879: 2006/08/27(日) 18:08:04.52 ID:wsZUPils0
部屋に入るといささか意外な光景が、俺の目に入ってきた。寝ている。ハルヒが長机の端に、空気が抜けた浮き輪のように垂れている。
「部屋に入ったら、すぐにつっぷしてしまったんです。具合悪いのかな」
心配そうな声で朝比奈さんは言う。
「ハルヒ、どうした。具合悪いのか」
ハルヒは答えない。それどころか微動だにしない。
俺は机の上にカバンを置き、ハルヒの背中をさする。具合が悪いのかどうかは分からないが、いつもより息を深くしているように感じたからだ。
「ハルヒ。ハルヒ」
ゆっくりと呼びかけると、ハルヒは組んだ腕から顔をむくっと上げた。
「なによ」
苛立った、だけど疲れた声を息と一緒に吐くように言うと、そのまま面倒臭そうに顔を下げた。
「調子悪いのか」
「悪くない」
「本当のこと言えよ」
「・・・」
明らかにいつものハルヒの調子とは違う。
このようなことは以前にも何度かあったが、調子が悪いとハルヒは決まって「帰る」と不機嫌な顔をして早々に帰ってしまうのだ。
だが、今回は突っ伏したままで動く気すら見せない。いつもの威勢のよさがまるでない。
「朝比奈さん、古泉は今日……」
「ごめんなさい、分からないです」
「長門は」
「さぁ…、それも」
「キョン、キョン」
目を開けると、光の中にハルヒのうつろな顔があった。俺は、呆然とハルヒの顔を見て、自分が何をしていたのか直ぐに理解できた。
朝比奈さんの姿は部室の中には既になく、外の光は教室をオレンジに染めている。もうこんな時間か。
シャツを張り付く寝汗を煩わしく思いながら、部室を出る準備をしていると、突然ドアの閉まる音がした。
音のした方を見ると、ドアの前でハルヒがつったっていた。彼女は小さく言った。
「…イケズ」
「部屋に入ったら、すぐにつっぷしてしまったんです。具合悪いのかな」
心配そうな声で朝比奈さんは言う。
「ハルヒ、どうした。具合悪いのか」
ハルヒは答えない。それどころか微動だにしない。
俺は机の上にカバンを置き、ハルヒの背中をさする。具合が悪いのかどうかは分からないが、いつもより息を深くしているように感じたからだ。
「ハルヒ。ハルヒ」
ゆっくりと呼びかけると、ハルヒは組んだ腕から顔をむくっと上げた。
「なによ」
苛立った、だけど疲れた声を息と一緒に吐くように言うと、そのまま面倒臭そうに顔を下げた。
「調子悪いのか」
「悪くない」
「本当のこと言えよ」
「・・・」
明らかにいつものハルヒの調子とは違う。
このようなことは以前にも何度かあったが、調子が悪いとハルヒは決まって「帰る」と不機嫌な顔をして早々に帰ってしまうのだ。
だが、今回は突っ伏したままで動く気すら見せない。いつもの威勢のよさがまるでない。
「朝比奈さん、古泉は今日……」
「ごめんなさい、分からないです」
「長門は」
「さぁ…、それも」
「キョン、キョン」
目を開けると、光の中にハルヒのうつろな顔があった。俺は、呆然とハルヒの顔を見て、自分が何をしていたのか直ぐに理解できた。
朝比奈さんの姿は部室の中には既になく、外の光は教室をオレンジに染めている。もうこんな時間か。
シャツを張り付く寝汗を煩わしく思いながら、部室を出る準備をしていると、突然ドアの閉まる音がした。
音のした方を見ると、ドアの前でハルヒがつったっていた。彼女は小さく言った。
「…イケズ」
883: 2006/08/27(日) 18:51:14.09 ID:wsZUPils0
>>779
「それはどっちの台詞だよ。俺よりむしろお前のほうが、その言葉が似合うがね」
起きて早々のハルヒの台詞は十中八九、普通の人間ならプッツリきてる様な言葉ばかりだが
こうも一緒にいると、自分がいちいちハルヒの言葉にイライラすることがアホらしく思えてきてしまう。
「どうした」
ムッとした顔をするとハルヒはドアを開けて、外に出る。
「早く、出てよ。鍵かけるから」
「分かった」
俺は素直に従って部室を出た。
廊下は少し開いた窓から涼しげな風が入っていて、室内の篭った空気より酸素の量が多く思えた。
タイルは柔和に振る光の粒を反射して、ハルヒと俺の顔を照らしている。
「ハルヒ、どうした。鍵閉まらないのか」
背伸びをしながら、俺に背中を向けてガチャガチャしているハルヒに声をかける。
「うぅ…、う゛・・・、なによ・・・」
光の粒は、ハルヒの涙に反射して俺の目に届いた。俺は混乱した。どうして、なんで泣いてるんだ。
「うわぁ…、はぁはぁ…。帰って…待ってなくていい」
「ちょ、いやいやどうした。何があった」
「いいから」
「いやいやちっとも良くないだろ」
「いいって…いいって…、帰って」
「…」
「早くぅ・・・う゛、いいからぁ!!!帰ってよ!!!!」
ハルヒは俺に対して怒っている。それだけは理解できた。
「どうしたんだ!」
俺はハルヒの肩をつかんで振り向かせた。振り向いた彼女の顔は真っ赤だった。
太陽の光は、意地悪にも彼女の顔を強く照らした。
「それはどっちの台詞だよ。俺よりむしろお前のほうが、その言葉が似合うがね」
起きて早々のハルヒの台詞は十中八九、普通の人間ならプッツリきてる様な言葉ばかりだが
こうも一緒にいると、自分がいちいちハルヒの言葉にイライラすることがアホらしく思えてきてしまう。
「どうした」
ムッとした顔をするとハルヒはドアを開けて、外に出る。
「早く、出てよ。鍵かけるから」
「分かった」
俺は素直に従って部室を出た。
廊下は少し開いた窓から涼しげな風が入っていて、室内の篭った空気より酸素の量が多く思えた。
タイルは柔和に振る光の粒を反射して、ハルヒと俺の顔を照らしている。
「ハルヒ、どうした。鍵閉まらないのか」
背伸びをしながら、俺に背中を向けてガチャガチャしているハルヒに声をかける。
「うぅ…、う゛・・・、なによ・・・」
光の粒は、ハルヒの涙に反射して俺の目に届いた。俺は混乱した。どうして、なんで泣いてるんだ。
「うわぁ…、はぁはぁ…。帰って…待ってなくていい」
「ちょ、いやいやどうした。何があった」
「いいから」
「いやいやちっとも良くないだろ」
「いいって…いいって…、帰って」
「…」
「早くぅ・・・う゛、いいからぁ!!!帰ってよ!!!!」
ハルヒは俺に対して怒っている。それだけは理解できた。
「どうしたんだ!」
俺はハルヒの肩をつかんで振り向かせた。振り向いた彼女の顔は真っ赤だった。
太陽の光は、意地悪にも彼女の顔を強く照らした。
893: 2006/08/27(日) 19:25:22.44 ID:wsZUPils0
「どうした!何で泣いている!」
ハルヒは床にへたり込んだ。一瞬の高揚ののちに彼女は、やっぱり大きな声で話しをはじめた。
「分かんない。ごめん。私わけわかんない。う゛、ごめん泣いたりして。訳わかんないよね」
いえいえ、訳は分かりませんが、いつもそうですから、慣れてますよ、と冗談を言おうとしたが、彼女の涙で溺れた目が俺にそうさせなかった。
「キョン、ちゃんと聞いてよね。私のこと、どうでもよく思ってる?」
「どういうことだ。ハルヒは、どうでもいい存在なんかじゃないけど」
「最近、すごぐ、う゛、私はぁ、私はぁ、なんだろう。キョンが。離れていきそうな感じがしてぇ。こわっ、う、怖くなってきた」
ハルヒの泣く声はまるで子供のようだった。
「はぁ、バカみたい。あたし」
「なんだ、全部吐け!」
「う、う、キョン。私…。キョン、もっと顔近く。涙で見えない」
俺はその時、それがベタベタなドラマのよくある展開であることを、何故だか完全に忘れていた。
ハルヒの涙の味は、普通の人間と同じ、塩辛い味がした。彼女の髪の毛のほのかな甘い香りは鼻を通り、唾液に混ざった。
「はぁ、もっと強くやってよぉ」
勢いあまって彼女の体を押すと、ゴンッ、とハルヒの頭がドアにぶつかった。
「だ、大丈夫か」
「痛い」
「ごめんな、ごめんな。」
ハルヒは、ニヒッと涙で濡れたその顔を目一杯笑顔に変えて言った。
「しけいだから」
<完>
くだらねぇもん書いちまったぜ・・・。
ハルヒは床にへたり込んだ。一瞬の高揚ののちに彼女は、やっぱり大きな声で話しをはじめた。
「分かんない。ごめん。私わけわかんない。う゛、ごめん泣いたりして。訳わかんないよね」
いえいえ、訳は分かりませんが、いつもそうですから、慣れてますよ、と冗談を言おうとしたが、彼女の涙で溺れた目が俺にそうさせなかった。
「キョン、ちゃんと聞いてよね。私のこと、どうでもよく思ってる?」
「どういうことだ。ハルヒは、どうでもいい存在なんかじゃないけど」
「最近、すごぐ、う゛、私はぁ、私はぁ、なんだろう。キョンが。離れていきそうな感じがしてぇ。こわっ、う、怖くなってきた」
ハルヒの泣く声はまるで子供のようだった。
「はぁ、バカみたい。あたし」
「なんだ、全部吐け!」
「う、う、キョン。私…。キョン、もっと顔近く。涙で見えない」
俺はその時、それがベタベタなドラマのよくある展開であることを、何故だか完全に忘れていた。
ハルヒの涙の味は、普通の人間と同じ、塩辛い味がした。彼女の髪の毛のほのかな甘い香りは鼻を通り、唾液に混ざった。
「はぁ、もっと強くやってよぉ」
勢いあまって彼女の体を押すと、ゴンッ、とハルヒの頭がドアにぶつかった。
「だ、大丈夫か」
「痛い」
「ごめんな、ごめんな。」
ハルヒは、ニヒッと涙で濡れたその顔を目一杯笑顔に変えて言った。
「しけいだから」
<完>
くだらねぇもん書いちまったぜ・・・。
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