1: 2014/08/03(日) 22:29:51 ID:vSx7lbNE
ジョジョの三部を一気読みした日の夜。

バトル系の夢を見た。

ニート「タロット大アルカナ22枚にまつわる能力が人々に授けられぇ?」

ニート「能力を得た者同士戦うとぉ?」

ニート「理由も事情もなく戦う運命ぇ?」

ニート「そして俺のカードは>>2だとぉ?」
ふらいんぐうぃっち(13) (週刊少年マガジンコミックス)
2: 2014/08/03(日) 22:41:32 ID:YTQ22Nb.
魔術師

3: 2014/08/03(日) 23:43:57 ID:vSx7lbNE
ニート「始まりとかなんとかを表すカードぉ」

ニート「強い意思、信頼、納得による創造ぉ?」

ニート「全てはタネのある手品。正当さこそパワーだとぉ」


  ヒュオオオオ...

ニート「唐突にデカい橋の上ぇ」

  ザッ...ザッ...

ニート「そして向こうから誰か来てるぅ」

ニート「見たとこ職業は>>4かねぇ?」

4: 2014/08/03(日) 23:46:23 ID:Vx/7IaCY
警察官

5: 2014/08/04(月) 00:47:02 ID:4ftn1akI
警察官「...............」ザッ

ニート「どうもぉ」

警察官「............あんたが敵か」ギロッ

ニート「そんなかんじぃ」ヘラヘラ

警察官「.........俺は警察官。カードは>>6」

警察官「...あんたは?」

ニート「魔術師のニートぉ」

6: 2014/08/04(月) 00:58:04 ID:ijSlNqWQ
正義

8: 2014/08/05(火) 15:02:25 ID:S175fZBs
警察官「...正義のカードはバランスを表す」

警察官「安定、公平、均等...正当性」

警察官「...正義の前で努力は報われ、騒乱は落ち着く」

ニート「なるぅ」

警察官「....正義の前にあんたはどう映るかな?ニートの...」

警察官「...........クソ底辺が」

ニート「あちゃぁ」

9: 2014/08/05(火) 15:02:56 ID:S175fZBs
   『天秤』

警察官「........」

ニート「その手の天秤はぁ?」

警察官「....ひとつ聞いておく。」

警察官「...あんた、俺を頃す気か?」

ニート「まぁ一応ぉ」

警察官「...」ニヤァ

10: 2014/08/05(火) 15:03:35 ID:S175fZBs
  ググッ

ニート「徐に天秤が傾きぃ」

  カタン

ニート「......んでぇ?」

警察官「...正義の審理は既に始まっている」

警察官「そして裁きも下っている」

ニート「.................」

ニート「................あらぁ?」ピクッ

警察官「...気づいたか?」

 ニートの体は割と普段から動きが重い!

 しかしこの時の重みはいつもと違っていた!

警察官「.....裁きは『重圧』。」

11: 2014/08/05(火) 15:04:12 ID:S175fZBs
  ガクッ

ニート「いつにも増して重ぇ~よ、ずっしりと重ぇ」ズシィ

警察官「...正義とは個人が持つべきものだ」

警察官「そして...俺の正義において...」

警察官「『殺人』などというものは...」

警察官「...何にも勝る重い罪だ...」

ニート「へぇ」

警察官「...罪には罰だ...あんたには...とりわけ重いやつを...」

ニート「大した罰だぁ。俺の脚じゃもう立てねぇ」

12: 2014/08/05(火) 15:04:45 ID:S175fZBs
警察官「...あんた、齢はいくつだ」

ニート「いくつでしょぉ~」

警察官「」イラッ

  カタン

ニート「うおぅ」ズシッ

警察官「...あんた、働く気は無いのか」

ニート「親の金が尽きたらねぇ」

警察官「」イラッ

  カタン

ニート「またぁ」ズシッ

13: 2014/08/05(火) 15:05:32 ID:S175fZBs
ニート「どんどん重くなってくもん、困っちゃうねぇ」

警察官「...口の減らないヤツだ」

ニート「お褒めの言葉をありがとぉ」

 ニートは考えていた。

 あの天秤の傾きを戻せば、この重圧も消えるのではないかと。

ニート「...魔術師の奇術ぅ」

14: 2014/08/05(火) 15:06:05 ID:S175fZBs
警察官「...アンタみたいな人間のクズは、質問すればしただけボロが出るはずだ」

警察官「...このまま重圧は増え続け...そして天秤の傾きが最大に達した時」

警察官「...あんたはつぶれる」

  ヒョコッ

ニート「怖い怖あぃ」

  ソォーッ

警察官「.........?」

  ソッ

警察官「........」チラッ

   『右手が二つ』

警察官「ハァ!?」ビクッ

15: 2014/08/05(火) 15:06:45 ID:S175fZBs
 天秤を持つ右手。

 警察官の服の袖口から、新たにもうひとつ右手が覗いていた。

ニート「気づいたぁ」

警察官「なっ...これはっ!」

ニート「しかしもはや遅いぃ」

 二つ目の右手は既に天秤に触れている。

警察官「...天秤の傾きを...無理矢理戻す気か」

ニート「ご名答ぉ」

  カタン

16: 2014/08/05(火) 15:07:26 ID:S175fZBs
警察官「.....っ」ズシッ

ニート「ほれ見ろぉ。軽くなったぜ」スクッ

警察官「」ニヤァ

  クワン クワン

 天秤が揺れる。

警察官「.....大罪を犯したな」

ニート「えぇ?」

警察官「.......正義に逆らうなど...」

警察官「最も分かりやすい罪じゃないか...?」

  カタン

 天秤が傾く。

 今までで一番大きく。

17: 2014/08/05(火) 15:08:06 ID:S175fZBs
ニート「まんまと罠にかかった的なぁ?」ズズズ

警察官「くくく...」ムクッ

  ズシィィィィッ

ニート「っ」グシャアッ

警察官「...あんたはもはや...はいずることも出来ん」

ニート「.........キツぅ」ズシィィッ

  ピシッ

 あまりの重みに、コンクリートの地面に亀裂が走る。

18: 2014/08/05(火) 15:09:00 ID:S175fZBs
警察官「.....魔術師の奇術..」

警察官「ほんのちょっぴり驚いたが...結局自分の首を絞めただけだったな」

ニート「.......くぅ...」

  ザッ

 警察官がニートの方へ近づく。

19: 2014/08/05(火) 15:09:34 ID:S175fZBs
警察官「....正義の逆...ってなんだと思う..?」ザッザッ

ニート「...............」

警察官「...悪か?ならば悪とは?...悪とはなんだ?」ザッザッ

警察官「...誰もが自分の正義のもとに動いている。悪を志して生きるものなどいない」ザッザッ

警察官「...だから..敗者の持つ正義が悪と呼ばれるんだ...」

ニート「........っ」

 警察官がニートを見下ろす。

警察官「あんたのような....」ザッ

警察官「地面に這いつくばる、敗者が悪なんだよっ!!」

ニート「...ってことはぁ」

   『小爆発』

20: 2014/08/05(火) 15:10:17 ID:S175fZBs
  ドンドンドンドンドンドン!!!

 二人を挟むように、無数の爆発が地面に二本の線を刻む。

警察官「!?」ギョッ

ニート「つまり悪ってのはぁ...」

  ビキビキビキビキッ

ニート「てめぇの方じゃねぇーかぁ!?」

   『大爆発』ドグォォォォォォォォォォォォォォン

21: 2014/08/05(火) 15:11:52 ID:S175fZBs
 二人のいる橋の下で起きた大爆発!

 それは橋を支える柱を砕き!

 小爆発で切り抜かれた区画を打ち上げた!!

警察官「うっ...ぬあぁぁぁああっ!!?」グワォォオン

ニート「派手な奇術だろぉ!?」グルンッ

 二人を乗せたまま、橋は空中でひっくり返る!

警察官「こいつっ!お、俺も道連れに!!?」

ニート「」ニヤッ

  カタン

22: 2014/08/05(火) 15:12:38 ID:S175fZBs
警察官「はっ...っ!」

ニート「俺が動かしたんじゃないしぃ?」

警察官「こ...これは!」ドドドド

警察官「てっ天秤がっ!ひっくり返ってっ!!」

  カタンコ

警察官「俺が下にいぃぃぃぃいいい!!!」

  ズッシィィィィィィィィィィィィィィン

ニート「自分の能力で落ちてけぇ...」

23: 2014/08/05(火) 15:13:15 ID:S175fZBs
警察官「なっ...」グンッ

ニート「俺が地面を這いつくばるだとぉ?」

警察官「あっ...がぁぁっ」ヒュッ

  ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

ニート「ならてめぇは地の下、海の底だぁ」

警察官「」ドボォンッ

ニート「敗者が悪とか言ったなぁ?ならもう天秤の傾きは変わらんなぁ」

  ブクブクブクブク

24: 2014/08/05(火) 15:13:53 ID:S175fZBs
 打ち上げられた橋はさらに回転!

 丸ごと一回転してもとの位置に収まった!!

ニート「...........」ドォォォォォォォォォン

ニート「...勝てる!と確信を持った時、魔術師の奇術に不可能はないしぃ?」スクッ

ニート「あんな自己中野郎なんざ敵じゃなかったなぁ」パッパッ

ニート「さっさと次行くかぁ」ザッ

 ニートは勝利を掴み、橋を先へ進む!

 しかし橋の先では次なる敵、>>がそれを迎え撃つ態勢であった!!

26: 2014/08/05(火) 15:18:14 ID:eFLAubLg

27: 2014/08/05(火) 15:28:40 ID:S175fZBs
ニート「勝負を決めるのはタロットの理解度ぉ」テクテク

ニート「自分の授かったカードの意味をどれだけ理解し、体現できるかで勝負が決まるぅ」テクテク

ニート「さっきの独善野郎は『正義』ってもんをさっぱり理解してなかった。雑魚敵もいいとこだぁ」テクテク

ニート「俺も『魔術師』しっかり研究してかねーとなぁ」ザッ

   『巨大な扉』


 ....の向こう。

爺「どうやら来たか...敵が」シィィィィン

爺「扉を開けさせはせんよ...お前はその場で」

爺「私の顔すらも見ない内に...」ドドドド

爺「我が『>>28』のカードがぶち頃す」スォォォォォッ

28: 2014/08/05(火) 15:40:58 ID:rRF5WV8I
吊るされた男

31: 2014/09/08(月) 23:05:32 ID:x25OcqmY
ニート「なんだぁこの門...バカでかい二枚の扉ぁ」

ニート「木製。重そうだがぁ...」チラッ

ニート「門自体がこっちに傾いてる。開ける分には力は要らなさそうだなぁ」


爺「...」ゴトッ

爺「覚悟を決めねばならない」ギュゥゥッ

  ブシュッ

爺「勝利にはそれが必要なのだから...な」ブッブシュッ

32: 2014/09/08(月) 23:06:04 ID:x25OcqmY
ニート「んっ...んっ」グッグッ

ニート「開かないなぁ...錠か何かかかってんのか」フゥ

ニート「どーおすっかなぁ...こっちには何も無いし。向こうに誰か...」

      ドガァァンッ!!!!

ニート「....」ビリビリビリ

ニート「....なんだぁー?」チラッ

 ニートが見上げた先には、扉を突き破り飛び出す...

   『槍穂』

33: 2014/09/08(月) 23:06:51 ID:x25OcqmY
爺「高さが足りなかったか」ゴトン

爺「投げる力が足りなかった。すなわちそれは...」グッ

爺「痛みが足りなかった...ということ」ブシュゥッ

爺「今度はしくじらん....」ググッ

爺「ふんぬぅっ!!!」ブンッ

  シュゴォーッ

34: 2014/09/08(月) 23:08:13 ID:x25OcqmY
ニート「これは....まさか新手の敵かぁ」

ニート「ならすぐに次の攻撃がぁ...」

  ヒュッ

ニート「きたぁっ!」バッ

  ズガンッ!!

35: 2014/09/08(月) 23:09:10 ID:x25OcqmY
 ニートが間一髪避けたそれは投槍。

 それも相当重いもののようで、石の地面を砕き刺さっていた。

ニート「向こうから、扉を飛び越えるように投げられたわけかぁ」

ニート「しかしなんつー威力だ...当たってたら今頃ぐちゃみそだなぁ」

   『投槍』

ニート「だがよ、それより気になるのが...なんだこの槍ぃ」

ニート「柄にいくつもトゲがついてて、まるでバラの茎じゃねーかぁ」

36: 2014/09/08(月) 23:10:16 ID:x25OcqmY
  ヒュッ

ニート「また来たぁっ!」バッ

  ズガンッ!!          パタタッ

ニート「ん?今何かぁ...」

 飛んできた槍から地面に飛散した液体。

ニート「こりゃ...血じゃねーのかぁ?」

ニート「見れば槍の柄も血まみれだぁ」

ニート「ってことは...まさか、敵はこの槍を手で力いっぱい握り締めて投げたってのかぁ?」

ニート「バカな!そんなんで投げられるわけぇ....」

  ヒュッ   ヒュッ

37: 2014/09/08(月) 23:11:27 ID:x25OcqmY
  ズガズガンッ!!

爺「手応えがないな」ボタボタ

爺「槍を投げるほど手の傷は増えていく...だがしかし!」ギュッ

爺「この流した血こそ!私を導いてくれる!信じられる確かな証!」ブシュッ

爺「躊躇ってはならない!次こそ仕留めるっ!!」ブンッ


ニート「くそぉっ!!」ズガンッ!!

ニート「このまんまじゃやられる一方だ!こっちから仕掛ける必要があるぅ!!」ザッ

ニート「....魔術師の奇術ぅ」スォォッ

 言うとニートはどこからともなく引き出す。

   『ロープ』

38: 2014/09/08(月) 23:12:41 ID:x25OcqmY
ニート「この槍を使わせてもらうぜぇ」ザッ

ニート「トゲのついた柄じゃ握れねぇ!だから俺は握らねぇ!!」グルッ ギュッ

 ロープを槍の柄へ結びつけた。

ニート「よぉしぃ...」ズゴッ

ニート「それそれそぉれぇ」グルングルン

ニート「ほいっとぉ!!」ブンッ

 ロープを掴み槍を振り回して勢いをつけると、槍を上空へ放り投げた!

39: 2014/09/08(月) 23:13:16 ID:x25OcqmY
  ズガシィッ!!

爺「なんだ?」

ニート「よし...引っかかったぜぇ」グッグッ

 忍者の鉤縄のごとく、槍は扉の上部に引っかかり食い込んだ。

ニート「そしてこうなりゃ...」グンッ

ニート「トゲはロープをしっかり固定してくれてるってわけだぁ!」ダンッ

 ロープを握り扉に足をつけ、ニートは扉を上っていく。

40: 2014/09/08(月) 23:20:06 ID:x25OcqmY
ニート「はぁっ...はぁ...これ、体力ないニートにはキツいぜぇ」ゼェゼェ

ニート「おまけに扉がこっちに傾斜してるから...角度的にもぉっ」グラッ

 うっかり扉から足が離れ、ニートが振り子と揺れた瞬間。

  ズガァンッ!!

 扉を突き破って槍が覗いた。

ニート「...おっとぉ」ヒヤッ

41: 2014/09/08(月) 23:23:05 ID:x25OcqmY
爺「また外れただと?何故だ...」

爺「くっ、扉を越えさせはせんぞっ!!」ブンッ


ニート「あぶねぇっあぶねえぇ!!」ズガンッ!

ニート「早いとこ上らないとねぇ!力振り絞ってくぜぇ」ダッダッダッ

  ズガンズガンッ!!

            ダッダッダッダッ      ...ガシッ!

 ついに扉の上部へたどり着き、ニートが顔を覗かせる...

  ズガァァンッ!!!

爺「仕留めた...」

ニート「ダミーだよぉ」ダンッ

 ニートは扉を越え、下へ降りていた。

42: 2014/09/08(月) 23:24:21 ID:x25OcqmY
ニート「扉には木の閂か...しかしぃ」

ニート「相手がこんな杖ついた爺だとはなぁ?」

爺「ふん...相手がこんなフヌケ面だとはな」

ニート「無職同士、仲良くしようやぁ」

爺「ふざけるな、出来損ないの屑め」

ニート「あちゃぁ」

爺「私は貴様の年の頃...仕事に燃えていた」

爺「それからの人生!私は社会のため家族のため働き続けた!!」

爺「その苦労、貴様にはわかるまい?そう、貴様は何もしていないのだから...」

ニート「ぐぅの音も出ませんねぇ」

43: 2014/09/08(月) 23:26:20 ID:x25OcqmY
爺「私のカードは『吊された男』」

爺「それが表すものは修行、忍耐、試練...犠牲」

爺「自ら払った犠牲は報われ、正当な結果が得られる」

爺「犠牲だ。犠牲こそがパワー!!」

ニート「...それであの槍のトゲってわけかぁ。」

ニート「血を流し痛みを得ることで力が出るってわけだなぁ?」

爺「その通り。傷つくことへの覚悟を決めれば...」

爺「...私は無敵だ」

44: 2014/09/08(月) 23:27:30 ID:x25OcqmY
爺「いくぞっ!」ブンッ

ニート「おわぁっ!」ズガンッ

爺「まだまだ...まだ!」ブシュッ

ニート「(マジかあの爺...あそこまで躊躇わずに血を流せるもんかぁ?)」ダッダッ

爺「貴様はもう疲労困憊のはずっ!仕留めるのも時間の問題だっ!!」ブンッ

ニート「.....おいおい、俺を誰だと思ってんだぁ?」ニヤッ

ニート「魔術師ってのはな、普通に走ったりはしないんだよ...そう、もっと軽やかにぃ!」タッカタッ

ニート「ステップ刻んでよぉ!ハハッ、楽しいねぇ!?」タタッカータッタカッ

45: 2014/09/08(月) 23:53:05 ID:x25OcqmY
爺「避けるなっ!」ブンッブンッ

ニート「アハハッハッハハハーハッ!」タカターカカッタッカー

爺「この!このぉ!!」ブシュッブンッ

ニート「見ろよこのステップ♪アハハーハッハー!!」カタカタカタッカ

 笑いながら、ニートは爺の周囲を踊り回る。

爺「ぜぇ...ぜぇ...」

ニート「おやおやおやおやぁ?爺さんはもうバテバテかなぁ!?」タタカタカッタッ

爺「....はっ...この、『吊された男』を舐めるなよ...」ギンッ

46: 2014/09/08(月) 23:54:34 ID:x25OcqmY
爺「『犠牲』が私を勝利へ導く!」バッ

爺「私の払った『犠牲』は一寸たりとも無駄にはならん!それに等しい結果を生み出してくれる!!」

爺「すなわち!」グワッ

  ドスッ!!

ニート「!?」ギョッ

 爺が槍で自らの右足を突き刺した。

ニート「いっ....」ブッ

47: 2014/09/08(月) 23:56:19 ID:x25OcqmY
ニート「いだぁぁぁああぁあぁあああぁあっ!!!」ブシュウウーッ

爺「くっ....これが『吊された男』だ」

爺「私が自ら足を刺せば!そっくりそのまま貴様も足に傷を負うのだっ!」

ニート「なん...だとぉ...」ガクッ

爺「そして体制を崩したな...今が好機!!」ブシュッ

ニート「くぅ!?」ゾクッ

爺「氏ねっ!!」ブンッ

ニート「がぁっ」ゴロンッ

 ニートは地面を転がり危うく避ける。

48: 2014/09/08(月) 23:59:28 ID:x25OcqmY
  ドガンッ!!

ニート「くそぉっ!!」ゴロゴロ

爺「お得意のステップとやらはどうした!え?魔術師よ!?」ブンッブンッ

ニート「がぃっ」ドシンッ

 扉の元まで戻ってきたニートが扉にぶつかった。

爺「これでトドメぇぇっ!!!」ブンッ

ニート「ノォォォォォッ!!!」シュゴォォーッ

 扉に背をつけるニートに槍が迫る。

49: 2014/09/09(火) 00:00:30 ID:XwjS..9I
  ドガァァァンッ!!!


ニート「......」ガクッ

 槍はニートの腹部を貫いた。

爺「フン...魔術師なぞ、所詮ただのつまらんハッタリ屋よ」

ニート「なぁんてねぇ?」クイッ

爺「!?」

 破れたシャツの向こうに、ニートの腹は見えない。

ニート「串刺しマジックなんてね...定番中の定番じゃないのぉ?」

爺「な...こいつっ」

ニート「俺ぁ魔術師だぜぇ?でかい箱なんぞ無くとも...このシャツで隠れるだけで十分よぉ」ニヤァッ

50: 2014/09/09(火) 00:02:39 ID:XwjS..9I
爺「はっ...だがしかし!」

爺「その槍は貴様の動きを止める!次の一撃で最後、もう避けられはせんぞ!!」グワッ

ニート「やいボケ爺。お前はもう負けているぅ」ビシッ

  ギギッ

爺「は...?」

      ギギギギギッ

 木のきしむ音が響く。

ニート「今の一撃、確かに貫き砕いたなぁ」

ニート「俺の腹でなく、この扉の閂をぉ!!」ギギギギッ

  ギギギィィーーーーッ

 扉が開いてゆく。

51: 2014/09/09(火) 00:03:28 ID:XwjS..9I
爺「はん....それがどうしたと」

ニート「まだ気づかんの?だからお前はボケ爺だというんだよぉ」

爺「なにを」グンッ

爺「いっ!?」ズルゥッ

  ドシィン

 突然足をとられた爺が尻餅をつく。

爺「なっ....これ、これはっ!!」

   『ロープ』

52: 2014/09/09(火) 00:05:07 ID:XwjS..9I
 ロープが爺の右足を絡め、引き倒していた。

爺「い、いつの間にっ!」

ニート「マジックってのは難しくてなぁ...仕込みがバレたら台無しなんだぁ」

ニート「だから用意の間、別の所に注意を引いておくのが大切なんだなぁ」

爺「なん...」

ニート「そしてもうひとつぅ!!」ビシッ

ニート「今あんたが倒れたのはロープが引っ張られたからだ!ではロープを誰が引いたのかぁ?」

爺「そ....そんな、これは...」ズゴォォォォォ

   『扉』

ニート「ロープの両端は、扉の上部に刺さる二本の槍に繋がっているんだぜぇ!!」

53: 2014/09/09(火) 00:06:22 ID:XwjS..9I
爺「ぬっ、くっ...ひ、引っ張られる!!」ズルズルズル

ニート「あのデカい扉だぜぇ?あんたみたいな爺の踏ん張れるもんじゃないなぁ」

爺「放せ...放せ!放すんだぁぁあ!!」ズルズルズルズル

ニート「もう終わりなんだぜ...あんたは終わり。」

爺「ぬわぁぁぁあぁあああ!!!」フオッ

 ロープに吊られ、爺の体が浮き上がる。

ニート「そして完成かな!『吊された男』ぉ」

  ギギギギギィィィィーーーー

爺「」プラーン

      ドォーーー--------ン

 二枚の扉の間に張られたロープに右足を固定され、爺は逆さに吊された。

54: 2014/09/09(火) 00:07:09 ID:XwjS..9I
爺「ぬっ、くっ...ひ、引っ張られる!!」ズルズルズル

ニート「あのデカい扉だぜぇ?あんたみたいな爺の踏ん張れるもんじゃないなぁ」

爺「放せ...放せ!放すんだぁぁあ!!」ズルズルズルズル

ニート「もう終わりなんだぜ...あんたは終わり。」

爺「ぬわぁぁぁあぁあああ!!!」フオッ

 ロープに吊られ、爺の体が浮き上がる。

ニート「そして完成かな!『吊された男』ぉ」

  ギギギギギィィィィーーーー

爺「」プラーン

      ドォーーー--------ン

 二枚の扉の間に張られたロープに右足を固定され、爺は逆さに吊された。

55: 2014/09/09(火) 00:10:45 ID:XwjS..9I
ニート「勝利ぃ!ま、あの覚悟と威力にはちょっぴり驚いたがぁ...」ザッ

ニート「結局は衰えたジジイに過ぎなかったってことだぁ。楽勝楽勝ぉ」スタスタ

    ポタッ     ポタッ

爺「.......」プラーン

        ポタッ         ポタッ

爺「....覚悟なくして勝利なし」

爺「今こそ痛みが必要だ...犠牲が道を切り開く」グッ


              ブヅンッ


ニート「...」ブシュッ

56: 2014/09/09(火) 22:50:58 ID:XwjS..9I
ニート「がっ」ドテッ

爺「」ドサッ

ニート「いつぅっ....な、なん...?」チラッ

   『右足』

ニート「....は」

   『千切れた右足』

ニート「お....おい...おいおいおいおいおい」

   『千切れたニートの右足』

ニート「なんだよこれはぁぁぁあぁああああぁああぁぁぁあぁああぁ!!!!」

57: 2014/09/09(火) 22:51:41 ID:XwjS..9I
ニート「俺の、俺の足がっ!!俺の足がぁぁぁあぁああぁ!!!」ブッシュゥゥー

 ニートの足首から血が噴き出す。

爺「....うろたえている場合ではないのだ」ズルッ

爺「真の覚悟はここからだ」

 爺もまた右足首から先が無い。

 ロープから逃れるため、槍で自ら切断したためだった。

58: 2014/09/09(火) 22:52:58 ID:XwjS..9I
爺「私の傷は...直接貴様に向かう」ガチャッ

爺「貴様と私と我慢比べだ...最後の最後、生き残るのはどちらか」グッ

爺「付き合ってもらおう」ブンッ

    グサァッ!!

 爺が左手の中心を槍で貫く。

ニート「いっぎっひぁああぁああぁぁぁ!!!」ブシュゥゥーッ

 ニートの左手にも同じように穴が開く。

59: 2014/09/09(火) 22:53:36 ID:XwjS..9I
爺「お前は今までどれだけの苦痛を経験してきた?」ドガンッ!!

 爺が左腕を槍で打つ。

ニート「あっ...くぐぅぅぅぅっ...」ボギンッ

爺「軟弱に腑抜けた若い者めが...そんなものに私がっ!」ドガンッ!!

ニート「がっぐ...ぐぅぁぁああっ」ベギッ

爺「負けることなど!!あってはならない事だろうがっ!!!」ドガンッ!!ドガンッ!!

ニート「あぁぁぁぁああああっ!!!」バギボギッ

60: 2014/09/09(火) 22:54:47 ID:XwjS..9I
ニート「(なんてやつだ...こいつマジだ...勝利のためなら全てを差し出す覚悟がある...)」

爺「我々の対決は...どうなれば決着かな?意識を失った時か?命を失った時か?」ドガンッ!!

ニート「犠牲が道を切り開く。そう、そうだ...失ったものを無駄にしてはいけねぇ」ググッ

ニート「俺の失ったこの『右足』はぁ...」チラッ

ニート「勝利のために活用しなければならねぇっ!!」ガシッ

61: 2014/09/09(火) 22:57:37 ID:XwjS..9I
爺「もはや左腕の感覚は無いか?なら足を打ってやろうか!!」

ニート「魔術師の奇術ぅ」スォォッ

   『操り人形』

ニート「操り人形の奇術!すなわちこのニートの動きに爺の体は同期するぅ!」

ニート「力のいる奇術だぜぇ...だがな、そぉ。特定の一部分だけならぁ...」

ニート「俺のこの千切れた『右足』!!そして未だロープに絡められたままの『爺の右足』ぃ!!」

ニート「この二つの部分の動きを同期させるんだぜぇ!!」

62: 2014/09/09(火) 23:00:29 ID:XwjS..9I
     ギギギ...

爺「どうだ!まだか!これでもかっ!!」ドガンドガンッ

ニート「くっ...うぅぅっ...」ビクンッビクン

爺「食らえ!折れろ!果ててしまえ!!!」ドガドガ

ニート「もう少し...あとちょっとだけ耐えろ...それで終わるんだからよぉ...」ググッ

    ギギギ...

爺「はぁ...はぁ...く、くそがぁ...」ゼェゼェ

       ギギギ...

爺「...?」チラッ

爺「この...音は...」

63: 2014/09/09(火) 23:01:27 ID:XwjS..9I
扉「」ギギギッ

爺「なに!?と、扉が...閉じていくぞ!!」

ニート「ふぅっ...ふぅ...」グッグッ

爺「貴様の仕業かっ!!何をしたのだ!?」

ニート「ひひひ...知りたいかぁ...」ググッ

ニート「あんたの真上を見なぁ!」

爺「なにぃ...?」チラッ

   ギギギ...

右足「」ギギ...ギギギ...

64: 2014/09/09(火) 23:03:40 ID:XwjS..9I
爺「あれは...私の千切れた右足...」

右足「」ギギギ...

爺「それが...ひ、ひとりでに!?回転しているのか!!」

爺「そしてロープを巻き取り、両の扉を引っ張り...閉めていっているというのか!!」

ニート「そのとぉーりっ!!『操り人形』俺がこの右足を回せば、あんたの右足も回転するんだぜぇ!!」

ニート「あんたの這いつくばるその位置!!丁度そこが扉の合わさる部分ピッタリなんだよなぁ...」

ニート「このまま扉で挟み潰し、やっぱり俺の勝利確定ってわけだぁ!!」

65: 2014/09/09(火) 23:06:07 ID:XwjS..9I
爺「ふん....だがな、貴様も体力は使い果たし...左腕は利かず」

爺「その右足を扱うのにも苦労してるんじゃないのか...?」

ニート「ぎくりぃ」

爺「扉が閉まるまでには余裕があるくらいだが...まず早速その右腕も」グッ

爺「潰させてもらうっ!!」グサァッ!!

ニート「うっ...ぐぅぅ...ふっ」ブシュゥゥーッ

爺「...」ボタッボタッ

ニート「ふぅーっ...ふぅー...」ボタボタ

爺「...耐える気か...貴様...」

66: 2014/09/09(火) 23:07:19 ID:XwjS..9I
ニート「あと少しなんだぁ...すぐに扉は閉まるぅ」ググッ

ニート「こらえるんだ...耐えるんだ...勝利はすぐそこだぜぇ」グッグッ

爺「貴様ぁぁーーっ!!!」グオオッ

ニート「右腕、も...いてぇー...力が入らねぇ...」

ニート「さらに...フィードバック」

ニート「あの右足で巻き取ってできたロープの塊...!それが大きくなるにつれてぇ...」

ニート「この右足の回転も重くなってきてるぅ...っ」

67: 2014/09/09(火) 23:08:56 ID:XwjS..9I
   ギギギ...

爺「勝利のためなら...全てを!」グッ

爺「犠牲をためらってはならないのだぁぁぁ!!!」ブンッ

    ドグサァッ!!!

ニート「ぶっ...げぇぇーっ!!!」ブシャァァーッ

 爺がついに自らの腹を突き刺した。

爺「やめろ...扉を閉めるんじゃない...!」ボタボタ

爺「諦めろ!!敗北を認めろ!!そうすれば終わるのに!!」

ニート「....」ググッ

  ギギギ...

爺「き...貴様...」ギリッ

68: 2014/09/09(火) 23:13:00 ID:XwjS..9I
  ギギギ...

 扉は爺のすぐ横まで迫っていた。

爺「いいかよく聞け...やめるなら今だぞ」

ニート「.....」

爺「次に私は自らを突き刺す...『左胸』だ...分かるな?」

ニート「...」ギリッ

爺「氏ぬぞ...貴様は...『心臓』を貫かれて生きられる者などいるものか...」

ニート「あそぉ...あんたも氏ぬけどなぁ...」

爺「いいとも!『勝利』が得られるならばよ....私は満足よ...この命も差し出そう」

ニート「.....」

爺「貴様はどうかな...?その覚悟があるのか?」

爺「いやあるわけが無い!!ここまで見せた覚悟は大したものだったが...」

爺「貴様は今まで氏にそうな目に遭ったことが、一度でもあるか!?」

69: 2014/09/09(火) 23:14:31 ID:XwjS..9I
爺「みっつ数える。そして胸を突き刺す...」

ニート「...よせよぉ」

爺「ひとつ...」グッ

ニート「くっ...ダメだこいつはっ!扉を...早くぅっ」ググッ

爺「ふたつ...」ギリッ

ニート「あぁーもぉぉぉぉ!!!」スクッ

ニート「うぉぉぉぉぉおおおおおっ!!!」グググッ

 ニートが立ち上がる。

70: 2014/09/09(火) 23:24:54 ID:XwjS..9I
爺「みっつ!!」ブンッ

ニート「おおおぉぉぉぉぉぉぉおおっ!!」グラリ

 立ち上がろうとも、片足では体を支えることはできない。

 立ったのもつかの間、ニートの体は傾き倒れていく。

ニート「だがしかしこれでいいぃっ!!」グオオッ

ニート「」ドサァッ

爺「氏ぬっ!!」ゴォォォーッ

ニート「」ゴロッ

71: 2014/09/09(火) 23:26:42 ID:XwjS..9I
 ニートはただ倒れたわけでは無かった!

 右足を抱え込むと、体を丸めっ!!

 倒れる勢いそのままに、地面を大きく転がった!!

   『でんぐり返し』


               バダムッ

72: 2014/09/09(火) 23:28:17 ID:XwjS..9I
ニート「....」ゼェッゼェッ

ニート「....ギリっギリ...最後の一押し...」ゼェゼェ

ニート「」ズルッ

 ニートが扉の方へ這い寄る。

ニート「閂...をなぁ...また開いちゃたまらんもんよぉ...」ガシャン

ニート「...」チラリ

   『千切れた両腕』

ニート「...扉の向こうの様子は...見たくねーからなぁ...」

73: 2014/09/09(火) 23:29:52 ID:XwjS..9I
 『吊された男』 再起不能

74: 2014/09/09(火) 23:31:26 ID:XwjS..9I
ニート「ひでぇー...傷だわ...こりゃ」ゼェゼェ

ニート「この足も...なんとかしねーとな...困ったもんだぜぇ...」グッ

ニート「...しばらく...おとなしくせざるを得ないかぁ...」ズルッ

 ニートは落ちていた棒を支えに歩きだす。

 振り返った先に見えたのは建物の並ぶ街であった。


おわり

引用: ニート「タロット体現バトルゥ?」