1:◆qvQN8eIyTE 2007/02/28(水) 15:07:24.27 ID:FxYBFtF30
草木を揺らす風。地に住む人々を照らす太陽の光。
そこまで発展は進んでいないのだろうか。
家がまばらに建つ村の入り口付近で規律的に動いている男がいた。

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

ー( ^ω^)は村人Aのようですー

2: 2007/02/28(水) 15:08:02.96 ID:FxYBFtF30
(;^ω^)(メチャクチャ暇だお)

彼の名はブーン。
先祖代々村の入り口に立ち、微妙な存在感を尋ね人に与えてきた由緒正しき村人Aだ。
その役割は村の案内役なのだが、ほとんどの人が彼の言葉に耳を傾けるでもなく華麗にスルーしてしまう。
それ故彼は非常に退屈することが多かった。

( ^ω^)(第一何で僕がこんな役割なんだお?)
(♯^ω^)(他の小説ではヒーローやったり素敵な恋愛して脱童Oしてるのに!)

彼が心の中で愚痴りまくっている時、1人の男が村に入ってきた。

3: 2007/02/28(水) 15:08:46.45 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)(誰か来たお)

( ・∀・)「……」

まさしくゲームの勇者のような姿。
服は中二病患者が着てそうな格好でありながらも機能性は高そうで、しかも何気に着こなしてしまっている。
彼の持つ肉体は痩せ過ぎもせず、かといって無駄な筋肉も付けすぎていない。
運動に最も適した身体。
さらに右手には剣、左手には盾と完璧な勇者仕様。

( ^ω^)(なりきり勇者乙wwww)

心では彼を嘲笑しつつも彼は自分の職務を疎かにする事はなかった。

4: 2007/02/28(水) 15:09:32.79 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

( ・∀・)「……」

華麗にスルー。
長年セリフを流され続けてシカトに既に慣れてしまっていたブーンは、ただなんとなく彼の行く先に目を向けていた。
すると、その尋ね人はさも当然のようにブーンの家へ不法侵入してしまった。

(;^ω^)(ちょwww犯罪者ktkr!)

とたんに耳に入ってくる様々な音。
ツボが割れる音、樽が投げられる音、タンスのドアが乱暴に開けられる音。
そして出てくる尋ね人。

6: 2007/02/28(水) 15:10:29.43 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)「ここは VIPのむらですお」

(♯^ω^)(ふざけんなお!僕の家に勝手に上がって何やってたんだお!)
彼はそう叫んだ……つもりだった。
しかし、彼の口からは仕事上のセリフしか出てこない。
彼はその無法者に駆け寄った……つもりだった。
しかし、彼の足は同じ所を規則的に歩くだけだ。

( ・∀・)「……」

ブーンが自分自身の設定に精一杯抗っているのも知らずに、その無法者はブーンの目の届かない場所へと消えていってしまった。
それがブーンと無法者『勇者』との初めての出会いだった。

8: 2007/02/28(水) 15:11:01.36 ID:FxYBFtF30
( ´ω`)(とりあえず仕事の時間が終わらないと何も出来ないお)

昔からそう。
何故か彼は仕事の時間は同じセリフしか喋れず、同じ行動しかとれなかったのだ。
昔父親にそれは何故か聞いてみたことがあったが、彼はいまいち理解できてなかった。

(それはね、ブーン。『設定』のせいでそうなっているんだよ。)
(その『設定』のおかげで我が家系は先祖代々ずっと村人Aなんて名誉ある仕事をできてきたんだ。)

( ´ω`)(設定って一体何のことだお……)

彼が呆然と考え事をしてる間にも新たな尋ね人はやってくる。

( ^ω^)「ここは VIPのむらですお」

そう、今の彼には業務を淡々と続けることしかできないのだ。
機械的に同じセリフを喋り続けることに彼の存在意義はあると言っても過言ではない。

(;^ω^)(そいつはなかなか存在意義がねぇお)

10: 2007/02/28(水) 15:13:59.06 ID:FxYBFtF30

時間は流れるものだ。
そして、その流れは流される者の心境によって大きく速度を変える。
楽しい時や嬉しい時などは急速に流れ、辛い時や苦しい時はまるで止まっているかのようにゆっくりと流れる。
今のブーンの感じている速度は後者だ。

(;^ω^)(まだあと1時間くらいあるお)

そして彼は言い続ける。

( ^ω^)「ここは VIPのむらですお」
( ^ω^)「ここは VIPのむらですお」
( ^ω^)「ここは VIPのむらですお」
( ^ω^)「ここは VIPのむらd(ry

12: 2007/02/28(水) 15:14:36.39 ID:FxYBFtF30
遂に待ちに待った業務終了の時。
やっと自分の意志で動かせるようになった足で彼は家路へと急ぐ。
仕事終わりの疲れなど気にはしない。
あの無法者に荒らされたであろう家が心配で心配で堪らなかったからだ。

(;^ω^)「これは……」

ー凄惨ー

その二文字がぴったりと当てはまるであろう。
彼がバザーで変に惹かれて買ってしまった薄青い壺。
今や地面にただのガラクタとしてばらまかれている。
彼が小さい頃某ゴリラゲームにハマり、7歳の誕生日に買ってもらってから大切に保管されていた樽。
今や木と鉄の塊となり、転がすことは二度と出来なくなっている。
彼が村人Aに就任した日にお祝いとして親に買ってもらったタンス。
今や蝶番は外れ、ドアは閉まらなくなり、それの持つ機能は今後一切使用されることはないと告げられていた。

15: 2007/02/28(水) 15:15:56.78 ID:FxYBFtF30
( ;ω;)「ジョン、マイケル、田中!」

彼は律儀に無機物にも名前を付け、それをペット、いや、友達のように大切に扱っていた。
それを突然現れた勇者風の無法者が勝手に破壊し尽くしたのだ。

( ;ω;)「なんでこんなことに……。あっ!そういえば『あれ』は大丈夫なのかお!?」

彼はその壊れた友達、ジョン(壺)をかつて乗せていた机に目を向けた。
そこには殴り書きしたメモが置いてあった。

「普通壺や樽にはゴールドくらい入れてあるだろ。常識的に考えて……」
「あとタンスの中にあった皮の服はありがたく貰っておくわ」
「魔王を倒すためのご協力感謝します。  勇者モララー」

18: 2007/02/28(水) 15:16:43.33 ID:FxYBFtF30
( ;ω;)「モララー…許せないお!でもとりあえずは『あれ』が最優先だお」

そして彼は机の上に置いてあったであろうジョンの場所に目を向けた。
そこには小さな穴。
そして彼は床の上に悲惨に散らばるマイケル(樽)へと目を向けた。
そこには小さく光る針のような鍵。
その鍵を拾い上げ、机にあいた小さな鍵穴に差し込む。

カチッ

しっかりと差し込まれた鍵は隠された扉を示す。
机の下に人1人がやっと通れるような穴が開き、ピザ気味なブーンは突っかかりながらも掛けてあるハシゴを頼りにゆっくりと降りていく。

22: 2007/02/28(水) 15:18:15.13 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)「大丈夫だったお」

さすがに村人Aの家にこんな大それた仕掛けがあるとは思わなかったのだろう。
勇者も気付かずにいてくれたようだ。
そして、そこには『あれ』が確かにあった。

(;^ω^)「さすがにこれを取られたらまずかったお」

それは、両親の形見。
いくら平和なVIP村だといっても事件が全くないというわけではない。
5年前に村人Aとしての業務をこなしていたブーンは驚くべき光景を目にする。


23: 2007/02/28(水) 15:18:50.65 ID:FxYBFtF30
遠くのフィールド上によく見られていた魔物。
何故かは知らないが絶対に村へは入り込まなかった魔物が大群でVIP村に襲いかかってきたのだ。
そう、RPGにありがちなイベントというやつである。
その時の心情をブーンはこう語る。

( ^ω^)「絶対にもう助からないんだと思いました。えぇ、絶望的でしたよ」

村人Aの職場は決まって村の入り口付近だ。
そうなると必然的に入り口から攻めてくる魔物の被害に一番遭いやすい。
近づいてくる魔物。ただ怯えて動けなくなるブーン。
そんなブーンが魔物に捕まるのは必然的であった。
ある魔物はブーンを殴り、ある魔物はブーンに噛みつく。
そこにあるのは確かな氏であった。

25: 2007/02/28(水) 15:19:21.47 ID:FxYBFtF30
そこへ息を上げながら向かってくる人影があった。
村人業をブーンに託し、引退したはずの両親の姿が見える。
ありったけの武器を担いだ姿で。


J( 'ー`)し「ブーン、痛い思いさせてゴメンね。今助けるからね」

(メ;ω;)「カーチャン……」

父「武器屋に頼んでありったけの武器を貰ってきた!今助けるぞ!」

(メ;ω;)「トーチャン……」



(;^ω^)(あんたにはAA無いのかお)

魔物の群れに吸い込まれていくように消えた2人。

26: 2007/02/28(水) 15:19:54.32 ID:FxYBFtF30
そして三ヶ月後。
そこには何事もなかったかのように元気に皮オナするブーンの姿が。

( ^ω^)「あのとき両親が来てくれなかったら氏んでたよ。今考えるとゾッとするね」

それにしてもこのブーン、ノリノリである。

27: 2007/02/28(水) 15:20:32.58 ID:FxYBFtF30
結果、両親は我が子を守り通すことは出来たものの、その儚い命を落としてしまうことになったのだ。
その時に渡された『あれ』をブーンはジョンとマイケルで入り口を隠した仕掛け部屋の中で、誰の目にも触れぬよう保管しておくことに決めた。
いつか使う時が来るかも……だから。

(♯^ω^)「これは無事だったから良かったもののジョンとマイケルと田中を壊しやがって……モララーとかいう勇者は許せねぇお!」

こうして彼は友達の仇を取るために復讐を誓った。
村人Aと勇者との運命の歯車が回ろうとしていた。

31: 2007/02/28(水) 15:22:26.44 ID:FxYBFtF30
ここで第1話は終了です。
希望があれば続けて第2話を投下しますけど・・・

39: 2007/02/28(水) 15:24:20.39 ID:FxYBFtF30
じゃあ続けて第2話を投下します。

41: 2007/02/28(水) 15:24:43.45 ID:FxYBFtF30
情報とは大切なものだ。
それを得るために多大な金銭が飛び交い、時には大きな損失を与えることがある。
何故そんなにしてまで情報が欲しいのか。
利益を得る。倒したい人がいる。
色々とあるだろうがつまりはこうである。

「人間は知的好奇心の塊」なのだ。

己の欲求を満たすために情報を集める。
実に簡単で本能的な答え。
本能的故に純粋で押さえつけられない強い好奇心。
そんな好奇心に突き動かされた者が訪れる場所。
「バーボンハウス」
そこへブーンは尋ねた。
友達の仇の情報を得るため。

43: 2007/02/28(水) 15:25:18.19 ID:FxYBFtF30
(´・ω・`)「やぁ、ようこそ、『バーボンハウス』へ」

( ^ω^)「ショボンさん、お久しぶりだお」

しょぼくれた顔をしているこのバーのマスター。
名をショボンといい、途切れなく来る尋ね人に酒を渡し、話を聞いてあげ、時には確かな情報をくれることで有名だった。
そんな彼の経営するバーは客足が途絶えることもなく、常に忙しそうに働いている。
こんな状況でどうやって情報を手にするのかは謎だが……
まぁそこは何か裏の事情ってやつがあるんだろう。
そこをわかっているのか尋ね人達は情報を聞くことはあるが、情報源を聞く者はいない。

44: 2007/02/28(水) 15:26:10.22 ID:FxYBFtF30
(´・ω・`)「とりあえずこのテキーr

( ^ω^)「そんなことより教えて欲しいことがあるんだお!」

(´・ω・`)「ぶち頃すぞ」

(;^ω^)「サーセンwwwwwww」

(´・ω・`)「まぁいいや。ところで何について聞きたいんだい?」

( ^ω^)「モララーって奴についてのことだお」

( ´・ω・`)「モララー?あいつがどうかしたのかい?」

怪訝な顔をするマスター。
やはり何か知っているのだろうか。

47: 2007/02/28(水) 15:27:27.46 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「あいつに友達を殺されたんだお!ジョンとマイケルと田中が!」

(´・ω・`)「殺された?勇者は人を頃してはいけないはずなのに……」

( ^ω^)「ジョンは壺でマイケルは樽で田中がタンスだお」

(´・ω・`)「ぶち頃すぞ」

(;^ω^)「サーセンwwwwwww」

48: 2007/02/28(水) 15:27:55.15 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「でも人じゃなくたってブーンとの思い出はたくさん詰まってるお!もう僕にとっては友達と同じなんだお!」

(´・ω・`)「それは気の毒に……でも設定では勇者が村人の家に入って物を破壊しても咎められることはないんだ。
      それに、モララーは設定上ちゃんとした勇者なんだよ」

(♯^ω^)「設定って一体なんなんだお!友達を殺されたのに仕返ししちゃいけないのかお!」

(´・ω・`)「設定っていうのはこの世界の言わば秩序なんだ。この設定がないとこの世界は纏まりを見せずに崩壊してしまうらしい。
      設定では会話を早くすることが出来るとか基本的なことから、それぞれの人生における目標のような大きなものまで決められているらしいよ」

49: 2007/02/28(水) 15:28:27.81 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)「そんなものがこの世界にあったのかお……でも僕はモララーを許せないお!」

(´・ω・`)「実は設定については僕もよく知らなくてね。まだ調べ中なんだ。で、モララーのことだけど……」

( ^ω^)「あいつは一体どんな奴なんだお?」

(´・ω・`)「あいつのことについてもまだ良くわかっていない。ただ、あんまり良い噂は聞かないね」

( ^ω^)「勇者ってのは正義の味方じゃないのかお?」

(´・ω・`)「設定ではそうなっているね。つまり、あいつと相反する者は必然的に悪になるよ」

(;^ω^)「悪役になるのはちょっとパスだお……」

50: 2007/02/28(水) 15:30:01.09 ID:FxYBFtF30
ブーンは小さな頃からヒーローに憧れていた。
正しい力で悪をなぎ倒す正義の象徴。
今のブーンは村人Aをやっているが、小さい頃は密かに勇者に憧れていたりもした。
そんな自分が悪役になるのはいくら友達のためとはいえ、無理な問題であった。

52: 2007/02/28(水) 15:30:39.14 ID:FxYBFtF30
(´・ω・`)「それが妥当な判断だと思うよ。無理に荒波を立てることはない。
      君の人生は村人Aをやっていれば平穏に過ごせる設定なんだから」

( ^ω^)「色々とありがとうだお。それじゃ」

重い音を鳴らして木製のドアを開く。
空には億千の星達。
夜空を見上げながらブーンは大切なことを思い出した。

53: 2007/02/28(水) 15:31:15.68 ID:FxYBFtF30




(;^ω^)(結局モララーについてはよくわからないままだったお)




55: 2007/02/28(水) 15:31:38.32 ID:FxYBFtF30
しかし、もういい。
友達のことは悔しかったが、自分が悪側に行くのが許せない。
それに設定では村人Aを続けることが最良らしいし、仕事の時間になるとブーンは自由を奪われる。
そんな状態では正式な勇者に仇討ちできるわけないと計算したのだ。

56: 2007/02/28(水) 15:32:14.51 ID:FxYBFtF30
( ´ω`)(ジョン、マイケル、田中、ゴメンだお)

心の中で小さく謝罪して、彼はまた明日から平穏な村人ライフを送る設定だった。
ただ、彼の設定はどこかズレ始めてきてしまったのだ。

61: 2007/02/28(水) 15:34:58.72 ID:FxYBFtF30
といったところで第2話投下終了です。
第3話も大体は書いてあるけど手直しなどしておきたいのでもうしばらくお待ちを・・・
急にバイトが舞い込んできてくれたもんで、たぶん投下はそのバイトの跡になると思います。
それまでスレが残ってなかったらまた同じスレタイで立たせてもらうんでwww

67: 2007/02/28(水) 15:40:41.95 ID:FxYBFtF30
支援どうもwwww
夜になったらまた頑張る(`・ω・´)

117: 2007/02/28(水) 22:55:51.23 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

ただ淡々と、ただ機械的に彼は仕事を続けている。
昨日のことは忘れることにした。
友達のことは忘れたくなかった。
しかし、ブーン(作者も)の好きなブーン小説に「依存はただの停滞」という言葉がある。
それに同感したブ-ン(作者も)はその言葉通りに生きようと決意したのだ。

119: 2007/02/28(水) 22:56:24.09 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)(ジョン、マイケル、田中、今までありがとうだお)

(*^ω^)(そしてポール、トム、吉田、これからヨロシクだお)

ブーンは昨日、バーボンハウスを出た後その足で古くからの友人の→('A`)村人Bの家へ向かった。
そして村人Bが寝てるのを確認すると有って無いようなドアをくぐり、彼の家の壺と樽とタンスを勝手に持ち出したのだ。
結果、今のブーンにはまた友達がいる。
そう!友情は永久に不滅なのさ!

120: 2007/02/28(水) 22:56:51.74 ID:FxYBFtF30

昨夜の自分の完璧犯罪を思い出し、ブーンはただニヤけていた。
もちろん彼に良心がないわけではない。
でもぶっちゃけ村人Bからなら勝手に持って行っても良い気がしたのだ。
テンションも上がり気味にブーンは業務を続行する。

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

すると、彼の近くにごく最近見た顔が迫っていた。

121: 2007/02/28(水) 22:57:25.77 ID:FxYBFtF30
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(お前、俺んちの家具知らねぇか?)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(僕が知るわけないお。バーローwwww)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(でも昨日の夜お前っぽい声が聞こえた気がするんだけど……)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(ペロッ……これは青酸カリ!)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(こっちの世界に戻ってこいよ!)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(僕が知るわけないお。バーローwwww)


('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(無限ループって怖いよな)

123: 2007/02/28(水) 22:58:35.39 ID:FxYBFtF30
端から見れば半端無くワケのわからない会話だったろう。
村人が向き合って同じ言葉を言い合っているのだ。
しかし彼らはしっかりと意思疎通できている。
幼い頃から共に過ごしてきたために産まれた一種のテレパシーのようなものか。

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(それよりもさっさと元の職場に戻るお!)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(いや、だって俺の家具……)

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(しつこいってレベルじゃねーお!)

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(わかったよ……)

124: 2007/02/28(水) 22:59:23.78 ID:FxYBFtF30
渋々納得した彼が引き上げていく。
もちろん設定で決められているような妙にランダムで、それでいて規律的な進み方で。
そして完全にブーンの視界から彼が消えた時、思わず彼は安堵の溜息を漏らした。

(;^ω^)(危うく僕の友達が奪われるとこだったお)

もう完全に村人Bの家具を自分の物にしている。
なんてやつだ、ブーン。

125: 2007/02/28(水) 23:00:00.45 ID:FxYBFtF30
そういえば紹介を忘れていた。
('A`)←こいつの名前はドクオ。
職業は村人Bの童Oである。
もともとはニートでgdgdな生活を送っていた。
だが、古くからの親友ブーンが村人Aに就任したのを聞いた彼はこのままではいけないと思い必氏で勉強した。
そして案内役検定、ボタンの取扱方説明検定、セーブ方法説明検定など様々な試験を受けた。
元々頭は悪い方ではなかった彼が必氏で勉強したのだ。
どんどんと資格を取っていき、遂に彼はエリート村人になっていた。

127: 2007/02/28(水) 23:00:28.89 ID:FxYBFtF30
( ^ω^)『ドクオ、村人就任おめでとうだお!』

('∀`)『ありがとう。お前を目標にしたから頑張れたんだよ』

( ^ω^)ノ○『これ、就任祝いのポール、トム、吉田だお』

(;'A`)『タンスは嬉しいけど壺と樽ってお前……しかも名前付きってお前……』

ドクオの心の中には家具の思い出と、それをくれた少々頭の弱い友達への感謝の気持ちがいつでも溢れている。
そんな最高の友達を疑ってしまった自分が憎い。
自己嫌悪の念が次から次へと止めどなくドクオを襲う。

128: 2007/02/28(水) 23:01:10.52 ID:FxYBFtF30
('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
(;'A`)(ブーンを疑うなんて馬鹿だった。あいつが盗むわけがないじゃないか)

仕事の時間が終わったらあいつに謝ろう。
そうだ。何かお詫びの品を買ってあいつが帰ってくる前にブーンの家に隠しておくってのも良いかもな。
あいつは何が好きだったっけ?
ブーンの驚きつつも喜ぶ顔が早く見たいな。

('A`)「武器や防具は 装備しないと 意味がないよ」
('∀`)(フヒヒwwwwww)

ドクオの心の中でのキモい笑いはオーラとなり、彼の話を聞こうとした尋ね人はそのオーラに吐き気を覚えどこかへと消えていった。

129: 2007/02/28(水) 23:01:42.03 ID:FxYBFtF30
そして、夜。
彼はお詫びのつもりとして道具屋で買った筒状の物を右手にブーンの家へ歩いた。

('A`)「どこに隠しておいてやろうかな……やっぱりすぐ見つからないように壺の中とかかな。
    あいつ、壺にジョンなんて名前付けてたし適当にヒントあげれば気付くだろw」

('∀`)(しかしまさかジョンの中にオOホが隠れてるとは思わないだろうなwwww)

そう、彼がお詫びの品として選んだのは禁断の筒『オOホ』

【そこに選ばれし肉の鍵刺さりし時。汝、この世の摂理を知らされるであろう】

そんな言い伝えがあったような、無かったような。
実際にこのアイテムは物語と何ら関わらないと思われるので流しとく。

130: 2007/02/28(水) 23:02:12.79 ID:FxYBFtF30
( ´ω`)「あ~……やっと仕事が終わったお~……」

今日はなにやら奇怪な尋ね人が多かった。
例えば……

「ポケモンをレベル100にする裏技を教えろ!」

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(それは道具の七番目を……って答えられるわけねぇお)

131: 2007/02/28(水) 23:02:42.60 ID:FxYBFtF30
「最初にヒトカゲを選んでしまってタケシに勝てないんだ!だから教えろ!」

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;^ω^)(最初はゼニガメ選んだ方が楽だお)

「さっきから同じ事しか言わないとかナメてんのか!」

(;メ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
(;メ^ω^)(殴るなバーローwwwってかあの人は村人Aに何を求めてたんだお・・・)

134: 2007/02/28(水) 23:03:43.23 ID:FxYBFtF30
とにかくブーンは疲れていたのだ。
早く家に帰って休みたい。早く新しい友達の元へ行きたい。
そんな思いは彼の疲労した身体を突き動かす原動力となる。
そして見えてきた我が家。

135: 2007/02/28(水) 23:04:10.90 ID:FxYBFtF30
(;^ω^)「誰か……いるお」

あんな事件があった次の日だ。
嫌な予感は彼の視覚から入り込み、瞬く間に脳へと到達する。

(;^ω^)「ポールとジョンと吉田がやばいお!」

136: 2007/02/28(水) 23:04:43.02 ID:FxYBFtF30
彼は走った。
己の帰る場所を守るために。

彼は走った。
己の新しい友達と築きあげる思い出の予定を崩さぬように。

彼は走った。
己の平穏な日々をまたしても崩さんとする未知なる者をはね除けるために。

137: 2007/02/28(水) 23:05:13.84 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「お前は誰だお!人の家で勝手に何やってるんだお!」

その人影は突然の来訪者に驚き一瞬肩をビクつかせたが、すぐにその声の主に気付いた。

('A`)「ブーン、もう帰ってきたのか」

( ´ω`)「なんだ……ドクオかお。焦ったお」

('A`)「えらく慌てて一体どうしたんだ?」

( ^ω^)「実はかくかくじかじかで……」

('A`)「勇者が来てお前の家を荒らしたのか。でも良かったな」

138: 2007/02/28(水) 23:05:40.07 ID:FxYBFtF30
(♯^ω^)「何が良かったんだお!」

('A`)「お前の大事にしていた壺も樽もタンスも無事で」

( ´ω`)「実はもう……ジョンもマイケルも田中も氏んだんだお」

('A`)「氏んだ?じゃああの家具達は何だ?」

( ^ω^)「あれは新しい友達のポールとトムと吉田だお」

('A`)「それってもしかしてうちの……」

(;^ω^)「バーローwwwペロッ……これは青酸カリ!」

('A`)「もうはぐらかされるか馬鹿。お詫びの品も持ってきてやったけど家具共々に没収」

(;^ω^)「そんな……ちなみにお詫びの品って何だお?」

139: 2007/02/28(水) 23:06:39.29 ID:FxYBFtF30
('A`)ノ□「あー?もうお前には関係ないけどこれだよ」

(;^ω^)「それは伝説の……!」

('A`)「残念だったな。もうこれは俺の物に決定。それじゃあな」

( ;ω;)「ウウッ……ジョン、ポール、マイケル、トム、田中、吉田、そして伝説のオOホ……
       皆僕の元から去って行ってしまうお」

( ;ω;)「これが設定によって決められたことなら僕はその設定をぶち壊してやるお!」

142: 2007/02/28(水) 23:07:41.91 ID:FxYBFtF30
そして彼は決心した。
この世界の住民全てが抗うことを避けた『設定』に喧嘩を売ることを。
そしてその時点でまた彼の『設定』が狂い始めた。
彼の村人Aという比較的地味な設定から、その世界の中では唯一の秩序への対抗者となるべく設定に。

144: 2007/02/28(水) 23:08:52.79 ID:FxYBFtF30
といったところで第3話投下終了です。

第4話は出来れば明日、出来なければ土日あたりに投下したいと思っております。

210: 2007/03/01(木) 19:48:16.04 ID:iyez3l+z0
彼は抗うことを決めた。
己の人生を勝手に決めるこの世界の秩序に。
彼はその決断に後悔はなかった。
だが、秩序はそれを許しはしなかった。

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

そう、お勤めの時間である。

(;^ω^)(ショボンさんの話の続きが気になるお)

211: 2007/03/01(木) 19:48:38.06 ID:iyez3l+z0
昨夜……明け方と言った方が良いだろうか。
東の空は既に薄く白色に染まりつつある。
普段の彼なら『設定』ではまだ寝ている時間だろう。
しかし彼は起きていた。
彼自身の『設定』に少しでも抵抗がしたかったのだ。
彼の足はまたバーボンハウスへと向かっていた。

212: 2007/03/01(木) 19:49:01.91 ID:iyez3l+z0
(´・ω・`)「やぁ、ようこそ、『バーボンハウス』へ」

このセリフも設定によって決められた代物だろうか。
そう考えると設定による影響力の大きさに少し決意が揺らぐ。
よく考えれば当たり前だ。
この世界は設定によって作られており、全ては設定が決めているのだから。

213: 2007/03/01(木) 19:49:22.34 ID:iyez3l+z0
( ^ω^)「今日は設定について聞きに来たんだお」

(´・ω・`)「そんなに設定について気になるのかい?とりあえずこのテキーラはサーb

( ^ω^)「そんなことより早く教えてくれお!」

(´・ω・`)「ぶち頃すぞ」

(;^ω^)「サーセンwwwwwww」

214: 2007/03/01(木) 19:49:59.17 ID:iyez3l+z0
そんな一通りの流れを行った後にショボンの口から本題について触れられる。

(´・ω・`)「設定については昨日も言った通りまだ良くわかっていないんだ」

( ^ω^)「それでも少しだけでも良いから設定についての情報が欲しいんだお」

単なる好奇心から来た疑問ではないことは明らかだ。
それほどの真剣な雰囲気を彼は漂わしていた。
ブーンは何か目的のために情報を得ようとしている。
職業柄ショボンは今まで色んな人を見てきたのだ。
そしてその人々に彼は自分の持つ情報を出し惜しみすることはなかった。

215: 2007/03/01(木) 19:50:32.48 ID:iyez3l+z0
(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「今のところ一番強く作用してる設定と言ったら『相対の設定』かな」

( ^ω^)「『相対の設定』……かお?よくわからんお」

(´・ω・`)「『相対の設定』とは設定の中でも最も有名で最も大切な設定だよ。これは覚えていて欲しい。
      物事には全てに置いて相対する物があると言われているんだ。
      例えばプラスとマイナス、N極とS極、朝と夜、そして正義と悪と言った感じにね」

( ^ω^)「それがどうかしたのかお?」

(´・ω・`)「その『相対の設定』によってこの世界は住み分けられることが出来るようになっている。
      夜の後には朝が来るし、夜と共に朝を迎えるということはないんだ」

( ^ω^)「そんなの当たり前だお。でも、もし……」

216: 2007/03/01(木) 19:50:57.70 ID:iyez3l+z0
そこまで言って彼は口を閉じた。
ーもしその設定を壊したらどうなる?ー
そんな疑問を彼にぶつけてしまえば勘の良い彼のことだ。
自分の目標を見抜かれてしまう可能性もあるだろう。

でも気になる……
彼の活発な知的好奇心ためか、その疑問は次第に彼の脳の中を征服し始める。

217: 2007/03/01(木) 19:51:20.05 ID:iyez3l+z0
(´・ω・`)「もし……なんだい?」

( ^ω^)「やっぱり良いお。続けてくれお」

結果的に彼は自分の本能に打ち勝った。
今は知らなくても良い。いずれ知ることになるだろう。
そう考えた故の結論だ。

218: 2007/03/01(木) 19:51:50.41 ID:iyez3l+z0
(´・ω・`)「……?まぁ良いや。今君は当たり前だと言ったね?そう、当たり前なんだ。
      『相対の設定』は既に設定を越えて常識の域にまで来ている」

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

しまった。仕事の時間が来てしまったのだ。
もうこうなってはこの口は自分の物であって自分の物ではない。
この足は自分の物であって自分の物ではない。
彼の全てが設定によって操られる時間が来たのだ。

219: 2007/03/01(木) 19:52:34.84 ID:iyez3l+z0
ショボンは彼の仕事が何かを理解している。
そして、その仕事によって起きる状態も。
プログラムされた予定通りの歩みを見せ、同じセリフしか言わなくなってしまった彼に後ろから声を掛ける。

(´・ω・`)「また夜においで。続きを話そう」

そしてバーに入ってきた新客にここはVIP村だということをブーンは伝え、出て行ってしまった。

220: 2007/03/01(木) 19:53:06.02 ID:iyez3l+z0
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村d(ry

いきなり変なピザに一方的に語られたある意味被害者な彼は、まだそのピザの温もりの残る椅子に腰掛け、最初の情報を得るための質問をマスターに投げかけた。

(,,゚Д゚)「何だあいつ?」

(´・ω・`)「やぁ、ようこそ、『バーボンハウス』へ」

そしてショボンもまたバーのマスターの業務に戻ることになる。

221: 2007/03/01(木) 19:53:33.38 ID:iyez3l+z0
それが明け方のことだ。
そして今、ブーンは業務中だというわけだ。
影は東に傾きだし、風は冷たさを増していく。
だいぶ時間が経ったようだがまだ業務時間は終わりを迎えない。

222: 2007/03/01(木) 19:56:03.62 ID:iyez3l+z0
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」

彼のセリフは風に乗り、尋ね人の耳元へと届けられるであろう。
しかし確実に尋ね人はその情報を不要な物と判断し、記憶の片隅にすら置いておくことはないだろう。

(;^ω^)(やっぱりこの仕事はなかなか存在意義がねぇお)

224: 2007/03/01(木) 20:03:33.52 ID:iyez3l+z0
それでも彼は言い続ける。
『設定』は業務中の彼の自由を許さないから。
それでも彼は言い続ける。
『設定』の強大さをその身体に覚えさせながら。

( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村ですお」
( ^ω^)「ここは VIPの村d(ry

225: 2007/03/01(木) 20:04:05.56 ID:iyez3l+z0
そして終了の時間。
彼は仕事からの解放と共にその身の自由を手に入れる。

(;^ω^)「疲れたお。でもショボンさんの所に行って話の続きを聞かなくちゃ」

自分の物に戻ったその身体に風を感じて、彼はまたバーボンハウスへと向かっていった。

226: 2007/03/01(木) 20:04:35.48 ID:iyez3l+z0
(´・ω・`)「やぁ、ようこそ、『バーボンハウス』へ」

そこにはショボくれたマスターの顔。
彼はブーンの到着が前もってわかっていたようにテキーラを差し出す。

(´・ω・`)「とりあえずこのテキーラはサービスだから飲んで欲しい」

( ^ω^)「ありがとうだお」

(´・ω・`)「おや?今回は最後まで喋らせてくれたね」

(;^ω^)「そら毎回『ぶち頃すぞ』→『サーセンwwwwwww』コンボばっかりやってたら数少ない読者さんに見放されてしまうお」

彼なりにこの「( ^ω^)は村人Aのようです」のgdgdさに気遣ってくれたらしい。
ありがとう。ブーン。

227: 2007/03/01(木) 20:05:10.05 ID:iyez3l+z0
そして、本題。

( ^ω^)「じゃあ早速『設定』についての続きを話してくれお」

(´・ω・`)「わかった。まずは『相対の設定』については話したよね」

そこでブーンは確かにその話を聞いた記憶があるのを感じた。
しかしその記憶はとてもぼやけていて、言うなればAVの結合部アップシーンのようにモザイクまみれでよく見えなかった。
そう、ご想像通り彼はかなり頭が可哀想な子だったのだ。

229: 2007/03/01(木) 20:05:55.13 ID:iyez3l+z0
(;^ω^)「うろ覚えなんで産業でお願いするお」

(´・ω・`)「覚えろ
      ぶち頃すぞ
      帰れ」

(;^ω^)「ちょwwwwww」

(´・ω・`)「全く……もう一度教えるのは面倒だからこの話の最初の方を読み直しておいてくれ」

( ^ω^)「把握した」

230: 2007/03/01(木) 20:06:31.20 ID:iyez3l+z0
そして彼は『相対の設定』の強大さを思い出した。
それは既に『設定』では収まらず、『常識』にまで範囲が及んでいるのだ。
しかもそれはまだ自分の抗うべき相手の全てではない。『設定』という括りの中の一部だ。

ブーンは自分の判断を後悔しかけた。
なんで僕がそんな物に挑まなきゃいけないんだお?
そんな疑問が浮かんだ時、友達との思い出が不意にフラッシュバックしてきたのだ。

231: 2007/03/01(木) 20:06:55.45 ID:iyez3l+z0
いつも優しくブーンを見守ってくれたジョン。
いつも優しくブーンを見守ってくれたポール。
いつも優しくブーンを見守ってくれたマイケル。
いつも優しくブーンを見守ってくれたトム。
あと田中と吉田。

232: 2007/03/01(木) 20:07:21.96 ID:iyez3l+z0
自分の元を去った友達。
彼らに対する弔いになるかわからない。
でも僕は抗うことを決めたのだ。
そして彼は揺れかけた決意をまた固めた。
その決意はこれから揺るぐことはない。
そう、絶対に。

233: 2007/03/01(木) 20:08:16.98 ID:iyez3l+z0
といったところで第4話終了です。
途中規制くらってしまって投下が遅れてすいませんでした

340: 2007/03/02(金) 22:45:10.23 ID:hSecLXUh0
じゃあそろそろ投下開始しますねw

341: 2007/03/02(金) 22:46:30.06 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「じゃあ続きを話そうか」

やっと思い出せたブーンを見据え、マスターは本題に戻る。

(´・ω・`)「『相対の設定』以外にもまだ色々と設定はあるよ。
      僕が今のところわかるのは『能力の設定』と『機能の設定』くらいだけどね」

( ^ω^)「kwsk頼むお」

(´・ω・`)「わかった。まずは『能力の設定』だね。」

342: 2007/03/02(金) 22:47:33.05 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「パラメーターという言葉を知っているかい?」

ブーンはその小さな脳みそをフル活用させ、自分の脳の単語帳にその言葉が載っているのを確認した。

( ^ω^)「そんなの常識だお。なめてもらったら困るぜバーローwwww」

(´・ω・`)「ぶち頃すぞ」

(;^ω^)「サーセンwwwwwww」

(;^ω^)(またこのコンボをやってしまったお)

343: 2007/03/02(金) 22:48:19.67 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「まぁ君の知っている通り、ゲームとかでHPやら攻撃力やらを表示するあれだよ。
      あれなんかはまさに『能力の設定』によって決められている物だね」

( ^ω^)「そんなのがこの世界にもあるのかお?」

(´・ω・`)「あぁ、君のその異常なほどの頭の弱さも『能力の設定』によって決められている」

(;^ω^)「ちょwww何気にヒドスwwww」

344: 2007/03/02(金) 22:48:42.66 ID:hSecLXUh0
文句を言うブーンをスルーして、ショボンは話を続ける。

(´・ω・`)「つまりは人それぞれ、バラバラの能力を決めているのが『能力の設定』なんだよ」

スルーされ慣れているブーンは、シカトされたことを大して気にも留めずショボンに尋ねる。

( ^ω^)「ってことはその設定をいじくれば、僕が奇跡の天才村人Aになったり超絶イケメンになって脱童Oできたりするのかお?」

(´・ω・`)「うるさい」

(;^ω^)「……」

346: 2007/03/02(金) 22:49:05.19 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「そして最後に『機能の設定』だ。これは特に便利な物だから覚えておいた方が良いよ」

( ^ω^)「把握した。でも、覚えていられるか不安だお」

(´・ω・`)「その機能してるかわからない脳みそにも役に立つ物だから」

(;^ω^)(なんかショボンさん果てしなく毒舌だお)

347: 2007/03/02(金) 22:49:26.38 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「とりあえず目を瞑ってもらいたい」

( -ω-)「これで良いかお?」

(´・ω・`)「あぁ、それでコマンドを呼び出してごらん」

(;-ω-)(コマンド?何のことだお?)

(´・ω・`)「しばらく待てば浮かんでくるかな」

( -ω-)「アッー!なんか見えてきたお」

348: 2007/03/02(金) 22:50:04.96 ID:hSecLXUh0
初めに見えてきたのは縦長の長方形。
何かが書いてあるようだが、靄が掛かっていてよく読めない。

( -ω-)「この四角がどうかしたのかお?」

(´・ω・`)「そのままで待っていてごらん」

だんだんと靄が晴れていく。
そこにあったのは文字の羅列。

350: 2007/03/02(金) 22:50:32.58 ID:hSecLXUh0
( -ω-)「なんか四角の中にいろんな文字が見えるお」

(´・ω・`)「それが『機能の設定』の姿だよ」

( -ω-)「これが『機能の設定』……」

(´・ω・`)「うん、それじゃあカーソルを動かしてもらいたい。
      文字の左側に小さな三角が見えるだろう?それがカーソルだよ」

(;-ω-)(動かし方がわからんお……)

とりあえずブーンは念じてみた。
動け。下へと動け。
すると、その小さな三角形はブーンの念に反応して文字の羅列の中を下っていく。

351: 2007/03/02(金) 22:51:02.54 ID:hSecLXUh0
( -ω-)「動かしたけど、そこからどうすればいいんだお?」

(´・ω・`)「そこらへんはセーブ方法説明検定1級の村人Bに聞いてごらん。それが彼の仕事だから」

(;-ω-)「なかなかこの人は投げ遣りな人だお」

(´・ω・`)「まぁ気にしないでほしい。村人Bの仕事を奪ったら悪いからね」

( -ω-)「把握したお」

354: 2007/03/02(金) 23:03:09.57 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「それじゃあ『キャンセル』ってところにカーソルを合わせてこっちの世界に戻ってきて欲しい」

( -ω-)「おk」

カーソルを一番下まで持って行く。
そこには『キャンセル』が待ち受けていた。
そこにカーソルを合わす。
すると耳の奥から微かにピピッと電子的な音がしたかと思うと、縦長の長方形はその姿を崩して消えていってしまった。

356: 2007/03/02(金) 23:03:40.36 ID:hSecLXUh0
( ^ω^)「ただいまだお」

(´・ω・`)「おかえり。今のところ僕が知っている設定はこれくらいかな」

( ^ω^)「ありがとうだお。でも、まだもっと知りたいんだお」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「今日の明け方に君とすれ違いでここに来て、君と同じように設定についての情報を求めたお客さんがいるよ」

( ^ω^)「ん?それがどうしたんだお?」

それが……
そう呟きマスターは話を続ける。

357: 2007/03/02(金) 23:04:20.30 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「僕は君と同じようにそのお客さんに僕の持っている全ての情報を伝えた。
      でも、彼は今君に伝えた情報だけじゃ不満そうだったんだ」

( ^ω^)「だけどショボンさんの話は僕にとっては全部初耳で新鮮そのものだったお」

(´・ω・`)「彼は連絡先を書いたメモ帳を僕に渡してきてこう言ってたよ。
     『設定について新しい情報が入ったら教えてくれ』って」

そういってマスターは村人に一枚のメモ帳を手渡す。
ブーンがそれに目を通している間にショボンはひたすら何かを描き始めている。

358: 2007/03/02(金) 23:05:36.71 ID:hSecLXUh0
(´・ω・`)「たぶん彼も設定についてかなり調べているんじゃないかな。僕の提示した情報も全て知っていたらしいし」

手を休めずに彼は話し続ける。

(´・ω・`)「きっとこういうことだろうね。彼はある理由でずっと設定のことを調べていた。たぶん相当な量を調べていたんだろう。
      そしてここでも情報を集めようと僕の元を尋ねてきた。しかし、そこでは新しい情報は得られなかった」

(´・ω・`)「つまり彼の元へ行けば逆に設定についての情報がかなり得られると思うよ」

( ^ω^)「いっつあみらくるだお」



(´・ω・`)「よし……描けた」

そしてマスターは遂に何かを描き上げ、それを客人に見せる。

359: 2007/03/02(金) 23:06:18.34 ID:hSecLXUh0
【(,,゚Д゚)】

厳しく冷たい、それでいてどこか寂しげな目付きをした男がその紙の中にいた。
それは絵だとしても、どこかもの悲しい雰囲気を漂わす程の男だった。

(´・ω・`)「これがそのお客さんだよ。そのメモに書いてある住所へと行けば設定について更にわかるんじゃないかな」

(;^ω^)「ちょっと怖そうな人だお……でも設定について知るには行くしかないんだおね」

(´・ω・`)「そうだね。でも、行く前に必ず村人Bの所へ行って『機能の設定』の活用法について聞いておいた方が良い」

( ^ω^)「色々とありがとうだお。それじゃあまた来るお」

(´・ω・`)「もう来るなバーローwwww」

( ^ω^)「ぶち頃すお」

(´・ω・`)「サーセンwwwwwww」

(;^ω^)(この人実はこの流れ好きなんじゃ……)

360: 2007/03/02(金) 23:07:03.03 ID:hSecLXUh0
そして村人Aは穏やかな空気が支配するバーボンハウスのドアから、闇が支配する夜の村へと出た。
明日はまず古くからの友人の元へ行こう。
例え仕事中でも彼となら意思疎通できる。
この足が設定の物となり、自分の意志で動かせなくとも必ず近付き会話できるチャンスはあるはずだ。

そして話が聞けたら例の怖そうな人の元へと行こう。
それは業務時間が終わってからかな。
ってことは夜か……
なら用心のために『あれ』を持っていこう。

362: 2007/03/02(金) 23:07:51.53 ID:hSecLXUh0
ブーンの中には明日何かをやり遂げるという妙な緊張感が渦巻いていた。
それは新たな出会いへの予兆だったのかもしれない。
そして、その出会いが彼の中の設定への挑戦心に更に火を付ける事になろうとは知るはずもなかった。
ブーンも、ドクオも、ショボンも、ジョン達とかも。

364: 2007/03/02(金) 23:09:35.69 ID:hSecLXUh0
第5話はここで投下終了です。


381: 2007/03/02(金) 23:43:28.81 ID:hSecLXUh0
初めての書き物でこんなに楽しんでもらえるとは思わんかったとですw

( ^ω^)は村人Aのようです【その2】

引用: ( ^ω^)は村人Aのようです