214: 2016/02/14(日) 21:22:43.38 ID:bCkOO5iT0

215: 2016/02/14(日) 21:36:57.46 ID:bCkOO5iT0
~バレンタインの鎮守府~

陽炎「しーらーぬーいっ!折角のバレンタインなんだしあんたも司令官にチョコ渡しなさい……よ?」

不知火「すみません集中したいのでどこかへ行ってくれませんか姉さん」ゴゴゴ

陽炎(うわーい滅茶苦茶ガチだー。いつもは『陽炎』って名前で呼ぶのに『姉さん』って呼ぶくらいガチだー)

陽炎「し、不知火?それ、司令官へのチョコ?」

不知火「ええ。別に特に深い意味などまったくもってありませんが、お世話になっている上官に渡すのは軍人として当然の義務ですので。義務ですので」

陽炎(二回言ってまで義務ってことを強調したー!バレバレなんだから堂々と本命だって言っちゃえばいいのに……ん?あれ?)

陽炎「ねえ不知火。あんた何時からチョコ作ってるの?」

不知火「今朝起きてすぐからですから……かれこれ5時間ほど前からでしょうか」

陽炎「長ッ!?……いや、というかさ。そんだけ長い時間作ってて形になってるものが一つも無いのは何故……?」

不知火「……」ギクッ

陽炎「冷蔵庫で冷やしてるのかと思ったけど、入ってるのは未使用の板チョコだけだし」ジー

不知火「……」プイッ

陽炎「あんたもしかして今までずっと失敗――――」

不知火「不知火に何か落ち度でも?」ギロッ

陽炎「図星なのね……涙目で睨んでも可愛いだけよ」

不知火「……くっ」///

216: 2016/02/14(日) 21:48:45.35 ID:bCkOO5iT0
不知火「し、仕方ないでしょう。今までお菓子なんて作った経験がないのだから」

陽炎「去年はどうしたのよ?」

不知火「間宮さんから購入しました」

陽炎「じゃあ今年もそうすればいいじゃない」

不知火「い、いえ。やはりこういうのは手作りの方が気持ちが。不知火の日頃の感謝を余すことなく伝えなければならないので」

陽炎「……義務で渡すんじゃなかったの?」

不知火「……」フイッ

陽炎「あーもう面倒くさい妹ね本当に。手作りのを渡したいのはわかったけど、このままじゃ間に合わないわよ?」

不知火「ううっ……」

陽炎「……とりあえず、あたしが一回作るから見て覚えなさい」

不知火「?陽炎はチョコレートを作れるのですか」

陽炎「んー『あたし』が作ったことあるわけじゃないんだけど……ま、お姉ちゃんに任せなさい?」グッ

217: 2016/02/14(日) 22:10:51.34 ID:bCkOO5iT0
~~~~~

陽炎「ん、まあ、こんなものかな」ペロッ

不知火「……すごい」ポー

陽炎「ふふん、もっと褒めてくれてもいいのよ?」

不知火「本当に凄いです。いったいどこでこんな技術を?」

陽炎「何代か前の『陽炎』がハワイに行ったときに習得してきたみたいなのよねー。あたしにまで残ってるくらいだから相当強く記憶に焼き付けたみたいだし、引退したらパティシエにでもなりたかったのかしらねぇ」

陽炎「……ま、そんなことはどうでもいいか。ほら不知火。これで作り方はわかったでしょ?時間ないんだから早く作りなさい」

不知火「はい……陽炎はこのあとどうするのですか?」

陽炎「んーそうねぇ。他の妹たちのところも回った後に司令官にチョコ渡して……部屋で筋トレでもしてようかしら」

不知火「いつからそんな筋肉思考になったのですか……では、また後で」

陽炎「はいはーい。頑張って作りなさいよー」ヒラヒラ

218: 2016/02/14(日) 22:28:27.52 ID:bCkOO5iT0
~数時間後~

陽炎「ふ~。だいたいやることはやったし、次はどうしよっかな」

コンコン ガチャッ

不知火「陽炎」

陽炎「ん?ああ不知火。おかえりなさい。どうだった?」

不知火「ちゃんと渡せましたよ。司令も喜んでくださいました」

陽炎「告白は?」

不知火「す、するわけないでしょう。べ、別に不知火は司令をそういう風には……」ワタワタ

陽炎「あーはいはい。そうだったわね。まったく、いい加減開き直ってキスと一緒に告白でもすればいいのに……」

不知火「き、キスなんてしていません」

陽炎「いや誰もしたなんて言ってな――――え?不知火あんたまさか」

不知火「べ、べべべべべべべ別に今はその話はどうでもいいでしょう!そ、それより陽炎、少しだけ手を借りてもいいですか?」

陽炎「誤魔化し方へったくそねぇ……はい、どうぞ」



不知火「いつもありがとう、お姉ちゃん」ニコッ



透き通るような笑顔とともに渡されたのは、綺麗に包装された何かで。

その何かから微かに香る匂いは、今日一日で随分かぎ慣れたもので。

陽炎「これ……チョコ?」

不知火「はい。友チョコ、というやつです」

陽炎「でも時間足りなかったんじゃ」

不知火「実は、一番最初にそれから作り始めたんです。そのせいで、司令官との約束の時間に少し遅れてしまいましたが」

陽炎「……あんたって子は、本当にまったく」フイッ

不知火「おやおやどうしたのですか陽炎。急に顔を背けたりして。まさか感極まって泣いてしまいそうに?」なったのですか?」

陽炎「バカ言ってんじゃないわよ。あんたがさっき『お姉ちゃん』なんて変な呼び方するから、笑いそうになったのを堪えてるだけよ」

不知火「なっ!?」

陽炎「はいはい掴み掛かってこないの。とりあえずちょっとここで待ってなさい。このチョコのお礼に、あたしが最高のチョコを作ってきてあげるから」

そう言って出て行く姉の背は、本人は絶対に認めないだろうけれど、やはり嬉しそうだった。

不知火「はい、楽しみにしていますよ。お姉ちゃん」クスッ

219: 2016/02/14(日) 22:32:08.19 ID:bCkOO5iT0
~提督の脳の一部が拡張されました~

対象:不知火

恋愛度:☆1

状態:気づかない程度の想い

221: 2016/02/14(日) 22:36:26.04 ID:bCkOO5iT0
今日の分おしまい。最初は普通に提督との絡みを書くはずだったのにいつの間にかかげぬいになってたぜ。何を言ってる分からないと思うが俺にも(ry

『なんでこの展開で提督からの好感度が上がるの?』と思うかもしれませんが、描写されなかっただけで裏ではなんやかんやあったんです。キスとか「不知火に何か落ち度でも?」アッハイ、すみません。なんでもないです

榛名「榛名恋愛相談所」85人目

引用: 榛名「榛名恋愛相談所」 漣「3件目ですよご主人様!」