521:Baby 2011/01/10(月) 17:49:45.06 ID:mmOyN8/E0
7,8レスもらいます

浜滝と通行止め要素あり

でも主役は当麻さん

522: 2011/01/10(月) 17:50:52.23 ID:mmOyN8/E0
そこには何も無かった
暗いと感じる事のできる心は残っていたが
肉体は存在していないように思える

漂うと表現して良いのかさえ
不明瞭なその状態が
どのくらい続いたのだろうか

時間を計る目安になるものどころか
体内時計さえ無い以上
想像する事もできない

だが、突然
小さな光を感じ取る
久しぶりの眩しさに
思わず無い瞼を
閉じようとする

その光は瞬く間に広がっていき
上条当麻の意識が再び目覚めていく……


523: 2011/01/10(月) 17:51:28.70 ID:mmOyN8/E0
顔があった

天を覆わんばかりの大きな男女

当麻(な、なんだこいつら!)

周囲を見渡そうとするが
なぜか首が動かない

思わず叫び声をあげる

当麻「だぁ」

浜面「お、こっちを見たぞ」

理后「うん、はまづらのこと、わかってるみたい」

浜面「ああ、そうだな。なんかうれしいなぁ。……あと、名字で呼ぶのやめて。今はお前も浜面だから」

理后「うん。あと、この子も」

当麻(こ、こいつらがおおきんじゃなくて……)

当麻が小さい
その事にようやく気がつく
そして、それは……

理后「きめてくれた?」

浜面「ああ、昔であったヒーローが言ってた『世界を救って消えてしまった少年』の名前をもらって……」

「当麻、この子は浜面当麻だ!」

当麻(被った! 前世? と被った!)

こうして、上条当麻(高校生)は
浜面当麻(乳幼児)として生きていく事となった
なぜか、上条としての記憶を持ったまま

524: 2011/01/10(月) 17:52:06.58 ID:mmOyN8/E0
理后「あくせられーた」

当麻(げ!)

一方「おゥ、オマエのとこは男だってなァ」

母の押すベビーカーに揺られて街を行く
同じ街並みのはずなのに、巨大化して見えるそれに
今の現実を思い知らされていると、
道路の反対側の道から
ベビーカーを押す知り合いがやってきた

……浜面当麻としては初対面だけど

理后「うん。とうまってつけたの。あくせらのとこは?」

一方「ウチはまだだな。世話ンなった黄泉川と芳川から名前貰うってとこまでは嫁も賛成なンだがァ」

親同士が話していると、一方通行の押すベビーカーの中の女の子が
当麻に手を伸ばして髪の毛を引っ張ろうとする
ちょっと痛い

526: 2011/01/10(月) 17:53:25.16 ID:mmOyN8/E0
「浜面さん!」

当麻の母を呼びとめる声
しかし、この声はまさか……

理后「みさか」

上条当麻の知っている人物の中では
御坂美鈴に一番似ていると思う
しかし、美鈴よりも幼さの残るその人は……

上条(……御坂、美琴)

ビリビリ、御坂、美琴
そう、上条が呼んでいたその少女が
綺麗な女性となって立っている

美琴「お久しぶりね」

理后「ひさしぶり。日本には何時?」

美琴「ついさっきよ。相棒はシスターとしての仕事があって、まだイギリスだけど、今週中には戻るわ」

理后「そう。あ、このこウチの子」

美琴「かっわいい! はじめまして御坂美琴です!」

美琴が当麻の顔を覗きこんでくる
懐かしさと寂しさが当麻の胸に流れ込む

527: 2011/01/10(月) 17:53:58.42 ID:mmOyN8/E0
美琴「ね、名前は?」

理后「とうま」

美琴「……とうま?」

理后「うん」

一瞬、美琴の顔が強張るのがわかった
でも、またすぐに笑顔に戻り

美琴「とんでもない名前を付けられちゃったね」

当麻「だぁ(どういう意味だよ!!)」

美琴「将来はおんなたらしになるわね」

当麻「だぁ(そんなわけねーだろ!)」

美琴が上条の頭を撫でながら
目を細めて

美琴「だって、私ともうひとりの……」

「女の子を、ふたりも待たせ続けてるバカと同じ名前よ」

当麻「……だぁ」

理后「みさかもいんでっくすも、女の子って年じゃ……」

美琴「う、うるさいわね!」

伝えたい言葉は山ほどあるのに
当麻ののどは其れを音に変換する事はできない

そしてそれを伝えるべきなのは「上条当麻」であって
「浜面当麻」に伝える資格はない

ここにいる人と、イギリスにいる人
そのどちらにも

528: 2011/01/10(月) 17:54:28.99 ID:mmOyN8/E0
浜面「おおきくなれよー」

当麻「だぁ」

にやけ面の父親の覗きこまれながら
今日、再会した二人の事を思う

いや、再会なのは当麻の方だけだが

当麻(命がけで世界を救うってのも考え物だな……)

あの時はああするしかなかった
後悔はない
でも、それによって親しい人たちが
どう思うのか、よく考えてなかったのかもしれない

浜面「へへへ」

上条「だぁ」

ジタバタしても仕方ない
不本意だが時間はたっぷりあるのだ
この人のもとでじっくりと考えよう

当麻がどうあるべきなのかを



529: 2011/01/10(月) 17:56:45.48 ID:mmOyN8/E0
以上です

古本屋で冒頭だけ立ち読みした某漫画にインスピレーション受けて書きました

お目汚し失礼しました

628: 2011/01/11(火) 22:46:30.41 ID:dMFT9h++0
打ち止め「と言う訳でお願いね、お姉様」

美琴「ま、仕方ないわね」

当麻「だぁ(なんで、こんな事に……)」

浜面当麻の母、理后は極めて珍しい能力の持ち主であり
様々な機関に研究協力している
そのため、たまに当麻を近所の一方通行のもとに預ける
だが、今日は一方通行と打ち止めも都合が悪いという事で

打ち止め「ごめんね、せっかくのお休みなのに……」

美琴「ま、いいわよ。この美琴先生にどーんと任せておきなさい!」

ヨシミ「だぁだぁ」

当麻「……だぁ」

一方通行の娘とともに
御坂美琴の世話になる事に

「上条当麻」の記憶的に
微妙にキツイ。いや、かなりキツイ

629: 2011/01/11(火) 22:46:59.27 ID:dMFT9h++0
美琴「えっーと、ミルクの後はげっぷをさせるんだっけ?」

美琴が当麻を抱きあげながら
机の上の育児書に目を落とす

当麻の小さな体を包む
美琴の暖かさに瞼が重くなっていく

その時に、

「ただいまー」

今、当麻を抱きあげている人と
同じくらい「上条当麻」としての記憶が
求めている人の声が

美琴「おかえり、インデックス。早かったじゃない」

インデックス「飛行機がすいてたんだよ」

美琴「早さに関係ないわよ、それ」

インデックス「そうかも」

伸びた背と、女性らしくなった体つき
昔みた、イギリス清教の偉い人に似ている
でも、その発散する空気は変わっていない

630: 2011/01/11(火) 22:47:45.02 ID:dMFT9h++0
インデックス「その子たちが?」

美琴「そう、姪のヨシミと、浜面さんとこの当麻君」

インデックス「……とうま?」

美琴「そう、当麻……」

インデックスが美琴の腕の中の当麻を
見下ろして微笑んで

インデックス「ヒドイ名前付けられちゃったね」

当麻「だぁ(お前もそういう事言うんかい!)」

インデックス「確実に浮気性だね」

当麻「だぁ(シスターが赤子の将来に何言ってんの!)」

インデックス「でも、絶対にいい子になるよ」

美琴「うん、……そうね」

当麻「……だぁ」

もしも時間が戻るなら
「上条当麻」としてこの二人に
言わなくてはならない事がたくさんあるはずだ

でも、時は進むしかない

現に、進んでいた
当麻をひとり置き去りにして

631: 2011/01/11(火) 22:48:20.63 ID:dMFT9h++0
当麻「……だぁ(やべぇ、大きいほう)」

おむつの中が気持ち悪い
乳幼児になってしまった以上
仕方ない事だが、自分でトイレにいけないのは辛い

当麻「だぁ(さてと、誰かよばねぇと)」

最初はおむつを替えられる事に、抵抗があった
体勢が異様に恥ずかしくて
だが、現実の非情さの前に
慣れるしかなかった

当麻「びぇー(泣いて今いる人を……ん?)」

いま、この家にいるのは
一方通行の娘ヨシミ(乳幼児)
そして「上条当麻」として良く知っている

当麻(御坂とインデックスじゃん! 今いるの!)

嫌だ
あの二人におむつをかけられるのは
絶対に嫌だ

当麻(が、我慢だ! お袋か打ち止めが迎えにくるまで!)

おむつの中の嫌な感触に耐えながら
当麻は時間が過ぎ去るのを祈る

あの二人にいろいろ見られるのは
すごく、困る

632: 2011/01/11(火) 22:48:56.10 ID:dMFT9h++0
美琴「なんか、臭わない?」

インデックス「わ、私じゃないんだよ。こういうのは言いだしっぺが……」

美琴「ヨシミは違うわね。うん、良く寝てる」

インデックス「……無視はないかも」

当麻(やべぇ)

二人が近づいてくる
ヨシミの匂いを確認した後
当麻を抱きあげて

美琴「あ、この子じゃない」

インデックス「おむつの替えを取ってくるんだよ」

やばいと思ってもどうする事も出来なかった
だって赤ちゃんなんだもん

633: 2011/01/11(火) 22:49:27.04 ID:dMFT9h++0
美琴「これでよし!」

インデックス「じゃ、古いオムツを捨てておくんだよ」

美琴「お願いね」

当麻「だぁ(ちくしょー)」

全部見られてしまった
この凸凹コンビに
もう、どうしようもない……

美琴「しかっし、オムツ気持ち悪いはずなのに泣かなかったわね」

インデックス「そうだね」

美琴「当麻だからかな」

インデックス「当麻だからなんだよ」

そう言って二人は顔を見合わせて笑う

当麻(なんか、仲良くなったな)

上条当麻の知っている二人は
さほど仲が良くなかったと思う
少なくとも上条の前では
意地を張り合っている印象だった

634: 2011/01/11(火) 22:49:55.04 ID:dMFT9h++0
美琴「さ、ヨシミと、この子のミルク作ってくる」

インデックス「手伝うんだよ」

上条(俺のいない間にかな)

上条のいない何年か
その間に二人の関係は変わったのだろう

でも

美琴「で、あのバカはいつかえってくるんだろ」

インデックス「早く帰ってこないとひどいんだよ」

楽しそうに笑う二人
多分、変わらないところもあって

上条「だぁ」

だから、変わらない心と
変わってしまった体がもどかしい

いつか、ふたりが幸せを掴めるように
ただ、祈る事しかできないから



635: 2011/01/11(火) 22:51:37.97 ID:dMFT9h++0
以上です

最初にオリキャラ注意と書くの忘れてました。申し訳ない
一方さんの娘「ヨシミ」乳幼児です

お目汚し失礼しました


引用: ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-21冊目-【超電磁砲】