258:箱の中 2006/08/19(土) 12:43:02.58 ID:kskL3TWS0

「さあ、上の展望スペースへいくわよ、もたもたしてると置いて行くからね」
「おい、ハルヒ、飛ばしすぎだ、古泉たちが追いついていないぞ」
「大丈夫よ、目的地わかってんだから さあ、キョン、きりきり歩く」
走っているって、おまえ

いつものようにSOS団は不思議探索の真っ最中である
この暑い中、本当によくやるもんである
ただいつもと違うのは、今回はハルヒのマクロ的に不思議を探すとかで
組み分けなしで、市内で一番高いこのビルの展望フロアー行くべく
エレベーターに乗り込もうとしていることだった。
まあ、冷房が効いているビルの中ってのが唯一の救いかもしれない

で、冒頭に戻ると、俺とハルヒは2人だけ先のエレベーターに乗り込んで
しまったのである

259:箱の中 2006/08/19(土) 12:44:42.82 ID:kskL3TWS0
>>258

「いい、いままでは、小さな視点で不思議を探してたのよ でもね、もっと
大きな視点も大事だと思うのよ、たとえば、2本になったり3本になったりする
煙突とか」

えーハルヒさん、一体頭の中は昭和何年代なんでしょうか
いまどき、そんなもん 不思議のうちにはいるかい
なんてことは、思ったところで決して口にしない、さかしさは持ち合わせている
俺ではあるが、これくらはいいだろう
「やれやれ」

「なんか言った キョン」

その時であった

ガクンという振動とともにエレベーター内の照明が消えた

「停電」
「停電か」

落ち着け 落ち着け
まずは深呼吸だ
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)

261: 2006/08/19(土) 12:45:48.28 ID:kskL3TWS0
>>259

まっくらとなってしまった、空間、ここにいるのは俺とハルヒだけ
いつぞやの閉鎖空間を思い出してしまうが、今回は現実世界
白雪姫では助けはこない

そうだ 携帯

暗闇の中で携帯の明かりがともる

「圏外か」

エレベーターないに設置された非常通報装置も応答はない
停電に影響に巻き込まれたのか、広範囲なので対応できないのか

外との連絡手段はとだえてしまったようだ

えーい いまいましい

ハルヒは
暗がりの中で携帯の小さな明かりがなんとも頼もしい

「おい ハルヒ 大丈夫か」

「なによ、これ、ぜんぜんなってないじゃない」
 とりあえず、大丈夫なようだ

262: 2006/08/19(土) 12:46:55.11 ID:kskL3TWS0
>>261


「外と連絡がつかない、どのくらいの規模の停電なのか見当もつかない」

「だから なに!」
 不機嫌にならなきゃいいが、こいつの不機嫌は世界を巻き込む

「いや、多分空調も切れるだろう、少しでも楽な姿勢でいるほうがいい」

「そ、そうね」
 えらく弱気な返事 本当に大丈夫かこいつ

その場所で、座りこむのを確認して、携帯を閉じる、闇が空間を支配する

「なんで、携帯とじちゃうのよ」

「いつまでかかるか、わからないんだ、バッテリーを無駄にはできない」

「そ、そうよね」

俺はこの暗闇でハルヒの顔が見えないことに安堵しつつも、弱っているハルヒの
顔がみれないのを少し残念にも思っていた。
 
 稀代の変人なんて称号をもらっていたって こいつも一人の女の子なんだ
 そんな当たり前のことを思う

263: 2006/08/19(土) 12:48:18.26 ID:kskL3TWS0
>>262

「なんか 話してよ」

「そうだな」
 
 俺はあの4月に初めてハルヒに出会った時のことから話を始めた
 
 自己紹介のこと、髪型のこと
 朝比奈さんの衣装のこと
 長門の本のこと
 古泉とのゲームのこと
 合宿でのこと、
 SOS団のこと
 そして俺自身のこと
 ハルヒのこと 

 こうゆうこっぱずかし話をするのに、相手の顔が見えないというのは
 結構いい状況かもしれない
 そういえば、ハルヒとゆっくり話をするのも久しぶりかもしれない

 ハルヒは別段、口を挟むでもなく、俺の話をただ聴いていた
 暗かったからどんな表情だったかはわからないが

264: 2006/08/19(土) 12:49:22.38 ID:kskL3TWS0
>>263

 どのくらいそうしていただろうか、
 閉じ込められた不安も
 空調の切れたた暑苦しさも
 微塵も感じていなかった

ふと、腕に感触が伝わる ハルヒの手が、俺の腕をつかんでいる
まるで幼子が おいてゆかれるのを察したかのように

ハルヒが黙っていてくれることに感謝して
その手の上にそっと自分の手を重ねた

「キョン わたしも                    」





軽い振動とともに狭い室内に明かりが戻る
どのくらいの時間だったのだろう、エレベータは再び
なにごともなかったかのように上昇を始めた

 ハルヒの最後の言葉は正直いって、聞き取れなかったのだけが残念だ

265: 2006/08/19(土) 12:50:57.12 ID:kskL3TWS0
>>264

最上階につきエレベータはその重かった扉をあけた
まばゆいばまりの外の日差しが飛び込んでくる

「えらいめに あったわね、キョン、
SOS団としては早速、この事故の原因を究明する必要があるわ!」

  すっかり、元にもどったハルヒの声を聞きながら、
  3人がどこにいるんだろうと考えている俺がいた。

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以上本編はお終いです、休憩後 引き続き番外編の投下を行います

267: 2006/08/19(土) 12:56:26.17 ID:kskL3TWS0
朝比奈「あっ キョン君と涼宮さん先にいっちゃいましたよ」
古泉「大丈夫でしょう、行き先は上の展望スペースですから さあ、われわれも」
長門「・・・」

 どうたら遅れた(宇宙人と未来人と超能力者の)三人もエレベーターに
 乗り込んだようです あ 本編は>>258をどうぞ

朝比奈「あれ」
古泉「停電ですね」
長門「環境情報の取得を開始」

朝比奈「どうしましょうか」
古泉「とりあえずは外の状況を」
長門「この地域に主要電力を供給する電力線に大規模な事故が発生
現在原因を究明中」

269: 2006/08/19(土) 12:57:43.52 ID:kskL3TWS0
>>267

朝比奈「てっとりばやく外にでちゃいます?」
古泉「え」

朝比奈「TPDDで外に、時間移動分を微少にすれば、単純に空間移動できます」
古泉「上じゃまずいか、下のロビーあたりで、三人一緒で問題ないですか」
朝比奈「この程度の距離なら私の権限で大丈夫です あ、長門さんジャンプ先の
確保をお願いします、突然人ごみの中って訳にはいかないので すみません」
長門「了解した」

朝比奈「では、お2人ともわたしの手を握ってください」

朝比奈「はい、着きました、長門さん、環境操作ありがとうございました」
古泉「けっこう、きますね、これ」
朝比奈「大丈夫ですか、なれないと酔うんですよこれ 長門さんは大丈夫そうですね」
長門「問題ない」

270: 2006/08/19(土) 12:58:17.07 ID:kskL3TWS0
>>269

朝比奈「ひぇー ビルの中暗くなってますねぇ」
古泉「結構大変なことになってますね これは時間がかかりそうだ」
朝比奈「でも あっついですね、キョン君たち大丈夫なかぁ」
古泉「空調きれてますね、このビル自家発電への切り替えどうなっているんでしょう」
朝比奈「とりあえず外でませんか もうあつくって」
長門「了解した、遠隔での監視を続行する」

朝比奈「あ、そとのコンビニでアイス配っている、もらってきますね人数分」
古泉「停電じゃ 商品まるで無駄になりますからね」
長門「かき氷がいい」

271: 2006/08/19(土) 13:00:14.08 ID:kskL3TWS0
>>270

朝比奈「ふぃーやっと一息ついたって感じですね、あれ、古泉君、あっちの方は
大丈夫ですか」
古泉「ええ、あの空間も発生していないようですし、まあ、危機で2人で密室ですから
なんとかよろしくやっているんじゃないんですか つり橋効果って言葉もありますし」
長門「さくさくさく」



長門「通電の再会を感知、あと3分15秒でこのビルの電源が回復する」
朝比奈「さぁて」
古泉「そろそろ行きますか」

       3人が展望フロアで2人と再会したのは、この7分後のことであった

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えーこれでおしまいです、あっそこの人 物をなげないでください 

435: 2006/08/19(土) 21:17:41.11 ID:kskL3TWS0
GJです

この流れで投下していい

引用: ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」