1: 2014/08/13(水) 15:46:10 ID:yyHpKCjI

魔王「参謀ちゃん、一緒に食べよっ」

参謀「わぁ、楽しみです魔王さまー」




2: 2014/08/13(水) 15:46:57 ID:yyHpKCjI

少女「お母さん!! お母さん!!」

母「お許しを! どうか、どうかお許しを!」

魔王「魔法のアイテム『ひき肉ツクール』だよー」

参謀「わぁ~」パチパチパチ

魔王「若い子のお肉がいいよね」

少女「いやぁ! やだ、お母さぁん!」

魔王「まずこの箱の中に人間を入れましてー」

参謀「ましてー」

母「魔王様、魔王様お願いです、どうかお慈悲を……」

少女「助けて……氏にたくない……誰か、お母さん、助け――」

魔王「スイッチオン!」

3: 2014/08/13(水) 15:48:00 ID:yyHpKCjI

 ギュォォオオオ

 ゴォン ゴゥン ゴゥン

魔王「するとこの蛇口みたいなところから、ひき肉が出る」

 ミチミチッ ミチミチミチミチッ

魔王「これは良いひき肉かな、参謀ちゃん」

参謀「鉄くさいですねー」

魔王「じゃあ良いひき肉だねっ♪」

5: 2014/08/13(水) 17:34:03 ID:BU.Fw/2.
封神演義を思い出した

9: 2014/08/15(金) 11:45:10 ID:WIHDlOSs
魔王「村人ハンバーグ美味しかったねー」

参謀「舌の上でとろけるようでした」

魔王「明日もひき肉貰いに行こうか」

参謀「参謀に一つ良いアイデアがあります」

魔王「なぁに?」

参謀「大根おろしを乗せてみるというのはいかがでしょう」

魔王「……」

参謀「……ダメ?」

魔王「いいかも。大根も貰えるかな」

参謀「きっと貰えます。では今日はもう休みましょう」

魔王「参謀ちゃん一緒に寝よっ」

参謀「わーい」

10: 2014/08/15(金) 11:45:43 ID:WIHDlOSs
村長「悪魔を退治して頂きたい」

勇者「悪魔?」

村長「人の形に似た、人ならざる者」

勇者「……」

村長「長い尾と、大きな角とが特徴の」

勇者「……」

村長「人を喰らう怪物です」

11: 2014/08/15(金) 11:46:29 ID:WIHDlOSs
僧侶「お引き受けなさるんですか? 悪魔退治」

勇者「捨て置けないだろ」

僧侶「ですよね」

勇者「うん」

僧侶「勇者様はお優しいから、きっとそう仰ると思いました」

勇者「……」

僧侶「……」

12: 2014/08/15(金) 11:47:13 ID:WIHDlOSs
勇者「竜頭の火山に踏み込む前のレベル上げも兼ねてる」

僧侶「……ここを超えたら、もう」

勇者「ああ、魔王の根城は目の前だ」

僧侶「……」

勇者「……」

僧侶「私たち、無事に帰れますよね」

勇者「……わからない」

僧侶「……」

勇者「でも、何があっても」

僧侶「……」

勇者「僧侶さんだけは、守るから」

僧侶「……」ドキドキ

13: 2014/08/15(金) 11:47:55 ID:WIHDlOSs
僧侶「あ、あの、ところで、なんですけれど……」

勇者「うん」

僧侶「どうして私と勇者様が同じお部屋なのでしょうか」

勇者「戦士と魔法使いがいらん気を回したから」

僧侶「本当に、もう、困ってしまいますよね、あはは……」

勇者「……」

僧侶「……」

勇者「……正直」

僧侶「えっ?」

勇者「正直、少しありがたいと思ってる」

僧侶「……」ドキドキ

14: 2014/08/15(金) 11:48:36 ID:WIHDlOSs
魔王「参謀ちゃんくっつき過ぎだよ」

参謀「魔王さまー」

魔王「あっついよー」

参謀「やぁん、魔王様、邪険にしないで下さい」

魔王「参謀ちゃん体温高いんだもん」

参謀「魔王様に熱を上げているからです、えへへ」

魔王「なんでそんなに可愛いの」

参謀「魔王様っ、お腹まくらして下さい、お腹まくら」

魔王「いいよー、おいでおいで」ポンポン

参謀「わーい」

 ドスッ

魔王「角が痛いっ!」

15: 2014/08/15(金) 11:49:25 ID:WIHDlOSs
魔法使い「昨日の村長さんの話によると」

戦士「魔王を名乗る悪魔は夕刻頃、村の南からやってくる、と」

勇者「うん」

僧侶「ここで待っていれば、そろそろ」

戦士「悪魔と戦うのは初めてだな」

魔法使い「強いのかな」

戦士「村の男共が束になっても敵わねぇってよ」

魔法使い「ふぅん。……にしても、魔王って」

戦士「ここで魔王が出るんじゃ、この後俺たちが倒しに行く奴は誰なんだっつー話よな」

魔法使い「本物だったらどうする? 戦士、私の盾になってね」

戦士「本物は竜頭の火山から出てこねぇよ」

僧侶「あの、皆様、どうか油断なさらぬよう」

戦士「ああ、わかってる」

16: 2014/08/15(金) 11:50:09 ID:WIHDlOSs
魔王「なんか知らない人がいる。怖い」

参謀「出た! 魔王様の人見知り!」

魔王「……やっちゃう?」

参謀「やっちゃいますか」

魔王「振舞っちゃう?」

参謀「振舞っちゃいますか、村人ハンバーグ」

魔王「あれ取って来よう」

参謀「あれですね。大急ぎで取ってきます」

魔王「うん」

参謀「……」

魔王「……」

参謀「とろけるチーズであってますか?」

魔王「あってない」フルフル

17: 2014/08/15(金) 11:50:58 ID:WIHDlOSs
戦士「……何か来るぞ」ガシャッ

勇者「長い尾と、大きな角」

魔法使い「ふぅん、あれが悪魔か」

僧侶「……どうか、神のご加護がありますように」

18: 2014/08/15(金) 11:51:30 ID:WIHDlOSs
魔王「あの、あのっ」

参謀「魔王様がんばってー」

魔王「勇者さん御一行、だよね、たぶん」

勇者「……」

魔王「一緒に村人ハンバーグ作ろっ」

勇者「……」

魔王「昨日は自動のでやったけど、今日は、一緒にって思って」

勇者「……」

魔王「じゃーん、手動の『ひき肉ツクール』だよー」

参謀「大急ぎで取ってきました」

19: 2014/08/15(金) 11:52:08 ID:WIHDlOSs
魔王「手動だから、調節して、人間が食べやすいくらい細かく出来るよ」

勇者「……」

魔王「まぁ私はこりこり食感が残るくらいが好きだけど」

参謀「参謀もです」

魔王「あと手動はねー、楽しいよね」

参謀「楽しいです」

魔王「ゆっくり挽くから、中の人が結構長く生きてるの」

参謀「悲鳴がここの管を通ってですね、大口花の笑い声みたいに変ります」

魔王「ばきばきいう音も聞こえる」

参謀「参謀が設計しました」

魔王「すごい!」

参謀「嘘です」

魔王「嘘か」

勇者「……」

20: 2014/08/15(金) 11:52:43 ID:WIHDlOSs
勇者「お前達は、人間を食うのか」

魔王「ん? あ、これサンプル、昨日の残り」

参謀「焼いたらすぐ食べれます」

勇者「……血と糞尿の臭い、髪や衣服の破片が」

魔法使い「うわっ……」

戦士「もう、間違いなさそうだな」

魔王「あげる」

参謀「舌がとろけますよ」

魔王「そしたら新しい村人を獲りにいこー」

勇者「……ここで排除する」

 ブンッ

 ガシャンッ

魔王「あーっ!」

21: 2014/08/15(金) 11:53:18 ID:WIHDlOSs
魔王「こ、壊れた……?」

参謀「ああ、壊れちゃったかもです、凹んでる……」

勇者「ハッ!!」

 バシュッ

参謀「きゃっ!」

魔王「参謀ちゃん!」

魔法使い「cast-instant spell-『Incinerate』」

 ボッ

 ゴォォオオオオオ

魔王「わぁー逃げろー!!」ダッ

参謀「わぁ~!!」ダッ

勇者「追うぞ! 魔法使いと僧侶さんは援護を!」

22: 2014/08/15(金) 11:54:05 ID:WIHDlOSs
魔王「お、追いかけてくる!」

参謀「うぅ、ぐすんっ」

魔王「参謀ちゃん……」

参謀「服、破けちゃった……ぐすん」

魔王「……酷い!」

 バッ

魔王「なんで酷いことするの! 謝って!」

勇者「っ!!」ザッ

魔王「参謀ちゃんの服破けちゃったよ! 謝って!」

勇者「人喰いの悪魔が、服が破れたから謝れだと……?」

魔王「この服は参謀ちゃんが一生懸命作ったやつなのに!」

勇者「ふざけるな!」

魔王「『ひき肉ツクール』だって参謀ちゃんが走って取ってきてくれたのに!」

23: 2014/08/15(金) 11:54:41 ID:WIHDlOSs
参謀「新しい服はどういうのにしましょう」

魔王「素早い立ち直り」

参謀「布も貰って帰りましょう」

魔王「私も新しい服欲しい」

参謀「お任せあれ」

勇者「戦士! 一気に片付けるぞ!」

戦士「おう!」

参謀「ダメです。cast-summon spell-『Oversoul of Dusk』」

 ゴウッ

 ズズズッ

魔王「なんか大きいの出た!」

参謀「大霊さんです。大霊さん、まずは魔法使いさん狙って! そのあと村!」

魔王「私たちは?」

参謀「一旦距離を置きましょう」

24: 2014/08/15(金) 11:55:12 ID:WIHDlOSs
魔法使い「な、なによあれ……」

僧侶「大きい……」

魔法使い「こっちに向かってくる。やるしか、ないみたいね」

25: 2014/08/15(金) 11:56:22 ID:WIHDlOSs
魔王「あ、魔法使いさん氏んだ」

参謀「赤と青と黒の魔法が効かないことを見抜けなかったみたいですねー」

魔王「踏み潰されてぐしゃぐしゃになっちゃってる」

参謀「簡単に片付いてラッキーです」

魔王「この後はどうするの?」

参謀「魔法使いさんを倒したら村を襲うように指示してあるので」

魔王「ふむふむ」

参謀「それを阻止するために勇者さんと戦士さんが戦うはずです」

魔王「ふむふむ」

参謀「二人と大霊さんが相打ちくらいですね」

魔王「えっ、大霊さん倒されちゃうの」

26: 2014/08/15(金) 11:57:00 ID:WIHDlOSs
参謀「あの二人は素早そうなので、先制攻撃を仕掛けられたらまずいですね」

魔王「まずいんだ」

参謀「大霊さんの攻撃が届く前に一方的に倒されちゃいます」

魔王「ダメじゃーん」

参謀「なので、攻撃を仕掛ける瞬間、大霊さんに気をとられてる隙に」

魔王「隙に?」

参謀「cast-instant spell-『Lightning Bolt』」

 ズドンッ

参謀「戦士さんの心臓を稲妻で打ち抜きます」

魔王「唐突に戦士さんが氏んだ」

27: 2014/08/15(金) 11:57:37 ID:WIHDlOSs
参謀「すると勇者さんの攻撃だけでは大霊さんを倒しきれず」

魔王「大霊さんの攻撃を受けて、あ、勇者さんも氏んだ」

参謀「僧侶さんはどうしましょう」

魔王「泣いちゃってる」

参謀「びょおびょお泣いてます」

魔王「んー、僧侶さんには何にもされてないし……」

参謀「ですねー」

魔王「泣いちゃってるし、これ以上は」

参謀「これ以上は悪魔の所業です……」

魔王「うん……」

参謀「……」

魔王「……って参謀ちゃん悪魔じゃん!」

参謀「あっそうか! そしたら魔王様も魔王ですよ!」

魔王「あっホントだ!」

28: 2014/08/15(金) 11:58:18 ID:WIHDlOSs
僧侶「こんな……嘘です、こんな事って……」

勇者「」

戦士「」

魔法使い「」

僧侶「うぅ……起きて、下さいませ……勇者様……」

勇者「」

僧侶「あなたは、神啓あって立ち上がった、ぐすっ……選ばれし……」

勇者「」

僧侶「こんな、所で……倒れるはずが……」

勇者「」

僧侶「勇者様、起きて下さいませ、勇者様……」

勇者「」

僧侶「……ずっと、一緒にいて下さるって、言ったではありませんか……うぅ」

29: 2014/08/15(金) 12:00:00 ID:WIHDlOSs
魔王「一緒に村人ハンバーグ作ろー」

僧侶「ひっ……あっ、あぁ……」

魔王「『ひき肉ツクール』大丈夫みたい」

参謀「さすが参謀の設計です」

魔王「すごい!」

参謀「嘘です」

魔王「嘘か」

僧侶「ひ……いや……」

魔王「怖がらないで、平気だよ」

参謀「もう魔王様は夕飯のことしか頭にないです」

僧侶「……魔王」

魔王「魔王です。ぶい」

参謀「参謀は参謀です。ぶい」

30: 2014/08/15(金) 12:00:56 ID:WIHDlOSs
僧侶「……魔王は、竜頭の火山に」

魔王「それって火山の悪魔でしょ?」

参謀「火山の悪魔はすぐ魔王やりたがるからずるいです」

魔王「このまえ交代したから、今は私、空白の悪魔が魔王だよ」

参謀「わたくし霊樹の悪魔が今回の参謀をやってます」

僧侶「一体、何を……」

魔王「そんな事より村人ハンバーグ!」

参謀「あと布!」

魔王「何か忘れてる気がする」

参謀「何でしょう」

魔王「んー……あっ、大根?」

参謀「それだ!」

僧侶「……もう……うぅ……やめて、ぐすっ……」

魔王「えっ、なんで泣くの僧侶さん」

31: 2014/08/15(金) 12:01:28 ID:WIHDlOSs
僧侶「もう……何もかもおしまいです……」

魔王「そんな事ないよ! まだまだこれからだよ!」

参謀「ファイトがあれば立ち上がれます!」

僧侶「我々人間にとっての、最後の希望は潰えました……」

魔王「僧侶さん……」

僧侶「あなた方が、勇者様を……ぐすっ……よくも」

魔王「もしかして怒っていらっしゃる?」

僧侶「……よくも、よくも勇者様を!」

魔王「僧侶さんは情緒が安定しないみたい」

参謀「村人ハンバーグが必要です」

32: 2014/08/15(金) 12:02:04 ID:WIHDlOSs
僧侶「あなた方が! 勇者様を……! この方が、我々にとってどんなに大切か……」

魔王「んー」

僧侶「返して……勇者様を、返してください……ううぅ」

魔王「じゃあ生き返らせたらいいよ」

参謀「人間は氏ぬから不便ですねー」

僧侶「……えっ?」

魔王「参謀ちゃんあれ出して」

参謀「あれですね」

魔王「うん」

参謀「……チーズ」

魔王「ではない」

参謀「チーズではない。……乳製品」

魔王「指輪、黒いやつ」

参謀「これですっ!」テレーン

33: 2014/08/15(金) 12:02:40 ID:WIHDlOSs
魔王「この指輪を嵌めて、人間の命を千個集めてきて」

僧侶「……」

魔王「集めたら指輪と勇者さんを持って、私のところに来るの」

僧侶「……悪魔の言葉など誰が」

魔王「勇者さん生き返らせたいんでしょ? 大丈夫、悪魔は嘘つかないよ」

参謀「今まで一度も嘘付いたことないです」

僧侶「……」

魔王「まぁいいや。それあげるから、あとは好きにして」

参謀「魔王様、そろそろ」

魔王「そろそろ?」

参謀「そろそろお腹が減ったので」

魔王「じゃあ村人を獲りに行こう」

参謀「わーい」

34: 2014/08/15(金) 12:03:42 ID:WIHDlOSs
僧侶「……」

僧侶「勇者様が、おられなければ」

僧侶「……」

僧侶「どちらにせよ、世界は滅ぶ」

僧侶「……」

僧侶「勇者様……ぐすっ、勇者、様ぁ……」ポロポロ

35: 2014/08/15(金) 12:04:20 ID:WIHDlOSs
魔王「村が滅んでる!?」

参謀「大霊さん出したままだった!」

魔王「何か忘れてると思った!」

参謀「これだ!」

38: 2014/10/05(日) 10:30:45 ID:m3GMl5Wo
魔王「えー、行き付けの村がー、滅んでしまったのでー」

参謀「のでー」

魔王「次は街です」

参謀「広い!」

39: 2014/10/05(日) 10:31:35 ID:m3GMl5Wo
魚屋のおばさん「いらっしゃい」

魔王「お魚ください」

おばさん「どの魚にするかね」

魔王「この大きいやつ」

おばさん「あいよ、50Gだね」

魔王「……?」

おばさん「……あら、お金持って来てないのかい?」

魔王「持ってないよー」

おばさん「あらあら、忘れちゃったのかい。急いでお母さんに貰っておいで」

魔王「えー」

40: 2014/10/05(日) 10:32:18 ID:m3GMl5Wo
魔王「お魚を貰うにはお金が必要なんだって」

参謀「えー!? じゃあお魚貰えなかったんですか!?」

魔王「うん」

参謀「参謀はここでお腹を空かせて待ってたのに……」

魔王「ごめんー」

参謀「魔王様が任せてって言うから信じて待ってたのに……」

魔王「だって前の村にはお買い物システムなかったもん」

参謀「下さいって言えば貰えましたからね」

41: 2014/10/05(日) 10:33:14 ID:m3GMl5Wo
魔王「あの、あのっ」

通行人「ん? どうしたお嬢ちゃん」

魔王「あ、ええと、ええっと」

参謀「魔王様がんばってー! 人見知りも克服しましょう!」

通行人「珍しいアクセサリーだね、角と尻尾」

魔王「えっ? アクセサリーじゃないよ、生えてるもん」

通行人「おや、最近はそういうごっこが流行ってるのか」

魔王「ごっこ?」

通行人「いやいや、失礼、それで何か用かい?」

魔王「お魚を買いたいのでお金下さい」

通行人「お魚? お使いかな?」

魔王「お使いじゃないよ。でもお魚ほしい」

通行人「ふーむ……悪いけどやたらとお金をあげるわけにはいかないな」

魔王「えー」

42: 2014/10/05(日) 10:34:08 ID:m3GMl5Wo
通行人「主人、何かこの子達に出来る仕事は無いか」

酒場の主人「あーん? おうお前か、どうしたんだ?」

通行人「この子らなんだが、お金が必要らしくてね」

魔王「必要です」

参謀「早急に必要です。お腹が空いてます」

主人「おうお嬢ちゃんたち、珍しいアクセサリーだな」

魔王「アクセサリーじゃないもん」

主人「あーん?」

通行人「こらこら、子供のごっこ遊びに水を差すもんじゃない」

主人「あいあい。で、仕事が欲しいのか?」

魔王「仕事よりお金が欲しい」

参謀「もっと言えばお魚が欲しいです」

43: 2014/10/05(日) 10:36:58 ID:m3GMl5Wo
主人「あっはっは、面白いお嬢ちゃんたちだ」

魔王「笑われてる!」

参謀「たぶん魔王様が何か間違えましたね、参謀は間違えないので」

魔王「むー」

主人「悪い悪い。で、どんな仕事がいいんだ? 何が出来る?」

魔王「ええとー、魔法が使える」

参謀「参謀は、ええと……あっ! 魔法が使えます!」

魔王「かぶってる」

主人「魔法か、そりゃいい。重いものは運べるか?」

魔王「出来るよー」

参謀「参謀も出来ます」

主人「そうか、なら橋を作る仕事なんかどうだ?」

通行人「おいおい、河での仕事は危険なんじゃないのかい」

主人「なあに、木材を運ぶだけの仕事だ、それに魔法が使えるなら身も守れるだろ」

44: 2014/10/05(日) 10:38:07 ID:m3GMl5Wo
魔王「そんなこんなで街外れです」

参謀「酒場の主人さんがおにぎり作ってくれましたよ」

魔王「さっそく食べよー」

参謀「参謀もうお腹ぺこぺこです」

大工の棟梁「くぉらガキ共! 何いきなり休憩してやがる!」

魔王「もー、なにー」

棟梁「めしの時間はまだ先だ! さっさと木材運べ!」

魔王「何すればいいの?」

参謀「この木材を全部、河まで運ぶらしいです」

棟梁「魔法が使えるらしいじゃねぇか! 怪力出して荷車を引け!」

魔王「河は遠いなー、お腹減ってるのに」

参謀「ここと河を繋げちゃいましょう」

魔王「そだね。cast -sorcery spell- 『Teleportal』」

 ブウンッ

45: 2014/10/05(日) 10:39:05 ID:m3GMl5Wo
棟梁「な、なんだこりゃ、穴の向こうに河が見えるじゃねぇか……」

魔王「繋いだよー」

参謀「維持してて下さいね、荷車運んじゃうので」ガラガラ

魔王「はいよー」

参謀「荷車どこに置いたらいいですか?」ガラガラ

棟梁「お、おう、その河っぺりにでも……」

参謀「はいです、よいしょ……雨よけのシート被せますか?」

棟梁「ああ……」

参謀「できた。あとはなんですか?」

棟梁「……今日の仕事は、終わりだ」

参謀「終わりですか。魔王さまー、門もう閉じちゃっていいですよー」

魔王「はいよー」

 ブウンッ

46: 2014/10/05(日) 10:40:46 ID:m3GMl5Wo
魚屋のおばさん「いらっしゃい。おや、今度はちゃんとお金持ってきたかい?」

魔王「持って来たよー。木材運ぶお仕事した」

おばさん「仕事? お母さんのお使いじゃないのかい?」

魔王「お使いじゃないよ、お母さんいないもん」

おばさん「あらあ……あらあらあら、そうなのかい。そりゃあ、悪いこと言っちまったねぇ」

魔王「悪い? なんで?」

おばさん「ううん……ほら、一番大きい魚を持ってお行き」

魔王「やった!」

参謀「はいこれ、お金です」

魔王「早く帰ろう参謀ちゃん!」

参謀「お魚! 焼いて食べましょう!」

おばさん「ちょ、ちょっと、1000Gもあるじゃないか! 50Gでいいんだよ」

魔王「??」

47: 2014/10/05(日) 10:41:47 ID:m3GMl5Wo
魔王「お魚おいしいねー」

参謀「おいしいです。でも食べれるまで大変でした」

魔王「村人ハンバーグのほうが簡単だね」

参謀「ですね。でも、ここは村ではないので……」

魔王「うん、村人ハンバーグはもう……」

参謀「はい……」

魔王「……」

参謀「……」

魔王「……街人ハンバーグなら作れる?」

参謀「あっそうか! その手がありました」

魔王「じゃあ明日はそうしよー」

参謀「楽しみです」

おしまい

引用: 魔王「今日は村人ハンバーグを作ろー」