471:夏の夜の 2006/08/12(土) 01:21:48.54 ID:eaekCYz70

「もう あっついわね」

季節は夏、昼間の炎天下にあぶられて夜になっても
気温は一向にさがらない、風でもあればまだ幾分
気持ち的にも楽になろうかというのに、風鈴も宝の持ち腐れ

でもなんといっても一番の問題は、家の電気系統が壊れてしまった現実

そう 冷房が効かない

   最悪

それでも しばらくは窓を開け放って部屋で我慢大会の参加者のごとく
がんばってはみたものの

  も う 限 界

    【夏の夜の・・・】
涼宮ハルヒの劇場 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
472: 2006/08/12(土) 01:22:21.17 ID:eaekCYz70
>>471


夜で人目もないだろうから、寝巻きがわりにきているT-シャツに短パンの軽装で
私は夜の散歩へでることにした

別段にあてがあっての散歩ではない、とくかくあの蒸し風呂のような部屋から
逃げ出したいだけ

適当に角をまがって進んでゆく

歩いていると多少なりとも風を感じるのか、結構な距離をあるいたと思う

気がつくと中学校の前にたっていた

そしてそこに人影があった

    誰 こんな時間に

    もう何年も前の  わすれられない 

    ジョン・・・

473: 2006/08/12(土) 01:22:58.75 ID:eaekCYz70
>>472

「ハルヒ なんだ こんな時間に」

 へっ

いきなり現実に引き戻されて、あほみたいな声がでる

「キョン! あんたこそ なんでこんな場所にいるのよ」

「ああ、中学時代の友達がこっちの方にいてな、遊んでた帰り
おまえこそ、こんな時間に散歩か?」

「暑くて ねむれなくって」

「元気の塊みたいな おまえでも そんなことがあるんだ」

「失礼ね 家のクーラー壊れちゃったのよ まったく でも あっついわね」

「そうだな、

  街灯の光の加減だろうか、あの日のジョンと今のキョンの姿がだぶる
  時間の経過をすっとばして、あの日の続きを
  
  そこまで思って、気がついた、あの日の思いはちゃんと届いていたんだって
  3年ばかりの遅刻だったけど

474: 2006/08/12(土) 01:24:01.75 ID:eaekCYz70
>>473

「ねぇ キョン 泳ぎ行こう!」

「ああ いいな 明日何時に集合する」

「違うわよ、い ま か ら」

「どこで」

「あるじゃないプール、目の前に」

  今度はキョンが へっ て 顔

「ハルヒ 暑さでとうとう 」
  
  とんでもないこといいだした

「目の前にあるじゃない 中学校のプール」

   絶句しているキョンをひっぱって、校門をよじのぼる

「やっぱ まずいんじゃないか」
  
  変なとこ常識的な奴である

475: 2006/08/12(土) 01:24:47.73 ID:eaekCYz70
>>474
「卒業生の私がいるんだから問題ないでしょ」

「いつぞやの傘とはわけがちがうぞ」

「無理にとは いわないわよ」
  
  ぶつぶついうわりには あいつもしっかりついてくる
  いくつかの柵をすこし手伝ってもらって、プールサイドへ

月の光は しょぼい中学校の25メートルプールでもちょっと幻想的にしてくれる

「さあ 泳ぎましょ、少しは涼しくなるわ」

「泳ぐっておまえ」

  キョンの声を背中で聞いて、私はそのまま プールに飛び込む

「気持ち いいわよ」

  呆れ顔で肩をすくめたあいつをプールサイドに置いてきぼりにして、私は泳ぐ
  ひとしきり泳いで水からあがり あいつのそばにゆく
  
  ん あきらたに眼が泳いでいる

476: 2006/08/12(土) 01:25:28.95 ID:eaekCYz70
>>475

「おまえ、俺のこと棒っきれかなんかと思ってるだろ」
  
  質問の意味を考えあぐねていると なにか聞こえる 足音

「やばい 見回りが、いいわけつかん 逃げるぞ」
  
  いい終わらないうちに あいつは私の手首をとって走り出す
  ん 前にこんな夢みたことがあったけ

  途中なんどが身をかがめ、見回りをやりすごし なんとか外へ

「おまえといると本当 退屈だけは しないな」
  
「なによ それ」

「これでも 褒めているつもりなんだか」

  あいかわらず 眼が泳いでますけど

「あの その なんだ、もしyかったら、 家にこないか、妹の部屋でよきゃ、クーラーあるし
そもそも その格好で もどるもの   」

  ん なにいってんのこいつ

477: 2006/08/12(土) 01:25:56.87 ID:eaekCYz70
>>476

「まあ そこまで いうんなら」

  キョンから誘ってくれるのって、ひょっとして初めて?

「おまえ 俺の後ろ歩けな その 上 つけてないだろ 水に濡れてだな 」

  そこまでいわれて はっと きずく 眼が泳いでいたのはそうゆうわけか
  はずかしくて顔まで真っ赤になるのが自分でも判る

「ばか! すけべ! 変O!」

  私はキョンの背中をおもいっきりひっぱたいた
  いいわけをくりかえすあいつの背中をみながら

  もう少しゆっくりでもいいよね まだ時間はあるんだから ね キョン

おしまい

引用: ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリンまた食べたでしょ!?」