役場「え…」

男「……あれ？ないんですか？ツチノコだけ見てお金は払うつもり…ない？」

役場「……」

男「はぁ……この話はなかったことに。隣町でも懸賞金一億らしいですし。向うの村起こしに使ってもらおう」

役場「ま、まってください」

男「……まだ何か」

役場「…い、今から村長に話を通してきますので……しばし……時間を（ｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸ」

男「…ここで？何分くらいまてば？お茶もでないの？」

役場「す、すぐに持ってこさせますから……どうか……どうか」

男「…ふん」

役場「かくかくじかじか」

村長「はは、ツチノコなんているわけないだろう。追い返せ」

役場「で、でも」

村長「冷静に考えてみろ……いるとおもうか？」

役場「………いないです」

村長「だろ？追い払え」

役場「はい…」


男「おそいよ。15分もまったよ。で、どうだったの」

役場「……申し訳ありませんがお引き取りを…」

男「………え？どういうこと？ツチノコ……いらない？」

役場「……」

男「あー、そうーいらないんだーツチノコ。隣のたけのこ村にもっていっちゃおうかなー」

役場「……どうかお引き取りを…」

男「……ふーん、そう……おじさん、今カメラとか何ももってない？」

役場「…はい、なにもありませんが……」

男「……見る？ツチノコ…」

役場「えっ」

男「何も持ってない。他言無用なら、おじさんに個人的に見せてあげてもいいけど」

役場「……たいです」

男「ん？なんて？きこえない」

役場「みたいです」

男「ふふん……いいだろう」

ガサゴソ

男「ほら」

役場「こ…これは！！！！！！！」

男「すごいでしょ。ツチノコ」

役場（馬鹿な、本当にいたというのか。これはまぎれもなく、いや、しかし。でもそんな、まさか）

男「あれーまだ疑ってる？しょうがないなぁ……ちょっと離れてて…ほい！」

ぴょーん

役場（はねた！！！！！間違いない！！！これは本物の…！！！！！）

男「はい、おしまいね」しまいしまい

役場「ま、まってください！どうか！どうか！」

男「え、何？もう見せたよね？十分堪能したよね？ツチノコ」

役場「は、はい堪能させていただきました」

男「じゃあさ、もう用事ないよね？お宅は要らない。僕は他の村に、違う？」

役場「も、もう少し時間を！！！村長を説得してきますから！！！！」

男「いや、いいよ。説得しなくて。隣の村行って売った方がはやい」

役場「そんな！どうか、お願いします！どうか！！！！」

男「はぁー。あのさ、さっき交渉決裂したわけよ……」

役場「どうか！！！どうか！！！！」

男「……じゃあ君の口から村長説得してつれておいてでよ。3分だけ待ってあげるからさ」

役場「は、はいぃぃぃ」



役場「村長！！！村長！！！」

村長「なんじゃ騒々しい。さきのツチノコ持ってきた若者は追い払ったのか？」

役場「大変です。本物の…本物のツチノコです」

村長「……わっはっは、そんなことあるか」

役場「本当なんです…この目で…しかと！！！はねました」

村長「……」

役場「3メートルほど……垂直に！！！」

村長「……ふ、ふん、どうせ」

役場「もうすぐでたけのこ村に持って行かれますよ！！！」

村長「えっ」

役場「ですからぁ！！！早くしないと！！！本物のツチノコが！！！隣のたけのこ村に売られて！！！」

村長「……」

役場「村おこしに！！！」

村長（隣のたけのこ村もたしか一億の……）

役場「村長！！！！」

村長「……まだいるのかね？ツチノコ持った男」

役場「は、はい！！！」



男「……お」

村長「ごほん、待たせて申し訳ないね」

男「……本当に待ちましたよ。はぁ」

村長「…それで、その……ツチノコは？」

男「えー？……みたいの？」

村長「いや…その……うむ…」

男「じゃあまず一億みせてよ」

村長「えっ」

男「ん？だめなの？一億くれ、ってんじゃなくて、見せて、だよ」

村長「そんな…何故じゃ？」

男「え、だってそれはそうでしょ。見せるだけ見せて一億ない、じゃ見せるだけ損じゃん。違う？」

村長（うーむその通りじゃ。どうしよう、一億なんてないのに）

男「あれ？その顔は……一億、ない？」

村長（どうしよう）

男「はぁ、散々またせたあげくこれか。どけ、すぐにたけのこ村に向かう）

村長「ま、まて、後払いじゃ」

男「だめ、側近。この場で。一億、おｋ？」

村長「今はないんじゃ、どうか、どうか」

男「あ、やっぱりないの。じゃあ駄目だ。どいてどいて」

村長「そんな！!一目だけ！ちらっとでいいから！ちらっとで！」

男「無理」

村長「いーやーじゃー！！！ツーチーノーコーツーチーノーコー！！！」

男「いや、駄々こねても駄目。どいて」ｶﾞﾁｬ

村長「ツーチーノーコみーせーて！！！」

　「なんだなんだ」
　　　　　　「村長が騒いでるぞ」
「ツチノコってあの…？」

男「ちょっと、村長さん。声大きいですよ」

村長「す、すまん……でも後生だから！ちらっとでいいから」

ざわざわ
　　　　ざわざわ

男「いや、ただじゃ見せないよ」

村長「わかった。一億はない。が、3万！3万払うから」

男「……三十万だ」

村長「！！！！！」

　　　　　　　　　　　ざわざわ
　ざわざわ

村長（み、見るだけで……三十万……？）

男「……三十万も払えませんか」

村長（そんな、年金暮らしになんちゅう……こいつは鬼じゃ。鬼の子じゃ…）

おっさん「あ、あの…」

男「……ん、何？」

おっさん「……えーっと話、聞こえてたんだけど。30万払えばツチノコ見せてくれるの？」

男「…ん、あんた、歳は？」

おっさん「え、45だけど」

男「働き盛りだな……あんたの場合、身なりもいいから結構金貰ってるんだろう……50万だ」

おっさん「ご！？……はは、そうか。そういうことか。すまんね、呼びとめて」

男「…ふん」

おっさん「村長、大丈夫ですか？……気にしない方がいいですよ。あれ、詐欺ですよ」

村長「え、詐欺？」

おっさん「そうですよ。見るだけで50万なんて…ねぇ？」


村長「え、詐欺？」

おっさん「はい」

おっさん「見るだけで50万なんて……ねぇ？」

役場「いえ、あれは……本物のツチノコでした！！！！私はみせてもらいました！！！」

おっさん「え、みせてもらったの？」

役場「はい！！！！！！！！」

村長（見るだけで30万……うーんうーん……孫のお小遣いを…いやしかし）

おっさん「ふ、ふーん……どうせよくできた」

役場「偽物じゃないです!!!本物の！！！ツチノコでした！！！！！」

おっさん（……この興奮の仕方……え、マジでツチノコ……？50万払えなくはないけど……でもどうせテレビとかで）

男「あ、そうそう。一応言っておくけど。これテレビ局とかには一切放送して貰わないようにするから。映像は厳しく取り締まるから」

おっさん「………君、ちょっとまっててくれるかな。今からお金」

男「………待ってる間に俺の時間は無駄になっていく。1分5000円で待ってやろう」

おっさん「わ、わかった。今すぐお金下ろしてくるから……おい、君、ATMは」

役場「突きあたりを右に」

おっさん「そうか、ありがとう……おいどけババア！こっちは急いでるんだよ！！！」

男「ふん」

おっさん「くそ！ATMじゃ10万ずつしかおろせねぇ！！もう5分立っちまった！！！」

村長（ツチノコ……ツチノコ……）

役場「いやーすごかったなぁ。生まれてからこんなに興奮したのはじめてですよ！！！！」

ざわざわ　　
　　　　ざわざわ


15分後

おっさん「はぁはぁ、おまおたせ！！！もってきたよ」

男「……合計57万と5000円だな。」

おっさん「う、うん……ほら、はやくみせてくれ」

男「……その部屋、かりるぞ」ｶﾞﾁｬﾊﾞﾀﾝ

役場「はい！！！」

村長「つちのこ……つちのこ……わしも……みたい」

男「おっさん、カメラとかは本当に駄目だからね」

おっさん「わかったから！！はやくみせて！！」

男「よいしょ……と」

ガサゴソ

おっさん「うひょー！！！！！！！！ツチノコじゃー！！」

男「……はい、おしまい。じゃあ毎度」ｶﾞﾁｬ

おっさん「みなさん！これ本物のツチノコですよ！！！！」

男「おっさん、興奮しすぎ。声でかいよ」

「おいおいマジかよ…？」

「え、本当にツチノコなの？」

「俺も……俺も見たい！！！｝

「みせてくれー!!!ツチノコみせてくれー！！！」

男「いや、もう見せないよ。……このツチノコは役場の人とそこのおっさん。そして」

男「これから行くたけのこ村の人しか見ることはできないだろうなァ」

村長（ﾋﾞｸｯ）

村長「たのむ……どうか……どうかツチノコを……金なら今から用意するから…」

男「いや、もうおっさんから貰ったし。いいよ。30万くらいなら」

村長「え、それじゃあ！！」

男「あ、そういう意味じゃなくて。待つ時間も惜しい」

村長「そんなぁ……つちのこ……つちのこ（ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ」

男「……1億、くれるつもりなかったんでしょ？」

村長「う…ひっぐ……うむ……」

男「最初から、1億、払う気なかった、この宣伝自体が村おこしだったんでしょ？」

村長「ひっぐ……ひっぐ……はい…ひっぐ」

男「……ふーん。【独占！きのこ村の闇！1億払う気ないのにツチノコに懸賞金！】ってところかな」

村長「ひっぐ……ひっぐ……」

男「……じゃあね、ばいばい」

村長「ま、まってくれぇ……わしにも……わしにも…つちのこを…」

…

……

男「ただいまー」

たけのこ村村長「おかえりーどうだった」

男「やってきたよー。あー、つかれた。あ、はい。これ証拠のビデオね」

たけのこ村村長「どれどれ……お、よく撮れてるな」

男「隠し撮りするの大変だったよー」

たけのこ村村長「はっはっはっ。すまんな……きのお村長、惨めに泣いとるな」

男「これだけやれば人望もなくなっただろうしね。うん」

たけのこ村村長「来年には、合併の話もでるだろうが有利に進められそうだな。わーはっはっは」

男「よかったね、おじさん」

たけのこ村村長「これでたけのこ村も栄えるってもんじゃ。わーはっはっは」

終わり

つちのこの正体は？(迫真)

さすがたけのこ
卑怯だな

ほんものなのか？

>>41
ツチノコの正体は君の心の中にあるよ

さすがたけのこ、汚いな