1: 2008/06/14(土) 21:36:13.28 ID:qVnk7ZSo0

3: 2008/06/14(土) 21:37:16.88 ID:qVnk7ZSo0

『はい、こちら110番』

ξ ⊿ )ξ「もしもし? もしもーし!!?」

『どうかなさいましたか?』

ξ ∀ )ξ「えへへへ~!!! 助けて下さい助けて助けて~!!」

『お、落ち着いて下さい!い、今どちらにいますか!?』

ξ ∀ )ξ「今ね、雛見沢にいるのー! みんなで綿流ししたんだよ!ぎゃげげげ」

『雛見沢村ですね。雛見沢のどこですか?』

ξ ∀ )ξ「うんっとね~、えへへへ!場所わかんないや!」

『今すぐ向かいます!お名前を教えてください!それと一体何があったんですか!?』

ξ ∀ )ξ「えへへへ……ツンだよ! ブーンに名前付けてもらったの!! すごいでしょ~ すごいよね!
     えへへへ~~~みんな氏んじゃったー! みんないなくなっちゃったー!! ぐぎゃぎゃぎゃ!!」

『と、とにかく落ち着いて下さ 「ガチャッ……」


ξ ∀ )ξ「えへへへ!!!!ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!」 

ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
4: 2008/06/14(土) 21:38:50.52 ID:qVnk7ZSo0


( ^ω^)とξ゚⊿゚)ξの鬼隠しのようです―解―

 第0話「警告」


5: 2008/06/14(土) 21:40:55.49 ID:qVnk7ZSo0

 平成20年6月22日
 某県鹿骨市雛見沢村で集まった男女数名が失踪、殺害されたとの110番通報があった。
 駆けつけた警察らが氏亡している男性数名を発見。
 しかし、通報したとされる女性と男女数名は未だ見つかっていない。



6: 2008/06/14(土) 21:43:17.47 ID:qVnk7ZSo0

(,,゚Д゚)「行方不明の被害者はまだ見つかってねーのかゴルァ!」

 強面の刑事がイライラしながらタバコを吹かす。
 夏の暑さも相まって汗の気持ち悪さが余計に彼を苛ただせていた。

(・∀ ・)「ギコさんそんなに焦らせないで下さいよ。
     でも、被害者……なんですかね?
     この中に加害者がいるかもしれないっすよ」

 何かの資料を大量に抱えて後輩らしき刑事が現れる。
 資料の題字には「雛見沢殺人及び失踪事件報告書」と書かれていた。

(,,゚Д゚)「んなもん、わかってんだよゴルァ……
     犯人は恐らくあの二人だ」


(・∀ ・)「例の二人ですか……」

(,,゚Д゚)「ほら、被害者に阿久津庶凡、炉利椎、欝田毒男、ジョルジュ長岡がいるだろ?
     こいつらは昨年の女子高生失踪事件に関わってたやつらなんだよ」

(・∀ ・)「そういえば、昨年もインターネットのオフ会で失踪したなんて事件ありましたね。
     まさかそれが関係してるっていうですか!?」

 ようやくクーラーが刑事達の体を冷やし始める。
 地球温暖化対策に設定された温度を超えたのは今日が例外ではなかった。

7: 2008/06/14(土) 21:45:24.32 ID:qVnk7ZSo0
(,,゚Д゚)「まぁ、俺等も証拠不十分で捜査打ち切っちまったしな…… 
     恐らく、自分がオヤシロさまになってやつらを祟り頃したつもりなんだろう」

(・∀ ・)「オヤシロさまの祟りっすか……」


 ギコは吸い終わったタバコをもみ消し、また新しいタバコを取り出す。
 タバコだけが彼のイライラを抑える事ができたようだ。

 資料には何度もめくり読み返された形跡があった。
 そしてところどころに赤印でマークが付けられている。

8: 2008/06/14(土) 21:47:29.43 ID:qVnk7ZSo0
(,,゚Д゚)「園崎家への捜査令状はまだとれないのか?」

(・∀ ・)「それがなかなか……
     園崎組が上層部に圧力を掛けているみたいで……」

 ギコはこの日何度目かのため息をつく。
 雛見沢村を昔牛耳っていた園崎家。
 その園崎家には未だ黒い噂が絶えず園崎家に関わることはタブーとされていた。

(,,゚Д゚)「は、これじゃあ園崎家に氏体捨てれば
     完全犯罪じゃねーか」

(・∀ ・)「やっぱり、園崎家なんすかね……」

(,,゚Д゚)「……十中八九な。
     しかも園崎家には地下室があるなんて噂もあるみたいだしな」

(・∀ ・)「そこに捨てられてるんすかね……
     あの子も」

(,,゚Д゚)「………ああ、恐らくな。
     もしかしするとあいつらはそこで何かを見つけ
     犯行に思い立ったのかもな」

 やり切れない思いになり後輩の刑事もタバコを開ける。
 もしかして今回の事件は自分達のせいで起きた事件かもしれない……
 そんな思いに駆られていたからだ。

9: 2008/06/14(土) 21:50:53.34 ID:qVnk7ZSo0

(・∀ ・)「自分達がもっとちゃんと捜査すれば今回の事件は
     起きなかったんでしょうかね?」

(,,゚Д゚)「さあ…な」


 かなかなかな……

 ひぐらしが鳴いている。
 雛見沢から聞こえるのだろうか、この時間帯には珍しかった。

(,,゚Д゚)「ひぐらしだけが知ってるってか……」

(・∀ ・)「はあ……」

(,,゚Д゚)「あ?またんき。んだその面は?」

 先輩のくさい台詞なのかギャクかわからない発言に呆れつつ
 またんきと呼ばれた後輩刑事もこの日何度目かの溜め息をつく。

 そして―――


(・∀ ・)「流石妹者か……」

 またんきは独り言のようにその名前を呟く。
 これは恐らく、その子の為に行われた悲しい事件なのだから……

11: 2008/06/14(土) 21:52:22.07 ID:qVnk7ZSo0




             優しさがうれしかった





13: 2008/06/14(土) 21:55:11.46 ID:qVnk7ZSo0

ドン!!

(    )「いでっ!!」


从・∀・ノ!リ人「ちっちゃいあにじゃー!!!!
      起きるのじゃー!!!朝なのじゃー!!!」

∬´_ゝ`)「起きるのじゃー」

( ´_ゝ`)「起きるのじゃー」


(´<_ ` )「……何なんだ3人揃って」


从・∀・ノ!リ人「夏休みなのじゃ! 海に行くのじゃー!」

∬´_ゝ`)( ´_ゝ`)「行くのじゃ!」




(´<_ ` )「……は?」




14: 2008/06/14(土) 21:56:37.86 ID:qVnk7ZSo0




               愛らしい笑顔が好きだった





15: 2008/06/14(土) 21:58:41.07 ID:qVnk7ZSo0

从・∀・ノ!リ人「お帰りなさいませ、ご主人様。なのじゃー」

∬´_ゝ`)「い、妹者……何をしているの?」

(´<_ ` )「な、何だそのはしたない服は!?」

( ´_ゝ`)「へへーん!」

∬´_ゝ`)「え?」

( ´_ゝ`)「可愛いだろー そうだろー 兄者特製メイド服なのだ!!」

∬´_ゝ`) ……

(´<_ ` ) ……


∬#´_ゝ`)「この変Oがぁ!!!!」(´<_ `#)

从・∀・;ノ!リ人「あー!!おっきい兄者がー!!!!」

17: 2008/06/14(土) 22:00:24.11 ID:qVnk7ZSo0





              頭を撫でるのが好きだった





20: 2008/06/14(土) 22:02:11.88 ID:qVnk7ZSo0
从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者、パソコンを貸してほしいのじゃ!」

( ´_ゝ`)「また怖いのか?妹者も好きだなー」

从・∀・ノ!リ人「大好きなのじゃ!!」

(´<_ ` )「あんまり怖いのばかり見てると夜トイレに行けなくなるぞ」

从・∀・ノ!リ人「大丈夫なのじゃー!おっきい兄者とは違うのじゃ!!」

(*´_ゝ`)「な、そんな事ないんだからね!」

从・∀・ノ!リ人「きめえwww」(´<_ ` )

21: 2008/06/14(土) 22:03:32.01 ID:qVnk7ZSo0




             そんな君がはにかむのが好きだった





23: 2008/06/14(土) 22:05:11.44 ID:qVnk7ZSo0
l从・∀・ノ!リ人「クー! おはようなのじゃ」

川 ゚ -゚)「やあ、妹者に弟者。妹者は相変わらず可愛いな」

l从・∀・*ノ!リ人「ほ、褒めても何もでんぞ!」

(´<_ ` )「ああ、いつも妹者を見れる俺は幸せものだよ」

l从////ノ!リ人「か、からかうでないのじゃ!!」

川 ゚ ー゚)「なー、弟者頼む!一日だけでもいいから私に貸してくれ」

l从・∀・#ノ!リ人「ダメなのじゃー!そんな事したら妹者の貞操が危ないのじゃ……」

(´<_ ` )「ん~、そうだな……猫耳首輪付きで貸してやろう!」

l从・∀・#ノ!リ人「ちっちゃい兄者まで何を言ってるのじゃー!
       おっきい兄者みたいな事言っちゃダメなのじゃ!!」


川 ゚ ー゚)「あははは!!!」(´<_ ` )

l从・∀・#ノ!リ人「ごらー待つのじゃ!」

25: 2008/06/14(土) 22:07:19.28 ID:qVnk7ZSo0




              もしかして、君のこと―――





27: 2008/06/14(土) 22:09:57.62 ID:qVnk7ZSo0


从・∀・ノ!リ人「綺麗だね……」

(´<_ ` )「姉者も夫の前では大人しくするんだな」

( ´_ゝ`)「馬子にも衣装だな」

(´<_ ` )「おK、姉者に報告しとく」

Σ(;´_ゝ`)「ば、冗談だって……」

从・∀・ノ!リ人「あ、静かにするのじゃ!」


「……氏が二人を別つまで共に生きることを誓いますか?」


「誓います」

∬´_ゝ`)「誓います」


「それでは指輪の交換を……」



从*・∀・ノ!リ人「きれいなのじゃ……」

28: 2008/06/14(土) 22:12:23.47 ID:qVnk7ZSo0










                          ……好きだった


29: 2008/06/14(土) 22:14:22.64 ID:qVnk7ZSo0
*―――*―――*


 くすくす……


 はじめまして、なのかしら?

 とりあえずこのワインは私からのサービスだから受け取って頂戴



30: 2008/06/14(土) 22:16:17.14 ID:qVnk7ZSo0


 それで、あなたはこのカケラの続きを見たいと言うのかしら?


 ……そう、それもいいわ

 例え古手梨花の世界が終わったとしてもそのカケラの世界は続くのだから

 あなたの見たい物語がそこにあるのは確かね


32: 2008/06/14(土) 22:18:25.13 ID:qVnk7ZSo0

 ……私?

 私はもうこのカケラなんかに興味はないわ

 古手梨花が最もつまらないと感じたこのカケラなんかにはね


 だからこのカケラはあなたに譲る事にする

 遠慮しないで受け取りなさい

33: 2008/06/14(土) 22:20:20.36 ID:qVnk7ZSo0
 くすくす……


 でも、一応警告しておくわ

 このカケラにあるあなたが見たいモノは滑稽でつまらなく

 ただ虚しいだけの物語

 例えるなら……

 そう、古手梨花の友人が愛する者の為に暴走してしまった

あのカケラの物語と似たような

 そんな物語ね

34: 2008/06/14(土) 22:22:37.41 ID:qVnk7ZSo0


 あなたはそれを見て

 心憂い、後悔するかもしれない……


 だからあなたにはそのカケラを見ることを拒む権利がある


35: 2008/06/14(土) 22:24:27.14 ID:qVnk7ZSo0




 これから先は見てはならない物語なのだから――――




36: 2008/06/14(土) 22:26:25.40 ID:qVnk7ZSo0
 TIPS

【女子高生失踪事件】

 平成19年6月24日
 某県鹿骨市雛見沢村にOFF会として参加していた高校1年生の流石妹者さん(15)が
 目を放した隙に突然失踪したとの110番通報があった。
 駆けつけた警察らと近隣の興宮住民で捜索するが見つからず行方不明とされた。

 また事件性はないものとして数日で捜査は打ち切られている。

37: 2008/06/14(土) 22:28:19.43 ID:qVnk7ZSo0

 *注意*

 ベルンちゃん風に警告しましたがリアルにここから先は閲覧注意です。
 ひぐらしで言う目明し編に当たる物語なので救いようもなくただ虚しい物語となります。
 また、ここから先は殺人者の視点中心に物語は進みますが悪魔でもテーマは殺人否定です。

 見てはいけないって言っておきながら何ですが引き続き鬼隠しのようです解答編をよろしくお願いします!
 

39: 2008/06/14(土) 22:33:06.98 ID:qVnk7ZSo0


「ちっちゃい兄者ー!起きるのじゃー!」

 夢と現実、その境から微かに声が聞こえる。
 俺は何とか現実へ行こうとするのだが、脳も身体も夢という快楽に溺れてしまって
 なかなか這い出せないでいた。
 身体全体がどうする事もできていないので、俺は仕方なくそれに甘えて夢の入り口へ戻ろうとした。

 
(    )「ごべぇ!!」


 朝の目覚ましに可愛い妹が起こしに来る。
 口リコンな変O男性じゃなくてもうらやましがるはずのシチュエーションだ。
 ただ実際に妹がいるとそう良いシチュエーションでもなく、
 むしろ気持ちのいい夢を途中で邪魔されイラつく事の方が多いだろう。
 
 だが、流石家は違う。
 彼女なしで流石家の朝は始まらないのだ。

40: 2008/06/14(土) 22:35:33.15 ID:qVnk7ZSo0
(´<_ ` )「いてて…… もう少し優しい起こし方はないもんか……」

 …少し乱暴なのが玉に瑕だが。

l从・∀・ノ!リ人「何を寝言を言ってるのじゃ?
       それよりこれを見てどう思う?」

(´<_ ` )「……ん?」

 目の前にはいつもと様子の違う妹者がいた。

 ……そうか、今日は高校の入学式。
 背格好こそまだまだ子供だが、初々しい高校の制服に身を包まれて彼女は頬を赤く染めていた。

41: 2008/06/14(土) 22:38:33.61 ID:qVnk7ZSo0
(´<_ ` )「凄く… 可愛いです」

 感想を素直に言う。
 妹者は恐らくこんなストレートに言われると思ってなかったらしく
 顔から湯気を出して照れている。

l从////ノ!リ人「て、照れるのじゃー!!
       そんなまじめな答えは期待してないのじゃ!!!」

(´<_ ` )「でも、変Oには気をつけろよ。
       最近出るらしいぞ」

l从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者より変Oはいるのか?」


(´<_ ` )「ははは……」

 ここで笑うべきなのだろうが、本気であいつは危険だ。
 何とか笑ってやろうと思ったが結局苦笑いを浮かべるしかなかった。
 そして、その瞬間タイミングよくやつが現れる―――

42: 2008/06/14(土) 22:41:10.41 ID:qVnk7ZSo0
( ´_ゝ`)「グッモーニング!!!!愚弟に妹者ー!
       うん、いもじゃちょーかわいいwww」

 朝っぱらからクソ高いテンションで現れたのは流石家の長男の流石兄者。
 紹介は一言「変O」。

l从・∀・;ノ!リ人「ちっちゃい兄者に言われたら嬉しかったのに、
       おっきい兄者に言われても嬉しくないのじゃ……」

Σ(;´_ゝ`)「ぬぁっ!!!」

( ;_ゝ;)「ひ、ひどすぎる……」

(´<_ ` )「人の部屋で泣くなきめえ」

l从・∀・ノ!リ人「きめえwww」

 兄者は2コンボの「きめえ」を喰らってとぼとぼと部屋を出て行く。

( ;_ゝ;)「泣いてなんかないんだからね!!」

从・∀・ノ!リ人「きめえwww」(´<_ ` )

 兄者に罵声を浴びせる。
 うん、いつも通りの朝だ。

 妹者がいて、変Oな兄者がいて……

43: 2008/06/14(土) 22:43:57.46 ID:qVnk7ZSo0
 @@@
 @#_、_@      
 (  ノ`) 「妹者ー、弟者ー、ご飯ー!」

∬#´_ゝ`)「朝からラブラブしてんじゃないわよ!!」

 そして流石家の大黒柱の母者と、夫が単身赴任で別居中のため飢えに飢えている姉者がいる。
 こんな大賑わいで幸せな朝を迎える事のできる家族はそうはいないだろう。

l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者?
       何をニヤニヤしておるのじゃ?」

 つい顔がにやけていたようだ。
 兄者じゃないがこれはきもい……

(´<_ ` )「何でもないよ。さぁ、着替えるから出て行っておくれ」

l从*・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者はきもくないのじゃ!
       だって、妹者は……」

(´<_ ` )「え?」

l从////ノ!リ人「何でもないのじゃ!ちっちゃい兄者も早く下降りてご飯なのじゃ!!」


 妹者は顔を真っ赤にして出て行った。
 自然と顔が綻ぶ。
 今この瞬間が幸せだから。

45: 2008/06/14(土) 22:46:26.20 ID:qVnk7ZSo0
 日々の幸せに飽食してしまう人間がいるが俺はそうじゃない。
 幼い頃、大好きだった父親を亡くしてから幸せは有限だということを知り
 一日一日を後悔のないように過ごすと誓った。

l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃいあにじゃー!
       早くしないと遅れるのじゃー!!」

(´<_ ` )「あーはいはい」

 一瞬でその幸せが崩れるその時のために、俺はただ精一杯楽しく生きるだけ。
 何も難しい事じゃない。

 でも、だからこそ俺は願った。
 こんな幸せが続けばいいなって。
 ううん、ずっと続くんだって思っていた。

 例え俺達家族がみんなバラバラになったとしても

 ずっとずっと続くんだって―――


46: 2008/06/14(土) 22:48:02.97 ID:qVnk7ZSo0



( ^ω^)とξ゚⊿゚)ξの鬼隠しのようです―解―

 第1話「流石妹者」



48: 2008/06/14(土) 22:50:28.23 ID:qVnk7ZSo0


  4/05(木)
  差出人:妹者
  件名:祝!高校生
  本文:
  クーおっはー!
  今日から晴れてお互い高校生だね(^^)
  友達何人できるか競争なのじゃー(≧∀≦)



50: 2008/06/14(土) 22:52:36.49 ID:qVnk7ZSo0

 新しい制服に袖を通す。
 うん、悪くないデザインだ。

 買ってもらったばかりの携帯電話を制服のポケットに入れる。
 ストラップも何も付けていない寂しい携帯電話なのだが
 メールさえできればいいので特に気にしてはいない。

 ブルブルっと、携帯のバイブレーションが鳴った。

川 ゚ ー゚)「妹者か」

 差出人に「妹者」と表示される。
 それを見るだけで普段は無表情な私の顔が自然とにやつくのだ。

51: 2008/06/14(土) 22:54:48.46 ID:qVnk7ZSo0

  4/05(木)
  差出先:妹者
  件名:Re:祝!高校生
  本文:
  おはよう妹者。
  相変わらず可愛いな。
  それと言っておくが私は友達なんぞ作る気はない。
  友達なんて疲れるだけだ。



 早速返事を返す。
 我ながら淡白で冷たい文章だ。
 だが、本音を書いたまで。
 友達なんてくだらない……


52: 2008/06/14(土) 22:57:32.85 ID:qVnk7ZSo0

  4/05(木)
  差出人:妹者
  件名:タイトルをつけるのじゃー(`ε´#)
  本文:
  むぅ……
  クーまで妹者をからかうのか(;皿;#)

  それよりまだそんな事をいっておるのか?
  いい加減友達作れば学校も楽しいぞ!



 妹者は私と違って友達がたくさんいるんだろう……

 中学の時、私は周りから孤立していた。
 いや、周りが私を避けたのだ。
 私が何をした?
 私は何も……


53: 2008/06/14(土) 23:00:14.16 ID:qVnk7ZSo0

 ―須名さんって何考えてるかわかんないよねー―

 ―てか、何あれ?上から目線じゃね?―

 ―私はなんでもできますってか?ちょっと調子乗ってるよね―


 確かに私は人より何でもできるほうだった。
 部活でやっていた剣道も特に頑張ったわけではないのだが全国まで楽にいけた。
 勉強も特に何をしたわけではないが常に上位に食い込んでいた。

 何もしてない……

 いや、何もしていないからこそ周りは嫉妬しているのだろうか……
 じゃあ、何かしたらどうする?
 お前達は手のひら返して仲良くしてくれるとでも言うのか?
 くだらない……


 そんな時だった、風が吹いたのは。
 いや、この表現はやめておこう。
 とにかく退屈だったのだ。
 何もしなくても何でもできた。
 努力もなにもないつまらない日々をただ漠然とすごしていたのだ。


 あの日、彼女に出会うまでは――――

55: 2008/06/14(土) 23:03:04.93 ID:qVnk7ZSo0
*―――*―――*


「ちっちゃい兄者ー!まだ見つからんのじゃー!?」

「う~ん、随分と古い本なんだろ?あるかな?」

「おっきい兄者のパソコンで見たのじゃ!絶対あるのじゃ!」


 うるさいな……
 図書館では静かにするものだろ。

58: 2008/06/14(土) 23:05:37.46 ID:qVnk7ZSo0
 桜が咲くとまではいかないが、徐々に春の匂いが近づきつつある3月。
 その日、私は隣町の図書館へ来ていた。
 ここ最近ほど毎日のように通っている。
 それは日々を惰性に過ごしている私にもようやく趣味と呼べるものができたからだ。

川 ゚ -゚)「ほう…… 雛見沢症候群か。興味深い…」

 カタカタ……

 独り言を呟きつつ、図書館のパソコンでインターネットを楽しむ。
 自分の部屋にも欲しいのだがつい最近中学生を卒業した私ごときに買える代物ではない。
 親に頼むのも何となく嫌だったので、とりあえず今は図書館のパソコンで満足している。


「あ、雛見沢なのじゃー!!!」


 突然真後ろで声がする。
 さっきのうるさい子供だろうか?
 まったく……

59: 2008/06/14(土) 23:08:15.89 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「すまないが静かにしてくれないか?
     ここは図書館だろ、マナーくらい……」

(´<_ ` )「す、すみません…… ほら妹者も」

l从・∀・;ノ!リ人「すまない…… つい興奮してしまってな」

川 ゚ -゚)「まぁ、いいですけど」

 またパソコンに目を向ける。
 はあ…、っと情けない溜息が出た。
 子供相手にムキになるとは私も疲れているのだろうか。

(´<_ ` )「ほら、妹者もう行くよ…」

l从・∀・ノ!リ人「おぬしも雛見沢に興味があるのか!?」

 さっきの子供はまだ後ろにいた。
 何なんださっきから……

60: 2008/06/14(土) 23:11:11.38 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「ええ、こうして調べると案外面白いですからね。
     すみません、もういいですか?」

 早く消えてくれ……
 心の底からそう思った。しかしそれを口にして言う事はない。
 私は心底素直じゃないらしい。

l从・∀・ノ!リ人「妹者も大好きなのじゃー!
       一緒に調べよう!」

 子供の相手なんて一番疲れる。
 頼むから一人にさせてくれ……

川 ゚ -゚)「いえ、ただの趣味なので結構です……」

 何でこんな子供の子守をしなければならないんだ。
 仕方ない適当言って帰ろう。

川 ゚ -゚)「あの、私そろそろ……」

 私は帰る事を伝えようと子供の方へ顔を向けた。
 すると、―――

62: 2008/06/14(土) 23:14:16.69 ID:qVnk7ZSo0
l从 ∀ ノ!リ人「雛見沢症候群って知ってる?」


 突如、今まで子供だと思っていた少女が急に大人びた表情を見せる。

l从 ∀ ノ!リ人「クスクス…… これはね誰も知らない秘密だからネットなんかには書いてないよ」

川 ゚ -゚)「え、あ……」

 今まで開いていたインターネットのページを思い出す。
 確かそれは雛見沢症候群について。
 でも、特に詳しいことは載っていなかった。
 彼女は何を知っているのだろう?

l从 ー ノ!リ人「どう、知りたい?」

 何かに導かれるように私は口を開く。

川 ゚ -゚)「はい……」

l从 ∀ ノ!リ人「素直だね。じゃあ、教えてあげる。
      でも、その前に3つ誓ってくれる?」

63: 2008/06/14(土) 23:16:19.53 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「……」

 聞いてはいけない気がする。
 これ以上、足を突っ込んではいけない。
 でも、私の好奇心は……

 それらの警告を無視するかのように満ち溢れていた。



l从 ー ノ!リ人「後悔しない、口外しない……」


65: 2008/06/14(土) 23:19:03.41 ID:qVnk7ZSo0


l从゚∇゚ノ!リ人「私が言ったなんて絶対言わない」




川;゚ -゚)「…ち…誓う……」

 こんな幼い少女に気迫で負けてしまった……
 彼女は一体何者なのだろうか……

66: 2008/06/14(土) 23:21:31.56 ID:qVnk7ZSo0
l从・∀・ノ!リ人「なーんて冗談なのじゃ!はい、これは妹者特製スクラップ帳なのじゃー。
       今まで調べたことが書いてあるから参考にするとよいぞ!」

川 ゚ -゚)「へ?」

 『流石妹者』と丁寧に名前の書かれたスクラップ帳を手渡される。
 幼い子供だと思えば急激に大人びいた表情を見せ、かと思ったら子供のような笑顔に戻る。
 とても不思議な少女だった。
 

川;゚ -゚)「だが、誰も知らない秘密と言うのは?」

l从・∀・ノ!リ人「実は妹者の近所に美代っていう婆さんがおってな。
       随分と雛見沢の怖い話をしてくれるのじゃよ!」

(´<_ ` )「こら妹者…婆さんなんて失礼じゃないか。
       確かに認知症が始まってるらしいがまだ六十前のはずだぞ」

l从・∀・ノ!リ人「でも、婆くさいのじゃ…」

68: 2008/06/14(土) 23:24:30.11 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「……」

 調べたわけではないらしい。
 それも認知症の始まった老人のうわ言。
 はっきり言って信用には値しなかった。

 まぁ、所詮は趣味だし調べても載ってないらしいからとりあえず読んでみるか。
 私は手渡されたスクラップ帳を開いた。
       
(´<_ ` )「あんまり当てにしないでくださいね。
       その婆さん頭がイかれてるって近所じゃ誰も近寄らないんです」

l从・∀・ノ!リ人「そんな事ないのじゃ!あんなに面白い婆さん他にいないのじゃ!」


 ページを捲る。
 雛見沢症候群についての推測が事細かに書かれている。
 一見突拍子のない推測もされているが雛見沢の昔話と辻褄があっていてなかなか面白い。

 『雛見沢症候群』
 雛見沢大災害の後に雛見沢の親戚筋にあたる人達が奇怪な事件や怪氏するという奇行をした。
 近年ネットではそれは雛見沢の風土病が原因との噂が囁かれこの名前が付けられる。
 だが、詳細は不明である。
 このスクラップ帳に何か真相を究明できるものが書かれているのだろうか?

69: 2008/06/14(土) 23:27:29.49 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「…これを借りてもいいか?」

l从・∀・ノ!リ人「もちろんなのじゃ!一緒に雛見沢症候群について解明しよう!」

川 ゚ -゚)「……ああ」

 思わず頷いてしまう。
 最初は嫌だったはずなのに、不思議とそう感じなくなってしまった。
 それは雛見沢について語り合える同士を見つけたからなのだろうか?


川 ゚ -゚)「私の名前は須名空。クーって呼んでくれ」

l从・∀・ノ!リ人「流石妹者なのじゃー!妹者ちゃんって呼ぶといいぞ!」

川 ゚ -゚)「ああ、わかった。“妹者”」

l从;・3・ノ!リ人「むぅ……」

 わざとらしく妹者と強調して言う。
 すると期待通りの脹れ面を見せてきた。
 思わず顔を緩めてしまう。
 ……こんなやり取りをするのはいつ振りだろう。

72: 2008/06/14(土) 23:30:46.97 ID:qVnk7ZSo0
l从・∀・ノ!リ人「おっと、紹介を忘れていたのじゃ。
       こちらは妹者のちっちゃい兄者の弟者なのじゃー!」

(´<_ ` )「よ、よろしく……」

川 ゚ -゚)「……ああ」

 冴えない垂れ目をした男がいた。 
 妹者とはあまり似てないようにも見えるがこれを言ったら失礼だろう…

l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者は照れ屋さんなのじゃ。
       ところでクーは雛見沢をどこまで知っておるのじゃ?」

川 ゚ -゚)「そうだな……」

 雛見沢について知っていること。
 雛見沢村は昭和58年に未曾有のガス災害によって滅びた村。
 そのガス災害の前に綿流しの日に5年連続の怪氏事件が起きているということ。
 それが、オヤシロさまの崇りと呼ばれていると言うこと。
 そして、大災害後に起きた雛見沢村の縁者による数々の奇行。

l从;・∀・ノ!リ人「す、すごいのじゃ…妹者よりも全然知っておるぞ」

 日々を退屈に過ごしていた私にとって、ちょうど良い暇つぶしだったという事もあり
 雛見沢についてはインターネットで調べられることはほとんど調べ尽くしていた。
 また、『ひぐらしのなく頃に』と言う雛見沢大災害から連続怪氏事件などをまとめた
 一冊の本のおかげで雛見沢については大方知っている。

73: 2008/06/14(土) 23:33:16.19 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「ああ、暇だったからな。でも妹者は私の知らない雛見沢症候群について
     知っているだろ?」

从・∀・ノ!リ人「うむ、そうなのじゃ!妹者は症候群については大体は知っているぞ!」

川 ゚ -゚)「私が知りたいのはそれなんだ。
     何故、雛見沢大災害の後に雛見沢の親戚筋に当たる人間は奇行に走ったのか……
     本当にオヤシロさまの祟りなのか」

l从・∀・ノ!リ人「妹者の…、というより美代の考えだとこれはある意味オヤシロさまの祟り。
       雛見沢特有の風土病らしいのじゃ」

川 ゚ -゚)「じゃあ、ネットの噂は本当だったのか?」

l从・∀・ノ!リ人「悪魔でも推測じゃ。本当にそんな病気があるかわからんのだし…
      でも、スクラップ帳を読めば分かると思うが雛見沢に伝わる昔話、
      そして大災害前に起きた連続怪氏事件。
      それがうまく説明できるようになるのじゃ」

川 ゚ -゚)「ほぅ……」
 
l从・∀・ノ!リ人「それから、それから―――」

 妹者はスクラップ帳を開き、身振り手振りを使って演説していた。
 私は、ここぞとばかりに目を輝かせ身を乗り出して話を聞く。

 それがつい楽しくて、まるでその空間には私と妹者しかいないような
 そんな感覚に陥ってしまう。

75: 2008/06/14(土) 23:36:12.70 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「それは本当なのか!?」

l从・∀・ノ!リ人「うむ、妹者の研究結果ではそうなってるのじゃ!」


从#゚∀从「静かにしやがれ!!」

 よほど議論に集中していたのか、ここが何処か何て忘れて随分と騒いでいたらしい。

川;゚ -゚)「す、すまない……」

l从・∀・ノ!リ人「あははは!怒られたのじゃ!」

川#゚ -゚)「むっ、妹者のせいだぞ!」

l从>∀<ノ!リ人「妹者は知らないのじゃー!」

(´<_ ` )「いや、どっちもうるさいから」

 
 でもなんでだろう?
 最初は面倒だと思っいたはずなのに、この少女と話していても疲れない。
 むしろ楽しいと感じている。
 それは私の知的好奇心がより雛見沢を求めているからなのだろうか?

 ううん、私が本当に惹かれているのはもしかして……

77: 2008/06/14(土) 23:39:11.94 ID:qVnk7ZSo0
(´<_ ` )「じゃあそろそろ帰ろう妹者。母者に叱られるぞ」

l从・∀・ノ!リ人「おおー!もうこんな時間なのじゃ。
       じゃあね、クー」

川 ゚ -゚)「ああ……また…な」

 私は手を小さく上げて妹者を見送った。
 彼女の背は小さかったが私よりどことなく大きく見えた。
 こんなに素直になれたのはいつ振りだろう?

 もう一度彼女に会いたかった。
 会って、もっと話がしたかった。
 もっと彼女の事を知りたかった……
 
 私の心は大きく揺らぐ。
 それは、今まで感じた事のない感情だった。

78: 2008/06/14(土) 23:42:13.21 ID:qVnk7ZSo0
川 ゚ -゚)「妹者か……」

 彼女の幸せそうな笑顔が脳裏に過ぎる。

 恐らく私は憧れているのだろう。
 悪い言い方をすれば、私にない物すべてを持っている彼女に嫉妬している?

 でも、胸の鼓動はおかしなリズムを刻んでいた。
 これは、嫉妬とか憧れ以上の感情なのかもしれないと言っているかのように。

 私は妹者の消えて行く背中を見つめながら、胸を高鳴らせていたのだった。

79: 2008/06/14(土) 23:44:32.64 ID:qVnk7ZSo0
余震が怖いので少し休憩してきます

84: 2008/06/14(土) 23:58:33.96 ID:qVnk7ZSo0
犬はわんわんうるさいし、リアル妹者は地震の中でも逞しくいびきをかいていました。
再開します

87: 2008/06/14(土) 23:59:37.76 ID:qVnk7ZSo0
*―――*―――*


  4/09(月)
  差出人:妹者
  件名:友達100人出来たかなー?
  本文:
  そうそう、クーはひどいのじゃ!
  妹者が教えるまでずっと妹者の事を子供って思ってたんだから!!ヽ(#`Д´)ノ
  子供で悪うござんした むきー(゜皿゜メ)


 私は思い出に浸りながら、出会った時の事を妹者と話していた。
 何でも妹者は最初私の事を怖いと思ったらしくてできるだけ近寄らないようにしていたらしい。

 それでも、雛見沢を語り合う事のできる同士を見つけたからと頑張って声を掛けたのだとか。
 何とも可愛らしいと思って顔を綻ばせてしまった。

88: 2008/06/15(日) 00:02:15.96 ID:OGPXrbOv0
ミセ*゚ー゚)リ「や、随分と楽しそうね」

 入学してからもう4日も経っていた。
 相変わらず私は周りとうまく馴染めずに妹者とメールをする日々を過ごしていたのだが、
 放課後になって突然声をかけられてしまった。
 私は咄嗟の出来事に情けない小さな悲鳴を漏らしてしまう。

川 ゚ -゚)「あ、すまない…… 君は確か……」

ミセ*゚ー゚)リ「ラウンジ中出身の前原三瀬理よ。よろしくね」

川 ゚ -゚)「ユトリ中出身の須名空だ。よろしく……」

 目の前にいたのは、丁寧に髪をピンで留めた清潔感のある少女。
 そして彼女は明るそうな妹者のようなタイプの人間だった。
 そんな人が私に何の用があるんだろうか?

 まさか、友達一人作らずにいる私をからかいに来たのか?

ミセ*゚ー゚)リ「ふふっ、さっきからメールばっかりしてるみたいだけど彼氏かな?」

 彼氏と言われて少し笑ってしまう。
 私が急に笑い出したので三瀬理はそれに驚いていた。

ミセ;゚ー゚)リ「え、何か面白い事言ったかな?……かな?」

 彼氏か……
 ふふっ、どちらかと言えば私の方が彼氏かな?
 それで、妹者は彼女か。

89: 2008/06/15(日) 00:04:49.06 ID:OGPXrbOv0
川 ゚ -゚)「あぁ、すまない。こっちの話だ」

ミセ*゚ー゚)リ「ふふっ、君はさっきから謝ってばかりだね。
     それと、できればメールしてるときみたいな顔で喋ってくれるとうれしいんだけどね」

 私は恥ずかしさのあまり咄嗟に顔を手で押さえてしまった。
 まさか、私はメールをしながらずっと笑っていたというのか?!
 なるほど、それじゃあ今までに誰も話かけてこないのも納得できる。

 恥ずかしくて穴に入りたいとはこの事を言うのか……

ミセ*゚ー゚)リ「あ、そんな気にしないでよ!
     ねー、この後暇かなー?
     みんなでカラオケ行かないかなって……?」

川 ゚ -゚)「え?」

 突然の誘いについ驚いてしまう。
 しかも、私は喜びを感じている?

90: 2008/06/15(日) 00:07:14.55 ID:OGPXrbOv0
ミセ*゚ー゚)リ「そんなに驚くことないじゃん!いいじゃん、行こうよ!」

 それは戸惑いだった。
 急に誘われたからというのももちろんある。
 だが、何より驚いたのは今までの私なら頑なに拒んでいたであろう友情関係と言うものに
 何の抵抗も感じなくなっていたからだ。

川 ゚ -゚)「ああ、有り難く行かせてもらうよ」

ミセ*゚ー゚)リ「やったー!みんなークーさんも行くってよ」

 三瀬理は、廊下にいる生徒達を呼び集めた。
 どれも同じクラスのはずの人間なのにはじめて会ったかのような顔ぶれだった。

lw´‐ _‐ノv「童は、毎日見ていたぞ。主がお昼においしそうに米を食っている事を。
       米を大事に食う人間に悪い者はいない。
       仲良くしよう須名空!!」

 三瀬理がこの子は砂宗だと紹介した。
 あだ名はシューだそうだ。

(*゚∀゚) 「あひゃひゃひゃ!! つーだよー!よろしくぅ!!」

(゚、゚トソン 「トソンです。あ、メアド交換しよ!」

91: 2008/06/15(日) 00:10:00.80 ID:OGPXrbOv0
 三瀬理の友人達は次々と私に声をかけてくる。
 私は戸惑いながらもそれらに答える。

川 ゚ -゚)「ああ、よろしく」

ミセ*゚ー゚)リ「よーし、挨拶も終わったしカラオケ行こう!」

「「「おー!!!」」」

川 ゚ ー゚)「おー」


 私は妹者以外の人間と何年か振りに笑いあった。
 妹者の言葉がふと聞こえてくる。

『いい加減友達作れば学校も楽しいぞ!』

 ああ、そうかもしれないな……
 ありがとう妹者、素直に笑えるようになったのも君のおかげかもしれない。

 春風が舞う。
 それは、私の心を映しているかのように陽気に踊っていた。

92: 2008/06/15(日) 00:12:21.57 ID:OGPXrbOv0
 TIPS

【雛見沢症候群】

 雛見沢大災害後、全国の雛見沢出身者の間で起こった奇行や刑事事件の原因について医学的に解釈した通称。
 大災害そのものとの関連が、平成の世になってからインターネットの掲示板を中心に議論されるようになる。
 その真偽は未だ不明である。
 様々な説があり現在では宇宙人が雛見沢に飛来し寄生虫を放ったという説が有力だとされている。

93: 2008/06/15(日) 00:15:40.41 ID:OGPXrbOv0

*―――*―――*


( ´_ゝ`)「なぁ、弟者~」

(´<_ ` )「何だ兄者?」

 ハンバーガーを頬張りながら俺は兄者の方に目を向ける。
 そこには自分と同じ顔をした男がポテトをつまみながら何か聞こうとしていた。


( ´_ゝ`)「本当に買うのか?」

(´<_ ` )「……と言うと?」

( ´_ゝ`)「いや、入学祝いに指輪をプレゼントなんて口リコンにも程があるゴボゥ!!」

 兄者は股間を手で押さえ悶絶していた。
 俺はその様子に無関心を装いながら兄者のポテトを一つ摘み口に運んだ。
 少し塩辛いがこの店のポテトはおいしいと素直に思う。

94: 2008/06/15(日) 00:18:25.32 ID:OGPXrbOv0
( ;_ゝ;)「でも、なんでまた指輪なんて……」

(´<_ ` )「あの高校の校則じゃアクセサリー禁止はなかったからな。
       子供っぽい妹者に大人の色気を提供するんだよ」

( ;_ゝ;)「確かに……あの高校は自由だったな……」

 未だに股間を手で押さえ、悶え苦しみながら兄者は言う。

(´<_ ` )「まぁ、あんまし派手なの買ったら先輩に目付けられるかもな」

( ´_ゝ`)「その前に男共が寄って来るな。妹者かわいいから……」

(´<_ ` )「それは心配だな。兄者みたいな変Oに狙われると思うと頃したくなるよ」

(;´_ゝ`)「ま、待て。なんだその見下したような目は?!」

(´<_ ` )「ようなじゃなくて、見下してんだけど」

 ハンバーガーとポテト(兄者の)を全部平らげ、俺は席を立った。
 そしてゴミを捨てにゴミ箱へ向かう。
 このまま帰るか。

96: 2008/06/15(日) 00:21:21.81 ID:OGPXrbOv0
( ;_ゝ;)「ま、待ってよー!」

 兄者は大声で叫びながら後ろを追いかけてくる。
 全く、場所という物を考えて欲しい。
 でも、そういうところは妹者とそっくりなんだな。

 俺は兄者に見えないように小さく微笑んだ。


( ´_ゝ`)「おとじゃー、うみねこの漫画出てるぞ!
       やっぱ、竜ちゃんは天才だな!」

 こういうところは、兄者に似てほしくないと切実に祈った。
 まぁ、妹者なら大丈夫だろうけど……

97: 2008/06/15(日) 00:24:22.04 ID:OGPXrbOv0
*―――*―――*


( ´_ゝ`)「暗くなってきたな……用事を済ませたし早く帰るか」

 ファーストフード店を出た時には、まだ空は赤い色をしていたが
 今はもう気味の悪い仄暗い色になっていた。

(´<_ ` )「ああ、そうだな」

 俺は手に持っている袋を眺めて顔を綻ばせた。
 何度も何度も悩んで妹者に似合うようなアクセサリーを選んで買った。
 きっと妹者は喜んでくれるはずだ。

 妹者の喜ぶ姿が目に浮かんでくるような気がした。

99: 2008/06/15(日) 00:28:41.87 ID:OGPXrbOv0
( ´_ゝ`)「ぷぷっ、しかし焦ったな」

(´<_ ` )「ん?」

 兄者は何かを思い出したように馬鹿にしながら笑っていた。

( ´_ゝ`)「妹者の指のサイズだよ。わかんなかったんだろwww」

(´<_ ` )「あ~、その事か」

 俺もそれを思い出し苦笑いを浮かべる。
 ただ横で腹を抱えて笑っている兄者がムカついたので、とりあえず殴っておいた。

 俺はアクセサリー選びだけで満足しサイズの事まで気にしていなかったのだ。
 だから店員をだいぶ困らせてしまった。

102: 2008/06/15(日) 00:32:37.32 ID:OGPXrbOv0
( ;_ゝ;)「サイズ知らないなら指輪じゃなくてもいいのに……」

(´<_ ` )「妹者は指輪を欲しがってたんだよ。
       大丈夫、今はチェーンに付けるタイプもあるからサイズ合わなくても
       何とかなるよ」

 兄者にではなく、自分に言い聞かせるように呟いた。
 妹者へのサプライズなプレゼントなんだからサイズ聞くわけにもいかないしな。

( ´_ゝ`)「そういや指輪欲しいって母者にねだってたもんな。
       母者に頼むとは末恐ろしい奴……」

(´<_ ` )「姉者の結婚式に感化されたんだろ。……ん?」

 ポケットから携帯の着信であろう振動がした。
 誰だろ? 俺は首をかしげながら携帯を開いた。

( ´_ゝ`)「誰だ?女だったら頃す」

103: 2008/06/15(日) 00:35:17.54 ID:OGPXrbOv0
『もしもしなのじゃー!今どこにいるのじゃ?』

(´<_ ` )「おう、妹者じゃないか!今は、兄者とラウンジ通りにいるぞ」

『ラウンジだと今帰り道の途中じゃな?』

( ´_ゝ`)「なんだ、妹者か。どうした?」

『一緒に帰るのじゃ!今、ラウンジの公園にいるのじゃー』

(´<_ ` )「公園?把握した、すぐ行くよ」

 待ってるのじゃ!と言う元気な声がした後に通信は途切れる。
 俺は携帯で今の時刻を確認してからポケットにしまった。

(´<_ ` )「公園にいるから一緒に帰ろうだってさ」

( ´_ゝ`)「ほう、公園か…ひょっとして俺は邪魔か?」

(´<_ ` )「さて、グーかチョキか?」

(;´_ゝ`)「おk、とりあえず落ち着こう。チョキ危ないから!」

 兄者は両手を前に出し参ったのポーズをする。
 この男はあの日からずっとこうなんだよな。
 俺と妹者は別に……

104: 2008/06/15(日) 00:38:52.78 ID:OGPXrbOv0
( ´_ゝ`)「まぁ、妹者が天使だって言うのは納得でk

 その言葉を言い終わる前に兄者は地面で寝ていた。
 全く、こんな事をしている場合じゃないのに。
 幼い頃兄者に漏らしたその一言に赤面しつつ、俺は歩を進める。

(´<_ `#)「おら、行くぞ!」

( ×_ゝ×)「はいぃ、生まれてきてごめんなさい……」

 俺は足早に公園へ向かった。
 確か今いるところなら10分も掛からないはず。

 時刻は景色を紺に染める夕方の7時半。
 妹者はどうしてそんな時間に公園にいるんだろう?

107: 2008/06/15(日) 00:41:47.73 ID:OGPXrbOv0
(´<_ ` )「妹者ー!」

 公園には数分で着いたのだが、違和感を感じた。

 …………

 風がなびくと共に桜の花びら舞うだけで、そこには何の気配もない空間が広がっていたのだ。

( ´_ゝ`)「妹者いないな……電話してみたら?」

(´<_ ` )「……ああ、そうだな」

 俺は携帯をポケットから取り出そうと手を伸ばす。
 その瞬間、




「きゃああああああ!!!!!!」





108: 2008/06/15(日) 00:44:35.37 ID:OGPXrbOv0

 ―――ッ!?

 甲高い悲鳴が静寂を打ち破る。
 しかもそれは聞き覚えのある声だった。
 これはまさか……


( ´_ゝ`)「何ぼさっとしてるんだ!今の妹者だろ!?」

(´<_ ` )「ああ、すまん!!」

 俺は気が動転していた。妹者だって信じたくなかったからだ。
 しかし兄者の声に目を覚ます。
 そうだ、とにかく探さなきゃ……

(´<_ ` )「いもじゃー!!」

 俺は叫ぶ。
 それは今にも泣きそうな、情けない声だった。


109: 2008/06/15(日) 00:47:24.47 ID:OGPXrbOv0
「ぅ~ぅ……」

 耳を澄ます。

「ぅ……ん!!」

 とても小さな唸り声のような音。
 気のせいだと言われれば、否定できないようなそんな小さな音。

 俺はそのわずかな音を頼りに探し歩く。
 そして、公園のトイレに辿り着いた。


「う゛……うー……」

 唸り声は大きく聞こえてきた。
 確かにここには誰かがいる。
 俺はそこに妹者がいることを確信しトイレのドアを乱暴に開けた。

110: 2008/06/15(日) 00:50:25.38 ID:OGPXrbOv0
(´<_ ` )「妹者!?」
 
l从; ;ノ!リ人「う……うー……」

 そこには、口をガムテープで塞がれ上半身を下着一枚にされた妹者の姿があった。

(;@з@)「な、何だお前は!?」


 そして、目の前にいたのは小太りの男。

(;@з@)「な、何をするつもりだ!?僕はこれでも―――ッ!!」

 否―、

 目の前には一つの肉塊が転がった

(#)з@)「ひぃ~~~!!!たすけ――」

 地面を這いずりながら逃げようとする男の襟を掴む。
 俺は掴んだままその男を持ち上げ、勢いよく地面へと叩きつけた。

 男はぴくぴくと痙攣している。
 だが、俺はそれに関係なく フクブニ ケリヲ イレル

112: 2008/06/15(日) 00:53:19.50 ID:OGPXrbOv0
( ´_ゝ`)「妹者、大丈夫か!?」


アニジャハ イモジャヲ シバッテイタモノヲ ホドイテクレタ


l从;-;ノ!リ人「だいじょうぶ、……だいじょうぶなのじゃ……
       だから……」


ヨカッタ ソノコトバヲ キケテ アンシンシタヨ

コレデ アンシンシテ シュウチュウ デキル

114: 2008/06/15(日) 00:56:06.29 ID:OGPXrbOv0
オレハ コブシヲ フリアゲ

ソシテ オロシタ

オトコハ マダ イキヲ シテイタ

ダカラ モウイチド コブシヲ フリアゲ オロシタ

キカイテキニ ソノコウイヲ クリカエス

コブシヲ フリアゲ オロス

ホネノ クダケタヨウナ ニブイオトガ ナリ

キタナイ チシブキガ マッタ

ソノタビニ オレノカラダハ ヨゴレテイッタ

コノ ケガラワシイ オトコノ チ デ……

116: 2008/06/15(日) 00:58:41.85 ID:OGPXrbOv0
「もうやめて……やめるのじゃ……」

 誰かの声が聞こえた。
 俺は声のした方向を見なかった。
 見たら止められそうな気がして……

 俺は繰り返した。
 何度も何度も。
 殴り蹴り踏み潰し……


(;;);з(;;)「だ、ずげっ……―――でッ!!」

 小太りで顔の大きかった男の顔は更に腫れを増し2倍くらいに脹れていた。
 だが、まだ息をしている。
 俺は何よりそれが許せなかった。

 だから、もう一度、真っ赤に染まった拳を男の顔面に叩き付ける。

 妹者を汚した醜い男をこの世から消すために。

118: 2008/06/15(日) 01:01:14.19 ID:OGPXrbOv0
 ―――なぁ、もうやめないか?

 自分の中にいる誰かが語りかける

 ―――もう、十分じゃないか

 だが、それを無視するかのように俺は男を殴っていた

 ―――幸い妹者は、取り返しの付かないことまではされてないんだろ?

 警告するのは自分の理性だった

 ―――あとは警察にまかせておけばいいじゃないか

 理性がやさしく論する

 ―――ほら、今お前がすべき事は怖がってる妹者を安心させることだろ?

 そうだ、俺が今すべき事はこの男を頃すことなんかじゃない
 妹者の頭を撫でてあげることだ

120: 2008/06/15(日) 01:03:51.99 ID:OGPXrbOv0
 俺は、掴んでいたそれを放り投げる。
 今まで以上に大きく鈍い音がした後に、それは動かなくなっていた。

 そして、

 俺は妹者のもとへ駆け寄った。


『もう大丈夫だよ』


 そう、声をかけながら頭を撫でようとして

 手を伸ばした―――

122: 2008/06/15(日) 01:08:03.84 ID:OGPXrbOv0




l从;-;ノ!リ人「いやああああああああああああああああ!!!!!」



( <_   )「え……?い、いも……じゃ…?」


 悲鳴の後に聞こえてきたのは、たった一つの単語だった。
 とても冷たく悲しい……

 一つの感情だった





123: 2008/06/15(日) 01:11:02.22 ID:OGPXrbOv0









l从;-;ノ!リ人「こわい……」








124: 2008/06/15(日) 01:13:34.31 ID:OGPXrbOv0
 TIPS

【夜に舞う桜の花びら】

 春は桜や草花が咲き全てをピンクや赤に染める。
 秋は紅葉が渋く格好いい茶や赤、黄緑に染める。
 冬は白く幻想的な雪が全てを染めていく。

 そして、私の一番のお気に入りの夏はいろんな色を見せてくれるのだ。
 青い空に白い雲、まるでそれを鏡で映したかのような青い海に白い砂浜。
 太陽がさんさんと照らす緑の輝き。
 天高く生える向日葵の黄色。
 もうお帰りだよって教えてくれる夕焼けの赤。

l从・∀・ノ!リ人「夏が待ち遠しいのじゃー」

 私は独り言のように微笑む。

125: 2008/06/15(日) 01:15:41.66 ID:OGPXrbOv0
 今年の夏は新しい友達の家でお泊り会がしたいな。
 そこで内緒でお酒を飲みっこするのもいい。

 もちろんクーともいっぱい遊ぼう。
 そうだ、クーを美代のところに連れて行こう。
 きっと美代も喜んでくれるはず。

 それから家族旅行も楽しみ。
 今年はどこに行くんだろう?
 でも今年もおっきい兄者が何か失敗しちゃって、ちっちゃい兄者に怒られちゃうんだろうな。

127: 2008/06/15(日) 01:18:01.11 ID:OGPXrbOv0

 春も秋も冬もいろんな色を見せてくれる。
 でも、一番夏が好きなのはずっと太陽が働いてくれるからだ。

 夏以外の時期の太陽は怠け者だ。
 すぐに沈んで夜を呼び寄せてしまう。

 私は夜が嫌いだ。
 全てを黒に染める夜なんて……


 でも、そんな夜の時間帯に私はあるものを発見する。
 それは公園の電灯で寂しくライトアップされた桜の木だった。

128: 2008/06/15(日) 01:20:13.97 ID:OGPXrbOv0
l从・∀・ノ!リ人「綺麗……」

 桜の花びらが風で舞い微弱な光を受けて輝く。
 それは朝見る桜とは違った美しい光景だった。

 私は胸を高鳴らせる。
 新しいおもちゃを見つけた子供のようにドキドキと。

 この感動を他の人にも伝えたかった。
 だから、私は最愛の兄達を呼ぶ事にした。


 私に名前と居場所をくれた最愛の兄達を。


129: 2008/06/15(日) 01:22:54.86 ID:OGPXrbOv0
 桜の花びらは未だにひらひらと舞い私の肩にちょこんと乗る。
 私はそれを見て微笑むのだった。

l从・∀・ノ!リ人「早く来ないかなー?」

 にやけながら兄達を待つ。
 変Oだけどみんなを笑わせるムードメーカな楽しい兄と
 誰よりも私の事を気にかけて守ってくれる優しい兄。

 また笑みがこぼれてくる。





 お父さん、お母さん

 私は今、世界で一番幸せです――― 



131: 2008/06/15(日) 01:28:18.66 ID:mwdW6b+WO

137: 2008/06/15(日) 02:08:58.41 ID:OGPXrbOv0
>>136
憑かれやすいさんですか? お気使いありがとう。
それじゃあ、特に何もないようなので寝ます
最後まで支援や乙ありがとうございました
 
( ^ω^)と ξ゚⊿゚)ξ の鬼隠しのようです―解―【第2話】

引用: ( ^ω^)と ξ゚⊿゚)ξ の鬼隠しのようです―解―