505: 2014/09/09(火) 23:48:41 ID:pHiwgLSc

508: 2014/09/10(水) 22:24:55 ID:OmgQ3ihE
――北の国。

女騎士「勇者殿ー」

商人「あ、騎士様」

女騎士「商人殿か、先ほど、北の戦士たちに話をつけてだな」

商人「あ、静かに」

女騎士「む」

商人「……」

女騎士「……どうしたのだ?」

商人「いや、そろそろ……」

戦士「ここだ」

女騎士「ふいっ」むにゅ

女騎士「だあああああっ!! 勇者殿! 胸を! 触るな!」

戦士「ははは」

勇者「俺もいるぜ!」
ドラゴンクエストI&II - Switch
509: 2014/09/10(水) 22:26:06 ID:OmgQ3ihE
女騎士「しかし、まるで気配を感じなかったぞ……一体何があったんだ」

戦士「こないだからゲロ吐くくらい飲んだだろ」

勇者「あれ、妖精酒って言うんだってよー」

戦士「ちょっと酒にうるさいマスターがいてな、都合してもらったんだ」

女騎士「はあ」

商人「すごいんですよ! 魔法の道具の効果がアップするんです!」

女騎士「まさか、透明になるとかいうアレを」

戦士「おお、足音も聞こえないくらいイケてるだろ」

女騎士「た、確かに。これはすごいな」

魔法使い「犯罪にぴったりね」

女騎士「……!」

戦士「待て待て、誤解だ」

510: 2014/09/10(水) 22:26:44 ID:OmgQ3ihE
勇者「これなら無銭飲食やり放題だぜ」

魔法使い「……」ジーッ

商人「レOプ、誘拐……はっ、いやいや、商売に使えますよね! 商売に!」

女騎士「勇者殿! まさか荒稼ぎするつもりではあるまいな!」

戦士「俺がそんなことをやるような男に見えるか?」

勇者「違うのか?」

商人「ここぞというところで裏切るように見えます」

戦士「はっはっは」

女騎士「いや、まあ、これで魔王本拠に潜入するというのだろうが」

戦士「まあ、ただ飲んでたわけじゃねぇったこった」

511: 2014/09/10(水) 22:27:46 ID:OmgQ3ihE
戦士「で、北の戦士で一団は作れそうか?」

女騎士「無論だ! 士気も高いぞ。腕に自信がある男たちだからな」

戦士「ふーん。おっOいでも見せてやったのか?」

女騎士「あ、あのな……」

商人「そりゃあ、やっぱり自分の部隊長がおっOい見せてくれたら盛り上がりますよね」

勇者「股間が?」

女騎士「……」スラリ

戦士「士気がな」

女騎士「勇者殿、商人殿……この土壇場に来て、冗談はやめてほしい!」

商人「マジで言ってるんですけど……」

戦士「俺もだ」

512: 2014/09/10(水) 22:29:44 ID:OmgQ3ihE
女騎士「何度も言うが、私は女を捨てた身」

勇者「魔法使い、なんか言ったれよ」

魔法使い「この戦いが終わったら……私結婚するんだ……」

戦士(氏亡フラグ)

商人「そんなこと言ってると氏にますよ?」

魔法使い「やかましいいいいいい!? このガキがああああああああ!!」ユサユサ

商人「うわあ、やめてくださいよ!」

女騎士「結婚か……」チラ

戦士(おっOいのついた筋肉ゴリラだけど、顔は美人、かな)

女騎士「う、うむ。私には不要だ」

戦士「そうか?」

513: 2014/09/10(水) 22:30:16 ID:OmgQ3ihE
偽勇者「楽しそうだな貴様ら……」

勇者「おう、勇者サマ」

商人「あ、勇者サマー」

偽勇者「うるせー! そんなこと微塵も思ってないくせによ」

偽勇者「一体コレ以上、俺に何をさせようってんだ?」

僧侶「そうですよ! もう散々お金やら物品やら締めあげたでしょう!」

僧侶「もう私達を解放してください」

戦士「ああ、世界を救ったらな」

偽勇者「ぐぬぬ」

戦士「商人、物品リスト揃った?」

商人「大丈夫です! 偽さんのおかげで」

偽勇者「貴様ら……」

514: 2014/09/10(水) 22:30:47 ID:OmgQ3ihE
偽勇者「ほ、本気で魔王を倒せると思ってるのかよ」

戦士「思ってるんじゃなくて倒すんだな」

僧侶「どうやって倒すつもりなんです?」

戦士「大丈夫だって、お前らはただの囮だ」

偽勇者「ふざけるな!」

女騎士「うむ。前回の手だな」

戦士「嫌なら魔王城突撃隊に組み込むけど、いいのか?」

偽勇者「お、囮でやってやるよ……」

戦士「大勢の人間にカリスマ性を見せつけるチャンスだぞ」

偽勇者「命がけじゃねぇか!!」

僧侶「あ、じゃあ、私は後方支援で……」

女騎士「激戦になるんだから、前線で傷を癒してもらうが?」

僧侶「チクショー!」

515: 2014/09/10(水) 22:31:23 ID:OmgQ3ihE
戦士「騎士」

女騎士「む、なんだ」

戦士「基本の戦闘はあいつ(偽勇者)に任せろ。団の指揮と要所を騎士が担当するんだ」

女騎士「うむ。承知した」

女騎士「というからには、その要所について詳しく説明があるのだな?」

戦士「そういうことだ。まず、魔王城の周辺域の地図」

商人「は、はい!」ピラッ

女騎士「どこでこんなものを……」

戦士「あるところにはあるんだよ」

戦士「で、ここに崖があって、一列になっているだろう」

女騎士「ここで戦闘しろというのか?」

戦士「ああ」

女騎士「そんな無茶な!」

516: 2014/09/10(水) 22:32:07 ID:OmgQ3ihE
戦士「けど、多分魔王軍に残っている連中を考えると、これがベターだと思うんだけどよ」

戦士「狭いところならまず出てくるのがいるはずだし」

女騎士「……」

商人「どうしたんですか?」

女騎士「勇者殿。もう驚かないから教えてほしい」

戦士「なに?」

女騎士「お主、やはりかつて魔王軍に身を置いていたとか、そういう」

戦士「はっはっは、ないない」

商人「どんな妄想ですか」

女騎士「やかましい! なら、どうして魔王軍の陣容を知っているのだ!」

戦士「かつて、俺は世界中を旅した芸人でな……」

女騎士「もうそれはいい!」

517: 2014/09/10(水) 22:32:52 ID:OmgQ3ihE
戦士「いいのか? 結構面白い話なんだがな」

商人「はあ。まあ、その話は置いておくにして、騎士様にはこんなところでいいんですか?」

戦士「まさか。うまく相手を倒せる策を十くらい教える」

女騎士「じ、十!?」

戦士「ん。で、それで体力が残っていたら、そのまま魔王のところまで単騎駆けしてきてくれ」

女騎士「……」

商人「騎士様の力が必要だってことですよ!」

戦士「いや、俺らが先に魔王を倒したら、偽者が勇者っぽくないじゃん?」

戦士「まあ、騎士なら格好がつくだろうって話でな」

女騎士「ふう、まあ、いい」

女騎士「大体、少数精鋭で魔王を打ち倒す方が危険なのだろうからな」

女騎士「全力で駆けつけよう」

戦士「頼りにしてるぜ」

518: 2014/09/10(水) 22:33:30 ID:OmgQ3ihE
戦士「で、おい。魔法使い」

魔法使い「何かしら」

戦士「お前はエルフと一緒に……」

魔法使い「いや、もういいでしょ。私は外交交渉役として務めは果たしたわ」

戦士「ふーん?」

勇者「ここに光のドレスがあります」

魔法使い「!?」

商人「それでそれでー?」

勇者「自分、火の精霊の加護を受けてるっすから」

魔法使い「ごるぁあああああああああああ!!!」

勇者「落ち着けよ」

魔法使い「あんたっ……! いい加減にしろよ、マジで、ふざけんなよ!」

519: 2014/09/10(水) 22:34:12 ID:OmgQ3ihE
戦士「商人、結婚するならどんなのがいい?」

商人「うーん、ヒステリックなのはちょっと……」

戦士「そうか? 独占欲強そうな娘って俺は好きだな」

商人「え、マジですか?」

戦士「大体、商売で割りきってる娘とばっかり遊んでたから、結構新鮮なんだよ」

商人「比較的クズですね、勇者さん」

戦士「ははは、そうか? 分かってるから、お互い無理せず気持よくなれるんだがな」

商人「ええ? ボクは冷静に判断出来る人の方がいいなぁ」

魔法使い「おい、お前ぇ! あいつ止めろ!」ゼーハー

勇者「ふはは、どうした、俺がドレスを着ちゃうかもしれんぞ!」

520: 2014/09/10(水) 22:34:57 ID:OmgQ3ihE
戦士「まあ、魔法使い。ここまで来たら付き合ってくれや」

魔法使い「ぜー……ぐっ、仕方ないわ」

魔法使い「ただし、危険な仕事はNGよ!」

戦士「ああ。比較的安全な仕事だ。失敗したら氏ぬが」

魔法使い「……」

勇者「まあまあ、いざとなったら俺がなんとかするって」

戦士「いや、お前は俺と一緒にこいよ」

勇者「え、そうなの?」

魔法使い「はっ、なら私が何をやろうと監視役はいないわけね」

商人「エルフさんがいるじゃないですか」

魔法使い「あんな甘党の頭おかしいエルフに監視が務まるのかしら?」

エルフ「甘味は我にあり!」ブンッ

魔法使い「!?」

521: 2014/09/10(水) 22:35:47 ID:OmgQ3ihE
エルフ「妖精糖で作った茶菓子……素晴らしい」サクサク

戦士「食べ過ぎるなよ」

エルフ「いいえ、これを食べてから体の調子が良すぎてわけがわからないことになっているわ」シュッ

魔法使い「き、消えた」

商人「人間離れしていきますね。人間じゃないですけど」

エルフ『私はいつでも風と森の中で見守っているぞ……』サクサクサク

魔法使い「食ってるじゃねーか!」

戦士「まあ。あいつに刺されたくなければ頑張ってくれ」

魔法使い「……」

商人「妖精糖ってなんですかね」

戦士「妖精酒と同じで、魔法的な力を持っている甘味だろうな。なんか風に溶け込んでしまっているけど」

商人「はえー、売れますかね」

戦士「下手に人間が食うと妖精の世界に溶けてしまうぞ、多分」

523: 2014/09/10(水) 22:38:39 ID:OmgQ3ihE
魔法使い「まあ、いいわ。良くないけど、仕方ないわね」

戦士「おう、それでな……」

魔法使い「ふむ。結界のね」

戦士「位置が変わっている可能性はあるからな」

魔法使い「大丈夫よ。潜入なら苦手ってほどじゃないわ」

戦士「それじゃあ、よろしく頼むぜ。熟読しとけよ」

魔法使い「……本気で魔王を倒す気なのね」

戦士「当たり前だろ。勇者のふりをするんだからな」

魔法使い「なんなのかしらね、あんた」

戦士「さあな」

524: 2014/09/10(水) 22:41:43 ID:OmgQ3ihE
勇者「で、俺はいいんだけどよー」

戦士「ん?」

商人「ぼ、ボクはついていきますよ! 今度こそ!」

戦士「ああ。必要必要」

勇者「三人で魔王突撃? 結構厳しくねぇか」

戦士「ま、俺達がやるべきことは、魔王の行動パターンの制限だ」

勇者「マジ? 倒すんじゃねぇのか」

戦士「倒せればな」

勇者「倒せないのかよ」

戦士「鋭意努力はするが、長時間の戦闘になる公算だからな」

商人「な、なるほど」

525: 2014/09/10(水) 22:45:50 ID:OmgQ3ihE
戦士「ま、一応策はあるが、策を弄してもそうそう勝てないのが魔王ってやつだ」

戦士「分かるだろ?」

勇者「ああ。今回は用意周到だもんな」

戦士「まあな」

商人「あ、あの……」

戦士「ん?」

商人「ボク、その、本当に、大丈夫ですよね?」

戦士「大丈夫だ。勝てなきゃ全員氏ぬだけだ」

商人「ひでぇ!」

戦士「ははは。ま、それはそれとして、だ。三部隊に分ける以上、俺達がすべきことは魔王に直接向かうよりも先にある」

勇者「お宝の回収」

戦士「ソノトオリ!」

商人「ですよね!」

526: 2014/09/10(水) 22:48:08 ID:OmgQ3ihE
商人「冗談じゃなくって、マジなんですよね」

戦士「時間がかかる作戦があるからな。その成功まで少し時間を稼いでおきたい」

勇者「なるほどねぇ」

商人「ボク、信じてますから」

戦士「そういうのは商売人にが言う言葉じゃねぇな~」

商人「へへへ」

勇者「お、それじゃ景気づけにもう一杯いくか?」

商人「え、妖精酒はもういいじゃないですか」

戦士「いいんだいいんだ、これが最後かもしれんしな」

527: 2014/09/10(水) 22:51:22 ID:OmgQ3ihE
――
商人「もがむが」

戦士「はっはっは、ん? どうした?」

商人「ぶはっ、い、いや、その……」

商人「今日はそんなに多く飲まないんですね」

勇者「まあ、景気づけだからな。景気づけ程度よ!」

商人「他の仲間も呼べばいいのに」

戦士「それぞれ集中すべきことがあるだろうから、いいのさ」

戦士「……結局、こちらの準備の妨害もナシってのは拍子抜けだがな」

勇者「ん? 魔王がこっちを攻撃してくるかってことか?」

商人「ははは、なんか、魔王に攻撃してもらいたかったみたいですけど」

戦士「んー、まあな。戦力が減らせる」

528: 2014/09/10(水) 22:53:13 ID:OmgQ3ihE
商人「……」

戦士「どうした?」

商人「んー、勇者さんって、その……」

商人「芸人だったんですよね?」

戦士「ああ」

商人「世界中ってのは、どの辺を旅したんです?」

戦士「そらもう、世界中だよ」

勇者「へー」

商人「魔王のところにも行ったりしたんですか?」

戦士「ああ」

勇者「マジ? すごいじゃん」

商人「えー、あー」

529: 2014/09/10(水) 22:57:58 ID:OmgQ3ihE
商人「そ、それで魔王に詳しいってことなんですか?」

商人「や、やっぱり、勇者さんは……」

戦士「ああ、俺は芸人として腕を磨くために旅をしていたんだ」

勇者「ほうほう」

商人「それは何度も聞きましたけど」

戦士「そこで、魔王討伐と救世を目的に旅をしている一団の仲間に加わったのだ」

戦士「それなりに昔になるな」

商人「……ん?」

勇者「すげーな。結構強かったのか、その連中」

戦士「ああ。その中には勇者と呼ばれる男もいてな」

商人「……んん?」

勇者「へーそんで?」

戦士「魔王をあと一歩のところまで追い詰めたのだ」

商人「……んんん?」

勇者「おっ、なるほど!」

530: 2014/09/10(水) 23:04:12 ID:OmgQ3ihE
戦士「あの時は俺もずいぶん若かったぜ……酒の味も女の抱き方も教えてもらったし」

戦士「剣の振り方は一向にうまくならなかったけどな!」ハハハ

勇者「あー、そりゃあるよな。やっぱり剣の腕ってのは才能だぜ。才能」

商人「いやあの、ちょっと」

戦士「なんだ?」

商人「数年前に勇者さん以外に勇者がいたんですか?」

戦士「勇者と名乗る男がな」ニヤニヤ

商人「えーっと……」

戦士「ま、少し前の話だ。あの当時は売名行為はあまりやらなかった」

戦士「勇者の噂なんて、魔物を倒して、じわりと広がる程度で――」

商人「いやいやいや!」

戦士「なんだよ」

商人「……勇者が、いたんですか?」

536: 2014/09/13(土) 22:22:40 ID:IhwrZ0.o
――翌日。

商人「はい、勇者さん、鎧を磨いて置きましたから」テキパキ

戦士「おう」

商人「それから内側にちゃんと薬草とかこれも仕込んでおきますんで」

戦士「おう」

商人「いいですか、ボクは戦力的にはアテにならないんですからね」

戦士「ん、まあな」

勇者「しょーにーん。弾持っててくれよ」

商人「ダメですよ、そんなに多くはないんですから、ご自分で全部持ってください」

勇者「ちぇー」

商人「それからこの鎧なんですけど……」

戦士「おう」


魔法使い「……どう思う?」

女騎士「何が?」

537: 2014/09/13(土) 22:26:37 ID:IhwrZ0.o
魔法使い「なんかこう、やけに甲斐甲斐しくなった感じしない? 商人」

女騎士「さてな。仲が良いのは前からだから」

魔法使い「ふん、そんな悠長なこと言ってると、商人に取られるわよ」

女騎士「どういう意味だ」

魔法使い「あんたの片恋慕が」

女騎士「かかか、片恋慕って何がだ!」

女騎士「私は勇者殿を信頼し、仕える、そう、騎士だからな」

魔法使い「どの誰とは言ってないけど」

女騎士「う、ぐぐぐ」

魔法使い「それにしても、何かあったのかしらねー、なんかさらに急接近する何かがあったのかしらねー」

女騎士「……さ、三人で突入するのだ、仲が良くなって当然だ」

538: 2014/09/13(土) 22:30:58 ID:IhwrZ0.o
魔法使い「騎士サマは一番の激戦にさらされるけどね」

女騎士「当然だろう。それだけ信頼してもらっているということだ」

魔法使い「捨て駒として?」

女騎士「違うわい!」

女騎士「ふ、これを見よ」サッ

魔法使い「ん?」

女騎士「魔王軍の軍勢攻略指南を勇者殿から直筆で頂いている。十以上の策を記したものだ」フフフ

女騎士「見事軍勢を突破した暁には、子々孫々にわたってコレを受け継いでいくのだ」

魔法使い「ふーん、それなら私ももらってるけど」

女騎士「ぬがあああああ!!」

539: 2014/09/13(土) 22:35:12 ID:IhwrZ0.o
魔法使い「ま、魔王軍についてじゃないけどね」

女騎士「ならどうでも良かろう! 私はそう、胸に思いを秘めて闘うのだ」

女騎士「これこそ騎士道というものだ」

魔法使い「寝取られが騎士道なのね」

女騎士「ねと……っ!」

魔法使い「大体、ブチブチ言ってないで、好きなら離れるまでベタベタしてればいいじゃない」

女騎士「す、好きとかそういうことではない」

魔法使い「あ、商人に肩もみさせてる」

女騎士「……勇者殿! リラックスしすぎですぞ!」ダカダカ

魔法使い「めんどくさい人ね」

540: 2014/09/13(土) 22:40:48 ID:IhwrZ0.o
戦士「あー、そこそこ」

商人「ここですか?」

戦士「うん、いいぞ」

戦士「あー、健全なマッサージもいいもんだな」

勇者「いつも不健全なマッサージやってんのかよ」

戦士「最終的に腰が疲れるんだ」

商人「あははは」

偽勇者「お前ら、本当に呑気だな」

戦士「よう、世界を救う勇者サマ」

偽勇者「てめぇ、バカにしやがって」

戦士「バカに? 勇者のふりをさせてやっているだけだぜ」

戦士「かくいう俺も、勇者のふりならしばらくやり続けていてな」

541: 2014/09/13(土) 22:43:38 ID:IhwrZ0.o
偽勇者「だからなんだってんだ」

戦士「詐欺師や騙りなんてのは堂々としてりゃいいんだよ」

戦士「ホンモノの方がよほど立ち居振る舞いに気を使わないといけねぇだろ」

偽勇者「……」

商人「勇者さん、詐欺師ってはっきり言ったらダメですよ。これは商売なんです」

戦士「勇者業?」

商人「えーと、勇者代行業でいいんじゃないですか」

商人「実際、魔物倒して魔王も倒そうっていうんでしょ」

戦士「そうそう、そういうことだ」

偽勇者「気が狂ってるぜ」

542: 2014/09/13(土) 22:44:39 ID:IhwrZ0.o
偽勇者「いいか、俺だって逃げようがないからいてやるけどな」

偽勇者「魔王ってのを、知ってるのか? 魔王ってのは化け物の親玉なんだぜ」

偽勇者「いくらなんでも、そんなヘラヘラ笑って倒せるような連中とは違うんだ

543: 2014/09/13(土) 22:50:51 ID:IhwrZ0.o
偽勇者「いいか、俺だって逃げようがないからいてやるけどな」

偽勇者「魔王ってのを、知ってるのか? 魔王ってのは化け物の親玉なんだぜ」

偽勇者「いくらなんでも、そんなヘラヘラ笑って倒せるような連中とは違うんだ!」

戦士「お前こそ魔王をよく知ってるみたいな口ぶりだな」

偽勇者「いや、それは……」

戦士「ははぁ、さては魔王軍にちょいとやられた国の出かな?」

偽勇者「うるせぇ」

商人「……」

戦士「やれやれ、仕方ないやつだな」

544: 2014/09/13(土) 22:56:10 ID:IhwrZ0.o
戦士「魔王ってのは闇の力を操る悪魔のような存在だ」

戦士「どれだけ殴ったり斬りかかったりしても、この闇の力を払わないことには始まらない」

戦士「まあ、それを除いても強力な化け物であることには違いない」

偽勇者「……なんで知ってるんだ」

戦士「まあ、いいじゃねぇか」

戦士「だが、こっちにはまずこれがある」

商人「はい、光のオーブです!」

戦士「これで闇の力を振り払う」

偽勇者「……はあ」

戦士「それからな、もう一つ、連中の困ったところがある」

偽勇者「困ったところ?」

戦士「頭を使おうとするところだ」

545: 2014/09/13(土) 22:59:55 ID:IhwrZ0.o
戦士「普通に破壊の限りを尽くせばこっちに勝ち目はないのに、連中はたとえば居城を破壊したりはなかなかしないだろう」

偽勇者「それは普通だろ」

戦士「人間的にはな。すごく頑張らないと建物を破壊したりってことはできないんだ」

戦士「魔物は違う、ちょいと一振りすりゃなんでも壊せる力を持っているのに、なぜか建物の中に居座ったりする」

商人「そりゃあ、やっぱり住み心地がほしいんじゃないですかね」

戦士「魔物向け住宅プランか……」

勇者「売れそうだな!」

商人「どこに売るんですか?」

546: 2014/09/13(土) 23:02:49 ID:IhwrZ0.o
偽勇者「お前が自信満々に言えば言うほど、不安しか募らねぇ」

戦士「だったら何も考えずに勇者のふりをしてりゃいいんじゃね?」

戦士「俺はその点に関しちゃお前に期待しているよ」

偽勇者「何言ってやがるんだ」

勇者「おう、俺も元勇者として期待するぜ!」

元勇者「いよっ! 大将!」

商人「いつから元勇者になったんですか?」

元勇者「だって誰も俺のこと勇者って呼ばないじゃねーか!」

戦士「カワイソウ」ニヤニヤ

元勇者「笑ってんじゃん!?」

偽勇者「……はあ。まあ、いい」

547: 2014/09/13(土) 23:07:21 ID:IhwrZ0.o
偽勇者「こうなったらしくじるんじゃねーぞ」

偽勇者「一世一代の大博打ってやつだ。それも無理やり賭場に座らされたようなもんだ」

偽勇者「いや違うなコレ」

商人「掛け金も出目も決まってて後は首を洗って待つだけみたいな」

偽勇者「そう、それだ!」

偽勇者「ちくしょおおおおおおおおお!!」

戦士「愉快なやつだな」

勇者「面白いやつだ」

戦士「まあ、美人のパートナーがいる時点でもう勝ち組だからな、お前」

勇者「これは許されないよー、俺なんか地下道の崩落で見捨てられたんだぜ?」

偽勇者「てめぇらがバイオレンス過ぎるだけだ!」

548: 2014/09/13(土) 23:12:45 ID:IhwrZ0.o
戦士「さあ、それじゃ、俺達は一足早く潜入することにしよう」

戦士「大所帯が一番手間取るからな」

商人「はい、荷物バッチリです」

戦士「よしよし」

勇者「おーい、エルフちゃん?」

『風の中で飴を舐めている……』チュパチュパ

魔法使い「姿の見えないやつと組まされる私が一番不幸じゃない?」

戦士「はっはっは、じゃ、魔法使い。例のアレ持って行けよ」

魔法使い「はいはい」

戦士「それじゃ行くかなぁ。北の方から回りこむコースになるぞ」

556: 2014/09/18(木) 21:16:53 ID:zbCr7I7g
――魔王城。

商人「ドキドキしますね」

戦士「そうか?」

勇者「お前ら緊張感ねぇなぁ。観光じゃねぇんだぞ」

勇者「お、なんか食い物見っけ」

商人「猟師さんの方が緊張感ない気がしますけど」

勇者「まあ、いいじゃねぇか別に」

商人「どっちなんですか……」

戦士「魔王城のマップならだいたい把握してるからなぁ」

戦士「さすがに前回来た時と宝箱の位置とかは変わってるけど」

商人「あ、トラップですよ!」

戦士「よし、外すぞ。今の内にな」

557: 2014/09/18(木) 21:21:17 ID:zbCr7I7g
戦士「ふーむ、これで10個は外したか?」

勇者「すげーな。罠だらけかよ」

商人「やはり、一度侵入されているだけあって、いろいろと考えていたわけですね」

商人「無謀に突撃したら、罠にハマっていたでしょうし」

戦士「まあ、でも罠を仕掛ける程度で良かったよ」

勇者「なんでだよ」

戦士「これで魔物が存分に闘えるような空間を作ったりしてたら困るだろ?」

勇者「いやまあ、それはいいんだけどよ」

戦士「どうした」

勇者「俺らって……魔王に突撃する部隊じゃなかったっけ?」

商人「ははは、ご冗談を」

戦士「突撃はする……するが、いつ突撃するかは言ってない」

商人「え、やっぱ突撃するんですか」

勇者「おい、バラバラじゃねーか」

558: 2014/09/18(木) 21:25:04 ID:zbCr7I7g
戦士「いや、俺は最初から言ったけどなぁ。魔王城に潜入して、まず宝箱を取りまくると」

勇者「おう。それで?」

戦士「そうすると、正面から魔王軍と堂々と闘う部隊が現れるだろ?」

商人「そうですね」

戦士「その間に、場内を混乱させて、敵の数を減らしていく」

戦士「魔王に一直線に挑んだら、仲間を呼ばれるからな」

勇者「そうだったっけ?」

商人「そうですよ!」

戦士「実は?」

商人「酔っぱらってて覚えてません!」

戦士「ははは」

勇者「しっ、うるさいぞ、お前ら」

559: 2014/09/18(木) 21:36:46 ID:zbCr7I7g
魔物1『おい、人間の軍隊が上陸してきたらしいぞ!』

魔物2『マジかよ。もうこの戦争も潮時かなぁ』

魔物隊長『ぐだぐだ言っとらんで、さっさといかんか』

魔物1・2『へーい』

ザッザッザッザッ……


勇者「よし、行ったぜ」

戦士「始まったようだな。じゃ、俺らも全速で行動だ」

商人「は、はい!」

560: 2014/09/18(木) 21:41:02 ID:zbCr7I7g
勇者「ほれ、マントマント。透明になるぞ」

商人「は、はい」

戦士「さて、商人。こういう状況だと何が狙い目になる?」

商人「え? えーと」

勇者「扉を開けておく」

戦士「すぐ閉められるだろ」

勇者「じゃあなんだよー」

戦士「戦場はちょっとだけ離れている、全戦力がそっちに行ってるわけじゃない」

商人「うーん、ま、待ってる魔物を狩るんですかね」

戦士「違う。伝令役を狩る」

561: 2014/09/18(木) 21:43:45 ID:zbCr7I7g
勇者「ほうほう」

戦士「情報を伝達する上で、長距離間でも連絡が取れる魔物もいないではないがな」

戦士「そんなに離れていなけりゃ個人で移動しながら連絡を取る」

戦士「だから遠くから隠れて狙撃する」

商人「悪どい!」

戦士「ふふふ、悪いだろう」

勇者「どっちが悪か分からんぞ」

戦士「人事みたいに言ってるが、狙撃犯はお前だ」

勇者「ん?」

562: 2014/09/18(木) 21:47:03 ID:zbCr7I7g
……――

ダーン!!

\ぐぎゃあああああああ!/

戦士「よし、バレる前に狙撃する位置を変えるぞ」

狙撃兵「おう!」サササ

商人「誰なんですかね……この人は……」

狙撃兵「狙撃のコツは練習することである」フンス

商人「ノリノリ!?」

戦士「透明効果が切れる前に別の部屋に行くぞー」

563: 2014/09/18(木) 21:49:55 ID:zbCr7I7g
戦士「む、よし、あの部屋の中で待機している連中は眠らせて皆頃しにしよう」

商人「この人むっちゃ怖い」

爆弾魔「爆弾石転がしとこうぜ! 爆弾石!」

戦士「ちょっとそれは勿体ないな」

戦士「よし、入るぞ」ガチャ

「だ、誰だお前は!」「どこから入ってきた!」

戦士「ここに妖精の剣があってな、これをじーっと見てくれ」

\ZZZ……/

564: 2014/09/18(木) 21:53:58 ID:zbCr7I7g
戦士「今のうちに首を落とすぞー」

商人「仕方ないですね、さっさとやりましょう」ザクッ

勇者「地味な作業だな、これ」ガッシ、ボカッ

戦士「これが俺たちのラストバトルだ」

商人「確かにこれでは勇者とは名乗れないですね……」

勇者「お前もビビってないな」

商人「そりゃそうですよ! これだけ色々やってきたらさすがに慣れました」ガンッ

商人「穴を掘るのと魔物の首を落とすのと、作業量は大して変わらないですし」ゴガッ

勇者「だってさ」

戦士「俺は穴を掘る方がツライナー」ハハハ

566: 2014/09/18(木) 21:57:05 ID:zbCr7I7g
戦士「ふー。ひとまず血の海の中で安泰だな」

商人「大分、城内もざわついてきましたね」

戦士「伝令役がやられ続けて、結構ピリピリしてるんだろう」

戦士「うまくいってれば、前線でも魔王軍からすれば苦戦を強いられている頃だ」

勇者「そうかい」

戦士「後は魔王の傍にいる側近というか、そういう連中を引っ張りだしてだな」


ドラゴンゾンビ『GRRRRRRRR……』ぬうっ


戦士「あ、やべ」

567: 2014/09/18(木) 21:59:09 ID:zbCr7I7g
氏竜『GUGYAAAAAAAA!!!!』

戦士「逃げるぞ、全速力」ダッ

商人「な、なんでですか!」

勇者「ほいほい」ダダダッ

戦士「そりゃお前、一番やばい相手だからだよ!」

商人「一番!?」

戦士「魔王を抜いてな」

勇者「確かに、あいつくっせーよ!」

戦士「そこじゃない」

氏竜『GAAAAAAAAAA!!!』

568: 2014/09/18(木) 22:01:54 ID:zbCr7I7g
勇者「ま、マント使おうぜ!」

戦士「目の前で使っても無駄だ、二階に駆け上がって、一旦やり過ごす!」

商人「あ、あの、やり過ごすって……」


氏竜『GRRRRRRR!!!』バキッ、ドカッ、ズガシャー!!


商人「部屋を壊して移動してますけど」

戦士「だからヤバいんだって」

戦士「頭使ってるやつらなら、かえってハメ倒せるけど」

勇者「なるほどねぇ!」

勇者「眠りも効かなそうだし」

569: 2014/09/18(木) 22:06:12 ID:zbCr7I7g
魔物3『む、何奴!』

戦士「敵襲だ! ドラゴンゾンビが襲ってきたぞ!」

魔物3『え、それはこっちのみかた』

氏竜『GYAAAAAAAAA!!!』

魔物3『ほぎゃあああああああああ!!!』

商人「味方巻き込んでいきましたけど……」

戦士「おう」

勇者「あいつ、空気読めねぇなー」

商人「親近感が湧くんじゃないですか!?」

勇者「なんでだ?」

戦士「よし、二階に上がったら、進行方向から反転するぞ」

勇者「おう!」

商人「はい! あ、あ、ぼ、ボクを囮とかにしないですよね!?」

戦士「ああ、その手が」

商人「!?」

570: 2014/09/18(木) 22:14:18 ID:zbCr7I7g
戦士「冗談だ、ほら、二階にも上がってきやがるぞ」

商人「ひぃ、はぁ、ふぅ」

戦士「ほら、あれがあるぞ。アレアレ」

商人「あ、アレですか」

勇者「よし、飛ぶぞおおおおおおおお!」

『落とし穴!』ぴょんっ

戦士「さて、どうだ?」


氏竜『GAAAAAARR』ズボッ

商人「ハマった」

勇者「ハマったな」

戦士「人間の一団をハメるサイズで作れば、そりゃあ竜だったらハマるわ」

572: 2014/09/18(木) 22:18:14 ID:zbCr7I7g
勇者「へっ! 散々おどかしやがって!」

商人「ちんぴらみたいなセリフですよね、それ」

戦士「よし、商人、ハマっている間に爆弾石のセット」

商人「は、はい!」ゴソゴソ

商人「数はどうしましょう?」

戦士「80……100がいいな」

商人「ひ、100ですか」

戦士「そ。すぐ大騒ぎになって魔物が押し寄せてくるから」

商人「巻き込むんですねっ?」

勇者「抵抗される前に、用意してトンズラかこうぜ」

勇者「よっしゃ、もう一度透明化やっとくか」

573: 2014/09/18(木) 22:21:39 ID:zbCr7I7g
商人「爆弾石、四カ所にセットしました!」

戦士「うん」

勇者「導火線も、準備出来たぜ!」

戦士「よし」

勇者「懐かしいな、洞窟の壁を壊したのを思い出すなぁ」

商人「なんかいい思い出みたいに言ってますけど、あの時、氏にかけてましたよね……?」

氏竜『GRRRRRRR……!!!!』

勇者「やべ、暴れだしそう」

戦士「よし、離脱するぞ」

商人「あい!」

574: 2014/09/18(木) 22:23:01 ID:zbCr7I7g
どうした!

   大きな音が

        急いで数を集めろ!

おお、ゾンビが穴にはまって……

     おーい、引っ張りだして――



……――カッ!!

575: 2014/09/18(木) 22:25:38 ID:zbCr7I7g
商人「ふう……」

勇者「魔物とはいえ、心が痛むな」

商人「すごく心にもないセリフな気がしますけど」

戦士「本音は?」

勇者「腐りかけの肉って食えるかな」

商人「え……」

戦士「お前、あれ、完全に腐ってるぞ」

勇者「待てよ! 巻き込まれたやつらはいい焼け具合かもしれないじゃないか!」

商人「そういう問題じゃないですよね!?」

576: 2014/09/18(木) 22:30:43 ID:zbCr7I7g
戦士「……よし、安心しろ。肉片は吹き飛んでて料理どころじゃない」

料理人「残念だな」

商人「残念な要素一つもないですよ!」

商人「強いて言うならあなたが残念ですよ!」

勇者「落ち着け。いかなる時でも、別の選択肢を考慮に入れているだけだ」

商人「それいらない選択肢ですから!?」

戦士「自由度高いな」

商人「自由すぎるんですよ!」

戦士「まあ、いいから。これで魔王の側近たちも、城内に動き出す可能性がある」

戦士「必殺で仕掛けていくぞ」

商人「ボクら何なんです……?」

勇者「うーん、走るキッチンかな」

577: 2014/09/18(木) 22:39:29 ID:zbCr7I7g
――
戦士『つまり、羽根を持っている連中は、すぐにでも空に逃げられるという自信がある』

戦士『だから逆にすぐ地面に降り立ってしまう』

戦士『で、退路を塞ぐために、崖の下に降り立つわけだ』
――
女騎士は退却を指示した! しかし回りこまれてしまった!

鳥悪魔『ゲハハハハ、逃げられると思ったか』

女騎士「いまだッ! 崖上より岩を落とせ!」

鳥悪魔『ブハッ!?』

ごろごろー

女騎士「鳥は氏ねッッ!!」
――
戦士『崖に挟まれた一本道なら、横に飛ばれることもない』

戦士『上からどーん、でおしまいだ』

戦士『ただし、これは自分の退路を断つわけだから、速攻で前方に向き直って突進しろ』
――
女騎士「進め! 者共!」

偽勇者「うおおおおおお!!!」

578: 2014/09/18(木) 22:47:32 ID:zbCr7I7g
北戦士「団長! 前方に盾を持った魔物が!」

女騎士「何ッ!」

偽勇者「ど、どうする」

女騎士「うろたえるな、確か……」
――
戦士『大盾を持った魔物ってのは要するに壁を作るのが目的だ』

戦士『つまり、侵攻を遅らせて時間を作ることが最大のポイントになる』

戦士『時間さえあれば、態勢を整えられるからな』

戦士『だから、時間をかけずに攻撃する。例えば、正面が防がれるなら……』
――
女騎士「投石機だ!」

偽勇者「おお、上から攻撃するわけだな!」

女騎士「同じタイミングで、私が先陣を斬るッ! 急造の盾はどちらか一方しか受け止められない!」

僧侶「だ、大丈夫ですか……?」

女騎士「放てーッ!!」

579: 2014/09/18(木) 23:01:52 ID:zbCr7I7g
城門手前。

戦士「……よし。門扉をこれでバッチリ開けて、と」

商人「……」

勇者「どうしたんだ、ぐったりして」

商人「さすがに……あんな化け物を三匹も四匹も相手にしてれば……」

勇者「まだ魔王も倒してないのになぁ」

戦士「はっはっは」

商人「ぼ、ボクは勇者さんみたいなムキムキマッチョマンとは違うんです!」

戦士「お前も十分ついてきてるじゃないか」

商人「むしろ、よく倒せているというかなんというか……」

戦士「大体のパターンが分かればこんなもんよ」

勇者「お前が最初から俺んところいてくれればよかったのにー」

戦士「逆なんだがな」

勇者「はぁ?」

580: 2014/09/18(木) 23:12:57 ID:zbCr7I7g
戦士「さて、まだもう少し時間があるし、魔王のいるところ向かいつつ、飯でも食うか」

商人「タフですね、ホント」ゴソゴソ

勇者「荷物背負いながら走ってついてくるやつに言われてもなぁ」

戦士「分かる。俺も商人でも良かったかな」

商人「な、何を言うんですか!」

商人「ボクはほらぁ、所詮ちょっとだけ商売がうまい、しがない物売りに過ぎませんよ!」

勇者「自慢したぜこいつ」ニヤ

戦士「自慢したなぁ」ニヤニヤ

商人「ちょっ、なぜ、笑うんです?」

581: 2014/09/18(木) 23:14:05 ID:zbCr7I7g
あと少しですが今日はこのへんで

588: 2014/09/23(火) 16:28:27 ID:/YOpDl8c
商人「ほら、バカなこと言ってないで、さっさと行きましょうよ」カチ

商人「あ」

勇者「うわ、やっちまったな。トラップだぞトラップ」

商人「あわわ、ど、どうしましょう?」

戦士「まあ落ち着け、踏んだくらいじゃ作動しないタイプの……」

商人の姿が消えていく。

戦士「作動するタイプだったな」

商人「うわわわ」スーッ

勇者「なむ」

商人「助けてください!」

戦士「しょうがないな」

戦士「こいつはワープ型のトラップだ。おそらく外に放り出されるか、魔物部屋に行くくらいだろう」

勇者「っしゃ、それならやってやろうじゃねぇか」

589: 2014/09/23(火) 16:31:34 ID:/YOpDl8c
戦士「商人、ほら掴まれ」

商人「ひいい、消える……」

勇者「ここにいればワープされんのか?」

戦士「おう」

勇者「おっ、消えるぞ、コレが移動トラップか」

戦士(時間的には、まあ、間に合うか?)

……

魔王『ぐはは、ようやく来たようだな、人間どもよ』

商人「……」

勇者「どーする」

戦士「うーん、まさかラスボス直通トラップとは」

590: 2014/09/23(火) 16:34:50 ID:/YOpDl8c
魔王『どうやら外側で暴れまわっておったようだな』

魔王『だが、そのような真似はもはや無駄なこと』

魔王『この場で貴様らをなぶり頃してくれる!』

戦士「タイム」

魔王『む?』

戦士「どうするか」

勇者「出直そうぜ、まだ準備出来てないんだろ?」

戦士「直通があるならいいことなんだけどなー」

商人「ああああの、ぼ、ボク、お役に立てるか分かりませんけど!」

商人「あ、そうだ」

商人「……くっ、禍々しい気を感じます! これが魔王の闇の力なんですね!」

戦士「お、そうだな」

魔王『おい貴様ら』

591: 2014/09/23(火) 16:40:22 ID:/YOpDl8c
勇者「お邪魔しました。それじゃ」ギィギィ

商人「ゆ、勇者さん! 扉が開きません!」

戦士「そうだな」

魔王『くっくっく、知らなかったのか。ここには結界が張ってある』

魔王『魔王からは逃げられないのだ!』

戦士「知ってる知ってる」

商人「どうするんですか!」

戦士「そりゃ戦うしかないだろうなぁ」

勇者「えっ、マジで?」

魔王『往生際の悪い連中だ、では、さらに絶望を与えてやることにしよう!』

魔王『いでよ、氏者の戦士よ!』

女武闘家?「……」

592: 2014/09/23(火) 16:44:08 ID:/YOpDl8c
勇者「氏者の戦士だと」

商人「え、誰ですかあのひと」

戦士「うーん、俺が前に来た時の仲間かなー」

商人「えっ」

魔王『ほう、知り合いがおったか。ならば分かるだろう、この者は強い』

戦士「ゾンビ化してるって感じかな?」

氏闘家「ちぇいやー!!」ゲシッ

戦士「ぐはっ!」

商人「ゆ、勇者さん!」

勇者「げげっ、早いぞあいつ」

魔王『ふははは、生前よりも闇の力で強化してあるぞ!』

593: 2014/09/23(火) 16:49:57 ID:/YOpDl8c
戦士「げほっ、ちょっと、タイムが終わってねぇのに……」

氏闘家「ふっ」

勇者「撃っちまうか!」チャキ

戦士「氏んでるから、効き目薄いぞ」

戦士「しかし、なるほど、そういうことか」

商人「な、何か分かったんですか?」

戦士「これだけやられたい放題でも、余裕を見せていた理由だ」

戦士「それから、こんな魔王直通トラップなんぞ作った理由もな」

魔王『どうやら気づいたようだな』

魔王『そう、わしは氏者を操り、自らの戦士とすることが可能なのだ!』

魔王『貴様らがいくら我が軍を削り取ろうとも、氏者の軍として再編することが出来る』

魔王『そして貴様ら自身もな!』

商人「な、なんだってー!」

594: 2014/09/23(火) 16:53:28 ID:/YOpDl8c
勇者「そういや、ドラゴンゾンビとかいたなぁ」

戦士「あれも元々は討伐された竜の氏骸に術か何かをかけて復活させたものだろう」

商人「えーと、それじゃ、ダメじゃないですか!」

戦士「うん、まずいなー」

勇者「俺ら結構倒してきたけど」

戦士「アレもゾンビ化して復活する」

商人「そんな……!」

勇者「サキュバスとかも?」

戦士「ゾンビ化するんじゃね?」

勇者「ちょっと萎えるわ」

魔王『これが絶望というものだ!』

595: 2014/09/23(火) 16:59:29 ID:/YOpDl8c
戦士「魔王に直通のトラップを仕掛けた理由のひとつは、単純に戦力分散することがあるだろうな」

戦士「そして何より最強の魔物は魔王自身だ」

戦士「とりわけ、世界中から集められた屈強な魔王討伐隊をまとめて氏者に変えれば、あとは人間の再侵攻など容易い」

戦士「だから、俺達の動きもある程度は放置していたのかな?」

魔王『そこまで見抜くとは、なるほど、面白い敵もいたものよ』

商人「めっちゃ褒められてますよ!」

勇者「そこじゃない」

魔王『どうだ、貴様、魔王軍につかぬか』

魔王『今なら、この女武闘家、貴様の知り合いなのだろう?』

魔王『慰みにつけてやってもよいぞ?』

氏闘家「……」

戦士「んー、パス」

596: 2014/09/23(火) 17:06:05 ID:/YOpDl8c
魔王『ほう、やはり人間の倫理観というやつか……』

戦士「俺は元旅芸人の遊び人なんだ」

魔王『は?』

戦士「つまり、商売上なんかで合意が得られない娘とはしない、これ基本ね」

商人「合意があればするんですか……」

戦士「まあ、あと、ほら、武闘家さんはちょっと足りないんだな」

氏闘家「ふんっ!」めぎゃっ!!

戦士「ごほおっ!!」

商人「ああ! 勇者さんアホ!」

戦士「ひ、久しぶりに受けたぜ……膝ツッコミは……」

勇者「やっぱ冒険者って暴力入るよなー」

598: 2014/09/23(火) 17:09:34 ID:/YOpDl8c
魔王『下らぬ冗談で無駄な命を散らすことはあるまい』

戦士「冗談で女が抱けるかよ」

氏闘家「コォォォォ……」

商人「な、なんか大技繰り出してきますよ!」

戦士「しょうがないな、商人、アレだせ、アレ」

商人「あれ、あれですね!」

勇者「単語言ってやれよ」

商人「はいっ、光のオーブ!」ピカー

氏闘家「ぎゃあああああああっ!」

魔王『ぐ、なにー!!』

商人「や、やった!」

599: 2014/09/23(火) 17:17:45 ID:/YOpDl8c
商人「これはボク、役に立ったんじゃないですかね!?」

魔王『や、闇の力が払われてしまう……』

勇者「よし、怯んでいる隙に!」ガバッ

戦士「あ、ちょっと工口い」

勇者「お前、言ってないで手伝えよ」

氏闘家「むぐぐ」

武闘家のゾンビを縛り上げた!

勇者「よし、あとは魔王をやるだけだ!」

魔王『ぐっ、このままでは……等と言うとでも思っていたのか』

商人「えっ」

魔王『ゾンビよ、そのオーブを奪い取れ!』

氏闘家「はっ!」ブチィ

商人「うぎゃあ!」

勇者「あっ! せっかく縛り上げたのに!」

600: 2014/09/23(火) 17:22:38 ID:/YOpDl8c
魔王『くっくっく、この光のオーブ……ん、光のオーブ?』

魔王『前はなんかもっと違うアイテムだったような……まあいい』

魔王『とにかく、闇の力を弱めるために、このようなアイテムに頼ることは分かっておった』

魔王『逆に、このオーブを使って! 闇の力を増幅させる魔法陣を作り上げておいたのだッ!』

商人「ええっ!」

魔王『前回の侵攻では苦汁をなめさせられたからな……』

戦士「まずい、猟師頼む」

勇者「おうっ!」ダーン!

氏闘家「はあっ!」

勇者「やべ、阻まれた」

魔王『闇の力を増幅すれば、我が軍の魔物は再び力を取り戻す』

魔王『そうなれば、周りをうろついている者共もひとたまりもあるまい。わしの勝ちよ!』

601: 2014/09/23(火) 17:30:21 ID:/YOpDl8c
魔王『さあ闇の力よ、今この光の力を転換して、膨れ上がるがよい』

勇者「なんか知らんが、ヤバいぞ!」

商人「あ、あの……」

戦士「なんだ?」

商人「その、そもそも勝ち負けで言ったらですね」

商人「ボクら、そんな魔王と面と向かって戦う力ないじゃないですか」

戦士「そうだな」

商人「最初から勝ち目なんてなかったんじゃ……?」

戦士「いいところに気がついたな」

商人「ほぎゃあああああああああ!? 今更あああああああっ!?」

戦士「そもそも魔王と直接対決してないのに、ゾンビ化した人間にボコボコに振り回されている時点でなぁ」

602: 2014/09/23(火) 17:35:58 ID:/YOpDl8c
戦士「多分その、魔王もちょっとハードル上げ過ぎちゃったんだよ」

戦士「俺が前に来た時の勇者はそりゃ強かったし、それなりにいろんな手は使ったから追い詰められた」

戦士「だから魔王側は、最初から必勝の罠を張って待ってたわけだ」

勇者「おい、そういう分析とか今はいいよ」

勇者「どうすりゃ勝てるんだ?」

魔王『今更仲間割れか! もはや貴様らに勝つ見込みはないぞ!』

魔王『闇の力を増幅すれば、氏なずとも貴様らを操ることも出来るだろう!』

勇者「くそっ、体が重くなってきた!」

商人「ゆ、勇者さん……」

戦士「おう」

商人「なにか、手があるんでしょ? 早く、早く……」

戦士「俺にはない」

603: 2014/09/23(火) 17:42:12 ID:/YOpDl8c
『エルフです』チュパチュパ


魔王『!?』

戦士「俺以外ならある」

エルフ『エルフです。こちら魔法使いチームです』チュパチュパ

魔王『ど、どこにいる!』

エルフ『これは風の精霊を使った伝達方法で、私が舐めているのは妖精飴のオレンジ味です』チュパチュパ

戦士「要点だけ頼む」

エルフ『魔法陣の書き換えに成功しました』

エルフ『闇の結界は光の結界に変更されます』

エルフ『引き続き、次の行動に移ります』

エルフ『……飴が尽きたの……』

魔王『ぐわああああああああああああ!!』

604: 2014/09/23(火) 17:48:07 ID:/YOpDl8c
戦士「商人、ゾンビに聖水をかけまくってくれ!」

商人「は、はい!」

戦士「猟師くん、とりあえず足を狙え」

勇者「おうっ!」ズダダダ!!

魔王『ぐぬぬぬっ!』

戦士「よーし、ここまで弱らせれば勝てちゃうんじゃないかなー」

魔王『貴様、最初からこれを狙っておったな!?』

戦士「狙うも何も、なんでわざわざ時間をかけて魔王をスルーしてきたと思ってるんだよ」

戦士「……待て、商人」

商人「は、はい!?」ビシャビシャー

戦士「武闘家さんは俺が葬っとくよ」

商人「は、はい!」

605: 2014/09/23(火) 17:54:38 ID:/YOpDl8c
戦士「武闘家さん、悪いんだけど、眠ってくれや」

氏闘家「……ふっ」ニヤ

戦士「ん」

戦士はゾンビの頭を十字に斬り砕いた!

戦士「これでよし」


勇者「おおい!」ダーン! ダーン!

勇者「効いてんのかこれ!」

商人「えーと、えーと、ぼ、ボクはどうしましょう?」

戦士「光の結界とやらで怯んでいる隙にありったけ叩き込んでおけ」

勇者「いいけどよ

606: 2014/09/23(火) 17:58:52 ID:/YOpDl8c
魔王『ぐぐぐ、おのれ……』

魔王『貴様ら、容赦せんぞ……』

戦士「お、来るぞ。第二形態」

勇者「なんで知ってんだよ。って、知ってて当然か」

戦士「まあな」

魔王『このような醜い姿を、ここでもう一度晒すことになるとはな……』

商人「い、今のうちに攻撃しておいた方がいいんじゃないですかね!?」

戦士「いや、第二形態の方が魔法が効くんだ」

商人「な、なるほど!」

勇者「そうか……」

戦士「うん」

勇者「魔法使い呼べよ」

607: 2014/09/23(火) 18:04:52 ID:/YOpDl8c
魔王『こうなっては容赦できんぞ!』

商人「でかいっすね」

勇者「うん、でかい」

戦士「あいつ、容赦せんぞって言った後に、容赦できんぞって言ったぞ」

商人「悪役が言ってみたいセリフの二パターンですね」

勇者「おい、落ち着いている場合か」

戦士「決定力不足って言ったぞ」

商人「き、騎士様を待たないと」

勇者「おいおい、待てよ。ここに剣も魔法も銃も使える勇者がいるだろ?」

商人「全部中途半端なやつですよね」

勇者「おいー!? こいつの教育どうなってんだ?」

魔王『ごちゃごちゃと……!』

608: 2014/09/23(火) 18:12:12 ID:/YOpDl8c
魔王『極大の火炎呪文で灰すら残さず焼きつくしてくれるわっ!』

魔王『くらえい!』


魔王は火炎呪文を唱えた!


戦士「魔法反射呪文」ピカー


戦士は火炎呪文を跳ね返した!


魔王『ぐわあああああああああああああああああ!!!』ドゴォン!!

勇者「は?」

戦士「極大爆発呪文」

魔王『ぬわあああああああああああああああああ!!!』グバァン!!

勇者「おい」

戦士「魔法が効くからな」

勇者「そこじゃない」

609: 2014/09/23(火) 18:17:30 ID:/YOpDl8c
商人「勇者さんは元賢者だったんですよ」

商人「遊び人を極めて賢者になって、それでまた戦士に転職して」

勇者「初耳なんだが」

戦士「はっはっは、転職しても呪文は覚えているからな!」

勇者「だったらさっき使えよ、さっき」

戦士「戦士職だと使える魔法に限界があってな」

勇者「お前最初から狙ってたのか?」

戦士「極大氷結呪文」

魔王『うごお!! か、体が……固められて……』カキーン!!

戦士「魔王に報告されたらバレるじゃん」

戦士「それにほら、やっぱり第二形態じゃないと」

魔王『こ、この悪質なやり口……やはり、あの時の……!』

戦士「あー、エルフ、聞こえるかー?」

610: 2014/09/23(火) 18:22:59 ID:/YOpDl8c
エルフ『飴がないぃぃぃぃ!!!』

戦士「うるさいぞ」

エルフ『禁断症状が出て切ないの……』

戦士「動きを固めた。魔法使いに伝えてくれ」

エルフ『了解した』

勇者「何する気だ」

戦士「この程度で魔王がやられるわけがない」

戦士「そうだろ?」

魔王『ぐぐぐ!』

戦士「よしみんな、火線を集中させるために、補助の魔法陣を書き足すぞ」

勇者「補助の魔法陣って……」

戦士「魔法使いが光の魔法で魔王を攻撃する。そのための巨大な魔法陣を、魔王城を中心にして描いてもらっていた」

611: 2014/09/23(火) 18:30:57 ID:/YOpDl8c
ガリガリ……

商人「こうですか?」

戦士「そうそう」

勇者「冷凍マグロで大輸送」カチーン!

戦士「よし、そのまま冷却呪文で固めといてくれ」

魔王『貴様ら……貴様ら……』

戦士「すまんな。前回やりあった時に、やっぱりマトモに戦ったら勝てないと思ったんだよ」

戦士「こう言っちゃなんだが、前回やった時のパーティは多分ここにいるどんな連中よりも格上だったと思う」

戦士「それでも勝てなかったし、殺された」

魔王『ぐっ!!』

612: 2014/09/23(火) 18:43:12 ID:/YOpDl8c
戦士「だから、低レベルでも勝てるように、いろいろと策を講じたわけだ」

戦士「何しろ、ほれ、俺たちゃ勇者ではなくてだな、勇者のふりをしているに過ぎんのだ」

魔王『だからなんだと言うのだ……!』

戦士「マトモに戦う必要がないということだ」

戦士「英雄じみた思想も力も持ってない」

戦士「ただせっかくのチャンスだから、俺も復讐してやろうと思ってね」

商人「ゆ……戦士さん」

戦士「くたばれ。大嫌いなんだよてめー」

戦士「よくも俺の仲間をぶっ頃して、あまつさえゾンビになんぞ仕立ててくれやがったなぁ」

魔王『……そ、その負の心、闇の力こそ相応しい』

戦士「その通りだ。だから倒すのは俺じゃなくて、他の連中の魔法であり、剣なんだな」

戦士「頼む、エルフ、魔法使い」

614: 2014/09/23(火) 18:45:01 ID:/YOpDl8c
光が走り、魔王を刺し貫いた!

615: 2014/09/23(火) 18:50:55 ID:/YOpDl8c
……――

勇者「終わったか?」

戦士「んー」

商人「あ、あの、勇者さん」

戦士「……」

商人「勇者さん!」

戦士「ん? どうした?」

商人「いやその」

戦士「危ない!」バッ

商人「おっと!?」

魔王『はぁ、はぁ、くくく、ここまで、わしを追い詰めるとはな……』ギュゥゥゥ

戦士「ぐふっ」

商人「ちょ、勇者さん!」

勇者「おいバカ、握りつぶされるぞ!」

616: 2014/09/23(火) 18:55:36 ID:/YOpDl8c
戦士「こ、こうも、ありがちな展開されると、弱るな」

魔王『ぐふふ、そう喜ぶな……わしは貴様に、闇の力を引き継ごうと思う』

戦士「ほ、ほう」

魔王『このような負の感情の持ち主、憎悪、の持ち主こそ、次代の魔王になるべきだ』

戦士「そ、それよりもよ」


商人「ど、どうしましょう!?」

勇者「どうするったって、どうなるの? あいつが魔王になるの?」

勇者「今度は魔王のふりかよ?」

商人「そうじゃなくって!」


魔王『恐れることはないぞ、憎悪に塗れれば……』グググ

戦士「いや、かばう練習、しといて、よかったなって」

戦士「やっぱ、戦士は、正解だった」

617: 2014/09/23(火) 18:58:34 ID:/YOpDl8c
バターン!!

女騎士「勇者殿ー!!」

偽勇者「お、なんかマズイ状況だぞ」

女騎士「間に合ったか!! おのれ魔王!!」

商人「あ、あの騎士様、ちょっとですね」

女騎士「喰らえ必殺剣! 雷光十字剣(ライトニング・エクスレイター)!!!」ズババッ!!!

魔王『ぐぎゃああああああああああ……』

商人「」

勇者「倒しちまった」

戦士「おうふっ」ドサッ

女騎士「勇者殿ー!!」

618: 2014/09/23(火) 19:03:19 ID:/YOpDl8c
戦士「ナイスタイミングだ」

女騎士「勇者殿、最後の一番に間に合わずっ……!」

戦士「いや、間に合ったよ」

商人「……エクスレイター」

女騎士「はっ」

勇者「ライトニング、なんだって?」

商人「エクス、レイター」

女騎士「こ、これはな、違うぞ」

戦士「めっちゃ練習したんだろうなぁ」

女騎士「ち、ちが……」

619: 2014/09/23(火) 19:06:05 ID:/YOpDl8c
偽勇者「おい、それよりもよ、俺が討伐宣言出していいのか?」

戦士「ん? ああ、そうだな」

戦士「今回はお前が勇者だ。ちゃんと勇者のふりしやがれ」

偽勇者「がははは、よし、それなら、大勢の前で宣言してくるぜ!」ダッ

僧侶「あ、待ってください!」

戦士「ん」

商人「だ、大丈夫ですか?」

戦士「ヘーキ」

女騎士「しかし、ボロボロではないかっ!」

戦士「そりゃ命をかけるつもりだったからな」

勇者「ま、なんにせよ、これで終わったんだ。帰ろうぜ」

620: 2014/09/23(火) 19:09:04 ID:/YOpDl8c
虎『待て待て』

勇者「あ?」

虎『おらっ、くたばれ!』


虎の魔物が襲いかかってきた! 猟師が吹き飛んだ!
連続攻撃! 戦士の頭を踏みつけた!


勇者「うおおおお……誰だよ!」

虎『よっしゃ動くな! 全員だ』

戦士「いてて」

商人「ちょ、いまさら何なんですか……」

女騎士「貴様、北の国にいた!」

621: 2014/09/23(火) 19:12:20 ID:/YOpDl8c
虎『へっへっへ、魔王様を倒すとはさすがだな』

虎『しかし、あいにくとお前らはボロボロ、俺はピンピンしてやがる』

女騎士「貴様を倒す力、残ってないと思うか!」

虎『おっと、動くんじゃねぇ、こいつの頭を踏み砕くぞ』

女騎士「くっ!」

虎『さっきも魔王様が言ってたろう』

虎『闇の力ってのは引き継がれるもんなのだ』

虎『だから、そいつを俺がいただく。浄化だのなんだのされる前にな』

虎『そうすりゃ俺が魔王軍の中でナンバーワンだ』

虎『魔界に帰って、自軍を旗揚げできる』

623: 2014/09/23(火) 19:20:11 ID:/YOpDl8c
虎『よーく考えてみりゃ、こいつには何度もやられちまったわけだし、ここで復讐しておくのも悪くねぇ』グリグリ

戦士「……」

虎『が、アレだ。多勢に無勢って言葉もある』

虎『闇の力をいただいた時点で、おとなしく帰ってやってもいい』

虎『だから動くんじゃねぇぞ!!』

戦士「お前知ってる?」

虎『ああ?』

戦士「いや、魔力が少なくても簡単に敵を壊せる呪文があってな」

624: 2014/09/23(火) 19:21:55 ID:/YOpDl8c
戦士「自爆呪文なんだけどな」

虎『ちょ……!』

女騎士「ゆ、勇者殿!」

勇者「おいバカ」

商人「あ」


戦士は自爆呪文を唱えた!

628: 2014/09/23(火) 21:24:07 ID:/YOpDl8c
――
遊び人『ははあ、あなたがあの勇者様でございましたか!』

勇者『ああ、そうだけど?』

遊び人『では不肖ワタクシ、詩吟も少々嗜んでおりまして、ぜひ助けていただいたお礼に一曲』

女武闘家『いらないいらない』

男僧侶『急ぎの旅です。道中お気をつけて行かれなされ』

遊び人『そんなことを言わずに、勇者様ご一行ともなれば、どこでも歓待されますよ!』

遊び人『芸人で御座いますので、宣伝だけなら大の得意ってもんです』

女武闘家『ついてくる気かい?』

勇者『あー、俺らはあまり村人に迷惑をかけたくないんだ』

遊び人『なんと清廉な心意気!』

女武闘家『うるさいね』ケリッ

遊び人『あいて』

630: 2014/09/23(火) 21:27:59 ID:/YOpDl8c
勇者『もしかして、アレか? 身寄りがないのか?』

遊び人『まあ、旅芸人ですので、空の下はどこでも身寄りでございまして』

男僧侶『なんと! おかわいそうに』

女武闘家『こらこら、そんなかわいそうなやつは世の中いくらでもいるさ!』

勇者『そうだけど、まあ、次の町くらいまでならいいだろう』

遊び人『ありがたき幸せ!』

女武闘家『その芝居がかってるの、どうにかならないのかい』

勇者『ちょっと僧侶のふりをしてみてくれよ』

遊び人『神のお導きに感謝します』サッ

勇者『ははは、うまいうまい』

631: 2014/09/23(火) 21:30:41 ID:/YOpDl8c
男僧侶『神の教えはふりでできるものではありませんぞ』

遊び人『しかしながら、習いよりも慣れと申しましてな』

遊び人『心が形をつくるように、形もまた心をつくるのです』

遊び人『神の愛を信じねば、とても僧侶のふりなどできませんぞ』

男僧侶『むう』

勇者『わはは! こいつは面白いや』

女武闘家『ふっ』

勇者『よっしゃ、とりあえず、次の町までな』

遊び人『ありがとうございます!』

632: 2014/09/23(火) 21:33:58 ID:/YOpDl8c
遊び人『あ、次の町までは、こっちの道を通るのがまったく近いですよ!』

勇者『え? マジ?』

遊び人『これでも旅芸人でして、このへんの行き交いは慣れたものでございます』サッ

女武闘家『おい、丁寧に言いながら尻を触るな』

遊び人『芸人の真髄、いい尻は素直にさわれ』

女武闘家『おらァ!』ゲシッ

遊び人『ぐはっ!』

男僧侶『嘆かわしい……』

勇者『まあ、そう怒るなよ』

男僧侶『まあ、心根がまっすぐすぎるのでしょうな。彼は』

男僧侶『真剣に役柄に入るというか』

633: 2014/09/23(火) 21:37:02 ID:/YOpDl8c
……
遊び人『おお~、竜を倒した勇気ある~♪』

女武闘家『はあ、はあ』

勇者『ひい、お前、戦った後でよく歌が作れるなぁ』

男僧侶『傷を癒やしますぞ』

遊び人『あ、ワタクシは結構です。もう女の子のことを考えると傷が癒えてきまして』

勇者『馬鹿野郎、戦闘で後衛だからって気にするな』

女武闘家『そうそう、あんたにゃ期待してないんだから』

遊び人『そういうわけにも参りません』

634: 2014/09/23(火) 21:39:30 ID:/YOpDl8c
男僧侶『遊び人どの、神は平等に信じる者を愛してくださいます』

男僧侶『お分かりかな?』

遊び人『それは僧侶様が平等だからでございますよ』

男僧侶『い、いや、それこそが神の御心なのです』

勇者『ははは、まあ、元気があるならいいけどよ。回復くらいちゃんと受けろ』

勇者『途中で倒れられても困る』

遊び人『まったく、芸人とはかくも不便なものか』

女武闘家『だったら魔物討伐なんかにくっついてくるんじゃないよ、ったく』グリグリ

遊び人『あいたた』

635: 2014/09/23(火) 21:42:58 ID:/YOpDl8c
遊び人『ふむ、ではここでお役にたつこと一つ』

勇者『何だ?』

遊び人『あのような大きな魔物で、知恵のある種は、逆に言葉に引っ掛かるのでございます』

女武闘家『言葉……?』

遊び人『そう、ワタクシのちょっとした一発ギャグに受けて心を乱されたでしょう』

勇者『あれは俺も引っ掛かったのだが……』

遊び人『つまり、それだけ話を聞いてしまう、耳に入ってしまうということなのです』

男僧侶『なるほど、魔物も説教して調伏せよと』

女武闘家『それは絶対違う!』

636: 2014/09/23(火) 21:45:57 ID:/YOpDl8c
遊び人『ふっふっふ、他にもいろんな魔物と出会ってきましたから!』

遊び人『あの魔物は火に弱い、その魔物は木に引っ掛かる~♪』

勇者『お、いいねぇ』

女武闘家『なるほど、似た魔物には攻略のヒントになるかもしれないってことかい』

遊び人『さようさよう!』

勇者『よし、それじゃ行こうぜ魔王討伐』

「おお!」

637: 2014/09/23(火) 21:49:15 ID:/YOpDl8c
……
賢者『とまあ、こういうわけですよ』

女武闘家『信じられない……あんたみたいなのが賢者だって?』

賢者『はっはっは、どうですか』サッ

女武闘家『尻触るな!』ゴリッ

賢者『あいて!』

勇者『尻は変わらないのか……』

賢者『転職してもかつて覚えていたことは役に立つようですね』

賢者『魔物の知識、弱点、総動員して戦いますよ!』

男僧侶『これは頼もしい、よろしくお願いしますぞ』

賢者『ええ、これからも頑張りましょう!』

女武闘家『尻は触るのに好青年になっているのがムカつく』

638: 2014/09/23(火) 21:53:39 ID:/YOpDl8c
……
賢者『一歩引きましょう! トラップが仕掛けられているおそれがある』

女武闘家『マジ?』

勇者『なんでだ?』

賢者『悪魔族は知恵が周ります。あえて誘いこむように建物に逃げ込んだのはこのためでしょう』

男僧侶『そういうわけでしたか』

賢者『しかも、おそらくは人質がいる可能性がある……』

賢者『つまりここを攻略するには……』ブツブツ

女武闘家『うーん』

勇者『どうしたよ』

639: 2014/09/23(火) 21:57:11 ID:/YOpDl8c
女武闘家『いや、何のかんの言って、あいつが役に立ってるのがね』

勇者『羨ましいか』

女武闘家『ま、まさか』

勇者『なに、俺達はもう四人全員揃って大きな力を発揮できる』

勇者『そもそも武闘家がいなくちゃ切り込み出来ないんだぜ』

女武闘家『分かってるよ! ただ、出会いからすると感慨深いなぁって』

男僧侶『私も思います。ただ、今も彼の心は必氏そのもの』

女武闘家『必氏ィ!?』

男僧侶『そう、かつて、おそらくかつて居場所を奪われ、放浪していたのでしょう』

男僧侶『今もまた、奪われまいと演じている』

640: 2014/09/23(火) 21:59:12 ID:/YOpDl8c
賢者『よし、これがいいでしょう!』

男僧侶『ですが、そう、形が心をつくるのでしょう?』

賢者『は?』

勇者『うん、そうだな。俺達は仲間だ』

勇者『仲間だと思ってれば、それが信頼を生む、そういうことじゃないか?』

賢者『は、はあ』

女武闘家『けっ、くっさいの』

賢者『ま、まあ、その話はともかく、よろしいですか?』

勇者『おう、やろうぜ!』

641: 2014/09/23(火) 22:03:12 ID:/YOpDl8c
……
賢者『うっ、ぐっ』

勇者『賢者……』

賢者『ちくしょう! ちくしょう!』

勇者『泣いてんじゃねぇよ、バカ』

賢者『だって! 闇の結界を……ちゃんと打ち払ったんだ!』

賢者『魔王の弱点だって、必氏になって!』

勇者『気にするな……』

勇者『力が、及ばなかっただけだ……』

賢者『違う! 俺が、俺の知恵が足りなかったんだ!』

??『俺は賢者なんかじゃねぇよ! 賢者のふりしてただけだ!』

642: 2014/09/23(火) 22:06:31 ID:/YOpDl8c
勇者『そんなこと言うなよ……』

??『だってよう! 武闘家さんと僧侶さんが!』

勇者『あいつらは、未来を、託してくれただけだ』

勇者『お前には、知識がある、歌がある、魔物を倒す術もあるし、それを伝えることもできる……』

??『で、出来ねぇよ。あんたがいてくれたから、俺は!』

勇者『大丈夫、大丈夫だ』

??『勇者がいなかったら!』

勇者『勇者ってのはな、氏なないんだ……』

勇者『精霊の、加護を受けて、また現れる』

643: 2014/09/23(火) 22:09:50 ID:/YOpDl8c
??『なんだそりゃ、転生するってことなのかよ』

勇者『……』

??『おい……おい、しっかりしてくれ』

勇者『お前、そんな顔も出来るんだな』

??『え?』

勇者『ははは、初めて見たよ』

勇者『良かった、それなら……』

勇者『ちゃんと、泣けるなら……』

??『おい、待ってくれ』

待ってくれ

氏なないでくれ

勇者は氏なないんだろ

やめてくれ

645: 2014/09/23(火) 22:13:00 ID:/YOpDl8c
……
神官『これでよろしいか』

戦士『ん、ああ。まーいいんじゃねぇのか』

神官『く、口調がまた随分と変わられたな』

戦士『おう、戦士らしく振る舞わないとな!』

戦士『いざって時に役に立たねぇ』

神官『……かつて覚えられたことは、あなたの血肉になっているだろう』

神官『転職してもなお、魔王の討伐を目指されるのか』

戦士『さーて、どうかなぁ。気ままな戦士だからな』

神官『ふむう』

646: 2014/09/23(火) 22:15:38 ID:/YOpDl8c
神官『知っているぞ。あなたがなぜ戦士を選ばれたのか』

戦士『うん?』

神官『お仲間をかばう力を身につけたかった、そうではないか』

戦士『さあなぁ。酒飲んで、女の子抱きたかったからだよ』

神官『……悪い知らせをお伝えしなくてはならないな』

戦士『なに?』

神官『あなたが戦士に転職を試みている間、南国で勇者が旅立ったそうだ』

戦士『なんだと?』

神官『だが、その彼は、今は消息が不明というか……』

戦士『……』

647: 2014/09/23(火) 22:18:40 ID:/YOpDl8c
戦士『勇者ってのは氏なないらしいぜ』

戦士『だから、本当の勇者なら、生きてんだろ』

神官『し、しかし』

戦士『あー、酒が飲みてぇなぁー』

戦士『それに戦士としてはレベルも下がっちまったしな』

戦士『運動のためにも適当に魔物を倒して慣らしておくか』

神官『戦士殿!』

戦士『なに、勇者がいなかろうと、魔王くらい倒せるかもしれない』

戦士『そうだな、魔王を倒す……勇者のふりでもすりゃあな』

648: 2014/09/23(火) 22:27:20 ID:/YOpDl8c
――
勇者『んごー』


商人『そ、そ、それで、どうなったんですか!』

戦士『どうって結局、魔王は倒せなかったのよ』

戦士『あわれ勇者一行は、命を落として消えました……てな感じよ』

商人『そんな……』

戦士『ただ、今回に関しては、だ。俺ぁ三つくらい部隊を作ることにした』

戦士『そうなりゃ、いくつか目を誤魔化して勝てる可能性が増えるってわけさ』

商人『そんなのどうでもいいですよ!』

戦士『どうでもいいか?』

商人『だ、だって、その時の……勇者さ、戦士さんがいたから、今につながっているんでしょう』

戦士『だから今のために命かけるのさ』

649: 2014/09/23(火) 22:32:26 ID:/YOpDl8c
戦士『大丈夫大丈夫。突撃するのは危険だが、お前は俺が守ってやっから』

商人『そ、そういうのは、いいです』

戦士『バカにすんな。そのために戦士になったんだよ』

商人『だって、あの魔王を倒しても、な、何が起きるか分からないですよ!』

商人『だから、勇者さんには、いてもらわなきゃ』

戦士『……』

戦士『魔物どもの攻略法なら、いよいよ本に書いてやった』

戦士『騎士や魔法使いに渡したアレが普及すれば、別に俺がいなくてもしばらくは対処できるさ』

戦士『勇者なんかいなくても……いや違うな』

650: 2014/09/23(火) 22:38:32 ID:/YOpDl8c
戦士『あいつ見てみろ、あいつ』

商人『はあ、えーと、猟師さん?』

戦士『勇者だ、一応、精霊の加護を受けてる』

商人『あ、ひょっとして! この人がその転生したという……』

戦士『いんや、違う。転生でも何でもねぇ』

戦士『本当に転生してたら俺が旅した勇者はもっと早くに氏んでなくちゃいけない』

戦士『あいつが勇者に目覚めた日も確認したが、何も関係なかった』

商人『はあ』

戦士『要するにな。勇者のふりして、立派に魔王を倒せば勇者なのよ』

商人『そんな無茶苦茶な……』

651: 2014/09/23(火) 22:42:15 ID:/YOpDl8c
戦士『まあ、あいつにはくそ度胸はあるよ。体力もある』

戦士『それに、魔法使いって人材ともつながりがあったしな』

商人『……』

戦士『それから。そうだな、俺と違って、勇者なんかに拘りがない』

戦士『俺なんか、捨てようと思ってもこのザマなんだもんよ』

商人『……』

戦士『なんかつまんねー話までしちまったな』ハハハ

商人『ボク、ひょっとして、迷惑でしたか』

商人『勇者のふりをしろ、だなんて』

戦士『そんなわけねーだろ』

652: 2014/09/23(火) 22:46:55 ID:/YOpDl8c
戦士『楽しかったよ。本当だぞ』

商人『それ、ふり、じゃないですよね』

戦士『ははは、そうだな……』



――

――――――

653: 2014/09/23(火) 23:17:36 ID:/YOpDl8c
――
商人「さあさ、お集まりの皆様! これぞ魔王を倒した証!」

商人「闇のオーブでございます!」

「マジか!」「よこせ、俺によこせ!」

商人「お待ちください、これを持っているということはすなわち~?」

商人「ボクは勇者の一行だったというわけで!」

「マジか!」「ぶっ頃して昇進だ!」

商人「え、え、あ、嘘?」

「闇のオーブさえありゃ、次期魔王になれるぞ!」「おら、ぶっ殺せ!」

商人「ひえええええ、騎士様ぁあああああああ!!」

女騎士「言わんこっちゃない……」

銃剣士「だから魔物相手にそんなモノ売ろうたって無茶なんだってよ」

654: 2014/09/23(火) 23:21:58 ID:/YOpDl8c
商人「だって、魔界に来たっていったって、やっぱり商魂がうずくじゃないですか!」ダダダッ

女騎士「冷静に考えてみよ」

女騎士「かつて侵略とはいえ、軍の首魁を倒した一行を、許す気分が魔物にあると思うか?」

銃剣士「ま、取引しようって方が無理なんだよ」

商人「ううう、逃げなくちゃ……」

女騎士「そもそも、我らは勇者……殿のかたき討ちに、大魔王を倒すべく潜入した部隊」

銃剣士「そういうこと、そういうこと」

商人「でもですよ、あらかじめ商売で根を張っておけば、有利に成るかもしれないじゃないですか?」

655: 2014/09/23(火) 23:25:38 ID:/YOpDl8c
商人「ね、戦士さん」

戦士「ああ、どうかなぁ」


商人「戦士さんまで……」

女騎士「戦士殿。また魔界の酒を買い込んで!」

戦士「騎士、よーく考えてみろ。金出せば人間でも飲ませてくれるんだぜ」

戦士「逆も然りだ」

商人「ですよね!」

銃剣士「でもお前の商売のやり方は下手くそだと思う」

商人「そんな」

女騎士「まったく、戦士殿は……」

656: 2014/09/23(火) 23:30:13 ID:/YOpDl8c
商人「ま、まあ、戦士さんはボクに頭が上がらないはずですからね! ね!」

戦士「自爆呪文の氏を逃れる道具を括りつけたくらいでなぁ」

商人「機転ってやつですよ! 商人の機転!」

戦士「一回こっきりなのに」

銃剣士「体で返すって言ってやれよ」

女騎士「か、かかか、体!?」

戦士「騎士もなんでついてきてんだ」

女騎士「き、騎士に褒美はいらぬ。必要なのは名誉のみ」

銃剣士「戦士に褒められたいってさ」

女騎士「猟師殿!」

銃剣士「まだ言うか、その名前で」

657: 2014/09/23(火) 23:34:21 ID:/YOpDl8c
戦士「まあ、なんでもいいぜ。人間界の方は勇者で商売は出来ないからな」

戦士「もうしばらく、大魔王を倒す勇者のふりをしてやるだけさ」

商人「そうそう、そういうことです!」

商人「あ、でも、戦士さんはもう、ボクの中では戦士さんなんで!」

戦士「はいはい」なでなで

商人「なんですか、もう!」


おわり

661: 2014/09/24(水) 00:16:05 ID:LEPZX2Co
読み直して理解した
乙!

662: 2014/09/24(水) 00:19:05 ID:7ieIIUsI
面白かったよ、乙でした
勇者は銃剣士で落ち着いたのかとおもったら、結局安定しないのなwww

引用: 戦士「あ? 勇者のふりをしろって?」商人「そうです」