1:◆mzsr/52vW2 2014/09/12(金) 22:56:48 ID:hhlrnMyI
さて、出会って早々にして極めて唐突ではあるけれども自己紹介をしたいと思う。
私は男だ、ごく普通の一般的な人間だ。
物語の様に特殊な力を持っている訳でも、特出した身体能力がある訳でもない。
ただの、ごく一般的な男だ。
大抵の場合において、そんな人間は物語においてただの脇役にすらなれない。
だからと言って別にどうこうするわけでもない、出来ないのは分かりきっているから。
私は男だ、ごく普通の一般的な人間だ。
物語の様に特殊な力を持っている訳でも、特出した身体能力がある訳でもない。
ただの、ごく一般的な男だ。
大抵の場合において、そんな人間は物語においてただの脇役にすらなれない。
だからと言って別にどうこうするわけでもない、出来ないのは分かりきっているから。
2: 2014/09/12(金) 22:57:37 ID:hhlrnMyI
例えば子供の頃、男の子なら誰もがヒーローに憧れただろう。
悪を倒すヒーロー、格好良くて強くなるヒーロー。
主役、センターであって物語の要石。
けれどもこれもまた誰もが味わう事であるが、そんな者にはなれない。
方法も無いし第一損を顧みず行動を起こせる存在は正直者がバカを見るこの世の中では非常に稀有だ。
なろうと思えばいくらでもなれるが、そんな気力は持ち合わせていない。
悪を倒すヒーロー、格好良くて強くなるヒーロー。
主役、センターであって物語の要石。
けれどもこれもまた誰もが味わう事であるが、そんな者にはなれない。
方法も無いし第一損を顧みず行動を起こせる存在は正直者がバカを見るこの世の中では非常に稀有だ。
なろうと思えばいくらでもなれるが、そんな気力は持ち合わせていない。
3: 2014/09/12(金) 22:58:25 ID:hhlrnMyI
だから皆、いつしかその夢を子供のうちに忘れてしまう。
子供であれる日のどこかにそれを置いてきてしまう。
無意識に分かっているのだ、それがいつの日か荷物になる事を。
それどころか危険物にすらなり得る事を、誰もが本能的に悟っている。
だからこそこの世にヒーローなんて居ないし、居るとしてもそれは本当に清い志を持った稀有な人。
もしくは大半分がヒーローもどきだ、子供の心を悪い意味で置き忘れた者達だから。
子供であれる日のどこかにそれを置いてきてしまう。
無意識に分かっているのだ、それがいつの日か荷物になる事を。
それどころか危険物にすらなり得る事を、誰もが本能的に悟っている。
だからこそこの世にヒーローなんて居ないし、居るとしてもそれは本当に清い志を持った稀有な人。
もしくは大半分がヒーローもどきだ、子供の心を悪い意味で置き忘れた者達だから。
4: 2014/09/12(金) 22:58:57 ID:hhlrnMyI
前置きが長くなったかもしれない。
ヒーローなんてこれから話すことには全く関係が無いから安心していい。
正義とか悪とか子供だとか大人だとかそんなもの一切合財関係していないから忘れていい。
ただこの話には明確な意図がある、そう謂わば――前段階としては、触りとして、導入としては重要だった。
そう、これから話す事はあまりに突飛過ぎて人を選ぶか良くても拒絶反応が起こりかねないから。
ヒーローなんてこれから話すことには全く関係が無いから安心していい。
正義とか悪とか子供だとか大人だとかそんなもの一切合財関係していないから忘れていい。
ただこの話には明確な意図がある、そう謂わば――前段階としては、触りとして、導入としては重要だった。
そう、これから話す事はあまりに突飛過ぎて人を選ぶか良くても拒絶反応が起こりかねないから。
5: 2014/09/12(金) 22:59:42 ID:hhlrnMyI
人は、子供のうちにあまりにも多くの物を置き忘れてしまう。
憧れを、勇気を、夢を、楽しみを。
摩耗し擦り減らしていつかどこかへと置き忘れてしまう。
それだけなのだろうか?
人が忘れるのはそれだけなのだろうか?
それだけではない筈だ忘却の彼方へと置き忘れてしまうのは、そんなものだけではない筈だ。
憧れを、勇気を、夢を、楽しみを。
摩耗し擦り減らしていつかどこかへと置き忘れてしまう。
それだけなのだろうか?
人が忘れるのはそれだけなのだろうか?
それだけではない筈だ忘却の彼方へと置き忘れてしまうのは、そんなものだけではない筈だ。
6: 2014/09/12(金) 23:01:00 ID:hhlrnMyI
子供の頃の在りし日、部屋の隅が怖くなかっただろうか。
そこに何かが潜んでいる様で、それがこちらを見ている気がして背筋が震えなかっただろうか。
子供の頃のその時に、天井の染みに恐怖を抱かなかっただろうか。
そこから何かがにゅるりと漏れ出してきそうで、そんな事をありえないと思いきれずに眠れなかった時は無かったか。
人は恐れる、何か分からないモノを恐れる。
なにが潜んでいるか分からない場所に、解明されないモノに本能的な恐怖を抱く。
そんな事を忘れてはいないだろうか。
そこに何かが潜んでいる様で、それがこちらを見ている気がして背筋が震えなかっただろうか。
子供の頃のその時に、天井の染みに恐怖を抱かなかっただろうか。
そこから何かがにゅるりと漏れ出してきそうで、そんな事をありえないと思いきれずに眠れなかった時は無かったか。
人は恐れる、何か分からないモノを恐れる。
なにが潜んでいるか分からない場所に、解明されないモノに本能的な恐怖を抱く。
そんな事を忘れてはいないだろうか。
7: 2014/09/12(金) 23:01:41 ID:hhlrnMyI
なんておどろおどろしい事を言ってはみたが、これから話すことにそんなホラー要素は残念ながら入っていないと思う。
その時の私はただの平凡な大学生であったし、今だって何の変哲もない人間であり続けている。
魔物を倒す力なんて無いし、そんな兆候も感じ取れるわけがない。
振り返ってみて初めてそれに気付く事だって多いのだ、あれはそんな事だったかなと。
その程度のありふれているかもしれない話だ、記憶に埋もれていてもおかしくない話だ。
そんな私の摩耗しきった記憶の断片から、体験談にも満たない事をぽつぽつと思い出してみようと思う。
面白味もあるかどうかわからないし、オチも何もない話。
注意点があるとするならばそう――
その時の私はただの平凡な大学生であったし、今だって何の変哲もない人間であり続けている。
魔物を倒す力なんて無いし、そんな兆候も感じ取れるわけがない。
振り返ってみて初めてそれに気付く事だって多いのだ、あれはそんな事だったかなと。
その程度のありふれているかもしれない話だ、記憶に埋もれていてもおかしくない話だ。
そんな私の摩耗しきった記憶の断片から、体験談にも満たない事をぽつぽつと思い出してみようと思う。
面白味もあるかどうかわからないし、オチも何もない話。
注意点があるとするならばそう――
8: 2014/09/12(金) 23:02:25 ID:hhlrnMyI
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
別に話を聞いた事で祟りが移る事もないし、不幸になる訳でもありません。
オチも無く意味もない、そんな話です。
別に話を聞いた事で祟りが移る事もないし、不幸になる訳でもありません。
オチも無く意味もない、そんな話です。
引用: この物語はフィクションです
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