) 21:40:33 ID:b.Z5cFO.
魔法使い「いや、もし妖精たちにドレスを取るのを見咎められたら、脅しに使おうかと」

勇者「お前相変わらず最低だなぁ」

商人「どっちもどっちな気がボクはしてきました」

商人「でも、勇者さん、どうするんですか?」

商人「今までに無いくらい大きいですよ、アレ」

戦士「ああ。まあなぁ」

エルフ「た、頼む! 人間よ、これまでの態度からすれば傲慢かもしれないけど……」

エルフ「妖精の国は自然界の要、この世界の安定を守る聖域なのよ!」

エルフ「私に出来る事なら、何でもする!」

エルフ「どうか助けてください!」

戦士「じゃあ、お礼を好きなだけもらおうか」

商人「いいですね!」

345: 2014/08/08(金) 21:44:17 ID:b.Z5cFO.
戦士「大概、大型の魔物はそれだけで脅威だ。耐久力も攻撃力も高い」

戦士「ただアレはどうも今までの連中より知能が低そうだな」

女騎士「つまり?」

戦士「つまり、行動パターンが決まっているということだ」

勇者「ほう、なるほど。今は城に向かってひたすらぶつかりに行ってるだけって感じかな」

戦士「そういうことだ」

女騎士「それは分かった、ではどうすればいい」

戦士「真正面はエルフたちがひきつけている、俺達は足元に巨大な罠を仕掛けよう」

戦士「ほら、大きな草結びをつくって、足に引っ掛ける」ガサゴソ

エルフ「そ、そんな悠長な!?」

346: 2014/08/08(金) 21:48:54 ID:b.Z5cFO.
戦士「木の魔物は根が足になっているタイプが多いはずなのだが、あいつは足がちゃんと出来ている」

戦士「木を材料にしたゴーレムに近いのかな?」

戦士「だからコケさせるという手は良い手だ」

商人「穴も掘ればうまくいくんじゃないですかね」

戦士「そうそう、なかなか調子が出てきたな」

商人「へへへ」

女騎士「だが、転がしても、耐久力とやらが……」

戦士「騎士の出番だな。枝のしなりを利用して、巨斧がガツンとぶつかる仕掛けを作っておこう」

戦士「かなりの筋力がいるはずだ」

女騎士「うむ……分かった」

347: 2014/08/08(金) 21:51:28 ID:b.Z5cFO.
魔法使い「……」

勇者「で、俺はどうする?」

戦士「魔法使い」

魔法使い「はい?」

戦士「除草剤とやらは効果は本当なのか?」

魔法使い「ハッタリだから、さっき言ったほどではないわよ」

魔法使い「まあ、効き目はあるけどね」

戦士「よし、なら、猟師は斧でついた傷に、毒薬を塗った矢を撃ちこんでくれ」

勇者「おーけい」

348: 2014/08/08(金) 21:53:43 ID:b.Z5cFO.
エルフ「わ、私はどうしたらいい」

戦士「囮になってくれ。わざわざ城を襲っているということは、何かお目当てのものがあると思われる」

戦士「それをこちらに持って走り、やつを引きつけるんだ」

エルフ「……いや、それはちょっと怖いです」

戦士「ケーキ禁止かな」ボソリ

エルフ「命懸けでェェェ!!!」ダダダッ

戦士「ふー、これでよし」

魔法使い「……」

349: 2014/08/08(金) 21:56:49 ID:b.Z5cFO.
魔法使い「……あんた、いつもこんな調子なの?」

戦士「うん?」

魔法使い「なんというか、あんな巨大な魔物相手に全く取り乱しもせず」

魔法使い「テキパキと指示を出して。失敗するかもなんて疑いもせず」

戦士「いや、知ってるからな」

魔法使い「何を?」

戦士「あの手の魔物は」

魔法使い「知りすぎよ」

戦士「そりゃ、お前に比べればという程度さ」

戦士「それより、うちの連中がだんだん落ち着いて来たのがいいな」

魔法使い(こいつは落ち着きすぎじゃないかしら)

350: 2014/08/08(金) 22:00:20 ID:b.Z5cFO.
エルフ「……うわああああああああああ!!」

エルフ「ここだああああああああああ!!」

エルフ「光のオーブはここだああああああああああ!!!」ズダダダ

大妖樹『グォォォォォ……?』


戦士「……よし、こっちを向いたぞ」

戦士「全員、準備をしろ。騎士と猟師は同じ位置につけ」

女騎士「ああ」

勇者「任せとけ」

戦士「商人はなるべく離れろ」

商人「は、はい」

戦士「で、俺が出ると」ずいっ

商人「えっ!?」

351: 2014/08/08(金) 22:03:36 ID:b.Z5cFO.
戦士「はい、エルフパス」

エルフ「はぁっ、はあっ! パース!!」ひょーい

戦士「オッケーだ」ぱしっ

戦士「これで光のオーブは俺のモノだってことかな」

エルフ「!?」

戦士「よーし、化け物、こっちだぜ」

大妖樹『ゴゴゴゴゴゴゴ……』


大妖樹の攻撃!


戦士「ぐふっ」

商人「ゆ、勇者さーん!?」

戦士「大丈夫だ」

大妖樹『!?!?!?』


大妖樹は草結びにつまずいて、思わず転倒した!!

352: 2014/08/08(金) 22:08:30 ID:b.Z5cFO.
戦士「それいけ」

女騎士「い、いくぞっ!」ぶつっ


女騎士が斧を縛り付けていた弦を断ち切る。
勢い良く、斧が妖樹に振り下ろされた!!


大妖樹『グゴオオオオオオオオオ!!!』

勇者「ほれ、こっちを見ろ」ヒュバッ

大妖樹『!?』

戦士「よし、うまくいったな」

大妖樹『グォォォォォ……』


大妖樹は痛みで暴れだした!
妖精の城の一部が吹き飛んだ!!


エルフ「」

戦士「よし、うまくいったな」

353: 2014/08/08(金) 22:12:48 ID:b.Z5cFO.
商人「勇者さん!」

戦士「ん?」

商人「何やってるんですか! 急に飛び出して!」

戦士「いや、罠に引っ掛けるために、どうしても角度を調整しておきたくてな」

商人「そういうのはエルフに任せておけばいいんですよ」

女騎士「おい!」

商人「ほら、薬草薬草」

戦士「おう、ありがとう」

戦士「しかし、まだ生命力がある。息の音が止まるまで、体で薪割りしてやろう」スチャ

猟師「薪拾いは大事な仕事だもんな」

354: 2014/08/08(金) 22:17:19 ID:b.Z5cFO.
――妖精の城(吹き抜け)。

長「まさか人間に助けられるとはのう……」

エルフ「助けてないですよ、全然助けてないですよっ!」

妖精王「助かりました、人間たちよ」

エルフ「ちょっ、妖精の王様まで」

妖精王「壊れた城など、ただのものに過ぎません」

勇者「なんだ、じゃあ、壊し放題だったのか」

戦士「結界の役割も果たしているからボロボロだとヤバいな」

魔法使い「魔物が押し寄せてくるでしょうね」

妖精王「……」ダラダラ

長「まあ、何もかも壊されるよりかはマシじゃ」

356: 2014/08/08(金) 22:21:08 ID:b.Z5cFO.
長「お主たちには褒美をやらないとな」

商人「来ましたねコレ」

妖精王「そ、そうですね」

商人「どうですか! エルフと言えばオーク奴隷!」

女騎士「おい、黙れ!」

戦士「ここの騎士は、んほおしないんだ。エルフだってしないに決まってるぞ」

女騎士「ん、んほ?」

勇者「ゴリラかな」

女騎士「いいから黙らないか!」

357: 2014/08/08(金) 22:25:30 ID:b.Z5cFO.
女騎士「妖精の王よ! そしてエルフの長老よ!」

女騎士「我々は魔王を討伐し、世界を救済する大義に闘っている一団なのです」

妖精王「そうでしたか。予言どおりですね」

エルフ「こんな悪辣が来ると予言されていたのですか!?」

長「黙っておけ」

エルフ「あ、はい……」

女騎士「そして、魔王を討伐するための何かが、ここに隠されているのではないですか?」

妖精王「ふふ、よく分かりましたね」


魔法使い「でね、これが妖精の剣。眠らせることができるのよ」

商人「ほー! 睡眠レOプにも使えるわけですね!」

戦士「妖精ってやべぇな。やりたい放題じゃん」

358: 2014/08/08(金) 22:29:49 ID:b.Z5cFO.
女騎士「と、ともかく、その何かとはつまり……」

妖精王「え、ええ。あなたがのリーダーが手にしている、光のオーブがそれなのです!」

長「この際、互いの非礼は水に流そう」

エルフ「ち、長老」

長「お主も、この際、ついていくがよい」

長「共に闇を打ち払う戦いにゆくのじゃ!」

女騎士「ははーっ!」

エルフ「は、はい!」


魔法使い「それから、エルフのマント。なんと魔力が高いと透明にもなれるのよ」

商人「ははー! 誘拐も窃盗もお手の物じゃないですか!」

戦士「やっぱエルフもこえーな。やりたい放題じゃん」

360: 2014/08/08(金) 22:33:00 ID:b.Z5cFO.
妖精王「あの……」

戦士「ん? ああ、俺じゃないよ。光のなんとかはあっち」


猟師「妖精ってのは花の蜜とかで暮らしているってほんとけ?」

妖精「チガウワヨ。キノミトカヨ」

猟師「じゃあ、やっぱり肉は食べないんか。がっかりだな」

妖精「オニクトアワセレバイイジャナイ」

料理人「それはいい考えだな。ありがとう」


妖精王「あなた達、世界を救うという自覚は……」

戦士「私欲で戦っているからしょうがないな」

361: 2014/08/08(金) 22:37:03 ID:b.Z5cFO.
長「まったく、やっぱり人間は汚らわしいではないか」

戦士「おい、騎士よ」

女騎士「……なんだ」

戦士「自分は純潔を守ってますってアピールしてこいよ」

女騎士「アホか! アホか!」

戦士「いやだって、こういう堅苦しい話は好きだろう?」

女騎士「そういうことではない!」

戦士「え? それとも実は処Oじゃない……?」

女騎士「しょっ……! だからぁっ!!」


商人「ああ~、夢のようです~。使うだけで商売になりそうだし、売ったらすごいことになりそう~」

魔法使い「で、恨みを買われて眠らされて拷問を受けたりするのよ」

商人「ユルシテ、ユルシテクダサイ」

362: 2014/08/08(金) 22:39:32 ID:b.Z5cFO.
戦士「とにかく、ありったけ使えそうなものはもらっていくぜ」

戦士「あと魔法使い」

魔法使い「何かしら」

戦士「ドサクサに紛れて持ちだそうとしたものがあるだろう」

魔法使い「……」

戦士「いや、持って行ってもいいから、結界を貼り直す手伝いをしてやったら?」

魔法使い「……まあ、しばらく動けないしね」

魔法使い「エルフと妖精の皆様がそれで良いなら手伝いするわ」

戦士「おう、頼む」

363: 2014/08/08(金) 22:42:09 ID:b.Z5cFO.
妖精王「と、とにかく、よろしいですか?」

戦士「おう」

妖精王「光のオーブを使うことで、魔王の闇の結界を振り払うことが出来ます」

戦士「おう」

妖精王「この戦いは、私怨私欲だろうと、世界の命運をかけたもの」

妖精王「必ずや勝利するのですよ」

戦士「おう」

妖精王「……」

戦士「おう」

妖精王「ちゃんと聞いているのですか?」

戦士「聞いてるよ、でも何度も同じことを聞いてもな」

364: 2014/08/08(金) 22:45:22 ID:b.Z5cFO.
妖精王「何度も……?」

妖精王「……あ、待ちなさい」

戦士「ん?」

妖精王「そこの、光を感じるっぽい者も」

勇者「あ?」

妖精王「あなた達は……」

妖精王「いえ、やはり気のせいですかね」

戦士「前から思っていたんだけど、思わせぶりな発言するやつってなんなんだろうな」

勇者「気がつくなら最後まで言ってほしいよな」

妖精王「大したことではありません」

妖精王「ただ、前にもこんなムカつく会見をしたことがあるような気がします」

戦士「失礼なやつがいたもんだな」

勇者「とんでもない話だな」

368: 2014/08/10(日) 23:34:04 ID:BQWDPYQ2
戦士「さて、それじゃあ、並べてみるか」

商人「おー!」

商人「へへへ、お宝タイムですよ」

女騎士「楽しそうだな」

商人「決まってるじゃないですか、お宝、鑑定、お金、商人の醍醐味ですよ!」

勇者「汚れてんなー」

商人「な、何を言うんですか」

戦士「まあまあ、これを元手に準備しないとな」

商人「そうですよ! 騎士様、大義大義」

女騎士「お主が言うと大義という名の金銭欲に見えるのだ」

369: 2014/08/10(日) 23:34:36 ID:BQWDPYQ2
商人「それじゃあ、まず、光のオーブ」

戦士「これは売れないな」

商人「光のドレス」

魔法使い「ダメ。それダメ」

勇者「いいだろ別に」

魔法使い「何言っているのよ。じゃあ、イケメン資産家か常識のある王子様連れて来なさいよ」

勇者「ああー?」

商人「……じゃあ、妖精の剣」

女騎士「売るのか? 確か、その、催眠の効果があるとか」

戦士「まあ、効き目のある魔物もいるかもしれないな」

女騎士「それと、そのような危険な代物、世に出すわけにはいかない!」

370: 2014/08/10(日) 23:35:11 ID:BQWDPYQ2
商人「じゃあ、エルフの……」

女騎士「それも危険で」

商人「あああああああああ!!!」

女騎士「ど、どうした」

商人「なんなんですか! 売れないじゃないですか! どうして邪魔するんですか!」

戦士「そうむくれるなよ」

魔法使い「そうよ、ただ売るだけでいいの?」

商人「はっ、そ、そうですよね!」

女騎士「犯罪はダメだ!」

商人「じゃあ、魔法使いさん、この光のドレスは貸衣装として使います」

魔法使い「は?」

371: 2014/08/10(日) 23:36:28 ID:BQWDPYQ2
商人「『結婚できるドレス! あなたの幸せをサポートします!』」

戦士「お、いいアイデア」

魔法使い「ゴラァァァァァァ!!! 許すわけねぇだろォォォォォォ!!??」

商人「ち、ちょっと!」

勇者「おいバカ、腹の傷が開くぞー?」

魔法使い「ぐぐぐっ!」

女騎士「商人殿、さすがにそれは」

戦士「うむ、いいとは思うが、さすがに時間がかかりすぎるな」

商人「……そんなことより、あの人鬼のような形相になりましたよ」

魔法使い「当たり前じゃボケェェェェ!!」

372: 2014/08/10(日) 23:37:03 ID:BQWDPYQ2
勇者「どうしたんだよ、お前ってそんな結婚願望あったっけ?」

魔法使い「あんたのせいでしょ」

勇者「なんで?」くるり

戦士「いや、俺に聞かれても」

魔法使い「あんた、私をパーティーに入れる時なんて言ったか覚えてる?」

勇者「一緒に世界を救おうぜ」

魔法使い「『そうしたら金持ちの男つまみ放題だから』」

女騎士「うわぁ……」

戦士「おい、騎士を引かせるって相当なものだぞ」

女騎士「勇者殿には大概驚かされているぞ……」

373: 2014/08/10(日) 23:38:32 ID:BQWDPYQ2
勇者「事実じゃん。世界救ったら入れ食いよ」

魔法使い「あんたが食っちゃ寝食っちゃ寝しなければね!」

勇者「言うほどか?」

魔法使い「正確に言うわ。現地調達と称して野宿と狩猟、町についても権力者に挨拶もせずに食ってばっかり」

勇者「うまかったろ」

魔法使い「獣臭いの! お風呂入りたいの! もっと褒美をふんだくってほしいの!」

勇者「これだよ」

商人「欲に塗れてますねー」

戦士「この程度ならかわいいじゃん」

魔法使い「だから、船借りる前に、山の中を掘り進めばタダでいける! とか言い出した時にぶっ頃してやろうと思って」

勇者「これだよ」

商人「……怖いですね」

戦士「実行しちゃうんだもんなぁ」

374: 2014/08/10(日) 23:39:23 ID:BQWDPYQ2
女騎士「ならば、私が男性を紹介しよう」

魔法使い「!」

戦士「え」

魔法使い「一応言っておくけど、金持ちか権力者よ!」

女騎士「そのような露骨に浅ましい態度では失礼に当たるぞ」

魔法使い「……マジ話なの?」

女騎士「幸いにして、王宮に務めていた経歴はある」

女騎士「ただその、やはり王族ともなればそれに見合った出自が」

魔法使い「王族!? 王子様!?」

女騎士「う、うむ。東の国のな」

戦士「あっ」

魔法使い「紹介して、実は私は魔物に里を滅ぼされた砂漠の民の姫だったのよ!」

勇者「嘘くさっ」

魔法使い(姫なのは嘘だけど、王家に仕えてたからひと通りのことはわかるし)

375: 2014/08/10(日) 23:44:21 ID:BQWDPYQ2
戦士「……」

商人「うーん、これならドレスも売れそうですね」

戦士「いやまあ、装備しても使えるんだがな」

戦士「これ、結構守備力も高いし」

商人「そうなんですか?」

戦士「それよりな、東の国って言ったろ」

商人「はい」

戦士「そこに独身の王子いるけどな。40のおっさんだぞ」

商人「えっ」

戦士「王様が高齢だからな」

商人「それで独身って相当アレな人じゃないですか……」


魔法使い「ああ、これで王妃間違いなし!」

女騎士「うむ。厳格な方だから、頼むぞ」

376: 2014/08/10(日) 23:44:55 ID:BQWDPYQ2

――
戦士「ところで、俺から提案がある」

商人「なんですか?」

戦士「これらの道具は売らない」

商人「そ、そんな……勇者さんまで!」

戦士「違うぞ。これ売っぱらったくらいでは大した金額にはならねーだろ」

商人「ボクなら頑張って売れますよ!」

戦士「いくらくらい?」

商人「う。こ、このくらい……」そっ

戦士「んー、それじゃ価値からすると、勿体無いな」

商人「そんなぁ」

377: 2014/08/10(日) 23:45:58 ID:BQWDPYQ2
勇者「けどどうするんだ。これを元手になんか増やすのか」

戦士「うーん、なんか事業を始めるとなると時間がかかりすぎるよな」

商人「そうですよね……」

戦士「だからこれで強盗しよう」

商人「!?」

勇者「犯罪じゃねぇか」

商人「ゆ、ゆゆゆ、勇者さん!」

戦士「幸いここに透明なマントがあってだな」

勇者「なるほど、警備を眠らせる道具もある」

商人「犯罪はまずいですよ!」

戦士「まあまあ、だから騎士に聞こえないように話そうぜ」

378: 2014/08/10(日) 23:46:36 ID:BQWDPYQ2
戦士「とはいってもマジでどこかの資産家や王宮を強奪するのはバレたらまずい」

勇者「あ、なーんだ」

商人「ほっ」

戦士「だから魔物に乗っ取られた国を襲う」

商人「そっちのほうが危険じゃないですかあああああああああ!!」

女騎士「な、なんだ?」

戦士「ああ、いいからいいから」


魔法使い「でね、結婚式にもこだわりがあるんだけど、受けてくださるかしら?」

女騎士「うーむ、格式にはそこまで拘らない方だからなぁ」


商人「ど、どうするんですか」

戦士「西の暑い国があってな」

勇者「それ、魔法使いの故郷じゃないのか?」

戦士「ん?」

379: 2014/08/10(日) 23:47:48 ID:BQWDPYQ2
エルフ「……なに、あ、暑い国だと」

戦士「いやなのか?」

エルフ「砂漠には森がないじゃない……」

戦士「ケーキはないが、伸びるアイスクリームがある」

エルフ「む」ピクッ

勇者「なんだ、甘いのが好きなのか。ならすんげー甘いヨーグルトとかあるぞ」

エルフ「むむむ」ピクピク

商人「魔物から解放したら食べ放題かも」

エルフ「はにゃ~」

エルフ「わかった。私もなんとか近くまで頑張ってみる」キリッ

380: 2014/08/10(日) 23:48:59 ID:BQWDPYQ2
魔法使い「は? 西の国に行く?」

勇者「おう! 弔合戦よ」

勇者「なんならお前が案内してくれよ」

魔法使い(ヤバい……やっぱり姫じゃなかったのがバレる……)

魔法使い「だ、ダメよ。私には結婚しなくちゃいけないし、結界だって」

女騎士「亡国よりは、魔物が解放された国のほうが信頼度が高まるのでは?」

エルフ「的確な指示で結界の修復作業は順調に行けそうよ」

魔法使い「チッ!」

勇者「おい」

魔法使い「……言っておくけど、今のお城の様子なんてわからないわよ」

戦士「ああ。で、お城の財宝なんだが」

381: 2014/08/10(日) 23:49:39 ID:BQWDPYQ2
女騎士「だ、ダメだ! 彼女は王位継承者なのだぞ」

魔法使い「い、いや、大したものは残ってないからいいんじゃない?」

戦士「お墨付きが出たな」ニヤリ

商人「そ、そうですね」ニヤリ

勇者「そうか、自分の故郷を滅ぼされたんだもんな」

商人「あ……」

勇者「下手にこちらが奪うってのもどうなんだろうな」

商人「ゆ、勇者さん」

戦士「うーん」ちらり

魔法使い(やべぇーっ、なんか深刻そうな顔になっている)

商人「その、なんとか解放できないですかね」モジモジ

戦士「そうだなぁ」ニヤニヤ

魔法使い(うぐぐ)

388: 2014/08/15(金) 22:32:51 ID:iqM4V1pk
――砂漠の村。

魔法使い「……で、地図で言うとここが神殿ね」

魔法使い「お城はこっち。宝物庫は裏から入ったところ」

戦士「オーケーオーケー」

勇者「お前本当にここ出身だったんだなぁ」

魔法使い「……あまりそういうこと言わないでくれる?」

魔法使い「バレたらほら、面倒じゃん」

勇者「お城から逃げたからか」

魔法使い「そうよ。だから丁寧に扱って」

戦士「偉そうだな」

勇者「そうなんだよ、困ったもんだよな」

魔法使い「……」イライラ

389: 2014/08/15(金) 22:35:50 ID:iqM4V1pk
勇者「で、どうするつもりだ?」

戦士「ん?」

勇者「作戦だよ、作戦」

戦士「陽動が一番いいだろう。神殿の解放だ、と言って魔物を倒す」

戦士「その隙に手薄になったお城の宝物庫からお宝ゲット」

勇者「そううまくいくかなぁ」

魔法使い「いっちゃなんだけど、神殿もかなり魔物がいるわよ」

戦士「お城にはマントと剣を使って奥まで行く」

戦士「陽動さえうまくいけば、ハサミ撃ちに出来るんだがな」

魔法使い「だからそれが――」


エルフ「暑い……」ハァハァ

390: 2014/08/15(金) 22:38:37 ID:iqM4V1pk
エルフ「み、水……」

商人「ミミズ?」

エルフ「ギャグとか……ないわ……」ハァハァ

女騎士「くっ、マッタクだ」

商人「お二人共、暑いのダメなんですねー」

女騎士「商人殿は平気なようだな」

商人「ボクはほら、そこら中歩きまわりましたから」

女騎士「そんなものか……海沿いにいたせいか、これほどまでの暑さは体感したことがない」

エルフ「森が恋しいよ……ケーキが干からびてるよ……」


魔法使い「……で、誰が陽動するのよ?」

戦士「そうだなぁ」

391: 2014/08/15(金) 22:42:19 ID:iqM4V1pk
商人「ふっ、ではですね。そんなお二人に特別な商品をご用意しております」

女騎士「う、売るのか?」

商人「じゃーん! 冷感水着セット!」

女騎士「断る」

商人「なして!?」

女騎士「誰がそんな卑猥なものを着るか!」

エルフ「あ~、魔法かかってるぅ~」

エルフ「ひんやりするぅ~」

商人「真夏の日差しを浴びても日焼けしない、冷却の魔法がかかっているのです!」

エルフ「着るわ!」バッ

女騎士「ちょ! 人目が!」


魔法使い「……で、誰が陽動するわけ?」

戦士「水着のおねーちゃんを集めてどんちゃん騒ぎとかどう?」

勇者「そっちがメインじゃねぇか」

392: 2014/08/15(金) 22:52:55 ID:iqM4V1pk
戦士「おーい、三人とも」

商人「あ、勇者さん!」

戦士「なんだなんだ? 水着で水浴びでも始めるつもりか?」

女騎士「ち、違うわ!」

エルフ「ああ、何でもいいから、冷えたい……」

勇者「鮮度を保つ保冷剤よ」カキーン!

エルフ「きんもちぃー!」

魔法使い「便利よね、あんたのそれ」

勇者「だろ?」

魔法使い「でもそのアホっぽい呪文は辞めたほうがいい」

勇者「そうかな」

394: 2014/08/15(金) 22:55:53 ID:iqM4V1pk
戦士「……つまりだな、水着でウハウハの儀式を行う名目で神殿に入る」

女騎士「……」

商人「はあ、なるほど」

戦士「そして、その隙にありったけの道具をかっぱらってくるんだ」

戦士「この二人がな」

勇者「ん?」

魔法使い「はあ!?」

戦士「体力があり、そして工口が得意な四人が工口要素を固める」

戦士「地勢に詳しく、隠密行動が得意な猟師と案内人が宝を探す」

戦士「完璧だな」

女騎士「工口の要素がいらないのだが」

395: 2014/08/15(金) 23:02:03 ID:iqM4V1pk
商人「でも、勇者さん。神殿にも魔物がいっぱいいるんでしょ?」

戦士「うん」

商人「さすがにそこで水着で飛び込んでも、あまり見てくれないんじゃないですかね」

戦士「いや、魔物も工口いと思うよ」

女騎士「そういう問題ではない!」

戦士「どういう問題?」

女騎士「この……魔法使い殿の、国の敵を取るのではないのか!?」

魔法使い「あっ、そういうのはいいっす」

戦士「いいらしいぞ」

女騎士「とにかく、いかがわしいのはダメだ!」

勇者「いいと思うよ、俺は」

エルフ「涼みたい」

商人「騎士様のサイズでお作りしてあります」ニッコリ

女騎士「んがあああああああああ!!!」

396: 2014/08/15(金) 23:05:44 ID:iqM4V1pk
「さあ、皆さん、勇者ですよ! 世界を救う勇者の登場ですよ!」

「がはははは……」


戦士「ん?」

商人「うわ」

勇者「おー」

女騎士「くっ、こんなところにも出張っているのか!」

魔法使い「何アレ?」

勇者「勇者らしいぞ」

魔法使い「ふーん。なんか勇者っていっぱいいるのね」

戦士「うむ。まー、俺的には猟師が勇者で自分も勇者のフリをした商売人だと思っているが」

猟師「おらが勇者だなんてとんでもないことヅラ」

魔法使い「うるさいわね」

戦士「しかし……いや、待てよ」

397: 2014/08/15(金) 23:10:25 ID:iqM4V1pk
僧侶「この御札を買えば、立ちどころに魔物が寄り付かなくなるのです!」

勇者「そうだぞ、ほら、ドンドン持っていけ」

僧侶「そして浄財を……」

村人A「うるせーぞ!」

村人B「こちとら城が滅ぼされとんじゃ!」

村人A「勇者なら国が滅びる前にこいや!」


魔法使い「うわー、荒れてるわね」

戦士「正論だな」

勇者「あ、石投げられてる」


僧侶「ちぃーっ! 不信心もの!」

偽勇者「やれやれ。おら、僧侶、こんなところに長いするこたぁない」

偽勇者「とっとと次行こうぜ」

僧侶「ふん! そんな不信心でいると、この村さえ今に失うことになりますよ!」ぺっ

398: 2014/08/15(金) 23:13:01 ID:iqM4V1pk
魔法使い「……」

勇者「そう、コワイ顔するなよ」

魔法使い「してないわよ。ただ、ちょっとムカつくだけ」

勇者「なんだかんだ、お前も愛着あるんだろ? この国」

魔法使い「そりゃあ、故郷だからね」

戦士「……おい、お前ら」

勇者「なになに、なんだよ」

商人「ど、どうしたんですか?」

戦士「騎士もちょっとこい」

女騎士「な、なんだ」

戦士「別のプランを考えたからまあ聞け……いいか……」

399: 2014/08/15(金) 23:16:08 ID:iqM4V1pk
偽勇者「じゃあ、後は勝手にしやがれ」

村人A「けっ、二度と来るんじゃねぇ!」

僧侶「私だって来ませんよ! 地獄に落ちろ」

村人B「なんつう言い草だ、あんた」


戦士「……お待ちくださ~い!」ニコニコ

商人「勇者様~~!!!」ニコニコ

勇者「勇者様、探しましたぞ~!」ニコニコ

魔法使い「勇者様ぁ~~!」ニコニコ


偽勇者「……は?」

僧侶「な、なんですか」

僧侶「あ、あなた達は!」

村人A「なんだぁ、こいつらの仲間か」

村人B「何しに来やがった!」

400: 2014/08/15(金) 23:20:26 ID:iqM4V1pk
戦士「いやあ~!! お探ししました、勇者様!」

商人「魔王を倒す、唯一の力を持った御方!」

勇者「我々は、各国より勇者様を支援するように言われていた戦士なのです!」

村人A「は、はあ」

村人B「そうですか」

僧侶「な、なんなんです?」

偽勇者「俺達はそんなことは知らんぞ」

戦士「無理もない、我らは秘密裏に結成された部隊」

勇者「各国から特命を受けてやってきたのですから!」

魔法使い「そう、そして、私もその一人」ふぁさ

村人A「あっ、あんたは、魔法使いちゃん!」

401: 2014/08/15(金) 23:23:25 ID:iqM4V1pk
村人B「魔法使いちゃん、生きとったのか!」

魔法使い「え、ええ」チラ

戦士(これカンペ)

魔法使い(ありがと)

村人A「今まで何してたの?」

魔法使い「王の最後の命により、魔物を倒し、この国に光をもたらす者を探していたのです」

魔法使い「そして、それこそがこの御方!」さっ

偽勇者「え?」

僧侶「いやあの」

魔法使い「どうか我が国の魔物を打ち払い、この国に光を取り戻してください!」ギュッ

偽勇者「お、おう……」

村人A「そ、そうだったのか……」

村人B「本当なのか……?」

403: 2014/08/15(金) 23:26:38 ID:iqM4V1pk
魔法使い「これをご覧ください! この命令書こそ、この者を勇者と認める南の国の王家の証印!」

村人B「おう……本当だ……」

村人A「間違いねぇ……」

村人B「とんでもねぇやつだと思っていたが……」

村人A「そりゃあ、こっちの態度が悪かったからだ」

偽勇者「そ、そうだな」

僧侶「そ、そうですね」

魔法使い「ああ、勇者様! どうかオネガイシマス!」

魔法使い「そして村の皆さん! どうぞ勇者様とともに、この国を魔物の手から取りかえそうではありませんか!」

\う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!/

404: 2014/08/15(金) 23:30:52 ID:iqM4V1pk
戦士「さあ、戦の準備と前祝いだ!」

戦士「勇者様をもてなしてやってくれー!」

村人A「おう! 元気が出てきたぞ!」

村人B「魔物を倒すんだ! お城を取り返すぞ!」

偽勇者「お、おい」

僧侶「あ、あのう」

商人「ささ! 勇者様、聖女様! どうぞこちらへ、どうぞ!」

商人「魔物を倒すために、一致団結して頑張りましょう!!」ニコニコ

料理人「腹ごしらえならお任せください!」

戦士「よし、村の皆さん! 皆さんを組織するのは、かの国の王宮騎士団長!」

女騎士「う、うむ」

女騎士「……勇者殿、これはその、詐欺、というやつでは」

戦士「本人が勇者って名乗っているから、それの通りに仕事をしてもらうだけだねぇ」ニヤニヤ

405: 2014/08/15(金) 23:36:11 ID:iqM4V1pk
――夜。

戦士「はい。というわけで、ふた手に別れることにした」

猟師「腕が鳴るな」

戦士「お城を支配している魔物はドラゴンだ。倒しがいがあるな?」

魔法使い「うげー」

猟師「竜狩りも久しぶりだな」

戦士「三人目の勇者と聖女サマとやらに、神殿に突っ込んでもらう」

戦士「そして、村人たちを指揮するのが女騎士だ」

女騎士「う、うむ」

女騎士「とにかく、彼らを全面に、突撃すれば良いのだな?」

戦士「ただの突撃じゃなくってお城のある方とは反対側から攻める」

戦士「丁度裏口になってるしな」

406: 2014/08/15(金) 23:40:18 ID:iqM4V1pk
戦士「商人は村の連中に武器を売ってやれ」

戦士「で、ついでに武器の使い方を教えてやれ」

商人「ああ~、売るだけじゃダメなんですかねぇ」

魔法使い「国がボロボロになってるところに、格安とは言え巻き上げる? フツー」

商人「ボクはみんなが幸せになるお手伝いをしたいだけです!」

商人「そしてその中には自分も含まれているのでお金儲けが好きです」

魔法使い「言い切りやがった」

戦士「嫌いじゃない」

戦士「で、エルフ、俺、猟師、魔法使いでお城から金目の物を奪う」

魔法使い「やっぱり強盗じゃない」

戦士「成功報酬」

407: 2014/08/15(金) 23:45:16 ID:iqM4V1pk
戦士「で、うまくいけば城に残っているドラゴンを暗頃する」

猟師「鉄砲はまかせろー」

魔法使い「はいはい……」

商人「大丈夫なんですか?」

戦士「ドラゴン退治のポイントなら少しは知っている」

戦士「じゃあ、騎士。ユウシャサマの制御は頼むぜ」

女騎士「まあ、いいだろう」

女騎士「だが、勇者殿。私が仕えたいと思ったのは最早お主だけだ」

商人「あ、今の告白じゃないですか?」

女騎士「ば、バカなことを言うなっ!」ポカッ

商人「あいて。ひどい」

魔法使い「で、その肝心の勇者サマは何やってんの?」

408: 2014/08/15(金) 23:48:47 ID:iqM4V1pk
偽勇者「……よし、見張りはいないな」

僧侶「まさか、こんなことになるなんて……」

偽勇者「早くトンズラするぞ、こんなところ」

僧侶「そ、そうですね。まったく、悪魔か何かかしら、あいつらは」


ヒュンッ! ドズ!


僧侶「ひいっ!」

偽勇者「だ、誰だぁ!?」

エルフ「……今の矢には、魔物を一撃でコ口リできる毒が塗ってある」

僧侶「は、はあ!?」

エルフ「氏にたくなければ……逃げ出そうなどと考えないことね……」

偽勇者「に、逃げるわけないだろう、ちょっとトイレを探していたんだ」

エルフ「そう……女性と一緒に……?」

偽勇者「う」

409: 2014/08/15(金) 23:51:18 ID:iqM4V1pk
エルフ「見ていてやるから……したければここで用を足せ……」

偽勇者「な、何言ってやがる!」


ヒュバッ!!


僧侶「」ジョー

エルフ「そうそう……それでいい……」

偽勇者「おい、本気かお前……」

エルフ「うるさいな……足りないのよ……」

偽勇者「な、何が」

エルフ「水も、ケーキも……」

エルフ「足りないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」  ヒュバババッ!!!



戦士「って感じになってる」

魔法使い「……あ、そう」

410: 2014/08/15(金) 23:53:37 ID:iqM4V1pk
戦士「じゃあ、行動時間まで散会」

勇者「おう!」

魔法使い「はいはい」

女騎士「了解した」

商人「……」

戦士「ん、どうした?」

商人「勇者さん」

戦士「なんだ」

商人「その、頑張ってくださいね」

戦士「いやぁ、お前のところのほうが危険かもよ?」

商人「え、そういうこと言います?」

戦士「言う。こっちにゃ隠密行動の道具が勢揃いなのに」

411: 2014/08/15(金) 23:56:25 ID:iqM4V1pk
商人「まあ、何でもいいですけど」

戦士「そうだ、商人」

商人「は、はい」

戦士「今回の件が成功したら、あいつらを使い倒そう」

商人「あいつらってなんですか?」

戦士「あの偽連中」

商人「え、ええー!?」

戦士「勇者と聖女っていう言い回しがいいよな。勇者と商人じゃ、やっぱりイマイチピンとこなかったけど」

戦士「こいつらを表に出して、実質は俺らが取るっていう手が使えそう」

商人「いやいや、あんな連中と付き合うんですか!?」

戦士「だって、丁度いいじゃん。お飾り」

商人「いや、でも」

戦士「見極めを頼むぞ」

商人「見極め?」

412: 2014/08/15(金) 23:58:32 ID:iqM4V1pk
戦士「あいつらが倒れそうなハリボテか」

戦士「それとも使える楯かどうかってことだよ」

商人「勇者さん……」

戦士「ん」

商人「ド外道じゃないですか」

戦士「はっはっは」

戦士「だがこれも商売だ。表の方が楽だって可能性もあるしな」

商人「そりゃそうですね。ボクも切り替えます」

商人「……なんか、最近の勇者さん、変だったんで」

戦士「変? そうかな?」

420: 2014/08/24(日) 21:38:01 ID:ARDgLTow
――砂漠の城。

魔法使い「……こっちよ、こっち」

戦士「おう」

勇者「んー、まだ結構魔物がいるなぁ」

魔法使い「そりゃそうでしょ」

戦士「神殿を落とされてもそう簡単には動くまいよ」

勇者「おいおい、それじゃあ意味ないんじゃないの?」

魔法使い「どうして?」

勇者「どうしてって」

魔法使い「ふっ、お宝だけ持ち去る当初の予定は遂行出来るじゃない」

戦士「ゲスいなぁ」

421: 2014/08/24(日) 21:41:22 ID:ARDgLTow
戦士「まあ、ドラゴン相手にそう簡単に勝てるわけじゃない。丁寧に殺そう」

勇者「ん。まあな」

魔法使い「ずいぶん竜に詳しいのね」

戦士「一応、やり合ったことはあるしな」

魔法使い「弱点とか知っているの? 寒さに弱いとか、そんなことじゃないでしょうね」

戦士「竜に弱点はないんだよな」

魔法使い「……」

戦士「ポイントになるのは、長期戦を予め想定しておくこと」

戦士「もうひとつは、相手の武器を奪うことだ」

勇者「ほう、爪を切るとか?」

魔法使い「猫じゃないんだからさ……」

422: 2014/08/24(日) 21:45:07 ID:ARDgLTow
戦士「まあ、とりあえず宝物庫はこっちでいいんだよな」

魔法使い「ええ。しっかりマント被って」

勇者「オーケーオーケー」

魔法使い「ちゃんと妖精の剣は構えてある?」

魔法使い「出てきたら即眠らせるのよ」

戦士「大丈夫だ。今のところはな」

魔法使い「……あんたさ」

戦士「なんだ?」

魔法使い「あんたの正体、ホントは魔物だったりしない?」

戦士「んん?」

魔法使い「実は私を罠にハメるための」

戦士「だったら、困ったら後ろからズブっと刺し殺せるだろ?」

魔法使い「そうよねぇ」

423: 2014/08/24(日) 21:51:55 ID:ARDgLTow
勇者「なんかやけに絡むな。一体なんだってんだ」

魔法使い「剣の腕はともかく、これだけ魔物に手広い知識を持っている人間は珍しいじゃない」

魔法使い「もしかしてだけど、魔物に近いやつだからじゃないかと思って」

戦士「経験豊富なんだ」

魔法使い「ふうん」

戦士「そんな目で見るなよ。これでも、今回は真摯にやっているつもりなんだぜ」

魔法使い「今回は?」

戦士「はっはっは、ジョークで竜は倒せないからな」

勇者「そりゃ違いねぇな」

魔法使い「……。さ、ついたわ」

魔法使い「でね、この裏口から、まっすぐ玉座の間に通じるハシゴが付いていると」

戦士「よし、じゃあ、動きを見ながら、まず宝を物色するか」

魔法使い「完全に盗賊よね、私達」

424: 2014/08/24(日) 21:58:26 ID:ARDgLTow
戦士「お、見ろ。こいつは珍しいな」

勇者「なんだそれ」

戦士「魔法陣を書くための専用のインクだ」

戦士「そこらの冒険者には魔法で書かれたバリアは生身では越えられないが、こういうので帳消しにするんだ」

魔法使い「そんなもん、どうするのよ」

戦士「売れるんじゃねーかなぁ」

魔法使い「いや、別にいいけどね」

勇者「うーん、俺はどうするかなぁ」

魔法使い「あんた達、一応、ここ、私の出身国。いい?」

魔法使い「……あと、さっきから一言も発してないけど」

エルフ「ん」チュパチュパ

戦士「水飴なめて落ち着いているんだ。そっとしておいてやれ」

エルフ「失礼な……これでまたしばらく我慢して闘えるわよ」

425: 2014/08/24(日) 22:05:25 ID:ARDgLTow
ドカドカドカ……


魔法使い「しっ、静かに」

勇者「おっ、動きがあったな」

戦士「うん。ここは連中を信用するしかないな」

魔法使い「で、どうやって竜を狩るつもり?」

戦士「そうだな」

戦士「結局、必要なのは、動きを封じることになるだろ」

戦士「竜は硬い、その上、空も飛べるから行動が早い」

戦士「だが、強すぎるから自信がありすぎる」

426: 2014/08/24(日) 22:10:36 ID:ARDgLTow
――玉座の間。

竜『なに、神殿が攻撃されているだと』

トカゲ『はっ、そのため、あちらに居られる悪魔将から援軍の要請が』

竜『捨て置け』

トカゲ『はっ、了解しました』

竜『……待て、あっさり受諾するな』

トカゲ『はい』

竜『うむ。恩を売ることになるかもしれんな』

竜『では部隊長クラスを飛ばさせろ』

トカゲ『こちらが手薄になりますが……』

竜『誰がここを攻めると言うのだ』

トカゲ『了解しました』

427: 2014/08/24(日) 22:15:31 ID:ARDgLTow
蛇『ご報告します、神殿の中心部が落ちたそうです』

竜『……間に合わなかったのか?』

蛇『そうなります』

竜『……部隊を神殿行きに切り替えろ。さすがに無策のままではマズかろう』


戦士「……だってよ」ヒソヒソ

魔法使い「へぇ、あの偽勇者、頑張ってるっぽい?」

戦士「少なくともハリボテではなかったみたいだな」

勇者「待て待てお前ら」

戦士「なんだ?」

勇者「俺らめっちゃ近いだろ。めっちゃ近くにいるだろ」

勇者「これバレるだろ。玉座のすぐ真後ろって」

428: 2014/08/24(日) 22:22:35 ID:ARDgLTow
戦士「大丈夫大丈夫」

勇者「何がだ?」

戦士「まず俺が謁見してくるから」

魔法使い「!?」

戦士「いや、相手の気を引きつけてだな」

魔法使い「いやいや、その前に無力化されるでしょ」

勇者「いやまあ、お前の作戦は分かったけどよ」

竜『何をしておる?』

戦士「ああ、まずはあんたに面会をしてということで」

勇者「おいバカ!」

429: 2014/08/24(日) 22:23:40 ID:ARDgLTow
竜『ふぁっふぁっふぁっ! まさか、ここに忍び込んでくる間抜けがおるとはな』

戦士「捕まったな」

勇者「どうすんのコレ」

竜『どうやら他にもネズミがいるようだが…

430: 2014/08/24(日) 22:27:55 ID:ARDgLTow
竜『ふぁっふぁっふぁっ! まさか、ここに忍び込んでくる間抜けがおるとはな』

戦士「捕まったな」

勇者「どうすんのコレ」

竜『どうやら他にもネズミがいるようだが……透明なネズミではな』

戦士「まあまあ、まずは話し合いと行きましょう」

竜『話し合いの前に、腕の一本でもへし折らんとな』

竜『まさか対等に話し合いが出来るとは思っておらんだろう』

戦士「魔王を倒す方法を知っているんだが……」

竜『!』

勇者「そうだ、俺たちゃ魔王討伐を計る勇者一行なんだ」

戦士「あんたにも協力してもらいたいな」

勇者(あれ、そういう作戦だっけ?)

437: 2014/08/25(月) 23:35:00 ID:Vj9BwO/E
戦士「そもそも、強力な力を誇るドラゴンがおとなしく誰かに従っているものかね」

勇者「なるほどなぁ。プライドを曲げているわけか」

竜『……ま、魔王は強いからな。仕方あるまい』

勇者「本気で思ってんの?」

竜『ぐぐぐ』

戦士「一度は敗れたが、覇権を握り直すチャンスを狙っている……そんなところだろ」

戦士「そこで、切り札だ。やつの闇の結界を壊す道具をゲットした」

竜『な、なんだと』

戦士「どうする?」

竜『……』

438: 2014/08/25(月) 23:38:11 ID:Vj9BwO/E
戦士「こいつで魔王を弱体化し、あんたが前に出てきてさらに弱らせる」

戦士「そして、精霊の力を得た勇者が、後ろからトドメを刺す」

戦士「どうだろうか」

竜『なるほど、挟み撃ちか」

勇者「結構いいアイデアだと思うぜー」

戦士「……」

竜『くだらんっ!!』 ブンッ

戦士「あぶねぇ!」バッ

勇者「うおっと!」


竜の尾撃!! 戦士は勇者をかばった!

439: 2014/08/25(月) 23:42:11 ID:Vj9BwO/E
戦士「げふっ」

勇者「うおーい! おもいっきりやられるなよ!」

竜『人間ごときと手を組むなど、そちらの方が誇りが傷つくわい!』

竜『ましてや、わしと対等に話が出来ると勘違いしているチビどもに』

勇者「馬鹿野郎! いま薬草を」

戦士「いらねぇよ、いらねぇって」

竜『……あの、聞いてる?』

戦士「思ったより直撃して痛ぇよコレ」

トカゲ『どうしますか』

竜『はあ、そんなもん……』

戦士「……一斉攻撃だ!」


エルフ「喰らえ!」ヒュバッ

440: 2014/08/26(火) 00:03:29 ID:Lmb8j9OU
魔法使い「ほら、他の魔物は眠れ」ミョミョミョ

蛇『ぐふぅ』


竜『むう、これは、矢に縄をつけて……!』

戦士「ドラゴンの弱点は、尊大なところだ……」

戦士「翼を持ち、高い機動力があるのに穴蔵に潜ったり、城に引きこもったりする」

勇者「よし、おれも!」ヒュババッ

竜『こ、これは、結界か』

戦士「そう、物理的にも身動きが取れなくなっただろ」

戦士「室内で戦闘していりゃ、体がでかいほうが不利ってもんだ」

441: 2014/08/26(火) 00:07:15 ID:Lmb8j9OU
竜『ぐわっはっは! 愚か者めが!』

竜『こんなちゃちな縄の結界で、わしを封じたつもりか!』

戦士「電気流せる?」

魔法使い「オッケー。やつ翼にビリっとくるわよ」

竜『おいやめろ』

魔法使い「それ、バリバリっと」ビビビッ

竜『ぐはあああああ!!!』

戦士「プライドが高いから、こういう攻撃への危険予測ができない」

443: 2014/08/26(火) 00:11:19 ID:Lmb8j9OU
竜『ぐぐぐ』

戦士「さて、どうだ。観念するか?」

竜『……』

戦士「あんたが手伝ってくれれば魔王退治はやりやすいぜ?」

竜『バカが!! この程度の魔法など、少し痺れただけにすぎんぞ!』

竜『喰らえ、人間ども!』 がぱあ……

魔法使い「ちょっと! 口から炎を吐き出すつもりよ!」

エルフ「こんな室内ではひとたまりもないぞ!」

戦士「猟師」

勇者「やっぱ抵抗あるわ。その呼び名は」ガチャ

444: 2014/08/26(火) 00:15:35 ID:Lmb8j9OU
戦士「撃て」

勇者「おう」 ダーン!!

戦士「銃弾を核に、氷の魔法を!」

勇者「冷えて便利なクーラーサイズ!」カキーン!

魔法使い「呪文めちゃくちゃなのになぜ発動するのか」

竜『ガボボッ!?』

エルフ「り、竜の口に氷が!?」

戦士「魔法使い」

魔法使い「オッケー、氷の種よ。溶けない柱となれ……」 ビシビキバキッ

竜『がっ、ごごごっ』

445: 2014/08/26(火) 00:21:07 ID:Lmb8j9OU
戦士「大体、狭い室内での戦闘になればなるほど、攻撃パターンが決まる」

戦士「縄の結界と、電撃の魔法でさらに動きを狭めた。さあ、その次はどうなる?」

勇者「火を吹くために、口を開けるわけだな」

戦士「大正解」

竜『ごっ、うごがっ……』

戦士「まあ、まともにやり合っても、動きが読めればどうにかなるんだよな」

戦士「だからこいつは予行演習なんだよ。な?」

魔法使い「……」

戦士「……おうエルフ、竜に矢を貫通させられるか?」

エルフ「さすがに竜鱗相手には分からんが、やってみよう」

戦士「今のうちに毒矢を突っ込んでおけ。こうなると体力勝負だからな」

勇者「よっしゃ、俺もバンバン打ち込んでくぜ!」

魔法使い「バカ、貴重な武器なんでしょ、それは」

勇者「ん? ああ、そうか」

446: 2014/08/26(火) 00:26:16 ID:Lmb8j9OU
竜『ぐはあっ!! げはっ!!』

勇者「ふひゅー……さ、さすがに竜はタフだな」

勇者「全然氏にそうにねぇぞ」

戦士「そりゃ、粗方の攻撃は防ぐ鱗に、鋭い爪と牙、そして体力」ガンッガンッ

戦士「さらに上空を自由に飛び回る能力に、火を吹き、叩き潰す尾撃」ベシッ、バキッ

戦士「こんなのに比べたら人間なんて、なぁ?」

魔法使い「……しゃべりながらスコップで殴りつけるのはやめてくんない?」

エルフ「実際怖い」

勇者「うるせーな! 文句あるなら手伝ってくれよ!」

エルフ「さすがに、矢と毒が尽きてしまったよ」

竜『ぐおおおおおおああああああああ……』

戦士「おっ、もうひと息じゃねぇかな?」

448: 2014/08/26(火) 00:30:37 ID:Lmb8j9OU
竜『はぁ、はぁ……』

戦士「よし、瀕氏状態と言っていいだろう」

戦士「後は放っておいても氏ぬレベル」

魔法使い「冗談みたいな話ね。こんな、あっさり……」

勇者「あっさりじゃねーだろ! めっちゃ疲れたわー」

エルフ「む、おい、人間よ」

戦士「あん?」

エルフ「お前、怪我がひどいんじゃないの?」

戦士「ああ、さすがに一発もらっちまったからな」

勇者「おいおい、魔王を倒す前にやめてくれよー? ほらさすがに薬草」

戦士「おう、癒える癒える」

449: 2014/08/26(火) 00:33:12 ID:Lmb8j9OU
戦士「よし、後は魔法使いが眠らせた配下の魔物を掃討しよう」

戦士「神殿が占拠できていれば、そのうち城にも来るだろうからな。こちらの軍勢が」

勇者「ふあ~、しょうがねぇ、やるか」

魔法使い「仕方ないわね」

エルフ「矢がないから、私は」

戦士「ああ、適当に休憩しておいてくれ」

エルフ「わかったわ」


竜『ぐ、ぐぐぐ……き、貴様……』

戦士「ん?」

450: 2014/08/26(火) 00:46:17 ID:Lmb8j9OU
竜『き、貴様、貴様……』

戦士「しゃべっても氏ぬぜ。しゃべらなくても氏ぬけどなぁ」

竜『黙れぃ! 思い出したぞ……!』

戦士「……」

竜『貴様、数年前に……!』

戦士「人違いだぞ」

竜『い、生きていたのか……』

戦士「……」

竜『ぐ、ぐはははっ、今度こそ、魔王を倒せる算段がついたのか?』

戦士「そら、勇者のふりをしている真っ最中だからな。魔王くらい倒さないと」

竜『くく、やって見せるがいい……ぐふっ!!』ガクン

戦士「……」

451: 2014/08/26(火) 00:49:41 ID:Lmb8j9OU
エルフ「……なんだ、どうしたの?」

戦士「なんでもね」

戦士「やっぱり最後はなんかもっともらしいことを言って氏ぬのが定番だからな」

エルフ「なんか、数年前とか言っていたような」

戦士「はっはっは」

エルフ「笑って誤魔化さないでよ」

戦士「まあ、俺も昔はいろいろ冒険したもんだよ」

戦士「工口い格好をした武闘家のおねえさんにベリーダンスを仕込もうとして殴られたりな」

エルフ「そういえば、芸人だったわね」

戦士「工口テクだけなら百戦錬磨なのになぁ」

エルフ(魔王と性欲対決でもしたのかしら……)

452: 2014/08/26(火) 00:53:04 ID:Lmb8j9OU
――
商人「勇者さぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん!!!」 ずだだだだ

戦士「おっ、商人」

商人「なんですか神殿て!」

戦士「は?」

商人「何もないじゃないですか! 金目のものが!」

魔法使い「あんた、私がいる前で堂々と……」

商人「あっ、お疲れ様です!」

戦士「ぐふふ、見ろ、この工口グッズの数々を」

商人「こ、これは、王家の紋が入った張り型!」

魔法使い「よく見つけたわね……」

魔法使い「それ、魔力を込めるとウィンウィン動くのよ」

商人「魔法ってスゲー!」

453: 2014/08/26(火) 00:57:15 ID:Lmb8j9OU
戦士「で、どうだった?」

商人「それが意外や意外ですよ!」

戦士「うん?」

商人「彼らは結構戦えて、女騎士さんの突破力と合わさって、あっという間に中心部に駆け上がっちゃったんです!」

戦士「ほうほう」

商人「つまり、あの人達は使えますね」

戦士「なるほど」

商人「勇者さん、ボクにもさすがにわかってきましたよ」

戦士「何がだ?」

商人「あの偽勇者チームで魔王城を正面突破させるつもりでしょ?」

戦士「その通りだ」

商人「だから、あの人達をもっと天まで持ち上げて、討伐隊のリーダーに据えないとですよね?」ニヤリ

戦士「わかってきたなぁ、お前」ニヤニヤ

457: 2014/08/26(火) 22:31:23 ID:Lmb8j9OU
女騎士「勇者殿! 無事か」

戦士「ん? ああ、まあな」

女騎士「まったく、こちらに竜をおびき寄せて挟み撃ちにするんじゃなかったのか」

戦士「そんなこと言ったっけか」

女騎士「まあ、良い。しかしこれで片はついたわけだな」

戦士「違う違う、これからが本番だ」

女騎士「本番、とは?」

商人「もちろん、『本物の勇者サマ』を盛りたてるんですよねー」

戦士「そうそう」

女騎士「……まだそんなことを言っているのか」

戦士「あれ、気乗りしないのか」

女騎士「当たり前だろう。剣の腕も、戦術指揮も優れているわけでもないぞ、あの男は」

女騎士「せいぜい口がうまい程度だ」

458: 2014/08/26(火) 22:35:12 ID:Lmb8j9OU
戦士「そりゃいい。口のうまさはこれから必須だからな」

女騎士「あ、あのな……」

商人「騎士様、これは作戦ですよ! 商売じゃなくて」

女騎士「商人殿まで」

戦士「要するに、あいつを首魁扱いして、回りに金を集めさせるんだ」

戦士「亡国を魔物の手から奪い返した勇者として盛り上げる」

女騎士「いやしかしな……」

戦士「幸いにして、ここには盛り上げるのがうまい役者が揃ってやがる」

戦士「それに、勇者の振る舞いを知っている連中もな」

女騎士「だ、だが、私には認められん! 虚言を弄して、人心を操るなど!」

商人「嘘は言いたくないってことですか?」

商人「なら大丈夫、嘘は言わなきゃいいんですよ!」

戦士「おお、それそれ」

女騎士「な、なに……」

459: 2014/08/26(火) 22:39:00 ID:Lmb8j9OU
――
偽勇者「あー、えらい目にあったわ……」

僧侶「久しぶりに激しい戦闘でしたね……」

偽勇者「さすがに目立ちすぎた感じがするぜ」

戦士「いやあ、勇者様! 此度の活躍、聞きましたよ!」ニッコニコ

僧侶「ひっ」

偽勇者「な、なんだ、てめぇ、なんだってんだ」

僧侶「も、もういいでしょう、私達は……そう、魔王を倒す旅を再開しなくちゃ」

商人「そう! まさに、その話をしたかったのです!」ぴょいん!

偽勇者「はあ?」

戦士「おーい、魔法使い、猟師さん、村人たちを連れてきてくれー」

僧侶「あ、あわわ……」

偽勇者「お、おいやめろ」

460: 2014/08/26(火) 22:43:42 ID:Lmb8j9OU
魔法使い「……ああ! 勇者様! 我が国をお救いいただき、ありがとうございます!」

「うおおおおおおお!!」

「よくやってくださったー! 勇者様ああああああああ!!!」

偽勇者「う……」

僧侶「い、いえ、これは皆さんのお力で、ですね」

魔法使い「国を追われた私も、ようやく、この国を取り戻すことが出来て、心の底から嬉しく思います」

魔法使い「つきましては、我が国の再出発を各国にご報告いただき、ぜひ、支援のお願いをと、思いまして……」

魔法使い(……これでいい?)

戦士(うまいぞー、ちゃんと出来てるぞ)

「勇者様ー! ぜひお願いします!」

「世界を救うために、俺達もガンバリマス!」

偽勇者「い、いや俺達は」

僧侶「そんな大層なことはしてなくって……」

461: 2014/08/26(火) 22:50:05 ID:Lmb8j9OU
女騎士「それだけではありません!」

偽勇者「あ、あんたは、昨日の」

女騎士「私はかつて海に面した国に仕える騎士でした」

僧侶「そ、そうですか。道理でお強い」

女騎士「いま、かつてない結束力を感じます! 魔物に支配された国を取り戻すことが出来たのです!」

女騎士「であれば他国にも働きかけ、この機を魔王を倒す一大契機にすべきではないでしょうか!」

偽勇者「え……」

「そうだ! 勇者様がいれば百人力だ!」

猟師「おいらも微力ながらお手伝いしましょう」

商人「かの騎士様は、北の戦士達を率いた経歴もあります」

戦士「声をかければ、屈強な戦士の一団がすぐにでも結成できるでしょうな」

「頼もしいぞ! 魔王を倒すチャンスだ!」

僧侶「いや、ねえ?」

偽勇者「お、おう」

462: 2014/08/26(火) 23:00:02 ID:Lmb8j9OU
女騎士「勇者殿! あなたが真の勇者であるなら、この際決断すべきです!」

女騎士「今こそ、世界の人々の力を合わせ、魔王を討伐する時だと!」チラ

戦士(イイヨイイヨー、嘘は言ってないよー)

女騎士「……さあ!」

偽勇者「お、おおお?」

僧侶「や、それは、その」

戦士「……いい加減、命かけろや」ボソボソ

偽勇者「!」

戦士「今までうまくやってきたんだろ?」ボソボソ

戦士「今度もうまく行けば『本当に勇者として一生食っていける』ぜ……」ボソボソ

偽勇者「てめぇ……なんなんだよ……」

女騎士「どうぞ、お命じください! 世界を救えと!」

「おおおおおおおおおおおお!!!!」

463: 2014/08/26(火) 23:05:00 ID:Lmb8j9OU
僧侶「ゆ、勇者様ぁ……」ヒソヒソ

偽勇者「ちっ、し、しょうがねぇ……」ヒソヒソ

偽勇者「ああ、やるぞ! 魔王を倒すぞ!」

\うわあああああああああああああああああ!!!!/

戦士「くくっ」

商人「やりましたね、これ」

戦士「……さあ、それでは、今日は宴会で楽しもうじゃありませんか!」

料理人「酒もたっぷり残っていたんでね」

料理人「ガッツリ振る舞ってやるぜ!」カチーン

魔法使い「剣より包丁が似合う男ね……」

464: 2014/08/26(火) 23:11:26 ID:Lmb8j9OU
宴会中。

戦士「おー、カワイイねー、きみー」

踊り子「いやーん」

商人「あー、勇者さん?」

戦士「どうした?」

商人「いやその、皆さん呼んでますよ。これからのことで聞きたいって」

戦士「放っておけよ」

戦士「久しぶりに女の子とイチャイチャしたい」

商人「いるじゃないですか、騎士様とか、魔法使いさんとかも」

戦士「あいつらに興味薄そうじゃん」

踊り子「あ、勇者様!」

踊り子「ごめんねぇ、戦士さん。私お酌してくるわぁ」

戦士「あっ」

商人「……」

465: 2014/08/26(火) 23:14:44 ID:Lmb8j9OU
戦士「やれやれ、しょうがねぇ。せっかく今日くらいハメを外してハメ倒そうと思ってたのに」

商人「まあまあ、それだけ頼られてるわけですから」

戦士「で? 俺と話がしたいってのはどいつ?」

魔法使い「……私よ」

戦士「おー、どうした? する?」

魔法使い「は? 何を?」

戦士「」

魔法使い「こいつぶん殴っていいのよね?」

商人「ちょっと性欲が溜まっているだけなんで許してあげてください」

商人「ひどい時は一晩中パコりますから」

魔法使い「あんたも大概ひどいと思うのは気のせい?」

466: 2014/08/26(火) 23:20:08 ID:Lmb8j9OU
戦士「で、なんだよ」

魔法使い「金。男」

戦士「うん?」

魔法使い「散々これだけ働かせておいて、私の手にあまり残ってないじゃない?」

戦士「偽勇者とハメてくればいいじゃん」

魔法使い「は?」

戦士「あいつが真の勇者に認定されれば、大金ゲットまちがいなしだろ」

商人「確かに」

魔法使い「んなわけないでしょ!!」

戦士「そもそも、お前、騎士に王子を紹介してもらうんじゃなかったのか」

魔法使い「ええ……そのつもりだったわ」

魔法使い「調べたら40代で子持ちハゲデブだったけどね!!!!」

戦士「独身子持ち…

商人「ウケル」

467: 2014/08/26(火) 23:26:54 ID:Lmb8j9OU
魔法使い「なんなのマジで? 呪われてるの?」

商人「……この人、自分で設定した砂漠の姫って設定を忘れてませんかね」ヒソヒソ

戦士「まあ、姫っぽくはないしな」ヒソヒソ

魔法使い「だから、あんたたちが責任取るべきでしょ。光のドレスだって結局あんたたちが持ってるじゃない」

戦士「分かった。そういうことなら提案がある」

魔法使い「なに?」

戦士「この国を拠点に各国から金を集めるだろ」

魔法使い「ふんふん」

戦士「その時に、この国の外交官として再デビューするんだ」

魔法使い「それで?」

戦士「そうすると、各国の地雷な男や財産を調べる機会が増えるよな」

商人「あ、確かに。直接会う機会もあるわけですしね」

魔法使い「な、なるほど……」

468: 2014/08/26(火) 23:33:48 ID:Lmb8j9OU
魔法使い「そ、想定外にうまく答えられてびっくりだわ」

戦士「なんだよ、そんなことか?」

魔法使い「じゃあ、本題よ。あんた、何者?」

戦士「んん?」

商人「勇者さんは勇者さんですよ」

魔法使い「だから、それはフリなんでしょ」

戦士「じゃあ、見たまんまだろ。勇者のふりをしている冒険者」

魔法使い「表面上はね」

戦士「まるで俺が表面以外にもあるみてーな物言いだな」

魔法使い「表面しかない人間なんていない」

魔法使い「豊富な魔物への知識、罠の技術、指揮能力……」

魔法使い「少なくとも、かなり経験を積んできた冒険者でしょ」

469: 2014/08/26(火) 23:38:44 ID:Lmb8j9OU
商人「そ、それが何か悪いんですか」

魔法使い「隠し事をして、決戦に望まれても困るわ」

魔法使い「あんた、それだけ強いなら、今までどこで燻ってたわけ?」

戦士「そりゃおめぇ、山に篭って修行してたんだよ」

魔法使い「……」

戦士「分かったって。知りたいなら教えてやる」

商人「ご、ごく」

戦士「俺は熟練の旅芸人だったんだ」

魔法使い「ああ?」

戦士「そしてその才能を認められて、いつしか世界中を回ることになり……」

魔法使い「……」

商人「それ、ほんとなんですよね?」

戦士「騎士もそうだった気がするが、なんで信じないんだ?」

470: 2014/08/26(火) 23:43:21 ID:Lmb8j9OU
魔法使い「で、何? 旅芸人なのに世界を旅する内に、魔物に詳しくなっちゃったんだ」

戦士「その通りだ。英雄譚には魔物の描写が欠かせないからな」

商人「おお、そういうことだったんですか」

魔法使い「だから、あんたはあああああああああ!!!」

戦士「なんで怒るの」

女騎士「……魔法使い殿、もう深く追及しなくてもよい」

魔法使い「あんただって気になるでしょ!?」

女騎士「しかし、大事なことは、今こうして才能を発揮しているということだ」

女騎士「そうだろう?」

戦士「騎士、やたら薄着で工口い格好してるな」

商人「わぁ、似合ってますよ!」

女騎士「おい」

471: 2014/08/26(火) 23:47:21 ID:Lmb8j9OU
女騎士「ま、まあ。それより勇者殿。今後の作戦だ」

戦士「ああー、そんなの明日でいいと思ったんだけどよー」

女騎士「しかし、我らは、興奮しているのだ。魔王を倒せるかもしれない、とな」

女騎士「そこには、やはり、お主の知恵が一番頼りになるのだからな」

戦士「ふーん」

商人「魔王よりも女の子の方が興奮するんじゃないですかね」

戦士「僧侶ちゃん、いいよな……」

商人「タイツですからね……」

女騎士「……」

魔法使い「こういう連中なのね。本当に腹が立つわ」

472: 2014/08/26(火) 23:50:04 ID:Lmb8j9OU
戦士「別に大したことはしねーよ。まず騎士がいたあの国で船をせしめるだろ」

女騎士「お、おお」

戦士「それから南の国に行って資金援助要請」

戦士「北の国で武器と戦士たちを調達」

戦士「東の国で物資の確保」

商人「ふんふん」

戦士「そしてそれを展開して魔王城の襲撃を行わせる計画を立てる」

女騎士「そこまですらすら出てくるなら、早く言ってくれ」

魔法使い「こういう連中なのよ」

482: 2014/09/01(月) 23:17:02 ID:GjzMIMKs
――厨房。

勇者「ほい、いっちょ上がりィ!」ジャッ

エルフ「おお、うまい」

勇者「お前ちょっと遠慮しろよ、広間に持って行けよ」

エルフ「……いやいや。そもそもなぜお前は料理を」

勇者「多才だからかな」

エルフ「理由になってないわ」

勇者「俺、料理作れる。お前、食べる。何か食べたい、作れ、OK?」

エルフ「そこまでしろとは……」

勇者「やしの実ジュース」

エルフ「ジュルリ」

勇者「まあ、俺もニクを焼くだけの男になっちゃいかんと思っているからな」

483: 2014/09/01(月) 23:19:26 ID:GjzMIMKs
エルフ「いやいや、待て」

勇者「うん?」

エルフ「そもそも、アレだ。お前は何者だ?」

料理人「はっはっはっ、勇者だと思うぞ」

エルフ「うっ、肩書が……!」

エルフ「勇者が多すぎて、どれが本物なのかわからないわ。何か証明してよ」

勇者「ふっ、良かろう」

勇者「まずは火の精霊の加護で、一気に強火を」

エルフ「おい」

484: 2014/09/01(月) 23:23:52 ID:GjzMIMKs
勇者「焼き上げた料理を一旦風の精霊の加護で冷ましておく」

エルフ「待て」

勇者「そしてさらに土の精霊の加護により野菜を丁寧に揉みほぐしておいしく」

エルフ「あの」

勇者「最後に水の精霊の加護で、冷やしぶっかけうどんの出来上がりだ!」

エルフ「うまいっ!」ズルズルーッ

勇者「この四大元素を自由自在に操る料理人、それが勇者なんだ」

エルフ「いま料理人って言ったわよね?」

勇者「料理の道は勇者に通じる」

エルフ「……つ、つまり、敵を料理する、的な?」

勇者「は?」

エルフ「……」

485: 2014/09/01(月) 23:27:56 ID:GjzMIMKs
魔法使い「何をやっているのよ、何を……」

勇者「お前の国ってまともな料理人いないよな」

魔法使い「さいですか」

戦士「お、うまそう」

勇者「俺、魔王倒したら小料理屋開こうかな」

魔法使い「失敗する」

商人「運転資金は?」

勇者「経営はこいつに任せるの、どうかな?」

戦士「拡大路線を取ろうとして味が悪くなるだろう」

商人「な、そ、そんなことはしませんよ!」

486: 2014/09/01(月) 23:33:04 ID:GjzMIMKs
勇者「いやちょっと、エルフに見せてやったのよ。精霊の力を」

戦士「ほう、精霊の力をね」

エルフ「ええ、確かに見たぞ」

エルフ「料理の腕をね」

勇者「一番これが使えるんだ」

魔法使い「なんて無駄な使い方を……」

勇者「いや、力の制御にはうってつけなんだぜ!」

勇者「火力の調節、水の使い方」

商人「……勇者さん、この人バカなんですかね」ヒソヒソ

戦士「実際、使いどころが分からないしな。精霊の力って」ヒソヒソ

戦士「ただほら、料理を通じて鍛えられているというか」

487: 2014/09/01(月) 23:35:34 ID:GjzMIMKs
勇者「で、盛り上がっているところを、わざわざ厨房に押しかけてどうしたんだ」

魔法使い「今後の作戦よ。あんただって聞いておくべきでしょ」

勇者「なんで?」

魔法使い「……」

勇者「いいか、あいつが考えるだろ」

戦士「俺?」

勇者「おう。そうすると、俺は考えなくていいじゃん」

魔法使い「いいわけないでしょ」

勇者「頭脳労働より、栄養補給を任務としてな」

魔法使い「あああああああああああ!!!!!」イライライライラ

488: 2014/09/01(月) 23:39:08 ID:GjzMIMKs
勇者「そんなにイライラするなよ。そんなだから貰い手が出てこないんだ」

魔法使い「あんたに! イライラしないやつが存在するっていうの!?」

勇者「俺ってイライラする?」

戦士「はっはっは」

女騎士「……する」

商人「しますね」

エルフ「こ、このココナッツジュースってやつ、甘いぞ!」アタフタ

魔法使い「燃えろ」ボッ

エルフ「ひぎゃー!!!」

勇者「鮮度を保つクーラーの如く」カキーン

エルフ「ちめたっ!」

魔法使い「だからね? 魔法をそんな滅茶苦茶な呪文で放つな、それで発動させるな」

489: 2014/09/01(月) 23:44:18 ID:GjzMIMKs
商人「魔法使いさんと相性が激悪だったんですねぇ」

女騎士「これでよく冒険が出来ていたな」

魔法使い「こいつ、こいつ何も考えてないのよ!!」

魔法使い「ほんっとイライラする!!」

商人「勇者さんも似たようなものだと思いますが……」

魔法使い「まだ、こいつはパッと思考が一貫して働くからいいじゃない!!」

戦士「そうでもねぇけどなぁ」

勇者「一緒にいた時からカリカリしてたんだよ」

戦士「そうだ、とりあえず一緒に女の子と遊ぼうぜ」

勇者「お、いいね! どうせ明日で世界が終わるわけじゃなし」

魔法使い「……」プルプル

商人「魔法使いさんって真面目なんですねぇ」

女騎士「うむ、なんというか、そ、そうだな、女性らしいというか……」

魔法使い「ああー!? ヒステリックだって言いたいのかぁー!?」

女騎士「ひい!?」

491: 2014/09/01(月) 23:47:56 ID:GjzMIMKs
――お城。

戦士「うっぷ。飲み過ぎでアタマいてーわ」

勇者「俺も。今日は後頼む」

商人「大丈夫ですかー、酔い止め薬お売りしますよー」テキパキ

女騎士「……」

偽勇者「お、おい。大丈夫なのかよ」

僧侶「こ、この方たち、移動中もずっと飲んでましたね……」

女騎士「だ、大丈夫だ。ここは私が元いた国。私に任せてもらおう」

偽勇者「いや、いいんだけどよ……」

492: 2014/09/01(月) 23:51:41 ID:GjzMIMKs
女騎士「陛下、参上いたしました」

王様「う、うむ。何やらその、快進撃を繰り広げているようじゃな」

女騎士「はい! そして、私、魔王討伐に足る勇者を見つけました!」

王様「なんじゃと」

商人「この方こそ、真の勇者なのです」

王様「なんと、この男が」

偽勇者「ははっ」

王様「……こないだと違うようじゃが」

商人「実は我々は真の勇者を探すために、勇者の旗を振り続けていたのですっ!」

王様「うそ臭いのう」

493: 2014/09/01(月) 23:57:14 ID:GjzMIMKs
偽勇者「がはは、これがその証です」

僧侶「はい、こちらが勇者の証、精霊の加護を受けた護符になります!」

王様「ふーむ」

女騎士「陛下、この度お伺いしたのは、何もこの者を紹介するためではありません」

女騎士「今こそ魔王討伐の最大の契機! どうぞ力をお貸しください!」

王様「いや、しかしのう」

商人「って言うと思ってましたよ」

魔法使い「……お久しぶりですわ、陛下」

魔法使い「砂漠の国より来た魔法使いです」

王様「ほうほう。これはこれは」

魔法使い「我が国は、一度魔物に支配され、それをこの者達と力を合わせて奪還いたしました」

魔法使い「我が国は全力をあげて魔王討伐隊を支援する所存ですわ」

王様「なるほど」

494: 2014/09/02(火) 00:03:04 ID:Nc1cmXXQ
王様「しかし、それならわしの助力などいらないのではないか?」

魔法使い「とんでもございません。陛下にはぜひとも全力をあげて船と馬をご用意していただきたいのです」

王様「えー……」

偽勇者「この時を逃せば魔王は倒せませんよ!」

王様「いや、しかし」

女騎士「……商人殿」ヒソ

商人「オッケーです、想定内です」ヒソヒソ

商人「……あー、それでは仕方ありませんねぇ」

商人「南の国でお願いするしかないですねぇ」

王様「うむ。そうするがよい」

商人「魔法使いさん」

魔法使い「はい。では仕方ありませんわ。我が国からの産品、南の国とのみ取引を行わせていただきます」

王様「!?」

495: 2014/09/02(火) 00:08:08 ID:Nc1cmXXQ
魔法使い「陛下には、魔王討伐隊の船の、領海内の通行だけを許可していただくだけで結構ですわ」

商人「あーしかたないですね。これは」

女騎士「……くく」

偽勇者「我ら、何としてでも魔王を討伐する所存」

僧侶「協力していただける国との交流を重視するのは当然ですものね」

王様「ま、待った!」

魔法使い「あら、まさか、通航さえ許可いただけませんの?」

王様「ち、違うぞ! 今のはほれ、なんじゃ、南の国も出したがってるじゃろうなっていう、そういう意味じゃ」

商人「大丈夫です! もうすでにここでうまくまとまらなければ、南の国でお願いする旨は伝えてますんで!」

王様「!?」

496: 2014/09/02(火) 00:13:22 ID:Nc1cmXXQ
魔法使い「では、領海内の通航の許可、ありがたく頂戴しましたわ」ペコリ

女騎士「おお、陛下の寛大なるや」

王様「待たんか!」

商人「はい?」

偽勇者「どうかしましたか?」ニヤニヤ

王様「……」ダラダラ

王様「だ、大臣」

大臣「はっ」

王様「見積りを……早く……」

大臣「へ、しかし……」

王様「早くせい! 急いで!」

大臣「は、はっ!!」

商人「お忙しいようですね。申し訳ありません」

王様「……ま、待つのじゃ!」

商人「はい」

497: 2014/09/02(火) 00:17:08 ID:Nc1cmXXQ
王様「見積りを……取らせる……」

王様「何隻必要なのか。申してみよ」

商人(よし!)

魔法使い「あら、陛下、まさか船と馬を出してくださると?」

王様「う、馬もか!?」

偽勇者「最初に申し上げたとおりですなぁ」ニヤニヤ

商人「では、もう一度、申し上げたいと思います……」

女騎士「陛下の寛大なる御心に感謝申し上げます」

魔法使い(すっごい適当に感謝の言葉を言ったわね)

魔法使い(嫌ってるのかしら)

499: 2014/09/02(火) 02:12:55 ID:0cyLGxWI
偽勇者ノリノリじゃねえか

501: 2014/09/03(水) 01:24:39 ID:pab5KeY.
正直勇者と魔法使い凄くいいコンビだと思う

戦士「あ? 勇者のふりをしろって?」商人「そうです」【後編】

引用: 戦士「あ? 勇者のふりをしろって?」商人「そうです」