331: 2011/05/29(日) 19:37:01.37 ID:NOKzFu4bo
杏子「更新開始。今回も鬱展開だ……」
杏子「だが明けない夜はない。今はただ、まどか達の行く末を見守ってほしい」
【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その1】
【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その2】
【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その3】
【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その4】
杏子「だが明けない夜はない。今はただ、まどか達の行く末を見守ってほしい」
【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その1】
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【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その4】
332: 2011/05/29(日) 19:37:32.20 ID:NOKzFu4bo
「はい、杏子ちゃん」
真夏のとある日の出来事。
河川敷の日陰でまどかが白い封筒を杏子に手渡す。
「まどか、なんだいコレ?」
封筒の裏表を確認しながら、杏子がまどかに尋ねる。
「この前みんなで一緒に撮った写真だよ」
「ああ、あの時のか」
封筒の中から写真を取り出して見ていると、杏子の肩越しにさやかが写真を覗き込んで言う。
「あーあ。せっかくみんな揃った集合写真なのにさ。転校生はともかく、杏子まで横向いてるし」
「……なんだよ。こう言うの慣れてないんだから、しょうがないじゃんか……」
どこかからかうようなさやかの口調に、杏子は少し照れくさそうな顔で返す。
「まあまあ二人とも。また全員揃って写真を撮る機会なんて、これからいくらでもあるわよ」
「そうだね。その時までにもう少し写真撮る腕を上げておくよ」
マミが杏子とさやかを宥め、芳文がマミの言葉に同意する。
「今でも芳文さん、写真撮るの上手だと思うよ」
「そうかな? でも何事も練習あるのみだし、もっと上手くなるように努力はしないとな」
「がんばってね、芳文さん」
「ああ」
まどかに優しく微笑みながらそう答えると、芳文はふと湧いて出た疑問を口に出す。
「ところでさぁ、淫獣って俺達以外には見えないんだよな。この写真には普通に写ってるけど」
「言われてみればそうね」
「この写真、他の人に見せたらキュゥべえ見えるのかな?」
「うーん。どうなんだろうね?」
マミとさやかとまどかが、首を捻りながらそれぞれの意見を言う。
「案外、心霊写真みたいに見えたりしてな。他の奴にはまどかが猫かなんかの幽霊を抱いてるように見えたりして」
杏子がそう言うと、まどかは少し嫌そうな顔で杏子に言う。
「やめてよ杏子ちゃん。そういう怖い事言うの」
「ん? まどかは幽霊とか駄目なのかい?」
「うん。だって、怖いよ……」
「魔女や使い魔は平気なのに?」
「平気じゃないよ。魔女も使い魔も怖いよ。でも、みんなが一緒だから頑張れるんだもん」
「かわいい事言うね、この子は!!」
まどかのその言葉に、感激したさやかがまどかに抱きつく。
「わっ。さやかちゃん苦しいよ」
「んーっ。やっぱまどかはあたしの嫁だーっ」
そう言ってまどかを抱きしめ続けるさやかに、芳文がぴしゃりと言う。
「それは駄目。まどかは俺の嫁になるの」
芳文のその言葉に、まどかの顔が一瞬で真っ赤に染まる。
真夏のとある日の出来事。
河川敷の日陰でまどかが白い封筒を杏子に手渡す。
「まどか、なんだいコレ?」
封筒の裏表を確認しながら、杏子がまどかに尋ねる。
「この前みんなで一緒に撮った写真だよ」
「ああ、あの時のか」
封筒の中から写真を取り出して見ていると、杏子の肩越しにさやかが写真を覗き込んで言う。
「あーあ。せっかくみんな揃った集合写真なのにさ。転校生はともかく、杏子まで横向いてるし」
「……なんだよ。こう言うの慣れてないんだから、しょうがないじゃんか……」
どこかからかうようなさやかの口調に、杏子は少し照れくさそうな顔で返す。
「まあまあ二人とも。また全員揃って写真を撮る機会なんて、これからいくらでもあるわよ」
「そうだね。その時までにもう少し写真撮る腕を上げておくよ」
マミが杏子とさやかを宥め、芳文がマミの言葉に同意する。
「今でも芳文さん、写真撮るの上手だと思うよ」
「そうかな? でも何事も練習あるのみだし、もっと上手くなるように努力はしないとな」
「がんばってね、芳文さん」
「ああ」
まどかに優しく微笑みながらそう答えると、芳文はふと湧いて出た疑問を口に出す。
「ところでさぁ、淫獣って俺達以外には見えないんだよな。この写真には普通に写ってるけど」
「言われてみればそうね」
「この写真、他の人に見せたらキュゥべえ見えるのかな?」
「うーん。どうなんだろうね?」
マミとさやかとまどかが、首を捻りながらそれぞれの意見を言う。
「案外、心霊写真みたいに見えたりしてな。他の奴にはまどかが猫かなんかの幽霊を抱いてるように見えたりして」
杏子がそう言うと、まどかは少し嫌そうな顔で杏子に言う。
「やめてよ杏子ちゃん。そういう怖い事言うの」
「ん? まどかは幽霊とか駄目なのかい?」
「うん。だって、怖いよ……」
「魔女や使い魔は平気なのに?」
「平気じゃないよ。魔女も使い魔も怖いよ。でも、みんなが一緒だから頑張れるんだもん」
「かわいい事言うね、この子は!!」
まどかのその言葉に、感激したさやかがまどかに抱きつく。
「わっ。さやかちゃん苦しいよ」
「んーっ。やっぱまどかはあたしの嫁だーっ」
そう言ってまどかを抱きしめ続けるさやかに、芳文がぴしゃりと言う。
「それは駄目。まどかは俺の嫁になるの」
芳文のその言葉に、まどかの顔が一瞬で真っ赤に染まる。
333: 2011/05/29(日) 19:38:17.27 ID:NOKzFu4bo
「……うわー。先輩、堂々とそんな事言って恥ずかしくない?」
「そりゃ恥ずかしいけどさ、言うべき事は言わないと」
「あーはいはい、そうですか。まあ兄貴の嫁を寝取るのもなんだしね。はい、先輩」
さやかは呆れ半分、照れくささ半分といった感じでそう言うと、芳文の方へ向けて軽くまどかの背中を押す。
「あぅ……」
芳文の前に突き出されて、芳文の顔を見上げると、まどかは恥ずかしそうに俯いてしまう。
そんなまどかの様子を見て、芳文も今更ながら顔を赤くして視線を逸らす。
「あらあら、私達はお邪魔かしら。ねえ、佐倉さん」
「かもな。実際、魔女との戦いの時も、もうこいつらだけでいいんじゃないかなって思う時もあったしな」
マミと杏子が笑いながらそう言うと、真っ赤になって俯いていたまどかが口を開く。
「そんな事ないもん。芳文さんとは一緒にいたいけど、みんなとも一緒にいたいもん」
『……』
まどかのその言葉に、マミ達は優しい顔で微笑む。
「やれやれ。まどかは欲ばりだなあ」
「社が一緒なだけじゃ駄目ってか」
「でも、そう言ってくれると嬉しいわ」
「さやかちゃん、マミさん、杏子ちゃん。これからもずっと仲良くしてほしいな」
「そんなの当たり前っしょ」
「ええ」
「……ああ」
三人は優しい笑顔でまどかに頷く。
中学二年の夏休みのとある一日。
大切な友達とのかけがえのない思い出として、まどかはこの時の事を一生忘れないと思ったのだった。
第20話 「俺達は神様じゃない」
334: 2011/05/29(日) 19:38:52.68 ID:NOKzFu4bo
「……夢」
この街での一時的な活動拠点にしている廃屋の一室で、まどかは窓から差し込む夕焼けに照らされながら目を覚まして呟いた。
「……おはよう、まどか」
まどかの隣で壁にもたれかかっている芳文が、まどかに目覚めの挨拶をする。
「……おはよう、芳文さん」
昨夜に魔女を狩ってグリーフシードを手に入れてから、明け方近くにここに戻ってきて、二人で寄り添うように壁にもたれかかりながら、一枚の毛布に包まって寝ていたのを思い出してまどかは芳文に尋ねる。
「わたし、寝言とか言ってた?」
「いや。俺もついさっき起きたばっかりだから。昨日の夜も魔女退治したから疲れてたのかな。全然気づかなかった」
まどかの問いに芳文はそう答えた。
「そう……」
「ああ」
――実際は二人だけでの放浪の旅を始めてから、芳文が全くの無防備で眠った事はなかった。
いつ、どこで、あの忌々しいインキュベーターが現れて、まどかに危害を加えようとするかわからない以上、芳文は常に神経を尖らせていた。
今では例え微かな物音や気配だけでも、それらを感じ取ればすぐに起き出して、戦闘態勢に移行できるようになっていた。
そんな生活を続けている内に、時折まどかが家族や友人達の事を夢に見て、寝言を言ったりうなされたりするのにも芳文は気付いていた。
――だが、それも仕方のない事だとも芳文は思っていた。
元々優しい家族と友達に囲まれて、平凡だけれども幸せな人生を歩んできた彼女が、突然魔法少女と言う過酷な運命を背負わされた挙句、すべてを奪われてこんな環境で生きていかなければいかなくなったのだから。
せめて、少しでもまどかの心の平穏を保つ為、芳文は出来うる限りまどかに対して、今まで以上に優しく接してきた。
グリーフシードの数が無限ではない以上、今ではまどかに負の感情を溜めこませず、尚且つ無駄な魔力を使わせないようにするのが、旅立ってからの芳文の役目になっていた。
「……あのね、さやかちゃん達の夢を見たの」
「……そうか」
「うん……。みんな元気かな……」
「……きっと元気さ」
「……そうだよね」
まどかと芳文はそんな会話をしてお互いに黙り込んでしまう。
(――見滝原を離れてから、もう二年近く経つのか)
時折窓を叩いて室内に吹き込む、冷たくなってきた風を頬で感じながら、芳文は心の中で呟く。
「そろそろ行こうか」
芳文がそう言うと、まどかが頷いて立ち上がる。
腰まで伸びた桃色の長い髪が、窓から差し込む夕焼けに照らされて輝く。
「……髪、伸びたな」
「……そうだね」
荷物の中から、手鏡と櫛を取り出して髪の毛を梳かしながら、まどかは言う。
「おかしいよね。体はあれから全然成長しないのに、髪の毛と爪だけは伸びるんだもん。やっぱり変だよね……」
まどかの体の成長は、魔法少女になった時から、完全に止まっていた。
まどかの体は第二次性徴期の初期段階である、胸が膨らんで、体が徐々に丸みを帯び始めるといった所から、まったく成長していなかった。
髪の毛と爪だけが今でも伸び続けているのは、人間の爪と髪の毛は自然に伸びてくる物と言う、まどかの認識と無意識が生んだ結果でしかない。
「……そう言う言い方はよせ」
「……ごめんなさい」
毛布を片づけながら芳文がそう言うと、まどかは髪を梳かす手を止めて謝った。
「……芳文さん」
鏡越しに背後の芳文を見ながら、まどかが口を開く。
「ん?」
鏡越しにまどかの瞳に映る芳文の体もまた、去年の冬から成長していなかった。
見滝原を出て、芳文の身長が188センチになった十六歳の冬頃から、芳文もまったく成長しなくなっていた。
これは自分自身が成長出来ないのに、芳文だけが大人になっていくのを、まどかが無意識に嫌った為だった。
まどかの魔力で魂を体に繋ぎとめて生命を維持しながら、インキュベーター曰く、魔人としての巨大な戦闘能力を手にしている芳文にとって、まどかの無意識の願いは絶対だった。
「……ううん。なんでもない」
「……どこかで食事を取ったら、魔女と魔法少女を探しに行こう」
芳文はまどかが何を言おうとしたのか気付いていたが、あえて気付かないふりをしてまどかにこれからの予定を告げた。
「うん」
芳文は着ていた皮ジャンを脱ぐと、寝ているうちに付いてしまった廃屋の埃をはたいて、再び袖を通す。
(――ごめんなさい)
まどかは鏡越しに芳文の背中を見ながら、芳文の成長を無意識とはいえ、止めてしまった事を心の中で詫びるのだった……。
335: 2011/05/29(日) 19:39:46.54 ID:NOKzFu4bo
☆
――ヒュウゥゥゥゥゥゥゥ……。
冷たい夜風が、鉄塔の上に立って、眼下の街並みを見ているまどかの長い髪を流す。
まどかはソウルジェムを掌の上に出すと、夜の街に向けてソウルジェムを翳す。
ソウルジェムにほんの微かな反応が出たのに気付くと、まどかは傍らに立って周囲を警戒している芳文に声をかける。
「芳文さん。向こうに反応があるよ」
「――行くか」
「うん」
見滝原での半年間の魔女狩りの経験と、芳文との二年間の旅で、まどかの魔女探索能力もかなり上がっていた。
今ではかなり離れた場所からでも、魔女や使い魔の大体の居場所が分かるようになっていた。
最強の魔法少女の力は、今だ健在だった。
まどかが魔法少女の姿へ変身し、芳文を誘導するべく先に動いた。
二人は目的地までの建物の屋根を、軽々と跳んでいく。
「あそこだよ」
魔女の結界を確認し、まどかは振り返りもせずに背後の芳文に告げる。
まどかはそのまま左手を前に出すと、そのまま魔女の結界へと突入する。芳文もまた、まどかの後へと続いて結界の中へと突入した。
まるでステンドグラスのような色彩の、ガラス張りの結界の中へ侵入すると、まどかと芳文は互いのポジションを変更する。
芳文が前線に立ち、まどかは後方から芳文のサポートをする。
まどかが魔法少女になってから、ずっと変わらないいつものポジションを維持しながら、二人は結界の中を突き進んでいく。
途中で、良くわからないガラスのオブジェのような形をした使い魔が、何匹か襲い掛かってくるが、すべて芳文の振るう神速の鉄拳と蹴りで粉砕消滅させられる。
芳文に襲い掛かる個体は勿論、まどかを狙って襲い掛かってくる使い魔も、芳文が一瞬でまどかの前に移動して粉砕する。
まどかの魔力をまったく使う事なく、二人は結界の奥深くへと辿り着いた。
「――ここか」
魔女のいる部屋の扉を見つけて、芳文の放った鉄拳が扉を粉々に粉砕する。
芳文達が魔女の部屋へと突入すると、中では小さな魔法少女が、幾学模様のステンドグラスのようなガラスの巨人と戦っていた。
「このおっ!!」
まるでバイキングのヘルメットのような帽子をかぶり、手甲と胸当てを着けて、膝まであるブーツとショートパンツを履いた少女。
少女は手にした二本の短剣を魔女へ投げつけると、パリイィィィィィンッと音を立てて、魔女の体が砕ける。
「やった!?」
少女の動きが一瞬止まったその時、砕けた魔女の破片が少女目掛けて物凄い勢いで飛んできた。
少女の顔が破片に貫かれそうになったその瞬間、まどかの展開させた魔法障壁――マギカ・イージス――がすべての破片を受け止めて、消滅させた。
「――え?」
少女が呆然としていると、芳文が少女の傍らに降り立って、少女の首根っこを掴んで持ち上げる。
「邪魔だ。下がっていろ」
そう言って、芳文は少女をまどかのほうへと放り投げた。
「あわわわわわっ!?」
いきなり後方へ放り投げられた少女を、まどかが優しく受け止める。
――ヒュウゥゥゥゥゥゥゥ……。
冷たい夜風が、鉄塔の上に立って、眼下の街並みを見ているまどかの長い髪を流す。
まどかはソウルジェムを掌の上に出すと、夜の街に向けてソウルジェムを翳す。
ソウルジェムにほんの微かな反応が出たのに気付くと、まどかは傍らに立って周囲を警戒している芳文に声をかける。
「芳文さん。向こうに反応があるよ」
「――行くか」
「うん」
見滝原での半年間の魔女狩りの経験と、芳文との二年間の旅で、まどかの魔女探索能力もかなり上がっていた。
今ではかなり離れた場所からでも、魔女や使い魔の大体の居場所が分かるようになっていた。
最強の魔法少女の力は、今だ健在だった。
まどかが魔法少女の姿へ変身し、芳文を誘導するべく先に動いた。
二人は目的地までの建物の屋根を、軽々と跳んでいく。
「あそこだよ」
魔女の結界を確認し、まどかは振り返りもせずに背後の芳文に告げる。
まどかはそのまま左手を前に出すと、そのまま魔女の結界へと突入する。芳文もまた、まどかの後へと続いて結界の中へと突入した。
まるでステンドグラスのような色彩の、ガラス張りの結界の中へ侵入すると、まどかと芳文は互いのポジションを変更する。
芳文が前線に立ち、まどかは後方から芳文のサポートをする。
まどかが魔法少女になってから、ずっと変わらないいつものポジションを維持しながら、二人は結界の中を突き進んでいく。
途中で、良くわからないガラスのオブジェのような形をした使い魔が、何匹か襲い掛かってくるが、すべて芳文の振るう神速の鉄拳と蹴りで粉砕消滅させられる。
芳文に襲い掛かる個体は勿論、まどかを狙って襲い掛かってくる使い魔も、芳文が一瞬でまどかの前に移動して粉砕する。
まどかの魔力をまったく使う事なく、二人は結界の奥深くへと辿り着いた。
「――ここか」
魔女のいる部屋の扉を見つけて、芳文の放った鉄拳が扉を粉々に粉砕する。
芳文達が魔女の部屋へと突入すると、中では小さな魔法少女が、幾学模様のステンドグラスのようなガラスの巨人と戦っていた。
「このおっ!!」
まるでバイキングのヘルメットのような帽子をかぶり、手甲と胸当てを着けて、膝まであるブーツとショートパンツを履いた少女。
少女は手にした二本の短剣を魔女へ投げつけると、パリイィィィィィンッと音を立てて、魔女の体が砕ける。
「やった!?」
少女の動きが一瞬止まったその時、砕けた魔女の破片が少女目掛けて物凄い勢いで飛んできた。
少女の顔が破片に貫かれそうになったその瞬間、まどかの展開させた魔法障壁――マギカ・イージス――がすべての破片を受け止めて、消滅させた。
「――え?」
少女が呆然としていると、芳文が少女の傍らに降り立って、少女の首根っこを掴んで持ち上げる。
「邪魔だ。下がっていろ」
そう言って、芳文は少女をまどかのほうへと放り投げた。
「あわわわわわっ!?」
いきなり後方へ放り投げられた少女を、まどかが優しく受け止める。
336: 2011/05/29(日) 19:40:12.66 ID:NOKzFu4bo
――ポスッ。
「もう、大丈夫だよ」
恐る恐る自分の顔を見上げる、自分よりも小さな少女に、まどかは優しく微笑む。
「え? だ、だれ? あっ!? あの人一人じゃ危ないよっ!!」
少女が慌てて自分の腕の中で騒ぐのを、まどかはくすっと笑って宥める。
「大丈夫。すぐに終わるから」
「えっ?」
少女とまどかがそんなやり取りをしている内に、芳文は魔女を追い詰めていた。
魔女の振るった拳を躱して、天高く跳躍すると、魔女の頭部にかかと落としを叩き込む。
魔女の頭が粉々に粉砕され、胸部まで芳文のかかとが引き裂く。
砕け散った破片が粉微塵になり消滅する。
頭を潰された魔女の両手が、かかとを自分の胸部にめり込ませたままの芳文を潰そうとする。
芳文は空いている方の足で、渾身の蹴りを魔女の胸部に叩き込み、そのままめり込ませたかかとを引き抜いて、魔女から距離を取る。
胸部を砕かれた魔女の全身にヒビが入り、全身が木端微塵に粉砕された。
破片がぼとぼとと地面に落ちていく。
芳文は魔女に背を向けて、まどか達の元へと戻ろうとする。
その時、破片の中から特に鋭く尖った赤い破片が、芳文の背中目掛けて飛んできた。
「危ない!!」
少女が叫ぶ。
芳文は振り返りもせず、飛んできた破片を最小限の動きで躱すと、神速の速さでその破片を掴み、粉々に握り潰した。
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
芳文が魔女の本体を破壊した事で、結界が消滅する。
グリーフシードが落ちてくる。芳文はそれをキャッチすると、まどか達の元へと歩いていく。
「芳文さん、お疲れ様」
「ああ」
まどかと短いやりとりを済ませると、芳文はまどかの腕の中の少女をじっと見つめて、口を開いた。
「どうだ?」
「ううん。この子も駄目みたい」
まどかは助けた少女から感じる魔力では、自分を人間に戻せないと判断して、芳文にそう答える。
「そうか。じゃあ、いつもどうりに」
「うん」
まどかが少女の胸元のブローチとして着けられている、少女の赤いソウルジェムを少女の体の中に戻して、元の人間に戻してやろうとしたその時だった。
まどかの腕の中から、少女が抜け出して、芳文とまどかをキラキラとした瞳で見つめながら口を開いた。
「助けてくれてありがとう!! お姉ちゃん!! お兄ちゃん!!}
「もう、大丈夫だよ」
恐る恐る自分の顔を見上げる、自分よりも小さな少女に、まどかは優しく微笑む。
「え? だ、だれ? あっ!? あの人一人じゃ危ないよっ!!」
少女が慌てて自分の腕の中で騒ぐのを、まどかはくすっと笑って宥める。
「大丈夫。すぐに終わるから」
「えっ?」
少女とまどかがそんなやり取りをしている内に、芳文は魔女を追い詰めていた。
魔女の振るった拳を躱して、天高く跳躍すると、魔女の頭部にかかと落としを叩き込む。
魔女の頭が粉々に粉砕され、胸部まで芳文のかかとが引き裂く。
砕け散った破片が粉微塵になり消滅する。
頭を潰された魔女の両手が、かかとを自分の胸部にめり込ませたままの芳文を潰そうとする。
芳文は空いている方の足で、渾身の蹴りを魔女の胸部に叩き込み、そのままめり込ませたかかとを引き抜いて、魔女から距離を取る。
胸部を砕かれた魔女の全身にヒビが入り、全身が木端微塵に粉砕された。
破片がぼとぼとと地面に落ちていく。
芳文は魔女に背を向けて、まどか達の元へと戻ろうとする。
その時、破片の中から特に鋭く尖った赤い破片が、芳文の背中目掛けて飛んできた。
「危ない!!」
少女が叫ぶ。
芳文は振り返りもせず、飛んできた破片を最小限の動きで躱すと、神速の速さでその破片を掴み、粉々に握り潰した。
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
芳文が魔女の本体を破壊した事で、結界が消滅する。
グリーフシードが落ちてくる。芳文はそれをキャッチすると、まどか達の元へと歩いていく。
「芳文さん、お疲れ様」
「ああ」
まどかと短いやりとりを済ませると、芳文はまどかの腕の中の少女をじっと見つめて、口を開いた。
「どうだ?」
「ううん。この子も駄目みたい」
まどかは助けた少女から感じる魔力では、自分を人間に戻せないと判断して、芳文にそう答える。
「そうか。じゃあ、いつもどうりに」
「うん」
まどかが少女の胸元のブローチとして着けられている、少女の赤いソウルジェムを少女の体の中に戻して、元の人間に戻してやろうとしたその時だった。
まどかの腕の中から、少女が抜け出して、芳文とまどかをキラキラとした瞳で見つめながら口を開いた。
「助けてくれてありがとう!! お姉ちゃん!! お兄ちゃん!!}
337: 2011/05/29(日) 19:41:36.06 ID:NOKzFu4bo
☆
「それじゃ、お姉ちゃんはお兄ちゃんと一緒に旅してるの?」
「そうだよ」
「へえー。すごいなぁー」
「別にすごくなんてないよ」
あれから、一時間。
無人のビルの屋上で、幼い魔法少女とまどかの会話を聞きながら、芳文は無言で夜の街を見つめていた。
芳文とまどかが助けた少女は影野葉子(かげのようこ)と名乗った。
一週間前に魔法少女の契約をしたばかりだという葉子は、まだ十一歳になったばかりだと言う。
十一歳にしては容姿はおろか精神も幼いな、と芳文は思ったが口には出さなかった。
他に魔法少女がいるのか尋ねた所、この街には葉子しかいないらしいことが分かった。
他の魔法少女は魔女に殺されたか、魔女になってしまったのだろう。
芳文はそう結論付けて、夜の街並みを見つめる。
「お姉ちゃん達はさっきのわたしみたいに、危ない目に遭ってる魔法少女を助けて回ってるの?」
「……まあ、そうなるのかな」
すっかりまどか達を正義の味方だと思い込んでしまった葉子。
まどかは一応間違ってはいないので葉子に頷く。
「すごい!! やっぱり魔法少女って正義の味方なんだね!!」
尊敬の眼差しで自分を見てくる葉子に、まどかは思わず微笑ましさを感じて笑みを浮かべる。
(……マミさんも、こんな感じだったのかな)
かつて、魔法少女になる前の自分とマミとの関係を思い出して、まどかはそんな事を思う。
「あのお兄ちゃんは? 男の人だから魔法少年?」
「違う」
芳文は葉子をちらりと見ると、すぐに視線を逸らして葉子の言葉をぶっきらぼうに否定する。
「……」
「葉子ちゃん? どうしたの?」
突然黙ってしまった葉子にまどかが声をかけると、葉子は目に涙を溜めながら言う。
「わたし、なにかお兄ちゃんを怒らせるような事、言っちゃったのかな?」
「別に芳文さんは怒ってないから。あの人は人見知りなの。だから気にしなくていいよ」
「……ほんと?」
「本当だよ。ね、芳文さん」
「ああ。別におまえに腹を立てないといけない理由なんかない」
「もうっ。もう少し優しい言葉遣いしてあげなきゃ駄目だよっ」
「……すまん」
――どうせすぐに別れる相手に、一々気を使う必要なんかないだろう。
喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、芳文はまどかの様子を見る。
自分よりも幼くて純粋な、後輩魔法少女に気に入られてしまったまどか。
久しぶりに自分以外との会話をするまどかは笑っていた。
(……そう言えば、ずいぶん久しぶりだな。まどかがこんなに笑顔を見せるのは)
今でも自分と二人だけの時にまどかが笑顔を見せてくれる事はあるが、こんなふうに他の相手に向けて心から笑っているのを見たのは、いったいどれくらい前だっただろうか。
「お姉ちゃん達はまだ、この街にいるの?」
「とりあえず、この街の魔女を全滅させるまではね」
「じゃあ、わたしもお姉ちゃん達を手伝うよ!!」
葉子は両手をポンと胸の前で合わせて、まどかに申し出る。
「え? でも……」
「わたしまだ契約したばっかりで全然弱いけど、魔女探しのお手伝いやこの街の案内くらいなら出来るよ!!」
「芳文さん……」
まどかが困った顔で芳文に意見を求める。
「……いいんじゃないか」
「えっ?」
「人手があるのに越した事はないしな。まどかが教えてやれば、そのチビも少しは強くなれるだろ」
――それはほんの気まぐれだった。
どうせすぐにこの街を去る事になるのだから、その時に人間に戻してやればいい。
いつかこの街を去るその時まで、まどかの話相手になってくれればいい。
「うんっ。わたしがんばるね!!」
そう言って、笑顔でガッツポーズをしてみせる葉子に、まどかは優しい顔で微笑む。
(この子との触れ合いで、少しでもまどかの孤独が癒せるなら)
芳文はそんな事を考えながら、葉子とまどかの様子に、笑みを浮かべるのだった。
「それじゃ、お姉ちゃんはお兄ちゃんと一緒に旅してるの?」
「そうだよ」
「へえー。すごいなぁー」
「別にすごくなんてないよ」
あれから、一時間。
無人のビルの屋上で、幼い魔法少女とまどかの会話を聞きながら、芳文は無言で夜の街を見つめていた。
芳文とまどかが助けた少女は影野葉子(かげのようこ)と名乗った。
一週間前に魔法少女の契約をしたばかりだという葉子は、まだ十一歳になったばかりだと言う。
十一歳にしては容姿はおろか精神も幼いな、と芳文は思ったが口には出さなかった。
他に魔法少女がいるのか尋ねた所、この街には葉子しかいないらしいことが分かった。
他の魔法少女は魔女に殺されたか、魔女になってしまったのだろう。
芳文はそう結論付けて、夜の街並みを見つめる。
「お姉ちゃん達はさっきのわたしみたいに、危ない目に遭ってる魔法少女を助けて回ってるの?」
「……まあ、そうなるのかな」
すっかりまどか達を正義の味方だと思い込んでしまった葉子。
まどかは一応間違ってはいないので葉子に頷く。
「すごい!! やっぱり魔法少女って正義の味方なんだね!!」
尊敬の眼差しで自分を見てくる葉子に、まどかは思わず微笑ましさを感じて笑みを浮かべる。
(……マミさんも、こんな感じだったのかな)
かつて、魔法少女になる前の自分とマミとの関係を思い出して、まどかはそんな事を思う。
「あのお兄ちゃんは? 男の人だから魔法少年?」
「違う」
芳文は葉子をちらりと見ると、すぐに視線を逸らして葉子の言葉をぶっきらぼうに否定する。
「……」
「葉子ちゃん? どうしたの?」
突然黙ってしまった葉子にまどかが声をかけると、葉子は目に涙を溜めながら言う。
「わたし、なにかお兄ちゃんを怒らせるような事、言っちゃったのかな?」
「別に芳文さんは怒ってないから。あの人は人見知りなの。だから気にしなくていいよ」
「……ほんと?」
「本当だよ。ね、芳文さん」
「ああ。別におまえに腹を立てないといけない理由なんかない」
「もうっ。もう少し優しい言葉遣いしてあげなきゃ駄目だよっ」
「……すまん」
――どうせすぐに別れる相手に、一々気を使う必要なんかないだろう。
喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、芳文はまどかの様子を見る。
自分よりも幼くて純粋な、後輩魔法少女に気に入られてしまったまどか。
久しぶりに自分以外との会話をするまどかは笑っていた。
(……そう言えば、ずいぶん久しぶりだな。まどかがこんなに笑顔を見せるのは)
今でも自分と二人だけの時にまどかが笑顔を見せてくれる事はあるが、こんなふうに他の相手に向けて心から笑っているのを見たのは、いったいどれくらい前だっただろうか。
「お姉ちゃん達はまだ、この街にいるの?」
「とりあえず、この街の魔女を全滅させるまではね」
「じゃあ、わたしもお姉ちゃん達を手伝うよ!!」
葉子は両手をポンと胸の前で合わせて、まどかに申し出る。
「え? でも……」
「わたしまだ契約したばっかりで全然弱いけど、魔女探しのお手伝いやこの街の案内くらいなら出来るよ!!」
「芳文さん……」
まどかが困った顔で芳文に意見を求める。
「……いいんじゃないか」
「えっ?」
「人手があるのに越した事はないしな。まどかが教えてやれば、そのチビも少しは強くなれるだろ」
――それはほんの気まぐれだった。
どうせすぐにこの街を去る事になるのだから、その時に人間に戻してやればいい。
いつかこの街を去るその時まで、まどかの話相手になってくれればいい。
「うんっ。わたしがんばるね!!」
そう言って、笑顔でガッツポーズをしてみせる葉子に、まどかは優しい顔で微笑む。
(この子との触れ合いで、少しでもまどかの孤独が癒せるなら)
芳文はそんな事を考えながら、葉子とまどかの様子に、笑みを浮かべるのだった。
338: 2011/05/29(日) 19:43:17.21 ID:NOKzFu4bo
☆
「あわわわわわっ!?」
「葉子ちゃん!!」
ファンシーな雰囲気の結界の中で、ぬいぐるみのような姿をした使い魔達に囲まれて、滅茶苦茶に二本の短剣を振るう葉子。
まどかが分裂矢を放って、使い魔達を全滅させる。
「大丈夫!?」
「う、うんっ!!」
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
二人がそんなやり取りをしている間に、全身縫い傷だらけで脳の飛び出している、巨大な熊のぬいぐるみの姿をした魔女の頭を、芳文が蹴り飛ばして粉砕消滅させた事で結界が消滅する。
落ちてきたグリーフシードを手にして、芳文がまどかと葉子の元へと戻ってくる。
「芳文さん、お疲れ様」
「ああ」
「お兄ちゃんすごいね!! 素手で魔女をやっつけちゃうなんて!!」
葉子には芳文が無敵のヒーローに見えるのだろう。キラキラした瞳で芳文を見ている。
「わたしのヒーローだからね」
まどかがそう言うと、葉子はまどかの事も賞賛する。
「お姉ちゃんもすごいよ!! わたし、あんなに強いなんて思わなかった!!」
「ふふっ。ありがとう」
まどかの魔力を極力使わせない為、いつの頃からか芳文はマギカ・ブレードを使わなくなった。
今ではマギカ・ブレードを使うのは、素手で倒すのが困難な相手や、魔法の使者を名乗るインキュベーター・コピーを消し去る時だけだった。
「今日はこれくらいにしておくか」
「そうだね。葉子ちゃん帰ろうか」
「うんっ」
魔女探しを切り上げて、三人は葉子の住むアパートまでの道のりを一緒に歩いていく。
「こんな時間までうろついてて、親は何も言わないのか?」
途中の道で芳文が幼い少女に尋ねる。
「平気だよ。ママは夜のお仕事だから」
「父親は?」
「ちっちゃい時に氏んじゃった」
「……そうか」
それっきり芳文は黙り込む。
「お兄ちゃん達はどこに住んでいるの?」
「今は五丁目の外れにある廃屋だよ」
まどかがそう答えると、葉子が両手をポンと音を立てながら合わせて言う。
「じゃあ、今度ご飯作ってあげるね。わたし結構料理得意なんだよ」
「……おい。俺達は乞食じゃないぞ」
芳文が葉子に無愛想な顔で言う。
「えっ? そんなつもりで言ったんじゃないよ」
葉子が涙目になってそう言うと、芳文ははあとため息をひとつついて、葉子の頭に手を載せて言う。
「ガキが一々気を遣わなくてもいい。それと俺達が廃屋を寝ぐらにしてるのは、別に金がないからじゃないぞ」
見滝原を出る時に、芳文がほむらから受け取った通帳には、一千万円ほどの預金がされていた。
時折ほむらが送金しているらしく、必要最小限に使った金額も補充されていくので、芳文達が路銀に困る事もなかった。
その気になればホテル暮らしも出来るが、どう見ても中学生くらいの女の子と高校生男子くらいにしか見えない芳文達が、ホテル暮らしをするのはなかなか難しい問題だった。
まどかの両親と芳文の義父が、家出人として二人の捜索願いを出しているのを、去年の夏に泊まったホテルでたまたま付けたテレビ番組で知った二人は、慌ててそのホテルを出た事もある。
人目に付きやすいリボンを着けなくなった、成長していないまどかと多少は成長している芳文を見て、気付く人間はまずいないだろうが余計なトラブルは避けたい。
食事は適当な店で取るかコンビニ等で買ってきて、週末以外はその時の拠点で寝泊まりし、連休中や週末のみホテルや旅館に泊まる。
魔女狩りと魔法少女を人間に戻す為の探索と救済の旅をしながら、芳文とまどかはずっとこんな感じで生きてきたのだった。
「だって、わたし助けてもらった事のお礼とか他に出来ないし……」
「……卵焼きは甘い奴で頼む」
涙目で俯く葉子の頭を、くしゃくしゃと撫でてやりながら芳文はそう言う。
「うんっ」
芳文の言葉に葉子は笑顔になって頷く。
まどかはそんな二人の様子を見て、優しい顔で微笑む。
穏やかな時間の流れる中、葉子が疑問を次々とまどか達に尋ねてくる。
「お姉ちゃん達はお風呂とか、お洗濯とかはどうしてるの?」
「夕方に銭湯に行ってるよ。それに洗濯もコインランドリーがあるしね」
葉子の疑問にまどかはそう答える。
「そうなんだ」
ちなみにホテルや旅館以外での洗顔や歯磨きは、ミネラルウォーターを買ってきてしているんだ、とまどかは付け加える。
339: 2011/05/29(日) 19:44:27.19 ID:NOKzFu4bo
「……おまえは、何を願って魔法少女になったんだ?」
まどかと葉子の会話が途切れた所で、芳文がそう切り出した。
「ママが幸せになれますようにって」
葉子がそう答えると、芳文とまどかの動きが止まる。
「どういう意味だ?」
「あのね、ママはパパが氏んじゃってから、ずっと一人でわたしを育ててくれたの。だから、幸せになってほしいんだ」
「それに、誰かが戦わないとみんな魔女に殺されちゃうもんね」
そう言って、葉子は笑う。
「……」
芳文は無言で葉子を見る。
この街に来てから、インキュベーター・コピーをまったく見かけない事から、この街にいたインキュベーター・コピーはすでにどこかに逃亡しているのだろう。
インキュベーターはコピー同士とオリジナルの間で、何らかのネットワークを持っている事に、旅を続けている内に芳文達は気付いた。
前の街でマギカ・ブレードで同類が消滅させられたのを知って、マギカ・ブレードを恐れて逃亡していても不思議ではない。
(――あの忌々しい獣がどんな叶え方をしたのか、気を付けないといけないかもしれないな)
葉子の言葉に一抹の不安を感じながら、芳文はそんな事を考えるのだった。
☆
数日後、芳文が銭湯の軒先で脱いだ着替えを入れた紙袋を片手に、まどかを待っているとまどかが中から出てきて声をかけてくる。
「芳文さん、お待たせ」
「ああ」
二人でそのまま並んで歩き出すと、ランドセルを背負った葉子が二人の姿を見つけて駆け寄ってくる。
「お姉ちゃーん、お兄ちゃーんっ」
「葉子ちゃん。今帰り?」
「うんっ」
そのまま三人で並んで歩く。
「お姉ちゃん、今日はどこを探すの?」
「今日は工場地帯の方かな」
そんな会話をしながら歩いていると、葉子が不意に立ち止まる。
「ママ……」
葉子の視線の先をまどかと芳文が見ると、三十代前半くらいの女性が同年代か少し若いくらいの男性と一緒に、丁度ホテルから出てくる所だった。
「……ママ、あの人と何してたのかな?」
まだまだ幼い葉子の疑問に、芳文とまどかは何も答える事が出来なかった。
340: 2011/05/29(日) 19:49:44.54 ID:NOKzFu4bo
☆
まどかと芳文がこの街にやってきて、そろそろ一ヶ月が過ぎようとしていた。
「えーいっ!!」
葉子の投げつけた短剣が、使い魔を見事に串刺しにして消滅させる。
「葉子ちゃんも大分強くなったね」
「えへへ……。お姉ちゃんの教え方が上手だからだよ」
まどかと葉子がそんなやりとりをしていると、いつものように一人で魔女を倒して、グリーフシードを手に入れた芳文が戻ってくる。
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
魔女の結界が消滅する。
「お疲れ様、芳文さん」
「ああ。まだ時間があるな。今日はもう少し見回るか?」
公園の時計を見ながら芳文がそう言うと、まどかと葉子が頷く。
芳文達は夜の街を、再び魔女を求めて歩き出した。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
あれから一時間くらい経った頃に、三人が海の見える丘にやってきた所、不意に女性の悲鳴が聞こえた。
「悲鳴!?」
「どこだろ!?」
「こっちだ!!」
悲鳴の聞こえた方へ芳文が駆け出すと、まどかと葉子も後に続く。
やがて公園の中央で、倒れている男性を抱き起して震えている女性と、それを取り囲む魔女の口づけを受けたホームレスの集団を見つけた。
「魔女の口づけか!!」
芳文が助けに入ろうとしたその瞬間だった。
「ママ!!」
葉子が魔法少女の姿へ変身して、ホームレス達を魔法で吹き飛ばした。
「ママ、大丈夫!?」
葉子が母親に駆け寄る。
「……葉子?」
葉子の母親が呆然となりながら、娘の名を呼ぶ。
「あれ? その人前にママと一緒にいた……」
葉子の母親が抱きかかえている男は以前、葉子の母親と一緒にホテルから出てきた男だった。
二人でデートをしていて、魔女の口づけを受けた男達に襲われたのだろう。
まどかと芳文がこの街にやってきて、そろそろ一ヶ月が過ぎようとしていた。
「えーいっ!!」
葉子の投げつけた短剣が、使い魔を見事に串刺しにして消滅させる。
「葉子ちゃんも大分強くなったね」
「えへへ……。お姉ちゃんの教え方が上手だからだよ」
まどかと葉子がそんなやりとりをしていると、いつものように一人で魔女を倒して、グリーフシードを手に入れた芳文が戻ってくる。
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
魔女の結界が消滅する。
「お疲れ様、芳文さん」
「ああ。まだ時間があるな。今日はもう少し見回るか?」
公園の時計を見ながら芳文がそう言うと、まどかと葉子が頷く。
芳文達は夜の街を、再び魔女を求めて歩き出した。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
あれから一時間くらい経った頃に、三人が海の見える丘にやってきた所、不意に女性の悲鳴が聞こえた。
「悲鳴!?」
「どこだろ!?」
「こっちだ!!」
悲鳴の聞こえた方へ芳文が駆け出すと、まどかと葉子も後に続く。
やがて公園の中央で、倒れている男性を抱き起して震えている女性と、それを取り囲む魔女の口づけを受けたホームレスの集団を見つけた。
「魔女の口づけか!!」
芳文が助けに入ろうとしたその瞬間だった。
「ママ!!」
葉子が魔法少女の姿へ変身して、ホームレス達を魔法で吹き飛ばした。
「ママ、大丈夫!?」
葉子が母親に駆け寄る。
「……葉子?」
葉子の母親が呆然となりながら、娘の名を呼ぶ。
「あれ? その人前にママと一緒にいた……」
葉子の母親が抱きかかえている男は以前、葉子の母親と一緒にホテルから出てきた男だった。
二人でデートをしていて、魔女の口づけを受けた男達に襲われたのだろう。
341: 2011/05/29(日) 19:50:20.55 ID:NOKzFu4bo
「ママ、その人誰?」
葉子が母親にそう尋ねた時だった。
葉子の足元に倒れていた男が、突然手にしたナイフで葉子の太ももを突き刺した。
「あぐっ!!」
あまりの痛みに、葉子がたまらず膝をつく。
「葉子ちゃん!!」
まどかが叫ぶ。
ドゴッ!!
まどかが叫んだ次の瞬間、芳文が一瞬で距離を詰めて、男の腹に加減した蹴りを叩き込んだ。
蹴りの衝撃で吹っ飛ばされて男は失神する。
「大丈夫か!?」
芳文が葉子に声をかけたその時だった。
葉子の母親の顔が見る見る内に青ざめていく。
「……ママ?」
葉子が母親を呼ぶと、葉子の母親が信じられないと言った口調で、呟いた。
「あなた、ケガが治って……っ!?」
シュウシュウと音を立てながら、葉子のケガが塞がっていく。
葉子があまりの痛みに、無意識にケガの治癒を望んでしまった為だった。
葉子自身の魔力で、骨まで届いていたはずの深い傷が再生していく。
「ひ……」
有りえない光景を目にして、葉子の母親が男を抱きしめたまま、首を振る。
「こ、来ないで……」
「……え?」
「来ないで!! 化け物!!」
意識のない男を力強く抱きしめたまま、葉子の母親は血を分けた実の娘を拒絶した。
「――え?」
母親からの拒絶に葉子の思考が止まる。
「ママ……?」
葉子は母親に手を差し出すが、母親は首を振って嫌々と拒絶する。
「う……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
母親に拒絶され、葉子の心が悲しみに染まる。
「どうして!? どうして!? どうして!? どうして!? どうして!?」
葉子の赤いソウルジェムが一瞬で真っ黒に染まっていく。
――わたし、がんばったんだよ。
――ママがいない夜だって、ひとりで我慢して寝たんだよ。
――ママと一緒に晩ご飯食べられなくても、我慢してたんだよ。
――それでも、ママはわたしの為にがんばってくれてたから。
――だから、キュゥべえにお願いしたのに。
――こんなのってないよ……!!
342: 2011/05/29(日) 19:51:23.78 ID:NOKzFu4bo
「葉子ちゃん!! 駄目えぇぇぇぇぇぇっ!!」
まどかの叫びももう、葉子には届かない。
大好きな母親に拒絶され、誰よりも純粋だった少女の心は絶望に染まりきってしまった。
葉子のソウルジェムが胸元から外れて浮かび上がる。
葉子の魂が燃え尽きて、魔女の卵が出現する。
魔女の卵が、少女の燃え尽きた魂の残した呪いを解放し、魔女を生み出す。
この場にいる全員が、誕生した魔女の放った衝撃波に吹き飛ばされる。
吹き飛ばされたまどかが立ち上がって目にした物は、真っ白な空間の中で、赤子を抱いた女性の像の姿をした魔女だった。
「葉子ちゃん!!」
まどかが魔女に叫ぶ。
魔女は何も答えず、ただ血の涙を流して立ち尽くす。
魔女の流した血の涙が、地面に流れて血の池を作り出す。
血の池から血の蛇が大量に湧き出して、まどか目掛けて飛んでくる。
「葉子ちゃん!! お願い!! 元に戻って!!」
「まどか!!」
魔女に向かって、悲痛な叫びを上げるまどかを芳文が突き飛ばす。
「ぐっ!!」
血の蛇が芳文の体に巻きついて噛みつく。
芳文が全身に力を入れて、血の蛇を吹き飛ばすが、霧散した血が再び蛇の姿に戻って芳文の体に巻きつき噛みつく。
「くっ!!」
「葉子ちゃん!! やめて!!」
『無駄だよ、鹿目まどか』
不意に忌々しい声が、まどかの脳裏に響く。
『既に影野葉子の魂は燃え尽きている。そこにいるのは影野葉子の残留思念の様な物だ』
『こんな所で君に氏なれると困るんだよ。さっさとその廃棄物を消してくれないか』
「インキュベーターぁぁぁっ!!」
インキュベーターのテレパシーにまどかが憤りの声を上げる。
まどかの叫びももう、葉子には届かない。
大好きな母親に拒絶され、誰よりも純粋だった少女の心は絶望に染まりきってしまった。
葉子のソウルジェムが胸元から外れて浮かび上がる。
葉子の魂が燃え尽きて、魔女の卵が出現する。
魔女の卵が、少女の燃え尽きた魂の残した呪いを解放し、魔女を生み出す。
この場にいる全員が、誕生した魔女の放った衝撃波に吹き飛ばされる。
吹き飛ばされたまどかが立ち上がって目にした物は、真っ白な空間の中で、赤子を抱いた女性の像の姿をした魔女だった。
「葉子ちゃん!!」
まどかが魔女に叫ぶ。
魔女は何も答えず、ただ血の涙を流して立ち尽くす。
魔女の流した血の涙が、地面に流れて血の池を作り出す。
血の池から血の蛇が大量に湧き出して、まどか目掛けて飛んでくる。
「葉子ちゃん!! お願い!! 元に戻って!!」
「まどか!!」
魔女に向かって、悲痛な叫びを上げるまどかを芳文が突き飛ばす。
「ぐっ!!」
血の蛇が芳文の体に巻きついて噛みつく。
芳文が全身に力を入れて、血の蛇を吹き飛ばすが、霧散した血が再び蛇の姿に戻って芳文の体に巻きつき噛みつく。
「くっ!!」
「葉子ちゃん!! やめて!!」
『無駄だよ、鹿目まどか』
不意に忌々しい声が、まどかの脳裏に響く。
『既に影野葉子の魂は燃え尽きている。そこにいるのは影野葉子の残留思念の様な物だ』
『こんな所で君に氏なれると困るんだよ。さっさとその廃棄物を消してくれないか』
「インキュベーターぁぁぁっ!!」
インキュベーターのテレパシーにまどかが憤りの声を上げる。
343: 2011/05/29(日) 19:53:33.32 ID:NOKzFu4bo
「ぐっ!!」
芳文が何度引きちぎっても、血の蛇は何度でも何度でも絡みついて、噛みついてくる。
「……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
まどかは弓を顕現させて、魔女に目掛けて矢を放った。
――ゴゥッ!!
まどかの矢が魔女に着弾し、巨大な破壊の光球へと変化すると、魔女を飲み込んで完全に消滅させた。
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
結界が消滅すると、グリーフシードがコツンと音を立てて、地面に落下する。
まどかはグリーフシードを拾い上げると、魔女の誕生時の衝撃波で、吹き飛ばされた葉子の体の側に歩いていき、抱き起す。
「……今、人間に戻してあげるからね。葉子ちゃんとお母さんの嫌な記憶も消してあげるから」
まどかはグリーフシードを葉子の胸に押し当てて、葉子の体内に戻そうとする。
「よせ!!」
芳文が慌ててまどかの手からグリーフシードを取り上げる。
「返して!! 葉子ちゃんを元に戻してあげないと!!」
まどかが芳文の手からグリーフシードを奪い取ろうとする。
「馬鹿な事を言うな!! グリーフシードなんか体内に押し込んだりしたら、何が起こるかわからないだろう!!」
「だって!! それは葉子ちゃんの!!」
「葉子は氏んだ!!」
「っ!!」
芳文の叫びに、まどかが硬直する。
「あの子の魂は燃え尽きたんだ。これはもう、ただの魔女の卵だ……」
「うぅっ……あぁぁぁぁ……」
まどかの流した涙が葉子の顔に落ちて、葉子の頬を流れていく。
「俺達は神様じゃない」
芳文の言葉がまどかの胸に突き刺さる。
「どんなに望んだって、すべてを救うなんて無理なんだ」
「うあぁぁぁぁ……」
「俺の責任だ。もっと早く、まどかに葉子を人間に戻させるべきだった」
芳文はまどかを抱きしめて謝る。
「すまない、まどか……」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……っ!!」
まどかの悲しい叫びが、夜の闇に木霊して消えるのだった……。
つづく
芳文が何度引きちぎっても、血の蛇は何度でも何度でも絡みついて、噛みついてくる。
「……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
まどかは弓を顕現させて、魔女に目掛けて矢を放った。
――ゴゥッ!!
まどかの矢が魔女に着弾し、巨大な破壊の光球へと変化すると、魔女を飲み込んで完全に消滅させた。
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
結界が消滅すると、グリーフシードがコツンと音を立てて、地面に落下する。
まどかはグリーフシードを拾い上げると、魔女の誕生時の衝撃波で、吹き飛ばされた葉子の体の側に歩いていき、抱き起す。
「……今、人間に戻してあげるからね。葉子ちゃんとお母さんの嫌な記憶も消してあげるから」
まどかはグリーフシードを葉子の胸に押し当てて、葉子の体内に戻そうとする。
「よせ!!」
芳文が慌ててまどかの手からグリーフシードを取り上げる。
「返して!! 葉子ちゃんを元に戻してあげないと!!」
まどかが芳文の手からグリーフシードを奪い取ろうとする。
「馬鹿な事を言うな!! グリーフシードなんか体内に押し込んだりしたら、何が起こるかわからないだろう!!」
「だって!! それは葉子ちゃんの!!」
「葉子は氏んだ!!」
「っ!!」
芳文の叫びに、まどかが硬直する。
「あの子の魂は燃え尽きたんだ。これはもう、ただの魔女の卵だ……」
「うぅっ……あぁぁぁぁ……」
まどかの流した涙が葉子の顔に落ちて、葉子の頬を流れていく。
「俺達は神様じゃない」
芳文の言葉がまどかの胸に突き刺さる。
「どんなに望んだって、すべてを救うなんて無理なんだ」
「うあぁぁぁぁ……」
「俺の責任だ。もっと早く、まどかに葉子を人間に戻させるべきだった」
芳文はまどかを抱きしめて謝る。
「すまない、まどか……」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……っ!!」
まどかの悲しい叫びが、夜の闇に木霊して消えるのだった……。
つづく
352: 2011/06/01(水) 08:46:47.71 ID:/+UFvNv1o
杏子「単発レスだよ」
杏子「おりことキリカは出るなら1話限りの敵役だってさ」
杏子「おりこの能力が話を展開させるのに便利なんだって。同じ能力のオリジナル魔法少女でもいいけど」
杏子「社&まどかVS各魔法少女が戦った場合の相性について」
杏子「あたし、さやか、キリカみたいな武器を持って接近戦をするタイプが、近接戦闘しか出来ない社にとって一番戦いやすい相手だ」
杏子「社のパワー、耐久力、スピード、戦闘テクニックは魔法少女達のそれをはるかに上回っている上、元々ケンカ慣れしてて剣術も神童と呼ばれただけありトップレベルの為、元々普通の女の子だった魔法少女が相手なら近接戦闘では絶対に負けない」
杏子「相手がフェイトのセイバーみたいな達人だったら、マギカ・ブレードを持ってないとかなり苦しい戦いになるが、剣や薙刀等の各手持ち武器の達人魔法少女でなければ素手で簡単に勝てる」
杏子「魔法少女はアニメでさやかがやったみたいな、空中での足場展開みたいな小回りが利くのが利点だ。社はそれが出来ないから、トリッキーな動きで攪乱しながら攻撃されると相手によっては手こずる場合もある」
杏子「ちなみに魔法少女を頃すとまどかが泣くので、基本的に社は魔法少女相手には不殺だ。相手が外道だったら躊躇なく手足の1,2本へし折るけどな」
杏子「取っ組み合いのケンカすらした事のないまどかは近距離戦闘のスキルが全くない上、相手が魔法少女だと戦う事に戸惑うので相性最悪だ。1対1で近距離戦に持ち込まれた場合、マギカ・イージスを展開する前にボコられる可能性が高い」
杏子「まどかが近接戦闘をする場合、弓で殴り掛かるくらいしか攻撃手段がない。弓で殴り掛かった場合の攻撃力は10だ。この攻撃では使い魔すら倒せない。キックしたとしても攻撃力12だ。まどかは中距離戦からその真価を発揮するタイプなんだ」
杏子「マミ、ほむらのような実弾で中~遠距離攻撃してくるタイプが相手の場合」
杏子「社は機関銃の一斉掃射でも、すべての弾丸を素手で受け止めながら相手に接近できる。銃やボウガンなどの中~遠距離実弾兵器は通用しない。正にチート」
杏子「こういう攻撃を得意とする相手は近接戦闘が苦手な場合が多い。ベテランのマミは近接戦も強いけど。だから近接戦闘に持ち込んだ時点で社の勝ち。魔人状態の社なら、マミクラスの拘束魔法も力づくで破れる」
杏子「ちなみにティロ・フィナーレは躱すか、マギカ・ブレードで斬るしか防ぐ手段がない。素手で防ごうとすると社の手が吹っ飛ぶ」
杏子「劇中描写を見てもらうとわかるけど、社の回避率は異常だ。強力な爆弾や超音波みたい躱しようがない広範囲攻撃が出来る相手でないと、社にダメージを与えるのは難しい」
杏子「まどかを狙って社に庇わせてダメージを与えるのが有効だが、それをやると社が激怒して瞬殺される可能性が高い。ちなみに社はほむらと同じく敵を最初から全力で潰しに行くタイプなので、スロースターターの魔法少女だとまず勝ち目がないんだ」
杏子「まどかも距離が取れる相手なら、マギカ・イージスを展開しつつ、武器だけ狙い撃って無力化出来るので簡単に勝てる」
杏子「かずみや海香&カオル、まどかみたいな魔力攻撃系遠距離タイプが社にとってもっとも相性が悪い」
杏子「こいつらの攻撃は攻撃用魔力そのものなので、触れたらダメージを喰らう為に社は躱すしかない」
杏子「マミのマスケットみたいに単発なら躱しながら近づけるが、火炎放射やレーザーみたいに出しっぱなしで薙ぎ払われたり、弾幕を張られると素手ではお手上げ」
杏子「マギカ・ブレードを持ってれば、切り払いながら接近して加減した素手の一撃で昏倒させて勝てる」
杏子「まどかだったら絶対に負けない。マギカ・イージスですべての遠距離攻撃を無効化し、超火力で押し切れる」
杏子「マギカ・イージスを展開し続けるだけでも、相手が先に魔力切れを起こす」
杏子「この話のまどかと社は最強コンビだからな。こいつらに勝てる奴らなんてまずいねー」
杏子「話の展開の都合上、社は前衛特化チートでまどかは後衛特化チートだからね。正に最強カップルだ」
杏子「じゃーな」
杏子「おりことキリカは出るなら1話限りの敵役だってさ」
杏子「おりこの能力が話を展開させるのに便利なんだって。同じ能力のオリジナル魔法少女でもいいけど」
杏子「社&まどかVS各魔法少女が戦った場合の相性について」
杏子「あたし、さやか、キリカみたいな武器を持って接近戦をするタイプが、近接戦闘しか出来ない社にとって一番戦いやすい相手だ」
杏子「社のパワー、耐久力、スピード、戦闘テクニックは魔法少女達のそれをはるかに上回っている上、元々ケンカ慣れしてて剣術も神童と呼ばれただけありトップレベルの為、元々普通の女の子だった魔法少女が相手なら近接戦闘では絶対に負けない」
杏子「相手がフェイトのセイバーみたいな達人だったら、マギカ・ブレードを持ってないとかなり苦しい戦いになるが、剣や薙刀等の各手持ち武器の達人魔法少女でなければ素手で簡単に勝てる」
杏子「魔法少女はアニメでさやかがやったみたいな、空中での足場展開みたいな小回りが利くのが利点だ。社はそれが出来ないから、トリッキーな動きで攪乱しながら攻撃されると相手によっては手こずる場合もある」
杏子「ちなみに魔法少女を頃すとまどかが泣くので、基本的に社は魔法少女相手には不殺だ。相手が外道だったら躊躇なく手足の1,2本へし折るけどな」
杏子「取っ組み合いのケンカすらした事のないまどかは近距離戦闘のスキルが全くない上、相手が魔法少女だと戦う事に戸惑うので相性最悪だ。1対1で近距離戦に持ち込まれた場合、マギカ・イージスを展開する前にボコられる可能性が高い」
杏子「まどかが近接戦闘をする場合、弓で殴り掛かるくらいしか攻撃手段がない。弓で殴り掛かった場合の攻撃力は10だ。この攻撃では使い魔すら倒せない。キックしたとしても攻撃力12だ。まどかは中距離戦からその真価を発揮するタイプなんだ」
杏子「マミ、ほむらのような実弾で中~遠距離攻撃してくるタイプが相手の場合」
杏子「社は機関銃の一斉掃射でも、すべての弾丸を素手で受け止めながら相手に接近できる。銃やボウガンなどの中~遠距離実弾兵器は通用しない。正にチート」
杏子「こういう攻撃を得意とする相手は近接戦闘が苦手な場合が多い。ベテランのマミは近接戦も強いけど。だから近接戦闘に持ち込んだ時点で社の勝ち。魔人状態の社なら、マミクラスの拘束魔法も力づくで破れる」
杏子「ちなみにティロ・フィナーレは躱すか、マギカ・ブレードで斬るしか防ぐ手段がない。素手で防ごうとすると社の手が吹っ飛ぶ」
杏子「劇中描写を見てもらうとわかるけど、社の回避率は異常だ。強力な爆弾や超音波みたい躱しようがない広範囲攻撃が出来る相手でないと、社にダメージを与えるのは難しい」
杏子「まどかを狙って社に庇わせてダメージを与えるのが有効だが、それをやると社が激怒して瞬殺される可能性が高い。ちなみに社はほむらと同じく敵を最初から全力で潰しに行くタイプなので、スロースターターの魔法少女だとまず勝ち目がないんだ」
杏子「まどかも距離が取れる相手なら、マギカ・イージスを展開しつつ、武器だけ狙い撃って無力化出来るので簡単に勝てる」
杏子「かずみや海香&カオル、まどかみたいな魔力攻撃系遠距離タイプが社にとってもっとも相性が悪い」
杏子「こいつらの攻撃は攻撃用魔力そのものなので、触れたらダメージを喰らう為に社は躱すしかない」
杏子「マミのマスケットみたいに単発なら躱しながら近づけるが、火炎放射やレーザーみたいに出しっぱなしで薙ぎ払われたり、弾幕を張られると素手ではお手上げ」
杏子「マギカ・ブレードを持ってれば、切り払いながら接近して加減した素手の一撃で昏倒させて勝てる」
杏子「まどかだったら絶対に負けない。マギカ・イージスですべての遠距離攻撃を無効化し、超火力で押し切れる」
杏子「マギカ・イージスを展開し続けるだけでも、相手が先に魔力切れを起こす」
杏子「この話のまどかと社は最強コンビだからな。こいつらに勝てる奴らなんてまずいねー」
杏子「話の展開の都合上、社は前衛特化チートでまどかは後衛特化チートだからね。正に最強カップルだ」
杏子「じゃーな」
354: 2011/06/01(水) 14:51:46.82 ID:/+UFvNv1o
杏子「番外編だよ」
355: 2011/06/01(水) 14:52:36.73 ID:/+UFvNv1o
――カシャッ。
『んぅ……』
『……えっ? いつ帰ってきたの!? 寝顔なんて撮らないで!!』
『もうっ。どうせ撮るなら起きてる時に撮って』
『あれ? 今何時?』
『きゃあぁぁぁっ!! ごめんなさい!! 御夕飯の支度してない!!』
『えっ? お仕事で疲れてるのにあなたが作ってくれたの?』
『あうぅ……ごめんなさい。私、あなたのお嫁さんなのに……』
『ふえぇぇぇぇぇんっ!!』
『あ、起きたの芳くん。おなかがすいたのかな?』
『よしよし。今おっOいあげるからね』
『いっぱい飲んで、早く大きくなってね。芳君は大きくなったらどんな男の子になるのかな』
『ママはパパみたいに、優しくて強い子に育って欲しいな。ね、芳くん』
第16.5話 「暁美ほむらの憂鬱 ~私はまだ若い~」
――ジリリリリリ……。ガチャン。
「……夢、か」
「随分、懐かしい夢を見たわね。あの頃は私も若かった……」
「……」
「……これじゃ、私が年寄みたいじゃない。私はまだ若い!!」
「……エイミーに朝ごはん上げて、学校へ行きましょう」
――英語の時間。
「みなさん!! みなさんはコーヒーの銘柄くらいでごちゃごちゃ言う大人にならないように!!」
(……また破局したのね。この人確かまどかの母親と同じ年だったわね。なんて男運がないのかしら)
(よくよく考えたら、私は勝ち組だったのね。普通に専業主婦やってて、外食や旅行にもよく連れて行ってもらえたし)
(お金に困る事もなかったから、働く必要もなかったし。まあ、結婚してすぐに芳文が出来たっていうのもあるけど)
(もしあのままあの人と別れなかったら、今頃パートでレジ打ちでもしてたのかしら)
『いらっしゃいませー』
『1978円になりまーす。2078円お預かりしまーす』
『ありがとうございましたー』
(……うん。無理ね。今の自分でも無理なのに、当時の気弱な私が客商売なんて出来っこないわ)
(それにしても、今更中学生の授業を受けるなんて、苦痛以外の何物でもないわ)
(一応高卒の私にとって、幼稚すぎてまともに受ける気にもならないわ)
(早く昼休みにならないかしら。おなかがすいたわ)
『んぅ……』
『……えっ? いつ帰ってきたの!? 寝顔なんて撮らないで!!』
『もうっ。どうせ撮るなら起きてる時に撮って』
『あれ? 今何時?』
『きゃあぁぁぁっ!! ごめんなさい!! 御夕飯の支度してない!!』
『えっ? お仕事で疲れてるのにあなたが作ってくれたの?』
『あうぅ……ごめんなさい。私、あなたのお嫁さんなのに……』
『ふえぇぇぇぇぇんっ!!』
『あ、起きたの芳くん。おなかがすいたのかな?』
『よしよし。今おっOいあげるからね』
『いっぱい飲んで、早く大きくなってね。芳君は大きくなったらどんな男の子になるのかな』
『ママはパパみたいに、優しくて強い子に育って欲しいな。ね、芳くん』
第16.5話 「暁美ほむらの憂鬱 ~私はまだ若い~」
――ジリリリリリ……。ガチャン。
「……夢、か」
「随分、懐かしい夢を見たわね。あの頃は私も若かった……」
「……」
「……これじゃ、私が年寄みたいじゃない。私はまだ若い!!」
「……エイミーに朝ごはん上げて、学校へ行きましょう」
――英語の時間。
「みなさん!! みなさんはコーヒーの銘柄くらいでごちゃごちゃ言う大人にならないように!!」
(……また破局したのね。この人確かまどかの母親と同じ年だったわね。なんて男運がないのかしら)
(よくよく考えたら、私は勝ち組だったのね。普通に専業主婦やってて、外食や旅行にもよく連れて行ってもらえたし)
(お金に困る事もなかったから、働く必要もなかったし。まあ、結婚してすぐに芳文が出来たっていうのもあるけど)
(もしあのままあの人と別れなかったら、今頃パートでレジ打ちでもしてたのかしら)
『いらっしゃいませー』
『1978円になりまーす。2078円お預かりしまーす』
『ありがとうございましたー』
(……うん。無理ね。今の自分でも無理なのに、当時の気弱な私が客商売なんて出来っこないわ)
(それにしても、今更中学生の授業を受けるなんて、苦痛以外の何物でもないわ)
(一応高卒の私にとって、幼稚すぎてまともに受ける気にもならないわ)
(早く昼休みにならないかしら。おなかがすいたわ)
356: 2011/06/01(水) 14:53:30.41 ID:/+UFvNv1o
――キーンコーンカーンコーン……。
「まどかー、今日も愛妻弁当持って、旦那さんのとこに行くの?」
「さ、さやかちゃん!! からかわないでよー!!」
「仲睦まじそうで羨ましいですわ」
「仁美ちゃんまで!!」
「ほらほら、先輩待ってるよ。早く行きなよ。昼休み終わっちゃうよ」
「う、うんっ。行ってくるねっ」
「あーあー、あんなに急いじゃって。そんなに先輩に早く会いたいのかねぇ」
「まあ好きな人と一緒にいたいって言う乙女心はわかりますわ」
(まどかと芳文が恋人同士、ね。本人達が幸せなのはいいけど、やっぱりちょっと複雑な気分だわ)
「……なあ、中沢。鹿目ってあんなかわいかったっけ」
「志筑とか美樹の影に隠れてて今一目立たなかったけど、よく見るとあの子かわいいよな」
(今更まどかの魅力に気付くなんて、なんて見る目のない子達なのかしら)
(あの子は今はまだ、蝶になる前の蛹みたいな物だから、これからどんどん綺麗になるのよ)
(まあ、あなた達が今更まどかを好きになっても、もう遅いのだけどね。まどかはもう、私の子の物なのだから)
「えーっ!? 遂に彼氏とシちゃったの!?」
「しーっ!! 声が大きいってば!!」
「ごめーんっ」
(身体強化してるせいで、聞きたくもないクラスメートの会話が勝手に耳に入ってくるわ)
(一体何を考えてるのかしら。今どきの子供は。中学生で性交渉なんて)
(もし妊娠したらどうするつもりなのかしら。愛だけで出産と育児が出来るほど世の中甘くないわよ)
(今になって思えば、結婚するまで私に手を出さなかったあの人は本当に私の事を大切にしてくれてたのね……)
(……いつか、まどかと芳文もする……のよね。やっぱり複雑な気分だわ)
「それでそれで? やっぱり痛かったの?」
(私の時はものすごく痛かったわね。しばらくまともに歩けなかったし。まあ幸せな痛みって奴だったけれど)
「思ったより痛くなかったし、言うほど気持ち良くなかったけど、なんていうか幸せって言うのかな。それは感じたよ」
(その意見には同意するわ。さてと、お弁当も食べたしお手洗いに行ってこようかしら)
(それにしても、なんでこの学校給食じゃないのかしら。一々お弁当作るの面倒なのよ。母親の立場になって考えなさいよね)
357: 2011/06/01(水) 14:54:45.39 ID:/+UFvNv1o
――キーンコーンカーンコーン……。
「あっほら見てまどか。先輩がいるよ」
「ホントだ。今日は同じ体育館での授業なんだね」
「あちらはバスケの試合してるみたいですね」
「あっ。ほらまどか、先輩がこっちに気付いたみたいだよ」
「う、うん」
「あーっ!! 見てよ。先輩まどかにいいとこ見せようと張り切っちゃって」
「お相手の方は確かバスケ部のエースだとか」
「そんなの関係ないって、あの人の運動神経は異常だから」
(美樹さやか、人の息子を化け物みたいに言わないで。大体、なんでこの子と芳文は兄妹みたいに仲が良いのかしら。私とこの子は仲良くないのに)
「すごい!! 芳文さん全員抜き去ってダンクシュート決めたよ!! かっこいい!!」
(まどか嬉しそうね。よくやったわ芳文。さすがあの人の息子だけの事はあるわ。もし運動神経まで私似だったらと思うとぞっとするわ)
「暁美さん、なんか嬉しそうだけど良い事でもあったの?」
「いいえ」
「……そう?」
(いけないいけない。つい顔に出してしまったわ)
「鹿目さんの彼氏ってかっこいいよねー」
「あの人、頭もいいらしいよ」
「えーマジで?」
「運動神経抜群で頭も良くて、かっこいいなんて反則だよねー。でもそんな人がなんで今までフリーだったんだろうね」
「あたし3年の先輩に何人か親しい人がいるからさ、社先輩の事聞いてみたんだけど、みんな評価が全然違うんだよ」
「なにそれ」
「今のクラスメートの先輩が言うにはとんでもない馬鹿。2年の時のクラスメートだった先輩が言うには無口で無愛想で近寄りがたい人だって」
「極端な評価だねぇ……。私、社先輩が鹿目さんに告白してる所見てたけど、普通にいい人そうだったよ」
(どっちも芳文よ。あの子の処世術は愛される馬鹿を演じるか、私みたいに他人と距離を置く事だもの)
「まあ先輩達の評価は置いておいて、鹿目さんと一緒の時の社先輩は普通にかっこいい彼氏だし。いいなあ、鹿目さん。私もあんな彼氏欲しいなあ」
「暁美さん、なんかいい事あったの?」
「いえ、ちょっと昔の事を思い出して」
(いけないいけない。また顔に出てたわ)
(でも芳文をかっこいいと言われて嬉しいのは、母親としては当然よね)
358: 2011/06/01(水) 14:55:30.86 ID:/+UFvNv1o
――キーンコーンカーンコーン……。
(どうして私が3年の教室がある階まで、プリントなんて運ばないといけないのかしら)
(給料もらって仕事してるんだら、自分の仕事くらい生徒に押し付けずに自分でやりなさいよね)
「うわー先輩綺麗」
(あれは美樹さやか。こんな所で何をしてるのかしら)
「まどか、こんな俺を見ないでくれ……」
(あの子は何を言っているのかしら。というか何なの、この女子生徒の数は。たしか芳文のクラスの女子達よね)
「……芳文さん、美人」
(は? まどか、あなた何言ってるの)
「もういいだろ、巴さん。もう勘弁してよ」
(巴マミ。あなた人の息子に何してるの?)
「何を言っているのかしら。そもそも社君が言い出したのよ。文化祭の出し物はコスプレ喫茶って。言いだしっぺなんだから率先しないとね」
「だっていきなり天瀬が俺に話を振るから」
「そうよね。お昼休みの鹿目さんとの甘い一時を思い出してにやけてて、いきなり文化祭実行委員の天瀬君に意見を聞かれたんですものね」
(どうしてそんなに説明口調なの、巴マミ)
「俺はそんな意味で言ったわけじゃないんだ」
「わざわざ私の方を見ながら、コスプレ喫茶を提案した事の釈明は?」
「それはその……」
「あまつさえ、どんな内容のコスプレか聞かれて、バニーガールなんて言い出すなんてどうかしてるわ」
「誤解だ!! 俺はうさぎと言ったんだ。バニーガールじゃなくて着ぐるみのうさぎと言う意味で!!」
「……確かに着ぐるみも一種のコスプレね。でもなんで着ぐるみなのかしら」
「……まどかが喜んでくれるかなって思って。まどかの部屋にぬいぐるみが沢山あったから」
「あなたが鹿目さん一筋なのはよく知っているわ。けれどおかげで男子全員の賛成意見多数で、クラスの出し物がコスプレ喫茶に決まってしまった事の落とし前はつけてね」
「そんなひどい」
「ひどいのはどっちかしら」
「マミさん、そんなに怒るほどの事があったんですか?」
「ええ鹿目さん。こんな風にね」
――マミの回想。
『社、おまえこそ真の漢だ!!』
『さすが社だ!! 大勢の目の前で下級生の女の子相手にあんな恥ずかしい告白しただけでなく、文化祭でクラスの女子達にコスプレさせようなんて!!』
『そこに痺れる憧れるぅぅっ!!』
『だからそんな意味で言ったわけじゃねえぇぇぇっ!! 俺はまどか意外の女に興味なんてない!! 大体、色々と規格外な巴さんならともかく、他の子達に恥ずかしいコスプレしろなんて残酷な事言えるかよ!!』
『社君!! それどういう意味かしら!?』
『今、あなたはクラスの女子全員を敵に回したわ!!』
『えぇぇぇぇぇっ!? 誤解だ!!』
『ねえ、天瀬君』
『なに、巴さん』
『ちょっと、このお馬鹿さんに制裁を加えてきていいかしら』
『どうぞ』
『さあ、行きましょうか社君』
『ひいいっ!? まどか助けて!!』
「あ、あははは……」
(……なるほどね、大体の事情はわかったわ)
359: 2011/06/01(水) 14:57:34.36 ID:/+UFvNv1o
「ひでえ……。魔法で制服を女物に変えられて、かつらまで……。あんまりだよ。こんなの絶対おかしいよ……」
「芳文さん、それわたしのセリフ……」
(芳文、いくら小声でもこんな大勢の前で魔法の事を口にしない。それとまどか。突っ込むところはそこじゃないでしょう)
「……うーん。なーんか誰かに似てるような。あっ!! 誰かヘアバンド持ってませんか?」
「あるわよ、はい」
「ありがとうございます。先輩じっとしてて」
「とほほ……。クラスの女子達だけでなく、さやかちゃんにまで弄られるのか……」
(美樹さやか、あなた何するつもり)
「完成。誰かに似てると思ったら……」
「ほむらちゃんに似てる!!」
「言われてみれば、暁美さんに似てるわね」
(そりゃ私の子だもの。というか、そっくりなんだけど)
「……そんなに似てるかな。俺別にあの子と親戚とかじゃないんだけど」
「まあ、世の中には似た人が三人はいるって言うしね、先輩」
「……そうかな。――よし」スッ
「芳文さん、何するの?」
「鹿目まどか」キリッ
「は、はい」
「あなたは鹿目まどかのままでいればいい」キリッ
「ぷっあははははははははははははははははっ!! 似てる似てる!!」
(美樹さやか、笑い過ぎよ。芳文……)ギリッ
「それには及ばないわ」ファサッ
『ぷっあはははははははははははははははははっ!!』
(巴マミ!! まどかまで!!)
「よ、芳文さん、もうやめて。ほむらちゃんに悪いよ」
(まどか!!)ジーン
「鹿目まどか。あなたは優しすぎる。覚えておきなさい。その優しさが大きな災いを呼ぶ事もあるという事を」シャフ度
「っ……。やめて……もう、やめて……」
(芳文ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!)ブチッ
「随分楽しそうね、社芳文」
「げっ!?」
「転校生!?」
「ほむらちゃん!?」
「暁美さん!?」
「いや、その、これは」
「弁解はいいわ。それよりそこに座りなさい」
「は、はい」
「何をしているの」
「えっ? だって座れって」
「正座に決まっているでしょう」
「は、はい!! すみません!!」
「社芳文。あなたはそんな恰好をして恥ずかしくないのかしら」
「……恥ずかしいです」
「女の子達の前で、あんな真似をして恥ずかしくないのかしら」
「……恥ずかしいです」
「あなた、親に申し訳ないと思わないのかしら。男の子が女の子の格好をしたりして」
「はい。すいません」
「本気で反省してるなら、まずそのかつらを取りなさい!!」ダンッ!!
「すみません!!」
「もう少し女の子のあしらい方くらい勉強しなさい!! 黙っていいように遊ばれて情けない!!」
「はい……」
「わかっているの!? あなたが馬鹿な事をすれば、あなたと付き合っているまどかも恥ずかしい思いをするのよ!!」
「面目次第もございません……」
「男の子は男の子らしく、シャキッとしなさい!!なんでもいちいち、でもでもだってで済まそうとするのはやめなさい!!」
「はい……」
「うわー。先輩が転校生に叱られてる光景って……」
「ほむらちゃん、まるでお母さんみたい……」
「そうね」
「大体、あなたは……」ガミガミクドクド・・・・・・
360: 2011/06/01(水) 14:59:30.90 ID:/+UFvNv1o
――小一時間後。
「わかったかしら」
「はい、もうしません。ごめんなさい」
「ん」
「何と言うか、非常にシュールな光景を見た気がする」
「さやかちゃんたら……気持ちはわかるけど」
「いつの間にかギャラリーが増えてるわ……」
「いつまでそうしているつもり? 早く立ちなさい」
「は、はい」プルプル・・・・・・
『あっ』
――ずる……。
「正座で足がしびれた社君が、転びそうになって咄嗟に暁美さんのスカートを掴んだ!?」
「ねえマミさん。なんでそんな説明口調なんですか?」
「気にしては駄目よ美樹さん。それにしても、暁美さんのって……」
「黒、ですね」
「ほむらちゃんって、あんな大人っぽいの履いてるんだ……」
「……」
「ご、ごめん。暁美さん」
「でも安心して。俺、どっちかって言うと巨O派だから。もちろん一番はまどかのだけど」
「……あなたは、何を言ってるのかしら」アセアセ
「だから、その、俺が君をそう言う目で見る事はないから。俺の母親も悲しいくらい小さかったから、そういう対象で見れないっていうか……」
「……」プルプル・・・・・・
「でもここにいた他の男子生徒はそう思ってないっぽいよ。今夜のおかず手に入れて、みんな走って帰っちゃった」
「さやかちゃん、女の子がそういう事言っちゃいけません。お兄さんはそんな妹に育てた覚えはありません」
「ごめん、先輩」
「……」
「あの……暁美さん」
「……ふんっ!!」
――バキィッ!!
「ひでぶ!!」
「帰る。このプリントはあなたが視聴覚室に運んでおきなさい!!」スタスタ
(――あの馬鹿息子!!)
(そんな目で見れない? 当たり前よ!! 親子なんだから!! 本能的に近親相Oを避ける生き物よ人間って!!)
(小さくて悪かったわね!! その小さい物をあなた三歳半まで吸ってたのよ!!)
(下着が黒くて悪かったわね!! 見た目がこんなでも私の年でガキっぽい下着なんて履けるわけないでしょうが!!)
――その日の夜。
「はあ……今日も疲れたわ……」
「今日もまどかは幸せそうだったし、今日はもう寝ましょう」
「……このまま、あの子達が何も知らずに済めばいいのだけれど……」
「いつか、真実を知る日がくるのかしらね……」
「それにしても今日は特に疲れたわ。主に芳文のせいで。どっこいしょっと……」
「……今、私なんて言ったのかしら」プルプルプル・・・・・・
「……いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!! わたしはまだ若い!! 私はまだ若いぃぃぃぃっ!!」
おしまい
「わかったかしら」
「はい、もうしません。ごめんなさい」
「ん」
「何と言うか、非常にシュールな光景を見た気がする」
「さやかちゃんたら……気持ちはわかるけど」
「いつの間にかギャラリーが増えてるわ……」
「いつまでそうしているつもり? 早く立ちなさい」
「は、はい」プルプル・・・・・・
『あっ』
――ずる……。
「正座で足がしびれた社君が、転びそうになって咄嗟に暁美さんのスカートを掴んだ!?」
「ねえマミさん。なんでそんな説明口調なんですか?」
「気にしては駄目よ美樹さん。それにしても、暁美さんのって……」
「黒、ですね」
「ほむらちゃんって、あんな大人っぽいの履いてるんだ……」
「……」
「ご、ごめん。暁美さん」
「でも安心して。俺、どっちかって言うと巨O派だから。もちろん一番はまどかのだけど」
「……あなたは、何を言ってるのかしら」アセアセ
「だから、その、俺が君をそう言う目で見る事はないから。俺の母親も悲しいくらい小さかったから、そういう対象で見れないっていうか……」
「……」プルプル・・・・・・
「でもここにいた他の男子生徒はそう思ってないっぽいよ。今夜のおかず手に入れて、みんな走って帰っちゃった」
「さやかちゃん、女の子がそういう事言っちゃいけません。お兄さんはそんな妹に育てた覚えはありません」
「ごめん、先輩」
「……」
「あの……暁美さん」
「……ふんっ!!」
――バキィッ!!
「ひでぶ!!」
「帰る。このプリントはあなたが視聴覚室に運んでおきなさい!!」スタスタ
(――あの馬鹿息子!!)
(そんな目で見れない? 当たり前よ!! 親子なんだから!! 本能的に近親相Oを避ける生き物よ人間って!!)
(小さくて悪かったわね!! その小さい物をあなた三歳半まで吸ってたのよ!!)
(下着が黒くて悪かったわね!! 見た目がこんなでも私の年でガキっぽい下着なんて履けるわけないでしょうが!!)
――その日の夜。
「はあ……今日も疲れたわ……」
「今日もまどかは幸せそうだったし、今日はもう寝ましょう」
「……このまま、あの子達が何も知らずに済めばいいのだけれど……」
「いつか、真実を知る日がくるのかしらね……」
「それにしても今日は特に疲れたわ。主に芳文のせいで。どっこいしょっと……」
「……今、私なんて言ったのかしら」プルプルプル・・・・・・
「……いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!! わたしはまだ若い!! 私はまだ若いぃぃぃぃっ!!」
おしまい
363: 2011/06/03(金) 21:28:21.59 ID:YDLAGOEZo
杏子「予定より早いけど、21話の更新をもう少ししたらするよ」
杏子「震災の影響で暇なんだってさ」
杏子「鬱展開は今回でおしまい」
杏子「二人の魔法少女が敵として出てくるけど、あの二人だと思ってもいいし、オリジナルの魔法少女だと思ってもいい」
杏子「あいつらだとは一言も明言してないから、好きな風に受け取ってくれ」
杏子「震災の影響で暇なんだってさ」
杏子「鬱展開は今回でおしまい」
杏子「二人の魔法少女が敵として出てくるけど、あの二人だと思ってもいいし、オリジナルの魔法少女だと思ってもいい」
杏子「あいつらだとは一言も明言してないから、好きな風に受け取ってくれ」
364: 2011/06/03(金) 21:42:21.50 ID:YDLAGOEZo
第21話 「この世界に神なんていない」
「これでも喰らいなさいっ!!」
イギリス軍服をアレンジしたような魔法少女服を着た、少女の握る二丁のエンフィールド・リボルバーが、黒い戦士に向かって鈍い輝きを放つ弾丸を射出する。
バンバンバンッ!!
銃声が魔女の結界内に鳴り響く。
「……」
黒い戦士は無言のまま、目の前の魔法少女が撃った弾丸をすべて素手で受け止める。
「まさか!?」
少女の驚愕にも一切顔色一つ変える事なく、黒い戦士は受け止めた弾丸を無造作に地面に捨てる。
「っ!? このっ!!」
すべての弾丸を撃ちつくした少女が、リボルバーを軽く振るうと同時に、銃身がバレル付け根下部のヒンジから折れ曲がり、空になった薬莢が少女の魔力で勝手に排出される。
次の瞬間、少女の周辺に新しい弾丸が顕現して、吸い込まれるようにリボルバーに装填され、折れ曲がっていた銃身が元に戻る。
「……」
「ガハッ!!」
少女が新しい弾丸を装填し終えた次の瞬間、一瞬で距離を詰めてきた黒い戦士の放った拳が少女の鳩尾に突き刺さる。
少女の意識が途絶え、少女の変身が解けてその場に崩れ落ちる。
「……まどか」
黒い戦士――黒いレザージャケットと黒いズボンを着た芳文は、気絶した少女から視線を最愛のパートナーの方へと向ける。
芳文の視線の先で、人の手足が生えた亀のような姿をした魔女とまどかが対峙していた。
まどかが左手を前にかざし、横向きにした巨大な弓を目の前に顕現させる。
そのまま右手で矢を引き絞る動作をすると、巨大な魔力の矢が顕現して、巨大な弓によって引き絞られる。
眩いピンク色に光り輝く魔力の矢の先端が、まるでドリルのように超高速回転を始める。
「――ティロ・フィナーレ」
かつてまどかが憧れた、先輩魔法少女の必殺技と同じ技名を呟いて、右手の親指と人差し指を放す。
――バシュゥゥゥゥゥンッ!!
結界内の空気を轟音と共に引き裂きながら、凶暴な破壊力を秘めた一撃が、芳文の倒した魔法少女の銃弾さえまったく受け付けなかった、魔女の分厚い甲羅を容易く貫いた。
人一人が簡単に潜れるほどの巨大な穴を胴体に開けられた、魔女の巨体に亀裂が入りやがて大爆発を引き起こした。
ドカアァァァァァァァァァンッ!!
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
魔女が滅びた事で、結界が消滅しグリーフシードが落ちてくる。
まどかがグリーフシードを手にして振り返ると、芳文が気絶している少女を片手で担いでまどかの元へ連れてくる。
「まどか」
気絶している少女を地面の上に寝かせて、左手の中指から少女のソウルジェムを抜き取り、まどかに手渡す。
「うん」
まどかは芳文から受け取ったソウルジェムを、少女の胸に押し当てると魔法で少女の体内に戻す。
「こいつがグリーフシードを持っているかもしれない。探しておけ」
「うん」
芳文の言葉に頷いて、まどかはマギカ・ブレードを生成する。
芳文はマギカ・ブレードを手にすると、地面の上にへたり込んでこちらを見ている、元魔法少女の連れの少女二人とインキュベーター・コピーの元へと跳躍する。
「これでも喰らいなさいっ!!」
イギリス軍服をアレンジしたような魔法少女服を着た、少女の握る二丁のエンフィールド・リボルバーが、黒い戦士に向かって鈍い輝きを放つ弾丸を射出する。
バンバンバンッ!!
銃声が魔女の結界内に鳴り響く。
「……」
黒い戦士は無言のまま、目の前の魔法少女が撃った弾丸をすべて素手で受け止める。
「まさか!?」
少女の驚愕にも一切顔色一つ変える事なく、黒い戦士は受け止めた弾丸を無造作に地面に捨てる。
「っ!? このっ!!」
すべての弾丸を撃ちつくした少女が、リボルバーを軽く振るうと同時に、銃身がバレル付け根下部のヒンジから折れ曲がり、空になった薬莢が少女の魔力で勝手に排出される。
次の瞬間、少女の周辺に新しい弾丸が顕現して、吸い込まれるようにリボルバーに装填され、折れ曲がっていた銃身が元に戻る。
「……」
「ガハッ!!」
少女が新しい弾丸を装填し終えた次の瞬間、一瞬で距離を詰めてきた黒い戦士の放った拳が少女の鳩尾に突き刺さる。
少女の意識が途絶え、少女の変身が解けてその場に崩れ落ちる。
「……まどか」
黒い戦士――黒いレザージャケットと黒いズボンを着た芳文は、気絶した少女から視線を最愛のパートナーの方へと向ける。
芳文の視線の先で、人の手足が生えた亀のような姿をした魔女とまどかが対峙していた。
まどかが左手を前にかざし、横向きにした巨大な弓を目の前に顕現させる。
そのまま右手で矢を引き絞る動作をすると、巨大な魔力の矢が顕現して、巨大な弓によって引き絞られる。
眩いピンク色に光り輝く魔力の矢の先端が、まるでドリルのように超高速回転を始める。
「――ティロ・フィナーレ」
かつてまどかが憧れた、先輩魔法少女の必殺技と同じ技名を呟いて、右手の親指と人差し指を放す。
――バシュゥゥゥゥゥンッ!!
結界内の空気を轟音と共に引き裂きながら、凶暴な破壊力を秘めた一撃が、芳文の倒した魔法少女の銃弾さえまったく受け付けなかった、魔女の分厚い甲羅を容易く貫いた。
人一人が簡単に潜れるほどの巨大な穴を胴体に開けられた、魔女の巨体に亀裂が入りやがて大爆発を引き起こした。
ドカアァァァァァァァァァンッ!!
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
魔女が滅びた事で、結界が消滅しグリーフシードが落ちてくる。
まどかがグリーフシードを手にして振り返ると、芳文が気絶している少女を片手で担いでまどかの元へ連れてくる。
「まどか」
気絶している少女を地面の上に寝かせて、左手の中指から少女のソウルジェムを抜き取り、まどかに手渡す。
「うん」
まどかは芳文から受け取ったソウルジェムを、少女の胸に押し当てると魔法で少女の体内に戻す。
「こいつがグリーフシードを持っているかもしれない。探しておけ」
「うん」
芳文の言葉に頷いて、まどかはマギカ・ブレードを生成する。
芳文はマギカ・ブレードを手にすると、地面の上にへたり込んでこちらを見ている、元魔法少女の連れの少女二人とインキュベーター・コピーの元へと跳躍する。
365: 2011/06/03(金) 21:42:59.75 ID:YDLAGOEZo
「な、なんなのよあんた達!! 先輩に何したのよ!!」
目の前に着地した芳文に、気の強そうなショートカットの少女が立ち上がって、芳文に喰ってかかる。
「この街は先輩がずっと守ってたのに!! あんた達みたいな奴らがいるから先輩はずっと……っ!!」
「……」
少女には突然現れた芳文とまどかが、グリーフシード目当ての利己的な敵にしか見えないのだろう。
非常に固い甲羅を持つ魔女に、苦戦していた魔法少女の先輩に突然現れて襲い掛かってきた芳文。
そして、憧れの先輩があんなに手こずった魔女を、たったの一撃で撃破したまどか。
少女はろくに返事も会話もしようとしない、二人に怯えながらも気丈に食って掛かる。
ショートカットの少女の背後では、かつてのまどかのような、ショートツインテールの少女が怯えた表情で芳文を見ていた。
「ひっ……」
「……」
芳文は少女の言葉にまったく動じる事もなく、少女達の傍らに寄り添うインキュベーター・コピーに殺意を込めた視線を向ける。
「キュゥべえ!! 今すぐ私と契約して!! 願いは先輩達を守れる力が欲しい!!」
「――ふざけるな」
芳文はそう呟くと静かな怒りを込め、インキュベーター・コピーとの契約を結ぼうとした少女の頬を叩く。芳文にぶたれた少女がその場に崩れ落ちる。
「消えろ」
――ヒュッ!! ズガアァァァァァァァンッ!!
少女達に寄り添う白い悪魔を、芳文は神速の突きでこの世界から消滅させる。
「あ、あぁぁ……」
インキュベーター・コピーが悲鳴ひとつ上げる事さえ出来ずに、ぐちゃぐちゃにマギカ・ブレードで潰されてミンチになり、消滅させられる光景を見てショートツインテールの少女が失禁する。
「――魔法少女になろうなんて考えるな」
芳文は冷徹な声で少女達に言う。
「魔法少女はいずれ、魔女になる。釣り合わない奇跡を望む対価は破滅の未来だ」
そう言い残して、芳文は少女達に背を向けて立ち去る。
まどかが元魔法少女の持っていたグリーフシードを手に、芳文の側へと歩いてくる。
芳文がインキュベーター・コピーを消滅させた事を確認し、まどかはマギカ・ブレードを消滅させる。
「――何、言ってんのよ」
芳文にぶたれた頬を押さえながら、ショートカットの少女が芳文を睨みつけて叫ぶ。
「この悪魔!! 誰があんた達の言う事なんか信じるもんか!! 魔法少女が魔女になる? あんた達の方が魔女なんかより、よっぽどタチが悪いわよ!!」
尊敬する先輩に襲い掛かってきて、愛くるしい姿の魔法の使者を惨殺された事に対する怒りを込めて、少女が芳文達を罵る。
「この……化け物!!」
その言葉に、まどかの顔が悲しみに染まる。
背を向けて立ち去ろうとしていた芳文は振り返ると、つかつかと少女の元へ戻ってきてその胸倉を掴み、少女を宙づりにする。
「ぐっ……」
胸倉を掴む芳文の腕を両手で掴んで、少女が苦しそうに呻き声を上げる。
「――警告はした。もしお前が魔法少女になって、魔女になったその時は」
芳文は少女を無造作に放り投げて、吐き捨てる。
「俺のこの手で八つ裂きにして、この世から消してやる」
「ひっ……」
気丈な少女の顔が、遂に恐怖に染まる。
「……大丈夫か?」
少女に冷徹に吐き捨てた芳文が、まどかの側へ戻り心配そうにまどかに尋ねる。
「……うん」
まどかは力なく頷く。
「――今日はもう、帰ろう」
芳文はそう言って、まどかを優しく抱き寄せた。
「……うん」
まどかと芳文は寄り添いあうように、この街での活動拠点に向かって帰っていく。
「……あれが、世界に仇名す敵かぁ。ぱっと見、そんな強そうに見えないし、男の子の方は魔法少女ですらないし」
黒い魔法少女が、寄り添いあうまどかと芳文の姿を夜闇の中、街灯の上から確認して呟いた。
『あの二人を生かしておけば、必ず世界に災いを呼ぶわ』
親友の白い魔法少女の言葉を思い出して、黒い魔法少女はぽりぽりと後頭部を掻きながら呟く。
「うーん。とりあえず、これからどうするか相談してこよっと」
黒い魔法少女はそう独り言を呟くと、夜の闇の中へと消えて行った。
366: 2011/06/03(金) 21:44:05.11 ID:YDLAGOEZo
☆
――ザアァァァァァァ……。
芳文と共に泊まっているホテルのバスルームで、まどかはシャワーを浴びながら先ほどの事を思い出す。
『この……化け物!!』
左手の中指に着けている、自分自身の魂その物であるソウルジェムに視線を向け、まどかは涙を流す。
「う、うぅぅぅぅ……」
まどかの涙が、シャワーから流れ出すお湯と混じって、排水溝に流れていく。
涙が出なくなるまで、まどかはバスルームで一人泣き続けた。
「……まどか」
まどかがバスルームから出てくると、ベッドの上に腰掛けた芳文がまどかの名を呼ぶ。
「もう戻ってたの?」
「ああ」
芳文達が現在泊まっているホテルには露天風呂があり、芳文はまどかの気を紛らわせようとして、露天風呂に行く事を勧めたがまどかはやんわりと、芳文の提案を断り室内のシャワーで入浴を済ませたのだった。
まどかが室内のシャワーを使っている間に、手早く露天風呂で入浴を済ませて、芳文はまどかが出てくるのをずっと待っていた。
「おいで」
芳文が優しくそう言うと、まどかは芳文の腕の中にぽすっとその小さな体を預ける。
「まどか」
「……大丈夫だよ」
まどかは芳文の腕の中から、芳文の顔を見上げて小さく笑って見せる。
「あなたがいてくれるから。だから、大丈夫」
「……今日は、もう寝よう」
「うん」
芳文が優しい顔でそう言うと、まどかはこくんと頷くのだった。
――小さな魔法少女との悲しい別れから、三ヶ月後。
芳文とまどかはもう、他の魔法少女達と深く関わろうとするのをやめた。
インキュベーター・コピーを見つければ消滅させ、魔法少女は無理矢理にでも人間に戻し、魔女はすべて狩る。
今まではもう少し柔らかいやり方をしていたが、いまではもう問答無用だった。
初めから他の魔法少女を敵視する魔法少女相手ならともかく、今回のようにかつてのマミみたいに人の為に戦おうとする魔法少女が相手の場合、まどかが傷つく言葉を投げつけられる事も多かった。
きちんと話をすればわかりあえる相手もいる事を、今までの旅で知っていたが、下手に仲良くなって葉子との別れみたいな思いをしたり、真実に耐えられず絶望されて魔女になられるのが、今のまどか達は怖かった。
――ザアァァァァァァ……。
芳文と共に泊まっているホテルのバスルームで、まどかはシャワーを浴びながら先ほどの事を思い出す。
『この……化け物!!』
左手の中指に着けている、自分自身の魂その物であるソウルジェムに視線を向け、まどかは涙を流す。
「う、うぅぅぅぅ……」
まどかの涙が、シャワーから流れ出すお湯と混じって、排水溝に流れていく。
涙が出なくなるまで、まどかはバスルームで一人泣き続けた。
「……まどか」
まどかがバスルームから出てくると、ベッドの上に腰掛けた芳文がまどかの名を呼ぶ。
「もう戻ってたの?」
「ああ」
芳文達が現在泊まっているホテルには露天風呂があり、芳文はまどかの気を紛らわせようとして、露天風呂に行く事を勧めたがまどかはやんわりと、芳文の提案を断り室内のシャワーで入浴を済ませたのだった。
まどかが室内のシャワーを使っている間に、手早く露天風呂で入浴を済ませて、芳文はまどかが出てくるのをずっと待っていた。
「おいで」
芳文が優しくそう言うと、まどかは芳文の腕の中にぽすっとその小さな体を預ける。
「まどか」
「……大丈夫だよ」
まどかは芳文の腕の中から、芳文の顔を見上げて小さく笑って見せる。
「あなたがいてくれるから。だから、大丈夫」
「……今日は、もう寝よう」
「うん」
芳文が優しい顔でそう言うと、まどかはこくんと頷くのだった。
――小さな魔法少女との悲しい別れから、三ヶ月後。
芳文とまどかはもう、他の魔法少女達と深く関わろうとするのをやめた。
インキュベーター・コピーを見つければ消滅させ、魔法少女は無理矢理にでも人間に戻し、魔女はすべて狩る。
今まではもう少し柔らかいやり方をしていたが、いまではもう問答無用だった。
初めから他の魔法少女を敵視する魔法少女相手ならともかく、今回のようにかつてのマミみたいに人の為に戦おうとする魔法少女が相手の場合、まどかが傷つく言葉を投げつけられる事も多かった。
きちんと話をすればわかりあえる相手もいる事を、今までの旅で知っていたが、下手に仲良くなって葉子との別れみたいな思いをしたり、真実に耐えられず絶望されて魔女になられるのが、今のまどか達は怖かった。
367: 2011/06/03(金) 21:45:45.32 ID:YDLAGOEZo
☆
「……ねえ、芳文さん」
ベッドの中で芳文の左腕を枕にして、芳文の鼓動の音を聞きながら、まどかが芳文に話しかける。
「……ん?」
「後悔……してない?」
「何を?」
「わたしと出会った事。わたしと出会わなければ、芳文さんが魔法少女に関わる事なんてなかったのに」
「……またその話か」
「だって……」
「俺はまどかと出会えた事に感謝こそすれ、後悔した事なんてない」
「……」
「これが俺の運命なんだ。まどかと出会って、まどかを好きになって、まどかを守る。他の誰でもない。俺自身が決めて選択した俺の運命だ」
「でも、それじゃ芳文さんの人生は……。それにわたしだって、最後は今まで倒してきた魔女みたいに」
「させない」
芳文はまどかの言葉を遮って、きっぱりと言い切る。
「まどかを魔女になんて、絶対にさせない。いつかきっと、普通の女の子としての優しくて暖かい生活に戻してやる」
「どうして……。どうして、そこまでしてくれるの?」
薄暗い部屋の中で、まどかが芳文の顔を見つめながら尋ねる。
「俺がまどかの事を好きだからだ」
「……」
「理由があったとはいえ、母さんに捨てられて、父さんも氏んで、新しい家族も助けられなくて、自暴自棄になってただ生きてるだけだった俺の為に、まどかは泣いてくれた」
「本当は怖くて逃げ出したいのに、俺と母さん、巴さんの為に魔法少女の契約をしてくれた」
「あの時から、俺はまどかにぞっこんなんだ。いつだってまどかに笑っていて欲しいんだ」
「……芳文さん」
「だから俺はまどかを守る。もしこれから先、まどかにどんなひどい運命が待ち構えていようと、そんな物俺がこの手でぶち壊してやる」
「母さんとも約束したしな。母さんの後を引き継いでまどかを守るって。それに別の世界のまどかとは言え、あの人もまどかをずっと守ろうとして運命と戦ってきたんだ」
「あの人は最後までまどかを守ることを諦めなかった。その息子である俺が、まどかを守る事を諦めるなんて事は絶対にない」
芳文はまどかの顔を見つめながら、はっきりと自分自身の決意と想いを言葉にする。
「俺は、俺自身の為にも、この世界で一番愛する君を守り続ける」
「……ありがとう。芳文さん」
「……ああ」
「わたしね、あなたに出会えて良かった。あなたに出会えて、愛されて。わたしはきっと、この世界で一番幸せな女の子なんだって思う」
「わたし、今でも自分に自信が持てない駄目な子だけど。これだけは胸を張って言えるよ。わたし、あなたの事が大好き。わたしも芳文さんの事、世界で一番愛してる」
「ありがとう、まどか」
「うんっ」
まどかは芳文に微笑む。
芳文もまた、まどかに微笑む。
「さあ、もう寝よう」
「そうだね、おやすみなさい。芳文さん」
「ああ、おやすみ。まどか」
過酷な運命を背負わされた二人にとって、二人で一緒にお互いの温もりを感じながら眠りにつく。
それだけが、唯一の安らぎの時だった。
「……ねえ、芳文さん」
ベッドの中で芳文の左腕を枕にして、芳文の鼓動の音を聞きながら、まどかが芳文に話しかける。
「……ん?」
「後悔……してない?」
「何を?」
「わたしと出会った事。わたしと出会わなければ、芳文さんが魔法少女に関わる事なんてなかったのに」
「……またその話か」
「だって……」
「俺はまどかと出会えた事に感謝こそすれ、後悔した事なんてない」
「……」
「これが俺の運命なんだ。まどかと出会って、まどかを好きになって、まどかを守る。他の誰でもない。俺自身が決めて選択した俺の運命だ」
「でも、それじゃ芳文さんの人生は……。それにわたしだって、最後は今まで倒してきた魔女みたいに」
「させない」
芳文はまどかの言葉を遮って、きっぱりと言い切る。
「まどかを魔女になんて、絶対にさせない。いつかきっと、普通の女の子としての優しくて暖かい生活に戻してやる」
「どうして……。どうして、そこまでしてくれるの?」
薄暗い部屋の中で、まどかが芳文の顔を見つめながら尋ねる。
「俺がまどかの事を好きだからだ」
「……」
「理由があったとはいえ、母さんに捨てられて、父さんも氏んで、新しい家族も助けられなくて、自暴自棄になってただ生きてるだけだった俺の為に、まどかは泣いてくれた」
「本当は怖くて逃げ出したいのに、俺と母さん、巴さんの為に魔法少女の契約をしてくれた」
「あの時から、俺はまどかにぞっこんなんだ。いつだってまどかに笑っていて欲しいんだ」
「……芳文さん」
「だから俺はまどかを守る。もしこれから先、まどかにどんなひどい運命が待ち構えていようと、そんな物俺がこの手でぶち壊してやる」
「母さんとも約束したしな。母さんの後を引き継いでまどかを守るって。それに別の世界のまどかとは言え、あの人もまどかをずっと守ろうとして運命と戦ってきたんだ」
「あの人は最後までまどかを守ることを諦めなかった。その息子である俺が、まどかを守る事を諦めるなんて事は絶対にない」
芳文はまどかの顔を見つめながら、はっきりと自分自身の決意と想いを言葉にする。
「俺は、俺自身の為にも、この世界で一番愛する君を守り続ける」
「……ありがとう。芳文さん」
「……ああ」
「わたしね、あなたに出会えて良かった。あなたに出会えて、愛されて。わたしはきっと、この世界で一番幸せな女の子なんだって思う」
「わたし、今でも自分に自信が持てない駄目な子だけど。これだけは胸を張って言えるよ。わたし、あなたの事が大好き。わたしも芳文さんの事、世界で一番愛してる」
「ありがとう、まどか」
「うんっ」
まどかは芳文に微笑む。
芳文もまた、まどかに微笑む。
「さあ、もう寝よう」
「そうだね、おやすみなさい。芳文さん」
「ああ、おやすみ。まどか」
過酷な運命を背負わされた二人にとって、二人で一緒にお互いの温もりを感じながら眠りにつく。
それだけが、唯一の安らぎの時だった。
368: 2011/06/03(金) 21:47:49.70 ID:YDLAGOEZo
☆
「どうだ?」
「うん。さっきの魔女でこの街の魔女は全滅したみたい」
夜闇の中、明滅する街明かりを見つめながら、この街で一番高いビルの屋上でソウルジェムを左手に載せながら、まどかが芳文に告げる。
「そうか。ホテルで一眠りしたら次の街に行くか」
「うん」
まどかがソウルジェムを指輪に戻して、芳文に頷く。
「帰ろう」
芳文はまどかを抱き上げると、今いる高層ビルの上から別の低いビルの屋上へと跳ぶ。
「重くない?」
「まどかは軽いよ。それにもしまどかが重くても、好きな子の重みなら耐えられる」
「もうっ。芳文さんたら」
まどかが芳文の腕の中で笑う。
余りにも高い場所への移動は多少なりとも魔力を使うので、魔力節約の為にそういう時の移動は、魔人である芳文がまどかを抱きかかえて移動する。
魔法少女達の身体能力を、遥かに凌駕する身体能力を持つ芳文にとって、まどか一人を抱きかかえながら高層ビルからビルへ移動する事など、造作もない事だった。
「……芳文さん」
「……ああ」
次のビルの上に飛び降りる途中、芳文は殺気を。まどかは魔力を感じ取りお互いに警告する。
ビルの上に着地して、芳文はまどかを下す。
まどかは一瞬で魔法少女の姿へ変身し、芳文の背後に背中合わせで立つ。
――ヒュッ。
黒い影がまどか目掛けて飛びかかってくる。
あまりの速さにまどかがマギカ・イージスを展開させるのが間に合わない。
黒い影の放った三本のカギ爪がまどかの顔を引き裂こうとしたその瞬間。
芳文がカギ爪を神速の裏拳で粉々に粉砕した。
「嘘。私の攻撃を防いだ?」
カギ爪を粉砕された黒い魔法少女が、新しいカギ爪を魔力で再構成しながら呟く。
「――何の真似だ」
芳文がまどかを庇うように立ちながら、黒い魔法少女に真意を問う。
「思ったよりやるんだね。でも今度は本気で行くよ」
「なぜまどかを狙った!! 答えろ!!」
「なら私が答えてあげる」
闇の中から白い魔法少女が、芳文とまどかの前にその姿を現して言う。
「駄目だよ!! こんな奴ら私だけでやっつけるから!! 隠れてて!!」
「ありがとう。でもあなたが勝つのは当然でも、あなただけを前線に出すわけにはいかないわ」
白い魔法少女は、黒い魔法少女ににっこりと微笑みながら言う。
「それに、何も知らずに氏ぬのを、彼等だって納得しないでしょう? 貴女ももう少し、人の気持ちと言う物を考えられるようにならないとね」
「むー。また君は私を子ども扱いする。どうせすぐあいつら氏ぬんだから別にいいのに」
白い魔法少女は黒い魔法少女に微笑みながら、視線を芳文達に向けるとその表情を酷薄な笑みに変えて口を開く。
「どうだ?」
「うん。さっきの魔女でこの街の魔女は全滅したみたい」
夜闇の中、明滅する街明かりを見つめながら、この街で一番高いビルの屋上でソウルジェムを左手に載せながら、まどかが芳文に告げる。
「そうか。ホテルで一眠りしたら次の街に行くか」
「うん」
まどかがソウルジェムを指輪に戻して、芳文に頷く。
「帰ろう」
芳文はまどかを抱き上げると、今いる高層ビルの上から別の低いビルの屋上へと跳ぶ。
「重くない?」
「まどかは軽いよ。それにもしまどかが重くても、好きな子の重みなら耐えられる」
「もうっ。芳文さんたら」
まどかが芳文の腕の中で笑う。
余りにも高い場所への移動は多少なりとも魔力を使うので、魔力節約の為にそういう時の移動は、魔人である芳文がまどかを抱きかかえて移動する。
魔法少女達の身体能力を、遥かに凌駕する身体能力を持つ芳文にとって、まどか一人を抱きかかえながら高層ビルからビルへ移動する事など、造作もない事だった。
「……芳文さん」
「……ああ」
次のビルの上に飛び降りる途中、芳文は殺気を。まどかは魔力を感じ取りお互いに警告する。
ビルの上に着地して、芳文はまどかを下す。
まどかは一瞬で魔法少女の姿へ変身し、芳文の背後に背中合わせで立つ。
――ヒュッ。
黒い影がまどか目掛けて飛びかかってくる。
あまりの速さにまどかがマギカ・イージスを展開させるのが間に合わない。
黒い影の放った三本のカギ爪がまどかの顔を引き裂こうとしたその瞬間。
芳文がカギ爪を神速の裏拳で粉々に粉砕した。
「嘘。私の攻撃を防いだ?」
カギ爪を粉砕された黒い魔法少女が、新しいカギ爪を魔力で再構成しながら呟く。
「――何の真似だ」
芳文がまどかを庇うように立ちながら、黒い魔法少女に真意を問う。
「思ったよりやるんだね。でも今度は本気で行くよ」
「なぜまどかを狙った!! 答えろ!!」
「なら私が答えてあげる」
闇の中から白い魔法少女が、芳文とまどかの前にその姿を現して言う。
「駄目だよ!! こんな奴ら私だけでやっつけるから!! 隠れてて!!」
「ありがとう。でもあなたが勝つのは当然でも、あなただけを前線に出すわけにはいかないわ」
白い魔法少女は、黒い魔法少女ににっこりと微笑みながら言う。
「それに、何も知らずに氏ぬのを、彼等だって納得しないでしょう? 貴女ももう少し、人の気持ちと言う物を考えられるようにならないとね」
「むー。また君は私を子ども扱いする。どうせすぐあいつら氏ぬんだから別にいいのに」
白い魔法少女は黒い魔法少女に微笑みながら、視線を芳文達に向けるとその表情を酷薄な笑みに変えて口を開く。
369: 2011/06/03(金) 21:48:31.22 ID:YDLAGOEZo
「鹿目まどか。貴女は近い未来、最強にして最悪の魔女になる」
「!?」
白い魔法少女の言葉に、まどかがびくっとその身を震わせる。
「――ふざけるな。そんな未来などない。貴様に何がわかる」
芳文が殺意を込めて白い魔法少女を睨む。
「社芳文。あなたがこの世界最大のイレギュラー。魔人ね」
「貴様、何を知っている。インキュベーターの手先か?」
「インキュベーター? ……ああ。キュゥべえの事かしら」
「あいつをその名を呼ばないで!! キュゥべえと言う名前は、私と一緒にいたあの子だけの物だよ!!」
まどかが白い魔法少女に叫ぶ。
「まあ、彼の呼び方に興味はないわ。私はこの子と一緒に私の能力で見た未来を変えたいだけ」
そう言って、傍らに立つ黒い魔法少女を優しい目で見る。
「そう言えば自己紹介がまだだったわね。私達は――」
「貴様等の名前になど興味はない。貴様等は今ここで魔法少女の力を失うんだ」
芳文がまどかを庇うように立ちながら、殺意を込めた視線で白と黒の魔法少女達を睨みつける。
「あら怖い。でも貴方達をこのまま放置する訳にはいかないの」
「彼女達の言うとうりだ。社芳文。鹿目まどか」
夜闇の中から、かつてマギカ・ブレードによって、右後ろ脚と尻尾を失ったオリジナルのインキュベーターが姿を現す。
「久しぶりだね、社芳文。鹿目まどか」
「貴様!!」
芳文がインキュベーターを睨む。
黒い魔法少女が、インキュベーターと白い魔法少女を庇うように、カギ爪を構えて芳文と対峙する。
「社芳文。鹿目まどかが魔女になったその時、君はどうなるのか考えた事はあるかい?」
「……何?」
「そこにいる鹿目まどかが魔女になったその時、彼女の魔力で生命を維持している君も生まれ変わる」
『!?』
「鹿目まどか。貴女が魔女になったその時、そこにいる彼はあなたを守る最強にして最凶の眷属になる」
白い魔法少女が、インキュベーターの言葉の続きを引き継いで言う。
『!?』
突然、まどかと芳文の脳裏にかつてインキュベーターに見せられた、魔女になったまどかの姿が映し出される。
――それは白い魔法少女の力だった。
天高くそびえ立つ巨大な魔女の傍らに寄り添う、巨大な黒い人型の生物。
黒い巨体に黒い翼を生やしたその姿は、正に悪魔そのものだった。
「救済の魔女クリームヒルト・グレートヒェン。それが未来の貴女よ。鹿目まどか」
「っ!?」
「そしてクリームヒルト・グレートヒェンの傍らに寄り添う悪魔。魔神ファウスト。それが未来の貴方よ。社芳文」
「……何……だと?」
「鹿目まどかが魔女になったその時、貴方は彼女自身の祈りによって、鹿目まどかから独立した存在へと進化して生まれ変わる」
「魔女でもなく使い魔でもない、まったく別の新しい存在。それが未来の貴方」
「私達は元々、自分自身の願いの為に魔法少女の契約を交わした。けれど、貴方達に世界を、いえ、この星を破壊される未来を知ってそれを止める為にここに来たのよ」
「そ、そんな……芳文さんまで……」
自分が魔女になれば、芳文まで巻き込む真実に、まどかがその場に崩れ落ちる。
「まどか!! 耳を貸すな!! 俺がまどかを守る!! 魔女になんてさせない!!」
芳文がまどかに叫ぶ。芳文のその言葉を聞いて、まどかは強い意志を持って立ち上がると、目の前の敵に疑問をぶつけた。
「あなた達は魔法少女の真実を知って、それなのにインキュベーターの味方をするの?」
まどかの疑問に白い魔法少女は酷薄な笑みを浮かべて言う。
「願いを叶える為ですもの。そのくらいのリスクは承知の上よ。それにこの子と二人なら絶望なんてするはずがないわ」
「そういう事。私達の世界を守る為に氏んでよ。化け物」
「わ、わたし……」
化け物と言う言葉に、まどかが怯む。黒い魔法少女がまどか目掛けて走る。
370: 2011/06/03(金) 21:49:35.76 ID:YDLAGOEZo
「チッ!!」
芳文がまどかの前に立ち、黒い魔法少女を迎え撃つ。
「甘いっ!!」
両手に三本ずつのカギ爪を顕現させた黒い魔法少女が、芳文の目の前で空中に飛び、空中で魔力による足場を展開しながら、あちこちに飛び回って攪乱する。
「もらった!!」
あまりの速さに対処しきれないまどかの胸元目掛けて、カギ爪を突き立てようとしたその時だった。
――ズドンッ!!
「ゲボッ!?」
芳文の放った蹴りが、容赦なく黒い魔法少女の顔面に突き刺さり、その華奢な体を吹き飛ばした。
「……あ? ああ?」
ボタボタと鼻血を出しながら、呆然と起き上がると、目の前に芳文が立っていた。
「このっ!!」
地面にへたりこんだまま、カギ爪を横薙ぎに振るう。
――ズンッ!!
芳文が踏みつけた事で、芳文の足を狙った少女の右手が踏みつぶされて折れる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
右腕をへし折られて絶叫する少女の首を、芳文は一瞬で掴んで持ち上げるとぎりぎりと締め付ける。
「がっ……は……」
無事な左手で芳文から逃れようと、カギ爪を突き立てようとする。
――ボキン。
芳文に簡単に掴まれて、左手も握り潰されて、折られる。
「が……」
黒い魔法少女が白目を剥いて、失禁しながら気を失う。
「そんな、まさか……あの子がこんな簡単に負けるなんて……」
絶対の信頼を寄せていたパートナーが、あっさりと敗北する姿を見せつけられ、白い魔法少女が呆然となる。
いつの間にか、インキュベーターはその姿を消していた。
――ブンッ。
芳文の投げつけてきた意識のないパートナーの姿を見ながら、次の瞬間には激しい痛みを感じながら白い魔法少女はその意識を失った。
371: 2011/06/03(金) 21:50:43.05 ID:YDLAGOEZo
☆
「……すまん。手加減しきれなかった」
「殺さなかったんだから気にしないで。もし氏んでたら助けられないし」
まどかは芳文にそう言って、芳文に倒された黒い魔法少女を魔法で治療して、人間へ戻す。
「うう……」
人間に戻された黒い魔法少女が呻き声を上げる。
「こっちの子も」
まどかが白い魔法少女も人間に戻す。
「……芳文さん、終わったよ」
「……ああ」
芳文が頷いてまどかを抱きかかえて、その場を立ち去ろうとしたその時だった。
「この悪魔!!」
意識を取り戻した黒い元魔法少女が、芳文に憎悪を込めて叫んだ。
「――だったら?」
「ひっ……」
芳文に冷酷な目で射るような視線で睨まれて、先ほどの恐怖を思い出した少女はすくみ上る。
「俺は愛する者を守る為なら、何だってやる。貴様達がまた俺達に関わろうとするなら、今度は頃す」
「あ、あぁぁぁ……」
少女が涙を溜めながら、がたがたと震える。
「……神様」
いつの間にか目を覚ました白い元魔法少女が、目の前の脅威に対する術を失い、自らが信じる神に祈る。
「この世界に神なんていない」
芳文は二人にそう吐き捨てると、まどかを抱きかかえてその場を立ち去った。
「……芳文さん」
芳文の腕の中で、まどかが弱々しく口を開く。
「もしわたしが魔女になりそうになったら……」
まどかの大きな瞳は涙で潤んでいた。
「その時は、あなたの手で頃してね……」
芳文はまどかの願いに何も答える事無く、ビルからビルへと飛び移っていく。
『……神様』
先ほどの白い魔法少女の言葉が芳文の脳裏に過る。
(この世界に神なんていない)
(もし神なんて物が存在するなら、何故まどかにこんな運命を与える?)
(この子が一体何をした? どうしてここまで追い詰められないといけない?)
(まどかを守る為なら、神と戦う悪魔にだってなってやる)
(まどかに過酷な運命を与える神も、まどかを翻弄する運命も全部俺の敵だ)
(そんな物、俺のこの手でぶち壊してやる!!)
自分の腕の中の、世界で一番大切な物を守る為、少年は抗い続ける……。
いつか、少女を幸せな日常に戻せるその日まで……。
つづく
「……すまん。手加減しきれなかった」
「殺さなかったんだから気にしないで。もし氏んでたら助けられないし」
まどかは芳文にそう言って、芳文に倒された黒い魔法少女を魔法で治療して、人間へ戻す。
「うう……」
人間に戻された黒い魔法少女が呻き声を上げる。
「こっちの子も」
まどかが白い魔法少女も人間に戻す。
「……芳文さん、終わったよ」
「……ああ」
芳文が頷いてまどかを抱きかかえて、その場を立ち去ろうとしたその時だった。
「この悪魔!!」
意識を取り戻した黒い元魔法少女が、芳文に憎悪を込めて叫んだ。
「――だったら?」
「ひっ……」
芳文に冷酷な目で射るような視線で睨まれて、先ほどの恐怖を思い出した少女はすくみ上る。
「俺は愛する者を守る為なら、何だってやる。貴様達がまた俺達に関わろうとするなら、今度は頃す」
「あ、あぁぁぁ……」
少女が涙を溜めながら、がたがたと震える。
「……神様」
いつの間にか目を覚ました白い元魔法少女が、目の前の脅威に対する術を失い、自らが信じる神に祈る。
「この世界に神なんていない」
芳文は二人にそう吐き捨てると、まどかを抱きかかえてその場を立ち去った。
「……芳文さん」
芳文の腕の中で、まどかが弱々しく口を開く。
「もしわたしが魔女になりそうになったら……」
まどかの大きな瞳は涙で潤んでいた。
「その時は、あなたの手で頃してね……」
芳文はまどかの願いに何も答える事無く、ビルからビルへと飛び移っていく。
『……神様』
先ほどの白い魔法少女の言葉が芳文の脳裏に過る。
(この世界に神なんていない)
(もし神なんて物が存在するなら、何故まどかにこんな運命を与える?)
(この子が一体何をした? どうしてここまで追い詰められないといけない?)
(まどかを守る為なら、神と戦う悪魔にだってなってやる)
(まどかに過酷な運命を与える神も、まどかを翻弄する運命も全部俺の敵だ)
(そんな物、俺のこの手でぶち壊してやる!!)
自分の腕の中の、世界で一番大切な物を守る為、少年は抗い続ける……。
いつか、少女を幸せな日常に戻せるその日まで……。
つづく
380: 2011/06/05(日) 12:16:40.37 ID:PU3BTzzEo
「やめてえぇぇぇぇぇぇっ!!」
傷ついて地面に倒れている一人の魔法少女が、魔女と対峙する芳文の背中に向かって、悲痛な叫び声を上げる。
――バシュッ!!
全身を芳文の鉄拳で粉砕されて、ボロボロになった鎧武者の姿をした満身創痍の魔女が、手にした弓矢を芳文に放つ。
芳文は高速で飛んできた矢をあっさりと掴むと、魔女に目掛けて投げ返す。
ズンッ!!
魔女の顔面に矢が突き刺さり、貫通する。あまりの衝撃に魔女の巨体が仰け反る。
魔女の頭上に跳び上がった芳文が、魔女の頭部に必殺のかかと落としを決めて胸部まで引き裂く。
魔女の胸部にかかとを埋めたまま、もう片方の足で渾身の蹴りを魔女の胴体に叩き込み、蹴りの衝撃でかかとを引き抜きながら後方へと着地する。
――ピシピシピシ……ッ。
魔女の全身に夥しい数のヒビが入り、次の瞬間、魔女の全身が木端微塵に粉砕消滅した。
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
結界が消滅し、落ちてくるグリーフシードを芳文がキャッチする。
「あの……大丈夫?」
魔女の攻撃がもし飛んできた場合に、マギカ・イージスをいつでも張れるよう、少女の傍らで待機していたまどかが、倒れたままの少女におずおずと声をかける。
「この人頃し!!」
少女は涙を流しながら、まどかをキッと睨みつけて叫ぶ。
「っ!!」
少女の言葉に、まどかは思わず視線を逸らす。
「アレはもう、人でも魔法少女でもない。ただの魔女だ」
少女とまどかの元へ歩いてくる芳文が、冷徹に魔法少女にそう言い放った。
「ふざけないで!! あの子は私の大切な親友だったのに!! 助けようとしてたのに!! いきなり割って入ってきて!!」
少女が憎しみを込めた視線で芳文とまどかを睨みつける。
「ふざけてなどいない。魔法少女はソウルジェムを黒く染め上げた時、その魂が燃え尽きてグリーフシードに変わる。そうなったらもう、ただ呪いを撒き散らすだけの魔女の卵だ」
「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」
芳文の冷たい言葉に、少女は激昂してブロードソードをその手に顕現させて、芳文に斬りかかる。
――パキイィィンッ!!
芳文が振り下ろされたブロードソードの刀身を、神速の裏拳で無造作に横薙ぎに殴りつけて粉々に打ち砕く。
素手の芳文にあっさりと自慢の剣をへし折られて、驚愕の表情を浮かべる少女は、流れるように放たれた芳文の拳を鳩尾に喰らってそのまま昏倒した。
芳文は意識を失って、崩れ落ちる少女の襟首を無造作に掴むと、静かに地面の上へと横たえる。
「まどか」
「……うん」
まどかは芳文に頷いて、意識を失った少女をいつものように人間へと戻す。
「……行こう」
少女を人間に戻し終えたまどかに、芳文がそう声をかけると、まどかは意識を失って倒れている少女に向かって口を開いた。
「助けてあげられなくて、ごめんなさい……」
第22話 「もう、くじけない」
381: 2011/06/05(日) 12:17:08.76 ID:PU3BTzzEo
「……あまり気にするな」
「うん……」
泊まっているホテルの一室で、いつものように芳文は自分の左腕をまどかの枕にしながら、寄り添うようにして二人一緒にベッドで寝ていた。
まどかは先ほどの、魔女になってしまった友人を救おうとしていた、あの魔法少女の事をまだ引きずっていた。
「俺達は神様じゃないんだ。もう既に魔女になっていた魔法少女まで救う事なんて出来ない。せめて少しでも被害を増やさない内に、楽にしてやるのが俺達が彼女達にしてやれる唯一の救いなんだ」
「……うん。わかってるよ。わたしにはケガを治してあげたり、魔法少女を元の人間に戻してあげる事しか出来ないのもね……」
芳文の慰めの言葉に、まどかは呟くようにそう答えると、芳文の体にぎゅっとしがみついて弱弱しく言う。
「でも、どんなにわたし達ががんばっても、みんなに憎まれるだけなんだもん……」
「……まどか」
「わたし達、どうしたら幸せになれるのかな……。もう嫌だよ。こんなの……」
まどかの瞳に涙が溜まる。
「帰りたい……」
まどかの瞳から、涙が零れる。
「何も知らなかった、あの頃に帰りたいよぅ……」
まどかはそう言って、嗚咽を漏らす。まどかはもう、限界だった。
まどかと芳文が見滝原を出てから、既に二年半が過ぎようとしていた……。
「……」
芳文は黙って、嗚咽を漏らすまどかを優しく抱きしめてやる。
(……まどかだけじゃない。俺ももう……疲れた)
暗い天井に視線を向けて、芳文は自らの無力さに歯噛みをする。
(どうして俺は、まどかの側にいてやる事しか出来ないんだ……。いったいどうすれば、まどかはまた笑ってくれるようになるんだ……?)
(誰か、教えてくれ……。俺は……俺達は、いったいどうすれば、幸せになれる?)
まどかだけではなく、芳文もまた、疲弊していた。
どんなに慰めの言葉をかけても、今のまどかには届かないような気が今の芳文にはした。
今の芳文には、まどかが泣き疲れて眠りに着くまでの間、ただ黙って抱きしめていてやる事しか出来なかった……。
☆
「すぅ……すぅ……」
自分に抱きつきながら、泣き疲れて寝息を立てるまどかの顔を見つめながら、芳文はこれからの事を思案する。
このままでは、まどかに負の感情ばかりが溜まってしまう。
まどかのソウルジェムが濁る事は、まどかと芳文の人としての氏を意味する。
更にそれだけではなく、この地球その物の終わりをも意味する。
――救済の魔女クリームヒルト・グレートヒェン。その祈りはすべての命を強制的に吸い上げ、自らの作り上げた天国へと導く。
――破壊の魔神ファウスト。そのすべては愛する彼女の為だけに。彼女の望みを邪魔する者を一切の慈悲すらなく地獄の底へと突き落とす。
人としての氏を迎えたその時、まどかと芳文はこの星を滅ぼす最強にして最凶の存在へと生まれ変わる。
破滅の未来だけは、なんとしても阻止しなければならない。
故郷の見滝原に暮らす、大切な人達の為にも……。
「……まどか」
愛しい少女の寝顔を見つめながら、芳文は過酷な運命に立ち向かう事を新たに胸に誓う。
「……まどか。愛してる。俺が絶対に守るから。せめて、これ以上悲しい思いをさせないように頑張るから……」
まどかの目尻に溜まった涙を、優しく親指で拭ってやりながら、芳文が呟いたその時だった。
『やれやれ。君達はまだ絶望しないのかい?』
不意に忌々しい声が芳文の脳裏に響く。
「何の用だ」
窓の外にインキュベーターの気配を感じて、芳文は忌々しげに言う。
『まどかを起こしてもいいのかい? 今だけは、考えるだけで僕と会話が出来るようにするよ』
「――チッ」
まどかを起こさないように、芳文は小さく舌打ちをすると、インキュベーターの言うとうりにテレパシーで会話をする。
382: 2011/06/05(日) 12:17:56.02 ID:PU3BTzzEo
『正直な話、君達のしている事は迷惑なんだ。いい加減、無駄な希望を持つのはやめてくれないか』
『黙れ』
『まどかの魔力で人間に戻された魔法少女は、再契約をしようとしても魔法少女に戻せない。おまけに僕のコピー達もあの因果を絶つ剣で消滅させられて、僕のノルマがちっとも終わりが見えなくて困ってるんだ』
『貴様の都合など知った事か』
『今、こうしている間にも、僕等の宇宙はエネルギーの減少が続いているんだ。このままではいつか僕等の宇宙が終わりの時を迎えてしまう』
『だから僕等の宇宙を救う為には、鹿目まどかの絶大な感情エネルギーが欲しいんだよ』
『その結果、こちらはどうなる』
『奇跡を望んだのは鹿目まどか自身さ。いつか釣り合わない希望の対価として、絶望して魔女になるのは彼女自身の問題だ。その後のそちらの地球、いや、宇宙の問題はそちらで解決してくれ』
『ふざけるな。侵略者が』
『僕達はこの宇宙を侵略しているつもりなんてないよ。君達だって豚や牛を頃して食べるだろう?』
『俺達を家畜と一緒にするな』
『僕達にとってはこの宇宙の全生命は、君達にとっての家畜と一緒だよ。僕等の宇宙の為に有効利用したいだけなんだ』
『ふざけるなよ。この畜生風情が。何様のつもりだ』
『やれやれ。君も母親と同じだね。一見クールに装っていても、ちょっとした事ですぐに激情に駆られる』
『貴様と話す事などもうない。消えろ。次に会った時はこの世界から消し去ってやる』
『やれやれ。まともな対話は出来そうもないね。こちらは曲がりなりにも、君達を知的生命体として認めてここに来てるんだけどね』
『黙れ』
『やれやれ。まだ話は終わってないよ。君は鹿目まどかを人間に戻したいみたいだけど、もし鹿目まどかが人間に戻った場合、君は生命を維持出来なくなって氏ぬという事に気付いているかい?』
『……だから?』
『おや? 随分冷静だね』
『そんな事は真実を知った時に薄々気づいている。例え俺自身の命がどうなろうと、まどかを貴様の思いどうりになんてさせない』
『君が鹿目まどかを魔女にするのを手伝ってくれるなら、僕等の宇宙の鹿目まどかから採取したエネルギーを使って、君の命を助けてあげるよ』
『ふざけるな』
『君は自分の命が惜しくないのかい?』
『貴様には永遠にわからない。本当に大切な人の為なら、人間は自分の命を懸けられるんだ』
『代わりの人間なんていくらでもいるのに。訳が分からないよ。たかだか一人の少女の生氏に何故そこまで拘るんだい?』
インキュベーターはそう言うと、その気配を完全に消した。
「……例え何があっても、俺はまどかを守る」
今感じている、このかけがえのない温もりを守る決意を新たに、芳文は静かに目を閉じるのだった……。
383: 2011/06/05(日) 12:18:48.71 ID:PU3BTzzEo
☆
――翌朝。
まどかが髪を梳かしていると、先に起きて着替えを済ませていた芳文が、まどかに優しい顔で切り出した。
「まどか、今日は二人で街に遊びに行こう」
「――え?」
芳文の突然の提案に、まどかの髪を梳かす手が止まる。
「もうこの街の魔女も全滅させたし、たまには休息も必要だろう。この街は結構大きいし、遊ぶ所も沢山あるからデートにはうってつけだ」
「でも……」
まどかがためらっていると、芳文がまどかの目を見ながら言う。
「俺もちょっと疲れてるしな。まどかとデートしてリフレッシュしたいんだ。まどかは俺とデートするの嫌か?」
芳文のその言葉に、まどかは俯きながら小さく呟く。
「ううん……。芳文さんと、デートしたい……」
「よし。それじゃ早速出かけよう。まどかに新しい服も買ってあげたいしな」
芳文が勤めて明るくそう言うと、まどかは小さく笑って答えた。
「……うんっ」
☆
「芳文さん、どうかな?」
ブティックの更衣室から出てきたまどかが、芳文に試着したワンピースを見せる。
「ああ。良く似合っててかわいいよ」
「ホント?」
「俺がまどかに嘘をついた事があるか?」
「ううん。じゃあ、これにしようかな」
まどかが笑顔で芳文にそう言うと、芳文は優しい顔で頷く。
まどかが更衣室の中に戻って、元の服に着替えようとすると、芳文が店員を呼ぶ。
「せっかくだからその新しい服でデートしよう。――すいません。この服買います」
芳文に呼ばれてやってきた、二十代前半くらいの女性店員にそう言って、芳文はまどかの服に付いている値札を取ってもらい、レジに移動して代金を支払う。
「仲がよろしいんですね。妹さんですか?」
店員の妹と言う言葉に、最初に着ていた服を入れた紙袋を抱いた、まどかの表情が曇る。
「妹じゃなくて恋人ですよ。俺の一番大切な人です」
芳文がきっぱりとそう答えると、まどかの顔がぱあっと花が咲くような笑顔になる。
「あら、そうだったんですか。ごめんなさい」
店員は芳文とまどかにそう言って謝ると、白いリボンを二本、まどかに気付かれないように芳文にこっそりと手渡して言う。
「可愛らしい恋人さんを傷つけるような事を言ってごめんなさい。これはお詫びの意味も込めてのサービスです」
「……いいんですか?」
「あんなに長くてきれいな髪をしてるんですもの。きっと恋人さんに似合いますよ」
「……ありがたくいただきます」
芳文は店員に礼を言って、受け取った白いリボンをポケットの中にしまう。
(デートの最後にでも、まどかにプレゼントしよう)
そんな事を考えながら、芳文はまどかと一緒に店を出る。
――翌朝。
まどかが髪を梳かしていると、先に起きて着替えを済ませていた芳文が、まどかに優しい顔で切り出した。
「まどか、今日は二人で街に遊びに行こう」
「――え?」
芳文の突然の提案に、まどかの髪を梳かす手が止まる。
「もうこの街の魔女も全滅させたし、たまには休息も必要だろう。この街は結構大きいし、遊ぶ所も沢山あるからデートにはうってつけだ」
「でも……」
まどかがためらっていると、芳文がまどかの目を見ながら言う。
「俺もちょっと疲れてるしな。まどかとデートしてリフレッシュしたいんだ。まどかは俺とデートするの嫌か?」
芳文のその言葉に、まどかは俯きながら小さく呟く。
「ううん……。芳文さんと、デートしたい……」
「よし。それじゃ早速出かけよう。まどかに新しい服も買ってあげたいしな」
芳文が勤めて明るくそう言うと、まどかは小さく笑って答えた。
「……うんっ」
☆
「芳文さん、どうかな?」
ブティックの更衣室から出てきたまどかが、芳文に試着したワンピースを見せる。
「ああ。良く似合っててかわいいよ」
「ホント?」
「俺がまどかに嘘をついた事があるか?」
「ううん。じゃあ、これにしようかな」
まどかが笑顔で芳文にそう言うと、芳文は優しい顔で頷く。
まどかが更衣室の中に戻って、元の服に着替えようとすると、芳文が店員を呼ぶ。
「せっかくだからその新しい服でデートしよう。――すいません。この服買います」
芳文に呼ばれてやってきた、二十代前半くらいの女性店員にそう言って、芳文はまどかの服に付いている値札を取ってもらい、レジに移動して代金を支払う。
「仲がよろしいんですね。妹さんですか?」
店員の妹と言う言葉に、最初に着ていた服を入れた紙袋を抱いた、まどかの表情が曇る。
「妹じゃなくて恋人ですよ。俺の一番大切な人です」
芳文がきっぱりとそう答えると、まどかの顔がぱあっと花が咲くような笑顔になる。
「あら、そうだったんですか。ごめんなさい」
店員は芳文とまどかにそう言って謝ると、白いリボンを二本、まどかに気付かれないように芳文にこっそりと手渡して言う。
「可愛らしい恋人さんを傷つけるような事を言ってごめんなさい。これはお詫びの意味も込めてのサービスです」
「……いいんですか?」
「あんなに長くてきれいな髪をしてるんですもの。きっと恋人さんに似合いますよ」
「……ありがたくいただきます」
芳文は店員に礼を言って、受け取った白いリボンをポケットの中にしまう。
(デートの最後にでも、まどかにプレゼントしよう)
そんな事を考えながら、芳文はまどかと一緒に店を出る。
384: 2011/06/05(日) 12:19:36.91 ID:PU3BTzzEo
「芳文さん、ありがとう」
まどかが嬉しそうな笑顔で、新しい服を買ってくれた事の礼を芳文に言う。
「どういたしまして。ホントは俺自身が稼いだ金で買ってやりたかったけど」
芳文が笑いながらそう言うと、まどかが芳文の手を取って言う。
「ううん。芳文さんがわたしの為に、新しいお洋服を買ってくれるって言ってくれたのが、嬉しかったから……」
「そっか。次はどこに行こうか」
まどかのその言葉に優しい微笑みを浮かべて、芳文は尋ねる。
「もうちょっと、一緒に歩きたいな」
「そんなんでいいのか?」
「うんっ。特にどこかのお店に入ったり、何か食べたりしなくてもいいの。こうして、芳文さんと一緒に歩ければ、それでいいの」
そう言って、まどかが芳文の左腕にしがみつく。
「じゃあ、少し散歩しようか」
「うんっ」
二人仲良く腕を組みながら、午後の街を仲良く歩く。
「あっ……」
一緒に歩いている途中、不意にまどかが足を止める。
「ん?」
まどかの視線の先を見ると、ガラス越しに白いウェディングドレスが飾られていた。
「……いつか、着せてあげるから」
芳文がまどかにそう言うと、まどかは頬を染めながら、嬉しそうに芳文に笑顔を見せる。
「……うんっ」
まどかに優しく微笑みながら、芳文は一人強い決意を胸に抱く。
(……まどかが花嫁衣裳を着るその時に、例え隣に立っているのが俺じゃなくてもな。いつかきっと、まどかを普通の女の子に戻してやるから)
芳文とまどかはそれから、オープンカフェでコーヒーとイチゴパフェを注文して休憩を取ったり、夢見る若者達の路上ライブを見たりして久々の休息の時を満喫した。
穏やかな春の風が、まどかの長い髪を優しく撫でていく。
昨晩の出来事を忘れたかのように、まどかは芳文に花のような笑顔を見せてくれる。
(まどかを連れ出して良かった)
芳文は笑顔のまどかに手を引かれながら、まどかに微笑み返しつつそんな事を思う。
見滝原を出てから、ずっと気を張り詰めて生きてきた二人に取って、今日と言う日は本当に久しぶりの、年齢相応の安らぎの一時だった。
「――まどか?」
――まどかを良く知る人物に出会うまでは。
☆
385: 2011/06/05(日) 12:20:21.50 ID:PU3BTzzEo
「――え?」
駅の前を通り過ぎようとしていた、まどかと芳文の動きが止まる。
まどかの名を呼んだその人物は、まどかの母。鹿目詢子だった。
「どうして、こんなところに……」
まどかが信じられないと言った顔で、小さく呟く。
「まどか。まどかだろ?」
詢子が人込みを掻き分けながら、手にしていたチラシの束を落として、まどか達の側に駆け寄ってくる。
「ママー」
「どうしたんだい?」
チラシの束を持った智久が五才になったタツヤを抱いて、詢子の後を追ってくる。
「……まどか?」
「あーっ!! ねーちゃ!!」
突然の予期せぬ再会に、硬直するまどか達の前へ、まどかの家族達がまどかの名を呼びながら駆け寄る。
「まどか!! あんた今までどこで何してたんだ!!」
詢子がまどかの両肩を掴んで、まどかを問い詰める。
「……まどかって誰ですか?」
まどかは咄嗟にそう答える。
「まどか!! ふざけるな!!」
詢子の怒声に顔色一つ変えずに、まどかは智久の持つチラシに視線を向ける。
そのチラシには、見滝原中学の制服を着たまどかの写真が載せられていた。
「人違いじゃないでしょうか。そのチラシの人とわたしじゃ年齢が違いますよ」
まどかはそう言うと、詢子の顔に視線を戻して言う。
探し人のチラシに載せられた写真の二年半前のまどかと、今のまどかは髪の長さこそ違う物の、その小柄な体格はまったく当時と同じままだった。
「痛いです。放してください」
「嫌だね」
――パアァァァァァンッ。
詢子はまどかのその言葉を拒否して、まどかの頬を引っ叩くとまどかを睨みつける。
「お前、いい加減にしろよ。突然いなくなって、やっと見つけたと思ったら今度は他人のふりか? ふざけるのも大概にしろよ……」
「あたしはあんたの母親なんだ!! 自分の腹を痛めて産んだ子供を見間違える訳ねえだろうが!!」
詢子の言葉のその言葉を聞いて、まどかの瞳に涙が溜まる。
見滝原を出てからまったく成長していない自分なら、良く似ているだけの他人のふりをすればごまかせると思ったのに、母には通用しなかった。
その事が嬉しくもあり、今の自分の境遇を思い出して、悲しくもなった。
このまま、家族と共に以前の暮らしに帰りたい。
まとがは強くそう思ったが、それは叶わぬ願いだった。
「ひっく……」
まどかがしゃくりあげる。
「君は芳文君だね」
智久が、記憶の中の姿よりも成長した芳文に話しかける。
「君は今まで、まどかとずっと一緒だったのかな」
「……」
芳文は智久に何も答えられない。
突然の予期せぬ再会に、どうしたものかと芳文が戸惑っていたその時だった。
――突然、全員が人気の少ない路地裏へと転送された。
386: 2011/06/05(日) 12:20:58.62 ID:PU3BTzzEo
「なんだ!?」
突然起こった超常現象に、詢子が戸惑いの声を上げる。
事態が良くわかっていないタツヤを抱いた智久も、驚いた顔で周囲を見回している。
「感動の再会ってところかな。鹿目まどか」
街灯の上に立つインキュベーターがその赤い瞳を輝かせながら、まどかに感情の籠らない声をかける。
「貴様!!」
芳文が殺意を込めてインキュベーターを睨みつける。
「まさかこんな所で鹿目まどかが家族と再会するなんてね。これもまた、運命と言う奴かな」
インキュベーターの背中の口が開き、不気味な胎動を繰り返すグリーフシードが吐き出される。
「せっかくの機会だ。有効に利用させてもらうとしよう。社芳文。君にはこの魔女の相手をしていてもらうよ」
そう言って、インキュベーターはニタァと邪悪な笑みを浮かべて言う。
グリーフシードが孵化して、人魚の下半身をしている騎士の魔女がその巨体を現し、結界が展開される。
――アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
巨大なステージが出現し、魔女が雄叫びを上げながら、その上にそびえ立つ。
二本の剣を手にした魔女の周囲に、緑の髪をした赤い顔をした少女の使い魔が複数現れ、巨大な鉄輪を芳文達に目掛けて撃ち出してくる。
「チッ!!」
芳文が撃ち出された鉄輪を蹴りで粉砕し、ひとつを掴んで別の鉄輪に投げつけて破壊しする。
次々と撃ち出される鉄輪を破壊しながら、芳文はまどかとその家族を守る。
「な……なんだコレは……?」
信じられない光景を見せられ、詢子と智久が絶句する。
「パパ、こわいよぅ……」
タツヤが怯えて智久にしがみつく。
「くっ!!」
休みなく撃ち出される鉄輪を粉砕しながら、使い魔達も倒していく芳文。
まどかは家族の前で変身する訳にもいかず、魔女から庇おうとして、自分を抱き寄せている詢子の腕の中から、芳文の孤軍奮闘を黙って見ているしかなかった。
「っ!? しまった!!」
芳文が使い魔にミドルキックを喰らわせて、消滅させたその時だった。
魔女がまどかの家族に目掛けて、手にした剣を投げつけた。
芳文は咄嗟に投げつけられた剣を追う。
凄まじい速さで飛来する剣に芳文でも追いつけない。
巨大な剣が、寄り添いあうまどかの家族達に、突き刺さろうとしたその時だった。
「駄目えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
まどかが詢子の腕の中から飛び出して、一瞬で魔法少女の姿に変身すると、マギカ・イージスを展開させて、投げつけられた巨大な剣を受け止めて消滅させた。
「まどか……?」
詢子が呆然とした顔で我が子の名を呼ぶ。
「……っ」
まどかが振り返ると、母が、父が、弟が、信じられない物を見た事に絶句して固まっていた。
まどかは家族から視線を逸らして俯く。
「あんた……その姿は一体……?」
「それに、その力は……?」
母と父の困惑の言葉に、まどかは何も答えられない。
387: 2011/06/05(日) 12:22:04.52 ID:PU3BTzzEo
「僕が教えてあげるよ」
突然かけられた人懐っこい声に、詢子と智久が顔を向けると、インキュベーターがにっこりと笑って口を開いた。
「やめて!! お願いやめて!!」
わざわざ一般人であるまどかの家族にその姿を見せて、インキュベーターが何をしようとしているのかに、気付いたまどかが悲痛な叫びを上げる。
「やめろ!!」
芳文がインキュベーターを潰そうとするが、魔女の攻撃が芳文の邪魔をする。
「くっ!!」
芳文はまどか達を守る為に、魔女の鉄輪と使い魔達を粉砕する為に、その動きを封じ込められてしまう。
「はじめまして。僕の名はインキュベーター。君達の娘、鹿目まどかは僕のコピーと契約して魔法少女になったんだよ」
「魔法少女……だと……?」
詢子が呆然とした顔でまどかを見る。
「そうだよ。君達の娘はあそこで戦っている社芳文の命を救う願いをして、その対価として魔女と戦う契約をしたんだ」
「なっ……」
詢子と智久が絶句する。
「君達も先ほど見ただろう。まどかの魔法少女としての力を。そしてあそこで戦っている社芳文の力もまどかが与えた物だ」
「やめて……」
信じられないと言った顔で、自分を見てくる父と母から視線を逸らしながら、まどかは弱々しく呟く。
「……まどかの姿が、二年半前とほとんど変わってないのは?」
詢子が呆然となりながらも、インキュベーターに尋ねると、インキュベーターは笑顔で答えた。
「ああ。そこにあるまどかの体は、今やただの外付けハードウェアだからね」
「何……?」
詢子の言葉を無視して、インキュベーターは続ける。
「僕達インキュベーターはね、契約した少女達が安全に効率よく魔女と戦えるように、契約時に少女の魂を抜き取ってソウルジェムに変換してあげるんだ」
「……ソウルジェム?」
智久の疑問にインキュベーターは得意げな笑顔で説明する。
「まどかの胸元に桃色の宝石があるだろう。あれが今のまどかさ。まどかの魂その物であり、魔法少女の力の源。魔法少女の本体としての宝石ソウルジェム」
「魔法少女はね、本体からの魔力で元の体を操って、生きてるふりをしているのさ」
「あれを壊されない限り、まどかは無敵なんだ。どんなに体が傷ついても、例え心臓が破れても、魔力を使えばすぐに元どうりになる」
「何だよそれは……。それじゃまるで……」
詢子の震える言葉に、インキュベーターはにっこりと笑いながら答えた。
「君達が言う所の、ゾンビって言うのかな。あれに近いね。もしソウルジェムを100メートル以上体から引き離せば、たちまち体の機能が停止する欠陥ゾンビだけどね」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
父と母の困惑と驚愕の視線を受けながら、まどかがその場にへたり込んで泣き叫ぶ。
「……ふざけるな!! 人の娘に何て事しやがるんだてめえ!!」
詢子が激怒してインキュベーターを睨みつける。
「これは仕方がない事なんだよ。これも僕等の宇宙の未来を救う為なんだ」
インキュベーターが得意げに、自分達の目的と魔法少女システムの説明をする。
まどかは涙を流しながら、インキュベーターと両親のやりとりをただ聞き続ける。
388: 2011/06/05(日) 12:22:40.20 ID:PU3BTzzEo
――シュウゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
芳文が魔女を粉砕消滅させ、グリーフシードを片手にまどか達の元へと走ってくる。
「くたばれ!!」
芳文の鉄拳が、地面を粉々に粉砕しながらインキュベーターを粉砕する。
「やれやれ。もはやただの魔女では君を足止めするくらいにしかならないか」
右後ろ脚と尻尾のない新しいインキュベーターが、芳文達から遠く離れた場所に現れてテレパシーで語りかけてくる。
「まあ僕の目的は果たせた。もうじき鹿目まどかは絶望するだろう」
そう言ってインキュベーターはその姿を消した。
「……まどか」
顔を両手で覆って、泣き続けるまどかに芳文が声をかける。
「お願い……。見ないで……」
両親の顔を見ようともせず、まどかは嗚咽を漏らしながら懇願する。
「芳文さん、お願い……。早く連れて行って……」
まどかは弱々しく芳文に懇願する。
――もし、葉子のように家族に拒絶されたら。
――きっと、まどかは耐えられない。
芳文がまどかを抱き上げてその場を立ち去る為、動こうとするよりも早く詢子がまどかの両肩に手を置いた。
まどかが顔を上げて母の顔を見つめる。
その顔は、大好きな母親に拒絶されることを恐れる、まるで幼子のような泣き顔だった。
「まどか」
詢子はまどかを力強く、そして優しく抱きしめる。
「ずっと、自分達だけで抱え込んでいたんだな。気付いてやれなくてごめんな……」
詢子が涙を流してまどかに謝る。
「……ママ」
まどかが信じられないと言った顔で母を呼ぶ。
「今まで、良く頑張ったね」
智久が優しい顔で、まどかに近づいて言う。
「……あ」
「ねーちゃ、なかないで」
タツヤが小さな手で、まどかの涙を拭って言う。
「う……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ……!!」
母の腕の中で、まどかは幼い頃のように泣きじゃくる。
優しい家族に見守られながら、まどかはいつまでもいつまでも泣き続けた……。
芳文が魔女を粉砕消滅させ、グリーフシードを片手にまどか達の元へと走ってくる。
「くたばれ!!」
芳文の鉄拳が、地面を粉々に粉砕しながらインキュベーターを粉砕する。
「やれやれ。もはやただの魔女では君を足止めするくらいにしかならないか」
右後ろ脚と尻尾のない新しいインキュベーターが、芳文達から遠く離れた場所に現れてテレパシーで語りかけてくる。
「まあ僕の目的は果たせた。もうじき鹿目まどかは絶望するだろう」
そう言ってインキュベーターはその姿を消した。
「……まどか」
顔を両手で覆って、泣き続けるまどかに芳文が声をかける。
「お願い……。見ないで……」
両親の顔を見ようともせず、まどかは嗚咽を漏らしながら懇願する。
「芳文さん、お願い……。早く連れて行って……」
まどかは弱々しく芳文に懇願する。
――もし、葉子のように家族に拒絶されたら。
――きっと、まどかは耐えられない。
芳文がまどかを抱き上げてその場を立ち去る為、動こうとするよりも早く詢子がまどかの両肩に手を置いた。
まどかが顔を上げて母の顔を見つめる。
その顔は、大好きな母親に拒絶されることを恐れる、まるで幼子のような泣き顔だった。
「まどか」
詢子はまどかを力強く、そして優しく抱きしめる。
「ずっと、自分達だけで抱え込んでいたんだな。気付いてやれなくてごめんな……」
詢子が涙を流してまどかに謝る。
「……ママ」
まどかが信じられないと言った顔で母を呼ぶ。
「今まで、良く頑張ったね」
智久が優しい顔で、まどかに近づいて言う。
「……あ」
「ねーちゃ、なかないで」
タツヤが小さな手で、まどかの涙を拭って言う。
「う……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ……!!」
母の腕の中で、まどかは幼い頃のように泣きじゃくる。
優しい家族に見守られながら、まどかはいつまでもいつまでも泣き続けた……。
389: 2011/06/05(日) 12:23:34.87 ID:PU3BTzzEo
☆
この街で泊まっている旅館の一室で、妻と二人の子供達が、ひとつの布団の上で眠る姿を見て、智久は優しい顔でふすまを締める。
「……まどかの様子はどうですか?」
隣の部屋で待っていた芳文が智久に尋ねる。
「泣き疲れたんだろうね。今はよく眠っているよ」
「そうですか」
智久は座布団の上に腰を下ろし、テーブルを挟んで芳文の顔を見ながら口を開く。
「君は今までずっと、まどかを守ってくれていたんだね」
「……はい」
「色々と大変だっただろう?」
「そうですね。でも、まどかと二人だったから。だから、絶望だけはしませんでした」
「そうか……。良ければ全部話してくれるかな」
「あたしにも、教えてくれるかい」
詢子がふすまを開けてそう言うと、智久の隣に座って芳文の顔を見つめる。
「……わかりました」
芳文は詢子と智久に真実のすべてを。そして見滝原を出てから今まで経験したことをすべて話した。
「……大変だったね」
詢子がすべてを話し終えた芳文にそう言う。
「……はい」
「これからも、まどかと二人で旅を続けるのかい?」
「はい。いつかきっと、まどかを普通の女の子に戻して、御二人の元へ返します。だから、俺を信じて待っていてください」
「……違うだろ」
そう言って詢子が芳文の側に歩いていき、芳文の両肩に両手を置いて、芳文の顔を見つめながら口を開く。
「まどかとあんたの二人で、一緒に帰ってくるんだ。あんただって、もうあたし達の家族みたいなもんなんだから」
「……っ」
詢子のその言葉に、芳文の目から涙が溢れ出て、頬を流れて床に落ち、爆ぜる。
「今までずっとまどかを守ってくれてありがとう。あんたはまどかの最高の恋人だよ。だから、絶対に二人で帰っておいで」
そう言って詢子は優しく芳文を抱きしめてやる。
「っ……うぅ……」
母と一緒に暮らしていた幼かったあの頃のように、芳文は詢子に母を感じながら、声を頃して幼子のように泣き続けた……。
この街で泊まっている旅館の一室で、妻と二人の子供達が、ひとつの布団の上で眠る姿を見て、智久は優しい顔でふすまを締める。
「……まどかの様子はどうですか?」
隣の部屋で待っていた芳文が智久に尋ねる。
「泣き疲れたんだろうね。今はよく眠っているよ」
「そうですか」
智久は座布団の上に腰を下ろし、テーブルを挟んで芳文の顔を見ながら口を開く。
「君は今までずっと、まどかを守ってくれていたんだね」
「……はい」
「色々と大変だっただろう?」
「そうですね。でも、まどかと二人だったから。だから、絶望だけはしませんでした」
「そうか……。良ければ全部話してくれるかな」
「あたしにも、教えてくれるかい」
詢子がふすまを開けてそう言うと、智久の隣に座って芳文の顔を見つめる。
「……わかりました」
芳文は詢子と智久に真実のすべてを。そして見滝原を出てから今まで経験したことをすべて話した。
「……大変だったね」
詢子がすべてを話し終えた芳文にそう言う。
「……はい」
「これからも、まどかと二人で旅を続けるのかい?」
「はい。いつかきっと、まどかを普通の女の子に戻して、御二人の元へ返します。だから、俺を信じて待っていてください」
「……違うだろ」
そう言って詢子が芳文の側に歩いていき、芳文の両肩に両手を置いて、芳文の顔を見つめながら口を開く。
「まどかとあんたの二人で、一緒に帰ってくるんだ。あんただって、もうあたし達の家族みたいなもんなんだから」
「……っ」
詢子のその言葉に、芳文の目から涙が溢れ出て、頬を流れて床に落ち、爆ぜる。
「今までずっとまどかを守ってくれてありがとう。あんたはまどかの最高の恋人だよ。だから、絶対に二人で帰っておいで」
そう言って詢子は優しく芳文を抱きしめてやる。
「っ……うぅ……」
母と一緒に暮らしていた幼かったあの頃のように、芳文は詢子に母を感じながら、声を頃して幼子のように泣き続けた……。
390: 2011/06/05(日) 12:24:33.19 ID:PU3BTzzEo
☆
――三日後の朝。
泊まっている部屋の縁側で、まどかの長い髪を詢子が優しく梳いてやる。
「随分、髪も伸びたな」
「うん。変かな?」
「いや。長い髪も似合ってるさ。なんせあたしの自慢の娘だからな」
「もうっママったら」
そう言って母と娘は笑いあう。
あれから三日間、まどかと芳文はまどかの家族と一緒に過ごしていた。
久しぶりに両親に甘えたまどかの顔は、以前のように明るい笑顔に戻っていた。
芳文はそんな二人を微笑ましく思いながら、優しい顔で見ていた。
ふと、三日前にブティックでもらった白いリボンの事を思い出して、ポケットの中を探ってリボンを取り出す。
「お母さん、せっかくだからこれを着けてあげてください」
そう言って白いリボンを詢子に手渡す。
「どうしたんだい? これ」
「まどかにあげようと思ってたんですけど、なかなか渡す機会がなくて」
「そうかい。じゃあいっちょこのあたしが、まどかをかわいくコーディネイトしてやるかね」
「まどかは元々かわいいですよ」
「もうっ二人ともからかわないでよ」
まどかが詢子と芳文に笑いながら言う。
詢子はまどかの左右側頭部に小さな房を作って白いリボンを着けてやる。
「完成。良く似合ってるじゃないか。流石あたしの娘だ」
「うん。良く似合っててかわいいよ。まどか」
二人にそう言われて、まどかは頬を染めながら応える。
「ありがとう、二人とも」
旅館の前で詢子とタツヤを抱いた智久が、白いリボンを着けて詢子が一緒に選んで買ってあげた、新しい洋服を着たまどかと、芳文の二人を見送る。
「二人とも、体に気を付けるんだよ」
智久のその言葉に二人は頷く。
「僕達はいつまでも待っているからね」
「まってるー」
智久の足元で、タツヤが笑顔で二人に言う。
まどかと芳文は、笑顔でタツヤの頭を撫でて頷く。
「絶対に無理をするんじゃないよ。あんた達に何かあったら、あたし達が悲しむって事を忘れるな」
詢子が二人の肩を叩いて言う。
「絶対に二人で一緒に帰ってくるんだ。いいね」
「うんっ」
「はい」
まどかと芳文は力強く頷く。
「それじゃママ、パパ、タツヤ」
「お父さん、お母さん、タツヤ君」
『行ってきます!!』
まどかと芳文は二人で手を繋いで、まどかの家族に背を向けて歩いていく。
優しい家族に見送られながら、希望の未来を求めて、まどかは最愛の恋人共に歩いていく。
「芳文さん」
「ん?」
まどかが、隣を歩く芳文の顔を見上げながら言う。
「今までありがとう。ずっと一緒にいてくれて」
「……ああ」
「これからも、よろしくね」
「ああ。俺達はずっと一緒だ」
芳文が優しい顔でそう答えると、まどかは芳文の手を胸元に持ってきて抱くようにして言葉を紡ぐ。
「うんっ。絶対に二人で一緒にみんなの所に帰ろうね」
「ああ」
まどかは芳文に笑顔を見せてから、もう一度口を開いた。
「もう、くじけない」
つづく
――三日後の朝。
泊まっている部屋の縁側で、まどかの長い髪を詢子が優しく梳いてやる。
「随分、髪も伸びたな」
「うん。変かな?」
「いや。長い髪も似合ってるさ。なんせあたしの自慢の娘だからな」
「もうっママったら」
そう言って母と娘は笑いあう。
あれから三日間、まどかと芳文はまどかの家族と一緒に過ごしていた。
久しぶりに両親に甘えたまどかの顔は、以前のように明るい笑顔に戻っていた。
芳文はそんな二人を微笑ましく思いながら、優しい顔で見ていた。
ふと、三日前にブティックでもらった白いリボンの事を思い出して、ポケットの中を探ってリボンを取り出す。
「お母さん、せっかくだからこれを着けてあげてください」
そう言って白いリボンを詢子に手渡す。
「どうしたんだい? これ」
「まどかにあげようと思ってたんですけど、なかなか渡す機会がなくて」
「そうかい。じゃあいっちょこのあたしが、まどかをかわいくコーディネイトしてやるかね」
「まどかは元々かわいいですよ」
「もうっ二人ともからかわないでよ」
まどかが詢子と芳文に笑いながら言う。
詢子はまどかの左右側頭部に小さな房を作って白いリボンを着けてやる。
「完成。良く似合ってるじゃないか。流石あたしの娘だ」
「うん。良く似合っててかわいいよ。まどか」
二人にそう言われて、まどかは頬を染めながら応える。
「ありがとう、二人とも」
旅館の前で詢子とタツヤを抱いた智久が、白いリボンを着けて詢子が一緒に選んで買ってあげた、新しい洋服を着たまどかと、芳文の二人を見送る。
「二人とも、体に気を付けるんだよ」
智久のその言葉に二人は頷く。
「僕達はいつまでも待っているからね」
「まってるー」
智久の足元で、タツヤが笑顔で二人に言う。
まどかと芳文は、笑顔でタツヤの頭を撫でて頷く。
「絶対に無理をするんじゃないよ。あんた達に何かあったら、あたし達が悲しむって事を忘れるな」
詢子が二人の肩を叩いて言う。
「絶対に二人で一緒に帰ってくるんだ。いいね」
「うんっ」
「はい」
まどかと芳文は力強く頷く。
「それじゃママ、パパ、タツヤ」
「お父さん、お母さん、タツヤ君」
『行ってきます!!』
まどかと芳文は二人で手を繋いで、まどかの家族に背を向けて歩いていく。
優しい家族に見送られながら、希望の未来を求めて、まどかは最愛の恋人共に歩いていく。
「芳文さん」
「ん?」
まどかが、隣を歩く芳文の顔を見上げながら言う。
「今までありがとう。ずっと一緒にいてくれて」
「……ああ」
「これからも、よろしくね」
「ああ。俺達はずっと一緒だ」
芳文が優しい顔でそう答えると、まどかは芳文の手を胸元に持ってきて抱くようにして言葉を紡ぐ。
「うんっ。絶対に二人で一緒にみんなの所に帰ろうね」
「ああ」
まどかは芳文に笑顔を見せてから、もう一度口を開いた。
「もう、くじけない」
つづく
418: 2011/06/13(月) 00:41:40.63 ID:3h8B4TtAo
――とある街の郊外。
灰色の空に浮かぶ巨大な逆さまの魔女が、三人の魔法少女達を嘲笑う。
――アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
「リーミティ・エステールニ!!」
三角帽子を被った黒い魔法少女が、巨大な十字架の形をした杖を魔女に向けて、最大の魔力を込めた必殺の一撃を放つ。
ドオォォォォォォン……ッ!!
逆さまの魔女の顔面に直撃して、爆炎が巻き起こり魔女の全身が炎に包まれる。
「やった!?」
白と黄色の修道服のような衣装を着た魔法少女が叫ぶ。
「っ!? まだよ!! かずみ!! カオル!!」
胸元に茶色の大きなリボンの付いている、修道服に似た衣装を着て眼鏡をいる魔法少女が、二人の仲間の前に警告の言葉を叫んで立つ。
爆炎が魔女の放った魔力の波動で吹き飛ばされ、巨大な逆さまの魔女の姿が爆炎の中から現れる。
「くっ!!」
眼鏡の魔法少女が咄嗟にバリアを張って、魔女の放った波動を受け止める。
「く、うぅぅぅぅぅぅ……っ!!」
「海香!!」
かずみと呼ばれた黒い魔法少女が、眼鏡の魔法少女の名を叫ぶ。
――ゴッ……!!
海香のバリアごと三人は魔力の波動で吹き飛ばされる。
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
カオルと海香は、背後の瓦礫の山にその体を叩きつけられる。
かずみは咄嗟に手にした武器を地面に突き立てて、仲間達への激突を回避する。
「このままじゃやばいよ……」
カオルがよろよろと立ちあがりながら、海香にぼやく。
「わかってる!! けどあいつには……ワルプルギスの夜には弱点なんてない!!」
自身の固有魔法である、敵の弱点を調べる魔法――イクス・フィーレ―を使った海香は苛立ちを隠せずに叫ぶ。
「ジュゥべえ!! ワルプルギスの夜って三年前に他所の街の魔法少女達が倒したんだよね!? なのになんでこの街に現れるの!?」
カオルが自分達に魔法少女の力を与えた、魔法の使者に悲鳴のような疑問をぶつける。
「あれは恐らく、他所の宇宙から連れてきたワルプルギスだろう」
ジュゥべえと呼ばれた契約の獣が、瓦礫の影からその姿を現して説明する。
「おそらくオイラ達の抹殺と、かつて別のワルプルギスを倒した魔法少女を倒すために」
灰色の空に浮かぶ巨大な逆さまの魔女が、三人の魔法少女達を嘲笑う。
――アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
「リーミティ・エステールニ!!」
三角帽子を被った黒い魔法少女が、巨大な十字架の形をした杖を魔女に向けて、最大の魔力を込めた必殺の一撃を放つ。
ドオォォォォォォン……ッ!!
逆さまの魔女の顔面に直撃して、爆炎が巻き起こり魔女の全身が炎に包まれる。
「やった!?」
白と黄色の修道服のような衣装を着た魔法少女が叫ぶ。
「っ!? まだよ!! かずみ!! カオル!!」
胸元に茶色の大きなリボンの付いている、修道服に似た衣装を着て眼鏡をいる魔法少女が、二人の仲間の前に警告の言葉を叫んで立つ。
爆炎が魔女の放った魔力の波動で吹き飛ばされ、巨大な逆さまの魔女の姿が爆炎の中から現れる。
「くっ!!」
眼鏡の魔法少女が咄嗟にバリアを張って、魔女の放った波動を受け止める。
「く、うぅぅぅぅぅぅ……っ!!」
「海香!!」
かずみと呼ばれた黒い魔法少女が、眼鏡の魔法少女の名を叫ぶ。
――ゴッ……!!
海香のバリアごと三人は魔力の波動で吹き飛ばされる。
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
カオルと海香は、背後の瓦礫の山にその体を叩きつけられる。
かずみは咄嗟に手にした武器を地面に突き立てて、仲間達への激突を回避する。
「このままじゃやばいよ……」
カオルがよろよろと立ちあがりながら、海香にぼやく。
「わかってる!! けどあいつには……ワルプルギスの夜には弱点なんてない!!」
自身の固有魔法である、敵の弱点を調べる魔法――イクス・フィーレ―を使った海香は苛立ちを隠せずに叫ぶ。
「ジュゥべえ!! ワルプルギスの夜って三年前に他所の街の魔法少女達が倒したんだよね!? なのになんでこの街に現れるの!?」
カオルが自分達に魔法少女の力を与えた、魔法の使者に悲鳴のような疑問をぶつける。
「あれは恐らく、他所の宇宙から連れてきたワルプルギスだろう」
ジュゥべえと呼ばれた契約の獣が、瓦礫の影からその姿を現して説明する。
「おそらくオイラ達の抹殺と、かつて別のワルプルギスを倒した魔法少女を倒すために」
419: 2011/06/13(月) 00:42:26.82 ID:3h8B4TtAo
「そうだよ」
不意に現れた白い影が、三人と一匹の前にその姿を現す。
尻尾と右後ろ脚のない白い獣は、にっこりと微笑みながらかずみ達に告げる。
「鹿目まどかほどではないが、そこにいるかずみから得られるエネルギーも是非、回収しておきたいからね」
「てめえ……」
ジュゥべえがインキュベーターを睨みつける。
「やれやれ。君も僕のコピーのように、感情なんて精神疾患を患うなんてね。訳が分からないよ」
インキュベーターは目を閉じてフルフルと首を振る。
「僕等の宇宙を守る為なんだ。この宇宙を犠牲にするのはやむを得ないんだよ」
「ふざけるな!! てめえのせいでこっちの里美まで!!」
「この世界のプレイアデス聖団七人との、契約を結んだのは他ならぬ君自身だろうに」
「うるせえ!! せめてこの三人だけはオイラが守る!!」
ジュゥべえが憎しみを込めた視線で、インキュベーターを睨みつける。
「もう体のスペアもない君に何が出来ると言うんだい? せいぜいそこの三人と最後まであがくといいさ」
インキュベーターはそう言い放つと、その姿を消した。
――アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
ワルプルギスの夜が三人と一匹に迫る。
圧倒的な力の差に、海香とカオルは言葉も出せずに竦み上がる。
「どうしたらいいの……」
かずみがへたり込んだまま、絶望の言葉を口にしたその時だった。
高速で飛来した眩いピンク色に輝く魔力の矢が一八本、ワルプルギスの夜の全身に突き刺さり小爆発を起こした。
「――え?」
「もう、大丈夫だよ」
呆然とするかずみの前に、桃色の長い髪に白いリボンを着けた、桃色の魔法少女がふわりと着地して、にっこりと微笑んだ。
第23話 「わたし達は絶対に負けない」
420: 2011/06/13(月) 00:43:04.02 ID:3h8B4TtAo
「――ワルプルギスの夜か」
黒い戦士が、桃色の魔法少女の隣に降り立って呟く。
「――街の方に行かれる前に片づけるぞ、まどか」
「うん。芳文さん、何本いる?」
「六本だな。とっとと片づけて食事に行こう」
「了解だよ」
まどかが弓を持ってない右手を横薙ぎに振るった瞬間、マギカ・ブレードが芳文の右手側に三本、左手側に三本生成される。
芳文はマギカ・ブレードの柄を、人差し指と中指の間に一本、中指と薬指の間に一本、薬指と小指の間に一本挟んで拳を固めると、左右の手に三本ずつマギカ・ブレードを装備した。
マギカ・ブレード六本の超重量で、芳文は足元の舗装されていないぬかるんだ地面に、徐々に陥没し沈んでいく。
ズン!!
芳文は一歩前に進んで、地面を抉る。
「行くよ、芳文さん」
「ああ」
まどかが手にした弓を消滅させて、ワルプルギスの夜に向けて大型の弓を横向きに顕現させる。
右手で矢を引き絞る動作をして、巨大な魔力の矢を顕現させ、巨大な弓で引き絞る。
眩いピンク色に光り輝く魔力の矢の先端が、まるでドリルのように超高速回転を始める。
「ティロ・フィナーレ!!」
まどかがそう叫んで右手の親指と人差し指を放した瞬間、巨大な矢が放たれた。
「――え?」
かずみの視線から忽然と消えた芳文は、超高速でワルプルギスの夜に向かって飛んでいく矢の上に、飛び乗っていた。
ワルプルギスの夜が自身の力で浮き上がらせたビルを、芳文の乗った矢に向けて投げつけてくる。
「――はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
左右三本ずつ装備したマギカ・ブレードを、芳文が神速の速さで振るいながら、巨大なビルを斬り裂いて光の粒子に変えながら、ワルプルギスの夜に突き進む。
――ズガアァァァァァァァァァァンッ!!
ワルプルギスの夜の強固な胴体に、まどかのティロ・フィナーレが大穴を開ける。
――ヒュン!! ヒュン!! ヒュン!! ヒュン!! ヒュン!!
まどかの矢がワルプルギスの夜に突き刺さる瞬間、天空高く跳躍した芳文が右手に一本だけマギカ・ブレードを残して、五本のマギカ・ブレードを間髪入れずに連続で投げつけた。
ズガアァァァン!! ズガアァァン!! ズガアァァン!! ズガアァァン!! ズガアァァン!!
芳文が神速の速さで投げつけたマギカ・ブレードが、ワルプルギスの夜の頭部、右腕、左腕、胸部、歯車の中心突きささり破壊エネルギーを魔女の内部へ送り込む。
「――アトランティス」
芳文が右足を上げながら、ワルプルギスの夜の歯車の端に落ちていく。
ズガアァァァァァァァァァァンッ!!
歯車に叩きつけられたかかと落としが、魔女の歯車に複数の亀裂を走らせる。
「……ストライク!!」
歯車に右足のひざ裏までめり込ませたまま、左足で歯車を思い切り蹴りつけて後方へ飛ぶ。
魔女の巨大な歯車は、約四分の一が欠損して落ちていく。
余りに多大なダメージを受けた魔女は、周囲に浮かばせていた物を次々と落下させていく。
魔女の歯車の残っている部分も、無事な所がほとんどないほどにヒビだらけになっていた。
421: 2011/06/13(月) 00:43:30.60 ID:3h8B4TtAo
「芳文さん!!」
まどかのテレパシーが届くと同時に、二本の矢がワルプルギスの夜に突き刺さり、巨大な封印魔法を展開する。
そして芳文の持つマギカ・ブレードの柄に、遅れて飛んできた矢が吸い込まれる。
マギカ・ブレードが金色の光を放ちながら、魔力による推進力と共に、ワルプルギスの夜を切り裂けるほどに長大な魔力の刃を発生させる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
超高速で飛行する芳文が、金色に照らされながらマギカ・ブレードを構えつつ、ワルプルギスの夜へと迫る。
「マギカ・シグヴァン!!」
ズバアァァァァァァァンッ!! ズバアァァァァァァァンッ!!
芳文の目にも止まらぬ超神速の斬撃とまどかの叫ぶ声が重なり、ワルプルギスの夜が左斜め下から振り上げられた一撃と、右斜め下に振り下ろされた一撃によって一瞬で四分割される。
ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
四分割されたワルプルギスの夜が、歯車の中心から脳天までをとどめの唐竹割りで真っ二つにされる。
六分割されてバラバラになった魔女を閉じ込めた、ピンク色に輝く封印魔法を睨みつけながら、芳文が地面を削りつつ着地する。
「昇華!!」
まどかが叫ぶと共に、封印の光球が一際眩しく輝いて、内部のワルプルギスの夜の残骸とその呪いを完全に消滅させた。
芳文は未だに魔力による噴射を続けているマギカ・ブレードを、両手でブンブンと頭上、右側面、正面、左側面へと移動させながら振り回す。
マギカ・ブレードから噴射が消えて、刀身の輝きが収まるのを確認し、地面に剣を突き立てた。
分厚い雲に覆われた空に、朝の光が射して芳文と彼に駆け寄るまどかを照らす。
「……すごい」
かずみが呆然と、たった二人であのワルプルギスの夜を倒してしまった、まどかと芳文を見ながら呟く。
「かずみーっ!!」
「かずみ、大丈夫!?」
カオルとジュゥべえを肩に載せた海香がかずみの元へと駆け寄ってくる。
「わたしは平気だよ」
カオルの手を借りて立ち上がりながら、かずみは二人にそう答える。
「……あれが鹿目むまどかと社芳文か」
ジュゥべえがそう呟いたその時だった。
地面に突き立てたマギカ・ブレードを手にして、芳文がかずみ達の元へ近づくと、神速の速さでジュゥべえの首を掴んで宙づりにする。
「……がっ!?」
「……見た事のないタイプのインキュベーターだな。まどか、マギカ・ブレードの魔力チャージだ」
そう言って芳文が、マギカ・ブレードをジュゥべえに向けたその時だった。
「待ってお兄さん!! その子は悪い子じゃないの!!」
かずみが芳文の剣を持つ手にしがみついて叫ぶ。
422: 2011/06/13(月) 00:44:01.25 ID:3h8B4TtAo
「……こいつらは魔法少女を電池か何かくらいにしか思っていない」
「知ってる!! でもジュゥべえは感情に目覚めたの!!」
かずみのその言葉に、芳文はカオルと海香の顔を見る。
カオルと海香は真剣な表情で芳文に向かって口を開いた。
「かずみの言う通りだよ」
「今のジュゥべえは本当に私達の味方なんです」
「……芳文さん」
まどかに袖を引かれて、芳文はジュゥべえを掴む手を緩めて解放する。
「げほっげほっ……。いきなり何しやがる」
地面の上に猫のように着地したジュゥべえが芳文を睨みつける。
「ふん。随分感情豊かな振りをするのが上手いな」
「ふざけんな!! いきなり人を殺そうとしやがって!!」
「人じゃないだろうが、淫獣の分際で」
「誰が淫獣だ!!」
インキュベーターを嫌っている芳文と、ジュゥべえの口喧嘩をよそに、かずみ達はまどかと向き合う。
「助けてくれてありがとう。わたしはかずみ。こっちがカオルでこっちが海香だよ」
「かずみを助けてくれてありがとう」
「あなた、すごいのね。本当に助かったわ。ありがとう」
三人に礼を言われて、まどかはにっこりと微笑んで口を開く。
「どういたしまして。わたし、鹿目まどか」
「良い名前だね。まどかって呼んでもいい?」
かずみが笑顔でまどかに尋ねる。
「いいよ。かずみちゃん」
まどかが笑顔でそう答えると、かずみは嬉しそうに笑顔を見せる。
「今はその命を預けといてやる。だが貴様が妙な真似をしたらその時は頃す」
「ふん。てめえと関わる事なんてもうねえよ」
芳文とジュゥべえがそれぞれの相棒の元に戻ってくる。
「まどか、この子達はどうだ?」
「かずみちゃんはかなり強い力があるけど、それでもちょっと無理かな」
「……そうか」
「何の話?」
かずみが?マークを浮かべながら、まどかと芳文の会話の内容について尋ねる。
「それは……」
――グーキュルルルルル……。
不意におなかの鳴る音が響いた。
「……カオル。こんな時に」
海香がカオルをジト目で見る。
「私じゃないよ!!」
慌ててカオルが否定すると、芳文がばつが悪そうに名乗り出た。
「すまん。今のは俺だ」
――クー。
またおなかの鳴る音が響く。
今度はまどかが顔を赤らめながら、ばつが悪そうに切り出す。
「……実は私達昨日の夜から何も食べてなくて。ワルプルギスのせいでどこのお店も閉まってたから……」
かずみ達三人は顔を見合わせると、クスクスと笑いだす。
「それじゃ、助けてくれたお礼にわたしがごはん作ってあげるよ」
かずみはにこにこと笑いながら、まどかと芳文にそう提案するのだった。
423: 2011/06/13(月) 00:45:04.71 ID:3h8B4TtAo
☆
「おいしい!!」
「……うまい」
かずみ達の家に招待され、かずみの作った手料理を食べたまどか達は、あまりの美味しさに思わず喜びの声を上げる。
「こんな美味しい物食べたの久しぶりだよっ」
「二人の口に合ったんなら良かった。おかわりもあるからね」
かずみは嬉しそうにまどかにそう答えると、カオルにご飯のおかわりをよそってやる。
「食事が済んだら、お話いいですか?」
海香がテーブルの対面に座る芳文に言うと、芳文は小さく頷いて食事を続けた。
「御馳走様でした」
「御馳走様」
まどかと芳文が食事を終えると、かずみがてきぱきと食器を片づけて戻ってくる。
「それじゃ、お互いの事情を説明しましょうか」
海香がそう言うと、芳文が口を開く。
「……君達は魔法少女の真実を知っているのか?」
芳文の質問に、かずみ達はお互いの顔を見合わせてから、逆に質問する。
「魔女がどういう物なのか、まどかとお兄さんは知ってるの?」
「……うん」
かずみの疑問にまどかは頷いて肯定する。
「……そっか」
かずみは目を伏せると、ぽつりぽつりと自分達の境遇を話し始めた。
「わたしとカオルと海香はね、ジュゥべえと契約して魔法少女になったんだ」
「今はもういないんけど、他に後四人仲間がいたんだ……」
そこまで言って、かずみ達は俯いてしまう。
「みんなで協力して魔女退治をしてたんだけど、ある日インキュベーターが現れて……」
一人、また一人と仲間達がインキュベーターの策略で、魔女になったり魔女との戦闘で命を落とした事を、かずみ達は震える声で話す。
「……この世界の里美も魔女になってしまった。奴のせいで……」
部屋の片隅でジュゥべえが苦々しい顔で呟く。
「里美?」
芳文のその言葉にカオルが答える。
「ジュゥべえと仲が良かった子だよ」
「この世界とか言ってたな。そいつはオリジナルのインキュベーターなのか?」
「うん。元の世界にもわたし達がいて、一緒に魔女退治をしてたんだって」
かずみがそう答えると、ジュゥべえは自嘲気味に答える。
「そうさ。オイラはあっちの里美だけでなくこっちの里美も頃してしまったんだ。べえちゃん、べえちゃんってオイラに抱きついてくるあの子を……」
「おいしい!!」
「……うまい」
かずみ達の家に招待され、かずみの作った手料理を食べたまどか達は、あまりの美味しさに思わず喜びの声を上げる。
「こんな美味しい物食べたの久しぶりだよっ」
「二人の口に合ったんなら良かった。おかわりもあるからね」
かずみは嬉しそうにまどかにそう答えると、カオルにご飯のおかわりをよそってやる。
「食事が済んだら、お話いいですか?」
海香がテーブルの対面に座る芳文に言うと、芳文は小さく頷いて食事を続けた。
「御馳走様でした」
「御馳走様」
まどかと芳文が食事を終えると、かずみがてきぱきと食器を片づけて戻ってくる。
「それじゃ、お互いの事情を説明しましょうか」
海香がそう言うと、芳文が口を開く。
「……君達は魔法少女の真実を知っているのか?」
芳文の質問に、かずみ達はお互いの顔を見合わせてから、逆に質問する。
「魔女がどういう物なのか、まどかとお兄さんは知ってるの?」
「……うん」
かずみの疑問にまどかは頷いて肯定する。
「……そっか」
かずみは目を伏せると、ぽつりぽつりと自分達の境遇を話し始めた。
「わたしとカオルと海香はね、ジュゥべえと契約して魔法少女になったんだ」
「今はもういないんけど、他に後四人仲間がいたんだ……」
そこまで言って、かずみ達は俯いてしまう。
「みんなで協力して魔女退治をしてたんだけど、ある日インキュベーターが現れて……」
一人、また一人と仲間達がインキュベーターの策略で、魔女になったり魔女との戦闘で命を落とした事を、かずみ達は震える声で話す。
「……この世界の里美も魔女になってしまった。奴のせいで……」
部屋の片隅でジュゥべえが苦々しい顔で呟く。
「里美?」
芳文のその言葉にカオルが答える。
「ジュゥべえと仲が良かった子だよ」
「この世界とか言ってたな。そいつはオリジナルのインキュベーターなのか?」
「うん。元の世界にもわたし達がいて、一緒に魔女退治をしてたんだって」
かずみがそう答えると、ジュゥべえは自嘲気味に答える。
「そうさ。オイラはあっちの里美だけでなくこっちの里美も頃してしまったんだ。べえちゃん、べえちゃんってオイラに抱きついてくるあの子を……」
424: 2011/06/13(月) 00:45:52.06 ID:3h8B4TtAo
「……罪悪感が芽生えたとでも言うのか? インキュベーターが」
芳文がそう言うと、ジュゥべえは投げやりに返す。
「オイラを消したいなら消せばいいさ。けどその前にかずみ達を人間に戻してやってくれ。もうこの子達が魔女に殺されたり、魔女になって氏ぬのを見るのは嫌だ……」
「……」
芳文が視線をかずみ達に向けると、かずみ達は驚いた顔でまどかと芳文を見つめていた。
「……俺達は魔法少女を人間に戻せる、強い魔力を持った魔法少女を探しているんだ」
芳文がそう言うと、まどかが話を続ける。
「わたしは魔法少女を元の人間に戻してあげられるの。だけど自分自身を元に戻すまでの力はないから……」
「わたしの力がどうってそういう事だったんだね」
「……うん」
かずみにまどかが頷くのを見て、芳文がかずみに言う。
「まどかに人間に戻してもらえば、君達がインキュベーターに狙われる事もなくなるだろう」
「……本当に人間に戻れるの?」
海香が尋ねると、まどかは力強く頷く。
「かずみ!! 海香!! 本当に人間に戻れるんなら戻してもらおうよ!!」
カオルが二人にそう言ったその時だった。
――ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
凄まじい轟音と共に、激しい地震が発生する。
家具が倒れ、窓ガラスが割れる。
芳文がまどかの上に覆いかぶさる。
かずみ達はあわててテーブルの下に隠れる。
「みんな早く外へ!!」
揺れが治まったのを見計らって、海香が叫ぶ。
この場にいる全員が、家の外に出る。
「……何、あれ」
まどか達を誘導して先に外に出たかずみが絶句する。
いつの間にか黒い雷雲が上空に立ち込めていて、全長五十メートル程の巨大な全身が真っ黒の人型魔女が、街の中央に仁王立ちしていた。
425: 2011/06/13(月) 00:46:27.28 ID:3h8B4TtAo
☆
「……何あれ」
かずみが呆然と呟いたその時だった。
『あれは合成魔女さ』
不意に、忌々しいインキュベーターの声が、全員の脳裏に響く。
『もはやワルプルギスの夜でさえ、君達の相手にならない以上、こちらもなりふり構っていられないのでね』
「貴様、一般市民まで巻き込むつもりか!!」
芳文が殺意を込めて叫ぶ。
『かつて鹿目まどかから採取したエネルギーを込めた合成魔女だ。そうだな、メフィストとでも名付けようか。君達に勝ち目はないよ』
「わたし達は絶対に負けない!!」
まどかが叫ぶ。
『そうかい。早く倒さないとこの街は壊滅だよ』
インキュベーターは愉快そうに、捨て台詞を残してテレパシーを打ち切った。
「行くぞ、まどか」
「うん」
変身したまどかは芳文に頷く。
「ちょっと待ってよ!!」
カオルが駆け出そうとする二人を呼び止める。
「あんな相手に勝てるわけがない!!」
海香が叫ぶ。
「カオルと海香の言う通りだよ。あの魔女からは物凄い力を感じる。ワルプルギスの夜なんて、目じゃないくらいに……」
かずみもまどかと芳文に弱々しく言う。
ワルプルギスの夜と戦ってから、まだそんなに時間も立っていないのに、もっと強い相手が現れた事でかずみ達の心は今にも挫けそうだった。
「勝てないかどうかは、やってみないとわからない」
芳文がかずみにそう言うと、まどかは三人ににっこりと微笑んで言う。
「絶対に勝ってみせるから」
「……どうして? どうして笑っていられるの?」
かずみはまどかに疑問をぶつける。
「もう、くじけないって約束したから。それに……」
まどかは芳文に視線を向けてから、かずみの目を見つめて口を開いた。
「一人じゃないから。だから、がんばれる」
――ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
魔女の雄叫びが大気を震わせて街中に鳴り響く。
「行くぞ」
「うんっ!!」
芳文とまどかはかずみ達に背を向けると、合成魔女目掛けて走り出した。
かずみ達はまどか達の後姿を呆然と見送るだけだった……。
「……何あれ」
かずみが呆然と呟いたその時だった。
『あれは合成魔女さ』
不意に、忌々しいインキュベーターの声が、全員の脳裏に響く。
『もはやワルプルギスの夜でさえ、君達の相手にならない以上、こちらもなりふり構っていられないのでね』
「貴様、一般市民まで巻き込むつもりか!!」
芳文が殺意を込めて叫ぶ。
『かつて鹿目まどかから採取したエネルギーを込めた合成魔女だ。そうだな、メフィストとでも名付けようか。君達に勝ち目はないよ』
「わたし達は絶対に負けない!!」
まどかが叫ぶ。
『そうかい。早く倒さないとこの街は壊滅だよ』
インキュベーターは愉快そうに、捨て台詞を残してテレパシーを打ち切った。
「行くぞ、まどか」
「うん」
変身したまどかは芳文に頷く。
「ちょっと待ってよ!!」
カオルが駆け出そうとする二人を呼び止める。
「あんな相手に勝てるわけがない!!」
海香が叫ぶ。
「カオルと海香の言う通りだよ。あの魔女からは物凄い力を感じる。ワルプルギスの夜なんて、目じゃないくらいに……」
かずみもまどかと芳文に弱々しく言う。
ワルプルギスの夜と戦ってから、まだそんなに時間も立っていないのに、もっと強い相手が現れた事でかずみ達の心は今にも挫けそうだった。
「勝てないかどうかは、やってみないとわからない」
芳文がかずみにそう言うと、まどかは三人ににっこりと微笑んで言う。
「絶対に勝ってみせるから」
「……どうして? どうして笑っていられるの?」
かずみはまどかに疑問をぶつける。
「もう、くじけないって約束したから。それに……」
まどかは芳文に視線を向けてから、かずみの目を見つめて口を開いた。
「一人じゃないから。だから、がんばれる」
――ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
魔女の雄叫びが大気を震わせて街中に鳴り響く。
「行くぞ」
「うんっ!!」
芳文とまどかはかずみ達に背を向けると、合成魔女目掛けて走り出した。
かずみ達はまどか達の後姿を呆然と見送るだけだった……。
426: 2011/06/13(月) 00:47:40.45 ID:3h8B4TtAo
☆
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ママぁこわいよう!!」
逃げ遅れた母子が合成魔女に踏みつぶされそうになっている。
「ティロ・フィナーレ!!」
まどかの放った巨大矢が合成魔女の左胸を撃ち貫いて、姿勢を崩させる。
「早く逃げてください!!」
芳文が一瞬で母子を抱きかかえてその場から離脱して、合成魔女から離れた場所に母子を下す。
「は、はい!!」
母子が逃げたのを確認して、芳文はまどかの隣へと駆けつける。
「……やっぱり魔女相手だと、心臓を狙っても意味ないね」
まどかが弓を顕現させてぼやく。
「マギカ・シグヴァンを叩き込むにしても少しでかすぎるな。ある程度奴を削らないと」
「そうだね。魔力を限界まで注ぎ込めば行けるけど、それでわたし達が魔女と魔神になったら意味がないものね」
「ああ。まどか、六本だ」
「うん」
まどかがマギカ・ブレードを六本生成する。
芳文はマギカ・ブレードを左右三本ずつ装備すると、合成魔女目掛けて走り出した。
「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
まどかが十八本の分裂矢を放つ。合成魔女の全身に着弾するが、大したダメージにはなっていない。
「このおっ!!」
爆発する矢を続けて射るが、あまりに相手が巨大すぎて、表面を僅かに抉るだけだった。
「駄目だ……。芳文さんに削ってもらってから、マギカ・シグヴァンを撃つしかない……」
まどかは少しでも芳文のサポートをするべく矢を射続ける。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
巨人の振り下ろす拳と踏みつけを躱しながら、芳文はマギカ・ブレードの六刀流で斬りつける。
ただでさえすさまじい破壊力を持つ、マギカ・ブレードの六刀流は合成魔女の右足を簡単に斬り裂いて消滅させる。
右足の膝から下がなくなった魔女が、左手を振り下ろす。
芳文はその場で振り下ろされた左手を切断する。三本ずつ束ねられたマギカ・ブレードの相乗効果で、左手の肘まで消滅する。
――グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
魔女が顔のない丸い頭を芳文に向けて振り下ろす。
芳文が振り下ろされた頭を切断しようとしたその時だった。
直観的に嫌な感じがして、咄嗟にその場を離脱しようとするが、マギカ・ブレードを六本も持っていたのが仇になった。
素手の時よりも機動力が落ちていて、逃げきれない。
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
魔女の頭が大爆発を起こし、芳文は巻き込まれてしまった。
咄嗟にマギカブレードでガードしたが、かなりの深手を負って吹き飛ばされる。
マギカ・ブレードを持っていた指が爆発で千切れ飛び、マギカ・ブレードをすべて落としてしまう。
まどかからの魔力供給で、驚異的な再生が始まるが、魔女の振り下ろした右拳に芳文は叩き潰されてしまう。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ママぁこわいよう!!」
逃げ遅れた母子が合成魔女に踏みつぶされそうになっている。
「ティロ・フィナーレ!!」
まどかの放った巨大矢が合成魔女の左胸を撃ち貫いて、姿勢を崩させる。
「早く逃げてください!!」
芳文が一瞬で母子を抱きかかえてその場から離脱して、合成魔女から離れた場所に母子を下す。
「は、はい!!」
母子が逃げたのを確認して、芳文はまどかの隣へと駆けつける。
「……やっぱり魔女相手だと、心臓を狙っても意味ないね」
まどかが弓を顕現させてぼやく。
「マギカ・シグヴァンを叩き込むにしても少しでかすぎるな。ある程度奴を削らないと」
「そうだね。魔力を限界まで注ぎ込めば行けるけど、それでわたし達が魔女と魔神になったら意味がないものね」
「ああ。まどか、六本だ」
「うん」
まどかがマギカ・ブレードを六本生成する。
芳文はマギカ・ブレードを左右三本ずつ装備すると、合成魔女目掛けて走り出した。
「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
まどかが十八本の分裂矢を放つ。合成魔女の全身に着弾するが、大したダメージにはなっていない。
「このおっ!!」
爆発する矢を続けて射るが、あまりに相手が巨大すぎて、表面を僅かに抉るだけだった。
「駄目だ……。芳文さんに削ってもらってから、マギカ・シグヴァンを撃つしかない……」
まどかは少しでも芳文のサポートをするべく矢を射続ける。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
巨人の振り下ろす拳と踏みつけを躱しながら、芳文はマギカ・ブレードの六刀流で斬りつける。
ただでさえすさまじい破壊力を持つ、マギカ・ブレードの六刀流は合成魔女の右足を簡単に斬り裂いて消滅させる。
右足の膝から下がなくなった魔女が、左手を振り下ろす。
芳文はその場で振り下ろされた左手を切断する。三本ずつ束ねられたマギカ・ブレードの相乗効果で、左手の肘まで消滅する。
――グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
魔女が顔のない丸い頭を芳文に向けて振り下ろす。
芳文が振り下ろされた頭を切断しようとしたその時だった。
直観的に嫌な感じがして、咄嗟にその場を離脱しようとするが、マギカ・ブレードを六本も持っていたのが仇になった。
素手の時よりも機動力が落ちていて、逃げきれない。
ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
魔女の頭が大爆発を起こし、芳文は巻き込まれてしまった。
咄嗟にマギカブレードでガードしたが、かなりの深手を負って吹き飛ばされる。
マギカ・ブレードを持っていた指が爆発で千切れ飛び、マギカ・ブレードをすべて落としてしまう。
まどかからの魔力供給で、驚異的な再生が始まるが、魔女の振り下ろした右拳に芳文は叩き潰されてしまう。
427: 2011/06/13(月) 00:48:39.40 ID:3h8B4TtAo
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「芳文さん!!」
まどかが咄嗟にマギカ・イージスを展開させて、魔女が連撃を繰り出そうとする右拳を受け止めた。
すると魔女の体から、翼竜のような姿をした使い魔が十匹ほど生み出され、高速でまどかに迫る。
ガシンッ!! ガシンッ!! ガシンッ!!
魔女の拳がマギカ・イージスを破ろうと、何度も何度も振り下ろされる。
芳文が動けるようになるまで、まだ少し時間がかかる。マギカ・イージスを展開している限り、まどかは動く事が出来ない。
絶体絶命の大ピンチに陥ったまどかが、使い魔を睨みつけたその時だった。
「リーミティ・エステールニ!!」
「パラ・ディ・キャノーネ!!」
かずみの放った魔力の光線と、カオルがオーバーヘッドキックで放った、海香が作り出した魔力の光弾がまどかに迫る使い魔に直撃して消滅させた。
「かずみちゃん!! カオルちゃん!! 海香ちゃん!!」
まどかが目の前に降り立った三人の名前を叫ぶと、三人はまどかに振り返って微笑む。
「魔法少女はさ、助け合いだよね」
かずみがそう言って笑うと、まどかは嬉しそうな笑顔で頷いた。
「うんっ!!」
「また使い魔が来るよ!!」
カオルが叫ぶ。
「使い魔は私とカオルで相手をするわ。かずみはまどか達の援護をして。ジュゥべえ!!」
海香が叫ぶ。
「おう」
「まどかのソウルジェムを浄化してあげて!!」
「合点だ!!」
ジュゥべえが飛び跳ねて空中で回転すると、まどかの胸元のソウルジェムから穢れが吸い込まれていく。
「ありがとうジュゥべえ!!」
まどかはジュゥべえに礼を言うと、かずみに向かって頷く。
「まどか!!」
再生が終わった芳文が、まどかに叫ぶ。まどかはマギカ・イージスを解除する。
――グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
合成魔女が芳文目掛けて拳を振り下ろす。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
芳文の鉄拳と魔女の拳が激突する。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
魔女の右拳が粉々に粉砕されて、肩から千切れ飛ぶ。
「かずみちゃん!!」
「うん!!」
「リーミティ・エステールニ!!」
「ティロ・フィナーレ!!」
まどかの攻撃が魔女の下半身に大穴を開け、かずみの全力の薙ぎ払うように放たれた攻撃が下半身を吹き飛ばした。
428: 2011/06/13(月) 00:49:51.16 ID:3h8B4TtAo
「まどか今だ!!」
芳文がまどかに叫ぶ。
「うん!! マギカ・ブレード!!」
まどかの放った矢が三本に分裂し、二本が上半身だけになった魔女を封印する。
最後の一本の矢を芳文が掴んだ瞬間、マギカ・ブレードへと変化しそのまま金色の輝きと共に長大な刃と魔力による噴射を発生させる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「マギカ・シグヴァン!!」
芳文の神速の斬撃とまどかの叫びがシンクロし、合成魔女を六分割する。
「昇華!!」
まどかのとどめの宣誓と共に、封印魔法が合成魔女を飲み込んだまま完全に消滅させた。
ヒュンヒュンヒュン……。
芳文が噴射が消えるまでマギカ・ブレードを振り回して、魔力の消えたマギカ・ブレードを地面に突き立てる。
黒い雷雲が霧散していき、鮮やかな夕焼けが世界を紅く染める。
芳文がまどか達の方へ視線を向けると、まどかとかずみが抱き合って勝利を喜び合っていた。
カオルと海香がまどかとかずみに駆け寄って、二人に抱きつく。
芳文は見滝原での仲間達との事を思い出しながら、四人に向けて優しい笑みを浮かべるのだった。
☆
――翌日の午後。
「本当に、わたし達だけ人間に戻してもらってよかったの?」
一晩泊めてもらったかずみ達の家の前で、かずみがまどかに尋ねる。
「うん。かずみちゃん達は帰れる所が残ってるから」
まどかはそう言って笑う。
「でも……」
「かずみちゃんがわたし達に付いてきてくれるって、言ってくれた事、すごく嬉しかったよ」
「まどか……」
「わたしはインキュベーターになんか負けないから。絶対に未来を諦めたりしないから」
まどかのその言葉にかずみは微笑んで、まどかの手を取る。
「いつか、人間に戻れたらまた会おうね」
「うんっ」
「さよならは言わないよ。またね、まどか」
「うんっ。またね、かずみちゃん」
まどかとかずみはお互いに再会を約束して、お互いの手を名残惜しそうに放した。
「お兄さんも元気でね」
「ああ。世話になった」
芳文は出来るだけ誠意を込めて、まどかの友人になってくれた少女に礼を言う。
「まどか、お兄さん元気でね」
「体に気を付けてくださいね。ありがとうございました」
カオルと海香も笑顔でまどか達を見送ってくれる。
「カオルちゃんと海香ちゃんも元気でね」
まどかはそう言って二人に別れを告げる。
「それじゃあ……。みんな、またね」
まどかは笑顔で三人に手を振りながら、芳文と共に歩いていく。
いつかまた、この街で出会った友人達との再会を夢見ながら……。
芳文がまどかに叫ぶ。
「うん!! マギカ・ブレード!!」
まどかの放った矢が三本に分裂し、二本が上半身だけになった魔女を封印する。
最後の一本の矢を芳文が掴んだ瞬間、マギカ・ブレードへと変化しそのまま金色の輝きと共に長大な刃と魔力による噴射を発生させる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「マギカ・シグヴァン!!」
芳文の神速の斬撃とまどかの叫びがシンクロし、合成魔女を六分割する。
「昇華!!」
まどかのとどめの宣誓と共に、封印魔法が合成魔女を飲み込んだまま完全に消滅させた。
ヒュンヒュンヒュン……。
芳文が噴射が消えるまでマギカ・ブレードを振り回して、魔力の消えたマギカ・ブレードを地面に突き立てる。
黒い雷雲が霧散していき、鮮やかな夕焼けが世界を紅く染める。
芳文がまどか達の方へ視線を向けると、まどかとかずみが抱き合って勝利を喜び合っていた。
カオルと海香がまどかとかずみに駆け寄って、二人に抱きつく。
芳文は見滝原での仲間達との事を思い出しながら、四人に向けて優しい笑みを浮かべるのだった。
☆
――翌日の午後。
「本当に、わたし達だけ人間に戻してもらってよかったの?」
一晩泊めてもらったかずみ達の家の前で、かずみがまどかに尋ねる。
「うん。かずみちゃん達は帰れる所が残ってるから」
まどかはそう言って笑う。
「でも……」
「かずみちゃんがわたし達に付いてきてくれるって、言ってくれた事、すごく嬉しかったよ」
「まどか……」
「わたしはインキュベーターになんか負けないから。絶対に未来を諦めたりしないから」
まどかのその言葉にかずみは微笑んで、まどかの手を取る。
「いつか、人間に戻れたらまた会おうね」
「うんっ」
「さよならは言わないよ。またね、まどか」
「うんっ。またね、かずみちゃん」
まどかとかずみはお互いに再会を約束して、お互いの手を名残惜しそうに放した。
「お兄さんも元気でね」
「ああ。世話になった」
芳文は出来るだけ誠意を込めて、まどかの友人になってくれた少女に礼を言う。
「まどか、お兄さん元気でね」
「体に気を付けてくださいね。ありがとうございました」
カオルと海香も笑顔でまどか達を見送ってくれる。
「カオルちゃんと海香ちゃんも元気でね」
まどかはそう言って二人に別れを告げる。
「それじゃあ……。みんな、またね」
まどかは笑顔で三人に手を振りながら、芳文と共に歩いていく。
いつかまた、この街で出会った友人達との再会を夢見ながら……。
429: 2011/06/13(月) 00:51:02.61 ID:3h8B4TtAo
☆
「まさか、合成魔女までやられるなんて……」
笑顔でかずみ達と別れて去っていく、まどか達を遠い場所から監視しながら、インキュベーターは呟く。
「もうあの二人に手を出すのはやめた方が良いんじゃないか?」
ジュゥべえがインキュベーターの背後で語りかける。
「……かずみ達と一緒にいなくていいのかい?」
「もう別れは済ませた。あいつらはこれからは普通の人間として生きていくんだ」
「そうかい」
インキュベーターの目が光った瞬間、ジュゥべえの体が爆散する。
「……これで氏ねる」
頭だけになったジュゥべえがそう言って笑う。
「訳が分からないよ。家畜に情を移すなんて」
「てめえには永遠にわかんねえだろうよ」
そう言ってジュゥべえはインキュベーターを嘲笑する。
「……ふん」
インキュベーターが背を向けるのとほぼ同時に、ジュゥべえがその生命活動を停止して物言わぬ骸になる。
「……まだこちらには最後の切り札がある」
インキュベーターは三本足でひょこひょこと歩きながら呟く。
「鹿目まどかが絶望しないのなら、魔力を使い切らせればいい」
そう言って、ニタァと邪悪な笑みを浮かべながら、ジュゥべえの骸に振り返って語りかける。
「残念だったね。君の大事なプレイアデス聖団の生き残りもすぐに氏ぬんだ。魔女になった鹿目まどかの手にかかってね」
インキュベーターはジュゥべえの骸に背を向けて歩きながら、誰にともなく呟いた。
「毒は毒を持って制するしかないだろう?」
つづく
441: 2011/06/19(日) 04:13:19.99 ID:yFYrwpWDo
「――あれから、もう三年も経つのね」
棚の上に飾られた写真立てを手にして、私は誰にともなく呟く。
写真立ての中に収められた一枚の写真の中で、キュゥべえを膝の上に載せたまどかが笑っている。
まどかの両隣にはエイミーを抱いた美樹さやかと巴マミが笑っている。
美樹さやかの後ろには、流し目でまどか達の様子を見ている佐倉杏子が。
そして、横を向いて眼下の見滝原の街を見る私が、あの夏の青空の下にいた。
右手で写真立てを持ったまま、左手でポケットの中からロケットを取り出して、ロケットを開ける。
「……芳文」
ロケットに収められた写真の中で、生後七か月の芳文が若い頃の私に抱かれて笑っている。
芳文を抱いている私の隣には、私の夫だったあの人が優しい顔で微笑んでいる。
あの人が残したカメラで撮られた、二枚のこの写真を見つめながら私は呟く。
「――どうか、あの子達を見守っていて」
残酷な運命を、まどかと芳文に押し付ける神になんて、私は祈らない。
私はかつて私が愛し、今も愛している天国のあの人に祈る。
私達の息子と、息子の愛する彼女の無事を……。
第24話 「いつか絶対、二人でみんなの所に帰るんだから……」
棚の上に飾られた写真立てを手にして、私は誰にともなく呟く。
写真立ての中に収められた一枚の写真の中で、キュゥべえを膝の上に載せたまどかが笑っている。
まどかの両隣にはエイミーを抱いた美樹さやかと巴マミが笑っている。
美樹さやかの後ろには、流し目でまどか達の様子を見ている佐倉杏子が。
そして、横を向いて眼下の見滝原の街を見る私が、あの夏の青空の下にいた。
右手で写真立てを持ったまま、左手でポケットの中からロケットを取り出して、ロケットを開ける。
「……芳文」
ロケットに収められた写真の中で、生後七か月の芳文が若い頃の私に抱かれて笑っている。
芳文を抱いている私の隣には、私の夫だったあの人が優しい顔で微笑んでいる。
あの人が残したカメラで撮られた、二枚のこの写真を見つめながら私は呟く。
「――どうか、あの子達を見守っていて」
残酷な運命を、まどかと芳文に押し付ける神になんて、私は祈らない。
私はかつて私が愛し、今も愛している天国のあの人に祈る。
私達の息子と、息子の愛する彼女の無事を……。
第24話 「いつか絶対、二人でみんなの所に帰るんだから……」
442: 2011/06/19(日) 04:14:10.69 ID:yFYrwpWDo
――ピ口リ口リン。
普段まったく使わない携帯電話が、テーブルの上でメールの着信音を鳴らして私に知らせる。
私は携帯に届いたメールを見て、携帯をポケットに突っ込む。
「エイミー。少し留守にするわ。良い子にしているのよ」
私は丸まっているエイミーの頭を優しく撫でて、ストールを羽織って家を出る。
木枯らしが舞い散る歩道を歩きながら、冷たくなってきた風に思わず両手を合わせて擦る。
家を出てから十数分ほど歩いた所で、目的地である喫茶店に到着し、私は店内へと入る。
店内に入り、奥の方へ視線を向けると良く見知った三人組が、奥の席に陣取っていた。
「――待たせたかしら」
私がそう声をかけると、彼女達は私の顔を見て挨拶を返してくる。
「こんにちは、暁美さん」
高校三年生になった巴マミが、私にぺこりとお辞儀をしてそう言う。
「よ、久しぶり」
高校二年生になった佐倉杏子が、八重歯を覗かせながら気さくに片手を上げてそう言う。
「……こんにちは。暁美さん」
佐倉杏子と同じく、高校二年生になった美樹さやかが、巴マミと同じようにぺこりと頭を下げて言う。
「三人共、元気そうね」
私はそう言って、杏子の隣に座るとテーブル越しに、目の前の美樹さやかとその隣に座る巴マミの顔を見る。
「まあぼちぼち……ですかね」
そう言って、美樹さやかが愛想笑いを浮かべる。
「暁美さんは?」
巴マミの問いに、私はおしぼりとお冷を持ってきた店員に、ホットのアメリカンコーヒーを注文してから答える。
「変わらないわ。あの子達がいなくなってから、ずっと」
私のその言葉に三人は押し黙ってしまう。
三年前、芳文とまどかがこの見滝原を旅立ってからも、この子達は必氏になって芳文とまどかを探し回った。
まどかを守るのを芳文が引き継いでくれたあの日から、私がもう中学校へ行く必要もなくなった。
他に頼れる人もいない上、魔力さえも失った私は魔法少女になる以前の、弱い体に戻ってしまっていたから。
芳文達を見送ってから、身体能力だけでなく視力も徐々に落ちていき、昔のように眼鏡をかけなければろくに見えなくなってしまった。
目に見えて身体能力の落ちた私の事を、教師やクラスメイト達は訝しみつつも心配してくれていたが好都合だった。
私は病気の療養という名目で、転校すると言う事にして中学校を去る事にした。
クラスメイト達に見送られながら、私が中学校を去っていくその時だった。
――この三人が私を追いかけてきたのは。
普段まったく使わない携帯電話が、テーブルの上でメールの着信音を鳴らして私に知らせる。
私は携帯に届いたメールを見て、携帯をポケットに突っ込む。
「エイミー。少し留守にするわ。良い子にしているのよ」
私は丸まっているエイミーの頭を優しく撫でて、ストールを羽織って家を出る。
木枯らしが舞い散る歩道を歩きながら、冷たくなってきた風に思わず両手を合わせて擦る。
家を出てから十数分ほど歩いた所で、目的地である喫茶店に到着し、私は店内へと入る。
店内に入り、奥の方へ視線を向けると良く見知った三人組が、奥の席に陣取っていた。
「――待たせたかしら」
私がそう声をかけると、彼女達は私の顔を見て挨拶を返してくる。
「こんにちは、暁美さん」
高校三年生になった巴マミが、私にぺこりとお辞儀をしてそう言う。
「よ、久しぶり」
高校二年生になった佐倉杏子が、八重歯を覗かせながら気さくに片手を上げてそう言う。
「……こんにちは。暁美さん」
佐倉杏子と同じく、高校二年生になった美樹さやかが、巴マミと同じようにぺこりと頭を下げて言う。
「三人共、元気そうね」
私はそう言って、杏子の隣に座るとテーブル越しに、目の前の美樹さやかとその隣に座る巴マミの顔を見る。
「まあぼちぼち……ですかね」
そう言って、美樹さやかが愛想笑いを浮かべる。
「暁美さんは?」
巴マミの問いに、私はおしぼりとお冷を持ってきた店員に、ホットのアメリカンコーヒーを注文してから答える。
「変わらないわ。あの子達がいなくなってから、ずっと」
私のその言葉に三人は押し黙ってしまう。
三年前、芳文とまどかがこの見滝原を旅立ってからも、この子達は必氏になって芳文とまどかを探し回った。
まどかを守るのを芳文が引き継いでくれたあの日から、私がもう中学校へ行く必要もなくなった。
他に頼れる人もいない上、魔力さえも失った私は魔法少女になる以前の、弱い体に戻ってしまっていたから。
芳文達を見送ってから、身体能力だけでなく視力も徐々に落ちていき、昔のように眼鏡をかけなければろくに見えなくなってしまった。
目に見えて身体能力の落ちた私の事を、教師やクラスメイト達は訝しみつつも心配してくれていたが好都合だった。
私は病気の療養という名目で、転校すると言う事にして中学校を去る事にした。
クラスメイト達に見送られながら、私が中学校を去っていくその時だった。
――この三人が私を追いかけてきたのは。
443: 2011/06/19(日) 04:15:17.37 ID:yFYrwpWDo
まどかと芳文が失踪した事で、一部の生徒達はまどかが芳文に妊娠させられたからだとか、事実無根の噂話が流れた事があった。
その時、佐倉杏子は激怒してその噂を流した生徒達を殴りつけた。
まどかをまるで妹のように可愛がっていた巴マミは、全校生徒にまどかと芳文の事を聞いて回っていた。
そして、美樹さやかはあれだけ嫌っていた私に頭を下げた。
『まどかは親友だから。先輩は兄貴みたいな物だから。……だから、二人の事をもし知っているなら……教えてください』
美樹さやかにとって、私に頭を下げるなんてどれだけ屈辱的な事だっただろう。
彼女がまどかと芳文の事を、本気で心配してくれているのだけは理解出来た。
芳文とまどかを、二人だけで送り出す事しか出来なかった私も、この時は心が弱り切っていた。
――だから、私は彼女達にすべて話してしまった。
魔法少女の真実を。
今まで私がして来た事も。
芳文が私の子である事も。
まどかが彼女達を人間に戻して、全部一人で魔法少女の運命を背負いこんでしまった事も。
あの子達がたった二人だけで、運命に抗う戦いの旅に出た事も、全部を……。
「暁美さん、今日呼んだのはこれについてなんですけど……」
美樹さやかが通学鞄の中から、一冊の雑誌を取り出してテーブルの上に載せてページをめくる。
「……これは?」
雑誌の記事に目を向けると、黒い巨人のような物の写真が掲載されていた。
「さやか。目が悪い人間にそんな見せ方すんなって」
杏子がそう言って、テーブルの上の雑誌を私の目の前に移動させる。
私は雑誌を手に取ると、記事の内容を読む。
「……あすなろ市郊外に深夜から早朝にかけて発生し、消滅したスーパーセル。そして夕刻に突如街中に出現した黒い巨人?」
私のその言葉に、巴マミが私の顔を見つめながら、その口を開く。
「これって、魔女ですよね」
「恐らくそうでしょうね。スーパーセルは多分別の世界のワルプルギスの夜。この巨人は新種の魔女かしら」
そう答えつつ記事を読み進めていくと、桃色に輝く剣を持った黒い戦士と、桃色に輝く矢を放つ少女の事が書かれていた。
「――これは、まさか」
「社先輩とまどか、ですよね」
美樹さやかが私の方を見ながら、同意を求めてくる。
記事の最後には、街を破壊した謎の黒い巨人を倒したと思われるこの二人は果たして神の使いか、はたまた世界に終焉をもたらす悪魔なのか、と書かれ記事が締めくくられていた。
「――間違いなく、芳文とまどかよ」
私がそう答えたその時だった。
――ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
凄まじい衝撃と振動が鳴り響き、店のガラスが粉々に吹き飛んで割れ、テーブルの上の空になったカップが落下して砕ける。
「何!? 地震!?」
美樹さやかが驚いて叫ぶ。
「とにかく揺れが治まっている内に外に出ましょう!!」
巴マミのその言葉に、全員で外に出たその時だった。
巨大な黒い魔女が私達の眼前にそびえ立っていた。
まるで天まで届くくらいに巨大なその姿は、私が忘れたくても決して忘れられない物だった。
「なんだアレ!?」
「マジかよ!? あれって怪獣!?」
「ママ怖いよぉ!!」
道行く人々全員が、巨大な魔女の姿を呆然と見ている。
「な、何なのあの巨大な魔女は……?」
「あいつの姿、他の人達にも見えてるの?」
「くそっ、あたし達には黙って見てる事しか出来ないのかよ!!」
巴マミ、美樹さやか、杏子が呆然となりながら、目の前の巨大な魔女に対して各々の意見を口にする。
私は呆然となりながら、ここからはるか遠い場所に聳え立つ彼女の姿を見ながら、力なく呟いた。
「――まどか」
その時、佐倉杏子は激怒してその噂を流した生徒達を殴りつけた。
まどかをまるで妹のように可愛がっていた巴マミは、全校生徒にまどかと芳文の事を聞いて回っていた。
そして、美樹さやかはあれだけ嫌っていた私に頭を下げた。
『まどかは親友だから。先輩は兄貴みたいな物だから。……だから、二人の事をもし知っているなら……教えてください』
美樹さやかにとって、私に頭を下げるなんてどれだけ屈辱的な事だっただろう。
彼女がまどかと芳文の事を、本気で心配してくれているのだけは理解出来た。
芳文とまどかを、二人だけで送り出す事しか出来なかった私も、この時は心が弱り切っていた。
――だから、私は彼女達にすべて話してしまった。
魔法少女の真実を。
今まで私がして来た事も。
芳文が私の子である事も。
まどかが彼女達を人間に戻して、全部一人で魔法少女の運命を背負いこんでしまった事も。
あの子達がたった二人だけで、運命に抗う戦いの旅に出た事も、全部を……。
「暁美さん、今日呼んだのはこれについてなんですけど……」
美樹さやかが通学鞄の中から、一冊の雑誌を取り出してテーブルの上に載せてページをめくる。
「……これは?」
雑誌の記事に目を向けると、黒い巨人のような物の写真が掲載されていた。
「さやか。目が悪い人間にそんな見せ方すんなって」
杏子がそう言って、テーブルの上の雑誌を私の目の前に移動させる。
私は雑誌を手に取ると、記事の内容を読む。
「……あすなろ市郊外に深夜から早朝にかけて発生し、消滅したスーパーセル。そして夕刻に突如街中に出現した黒い巨人?」
私のその言葉に、巴マミが私の顔を見つめながら、その口を開く。
「これって、魔女ですよね」
「恐らくそうでしょうね。スーパーセルは多分別の世界のワルプルギスの夜。この巨人は新種の魔女かしら」
そう答えつつ記事を読み進めていくと、桃色に輝く剣を持った黒い戦士と、桃色に輝く矢を放つ少女の事が書かれていた。
「――これは、まさか」
「社先輩とまどか、ですよね」
美樹さやかが私の方を見ながら、同意を求めてくる。
記事の最後には、街を破壊した謎の黒い巨人を倒したと思われるこの二人は果たして神の使いか、はたまた世界に終焉をもたらす悪魔なのか、と書かれ記事が締めくくられていた。
「――間違いなく、芳文とまどかよ」
私がそう答えたその時だった。
――ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
凄まじい衝撃と振動が鳴り響き、店のガラスが粉々に吹き飛んで割れ、テーブルの上の空になったカップが落下して砕ける。
「何!? 地震!?」
美樹さやかが驚いて叫ぶ。
「とにかく揺れが治まっている内に外に出ましょう!!」
巴マミのその言葉に、全員で外に出たその時だった。
巨大な黒い魔女が私達の眼前にそびえ立っていた。
まるで天まで届くくらいに巨大なその姿は、私が忘れたくても決して忘れられない物だった。
「なんだアレ!?」
「マジかよ!? あれって怪獣!?」
「ママ怖いよぉ!!」
道行く人々全員が、巨大な魔女の姿を呆然と見ている。
「な、何なのあの巨大な魔女は……?」
「あいつの姿、他の人達にも見えてるの?」
「くそっ、あたし達には黙って見てる事しか出来ないのかよ!!」
巴マミ、美樹さやか、杏子が呆然となりながら、目の前の巨大な魔女に対して各々の意見を口にする。
私は呆然となりながら、ここからはるか遠い場所に聳え立つ彼女の姿を見ながら、力なく呟いた。
「――まどか」
444: 2011/06/19(日) 04:16:02.07 ID:yFYrwpWDo
☆
――それは突然の出来事だった。
新たに魔女を全滅させた街での事。
現在泊まっているホテルで一眠りして目を覚ましてから、次の街に行く為にわたしが身支度を整えていた時だった。
「芳文さん、昨日の晩から何を読んでるの?」
わたしが髪を梳かして、リボンを着け終わるのを芳文さんは待つ傍ら、ベッドに腰掛けて一冊の本を読んでいる。
「英会話の本だよ。ジュゥべえの奴が言ってただろ。海外にも魔法少女達やインキュベーターのコピーがいるって」
「そう言えばそんな事言ってたね。それじゃあわたしも英語を勉強しないといけないね」
「ああ。それにどうやって外国に行くかも考えないといけないしな。ある程度英語を身に着けるまでに、何か方法を考えておかないとな」
「やっぱり、ママ達に頼んでパスポートを取ってもらうしかないと思うよ」
「それだと滞在期間に限りがあるからなあ」
「じゃあ密入国するの?」
「それも視野に入れないといけないかもな」
「難しい問題だね……」
わたしと芳文さんが今後の事について話していたその時だった。
『鹿目まどか、社芳文。君達に挑戦状を叩きつけさせてもらうよ』
不意にインキュベーターがテレパシーで語りかけてきたのだ。
「挑戦状だと? 貴様自らが俺達の相手になるとでも言うのか」
芳文さんが、周囲の気配を探りながら、インキュベーターに殺意を込めて尋ねる。
『まさか。僕に君達と戦う力はないからね。君達と戦うのに相応しい相手を用意させてもらったよ』
「相応しい相手?」
わたしの疑問に、インキュベーターはどこか嬉しそうな話し方で答える。
『転送にかなりのエネルギーを使ってしまったからね、君達を転送してあげる余分なエネルギーはもうないんだ。だから君達は自力で僕の用意した相手の元に来てほしい』
「勝手な事を抜かすな、糞畜生が」
芳文さんがインキュベーターにそう吐き捨てる。
『僕の使う転送は相手がその場にじっとしててくれないと使えない上、かなりのエネルギーを使うからね。無駄遣いはしたくないんだ』
「その相手ってどこにいるの?」
わたしがそう尋ねると、インキュベーターは愉快そうに答えた。
『外を見てごらん』
私と芳文さんは、お互いの顔を見て頷きあってから、カーテンを開ける。
「なっ!?」
「あれってまさか!?」
部屋のガラス越しに、わたし達の強化された視力で見える遠い街は、わたし達の大切な場所……見滝原市。
その街の郊外に天空高く聳え立つ巨大な黒い魔女が、上の方からピンク色に輝く光の輪の内部から、徐々にこの世界にその姿を顕現させる。
「――クリームヒルト・グレートヒェン!?」
芳文さんの驚愕の声が室内に響く。
「そんな!? だってわたしはここにいるのに!!」
わたしの疑問にインキュベーターが小馬鹿にした口調で答える。
『あれは以前君達に見せてあげた、暁美ほむらを人間に戻してこの世界の過去に送り込んだ、鹿目まどかの成れの果てだよ』
「別世界のわたし!?」
『そうだよ。毒は毒を持って制するしかないだろう?』
「貴様!!」
芳文さんがその拳を握りしめながら怒鳴る。
――それは突然の出来事だった。
新たに魔女を全滅させた街での事。
現在泊まっているホテルで一眠りして目を覚ましてから、次の街に行く為にわたしが身支度を整えていた時だった。
「芳文さん、昨日の晩から何を読んでるの?」
わたしが髪を梳かして、リボンを着け終わるのを芳文さんは待つ傍ら、ベッドに腰掛けて一冊の本を読んでいる。
「英会話の本だよ。ジュゥべえの奴が言ってただろ。海外にも魔法少女達やインキュベーターのコピーがいるって」
「そう言えばそんな事言ってたね。それじゃあわたしも英語を勉強しないといけないね」
「ああ。それにどうやって外国に行くかも考えないといけないしな。ある程度英語を身に着けるまでに、何か方法を考えておかないとな」
「やっぱり、ママ達に頼んでパスポートを取ってもらうしかないと思うよ」
「それだと滞在期間に限りがあるからなあ」
「じゃあ密入国するの?」
「それも視野に入れないといけないかもな」
「難しい問題だね……」
わたしと芳文さんが今後の事について話していたその時だった。
『鹿目まどか、社芳文。君達に挑戦状を叩きつけさせてもらうよ』
不意にインキュベーターがテレパシーで語りかけてきたのだ。
「挑戦状だと? 貴様自らが俺達の相手になるとでも言うのか」
芳文さんが、周囲の気配を探りながら、インキュベーターに殺意を込めて尋ねる。
『まさか。僕に君達と戦う力はないからね。君達と戦うのに相応しい相手を用意させてもらったよ』
「相応しい相手?」
わたしの疑問に、インキュベーターはどこか嬉しそうな話し方で答える。
『転送にかなりのエネルギーを使ってしまったからね、君達を転送してあげる余分なエネルギーはもうないんだ。だから君達は自力で僕の用意した相手の元に来てほしい』
「勝手な事を抜かすな、糞畜生が」
芳文さんがインキュベーターにそう吐き捨てる。
『僕の使う転送は相手がその場にじっとしててくれないと使えない上、かなりのエネルギーを使うからね。無駄遣いはしたくないんだ』
「その相手ってどこにいるの?」
わたしがそう尋ねると、インキュベーターは愉快そうに答えた。
『外を見てごらん』
私と芳文さんは、お互いの顔を見て頷きあってから、カーテンを開ける。
「なっ!?」
「あれってまさか!?」
部屋のガラス越しに、わたし達の強化された視力で見える遠い街は、わたし達の大切な場所……見滝原市。
その街の郊外に天空高く聳え立つ巨大な黒い魔女が、上の方からピンク色に輝く光の輪の内部から、徐々にこの世界にその姿を顕現させる。
「――クリームヒルト・グレートヒェン!?」
芳文さんの驚愕の声が室内に響く。
「そんな!? だってわたしはここにいるのに!!」
わたしの疑問にインキュベーターが小馬鹿にした口調で答える。
『あれは以前君達に見せてあげた、暁美ほむらを人間に戻してこの世界の過去に送り込んだ、鹿目まどかの成れの果てだよ』
「別世界のわたし!?」
『そうだよ。毒は毒を持って制するしかないだろう?』
「貴様!!」
芳文さんがその拳を握りしめながら怒鳴る。
445: 2011/06/19(日) 04:17:33.22 ID:yFYrwpWDo
『急いだ方が良いんじゃないかな。早くあの魔女の元へ向かって倒さないと、この星の全生命が魔女の根ですべて吸い取られてしまうよ』
「くそ!! まどか行くぞ!!」
「待って!! インキュベーター。あなたはどうして、わざわざ魔女の特性を教えてくれるの?」
『僕の目的は君の氏ではない。絶望した時のエネルギーだ。もっともいくら待っても絶望してくれないから、魔力を使い切らせる事にしたんだけどね』
「っ!!」
『ああ、そうそう。君が氏ぬと社芳文も生命を維持出来なくなって氏ぬからね。上手く氏なないように魔力を使い切ってね』
インキュベーターはわたしの疑問にそう答えた。
ジュゥべえ曰く、インキュベーターは感情がないから、今までの経験を元にこっちが負の感情を持つように、全部計算してやってるらしいけど……。
いくら感情がないからって、平気でこんな事までしてくるなんて……許せない……。
「いくら願ったって無駄だよ!! わたしは魔女になんてならない!! もし魔女になりそうになったら、ソウルジェムを砕くから!!」
『君は社芳文を巻き込んで自頃するつもりかい?』
「俺達はずっと一緒だと誓った。もしも万が一、大切な人達や思い出の場所を壊す存在になるくらいなら、その時は二人一緒に氏ぬ」
『訳が分からないよ。そんな結末を迎えるのだったら、君達は何の為に今まで僕の邪魔をして来たんだい?』
「あなたには永遠にわからない!! それにわたし達は一人じゃないから、絶対に負けない!!」
「まどかの言うとうりだ。俺達は必ず未来を掴む。その未来に貴様は必要ない!! 行くぞまどか!!」
「うん!!」
わたし達はインキュベーターにわたし達の決意を叩きつけて、ホテルを飛び出す。
わたしは魔法少女の姿へ変身すると、芳文さんと共に見滝原に向かって走る。
道中、クリームヒルトの姿に驚いて硬直する人々や、事態を理解出来ずに携帯のカメラやデジカメを向けている野次馬達の頭上を、わたし達は飛び越えながら見滝原へと急ぐ。
全力で走って、跳んで、大体三十分ぐらい経った頃にわたし達は人間に戻ることが出来ぬまま、再び見滝原の大地に足を踏み入れた。
☆
446: 2011/06/19(日) 04:18:59.96 ID:yFYrwpWDo
魔女の周囲を取り囲む光輪が地面に触れた瞬間、クリームヒルトの先端がまるで棘のように鋭く尖った複数の根っこが、轟音を立てて地面に突き刺さる。
――ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
凄まじい轟音と共に激しく台地が揺れるのを、咄嗟に空中に跳び上がった芳文さんに抱きかかえられたまま、空中で見る。
「っ!? まどか上を見ろ!!」
大地へ着地しながら芳文さんに言われて、上空に視線を向けると、あまりにも巨大な結界が見えた。
「何あれ……」
「――この地球と同じくらいの結界? まさか、あれに吸い上げた命を溜めこんでるのか!?」
芳文さんがそう言ったその時だった。
わたしと芳文さんはクリームヒルトから、凄まじい破壊の力を感じ取った。
「まずい!! まどか、ありったけのマギカ・ブレードだ!!」
「はいっ!!」
芳文さんの周囲にマギカ・ブレードをまとめて四十八本生成する。
「――これ以上、誰も殺さなくていいように、今から楽にしてやるからな」
芳文さんはクリームヒルトに向かってそう言うと、マギカブレードを次々とクリームヒルトの上部に向かって投げつける。
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン……ッ!!
四十八本のマギカ・ブレードがすべて、わたしが瞬きする間にクリームヒルトに投げつけられて、突き刺さる。
クリームヒルトの根を突き破り、四十八本のマギカ・ブレードが根の付け根内部から、クリームヒルトの全身へ向けてじわじわと破壊エネルギーを送り込み始める。
「まどか六本だ!!」
「はいっ!!」
芳文さんが新たに作った六本のマギカ・ブレードを、左右三本ずつ装備してクリームヒルトに向かって走り出す。
「いいかまどか!! 俺がクリームヒルトを削りきるまで、封印し続けるんだ!!」
「芳文さん!! 気を付けて!!」
「ああ!! これ以上、あのまどかに人頃しはさせない!!」
芳文さんがわたしにそう叫んで、あっという間にクリームヒルトの元に辿り着く。
わたしはクリームヒルトの全身を超巨大な封印魔法で包み込む。
クリームヒルトの頭頂部から、根っこの先まで完全に閉じ込めた封印魔法の内部は、芳文さんとクリームヒルトが氏闘を繰り広げる決戦フィールドと化していた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
芳文さんが天高く跳躍しながら、クリームヒルトの根を六刀流で斬り裂く。
六刀流で斬り裂かれた巨大な根が一本、完全に光の粒子になって消滅する。
芳文さんは、重力に惹かれて落下しながらも、斬撃の手を緩めず、次々と根を破壊していく。
447: 2011/06/19(日) 04:20:35.08 ID:yFYrwpWDo
――ブオンッ!!
巨大な根が地面から引き抜かれ、着地した芳文さん目掛けて突き下ろされる。
芳文さんは高速で落ちてくる根を躱して、斬りつけながら別の根を足場にして駆け上る。
次々と別の根を跳んでは斬り、落下しては斬りを繰り返していく。
今までの戦い以上に全力で攻撃していくけど、相手があまりにも大きすぎて、どうしても削るのに時間がかかる。
――キイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!
クリームヒルトが強力な超音波を発生させる。
芳文さんは咄嗟にマギカ・ブレードで防ぐけど、地面に叩きつけられてしまう。
わたしは芳文さんを守る為にシールドを張りたかったけど、周囲に被害が出るのを防ぐため、クリームヒルトの周囲に張った封印魔法を維持し続ける。
「くっ!!」
芳文さんは叩きつけられた地面の上を転がりながら、つい先ほどまでいた場所に撃ち込まれた根に斬りつける。
内部から四十八本のマギカ・ブレードで破壊されているはずなのに、クリームヒルトはまったく意に介さず、攻撃の手を緩めない。
芳文さんがようやく根の全体の十分の一を破壊したところで、クリームヒルトが真っ黒な破壊の波動を放った。
躱しようのない攻撃に、芳文さんが吹き飛ばされて吐血する。
「ぐあぁぁぁっ!!」
「うぅぅっ!!」
強力な攻撃を外部に漏らす事のない様に、封印魔法を展開し続けるわたしも今の攻撃でかなり消耗してしまった。
視線を胸元のソウルジェムに向けると、かなり濁っていた。
わたしはスカートのポケットの中に作ってある収納空間から、片手で二個グリーフシードを取り出して胸元に近づける。
穢れが二個のグリーフシードに吸い込まれたのを確認して、限界寸前のグリーフシードを保持する指先に魔力を込めて破壊する。
「残りのグリーフシードはあと四十六個……!!」
ボロボロになりながらも、再生と負傷を繰り返しながら、芳文さんが根を破壊し続ける。
すべての根を破壊しなければ、頭と胴体を引きずりおろせない。
それまではマギカ・シグヴァンも使えない。
「芳文さん……がんばって……!!」
クリームヒルトの放つ、ワルプルギスの夜のとは比べ物にならないくらい強力な破壊の波動を受け止めながら、わたしは芳文さんを応援する。
クリームヒルトから黒い矢が大量に足元の芳文さんに目掛けて撃ち出される。
芳文さんは、左手で保持したマギカ・ブレードで黒い矢を斬り払いながら、右手で保持したマギカ・ブレードで根を破壊する。
わたしのソウルジェムがどんどん濁っていく。
グリーフシードを使い切って、わたしのソウルジェムが真っ黒に染まるのが先か。
芳文さんがクリームヒルトの本体を引きずりおろして、わたし達の全力の一撃を叩き込むのが先か。
この戦いは絶対に負けられない……。
わたしのソウルジェムが徐々に濁っていく……。
「こんなところで負けるもんか……。いつか絶対、二人でみんなの所に帰るんだから……」
わたしは芳文さんの戦いを見守りながら、彼を信じて絶対に絶望になんか負けないというこの思いを口にした……。
つづく
453: 2011/06/22(水) 02:12:15.41 ID:j3JHGsbDo
――ズガアァァァァァァァァァンッ!! ズガアァァァァァァァンッ ズガアァァァァァァァァンッ……!!
両足の代わりに大量に生やしている根を、三分の一ほどの数に消滅させられたクリームヒルトが、残った根を滅茶苦茶に振り回しながら、連続で大地にその切っ先を突き立てる。
芳文さんは凄まじい轟音と衝撃波を発生させながら、物凄い勢いで迫ってくるその攻撃を躱しつつ、手にした六本のマギカ・ブレードで次々と根を破壊していく。
クリームヒルトが放つ、芳文さんだけでは防ぎきれない黒い波動で、何度ダメージを受けてもあの人は決してあきらめる事無く、何度でも立ち上がっていく。
わたしもクリームヒルトを閉じ込めた封印魔法を展開し続けながら、グリーフシードでの回復を続けつつ、逆転のチャンスがやってくるのを諦めない。
――バラバラバラバラ……。
恐らく報道関係のヘリコプターだろうか。
先ほどからずっと、遠巻きにクリームヒルトの周囲を飛んでいる。
『危険ですからすぐに逃げてください!!』
わたしが一方的なテレパシーを、ヘリコプターに乗ってる人達に送るのとほぼ同時に、クリームヒルトがヘリコプターに目掛けて黒い矢を大量に撃ち出した。
わたしは封印魔法を全力で保持して、内部から外部に向けて飛び出そうとする黒い矢をすべて受け止める。
『お願いですから今すぐ逃げて!!』
もう一度テレパシーを送ると、やっとヘリコプターが飛び去っていく。
ヘリコプターが見えなくなってから、胸元のソウルジェムを確認するとかなり濁っていた。
わたしは最後のグリーフシードを、収納空間から取り出そうとする。
収納空間の中でわたしの手に掴まれて出てきたのは、最後の一個のグリートシードとキュゥべえの耳飾りだった。
「葉子ちゃん……キュゥべえ……わたしと一緒に戦って……」
わたしは葉子ちゃんのグリーフシードで、穢れを吸い取ってからグリーフシードを収納空間に戻すと、キュゥべえの耳飾りを封印魔法を保持している左手の手首に通す。
これでもう、グリーフシードのストックが全部、なくなってしまった……。
芳文さんの方へ視線を向けると、いつの間にかクリームヒルトの根は残り四本になっていた。
「芳文さん……頑張って……!!」
第25話 「あなたが側にいてくれて幸せだったよ」
両足の代わりに大量に生やしている根を、三分の一ほどの数に消滅させられたクリームヒルトが、残った根を滅茶苦茶に振り回しながら、連続で大地にその切っ先を突き立てる。
芳文さんは凄まじい轟音と衝撃波を発生させながら、物凄い勢いで迫ってくるその攻撃を躱しつつ、手にした六本のマギカ・ブレードで次々と根を破壊していく。
クリームヒルトが放つ、芳文さんだけでは防ぎきれない黒い波動で、何度ダメージを受けてもあの人は決してあきらめる事無く、何度でも立ち上がっていく。
わたしもクリームヒルトを閉じ込めた封印魔法を展開し続けながら、グリーフシードでの回復を続けつつ、逆転のチャンスがやってくるのを諦めない。
――バラバラバラバラ……。
恐らく報道関係のヘリコプターだろうか。
先ほどからずっと、遠巻きにクリームヒルトの周囲を飛んでいる。
『危険ですからすぐに逃げてください!!』
わたしが一方的なテレパシーを、ヘリコプターに乗ってる人達に送るのとほぼ同時に、クリームヒルトがヘリコプターに目掛けて黒い矢を大量に撃ち出した。
わたしは封印魔法を全力で保持して、内部から外部に向けて飛び出そうとする黒い矢をすべて受け止める。
『お願いですから今すぐ逃げて!!』
もう一度テレパシーを送ると、やっとヘリコプターが飛び去っていく。
ヘリコプターが見えなくなってから、胸元のソウルジェムを確認するとかなり濁っていた。
わたしは最後のグリーフシードを、収納空間から取り出そうとする。
収納空間の中でわたしの手に掴まれて出てきたのは、最後の一個のグリートシードとキュゥべえの耳飾りだった。
「葉子ちゃん……キュゥべえ……わたしと一緒に戦って……」
わたしは葉子ちゃんのグリーフシードで、穢れを吸い取ってからグリーフシードを収納空間に戻すと、キュゥべえの耳飾りを封印魔法を保持している左手の手首に通す。
これでもう、グリーフシードのストックが全部、なくなってしまった……。
芳文さんの方へ視線を向けると、いつの間にかクリームヒルトの根は残り四本になっていた。
「芳文さん……頑張って……!!」
第25話 「あなたが側にいてくれて幸せだったよ」
454: 2011/06/22(水) 02:12:50.99 ID:j3JHGsbDo
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
遂に、芳文さんの振るったマギカ・ブレードが、最後の根を消滅させた。
大地に根差す為の根をすべて失ったクリームヒルトが、腰から上だけになったその巨体を地面に叩きつけながら、大きな目でわたし達をギ口リと見つめる。
真っ黒な巨体と対照的な真っ白な目。
「――っ!?」
一瞬、その瞳の中に膝を抱えて丸くなっている、人影のような物が見えた気がした。
――アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
クリームヒルトの叫びと共に、一際強力な黒い波動が発生し、吹き飛ばされた芳文さんがわたしの封印魔法に激突する。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
黒い波動と封印魔法の両方で押し潰される形になっている芳文さんが、あまりのダメージに苦痛の声を上げる。
あまりにも長時間の戦闘に加え、大量の根を破壊し続けた事で込められた魔力を失いつつある、六本のマギカ・ブレードすべてに亀裂が入っていき、遂に粉々に砕け散ってしまう。
クリームヒルトの波動が止むと同時に、芳文さんが力なく地面の上に落ちていく……。
「芳文さん!!」
わたしの呼びかけにも、まったく答えてくれる事無く、倒れたままだ。
不意にクリームヒルトの両目が光り、わたしの目前で大爆発が起こった。
ドカアァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
爆風で倒れている芳文さんが、クリームヒルトの方へと吹き飛ばされる。
クリームヒルトの両目が何度も光り、その度に封印魔法が爆発の威力で破壊されそうになる。
――ジジジジジジジ……。
わたしのソウルジェムがどんどん黒く染まっていく……。
「――もう、ここまでなの?」
思わず弱音が出てしまう。
このままじゃ……。
わたしが今にも絶望してしまいそうになった、その時だった。
「まどか!!」
――わたしの良く知る声がわたしの耳に届いた。
「――え?」
わたしが声のした方へ振り返ると、三年前よりも、大人になったさやかちゃんがいて、わたしに向かって叫ぶ。
「まどかがんばれ!!」
さやかちゃんの隣に杏子ちゃんとマミさんが走ってきて、わたしに向かって叫ぶ。
「まどか!! こんな所で負けんな!! あんたはこんな所で負けるようなタマじゃないだろ!!」
三年前よりも、大人になった杏子ちゃんが叫ぶ。
「鹿目さん!! 貴女が最後の希望なの!! だから負けないで!!」
三年前よりも背が伸びたマミさんが叫ぶ。
455: 2011/06/22(水) 02:13:20.38 ID:j3JHGsbDo
――キキィィィィィィィィィィィッ!!
ブレーキの鳴り響く音を立てながら、一台の車がさやかちゃん達の後ろに止まって、中からママとパパとタツヤが飛び出してくる。
「負けるなまどか!!」
「まどか!! 最後まであきらめるんじゃない!!」
「ねーちゃ、がんばれー!!」
「ママ……パパ……タツヤ……」
ママ達がわたしを応援してくれる。
絶望に負けそうになっていたわたしを……。
振り返れば、そこにはわたしの大切な人達がいた。
「まどか!! 全部あんた一人で抱え込んで!! 言いたい事は沢山あるんだから!!」
「そんなにあたし達は頼りになんねえのかよ!! 全部終わったらみっちり絞ってやるからな!!」
「鹿目さん!! 絶対に勝ちなさい!! お説教は後でたっぷりするからね!!」
「まどか!! 芳文君と二人で帰ってくるって約束しただろ!!」
「だから、こんな所で負けて良い筈がないだろう!!」
「ねーちゃ負けないで!!」
「さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさん、ママ、パパ、タツヤ……」
みんなが、わたしを励ましてくれる。
わたしは……。
「……まどか!! まどかは一人じゃない!!」
芳文さんがダメージの抜けきらない体を、無理矢理立たせようとしながら叫ぶ。
「――芳文!!」
ほむらさんが転びそうになりながらも、懸命に走ってきて叫ぶ。
「立ちなさい!! 立って、あなたの大切な人を守って!! そして二人で帰ってきなさい!!」
「……母さん」
芳文さんが片膝を突きながら、立ち上がろうとする。
――みんなが。
みんながわたし達を励ます為だけに、こんな危険な場所に来てくれた。
わたしの瞳から、涙が溢れだす。
わたしの流した涙が頬から顎を伝って、胸元の黒く染まったソウルジェムの上に落ちて爆ぜる。
わたしの黒く染まったソウルジェムが、胸元から外れて目の前に浮かぶ。
――ピシピシピシ……。
ソウルジェムに亀裂が入り、無数のヒビが入っていく。
『やれやれ。ようやく君のエネルギーを回収できるよ』
インキュベーターの勝利宣言が聞こえる。
――だけど。
わたしのソウルジェムが遂に粉々に砕け散る。
456: 2011/06/22(水) 02:13:47.72 ID:j3JHGsbDo
『何!?』
インキュベーターの驚愕の声が聞こえる。
『そんな馬鹿な!!』
『何故!! 何故グリーフシードが出てこないんだ!?』
わたしの目の前には……桃色に光り輝く光球があった。
わたしはそれを両手で抱え込むようにして、自らの胸元に押し込む。
『――まどか』
わたしの左手首に通したキュゥべえの耳飾りから、キュゥべえの声が聞こえてくる。
『君は今、本当の魔法少女になった』
『馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!』
インキュベーターが見苦しく取り乱す。
「わたしはひとりじゃない!! 愛する人が、大切な友達が、大好きな家族がいる!!」
わたしはインキュベーターに叫ぶ。
「だからもう、絶望なんてしない!!」
そう言って、左手首のキュゥべえの耳飾りを見せつける。
『まどかは大切な人達からの想いを受け、強く願った。人として彼らと共に生きる事を』
キュゥべえの耳飾りに宿っていたキュゥべえの意識が、わたしの魔力を使って覚醒し、この場にいる全員にテレパシーで説明してくれる。
『まどかの願いは他者の救済。魔法少女を元の人間に戻せるほど強大なその癒しと守護の力は、遂に自らの魂を捕らえていたソウルジェムという呪われた器を破壊した』
『その身に再び魂の灯を宿し、人の身でありながら奇跡を起こす真の魔法少女。それが今の彼女だ』
――アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァツ!!
クリームヒルトが黒い矢を、この場にいる全員に向けて射出する。
わたしはみんなを守る最強の盾をイメージする。
金色に輝くマギカ・イージスが一瞬で展開され、すべての矢を受け止めて消滅させる。
「――今、助けてあげる」
わたしは背中に空を飛ぶための翼をイメージする。
自分では見えないけれど、光り輝く翼が展開しているはず。
わたしは巨大な弓を目の前に顕現させて、クリームヒルトの左目に向けて金色に輝く魔力の矢を放つ。
「ティロ・フィナーレ!!」
――バシュウゥゥゥゥゥゥゥンッ!!
クリームヒルトの左目の隅に大穴を開けて、わたしはその穴に向けて飛ぶ。
そして、そのままクリームヒルトの左目の中へ、魔力のオーラを全身に纏いながら突入した。
インキュベーターの驚愕の声が聞こえる。
『そんな馬鹿な!!』
『何故!! 何故グリーフシードが出てこないんだ!?』
わたしの目の前には……桃色に光り輝く光球があった。
わたしはそれを両手で抱え込むようにして、自らの胸元に押し込む。
『――まどか』
わたしの左手首に通したキュゥべえの耳飾りから、キュゥべえの声が聞こえてくる。
『君は今、本当の魔法少女になった』
『馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!』
インキュベーターが見苦しく取り乱す。
「わたしはひとりじゃない!! 愛する人が、大切な友達が、大好きな家族がいる!!」
わたしはインキュベーターに叫ぶ。
「だからもう、絶望なんてしない!!」
そう言って、左手首のキュゥべえの耳飾りを見せつける。
『まどかは大切な人達からの想いを受け、強く願った。人として彼らと共に生きる事を』
キュゥべえの耳飾りに宿っていたキュゥべえの意識が、わたしの魔力を使って覚醒し、この場にいる全員にテレパシーで説明してくれる。
『まどかの願いは他者の救済。魔法少女を元の人間に戻せるほど強大なその癒しと守護の力は、遂に自らの魂を捕らえていたソウルジェムという呪われた器を破壊した』
『その身に再び魂の灯を宿し、人の身でありながら奇跡を起こす真の魔法少女。それが今の彼女だ』
――アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァツ!!
クリームヒルトが黒い矢を、この場にいる全員に向けて射出する。
わたしはみんなを守る最強の盾をイメージする。
金色に輝くマギカ・イージスが一瞬で展開され、すべての矢を受け止めて消滅させる。
「――今、助けてあげる」
わたしは背中に空を飛ぶための翼をイメージする。
自分では見えないけれど、光り輝く翼が展開しているはず。
わたしは巨大な弓を目の前に顕現させて、クリームヒルトの左目に向けて金色に輝く魔力の矢を放つ。
「ティロ・フィナーレ!!」
――バシュウゥゥゥゥゥゥゥンッ!!
クリームヒルトの左目の隅に大穴を開けて、わたしはその穴に向けて飛ぶ。
そして、そのままクリームヒルトの左目の中へ、魔力のオーラを全身に纏いながら突入した。
457: 2011/06/22(水) 02:14:56.64 ID:j3JHGsbDo
☆
――起きて。
……誰?
わたしを起こすのは誰なの?
悲しい夢を見ながら、丸くなっていたわたしが目を覚ますと、髪の長いわたしがわたしに抱きついて微笑みながら言う。
――もう、大丈夫だよ。
そう言って、彼女はわたしに優しく微笑む。
彼女に優しく抱きしめられて、少しくすぐったい。
わたしも彼女に微笑む。
――さあ、一緒に行こう。
うん。
彼女とわたしはお互いに抱き合って、彼女がわたしのおでこにキスをしてくれる。
――わたし達は。
わたしは。
もう、絶望なんてしない。
☆
「まどか!!」
魔女の左目の中に飛び込んだまどかの名を、立ち上がった芳文が呼ぶ。
――アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
突然、魔女が苦しげな叫びを上げながら、自分の頭を両手で抱えてのた打ち回る。
――パアァァァァァァァァァァァンッ。
魔女の左目が内部から破裂し、大きく窪んだその穴の中から、私の良く知る姿の彼女が飛び出してくる。
違いは赤いリボンが白いリボンになっているくらいで、可愛らしいショートツインテールと、白とピンクのフリルの魔法少女服の、見慣れた姿。
「芳文さん、お待たせ!!」
まどかが芳文の隣へと降り立つ。
「まどか!! 大丈夫なのか!?」
「大丈夫だよ」
そう言って、彼女は芳文ににっこりと微笑む。
「ほむらちゃん、わたし達が全部終わらせるから。だから、みんなと一緒に見守っていて」
まどかはそう言って、私に向かって微笑んで見せる。
その笑顔は、この世界では見た事のない、以前の世界でかつて見た笑顔だった。
「……まどか、なの?」
「――うん」
私の問いかけに彼女は優しい顔で頷く。
「あ、あぁぁ……」
――この世界のまどかは。
私を救ってくれたまどかを助けてくれたんだ……。
☆
――起きて。
……誰?
わたしを起こすのは誰なの?
悲しい夢を見ながら、丸くなっていたわたしが目を覚ますと、髪の長いわたしがわたしに抱きついて微笑みながら言う。
――もう、大丈夫だよ。
そう言って、彼女はわたしに優しく微笑む。
彼女に優しく抱きしめられて、少しくすぐったい。
わたしも彼女に微笑む。
――さあ、一緒に行こう。
うん。
彼女とわたしはお互いに抱き合って、彼女がわたしのおでこにキスをしてくれる。
――わたし達は。
わたしは。
もう、絶望なんてしない。
☆
「まどか!!」
魔女の左目の中に飛び込んだまどかの名を、立ち上がった芳文が呼ぶ。
――アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
突然、魔女が苦しげな叫びを上げながら、自分の頭を両手で抱えてのた打ち回る。
――パアァァァァァァァァァァァンッ。
魔女の左目が内部から破裂し、大きく窪んだその穴の中から、私の良く知る姿の彼女が飛び出してくる。
違いは赤いリボンが白いリボンになっているくらいで、可愛らしいショートツインテールと、白とピンクのフリルの魔法少女服の、見慣れた姿。
「芳文さん、お待たせ!!」
まどかが芳文の隣へと降り立つ。
「まどか!! 大丈夫なのか!?」
「大丈夫だよ」
そう言って、彼女は芳文ににっこりと微笑む。
「ほむらちゃん、わたし達が全部終わらせるから。だから、みんなと一緒に見守っていて」
まどかはそう言って、私に向かって微笑んで見せる。
その笑顔は、この世界では見た事のない、以前の世界でかつて見た笑顔だった。
「……まどか、なの?」
「――うん」
私の問いかけに彼女は優しい顔で頷く。
「あ、あぁぁ……」
――この世界のまどかは。
私を救ってくれたまどかを助けてくれたんだ……。
☆
458: 2011/06/22(水) 02:15:52.63 ID:j3JHGsbDo
――グオアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
まどかの残留思念、いや、僅かに残されていたまどかの心を失った、ただの呪いの塊がまどかに向けて巨大な拳を振るう。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
芳文がまどかの前に立ち塞がり、呪いの塊の拳に神速の回し蹴りを放つ。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
真の魔法少女になったまどかから供給される、未来への希望を込められた魔力を込めた蹴りが、絶望の拳を粉々に打ち砕く。
拳ごと左腕を粉々に粉砕されながら、呪いの塊の巨体が天高く打ち上げられる。
「芳文さん!! 行くよ!!」
「ああ!! やるぞ!!」
まどかが金色に輝く弓を顕現させて、天空に向け金色に輝く矢を放つ。
「マギカ・ブレード!!」
天空高く放たれた矢が、マギカ・ブレードへと変化して舞い降りてくる。
通常の物よりも遥かに長く、分厚い金色に輝く刀身から、更に眩い金色の輝きがキイィィィィィィィィンと言う音と共に発生する。
――ドンッ!!
その両足で大地を踏み砕きながら、芳文が天高く跳び上がり、マギカ・ブレードを掴む。
芳文が両手で構えたマギカ・ブレードの柄から、爆発的な推進力が生み出されて、音速をも超える超高速で芳文が呪いの塊へと迫る。
呪いの塊が、漆黒の髑髏の形をした呪いその物を複数放つ。
芳文が自分に向かって飛んでくるそれを、すべて斬り払うのと同時にマギカ・ブレードから放たれた魔力の波動が、呪いの塊に直撃し封印の光球を形成する。
マギカ・ブレードの刀身から、凄まじい威力の込められた金色に輝く魔力の刃が、まるで天まで届きそうなほどに伸びる。
「マギカ・シグヴァン!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
まどかの叫びと芳文の神速の斬撃がシンクロし、呪いの塊が一瞬で六分割される。
「昇華!!」
まどかの宣誓の言葉と共に、封印の光球の中でバラバラにされた呪いの塊が完全に消滅する。
呪いの塊が消滅すると同時に封印の光球が一際強く輝いて、どんどん小さくなっていき完全に消滅する。
そして、地球と同じサイズの結界も消滅していく。
――ズガアァァァァァァァァンッ。
大地をその足で砕きながら着地した芳文が、元の刀身に戻った金色に輝くマギカ・ブレードを振り回して地面に突き立てる。
遂に、芳文とまどかは長かった戦いを終え、勝利を手に入れたのだった。
☆
459: 2011/06/22(水) 02:16:47.03 ID:j3JHGsbDo
「……終わったな」
マギカ・ブレードを片手に、芳文さんがわたしの所に戻ってきて、優しい顔でそう言って微笑んでくれる。
「うん」
芳文さんに微笑み返して、みんなの方へ振り返ると、みんながわたし達に笑顔で駆け寄ってくるのが見えた。
わたしはみんなに笑顔で手を振って、そして……。
「――ぐひゃひゃひゃひゃ……っ」
突然、壊れた笑いと共に、わたし達の目の前に全身真っ黒の人影が、クリームヒルトの結界のあった上空から舞い降りてきた。
「これが、これが感情!! これが全人類の呪い!! あははははははははははははは!!」
黒い人影の胸部から、顔の三分の二ほどを露出させて笑うインキュベーター。
まるで煙や霧のようなドス黒いその体には、不気味な胎動を繰り返している、穢れで限界寸前の大量のグリーフシードがびっしりと埋め込まれていた。
インキュベーターの体は、大量のグリーフシードと同じように、黒い人影の胸部に飲み込まれていて、今もインキュベーターの残された顔までもをズブズブと飲み込もうとしていた。
「クリームヒルトが吸い上げた、世界中のすべての命の生み出したこの呪い、受け止めてよ!! その希望を絶望に変えて、僕等の宇宙の礎になってよ!!」
インキュベーターが壊れた玩具のようにケタケタと笑う。
「この超魔獣メフィストフェレスが、君達の希望を打ち砕いてあげる!!」
ケタケタと笑いながら、インキュベーターが完全に超魔獣の中に飲み込まれていく。
『まさか!? クリームヒルトの結界の中で、グリーフシードに込められた穢れを撒き散らして、呪いを凝縮させたのか!?』
キュゥべえの意思が、インキュベーターのした事の推測を教えてくれる。
「~~!!」
超魔獣がその全身から真っ黒な霧を空に向かって吹き出す。
真っ黒な霧が、あっという間に霧散して、広がっていく。
超魔獣の人間には聞き取れない呪詛の叫びが、世界に向けてその呪いを解き放つ。
大気が震える。
天空が裂ける。
大地がどんどん裂けていく。
空間が歪む。
わたし達の世界が、壊されていく……。
『まどか!! シールドを張るんだ!! 奴の瘴気に触れたら、それだけで全員の命が危ない!!』
キュゥべえの指示に従って、わたしはわたし達に向かってくる瘴気から、みんなを守る為のシールドを張ろうとする。
――ヒュンッ!!
「――っ!?」
超魔獣が一瞬でわたしの前に現れた。
あまりの速さに、わたしの反応が追いつかない。
――殺される。
超魔獣がわたしに向けて、瘴気に塗れたその呪いの手を伸ばそうとしたその時だった。
――ズドン!!
芳文さんが、超魔獣がわたしに触れるよりも早く、マギカ・ブレードで一刀両断にした。
超魔獣はマギカ・ブレードで真っ二つにされ、地面に倒れるとじわじわと消滅していく。
中に取り込んだインキュベーターとともに……。
460: 2011/06/22(水) 02:18:10.47 ID:j3JHGsbDo
「大丈夫か? まどか」
「う、うん。ありがとう……」
「インキュベーターの最後だ……」
「あ、あ、あ……消える……僕等が、消えて、い、く……」
真っ二つにされた超魔獣の体内で、真っ二つになったインキュベーターが弱々しい声で嘆く。
『感情のない筈のインキュベーター。いずれ訪れる宇宙の破滅を救う為にエネルギーを集める者達』
『彼らは鹿目まどかの絶大なエネルギーを手に入れて、今迄出来なかった事が出来るようになった事で、自分達こそが支配者であると錯覚してしまったんだろうね』
キュゥべえが、憐れむような声で言う。
『自分達の宇宙だけで終わらせておけば良かった物を。支配者を気取ってこの宇宙までも食い物にしようとして、悉く君達に絶望を覆され続けた挙句、エネルギーを使い過ぎた事で、最後は意地になっていたんだろう』
『人間の絆の強さを理解出来なかった。それが自分達を滅びへと導いた。皮肉な物だね。感情を理解出来ないが故に、感情を持った人間の絆に敗北するなんて』
「……感情のない、インキュベーターがやっと手に入れた感情が、狂気と執着か。みじめな物だな……」
「――だが、例えどんな理由があったとしても、向こうの世界とこの世界の大勢の女の子達を、今まで食い物にしてきたこいつに同情なんてしない」
芳文さんが真っ二つにされた超魔獣の内部で、もうわたし達に聞き取れないほどに、弱々しい絶望の言葉を呟きながら消滅していくインキュベーターに冷徹に吐き捨てる。
「とどめなんて刺してやるものか。今まで絶望させてきた魔法少女達と同じように、徐々に絶望を味わいながら消え失せろ」
「ぁ……」
シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……。
インキュベーターが、マギカ・ブレードによってその存在を破壊されつくして、超魔獣と共に完全に消滅する。
わたし達が完全にその存在が消滅するのを確認して、今度こそ全部終わったと思ったその時だった。
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。
――世界が。
轟音を立てながら、崩壊していく。
「何!? どういう事だ!?」
クリームヒルトも、超魔獣もインキュベーターも倒したのに、世界の崩壊が治まらない。
「どうして!? なんで収まらないの!?」
『……さっきの魔獣は、すべての生命が残した呪いそのものだからだね』
「でも芳文さんがやっつけたのに!!」
「マギカ・ブレードで滅ぼしたのは、超魔獣を構成していた呪いだけだ。奴が現れた時に撒き散らされた呪いが、世界中に拡散してしまったんだろう。この世界に生きる命すべてを奪うまで、おそらくもう収まらない』
わたしの疑問にキュゥべえがそう答える。
「そんな!!」
『落ち着いて。まどか、君が世界を救うんだ』
「わたしが……?」
『魔法少女の力はね、背負い込んだ因果の量で決まるんだ』
『一国の女王でも救世主でもない、平凡な人生を与えられた別世界の鹿目まどかが、強力な魔法少女だったのは暁美ほむらが幾多の平行世界を渡り歩いて、鹿目まどかに因果の糸を螺旋状に束ねて集中させたからだ』
『そして君は、その因果をインキュベーターのこの世界への来訪と干渉によって背負わされた。だが、それだけでマギカ・ブレードの生成や、ソウルジェムの呪縛を打ち破るなんて真似が出来るはずがない』
『まどか。君はこの世界に選ばれたんだ。この歪められた世界の歪みを破壊して、元の世界に戻す為の救世主として』
「わたしが……救世主?」
『ああ。そうとしか考えられない。まどか、強く願うんだ。絶望に囚われた呪いの浄化を。そして大切な人達と共に幸せに生きられる世界を。それで君は、魔法少女の運命から解放されるだろう』
「本当に、わたしなんかの祈りでみんな救われるの?」
『君は本当の魔法少女だよ。魔法少女は夢と希望を振り撒く存在なんだ。だから大丈夫』
キュゥべえは優しい声でわたしにそう助言してくれる。
「……まどか。長かった旅もこれで終わりだ。どうせなら最高の世界を望むんだ」
キュゥべえのその言葉を聞いて、芳文さんは優しい顔でそう言って、私の背中を押してくれる。
みんなが、わたしの顔を見て優しい顔で頷く。
「……それじゃ、祈るね」
わたしがそう言うと、みんながもう一度頷いてくれる。
こうしている間にも、世界が撒き散らされた呪いで壊されていく。
「――お願い。絶望の世界に囚われたすべての命に安らぎを。そしてわたし達に、もう争いも悲しみもない、優しい日々を」
わたしは両手を組んで祈りを世界に捧げる。
わたしの体から、光が溢れ出す。
周囲に漂う呪いが浄化されていき、歪められた世界が変わろうとするのを感じる。
わたしは組んだ両手に力を込めて、強く強く祈る。
呪いが浄化され、世界が徐々に元の姿に戻ろうとしていく。
――その時だった。
461: 2011/06/22(水) 02:20:39.09 ID:j3JHGsbDo
「きゃあぁぁぁぁぁっ!! 社君っ!? 暁美さんっ!?」
マミさんのあげた悲鳴に驚いて、わたしが閉じていた目を開けて振り向くと、芳文さんの足がつま先から消滅しかけていて、ほむらちゃんの体が薄くなっていた……。
☆
「な、なんなの!?」
どうして、二人が!?
祈りを中断して、わたしが混乱していると、キュゥべえが申し訳なさそうに言う。
『……多分、世界が社芳文と暁美ほむらを拒絶しているんだ』
「――え?」
――何……言ってるの?
『暁美ほむらは元々この世界の住人じゃない。世界が彼女を拒絶して弾き出そうとしているんだ』
――そんな。
『そして社芳文は、本来なら絶対に出会う事も、結ばれる事もない筈の両親から生を受けた。母親がこの世界から弾き出されれば、待っているのは消滅だ』
――嘘。
『氏でも魔神化でもない。完全なる消滅。この宇宙にしか存在しない彼は、どの平行宇宙にも存在しない完全なイレギュラー。存在の痕跡どころか魂さえも消滅し、初めからいなかった事になる』
――嘘だ。
『誰の記憶にも残らない。例え相手が実の母親でも例外じゃない。生を受けてから今まで関わってきた人間すべてに忘れられて、無に還る』
「そんなの嫌だよ!!」
気が付くと、わたしはそう叫んでいた。
『だって、芳文さんはずっとわたしと一緒にいてくれたんだよ!! わたしを守ってくれてたんだよ!! それにマギカ・ブレードだって芳文さんしか使えないのに!! どうして芳文さんが消されちゃうの!?』
『もし、社芳文がいなかったら、代わりの誰かが世界に選ばれて、君の隣でマギカ・ブレードを振るっていただろう』
キュゥべえのその言葉にわたしは反論する。
「そんな事ない!! マギカ・ブレードは芳文さんの為だけに作ってきたんだから!!」
『……すまない。まどか。君の気持を考えてなかった』
キュゥべえがすまなそうにわたしに謝る。
「……わたし、もっと強く祈る。芳文さん達を消させたりしない。みんなで一緒に、優しくて暖かい日々に帰るんだから……」
わたしはもう一度祈る。
どうか、わたしとほむらちゃんから芳文さんを取り上げないでください。
芳文さんから、ほむらちゃんを取り上げないでください。
どうか……。
「まどか!! 先輩達が!!」
さやかちゃんの叫びに再びほたしは祈りを中断する。
芳文さん達を見ると、芳文さんは膝まで消滅しかけていて、ほむらちゃんもその存在が更に薄くなっていた。
「そんな!! どうして!? どうしてなの!?」
わたしは泣き叫ぶ。
こうしている間にも、世界がどんどん壊れていく……。
「……まどか。祈りを続けるんだ」
芳文さんが、泣き崩れるわたしにそう言う。
「……やだ」
「まどか」
「いやだよぅ……。芳文さんがいなくなるだけじゃなくて、消えちゃうなんていやだぁ……」
涙がどんどん溢れてくる。
流す涙が止まらない。
こんなのってないよ……。
462: 2011/06/22(水) 02:21:08.48 ID:j3JHGsbDo
「芳文さんをこの手で消すくらいなら、わたしが消える方が良かったよぅ……」
「馬鹿な事を言うな!!」
芳文さんがわたしに怒鳴る。
「まどかは一人じゃない。俺がいなくても、お父さん、お母さん、タツヤ君。それにさやかちゃん、巴さん、杏子ちゃん、志筑さん。みんながいるだろう?」
「でもあなたがいない!! そんな世界嫌だよ!!」
「だったら、ここでこのまま全員で氏ぬのか!?」
「っ!!」
「なあ、まどか。言ってたよな。こんな自分でも、誰かの役に立ちたいってさ。俺もまどかと同じなんだ」
芳文さんがわたしの肩に手を置いて、優しい顔でわたしに言う。
「俺はまどかに出会えて、まどかを好きになって、まどかの事を最後まで守る事が出来た。まどかの事を大切に思ってる人達の役に立つことが出来た。だから、満足して消えて行けるんだ」
「やだ……」
「まどか。俺からの最後の頼みだ。魔女も魔法少女も存在しない優しい世界で、まどかが大好きな家族や友達と一緒に、普通の女の子として幸せになってくれ」
「うぅぅ……」
「すみません。お父さん、お母さん。まどかと一緒に帰るという約束を守れなくて。せめてまどかだけでもお二人の元に返します」
芳文さんがママ達に頭を下げて謝る。
「芳文君……」
「アンタは、それでいいのか?」
「すみません」
「にーちゃ……」
「ごめんな、タツヤ君。もう二度と一緒に遊んでやれなくて」
芳文さんが、タツヤに優しい声で言う。
「ねーちゃと仲良く元気でな」
「さやかちゃん、巴さん、杏子ちゃん。今まで色々とありがとう。君達と出会えて、嬉しかったよ。まどかといつまでも仲良くね」
ママ達からさやかちゃん達に向き直り、お礼とお別れを言う。
「先輩……」
「社君……」
「社……」
「キュゥべえ」
芳文さんが私の左腕の耳飾りに宿る、キュゥべえの心に話しかける。
『なんだい?』
「母さんはどうなるんだ?」
『おそらく君に関する記憶を失って、別の世界に飛ばされるだろう』
「氏ぬわけじゃないんだな?」
『少なくとも、暁美ほむらと言う存在は別の世界で生き続けるだろうね』
「そうか。淫獣なんて呼んでて悪かったな」
『別に気にしてないよ。今となっては、あながち間違ってはいなかったと思うからね』
「そうか。おまえ自身はどうなるんだ?」
『今君と話している僕は、真の魔法少女になったまどかの力を借りて話しているだけの、残留思念のような物だからね。良くて別の生き物に生まれ変わるか……悪くて消滅だろうね』
「そうか。残留思念の淫獣に言うのもなんだが、達者でな」
『ああ』
463: 2011/06/22(水) 02:21:47.64 ID:j3JHGsbDo
「……母さん」
最後に、芳文さんはお母さんに向き直って、今の想いを口にした。
「色々あったけど、母さんの息子に生まれてきてよかったと思う」
「芳文……」
「もう二度と会えないから、正直な気持ちを言うよ」
「ありがとう、母さん。俺を産んでくれて。例え別の世界でひとりぼっちになっても、最後まで強く生きて欲しい。それが息子として母さんに望む、俺の最後のわがままだから」
「う……あぁぁぁぁ……」
「母さん。いつまでもお元気で」
芳文さんの言葉にほむらちゃんが泣き崩れる。
「まどか。もう世界が持たない」
芳文さんが強い意志を込めて、わたしに祈りを促す。
「……芳文さん」
「ん?」
「せめて、最後の瞬間まで、わたしの事を抱きしめていて欲しいの……」
「――ああ。わかった」
芳文さんが、わたしを背中からぎゅっと抱きしめてくれる。
芳文さんに抱きしめられながら、目を閉じて両手を組み、祈る。
「……あなたと出会って、まだ三年半しか経ってないんだよね」
「そうだな。口にすると短いな」
世界に祈りを捧げながら、わたし達は最後の会話をする。
「もう、ずっとずーっと。長い間、一緒にいた気がするよ」
「ああ。そうだな。俺もそう思うよ」
「辛い時も、悲しい時も、嬉しい時も。ずっとずっと。あなたが側にいてくれて幸せだったよ」
「俺もだよ」
「わたしね、あなたと出会うまでは将来の夢とかなかったんだけど、あなたと出会えて夢が出来たんだよ」
「……どんな夢?」
「あなたと一緒に大人になって、いつか二人共おじいちゃんとおばあちゃんになっても、いつかお別れするその日まで、ずっとずっと一緒にいるの。それがわたしの夢」
「……そうか。ありがとう。まどか」
芳文さんがわたしを抱きしめる力を強くして応えてくれる。
「……わたし、あなたの事忘れないから」
「絶対……ひっく……。絶対に、忘れない、から……」
――あなたを永遠に失っても。
――せめて、わたしの大切なあなたの記憶だけはなくしたりしないから。
「……ありがとう」
「まどか」
「愛してる」
わたしを抱きしめてくれる、暖かい温もりが消える。
わたしへの愛の言葉と共に……。
「うぅぅ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ」
世界が書き換えられていく。
魔女も魔法少女も存在しない世界へ。
わたしの一番大切な人がいない、残酷で優しい世界へと……。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ……!!」
星々の輝きの中で、わたしは泣き続けた……。
世界が変わっていく……。
つづく
464: 2011/06/22(水) 02:22:24.80 ID:j3JHGsbDo
――世界が変わる。
――いや、世界が本来の姿に戻っていく。
無数の星々の光の中で、両手で顔を覆ってひとりぼっちで泣きじゃくる少女。
大切な人を失って、まるで幼子のように泣き続ける。
出来る事なら、あの子を慰めてあげたい。
――例えそれが、ただの傷の舐めあいだとしても。
……でも、それももう、出来ない。
彼女と私の距離がどんどん引き離されていく。
彼女の願った奇跡の対価は、愛した相手を自らの手で消滅させる事。
私の願った奇跡の対価は、助けたかった少女の涙とたった一人の血を分けた息子の消滅。
――どうして。
――どうして、世界は。
――運命は。
――こんなに、残酷なんだろう。
最終話 「私の大切な人」
465: 2011/06/22(水) 02:23:01.43 ID:j3JHGsbDo
――夢を見た。
暖かくて、優しくて、そして、悲しい夢を……。
「おっきろー!!」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ママ起きたねー」
いつもの朝。
タツヤと一緒にママを起こして。
「最近どうよ?」
「今度は上手く行ってるみたい」
ママとお喋りしながら、朝の身だしなみをする。
「おっ。そっちのリボン着けるんだ」
「うん」
赤いリボンを着けて、パパが朝食を作って待ってる食卓へと向かう。
「行ってきまーす」
家族みんなで朝食を食べて、ママとハイタッチしてから、わたしは学校へと向かう。
「おはよーまどか」
「おはようございます」
「おはよう、さやかちゃん、仁美ちゃん」
途中の遊歩道で、二人の親友と待ち合わせて、他愛のないお喋りをしながら一緒に登校する。
「卵は半熟ですか、固焼きですか!? はい、中澤君!!」
「えっと、どっちでもいいかと」
HRでの先生のいつもの話を苦笑いしながら聞く。
「えーそれでは転校生を紹介します」
「そっちが先でしょーが」
後ろの席でさやかちゃんがツッコミを入れる。
「さあ、自己紹介いってみようか」
「えと……その……。暁美……ほむら、です。よろしく……お願い、します……」
先生が招き入れたその子は長い黒髪を二つのおさげにして、眼鏡をかけた女の子だった。
もじもじと俯きながら、恥ずかしそうに自己紹介する彼女。
「それじゃ、暁美さんはあそこの空いてる席に」
「は、はい」
緊張してるのか、ぎくしゃくとした動きで歩いてくる彼女。
「きゃっ!?」
何もない場所で、彼女は転んでしまう。
「だ、大丈夫!?」
先生が慌てて暁美さんに駆け寄る。
466: 2011/06/22(水) 02:23:47.60 ID:j3JHGsbDo
「は、はい……」
恥ずかしそうに赤面しながら立ち上がる。
良く見ると、彼女の膝小僧が転んだ時に擦りむいたのか、血で滲んでいた。
「先生、暁美さん怪我をしちゃったみたいなので、保健室に連れていってあげた方が良いと思うんですが」
わたしは先生にそう申告する。
「そうね。鹿目さん。暁美さんを保健室に連れて行ってあげて」
「はい」
わたしはそう答えて席を立つと、暁美さんににっこりと微笑んで言う。
「歩ける?」
「は、はい」
「それじゃ一緒に保健室にいこ」
「すみません……」
「気にしないで。わたし、保健委員だから」
そう答えて微笑む。
わたし達は一緒に保健室に向かいながら、他愛のないおしゃべりをする。
「わたし、鹿目まどか。まどかって呼んで」
「えと、その……」
「わたしもほむらちゃんって呼んでいい?」
「は、はい」
そんな会話をしながら、保健室でほむらちゃんの怪我の治療をしてもらい、二人で一緒に教室に戻った。
☆
「暁美さんってさ、髪長いよねー。いいなー綺麗な長髪で。うらやましいぞー」
わたしとさやかちゃんと仁美ちゃんと一緒に、お弁当を食べているほむらちゃんにさやかちゃんが言う。
「えと、その……」
ほむらちゃんは、さやかちゃんのテンションに翻弄されて、モジモジしていた。
「んー。ちょっとごめん」
さやかちゃんがいきなりほむらちゃんの眼鏡を取る。
「うわ。美人だ」
「本当ですね」
さやかちゃんの言葉に仁美ちゃんが同意する。
「え、そ、そんな事ない、です」
「いやいや。嘘なんて言わないって。ねえまどか」
「うん。眼鏡かけててもかわいいけど、眼鏡がなくてもほむらちゃんはかわいいよ」
わたしがそう言うと、ほむらちゃんは真っ赤になって俯く。
……このほむらちゃんは、あの人のお母さんにそっくりだけど、別人なんだよね。
多分、本来この世界にいるはずの暁美ほむらちゃん。
「暁美さん眼鏡やめてコンタクトにしたら? 髪もほどいてさ。そしたらきっと、男子全員暁美さんの事ほっとかないよ?」
「そ、そんな事……。それに、目に物を入れるの、怖いし……」
「何このかわいい生き物。今日からほむらもあたしの嫁だー」
さやかちゃんがほむらちゃんに抱きつく。
「え? えぇぇー?」
顔を赤くして困惑しているほむらちゃんと、抱きついてるさやかちゃんを見ながら、わたしと仁美ちゃんはクスクスと笑うのだった。
467: 2011/06/22(水) 02:24:27.28 ID:j3JHGsbDo
☆
――すべての授業が終わって、やっと迎えた放課後。
わたし達三人は、ほむらちゃんも加えて四人で、寄り道する事になった。
下駄箱で靴を履いてると、パタパタと音を立てて杏子ちゃんが走ってくる。
「おーい、さやかー」
「杏子、遅かったじゃん」
「いや、担任の話が長引いちまってさ。で、そっちが噂の転校生か」
杏子ちゃんがほむらちゃんをじろじろと見ながら言う。
「え、えと……」
「隣のクラスの佐倉杏子ちゃんだよ」
わたしがそう言うと、杏子ちゃんはほむらちゃんに笑いかけながら口を開く。
「よろしくね」
そう言って、飴玉をひとつほむらちゃんに手渡す杏子ちゃん。
「は、はい。よろしくお願いします」
「あーいいなー。杏子、あたしにもちょーだい」
「しょうがねえな。まどか、仁美」
杏子ちゃんがさやかちゃんに飴玉を渡してから、わたしと仁美ちゃんにも飴玉を差し出して言う。
「喰うかい?」
「ありがとうございます」
「ありがとう杏子ちゃん。でも、お菓子を学校に持ってくるのって校則違反だよ?」
わたしがそう言うと、杏子ちゃんは笑いながら言う。
「のど飴だからいーんだよ。それともまどかはいらないの?」
「……食べる」
そう答えて、わたし達全員、クスクスと笑いあう。
わたし達は五人で飴玉を舐めながら、学校を後にするのだった。
――すべての授業が終わって、やっと迎えた放課後。
わたし達三人は、ほむらちゃんも加えて四人で、寄り道する事になった。
下駄箱で靴を履いてると、パタパタと音を立てて杏子ちゃんが走ってくる。
「おーい、さやかー」
「杏子、遅かったじゃん」
「いや、担任の話が長引いちまってさ。で、そっちが噂の転校生か」
杏子ちゃんがほむらちゃんをじろじろと見ながら言う。
「え、えと……」
「隣のクラスの佐倉杏子ちゃんだよ」
わたしがそう言うと、杏子ちゃんはほむらちゃんに笑いかけながら口を開く。
「よろしくね」
そう言って、飴玉をひとつほむらちゃんに手渡す杏子ちゃん。
「は、はい。よろしくお願いします」
「あーいいなー。杏子、あたしにもちょーだい」
「しょうがねえな。まどか、仁美」
杏子ちゃんがさやかちゃんに飴玉を渡してから、わたしと仁美ちゃんにも飴玉を差し出して言う。
「喰うかい?」
「ありがとうございます」
「ありがとう杏子ちゃん。でも、お菓子を学校に持ってくるのって校則違反だよ?」
わたしがそう言うと、杏子ちゃんは笑いながら言う。
「のど飴だからいーんだよ。それともまどかはいらないの?」
「……食べる」
そう答えて、わたし達全員、クスクスと笑いあう。
わたし達は五人で飴玉を舐めながら、学校を後にするのだった。
468: 2011/06/22(水) 02:25:07.30 ID:j3JHGsbDo
☆
「あら? 鹿目さん」
街中をぶらつきながら、喫茶店にでも入ろうかとみんなで話していて、わたし達はマミさんに出会った。
「こんにちは、巴先輩。今日はおひとりですか?」
仁美ちゃんがそう尋ねると、マミさんは柔らかな微笑みを浮かべて答える。
「ええ。今日は母に頼まれて新しい紅茶を買いに来たの」
「お使い、ですか」
さやかちゃんがそう言うと、マミさんは笑って頷く。
「あら? そちらの子は?」
マミさんがほむらちゃんに気付いて、ほむらちゃんの事を尋ねてくる。
「わたし達のクラスに、今日転校してきた暁美ほむらちゃんです」
わたしがそう答えると、マミさんはほむらちゃんに優しい笑顔で自己紹介する。
「はじめまして。私は巴マミ。三年生よ」
「は、はじめまして。暁美ほむらです」
「マミさんはね、園芸部の部長さんなの」
わたしがそう言うと、マミさんが優しい笑顔で口を開く。
「鹿目さんも部員なのよ。もし良かったら暁美さんも一度見学しに来てね」
「は、はい」
「マミさん。あたし達これから喫茶店行くんですけど、マミさんも一緒に行きませんか?」
さやかちゃんの提案に、マミさんはにっこり笑って答える。
「お邪魔でなければ」
こうしてわたし達はマミさんも加えて、六人でどこの喫茶店に入ろうか相談しながら歩く。
結局、マミさんの行きつけの、紅茶とケーキの美味しい駅前の喫茶店に入る事になった。
「あら? 鹿目さん」
街中をぶらつきながら、喫茶店にでも入ろうかとみんなで話していて、わたし達はマミさんに出会った。
「こんにちは、巴先輩。今日はおひとりですか?」
仁美ちゃんがそう尋ねると、マミさんは柔らかな微笑みを浮かべて答える。
「ええ。今日は母に頼まれて新しい紅茶を買いに来たの」
「お使い、ですか」
さやかちゃんがそう言うと、マミさんは笑って頷く。
「あら? そちらの子は?」
マミさんがほむらちゃんに気付いて、ほむらちゃんの事を尋ねてくる。
「わたし達のクラスに、今日転校してきた暁美ほむらちゃんです」
わたしがそう答えると、マミさんはほむらちゃんに優しい笑顔で自己紹介する。
「はじめまして。私は巴マミ。三年生よ」
「は、はじめまして。暁美ほむらです」
「マミさんはね、園芸部の部長さんなの」
わたしがそう言うと、マミさんが優しい笑顔で口を開く。
「鹿目さんも部員なのよ。もし良かったら暁美さんも一度見学しに来てね」
「は、はい」
「マミさん。あたし達これから喫茶店行くんですけど、マミさんも一緒に行きませんか?」
さやかちゃんの提案に、マミさんはにっこり笑って答える。
「お邪魔でなければ」
こうしてわたし達はマミさんも加えて、六人でどこの喫茶店に入ろうか相談しながら歩く。
結局、マミさんの行きつけの、紅茶とケーキの美味しい駅前の喫茶店に入る事になった。
469: 2011/06/22(水) 02:25:49.19 ID:j3JHGsbDo
☆
「そう言えば、さやかの彼氏が今度コンサートやるんだっけ?」
喫茶店でレアチーズケーキをむしゃむしゃ食べながら、杏子ちゃんがさやかちゃんにそう言うと、さやかちゃんが真っ赤になって否定する。
「彼氏じゃなくて幼馴染だってば!!」
マミさんと仁美ちゃんは杏子ちゃん達のやりとりを見ながら、紅茶を優雅に飲んでいる。
「ほむらちゃんは、どんな男の人がタイプなの?」
わたしの隣に座って、ケーキを小さくフォークで切ってる彼女に話題を振ると、彼女は真っ赤になって俯く。
「わ、わかりません……。でも、優しい人が……いい、です」
そう言って真っ赤になるほむらちゃんの様子に、思わず頬が緩んでしまう。
「……鹿目さんは」
「ん?」
「どんな人が……いいんですか?」
「わたし?」
「……はい」
「わたしの好きなタイプはね。優しくて、強くて、頭が良くて、頼りになって、かっこよくて。わたしが悲しい時や寂しい時にいつも側にいてくれて、抱きしめてくれる。そんな人」
わたしがそう答えると、ほむらちゃんだけでなく、みんながきょとんとした顔でわたしの事を見る。
「あっはははははははっ。何それ。どこの白馬の王子様よ」
さやかちゃんがおなかを押さえながら笑う。
「前々から少女趣味だなとは思ってたけどさあ……」
杏子ちゃんが少し呆れたような顔でわたしを見ながら言う。
「随分具体的ですのね」
仁美ちゃんが驚いた顔でわたしを見て言う。
「まあ理想が高いのは別にいいんじゃないかしら」
マミさんがそう言って微笑む。
「あうぅ……」
なんだか居た堪れなくなって、わたしは俯いてしまう。
「か、鹿目さん、元気出してください」
ほむらちゃんだけがわたしを慰めてくれたのだった……。
「そう言えば、さやかの彼氏が今度コンサートやるんだっけ?」
喫茶店でレアチーズケーキをむしゃむしゃ食べながら、杏子ちゃんがさやかちゃんにそう言うと、さやかちゃんが真っ赤になって否定する。
「彼氏じゃなくて幼馴染だってば!!」
マミさんと仁美ちゃんは杏子ちゃん達のやりとりを見ながら、紅茶を優雅に飲んでいる。
「ほむらちゃんは、どんな男の人がタイプなの?」
わたしの隣に座って、ケーキを小さくフォークで切ってる彼女に話題を振ると、彼女は真っ赤になって俯く。
「わ、わかりません……。でも、優しい人が……いい、です」
そう言って真っ赤になるほむらちゃんの様子に、思わず頬が緩んでしまう。
「……鹿目さんは」
「ん?」
「どんな人が……いいんですか?」
「わたし?」
「……はい」
「わたしの好きなタイプはね。優しくて、強くて、頭が良くて、頼りになって、かっこよくて。わたしが悲しい時や寂しい時にいつも側にいてくれて、抱きしめてくれる。そんな人」
わたしがそう答えると、ほむらちゃんだけでなく、みんながきょとんとした顔でわたしの事を見る。
「あっはははははははっ。何それ。どこの白馬の王子様よ」
さやかちゃんがおなかを押さえながら笑う。
「前々から少女趣味だなとは思ってたけどさあ……」
杏子ちゃんが少し呆れたような顔でわたしを見ながら言う。
「随分具体的ですのね」
仁美ちゃんが驚いた顔でわたしを見て言う。
「まあ理想が高いのは別にいいんじゃないかしら」
マミさんがそう言って微笑む。
「あうぅ……」
なんだか居た堪れなくなって、わたしは俯いてしまう。
「か、鹿目さん、元気出してください」
ほむらちゃんだけがわたしを慰めてくれたのだった……。
470: 2011/06/22(水) 02:26:19.13 ID:j3JHGsbDo
☆
「次どこにいこっか」
喫茶店を出て、さやかちゃんがみんなにそう言った、その時だった。
「きゃっ!?」
ほむらちゃんが段差につまずいて、たまたますれ違った高校生くらいの、三人の男の人達の内の一人にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい!!」
ほむらちゃんが慌てて謝ると、男の人達はほむらちゃんの顔とわたし達の顔をじろじろと見てくる。
そしてぶつかった相手がいきなりほむらちゃんの眼鏡を取り上げた。
「あっ!? か、返してください!!」
「ひゅー♪ 眼鏡取るとかわいいじゃん。連れの子達もみんなかわいい子だし」
眼鏡を取り上げた男の人がそう言って、ようやく眼鏡をほむらちゃんに返す。
「ねえねえ、君達俺等といっしょに遊ばない?」
そう言って、ほむらちゃんの肩に馴れ馴れしく腕を回す。
「や、やめてください……」
「そんな嫌がらなくてもいいじゃん。ぶつかったお詫びだと思ってさ、お茶くらい付き合ってよ」
そう言って、にやにやと笑う。
「生憎、アンタ達と遊んでやる義理なんかなくてね」
杏子ちゃんが男の人達を睨みながら言う。
「気安くあたし達の友達の肩に腕を回さないで!!」
さやかちゃんがほむらちゃんの手を掴んで、自分の方へ引き寄せようとする。
「おっと。そんなつれないこと言わないでさぁ」
ほむらちゃんの肩に腕を回した男の人は、ほむらちゃんの右肩をがっしり掴んで離さない。
「痛いっ」
「あっ? 痛かった? ごめんねー」
そう言ってへらへらと笑う。
「あなた達、滝高の生徒ですよね? 中学生の女の子相手にこんな事して、恥ずかしくないんですか?」
マミさんがキッと睨んでそう言うと、三人組の中の一人がマミさんの前に歩いてきて、いきなり胸倉を掴んで低い声で怒鳴った。
「舐めた口聞いてんじゃねえ!! 犯すぞ!!」
そう言って、マミさんを突き飛ばす。
マミさんはそのまま、へなへなと崩れ落ちてしまう。
「おいおい、乱暴すんなよ。怖がってるだろ」
震えてるマミさんを見て、ほむらちゃんを捕まえてる人がへらへら笑いながら言う。
「け、警察を……」
仁美ちゃんが携帯電話を取り出して、助けを呼ぼうとすると、もう一人の男の人が仁美ちゃんの腕を掴んだ。
「おいおい。そこまでされるような事してないじゃん」
「いやっ!! 放してください!!」
「仁美を放せ!!」
さやかちゃんが、仁美ちゃんの腕を掴んでいる男の人に体当たりをする。
「がっ!? こいつ!!」
さやかちゃんの肩がぶつかって痛かったの、男の人が激怒して拳を振り上げ、さやかちゃんの顔を殴ろうとした。
「やめてえぇぇぇぇぇぇっ!!」
――ゴツッ。
咄嗟に飛び出したわたしの側頭部に、殴られた痛みが走る。
わたしはそのまま、地面の上に倒れてしまう。
「やめて!! わたしの大事な友達にひどいことしないで!!」
わたしは倒れたまま、泣きながら彼等に向かって叫ぶ。
――ピッピー!!
誰かが呼んでくれたのか、お巡りさんが笛を吹きながら、こちらに向かって走ってくるのが見えた。
男の人達はほむらちゃんを突き飛ばすと、そのまま走って逃げていく。
「まどか!!」
さやかちゃんの声を聞きながら、今にも泣き出しそうなほむらちゃんの顔を最後に見て、わたしは意識を失った……。
「次どこにいこっか」
喫茶店を出て、さやかちゃんがみんなにそう言った、その時だった。
「きゃっ!?」
ほむらちゃんが段差につまずいて、たまたますれ違った高校生くらいの、三人の男の人達の内の一人にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい!!」
ほむらちゃんが慌てて謝ると、男の人達はほむらちゃんの顔とわたし達の顔をじろじろと見てくる。
そしてぶつかった相手がいきなりほむらちゃんの眼鏡を取り上げた。
「あっ!? か、返してください!!」
「ひゅー♪ 眼鏡取るとかわいいじゃん。連れの子達もみんなかわいい子だし」
眼鏡を取り上げた男の人がそう言って、ようやく眼鏡をほむらちゃんに返す。
「ねえねえ、君達俺等といっしょに遊ばない?」
そう言って、ほむらちゃんの肩に馴れ馴れしく腕を回す。
「や、やめてください……」
「そんな嫌がらなくてもいいじゃん。ぶつかったお詫びだと思ってさ、お茶くらい付き合ってよ」
そう言って、にやにやと笑う。
「生憎、アンタ達と遊んでやる義理なんかなくてね」
杏子ちゃんが男の人達を睨みながら言う。
「気安くあたし達の友達の肩に腕を回さないで!!」
さやかちゃんがほむらちゃんの手を掴んで、自分の方へ引き寄せようとする。
「おっと。そんなつれないこと言わないでさぁ」
ほむらちゃんの肩に腕を回した男の人は、ほむらちゃんの右肩をがっしり掴んで離さない。
「痛いっ」
「あっ? 痛かった? ごめんねー」
そう言ってへらへらと笑う。
「あなた達、滝高の生徒ですよね? 中学生の女の子相手にこんな事して、恥ずかしくないんですか?」
マミさんがキッと睨んでそう言うと、三人組の中の一人がマミさんの前に歩いてきて、いきなり胸倉を掴んで低い声で怒鳴った。
「舐めた口聞いてんじゃねえ!! 犯すぞ!!」
そう言って、マミさんを突き飛ばす。
マミさんはそのまま、へなへなと崩れ落ちてしまう。
「おいおい、乱暴すんなよ。怖がってるだろ」
震えてるマミさんを見て、ほむらちゃんを捕まえてる人がへらへら笑いながら言う。
「け、警察を……」
仁美ちゃんが携帯電話を取り出して、助けを呼ぼうとすると、もう一人の男の人が仁美ちゃんの腕を掴んだ。
「おいおい。そこまでされるような事してないじゃん」
「いやっ!! 放してください!!」
「仁美を放せ!!」
さやかちゃんが、仁美ちゃんの腕を掴んでいる男の人に体当たりをする。
「がっ!? こいつ!!」
さやかちゃんの肩がぶつかって痛かったの、男の人が激怒して拳を振り上げ、さやかちゃんの顔を殴ろうとした。
「やめてえぇぇぇぇぇぇっ!!」
――ゴツッ。
咄嗟に飛び出したわたしの側頭部に、殴られた痛みが走る。
わたしはそのまま、地面の上に倒れてしまう。
「やめて!! わたしの大事な友達にひどいことしないで!!」
わたしは倒れたまま、泣きながら彼等に向かって叫ぶ。
――ピッピー!!
誰かが呼んでくれたのか、お巡りさんが笛を吹きながら、こちらに向かって走ってくるのが見えた。
男の人達はほむらちゃんを突き飛ばすと、そのまま走って逃げていく。
「まどか!!」
さやかちゃんの声を聞きながら、今にも泣き出しそうなほむらちゃんの顔を最後に見て、わたしは意識を失った……。
471: 2011/06/22(水) 02:29:13.17 ID:j3JHGsbDo
☆
――あれから数日後。
わたしとほむらちゃんは二人で一緒に下校していた。
他愛のないお喋りをしながら、川の近くを通るとミーミーと言う小さな鳴き声が聞こえてくる。
「猫の鳴き声?」
きょろきょろと辺りを見ていると、ほむらちゃんが川の方を指差して叫ぶ。
「まどか、あそこにいるよ!!」
ほむらちゃんが指差す先を見ると、生まれてからまだ間もない白い子猫が、箱に入れられて川を流されていた。
箱は川の端っこに上手く引っかかって止まっている。
「ど、どうしよう……」
わたしはおろおろしているほむらちゃんを尻目に、フェンスを乗り越えて川の中へ入っていく。
川の中に入った事で、おなかまで水浸しになりながら、子猫の入れられている箱まで歩いていき、子猫を抱き上げる。
カラになった箱が流されていく。
わたしは子猫を懐に入れて、ほむらちゃんの元に戻った。
「ま、まどか、大丈夫?」
「うん。ちょっと濡れたけど、わたしもこの子も平気だよ」
「よかった……」
ほむらちゃんがそう言って、安堵の微笑みを浮かべた時だった。
「まどか」
名前を呼ばれて振り返ると、タツヤと手を繋いだパパが立っていた。
「また無茶をして。駄目じゃないか」
「……ごめんなさい」
わたしはパパに謝る。
数日前、不良からさやかちゃんを庇って殴られたわたしは、救急車に乗せられて病院に運び込まれた。
殴られた場所が場所だけに、精密検査とその日一日の入院を余儀なくされた。
結局、物凄く痛かったけど脳にも異常はないという事で、翌日には退院できたのだけど。
ママとパパにものすごく怒られた。
友達を助けようとするのはいいけど、自分の事をもっと大切にしろと叱られた。
本当にパパ達に大切にされてるんだって、痛いくらい実感したからわたしはパパ達に素直に謝ったばかりだったのに。
また、怒られちゃった。
「風邪を引くといけないからね。早く帰ってお風呂に入らないと。それに、その子猫にもミルクをあげないとね」
そう言って、パパは優しくわたしの頭を撫でてくれる。
「ごめんね。ほむらちゃん。今日はここでお別れ。また明日、学校でね」
「うん。また明日」
わたしがそう言って微笑むと、ほむらちやんも微笑んで手を小さく振ってくれた。
その日の夜、ママが帰ってきて、パパと話し合った結果、わたしが助けた子猫は家で飼う事になった。
「ミー、ミー」
小さな鳴き声をあげながらじゃれついてくる子猫に、かつてのあの子の面影を感じたわたしは、子猫にキュゥべえと言う名前を付けた。
これからよろしくね、キュゥべえ。
――あれから数日後。
わたしとほむらちゃんは二人で一緒に下校していた。
他愛のないお喋りをしながら、川の近くを通るとミーミーと言う小さな鳴き声が聞こえてくる。
「猫の鳴き声?」
きょろきょろと辺りを見ていると、ほむらちゃんが川の方を指差して叫ぶ。
「まどか、あそこにいるよ!!」
ほむらちゃんが指差す先を見ると、生まれてからまだ間もない白い子猫が、箱に入れられて川を流されていた。
箱は川の端っこに上手く引っかかって止まっている。
「ど、どうしよう……」
わたしはおろおろしているほむらちゃんを尻目に、フェンスを乗り越えて川の中へ入っていく。
川の中に入った事で、おなかまで水浸しになりながら、子猫の入れられている箱まで歩いていき、子猫を抱き上げる。
カラになった箱が流されていく。
わたしは子猫を懐に入れて、ほむらちゃんの元に戻った。
「ま、まどか、大丈夫?」
「うん。ちょっと濡れたけど、わたしもこの子も平気だよ」
「よかった……」
ほむらちゃんがそう言って、安堵の微笑みを浮かべた時だった。
「まどか」
名前を呼ばれて振り返ると、タツヤと手を繋いだパパが立っていた。
「また無茶をして。駄目じゃないか」
「……ごめんなさい」
わたしはパパに謝る。
数日前、不良からさやかちゃんを庇って殴られたわたしは、救急車に乗せられて病院に運び込まれた。
殴られた場所が場所だけに、精密検査とその日一日の入院を余儀なくされた。
結局、物凄く痛かったけど脳にも異常はないという事で、翌日には退院できたのだけど。
ママとパパにものすごく怒られた。
友達を助けようとするのはいいけど、自分の事をもっと大切にしろと叱られた。
本当にパパ達に大切にされてるんだって、痛いくらい実感したからわたしはパパ達に素直に謝ったばかりだったのに。
また、怒られちゃった。
「風邪を引くといけないからね。早く帰ってお風呂に入らないと。それに、その子猫にもミルクをあげないとね」
そう言って、パパは優しくわたしの頭を撫でてくれる。
「ごめんね。ほむらちゃん。今日はここでお別れ。また明日、学校でね」
「うん。また明日」
わたしがそう言って微笑むと、ほむらちやんも微笑んで手を小さく振ってくれた。
その日の夜、ママが帰ってきて、パパと話し合った結果、わたしが助けた子猫は家で飼う事になった。
「ミー、ミー」
小さな鳴き声をあげながらじゃれついてくる子猫に、かつてのあの子の面影を感じたわたしは、子猫にキュゥべえと言う名前を付けた。
これからよろしくね、キュゥべえ。
472: 2011/06/22(水) 02:29:59.77 ID:j3JHGsbDo
☆
――穏やかで優しい日々が過ぎていく。
ほむらちゃんもみんなと打ち解け、普通にお喋りできるようになった。
眼鏡をやめてコンタクトに変え、おさげもやめた今のほむらちゃんはかつてわたしが知っていた彼女と同じ姿だった。
不良に殴られて運び込まれた病院を退院した翌日に、泣きながらわたしに謝ってくれたほむらちゃん。
ちょっとずるいかなと思いながら、わたしに悪いと思うならまどかと呼んでと言ったあの時から、ほむらちゃんはわたしに敬語を使わないで話してくれるようになった。
それでもまだ、みんなとは中々打ち解けられなかったけど、時が経つにつれてみんなとも普通にお喋りできるようになっていた。
ほむらちゃんも入部してくれた園芸部で、わたしとマミさんとほむらちゃんで小さな花壇を作って花の種を埋める。
さやかちゃんと杏子ちゃんも手伝ってくれたおかげで、立派な花壇が出来た。
放課後にみんなで一緒にカラオケに行ったり。
学校の庭園でみんなで手を繋いで記念写真を撮ったり。
そんな、かけがえのない日々が過ぎていく。
そんな日々の中、日曜日にみんなと一緒に遊園地に遊びに行った帰り道。
みんなと別れたわたしは一人で家へ向かって歩いていく。
家に帰る途中に通りかかった道は、初めてあの人とキスをした思い出の場所だった。
不意に、わたしは大好きだったあの人の優しい笑顔を思い出してしまう。
わたしはその場に立ち尽くして、手の甲で目を拭う。
気が付くと、わたしは家には帰らず、違う場所に向かって歩いていた……。
しばらく歩き続けて、やがてワンルームマンションに辿り着くと、目的の208号室に向かう。
――ガチャ。
208号室から知らない男の人が出てきて、カギをかけて私の隣を通り過ぎていく。
「――っ。うぅぅぅ……」
わたしはその場に立ち尽くしたまま、涙が出なくなるまで声を頃して泣き続けた……。
――穏やかで優しい日々が過ぎていく。
ほむらちゃんもみんなと打ち解け、普通にお喋りできるようになった。
眼鏡をやめてコンタクトに変え、おさげもやめた今のほむらちゃんはかつてわたしが知っていた彼女と同じ姿だった。
不良に殴られて運び込まれた病院を退院した翌日に、泣きながらわたしに謝ってくれたほむらちゃん。
ちょっとずるいかなと思いながら、わたしに悪いと思うならまどかと呼んでと言ったあの時から、ほむらちゃんはわたしに敬語を使わないで話してくれるようになった。
それでもまだ、みんなとは中々打ち解けられなかったけど、時が経つにつれてみんなとも普通にお喋りできるようになっていた。
ほむらちゃんも入部してくれた園芸部で、わたしとマミさんとほむらちゃんで小さな花壇を作って花の種を埋める。
さやかちゃんと杏子ちゃんも手伝ってくれたおかげで、立派な花壇が出来た。
放課後にみんなで一緒にカラオケに行ったり。
学校の庭園でみんなで手を繋いで記念写真を撮ったり。
そんな、かけがえのない日々が過ぎていく。
そんな日々の中、日曜日にみんなと一緒に遊園地に遊びに行った帰り道。
みんなと別れたわたしは一人で家へ向かって歩いていく。
家に帰る途中に通りかかった道は、初めてあの人とキスをした思い出の場所だった。
不意に、わたしは大好きだったあの人の優しい笑顔を思い出してしまう。
わたしはその場に立ち尽くして、手の甲で目を拭う。
気が付くと、わたしは家には帰らず、違う場所に向かって歩いていた……。
しばらく歩き続けて、やがてワンルームマンションに辿り着くと、目的の208号室に向かう。
――ガチャ。
208号室から知らない男の人が出てきて、カギをかけて私の隣を通り過ぎていく。
「――っ。うぅぅぅ……」
わたしはその場に立ち尽くしたまま、涙が出なくなるまで声を頃して泣き続けた……。
473: 2011/06/22(水) 02:30:37.21 ID:j3JHGsbDo
☆
辺りがすっかり暗くなった帰り道。
人気のない夜の遊歩道を一人、わたしはとぼとぼと歩いて家に帰る。
涙が枯れるくらい泣いたと思ったのに、また涙が出てくる。
「――会いたい」
口が勝手に今の想いを喋る。
「会いたいよ、芳文さん……」
――会いたい。
――あなたに会いたい。
涙を拭いながら、歩いていたその時だった。
「何泣いてんの?」
わたしは遊歩道の暗がりに突然引き込まれてしまった。
「――え?」
わたしを暗がりに引き込んだのは、ほむらちゃんが転校してきたあの日、わたしを殴った男の人達だった。
「君のおかげで、俺達退学になっちゃったよ」
そう言って、わたしを殴った男の人がわたしを芝生の上に突き飛ばす。
「ひ……」
男の人達は嫌らしい笑みを浮かべながら、わたしに向けて手を伸ばす。
もう魔女はこの世界にいないのに。
まるで魔女の口づけを受けた人達のような顔で、わたしに触れようとしてくる。
「嫌だ……」
わたしは尻もちを付いたまま、後ずさる。
「助けて……」
男の人達がわたしに向かってどんどん近づいてくる。
こわいこわいこわい!!
「助けて!!」
――助けて芳文さん!!
もうこの世界のどこにもいない、大好きなあの人に助けを求めたその時だった。
男の人がわたしの腕を掴む。
もう魔法少女じゃないわたしには、この人達に抵抗する力なんてなくて。
目の前でにやにやと厭らしい笑い方をするこの男の人達がこわくてこわくて。
思わず目を閉じて現実逃避しようとしてしまう。
その時だった。
――ズドンッ!!
「グベッ!!」
鈍い音と悲鳴と共に、わたしの腕を掴んでいた男の人の腕が、離れていく。
恐る恐る目を開けると、一人の男の人がわたしに背中を見せて立っていた。
「貴様等、三人でこの子に何をしようとしていた」
わたしを襲おうとしていた三人組の残り二人に、静かな、それでいて激しい怒りを込めた声で問いかける。
「てめえ!!」
「ぶっ頃す!!」
二人がナイフを取り出して、襲い掛かってくる。
ズドンッ!!
バキイッ!!
一人は顔面を殴られて。
一人は顔面を蹴り飛ばされて。
二人とも顎を砕かれてへし折られた歯を撒き散らしながら、地面に叩きつけられてそのまま気を失う。
辺りがすっかり暗くなった帰り道。
人気のない夜の遊歩道を一人、わたしはとぼとぼと歩いて家に帰る。
涙が枯れるくらい泣いたと思ったのに、また涙が出てくる。
「――会いたい」
口が勝手に今の想いを喋る。
「会いたいよ、芳文さん……」
――会いたい。
――あなたに会いたい。
涙を拭いながら、歩いていたその時だった。
「何泣いてんの?」
わたしは遊歩道の暗がりに突然引き込まれてしまった。
「――え?」
わたしを暗がりに引き込んだのは、ほむらちゃんが転校してきたあの日、わたしを殴った男の人達だった。
「君のおかげで、俺達退学になっちゃったよ」
そう言って、わたしを殴った男の人がわたしを芝生の上に突き飛ばす。
「ひ……」
男の人達は嫌らしい笑みを浮かべながら、わたしに向けて手を伸ばす。
もう魔女はこの世界にいないのに。
まるで魔女の口づけを受けた人達のような顔で、わたしに触れようとしてくる。
「嫌だ……」
わたしは尻もちを付いたまま、後ずさる。
「助けて……」
男の人達がわたしに向かってどんどん近づいてくる。
こわいこわいこわい!!
「助けて!!」
――助けて芳文さん!!
もうこの世界のどこにもいない、大好きなあの人に助けを求めたその時だった。
男の人がわたしの腕を掴む。
もう魔法少女じゃないわたしには、この人達に抵抗する力なんてなくて。
目の前でにやにやと厭らしい笑い方をするこの男の人達がこわくてこわくて。
思わず目を閉じて現実逃避しようとしてしまう。
その時だった。
――ズドンッ!!
「グベッ!!」
鈍い音と悲鳴と共に、わたしの腕を掴んでいた男の人の腕が、離れていく。
恐る恐る目を開けると、一人の男の人がわたしに背中を見せて立っていた。
「貴様等、三人でこの子に何をしようとしていた」
わたしを襲おうとしていた三人組の残り二人に、静かな、それでいて激しい怒りを込めた声で問いかける。
「てめえ!!」
「ぶっ頃す!!」
二人がナイフを取り出して、襲い掛かってくる。
ズドンッ!!
バキイッ!!
一人は顔面を殴られて。
一人は顔面を蹴り飛ばされて。
二人とも顎を砕かれてへし折られた歯を撒き散らしながら、地面に叩きつけられてそのまま気を失う。
474: 2011/06/22(水) 02:32:25.55 ID:j3JHGsbDo
「大丈夫?」
わたしを助けてくれた彼が、優しい顔でわたしに手を差し伸べてくれる。
彼の顔を見たその瞬間、わたしの瞳からぽろぽろと涙がこぼれ出す。
「う、うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
わたしは両手で涙を何度も拭いながら、まるで小さな子供のように泣き続ける。
「もう大丈夫だから」
彼はそう言って、泣きじゃくるわたしの頭を優しく撫でてくれる。
「う……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ」
わたしは彼に抱きついて、彼の胸に顔を埋めながら泣き出す。
「大丈夫。またあいつらが襲ってきても、俺が守ってあげるから」
そう言って、彼は優しく私を抱きしめてくれる。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
「大丈夫。もう大丈夫だから」
彼の腕の中で、わたしは泣き続ける。
そのまま声が出なくなるまで泣き続けて、わたしがすんすんと鼻を鳴らしていると、彼は優しい声でわたしに言う。
「おかしいな。君とは初めて会ったはずなのに……」
――そっか。
芳文さん、覚えてないんだ。
「――なのに、なんでだろう?」
「泣いてる君を見てたら、こうしてあげないといけない気がしたんだ」
――うん。わたしが泣いてると、いつもこんな風にぎゅってしてくれたんだよ。
「俺、君と以前にどこかであった事があるのかな?」
……覚えてるの?
わたしとの事、ちょっとでも覚えててくれてるの?
「……わたし、まどか」
わたしは芳文さんの顔を見つめて、自分の名前を言う。
「鹿目まどか」
「……鹿目まどか」
芳文さんがわたしの名前を呼ぶ。
「なんだろう。とても大切な……大切な人の名前だった気がする」
わたしの事を少しでも覚えててくれるなら。
こうしてまた会えたのが本当の奇跡なのなら。
「助けてくれてありがとう。あなたの名前、教えてほしいな……」
「俺の名は――」
ほとんど覚えてなくても構わない。
だって、また会えたから……。
『――俺は君の事が、この世界の誰よりも好きだから』
――あの時は、あなたから告白してくれたよね。
――だから、今度は、わたしから。
――また、ふたりで始めよう。
475: 2011/06/22(水) 02:33:28.25 ID:j3JHGsbDo
☆
「――よかったね」
私の隣で、ショートツインテールの彼女が、そう言って笑う。
「うん。ありがとう」
私は彼女に感謝を込めて応える。
「まどか」
私の隣で微笑む彼女は、今わたし達の目の前で息子と一緒にいるまどかが、魔女の中から助け出し、一度は融合したあのまどかだ。
この世界が元の姿に戻ろうとするその時の事だった。
星々の光の中で泣きじゃくるまどかの体が一瞬光ったかと思うと、桃色に輝く光が分離して私の前に飛んできて、私の良く知る魔法少女のまどかの姿になった。
『あきらめないで』
まどかが私に微笑みながら言った。
『魔法少女はさ、奇跡を起こすんだよ? あの子とわたし。そしてほむらちゃん。ここには三人も魔法少女がいるんだよ』
『でも、今の私は』
『一人で起こせない奇跡でも、三人いれば起こせるかもしれない。だから祈ってみようよ。本当の奇跡をさ』
まどかは私の言葉を遮ってそう言うと、私の手を手を取って、目を閉じて祈る。
もう魔法少女じゃない私だけど、まどかの言葉を信じて私もまどかと一緒に強く祈る。
奇跡を。
私の大切な物をこの手に取り戻して、あの子に笑顔を取り戻す為に。
私達は強く強く願いを込めて祈った。
――そして今。
――私達は、この世界にいる。
「ほむらちゃん。ううん。今は円華ちゃんだね」
まどかが私の顔を見つめながら口を開く。
「ごめんね。わたしそろそろ行かなきゃ」
「もう行ってしまうの?」
「うん。別の世界のわたしがすべての宇宙。すべての過去と現在と未来の魔女を滅ぼす願いをしたからね。ここにいるわたしもそっちに行かないと」
「この世界のまどかはどうなるの?」
「あの子は元々魔女も魔法少女もいない宇宙のわたしだしね。それに本当の魔法少女になったあの子は強く願ったんだよ。大切な人達と一緒に、普通の女の子として生きたいって」
そう言ってまどかは微笑みながら、芳文と見つめあうまどかを優しい顔で見る。
「だから、あの子はわたしや別の世界のわたしみたいに、魔女を滅ぼす願いをしたわたしに引き寄せられることはないよ。わたし達との融合も全宇宙からの消滅も思いっきり拒絶されちゃったからね」
まどかは私の疑問に、いたずらっぽく笑いながらそう答えた。
「あなたはどうなるの?」
「魔女を滅ぼす概念になって、いつでもどこにでもいる存在になるよ」
「……それじゃ、もう会えないの?」
「……うん。でも今のあなたにはこの宇宙のわたしと芳文君がいるから」
「まどか……」
「あなたがわたしの為にずっと頑張ってくれてた事、今のわたしには全部わかるよ。あなたはわたしの最高の友達だよ」
「あ……」
私の瞳から、涙が流れる。
「もう。ほむらちゃんは泣き虫なんだから」
そう言って、まどかが私の目元を優しく拭ってくれる。
「もうお母さんなんだから、もっとしっかりしないと駄目だよっ」
そう言ってまどかは笑う。
「うん。がんばる」
「がんばってね。それじゃ、もう行くね」
「まどか。本当にありがとう。あなたが友達になってくれて、私は幸せだったよ」
「私もだよ。ずっと元気でいてね」
「うんっ。さよなら、私の最高の友達」
「えへへ……。ばいばい。ほむらちゃん」
まどかが私の前から消えていく。
この宇宙から去っていく。
「まどか……。さようなら……」
わたしは生涯最高の親友にもう一度別れを告げた。
いつか、この記憶も薄れて消えてしまうかもしれない。
だけど、私は絶対に忘れない。
私を救ってくれた彼女の事を絶対に忘れない……。
「――よかったね」
私の隣で、ショートツインテールの彼女が、そう言って笑う。
「うん。ありがとう」
私は彼女に感謝を込めて応える。
「まどか」
私の隣で微笑む彼女は、今わたし達の目の前で息子と一緒にいるまどかが、魔女の中から助け出し、一度は融合したあのまどかだ。
この世界が元の姿に戻ろうとするその時の事だった。
星々の光の中で泣きじゃくるまどかの体が一瞬光ったかと思うと、桃色に輝く光が分離して私の前に飛んできて、私の良く知る魔法少女のまどかの姿になった。
『あきらめないで』
まどかが私に微笑みながら言った。
『魔法少女はさ、奇跡を起こすんだよ? あの子とわたし。そしてほむらちゃん。ここには三人も魔法少女がいるんだよ』
『でも、今の私は』
『一人で起こせない奇跡でも、三人いれば起こせるかもしれない。だから祈ってみようよ。本当の奇跡をさ』
まどかは私の言葉を遮ってそう言うと、私の手を手を取って、目を閉じて祈る。
もう魔法少女じゃない私だけど、まどかの言葉を信じて私もまどかと一緒に強く祈る。
奇跡を。
私の大切な物をこの手に取り戻して、あの子に笑顔を取り戻す為に。
私達は強く強く願いを込めて祈った。
――そして今。
――私達は、この世界にいる。
「ほむらちゃん。ううん。今は円華ちゃんだね」
まどかが私の顔を見つめながら口を開く。
「ごめんね。わたしそろそろ行かなきゃ」
「もう行ってしまうの?」
「うん。別の世界のわたしがすべての宇宙。すべての過去と現在と未来の魔女を滅ぼす願いをしたからね。ここにいるわたしもそっちに行かないと」
「この世界のまどかはどうなるの?」
「あの子は元々魔女も魔法少女もいない宇宙のわたしだしね。それに本当の魔法少女になったあの子は強く願ったんだよ。大切な人達と一緒に、普通の女の子として生きたいって」
そう言ってまどかは微笑みながら、芳文と見つめあうまどかを優しい顔で見る。
「だから、あの子はわたしや別の世界のわたしみたいに、魔女を滅ぼす願いをしたわたしに引き寄せられることはないよ。わたし達との融合も全宇宙からの消滅も思いっきり拒絶されちゃったからね」
まどかは私の疑問に、いたずらっぽく笑いながらそう答えた。
「あなたはどうなるの?」
「魔女を滅ぼす概念になって、いつでもどこにでもいる存在になるよ」
「……それじゃ、もう会えないの?」
「……うん。でも今のあなたにはこの宇宙のわたしと芳文君がいるから」
「まどか……」
「あなたがわたしの為にずっと頑張ってくれてた事、今のわたしには全部わかるよ。あなたはわたしの最高の友達だよ」
「あ……」
私の瞳から、涙が流れる。
「もう。ほむらちゃんは泣き虫なんだから」
そう言って、まどかが私の目元を優しく拭ってくれる。
「もうお母さんなんだから、もっとしっかりしないと駄目だよっ」
そう言ってまどかは笑う。
「うん。がんばる」
「がんばってね。それじゃ、もう行くね」
「まどか。本当にありがとう。あなたが友達になってくれて、私は幸せだったよ」
「私もだよ。ずっと元気でいてね」
「うんっ。さよなら、私の最高の友達」
「えへへ……。ばいばい。ほむらちゃん」
まどかが私の前から消えていく。
この宇宙から去っていく。
「まどか……。さようなら……」
わたしは生涯最高の親友にもう一度別れを告げた。
いつか、この記憶も薄れて消えてしまうかもしれない。
だけど、私は絶対に忘れない。
私を救ってくれた彼女の事を絶対に忘れない……。
476: 2011/06/22(水) 02:35:56.15 ID:j3JHGsbDo
☆
「いってきまーすっ」
わたしは家族に元気にそう言って、家を出る。
「あーん。服を選ぶのに時間かけすぎちゃったー」
約束の時間まで、もうすぐだよ。
初夏の日差しを肌に感じながら、頭にかぶってる白い帽子を押さえながら走る。
「お、まどかそんなに急いでどこ行くの?」
待ち合わせ場所に向かう途中、さやかちゃんに声をかけられる。
さやかちゃんだけでなく、ほむらちゃん、仁美ちゃん、杏子ちゃん、マミさんもいた。
みんなでこれからどこかへ行くのかな?
「デートっ!! 急いでるから、みんなまた明日学校でねっ」
わたしはみんなにそう言って走る。
「まどかー転ばないようにねー」
「あらあら、まどかさんったらあんなに急いで」
「ははっ。それにしてもまどかの奴、最近生き生きしてるよな」
「恋する乙女は無敵なのよ、佐倉さん。それにしても、彼が転校してきてから一ヶ月もしない内に付き合い始めるなんてね……。こういうのを運命の出会いっていうのかしらね」
「まどかはすごいな……。いつも元気で勇気があって。彼氏にも自分から告白したって言うし。私もいつか、まどかみたいになりたいな……」
わたしは走る。
早く会いたい。
大好きなあの人に会いたい。
「芳文さーんっ」
待ち合わせ場所で待っててくれるあの人の名前を呼びながら。
わたしは彼の側に駆け寄っていく。
「きゃっ!?」
段差も何もないのに、わたしは勢いよく転びそうになってしまった。
「おっと」
――ポフッ。
芳文さんが転びそうになったわたしを優しく受け止めてくれる。
「やれやれ。まどかはそそっかしいな」
優しい笑顔で芳文さんがわたしに言う。
「うー。またやっちゃったぁ……。どうして、何もない所で転んじゃうんだろ……」
「もうちょっと気を付けないとな。まあ俺が支えるけどさ」
そう言って芳文さんは笑う。
わたしの大好きな笑顔で。
「いってきまーすっ」
わたしは家族に元気にそう言って、家を出る。
「あーん。服を選ぶのに時間かけすぎちゃったー」
約束の時間まで、もうすぐだよ。
初夏の日差しを肌に感じながら、頭にかぶってる白い帽子を押さえながら走る。
「お、まどかそんなに急いでどこ行くの?」
待ち合わせ場所に向かう途中、さやかちゃんに声をかけられる。
さやかちゃんだけでなく、ほむらちゃん、仁美ちゃん、杏子ちゃん、マミさんもいた。
みんなでこれからどこかへ行くのかな?
「デートっ!! 急いでるから、みんなまた明日学校でねっ」
わたしはみんなにそう言って走る。
「まどかー転ばないようにねー」
「あらあら、まどかさんったらあんなに急いで」
「ははっ。それにしてもまどかの奴、最近生き生きしてるよな」
「恋する乙女は無敵なのよ、佐倉さん。それにしても、彼が転校してきてから一ヶ月もしない内に付き合い始めるなんてね……。こういうのを運命の出会いっていうのかしらね」
「まどかはすごいな……。いつも元気で勇気があって。彼氏にも自分から告白したって言うし。私もいつか、まどかみたいになりたいな……」
わたしは走る。
早く会いたい。
大好きなあの人に会いたい。
「芳文さーんっ」
待ち合わせ場所で待っててくれるあの人の名前を呼びながら。
わたしは彼の側に駆け寄っていく。
「きゃっ!?」
段差も何もないのに、わたしは勢いよく転びそうになってしまった。
「おっと」
――ポフッ。
芳文さんが転びそうになったわたしを優しく受け止めてくれる。
「やれやれ。まどかはそそっかしいな」
優しい笑顔で芳文さんがわたしに言う。
「うー。またやっちゃったぁ……。どうして、何もない所で転んじゃうんだろ……」
「もうちょっと気を付けないとな。まあ俺が支えるけどさ」
そう言って芳文さんは笑う。
わたしの大好きな笑顔で。
477: 2011/06/22(水) 02:36:48.50 ID:j3JHGsbDo
「ずっと?」
「ああ。俺がまどかの事を好きで、まどかが俺の事好きでいてくれる限りずっと」
「それじゃ、一生だね」
「望むところだ」
わたし達はそう言って、笑いあってから、どちらからともなく手を握りあって歩き出す。
「そういえばね、GWに家族旅行に行った先で出来た友達と文通してるんだけどね。その子の友達が子猫拾ったんだって」
「へぇ。たしか、その友達かずみちゃんだったっけ?」
「うん。その子の友達が拾った子猫白と黒のぶち猫なんだけど、すごくかわいいんだって。名前はジュゥべえって言うらしいよ」
「へぇー。家の母さんといい何気にまどかの周りは猫好きが多いな」
「芳文さんの家の子はたしかエイミーだったよね」
「ああ。俺が大きくなって、あんまりかまってくれなくなったからさびしいとか言って、母さんがどこかから拾って来たんだ」
「あはははは、そうなんだ」
「事あるごとに女の子が欲しいって言うんだぜ。そんなに欲しけりゃ、まだ若いんだから作ればいいだろって言ってやったら、まどかみたいな子が欲しいんだってさ」
「そう言ってもらえるとうれしいな」
「うちの母さん、なんでか知らないけどまどかの事がお気に入りみたいでさ。まどかを連れて来いってうるさいんだよ」
「それじゃ、もまた今度遊びに行ってもいい?」
「まどかならいつでも歓迎するよ」
「えへへ……。じゃあ、約束ね」
「ああ」
478: 2011/06/22(水) 02:37:52.00 ID:j3JHGsbDo
わたし達はそんな会話をしながら、手を繋いで歩いていく。
途中、小さな女の子を連れた綺麗な銀髪の女の人や、両親と手を繋いで嬉しそうに歩く小さな女の子、仲の良さそうな白い服の女の子と黒い服の女の子とすれ違う。
わたしは彼女達とすれ違いながら、口元に笑みを浮かべる。
「まどか。随分嬉しそうだけど、何かいい事でもあったの?」
隣を歩く芳文さんに、わたしは笑顔で答える。
「うん。大好きな家族がいて、大切な友達がいる。それが嬉しくて」
「そっか」
「でもね」
「一番大好きなあなたがわたしの側にいてくれる。それがすごく嬉しいの」
わたしのその言葉に、彼は一瞬きょとんとした表情をしてから、わたしに優しい笑顔を見せてくれた。
これから先、きっと色々な事があると思う。
悲しい事もあるはずだし、辛い時や泣きたい時だってきっとあるはず。
――だけど。
わたしの隣には、いつだってこの人がいてくれる。
これから、二人で一緒に大人になっていこうね。
わたし達はこれからもずっと一緒だよ。
わたしは彼の笑顔にとびっきりの笑顔を返した。
――わたしの大好きなこの人へ。
――芳文さん。大好き。
――わたしの。
――私の大切な人。
おしまい
479: 2011/06/22(水) 02:42:38.72 ID:j3JHGsbDo
杏子「最後まで読んでくれてありがとな」
杏子「おまけ。厨二的設定コーナー」
杏子「最終決戦の社の攻撃力。パンチが420。キックが500。アトランティス・ストライクが800。ファイナル・マギカ・ブレード装備時は420+9999。マギカ・ブレード六刀流はマギカ・ブレード999×3+420×2。 マギカ・シグヴァン時は攻撃力が約100倍になる」
杏子「真・魔法少女まどかの攻撃力。オメガ・ジャッジメント(爆発する矢)が999。ブラスト・シューター(分裂矢)が矢1本に付き780。まどか版ティロ・フィナーレが1200(貫通特化の巨大矢)」
杏子「社芳文 レベル99 HP9999 MP100(パンチやキック1発につきMP1使用。まどかからの魔力供給ですぐにフル回復する) 固有アビリティ かばう 投げる 二刀流 両手持ち 斬鉄 カウンター 白刃取り オートリジェネ オートリフレッシュ 六刀流」
杏子「鹿目まどか レベル99 HP500 MP9999 固有アビリティ 絶対防御壁(マギカ・イージス) 封印魔法(マギカ・ホールド) マギカ・ブレード生成 必殺剣(マギカ・シグヴァン) アレイズ(魔法少女人間化) ケアルガ 狙う 狙い撃ち」
杏子「それじゃまたな」
杏子「あ、そうそう。誤字脱字が多いから、加筆修正して、オマケシナリオ付きでZIPをあげるってさ」
杏子「おまけ。厨二的設定コーナー」
杏子「最終決戦の社の攻撃力。パンチが420。キックが500。アトランティス・ストライクが800。ファイナル・マギカ・ブレード装備時は420+9999。マギカ・ブレード六刀流はマギカ・ブレード999×3+420×2。 マギカ・シグヴァン時は攻撃力が約100倍になる」
杏子「真・魔法少女まどかの攻撃力。オメガ・ジャッジメント(爆発する矢)が999。ブラスト・シューター(分裂矢)が矢1本に付き780。まどか版ティロ・フィナーレが1200(貫通特化の巨大矢)」
杏子「社芳文 レベル99 HP9999 MP100(パンチやキック1発につきMP1使用。まどかからの魔力供給ですぐにフル回復する) 固有アビリティ かばう 投げる 二刀流 両手持ち 斬鉄 カウンター 白刃取り オートリジェネ オートリフレッシュ 六刀流」
杏子「鹿目まどか レベル99 HP500 MP9999 固有アビリティ 絶対防御壁(マギカ・イージス) 封印魔法(マギカ・ホールド) マギカ・ブレード生成 必殺剣(マギカ・シグヴァン) アレイズ(魔法少女人間化) ケアルガ 狙う 狙い撃ち」
杏子「それじゃまたな」
杏子「あ、そうそう。誤字脱字が多いから、加筆修正して、オマケシナリオ付きでZIPをあげるってさ」
480: 2011/06/22(水) 02:46:43.61 ID:j3JHGsbDo
杏子「おっと、真・魔法少女は人の体で希望の魔法を振るうから、MPは減らないんだ。体は人間だから、オートリジェネもない。それじゃ今度こそじゃーな」ノシ
485: 2011/06/22(水) 23:31:28.46 ID:DRzxl7ceo
超乙
オリ主物なのに、こんな名作が読めて楽しかったです
今までお疲れ様でした!
オリ主物なのに、こんな名作が読めて楽しかったです
今までお疲れ様でした!
506: 2011/06/30(木) 07:03:30.29 ID:ioy2oUEgo
杏子「アンケートありがとうな。まだまだ受け付け中だから答えてもいいやって思ったら教えてくれ」
杏子「今回はこの世界の年表を提示するよ」
杏子「今回はこの世界の年表を提示するよ」
507: 2011/06/30(木) 07:05:28.97 ID:ioy2oUEgo
魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~ 年表
2011年
原作最終時間軸の少し前の時間軸。(4週目+aの因果量がまどかに集中)
ほむらにとって最後の時間軸において、ほむらがワルプルギスの夜に敗北。鹿目まどか『ほむらを魔法少女の運命から解放したい』という願いで契約。
まどかの魔法でほむらがソウルジェムを失い、インキュベーターの存在しない宇宙の二十一年前に飛ばされる。
残されたまどかはワルプルギスの夜を倒すものの、魔女化。
クリームヒルト・グレートヒェンによってこの世界の人類を含めた地球上の全生命体が絶滅。
1990年
別の宇宙の日本。見滝原の隣街(杏子のテリトリー)にて記憶を失ったほむら、将来の伴侶である報堂博(ほうどう ひろし)に拾われる。この時4月26日。
4月27日ほむら覚醒。この時に記憶のないほむらの名前が円華に決まる。
報堂の住むアパート『陽だまり荘』の管理人である青樹梅子を保護者として、円華が中学校へ5月中旬頃に2年生として入学。
半年後、青樹梅子の養女として円華、梅子と養子縁組する。
ほむらを追ってきたインキュベーター、ほむらへの監視とこの世界への介入開始。
かつての世界で集めた穢れたグリーフシードを世界中にばらまき、魔女と使い魔を大量生産し、この世界の少女達をどんどん魔法少女に仕立て上げていく。
円華14才になる。
1991年
見た目や身体能力が本編の暁美ほむらのままの為、男子生徒にモテるが性格はメガほむなので全員ふってしまう。結果、女子生徒達の妬みや反感を買いいじめにあう。
激怒した梅子や報堂達の手によって、いじめは早期収束。
円華にとって、報堂達の存在がどんどん大きな物になっていく。
円華15才になる。
1992年
円華、高校へ進学し16才になる。
陽だまり荘の家賃を集めて、報堂と一緒に銀行に持っていった際に、円華が銀行強盗の人質にされる。
報堂が銀行強盗をあっさりと叩きのめし、全員駆けつけた警察に逮捕される。円華にケガはなかった。
円華、強くて優しい報堂の事を兄としてではなく、ひとりの異性として意識し始める。
1993年
円華、高校2年生になる。17才になる。
10月下旬、梅子が交通事故に遭い氏亡。
梅子の遺産は梅子の遺言状に則り、円華が相続。
義母を亡くして悲しみの淵に追い込まれた円華を報堂が支える内に、いつしか互いに愛が芽生え始める。
1994年
円華、高校3年生になる。18才になる。
報堂との正式な交際を始める。
円華、進路に悩んでいた頃に報堂からプロポーズされる。
1995年
3月5日 円華が高校卒業。
4月下旬に円華、報堂博と結婚。
青樹円華から報堂円華になる。
新婚旅行で熱海に行く。
7月下旬に円華が妊娠3ヶ月である事が発覚。
19才になる。
2011年
原作最終時間軸の少し前の時間軸。(4週目+aの因果量がまどかに集中)
ほむらにとって最後の時間軸において、ほむらがワルプルギスの夜に敗北。鹿目まどか『ほむらを魔法少女の運命から解放したい』という願いで契約。
まどかの魔法でほむらがソウルジェムを失い、インキュベーターの存在しない宇宙の二十一年前に飛ばされる。
残されたまどかはワルプルギスの夜を倒すものの、魔女化。
クリームヒルト・グレートヒェンによってこの世界の人類を含めた地球上の全生命体が絶滅。
1990年
別の宇宙の日本。見滝原の隣街(杏子のテリトリー)にて記憶を失ったほむら、将来の伴侶である報堂博(ほうどう ひろし)に拾われる。この時4月26日。
4月27日ほむら覚醒。この時に記憶のないほむらの名前が円華に決まる。
報堂の住むアパート『陽だまり荘』の管理人である青樹梅子を保護者として、円華が中学校へ5月中旬頃に2年生として入学。
半年後、青樹梅子の養女として円華、梅子と養子縁組する。
ほむらを追ってきたインキュベーター、ほむらへの監視とこの世界への介入開始。
かつての世界で集めた穢れたグリーフシードを世界中にばらまき、魔女と使い魔を大量生産し、この世界の少女達をどんどん魔法少女に仕立て上げていく。
円華14才になる。
1991年
見た目や身体能力が本編の暁美ほむらのままの為、男子生徒にモテるが性格はメガほむなので全員ふってしまう。結果、女子生徒達の妬みや反感を買いいじめにあう。
激怒した梅子や報堂達の手によって、いじめは早期収束。
円華にとって、報堂達の存在がどんどん大きな物になっていく。
円華15才になる。
1992年
円華、高校へ進学し16才になる。
陽だまり荘の家賃を集めて、報堂と一緒に銀行に持っていった際に、円華が銀行強盗の人質にされる。
報堂が銀行強盗をあっさりと叩きのめし、全員駆けつけた警察に逮捕される。円華にケガはなかった。
円華、強くて優しい報堂の事を兄としてではなく、ひとりの異性として意識し始める。
1993年
円華、高校2年生になる。17才になる。
10月下旬、梅子が交通事故に遭い氏亡。
梅子の遺産は梅子の遺言状に則り、円華が相続。
義母を亡くして悲しみの淵に追い込まれた円華を報堂が支える内に、いつしか互いに愛が芽生え始める。
1994年
円華、高校3年生になる。18才になる。
報堂との正式な交際を始める。
円華、進路に悩んでいた頃に報堂からプロポーズされる。
1995年
3月5日 円華が高校卒業。
4月下旬に円華、報堂博と結婚。
青樹円華から報堂円華になる。
新婚旅行で熱海に行く。
7月下旬に円華が妊娠3ヶ月である事が発覚。
19才になる。
508: 2011/06/30(木) 07:06:33.56 ID:ioy2oUEgo
1996年
4月5日 円華、市内の産婦人科にて長男芳文を出産。
芳文出産時は円華19才。
後に誕生日を迎えて20才になる。
1997年
円華21才 芳文1才
後の芳文の義父である社が仕事の都合で陽だまり荘から退去し、市外へ転出。
1998年
円華22才 芳文2才
1999年
円華23才 芳文3才
10月に高校時代の友人達に3才6か月の芳文を連れて会いに行った帰り道で、人込みに紛れて去っていくインキュベーターの姿を見て、円華が暁美ほむらとしての記憶を取り戻す。
ほむら、半魔法少女としての力に覚醒。
夫と子供の前から姿を消す。
その後、自衛隊に入隊。
戦闘スキル等を磨く。
2000年
ほむら24才 芳文4才
報堂、芳文を連れて陽だまり荘から転出。
2001年
ほむら25才 芳文5才
報堂がかつての恋人と子連れ同士で再婚。
芳文に義母と義妹が出来る。
2002年
ほむら26才 芳文6才
報堂が病に倒れる。
陽だまり荘からほとんどの住人がいなくなり、そのまま空き家になる。
2003年
ほむら27才 芳文7才
11月報堂博が病で氏去。
芳文は義母に引き取られ、一家3人で生活。
2004年
ほむら28才 芳文8才
社、芳文の義母と出会い交際開始。
2005年
ほむら29才 芳文9才
5月、社と義母が結婚。社と芳文が養子縁組。芳文の姓が社になる。
社一家、社の実家のある豊橋へ転出。
芳文、社の実家の剣道道場で社の実父に剣道を習い始める。
4月5日 円華、市内の産婦人科にて長男芳文を出産。
芳文出産時は円華19才。
後に誕生日を迎えて20才になる。
1997年
円華21才 芳文1才
後の芳文の義父である社が仕事の都合で陽だまり荘から退去し、市外へ転出。
1998年
円華22才 芳文2才
1999年
円華23才 芳文3才
10月に高校時代の友人達に3才6か月の芳文を連れて会いに行った帰り道で、人込みに紛れて去っていくインキュベーターの姿を見て、円華が暁美ほむらとしての記憶を取り戻す。
ほむら、半魔法少女としての力に覚醒。
夫と子供の前から姿を消す。
その後、自衛隊に入隊。
戦闘スキル等を磨く。
2000年
ほむら24才 芳文4才
報堂、芳文を連れて陽だまり荘から転出。
2001年
ほむら25才 芳文5才
報堂がかつての恋人と子連れ同士で再婚。
芳文に義母と義妹が出来る。
2002年
ほむら26才 芳文6才
報堂が病に倒れる。
陽だまり荘からほとんどの住人がいなくなり、そのまま空き家になる。
2003年
ほむら27才 芳文7才
11月報堂博が病で氏去。
芳文は義母に引き取られ、一家3人で生活。
2004年
ほむら28才 芳文8才
社、芳文の義母と出会い交際開始。
2005年
ほむら29才 芳文9才
5月、社と義母が結婚。社と芳文が養子縁組。芳文の姓が社になる。
社一家、社の実家のある豊橋へ転出。
芳文、社の実家の剣道道場で社の実父に剣道を習い始める。
509: 2011/06/30(木) 07:08:07.29 ID:ioy2oUEgo
2006年
ほむら30才 芳文10才
芳文、天才的な剣の才能を発揮し、大人の有段者に勝ってしまう。
天才剣道少年として一躍名を馳せる。
2007年
ほむら31才 芳文11才
3月下旬、魔女の口づけを受けた社道場の元弟子が、社の実父と義母を殺害して、道場に火を放つ。
元弟子はその後、結界内で魔女に喰われて氏亡。
その後、魔女は当時の魔法少女によって倒される。
義妹が火事で崩れた家の下敷きになり、芳文の目の前で火の海に飲み込まれ氏亡、芳文の心に深い傷跡を残す。
2008年
ほむら32才 芳文12才
社と芳文、見滝原の隣の市に転出。二人暮らしを始める。
2009年
ほむら33才 芳文13才
5月、芳文が公園でふざけていて、小さな女の子にケガをさせた高校生グループを粛正する。
12月、社が海外勤務になる。社、芳文の希望もあり従妹の経営するワンルームマンションに芳文をひとり住まわせて海外へ。
社の従妹は血のつながりもなく、特に問題を起こすわけでもない芳文をたまに様子を見に来るだけで放置。
2010年
ほむら34才 芳文14才
1月、芳文が見滝原中学へ転入。
2011年
親子の再会時、ほむら34才(後に35才になる) 芳文15才
ほむら、魔力を使って14才の姿に若返りまどかのクラスに転入。
キュゥべえ(インキュベーター・コピー)がほむらに殺されそうになり、まどかに助けを求めてまどかとさやかの二人に接触。
まどかとさやかが巴マミに出会い、魔法少女の存在を知る。
その後、魔法少女体験コースと称するマミの魔女狩りの見学を開始。
2日後の早朝、まどかと芳文が運命の出会いを果たす。(1話)
まどか魔法少女になる。それに伴い、芳文が魔人化。
杏子が味方になり、さやかが契約。
全員でワルプルギスの夜撃破。
まどかと芳文が恋人同士になる。
10月上旬まで平和な一時を過ごすものの、魔法少女の真実を知りまどかがマミ達を人間に戻して、芳文と共に見滝原を旅立つ。
2012年
芳文16才 まどか15才 ほむら36才
まどかと芳文、日本各地を魔法少女と魔女を求めて放浪。
2013年
芳文17才 まどか16才 ほむら37才
10月、影野葉子との出会いと悲しい別れをまどかと芳文が経験する。
2014年
芳文18才(4月5日時点) まどか17才(10月3日時点) ほむら38才
1月、美国 織莉子と呉 キリカがまどかの命を奪う為に、襲い掛かってきたのを芳文が魔人の力を持って退ける。
5月GW、まどかとまどかの家族が再会。
10月下旬 かずみ、カオル、海香がワルプルギスの夜に敗北寸前の所をまどかと芳文が助け、半日後に合成魔女と戦う為に共闘。
11月中旬、クリームヒルトがインキュベーターによってこの世界に転送されてくる。かつての鹿目まどかVSこの世界のまどか&社芳文ペアによる最終決戦。
真・魔法少女になったまどかの祈りによって、歪められた世界が三十五年前の時点から改変される。
ほむら30才 芳文10才
芳文、天才的な剣の才能を発揮し、大人の有段者に勝ってしまう。
天才剣道少年として一躍名を馳せる。
2007年
ほむら31才 芳文11才
3月下旬、魔女の口づけを受けた社道場の元弟子が、社の実父と義母を殺害して、道場に火を放つ。
元弟子はその後、結界内で魔女に喰われて氏亡。
その後、魔女は当時の魔法少女によって倒される。
義妹が火事で崩れた家の下敷きになり、芳文の目の前で火の海に飲み込まれ氏亡、芳文の心に深い傷跡を残す。
2008年
ほむら32才 芳文12才
社と芳文、見滝原の隣の市に転出。二人暮らしを始める。
2009年
ほむら33才 芳文13才
5月、芳文が公園でふざけていて、小さな女の子にケガをさせた高校生グループを粛正する。
12月、社が海外勤務になる。社、芳文の希望もあり従妹の経営するワンルームマンションに芳文をひとり住まわせて海外へ。
社の従妹は血のつながりもなく、特に問題を起こすわけでもない芳文をたまに様子を見に来るだけで放置。
2010年
ほむら34才 芳文14才
1月、芳文が見滝原中学へ転入。
2011年
親子の再会時、ほむら34才(後に35才になる) 芳文15才
ほむら、魔力を使って14才の姿に若返りまどかのクラスに転入。
キュゥべえ(インキュベーター・コピー)がほむらに殺されそうになり、まどかに助けを求めてまどかとさやかの二人に接触。
まどかとさやかが巴マミに出会い、魔法少女の存在を知る。
その後、魔法少女体験コースと称するマミの魔女狩りの見学を開始。
2日後の早朝、まどかと芳文が運命の出会いを果たす。(1話)
まどか魔法少女になる。それに伴い、芳文が魔人化。
杏子が味方になり、さやかが契約。
全員でワルプルギスの夜撃破。
まどかと芳文が恋人同士になる。
10月上旬まで平和な一時を過ごすものの、魔法少女の真実を知りまどかがマミ達を人間に戻して、芳文と共に見滝原を旅立つ。
2012年
芳文16才 まどか15才 ほむら36才
まどかと芳文、日本各地を魔法少女と魔女を求めて放浪。
2013年
芳文17才 まどか16才 ほむら37才
10月、影野葉子との出会いと悲しい別れをまどかと芳文が経験する。
2014年
芳文18才(4月5日時点) まどか17才(10月3日時点) ほむら38才
1月、美国 織莉子と呉 キリカがまどかの命を奪う為に、襲い掛かってきたのを芳文が魔人の力を持って退ける。
5月GW、まどかとまどかの家族が再会。
10月下旬 かずみ、カオル、海香がワルプルギスの夜に敗北寸前の所をまどかと芳文が助け、半日後に合成魔女と戦う為に共闘。
11月中旬、クリームヒルトがインキュベーターによってこの世界に転送されてくる。かつての鹿目まどかVSこの世界のまどか&社芳文ペアによる最終決戦。
真・魔法少女になったまどかの祈りによって、歪められた世界が三十五年前の時点から改変される。
510: 2011/06/30(木) 07:11:30.11 ID:ioy2oUEgo
改変後の世界
1976年
青樹家の長女として円華(芳文の母親ほむらの転生体)誕生。
1995年
3月5日 円華高校卒業。
4月に円華、報堂博と結婚。
両親が生きていて、一人娘である為、報堂が青樹の家に婿入りする事になる。その為、円華の姓は青樹のまま。
7月下旬に円華が妊娠3ヶ月である事が発覚。
1996年
4月5日 円華19才。市内の産婦人科にて長男芳文を出産。
2011年
5月下旬 夫の仕事の都合で見滝原市に青樹一家が転出。
円華の前にかつての友人のまどかが姿を現す。
まどかと芳文の奇跡の再会と、円華と円環の理になるまどかの別れ。
そして、これから希望の未来が作られていく……。
1976年
青樹家の長女として円華(芳文の母親ほむらの転生体)誕生。
1995年
3月5日 円華高校卒業。
4月に円華、報堂博と結婚。
両親が生きていて、一人娘である為、報堂が青樹の家に婿入りする事になる。その為、円華の姓は青樹のまま。
7月下旬に円華が妊娠3ヶ月である事が発覚。
1996年
4月5日 円華19才。市内の産婦人科にて長男芳文を出産。
2011年
5月下旬 夫の仕事の都合で見滝原市に青樹一家が転出。
円華の前にかつての友人のまどかが姿を現す。
まどかと芳文の奇跡の再会と、円華と円環の理になるまどかの別れ。
そして、これから希望の未来が作られていく……。
511: 2011/06/30(木) 07:22:48.40 ID:ioy2oUEgo
杏子「今回は以上。次回は番外編及び後日談を投下するよ」
杏子「>>502最終回で社が母親に娘が欲しけりゃ作ればいいと言ってるから、円華旦那は生きてるよ」
杏子「ん? ほむら改め円華おばさんだ」
円華「~♪」
杏子「何かいい事でもあったのかい? 嬉しそうじゃん、おばさん」
円華「私はまだ若い」アイアンクロー
杏子「あだだだだだだっ!! 割れるっ割れるっ!! ごめんなさい!! もう言いません!!」
円華「……ふん。口のきき方がなってない小娘が。でも芳文が好かれてるのがわかって、気分が良いから許してあげるわ」パッ
杏子「……畜生。……このババア」ボソボソ
円華「何か言ったかしら」
杏子「何も言ってません」
円華「そう」
杏子「それじゃ、またなー」ノシ
円華「暑い日が続くから、熱中症に気を付けるのよ」
杏子「あんたはみんなのかーちゃんか」
【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その5】
杏子「>>502最終回で社が母親に娘が欲しけりゃ作ればいいと言ってるから、円華旦那は生きてるよ」
杏子「ん? ほむら改め円華おばさんだ」
円華「~♪」
杏子「何かいい事でもあったのかい? 嬉しそうじゃん、おばさん」
円華「私はまだ若い」アイアンクロー
杏子「あだだだだだだっ!! 割れるっ割れるっ!! ごめんなさい!! もう言いません!!」
円華「……ふん。口のきき方がなってない小娘が。でも芳文が好かれてるのがわかって、気分が良いから許してあげるわ」パッ
杏子「……畜生。……このババア」ボソボソ
円華「何か言ったかしら」
杏子「何も言ってません」
円華「そう」
杏子「それじゃ、またなー」ノシ
円華「暑い日が続くから、熱中症に気を付けるのよ」
杏子「あんたはみんなのかーちゃんか」
【まどマギ】明るい魔まマ 魔法少女まどか☆マギカ ~私の大切な人~【その5】



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