765:水族館にて 2006/08/15(火) 01:13:43.69 ID:KF7dNiH70
#「水族館にて」というSSです。
#先に投下した「買い物ツアー」というSSの続編です。
#単にキョンとハルヒが水族館でデートする話です。
#作者基準で甘めとなっています。
すったもんだのあげく、土曜日の不思議パトロールは非定期に行われることになった。
いつ開催するかはハルヒの気分次第であり、俺を除く3人はまさに安息日が得られる
ことなり、反応は各人違えど同じ空気を共有しているように見えた。
古泉はそろそろ僕も彼女を見つけるとしますかねといっていたし、
長門は図書館しか見えていないようだ。朝比奈さんは天使の笑顔を浮かべ、
これで土日はゆっくり実家で過ごせますとおっしゃっておられた
・・・それどこの時間平面の実家?
もっとも朝比奈さんの実家がどの時間平面にあってもかまわないのだが。
こんなモノローグをしているのは訳があって、今日はまた土曜日であり、いま俺はハルヒを待っている。
すったもんだのあげくハルヒは毎土曜日のイベントとして、俺とのデートを設定しやがった。
きっとつつく角度を間違えたのだろうと思う。各人しっかり反省して欲しいのだが、皆すたこらさっさと逃げてしまった。
まあ古泉はとにかく閉鎖空間さえ発生しなければいいし、長門はハルヒさえ観察できればよく、
朝比奈さんは何も考えていないようだが、朝比奈さんはそれでいいです。
#先に投下した「買い物ツアー」というSSの続編です。
#単にキョンとハルヒが水族館でデートする話です。
#作者基準で甘めとなっています。
すったもんだのあげく、土曜日の不思議パトロールは非定期に行われることになった。
いつ開催するかはハルヒの気分次第であり、俺を除く3人はまさに安息日が得られる
ことなり、反応は各人違えど同じ空気を共有しているように見えた。
古泉はそろそろ僕も彼女を見つけるとしますかねといっていたし、
長門は図書館しか見えていないようだ。朝比奈さんは天使の笑顔を浮かべ、
これで土日はゆっくり実家で過ごせますとおっしゃっておられた
・・・それどこの時間平面の実家?
もっとも朝比奈さんの実家がどの時間平面にあってもかまわないのだが。
こんなモノローグをしているのは訳があって、今日はまた土曜日であり、いま俺はハルヒを待っている。
すったもんだのあげくハルヒは毎土曜日のイベントとして、俺とのデートを設定しやがった。
きっとつつく角度を間違えたのだろうと思う。各人しっかり反省して欲しいのだが、皆すたこらさっさと逃げてしまった。
まあ古泉はとにかく閉鎖空間さえ発生しなければいいし、長門はハルヒさえ観察できればよく、
朝比奈さんは何も考えていないようだが、朝比奈さんはそれでいいです。
766: 2006/08/15(火) 01:14:39.07 ID:KF7dNiH70
ハルヒがやってきた。先週買ったフリルスカートがまぶしく感じる。ちょっと涼しくなってきたためか白いパーカを羽織っている。ぐっと来るものがあるのはハルヒに内緒にしているつもりだが、見透かされているような気もしなくない。
「おはよ、キョン」ハルヒはなぜかはにかむように言う。
「よう。ハルヒ」
とりあえず喫茶店に流れる。今日からは堂々とここでお茶を飲めるな、ハルヒよ。
「今日は、どこいく?」
あんだけ昨日電話で揉めて、今日はまず駅前でリアルファイトで決めることになった話題を蒸し返すか。もっともそんなことはケ口リと忘れるのがハルヒだし、俺もだ。
実際、電話が終わってからハルヒを連れてけそうなところをいくつかリストアップしたさ。先週買った情報誌でな。
「水族館に行ってみないか?」
「水族館になにがあるのよ。」ハルヒは首をひねった。
「生命の不思議、があるらしい。」
「なにそれ?」
「赤ちゃん特集がある」
「ふーん、まあ不思議は不思議よね。なんであたしたちが出会ったのかとか。」
人の話を聞け。というか、なぜそこなのだ?ひょっとして出発点のつもりか?
論理が飛躍してないか?
「おはよ、キョン」ハルヒはなぜかはにかむように言う。
「よう。ハルヒ」
とりあえず喫茶店に流れる。今日からは堂々とここでお茶を飲めるな、ハルヒよ。
「今日は、どこいく?」
あんだけ昨日電話で揉めて、今日はまず駅前でリアルファイトで決めることになった話題を蒸し返すか。もっともそんなことはケ口リと忘れるのがハルヒだし、俺もだ。
実際、電話が終わってからハルヒを連れてけそうなところをいくつかリストアップしたさ。先週買った情報誌でな。
「水族館に行ってみないか?」
「水族館になにがあるのよ。」ハルヒは首をひねった。
「生命の不思議、があるらしい。」
「なにそれ?」
「赤ちゃん特集がある」
「ふーん、まあ不思議は不思議よね。なんであたしたちが出会ったのかとか。」
人の話を聞け。というか、なぜそこなのだ?ひょっとして出発点のつもりか?
論理が飛躍してないか?
767: 2006/08/15(火) 01:15:27.74 ID:KF7dNiH70
水族館には電車を使う。電車に揺られること数十分で目的地に到着する。
「ところで、先週のゲームやった?」
「ああ。簡単だったぞ。」
「ツンデレってなんだったの?」
「最初は彼にツンツンしているが、仲良くなると彼にデレデレするタイプをいうらしい。」いろんなサブタイプがあるが、説明が面倒だ。「あのゲームはそういう子と仲良くなるのが目的だ。」
「仲良くなるとデレデレしちゃうのは当然だと思うけどね。」ハルヒは面白そうに言う。「で、ツンデレシステムって?」
「その子と仲良くするとデレデレの度合いが増すけど、その子以外の子と仲良くするしてると、ツンツンの度合いが増すという代物だ。」
「それも当たり前じゃない。意識してる相手が、別の子と仲良くしてるの見たなら、そりゃ冷たくもなるわよ。」ハルヒは笑顔のままでいう。「普通ならそこで”ああ脈なしか”って諦めちゃうって。それでも相手してくれるんだから逆に感謝すべきよ。
「そもそも意中の相手がいる前で、なんで他の子と仲良くすんのよ。それってすんごく失礼なのよ? そんなつもりがないんなら、最初から優しくするなっての」
そう興奮するな。なぜか俺が怒られているような気分になってくるし。
「ところで、先週のゲームやった?」
「ああ。簡単だったぞ。」
「ツンデレってなんだったの?」
「最初は彼にツンツンしているが、仲良くなると彼にデレデレするタイプをいうらしい。」いろんなサブタイプがあるが、説明が面倒だ。「あのゲームはそういう子と仲良くなるのが目的だ。」
「仲良くなるとデレデレしちゃうのは当然だと思うけどね。」ハルヒは面白そうに言う。「で、ツンデレシステムって?」
「その子と仲良くするとデレデレの度合いが増すけど、その子以外の子と仲良くするしてると、ツンツンの度合いが増すという代物だ。」
「それも当たり前じゃない。意識してる相手が、別の子と仲良くしてるの見たなら、そりゃ冷たくもなるわよ。」ハルヒは笑顔のままでいう。「普通ならそこで”ああ脈なしか”って諦めちゃうって。それでも相手してくれるんだから逆に感謝すべきよ。
「そもそも意中の相手がいる前で、なんで他の子と仲良くすんのよ。それってすんごく失礼なのよ? そんなつもりがないんなら、最初から優しくするなっての」
そう興奮するな。なぜか俺が怒られているような気分になってくるし。
769: 2006/08/15(火) 01:18:00.27 ID:KF7dNiH70
#数え間違えてました。すみません。
電車がホームに滑り込み、我々はホームに降り立った。いざいかん、水族館へ。
水族館はほどよく混んでいた。子供半分、カップル半分というところか。
ハルヒに手を引かれて、中に入る。見る気満々じゃねえか。
さまざまな展示水槽がある。海の魚はおいしそうだね。
「あの、ギラギラ光る魚はなに?」
「・・・マグロだ。」掲示板をみながら答える。
「ロボットじゃない、あれ」ハルヒは感嘆の様子だ。「電池で動いてそう。」
巨大なサメが泳いできた。でかいぞ、でかすぎる。あれは一体なんだ?
「ジンベイサメだって。」ハルヒは掲示板を読み上げる「魚類最大なんだって。主食はプランクトン?そんなんであんなに大きくなるんだ。」
確かに食べ物の総量として考えればプランクトンが一番多いだろうから理屈では分かるが、頭では理解できそうにない。
「うわ、おっきなエイ!」うわ、おっきな声。ハルヒの声は良く通る。「マンタっていうんだ。空飛ぶ絨毯みたいね。」
そうだな、あれで海の中を飛べたらいいな、とハルヒにあわせてみる。
「いい?キョン、飛ぶのは空で、海の中は泳ぐのよ。海の中を飛ぶなんて表現はおかしいの。それをいうなら、海の中を飛ぶように泳ぐっていわなきゃ。」
ああ、賢いね。ハルヒは。・・・まったく、話をあわせてみればこれだ。
電車がホームに滑り込み、我々はホームに降り立った。いざいかん、水族館へ。
水族館はほどよく混んでいた。子供半分、カップル半分というところか。
ハルヒに手を引かれて、中に入る。見る気満々じゃねえか。
さまざまな展示水槽がある。海の魚はおいしそうだね。
「あの、ギラギラ光る魚はなに?」
「・・・マグロだ。」掲示板をみながら答える。
「ロボットじゃない、あれ」ハルヒは感嘆の様子だ。「電池で動いてそう。」
巨大なサメが泳いできた。でかいぞ、でかすぎる。あれは一体なんだ?
「ジンベイサメだって。」ハルヒは掲示板を読み上げる「魚類最大なんだって。主食はプランクトン?そんなんであんなに大きくなるんだ。」
確かに食べ物の総量として考えればプランクトンが一番多いだろうから理屈では分かるが、頭では理解できそうにない。
「うわ、おっきなエイ!」うわ、おっきな声。ハルヒの声は良く通る。「マンタっていうんだ。空飛ぶ絨毯みたいね。」
そうだな、あれで海の中を飛べたらいいな、とハルヒにあわせてみる。
「いい?キョン、飛ぶのは空で、海の中は泳ぐのよ。海の中を飛ぶなんて表現はおかしいの。それをいうなら、海の中を飛ぶように泳ぐっていわなきゃ。」
ああ、賢いね。ハルヒは。・・・まったく、話をあわせてみればこれだ。
770: 2006/08/15(火) 01:20:00.06 ID:KF7dNiH70
気を取り直して赤ちゃん特集を覗く。
クラゲに始まり、クマノミ、アザラシ、ラッコ、カワウソ、ペンギンの子育てパネルとビデオ、展示がある。
詳しく書いて有りそうなパンフレットもおかれているが、あとで取ろう。
コウテイペンギンの子育てはかなり苛酷だ。繁殖時期になると外敵に邪魔されないために
海から数十キロも離れた場所に集まる。しかもそこは氷点下-60℃にもなろうかという地だ。
そこでつがいとなり、メスは卵をひとつだけ産み落とす。オスはそれを抱いて数カ月の間暖め続ける。メスは餌を取りにはるか海を目指し移動する。
雛が孵るまでにメスが帰ってこれなければ、子供の命はない。間に合うかメス、頑張れオス。
素直に感動している俺の横では、へえークマノミって性転換するんだって!ハルヒが騒がしい。
「おい、ハルヒ。コウテイペンギンのオスは飲まず食わずで何カ月も厳の冬で卵を抱き続けるんだぞ。」
「んーと、でも餓氏しそうになるとオスはとっとと子育て放棄しちゃうって書いてあるわよ。」ハルヒはいつのまにかパンフレットを手にしている。「やっぱだめね、オスは。」
・・・感動が台無しだ。おれの感動を返せ、ハルヒ。
クラゲに始まり、クマノミ、アザラシ、ラッコ、カワウソ、ペンギンの子育てパネルとビデオ、展示がある。
詳しく書いて有りそうなパンフレットもおかれているが、あとで取ろう。
コウテイペンギンの子育てはかなり苛酷だ。繁殖時期になると外敵に邪魔されないために
海から数十キロも離れた場所に集まる。しかもそこは氷点下-60℃にもなろうかという地だ。
そこでつがいとなり、メスは卵をひとつだけ産み落とす。オスはそれを抱いて数カ月の間暖め続ける。メスは餌を取りにはるか海を目指し移動する。
雛が孵るまでにメスが帰ってこれなければ、子供の命はない。間に合うかメス、頑張れオス。
素直に感動している俺の横では、へえークマノミって性転換するんだって!ハルヒが騒がしい。
「おい、ハルヒ。コウテイペンギンのオスは飲まず食わずで何カ月も厳の冬で卵を抱き続けるんだぞ。」
「んーと、でも餓氏しそうになるとオスはとっとと子育て放棄しちゃうって書いてあるわよ。」ハルヒはいつのまにかパンフレットを手にしている。「やっぱだめね、オスは。」
・・・感動が台無しだ。おれの感動を返せ、ハルヒ。
771: 2006/08/15(火) 01:21:02.76 ID:KF7dNiH70
外にはイルカ・クジラショー会場がある。開演時間を調べるとちょうど頃合いだ。
「クジラだって、すごそう」
「クジラのショーって珍しいんじゃないか?」
ハルヒをせかして、よく見える席をなんとかキープ出来た。
「ノド、かわいちゃった。」子供のようにキラキラした目で訴えないでほしい。
買いに行くしかなくなる。・・・ちょうど会場の横で臨時の売店が出来ていた。
「なにがいい?」
「キョンと同じでいいよ。」
「ほかになんか欲しいか?」
「ポップコーン。なければなんかつまめるもの。」
酔いどれ親父か、おまえは。
売店でコーラを2本と特大ポップコーンを購入。
すぐハルヒのところに戻った。
「ありがとう」ハルヒが礼を言うなんて始めてかもしれない。
コーラをハルヒに渡し、ポップコーンを二人の間に置く。
「んーあたしイルカショーなんてみるの、ホント子供の時以来なの。楽しみ」などとうれしそうなハルヒをみていると、こっちもうれしくなるな。いや、今日はここでよかった。
「クジラだって、すごそう」
「クジラのショーって珍しいんじゃないか?」
ハルヒをせかして、よく見える席をなんとかキープ出来た。
「ノド、かわいちゃった。」子供のようにキラキラした目で訴えないでほしい。
買いに行くしかなくなる。・・・ちょうど会場の横で臨時の売店が出来ていた。
「なにがいい?」
「キョンと同じでいいよ。」
「ほかになんか欲しいか?」
「ポップコーン。なければなんかつまめるもの。」
酔いどれ親父か、おまえは。
売店でコーラを2本と特大ポップコーンを購入。
すぐハルヒのところに戻った。
「ありがとう」ハルヒが礼を言うなんて始めてかもしれない。
コーラをハルヒに渡し、ポップコーンを二人の間に置く。
「んーあたしイルカショーなんてみるの、ホント子供の時以来なの。楽しみ」などとうれしそうなハルヒをみていると、こっちもうれしくなるな。いや、今日はここでよかった。
772: 2006/08/15(火) 01:21:44.74 ID:KF7dNiH70
イルカショーが始まるころには、コーラは2本目、ポップコーンはすでに無かった。
食い足りないと訴えるハルヒに、これ見たら昼飯にしようといって納得させた。
その後は、くるくる回るイルカ、くす玉を割るイルカ、ジャンプするイルカ、人を乗せて泳ぐイルカなどなど、プールを動きまわるイルカを楽しむ。
次はクジラの番だ。15m以上のマッコウクジラが登場するのかとわくわくしたが、小さなクジラが登場した。ごつごつしたイルカじゃないか。・・・分かってる。俺が期待し過ぎるのがいけないんだ。
ハルヒは無邪気にイルカショーを楽しんでいるようで、こういうときのハルヒは妙に幼く感じてしまう。が、年相応の色気というか魅力というものもあって。
いかんいかん、なにを考えているんだ、俺は。まだまだ昼間だというのに・・・って
そういうことを考えている訳じゃ無いぞ。ハルヒ?
「なに?」
しまった。声にだしてしまった。
「いや、なんでもない。」
「ふふっ、呼んでみたってやつ?」ハルヒのニヤニヤ笑いを消したい。
ああ、恥ずかしい。あの輪っかにでも首を吊れば楽になるだろうか。
食い足りないと訴えるハルヒに、これ見たら昼飯にしようといって納得させた。
その後は、くるくる回るイルカ、くす玉を割るイルカ、ジャンプするイルカ、人を乗せて泳ぐイルカなどなど、プールを動きまわるイルカを楽しむ。
次はクジラの番だ。15m以上のマッコウクジラが登場するのかとわくわくしたが、小さなクジラが登場した。ごつごつしたイルカじゃないか。・・・分かってる。俺が期待し過ぎるのがいけないんだ。
ハルヒは無邪気にイルカショーを楽しんでいるようで、こういうときのハルヒは妙に幼く感じてしまう。が、年相応の色気というか魅力というものもあって。
いかんいかん、なにを考えているんだ、俺は。まだまだ昼間だというのに・・・って
そういうことを考えている訳じゃ無いぞ。ハルヒ?
「なに?」
しまった。声にだしてしまった。
「いや、なんでもない。」
「ふふっ、呼んでみたってやつ?」ハルヒのニヤニヤ笑いを消したい。
ああ、恥ずかしい。あの輪っかにでも首を吊れば楽になるだろうか。
773: 2006/08/15(火) 01:23:36.31 ID:KF7dNiH70
俺の自殺ショーは取りやめだ。腹が減ったので、水族館内のレストランに移動する。
シーフードカレー大盛り二つ。サラダ二つ。アイスひとつというのが昼食のメニューだ。
ハルヒはいつものごとく旺盛な食欲を発揮した。それに負けていると自分の分がなくなるので、俺も食べる。そのお陰でサラダを1/3程度食べられるという軽微な被害で済んだ。
なんで人の分まで奪って食べようとするのかといえば、単に俺が食べてないからであり、一緒にいる以上、あたしが食べて良いというのがハルヒの主張である。
かといって、たとえばハルヒのアイスに一口つけようものなら激怒するだろうことは容易に想像できるわけで、おとなしくハルヒがアイスを食べ終わるのを待つしかない。
「あんたも食べれば良かったのに。」にこにこしながらハルヒがいう。「おいしいよ、これ。」
「そうか。」確かに食べれば良かった。この時期にアイスかよなどと思った俺がバカだったことは認めよう。とてもうまそうに見える。
「あげようか?」スプーンにアイスを乗せてニヤニヤ笑いを浮かべるハルヒが悪魔に見える。「ほら、あーんして?」
くっ、これ以上の屈辱にまみれるわけには。
「ほらほら」スプーンが近づいてきた。「おいしいわよ。」
ああ、パクリといったさ。パクリと。ああ、この時期のアイスもおいしいよなおいしいよアイス。
周囲のテーブルからくすくす笑いが聞こえてきた。み、見られていたのか?
「まだ、あるわよ」悪魔がまたスプーンでアイスをすくう。「食べる?」
謀ったな、ハルヒ。
「あんたが、坊ちゃんなのがいけないのよ。」ニヤニヤ笑いを浮かべながら、ハルヒがスプーンを近づけてきた。「もうすこし大人におなりなさい?」
シーフードカレー大盛り二つ。サラダ二つ。アイスひとつというのが昼食のメニューだ。
ハルヒはいつものごとく旺盛な食欲を発揮した。それに負けていると自分の分がなくなるので、俺も食べる。そのお陰でサラダを1/3程度食べられるという軽微な被害で済んだ。
なんで人の分まで奪って食べようとするのかといえば、単に俺が食べてないからであり、一緒にいる以上、あたしが食べて良いというのがハルヒの主張である。
かといって、たとえばハルヒのアイスに一口つけようものなら激怒するだろうことは容易に想像できるわけで、おとなしくハルヒがアイスを食べ終わるのを待つしかない。
「あんたも食べれば良かったのに。」にこにこしながらハルヒがいう。「おいしいよ、これ。」
「そうか。」確かに食べれば良かった。この時期にアイスかよなどと思った俺がバカだったことは認めよう。とてもうまそうに見える。
「あげようか?」スプーンにアイスを乗せてニヤニヤ笑いを浮かべるハルヒが悪魔に見える。「ほら、あーんして?」
くっ、これ以上の屈辱にまみれるわけには。
「ほらほら」スプーンが近づいてきた。「おいしいわよ。」
ああ、パクリといったさ。パクリと。ああ、この時期のアイスもおいしいよなおいしいよアイス。
周囲のテーブルからくすくす笑いが聞こえてきた。み、見られていたのか?
「まだ、あるわよ」悪魔がまたスプーンでアイスをすくう。「食べる?」
謀ったな、ハルヒ。
「あんたが、坊ちゃんなのがいけないのよ。」ニヤニヤ笑いを浮かべながら、ハルヒがスプーンを近づけてきた。「もうすこし大人におなりなさい?」
775: 2006/08/15(火) 01:24:38.60 ID:KF7dNiH70
新手の羞恥プレイはたまた精神攻撃に俺のHPはダメージ大である。
しかし、いまならファウストの気持ちが分かる。ハルヒにちょっとした復讐ができるなら、悪魔とでも契約を結ぶさ。
もっともハルヒがおれにとっての悪魔で、すでに契約完了している可能性もあるのだが。
そのことは考えたくないね。
いまは水族館を出て、海の見える公園にいる。てすりにもたれて失ったHPを回復すべく潮風にあたっている。ここちよい風が頬をなでる。ついでにハルヒの黒髪も頬をなでてこれはくすぐったい。近いぞ、ハルヒ。
二人で海をながめていると、ハルヒのトンデモパワーとそれを巡るほんの少しの冒険がまるでウソのように感じられる。
いまのハルヒは単なる可愛い女の子であり、俺はちょっとひねくれた語り部というだけだ。交わるべくして交わったのか、それとも単なる偶然なのか。
「ふふっ」とハルヒの弾けるような笑いが聞こえた。
「ホント、ツンデレってうまい言い方よね」ハルヒは形のいい唇を笑いで彩った。
「あんたが、あたしにツンデレってことよね。二人っきりだとデレデレしちゃって。こないだの公園でもそう。ほんと、やらしいんだから。」ハルヒがそっと寄り添ってきた。
「さっきのアイスだって、みんながいたら絶対食べないでしょう?」
「そうだな。」その時、悪魔が心に舞い降りた。
その契約書にはハルヒへのささやかな復讐方法が書いてある。しかしそれを実行すればハルヒという悪魔との契約が一生解除されないかもしれない・・・どうする?
考えるまでもないね、そんなの。いまに始まったことじゃないぜ。
「あんた本当にツンデレね。」ハルヒはつややかな唇を突き出すようにいう。「ま、そうと分かればこれからの付き合いも」
ハルヒの唇を軽く奪った。やればできるもんだね、俺も。
真っ赤になったハルヒが、唇を押さえて絶句した。目を大きく見開いて、いまあった出来事が信じられないようだ。・・・暗がりなら平気なのにな。
おしまい。
しかし、いまならファウストの気持ちが分かる。ハルヒにちょっとした復讐ができるなら、悪魔とでも契約を結ぶさ。
もっともハルヒがおれにとっての悪魔で、すでに契約完了している可能性もあるのだが。
そのことは考えたくないね。
いまは水族館を出て、海の見える公園にいる。てすりにもたれて失ったHPを回復すべく潮風にあたっている。ここちよい風が頬をなでる。ついでにハルヒの黒髪も頬をなでてこれはくすぐったい。近いぞ、ハルヒ。
二人で海をながめていると、ハルヒのトンデモパワーとそれを巡るほんの少しの冒険がまるでウソのように感じられる。
いまのハルヒは単なる可愛い女の子であり、俺はちょっとひねくれた語り部というだけだ。交わるべくして交わったのか、それとも単なる偶然なのか。
「ふふっ」とハルヒの弾けるような笑いが聞こえた。
「ホント、ツンデレってうまい言い方よね」ハルヒは形のいい唇を笑いで彩った。
「あんたが、あたしにツンデレってことよね。二人っきりだとデレデレしちゃって。こないだの公園でもそう。ほんと、やらしいんだから。」ハルヒがそっと寄り添ってきた。
「さっきのアイスだって、みんながいたら絶対食べないでしょう?」
「そうだな。」その時、悪魔が心に舞い降りた。
その契約書にはハルヒへのささやかな復讐方法が書いてある。しかしそれを実行すればハルヒという悪魔との契約が一生解除されないかもしれない・・・どうする?
考えるまでもないね、そんなの。いまに始まったことじゃないぜ。
「あんた本当にツンデレね。」ハルヒはつややかな唇を突き出すようにいう。「ま、そうと分かればこれからの付き合いも」
ハルヒの唇を軽く奪った。やればできるもんだね、俺も。
真っ赤になったハルヒが、唇を押さえて絶句した。目を大きく見開いて、いまあった出来事が信じられないようだ。・・・暗がりなら平気なのにな。
おしまい。
776: 2006/08/15(火) 01:26:41.51 ID:+NO0JG160
ハルヒがツンデレというよりも弟をおちょくる姉という感じだったが乙
795: 2006/08/15(火) 01:55:27.51 ID:RxcFpPdj0
>>792
個人的に一番待ってた。
個人的に一番待ってた。
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります