391: 2015/01/31(土) 19:45:09.87 ID:C58+PlfP0


~ある日の鎮守府~

榛名「ふわ……あぁ……」

榛名「今日も一日、頑張りましょ――――」ピキッ

13:00

榛名「――――ヒトサンマルマル?」

榛名「……」

榛名「盛大に寝坊してしまいましたあああああああああああああ!!!!!!!!!!」
Model Graphix ARCHIVES 艦隊これくしょん 「艦これ」2
392: 2015/01/31(土) 19:48:14.80 ID:C58+PlfP0
~執務室~

榛名「提督!遅れて申し訳ありません!榛名ただいま到着――――」

提督「ん?おはー榛名」

榛名「……」

榛名『提督、こっちの書類にサインお願いします』

提督「あいよ」サラサラ

榛名「……なんでここにいるんですか」

提督「え?ここって一応俺の仕事部屋兼住居……」

榛名「提督じゃなくて!そっちのです!そっちの!」

榛名『来ちゃいました』テヘッ

榛名「来ちゃいました、じゃありませんよ!」

393: 2015/01/31(土) 19:57:03.79 ID:C58+PlfP0
榛名『でも私、ちゃんと書き置きにまた来るって書いておきましたし』

榛名「早いんですよ!一ヵ月や二ヵ月くらい期間空けましょうよ!」

榛名『愛しの提督とそんなに長い間会えないなんて氏にます』

榛名「流石に嘘でしょう!?昔の榛名だってそこまで酷くなかったはずです!」

提督「い、愛しのなんて……なんか照れるな……」///

榛名「そこ!気持ち悪いから照れないでください!」

提督「 (´・ω・`)」

榛名『落ち込んでる提督も愛らしいです!』ガバッ

榛名「榛名と同じ見た目で過剰なスキンシップは控えてください!」

提督「胸が!柔らかなダブルマウンテンが!」

394: 2015/01/31(土) 20:00:45.99 ID:C58+PlfP0
提督「でもさ、寝坊したお前の代わりに仕事手伝ってくれたんだぜ?そう怒るのもどうかと思わないか?」

榛名「うっ」

榛名『私、頑張りました!』

提督「よしよしいい子だ頭撫でてやろう」ナデナデ

榛名『ふみゅう』トローン

榛名「すみません榛名の姿でイチャつかれると本格的に吐き気がするのでやめてくださいお願いします」

提督「そこまで!?」ガビーン

榛名「……まあ、仕事を代わりにやってくれたみたいですし、今日一日ここにいるのは許しますよ」

榛名『泊まります』

榛名「やっぱり出て行ってください」

395: 2015/01/31(土) 20:07:18.31 ID:C58+PlfP0
提督「とりあえず確認したいんだけど、お前らどっちも榛名なんだよな?」

榛名「ええ、まあ」

榛名『より提督を好きなのは私の方ですけどね!』

榛名「その通りです」

提督「そこはもうちょっと張り合おうぜ榛名!」

榛名「はい」 榛名『はい?』

提督「ああ、そうか。榛名って呼ぶとどっちも反応しちゃうのか……ありがちなパターンだな」

榛名『提督!提督!紛らわしないように私に名前を付けてください!「俺の嫁」とか「マイハニー」とかでもいいですよ!』

榛名「えっと、憲兵さんの連絡先は……」

提督「俺まだ何もしてねえよ!?つーか他の艦娘と絡むのはむしろ推奨してくるくせに、なんで榛名だけはダメなんだ!どっちの榛名と触れ合おうとしても怒られるんだけど!」

榛名「榛名が提督とラブラブしてるというのが生理的に無理です」

提督「泣くぞバカ!昔の礼儀正しくて俺に懐いていた榛名はどこへ行ったんだ!」

榛名『あなたの目の前にいます♪』

396: 2015/01/31(土) 20:10:57.26 ID:C58+PlfP0
提督「……まあいい。とりあえず今は名前を考えよう」

榛名『わくわく』

榛名「心境を口に出すとかあざといんですよ」チッ

提督「……よし、決めた」

榛名『どんなのですか!「ラブリーマイエンジェル」ですか?「メインヒロイン」ですか!?』

榛名「それもう名前じゃないでしょう」

提督「ヤミナ……ってのはどうだろう?」

榛名『ヤミナ?』

提督「ああ」

榛名『……』

提督「ダメか?」

ヤミナ『いえ、すっごくいいです!私、嬉しいです!』

提督「そうか。喜んでもらえたようでなによりだ」

397: 2015/01/31(土) 20:28:29.19 ID:C58+PlfP0
榛名「……」パチパチ

提督(榛名がすごいウインクしてくる……あれはマバタキ信号か?えー、何々?)

榛名(由来 求ム)

提督(名前の理由を教えろってことか)パチパチ

榛名(えっと……)

提督(病ンデル 榛名 略シテ ヤミナ)

榛名「……」

ヤミナ「どうしたんです?突然そんな哀れなものを見るような目で見てきて」

榛名「……強く生きてください」

ヤミナ「?」キョトン



※ヤミナさんを漢字表記すると『病名』になります。ビョウメイと読んだらダメ絶対

404: 2015/01/31(土) 21:13:17.92 ID:C58+PlfP0
ヤミナ「こんな素敵な名前をくれるなんて提督はやっぱり私の子と大好きなんですね名前だけじゃなくて指輪と種子もくれていいんですよ?」

提督「名前通りの言動だな」

ヤミナ「そんなに褒められたら照れますっ!」///

提督「褒めてないが照れてる姿が可愛いので良しとしよう。榛名、カメラだ」

榛名「勝手に撮影会でも何でもしててください。榛名はお腹が空いたので『間宮』に行ってきます」スタスタ

ヤミナ「じゃあ私も行きます」トコトコ

提督「俺も行くわ」スタスタ

榛名「……提督の奢りで暴食してやります」

提督「何故に!?」

405: 2015/01/31(土) 21:20:05.33 ID:C58+PlfP0
~食事処『間宮』~

間宮「いらっしゃいませ~」

提督「食堂と分離して新しくなった間宮に来たぞー」

榛名「説明乙です」

ヤミナ「些細なことでも私に説明してくれる提督、素敵です!」

榛名「ダメですこの人。遅すぎたんです」

提督「卵焼きと目玉焼きとゆで卵とオムライスとオムレツと天津飯ください」

ヤミナ「私は抹茶アイスをお願いします」

榛名「榛名は日替わり定食で」

間宮「かしこまりました」トコトコ

榛名「……榛名が二人いる状況にツッコまない間宮さん流石です」

提督「珍しく額に汗かいてたけどな」

ヤミナ「提督、あの方のことよく見てるんですね」ニッコリ

提督「大変!ヤミナのハイライトちゃんが息してないの!」

榛名「そのくらいのヤンデレは自力で何とかしてください」

提督「榛名の薄情者!」

406: 2015/01/31(土) 21:22:35.58 ID:C58+PlfP0
ヤミナ「提督?なんで榛名と話してるんですか?ちゃんと私を見て私とお話ししないダメじゃないですか」

提督「ひ、ヒエー!」ガクブル

比叡「呼びました!?」ニョキッ

提督「どっから出てきた!」

榛名「生えてきましたね」

比叡「比叡ちゃんの特殊技能の一つです!」テヘッ

ヤミナ「……ハラショー」

提督「それお前のセリフじゃないから」

407: 2015/01/31(土) 21:26:23.91 ID:C58+PlfP0
金剛「比叡ーどこ行ったですカー」

比叡「お姉さまここですここ!見てください榛名が二人いるんですよ!」

金剛「榛名が二人?何をおかしなことを言って――――」

榛名・ヤミナ「「……」」

金剛「……」

間宮「卵焼きとオムレツと目玉焼きお待たせしました」コトッ

提督「ありがとうございます」

間宮「残りはもうちょっとお待ちくださいね~」

提督「いえいえお気になさらず」

比叡「あ、私にカレー持ってきてもらえますか?」

間宮「わかりました、カレーですね」

比叡「お会計は提督でお願いします!」

提督「おいコラ」

408: 2015/01/31(土) 21:31:50.42 ID:C58+PlfP0
金剛「っ!」カチャッ

榛名「お姉さま待ってください!この人は――――」

ヤミナ(流石は榛名。なんだかんだ言って私のことを庇ってくれるんですね!)

榛名「――――この人は榛名の獲物です!」

ヤミナ「提督ー!金剛姉さまと榛名が私をいじめますー!」ダキッ

提督「至福」

金剛「問答無用で氏刑確定」

比叡「流石に今のは私もちょっとイラッと来ました。い、いや、別に提督のことが好きだから妬いてるとかじゃないですから!金剛姉さまを不快にさせた罪です!」

榛名「殺」

間宮「日替わり定食とオムライスと天津飯とゆで卵お待たせいたしました~」

提督「なんだこのカオスな状況」

409: 2015/01/31(土) 22:02:10.91 ID:C58+PlfP0
加賀「流石に気分が高揚します」

大和「大和、砲雷撃戦、はじめます!」

瑞鳳「インレンジ、決めます!」

山城「主砲、よく狙って……」

鈴谷「さてさて、突撃いたしましょう」

熊野「一捻りで黙らせてやりますわ!」

提督「お前らどっから湧いた!?」

410: 2015/01/31(土) 22:11:43.66 ID:C58+PlfP0
ヤミナ「提督と私の甘い恋を邪魔するというのなら容赦はしません」

提督「……執務室に帰りたい。料理持った間宮と一緒に部屋の隅っこで待機してたい」

榛名「第一抵抗しない提督にも責任があります氏」

提督「ちょっと待て語尾がヤバい感じ聞こえぐぼらっ!」ドガッ

伊168「邪魔」

提督「だからといってニードロップはやめろよ!」

伊168「浜風、ここは騒がしいからあっちで食べましょ」

浜風「そうですね。でもお酒はダメですよ」

伊168「……」ゲシッ

提督「なんで!?」

伊168「八つ当たりよ。悪い?」

提督「悪いよ!開き直るなよ!」

ヤミナ「提督?あまり私から目を離さないでくださいね?」グイッ

提督「首が!首が曲がっちゃいけない方向に!」

金剛「さっさと提督を離すネー」ガシャン

ギャーギャーワーワー

間宮「お店は壊さないでくださいねー……」

411: 2015/01/31(土) 22:16:49.43 ID:C58+PlfP0
~鎮守府・裏口~

ヤミナ「……」

榛名「もう帰るんですか?」

ヤミナ「!」ビクン

榛名「あなたが撒いた火種で『間宮』は戦場と化してますが」

ヤミナ「修繕費は経費で落としておいてください」

榛名「落とせるわけないでしょう」

ヤミナ「……」

榛名「……」

ヤミナ「……」

榛名「……聞いて、いいですか?」

ヤミナ「何をです?」

榛名「あの日、あなたが知ったこと全部」

412: 2015/01/31(土) 22:52:54.81 ID:C58+PlfP0
ヤミナ「……」

榛名「教えてください。あなたがあの日、あの時に何を知ったのか」

ヤミナ「……それを聞いてどうするつもりなんですか?」

榛名「それはまだわかりません。ですがきっと――――」


榛名「――――その情報は、エラー娘に繋がっているはずです」


ヤミナ「……」

榛名「あの時、姿は見えませんでしたがエラー娘の声が聞こえました。つまり、あの時のあなたの暴走はエラー娘に引き起こされたのでしょう?」

ヤミナ「……その勘の良さは、いつか身を滅ぼしますよ」

榛名「御託は結構。早く話してください」

ヤミナ「残念ながら、それは無理です」

榛名「無理?」

413: 2015/01/31(土) 23:03:01.13 ID:C58+PlfP0
ヤミナ「私個人の意思としては話すことはやぶさかではありません。ですが、出来ないのです」

榛名「何故?」

ヤミナ「セーフティ、でしょうね。あのエラー娘が何の制限もなく情報を渡すはずありませんから」

榛名「……」

ヤミナ「ですが、この程度はおそらく大丈夫でしょう。ダメだとしたらセーフティが掛かりますし」

榛名「?」

ヤミナ「あるところに、一つの世界がありました」

ヤミナ「その世界では艦娘と呼ばれる少女たちが、深海棲艦という恐ろしい敵と戦っていました」

ヤミナ「艦娘を率いるのは提督と呼ばれる人間。彼と艦娘たちは鎮守府で時に笑い、時に泣きました」

ヤミナ「最初は一つだった鎮守府は、二つに。一人だった提督は、二人に」

ヤミナ「まったく同じ容姿・感情を持つ艦娘もまた、二人になりました」

榛名「……」

ヤミナ「それからも同じことが続き、ある日」

ヤミナ「その世界は新たな世界を生み出し始めました」

榛名「……」

414: 2015/01/31(土) 23:12:04.09 ID:C58+PlfP0
ヤミナ「太陽のように明るい艦娘と、仲間の個性的な艦娘たちが努力と友情で戦い続ける世界」

ヤミナ「学校のような鎮守府で、ふんわりまったりと様々な艦娘たちが過ごしている世界」

ヤミナ「人類が制海権を失い、艦娘たちが命懸けで深海棲艦と戦う世界」

ヤミナ「色んな世界が生まれました」

榛名「……この世界もその一つだと?」

ヤミナ「さあ、どうでしょう?」

榛名「ふざけないでちゃんと――――!」

ヤミナ「この世界は他の世界とはかなり異なります」

榛名「!?」

ヤミナ「『原作』である元の世界から乖離している。イレギュラーが、多すぎるんです」

榛名「イレ、ギュラー?」

ヤミナ「『救世主』、『捕食者』、そして『代替品』である私」

ヤミナ「今はまだその性質が現れていないだけで、イレギュラーは他にもあなたと提督の傍にいます」

榛名「……」

ヤミナ「世界は観測者が望み、創造者が紡ぐ――――」

榛名「意味が、わかりません」

ヤミナ「今はまだそれでいいんです。本来なら、これを伝えるのは私の役目ではなかったのですから」

415: 2015/01/31(土) 23:15:17.39 ID:C58+PlfP0
ヤミナ「それでは私はもう行きます。あまり長く留まっていても仕方がないですからね」スタスタ

榛名「待ってください!まだあなたには聞きたいことがたくさん――――」

ヤミナ「これ以上話せることはありませんよ。自分で考えて自分で行動して――――」



――――二度と、提督をあのような目を合わせないように。



ヤミナ「武運長久を祈ってますよ。あなたではなく提督の」

榛名「……」

416: 2015/01/31(土) 23:20:15.06 ID:C58+PlfP0
~執務室~

榛名「……」ガチャッ

提督「あれ?あいつは?帰ったの?」

榛名「……」スタスタ

提督「おい、榛名?なんで近づいて――――」ポスッ

榛名「……」

提督「ちょ、おま、どうした!?」

榛名「今だけで、いいんです」

提督「?」

榛名「榛名の頭の中が、整理できるまで」

榛名「安心させて、ください」

提督「……」

提督「……了解」ナデナデ

榛名「……」ギュッ

榛名(あの人が言っていたこと……この世界は一つの世界から派生したものの一つ。イレギュラーという本来あり得るはずのない存在。そしてエラー娘)

榛名(望まれているストーリー……それは、いったい……)

提督「あの、榛名さん?いい加減腕が疲れたんですが」

榛名「もう少し頑張ってください」

417: 2015/01/31(土) 23:22:57.48 ID:C58+PlfP0
おわり。ヤミナメイン回のはずだったのに最後は榛名が持っていった。誰の責任だ!

次回は駆逐艦……だといいですね

数日前に「陽炎、抜錨します!」と「吹雪、頑張ります!」を全巻購入しました。面白かったです

418: 2015/01/31(土) 23:33:26.03 ID:H1VOFWgfo

引用: 榛名「榛名恋愛相談所」 天龍「2件目だぜ!」