4: 2015/01/11(日) 01:16:14 ID:GjSD6yvs
妹「どうして踏んでしまったのですか?」

男「いやつい期待して」指スリスリ

妹「嘘ですわね。本当は、このスレがID腹筋スレと判っていた筈ですわ」

男「何を根拠に」

妹「履歴、消し忘れていましてよ」

男「…………」

妹「ふふっ、嘘です。でもその慌てようは嘘ではないみたいですね」

男「……参ったな。一杯喰わされたよ」
ふらいんぐうぃっち

5: 2015/01/11(日) 01:17:23 ID:GjSD6yvs
妹「どうしてこんなID腹筋スレなんか立てるのですか?」

男「いや、今回が初めてなんだよ」

妹「また嘘ですね」

男「いや本当だよ。信じてくれ」指スリスリ

妹「嘘を付かれる時、視線を下に落として指先を擦る癖は直した方が良いですわよ」

男「……無くて七癖――っていう諺があったっけ。意外と気付かないものだ」

妹「改めてお聞きします。どうして腹筋スレなんか立てるのですか?」

6: 2015/01/11(日) 01:18:07 ID:GjSD6yvs
男「何でって、別に理由なんかないさ。ただ路傍の石をつい蹴るのと同じさ」

妹「その割に随分と立てているみたいですね。本当に履歴を消し忘れるぐらい」カチカチ
妹「軽く履歴を見ただけでも、スレ立てが十は下らないですわ」

男「下らないことでも、熱中することはあるさ」
男「特に引っかかった奴らのレスが面白くってね。顔を真っ赤にしている様子が思い浮かぶよ」

妹「でも立て過ぎて皆さん呆れのレスばかり。特に酷いものだとレスすらありませんわ」
妹「これは、本当に兄さまの望んだものでして?」

男「…………」

7: 2015/01/11(日) 01:21:56 ID:GjSD6yvs
妹「兄さま、本当は如何なる理由で立てたのですか?」

男「……参ったよ本当に。俺に似ず優秀な妹だお前は」
男「理由、か。特にないよ。本当さ。初めはからかうつもりで立てたんだよ」

妹「ええそうでしょう。釣りスレ腹筋スレというのは、そういうものでしょう」

男「まあレスが多ければ楽しいけど、みんな慣れてくる。そうするとレスも少なくなる」
男「『なんだいつものか』、『タイトルで腹筋スレ余裕』、『何番煎じだよ』ってね」

妹「同じ事を繰り返すのですから当然ですわ。私も腹筋スレ踏んでも、すでに怒りも呆れも沸きませんわ」

8: 2015/01/11(日) 01:22:45 ID:GjSD6yvs
男「ある日最後の腹筋スレにしようと思って立てた。典型的なタイトル詐欺に、いつものAAと文面」
男「何事もなく終わるはずだった。ところが、そのスレは違ったんだ」

妹「何がありまして?」

男「――レスがあった。ただのレスじゃない。タイトルに見合ったSSが書かれていた」

妹「成る程。タイトルをお題に見立ててその方は書かれたのですね」

男「そうだ。まさかそんな事が起きるとは思わなかったよ」
男「そのSS自体はそこまで面白いわけではなかったけどさ」

妹「腹筋スレを立てている方が随分な口をきかれるのですね」

男「事実そうだったから仕方がない。でも、驚きと腹筋スレが台無しになったという感情」
男「――何より、嬉しいという感情が沸いた」

9: 2015/01/11(日) 01:23:57 ID:GjSD6yvs
男「それ以来、俺は腹筋スレを立て続けてきた。大抵は期待を裏切られて落ちていった」
男「でも、時折SSを投下する奴が現れる。その感動を俺は味わう。そう、それが俺が望んだものだ」

妹「兄さま……そうだったのですね。そんな想いを抱いて腹筋スレを立てていたとは」

男「ありがとう妹。俺は惰性で腹筋スレを立てていた。その意味を、もう一度知ることが出来たよ」
男「やはりお前は、俺には過ぎた妹だ」

妹「兄さま……」



妹「感動風にしてますけど、スレを乱立させて皆様にご迷惑をお掛けして、期待を裏切っていることに変わりありませんよね?」

男「…………」
男「すいませんでしたぁ!」ドゲザァ

10: 2015/01/11(日) 01:25:27 ID:GjSD6yvs
妹「もう兄さま! いい加減釣りスレ腹筋スレを立てるのはメッ、ですよ!」

男「仰せのままに!」

妹「……本当は兄さま、SSを投下したかったのですよね?」

男「いや、俺は――」

妹「兄さまのPCの中、沢山の未完成SSが眠っていますわ」カチカチ

男「……やめて、くれ」

妹「私は面白いと思いますのきっと。だから投下してスレの皆様にご感想を――」カチカチ

男「やめてくれ!!」

妹「…………」

11: 2015/01/11(日) 01:26:22 ID:GjSD6yvs
男「そんなSS、昔のことだ。若気の至りさ」

妹「ならば消せば良かったのですわ。残っているっていうことは未練があるということ」
妹「兄さま、いい加減目を逸らさないで」
妹「どうして腹筋スレを立てたのか、そこに至った本当の理由を、兄さまの口から聞かせて下さいまし」

男「……俺だって、書きたいと思ってSSを書いたことはあるさ」
男「ラノベやこのスレのSSみたいのなんて、簡単に書けるって思ってさ」

妹「でも、違ったのですね」

男「そうさ、簡単に見えるだけだ。間抜けな文章だと思っても、そいつは書ききっている」
男「対して俺はどうだ? 数行書いて満足して、自分は讃えられる白昼夢を見るだけ」
男「多くのSSは書ききれず、フォルダの肥やしにした。そのフォルダもどこか奥に放り込んだ」

男「けど、一つだけ書ききった」

妹「…………」カチカチ

12: 2015/01/11(日) 01:28:31 ID:GjSD6yvs
男「書ききったという充足感、達成感! あの時は天下を取った気分だった。誇張でも何でもなく」

妹「…………」

男「もちろん投下したさ。一世一代のSS。みんなの驚く顔が浮かんだものさ」
男「でも、驚いたのは俺の方だ。投下したSSは酷評された。ボロボロさ」
男「そして何より、数十レスに及ぶ俺のSSに対して感想レスは3、4つ」

妹「……」

男「才能がなかったとまざまざと思い知らされた。内心見下していた連中より下だと言われた気がした」
男「投下した腹筋スレのタイトルは、全部俺が書きたいと思ったものばかりだ」
男「でも、あんな屈辱を受けるなら、俺はもう書かない」

妹「  」

13: 2015/01/11(日) 01:29:13 ID:GjSD6yvs
男「ははっ……自分の惨めな思いを晴らすために迷惑をかける。とんだ屑もいたもんだ」

妹「」

男「はぁ。もう辞めようこんな愚痴。言ってて気分が鬱になる」



男「腹筋スレでも立てて憂さ晴らしするか。他に、何かする気分にならないし」



男「そういえば誰かと話していた気がする。独り言極めたかな? はは、ははっ……」

14: 2015/01/11(日) 01:30:46 ID:GjSD6yvs
男「はぁ。糞スレ立てる気も沸かなくなった。電源落として――」

男「こんなフォルダあったか? ウィルスか何かか?」

男「ネットに繋げるだけのPCだから問題ないけどさ……何か見た事があるような」カチカチ

男「……ああ。質の悪いウィルスだな。こんなものをデスクトップに置くなんて」

『いいではないですか。やる事ないならやってしまいましょう』

男「どうせ書ききれないさ。投下しても酷評、いやレスすらつかないさ」

『男は度胸。何でもやってみるものさ、ですわ』

男「……どうせ家に居ても寝るかゲームしてるかだ。暇つぶしに触ってみるか」

男「最初は――書ききったやつを改訂して、投下してみよう。リベンジだ」

『気取る必要はないですわ。自分のペースでこなせば良いのです』

男「よし、そうと決めたら元のSSを読んで流れやキャラを把握しないと」

男『タイトルは――』



『妹「兄さま、このスレはID腹筋ですわよ」』

15: 2015/01/11(日) 01:49:27 ID:GjSD6yvs
まずは読んでくれた人、乙
腹筋スレ乗っ取り(?)は初めての二回目です

わざわざ腹筋スレを立てる人間が居たら、心が捩れた変人だ
判っていて腹筋スレを見る人間が居たら、相当な物好きだ
そしてそんな腹筋スレにSSを投下する人間が居たら、もはや狂気である

つまり何が言いたいのか。詰まるところ「腹筋スレ自重しろ」ということです
立て逃げせず、遅くてもいいから書いてほしい。どうしても書けないというなら誰かに託してほしい
そんな事を伝えるためにわざわざSSを書く奴の気がしれないですね

それでは改めて乙です

引用: 妹「兄さま、このスレはID腹筋ですわよ」