4: 06/08/30 00:12:47 ID:2DD5E6l+
気象庁はこの連日の暑さは今日も続き、午前中の早い時間で本日の最高
気温が観測史上最高を更新する暑さになることを告げ、不要不急の外出は
避けるるよう繰返し警告していたし。電力会社は電力供給が限界に近くなって
きたため、さらなる節電を呼びかけていた。
田舎から帰ってきたばかりの俺は、何の因果か、買出しのために外を歩いて
いた。
「キョン! いつ帰ってきてたのよ!、連絡ぐらいよこしなさい!、団員と
して報告義務の怠慢は罰金ものよ!」
記録的な暑さも、ものともしない元気さで、呼び止められた、誰かって、
こんな日に、見ているほうが暑苦しくなるような元気さで声かけてくるやつ
なんで、そういないだろう
「元気だな、昨日の晩だ、こっちがこんなに暑いなら、もうしばらく向こうに
いればよかったと後悔していることろだ」
「なーに なっさけないこといってるのよ、この程度の暑さなんて、なんでも
ないじゃないの!」
こいつの冷却系はいったいどうなっているんだ、人間技じゃないな
長門ならこんな日でも涼しい顔していそうではあるが
「で、なに、買物?」
「ああ、帰ったばかりで、家の中なんにもないんでな」
「つきあったげるわよ」
5 :夏女 2:06/08/30 00:13:41 ID:2DD5E6l+
一体どうゆう風の吹き回しかって、そよ風すら吹いてはいないがな、こうして
この、くそ暑いなか、俺とハルヒは並んで歩いているのだった。
どうやら、ハルヒの奴、俺が田舎に帰っている間は、SOS団の活動も休みに
していたようで、かまって欲しいオーラを放出しまっくている
俺がこんなハルヒを見て、ちょっとからかってやろうと思ったとしてもそんな
に不思議じゃなだろう
「こう暑いとな、昔聞いた話を思い出すな」
「なにそれ」
「こんなに暑い日には外に出るなって話、聞きたいか」
「別に、きーたげてもいいわ、話しなさいよ」
「俺の田舎の方の話なんだが、夏女って話がある」
「なにそれ、怪談?」
「そう、むかしむかしの話、今日みたいにえれー暑い日のこと、旅の親子が
いてな、あまりの暑さで進むこともままならず、小さな木陰をみつけて、
休んでいたそうだ」
怪談は好きなのか、口をはさむことなく、ハルヒは俺の話を聞いている
「すると、彼らが通ってきた路から、一人の女が歩いてくるのが見えたんだ、
倒れるような暑さの中、その女は、まるで何事もないように、こっちに歩いて
いる、びっくるするというより2人は恐怖を感じた、なにしろ旅なれた大の
大人がまいってしまいそうな暑い日なのに、その女は、まるで気持ちよく散歩
でもしているように歩いているんだ、多分この世のものではないだろう、そう
思った」
別に俺の田舎にそんな話があるわけではない、このくそ暑いのにふらふら出
歩いている誰かをちょっと皮肉った、そんだけのことだ
6 :夏女 3:06/08/30 00:14:04 ID:2DD5E6l+
「そのうち、その女は、木陰にいる親子に気がつき、近づいてきた、歩いてき
て疲れたので、水が欲しいという、夏の最中、水を持たずに旅をするなぞ、
尋常なことではないし、旅人も子づれということもあって、水は貴重だ、それ
にその女、この暑さの中、さほど苦しんでいる様子もない」
自分で話を続けていながら、俺の頭もこの暑さのせいで少々朦朧とし始めてい
たのかもしれない、あたかも自分がかつて体験した出来事のように、話を続け
ている。
「旅人が水を渡すのを躊躇しているのを感じたのか、その女は、旅人の親の
方に向かって、水が大事なら、そなたからもらおう、そういったかと思うと、
女は、ふいに息を吸い込むようなそぶりをみせた、すると、その旅人は、みる
みる干からびて干物のようになってしまった。その様子を見ていた、子供の
方は、おびえながらもおずおずと水の入った竹筒を差し出したそうだ、そりゃ
命は惜しいものな、するとその女は、お前はよき形をしている、このこと人に
告げぬなら、命だけは助けようぞ、その子はそこまで聞くと、卒倒してしまい、
気が付いたときにはすっかり夜も暮れた時だったそうな」
7 :夏女 4:06/08/30 00:15:22 ID:2DD5E6l+
「云わぬといったろ」
なんだハルヒ
「お主、云わぬと申したであろうぉぉぉぉ!」
突然のハルヒの怒声に、なさけないことに 俺は腰を抜かして尻餅をついた
格好になってしまった。
「ぶふぁふぁふぁ おっかしー その程度であたしを出し抜こうなんて、
キョンの分際で100年はやいわ」
続けて聞こえてきたのは、俺を見下ろすように仁王立ちして、その手を俺に
差し出しているハルヒの笑い声だった。
「完敗です」
俺はそれだけいうのが精一杯だった
ふと頬に風を感じる、いままで、炎天下で坩堝のように蒸されていた街角に
風がとおる
まるで、夏女がその苛立ちと怒りを解き全てを許したかのように
ハルヒはその後、とてつもない上機嫌で俺の家に押しかけ妹を巻き込んで
一騒ぎして帰っていった。
ハルヒ、おまえ、俺の居ない間、ひょっとして寂しかったのか?
夕方の天気予報は、この夏の記録的な暑さも今日で峠を越えたと告げていた。
<完>
8 :06/09/01 22:36:49 ID:YPIKPQlt
乙
この、くそ暑いなか、俺とハルヒは並んで歩いているのだった。
どうやら、ハルヒの奴、俺が田舎に帰っている間は、SOS団の活動も休みに
していたようで、かまって欲しいオーラを放出しまっくている
俺がこんなハルヒを見て、ちょっとからかってやろうと思ったとしてもそんな
に不思議じゃなだろう
「こう暑いとな、昔聞いた話を思い出すな」
「なにそれ」
「こんなに暑い日には外に出るなって話、聞きたいか」
「別に、きーたげてもいいわ、話しなさいよ」
「俺の田舎の方の話なんだが、夏女って話がある」
「なにそれ、怪談?」
「そう、むかしむかしの話、今日みたいにえれー暑い日のこと、旅の親子が
いてな、あまりの暑さで進むこともままならず、小さな木陰をみつけて、
休んでいたそうだ」
怪談は好きなのか、口をはさむことなく、ハルヒは俺の話を聞いている
「すると、彼らが通ってきた路から、一人の女が歩いてくるのが見えたんだ、
倒れるような暑さの中、その女は、まるで何事もないように、こっちに歩いて
いる、びっくるするというより2人は恐怖を感じた、なにしろ旅なれた大の
大人がまいってしまいそうな暑い日なのに、その女は、まるで気持ちよく散歩
でもしているように歩いているんだ、多分この世のものではないだろう、そう
思った」
別に俺の田舎にそんな話があるわけではない、このくそ暑いのにふらふら出
歩いている誰かをちょっと皮肉った、そんだけのことだ
6 :夏女 3:06/08/30 00:14:04 ID:2DD5E6l+
「そのうち、その女は、木陰にいる親子に気がつき、近づいてきた、歩いてき
て疲れたので、水が欲しいという、夏の最中、水を持たずに旅をするなぞ、
尋常なことではないし、旅人も子づれということもあって、水は貴重だ、それ
にその女、この暑さの中、さほど苦しんでいる様子もない」
自分で話を続けていながら、俺の頭もこの暑さのせいで少々朦朧とし始めてい
たのかもしれない、あたかも自分がかつて体験した出来事のように、話を続け
ている。
「旅人が水を渡すのを躊躇しているのを感じたのか、その女は、旅人の親の
方に向かって、水が大事なら、そなたからもらおう、そういったかと思うと、
女は、ふいに息を吸い込むようなそぶりをみせた、すると、その旅人は、みる
みる干からびて干物のようになってしまった。その様子を見ていた、子供の
方は、おびえながらもおずおずと水の入った竹筒を差し出したそうだ、そりゃ
命は惜しいものな、するとその女は、お前はよき形をしている、このこと人に
告げぬなら、命だけは助けようぞ、その子はそこまで聞くと、卒倒してしまい、
気が付いたときにはすっかり夜も暮れた時だったそうな」
7 :夏女 4:06/08/30 00:15:22 ID:2DD5E6l+
「云わぬといったろ」
なんだハルヒ
「お主、云わぬと申したであろうぉぉぉぉ!」
突然のハルヒの怒声に、なさけないことに 俺は腰を抜かして尻餅をついた
格好になってしまった。
「ぶふぁふぁふぁ おっかしー その程度であたしを出し抜こうなんて、
キョンの分際で100年はやいわ」
続けて聞こえてきたのは、俺を見下ろすように仁王立ちして、その手を俺に
差し出しているハルヒの笑い声だった。
「完敗です」
俺はそれだけいうのが精一杯だった
ふと頬に風を感じる、いままで、炎天下で坩堝のように蒸されていた街角に
風がとおる
まるで、夏女がその苛立ちと怒りを解き全てを許したかのように
ハルヒはその後、とてつもない上機嫌で俺の家に押しかけ妹を巻き込んで
一騒ぎして帰っていった。
ハルヒ、おまえ、俺の居ない間、ひょっとして寂しかったのか?
夕方の天気予報は、この夏の記録的な暑さも今日で峠を越えたと告げていた。
<完>
8 :06/09/01 22:36:49 ID:YPIKPQlt
乙
引用: SS企画『夏』投下スレ・短編用
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