729:キョンの最後 2006/09/02(土) 02:01:09.69 ID:W8PYhVZo0
何十年後。
絵に興味を持ち、ひっそりとした個展を開くキョン。
個展はいつも閑古鳥で、名ばかりの受付で座ってるキョンはいつも居眠りか
ぼーっと虚空を見つめている。
暇つぶしに入った子供の「つまんねー」という呟きに苦笑いのキョン。
そんなキョンが世界を救ったなんて誰も知らない。
人類が滅亡しかねない事件から人類を救ったなんて誰も知らない。
しかしキョンにとってはそんなことはどうでもよかった。
今も昔も変らずに幸せだから。
少し気になることと言えば時折呼吸が苦しくなって、心臓の鼓動が
高まること。
俺も歳になったなぁ、と左の口端を上げて一人笑うキョン。
絵に興味を持ち、ひっそりとした個展を開くキョン。
個展はいつも閑古鳥で、名ばかりの受付で座ってるキョンはいつも居眠りか
ぼーっと虚空を見つめている。
暇つぶしに入った子供の「つまんねー」という呟きに苦笑いのキョン。
そんなキョンが世界を救ったなんて誰も知らない。
人類が滅亡しかねない事件から人類を救ったなんて誰も知らない。
しかしキョンにとってはそんなことはどうでもよかった。
今も昔も変らずに幸せだから。
少し気になることと言えば時折呼吸が苦しくなって、心臓の鼓動が
高まること。
俺も歳になったなぁ、と左の口端を上げて一人笑うキョン。
731: 2006/09/02(土) 02:04:50.22 ID:8lxcOr8t0
いつものようにアトリエに篭って作品を作るキョン。
不意に胸苦しさを感じ、イスから転げ落ちて床にうずくまる。
いつもの発作だからしばらくじっとしていれば治まるはずだった。
しかし息苦しさは増すばかり。
ここで一人朽ちていくことを思い深い悲しみがキョンを襲う。
その時、キョンの目にいくつかの人影が映る。
「キョン、何こけてんの?」
「こんなところで寝ちゃダメですよ~。」
「風邪引きますよ。起きてください」
「そう」
そこにはずっと昔、いつも一緒にいた仲間がいた。
若い時のままの姿で。
無数の喜怒哀楽を共にした時のままの姿で。
「ずりーよ…」
キョンが呟くと仲間達は誰からともなく言った。
「キョンだって、昔と変わってないよ」
「あたしたちはいつだって、あの頃のままだよ」
キョンは幸せだった。
そう、今も昔も変らず幸せだった。
続く
不意に胸苦しさを感じ、イスから転げ落ちて床にうずくまる。
いつもの発作だからしばらくじっとしていれば治まるはずだった。
しかし息苦しさは増すばかり。
ここで一人朽ちていくことを思い深い悲しみがキョンを襲う。
その時、キョンの目にいくつかの人影が映る。
「キョン、何こけてんの?」
「こんなところで寝ちゃダメですよ~。」
「風邪引きますよ。起きてください」
「そう」
そこにはずっと昔、いつも一緒にいた仲間がいた。
若い時のままの姿で。
無数の喜怒哀楽を共にした時のままの姿で。
「ずりーよ…」
キョンが呟くと仲間達は誰からともなく言った。
「キョンだって、昔と変わってないよ」
「あたしたちはいつだって、あの頃のままだよ」
キョンは幸せだった。
そう、今も昔も変らず幸せだった。
続く
734: 2006/09/02(土) 02:07:16.12 ID:lKnoE6yc0
いくつもの粘土や石膏の像、描き途中の油絵、様々な画材の匂いに
満ちた小さなアトリエの中。
一人の男が静かに息を引き取った。
男はもう二度と自分の作品を生み出すことはできない。
でも、その顔は安らぎに満ちた笑顔だった。
左の口端が微かに上がった笑顔だった。
「俺たちはいつだって、あの頃のままだよ」
<終>
735: 2006/09/02(土) 02:08:50.82 ID:NHE1ug0J0
>>734
乙。なんか俺も同じようなこと書こうとしてるから、気持ちが分かるな。
乙。なんか俺も同じようなこと書こうとしてるから、気持ちが分かるな。
736: 2006/09/02(土) 02:09:14.82 ID:Xx2OE/x10
>>734
乙
乙
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