253: 2013/08/23(金) 13:02:14.73 ID:+Th5y3R+0
こんにちは。
乙、感想ありがとうございます。

>>250
ご想像で!

>>251
それっぽいのは今回の次に投下する奴です。
とは言ってもR18とも言える程の物では無いかもですが。


それでは、投下致します。

254: 2013/08/23(金) 13:02:57.08 ID:+Th5y3R+0
京介「おし。 じゃあ寝るか」

桐乃「うん。 明日、あやせが戻ってきたら電話するね」

桐乃とあれから工口ゲーやらで遊んで、既に大分遅い時間。 そろそろ寝ようと提案し、桐乃も二つ返事で頷く。

そして布団を敷き、電気を消した。

桐乃「あ、そだ」

布団に寝転がるとすぐに桐乃は口を開く。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない
255: 2013/08/23(金) 13:03:23.37 ID:+Th5y3R+0
京介「ん?」

桐乃「さっきの件、まだなんも聞いてないんですケド」

京介「……さっきの件って?」

桐乃「京介がブラを外し慣れてたこと」

うわ。 てっきりその話は流れた物だとばかり思っていたのに。 嫌なタイミングで思い出す奴だ、全く。

京介「あ、あれは……すげえ苦労したんだぞ? さっき外すのに」

256: 2013/08/23(金) 13:03:57.32 ID:+Th5y3R+0
桐乃「はいウソ乙。 苦労したのにあんな早く外せるワケないでしょ」

京介「……うう」

桐乃「早く言え」

暗くて桐乃の顔は見えないが、俺の事を睨んでいるのは声色からして分かる。

……言うしかねえのか。

京介「……分かった、話せば良いんだろ」

桐乃「うん。 内容によるケド、許してあげるかもよ?」

257: 2013/08/23(金) 13:04:30.68 ID:+Th5y3R+0
京介「えーっとだな。 あれは」

京介「……し、調べてたんだよ。 パソコンで」

桐乃「なにを?」

京介「その、外し方」

桐乃「……どうして?」

京介「い、いざというときの為」

桐乃「ふうん。 それっていつの話?」

258: 2013/08/23(金) 13:04:59.23 ID:+Th5y3R+0
京介「……先月」

桐乃「……そ、それって。 あたしとそーゆうことになった時の為って意味?」

京介「……それしかねーだろ! だから言いたくねえんだよ」

俺がそう伝えると、少々の無言。

なんとも気まずく、俺はどうした物かと思考していたところ、桐乃が口を開く。

桐乃「へええ。 そんなの調べてたんだぁ~?」

京介「う、うっせ! 男なんてそんなもんだっての!」

259: 2013/08/23(金) 13:06:09.67 ID:+Th5y3R+0
桐乃「ふうん。 ふうううん?」

京介「……んだよ。 許してくれんのか?」

桐乃「ひひ。 どうしよっかな?」

そう笑いながら言うと、桐乃は隣に居る俺に覆い被さるように体勢を変える。

例えて言うならば、俺をビンタで叩き起こすときの様な感じ。 今はそれよりも顔が近いけど。

京介「おま、急になんだよ?」

260: 2013/08/23(金) 13:06:52.11 ID:+Th5y3R+0
桐乃「ねね、もう一回試してみる?」

京介「な、何を?」

桐乃「決まってんじゃん。 京介がパソコンで調べてたこと」

……そ、そりゃマズイだろ! 色々と!

桐乃「今日だけトクベツに試してもいいケド~」

俺はゆっくりと唾を飲み込み、否定の言葉を口に出す。

261: 2013/08/23(金) 13:07:48.20 ID:+Th5y3R+0
京介「……後悔してもしらねえぞ?」

いやいや違うだろ! 何言っているんだ俺は!?

桐乃「上等じゃん。 ふひひ」

桐乃「はい。 じゃあこっちから手入れてよ」

桐乃はそう言い、服の下……今は上を着替えることができないからワイシャツに下はいつものパジャマなのだが。

そのワイシャツの背中側を桐乃は少しだけ捲くる。

俺は小さく返事代わりに頷き、ゆっくり、ゆっくりとそこに手を入れた。

262: 2013/08/23(金) 13:08:16.23 ID:+Th5y3R+0
桐乃「……」

桐乃は黙ったまま俺のことを見つめる。 月灯りでほんのり照らされた顔は妙に色っぽく、俺も視線は外せずにいる。

こいつの肌はやはりすべすべとしていて、柔らかい。 だけど陸上をやっているのもあり、しっかりとしていた。

そして、ついに俺の手は桐乃の背中の上辺りまで回り……。

京介「あ、あれ。 お前」

桐乃「ん~?」

京介「……着けてねえだろ?」

263: 2013/08/23(金) 13:08:56.24 ID:+Th5y3R+0
桐乃「うん。 寝る前だしね」

桐乃「てか、なに妹の服の中に手突っ込んでんの? シスコンきも~い! ひひ」

京介「お、お前がそうしろって言ったんじゃねえかよ!!」

桐乃「覚えてないし。 ふひひ」

……やられたぜ。 見事に騙された。

京介「この!」

俺の上に乗りケタケタと笑う桐乃を俺はそのままがっしりと抱き寄せる。 片腕で思いっきり。

264: 2013/08/23(金) 13:09:22.14 ID:+Th5y3R+0
桐乃「ちょ、なにすんの!?」

京介「決めたぜ。 今日はこうやって寝る」

桐乃「は、はぁ!? あたしは抱き枕じゃないっての!」

京介「やだよ~だ。 お前が俺をからかった所為だからな?」

桐乃「……変O」

京介「お前を抱き締められるなら、変Oでもいいっての」

桐乃「ふん。 なら、もうちょっと優しく抱き締めてよ。 痛いから」

265: 2013/08/23(金) 13:09:50.16 ID:+Th5y3R+0
京介「お、おう。 悪い」

俺は力を抜き、優しく抱き締める。

が、そうした瞬間、桐乃は俺の腕を解き、逆に思いっきり抱き着いてきた。

桐乃「ひひ。 あんたがあたしの抱き枕になるの。 絶対離さないから。 今日はこれで寝る~」

京介「……りょーかい」

正直言って気が気じゃないけど……桐乃に抱き締められていると、とても穏やかな気分になれた。

自然と俺も桐乃を抱き締めて、そんな感じで俺と桐乃は眠りに就く。

266: 2013/08/23(金) 13:10:20.39 ID:+Th5y3R+0
桐乃「ちょっと、いつまで寝てんの?」

頬に衝撃。 ああ、桐乃だ。

京介「んー……。 おはよう」

桐乃「とっとと起きてよ。 あんたが起きないとあたしも起きれないんだから」

そう言い、カチャリという音と共に手錠を俺に見せ付ける。

……起きたら実は夢でしたなんてオチを期待していたが、どうやらそれは無いらしいな。

267: 2013/08/23(金) 13:10:46.19 ID:+Th5y3R+0
つか、上だけワイシャツって今更ながら超アレだな。 アレって言えば分かるだろ。 アレだよ。

そんで、そんな桐乃と一緒の布団で寝ていたとか、変な罪悪感が沸いてくるぜ。

京介「……ああ、今日あやせが帰ってくるんだっけか?」

桐乃「そ。 午後になるみたいだから、それまでこうだけどね」

京介「……ならもう一回寝ようぜー。 俺眠い」

桐乃「ダーメ! あたしはもうばっちり起きてるんだから!」

268: 2013/08/23(金) 13:11:15.13 ID:+Th5y3R+0
言うと、桐乃は俺の頬をぺちぺちと叩く。 力は入っておらず、なんだかくすぐったい。

京介「……うー」

眠い物は眠い。 俺って休みの日は基本、昼近くまで寝ているし。

桐乃「おーきーろー」

桐乃は頬を叩くのをやめると、次は俺の頬を引っ張る。 両手で違う方に引っ張っているので、俺の右手もそれにつられ動くこととなる。

……俺の頬はお前の遊び道具じゃねーぞ、くそ。

269: 2013/08/23(金) 13:11:45.33 ID:+Th5y3R+0
京介「もうひょっとらけなー」

桐乃に引っ張られている所為でうまく喋れないが、俺はそんなのを気にせずに言う。

多分、睡魔はこの世でかなり上位に食い込める強さだろう。

桐乃「……よっと」

桐乃は言い、俺の上で体勢を変え……そして。

270: 2013/08/23(金) 13:12:11.23 ID:+Th5y3R+0
桐乃「……ん」

キスをしてきた。

キスをしてきた。

キスをしてきた。

俺の唇に自分の唇を重ねてきた。

つまり、キスをしてきた。

271: 2013/08/23(金) 13:12:40.83 ID:+Th5y3R+0
京介「ばっ! お、お前なんだよ!? な、なんだ!?」

桐乃「ひひ。 起きた? 今度から起こすときこーしよっかな」

京介「た、頼むからやめてくれ! 心臓に悪すぎる!!」

桐乃「だったらちゃんと起きてよ。 起きない京介がわるーい」

京介「わ、わ、わかった。 起きる。 ちゃんと起きます」

桐乃「なら良し。 ほら、いつまでも寝転がってないで。 朝ご飯作るから」

272: 2013/08/23(金) 13:13:20.87 ID:+Th5y3R+0
……ううむ。 マジで今度はやらないよな? 本当に朝から氏ぬ思いをするから、これだけはやめて欲しいぞ。

そりゃあ超、超超超嬉しいけどさ。 本気で氏ぬかと思うんだって。 俺からキスするならまだしも、こいつからとか結構レアだし。

京介「……はいよ」

桐乃「朝は楽だし、京介は立ってるだけでいいよ。 邪魔しないでね」

京介「俺的には昨日の夕飯作るときに、邪魔してた感じがすっげーするけどな」

273: 2013/08/23(金) 13:13:53.55 ID:+Th5y3R+0
桐乃「まあね~。 それがイヤなら一緒に練習すること。 いい?」

ここで「そんなことはない」とか言わない辺り、桐乃だよな。

京介「……ぼちぼちな」

俺の言葉に桐乃はでこぴんで返事をし、台所へと向かう。

……こいつのしっかりした性格を半分ほどで良いから俺に分けて欲しい物だぜ。

274: 2013/08/23(金) 13:15:34.56 ID:+Th5y3R+0
桐乃「はい、あーん」

桐乃は作ったご飯を俺の口へと運ぶ。

京介「あーん……って、お前なんかノリノリだな」

桐乃「は、はぁ!? なワケないでしょ! チョー嫌々だっての!」

にしては顔だらしなくなってんぞ。 多分、俺もだけど。

京介「へいへい。 で、今日はどうすんだ? 午後まで」

……あれだな! これってあれだ! 新婚夫婦みたいじゃね!?

275: 2013/08/23(金) 13:16:06.95 ID:+Th5y3R+0
桐乃に言ったらもうやって貰えなくなりそうだから言わないけどさ! そう考えると俺って超幸せじゃね!?

こんな可愛い奴と新婚夫婦みたいになるって、悪くねえぞ!

桐乃「外に出るワケにはいかないし……久しぶりに、なんか雑談でもする?」

京介「雑談なら毎日してねえか?」

276: 2013/08/23(金) 13:16:33.06 ID:+Th5y3R+0
桐乃「じゃなくて。 こんな状態だしさー。 京介が本当に想っていることとか、聞きたい……かも」

京介「……別に構わないけど、それならお前も話してくれるのか?」

桐乃「まあね。 なんか今日機嫌良いし、いいよ」

ああ、だからあんな朝からテンション高かったのね。 得心いった。

277: 2013/08/23(金) 13:17:07.84 ID:+Th5y3R+0
で、壁を背に俺と桐乃は並んで座る。

京介「……んー、何から話すか悩むな」

桐乃「とりあえず、この状況になってどう感じてるかで良いんじゃない?」

この状況になって、か。

京介「おう。 分かった」

桐乃「……」

桐乃は黙り、頭を壁に預ける。

278: 2013/08/23(金) 13:17:42.66 ID:+Th5y3R+0
京介「正直に言うと、あんま変わらないなってのが本当のところかな」

京介「結局はお前とはいっつも一緒だし、そりゃ多少は不便もあるけどさ。 でも、別に負担とかにはならねーかなって思う」

桐乃「……そか」

どこか安心した様に、桐乃は漏らす。

京介「心配だったか? 俺が迷惑してるんじゃねーかって」

279: 2013/08/23(金) 13:18:09.84 ID:+Th5y3R+0
桐乃「ま、一応はね。 結局はあたしの所為なんだし。 いっつも迷惑ばっか掛けてるなって思ってた」

京介「お前はほんと心配性だよなぁ。 俺はお前に掛けられた迷惑なんて、今となっちゃ楽しいくらいに思ってるんだからよ」

桐乃「だよね。 ひひ」

京介「だからって何でもしていいってことじゃねえぞ? 念の為言っておくけどな!」

桐乃「うーん。 じゃあ、あたしの奴隷になれとかあり?」

京介「……今の時点で半分そんな感じじゃねえか」


313: 2013/08/23(金) 17:25:06.19 ID:+Th5y3R+0


桐乃「あ、自覚あったんだ」

京介「さっきの発言無しにしていいか?」

桐乃「ダメー。 一度言ったんだから、責任持ってよね」

京介「……へいへい」

桐乃「あはは」

俺も桐乃と同じ様に、壁に頭を預ける。

なんだか、とても心地良い時間に思えるぜ。
281: 2013/08/23(金) 13:19:03.62 ID:+Th5y3R+0
桐乃「あたしはさ」

桐乃「……これだけ分かっていて欲しいんだケド、毎回毎回……どんなことでも、ね。 しっかり感謝してるから」

京介「知ってるよ。 そんなこと」

桐乃「ひひ。 そか」

桐乃「いつか、しっかり返すから」

京介「何言ってんだよ。 俺は好きでお前の傍に居るんだっての。 返す物なんてねーよ」



282: 2013/08/23(金) 13:19:33.60 ID:+Th5y3R+0
桐乃「その辺はケジメなんだって。 京介がいくらいらないって言っても、絶対返す」

京介「……そうかい。 んじゃ、ありがたく貰っておいてやるかな」

桐乃「うん。 それで良し」

桐乃は微笑んでいて、俺はそんな横顔を見て、同じように笑っていたと思う。

そして唐突に、桐乃は言った。

桐乃「もし、もしもさ」

283: 2013/08/23(金) 13:20:00.87 ID:+Th5y3R+0
桐乃「これ、変なフラグとかじゃないから、一応言っておくケド」

桐乃「あたしが明日氏ぬってなったら、どうする?」

京介「思いっきりフラグじゃねえかよ……まあ、そうだなぁ」

京介「俺も明日まで生きられれば良い。 つったら、お前は怒るだろうな」

桐乃「……まーね。 本音は嬉しいと思うかもしれないケド、怒ると思うよ」

京介「だったら俺は頑張るしかねえよ。 氏にたいって思うかもしれないけど、頑張るしかねえだろ」

284: 2013/08/23(金) 13:20:28.23 ID:+Th5y3R+0
桐乃「そかそか」

京介「……お前、マジで変な病気とか掛かってないよな?」

桐乃「どんなクソゲーだっつーの。 あるワケ無いでしょ。 あたしが義妹だーって言うくらい、それクソゲーだから」

京介「だよな。 へへ」

今のこの状態だからこそ、こんな会話が出来るんだろうさ。

俺も桐乃も、距離は置けないから。

……少しだけ、あやせに感謝だな。

285: 2013/08/23(金) 13:20:54.30 ID:+Th5y3R+0
京介「逆にさ、俺が明日氏ぬって言ったら、どうする?」

俺は桐乃にそう切り出し、返事を待つ。

桐乃「んー。 お葬式には出てあげるかな」

京介「……今日は本音トークだぞ、おい」

桐乃「ひひ。 まぁ」

桐乃は続けた。 顔を少し上に向けて。

桐乃「泣く、かな」

286: 2013/08/23(金) 13:21:22.76 ID:+Th5y3R+0
京介「……そっか」

桐乃「うん。 泣く」

京介「なら絶対氏ねないか。 俺は決めたし」

桐乃「……あたしを悲しませないって? 前に言ってたケド」

京介「そーいうこと。 失敗することもあるかもしれないけどな」

桐乃「大丈夫っしょ。 この一年……あたし、ずっと幸せだったよ」

京介「そりゃ、最高の言葉だぜ」

287: 2013/08/23(金) 13:21:51.06 ID:+Th5y3R+0
桐乃「……よし。 じゃあコレ外れたら、工口ゲー買ってきて」

京介「なぜそうなる!?」

桐乃「あたしぃ、京介が工口ゲー買って来てくれないと氏ぬほど悲しいのぉ」

京介「て、てめえ。 人を良い様に使うんじゃねえ!!」

桐乃「あははは。 冗談だって。 一緒に行こう、一緒に」

京介「……おう、そうだな」

急に俺の方を見て笑うんじゃねえっての。 その不意打ちは反則だからな。

288: 2013/08/23(金) 13:22:19.84 ID:+Th5y3R+0
桐乃「なんかさ」

桐乃「……こんな風に本当のこと話せるなんて、思ってもいなかった。 人生相談始めたばっかのときはさ」

京介「そっか」

桐乃「色々ありがとね。 京介」

京介「俺も、色々ありがとな」

桐乃「京介はまず、あたしが妹だってことに感謝するところからかなぁ」

289: 2013/08/23(金) 13:22:46.84 ID:+Th5y3R+0
京介「なら、お前は俺が兄貴だってことに感謝するところからだな」

桐乃「はぁ? なに調子乗ってんの、キモ」

そう言う桐乃は、笑顔。

京介「そうかよ。 で、本音は?」

桐乃「感謝してるよ。 ずっと、昔から」

最後に桐乃はそう言った。 俺の右手をしっかりと握りながら。

京介「……へへ」

290: 2013/08/23(金) 13:23:17.38 ID:+Th5y3R+0
そんな会話をそれからしばらく続け、時刻はやがて昼過ぎになる。

桐乃「あ! あやせからメールきてた」

京介「お。 戻ってきたってメールじゃないか?」

俺の言葉を聞き、桐乃は片手で携帯を操作する。

京介「て、てかさ。 今更だけど……あやせはこの状況を知っているってことだよな? 俺、殺されるんじゃね……?」

291: 2013/08/23(金) 13:23:51.76 ID:+Th5y3R+0
桐乃「んー? 大丈夫でしょ。 あやせそこまで怒ってないカンジだったし」

京介「……本当か?」

桐乃「もしそうなったら、あたしが守ってあげるから」

京介「頼りになる妹だよ……お前は」

桐乃「ふひひ。 あたしに任せなさい!」

292: 2013/08/23(金) 13:24:18.24 ID:+Th5y3R+0
桐乃が受け取っていたメールはやはりあやせからで、地元に戻ったから急いでこちらへ来るとのことだった。

桐乃は電話を掛け、あやせと会話をして、数十分もしない内に到着するとのこと。

その電話から本当にすぐにあやせはやってくる。 さすがはあやせさんだぜ!

あやせ「……本当に何しているんですか、お兄さん」

京介「こ、これは事故なんだって! なあ? 桐乃」

桐乃「京介が無理矢理あたしに付けてきたんじゃん? なに言ってんの」

293: 2013/08/23(金) 13:24:50.24 ID:+Th5y3R+0
お前が何言ってんの!? さっきすっげー頼りになる顔付きで「あたしに任せなさい」って言ってたじゃねーかよ!!

さっきまでのなんかとっても良い雰囲気はどこ行ったんだよ!?

あやせ「全くもう。 桐乃も嘘は駄目だって。 私には分かるんだよ?」

桐乃「……まぁ、あたしの所為なんだケド」

あやせ「素直素直。 あはは」

言い、あやせは桐乃の頭をぽんぽんと叩く。 あやせって強いなぁ、本当に。

294: 2013/08/23(金) 13:25:20.04 ID:+Th5y3R+0
あやせ「あ、それでですね。 スペアの鍵なんですけど……持って無いですよ、私」

京介「……へ?」

桐乃もそれには驚いたようで、ぽかんとした表情をしていた。

あやせ「だから二人とも、これからずっとこのままということなんですよね……」

京介「ま、マジかよ!? それお前マジで言ってるのか!?」

桐乃「ちょ、あやせメールでも電話でも大丈夫って言ってたじゃん!? ウソだったの!?」

295: 2013/08/23(金) 13:25:47.50 ID:+Th5y3R+0
あやせ「え~? 方法、あるにはあるんですけどねぇ……」

京介「頼む! あやせ様! お願いします!」

あやせ「こんな変なことをする二人が悪いんですよ? 反省してます? 今回は大丈夫だったみたいですけど、危ないじゃないですか」

京介「反省してるって! 心の底から!」

あやせ「桐乃は、どう?」

桐乃「あたしも反省してるから! お願い、あやせ」

296: 2013/08/23(金) 13:26:13.30 ID:+Th5y3R+0
桐乃は言うと、上目遣いであやせを見る。 うるうるとした目で。

あやせ「か、可愛い……」

京介「……おい?」

俺が言うと、あやせはこほんと小さく咳払いをし、口を開く。

あやせ「わ、分かりました。 今回だけですからね」

あやせ「というか、本当は二人だけでも外せたはずなんですよ」

あやせ「少し調べれば分かったと思うんですけど……」

297: 2013/08/23(金) 13:26:41.14 ID:+Th5y3R+0
京介「……って言うと?」

あやせ「ここに丸いところがあるじゃないですか。 これを押し込みながら回すだけで外れるんですよ?」

言い、あやせは実践する。

すると手錠は嘘のように簡単に外れた。

桐乃「……マジで?」

京介「俺たちは一体何をしていたんだ……」

あやせ「あはは、誰も教えてくれなかったんですか?」

298: 2013/08/23(金) 13:27:12.75 ID:+Th5y3R+0
そんなおもちゃの手錠の構造に詳しそうな奴なんて……。

居るな。 知っていそうな奴が。

京介「……そういや、昨日沙織が言おうとしてたのってもしかして」

あ、あの野郎!! 黒猫の奴もあの様子だと知ってやがったな!?

桐乃「ちょっと待って、でもそれなら……あやせもメールで教えてくれれば良かったよね?」

あやせ「……あ」

京介「お前もかよ!? なんで揃いも揃って俺の周りは面白がる奴ばっかなんだ!!」

299: 2013/08/23(金) 13:27:38.67 ID:+Th5y3R+0
あやせ「あ、あはは。 で、ではわたしはこれにて失礼しますね。 さようなら」

桐乃「あ、あやせのバカっ! もう一緒にお昼食べてあげないかんねっ!」

あやせ「ご、ごめん! 今度絶対埋め合わせするから、許して桐乃!」

桐乃「ふ~ん。 考えといてあげよっかな~?」

やはり、あやせと桐乃では桐乃の方に分があるのか。 力関係は複雑だなぁ。

あやせ「……お願い、桐乃」

300: 2013/08/23(金) 13:28:15.57 ID:+Th5y3R+0
桐乃「わ、分かったって。 今度、仕事帰りに喫茶店でもいこ。 それでチャラ!」

あやせ「うん。 そのくらいなら喜んで。 それじゃあ、私は帰るね」

桐乃「ばいばい、あやせ」

あやせはそのまま扉に手を掛け、静止。

あやせ「……あ、そうだ」

京介「ん? まだなんかあったか?」

301: 2013/08/23(金) 13:28:42.10 ID:+Th5y3R+0
あやせ「桐乃。 今度手錠を貸してって頼む時は、外し方もしっかり聞いてから持って行ってね?」

桐乃「……あ、ああああやせストップ!」

……ほほう。

あやせ「え……?」

あやせは言っては駄目なことを言ったのに気付いたのか、若干冷や汗を掻く。

そして。

あやせ「……よ、用事あるからこれでー」

逃げやがった。

302: 2013/08/23(金) 13:29:08.18 ID:+Th5y3R+0
そして、残されるのは俺と桐乃。

京介「……さて、桐乃」

桐乃「な、なに? あたしもちょっと用事あるんだケドなぁ……」

京介「あやせじゃなくても、嘘だってのは分かるぜ。 理由……教えてくれるよなぁ?」

桐乃「と、とっても深い理由があるの。 マジマジ。 でも、今度ね? えへへ」

京介「超可愛らしく笑っても今日の俺は騙されねえぞ! 観念しやがれ!」

と、こんな感じで今回のひと騒動は幕を閉じるのであった。


思いと想い 終

303: 2013/08/23(金) 13:29:38.90 ID:+Th5y3R+0
以上で本日の投下終わりです。
乙、感想ありがとうございます。

今回はレス抜き妖怪が出なかったはず。

304: 2013/08/23(金) 13:31:24.69 ID:Cq6/ai5ko
おつ

313: 2013/08/23(金) 17:25:06.19 ID:+Th5y3R+0
>>312
多分、自分が投下して確認した後に抜かれてます。
性質が悪くて困りますね。


>>280
一文抜けていました。
正しくは↓になります。



桐乃「あ、自覚あったんだ」

京介「さっきの発言無しにしていいか?」

桐乃「ダメー。 一度言ったんだから、責任持ってよね」

京介「……へいへい」

桐乃「あはは」

俺も桐乃と同じ様に、壁に頭を預ける。

なんだか、とても心地良い時間に思えるぜ。

引用: 桐乃「行ってきます」