723: 2006/08/26(土) 00:51:07.96 ID:Z32foSST0
------キリトリセン--------
【余ったピース】 1
「出来たっと」
最近古泉君が部室にパズルを持ち込んでくるようになった、いくつかのパーツ
を組み立てて立方体とかを作るやつ、単純そうみ見えて結構やっかい、でも
わたしと有希が片っ端から完成させるので、だんだん難易度の高いのをもって
くるようになった、今回のは放課後だけで、出来上がらずに 家の持ち帰って
やっていたのだ
少し強張った体を 伸びをして解す
すでに寝室の窓のカーテン越しに朝のやわらかい日差しが入り込んできている
「やだ、もうこんな時間 どーしよう、今から寝たら絶対に遅刻するな」
結局一晩がかりでパズルに夢中になっていたのだ、でも、古泉君のくやしそう
な顔を思い浮かべれたら 気分がいい でも こんなに夢中になれるとは思わ
なかった、答えに向かって、試行錯誤する、そして自分の作業が綺麗な完成形
でむくわれる快感 無味乾燥に思えた数学とが科学とかに、ちょっと新鮮な興
味を思えている そんなわたしが自分でも少し不思議
寝室の窓を開けて、少し肌寒くなった朝の空気を深呼吸する 今日もいい天気、
少し風が強いかな、ふいに風でカーテンが膨らみ机の上をなぜる
カラン
「あ、ピース」
725: 2006/08/26(土) 00:51:57.24 ID:Z32foSST0
>>723 【余ったピース】 2
先ほど完成させたパズルのピースが床に軽い音をたてて落ちる 古泉君も
なかなかの策士よね、全部のパーツを使わないのが正解だなんて、途中だいぶ
てこずっちゃたわ、なくしちゃうといけないから、わたしはピースを拾い鞄の
中へ
文化祭も終わって 高校にはいってもう半分すぎちゃんだよね、いろんなこと
があった、そのほとんどは、楽しいこと、SOS団のみんなの顔が思い浮かべで
朝ごはんまでの間、ちょっとだけ、感傷のふける、これからどんな不思議がわ
たしを楽しませてくれるのだろう
学校へ、今年も前の席にいるこいつは キョン、相変わらず気の抜けたような
顔をしている、そういえば こいつも昨日 古泉君のパズルもって帰ってたっ
け、もっともわたしがすでにクリアした奴だけど 話かけてこないとこ見ると
完成してないな 放課後部室でいじめてやろう
やっと放課後、そろそろ中間試験ってことで教師陣はなんか無駄に熱い、そん
なことはかるく聞き流して部室へ キョンは先に出て行ったのかな
「やっほー 出来たわよ 昨日のやつ!」
すでの有希と古泉君がきていた、感心感心、それにくらべてキョンはなによ
わたしより先に教室でたくせに、団長様より遅いってどうゆうことなの
「涼宮さん 本当に一晩で完成させたんですか?僕はまるまる一ヶ月かかった
んですがね、それ、完敗です、さすが涼宮さんですね」
うーん 古泉君のそのくやしそうな顔 いいわ
先ほど完成させたパズルのピースが床に軽い音をたてて落ちる 古泉君も
なかなかの策士よね、全部のパーツを使わないのが正解だなんて、途中だいぶ
てこずっちゃたわ、なくしちゃうといけないから、わたしはピースを拾い鞄の
中へ
文化祭も終わって 高校にはいってもう半分すぎちゃんだよね、いろんなこと
があった、そのほとんどは、楽しいこと、SOS団のみんなの顔が思い浮かべで
朝ごはんまでの間、ちょっとだけ、感傷のふける、これからどんな不思議がわ
たしを楽しませてくれるのだろう
学校へ、今年も前の席にいるこいつは キョン、相変わらず気の抜けたような
顔をしている、そういえば こいつも昨日 古泉君のパズルもって帰ってたっ
け、もっともわたしがすでにクリアした奴だけど 話かけてこないとこ見ると
完成してないな 放課後部室でいじめてやろう
やっと放課後、そろそろ中間試験ってことで教師陣はなんか無駄に熱い、そん
なことはかるく聞き流して部室へ キョンは先に出て行ったのかな
「やっほー 出来たわよ 昨日のやつ!」
すでの有希と古泉君がきていた、感心感心、それにくらべてキョンはなによ
わたしより先に教室でたくせに、団長様より遅いってどうゆうことなの
「涼宮さん 本当に一晩で完成させたんですか?僕はまるまる一ヶ月かかった
んですがね、それ、完敗です、さすが涼宮さんですね」
うーん 古泉君のそのくやしそうな顔 いいわ
726: 2006/08/26(土) 00:52:41.78 ID:Z32foSST0
>>725 【余ったピース】 3
「次回はもっと、手ごたえのあるやつを 捜してきなさい、もっともわたしと
有希が根をあげるようなものは、この世に存在しないといっても過言ではない
わ! ねえ 有希」
物静かな読書少女は、本に眼を落としたまま ちいさく頷いた様にみえた
「では、ご期待に添えますよう がんばってみます それより一度、作者の方
に会ってみませんか?」
「パズルの?」
「ええ、作者の方は 自分の作品をかたっぱしからクリアする美少女高校生に
は興味をもたれていますよ」
「どんな人?」
「もう結構なお歳ですが、大学で数学の教鞭をとられている方で、世界でも有
数のパズリストの方ですよ」
「考えとくわ、でもその時は、有希、いや、SOS団で押しかけてあげましょう」
「そうですね、きっと楽しい時間になるとおもいますよ」
古泉君との話は楽しい、バカキョンと違って、話題も豊富だし、なにより人の
話をいちいちさえぎったり反論したりしない、どうしてあいつはそうゆう部分
がどんくさいんだろうこのくらいスマートに落ち着いて話ができるってのは人
としての格が違うのかもしれないわね、話は立体のパズルから、天文、神話に
まで広がる 最近古泉君とこうやって話する時間が増えたような気がする
いつのまにか、部室には朝比奈さんも来て、お茶をいれてくれる
「涼宮さん はい」
「ありがとう」
「次回はもっと、手ごたえのあるやつを 捜してきなさい、もっともわたしと
有希が根をあげるようなものは、この世に存在しないといっても過言ではない
わ! ねえ 有希」
物静かな読書少女は、本に眼を落としたまま ちいさく頷いた様にみえた
「では、ご期待に添えますよう がんばってみます それより一度、作者の方
に会ってみませんか?」
「パズルの?」
「ええ、作者の方は 自分の作品をかたっぱしからクリアする美少女高校生に
は興味をもたれていますよ」
「どんな人?」
「もう結構なお歳ですが、大学で数学の教鞭をとられている方で、世界でも有
数のパズリストの方ですよ」
「考えとくわ、でもその時は、有希、いや、SOS団で押しかけてあげましょう」
「そうですね、きっと楽しい時間になるとおもいますよ」
古泉君との話は楽しい、バカキョンと違って、話題も豊富だし、なにより人の
話をいちいちさえぎったり反論したりしない、どうしてあいつはそうゆう部分
がどんくさいんだろうこのくらいスマートに落ち着いて話ができるってのは人
としての格が違うのかもしれないわね、話は立体のパズルから、天文、神話に
まで広がる 最近古泉君とこうやって話する時間が増えたような気がする
いつのまにか、部室には朝比奈さんも来て、お茶をいれてくれる
「涼宮さん はい」
「ありがとう」
728: 2006/08/26(土) 00:53:25.35 ID:Z32foSST0
>>726 【余ったピース】 4
そういえば、キョンの奴はいったいどこいったのだと訝るのと同時に、部室の
ドアがノックされる キョンだ、随分遅かったじゃないの
「ふぁーい」
みくるちゃんの声をうけ部室の扉が開き、キョンが入ってくる、なんかあんま
り顔色よくないわね、あんたもひょっとして徹夜
「キョン! 遅いわよ、一体どこいってたの!」
「ああ進路相談だ、それよりハルヒ、おまえ、昨日の相談すっぽかしたろ、岡
部がまってるぜ」
あいさつ代わりにいきなりその話?それってないんじゃない
「なによ、岡部ごときにわたしの進路を相談することなんてないわよ それよ
り、昨日のパズルは出来た?」
「いや、どうも俺はああゆうのはしょうに合わないようだ、一晩かかっても全
然だ、それより申し訳ないが、俺 今日はこれでいいかな、家で話しなくちゃ
ならない状態なんだ」
へへ、やっぱり出来なかったようね、こいつこんなに落ち込むほど成績悪かっ
たっけ?
「だらしないわね、まあ、キョンの頭じゃしょうがないか、そう、試験前には
また勉強会もいいわね」
「ああ、その時には、また頼むかもな、申し訳ないけど これで あと、
ハルヒ、一応 岡部のとこ顔だしとけよ じゃあ 邪魔したな」
そういえば、キョンの奴はいったいどこいったのだと訝るのと同時に、部室の
ドアがノックされる キョンだ、随分遅かったじゃないの
「ふぁーい」
みくるちゃんの声をうけ部室の扉が開き、キョンが入ってくる、なんかあんま
り顔色よくないわね、あんたもひょっとして徹夜
「キョン! 遅いわよ、一体どこいってたの!」
「ああ進路相談だ、それよりハルヒ、おまえ、昨日の相談すっぽかしたろ、岡
部がまってるぜ」
あいさつ代わりにいきなりその話?それってないんじゃない
「なによ、岡部ごときにわたしの進路を相談することなんてないわよ それよ
り、昨日のパズルは出来た?」
「いや、どうも俺はああゆうのはしょうに合わないようだ、一晩かかっても全
然だ、それより申し訳ないが、俺 今日はこれでいいかな、家で話しなくちゃ
ならない状態なんだ」
へへ、やっぱり出来なかったようね、こいつこんなに落ち込むほど成績悪かっ
たっけ?
「だらしないわね、まあ、キョンの頭じゃしょうがないか、そう、試験前には
また勉強会もいいわね」
「ああ、その時には、また頼むかもな、申し訳ないけど これで あと、
ハルヒ、一応 岡部のとこ顔だしとけよ じゃあ 邪魔したな」
729: 2006/08/26(土) 00:54:08.60 ID:Z32foSST0
>>728 【余ったピース】 5
なにが気に食わないんだろう、あいつは、みくるちゃんのお茶の飲まずにその
まま部室からでていった。なんか暗い奴、せっかく楽しい話でもりあがってい
たのに、水をさすなんて、空気が読めないやつよね
「涼宮さん、どうされます?」
「まあ いいわ、どうせいかなきゃならないんなら、行ってくる今日は解散!
古泉君その話はまた明日ね みくるちゃん、鍵しめちゃっていいわ、鞄もって
くから また明日ね!」
わたしはそういって、部室を後にした。
なにが気に食わないんだろう、あいつは、みくるちゃんのお茶の飲まずにその
まま部室からでていった。なんか暗い奴、せっかく楽しい話でもりあがってい
たのに、水をさすなんて、空気が読めないやつよね
「涼宮さん、どうされます?」
「まあ いいわ、どうせいかなきゃならないんなら、行ってくる今日は解散!
古泉君その話はまた明日ね みくるちゃん、鍵しめちゃっていいわ、鞄もって
くから また明日ね!」
わたしはそういって、部室を後にした。
731: 2006/08/26(土) 00:55:15.71 ID:Z32foSST0
>>729 【足りない欠片】 1
「あーいまいましい」
最近古泉が部室にボードゲームの仕返しのつもりなのか パズルを持ち込んで
くるようになった、いくつかのパーツを組み立てて立方体とかを作るやつだ、
残念ながら俺にはこの方面の素養がないようで、ハルヒや有希がいとも簡単に
組み立ててゆくのを眺める、ちょっと癪に障る、それもあって、簡単そうなや
つを家に持ち帰ったのだが、やはりとても手に負えない
「ピース足りないんじゃないのか、これ」
それにしても、ハルヒはパズルにこんなに興味を示すとは思わなかった、少し
前なら、途中で癇癪を起こして例の空間を大量発生させていただろうに、古泉
が嬉々としてパズルを持ってくるということは、今ではそんなこともないんだ
ろう、いやまて、あいつのやることがなにか裏があるのかもしれないが、俺に
はしったことではないだろう
多分、あいつは、身の回りのいろんなことに興味をいだけるようになったんだ
ろう、それはきっと いい方向への変化なんだろう、入学当初のあいつの表情
からくらべたら、今ではまるで別人のように輝いて見える、お世辞じゃなくな
そういえば、すでに受験生になっている朝比奈さんも前に時々みせていた憂い
のような、もどかしいような表情をみせることも少なくなったし、長門もあの
事件以来、大きな問題は起こしていないし、あいかわらず俺にしかわからない
かもしれないが、随分表情が人間ぽっく豊かになったと思う まあ、古泉は同
じか いや、最近ではあいつハルヒや朝比奈さんと普通に話しをしている、最
初の頃の妙な敬語がそのままだけれど、態度は随分やわらかくなったな、確か
に
「あーいまいましい」
最近古泉が部室にボードゲームの仕返しのつもりなのか パズルを持ち込んで
くるようになった、いくつかのパーツを組み立てて立方体とかを作るやつだ、
残念ながら俺にはこの方面の素養がないようで、ハルヒや有希がいとも簡単に
組み立ててゆくのを眺める、ちょっと癪に障る、それもあって、簡単そうなや
つを家に持ち帰ったのだが、やはりとても手に負えない
「ピース足りないんじゃないのか、これ」
それにしても、ハルヒはパズルにこんなに興味を示すとは思わなかった、少し
前なら、途中で癇癪を起こして例の空間を大量発生させていただろうに、古泉
が嬉々としてパズルを持ってくるということは、今ではそんなこともないんだ
ろう、いやまて、あいつのやることがなにか裏があるのかもしれないが、俺に
はしったことではないだろう
多分、あいつは、身の回りのいろんなことに興味をいだけるようになったんだ
ろう、それはきっと いい方向への変化なんだろう、入学当初のあいつの表情
からくらべたら、今ではまるで別人のように輝いて見える、お世辞じゃなくな
そういえば、すでに受験生になっている朝比奈さんも前に時々みせていた憂い
のような、もどかしいような表情をみせることも少なくなったし、長門もあの
事件以来、大きな問題は起こしていないし、あいかわらず俺にしかわからない
かもしれないが、随分表情が人間ぽっく豊かになったと思う まあ、古泉は同
じか いや、最近ではあいつハルヒや朝比奈さんと普通に話しをしている、最
初の頃の妙な敬語がそのままだけれど、態度は随分やわらかくなったな、確か
に
734: 2006/08/26(土) 00:56:03.94 ID:Z32foSST0
>>731 【足りない欠片】 2
それにくらべて俺はこの1年半でなにか変ったたのだろうか
文化祭も無事に終わり、高校生活ももう半分すぎてしまった計算になる、巻き
込まれたとはいえ、いろんなことがあった、命の危険まであったしな、ただ概
ね楽しかったと思えるこんな毎日が後どれだけ続けられるのだろう
自分でもバカなことを考えていたと思う、気が付けばもう空が白み始めていた
「やべぇ もう朝じゃないか」
妹の襲撃を受けるまでの間、少しでも寝ておくとしよう
秋の到来とともにめっきり寒くなった風を感じながら上り坂の通学をを肩をす
くめて歩く
「よう!キョン 金でも落としたか 下向いてあるているけど」
「谷口か なんつーあいさつだ」
「キョン、お前は今日だっけ」
「何が」
「進路相談」
「ああ、そうだ、谷口 お前はどうするんだ、進学だろ」
「そうだな、東京の三流私立文系ってのが、現実的な線ではあるな、親の説得
さえできれば、東京いってみたいな 一人暮らしはポイント高いぜ おまえは、
どうせ涼宮といっしょだろ?」
「ばか言うんじゃないよ、学力の差が天地ほどあんだろ、東京か、むりだろう
な俺は」
「まあ しぼられてこいや」
それにくらべて俺はこの1年半でなにか変ったたのだろうか
文化祭も無事に終わり、高校生活ももう半分すぎてしまった計算になる、巻き
込まれたとはいえ、いろんなことがあった、命の危険まであったしな、ただ概
ね楽しかったと思えるこんな毎日が後どれだけ続けられるのだろう
自分でもバカなことを考えていたと思う、気が付けばもう空が白み始めていた
「やべぇ もう朝じゃないか」
妹の襲撃を受けるまでの間、少しでも寝ておくとしよう
秋の到来とともにめっきり寒くなった風を感じながら上り坂の通学をを肩をす
くめて歩く
「よう!キョン 金でも落としたか 下向いてあるているけど」
「谷口か なんつーあいさつだ」
「キョン、お前は今日だっけ」
「何が」
「進路相談」
「ああ、そうだ、谷口 お前はどうするんだ、進学だろ」
「そうだな、東京の三流私立文系ってのが、現実的な線ではあるな、親の説得
さえできれば、東京いってみたいな 一人暮らしはポイント高いぜ おまえは、
どうせ涼宮といっしょだろ?」
「ばか言うんじゃないよ、学力の差が天地ほどあんだろ、東京か、むりだろう
な俺は」
「まあ しぼられてこいや」
735: 2006/08/26(土) 00:56:52.63 ID:Z32foSST0
>>734 【足りなり欠片】 3
通学途中のちっとも心が温まらない会話と一緒に俺は学校へ行くのであった、
まじめだね、本当、感心するよ
ハルヒは昨晩、なにかいいことでもあったのか、朝から機嫌がいい、まあ、俺
には関係ないが、その元気の欠片くらいはわけて欲しいね。
放課後、進路指導のため担任の岡部の元に出頭 まあ あまり思い出したくも
ない話を延々聞かされる、まあ一つ一つには、心当たりがあったりするので、
反論もないが、こう面と向かって話されると気がめいる このまま今日は家族
会議ということになりそうだ
やれやれ
部室にたどり着いて習慣となった、ノックをする、まあこの時間で朝比奈さん
が着替え中ということはないはずだか、なれというのは怖いものだ
「ふぁーい」
受験生にもかかわらず、足繁く部室にやってくる、朝比奈さんの声に聞きなが
ら部室へ入る
「キョン! 遅いわよ、一体どこいってたの!」
いきなり、それがあいさつかよ
「ああ進路相談だ、それよりハルヒ、おまえ、昨日の相談すっぽかしたろ、岡
部がまってるぜ」
「なによ、岡部ごときにわたしの進路を相談することなんてないわよ それよ
り、昨日のパズルは出来た?」
通学途中のちっとも心が温まらない会話と一緒に俺は学校へ行くのであった、
まじめだね、本当、感心するよ
ハルヒは昨晩、なにかいいことでもあったのか、朝から機嫌がいい、まあ、俺
には関係ないが、その元気の欠片くらいはわけて欲しいね。
放課後、進路指導のため担任の岡部の元に出頭 まあ あまり思い出したくも
ない話を延々聞かされる、まあ一つ一つには、心当たりがあったりするので、
反論もないが、こう面と向かって話されると気がめいる このまま今日は家族
会議ということになりそうだ
やれやれ
部室にたどり着いて習慣となった、ノックをする、まあこの時間で朝比奈さん
が着替え中ということはないはずだか、なれというのは怖いものだ
「ふぁーい」
受験生にもかかわらず、足繁く部室にやってくる、朝比奈さんの声に聞きなが
ら部室へ入る
「キョン! 遅いわよ、一体どこいってたの!」
いきなり、それがあいさつかよ
「ああ進路相談だ、それよりハルヒ、おまえ、昨日の相談すっぽかしたろ、岡
部がまってるぜ」
「なによ、岡部ごときにわたしの進路を相談することなんてないわよ それよ
り、昨日のパズルは出来た?」
738: 2006/08/26(土) 00:57:35.57 ID:Z32foSST0
>>735 【足りない欠片】 4
ああ、おまえにとっては、進路より古泉のパズルの方が重要なようだ
「いや、どうも俺はああゆうのはしょうに合わないようだ、一晩かかっても全
然だ、それより申し訳ないが、俺 今日はこれでいいかな、家で話しなくちゃ
ならない状態なんだ」
「だらしないわね、まあ、キョンの頭じゃしょうがないか、そう、試験前には
また勉強会もいいわね」
別に朝比奈さんのお茶を飲む時間くらいは なんでもないはずなんだが、みん
なが楽しく談笑している中になんとなく入りずらく、そのまま帰ることにする
「ああ、その時には、また頼むかもな、申し訳ないけど これで あと、
ハルヒ、一応 岡部のとこ顔だしとけよ じゃあ 邪魔したな」
俺はそういって部室を後にした。
ああ、おまえにとっては、進路より古泉のパズルの方が重要なようだ
「いや、どうも俺はああゆうのはしょうに合わないようだ、一晩かかっても全
然だ、それより申し訳ないが、俺 今日はこれでいいかな、家で話しなくちゃ
ならない状態なんだ」
「だらしないわね、まあ、キョンの頭じゃしょうがないか、そう、試験前には
また勉強会もいいわね」
別に朝比奈さんのお茶を飲む時間くらいは なんでもないはずなんだが、みん
なが楽しく談笑している中になんとなく入りずらく、そのまま帰ることにする
「ああ、その時には、また頼むかもな、申し訳ないけど これで あと、
ハルヒ、一応 岡部のとこ顔だしとけよ じゃあ 邪魔したな」
俺はそういって部室を後にした。
745: 2006/08/26(土) 01:03:35.60 ID:Z32foSST0
>>738 【インターミッション】 1
キョン君も涼宮さんも部室を出て行った。
部屋をでてゆくキョン君の顔がなんとなく暗い
パタン
長門さんの本を閉じる音
「古泉君 お話したいことがあります」
「なんでしょう、朝比奈さん」
「いったい何をたくらんでいるんですか」
「どうゆうことでしょう?」
「最近 古泉君と涼宮さん 仲良しすぎませんか」
「僕は一介の男子高校生でもあるんですよ、魅力的な方じゃないですか、涼宮
さんは」
「ちょっと話は変りますけど、最近の涼宮さんをどうみます?」
「落ち着かれているようにみえます、最近時空震の観測もありませんし」
「長門さんはいかがでしょうか?」
「観測の対象であることに変化はない ただ力の 」
「そう、ただ、力の使い方に変化が現れている、そうですね、長門さん」
「そう」
「どうゆうことなんですか?」
「涼宮さんは、最近、自分の力をある程度、制御できているんじゃないか、
そう思われます、意識的にしろ無意識的にしろ 前のように世界全体を改変す
ることなく、あたかも自分の力で問題を解決しているかのように」
「あのパズルはそのために」
「そのためだけってことはありませんよ、でもその過程で観察され確認された
ことは否定しませんけど、昨晩、涼宮さんが一晩でといたパズル、作成者はゆ
うに一ヶ月かかると太鼓判おしてもらったやつなんです、話をしたらきっと卒
倒しますよ」
キョン君も涼宮さんも部室を出て行った。
部屋をでてゆくキョン君の顔がなんとなく暗い
パタン
長門さんの本を閉じる音
「古泉君 お話したいことがあります」
「なんでしょう、朝比奈さん」
「いったい何をたくらんでいるんですか」
「どうゆうことでしょう?」
「最近 古泉君と涼宮さん 仲良しすぎませんか」
「僕は一介の男子高校生でもあるんですよ、魅力的な方じゃないですか、涼宮
さんは」
「ちょっと話は変りますけど、最近の涼宮さんをどうみます?」
「落ち着かれているようにみえます、最近時空震の観測もありませんし」
「長門さんはいかがでしょうか?」
「観測の対象であることに変化はない ただ力の 」
「そう、ただ、力の使い方に変化が現れている、そうですね、長門さん」
「そう」
「どうゆうことなんですか?」
「涼宮さんは、最近、自分の力をある程度、制御できているんじゃないか、
そう思われます、意識的にしろ無意識的にしろ 前のように世界全体を改変す
ることなく、あたかも自分の力で問題を解決しているかのように」
「あのパズルはそのために」
「そのためだけってことはありませんよ、でもその過程で観察され確認された
ことは否定しませんけど、昨晩、涼宮さんが一晩でといたパズル、作成者はゆ
うに一ヶ月かかると太鼓判おしてもらったやつなんです、話をしたらきっと卒
倒しますよ」
746: 2006/08/26(土) 01:04:38.19 ID:Z32foSST0
>>745 【インターミッション】 2
「いいですか、涼宮さんは変られた、よてもよい感じで、いままで鍵として考
えられていた彼のサポートなしでも世界をやり直さない程度に」
「だからって 古泉君」
「機関の命令ではないですよ、涼宮さんに近づいているのは 僕の意思です」
「僕は彼より3年も前から涼宮さんを追っかけているんですよ もっとも最初
は憎しみの対象でしたけどね 涼宮さんの隣が僕になったところで許容範囲
じゃないですか、朝比奈さんや長門さんだって、そのほうがなにかと便利じゃ
ありませんか、それにこの程度変革では未来の規定事項に影響を与えないのは、
鶴屋家経由で確認ずみです、ご不振ならご確認を」
「古泉君」
「約束しますよ、あくまでも個人のレベルで行動することを、フェアじゃない
ですからね それでは、僕もこの辺で失礼します」
「古泉君」
「いいですか、涼宮さんは変られた、よてもよい感じで、いままで鍵として考
えられていた彼のサポートなしでも世界をやり直さない程度に」
「だからって 古泉君」
「機関の命令ではないですよ、涼宮さんに近づいているのは 僕の意思です」
「僕は彼より3年も前から涼宮さんを追っかけているんですよ もっとも最初
は憎しみの対象でしたけどね 涼宮さんの隣が僕になったところで許容範囲
じゃないですか、朝比奈さんや長門さんだって、そのほうがなにかと便利じゃ
ありませんか、それにこの程度変革では未来の規定事項に影響を与えないのは、
鶴屋家経由で確認ずみです、ご不振ならご確認を」
「古泉君」
「約束しますよ、あくまでも個人のレベルで行動することを、フェアじゃない
ですからね それでは、僕もこの辺で失礼します」
「古泉君」
749: 2006/08/26(土) 01:06:17.14 ID:Z32foSST0
>>746 【インターミッション】 3
「長門さん いまの話って」
「彼のいったことに嘘はない、力のことはこちらでも確認すみ、規定事項の
解釈に関しても問題ない どちからといえば、提案は合理的」
「合理的って、問題なければそれでいいんですか!キョン君と涼宮さんの
気持ちはどうするんですかぁ!」
秋の夕暮れの西陽の射す部室に2人の少女がただ 立ち尽くしていた。
「長門さん いまの話って」
「彼のいったことに嘘はない、力のことはこちらでも確認すみ、規定事項の
解釈に関しても問題ない どちからといえば、提案は合理的」
「合理的って、問題なければそれでいいんですか!キョン君と涼宮さんの
気持ちはどうするんですかぁ!」
秋の夕暮れの西陽の射す部室に2人の少女がただ 立ち尽くしていた。
779: 2006/08/26(土) 01:55:07.09 ID:Z32foSST0
>>749 【余ったピース】 1
あーめんどくさい、どの大学いくかなんて、本人の勝手じゃないそんなこと
「涼宮です」
「おーはいれ 昨日はどうした」
ハンドボールバカがそこにいた、まあ、さからっても時間かかるだけか
「すみませんでした」
「例の同好会か、まあ、座れ」
別に目新たらしいことがあるわけでもない、どうせ聞かれるのは、進学希望先
についてだ、2年になるときに進路別のクラス替になると聞いていたので、わ
たしは、キョンと同じ国立文系に進路希望をだしている、わたしの成績ではな
んの問題もないはず
「なあ、涼宮 進路を理系に変更しないか、お前の今の現状と成績なから、
東大、京大、筑波どこでも充分狙える それに前の模試でも おまえ理系科目
の方が成績いいじゃないか、数学と物理は9組抑えて学年2位だそ 先生はもっ
たいないと思うんだが、そもそも将来どうするんだ、なにかやりたいことある
のか?」
進路の変更?なんで今頃こんな話になるの、将来なにをするかだって、そんな
先のことまだ判るわけないじゃないの、あんたバカ うっかり口にだしそうな
言葉たちを飲み込む、わたしの返事はないので、岡部はそのまま話を続ける
あーめんどくさい、どの大学いくかなんて、本人の勝手じゃないそんなこと
「涼宮です」
「おーはいれ 昨日はどうした」
ハンドボールバカがそこにいた、まあ、さからっても時間かかるだけか
「すみませんでした」
「例の同好会か、まあ、座れ」
別に目新たらしいことがあるわけでもない、どうせ聞かれるのは、進学希望先
についてだ、2年になるときに進路別のクラス替になると聞いていたので、わ
たしは、キョンと同じ国立文系に進路希望をだしている、わたしの成績ではな
んの問題もないはず
「なあ、涼宮 進路を理系に変更しないか、お前の今の現状と成績なから、
東大、京大、筑波どこでも充分狙える それに前の模試でも おまえ理系科目
の方が成績いいじゃないか、数学と物理は9組抑えて学年2位だそ 先生はもっ
たいないと思うんだが、そもそも将来どうするんだ、なにかやりたいことある
のか?」
進路の変更?なんで今頃こんな話になるの、将来なにをするかだって、そんな
先のことまだ判るわけないじゃないの、あんたバカ うっかり口にだしそうな
言葉たちを飲み込む、わたしの返事はないので、岡部はそのまま話を続ける
780: 2006/08/26(土) 01:55:57.70 ID:Z32foSST0
>>779 【余ったピース】 2
「時間は短いぞ、こうゆのもなんだが、俺が今になって宇宙に行きたいといっ
てもやり直す時間は足りないだろう、やりたいことがあるなら、脇見をせずに
めいっぱい進んでいったほうが後悔しないぞ 力を思う存分発揮するのは、そ
れなり舞台が必要なんだと思うぞ、そこで相談なんだが、9組への編入を考え
てみないか? おまえの今の学力なら問題なくクリアできる、ただ実際の編入
は3学期か、3年になってからになるんだが、考えてみないか 9組なら例の同
好会のメンバーもいたろう」
ちょっと意外な岡部の話、そうか、たしかに今、わたしは理系科目の方に興味
がわいているのは確かだし 不思議を探す舞台として理系学部っての確かに魅
力的に見える、時間が短いってのは、もう全面的に共感できる 最近、古泉君
にその系統の話を一杯きいていたからかもしれないけど、それに9組への編入
なら古泉君と一緒だ
あれ?なに考えているだろわたし ちょっとしどろもどろになりながらやっと
次の言葉だけつげる
「少し考える時間もらっても」
「ああ、もちろんだ、ただ来週の頭に とくに編入を受けるか否かに関しては
一度早めに答えが欲しい まあ 悩め悩め それが若人の特権だ!」
岡部は、30年ぐらい時代錯誤のコメントをして話しを締めくくった
秋の陽は短い、もうだいぶ薄暗くなった坂道を校舎を背にしてくだってゆく、
さっきの岡部の話を考えながら
「時間は短いぞ、こうゆのもなんだが、俺が今になって宇宙に行きたいといっ
てもやり直す時間は足りないだろう、やりたいことがあるなら、脇見をせずに
めいっぱい進んでいったほうが後悔しないぞ 力を思う存分発揮するのは、そ
れなり舞台が必要なんだと思うぞ、そこで相談なんだが、9組への編入を考え
てみないか? おまえの今の学力なら問題なくクリアできる、ただ実際の編入
は3学期か、3年になってからになるんだが、考えてみないか 9組なら例の同
好会のメンバーもいたろう」
ちょっと意外な岡部の話、そうか、たしかに今、わたしは理系科目の方に興味
がわいているのは確かだし 不思議を探す舞台として理系学部っての確かに魅
力的に見える、時間が短いってのは、もう全面的に共感できる 最近、古泉君
にその系統の話を一杯きいていたからかもしれないけど、それに9組への編入
なら古泉君と一緒だ
あれ?なに考えているだろわたし ちょっとしどろもどろになりながらやっと
次の言葉だけつげる
「少し考える時間もらっても」
「ああ、もちろんだ、ただ来週の頭に とくに編入を受けるか否かに関しては
一度早めに答えが欲しい まあ 悩め悩め それが若人の特権だ!」
岡部は、30年ぐらい時代錯誤のコメントをして話しを締めくくった
秋の陽は短い、もうだいぶ薄暗くなった坂道を校舎を背にしてくだってゆく、
さっきの岡部の話を考えながら
782: 2006/08/26(土) 01:57:13.49 ID:Z32foSST0
>>780 【余ったピース】 3
「涼宮さん」
ふいに声を掛けられる 同じ制服 誰だっけ? えーっと、あっ
「えっと JJ」
「ひっどーい 阪中です なんで ルソーの名前はでてくるのに、わたしの
名前がでないかなぁ 去年は同じクラスだったのにね」
「ごめん ちょっと考え事してた」
本当は 本気で思い出せなかった、ごめん
「そんな顔してましたね、悩み事ですか、わたしでよければ聞きますよ
聞くだけだけど たぶん」
「そんなたいした話じゃないわ、進路相談だったんだ 今」
「進路かぁ、わたしじゃあんまり役にたちそうにはないですね」
「阪中は?」
「わたし ですか、一応近所の大学に潜り込めれば、でも今の成績だと
短大ってのもありかな出来たら4年間遊びたいんですけどね てへ 成績上位
者リストに名前のある涼宮さんの足元にもおよびませんってね、でも涼宮さん
なら、どこでも大丈夫でしょうに、あ だからこその悩みかぁ このしあわせ
もの!」
なんか変な話になっている
「涼宮さん」
ふいに声を掛けられる 同じ制服 誰だっけ? えーっと、あっ
「えっと JJ」
「ひっどーい 阪中です なんで ルソーの名前はでてくるのに、わたしの
名前がでないかなぁ 去年は同じクラスだったのにね」
「ごめん ちょっと考え事してた」
本当は 本気で思い出せなかった、ごめん
「そんな顔してましたね、悩み事ですか、わたしでよければ聞きますよ
聞くだけだけど たぶん」
「そんなたいした話じゃないわ、進路相談だったんだ 今」
「進路かぁ、わたしじゃあんまり役にたちそうにはないですね」
「阪中は?」
「わたし ですか、一応近所の大学に潜り込めれば、でも今の成績だと
短大ってのもありかな出来たら4年間遊びたいんですけどね てへ 成績上位
者リストに名前のある涼宮さんの足元にもおよびませんってね、でも涼宮さん
なら、どこでも大丈夫でしょうに、あ だからこその悩みかぁ このしあわせ
もの!」
なんか変な話になっている
784: 2006/08/26(土) 01:58:50.15 ID:Z32foSST0
>>782 【余ったピース】 4
「わたしは何がしたいんだろ」
「そんなことわたしが判るわけないですよね、自分のだってわかんないんだもんね
でも、その話なら、相談しなきゃいけない人がいるでしょう 涼宮さん」
なにを言い出すんだ この娘は
「しらっぱくれてもだめですよ みんな気づいてますって ごちそうさま
あ わたしこっちなんで、それじゃ、またみんなで遊びにきてくださいよ、
ルソーも母もシュークリーム作って待ってますからね 是非 じゃあね」
いうだけいって、阪中はいってしまった、彼女と話すようになったものSOS団
の一件だった、でもなんだ、あの思わせぶりなセリフは、一体誰のことをいっ
ているんだ、相談しなきゃいけない人ってのはなんだ でもルソーに会いに行
くのはいい提案かな
帰宅して自室で 鞄を開けると昨日のパズルがそのまま入っていた、あ、部室
へ返すのわすれてた。一度解いたパズルだが、手慰みに、ばらしてみる 今日
の古泉君の話、岡部の話 阪中の話、そういえば、今日はキョンと話してない
なぁ なんか暗い顔してたし、あいつそんなに、成績わるいんかな
「わたしは何がしたいんだろ」
「そんなことわたしが判るわけないですよね、自分のだってわかんないんだもんね
でも、その話なら、相談しなきゃいけない人がいるでしょう 涼宮さん」
なにを言い出すんだ この娘は
「しらっぱくれてもだめですよ みんな気づいてますって ごちそうさま
あ わたしこっちなんで、それじゃ、またみんなで遊びにきてくださいよ、
ルソーも母もシュークリーム作って待ってますからね 是非 じゃあね」
いうだけいって、阪中はいってしまった、彼女と話すようになったものSOS団
の一件だった、でもなんだ、あの思わせぶりなセリフは、一体誰のことをいっ
ているんだ、相談しなきゃいけない人ってのはなんだ でもルソーに会いに行
くのはいい提案かな
帰宅して自室で 鞄を開けると昨日のパズルがそのまま入っていた、あ、部室
へ返すのわすれてた。一度解いたパズルだが、手慰みに、ばらしてみる 今日
の古泉君の話、岡部の話 阪中の話、そういえば、今日はキョンと話してない
なぁ なんか暗い顔してたし、あいつそんなに、成績わるいんかな
786: 2006/08/26(土) 01:59:54.69 ID:Z32foSST0
>>784 【余ったピース】 5
チャチャチャーンチャチャ
着信音? こんな時間にだれだろう
「はい」
「古泉です 夜分失礼します」
「古泉君 なに?」
「明日の放課後お時間をいただけないかと思いまして」
「え、いいわよ」
「涼宮さんにご提供しているパズルもネタが尽きましてね、できれば、
明日ご一緒に」
「作者さんのとこ?」
「いえ、あれはまた別の機会に、今回は、僕がネタの仕入をしている店に
ご招待をと、できたら2人で」
「なんで?」
「いえ、ここは、涼宮さんと共闘して、まず長門さんを攻略しようかと、
朝比奈さんとキョン君と相談するのはむずかしそうなので」
「ふーん、そうゆうことなら 協力するわよ、わたしも有希の悩んでる
顔みたいし」
「それでは、放課後できれば直接 駅前に」
「うん、じゃあ明日」
うーん やっぱり古泉君って如才ないわよね
組み上げたパズルはやっぱり 一つパーツが余る
あーもう
チャチャチャーンチャチャ
着信音? こんな時間にだれだろう
「はい」
「古泉です 夜分失礼します」
「古泉君 なに?」
「明日の放課後お時間をいただけないかと思いまして」
「え、いいわよ」
「涼宮さんにご提供しているパズルもネタが尽きましてね、できれば、
明日ご一緒に」
「作者さんのとこ?」
「いえ、あれはまた別の機会に、今回は、僕がネタの仕入をしている店に
ご招待をと、できたら2人で」
「なんで?」
「いえ、ここは、涼宮さんと共闘して、まず長門さんを攻略しようかと、
朝比奈さんとキョン君と相談するのはむずかしそうなので」
「ふーん、そうゆうことなら 協力するわよ、わたしも有希の悩んでる
顔みたいし」
「それでは、放課後できれば直接 駅前に」
「うん、じゃあ明日」
うーん やっぱり古泉君って如才ないわよね
組み上げたパズルはやっぱり 一つパーツが余る
あーもう
794: 2006/08/26(土) 02:05:54.37 ID:Z32foSST0
読み難いようで申し訳ない
796: 2006/08/26(土) 02:07:01.28 ID:Z32foSST0
>>786 【足りない欠片】 1
秋の黄昏にまけないぐらいめいっぱい黄昏ている俺は、とぼとぼと帰宅。
明日のためにその2 母親との家族会議に臨んだ、岡部からいただいたありが
たい資料を元に開催された会議の模様を中継する気はさらさらないが、結果と
して、まあ、文化祭も終わったことだし、ここらへんで気合をいれて学業に邁
進する必要があること、まだ小学生の妹がいる身としては、当然下宿などとい
う余計な出費が考えられないこと、また出来れば国立への夢は捨てないでがん
ばること、そのためには、すぐにでも予備校に通うための学費がだせること、
とにかく今時 人に聞かれて恥ずかしくない程度の大学に入らなければならな
いこと などなどなど。
やれやれ
上記のような内容、箇条書きにすればほんの30分程度の話に過ぎないのだが、
延々繰返しで聞かされるには一種の拷問であろう、永遠に続くかと思われたが、
妹のおながすいたーの声に救われ一時開放の身となった、よくやった妹よ。
夕食後に父親を含めた明日のためにその3の気配を察知した俺はそうそうに
約束があるといって家を飛び出した。
行くあてなんぞないんだかな。
あてもなくふらふら歩く、秋の夜風が身にしみる、たぶん気温が低いせいだけ
はないだろう、気が付くと駅前の公園近くまで来ていた。
秋の黄昏にまけないぐらいめいっぱい黄昏ている俺は、とぼとぼと帰宅。
明日のためにその2 母親との家族会議に臨んだ、岡部からいただいたありが
たい資料を元に開催された会議の模様を中継する気はさらさらないが、結果と
して、まあ、文化祭も終わったことだし、ここらへんで気合をいれて学業に邁
進する必要があること、まだ小学生の妹がいる身としては、当然下宿などとい
う余計な出費が考えられないこと、また出来れば国立への夢は捨てないでがん
ばること、そのためには、すぐにでも予備校に通うための学費がだせること、
とにかく今時 人に聞かれて恥ずかしくない程度の大学に入らなければならな
いこと などなどなど。
やれやれ
上記のような内容、箇条書きにすればほんの30分程度の話に過ぎないのだが、
延々繰返しで聞かされるには一種の拷問であろう、永遠に続くかと思われたが、
妹のおながすいたーの声に救われ一時開放の身となった、よくやった妹よ。
夕食後に父親を含めた明日のためにその3の気配を察知した俺はそうそうに
約束があるといって家を飛び出した。
行くあてなんぞないんだかな。
あてもなくふらふら歩く、秋の夜風が身にしみる、たぶん気温が低いせいだけ
はないだろう、気が付くと駅前の公園近くまで来ていた。
798: 2006/08/26(土) 02:07:57.04 ID:Z32foSST0
>>796 【足りない欠片】 2
水銀灯で照らされたベンチに人影がある、
「長門」
「なに」
「なんだ、こんな時間に」
「散歩の途中で休憩」
「ほんとか?」
「信じて」
「ああ 信じるさ」
相変わらず、セリフが原稿用紙一行以上にならない奴である。
でも、ありがたい、むしょうに人恋しかったからな、ひょっとした長門、
どっかで俺のこと見てた?
「安心した 今日のあなたは 不安定だった」
「そうか」
「そう」
沈黙も悪くない、そんな思いがする。
水銀灯で照らされたベンチに人影がある、
「長門」
「なに」
「なんだ、こんな時間に」
「散歩の途中で休憩」
「ほんとか?」
「信じて」
「ああ 信じるさ」
相変わらず、セリフが原稿用紙一行以上にならない奴である。
でも、ありがたい、むしょうに人恋しかったからな、ひょっとした長門、
どっかで俺のこと見てた?
「安心した 今日のあなたは 不安定だった」
「そうか」
「そう」
沈黙も悪くない、そんな思いがする。
800: 2006/08/26(土) 02:09:28.03 ID:Z32foSST0
>>798 【足りない欠片】 3
「そういえば、長門はどうするんだ?」
「なに?」
「来年はまだいいとして、その後のことだ」
「まだ決定はされいていない」
「まあ、そうだろうけど」
「多分、私は一度帰ることになると思う」
「なぜ?」
「体がもたない、この体はもう5年つかっている 気が付いた?」
「なにに?」
「私という個体はあなたから いろんなものをもらった、コンタクトのスキル
の向上も出来た でも わたしは肉体的に成長しない、このまま観察を継続す
るのは不自然」
「そうか でもいつまでも若いってのもいいんじゃないか」
「わたしの肉体は若いではなく、幼い」
「でも似合ってるぞ、その体」
なんか卑猥な感じがする言い方だが、それよりたいしたもんである、あの
長門が会話を続けようと努力している。つたない言葉だけれど、いやからこそ
長門の想いがつたわってくる。そんな気がする、多分この一年でもっとも
変わったのは、長門なのかもしれない。
俺は長門に充分なことをしてやれたのだろうか?
「残酷だな、時の流れって」
「残酷って」
「変らずにありたいと願っても 変ってゆくものがある、変わりたくても変れ
ないものがある」
「そういえば、長門はどうするんだ?」
「なに?」
「来年はまだいいとして、その後のことだ」
「まだ決定はされいていない」
「まあ、そうだろうけど」
「多分、私は一度帰ることになると思う」
「なぜ?」
「体がもたない、この体はもう5年つかっている 気が付いた?」
「なにに?」
「私という個体はあなたから いろんなものをもらった、コンタクトのスキル
の向上も出来た でも わたしは肉体的に成長しない、このまま観察を継続す
るのは不自然」
「そうか でもいつまでも若いってのもいいんじゃないか」
「わたしの肉体は若いではなく、幼い」
「でも似合ってるぞ、その体」
なんか卑猥な感じがする言い方だが、それよりたいしたもんである、あの
長門が会話を続けようと努力している。つたない言葉だけれど、いやからこそ
長門の想いがつたわってくる。そんな気がする、多分この一年でもっとも
変わったのは、長門なのかもしれない。
俺は長門に充分なことをしてやれたのだろうか?
「残酷だな、時の流れって」
「残酷って」
「変らずにありたいと願っても 変ってゆくものがある、変わりたくても変れ
ないものがある」
801: 2006/08/26(土) 02:10:07.26 ID:Z32foSST0
>>800 【足りない欠片】 4
「あなたには、感謝している 私は、一度帰ったとしても、またあなたに
会うためにここに戻ってきたい そう願っている」
「待っているさ、長門が新しい体で戻ってくることを あ でも そうすると
俺は長門かどうか判らないってことになるのか?」
「そんなことはない、大丈夫 あなたには判る」
「そうか」
「そう」
「でも、まだまだ先の話だな、まだ1年半は 今のままなんだろ」
「そう 先の話」
たぶん、夜の公園のベンチで俺たち2人は まるで恋人同士のように見えたか
もしれないまあ誰かがみてればの話だが
すっかり遅くなって帰宅したところ、本日の家族会議の続きはなく、俺はその
まま部屋に戻った、さっきの長門との話を思い出しながら、昨日のパズルをい
じってみる。
やっぱりパーツが足りないだろ これ
「あなたには、感謝している 私は、一度帰ったとしても、またあなたに
会うためにここに戻ってきたい そう願っている」
「待っているさ、長門が新しい体で戻ってくることを あ でも そうすると
俺は長門かどうか判らないってことになるのか?」
「そんなことはない、大丈夫 あなたには判る」
「そうか」
「そう」
「でも、まだまだ先の話だな、まだ1年半は 今のままなんだろ」
「そう 先の話」
たぶん、夜の公園のベンチで俺たち2人は まるで恋人同士のように見えたか
もしれないまあ誰かがみてればの話だが
すっかり遅くなって帰宅したところ、本日の家族会議の続きはなく、俺はその
まま部屋に戻った、さっきの長門との話を思い出しながら、昨日のパズルをい
じってみる。
やっぱりパーツが足りないだろ これ
804: 2006/08/26(土) 02:10:37.28 ID:Z32foSST0
>>801 【インターミッション】
彼と分かれて、マンションに戻る、帰り際の彼に顔には少し生気がもどったよ
うにみえた
これでよかったのだろうか、彼の助けになっただろうか
「少し軽率じゃない、有希」
声がかかる、喜緑江美里 わたしと同じインターフェイス、でもわたしより
ずっと安定性の高い次世代モデルの彼女 そしてわたしが異常行動を起こす
ことがないかの監視役
「観察対象への過度の関与は観察結果へ影響を与えるわ」
「問題ないレベルと判断した 今日の彼は明らかに不安定」
「本来なら涼宮ハルヒに対応させるべきだったんじゃない?」
「そんなことは無い、涼宮ハルヒは現在、彼を支える精神状態では無かった」
本当にそうだったか、そうあって欲しいという 私の願望
「まあ、今回はいいわ でも有希 あなたが同じ過ちを犯す道を辿るようなら
私は容赦しないわよ 涼宮ハルヒと同様、彼もわれわれの重要な観察対象」
「わかった」
冷たい風がうなじを通りぬけてゆく
私はまた狂い始めているのだろうか
彼と分かれて、マンションに戻る、帰り際の彼に顔には少し生気がもどったよ
うにみえた
これでよかったのだろうか、彼の助けになっただろうか
「少し軽率じゃない、有希」
声がかかる、喜緑江美里 わたしと同じインターフェイス、でもわたしより
ずっと安定性の高い次世代モデルの彼女 そしてわたしが異常行動を起こす
ことがないかの監視役
「観察対象への過度の関与は観察結果へ影響を与えるわ」
「問題ないレベルと判断した 今日の彼は明らかに不安定」
「本来なら涼宮ハルヒに対応させるべきだったんじゃない?」
「そんなことは無い、涼宮ハルヒは現在、彼を支える精神状態では無かった」
本当にそうだったか、そうあって欲しいという 私の願望
「まあ、今回はいいわ でも有希 あなたが同じ過ちを犯す道を辿るようなら
私は容赦しないわよ 涼宮ハルヒと同様、彼もわれわれの重要な観察対象」
「わかった」
冷たい風がうなじを通りぬけてゆく
私はまた狂い始めているのだろうか
808: 2006/08/26(土) 02:13:17.87 ID:Z32foSST0
【余ったピース】
キョンは昨日、なにかいいことでもあったのか、こころもち顔が上むいている
「キョン!」
「なんだ」
「あたし、今日 用事があるから SOS団の活動は中止 みんなに伝えておいてね」
「ああ わかった 昼休みにでも伝えとくよ」
まあ、いつものキョンね、昨日顔が暗かったのは、岡部になにかいわれたんでしょ、
あいかわらず試験にでるぞ、みたいな、はっぱをかけられながら、授業が進む、
今日は時間が少し遅くない?
浮かれてるのか、あたし
別に古泉君とはデートって訳じゃない、別に誰かに後ろめたいことがある
わけじゃない、そう、有希をちょっとだけ、出し抜いてやろうと準備しているだけ
なんだこの言い訳みたいなものは
前の席のキョンは、さすがに昨日絞られたみたいで、まじめに授業を聞いているみたい、
同じ授業にでていて、なんでこいつは、成績よくないんだろう、これも不思議ね
最後の授業、終わりのチャイムが鳴り終わらないうちに、教室から離脱、一度家に帰る時間あるかな、制服で出歩くのって好きじゃないから
やっぱり、浮かれてるのか、あたし
めいっぱい急いだ積もりだったが、それでも、待ち合わせ場所には、少し遅れそう、
団長としてのけじめがつかないなぁと思いつつ到着すると、古泉君はすでに
待っていてくれた。それも私服、あれ、なんでこんなに早いんだ、
いつも最後にやってくる誰かに爪の垢でも飲ませてやりたい、
頼んだら、あっさりくれそうだしね。
「ごめん、古泉君、遅れた」
「いえ、僕も、いましがた着いたばかりですから」
ほんと、誰かさんも見習ってほしいわ
古泉君のいっていた店は駅前の繁華街を少し離れた場所にあるそうで、
並んで歩く、この時期だからか、自然と話題は進路進学のことになる
「涼宮さん、先日の進路指導いかがでした?」
「岡部から、理系に進路変更しないかっていわれたわ、今更のような気もするけど」
「僕もそう思いますよ、涼宮さんは、答えが綺麗にでる問題の方が好きでしょう、
そうパズルみたいに」
「確かにそうね、でも具体的に何をしたいとかってのは、ないわね、今は」
「まあ、そのための大学って話もありますし」
「それより、古泉君は進路どうするの?」
「涼宮さん、笑わないでくれますか?」
「なにそれ、まあいいわ、約束する」
「生きてるうちに宇宙に行きたいんですよ、僕は、できれば自分の宇宙船で、
中学の時に素直に話して笑われて以来、白状するのはひさしぶりですけど」
いや、笑うなって言うからには、突拍子もないこと言い出すとは思ったけど、古泉君って結構熱い人だったんだね、ふふふ
「素敵な夢じゃない、じゃあ、大学は、物理が工学?」
「ええ、できれば宇宙工学のある大学に」
「そっか、目標があるってのは、やっぱりいいわね」
そういえば、キョンって、なにかやりたいことあるんだろうか
「ええ、そして僕としては、そのとき側に涼宮さんに居て欲しいと思ったり
してるんですよ」
え、なにそれ、まるで告白じゃない
「なしにろ、宇宙人を探すにはうってつけの人材になると思いませんか」
「確かに」
古泉君の冗談とも本気とも取れるセリフにちょっとドギマギしてしまった
かもしれないが、ほどなく、目当ての店の到着した、普通のマンションの
一室で営業しているらしく、こりゃつれてきてもわらなきゃ、とても判んないわ。
古泉君が店主の方と話しをしてる間、店の中を見回してみる、幾つものパズル
たちが並んで展示されている、材質もさまざま、あのガラスの奴ちょっと素敵
だなぁ。一つ一つみんな小さな宇宙みたいで、わくわくしてくる、やっぱり
こうゆう世界があたしの好みなのかな
店主は結構若くて気さくな方だった、あたしが眼の前でいくつかパズルを解いて見せたら、本気で感心してくれた、すこしくすぐったい、有希はあたしよりすごいといったらしばらくあちこち探したあげく、古典的な名作と呼ばれる
なやつと最新作という2つを選んでくれた。
有希、明日の放課後まってなさい!
例のパズル作家の方もこの店にはよくいっらしゃるそうで、次の休みに都合がつけばお会いできるらしい、というより新作を一晩でといた女子高生がいると
いったら、地球の裏側にいたって飛んできますよって折り紙までもらった。
次回の不思議探検はここに決定、これも明日SOS団で発表しなくちゃ。
お店は、ネット通販が中心だそうで、尋ねてくるお客さんがいなかったこともあって、3人で随分話をした、SOS団のみんなとおしゃべりするのも楽しいけど共通の興味がある人たちと話ができるのは、とても新鮮。
さんざんお邪魔して、お店を辞する、古泉君が次の休みの相談を店主の方としているのを聞きながら、キョンはここに来てどんな感想をもつだろうかと考えていた、なんで、キョンなの?
外は、もうすっかり暗くなっていた、秋の陽は短い
「うーん、楽しかった、さすがはSOS団副団長だわ」
「光栄です、お時間が許せば、食事でも」
「そうね、確かにおなか減ったわね」
そういわれて、また、このまま家に帰るのが少しもったいない気がして、
誘いに乗ることにする
「場所は任せてもらえますか、着替えてきてくれてよかったです、電話でいい
ずらくて 僕の知り合いがイタリアンレストランをやってまして、ちょっと
距離があるんですが」
「かわまないわよ」
店をでて、タクシーを使うという古泉君とならんで大通りの方へ向かう、あれ
ここって図書館の方じゃないと思ったとき、あたしは見てしまった。
キョンと有希、多分図書館の帰り、有希が本を大事そうに抱えてる、なんで2人が
「どうかされましたか?」
「んん なんでもないわ」
古泉君は気がつかなったようだ
その店は住宅街のほど中にあった、こんな場所で商売になるのかと思うくらい
店の格もちょっと高そう、確かに制服では気後れしてしまいそう、そうね
キョンなら入り口で残念ながらって断れるかもしれないわね
味も量も申し分なし、値段だけは、古泉君が教えてくれなかったので解らない
けど、きっとそれなりにするんでしょうね
話はさっきの店のこと、明日の部室での下準備、次の休みの不思議探索であの
店にお邪魔するにあたってのこと、
さっきの告白めいた話の続きは出てこなかった、気を使わせちゃったのかな
家の近くまで送ってもらう
「今日は楽しい時間をありがとうございました」
最後まで如才ない、さすが古泉君である
家に入るまえ振り返ると大きな月に見つめられているようだった
【足りなり欠片】
ハルヒは昨日なにかいいことでもあったのか、いつもに増してテンションが
高い、いつまでたっても夏を引きずっているような顔している。
本当におまえは秋は似合わないな、いいから少し落ち着け。
「キョン!」
「なんだ」
「あたし、今日 用事があるから SOS団の活動は中止 みんなに伝えておいてね」
「ああ わかった 昼休みにでも伝えとくよ」
なにかまた変なことでも企んでるでなけりゃいいんだが。
さすがに昨日あれだけ絞られたんだ、次の試験までは、せめて授業に集中
意気込みだけは、充分にあったはずなんだが、教室の窓から望む、秋晴れの
空、頭の中には、昨晩の長門が登場する。
なぜ、あいつは、あの時間、あの場所に、まるで俺と会うのを待っていた
かのように居たのだろう、偶然、それとも
俺がまた、なにかに巻き込まれるかもしれないという忠告だったのか?
それはないな、それなら、ちゃんと呼び出して話をするだろう。
長門のちょっと寂しげで、精一杯の顔はしばらく忘れられそうにない、
ハルヒの百万分の一でも、あいつの能天気さがあれば、随分ちがうんだろうに
頭の中で、そんなことを、弄んでいるうちに午前中の授業が終わる
さて、弁当食って、一回りしてくかって、そういえば、当の本人はダッシュで
食堂にかっとんで行ったんじゃないか、俺が伝書鳩になる理由はどこにあるん
だ、まったく。
谷口、国木田と、秋の空と秋刀魚と乙女心に関する考察をしながら弁当を食い、
さて近いところからお邪魔しますか
一番近いのは、長門か、いや、あいつは、昼休みも部室だろうから、後回し、
まずは古泉、9組の前へ行き、古泉を呼んでもらうが、本日は休みとのこと、
あれ、また、例のアルバイトか?最近は仕事ないんじゃなかったか、それとも、
また何か企んでるんじゃないだろうな、まあいい、いないんじゃ部室まで無駄
足ってこともないだろう。
さて次は、3年の教室へいって朝比奈さんと、
「お! キョン君 ひっさしぶりだね どーだい 元気にやってるかにょろ」
元気一杯の声をかけられる、鶴屋さんだ、あいかわらずのテンションの高さだ
「そうそう、今年もハルにゃんとこのクリパに呼んどくれよ、キョン君、今年
は何を披露してくれんだい」
この人見てると人生なんも憂いも悩みもないんだろうかと思ってしまう。
ちょっとまて、今年も俺が出し物するのは決定事項なのか
「はあ、ハルヒには伝えときます、で、朝比奈さんは」
「みっくるちゃんかい、そういえば、昼休みになってどっかに出かけてったさ、用事かい?」
「ええ、今日、ハルヒが用事だそうで、SOS団は臨時休業です」
「つったえとくっさ、ふーん ハルにゃんが用事ね」
なにを納得したのか、鶴屋さんは、しきりに頷いたあと、古泉やら、長門の
ことを尋ねられ、しきりに懐かしがられ、気がつけばもう昼休みは終わり。
長門は放課後に部室で伝えるか。
午後の授業が終わるとハルヒは短距離選手並みのロケットスタートで学校を
後にした、よっぽどの用事なんだろうな、顔にやけてたぞ。
俺は、昼休みに連絡しそこね、部室で一人でいるだろう、長門の元へ
部室の扉を開けると、いつものように長門がいた、
「長門」
静かに顔を上げる仕草
「ハルヒが今日用事でこないそうだ」
「そう」
「昨日のことだけど」
「なに」
「ありがとう、長門にあの場所で会えてうれしかった」
「あなたの助けになれたなら、それで充分」
「それでな、何年も先になる再会の約束の前に、前の約束を果たそうと思ってな」
「なに?」
「今日は活動は無しだ、図書館、行かないか?」
俺のセリフが予想外だったのか、少しだけ、その眼を大きくして
「うれしい、覚えていてくれたこと」
「忘れるわけにはいかないだろう、今、俺がここに居られるのは、長門のおかげだ」
そう、あのハルヒと一緒の閉鎖空間から脱出する最後の鍵をくれたのが、おまえ、
長門だったんだから
「どうする、今からだと、あまり時間も取れないけど」
返事の替わりか、長門は開いていた本を閉じ、帰り支度を始めた
図書館では、あまり話すことは無い、いつものとおり、長門は図書館に入るなり、
本棚の海の泳ぎだしていってしまった。本当なら俺は勉強でもすればよかったのだが、
がらにもなく、長門の姿に見とれてしまっていたのは、内緒だ。
閉館を告げるアナウンスを聞きながら、長門と本の貸し出しカウンターに
並ぶ、放課後から来たんじゃあんまり時間がないな。それでも満更ではない、
長門の顔を見てると、もっと早く一緒に来てやればよかったと思う。
「なんか食べていくか 長門」
静かに肯く仕草
これは、イエスってことでいいんだな、でも、このあたりじゃなにもないから、
駅前まででるか。貸し出し制限一杯まで借りた本を大事そうに抱える長門と
図書館をでた。
もう随分遅い時間になっている、秋の短い陽はすっかりと暮れ、あたりは
もうすっかり夜の装いである。
「遅くなっちまったな」
「わたしは大丈夫、あなたは」
「なあに、図書館に行っていたなら問題はあるまい、嘘じゃないし」
食事といっても、財布の都合で駅前近くのファーストフード店、しかも、
長門のやつ、今しがた図書館で借りた本を早速開いて読み始めている。
あの冬の日、俺はもう一つの世界を選択したとしたら、こんな毎日を過ごして
いたのかもしれない、そう思うとどこか申し訳ない気持ちで一杯になった。
すっかり暗くなちっまたこともあり、長門をマンションまで送ろうと、店を出て
歩き始め、駅前の繁華街を過ぎること、俺はみてしまった。
用事があると、授業が終わるや否やすっとんで帰った、涼宮ハルヒと、今日は
休みのはずだった、古泉一樹が並んで楽しそうに歩いている姿を。
「どうかした?」
「いや、なんでもない、知り合いがいたような気がしてな」
どうやら長門の位置からは2人は見えなかったらしい。向こうもこっちには、
気がついてないようだ、ここは知らん振りしてやりすごずのが礼儀ってもんだろ。
「ありがとう」
長門のマンションの前で、小さくそういう長門と分かれて俺は家路についた。
おっきな月が俺を睨んでいるようだった
どーすっかな
【インターミッション】
なんとかしなくちゃ
昨日の古泉君の話を聞いてから、そのことばかり考えている、でもわたしは、
いったい、どうすればいいの
人を好きになるのは、本人同士の問題、それは解る、でもなにも、
キョン君と涼宮さんの間に割り込むようなことをしなくっても。
もし、古泉君の望むようなことになったら、わたしの存在はどうなってしまう
のだろう。
多分、長門さんの言ったことは正しい、未来から見た規定事項は、
厳密に一字一句実行されるものではない、時間の流れには一定の自立作用の
ようなものがあって、えっと、たとえば、ある科学的発明がされることが
規定事項だったとしても、その発見者や発見の経緯などが少々違ったとしても、
大きな時間の流れには影響がでない、でも、これ、わたしだって最近聞いた
ばかりの話、実際どの程度の誤差までが許されるのか実験して確かめるわけには
いかないこと。
いてもたってもいられなくなり、昼休になって教室を飛び出す、古泉君、
いや昨日の今日で話をしても、きっとダメ、昨日あんなにちゃんと話したのに、
まるで聴いてもらえなかった、じゃあ、キョン君、んん、それもダメ、今、
余計なことキョン君にしゃべってしまったら、きっと話がややこしくなる。
長門さんは、やっぱダメ、古泉君に協力するような口ぶりだったし。
なんで、わたしは、こんなになにも出来ないんだろう。
なんで、わたしは、なんのために、ここに居るんだろう。
この時間平面で、事の結末を知りながら、なんの手出しも、なんの助けも
出来ないなんて。
今は自分のためでなく、純粋にキョン君と涼宮さんのため、なにかできることが
本当にないのだろうか。
結局、昼休みの間、学校内をうろうろして時間だけが過ぎてしまう。
ほんと、なにしているんだろう、わたし
「おーい、みっくる」
鶴屋さん、ひょっとして、鶴屋さんも古泉君の味方
「どこいってたのさ、さっき、キョン君がきて、今日はハルちゃん用事で、
活動はなしだってさ」
「はぁ、はい」
キョン君、こっちに来てたんだ、はぁ
「みっくる、相談あるなら、のるっさ、さあ、おねえさんに話してごらん、
悪いようにはしないっさ」
ふぇー どうしよう
【余ったピース】
今晩は寝室に差し込む月明かりが少し強いようだ
机の上のパズル達を照らしている
今日、古泉君と一緒に選んだパズル
一つパーツが余ったパズル
今日は、楽しかった、時間は短かったけど、SOS団副団長じゃない古泉君は
ちょっと新鮮だった。パズルのお店も夕食の店も魅力的だった、あんな場所を
知っている人って、きっと本人も魅力的なんだろうと思う。
ただ、夕食の時、ちょっとキョンが気になってしまっていたのに、気づかれた
だろうか? 何も聞かれなかったけど
そんな部分も含めて、古泉君は紳士的だった、人気あるのも解るわ
選んでもらったパズル、もう答は教えてもらっているので、なにごともなく
組みあがる。手のうちのやさしい木肌の感覚がここちよい。
あー言い訳はよそう、
キョンはあたし達に気がついただろうか?
ちらっとだから、気がつかなったかもしれない
気がついていて、無視したのかもしれない
だとしらた、何故、後ろめたいことだから
そもそも、今日はSOS団は休みなんだから、いいじゃない
いや、休みなのに、あの2人が一緒だったのが、気になる、
なんか、こそこそ隠れているみたいじゃない。
でも、それって、あたしもそう?
じゃあ、あたしは何で声をかけなかった?
2人の場所が遠かったから
隣にいたのが、古泉君だったから
今日活動を休みにした理由を告げなかったから
そうよ、あそこで声をかけたら、明日の楽しみが半減するじゃない
パズルの魅力は、そこにあるピースがきっちり正しい場所の収まることで、
完成形を作り上げること、店でもパズルも魅力として話題になった。
パーツが余るパズルは完成形としては美しくないよね
正解はもう一つあるのかしら
余ったピースの本当の居場所はいったい何処にあるんだろう
月夜の晩なら、答えが見つかりそうな気もする
【足りない欠片】
すっかり暗くなって帰宅する。母親の小言でお出迎えかと身構えたが
「おかえり 遅かったじゃない」
「ただいま、ああ、図書館だ」
「少しはやる気になったってこと?」
「そうゆうことにしておいてくれ」
「晩御飯は?」
「食べてきた」
「あ、そう、明日、悪いんだけど、午後は家にいてくれない?」
「なんだ」
「さっきから調子悪いのよ、あの娘、ああ、医者はわたしが午前中つれてくから、でも午後、
外にでないといけなくて、わるいんだけど」
どうも静かだと思ったら、妹の奴、風邪引いたらしい。
「かまわないさ、なんなら、一日、ついててやろうか?」
「そこまではいらないわ、たいした風邪じゃないし、あんたに学校休ませるんじゃ、あの娘も
いらんきづかいさせるし、そもそも、もういい年なんだし じゃあ明日頼めるわね」
「わかった、なるべく早めに帰るわ」
「お風呂はいんなさいよ」
なんで、俺が休むと妹が気にするんだ
それより、ハルヒのやつ、古泉となにしてたんだろ、またなんか企んでるじゃないだろうな、
どうもハルヒの笑顔を見ると、自分の身になにか降りかかりそうな気がして身構えてしまう、
しかも隣が古泉じゃ、その心配もひとしおだ。
風呂上りに妹の部屋をのぞく、ぐっすり寝ている寝顔を眺めて、思い出した
そういえば、前にもこんなことがあったかな、アイツが風邪で寝込んで、俺が
学校休もうっていったら、むきになって、反対したことがあったっけ
なんで、俺はハルヒに声をかけなった
長門と2人だったから
ハルヒの隣が古泉だったから
ハルヒが楽しそうな顔していたから
そうだな、今の妹の状況と一緒か、さすがに兄妹
俺が声をかけたらハルヒの笑顔が消えそうな気がしたんだ
俺は最近になって、違和感を感じていることを たった今気がついた
日本語としておかしいって、そうゆうことってあるだろ
部室で古泉のもちこんだパズルに取り組んでいるハルヒの顔は、俺の知っているハルヒとは別のものだった、どっちがいいとか比較するようなものでもない
ハルヒが俺のそばにいることで、ハルヒのなにかに負荷がかかっているのなら
俺はいったいどうしたらいい
なあ、お月さんよ
【インターミッション】
ふぇーどうしよう
なんだかんだと、いいくるめらて、すっかり鶴屋さんに事情を説明してしまった。
「まっかせなっさい! みくるに悪いようにはしないっから、家は家、わたしはわたしっさ」
「鶴屋さん」
「さあ、思う存分、うろうろしなくちゃ、みっくるはそうでなっくっちゃいけない」
今、思い返すととんでもないこと言われた気がする。
ふぇーでも、実際問題としてどうしよう
放課後、やっぱりキョン君にひと言でもと思って、部室へいったけど、鍵が閉まったまま、長門さんも居なかった
どこにいっているのか、校内をひとしきり探したけど、結局見つからない、
時間だけはどんどんすぎてゆくし、最悪にそなえて申請したTPDDの使用許可も
おりる気配はない。かといって、キョン君も涼宮さんもいったい何処にいった
のか見当もつかない。
あーなんで、こんなに、ヘタレなんだろう、わたしって
お月さんにも笑われてる、そんな気がする。
【インターミッション】
部屋に戻ると喜緑がいた
「遅かったのね」
「深夜ではない、高校生として許容できる範囲」
「忠告したよね」
「了解している」
「悲しむのは、苦しむのは、有希なんだから」
「私は自分の能力を信じる、過ちは繰り返さない」
「自信があるのね」
「あのひとがくれた」
「そう、しかたないわね」
「ない」
それだけ、告げると彼女は帰っていった。
何が許されて、何が許されないのだろう
喜緑も、私も、あのひとも、解ってない
月なら答えを知っているのだろうか
【インターミッション】
タッタターンタッターン
「やっほー」
「えっと、古泉です」
「やあ、古泉君、今日はお楽しみだったみたいだね、いいなぁ、若いって」
「鶴屋さんでしたか、年は1つ違いだと認識していましたが」
「ちっちっ、女性に歳を聞くのは反則だよ、キミ それより あたちの質問の答えはなしかな?」
「怖いですね、その情報網、どうですか、その力を生かしてみませんか、機関で?」
「ということは、何かいいことあったんだね、本当に」
「かまをかけられましたか」
「そう、みくるがなんか、慌てふためいていたからね」
「鶴屋さんは僕に、なにか忠告でも?」
「うんにゃ、あたしはどっちの味方でもないっさ、ただ側でわくわくしながら見てるだけ、まあ、どっちころんでも家には大差ないっしょ、そうそう進路変更の件は感謝しているよ、本当に」
「できたら、静観ってことで手をうちませんか、今のところは」
「まあ、いいしょ、でも結果はすぐに連絡するっしょ、いいね」
「うけたまわりました」
「じゃあ、おやすみ よい夢を」
「おやすみなさい」
鶴屋さん、あなたが思うほど、いい話ばかりではなかったんですよ実は
パズル店では、あんなにはじゃいでいるほどだった、涼宮さんも夕食の時の
顔には少し憂いがあった、少し急ぎすぎましたかね
月夜の晩には奇跡が起きると少しは期待していたんですがね
キョンは昨日、なにかいいことでもあったのか、こころもち顔が上むいている
「キョン!」
「なんだ」
「あたし、今日 用事があるから SOS団の活動は中止 みんなに伝えておいてね」
「ああ わかった 昼休みにでも伝えとくよ」
まあ、いつものキョンね、昨日顔が暗かったのは、岡部になにかいわれたんでしょ、
あいかわらず試験にでるぞ、みたいな、はっぱをかけられながら、授業が進む、
今日は時間が少し遅くない?
浮かれてるのか、あたし
別に古泉君とはデートって訳じゃない、別に誰かに後ろめたいことがある
わけじゃない、そう、有希をちょっとだけ、出し抜いてやろうと準備しているだけ
なんだこの言い訳みたいなものは
前の席のキョンは、さすがに昨日絞られたみたいで、まじめに授業を聞いているみたい、
同じ授業にでていて、なんでこいつは、成績よくないんだろう、これも不思議ね
最後の授業、終わりのチャイムが鳴り終わらないうちに、教室から離脱、一度家に帰る時間あるかな、制服で出歩くのって好きじゃないから
やっぱり、浮かれてるのか、あたし
めいっぱい急いだ積もりだったが、それでも、待ち合わせ場所には、少し遅れそう、
団長としてのけじめがつかないなぁと思いつつ到着すると、古泉君はすでに
待っていてくれた。それも私服、あれ、なんでこんなに早いんだ、
いつも最後にやってくる誰かに爪の垢でも飲ませてやりたい、
頼んだら、あっさりくれそうだしね。
「ごめん、古泉君、遅れた」
「いえ、僕も、いましがた着いたばかりですから」
ほんと、誰かさんも見習ってほしいわ
古泉君のいっていた店は駅前の繁華街を少し離れた場所にあるそうで、
並んで歩く、この時期だからか、自然と話題は進路進学のことになる
「涼宮さん、先日の進路指導いかがでした?」
「岡部から、理系に進路変更しないかっていわれたわ、今更のような気もするけど」
「僕もそう思いますよ、涼宮さんは、答えが綺麗にでる問題の方が好きでしょう、
そうパズルみたいに」
「確かにそうね、でも具体的に何をしたいとかってのは、ないわね、今は」
「まあ、そのための大学って話もありますし」
「それより、古泉君は進路どうするの?」
「涼宮さん、笑わないでくれますか?」
「なにそれ、まあいいわ、約束する」
「生きてるうちに宇宙に行きたいんですよ、僕は、できれば自分の宇宙船で、
中学の時に素直に話して笑われて以来、白状するのはひさしぶりですけど」
いや、笑うなって言うからには、突拍子もないこと言い出すとは思ったけど、古泉君って結構熱い人だったんだね、ふふふ
「素敵な夢じゃない、じゃあ、大学は、物理が工学?」
「ええ、できれば宇宙工学のある大学に」
「そっか、目標があるってのは、やっぱりいいわね」
そういえば、キョンって、なにかやりたいことあるんだろうか
「ええ、そして僕としては、そのとき側に涼宮さんに居て欲しいと思ったり
してるんですよ」
え、なにそれ、まるで告白じゃない
「なしにろ、宇宙人を探すにはうってつけの人材になると思いませんか」
「確かに」
古泉君の冗談とも本気とも取れるセリフにちょっとドギマギしてしまった
かもしれないが、ほどなく、目当ての店の到着した、普通のマンションの
一室で営業しているらしく、こりゃつれてきてもわらなきゃ、とても判んないわ。
古泉君が店主の方と話しをしてる間、店の中を見回してみる、幾つものパズル
たちが並んで展示されている、材質もさまざま、あのガラスの奴ちょっと素敵
だなぁ。一つ一つみんな小さな宇宙みたいで、わくわくしてくる、やっぱり
こうゆう世界があたしの好みなのかな
店主は結構若くて気さくな方だった、あたしが眼の前でいくつかパズルを解いて見せたら、本気で感心してくれた、すこしくすぐったい、有希はあたしよりすごいといったらしばらくあちこち探したあげく、古典的な名作と呼ばれる
なやつと最新作という2つを選んでくれた。
有希、明日の放課後まってなさい!
例のパズル作家の方もこの店にはよくいっらしゃるそうで、次の休みに都合がつけばお会いできるらしい、というより新作を一晩でといた女子高生がいると
いったら、地球の裏側にいたって飛んできますよって折り紙までもらった。
次回の不思議探検はここに決定、これも明日SOS団で発表しなくちゃ。
お店は、ネット通販が中心だそうで、尋ねてくるお客さんがいなかったこともあって、3人で随分話をした、SOS団のみんなとおしゃべりするのも楽しいけど共通の興味がある人たちと話ができるのは、とても新鮮。
さんざんお邪魔して、お店を辞する、古泉君が次の休みの相談を店主の方としているのを聞きながら、キョンはここに来てどんな感想をもつだろうかと考えていた、なんで、キョンなの?
外は、もうすっかり暗くなっていた、秋の陽は短い
「うーん、楽しかった、さすがはSOS団副団長だわ」
「光栄です、お時間が許せば、食事でも」
「そうね、確かにおなか減ったわね」
そういわれて、また、このまま家に帰るのが少しもったいない気がして、
誘いに乗ることにする
「場所は任せてもらえますか、着替えてきてくれてよかったです、電話でいい
ずらくて 僕の知り合いがイタリアンレストランをやってまして、ちょっと
距離があるんですが」
「かわまないわよ」
店をでて、タクシーを使うという古泉君とならんで大通りの方へ向かう、あれ
ここって図書館の方じゃないと思ったとき、あたしは見てしまった。
キョンと有希、多分図書館の帰り、有希が本を大事そうに抱えてる、なんで2人が
「どうかされましたか?」
「んん なんでもないわ」
古泉君は気がつかなったようだ
その店は住宅街のほど中にあった、こんな場所で商売になるのかと思うくらい
店の格もちょっと高そう、確かに制服では気後れしてしまいそう、そうね
キョンなら入り口で残念ながらって断れるかもしれないわね
味も量も申し分なし、値段だけは、古泉君が教えてくれなかったので解らない
けど、きっとそれなりにするんでしょうね
話はさっきの店のこと、明日の部室での下準備、次の休みの不思議探索であの
店にお邪魔するにあたってのこと、
さっきの告白めいた話の続きは出てこなかった、気を使わせちゃったのかな
家の近くまで送ってもらう
「今日は楽しい時間をありがとうございました」
最後まで如才ない、さすが古泉君である
家に入るまえ振り返ると大きな月に見つめられているようだった
【足りなり欠片】
ハルヒは昨日なにかいいことでもあったのか、いつもに増してテンションが
高い、いつまでたっても夏を引きずっているような顔している。
本当におまえは秋は似合わないな、いいから少し落ち着け。
「キョン!」
「なんだ」
「あたし、今日 用事があるから SOS団の活動は中止 みんなに伝えておいてね」
「ああ わかった 昼休みにでも伝えとくよ」
なにかまた変なことでも企んでるでなけりゃいいんだが。
さすがに昨日あれだけ絞られたんだ、次の試験までは、せめて授業に集中
意気込みだけは、充分にあったはずなんだが、教室の窓から望む、秋晴れの
空、頭の中には、昨晩の長門が登場する。
なぜ、あいつは、あの時間、あの場所に、まるで俺と会うのを待っていた
かのように居たのだろう、偶然、それとも
俺がまた、なにかに巻き込まれるかもしれないという忠告だったのか?
それはないな、それなら、ちゃんと呼び出して話をするだろう。
長門のちょっと寂しげで、精一杯の顔はしばらく忘れられそうにない、
ハルヒの百万分の一でも、あいつの能天気さがあれば、随分ちがうんだろうに
頭の中で、そんなことを、弄んでいるうちに午前中の授業が終わる
さて、弁当食って、一回りしてくかって、そういえば、当の本人はダッシュで
食堂にかっとんで行ったんじゃないか、俺が伝書鳩になる理由はどこにあるん
だ、まったく。
谷口、国木田と、秋の空と秋刀魚と乙女心に関する考察をしながら弁当を食い、
さて近いところからお邪魔しますか
一番近いのは、長門か、いや、あいつは、昼休みも部室だろうから、後回し、
まずは古泉、9組の前へ行き、古泉を呼んでもらうが、本日は休みとのこと、
あれ、また、例のアルバイトか?最近は仕事ないんじゃなかったか、それとも、
また何か企んでるんじゃないだろうな、まあいい、いないんじゃ部室まで無駄
足ってこともないだろう。
さて次は、3年の教室へいって朝比奈さんと、
「お! キョン君 ひっさしぶりだね どーだい 元気にやってるかにょろ」
元気一杯の声をかけられる、鶴屋さんだ、あいかわらずのテンションの高さだ
「そうそう、今年もハルにゃんとこのクリパに呼んどくれよ、キョン君、今年
は何を披露してくれんだい」
この人見てると人生なんも憂いも悩みもないんだろうかと思ってしまう。
ちょっとまて、今年も俺が出し物するのは決定事項なのか
「はあ、ハルヒには伝えときます、で、朝比奈さんは」
「みっくるちゃんかい、そういえば、昼休みになってどっかに出かけてったさ、用事かい?」
「ええ、今日、ハルヒが用事だそうで、SOS団は臨時休業です」
「つったえとくっさ、ふーん ハルにゃんが用事ね」
なにを納得したのか、鶴屋さんは、しきりに頷いたあと、古泉やら、長門の
ことを尋ねられ、しきりに懐かしがられ、気がつけばもう昼休みは終わり。
長門は放課後に部室で伝えるか。
午後の授業が終わるとハルヒは短距離選手並みのロケットスタートで学校を
後にした、よっぽどの用事なんだろうな、顔にやけてたぞ。
俺は、昼休みに連絡しそこね、部室で一人でいるだろう、長門の元へ
部室の扉を開けると、いつものように長門がいた、
「長門」
静かに顔を上げる仕草
「ハルヒが今日用事でこないそうだ」
「そう」
「昨日のことだけど」
「なに」
「ありがとう、長門にあの場所で会えてうれしかった」
「あなたの助けになれたなら、それで充分」
「それでな、何年も先になる再会の約束の前に、前の約束を果たそうと思ってな」
「なに?」
「今日は活動は無しだ、図書館、行かないか?」
俺のセリフが予想外だったのか、少しだけ、その眼を大きくして
「うれしい、覚えていてくれたこと」
「忘れるわけにはいかないだろう、今、俺がここに居られるのは、長門のおかげだ」
そう、あのハルヒと一緒の閉鎖空間から脱出する最後の鍵をくれたのが、おまえ、
長門だったんだから
「どうする、今からだと、あまり時間も取れないけど」
返事の替わりか、長門は開いていた本を閉じ、帰り支度を始めた
図書館では、あまり話すことは無い、いつものとおり、長門は図書館に入るなり、
本棚の海の泳ぎだしていってしまった。本当なら俺は勉強でもすればよかったのだが、
がらにもなく、長門の姿に見とれてしまっていたのは、内緒だ。
閉館を告げるアナウンスを聞きながら、長門と本の貸し出しカウンターに
並ぶ、放課後から来たんじゃあんまり時間がないな。それでも満更ではない、
長門の顔を見てると、もっと早く一緒に来てやればよかったと思う。
「なんか食べていくか 長門」
静かに肯く仕草
これは、イエスってことでいいんだな、でも、このあたりじゃなにもないから、
駅前まででるか。貸し出し制限一杯まで借りた本を大事そうに抱える長門と
図書館をでた。
もう随分遅い時間になっている、秋の短い陽はすっかりと暮れ、あたりは
もうすっかり夜の装いである。
「遅くなっちまったな」
「わたしは大丈夫、あなたは」
「なあに、図書館に行っていたなら問題はあるまい、嘘じゃないし」
食事といっても、財布の都合で駅前近くのファーストフード店、しかも、
長門のやつ、今しがた図書館で借りた本を早速開いて読み始めている。
あの冬の日、俺はもう一つの世界を選択したとしたら、こんな毎日を過ごして
いたのかもしれない、そう思うとどこか申し訳ない気持ちで一杯になった。
すっかり暗くなちっまたこともあり、長門をマンションまで送ろうと、店を出て
歩き始め、駅前の繁華街を過ぎること、俺はみてしまった。
用事があると、授業が終わるや否やすっとんで帰った、涼宮ハルヒと、今日は
休みのはずだった、古泉一樹が並んで楽しそうに歩いている姿を。
「どうかした?」
「いや、なんでもない、知り合いがいたような気がしてな」
どうやら長門の位置からは2人は見えなかったらしい。向こうもこっちには、
気がついてないようだ、ここは知らん振りしてやりすごずのが礼儀ってもんだろ。
「ありがとう」
長門のマンションの前で、小さくそういう長門と分かれて俺は家路についた。
おっきな月が俺を睨んでいるようだった
どーすっかな
【インターミッション】
なんとかしなくちゃ
昨日の古泉君の話を聞いてから、そのことばかり考えている、でもわたしは、
いったい、どうすればいいの
人を好きになるのは、本人同士の問題、それは解る、でもなにも、
キョン君と涼宮さんの間に割り込むようなことをしなくっても。
もし、古泉君の望むようなことになったら、わたしの存在はどうなってしまう
のだろう。
多分、長門さんの言ったことは正しい、未来から見た規定事項は、
厳密に一字一句実行されるものではない、時間の流れには一定の自立作用の
ようなものがあって、えっと、たとえば、ある科学的発明がされることが
規定事項だったとしても、その発見者や発見の経緯などが少々違ったとしても、
大きな時間の流れには影響がでない、でも、これ、わたしだって最近聞いた
ばかりの話、実際どの程度の誤差までが許されるのか実験して確かめるわけには
いかないこと。
いてもたってもいられなくなり、昼休になって教室を飛び出す、古泉君、
いや昨日の今日で話をしても、きっとダメ、昨日あんなにちゃんと話したのに、
まるで聴いてもらえなかった、じゃあ、キョン君、んん、それもダメ、今、
余計なことキョン君にしゃべってしまったら、きっと話がややこしくなる。
長門さんは、やっぱダメ、古泉君に協力するような口ぶりだったし。
なんで、わたしは、こんなになにも出来ないんだろう。
なんで、わたしは、なんのために、ここに居るんだろう。
この時間平面で、事の結末を知りながら、なんの手出しも、なんの助けも
出来ないなんて。
今は自分のためでなく、純粋にキョン君と涼宮さんのため、なにかできることが
本当にないのだろうか。
結局、昼休みの間、学校内をうろうろして時間だけが過ぎてしまう。
ほんと、なにしているんだろう、わたし
「おーい、みっくる」
鶴屋さん、ひょっとして、鶴屋さんも古泉君の味方
「どこいってたのさ、さっき、キョン君がきて、今日はハルちゃん用事で、
活動はなしだってさ」
「はぁ、はい」
キョン君、こっちに来てたんだ、はぁ
「みっくる、相談あるなら、のるっさ、さあ、おねえさんに話してごらん、
悪いようにはしないっさ」
ふぇー どうしよう
【余ったピース】
今晩は寝室に差し込む月明かりが少し強いようだ
机の上のパズル達を照らしている
今日、古泉君と一緒に選んだパズル
一つパーツが余ったパズル
今日は、楽しかった、時間は短かったけど、SOS団副団長じゃない古泉君は
ちょっと新鮮だった。パズルのお店も夕食の店も魅力的だった、あんな場所を
知っている人って、きっと本人も魅力的なんだろうと思う。
ただ、夕食の時、ちょっとキョンが気になってしまっていたのに、気づかれた
だろうか? 何も聞かれなかったけど
そんな部分も含めて、古泉君は紳士的だった、人気あるのも解るわ
選んでもらったパズル、もう答は教えてもらっているので、なにごともなく
組みあがる。手のうちのやさしい木肌の感覚がここちよい。
あー言い訳はよそう、
キョンはあたし達に気がついただろうか?
ちらっとだから、気がつかなったかもしれない
気がついていて、無視したのかもしれない
だとしらた、何故、後ろめたいことだから
そもそも、今日はSOS団は休みなんだから、いいじゃない
いや、休みなのに、あの2人が一緒だったのが、気になる、
なんか、こそこそ隠れているみたいじゃない。
でも、それって、あたしもそう?
じゃあ、あたしは何で声をかけなかった?
2人の場所が遠かったから
隣にいたのが、古泉君だったから
今日活動を休みにした理由を告げなかったから
そうよ、あそこで声をかけたら、明日の楽しみが半減するじゃない
パズルの魅力は、そこにあるピースがきっちり正しい場所の収まることで、
完成形を作り上げること、店でもパズルも魅力として話題になった。
パーツが余るパズルは完成形としては美しくないよね
正解はもう一つあるのかしら
余ったピースの本当の居場所はいったい何処にあるんだろう
月夜の晩なら、答えが見つかりそうな気もする
【足りない欠片】
すっかり暗くなって帰宅する。母親の小言でお出迎えかと身構えたが
「おかえり 遅かったじゃない」
「ただいま、ああ、図書館だ」
「少しはやる気になったってこと?」
「そうゆうことにしておいてくれ」
「晩御飯は?」
「食べてきた」
「あ、そう、明日、悪いんだけど、午後は家にいてくれない?」
「なんだ」
「さっきから調子悪いのよ、あの娘、ああ、医者はわたしが午前中つれてくから、でも午後、
外にでないといけなくて、わるいんだけど」
どうも静かだと思ったら、妹の奴、風邪引いたらしい。
「かまわないさ、なんなら、一日、ついててやろうか?」
「そこまではいらないわ、たいした風邪じゃないし、あんたに学校休ませるんじゃ、あの娘も
いらんきづかいさせるし、そもそも、もういい年なんだし じゃあ明日頼めるわね」
「わかった、なるべく早めに帰るわ」
「お風呂はいんなさいよ」
なんで、俺が休むと妹が気にするんだ
それより、ハルヒのやつ、古泉となにしてたんだろ、またなんか企んでるじゃないだろうな、
どうもハルヒの笑顔を見ると、自分の身になにか降りかかりそうな気がして身構えてしまう、
しかも隣が古泉じゃ、その心配もひとしおだ。
風呂上りに妹の部屋をのぞく、ぐっすり寝ている寝顔を眺めて、思い出した
そういえば、前にもこんなことがあったかな、アイツが風邪で寝込んで、俺が
学校休もうっていったら、むきになって、反対したことがあったっけ
なんで、俺はハルヒに声をかけなった
長門と2人だったから
ハルヒの隣が古泉だったから
ハルヒが楽しそうな顔していたから
そうだな、今の妹の状況と一緒か、さすがに兄妹
俺が声をかけたらハルヒの笑顔が消えそうな気がしたんだ
俺は最近になって、違和感を感じていることを たった今気がついた
日本語としておかしいって、そうゆうことってあるだろ
部室で古泉のもちこんだパズルに取り組んでいるハルヒの顔は、俺の知っているハルヒとは別のものだった、どっちがいいとか比較するようなものでもない
ハルヒが俺のそばにいることで、ハルヒのなにかに負荷がかかっているのなら
俺はいったいどうしたらいい
なあ、お月さんよ
【インターミッション】
ふぇーどうしよう
なんだかんだと、いいくるめらて、すっかり鶴屋さんに事情を説明してしまった。
「まっかせなっさい! みくるに悪いようにはしないっから、家は家、わたしはわたしっさ」
「鶴屋さん」
「さあ、思う存分、うろうろしなくちゃ、みっくるはそうでなっくっちゃいけない」
今、思い返すととんでもないこと言われた気がする。
ふぇーでも、実際問題としてどうしよう
放課後、やっぱりキョン君にひと言でもと思って、部室へいったけど、鍵が閉まったまま、長門さんも居なかった
どこにいっているのか、校内をひとしきり探したけど、結局見つからない、
時間だけはどんどんすぎてゆくし、最悪にそなえて申請したTPDDの使用許可も
おりる気配はない。かといって、キョン君も涼宮さんもいったい何処にいった
のか見当もつかない。
あーなんで、こんなに、ヘタレなんだろう、わたしって
お月さんにも笑われてる、そんな気がする。
【インターミッション】
部屋に戻ると喜緑がいた
「遅かったのね」
「深夜ではない、高校生として許容できる範囲」
「忠告したよね」
「了解している」
「悲しむのは、苦しむのは、有希なんだから」
「私は自分の能力を信じる、過ちは繰り返さない」
「自信があるのね」
「あのひとがくれた」
「そう、しかたないわね」
「ない」
それだけ、告げると彼女は帰っていった。
何が許されて、何が許されないのだろう
喜緑も、私も、あのひとも、解ってない
月なら答えを知っているのだろうか
【インターミッション】
タッタターンタッターン
「やっほー」
「えっと、古泉です」
「やあ、古泉君、今日はお楽しみだったみたいだね、いいなぁ、若いって」
「鶴屋さんでしたか、年は1つ違いだと認識していましたが」
「ちっちっ、女性に歳を聞くのは反則だよ、キミ それより あたちの質問の答えはなしかな?」
「怖いですね、その情報網、どうですか、その力を生かしてみませんか、機関で?」
「ということは、何かいいことあったんだね、本当に」
「かまをかけられましたか」
「そう、みくるがなんか、慌てふためいていたからね」
「鶴屋さんは僕に、なにか忠告でも?」
「うんにゃ、あたしはどっちの味方でもないっさ、ただ側でわくわくしながら見てるだけ、まあ、どっちころんでも家には大差ないっしょ、そうそう進路変更の件は感謝しているよ、本当に」
「できたら、静観ってことで手をうちませんか、今のところは」
「まあ、いいしょ、でも結果はすぐに連絡するっしょ、いいね」
「うけたまわりました」
「じゃあ、おやすみ よい夢を」
「おやすみなさい」
鶴屋さん、あなたが思うほど、いい話ばかりではなかったんですよ実は
パズル店では、あんなにはじゃいでいるほどだった、涼宮さんも夕食の時の
顔には少し憂いがあった、少し急ぎすぎましたかね
月夜の晩には奇跡が起きると少しは期待していたんですがね
827: 2006/08/26(土) 02:34:36.71 ID:Z32foSST0
【余ったピース】
昨晩あんなに月が綺麗にでていたのに、今日は朝からどんよりした曇り空、天気予報では
午後から雨になるそうだ。
あいつにどんな顔して会えばいいだろう
昨日のことどう切り出そうと思っているうちにあいつがやってきた
「ハルヒ 今日の部活なんだけどな」
なに、ひょっとして怒ってるの
「妹の奴が昨日から風邪ひいちまってな、家にいてやりたいんだ、申し訳ないけど欠席って
ことでいいかな」
「妹ちゃん、風邪なの、放課後とはいわずに、こんなことに居ないで、傍にいてあげれば
いいじゃないの」
「こんなことってのもないだろ、授業まで休んで看病するほどじゃなし、午前中は親もいる、
こっちまで休むんじゃ、あいつもかえって気をつかうそうだ」
なにいってんの、兄妹そろってへそ曲がりね、素直にいてあげればいいのに
「あ、そうだ、昨日鶴屋さんに会ってな、今年のクリパ宜しくっていってたぞ」
「気が早いわね、まだまだ先じゃない、12月って」
そういえば、今年はキョンに何させようかしら
「さあな、それと、これ、今日は部室いかないんで、渡しとくわ」
バラバラのままのパズルを渡される
「なんだ、あんたで出来なったの、これ」
「ああ、でもそれ、部品足りなくねーか」
あいつは、昨日こと一言も口にしなかった、やっぱり気が付いてなかったのかな
それとも自分が後ろめたいから
手の中に、受け取ったパズルが、妙にしっかりとした存在感をもっている。
授業中、教師の眼を盗んで、あたしは、キョンから受け取ったパズルに取り組んでいた、
そのままでは確かにうまく組みあがらない。
授業が終わる
「涼宮、昨日の話、週明けには返事してくれな」
岡部がいわんでもいいことを言う
キョンを見送って、部室へ、少し遅れたようだ、みんなもう来ている
「やっほー」
「はぁーい」
「昨日はお付き合いいただいて、ありがとうございました」
「古泉君のなかなかいい、センスしてるわね」
「あ、そう、キョンは妹ちゃんが風邪なんで、今日は看病でお休みね」
有希の顔がちょっと寂しそうに見えたのは気のせい?
みくるちゃんの顔がちょっと心配そうに見えたのは気のせい?
古泉君の顔がちょっと安心してそうなに見えたのは気のせい?
「さーて有希、勝負よ!」
昨日入手した新しいパズルをつかって、有希と勝負、あたしは回答をしっているから
フェアーな勝負とはいえないけど
それでも ダメ、全然歯がたたない、有希ったら、なんの戸惑いもなく、ピースを選んで
組み上げてゆく、この超人ぶりはすでに人間技ではないわね
一頻り、パズルをこなすと有希はまた読書に戻ってしまった。
有希に解けないパズルって存在しないのかな
「今度のパズルは綺麗ですね」
はなから勝負にならない、みくるちゃんは、ピースを手にとりながら、あたしを見つめている。
なんとなく、今日はみくるちゃんと眼が合うわね
「もっと綺麗なのあったわよ、古泉君といったお店、ガラスの奴とか」
「そう、涼宮さん、例のパズル作家の方ですけど、昨日中に話がついたようで、明日の土曜、午後なら、昨日の店にいかがかと連絡をもらいました」
「それなら、明日の市内探索の午後の部をそれに当ててもいいわね 有希、みくるちゃん
それでいい?」
「いい」
「はぁーい」
「そでれは、早速、連絡を」
古泉君は、さっそく携帯でどこかに連絡をつけ、簡単なやりとりの後、SOS団メンバーとして明日の午後お邪魔する手配を取り付けていた。
「さすが仕事が早いわね」
「光栄です」
「じゃあ、明日、待ち合わせは 駅前に1時、時間厳守よ!、あ、キョンにはあたしが連絡
しとくわ、妹ちゃんの様子も気になるしね」
有希の顔がちょっと寂しそうに見えたのは気のせい?
みくるちゃんの顔がちょっと安心してそうに見えたのは気のせい?
古泉君の顔がちょっと残念そうに見えたのは気のせい?
なんか、最近キョンと話してないなぁ
どうしてこうすれ違いになるんだろ
職員室へ顔をだそうと思い、結局今日はバラバラで下校する、でも岡部は
もう居なかった、まあ、月曜でいいか
天気予報は当たったようで、途中から冷たい雨が振り出した中、学校からの坂道を
くだってゆく
なんか、見透かされているような気分
みくるちゃんは、何が言いたかったのだろうか
収まるべきものが正しい場所にいない、そんな気がする
【インターミッション】
下校途中から雨が降り出した。
うかつだった、気象情報のチェックを怠っていた
本来のルーティンワークの支障をきたすほど安定性を失っているのか
「ぬれますよ 長門さん」
(誰?)
「阪中です、ルソーの時にはお世話になりましたね」
(記憶領域を検索、該当記憶を展開)
「なにか、あったんですか、元気ないみたいですよ」
「べつに」
「でも、駅まで一緒にいきましょ、ぬれちゃいますからね」
「感謝する」
「また、涼宮さんたちと遊びにきてくださいね、ルソーも喜びます、なにせ、長門さんは、
ルソーの命の恩人ですから」
駅までの道のり、彼女の話を聞きながら歩く
彼女のやさしさと、
あの人のやさしさは
同じもの
別のもの
秋の雨は、心にも冷たい
【足りなり欠片】
妹のやつが風邪で寝込んでいるので、朝は平和に、但し時間ぎりぎりになってしまったが
起床する。いや、別に妹の起こされなったのが不満だとか、寂しいとかじゃないぞ、
いつも朝から騒がしいやついないんで、調子が狂っただけだ、本当に?
傘もってくるんだったかな、学校への坂道、秋風に立ち向かいながら登ってゆく、何時
雨になってもおかしくない天気だな
「おはようございます」
いきなり後ろから、挨拶される、こんな丁寧に挨拶するのって誰だ
「えっと」
「喜緑です、生徒会の」
「ああ、その節はどうも」
「ひとつ、お知らせしておきたいことがありまして」
「はい」
また、なにか、問題でもあるのかって、そろそろ任期、終わりでしょうに
「今年も文芸部の活動をしていただく必要があります」
その件か、確かに、また例の文芸誌をつるのか
(選択には責任が必要ですわ)
「え、今なんて」
「ええ、今年の文芸誌作成の時には、是非お声をかけていただこうかと思いまして」
「ああ、それはもちろんですとも」
「それでは、これで」
選択の責任って、そういえば、喜緑さんって長門の仲間だったよな
一体、俺にどうしろってことなんだ
俺が教室に入るとすでにハルヒは席についていた。
「ハルヒ 今日の部活なんだけどな」
「妹の奴が昨日から風邪ひいちまってな、家にいてやりたいんだ、申し訳ないけど
欠席ってことでいいかな」
まあ、あんまりカッコいい話ではないが、事実だ
「妹ちゃん、風邪なの、放課後とはいわずに、こんなことに居ないで、傍にいてあげれば
いいじゃないの」
まあ、おれも最初はそう思ったんだがな
「こんなことってのもないだろ、授業まで休んで看病するほどじゃなし、午前中は親もいる、
こっちまで休むんじゃ、あいつもかえって気をつかうそうだ」
「あ、そうだ、昨日、鶴屋さんに会ってな、今年のクリパ宜しくっていってたぞ」
「気が早いわね、まだまだ先じゃない、12月って」
頼むから今度はあんまり変なカッコさせないでくれ
「さあな、それと、これ、今日は部室いかないんで、渡しとくわ」
「なんだ、あんたで出来なったの、これ」
「ああ、でもそれ、部品足りなくねーか」
ああ、全く歯が立たなかったさ
ハルヒからは昨日の話は出なかった
こっちには気がつかなったのか
授業中、ハルヒは、朝に渡したパズルをカチャカチャやっていた、やっぱり数たりてない
だろそれ
あ、喜緑さんの件言い忘れた、まあ、いいか
放課後、岡部がなにか、ハルヒに話しかけていたようで、声もかけずに家に向かった、
まあ途中コンビニでお見舞いセットを買っていったのだが
結果から言おう
放課後そうそうに帰宅する理由はまったくなかった、たしかに妹は学校を休んで家には
いたが、病院でもらった薬ですっかり回復しており、家の中普通にうろうろしていた。
「わーい キョン君おかえりなさい、なにそれ、頂戴、頂戴」
「わかった、やるから今日ぐらいは静かに寝てろって」
「キョン君のいじわる、だってさんざん寝たから、眠くないもん」
「すくなくとも布団の中にはいってろ、まだ直ったわけじゃないんだから」
「ふぁーい あ、プリンだぁ、やったぁ」
「キョン君、ありがと、ごめんね、早く帰ってきてもらちゃって」
そうはいっても一旦帰宅してから、外に出るる気力があるはずもなく、退屈でふらふら
出歩く妹のやつを布団に押し込んで、なんか卑猥だなこういうと、別にやることはなく
なってしまった。
帰りがけ、岡部がハルヒに声を掛けていたことを思い出す、進路の話だろうな、そういえば
ハルヒの志望が文系ってのも意外だったもんな、岡部いや学校にしてみりゃ、あれだけの
成績だ、国立理系に行って欲しいのも判らんわけじゃないし
まさか、俺と同じクラスになるために、文系志望したわけじゃないだろうな、あいつ
選択と責任
朝の喜緑さんの声なきセリフを反芻する
確かにこの世界を選択したのは、俺だ、でもなんで俺なんだ
いや、長門の世界を選択しなかったのは、確かに俺だ
いつのまにか、雨が降り始めてきたようだ
【余ったピース・足りない欠片】
ブルブルブルブル
「起きてる?」
「ハルヒか、ああ、まだ寝てないぞ」
「妹ちゃんの様子どう?」
「すまなかったな、午後にはすっかり騒いでたよ」
「よかった」
「で、なんか用か」
「うん、明日なんだけど、でれそう?」
「大丈夫だと思うが」
「それじゃ、明日、1時に駅前ね」
「わかった」
「それじゃ あした 遅れたら罰金だからね!」
「ああ」
【インターミッション】
ツーツーツーツー
あーお話中だよぉ つながんないよぉ
どーしよう
こまったよぉ
【余ったピース】
聞けなかった
話せなかった
怖かった
なにが?
問い詰められるのが
問い詰めてしまうのが
いっそ、あの晩のことを問い詰められた方が、気が楽だったろう
言い訳だろうが、弁解だろうが、その後に続く言葉がある
なんで、何もいわないのよ
ふっと、小さな溜息をつく
キョン、本当にあたしに気がつかなった
あたしは、どんな人ごみの中でもキョンを見つけられると思うよ
こんなことに悩むのは、あいつがキョンだからなのに
あの時、有希の姿しか見えなかったら、あたしは翌日、有希を単純に問い詰めたろう、
それがどんな結果になったとしても、あたしが知りたいと思ったことに躊躇するなんて
いままで考えたこともなかった
成長したってことかな
今までだったら、こんなに悩む前に悪態ついてテーブルをひっくり返すようなまねを
していた、つい最近まで
キョンに出会って、あたしは変った、多分、いい方向に
今、こうやって、曲がりなりにも楽しい毎日が過ごしてこれたのも、キョンとSOS団の
皆のおかげ、口に出して感謝なんてしたことなかったけど
でもなんで、古泉君は、あたしを
確かに転校そうそう、部室にひっぱりこんだのも、副団長に任命したのもあたし
でもなんで、あたしはキョンを
クラスの前の席にいたあいつに、SOS団の結成を手伝わせて、雑用としてふりまわした
のは、あたし、でも最初に声を掛けたのはキョン、あなたよ
わからない
キョンは谷口あたりになんか吹き込まれているようだけど、中学時代こんな思いをする
ことはなかった、あたしは、不思議な人を探しているだけ、つまらないただの普通の人
だとわかればそれでおしまい、後のことなど考えてみたこともなかった
落ち着け 落ち着け そう、深呼吸して、外は雨だがら月明かりはないけれど
机の上には
あたしが解いたパズル、キョンが解けなったパズル、余ったピース
あたしは静かに、小さなパーツを手にとった。
答えを探すため
いつの間にか眠ってしまったようだ
机に向かったまま、うつぶせで、カーテン越しに窓から入る朝の日差しに気づく
手の中のパズルは一つの答を教えてくれたようだ
余ったピースは収まる場所を見つけたのかもしれない
集合時間まではまだ早い
少しだけでも眠ることにしよう
【足りない欠片】
ハルヒから電話があった
妹の様子をたずね、明日の市内探索の集合時間だけを告げ切れた
最後の数分間 沈黙の時間
おまえは、俺に何か話すことがあったんじゃないか
俺は、おまえに話すべきことがあったんじゃないか
なにを?
わかるわけないじゃん、俺に
本当か
逃げているだけじゃないか
俺はハルヒ、あいつとこの世界を選んだんじゃないのか
ちょっとまて、俺があいつを選んだんじゃない、
あいつが俺を引っ張り込んだんだ
ハルヒの作った新しい次元で最後にこの世界へ帰ろうと頼んだのは、俺だ
長門の変革した世界で入部届を返してしまったのも 俺だ
俺はこの世界を選んだということが…
やめよう
世界を言い訳にしなけりゃいけないなんて
ハルヒはもう、俺がいなくてもやっていけるんじゃないか、俺なんかに係わることなく、
自分の進むべき道を選んで欲しい、あいつの笑顔が消えれば、世界の危機だしな
それにくらべて、長門は
階下で音がする、なんだこんな時間にと、訝って階段を下ると妹が台所でなにかしている
「なんかないかなぁ」
「なんだ、こんな時間に」
「あ、キョン君 さっきのプリン食べちゃったの」
「おまえ、あれ全部喰う気だったのか」
「最後のだったのに」
俺、たしか4つ買ってきたよな、もう3つ食べちゃいましたか、そうですか
風邪ひきという特権をフルに使いまくる妹の攻撃には勝てない、もう来年は中学生なんだからプリンくらいで涙眼になるなよ
「あーわかった、買ってきてやるから、布団にもどってろ、まだ薬のんでるんだろ」
「てへ」
確信犯か こいつ
まあ、約束した手前、妹を部屋へ放り込み、近くのコンビニへ
夕方からの雨は上がったようだ、
それに、オーバーヒート気味の頭を冷やすにも丁度いい
あぶなっかしいやつだ、眼が離せないな本当に
誰が?
俺が長門にしてやらなきゃいけないことが判った気がする。
ふぇーっくしょん
風邪うつったかな
【インターミッション】
「それでは失礼します」
帰りは各自バラバラになった
朝比奈さんは着替、涼宮さんは職員室に顔を出すという、長門さんは傘をもっていないよう
だったが、気が付くともう姿がなかった
涼宮さんの職員室での話とは、多分クラス編入試験の件だろう、学校側の情報として
入手している。出来れば、高校生活最後の1年を同級生として過してみたい、
素直にそう思う。
今日の様子では、涼宮さんは、あの晩のことを気にしている、おそらく食事に行く前に
チラッと見えたのが、彼だったのだろう、あの時間なら、おそらく長門さんと一緒
卑怯だな、自分でもそう思う、朝比奈さんに機関とは無関係ですと言い切っておきながら、
2人の動向に関する情報はしっかり入手している
最も、今の僕に完全なプライベートってのも無い、これも事実といっていいだろう。
この瞬間、涼宮さんのイライラが爆発すれば、またあの仕事が待っている
涼宮さんに会ってもう4年、いや5年になる、僕をこんな境遇に陥れた彼女を、最初は憎んで
いた、なんで同い年の少女の夢に振り回される毎日、最近と違って、当時は、仕事の量も
桁違いに多かった。そう、落ち着いて彼女を見ることができたのは、
SOS団につれてこられた後
寝顔は「かわいい」とか黙っていれば「美人」とかいうが、その例でいえば、涼宮さんは
機嫌がよければ「天使」みたいな人だ、その顔をみたら、それまでの苦労なんて、
てんでたいしたことのない、そう思えた
その天使のような笑顔を彼女に与えたのは、残念ながら僕じゃない、彼だ
でも、力を制御することを可能にした涼宮さんが次のステージに上る隣が僕であって
いけない理由もないだろう
涼宮さんは、クラス編入試験を受けるだろう、彼女の不思議への探究心は、市内探索など
という、小さいレベルでは満足できなくなってきているはずだ、広大な科学の分野こそ、
その力を充分に発揮できる舞台のはずだ、そして、その舞台であれば、僕は彼より
ずっとよく彼女をサポートできるはずだ
今晩、閉鎖空間が発生しないなら、彼女は次のステージに進む
そうでないなら、彼女はまだ彼の庇護が必要なのだろう
これでも僕はあなたの傍にいるために、それなりの努力をしてきたつもりなんですけどね
昨晩あんなに月が綺麗にでていたのに、今日は朝からどんよりした曇り空、天気予報では
午後から雨になるそうだ。
あいつにどんな顔して会えばいいだろう
昨日のことどう切り出そうと思っているうちにあいつがやってきた
「ハルヒ 今日の部活なんだけどな」
なに、ひょっとして怒ってるの
「妹の奴が昨日から風邪ひいちまってな、家にいてやりたいんだ、申し訳ないけど欠席って
ことでいいかな」
「妹ちゃん、風邪なの、放課後とはいわずに、こんなことに居ないで、傍にいてあげれば
いいじゃないの」
「こんなことってのもないだろ、授業まで休んで看病するほどじゃなし、午前中は親もいる、
こっちまで休むんじゃ、あいつもかえって気をつかうそうだ」
なにいってんの、兄妹そろってへそ曲がりね、素直にいてあげればいいのに
「あ、そうだ、昨日鶴屋さんに会ってな、今年のクリパ宜しくっていってたぞ」
「気が早いわね、まだまだ先じゃない、12月って」
そういえば、今年はキョンに何させようかしら
「さあな、それと、これ、今日は部室いかないんで、渡しとくわ」
バラバラのままのパズルを渡される
「なんだ、あんたで出来なったの、これ」
「ああ、でもそれ、部品足りなくねーか」
あいつは、昨日こと一言も口にしなかった、やっぱり気が付いてなかったのかな
それとも自分が後ろめたいから
手の中に、受け取ったパズルが、妙にしっかりとした存在感をもっている。
授業中、教師の眼を盗んで、あたしは、キョンから受け取ったパズルに取り組んでいた、
そのままでは確かにうまく組みあがらない。
授業が終わる
「涼宮、昨日の話、週明けには返事してくれな」
岡部がいわんでもいいことを言う
キョンを見送って、部室へ、少し遅れたようだ、みんなもう来ている
「やっほー」
「はぁーい」
「昨日はお付き合いいただいて、ありがとうございました」
「古泉君のなかなかいい、センスしてるわね」
「あ、そう、キョンは妹ちゃんが風邪なんで、今日は看病でお休みね」
有希の顔がちょっと寂しそうに見えたのは気のせい?
みくるちゃんの顔がちょっと心配そうに見えたのは気のせい?
古泉君の顔がちょっと安心してそうなに見えたのは気のせい?
「さーて有希、勝負よ!」
昨日入手した新しいパズルをつかって、有希と勝負、あたしは回答をしっているから
フェアーな勝負とはいえないけど
それでも ダメ、全然歯がたたない、有希ったら、なんの戸惑いもなく、ピースを選んで
組み上げてゆく、この超人ぶりはすでに人間技ではないわね
一頻り、パズルをこなすと有希はまた読書に戻ってしまった。
有希に解けないパズルって存在しないのかな
「今度のパズルは綺麗ですね」
はなから勝負にならない、みくるちゃんは、ピースを手にとりながら、あたしを見つめている。
なんとなく、今日はみくるちゃんと眼が合うわね
「もっと綺麗なのあったわよ、古泉君といったお店、ガラスの奴とか」
「そう、涼宮さん、例のパズル作家の方ですけど、昨日中に話がついたようで、明日の土曜、午後なら、昨日の店にいかがかと連絡をもらいました」
「それなら、明日の市内探索の午後の部をそれに当ててもいいわね 有希、みくるちゃん
それでいい?」
「いい」
「はぁーい」
「そでれは、早速、連絡を」
古泉君は、さっそく携帯でどこかに連絡をつけ、簡単なやりとりの後、SOS団メンバーとして明日の午後お邪魔する手配を取り付けていた。
「さすが仕事が早いわね」
「光栄です」
「じゃあ、明日、待ち合わせは 駅前に1時、時間厳守よ!、あ、キョンにはあたしが連絡
しとくわ、妹ちゃんの様子も気になるしね」
有希の顔がちょっと寂しそうに見えたのは気のせい?
みくるちゃんの顔がちょっと安心してそうに見えたのは気のせい?
古泉君の顔がちょっと残念そうに見えたのは気のせい?
なんか、最近キョンと話してないなぁ
どうしてこうすれ違いになるんだろ
職員室へ顔をだそうと思い、結局今日はバラバラで下校する、でも岡部は
もう居なかった、まあ、月曜でいいか
天気予報は当たったようで、途中から冷たい雨が振り出した中、学校からの坂道を
くだってゆく
なんか、見透かされているような気分
みくるちゃんは、何が言いたかったのだろうか
収まるべきものが正しい場所にいない、そんな気がする
【インターミッション】
下校途中から雨が降り出した。
うかつだった、気象情報のチェックを怠っていた
本来のルーティンワークの支障をきたすほど安定性を失っているのか
「ぬれますよ 長門さん」
(誰?)
「阪中です、ルソーの時にはお世話になりましたね」
(記憶領域を検索、該当記憶を展開)
「なにか、あったんですか、元気ないみたいですよ」
「べつに」
「でも、駅まで一緒にいきましょ、ぬれちゃいますからね」
「感謝する」
「また、涼宮さんたちと遊びにきてくださいね、ルソーも喜びます、なにせ、長門さんは、
ルソーの命の恩人ですから」
駅までの道のり、彼女の話を聞きながら歩く
彼女のやさしさと、
あの人のやさしさは
同じもの
別のもの
秋の雨は、心にも冷たい
【足りなり欠片】
妹のやつが風邪で寝込んでいるので、朝は平和に、但し時間ぎりぎりになってしまったが
起床する。いや、別に妹の起こされなったのが不満だとか、寂しいとかじゃないぞ、
いつも朝から騒がしいやついないんで、調子が狂っただけだ、本当に?
傘もってくるんだったかな、学校への坂道、秋風に立ち向かいながら登ってゆく、何時
雨になってもおかしくない天気だな
「おはようございます」
いきなり後ろから、挨拶される、こんな丁寧に挨拶するのって誰だ
「えっと」
「喜緑です、生徒会の」
「ああ、その節はどうも」
「ひとつ、お知らせしておきたいことがありまして」
「はい」
また、なにか、問題でもあるのかって、そろそろ任期、終わりでしょうに
「今年も文芸部の活動をしていただく必要があります」
その件か、確かに、また例の文芸誌をつるのか
(選択には責任が必要ですわ)
「え、今なんて」
「ええ、今年の文芸誌作成の時には、是非お声をかけていただこうかと思いまして」
「ああ、それはもちろんですとも」
「それでは、これで」
選択の責任って、そういえば、喜緑さんって長門の仲間だったよな
一体、俺にどうしろってことなんだ
俺が教室に入るとすでにハルヒは席についていた。
「ハルヒ 今日の部活なんだけどな」
「妹の奴が昨日から風邪ひいちまってな、家にいてやりたいんだ、申し訳ないけど
欠席ってことでいいかな」
まあ、あんまりカッコいい話ではないが、事実だ
「妹ちゃん、風邪なの、放課後とはいわずに、こんなことに居ないで、傍にいてあげれば
いいじゃないの」
まあ、おれも最初はそう思ったんだがな
「こんなことってのもないだろ、授業まで休んで看病するほどじゃなし、午前中は親もいる、
こっちまで休むんじゃ、あいつもかえって気をつかうそうだ」
「あ、そうだ、昨日、鶴屋さんに会ってな、今年のクリパ宜しくっていってたぞ」
「気が早いわね、まだまだ先じゃない、12月って」
頼むから今度はあんまり変なカッコさせないでくれ
「さあな、それと、これ、今日は部室いかないんで、渡しとくわ」
「なんだ、あんたで出来なったの、これ」
「ああ、でもそれ、部品足りなくねーか」
ああ、全く歯が立たなかったさ
ハルヒからは昨日の話は出なかった
こっちには気がつかなったのか
授業中、ハルヒは、朝に渡したパズルをカチャカチャやっていた、やっぱり数たりてない
だろそれ
あ、喜緑さんの件言い忘れた、まあ、いいか
放課後、岡部がなにか、ハルヒに話しかけていたようで、声もかけずに家に向かった、
まあ途中コンビニでお見舞いセットを買っていったのだが
結果から言おう
放課後そうそうに帰宅する理由はまったくなかった、たしかに妹は学校を休んで家には
いたが、病院でもらった薬ですっかり回復しており、家の中普通にうろうろしていた。
「わーい キョン君おかえりなさい、なにそれ、頂戴、頂戴」
「わかった、やるから今日ぐらいは静かに寝てろって」
「キョン君のいじわる、だってさんざん寝たから、眠くないもん」
「すくなくとも布団の中にはいってろ、まだ直ったわけじゃないんだから」
「ふぁーい あ、プリンだぁ、やったぁ」
「キョン君、ありがと、ごめんね、早く帰ってきてもらちゃって」
そうはいっても一旦帰宅してから、外に出るる気力があるはずもなく、退屈でふらふら
出歩く妹のやつを布団に押し込んで、なんか卑猥だなこういうと、別にやることはなく
なってしまった。
帰りがけ、岡部がハルヒに声を掛けていたことを思い出す、進路の話だろうな、そういえば
ハルヒの志望が文系ってのも意外だったもんな、岡部いや学校にしてみりゃ、あれだけの
成績だ、国立理系に行って欲しいのも判らんわけじゃないし
まさか、俺と同じクラスになるために、文系志望したわけじゃないだろうな、あいつ
選択と責任
朝の喜緑さんの声なきセリフを反芻する
確かにこの世界を選択したのは、俺だ、でもなんで俺なんだ
いや、長門の世界を選択しなかったのは、確かに俺だ
いつのまにか、雨が降り始めてきたようだ
【余ったピース・足りない欠片】
ブルブルブルブル
「起きてる?」
「ハルヒか、ああ、まだ寝てないぞ」
「妹ちゃんの様子どう?」
「すまなかったな、午後にはすっかり騒いでたよ」
「よかった」
「で、なんか用か」
「うん、明日なんだけど、でれそう?」
「大丈夫だと思うが」
「それじゃ、明日、1時に駅前ね」
「わかった」
「それじゃ あした 遅れたら罰金だからね!」
「ああ」
【インターミッション】
ツーツーツーツー
あーお話中だよぉ つながんないよぉ
どーしよう
こまったよぉ
【余ったピース】
聞けなかった
話せなかった
怖かった
なにが?
問い詰められるのが
問い詰めてしまうのが
いっそ、あの晩のことを問い詰められた方が、気が楽だったろう
言い訳だろうが、弁解だろうが、その後に続く言葉がある
なんで、何もいわないのよ
ふっと、小さな溜息をつく
キョン、本当にあたしに気がつかなった
あたしは、どんな人ごみの中でもキョンを見つけられると思うよ
こんなことに悩むのは、あいつがキョンだからなのに
あの時、有希の姿しか見えなかったら、あたしは翌日、有希を単純に問い詰めたろう、
それがどんな結果になったとしても、あたしが知りたいと思ったことに躊躇するなんて
いままで考えたこともなかった
成長したってことかな
今までだったら、こんなに悩む前に悪態ついてテーブルをひっくり返すようなまねを
していた、つい最近まで
キョンに出会って、あたしは変った、多分、いい方向に
今、こうやって、曲がりなりにも楽しい毎日が過ごしてこれたのも、キョンとSOS団の
皆のおかげ、口に出して感謝なんてしたことなかったけど
でもなんで、古泉君は、あたしを
確かに転校そうそう、部室にひっぱりこんだのも、副団長に任命したのもあたし
でもなんで、あたしはキョンを
クラスの前の席にいたあいつに、SOS団の結成を手伝わせて、雑用としてふりまわした
のは、あたし、でも最初に声を掛けたのはキョン、あなたよ
わからない
キョンは谷口あたりになんか吹き込まれているようだけど、中学時代こんな思いをする
ことはなかった、あたしは、不思議な人を探しているだけ、つまらないただの普通の人
だとわかればそれでおしまい、後のことなど考えてみたこともなかった
落ち着け 落ち着け そう、深呼吸して、外は雨だがら月明かりはないけれど
机の上には
あたしが解いたパズル、キョンが解けなったパズル、余ったピース
あたしは静かに、小さなパーツを手にとった。
答えを探すため
いつの間にか眠ってしまったようだ
机に向かったまま、うつぶせで、カーテン越しに窓から入る朝の日差しに気づく
手の中のパズルは一つの答を教えてくれたようだ
余ったピースは収まる場所を見つけたのかもしれない
集合時間まではまだ早い
少しだけでも眠ることにしよう
【足りない欠片】
ハルヒから電話があった
妹の様子をたずね、明日の市内探索の集合時間だけを告げ切れた
最後の数分間 沈黙の時間
おまえは、俺に何か話すことがあったんじゃないか
俺は、おまえに話すべきことがあったんじゃないか
なにを?
わかるわけないじゃん、俺に
本当か
逃げているだけじゃないか
俺はハルヒ、あいつとこの世界を選んだんじゃないのか
ちょっとまて、俺があいつを選んだんじゃない、
あいつが俺を引っ張り込んだんだ
ハルヒの作った新しい次元で最後にこの世界へ帰ろうと頼んだのは、俺だ
長門の変革した世界で入部届を返してしまったのも 俺だ
俺はこの世界を選んだということが…
やめよう
世界を言い訳にしなけりゃいけないなんて
ハルヒはもう、俺がいなくてもやっていけるんじゃないか、俺なんかに係わることなく、
自分の進むべき道を選んで欲しい、あいつの笑顔が消えれば、世界の危機だしな
それにくらべて、長門は
階下で音がする、なんだこんな時間にと、訝って階段を下ると妹が台所でなにかしている
「なんかないかなぁ」
「なんだ、こんな時間に」
「あ、キョン君 さっきのプリン食べちゃったの」
「おまえ、あれ全部喰う気だったのか」
「最後のだったのに」
俺、たしか4つ買ってきたよな、もう3つ食べちゃいましたか、そうですか
風邪ひきという特権をフルに使いまくる妹の攻撃には勝てない、もう来年は中学生なんだからプリンくらいで涙眼になるなよ
「あーわかった、買ってきてやるから、布団にもどってろ、まだ薬のんでるんだろ」
「てへ」
確信犯か こいつ
まあ、約束した手前、妹を部屋へ放り込み、近くのコンビニへ
夕方からの雨は上がったようだ、
それに、オーバーヒート気味の頭を冷やすにも丁度いい
あぶなっかしいやつだ、眼が離せないな本当に
誰が?
俺が長門にしてやらなきゃいけないことが判った気がする。
ふぇーっくしょん
風邪うつったかな
【インターミッション】
「それでは失礼します」
帰りは各自バラバラになった
朝比奈さんは着替、涼宮さんは職員室に顔を出すという、長門さんは傘をもっていないよう
だったが、気が付くともう姿がなかった
涼宮さんの職員室での話とは、多分クラス編入試験の件だろう、学校側の情報として
入手している。出来れば、高校生活最後の1年を同級生として過してみたい、
素直にそう思う。
今日の様子では、涼宮さんは、あの晩のことを気にしている、おそらく食事に行く前に
チラッと見えたのが、彼だったのだろう、あの時間なら、おそらく長門さんと一緒
卑怯だな、自分でもそう思う、朝比奈さんに機関とは無関係ですと言い切っておきながら、
2人の動向に関する情報はしっかり入手している
最も、今の僕に完全なプライベートってのも無い、これも事実といっていいだろう。
この瞬間、涼宮さんのイライラが爆発すれば、またあの仕事が待っている
涼宮さんに会ってもう4年、いや5年になる、僕をこんな境遇に陥れた彼女を、最初は憎んで
いた、なんで同い年の少女の夢に振り回される毎日、最近と違って、当時は、仕事の量も
桁違いに多かった。そう、落ち着いて彼女を見ることができたのは、
SOS団につれてこられた後
寝顔は「かわいい」とか黙っていれば「美人」とかいうが、その例でいえば、涼宮さんは
機嫌がよければ「天使」みたいな人だ、その顔をみたら、それまでの苦労なんて、
てんでたいしたことのない、そう思えた
その天使のような笑顔を彼女に与えたのは、残念ながら僕じゃない、彼だ
でも、力を制御することを可能にした涼宮さんが次のステージに上る隣が僕であって
いけない理由もないだろう
涼宮さんは、クラス編入試験を受けるだろう、彼女の不思議への探究心は、市内探索など
という、小さいレベルでは満足できなくなってきているはずだ、広大な科学の分野こそ、
その力を充分に発揮できる舞台のはずだ、そして、その舞台であれば、僕は彼より
ずっとよく彼女をサポートできるはずだ
今晩、閉鎖空間が発生しないなら、彼女は次のステージに進む
そうでないなら、彼女はまだ彼の庇護が必要なのだろう
これでも僕はあなたの傍にいるために、それなりの努力をしてきたつもりなんですけどね
830: 2006/08/26(土) 02:37:54.30 ID:Z32foSST0
【余ったピース】
二度寝をした朝は、へんに体がだるい、ちゃんとベッドに入って寝るんだった。
時計を確認、時間は大丈夫
威勢良く顔を洗い、夜中の考えを整理する
まあ、こんなところかな、今は周をあんまりゴタゴタさせたくない
簡単な朝食をとる
部屋の中に一人え居ると余計なことを考えてしまう
なかり早いけど、でかけよう、
随分早く、待ち合わ場所に到着する、さすがにまだ誰もきていない。
街路樹もだいぶ色づいてきたようだ、まだ落ち葉の季節には少し早い
昨晩だした答えをかみ締める
どうやって話をきりだそうか
「涼宮さん?」
ふと声を掛けられる、2人連れ大学生か、ラフな感じの着こなし、音楽をやっているのか、
一人はギターもう一人はベースを担いでいる
「文化祭行ったよ、今年のステージもよかったよ、涼宮さん」
あたしのキョトンとした顔に笑いをかみ締めるように2人は続ける
「ENOZの中西です」
「同じく舞だよ」
思い出した、去年の文化祭、あたしと有希が飛び入りで参加したバンドのメンバー、
もう卒業しているんで大学生か、あたしの納得した顔をみて
「思い出してくれました」
「待ち合わせですか お・と・も・だ・ち・と」
「そんなんじゃないですよ、部活です、今日はお2人なんですか?」
なにか見透かされているような感じ
「榎本と瑞樹は、学校が別になっちゃてね、今では別のメンバーで組んでるんだ、
だから本当は元ENOZ」
「舞は一緒だよ」
「そうだったんですか」
去年4人あんなに仲よさそうだったのに、時間がたてば、あたし達もいつかは、
「でも、同じ音楽ってベースがあるから」
「どこに居たって気持ちは一緒なのさ」
「なやみごとでも?」
「そんなら今度、歌いにおいでよ、涼宮さんなら飛び入り大歓迎だよ、おもいっきり
歌えば悩みなんでどっかいっちゃうよ」
励ましてもらうほど、酷い顔してるのかな、あたし
「これから、スタジオで練習なんだ、今度ライブハウスの方にもきてよ」
「まったねー」
あわただしくでも、名残惜しそうに、2人の姿が小さくなってゆく、バラバラになってもあたし達は、なにか繋がっていると思えるものが持てるのだろうか
今のままずっと過ごしてゆくわけにはいかないのだろうか
あたしは誰かを選らばなくてはいけなんだろうか
そんなことを思っていると突然背後から
「ママー」
【足りない欠片】
「キョン君 おっはよー」
一日で、妹はすっかり元気をとりもどしたようで、いつものようにニードロップで
起こしにやってきた。昨日の殊勝な妹はどこにいった、あれは幻覚だったのか
兄は悲しいぞ、せっかく夜中遅くプリン買ってきてやったのに
まだ寝ぼけた頭に携帯の着信音
「はい」
「キョン君、あ、みくるです」
「おはようございます」
「ちょっと、困ったことになるんです」
「えっと、あの、俺への電話でいいんですよね、長門や古泉じゃなくて」
「はい、詳しくはここではいえないんですけど、今日の待ち合わせ場所にいまから
来てもらえませんでしょうか?少し時間が早いんですけど」
「朝比奈さんの頼みなら、でも本当に俺でいいんですか」
「キョン君でないと困るんです じゃあ、駅前でまってます」
訳がわからないが、朝比奈さん頼みだ、文句をいう筋合いは微塵もない
それに、これだけ早く出かければ、今日の罰金は免れそうだ
待ち合わせ場所で見た光景それは
ハルヒと小さい女の子がじゃれあっている姿だった
すこし離れて朝比奈さんが立っている、例の禁則事項ですぅ!のポーズで
朝比奈さん それ反則です、で困ったことってこれですか?
一体なにが起こっているのか、現状の把握に時間がかかる。
風邪のせいか?
すこし惚けてたのだろうが、気がつくと
【余ったピース】
年の頃は三才ぐらいの女の子があたしに向かって駆け出してくる
迷子?
その子はなんのためらいもなく、あたしの腰のあたりに抱きついてきた
「えっと、あの」
事情がわからず、あたふたしてしまう
「涼宮さん、すみません」
みくるちゃんの声、一体どうなってんの
「その子はみちる、わたしの親戚なんですけど、今日ちょっと、その子の両親が、
その子には聞かせたくない話でだから、すみません、今日は一緒につれてきちゃったんで、
その今日は、おじゃまですよね」
みくるちゃんが、しどろもどろで説明を始める
要するに、この子のご両親が離婚かなんかの相談で、みくるちゃんは、いたたまれなく
なって、この子をつれてきてしまったと、そうゆうことらしい
事情が分かれば、なんてこともない、かわいい子である、なんの問題もない
「こんなかわいい子がいるのに、なんで親でしょ、みくるちゃん、とっちめてやって
いいわよ、あたしが許すから、今日は一日一緒にあそびましょ」
「えっと、あたしは、涼宮ハルヒ」
「みちゅるちゃん さんさーい」
えらい、えらい、ちゃんと自己紹介ができる、ちっちゃな指が4本になっているのは、
ご愛嬌
元気一杯で人なつっこい子、みくるちゃんとあたしの2人がかりで、かまったてらうのが
楽しいのか、少しもじっとしていない。
小さい肩を上下させながら、力のかぎり走りまわっている
一緒に走り回っていると、あたしもこの何日かの、頭の中に積もっていたことが、
すっとんでゆくような気になる。
興味の対象に一身に向かってゆく、その行為にみちるちゃんは、何の迷いもない
あたしだって、
頭の中だけで考えた結果に一喜一憂していた、この何日か
あたしは、あたしの望むことを、真っ直ぐ進めばいいんじゃない
きっと望めばなんだって出来る、そんな確信をこの小さい女の子は持ってきてくれた
みちるちゃんみたいな子供、欲しいなぁ
気が付くとキョンの姿が見える、今日は随分早いじゃない
みちるちゃんがあたしから離れてキョンの方へ駆け出す
【足りない欠片】
「パパー」
と叫びながら駆け寄ってくる 小さい子
な なんですと、誓っていうが、俺にはそんな心当たりはないぞ、ハルヒとだって、キスしただけだし
駆け出してくるその子供の後ろで、あたかも「それいけ」と、けしかけるようなかっこのハルヒ。こう見ると、本当の親子みたいだな、元気の一杯で
いたずらそうに笑うその顔は、そっくりだ
ハルヒのこんな笑顔が見られるなら
俺はなんでも出来そうだな
どっしん、力任せに飛び込んでくる、小さな塊、
上目使いで、両手をあげているのを抱きかかえて、俺はハルヒの方へ近づいていった
この子は朝比奈さんの親戚だそうで、今日は事情により一緒に遊ぶんだそうだ
えーと、朝比奈さん説明は何時からになるんでしょうか?
って、朝比奈さん、なんか他人の振りしてません?
朝比奈さんの親戚ってことは、さぞや事情があるんでしょうね
この3人に付き合うのは普段のハルヒ5人分ぐらい、振り回されていると感じだな
朝比奈さん、ハルヒ、それに小さい女の子、3人の笑顔を見ていて、俺は気がついて
しまった。
長門に話すべきこと
ハルヒに話すべきこと
【余ったピース】
「パパー」
思ったとおりの反応をする、みちるちゃんとキョンの2人
キョンが飛び込んできたみちるちゃんを抱き上げている
わたしもおもわず、笑みがこぼれる
見たことはない筈なのに、懐かしいような光景
ずっと昔から約束されていたような光景
キョンの照れくさそうな笑顔が見える
妹がいるせいか、キョンも手馴れたものである、すぐにみちるちゃんに懐かれている
みくるちゃんは、なぜか少し離れた場所で安心したような顔をしている
こうしていると、まるで、あたしとキョンとみちるちゃん、三人は親子みたいに見える
そして何より、そう見られることが、うれしいと感じている
古泉君への返事は決まった
キョンへの返事は決まった
【インターミッション】
「行くの?有希」
「昨晩から、涼宮ハルヒと彼の精神状態は不安定、直接観測の必要性は高い」
「そう」
「それは、監視者としての忠告? 江美里」
「違うわ、友人としての、心配」
「そう」
「待っているから、有希が戻るまで、ここで」
「そう」
【インターミッション】
出かける直前に新川から連絡が入る
朝比奈みくるが動いたようだ
半信半疑のまま、集合場所へ移動する
そこで見た光景を僕は一生忘れないだろう
涼宮さんと彼の笑顔
あの笑顔が見れる距離に僕が居れることを感謝して
「完敗です」
動揺と後ろめたさを悟られないように注意して僕はみんなに声をかける
「僕が最後になってしまいましたか」
【余ったピース・足りない欠片】
そうして4人遊んでいるうちに、有希と古泉君もやってくる
有希は、みちるちゃんを見て最初ちょっと不思議そうな顔をする、小さい子好きじゃないの
かな、みちるちゃんは、そんな有希がちょっと怖いようで、すぐにキョンの後ろに隠れてし
まった。
最後は古泉君が、まあ、罰金は勘弁してあげましょう、パズルのお店は古泉君の紹介だし、
キョンはなにか言いたげな顔してるけど、あんたそんなに罰金払いたいの?普段どおりの
スマイルに、みちるちゃんもちゃんとご挨拶、でも今度は指が2本だよ。
約束の時間まで、余裕があるのと、みちるちゃんを含めたあたし達が昼食を取って無いの
で、軽く食事してから、店へ向かうことにする。
みちるちゃんは、なぜか、あたしとキョンにまとわりついて離れない、しかたなく、あたしと
キョンがずっと近くにいる格好になる
食事中のキョンはちょっと見ものだった、うん、あんた、いいパパになるよきっと
いつもの3割増しは、にぎやかに先日のパズルのお店へ到着
「わぁー綺麗ですねぇ」
「あーきれー」
みくるちゃんとみちるちゃん、店に入った途端に同じ反応、たしかに、あなたたちは親戚だわ、
まあ確かに、彼女たちの見とれているガラスのパズルは手元に置いときたい気持ちも判る
けどね
店のご主人の他に、パズル作家の先生ももう到着されている、挨拶も早々に、あたしと
有希はパズルを披露、今日はみちるちゃんの歓声つき、ちょっと嬉しい
古泉君は先生となにやら、話し込んでいる、少しもじっとしてない、みちるちゃんの後ろを
みくるちゃんとキョンがうろうろしている。
そんな皆をみていて、いいことを思いついた、店のご主人と相談、うまくいきそう
途中でお茶をご馳走になったりしながら、みんな、自分の興味のあることをおもいおもいに
やりながら、みんなで一緒のことをしている、こんな時間を大切にしたい
ふと見ると、みちるちゃんが広げているパズルに有希が出助けしてあげてたりしている、
うちから持ってきた、あたしの余ったピースのパズルと、キョンの足りない欠片のパズルは、
見てもらったところ、どうやら、余ったピースがキョンのパズルの欠片だったようで、ちゃんと
二つのパズルは完成した、部室でまざっちゃたみたい
そろそろお暇しようと思うころ、ご主人がさっき頼んだものをもってきてくれた
綺麗な色の小さい6片ピースのパズル、本来の使い方じゃないんで、頼むのにちょっと
勇気が必要だったけど、1片ごとにペンダントトップをつける金具をつけてもらったもの
今日のみんなに一つずつ
また皆が一緒になれますように、願いを込めて
すっかり遅くまでお邪魔してしまった
帰りがけ、パズルの先生から、あたしと有希に是非、パズルを解くだけでなく、作るほうにも
興味をもって欲しいとのお言葉、製作者はいつも人手不足なので大歓迎とのこと。有希は
どうなんだろ、あたしはちょっと興味がある
みくるちゃんは青、みちるちゃんはさんざん迷って黄色のパズルの欠片をもって一足先に
帰る
「ばいばーい」
みちるちゃんの声、しばらく忘れたくないな
古泉君は赤、有希は透明、キョンは緑、あたしは最後に残ったオレンジ色、みんな
それぞれ1片づつパズルの欠片を手にとる
「キョン、あした時間ある?」
「ああ、俺もハルヒに話たいことがあるんだ」
「奇遇ね、じゃあ、駅前に11時、今度は遅れたら罰金だからね」
「キョン、ちゃんと有希を送っていきなさいよ!」
それだけいって、古泉君と帰る、今日のうちに話をしておきたいことがある
古泉君がちょと意外そうな顔をする、なんで?
みんなにも、小さいパズルの欠片
【エピローグ ハルヒ】
「顔、なんかついてる?」
「いえ、ちょっと以外だったもので」
「そう、こないだの話なんだけど」
「はい」
「あたし、編入試験うける、無事9組になったら、その時はよろしくね、古泉君」
古泉君の、驚いた顔は、あたしも初めて見るかもしれない
「それは、はい、もちろん、喜んで」
「今日、気がついたの、みんな、それぞれの道を進んでいっても、どっかでつながって
いられる物があれば、大丈夫なんだって」
「それが、このパズルですか」
「そう、小さい欠片だけどね、無理いって頼んじゃたんで、後でご主人に謝っておいて
もらえるとうれしい」
「いや、涼宮さんらしいなと、店の方は声かけときます、でもこれはこれで、商品価値が
ありそうですけど」
手の中でさっきの欠片を大事そうに確かめている
「それと、古泉君、あなたの夢、手伝うわ、宇宙船、出来たらSOS団のみんなで乗せてもらう
からね!」
「その話はもう」
「つべこべ言うと、部室でみんなに話しちゃうわよ」
「勘弁してください、あの日だって、結構はずかしかったんですよ」
「あと、もう一つ」
「はい」
あたしは、ひとつ大きく深呼吸して、続ける
「なんでだろう、あたし、やっぱり、キョンのこと
古泉君があたしのセリフをさえぎる
「全部言わなくでも結構ですよ、覚悟は出来てます。でも、これって僕がふられたって
ことになるんですかね」
「ごめん」
「いいえ」
その後は言葉が続かなかった
「じゃあ、この辺で」
「はい、月曜日部室でお会いしましょう」
【エピローグ キョン】
「帰るか」
「うん」
長門は、さっきハルヒから受け取った小さな欠片をじっと見つめている。
「そっか、そのままじゃ使えないな」
「そう?」
「長門ならネックレスがいいかな、まだ雑貨屋あいてるだろ、よっていこう」
小さく無言で肯くしぐさ
近くの雑貨屋でチェーンを買って、長門の首からかけてやる
「似合ってるぞ」
「そう」
「なあ、長門、この前の、おまえが、一度帰るって話」
「なに」
「これで、俺だけじゃなく、SOS団の皆、新しい長門が判るようになったな」
「そう」
「みんな、仲間、友達だろ」
「友達、あなたも」
「もちろん」
ちょっと残酷なような気もするが、俺はそう答えた
「あなたは」
長門は俺が手にもっているパズルのピースを指差す
「ネックレスって訳にもいかないから、携帯にでもつけるか」
「おそろい」
「そう、SOS団のみんな、おそろいだ」
「ありがとう」
「今度、ハルヒにもちゃんと言ってやれ、喜ぶぞあいつ」
「そう」
その後は言葉がなっかた
でも、パズルのペンダントトップを大事に握り締めている長門は
どこか落ち着いている、そんな気がした
【エピローグ 有希】
「おかえり 有希」
「ただいま」
「送ってもらったの、彼に」
「そう、でも送ってもらったのはみんな」
「?」
「みんな ともだち」
「そう」
「彼と古泉一樹を観察対象に加えることを進言する、自立進化の可能性は一人涼宮ハルヒにあるだけではない」
「協力するよ、有希」
「ありがとう」
【エピローグ みくる】
そうゆうことだったんだ
みちるを本来の居場所に返して、私は家にもどり
この時間平面にくる時、母の渡された小さな宝石箱を開ける
その中にあるのは、古くなり、色がくすんで、少し欠けている
オレンジと緑と黄色の小さなパズルのパーツで出来ているペンダントトップ
私は丁寧にそれらを手にとって、今、涼宮さんからもらった青のピースと並べてみる
いま、すべてが繋がった
これは、私の家族の物語だった
四つのピースの物語だった
また古い3つのパーツを丁寧にしまい、自分のピースを手の中で握り締める
まにあったんだ、私
ちゃんとまにあったんだ
【プロローグ 日曜日の駅前】
「よーお茶でも」
「なに、あれ、谷口」
「げ、阪中」
「なに、ナンパかな、谷口君 どう成果か?」
「ちげーよ」
「まあ、そうゆうことにしておいてあげようね」
「まったく、ついてねー・・・」
「なんか いったー」
「なんでもねーよ」
「あれ」
「なに」
「あれ、涼宮さんとキョン君だね」
「本当だ、なにやってんだ、駅前で、はずかしい奴ら」
「でも 仲良しさんだね」
「まあ、涼宮の相手になるような奴は、キョンぐらいだろ」
「でも、なんかいい感じだなぁ あっ 手繋いでる」
「どれ、本当だ、とんでもねーなあいつら」
「ところで、お茶はでないんかな」
「なに」
「声かけたじゃない 失礼ね」
「お、おう」
「どっか連れてけー」
「まさせなさーい」
「谷口」
「なに」
「チャック開いてるよ」
【プロローグ 月曜日の部室】
「おや、長門さんだけでしたか」
「そう」
「話がある」
「僕にですか?」
「情報統合思念体は、あなたと彼を観察対象に加えるという私の申請を許可意した」
「僕もですか、彼だけでなく」
「そう、私とあなたは似ている、合理的、リスク評価を重んじる そして優柔不断」
「確かに、そうゆう面はありますね、お互いふられたもの同士ですし」
「わたしたちは友達?」
「もちろんです、いままでも、これからも」
「そう」
「ところで、相談があるんですが」
「なに」
「ちょっとした報復として、涼宮さんが解けないパズル作ろうと思うんですが?」
「協力する」
【おしまい】
二度寝をした朝は、へんに体がだるい、ちゃんとベッドに入って寝るんだった。
時計を確認、時間は大丈夫
威勢良く顔を洗い、夜中の考えを整理する
まあ、こんなところかな、今は周をあんまりゴタゴタさせたくない
簡単な朝食をとる
部屋の中に一人え居ると余計なことを考えてしまう
なかり早いけど、でかけよう、
随分早く、待ち合わ場所に到着する、さすがにまだ誰もきていない。
街路樹もだいぶ色づいてきたようだ、まだ落ち葉の季節には少し早い
昨晩だした答えをかみ締める
どうやって話をきりだそうか
「涼宮さん?」
ふと声を掛けられる、2人連れ大学生か、ラフな感じの着こなし、音楽をやっているのか、
一人はギターもう一人はベースを担いでいる
「文化祭行ったよ、今年のステージもよかったよ、涼宮さん」
あたしのキョトンとした顔に笑いをかみ締めるように2人は続ける
「ENOZの中西です」
「同じく舞だよ」
思い出した、去年の文化祭、あたしと有希が飛び入りで参加したバンドのメンバー、
もう卒業しているんで大学生か、あたしの納得した顔をみて
「思い出してくれました」
「待ち合わせですか お・と・も・だ・ち・と」
「そんなんじゃないですよ、部活です、今日はお2人なんですか?」
なにか見透かされているような感じ
「榎本と瑞樹は、学校が別になっちゃてね、今では別のメンバーで組んでるんだ、
だから本当は元ENOZ」
「舞は一緒だよ」
「そうだったんですか」
去年4人あんなに仲よさそうだったのに、時間がたてば、あたし達もいつかは、
「でも、同じ音楽ってベースがあるから」
「どこに居たって気持ちは一緒なのさ」
「なやみごとでも?」
「そんなら今度、歌いにおいでよ、涼宮さんなら飛び入り大歓迎だよ、おもいっきり
歌えば悩みなんでどっかいっちゃうよ」
励ましてもらうほど、酷い顔してるのかな、あたし
「これから、スタジオで練習なんだ、今度ライブハウスの方にもきてよ」
「まったねー」
あわただしくでも、名残惜しそうに、2人の姿が小さくなってゆく、バラバラになってもあたし達は、なにか繋がっていると思えるものが持てるのだろうか
今のままずっと過ごしてゆくわけにはいかないのだろうか
あたしは誰かを選らばなくてはいけなんだろうか
そんなことを思っていると突然背後から
「ママー」
【足りない欠片】
「キョン君 おっはよー」
一日で、妹はすっかり元気をとりもどしたようで、いつものようにニードロップで
起こしにやってきた。昨日の殊勝な妹はどこにいった、あれは幻覚だったのか
兄は悲しいぞ、せっかく夜中遅くプリン買ってきてやったのに
まだ寝ぼけた頭に携帯の着信音
「はい」
「キョン君、あ、みくるです」
「おはようございます」
「ちょっと、困ったことになるんです」
「えっと、あの、俺への電話でいいんですよね、長門や古泉じゃなくて」
「はい、詳しくはここではいえないんですけど、今日の待ち合わせ場所にいまから
来てもらえませんでしょうか?少し時間が早いんですけど」
「朝比奈さんの頼みなら、でも本当に俺でいいんですか」
「キョン君でないと困るんです じゃあ、駅前でまってます」
訳がわからないが、朝比奈さん頼みだ、文句をいう筋合いは微塵もない
それに、これだけ早く出かければ、今日の罰金は免れそうだ
待ち合わせ場所で見た光景それは
ハルヒと小さい女の子がじゃれあっている姿だった
すこし離れて朝比奈さんが立っている、例の禁則事項ですぅ!のポーズで
朝比奈さん それ反則です、で困ったことってこれですか?
一体なにが起こっているのか、現状の把握に時間がかかる。
風邪のせいか?
すこし惚けてたのだろうが、気がつくと
【余ったピース】
年の頃は三才ぐらいの女の子があたしに向かって駆け出してくる
迷子?
その子はなんのためらいもなく、あたしの腰のあたりに抱きついてきた
「えっと、あの」
事情がわからず、あたふたしてしまう
「涼宮さん、すみません」
みくるちゃんの声、一体どうなってんの
「その子はみちる、わたしの親戚なんですけど、今日ちょっと、その子の両親が、
その子には聞かせたくない話でだから、すみません、今日は一緒につれてきちゃったんで、
その今日は、おじゃまですよね」
みくるちゃんが、しどろもどろで説明を始める
要するに、この子のご両親が離婚かなんかの相談で、みくるちゃんは、いたたまれなく
なって、この子をつれてきてしまったと、そうゆうことらしい
事情が分かれば、なんてこともない、かわいい子である、なんの問題もない
「こんなかわいい子がいるのに、なんで親でしょ、みくるちゃん、とっちめてやって
いいわよ、あたしが許すから、今日は一日一緒にあそびましょ」
「えっと、あたしは、涼宮ハルヒ」
「みちゅるちゃん さんさーい」
えらい、えらい、ちゃんと自己紹介ができる、ちっちゃな指が4本になっているのは、
ご愛嬌
元気一杯で人なつっこい子、みくるちゃんとあたしの2人がかりで、かまったてらうのが
楽しいのか、少しもじっとしていない。
小さい肩を上下させながら、力のかぎり走りまわっている
一緒に走り回っていると、あたしもこの何日かの、頭の中に積もっていたことが、
すっとんでゆくような気になる。
興味の対象に一身に向かってゆく、その行為にみちるちゃんは、何の迷いもない
あたしだって、
頭の中だけで考えた結果に一喜一憂していた、この何日か
あたしは、あたしの望むことを、真っ直ぐ進めばいいんじゃない
きっと望めばなんだって出来る、そんな確信をこの小さい女の子は持ってきてくれた
みちるちゃんみたいな子供、欲しいなぁ
気が付くとキョンの姿が見える、今日は随分早いじゃない
みちるちゃんがあたしから離れてキョンの方へ駆け出す
【足りない欠片】
「パパー」
と叫びながら駆け寄ってくる 小さい子
な なんですと、誓っていうが、俺にはそんな心当たりはないぞ、ハルヒとだって、キスしただけだし
駆け出してくるその子供の後ろで、あたかも「それいけ」と、けしかけるようなかっこのハルヒ。こう見ると、本当の親子みたいだな、元気の一杯で
いたずらそうに笑うその顔は、そっくりだ
ハルヒのこんな笑顔が見られるなら
俺はなんでも出来そうだな
どっしん、力任せに飛び込んでくる、小さな塊、
上目使いで、両手をあげているのを抱きかかえて、俺はハルヒの方へ近づいていった
この子は朝比奈さんの親戚だそうで、今日は事情により一緒に遊ぶんだそうだ
えーと、朝比奈さん説明は何時からになるんでしょうか?
って、朝比奈さん、なんか他人の振りしてません?
朝比奈さんの親戚ってことは、さぞや事情があるんでしょうね
この3人に付き合うのは普段のハルヒ5人分ぐらい、振り回されていると感じだな
朝比奈さん、ハルヒ、それに小さい女の子、3人の笑顔を見ていて、俺は気がついて
しまった。
長門に話すべきこと
ハルヒに話すべきこと
【余ったピース】
「パパー」
思ったとおりの反応をする、みちるちゃんとキョンの2人
キョンが飛び込んできたみちるちゃんを抱き上げている
わたしもおもわず、笑みがこぼれる
見たことはない筈なのに、懐かしいような光景
ずっと昔から約束されていたような光景
キョンの照れくさそうな笑顔が見える
妹がいるせいか、キョンも手馴れたものである、すぐにみちるちゃんに懐かれている
みくるちゃんは、なぜか少し離れた場所で安心したような顔をしている
こうしていると、まるで、あたしとキョンとみちるちゃん、三人は親子みたいに見える
そして何より、そう見られることが、うれしいと感じている
古泉君への返事は決まった
キョンへの返事は決まった
【インターミッション】
「行くの?有希」
「昨晩から、涼宮ハルヒと彼の精神状態は不安定、直接観測の必要性は高い」
「そう」
「それは、監視者としての忠告? 江美里」
「違うわ、友人としての、心配」
「そう」
「待っているから、有希が戻るまで、ここで」
「そう」
【インターミッション】
出かける直前に新川から連絡が入る
朝比奈みくるが動いたようだ
半信半疑のまま、集合場所へ移動する
そこで見た光景を僕は一生忘れないだろう
涼宮さんと彼の笑顔
あの笑顔が見れる距離に僕が居れることを感謝して
「完敗です」
動揺と後ろめたさを悟られないように注意して僕はみんなに声をかける
「僕が最後になってしまいましたか」
【余ったピース・足りない欠片】
そうして4人遊んでいるうちに、有希と古泉君もやってくる
有希は、みちるちゃんを見て最初ちょっと不思議そうな顔をする、小さい子好きじゃないの
かな、みちるちゃんは、そんな有希がちょっと怖いようで、すぐにキョンの後ろに隠れてし
まった。
最後は古泉君が、まあ、罰金は勘弁してあげましょう、パズルのお店は古泉君の紹介だし、
キョンはなにか言いたげな顔してるけど、あんたそんなに罰金払いたいの?普段どおりの
スマイルに、みちるちゃんもちゃんとご挨拶、でも今度は指が2本だよ。
約束の時間まで、余裕があるのと、みちるちゃんを含めたあたし達が昼食を取って無いの
で、軽く食事してから、店へ向かうことにする。
みちるちゃんは、なぜか、あたしとキョンにまとわりついて離れない、しかたなく、あたしと
キョンがずっと近くにいる格好になる
食事中のキョンはちょっと見ものだった、うん、あんた、いいパパになるよきっと
いつもの3割増しは、にぎやかに先日のパズルのお店へ到着
「わぁー綺麗ですねぇ」
「あーきれー」
みくるちゃんとみちるちゃん、店に入った途端に同じ反応、たしかに、あなたたちは親戚だわ、
まあ確かに、彼女たちの見とれているガラスのパズルは手元に置いときたい気持ちも判る
けどね
店のご主人の他に、パズル作家の先生ももう到着されている、挨拶も早々に、あたしと
有希はパズルを披露、今日はみちるちゃんの歓声つき、ちょっと嬉しい
古泉君は先生となにやら、話し込んでいる、少しもじっとしてない、みちるちゃんの後ろを
みくるちゃんとキョンがうろうろしている。
そんな皆をみていて、いいことを思いついた、店のご主人と相談、うまくいきそう
途中でお茶をご馳走になったりしながら、みんな、自分の興味のあることをおもいおもいに
やりながら、みんなで一緒のことをしている、こんな時間を大切にしたい
ふと見ると、みちるちゃんが広げているパズルに有希が出助けしてあげてたりしている、
うちから持ってきた、あたしの余ったピースのパズルと、キョンの足りない欠片のパズルは、
見てもらったところ、どうやら、余ったピースがキョンのパズルの欠片だったようで、ちゃんと
二つのパズルは完成した、部室でまざっちゃたみたい
そろそろお暇しようと思うころ、ご主人がさっき頼んだものをもってきてくれた
綺麗な色の小さい6片ピースのパズル、本来の使い方じゃないんで、頼むのにちょっと
勇気が必要だったけど、1片ごとにペンダントトップをつける金具をつけてもらったもの
今日のみんなに一つずつ
また皆が一緒になれますように、願いを込めて
すっかり遅くまでお邪魔してしまった
帰りがけ、パズルの先生から、あたしと有希に是非、パズルを解くだけでなく、作るほうにも
興味をもって欲しいとのお言葉、製作者はいつも人手不足なので大歓迎とのこと。有希は
どうなんだろ、あたしはちょっと興味がある
みくるちゃんは青、みちるちゃんはさんざん迷って黄色のパズルの欠片をもって一足先に
帰る
「ばいばーい」
みちるちゃんの声、しばらく忘れたくないな
古泉君は赤、有希は透明、キョンは緑、あたしは最後に残ったオレンジ色、みんな
それぞれ1片づつパズルの欠片を手にとる
「キョン、あした時間ある?」
「ああ、俺もハルヒに話たいことがあるんだ」
「奇遇ね、じゃあ、駅前に11時、今度は遅れたら罰金だからね」
「キョン、ちゃんと有希を送っていきなさいよ!」
それだけいって、古泉君と帰る、今日のうちに話をしておきたいことがある
古泉君がちょと意外そうな顔をする、なんで?
みんなにも、小さいパズルの欠片
【エピローグ ハルヒ】
「顔、なんかついてる?」
「いえ、ちょっと以外だったもので」
「そう、こないだの話なんだけど」
「はい」
「あたし、編入試験うける、無事9組になったら、その時はよろしくね、古泉君」
古泉君の、驚いた顔は、あたしも初めて見るかもしれない
「それは、はい、もちろん、喜んで」
「今日、気がついたの、みんな、それぞれの道を進んでいっても、どっかでつながって
いられる物があれば、大丈夫なんだって」
「それが、このパズルですか」
「そう、小さい欠片だけどね、無理いって頼んじゃたんで、後でご主人に謝っておいて
もらえるとうれしい」
「いや、涼宮さんらしいなと、店の方は声かけときます、でもこれはこれで、商品価値が
ありそうですけど」
手の中でさっきの欠片を大事そうに確かめている
「それと、古泉君、あなたの夢、手伝うわ、宇宙船、出来たらSOS団のみんなで乗せてもらう
からね!」
「その話はもう」
「つべこべ言うと、部室でみんなに話しちゃうわよ」
「勘弁してください、あの日だって、結構はずかしかったんですよ」
「あと、もう一つ」
「はい」
あたしは、ひとつ大きく深呼吸して、続ける
「なんでだろう、あたし、やっぱり、キョンのこと
古泉君があたしのセリフをさえぎる
「全部言わなくでも結構ですよ、覚悟は出来てます。でも、これって僕がふられたって
ことになるんですかね」
「ごめん」
「いいえ」
その後は言葉が続かなかった
「じゃあ、この辺で」
「はい、月曜日部室でお会いしましょう」
【エピローグ キョン】
「帰るか」
「うん」
長門は、さっきハルヒから受け取った小さな欠片をじっと見つめている。
「そっか、そのままじゃ使えないな」
「そう?」
「長門ならネックレスがいいかな、まだ雑貨屋あいてるだろ、よっていこう」
小さく無言で肯くしぐさ
近くの雑貨屋でチェーンを買って、長門の首からかけてやる
「似合ってるぞ」
「そう」
「なあ、長門、この前の、おまえが、一度帰るって話」
「なに」
「これで、俺だけじゃなく、SOS団の皆、新しい長門が判るようになったな」
「そう」
「みんな、仲間、友達だろ」
「友達、あなたも」
「もちろん」
ちょっと残酷なような気もするが、俺はそう答えた
「あなたは」
長門は俺が手にもっているパズルのピースを指差す
「ネックレスって訳にもいかないから、携帯にでもつけるか」
「おそろい」
「そう、SOS団のみんな、おそろいだ」
「ありがとう」
「今度、ハルヒにもちゃんと言ってやれ、喜ぶぞあいつ」
「そう」
その後は言葉がなっかた
でも、パズルのペンダントトップを大事に握り締めている長門は
どこか落ち着いている、そんな気がした
【エピローグ 有希】
「おかえり 有希」
「ただいま」
「送ってもらったの、彼に」
「そう、でも送ってもらったのはみんな」
「?」
「みんな ともだち」
「そう」
「彼と古泉一樹を観察対象に加えることを進言する、自立進化の可能性は一人涼宮ハルヒにあるだけではない」
「協力するよ、有希」
「ありがとう」
【エピローグ みくる】
そうゆうことだったんだ
みちるを本来の居場所に返して、私は家にもどり
この時間平面にくる時、母の渡された小さな宝石箱を開ける
その中にあるのは、古くなり、色がくすんで、少し欠けている
オレンジと緑と黄色の小さなパズルのパーツで出来ているペンダントトップ
私は丁寧にそれらを手にとって、今、涼宮さんからもらった青のピースと並べてみる
いま、すべてが繋がった
これは、私の家族の物語だった
四つのピースの物語だった
また古い3つのパーツを丁寧にしまい、自分のピースを手の中で握り締める
まにあったんだ、私
ちゃんとまにあったんだ
【プロローグ 日曜日の駅前】
「よーお茶でも」
「なに、あれ、谷口」
「げ、阪中」
「なに、ナンパかな、谷口君 どう成果か?」
「ちげーよ」
「まあ、そうゆうことにしておいてあげようね」
「まったく、ついてねー・・・」
「なんか いったー」
「なんでもねーよ」
「あれ」
「なに」
「あれ、涼宮さんとキョン君だね」
「本当だ、なにやってんだ、駅前で、はずかしい奴ら」
「でも 仲良しさんだね」
「まあ、涼宮の相手になるような奴は、キョンぐらいだろ」
「でも、なんかいい感じだなぁ あっ 手繋いでる」
「どれ、本当だ、とんでもねーなあいつら」
「ところで、お茶はでないんかな」
「なに」
「声かけたじゃない 失礼ね」
「お、おう」
「どっか連れてけー」
「まさせなさーい」
「谷口」
「なに」
「チャック開いてるよ」
【プロローグ 月曜日の部室】
「おや、長門さんだけでしたか」
「そう」
「話がある」
「僕にですか?」
「情報統合思念体は、あなたと彼を観察対象に加えるという私の申請を許可意した」
「僕もですか、彼だけでなく」
「そう、私とあなたは似ている、合理的、リスク評価を重んじる そして優柔不断」
「確かに、そうゆう面はありますね、お互いふられたもの同士ですし」
「わたしたちは友達?」
「もちろんです、いままでも、これからも」
「そう」
「ところで、相談があるんですが」
「なに」
「ちょっとした報復として、涼宮さんが解けないパズル作ろうと思うんですが?」
「協力する」
【おしまい】
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