77:日常あるいは平穏な日々:長門篇 2006/08/22(火) 03:23:55.34 ID:c5W2n6Vf0


 その日、文芸部部室、通称SOS団アジトには涼宮ハルヒと長門有希の2人しかいなか
った。副団長の古泉一樹はクラス委員の集まりがある理由で欠席、マスコット兼メイド兼
書記係の朝比奈みくるは鶴屋に誘われて欠席、そして雑用係のキョンも欠席……というわ
けではなく、谷口と国木田の誘いを断れず、遅れてやってくると言うことだった。
 各々、はずせない諸事情があるとはいえ、団員の3/5が不在ということもあって、ハル
ヒの機嫌はよろしくない。

「せっかくみくるちゃんに新しい衣装を用意したのになぁ。今日はヒマねぇ」

 団長席に胡座をかいて座り、マウスをかちかちとさせながら、暇を持てあまし
ているときに見せる不満顔でハルヒが呟く。
 そんな団長に一瞬だけ目を向けて、長門有希はすぐに文庫本へ視線を戻した。
 ハルヒは確かに退屈しているが、世界を改変するほどまで今の世界に飽き飽きしている
わけではなさそうだ。放置しておいても問題ないレベルと判断して本を読み続けていると、
不意に妙な視線を感じて再び顔を上げた。ハルヒがジッとこちらを見ている。

「有希、ちょっとこっちいらっしゃい」

 何を思いついたのか、小首をかしげて有希は席を立つ。ハルヒの前まで来ると、団長席に
座るように言われた。

「うーん……あんたカワイイんだから、もうちょっとオシャレに気を配りましょうよ。こ
の超美容師、涼宮ハルヒさまに任せなさい!」

 いったいどこから取り出したのか、ハルヒの手には櫛やらファンデーションその他の化
粧品一式が握られていた。

「そうね……うーん、ちょっとおでこ出してみる? ん……と、こんな感じかなぁ」
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)

79: 2006/08/22(火) 03:24:49.43 ID:c5W2n6Vf0
 まるでメイクアーティストのように手慣れた手つきで眉を整え、ベースメイクを終わら
せる。素地がいいだけに、アイラインやマスカラを入れただけで別人のようになる。ハル
ヒは有希の細い顎に手を伸ばし、上を向かせてリップブラシで口元を強調する明るめのリ
ップを選択。それで完成だ。

「これなら、衣装も変えちゃいましょうよ。んー、みくるちゃんでサイズが合わないかも
だけど、それでもいいわよね」

 いいも悪いも、明確な意思表示を見せる有希ではなく、仮に断ったところで押しきられ
るに決まっている。

「うん、これでカンペキ!」
「遅れてすま……ん?」

 満足げにハルヒが胸を反ると同時に、部室のドアを空けてキョンがやってきた。まるで
アンティーク・ドールのような有希と目が合って、言葉を無くす。

「ちょっとキョン、どうこれ!? 衣装はみくるちゃんのために用意したゴス口リだけど…
…みくるちゃんはメイドさんだしね。有希の衣装にしちゃいましょ。我ながらいい仕事し
たわ! って、なによそのマヌケ面。なんか、いやらしいわねっ」

 ずっと有希を凝視していたキョンに向かって、急に機嫌を悪くしたハルヒが怒鳴り散ら
している。どうやら自分の役目は終わったようだと判断して、有希は読みかけの本を再び
手に取ってページを開いた。
 唯一残念なのは、キョンがどんな印象を抱いたのか、そのコメントを聞けなかったこと
だろうか。けれどその感情はエラーと判断。すぐに霧散する。

 有希は言い合いを続けるハルヒとキョンの声をBGMに、有希はいつものように活字の世界に没頭した。


80: 2006/08/22(火) 03:26:02.35 ID:c5W2n6Vf0
ちょっとふつーの女子高校生らしい会話ってのをやってみたかった。
ただそれだけのお話デシタ。


81: 2006/08/22(火) 03:27:26.98 ID:HKd5OVoE0
てかその長門の絵を描いてほしい

85: 2006/08/22(火) 03:35:12.07 ID:vpDnNEB7O

引用: ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」