239: 2011/01/07(金) 16:27:43.67 ID:nvSx5Gc0
その老人が教会に入ってきた時
年若いシスターたちは皆、外出していた

「あのぅ」

インデックス「はいはい、ちょっとお待ちくださいな」

だから、インデックス自ら応対する
引退してこの教会の責任者になって10年
インデックスが雑務をしようとすると
みんな、「そんな貴女さまがすることではない」と言って
止めるので、実はすこし嬉しい

インデックス「どのようなご用件ですかな」

その老人はインデックスと同じくらいの年齢だろうか
東洋人で、真っ白だがつんつんとした髪を持ち……

「……インデックス、ひさしぶりだな」

インデックス「まさか」

「わしじゃ。当麻だよ」

そう言って、老人――当麻は笑った
50年前と同じ笑顔で
とある科学の超電磁砲

240: 2011/01/07(金) 16:28:13.38 ID:nvSx5Gc0
インデックス「イギリスにはいつ?」

当麻「昨日だ。息子がこっちに単身赴任しとっての、その事をステイルに話したら近くにお前が住んでいるときいての。息子の顔を見に行くついで寄ったんじゃ」

インデックス「もしかしてMr.御坂?」

当麻「しっとるのか」

インデックス「ウチのシスターたちが、困ってるとこ助けてもらったんだよ」

つい最近の事だ。若いシスターたちが
買い出し途中にバッグが破けてしまって困っていた所を、
荷物を拾って教会まで一緒に運んでくれた中年男性がいた
かれのツンツン頭が妙に懐かしく、
ファミリーネームを聞いて、もしかしたらと思っていた

当麻「そうか。世間はせまいのう」

インデックス「ウチの若い子たちがかっこいいと騒いでたんだよ」

当麻「まったく、嫁に言いつけてやらんとな。誰に似たのか、……やっぱり女房か」

インデックス「間違いなくとーまなんだよ」

当麻「でも、女房のほうが女子にもてたぞ」

真顔で当麻が言い切る
相変わらずだと思う
きっと、いまでもあの頃のままなんだろう

241: 2011/01/07(金) 16:29:10.36 ID:nvSx5Gc0
インデックス「あの子ももてたけど、とーまになんだよ」

当麻「”も”とはなんじゃい、”も”とは。日本語は正しく使え」

インデックス「確かに日本語を使うのは久しぶりだけど、とーまよりはちゃんと使えてるんだよ」

当麻「どういう意味じゃ」

インデックス「ま、それは置いといて。息子さんのトコにはもう行ったの?」

当麻「いんや、まだじゃ」

インデックス「ならそろそろ行ってあげたら? しばらくはこっちに滞在するんでしょ」

当麻「まぁな」

インデックス「次は息子さんといっしょに遊びに来て。歓迎するんだよ」

当麻「なら、お暇するかのぅ。孫娘のクッキーも預かっとるしの」

言いながら、手荷物を抱えて当麻が立ち上がる
そのゆっくりとした動作が年月を実感させる

インデックス「またね」

当麻「またな」

もう、「ただいま」と「おかえり」を
互いに言い合う事はないけど
「またね」と言える事の
ありがたさが嬉しい




242: 2011/01/07(金) 16:30:59.96 ID:nvSx5Gc0
以上です

前にも同じような事を言った気がしますがよくある「インデックスはイギリスに帰った」は
むしろ創作意欲を刺激されます

お目汚し失礼しました

引用: ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-21冊目-【超電磁砲】